(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】通信システム及びスレーブ装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/04 20060101AFI20220902BHJP
G06F 1/14 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
G06F1/04 302Z
G06F1/14 510
(21)【出願番号】P 2018165894
(22)【出願日】2018-09-05
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雄三
(72)【発明者】
【氏名】釣 啓介
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-171361(JP,A)
【文献】特開2006-155367(JP,A)
【文献】特開2008-170205(JP,A)
【文献】特開2017-032525(JP,A)
【文献】特開2017-151936(JP,A)
【文献】特開2018-124241(JP,A)
【文献】特開2007-078351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/04- 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ装置及びスレーブ装置を備え、
前記マスタ装置は、
通信情報に時刻情報を付加して前記スレーブ装置に随時送信する送信部を備え、
前記スレーブ装置は、
不揮発性メモリと、
前記送信部により送信された通信情報及び時刻情報を受信する受信部と、
自機に関する動作変化を検出する動作変化検出部と、
前記動作変化検出部により動作変化が検出された場合に、当該動作変化の内容及び前記受信部により受信された時刻情報に基づく当該動作変化の発生時刻を示すログを、前記不揮発性メモリに記録するログ記録部と、
前記受信部による時刻情報の受信が停止してからの経過時間又は経過時刻を計時する計時部
とを備え、
前記ログ記録部は、前記受信部による時刻情報の受信が停止している間、前記受信部により受信された時刻情報に基づく動作変化の発生時刻に代えて、前記計時部により計時された経過時間又は経過時刻に基づく動作変化の発生時間又は発生時刻を用いる
ことを特徴とす
る通信システム。
【請求項2】
前記ログ記録部は、前記受信部による時刻情報の受信が停止し且つ前記スレーブ装置に対する電源供給が停止していない間に前記不揮発性メモリに記録されたログに対し、当該ログが示す発生時間又は発生時刻を、当該受信部による時刻情報の受信が停止する直前の時刻情報に基づく発生時刻に算出し直す
ことを特徴とする請求項
1記載の通信システム。
【請求項3】
定期的に、前記計時部により計時された経過時間又は経過時刻を示す情報を、前記不揮発性メモリの特定のアドレスに記録する定期記録部を備え、
前記ログ記録部は、前記スレーブ装置に対する電源供給が復帰してから前記受信部による時刻情報の受信が再開するまでの間に前記不揮発性メモリに記録されたログに対し、当該ログが示す発生時間又は発生時刻を、前記受信部による時刻情報の受信が再開した際に前記不揮発性メモリの特定のアドレスに記録されている経過時間又は経過時刻を示す情報及び当該受信部による時刻情報の受信が再開した際の時刻情報に基づく発生時刻に算出し直す
ことを特徴とする請求項
1又は請求項
2記載の通信システム。
【請求項4】
前記計時部は、バッテリを有していないリアルタイムクロックである
ことを特徴とする請求項
1から請求項
3のうちの何れか1項記載の通信システム。
【請求項5】
前記計時部は、クロックにより動作するカウンタである
ことを特徴とする請求項
1から請求項
3のうちの何れか1項記載の通信システム。
【請求項6】
不揮発性メモリと、
通信情報に時刻情報を付加してスレーブ装置に随時送信する送信部を備えたマスタ装置における前記送信部により送信された通信情報及び時刻情報を受信する受信部と、
自機に関する動作変化を検出する動作変化検出部と、
前記動作変化検出部により動作変化が検出された場合に、当該動作変化の内容及び前記受信部により受信された時刻情報に基づく当該動作変化の発生時刻を示すログを、前記不揮発性メモリに記録するログ記録部と
前記受信部による時刻情報の受信が停止してからの経過時間又は経過時刻を計時する計時部
とを備え、
前記ログ記録部は、前記受信部による時刻情報の受信が停止している間、前記受信部により受信された時刻情報に基づく動作変化の発生時刻に代えて、前記計時部により計時された経過時間又は経過時刻に基づく動作変化の発生時間又は発生時刻を用いる
ことを特徴とするスレーブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スレーブ装置に関する動作変化を示すログを記録する通信システム及びスレーブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
