(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】グリル
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20220902BHJP
F24C 15/16 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
A47J37/06 366
F24C15/16 C
(21)【出願番号】P 2018105494
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆
(72)【発明者】
【氏名】福田 剛生
(72)【発明者】
【氏名】松本 光輔
(72)【発明者】
【氏名】富永 明浩
(72)【発明者】
【氏名】石川 善克
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-007428(JP,A)
【文献】特開2017-099595(JP,A)
【文献】特開2016-202428(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0199723(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
F24C 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル庫と、
前記グリル庫に出退自在に設けられ、且つ、高さが異なる複数種の調理容器を付替え装着自在な調理容器支持部と、
前記調理容器支持部が前記グリル庫の内部に収納された収納状態において前記調理容器の下方に位置する状態に配置される下バーナと、が設けられたグリルであって、
前記調理容器支持部に、付替え装着される前記複数種の調理容器の全てを載置支持する共通支持部が設けられ、
前記複数種の調理容器の夫々には、前記共通支持部に載置支持される被支持部が、当該被支持部を前記共通支持部に載置支持した状態において、各調理容器の底部の前記下バーナに対する高さを設定高さとする状態で設けら
れ、
前記複数種の調理容器夫々の前後に、前記被支持部が設けられ、
前記共通支持部が、前後の前記被支持部に対応させて前後に設けられ、且つ、前記調理容器の前後動及び横移動を受止めるように構成され、
前記複数種の調理容器のうちの高さが低い調理容器が、上面が調理物載置面となる平板状の底壁部と、当該底壁部の前縁部に起立姿勢で設けられる前部壁と、前記底壁部の後縁部に起立姿勢で設けられる後部壁と、前記底壁部の左右の横縁部に起立姿勢で設けられる側壁部とを備えるプレート状容器であり、
前記前部壁及び前記後部壁が、左右方向の中央側部分を前記側壁部よりも上方に突出する高壁部分とする形態に構成され、
前記前部壁及び前記後部壁における前記高壁部分の上端部に、前記被支持部が設けられているグリル。
【請求項2】
前記プレート状容器の前記被支持部が、左右方向に沿う帯板状でかつ外方に向けて突出する帯板状部として形成されている請求項1に記載のグリル。
【請求項3】
前記複数種の調理容器のうちの高さが高い調理容器が、調理物収納空間を形成する鍋状本体を備える鍋状容器であり、
前記鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分の上端よりも低い箇所に、前記被支持部が設けられている請求項
1又は2に記載のグリル。
【請求項4】
グリル庫と、
前記グリル庫に出退自在に設けられ、且つ、高さが異なる複数種の調理容器を付替え装着自在な調理容器支持部と、
前記調理容器支持部が前記グリル庫の内部に収納された収納状態において前記調理容器の下方に位置する状態に配置される下バーナと、が設けられたグリルであって、
前記調理容器支持部に、付替え装着される前記複数種の調理容器の全てを載置支持する共通支持部が設けられ、
前記複数種の調理容器の夫々には、前記共通支持部に載置支持される被支持部が、当該被支持部を前記共通支持部に載置支持した状態において、各調理容器の底部の前記下バーナに対する高さを設定高さとする状態で設けられ、
前記複数種の調理容器夫々の前後に、前記被支持部が設けられ、
前記共通支持部が、前後の前記被支持部に対応させて前後に設けられ、且つ、前記調理容器の前後動及び横移動を受止めるように構成され、
前記複数種の調理容器のうちの高さが高い調理容器が、調理物収納空間を形成する鍋状本体を備える鍋状容器であり、
前記鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分の上端よりも低い箇所に、前記被支持部が設けられ、
前記前側壁部分及び後側壁部分の上端部に、左右方向に沿う帯板状でかつ外方に向けて突出する帯板状突出部が設けられ、
前記鍋状容器の前記被支持部が、前記帯板状突出部の左右両端側に相当する箇所から下向きに突出する左右一対の突起状体として形成されているグリル。
【請求項5】
グリル庫と、
前記グリル庫に出退自在に設けられ、且つ、高さが異なる複数種の調理容器を付替え装着自在な調理容器支持部と、
前記調理容器支持部が前記グリル庫の内部に収納された収納状態において前記調理容器の下方に位置する状態に配置される下バーナと、が設けられたグリルであって、
前記調理容器支持部に、付替え装着される前記複数種の調理容器の全てを載置支持する共通支持部が設けられ、
前記複数種の調理容器の夫々には、前記共通支持部に載置支持される被支持部が、当該被支持部を前記共通支持部に載置支持した状態において、各調理容器の底部の前記下バーナに対する高さを設定高さとする状態で設けられ、
前記複数種の調理容器夫々の前後に、前記被支持部が設けられ、
前記共通支持部が、前後の前記被支持部に対応させて前後に設けられ、且つ、前記調理容器の前後動及び横移動を受止めるように構成され、
前記共通支持部が、左右方向に沿う載置支持部分と、当該載置支持部分の両横端部から起立する姿勢で位置する横移動防止部分とを備える形態に構成されているグリル。
【請求項6】
前記複数種の調理容器のうちの高さが低い調理容器が、上面が調理物載置面となる平板状の底壁部と、当該底壁部の前縁部に起立姿勢で設けられる前部壁と、前記底壁部の後縁部に起立姿勢で設けられる後部壁と、前記底壁部の左右の横縁部に起立姿勢で設けられる側壁部とを備えるプレート状容器であり、
前記前部壁及び前記後部壁が、左右方向の中央側部分を前記側壁部よりも上方に突出する高壁部分とする形態に構成され、
