(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】水質測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 33/18 20060101AFI20220902BHJP
G01N 21/59 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
G01N33/18 106C
G01N21/59
G01N33/18 106D
(21)【出願番号】P 2018159655
(22)【出願日】2018-08-28
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】澁藤 暢一
(72)【発明者】
【氏名】沖原 和弘
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 敏治
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-281100(JP,A)
【文献】特開2001-153800(JP,A)
【文献】特開2004-028814(JP,A)
【文献】特開平04-198754(JP,A)
【文献】特開平09-138230(JP,A)
【文献】実開昭57-194062(JP,U)
【文献】実開平05-019957(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0083346(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1246581(KR,B1)
【文献】独国特許出願公開第102017103684(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/18
G01N 21/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定液の水面に浮かぶフロート部と、
前記フロート部に接続される本体部と、
前記本体部に支持されて、前記被測定液の水質を測定するセンサ部と、
上下方向に延び、前記本体部を上下方向に移動可能に支持する支持部と、を備え、
前記センサ部は、前記水面よりも上方に配置されて、前記水面に対向
し、
前記支持部に対して前記本体部は、傾斜した姿勢で保持され、
前記本体部は、前記センサ部を上方部分に収容し、前記被測定液を下方部分に浸入させる筒部を有し、
前記筒部の中心軸は、鉛直軸に対して傾斜して配置され、
前記センサ部は、前記中心軸に沿って測定光を投光および受光する、水質測定装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の水質測定装置であって、
前記筒部は、
前記被測定液を内部空間に導入させる窓孔と、
前記窓孔を覆う網部と、を有する、水質測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の水質測定装置であって、
前記窓孔は、前記筒部の周壁に設けられる、水質測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の水質測定装置であって、
前記筒部には、天面キャップと底面キャップとが取り付けられる、水質測定装置。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれか一項に記載の水質測定装置であって、
前記支持部は、互いに並行して延びる一対の支持棒を有する、水質測定装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の水質測定装置であって、
前記本体部は、前記支持棒の外周面を転がる車輪を有する、水質測定装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の水質測定装置であって、
前記本体部は、前記車輪を複数有し、
複数の前記車輪は、前記支持棒の周方向において互いに間隔をあけて配置される、水質測定装置。
【請求項8】
請求項
6または
7に記載の水質測定装置であって、
前記本体部は、前記車輪を複数有し、
複数の前記車輪は、上下方向に互いに離れて配置される、水質測定装置。
【請求項9】
請求項
5~8のいずれか一項に記載の水質測定装置であって、
前記支持部は、前記支持棒を水平方向に移動可能に保持する棒保持部を有する、水質測定装置。
【請求項10】
請求項
9に記載の水質測定装置であって、
前記支持棒は、丸パイプであり、