計測機器等の電子機器では、従来から一般的に、自機の動作状態を把握可能とするため、エラーログを不揮発性メモリ等に記録している。エラーログには、エラーの内容及び当該エラーの発生時刻を示す情報が含まれる。また、電子機器が有する内部時計は、電源とは別にバッテリ(二次電池)を有している(例えば特許文献1参照)。これにより、電子機器は、電源供給が停止して復帰した場合でも、時刻情報を確保でき、自機の動作状態を把握可能となる。一方で、内部時計がバッテリを有していない場合、電源供給が停止して復帰した場合には、時刻情報が確保できずにリセットされてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように従来の電子機器は、バッテリを有し、電源供給が停止して復帰した場合でも、時刻情報を確保可能としている。しかしながら、電子機器がバッテリを有する場合、バッテリ交換のための複雑なケース構造が必要となるため製品コストが増大し、また、バッテリ交換によるメンテナンスコストが増大する。また、バッテリとして用いられることが多いリチウム電池は、近年輸送等の取扱いが複雑化している。これらの理由から、バッテリを用いない構成が望まれている。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、バッテリを搭載せずに、スレーブ装置の動作状態を把握可能とする通信システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る通信システムは、マスタ装置及びスレーブ装置を備え、マスタ装置は、通信情報に時刻情報を付加してスレーブ装置に随時送信する送信部を備え、スレーブ装置は、不揮発性メモリと、送信部により送信された通信情報及び時刻情報を受信する受信部と、自機に関する動作変化を検出する動作変化検出部と、動作変化検出部により動作変化が検出された場合に、当該動作変化の内容及び受信部により受信された時刻情報に基づく当該動作変化の発生時刻を示すログを、不揮発性メモリに記録するログ記録部と、受信部による時刻情報の受信が停止してからの経過時間又は経過時刻を計時する計時部とを備え、ログ記録部は、受信部による時刻情報の受信が停止している間、受信部により受信された時刻情報に基づく動作変化の発生時刻に代えて、計時部により計時された経過時間又は経過時刻に基づく動作変化の発生時間又は発生時刻を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、上記のように構成したので、バッテリを搭載せず、スレーブ装置の動作状態を把握可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係るマスタ装置の構成例を示す図である。
【
図3】この発明の実施の形態1に係るスレーブ装置の構成例を示す図である。
【
図4】この発明の実施の形態1における不揮発性メモリに記録される情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る通信システムの構成例を示す図である。
通信システムは、
図1に示すように、マスタ装置1及び1つ以上のスレーブ装置2を備えている。
【0010】
マスタ装置1は、
図2に示すように、通信情報生成部11、送信部12及び受信部13を備えている。なお、マスタ装置1は、システムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0011】
通信情報生成部11は、通信情報を生成する。通信情報は、例えば、スレーブ装置2に対して温度情報の送信を要求する情報である。
送信部12は、通信情報生成部11により生成された通信情報に時刻情報を付加してスレーブ装置2に随時(例えば数秒毎に)送信する。
受信部13は、送信部24により送信された応答情報を受信する。
【0012】
スレーブ装置2は、
図3に示すように、不揮発性メモリ21、受信部22、応答情報生成部23、送信部24、計時部25、定期記録部26、動作変化検出部27及びログ記録部28を備えている。なお、スレーブ装置2は、システムLSI等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU等により実現される。
【0013】
不揮発性メモリ21は、定期記録部26及びログ記録部28による制御に従い、各種情報を記録する。
受信部22は、送信部12により送信された通信情報及び時刻情報を受信する。
【0014】
応答情報生成部23は、受信部22により受信された通信情報に対する応答情報を生成する。応答情報は、例えば、通信情報が温度情報の送信を要求する情報である場合には、温度情報である。
送信部24は、応答情報生成部23により生成された応答情報をマスタ装置1に送信する。
【0015】
