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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】差動減速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20220902BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20220902BHJP
【FI】
F16H1/32 A
F16H57/04 J
F16H57/04 Q
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018171811
(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2020041680
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】591218307
【氏名又は名称】株式会社ニッセイ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】原口 国弘
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-141028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内歯歯車と、
前記内歯歯車と同軸で前記内歯歯車内に貫通するように配置されており、自身の中心軸である入力中心軸に対して偏心する偏心部を有している入力軸と、
前記偏心部の径方向外側において、自身の中心軸であるころ中心軸が前記入力中心軸と同方向である状態で配置される複数のころと、
複数の前記ころの径方向外側に配置され、前記内歯歯車に内接して噛み合う外歯歯車と、
を備えており、
前記入力軸は、前記入力中心軸の方向において前記偏心部に隣接する溝を有しており、
複数の前記ころのそれぞれの両端のうちの少なくとも一方が、前記溝に対向するように配置されており、
前記溝は、前記入力軸の全周にわたって形成されている
ことを特徴とする差動減速機。
【請求項2】
前記ころの前記ころ中心軸の方向における長さは、前記偏心部の前記入力中心軸の方向における長さよりも長い
ことを特徴とする請求項1に記載の差動減速機。
【請求項3】
前記溝は、前記偏心部の両側にそれぞれ形成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の差動減速機。
【請求項4】
前記溝は、前記偏心部と同軸である
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の差動減速機。
【請求項5】
前記溝は、前記内歯歯車と同軸である
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の差動減速機。
【請求項6】
前記入力軸には、複数の前記ころが前記ころ中心軸の方向へ移動することを規制する規制部が設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の差動減速機。
【請求項7】
前記規制部は、複数の前記ころの前記ころ中心軸における両側にそれぞれ配置されている
ことを特徴とする請求項6に記載の差動減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内歯歯車に内接して噛み合い揺動するように回転する外歯歯車を有する内接揺動式の差動減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
偏心揺動型の歯車装置として、特開2017-96312号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。
この歯車装置では、第1外歯歯車11を揺動回転させる第1偏心体21と、第1外歯歯車11に隣接する第2外歯歯車12を揺動回転させる第2偏心体22とが外装されるクランク軸14が設けられている。クランク軸14の外周面には、軸方向に延びる外スプライン70が形成されており、その溝部が、潤滑剤の軸方向通路Arを構成している。又、第1偏心体21と第2偏心体22との間に設けられた中央円筒帯23には、貫通孔25で構成される径方向通路Rrが径方向に沿って6本形成されている。径方向通路Rrは、軸方向通路Arに連通しており、潤滑剤は、軸方向通路Ar及び径方向通路Rrを通じて、第1偏心体21及び第2偏心体22に供給される。
【0003】
関連して、減速機のシール構造として、実開平4-98860号公報(特許文献2)に記載のものが知られている。
このシール構造では、フレーム5の端部内に配置されたブラケット4における円筒状の突起部(インロー)4aと、これに嵌められるギヤケース2の端部との間に、Oリング8が設けられる。Oリング8は、突起部4aの外面に一周設けられた深さ寸法C,幅寸法Dの溝4Cの底面と、ブラケットの側面4bと、ギヤケース2の端部に形成された面取部2aと、の3面で圧縮されている。
【0004】
更に関連して、遊星歯車構造として、特開2003-65403号公報(特許文献3)に記載のものが知られている。
この遊星歯車構造では、入力軸216に形成された2つの偏心体218A,218Bに軸受220A,220Bを介して遊星歯車210A,210Bが取り付けられる。遊星歯車210A,210Bは、第1,第2ケーシング232,234と一体の内歯歯車270に噛み合う。第1,第2ケーシング232,234は、クロスローラ230を介して出力側のキャリア228Aを支持する。キャリア228Aには、入力側のキャリア228Bが、遊星歯車210A,210Bの自転運動を取り出す内ピン(符号無し)と、ボルト226とによって連結されている。キャリア228A,228Bの間に、遊星歯車210A,210Bが配置される。
【0005】
又更に関連して、動力伝達装置として、国際公開WO2006/85536号(特許文献4)に記載のものが知られている。