前記前部壁及び前記後部壁における前記高壁部分の上端部に、前記被支持部が設けられている請求項5に記載のグリル。
【請求項7】
前記複数種の調理容器のうちの高さが高い調理容器が、調理物収納空間を形成する鍋状本体を備える鍋状容器であり、
前記鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分の上端よりも低い箇所に、前記被支持部が設けられている請求項
5又は6に記載のグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル庫と、
前記グリル庫に出退自在に設けられ、且つ、高さが異なる複数種の調理容器を付替え装着自在な調理容器支持部と、
前記調理容器支持部が前記グリル庫の内部に収納された収納状態において前記調理容器の下方に位置する状態に配置される下バーナと、が設けられたグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるグリルは、主として、ガスコンロに装備されて使用されるものであり、付替え装着される複数種の調理容器の底部を下バーナにて加熱しながら、加熱調理を行うことになる。
ちなみに、調理容器支持部としては、グリル庫に対して出退自在な出退枠と、当該出退枠に着脱自在に装着される容器支持枠とから構成されることが多い。
【0003】
また、複数種の調理容器のうちの高さが低い調理容器としては、上面が調理物載置面となる平板状の底壁部と、当該底壁部の前縁部に起立姿勢で設けられる前部壁と、底壁部の後縁部に起立姿勢で設けられる後部壁と、底壁部の左右の横縁部に起立姿勢で設けられる側壁部とを備えるプレート状容器がある。
【0004】
また、複数種の調理容器のうちの高さが高い調理容器としては、調理物収納空間を形成する鍋状本体と、当該鍋状本体の上部に着脱自在に載置される蓋とを備える鍋状容器がある。
【0005】
かかるグリルの従来例として、調理容器支持部に、複数種の調理容器のうちの高さが高い調理容器に対する高位側の支持部と、複数種の調理容器のうちの高さが低い調理容器に対する低位側の支持部とを各別に設ける。
そして、高さが高い調理容器には、高位側の支持部に載置支持する被支持部を、当該被支持部を高位側の支持部に載置支持した状態において、調理容器の底部の下バーナに対する高さが設定高さとなるように備えさせ、また、高さが低い調理容器には、低位側の支持部に載置支持する被支持部を、当該被支持部を低位側の支持部に載置支持した状態において、調理容器の底部の下バーナに対する高さが設定高さとなるように備えさせたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1においては、複数種の調理容器に備えさせる被支持部を、調理容器の前後に備えさせ、それに合わせて、高位側の支持部や低位側の支持部を調理容器支持部の前後に設けるように構成されている。
ちなみに、高さが高い調理容器や高さが低い調理容器を調理容器支持部に装着した状態において、調理容器の底部の下バーナに対する高さを設定高さとなるようにするのは、調理容器の底部と下バーナとの間隔を適正な間隔にして、調理容器の底部を下バーナにて良好に加熱できるようにするためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のグリルにおいては、複数種の調理容器のうちの高さが高い調理容器に対する高位側の支持部と、複数種の調理容器のうちの高さが低い調理容器に対する低位側の支持部とを各別に設けて、高さが高い調理容器の被支持部や高さが低い調理容器の被支持部を、高位側の支持部と低位側の支持部とを選択しながら載置することになるため、不慣れな使用者等にとっては、調理容器の装着が行い難い不便があった。
【0009】
つまり、高位側の支持部と低位側の支持部とが併設されていると、調理容器支持部における高位側や低位側の支持部が設けられている部分の形態(形状)が複雑になる等に起因して、高さが高い調理容器の被支持部を高位側の支持部に載置することや、高さが低い調理容器の被支持部を低位側の支持部に載置することが、煩雑な作業となり、不慣れな使用者等にとっては、調理容器の装着が行い難くなる虞があった。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、調理容器の底部を適切に加熱できるようにしながらも、高さが異なる複数種の調理容器の装着を良好に行うことができるグリルを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のグリルは、グリル庫と、
前記グリル庫に出退自在に設けられ、且つ、高さが異なる複数種の調理容器を付替え装着自在な調理容器支持部と、
前記調理容器支持部が前記グリル庫の内部に収納された収納状態において前記調理容器の下方に位置する状態に配置される下バーナと、が設けられたものであって、その特徴構成は、
前記調理容器支持部に、付替え装着される前記複数種の調理容器の全てを載置支持する共通支持部が設けられ、
前記複数種の調理容器の夫々には、前記共通支持部に載置支持される被支持部が、当該被支持部を前記共通支持部に載置支持した状態において、各調理容器の底部の前記下バーナに対する高さを設定高さとする状態で設けられ、
前記複数種の調理容器夫々の前後に、前記被支持部が設けられ、
前記共通支持部が、前後の前記被支持部に対応させて前後に設けられ、且つ、前記調理容器の前後動及び横移動を受止めるように構成され、
前記複数種の調理容器のうちの高さが低い調理容器が、上面が調理物載置面となる平板状の底壁部と、当該底壁部の前縁部に起立姿勢で設けられる前部壁と、前記底壁部の後縁部に起立姿勢で設けられる後部壁と、前記底壁部の左右の横縁部に起立姿勢で設けられる側壁部とを備えるプレート状容器であり、
前記前部壁及び前記後部壁が、左右方向の中央側部分を前記側壁部よりも上方に突出する高壁部分とする形態に構成され、
前記前部壁及び前記後部壁における前記高壁部分の上端部に、前記被支持部が設けられている点にある。
【0012】
すなわち、調理容器支持部に、付替え装着される複数種の調理容器の全てを載置支持するために使用する共通支持部が設けられているから、複数種の調理容器を装着する際には、複数種の調理容器の夫々に設けられた被支持部を、共通支持部に載置支持することになるので、複数種の調理容器の装着を良好に行うことができる。