計時部25は、受信部22による時刻情報の受信が停止してからの経過時間又は経過時刻を計時する。なお、スレーブ装置2への電源供給が停止して復帰した場合には、計時部25により計時されている経過時間又は経過時刻はリセットされて初期値に戻る。この計時部25としては、例えば、バッテリを有していないRTC(リアルタイムクロック)を用いることができる。RTCは、経過時間をカウントして時刻の形式に変換する機能を有する。また、計時部25として、例えば、クロックにより動作するカウンタを用いてもよい。カウンタは、経過時間をカウントする機能を有する。
【0016】
定期記録部26は、定期的(例えば1秒毎)に、計時部25により計時された経過時間又は経過時刻を示す情報を、不揮発性メモリ21の特定のアドレスに記録する。
なお
図1では、定期記録部26がスレーブ装置2に設けられている場合を示している。しかしながら、この定期記録部26は、スレーブ装置2に必須の構成ではなく、スレーブ装置2に設けられていなくてもよい。
【0017】
動作変化検出部27は、スレーブ装置2に関する動作変化を検出する。以下では、動作変化検出部27は、スレーブ装置2に関する動作変化として、スレーブ装置2のエラー及びスレーブ装置2への電源供給の開始を検出する。また、動作変化検出部27は、スレーブ装置2に関する動作変化として、スレーブ装置2への電源供給における電圧異常(電圧低下)を検出するPF(パワーフェール)機能を有していてもよい。スレーブ装置2は、PF機能により電圧異常が検出された場合、電源が落ちるまでの数msの間に不揮発性メモリ21に必要情報をバックアップする。
【0018】
ログ記録部28は、動作変化検出部27により動作変化が検出された場合に、当該動作変化を示すログを不揮発性メモリ21に記録する。このログには、動作変化の内容及び動作変化の発生時間又は発生時刻を示す情報が含まれる。また、ログ記録部28は、受信部22により時刻情報が受信されている場合には、動作変化の発生時刻を当該時刻情報から得る。一方、ログ記録部28は、受信部22による時刻情報の受信が停止している場合には、動作変化の発生時間又は発生時刻を、計時部25により計時されている経過時間又は経過時刻から得る。また、ログ記録部28は、ログを、動作変化の発生順に不揮発性メモリ21に記録する。
【0019】
また、動作変化検出部27がPF機能を有している場合、ログ記録部28は、ログとして、スレーブ装置2への電源供給における電圧低下及び当該電圧低下の発生時間又は発生時刻を示す情報を含むログを、不揮発性メモリ21に記録可能である。
【0020】
また、ログ記録部28は、受信部22による時刻情報の受信が停止し且つスレーブ装置2に対する電源供給が停止していない間に不揮発性メモリ21に記録されたログに対し、当該ログが示す発生時間又は発生時刻を、当該受信部22による時刻情報の受信が停止する直前の時刻情報に基づく発生時刻に算出し直してもよい。
また、ログ記録部28は、スレーブ装置2に対する電源供給が復帰してから受信部22による時刻情報の受信が再開するまでの間に不揮発性メモリ21に記録されたログに対し、当該ログが示す発生時間又は発生時刻を、受信部22による時刻情報の受信が再開した際に不揮発性メモリ21の特定のアドレスに記録されている経過時間又は経過時刻を示す情報及び当該受信部22による時刻情報の受信が再開した際の時刻情報に基づく発生時刻に算出し直してもよい。
【0021】
次に、
図3に示すスレーブ装置2の動作例について、
図4を参照しながら説明する。なお、マスタ装置1は、通信情報に時刻情報を付加してスレーブ装置2に随時送信している。また、計時部25は、バッテリを有していないRTCであるとする。
【0022】
受信部22は、送信部12により送信された通信情報及び時刻情報を受信している(通信状態)。また、動作変化検出部27は、スレーブ装置2に関する動作変化の検出を行う。そして、動作変化検出部27により動作変化が検出されると、ログ記録部28は、当該動作変化を示すログを不揮発性メモリ21に記録する。なお、ログ記録部28は、動作変化の発生時刻を、受信部22により受信された時刻情報から得る。
【0023】
図4では、アドレス「1002」~「1004」に、スレーブ装置2のエラーを示すログが記録されている。また、
図4では、アドレス「1005」に、マスタ装置1とスレーブ装置2との間での通信エラーを示すログが記録されている。
【0024】
そして、この通信エラーにより、受信部22による時刻情報の受信が停止すると(通信断状態)、計時部25は経過時刻の計時を開始する。また、定期記録部26は、定期的(例えば1秒毎)に、計時部25により計時された経過時刻を示す情報を、不揮発性メモリ21の特定のアドレス(
図4ではアドレス「1001」)に記録する。すなわち、アドレス「1001」に記録される経過時刻を示す情報は、定期的に更新される。
図4では、計時部25により計時される経過時刻の初期値は、「2001/01/01 00:00:00」である。
【0025】