前記棒保持部は、前記丸パイプの内径よりも細く、前記丸パイプの開口端に挿入される保持ピンを有する、水質測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1の水質測定装置が知られる。この水質測定装置は、センサと、フロートと、を備える。センサは、フロートに内蔵される。センサは、被測定液に浸水されて、水質を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の水質測定装置では、水質を測定するセンサが水に浸される。時間経過とともに、センサには汚れが付着する。このため、水質の測定精度を長期間にわたって良好に維持することが難しかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、水質の測定精度を長期間にわたって良好に維持できる水質測定装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水質測定装置の一つの態様は、被測定液の水面に浮かぶフロート部と、前記フロート部に接続される本体部と、前記本体部に支持されて、前記被測定液の水質を測定するセンサ部と、上下方向に延び、前記本体部を上下方向に移動可能に支持する支持部と、を備え、前記センサ部は、前記水面よりも上方に配置されて、前記水面に対向し、前記支持部に対して前記本体部は、傾斜した姿勢で保持され、前記本体部は、前記センサ部を上方部分に収容し、前記被測定液を下方部分に浸入させる筒部を有し、前記筒部の中心軸は、鉛直軸に対して傾斜して配置され、前記センサ部は、前記中心軸に沿って測定光を投光および受光する。
【0007】
本発明の一つの態様では、水質測定装置は、例えば工場等の施設の排水溝に設けられて、排水等の被測定液の水質を測定する。被測定液の水面(水位)は、施設から排出される被測定液の水量等により上下に変動する。水質測定装置は、フロート部を備えるため、センサ部を支持する本体部を、水面の上下の変動に追従させることができる。そして、センサ部は、被測定液の水面よりも常に上方に配置されて、水面に対向する。これにより、センサ部が、被測定液の水中や水面に浮遊するゴミや油分等に汚されることが抑えられて、水質の測定精度が長期間にわたり良好に維持される。
【0008】
上記水質測定装置において、前記本体部は、前記センサ部を上方部分に収容し、前記被測定液を下方部分に浸入させる筒部を有する。
【0009】
この場合、水質測定装置を屋外の排水溝等に設置した場合であっても、センサ部が風雨等に晒されることを抑制できる。したがって、水質の測定精度を安定して高めることができる。
上記水質測定装置において、前記筒部の中心軸は、鉛直軸に対して傾斜して配置され、前記センサ部は、前記中心軸に沿って測定光を投光および受光する。
この場合、センサ部の投光部から投光した測定光を水面で反射させて、受光部で受光させやすくすることができる。したがって、水質の測定精度が安定する。
上記水質測定装置において、上下方向に延び、前記本体部を上下方向に移動可能に支持する支持部を備える。
この場合、被測定液の水面の位置(水位)が上下に変化した場合であっても、フロート部とともに本体部を、支持部に沿って水面に追従させることができる。したがって、水位に係わらず、水質測定を良好に行い継続することができる。
【0010】
上記水質測定装置において、前記筒部は、前記被測定液を内部空間に導入させる窓孔と、前記窓孔を覆う網部と、を有することが好ましい。
【0011】
この場合、被測定液を筒部の内部空間に導入するときに、窓孔からのゴミ等の進入を網部により抑制できる。したがって、水質の測定精度を良好に維持できる。
上記水質測定装置において、前記窓孔は、前記筒部の周壁に設けられることが好ましい。
上記水質測定装置において、前記筒部には、天面キャップと底面キャップとが取り付けられることが好ましい。
【0016】
上記水質測定装置において、前記支持部は、互いに並行して延びる一対の支持棒を有することが好ましい。
【0017】
この場合、本体部が支持部を中心にして回転することを抑えられる。これにより、例えばセンサ部の配線ケーブルの絡まり等を抑制でき、配線ケーブルの敷設が容易になる。また、水質測定の精度が安定する。
【0018】
上記水質測定装置において、前記本体部は、前記支持棒の外周面を転がる車輪を有することが好ましい。
【0019】
この場合、本体部が支持棒に沿って円滑に上下方向に移動できるので、被測定液の水面の上下の位置(水位)が変化したときに、本体部を水面に円滑に追従させることができる。
【0020】
上記水質測定装置において、前記本体部は、前記車輪を複数有し、複数の前記車輪は、前記支持棒の周方向において互いに間隔をあけて配置されることが好ましい。
【0021】