【0013】
しかも、複数種の調理容器の夫々に設けられた被支持部が、当該被支持部を共通支持部に載置支持した状態において、各調理容器の底部の下バーナに対する高さを設定高さとする状態で設けられているから、調理容器の底部と下バーナとの間隔を適正な間隔にして、調理容器の底部を下バーナにて良好に加熱できる。
【0014】
要するに、本発明のグリルの特徴構成によれば、調理容器の底部を適切に加熱できるようにしながらも、高さが異なる複数種の調理容器の装着を良好に行うことができる。
【0016】
また、複数種の調理容器の夫々の前後に設けた前後の被支持部を、前後の被支持部に対応させて前後に設けた共通支持部に載置支持することにより、複数種の調理容器を調理容器支持部に支持し、そのように載置支持した状態においては、調理容器の前後動及び横移動を共通支持部にて受止めるようにするものであるから、グリル庫前後幅方向に移動される複数種の調理容器の夫々の前部側部分と後部側部分とを支持する形態で、複数種の調理容器の夫々を安定性良く支持することができる。
【0017】
要するに、本発明のグリルの特徴構成によれば、複数種の調理容器の夫々を安定性良く支持することができる。
【0019】
また、高さが低い調理容器であるプレート状容器が、前部壁及び後部壁の左右方向の中央側部分を側壁部よりも上方に突出する高壁部分とする形態であるから、プレート状容器の内部に液状物が貯留された状態で、調理容器支持部がグリル庫に対して出退されることによって、貯留されている液状物が前後に揺れ動いた場合に、高壁部分を備える前部壁及び後部壁にて揺れ動く液状物を受止めることにより、液状物が溢れ出すことを抑制できるため、溢れ出した液状物にて下バーナを失火させる等の不都合が発生することを回避できる。
【0020】
そして、前部壁及び後部壁が高壁部分を備えることを有効利用して、当該高壁部分の上端部に被支持部を設けるものであるから、高さが低い調理容器において、被支持部を底壁部から上方に離れた位置に設けることを、高壁部分を有効利用した簡素な構成で行うことができる。
【0021】
ちなみに、被支持部を底壁部から上方に離れた位置に設けると、高さが低い調理容器であるプレート状容器を安定性よく支持することができる。
つまり、被支持部を底壁部から上方に離れた位置に設けるようにすることによって、調理容器の重心を被支持部の位置よりも十分に低くすることができるため、共通支持部にて被支持部を載置支持する状態において、調理容器の姿勢が安定し易くなるのである。
【0022】
要するに、本発明のグリルの特徴構成によれば、高さが低い調理容器であるプレート状容器を使用するときに、溢れ出した液状物にて下バーナを失火させる等の不都合が発生することを回避し、しかも、調理容器を安定性良く支持するための被支持部を簡素な構成で設けることができる。
【0023】
本発明のグリルの更なる特徴構成は、前記プレート状容器の前記被支持部が、左右方向に沿う帯板状でかつ外方に向けて突出する帯板状部として形成されている点にある。
【0024】
すなわち、前部壁及び後部壁における高壁部分の上端部に備えさせるプレート状容器の被支持部が、左右方向に沿う帯板状でかつ外方に向けて突出する帯板状部として形成されているから、帯状板部として形成されている被支持部にて、前部壁及び後部壁の高壁部分を補強して、高さが低い調理容器であるプレート状容器の耐久性の向上を図ることができる。
【0025】
しかも、左右方向に沿う帯板状でかつ外方に向けて突出する帯板状部として形成されている被支持部には手指を引っかける状態にできるものであるから、必要に応じて、手指を被支持部にて引掛ける状態にして、高さが低い調理容器であるプレート状容器を持ち運ぶことができるものとなり、使用勝手の向上を図ることができる。
【0026】
要するに、本発明のグリルの更なる特徴構成によれば、高さが低い調理容器であるプレート状容器の耐久性の向上を図り、しかも、高さが低い調理容器であるプレート状容器の使用勝手の向上を図ることができる。
【0027】
本発明のグリルの更なる特徴構成は、前記複数種の調理容器のうちの高さが高い調理容器が、調理物収納空間を形成する鍋状本体を備える鍋状容器であり、
前記鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分の上端よりも低い箇所に、前記被支持部が設けられている点にある。
【0028】
すなわち、高さが高い調理容器である鍋状容器における鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分における上端よりも低い箇所に、被支持部が設けられているから、高さが高い調理容器でありながらも、被支持部を共通支持部に載置支持した状態において、高さが高い調理容器である鍋状容器の底部の高さを設定高さとすることができる。
【0029】
しかも、被支持部を、鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分に設けるものであるから、被支持部を、前側壁部分及び後側壁部分と一体形成することにより、十分な強度を備える形態で設けることができる。
【0030】
要するに、本発明のグリルの更なる特徴構成によれば、高さが高い調理容器である鍋状容器の底部の高さを設定高さにする状態で共通支持部に載置される被支持部を、十分な強度を備える形態で設けることができる。
【0031】
本発明のグリルは、グリル庫と、
前記グリル庫に出退自在に設けられ、且つ、高さが異なる複数種の調理容器を付替え装着自在な調理容器支持部と、
前記調理容器支持部が前記グリル庫の内部に収納された収納状態において前記調理容器の下方に位置する状態に配置される下バーナと、が設けられたグリルであって、
前記調理容器支持部に、付替え装着される前記複数種の調理容器の全てを載置支持する共通支持部が設けられ、
前記複数種の調理容器の夫々には、前記共通支持部に載置支持される被支持部が、当該被支持部を前記共通支持部に載置支持した状態において、各調理容器の底部の前記下バーナに対する高さを設定高さとする状態で設けられ、
前記複数種の調理容器夫々の前後に、前記被支持部が設けられ、
前記共通支持部が、前後の前記被支持部に対応させて前後に設けられ、且つ、前記調理容器の前後動及び横移動を受止めるように構成され、
前記複数種の調理容器のうちの高さが高い調理容器が、調理物収納空間を形成する鍋状本体を備える鍋状容器であり、