また、動作変化検出部27は、スレーブ装置2に関する動作変化の検出を継続する。そして、動作変化検出部27により動作変化が検出されると、ログ記録部28は、当該動作変化のログを不揮発性メモリ21に記録する。なお、ログ記録部28は、動作変化の発生時刻を、計時部25により計時された経過時刻から得る。
【0026】
図4では、アドレス「1006」に、スレーブ装置2のエラーを示すログが記録されている。このログが示す発生時刻は、受信部22による時刻情報の受信が停止してからの経過時刻となっている。
【0027】
また、ログ記録部28は、受信部22による時刻情報の受信が停止し且つスレーブ装置2に対する電源供給が停止していない間に不揮発性メモリ21に記録されたログに対し、当該ログが示す発生時刻を、当該受信部22による時刻情報の受信が停止する直前の時刻情報に基づいて算出し直してもよい。
アドレス「1006」に記録されているログが示すエラーの発生時刻は、「2001/01/01 00:20:30」である。すなわち、このログが示すエラーは、1つ前の通信エラーが発生してから20分30秒後に発生している。そこで、ログ記録部28は、アドレス「1005」に記録されているログが示す通信エラーの発生時刻「2019/03/02 02:15:04」に「00:20:30」を加算することで、アドレス「1006」に記録されているログが示すエラーの発生時刻として「2019/03/02 02:35:34」を得ることができる。
【0028】
また、
図4では、アドレス「1007」に、マスタ装置1とスレーブ装置2との間での通信復活を示すログが記録されている。
【0029】
そして、この通信復活により、受信部22による時刻情報の受信が再開すると(通信状態)、計時部25は経過時刻の計時を停止する。
また、動作変化検出部27は、スレーブ装置2に関する動作変化の検出を継続する。そして、動作変化検出部27により動作変化が検出されると、ログ記録部28は、当該動作変化のログを不揮発性メモリ21に記録する。なお、ログ記録部28は、動作変化の発生時刻を、受信部22により受信された時刻情報から得る。
【0030】
図4では、アドレス「1008」に、スレーブ装置2のエラーを示すログが記録されている。また、
図4では、アドレス「1009」に、マスタ装置1とスレーブ装置2との間での通信エラーを示すログが記録されている。
【0031】
そして、この通信エラーにより、受信部22による時刻情報の受信が停止すると(通信断状態)、計時部25は経過時刻の計時を開始する。また、定期記録部26は、定期的(例えば1秒毎)に、計時部25により計時された経過時刻を示す情報を、不揮発性メモリ21の特定のアドレス(
図4ではアドレス「1001」)に記録する。
【0032】
また、動作変化検出部27は、スレーブ装置2に関する動作変化の検出を継続する。そして、動作変化検出部27により動作変化が検出されると、ログ記録部28は、当該動作変化のログを不揮発性メモリ21に記録する。なお、ログ記録部28は、動作変化の発生時刻を、計時部25により計時された経過時刻から得る。
【0033】
図4では、アドレス「1010」に、電源低下(スレーブ装置2への電源供給における電圧低下)を示すログが記録されている。このログが示す発生時刻は、受信部22による時刻情報の受信が停止してからの経過時刻となっている。
【0034】
また、ログ記録部28は、受信部22による時刻情報の受信が停止し且つスレーブ装置2に対する電源供給が停止していない間に不揮発性メモリ21に記録されたログに対し、当該ログが示す発生時刻を、当該受信部22による時刻情報の受信が停止する直前の時刻情報に基づいて算出し直してもよい。
アドレス「1010」に記録されているログが示す電源低下の発生時刻は、「2001/01/01 01:23:00」である。すなわち、このログが示す電源低下は、1つ前の通信エラーが発生してから1時間23分後に発生している。そこで、ログ記録部28は、アドレス「1009」に記録されているログが示す通信エラーの発生時刻「2019/03/03 02:15:04」に「01:23:00」を加算することで、アドレス「1010」に記録されているログが示す電源低下の発生時刻として「2019/03/03 03:38:04」を得ることができる。
【0035】
また、
図4では、アドレス「1011」に、電源オンを示すログが記録されている。すなわち、このアドレス「1011」に記録されているログが示す電源オンの発生時刻と、1つ前のアドレス「1010」に記録されているログが示す電源低下の発生時刻との間の期間に、電源オフ(スレーブ装置2への電源供給の停止)が発生していることがわかる。
なお、スレーブ装置2への電源供給が停止して復帰した場合には計時部25により計時されている経過時刻がリセットされて初期値に戻る。そのため、アドレス「1011」に記録されているログが示す電源オンの発生時刻は、上記初期値となっている。
【0036】
また、
図4では、アドレス「1012」に、スレーブ装置2のエラーを示すログが記録されている。また、
図4では、アドレス「1013」に、マスタ装置1とスレーブ装置2との間での通信復活を示すログが記録されている。