この場合、支持棒に対する本体部の上下方向への移動が、例えば被測定液の水流の向きに係わらず、安定させられる。そして本体部が、支持棒に沿って円滑に上下移動できる。
【0022】
上記水質測定装置において、前記本体部は、前記車輪を複数有し、複数の前記車輪は、上下方向に互いに離れて配置されることが好ましい。
【0023】
この場合、支持棒に対する本体部の姿勢が一定に保たれる。すなわち、支持棒に対して本体部が揺動するようなことが抑制される。これにより、本体部が支持棒に沿って円滑に上下移動できる。そして、水質の測定精度が良好に維持される。
【0024】
上記水質測定装置において、前記支持部は、前記支持棒を水平方向に移動可能に保持する棒保持部を有することが好ましい。
【0025】
この場合、本体部が上下方向に移動するときに、2本の支持棒は、本体部の車輪に押圧されて水平方向に移動できる。2本の支持棒は、車輪からの押圧力を低減させるように、つまり本体部が上下移動しやすくなるように、水平方向に僅かに移動させられる。これにより、本体部は、2本の支持棒に沿って円滑に上下に移動することができる。
【0026】
上記水質測定装置において、前記支持棒は、丸パイプであり、前記棒保持部は、前記丸パイプの内径よりも細く、前記丸パイプの開口端に挿入される保持ピンを有することが好ましい。
【0027】
この場合、簡単な構造により、コスト上昇を招くことなく、容易かつ確実に丸パイプを水平方向に微動可能に保持できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一つの態様の水質測定装置によれば、水質の測定精度を長期間にわたって良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施形態の水質測定装置を示す正面図である。
【
図2】本実施形態の水質測定装置を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態の水質測定装置10について、図面を参照して説明する。
本実施形態の水質測定装置10は、例えば2ピース缶用の缶胴を製造する工場等の施設の排水溝100に設けられる。缶胴の内面および外面には、塗料が塗装される。
【0031】
水質測定装置10は、排水溝100の側壁101に設けられて、施設から排出される排水(被測定液)Wの水質を測定する。水質測定装置10は、例えば屋外の排水溝100に設置される。水質測定装置10は、例えば排水Wに含まれる塗料の割合等を検出する。
【0032】
図1および
図2に示すように、水質測定装置10は、排水溝100の側壁101に取り付けられる。水質測定装置10は、その一部が排水溝100を流れる排水Wに浸漬される。なお、
図1は、排水Wの水位(水面WS)が最も高いときと、水位が最も低いときを併せて図示している。この水質測定装置10は、排水Wの水位の上限と下限との差が、例えば1mを超える場合であっても、各水位において安定して水質を検出できる。
【0033】
本実施形態では、水質測定装置10(後述する支持棒51)が延びる方向を高さ方向または上下方向(Z方向)と呼ぶ。高さ方向は、略鉛直方向である。高さ方向の上側を単に上側(または上方)、高さ方向の下側を単に下側(または下方)と呼ぶ。
【0034】
水平方向のうち、側壁101に沿う方向を前後方向(X方向)と呼ぶ。前後方向は、排水Wが流れる方向である。本実施形態において前後方向は、上下方向と直交する方向である。排水Wの流れの下流側を前側、上流側を後側と呼ぶ。
図1~
図5において、排水Wは、例えば紙面の左側から右側に流れる。
【0035】
高さ方向と前後方向に直交する方向を幅方向(Y方向)と呼ぶ。幅方向は、水平方向のうち、前後方向と直交する方向である。幅方向は、排水溝100の幅方向である。幅方向のうち、側壁101に近づく方向を基端側、側壁101から離れる方向を先端側と呼ぶ。また、幅方向のうち、後述するセンサ部13に近づく方向を幅方向の内側、センサ部13から離れる方向を幅方向の外側と呼ぶ。
【0036】
上述した高さ方向(上側、下側)、前後方向(前側、後側)および幅方向(基端側、先端側、内側、外側)は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等に限定されない。
【0037】
水質測定装置10は、本体部12と、センサ部13と、フロート部14と、支持部15と、を備える。
本体部12は、排水Wの水質を測定するセンサ部13を支持する。フロート部14は、本体部12に連結して、本体部12を排水Wの水面WSに浮かべる。支持部15は、上下方向に延び、本体部12を上下方向に移動可能に支持する。
【0038】