前記鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分の上端よりも低い箇所に、前記被支持部が設けられ、
前記前側壁部分及び後側壁部分の上端部に、左右方向に沿う帯板状でかつ外方に向けて突出する帯板状突出部が設けられ、
前記鍋状容器の前記被支持部が、前記帯板状突出部の左右両端側に相当する箇所から下向きに突出する左右一対の突起状体として形成されている点にある。
【0032】
すなわち、調理容器支持部に、付替え装着される複数種の調理容器の全てを載置支持するために使用する共通支持部が設けられているから、複数種の調理容器を装着する際には、複数種の調理容器の夫々に設けられた被支持部を、共通支持部に載置支持することになるので、複数種の調理容器の装着を良好に行うことができる。
しかも、複数種の調理容器の夫々に設けられた被支持部が、当該被支持部を共通支持部に載置支持した状態において、各調理容器の底部の下バーナに対する高さを設定高さとする状態で設けられているから、調理容器の底部と下バーナとの間隔を適正な間隔にして、調理容器の底部を下バーナにて良好に加熱できる。
要するに、本発明のグリルの特徴構成によれば、調理容器の底部を適切に加熱できるようにしながらも、高さが異なる複数種の調理容器の装着を良好に行うことができる。
また、複数種の調理容器の夫々の前後に設けた前後の被支持部を、前後の被支持部に対応させて前後に設けた共通支持部に載置支持することにより、複数種の調理容器を調理容器支持部に支持し、そのように載置支持した状態においては、調理容器の前後動及び横移動を共通支持部にて受止めるようにするものであるから、グリル庫前後幅方向に移動される複数種の調理容器の夫々の前部側部分と後部側部分とを支持する形態で、複数種の調理容器の夫々を安定性良く支持することができる。
要するに、本発明のグリルの特徴構成によれば、複数種の調理容器の夫々を安定性良く支持することができる。
また、高さが高い調理容器である鍋状容器における鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分における上端よりも低い箇所に、被支持部が設けられているから、高さが高い調理容器でありながらも、被支持部を共通支持部に載置支持した状態において、高さが高い調理容器である鍋状容器の底部の高さを設定高さとすることができる。
しかも、被支持部を、鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分に設けるものであるから、被支持部を、前側壁部分及び後側壁部分と一体形成することにより、十分な強度を備える形態で設けることができる。
要するに、本発明のグリルの特徴構成によれば、高さが高い調理容器である鍋状容器の底部の高さを設定高さにする状態で共通支持部に載置される被支持部を、十分な強度を備える形態で設けることができる。
また、左右方向に沿う帯板状でかつ外方に向けて突出する帯板状突出部が、高さが高い調理容器である鍋状容器の鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分の上端部に設けられ、鍋状容器の被支持部が、帯板状突出部の左右両端側に相当する箇所から下向きに突出する左右一対の突起状体として形成されているから、帯板状突出部における左右両端の突起状体(被支持部)の間に位置する部分に対して、手指を引っかける状態にできるものであるため、必要に応じて、手指を帯板状突出部にて引掛ける状態にして、高さが高い調理容器である鍋状容器を持ち運ぶことができるものとなり、使用勝手の向上を図ることができる。
【0033】
しかも、帯板状突出部における左右両端の突起状体(被支持部)の間に位置する部分に対して手指を引っかける状態にして、高さが高い調理容器である鍋状容器を持つようにしながら、帯板状突出部における左右両端の突起状体(被支持部)を共通支持部に載置することもできるため、高さが高い調理容器である鍋状容器の使い勝手が一層向上する。
【0034】
要するに、本発明のグリルの特徴構成によれば、高さが高い調理容器である鍋状容器の使い勝手を向上することができる。
【0035】
本発明のグリルは、グリル庫と、
前記グリル庫に出退自在に設けられ、且つ、高さが異なる複数種の調理容器を付替え装着自在な調理容器支持部と、
前記調理容器支持部が前記グリル庫の内部に収納された収納状態において前記調理容器の下方に位置する状態に配置される下バーナと、が設けられたグリルであって、
前記調理容器支持部に、付替え装着される前記複数種の調理容器の全てを載置支持する共通支持部が設けられ、
前記複数種の調理容器の夫々には、前記共通支持部に載置支持される被支持部が、当該被支持部を前記共通支持部に載置支持した状態において、各調理容器の底部の前記下バーナに対する高さを設定高さとする状態で設けられ、
前記複数種の調理容器夫々の前後に、前記被支持部が設けられ、
前記共通支持部が、前後の前記被支持部に対応させて前後に設けられ、且つ、前記調理容器の前後動及び横移動を受止めるように構成され、
前記共通支持部が、左右方向に沿う載置支持部分と、当該載置支持部分の両横端部から起立する姿勢で位置する横移動防止部分とを備える形態に構成されている点にある。
【0036】
すなわち、調理容器支持部に、付替え装着される複数種の調理容器の全てを載置支持するために使用する共通支持部が設けられているから、複数種の調理容器を装着する際には、複数種の調理容器の夫々に設けられた被支持部を、共通支持部に載置支持することになるので、複数種の調理容器の装着を良好に行うことができる。
しかも、複数種の調理容器の夫々に設けられた被支持部が、当該被支持部を共通支持部に載置支持した状態において、各調理容器の底部の下バーナに対する高さを設定高さとする状態で設けられているから、調理容器の底部と下バーナとの間隔を適正な間隔にして、調理容器の底部を下バーナにて良好に加熱できる。
要するに、本発明のグリルの特徴構成によれば、調理容器の底部を適切に加熱できるようにしながらも、高さが異なる複数種の調理容器の装着を良好に行うことができる。
また、複数種の調理容器の夫々の前後に設けた前後の被支持部を、前後の被支持部に対応させて前後に設けた共通支持部に載置支持することにより、複数種の調理容器を調理容器支持部に支持し、そのように載置支持した状態においては、調理容器の前後動及び横移動を共通支持部にて受止めるようにするものであるから、グリル庫前後幅方向に移動される複数種の調理容器の夫々の前部側部分と後部側部分とを支持する形態で、複数種の調理容器の夫々を安定性良く支持することができる。