【0037】
そして、この通信復活により、受信部22による時刻情報の受信が再開すると(通信状態)、計時部25は経過時刻の計時を停止する。
【0038】
また、ログ記録部28は、スレーブ装置2に対する電源供給が復帰してから受信部22による時刻情報の受信が再開するまでの間に不揮発性メモリ21に記録されたログに対し、当該ログが示す発生時刻を、受信部22による時刻情報の受信が再開した際に不揮発性メモリ21の特定のアドレスに記録されている経過時刻を示す情報及び当該受信部22による時刻情報の受信が再開した際の時刻情報に基づいて算出し直してもよい。
【0039】
この際、ログ記録部28は、まず、受信部22による時刻情報の受信が再開した際に、アドレス「1013」に記録したログが示す発生時刻「2019/03/04 2:15:00」に対応する、アドレス「1001」に記録した情報が示す経過時刻「2001/01/01 01:15:00」を読込む。
そして、ログ記録部28は、上記経過時刻「2001/01/01 01:15:00」からアドレス「1012」に記録されたログが示す発生時刻「2001/01/01 00:15:00」を差し引くことで、差分値「01:00:00」を得る。そして、アドレス「1013」に記録したログが示す発生時刻「2019/03/04 2:15:00」から「01:00:00」を差し引く。これにより、アドレス「1012」に記録されたログが示す発生時刻として、「2019/03/04 01:15:00」を得ることができる。
同様に、ログ記録部28は、上記経過時刻「2001/01/01 01:15:00」からアドレス「1011」に記録されたログが示す発生時刻「2001/01/01 00:00:00」を差し引くことで、差分値「01:15:00」を得る。そして、アドレス「1013」に記録したログが示す発生時刻「2019/03/04 2:15:00」から「01:15:00」を差し引く。これにより、アドレス「1011」に記録されたログが示す発生時刻として、「2019/03/04 01:00:00」を得ることができる。
【0040】
ここで、従来の電子機器においてバッテリを搭載しない場合、電子機器への電源供給が停止して復帰した場合には、時刻情報が確保できない。また、従来の電子機器では、エラーログのみを不揮発性メモリ等に記録している。よって、この場合には、電子機器の動作状態を把握できない。
これに対し、実施の形態1に係るスレーブ装置2は、バッテリを搭載しない点は同じであるが、マスタ装置1から通知される時刻情報を受信する。これにより、実施の形態1に係るスレーブ装置2は、バッテリを搭載せずとも、電源供給が停止して復帰した後、最新の時刻情報を確保できる。よって、スレーブ装置2の現場導入後からの経過時刻及び発生したエラーの内容を把握可能となり、自機の動作状態を把握可能となる。その結果、実施の形態1に係るスレーブ装置2は、自機の動作状態の解析を、低コスト及び低メンテナンスコストで実現可能となる。
【0041】
また、実施の形態1に係るスレーブ装置2は、マスタ装置1との間での通信が途絶えた場合でも、時刻情報を確保するため、自身が保持している計時部25により計時された経過時間又は経過時刻を管理する。これにより、スレーブ装置2は、マスタ装置1との間での通信が途絶える直前のマスタ装置1からの時刻情報又は通信が復活した際のマスタ装置1からの時刻情報によって、通信が途絶えた期間でのログが示す発生時刻を設定し直すことができる。
【0042】
また上記では、動作変化検出部27がスレーブ装置2に関する動作変化としてスレーブ装置2のエラーを検出する場合について示した。しかしながら、これに限らず、動作変化検出部27がスレーブ装置2に関する動作変化としてスレーブ装置2に対する設定又は操作を検出してもよく、同様の効果が得られる。
【0043】
以上のように、この実施の形態1によれば、通信システムは、マスタ装置1及びスレーブ装置2を備え、マスタ装置1は、通信情報に時刻情報を付加してスレーブ装置2に随時送信する送信部12を備え、スレーブ装置2は、不揮発性メモリ21と、送信部12により送信された通信情報及び時刻情報を受信する受信部22と、自機に関する動作変化を検出する動作変化検出部27と、動作変化検出部27により動作変化が検出された場合に、当該動作変化の内容及び受信部22により受信された時刻情報に基づく当該動作変化の発生時刻を示すログを、不揮発性メモリ21に記録するログ記録部28とを備えた。これにより、実施の形態1に係る通信システムは、バッテリを搭載せず、スレーブ装置2の動作状態を把握可能となる。
【0044】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 マスタ装置
2 スレーブ装置
11 通信情報生成部
12 送信部
13 受信部
21 不揮発性メモリ
22 受信部
23 応答情報生成部
24 送信部
25 計時部
26 定期記録部
27 動作変化検出部
28 ログ記録部