本体部12は、センサ部13を収容して保持しながら、排水Wの水面WSに浮かべられる部材である。
図3に示すように、本体部12は、センサ部13を収容する円筒形状の筒部21を有する。筒部21には、天面キャップ22と底面キャップ23とが取り付けられる。
【0039】
天面キャップ22の内側には、センサ部13が固定される。天面キャップ22で筒部21の上端開口を塞ぐことにより、センサ部13が筒部21の内部空間に配置される。つまり、センサ部13は、筒部21の上方部分21aに収容される。
底面キャップ23は、筒部21の下端開口を塞ぐ。
本実施形態の例では、少なくとも筒部21の内面(底面キャップ23の内面および天面キャップ22の内面を含む)が、青色に着色される。筒部21の内面が青色であることにより、センサ部13による排水Wの水質検査の感度が安定する。
【0040】
筒部21の中心軸Cは、鉛直軸(鉛直方向)に対して傾斜して配置される。筒部21の中心軸Cは、鉛直軸に対して、例えば15°傾斜させられて延びる。筒部21は、上方部分21aが水面WSから突出し、下方部分21bが排水Wに浸される。筒部21の下方部分21bは、内部に排水Wが浸入する。
【0041】
筒部21は、窓孔24と、網部25と、を有する。
窓孔24は、排水Wを筒部21の内部空間に導入させる。窓孔24は、筒部21の中心軸C方向に沿って延びる。本実施形態の例では、窓孔24は長円形状である。窓孔24は、筒部21の周壁に、周方向に互いに間隔をあけて複数(例えば4つ)設けられる。窓孔24は、上側部分が水面WSから露出し、下側部分が排水Wに沈められる。これにより、複数の窓孔24を通して、筒部21の内部空間に排水Wが出入りする。
網部25は、窓孔24に張られる。網部25は、例えば金網等であり、窓孔24を覆う。網部25は、窓孔24の開口全体を覆う。網部25は、筒部21の内部空間に窓孔24から排水Wを導入するときに、ゴミ等の進入を防止する。
【0042】
図3および
図4に示すように、本体部12は、複数の車輪26を有する。車輪26は、筒部21の幅方向の外側(基端側および先端側)に、それぞれ複数配置される。
車輪26については、別途後述する。
【0043】
センサ部13は、筒部21の内部空間に配置されて、筒部21の内部空間に浸入した排水Wの水質を測定する。センサ部13は、水面WSよりも上方に配置されて、水面WSに対向する。
【0044】
センサ部13は、例えば、アンプを内蔵する反射型の光電センサ(光センサ)である。光電センサは、排水Wに向けて例えば白色光(測定光)を投光し、排水Wからの反射光(測定光)を受光する。光電センサは、筒部21の中心軸C方向に沿って測定光を投受光する。つまり、センサ部13は、筒部21の中心軸C方向に沿って測定光を投光および受光する。
【0045】
図3に示すように、センサ部13は、投光部13aと、受光部13bと、増幅部13cと、を有する。
投光部13aは、発光素子を有する。発光素子は、例えば白色LED素子等である。
受光部13bは、受光素子を有する。投光部13aと受光部13bとは、筒部21の中心軸Cおよび鉛直軸を含む仮想平面(図示省略)内において、略水平方向(本実施形態の例では前後方向)に並んで配置される。
増幅部13cは、増幅回路を有する。
そして、センサ部13は、例えば排水Wの色、透視度および濁度等を検出することにより、排水Wの水質を測定する。
【0046】
図1および
図2に示すように、フロート部14は、排水Wの水面WSに浮かぶ。フロート部14は、本体部12と接続される。本実施形態の例では、フロート部14が複数(例えば2つ)設けられ、本体部12に対して前後方向の両側に接続される。フロート部14は、筒部21の前側と後側にそれぞれ配置される。前側のフロート部14と後側のフロート部14は、筒部21を挟んで互いに対称位置に配置される。
【0047】
フロート部14は、フロート本体41と、フロート本体41を支持するフロート支持部42と、を有する。
フロート本体41は、例えば樹脂製等であり、排水Wよりも比重が小さい。フロート本体41は、例えば発砲スチロール等の発泡樹脂製である。フロート本体41は、例えば樹脂製の外殻を有する中空構造体や、木製等であってもよい。本実施形態の例では、フロート本体41が、樽形状またはラグビーボール形状である。フロート本体41は、幅方向に延びる。フロート本体41は、フロート本体41を幅方向に貫通する中心孔41hを有する。
【0048】
フロート支持部42は、フロート本体41に連結される。フロート支持部42は、幅方向に延びるシャフト43を有し、シャフト43はフロート本体41に通される。シャフト43は、フロート本体41の中心孔41hに挿通されて、フロート本体41の幅方向の両端から突出する。
フロート支持部42は、フロート本体41と本体部12とを接続する。