要するに、本発明のグリルの特徴構成によれば、複数種の調理容器の夫々を安定性良く支持することができる。
また、共通支持部の左右方向に沿う載置支持部分の両横端部に、起立する姿勢の横移動防止部分が備えられているから、調理容器の被支持部を載置する載置支持部分が、左右の横移動防止部分の間であることが分かり易く、調理容器の被支持部を共通支持部の載置支持部分に載置することを適切に行い易いため、調理容器の被支持部を共通支持部の載置することを良好に行うことができる。
【0037】
要するに、本発明のグリルの特徴構成によれば、調理容器の被支持部を共通支持部に載置することを良好に行うことができる。
本発明のグリルの更なる特徴構成は、前記複数種の調理容器のうちの高さが低い調理容器が、上面が調理物載置面となる平板状の底壁部と、当該底壁部の前縁部に起立姿勢で設けられる前部壁と、前記底壁部の後縁部に起立姿勢で設けられる後部壁と、前記底壁部の左右の横縁部に起立姿勢で設けられる側壁部とを備えるプレート状容器であり、
前記前部壁及び前記後部壁が、左右方向の中央側部分を前記側壁部よりも上方に突出する高壁部分とする形態に構成され、
前記前部壁及び前記後部壁における前記高壁部分の上端部に、前記被支持部が設けられている点にある。
すなわち、高さが低い調理容器であるプレート状容器が、前部壁及び後部壁の左右方向の中央側部分を側壁部よりも上方に突出する高壁部分とする形態であるから、プレート状容器の内部に液状物が貯留された状態で、調理容器支持部がグリル庫に対して出退されることによって、貯留されている液状物が前後に揺れ動いた場合に、高壁部分を備える前部壁及び後部壁にて揺れ動く液状物を受止めることにより、液状物が溢れ出すことを抑制できるため、溢れ出した液状物にて下バーナを失火させる等の不都合が発生することを回避できる。
そして、前部壁及び後部壁が高壁部分を備えることを有効利用して、当該高壁部分の上端部に被支持部を設けるものであるから、高さが低い調理容器において、被支持部を底壁部から上方に離れた位置に設けることを、高壁部分を有効利用した簡素な構成で行うことができる。
ちなみに、被支持部を底壁部から上方に離れた位置に設けると、高さが低い調理容器であるプレート状容器を安定性よく支持することができる。
つまり、被支持部を底壁部から上方に離れた位置に設けるようにすることによって、調理容器の重心を被支持部の位置よりも十分に低くすることができるため、共通支持部にて被支持部を載置支持する状態において、調理容器の姿勢が安定し易くなるのである。
要するに、本発明のグリルの更なる特徴構成によれば、高さが低い調理容器であるプレート状容器を使用するときに、溢れ出した液状物にて下バーナを失火させる等の不都合が発生することを回避し、しかも、調理容器を安定性良く支持するための被支持部を簡素な構成で設けることができる。
本発明のグリルの更なる特徴構成は、前記複数種の調理容器のうちの高さが高い調理容器が、調理物収納空間を形成する鍋状本体を備える鍋状容器であり、
前記鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分の上端よりも低い箇所に、前記被支持部が設けられている点にある。
すなわち、高さが高い調理容器である鍋状容器における鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分における上端よりも低い箇所に、被支持部が設けられているから、高さが高い調理容器でありながらも、被支持部を共通支持部に載置支持した状態において、高さが高い調理容器である鍋状容器の底部の高さを設定高さとすることができる。
しかも、被支持部を、鍋状本体における前側壁部分及び後側壁部分に設けるものであるから、被支持部を、前側壁部分及び後側壁部分と一体形成することにより、十分な強度を備える形態で設けることができる。
要するに、本発明のグリルの更なる特徴構成によれば、高さが高い調理容器である鍋状容器の底部の高さを設定高さにする状態で共通支持部に載置される被支持部を、十分な強度を備える形態で設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図4】出退枠をグリル庫から引き出した状態のグリルの斜視図
【
図12】波型式プレートパンの収納状態を示す切欠側面図
【発明を実施するための形態】
【0039】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(ガスコンロの全体構成)
図1に示すように、コンロ本体Hの上面部に、左右一対のコンロバーナ1を備え、コンロ本体Hの内部にグリルG(
図2参照)を備えるガスコンロが構成されている。
このガスコンロは、キッチンカウンタに形成したコンロ装着口に上方から挿入して組付ける、いわゆるビルトインタイプとして構成されるものであって、コンロ本体Hの上部の周縁部には、キッチンカウンタに載置する鍔部が形成されている。
【0040】
コンロ本体Hの上部には、ガラス製の天板2が装備され、そして、天板2の後部側箇所には、グリルGの調理排気を排出するためのグリル排気口3が形成されている。
また、天板2の上部には、コンロバーナ1にて加熱される鍋等の被加熱物を載置するための五徳4が、左右のコンロバーナ1の夫々に対応して設けられている。
尚、コンロバーナ1の中央部には、
図1に示すように、鍋等の被加熱物の存在及び被加熱物の底壁温度を検出するコンロバーナセンサ1Aが設けられている。
【0041】
コンロ本体Hの上部に装備した天板2の手前側箇所には、左右のコンロバーナ1の夫々に対する左右一対のコンロ用操作具5が、上方に離脱自在に設けられ、コンロ本体Hの前面部の右側箇所には、グリルGに対するグリル用設定操作部6が、下方側を支点にした前後揺動により開閉自在に設けられている。尚、
図1は、グリル用設定操作部6の開き状態を例示する。
また、コンロ本体Hの前面部におけるグリル用設定操作部6の上部箇所には、ガスコンロを運転状態と運転停止状態とに切換える電源スイッチSWが装備されている。
【0042】
ちなみに、一対のコンロ用操作具5の夫々は、前後や左右のスライド操作及び左右の回転操作により、点火及び消火の指令、目標火力の指令、目標温度に維持する自動温度調理の指令等、各種の指令情報を指令するように構成されている。
そして、ガスコンロの運転を制御する運転制御部(図示せず)が、一対のコンロ用操作具5の指令情報に基づいて、コンロバーナ1の燃焼を制御するように構成されている。
【0043】
グリル用設定操作部6は、複数の指令スイッチを備えて、それらの複数の指令スイッチの操作により、グリルGの加熱調理用の加熱部としてのグリルバーナA(
図2参照)に対する点火及び消火の指令、目標火力の指令、調理モードの指令等、各種の指令情報を指令するように構成されている。
そして、ガスコンロの運転を制御する運転制御部(図示せず)が、グリル用設定操作部6の指令情報に基づいて、グリルバーナAの燃焼を制御するように構成されている。
【0044】
(グリルの構成)
グリルGには、
図2及び
図3に示すように、前部及び後部が開口する筒状に形成されたグリル庫7が備えられ、グリル扉8(
図1参照)を前端部に備え且つ被調理物を加熱調理する調理容器Kを着脱自在に載置支持する容器支持枠9を装備した出退枠Lが、グリル庫7の前部に突出した突出状態とグリル庫7の内部の設定収納位置に収納された収納状態とに出退自在にグリル庫7に設けられている。
容器支持枠9を装備した出退枠Lは、複数種の調理容器Kを付替え自在な調理容器支持部に相当する。
【0045】
グリル庫7の後部に、調理排気用排気口Uが開口され、排気通路形成部Dが、排気通路Eを調理排気用排気口Uに連通させる形態で形成するように構成されている。
ちなみに、排気通路Eの内部に消炎体Sが設けられて、排気通路Eの内部に生成される火炎を消炎するようになっている。
【0046】
調理容器Kは、形態が異なる複数種のものが用意されており、容器支持枠9が、複数種の調理容器Kを付け替え装着自在で且つ装着した調理容器Kを位置決め保持する調理容器装着部として構成されている。
本実施形態においては、高さが異なる複数種の調理容器Kとして、高さが低い調理容器としてのプレート状容器KAと高さが高い調理容器としての鍋状容器KFとがある。
そして、プレート状容器KAとして、調理物載置面が平坦状で当該調理物載置面の周縁に周壁部を備える平坦式プレートパンKh(
図8参照)及び調理物載置面が波型状で当該調理物載置面の周縁に周壁部を備える波型式プレートパンKn(
図9参照)が設けられている。
また、鍋状容器KFとして、調理鍋Kt(
図10参照)が設けられている。
【0047】
図2及び
図3に示すように、グリル庫7の底壁7dには、調理容器Kを下方から加熱する下バーナ10が、出退枠Lがグリル庫7の内部に収納された状態において調理容器Kの下方に位置する状態に配置され、グリル庫7の上壁7u(天井部)には、調理容器Kを上方から加熱する上バーナ11が、出退枠L9がグリル庫7の内部に収納された状態において調理容器Kの上方に位置する状態に配置され設置されている。
つまり、本実施形態においては、グリルバーナAとして、下バーナ10と上バーナ11とが設けられている。
【0048】
下バーナ10は、
図2に示すように、円筒状の下バーナ本体部10Aと、その下バーナ本体部10Aに接続される下バーナ混合管部10Bとを備え、下バーナ本体部10Aには、周方向に沿って炎孔Fが形成されている。つまり、下バーナ10は、炎孔Fを環状に備える形態に構成されている。
【0049】
そして、下バーナ10は、燃料ガスが下バーナ用噴出ノズル12から下バーナ混合管部10Bの端部に噴出供給される際に、一次空気がエジェクタ作用によって下バーナ混合管部10Bの内部に供給されることにより、一次空気と燃料ガスとの混合ガスを上述の炎孔Fに供給して一次燃焼させ、かつ、グリル庫7の底壁7dや横側壁7s等に形成した空気孔(図示せず)等からグリル庫7の内部に取り入れられた外気を二次空気として用いて二次燃焼させる、いわゆるブンゼン燃焼式バーナとして構成されている。
【0050】
下バーナ10の内部には、
図2及び
図3に示すように、調理容器Kの温度を検出する温度検出センサとして、調理容器Kの底壁温度を検出する容器温度検出センサ13が装備されている。
【0051】
尚、出退枠Lの出退に連動して容器温度検出センサ13を昇降させて、出退枠Lがグリル庫7の内部の設定収納位置及びその近くに位置するときには、容器温度検出センサ13を調理容器Kの底部に接触させる上昇位置に位置させ、出退枠Lが設定収納位置の近くの位置からグリル庫7の前方側に突出されるときには、容器温度検出センサ13を調理容器Kの底部から下方側に離れる下降位置に位置させるように構成されているが、本実施形態においては、出退枠Lの出退に連動して容器温度検出センサ13を昇降させる機構についての詳細な説明は省略する。
【0052】
上バーナ11は、下向きの平板状の火炎を形成する輻射式バーナであり、
図3に示すように、平板状の上バーナ本体部11Aと、その上バーナ本体部11Aに接続される上バーナ混合管部11Bとを備え、上バーナ本体部11Aの下面部に燃焼炎形成部が形成されている。
【0053】
そして、上バーナ11は、燃料ガスが上バーナ用噴出ノズル(図示せず)から上バーナ混合管部11Bの端部に噴出供給される際に、一次空気がエジェクタ作用によって上バーナ混合管部11Bの内部に供給されることにより、一次空気と燃料ガスとの混合ガスを上述の燃焼炎形成部に供給して一次燃焼させ、かつ、グリル庫7の底壁7dや横側壁7s等に形成した空気孔(図示せず)等からグリル庫7の内部に取り入れられた外気を二次空気として用いて二次燃焼させる、いわゆるブンゼン燃焼式バーナとして構成されている。
【0054】
(出退枠及び容器支持枠の具体構成)
図3に示すように、グリル庫7の左右の横側壁7sの底部側部分に、長手方向をグリル庫7の前後方向に向けた姿勢で固定設置される状態で固定レール15が設けられ、その固定レール15に対してグリル庫7の前後方向に移動自在に支持される中間レール16、及び、その中間レール16に対してグリル庫7の前後方向に移動自在に支持される可動レール17を備えたスライドレール式の案内機構Bが設けられている。
【0055】
図4に示すように、上述の出退枠Lが、左右に並ぶ一対の可動レール17の先端部の間に、グリル扉8を装着するための扉支持板18を架設する形態にて形成され、容器支持枠9が、出退枠Lに着脱自在に支持されている。
グリル扉8は、扉支持板18の前面側に当て付けた状態で、扉支持板18に装着されるように構成されている(
図2参照)。
【0056】
容器支持枠9は、棒状材を曲げ加工して形成されるものであって、