【0049】
支持部15は、排水溝100の側壁101に取り付けられて、本体部12を支持する。支持部15に対して本体部12は、排水Wの水位(水面WS)に応じて、高さ方向に移動自在に支持される。
【0050】
支持部15は、支持棒51と、支持棒51を保持する棒保持部55と、を有する。
支持部15は、互いに並行して延びる一対の支持棒51を有する。一対の支持棒51は、互いに水平方向に離れて配置され、互いに略平行に延びる。本実施形態の例では、一対の支持棒51が、互いに幅方向に離れて配置されて、それぞれ上下方向に延びる。本実施形態において支持棒51は、丸パイプである。2本の丸パイプ(支持棒51)は、筒部21を挟んで幅方向の両外側(基端側および先端側)に配置される。
【0051】
支持部15は、側壁101に上下に離れて配置される一対の棒保持部55を有する。一対の棒保持部55は、側壁101の上部と下部にそれぞれ固定される。一対の棒保持部55は、側壁101から幅方向の先端側に向けてそれぞれ延びて、2本の丸パイプの上端と下端を挟持する。
【0052】
図5に示すように、棒保持部55は、丸パイプ(支持棒51)の開口端に挿入されて、丸パイプを保持する保持ピン56を有する。上側の棒保持部55の保持ピン56は、丸パイプの上端開口に上側から挿入される。下側の棒保持部55の保持ピン56は、丸パイプの下端開口に下側から挿入される。
【0053】
保持ピン56は、丸パイプの内径よりも細い直径(外径)を有する。このため、水平方向において、丸パイプの内周面と保持ピン56の外周面との間には、径方向の隙間Gが形成される。丸パイプと保持ピン56とは、隙間Gの範囲で、水平方向に相対移動可能である。つまり、棒保持部55は、支持棒51を水平方向に移動可能に保持する。
【0054】
本体部12の説明に戻る。
上述したように、本体部12は、筒部21の幅方向の外側に複数の車輪26を有する。車輪26は、支持棒51の外周面を転がる。車輪26は、支持棒51の外周面上を、高さ方向に転がる。
【0055】
図3および
図4に示すように、複数の車輪26は、支持棒51の周方向において互いに間隔をあけて配置される。具体的には、4つの車輪26が、支持棒51の周方向において等間隔(90°間隔)に配置される。また、複数の車輪26は、上下方向に互いに離れて配置される。具体的には、支持棒51の外周に周方向均等に配列する4つの車輪26の組が、上下方向に互いに間隔をあけて、2組配置される。このため、本実施形態では、本体部12が、合計16個の車輪26を有する。
車輪26と支持棒51の外周面との間には、僅かに隙間が設けられる。この隙間は、丸パイプ(支持棒51)と保持ピン56との間の隙間Gよりも、小さく設定される。
【0056】
以上説明した本実施形態の水質測定装置10は、フロート部14を備えるため、センサ部13を支持する本体部12を、水面WSの上下の変動に追従させることができる。そして、センサ部13は、排水Wの水面WSよりも常に上方に配置されて、水面WSに対向する。これにより、センサ部13が、排水Wの水中や水面WSに浮遊するゴミや油分等に汚されることが抑えられて、水質の測定精度が長期間にわたり良好に維持される。
【0057】
本実施形態では、本体部12が、センサ部13を上方部分21aに収容し、排水Wを下方部分21bに浸入させる筒部21を有する。
このため、水質測定装置10を屋外の排水溝100等に設置した場合であっても、センサ部13が風雨等に晒されることを抑制できる。したがって、水質の測定精度を安定して高めることができる。
【0058】
本実施形態では、筒部21が、排水Wを内部空間に導入させる窓孔24と、窓孔24を覆う網部25と、を有する。
このため、排水Wを筒部21の内部空間に導入するときに、窓孔24からのゴミ等の進入を網部25により抑制できる。したがって、水質の測定精度を良好に維持できる。
【0059】
本実施形態では、筒部21の中心軸Cが、高さ方向(鉛直軸)に対して傾斜して配置され、センサ部13は、中心軸Cに沿って測定光を投光および受光する。
このため、センサ部13の投光部13aから投光した測定光を水面WSで反射させて、受光部13bで受光させやすくすることができる。したがって、水質の測定精度が安定する。
【0060】
本実施形態では水質測定装置10が、上下方向に延び、本体部12を上下方向に移動可能に支持する支持部15を備える。
このため、排水Wの水面WSの位置(水位)が上下に変化した場合であっても、フロート部14とともに本体部12を、支持部15に沿って水面WSに追従させることができる。したがって、水位に係わらず、水質測定を良好に行い継続することができる。
【0061】