図7に示すように、グリル庫前後方向に延びる姿勢の左右の主枠部9S、当該左右の主枠部9Sの前側部分の間に上方側に突出する姿勢で位置する前方側容器支持部9F、及び、左右の主枠部9Sの後側部分の間に上方側に突出する姿勢で位置する後方側容器支持部9Rを備える形態に形成されている。
【0057】
図5及び
図6に示すように、左右の前記可動レール17の夫々に、左右の主枠部9Sを載置支持する載置支持部としての載置支持枠20が設けられ、容器支持枠9が、左右の主枠部9Sを左右の載置支持枠20に載置する形態で、左右の可動レール17に対して着脱自在に支持されている。
また、容器支持枠9が、前方側容器支持部9F及び後方側容器支持部9Rを載置支持枠20よりもグリル庫内方側に位置させる形態に構成されている。
【0058】
載置支持枠20に、容器支持枠9の被支持部9hを支持して、当該容器支持枠9のグリル庫前後方向の位置を位置決めする前後位置決め部20Fと、左右の主枠部9Sを支持して、容器支持枠9のグリル庫横幅方向の位置を位置決めする横位置決め部20Yとが設けられている。
【0059】
すなわち、被支持部9hが、容器支持枠9の前方側箇所に、グリル庫横幅方向に沿う軸状に形成されている。そして、前後位置決め部20Fが、下向きに凹入する凹部Vを備える状態に形成されている。つまり、載置支持枠20のグリル庫内方側の横端縁から起立させた前側壁部20fに、前後位置決め部20Fを構成する凹部Vが形成されている。
したがって、前後位置決め部20Fが、容器支持枠9の被支持部9hを凹部Vに係入して支持することにより、容器支持枠9のグリル庫前後方向の位置を位置決めするように構成されている。
【0060】
また、前後位置決め部20Fが、被支持部9hを凹部Vに受止め案内する下向きの傾斜案内部Vsを凹部Vの前部及び後部に備える形態に構成されている。つまり、前側壁部20fにおける凹部Vの前後両側の上面部分が、凹部Vの存在側に傾斜する傾斜状に形成されている。
【0061】
また、載置支持枠20のグリル庫外方側の横端縁から横側壁部20yが起立する状態で設けられている。そして、横位置決め部20Yが、容器支持枠9の左右の主枠部9Sを横側壁部20yにて受止めることにより、容器支持枠9のグリル庫横幅方向の位置を位置決めするように構成されている。
【0062】
したがって、容器支持枠9を載置支持枠20に装着する際には、先ず、被支持部9hを凹部Vに係合させ、その状態において、被支持部9hを中心にして、容器支持枠9を下方側に揺動させることにより、容器支持枠9を載置支持枠20に載置する適正装着位置に装着できるように構成されている。
【0063】
(グリル庫の細部構成)
図2及び
図3に示すように、グリル庫7の底壁7dを上方から覆う板状の底部カバー体21が、下バーナ10を覆う状態で設けられている。底部カバー体21には、下バーナ10の燃焼部としての下バーナ本体部10Aを上方に突出させるバーナ挿通用開口21Aが備えられている。
また、底部カバー体21が、横端縁部とグリル庫7の横側壁7sとの間に載置支持枠20を挿通させる挿通部Nを形成する形態で設けられている。
【0064】
グリル庫7の横側壁7sを覆う状態に着脱自在に装着される板状の内面カバー体22が設けられ、その内面カバー体22の下端部に、グリル庫内方側に張り出して載置支持枠20を覆う張出部22Aが設けられている。
ちなみに、内面カバー体22は、グリル庫7の横側壁7sに設けた係止部に係止される状態で装着されることになるが、装着構成の詳細な説明は省略する。
又、張出部22Aが、底部カバー体21の上方箇所に重複する状態に延出されている。
【0065】
したがって、内面カバー体22の張出部22Aにて、載置支持枠20及びその載置支持枠20に載置されている容器支持枠9の主枠部9Sを覆うことによって、煮汁等の液状物が載置支持枠20や主枠部9Sに降りかかることを適切に抑制でき、しかも、煮汁等の液状物を底部カバー体21の上部に回収できる。
【0066】
(調理容器の支持構成の詳細)
図7に示すように、容器支持枠9に、付替え装着される複数種の調理容器Kの全てを載置支持する前後一対の共通支持部Mが設けられている。
具体的には、容器支持枠9の前方側容器支持部9F及び後方側容器支持枠9Rに、共通支持部Mが形成されている。
本実施形態においては、共通支持部Mが、左右方向に沿う載置支持部分Maと、当該載置支持部分Maの両横端部から起立する姿勢で位置する横移動防止部分Mbとを備える形態に構成されている。
【0067】
複数種の調理容器Kの夫々には、
図8~
図11に示すように、前後一対の共通支持部Mに載置支持される前後一対の被支持部Wが、当該被支持部Wを共通支持部Mに載置支持した状態において、各調理容器Kの底部の下バーナ10に対する高さを設定高さとする状態で設けられている。
つまり、被支持部Wと調理容器Kの底面までの上下間隔が、当該被支持部Wを共通支持部Mに載置支持した状態において、各調理容器Kの底部の下バーナ10に対する高さを設定高さとする上下間隔に形成されている。
【0068】
調理容器Kの底部を下バーナ10に対する高さを設定高さにした状態においては、
図2、
図12及び
図13に示すように、平坦式プレートパンKhの底部、波型式プレートパンKnの底部、及び、調理鍋Ktの底部が、下バーナ10に対して、適正上下間隔を隔てる状態となり、各調理容器Kの底部を下バーナ10にて良好に加熱できるものとなる。
【0069】
ちなみに、複数種の調理容器Kの夫々の前後一対の被支持部Wを、前後一対の共通支持部Mに載置支持した状態においては、被支持部Wが横移動防止部分Mbにて受止られることにより、調理容器Kの横移動が阻止され、また、調理容器Kの前壁部や後壁部が共通支持部Mにて受止められることにより、調理容器Kの前後動が阻止されるように構成されている。
つまり、本実施形態においては、平坦式プレートパンKh及び波型式プレートパンKnについては、載置支持部分Maにて前後壁が受止められることにより、前後動が阻止され、調理鍋Ktにおいては、横移動防止部分Mbにて前後壁が受止められることにより、前後動が阻止されるように構成されている。
【0070】
(プレート状容器の詳細)
高さが低い調理容器であるプレート状容器KA、つまり、平坦式プレートパンKh及び波型式プレートパンKnは、
図8及び
図9に示すように、上面が調理物載置面となる平板状の底壁部25を備え、当該底壁部25の前縁部に起立姿勢で設けられる前部壁26fと、底壁部25の後縁部に起立姿勢で設けられる後部壁26rと、底壁部25の左右の横縁部に起立姿勢で設けられる側壁部26sとを周壁部26として備える形態に構成されている。
【0071】
そして、前部壁26f及び後部壁26rが、左右方向の中央側部分を側壁部26sよりも上方に突出する高壁部分とする形態に構成され、当該高壁部分の上端部に、被支持部Wが設けられている。
本実施形態においては、プレート状容器KAの被支持部Wが、左右方向に沿う帯板状でかつ外方に向けて突出する帯板状部27として形成されている。
【0072】
ちなみに、平坦式プレートパンKh及び波型式プレートパンKnは、前後対称となる形態に形成されて、前後向きをいずれに向けた状態でも容器支持枠9に装着自在に構成されている。
また、プレート状容器KAの左右の側壁部26sには、手指を掛ける張出支持部28が横外方に張り出す状態で設けられており、この張出支持部28を支持しながら、プレート状容器KAを持ち運ぶことができるように構成されている。
【0073】
(鍋状容器の詳細)
高さが高い調理容器である鍋状容器KF、つまり、調理鍋Ktは、
図10に示すように、調理物収納空間を形成する鍋状本体30と、当該鍋状本体30の上部に着脱自在に載置される蓋31とを備える形態に構成されている。
そして、鍋状本体30における前側壁部分及び後側壁部分の上端よりも低い箇所に、被支持部Wが設けられている。
【0074】
すなわち、鍋状本体30の前側壁部分及び後側壁部分の上端部に、左右方向に沿う帯板状でかつ外方に向けて突出する帯板状突出部30Aが設けられている。
そして、鍋状容器KFの被支持部Wが、帯板状突出部30Aの左右両端側に相当する箇所から下向きに突出する左右一対の突起状体30Bとして形成されている。
ちなみに、鍋状本体30の上端部は、
図13に示すように、水平方向に外方に延びたのち上方に起立する階段状に形成され、水平方向に外方に延びる部分に、蓋31の載置部を形成されている。
また、鍋状本体30の前後壁における上端部が横移動防止部分Mbにて受止められることにより、鍋状本体30の前後動が阻止されるように構成されている。
【0075】
本実施形態においては、調理鍋Ktの鍋状本体30を適正前後向き姿勢で容器支持枠9に載置した状態において、蓋31を適正前後向き姿勢で鍋状本体30に載置したときに、蓋31に形成した蒸気孔Jがグリル庫後方側箇所に位置するように構成されている。
このため、鍋状本体30を適正前後向き姿勢で容器支持枠9に載置するための容器用規制部Q、及び、蓋31を適正前後向き姿勢で鍋状本体30に載置するための蓋用規制部Rが設けられている。
【0076】
説明を加えると、鍋状本体30における前側壁部分に、牽制用突起Qtが外方に突出する状態で形成されている。
そして、容器支持枠9の前方側容器支持部9Fにおける載置支持部分Maには、牽制用突起Qtが入り込むことを許容する許容凹部Quが形成されるのに対して、後方側容器支持部9Rの載置支持部分Maが、牽制用突起Qtが入り込むことを接当阻止する牽制用棒状部Qbとして形成されている。
【0077】
したがって、容器支持枠9に対する鍋状本体30の前後向き姿勢が適正前後向き姿勢のときには容器支持枠9への載置を許容しかつ容器支持枠9に対する鍋状本体30の前後向き姿勢が適正前後向き姿勢でないときには容器支持枠9への載置を牽制する容器用規制部Qが、牽制用突起Qt、許容凹部Qu及び牽制用棒状部Qbから構成されている。
【0078】
また、鍋状本体30の周壁部における内面の後方側箇所に、内方側に突出する規制突部Rtが形成され、蓋31における後方側箇所に、規制突部Rtが挿通する挿通凹部Ruが形成されている。
したがって、鍋状本体30に対する蓋31の装着用前後向きが適正前後向きのときには蓋31の装着を許容しかつ鍋状本体30に対する蓋31の装着用前後向きが適正装着用前後向きでないときには蓋31の装着を牽制する蓋用規制部Rが、規制突部Rt及び挿通凹部Ruから構成されている。
【0079】
ちなみに、蓋31の後方側部分には、被検出体Jkが鍋状本体30の周壁部における後部に位置する状態となる形態で、蓋31から連設されている。この被検出体Jkは、調理鍋Ktを装着した出退枠Lがグリル庫内に収納されたことを検出するために設けられるものであるが、その詳細な説明は省略する。
【0080】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態においては、高さが低い調理容器Kであるプレート状容器の一例として、平坦式プレートパンKh及び波型式プレートパンKnを例示し、高さが高い調理容器である鍋状容器の一例として、調理鍋Ktを例示したが、調理容器Kとしては、平面視での大きさが異なるプレート状容器や、深さが異なる鍋状容器等、各種のものを設けるようにしてもよい。
【0081】
(2)上記実施形態では、複数種の調理容器Kの夫々に、前後の被支持部Wを設け、前後の被支持部Wに対応させて前後の共通支持部Mを設ける場合を例示したが、例えば、複数種の調理容器Kの夫々の前後及び左右に被支持部Wを設け、前後や左右の被支持部Wに対応させて、前後及び左右に共通支持部Mを設けるようにする等、被支持部Wや共通支持部Mの具体構成は、各種変更できる。
【0082】
(3)上記実施形態では、被支持部Wを複数種の調理容器Kに設けるにあたり、極力、調理容器Kの上方側箇所に被支持部Wを設ける場合を例示したが、調理容器Kの底部側箇所に被支持部Wを設けるようにする等、被支持部Wを設ける位置は種々変更できるものである。
【0083】
(4)上記実施形態では、着脱自在な容器支持枠9を設けて、共通支持部Mを当該容器支持枠9に形成する場合を例示したが、容器支持枠9を設けずに、共通支持部Mを形成する部材を可動レール17に付設する等、共通支持部Mを設置する構成は種々変更できる。
【0084】
(5)上記実施形態では、グリルGが、ガスコンロに装備される場合を例示したが、本発明のグリルGは、グリル専用機を構成する場合にも適用できる。
【0085】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0086】
7 グリル庫
11 下バーナ
25 底壁部
26f 前部壁
26r 後部壁
26s 側壁部
27 帯板状部
30 鍋状本体
30A 帯板状突出部
30B 突起状体
K 調理容器
KA プレート状容器
KF 鍋状容器
L 調理容器支持部
M 共通支持部
Ma 載置支持部分
Mb 横移動防止部分
W 被支持部