本実施形態では、支持部15が、互いに並行して延びる一対の支持棒51を有するので、本体部12が支持部15を中心にして鉛直軸回りに回転することを抑えられる。これにより、例えばセンサ部13の配線ケーブルの絡まり等を抑制でき、配線ケーブルの敷設が容易になる。また、水質測定の精度が安定する。
【0062】
本実施形態では、本体部12が、支持棒51の外周面を転がる車輪26を有するので、本体部12が支持棒51に沿って円滑に上下方向に移動できる。これにより、排水Wの水面WSの上下の位置(水位)が変化したときに、本体部12を水面WSに円滑に追従させることができる。
【0063】
本実施形態では、複数の車輪26が、支持棒51の周方向において互いに間隔をあけて配置される。
このため、支持棒51に対する本体部12の上下方向への移動が、例えば排水Wの水流の向きに係わらず、安定させられる。そして本体部12が、支持棒51に沿って円滑に上下移動できる。
【0064】
本実施形態では、複数の車輪26が、上下方向に互いに離れて配置されるので、支持棒51に対する本体部12の姿勢が一定に保たれる。すなわち、支持棒51に対して本体部12が揺動するようなことが抑制される。これにより、本体部12が支持棒51に沿って円滑に上下移動できる。そして、水質の測定精度が良好に維持される。
【0065】
本実施形態では、支持部15が、支持棒51を水平方向に移動可能に保持する棒保持部55を有する。
このため、本体部12が上下方向に移動するときに、2本の支持棒51は、本体部12の車輪26に押圧されて水平方向に移動できる。2本の支持棒51は、車輪26からの押圧力を低減させるように、つまり本体部12が上下移動しやすくなるように、水平方向に僅かに移動させられる。これにより、本体部12は、2本の支持棒51に沿って円滑に上下に移動することができる。
【0066】
本実施形態では、支持棒51が丸パイプであり、棒保持部55は、丸パイプの内径よりも細く、丸パイプの開口端に挿入される保持ピン56を有する。
このため、簡単な構造により、コスト上昇を招くことなく、容易かつ確実に丸パイプを水平方向に微動可能に保持できる。
【0067】
本実施形態では、車輪26と丸パイプ(支持棒51)との間の隙間が、丸パイプと保持ピン56との間の隙間Gよりも、小さく設定される。
車輪26と丸パイプとの間の隙間が小さくても、丸パイプと保持ピン56との間の隙間Gが大きいので、棒保持部55に対して丸パイプが水平方向に移動できて、本体部12の上下移動がより安定する。言い換えると、隙間Gによって、上下に長尺とされた丸パイプの、棒保持部55への取り付け誤差や作製誤差、曲がり変形等を吸収(緩和)できる。
【0068】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0069】
前述の実施形態では、筒部21が円筒形状であるとしたが、これに限らない。筒部21は、例えば多角形筒状や箱状等であってもよい。筒部21は、センサ部13を上方部分21aに収容し、排水Wを下方部分21bに浸入させる容器であればよい。
また参考例では、筒部21の中心軸Cが、鉛直軸に対して傾斜して配置される代わりに、鉛直軸に沿って配置されてもよい。
【0070】
前述の実施形態では、支持部15が、互いに並行して延びる2本の支持棒51を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。支持部15は、互いに並行して延びる3本以上の支持棒51を有してもよい。
また、支持棒51が丸パイプである例を挙げたが、これに限らない。支持棒51は、例えば角パイプや中実の軸部材等であってもよい。
【0071】
前述の実施形態では、棒保持部55が、保持ピン56を有する例を挙げたが、これに限らない。棒保持部55は、支持棒51の外周に隙間をあけて嵌められる筒体を有してもよい。
【0072】
前述の実施形態では、本体部12が車輪26を有する例を挙げたが、車輪26の代わりに、例えば円柱状のローラー等を有してもよい。
前述の実施形態では、被測定液の一例として、工場等の施設の排水溝100を流れる排水Wを挙げたが、これに限らない。
【0073】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の水質測定装置によれば、水質の測定精度が長期間にわたって良好に維持される。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0075】
10…水質測定装置、12…本体部、13…センサ部、14…フロート部、15…支持部、21…筒部、21a…上方部分、21b…下方部分、24…窓孔、25…網部、26…車輪、51…支持棒、55…棒保持部、56…保持ピン、C…中心軸、W…排水(被測定液)、WS…水面