この動力伝達装置では、配線等を通すための中空部120Hを備えた入力軸120に、偏心体122A,122Bが一体的に形成されている。中空部120Hの直径Dhは、軸方向全体にわたって一定である。偏心体122A,122Bには、偏心体用軸受124A,124Bを介して、外歯歯車126A,126Bが、内歯歯車130に噛み合う状態で回転可能に嵌合されている。外歯歯車126A,126Bには、それらの相対回転を取り出す内ピン134が遊嵌されている。外歯歯車126A,126Bの出力側には、出力軸として相手機械190に連結される第1支持フランジ148が配置されている。外歯歯車126A,126Bの入力側には、第2支持フランジ149が配置されている。第1支持フランジ148と第2支持フランジ149とは、キャリアピン150によって連結されている。入力軸120の入力側端部の外側には、オイルシール173Aが配置され、入力軸120の出力側端部の外側には、オイルシール173Bが配置されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-96312号公報
【文献】実開平4-98860号公報
【文献】特開2003-65403号公報
【文献】国際公開WO2006/85536号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の偏心揺動型の歯車装置では、第1偏心体21及び第2偏心体22への潤滑剤の供給量を増加させて潤滑性能の向上を図る場合、中央円筒帯23において更に多くの貫通孔25の形成が必要になり、加工に手間がかかってコストがその分嵩む。
そこで、本発明の主な目的は、偏心体(偏心部)に係る潤滑性能が低コストで十分に確保される差動減速機を提供することである。
【0008】
又、上述の減速機のシール構造では、Oリング8が面取部2aにより押されているため、ギヤケース2の径方向の厚みは、強度確保の観点から十分に確保される必要がある。当該厚みが不十分であると、Oリング8に対する押圧力が不十分となり、シールが不完全になって、グリス漏れ等の原因となる可能性がある。そして、当該厚みが十分に確保されると、減速機がその分大きくなってしまう。
そこで、関連発明の主な目的は、シール性が確保された状態でコンパクト化が図られる減速機を提供することである。
【0009】
更に、上述の遊星歯車構造では、キャリア228A,228Bを連結するボルト226が、過大な負荷又は衝撃の影響等により緩んだ場合、キャリア228Bが入力側に脱落してしまう可能性がある。
又、小型化等のために内ピンの圧入のみで一対のキャリアを固定することが考えられるところ、内ピンが過大な負荷又は衝撃の影響等により抜けた場合、入力側のキャリアが抜け落ちてしまう可能性がある。
そこで、別の関連発明の主な目的は、過大な負荷又は衝撃等が発生したとしても、入力側のキャリアが抜け落ちることが防止される差動減速機を提供することである。
【0010】
又更に、上述の動力伝達装置では、中空部120Hの直径Dhは、軸方向全体にわたって一定であるため、入力軸120の出力側端部の外径の縮小化に限界が存在し、オイルシール173Bに接触する入力軸120の出力側端部の周速の低減に限界が存在して、オイルシール173Bのシール性を保持しながらの入力軸120の回転損失の低減に限界が存在する。
そこで、更に別の関連発明の主な目的は、出力側のオイルシールの内径がより小さくされることで、入力軸の回転損失の低減が図られる差動減速機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、内歯歯車と、前記内歯歯車と同軸で前記内歯歯車内に貫通するように配置されており、自身の中心軸である入力中心軸に対して偏心する偏心部を有している入力軸と、前記偏心部の径方向外側において、自身の中心軸であるころ中心軸が前記入力中心軸と同方向である状態で配置される複数のころと、複数の前記ころの径方向外側に配置され、前記内歯歯車に内接して噛み合う外歯歯車と、を備えており、前記入力軸は、前記入力中心軸の方向において前記偏心部に隣接する溝を有しており、複数の前記ころのそれぞれの両端のうちの少なくとも一方が、前記溝に対向するように配置されており、前記溝は、前記入力軸の全周にわたって形成されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記ころの前記ころ中心軸の方向における長さは、前記偏心部の前記入力中心軸の方向における長さよりも長いことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記溝は、前記偏心部の両側にそれぞれ形成されていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記溝は、前記偏心部と同軸であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記溝は、前記内歯歯車と同軸であることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、前記入力軸には、複数の前記ころが前記ころ中心軸の方向へ移動することを規制する規制部が設けられていることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、上記発明において、前記規制部は、複数の前記ころの前記ころ中心軸における両側にそれぞれ配置されていることを特徴とするものである。
【0012】
関連発明は、円筒状であって、軸方向に垂直な第1側面、外周側に形成された第1インロー面、及び前記第1側面と前記第1インロー面との間に形成されたOリング溝を有する第1ケース部材と、前記第1ケース部材と嵌合する円筒状であって、軸方向に垂直な第2側面、及び内周側に形成された第2インロー面を有する第2ケース部材と、前記Oリング溝に配置されたOリングと、を備えており、前記Oリング溝は、前記第1側面に対して軸方向に凹んだ底面部と、前記第1インロー面に対して径方向に凹んだ側面部とを有しており、前記Oリングは、前記底面部と、前記第2側面とによって圧縮されていることを特徴とするものである。
関連発明は、上記発明において、前記第1ケース部材は、内周に内歯部を有しており、前記Oリングは、前記内歯部の径方向外方に配置されていることを特徴とするものである。
関連発明は、上記発明において、前記Oリング溝における前記第1側面から前記底面部までの深さは、前記Oリングの半径以上であることを特徴とするものである。
関連発明は、上記発明において、前記第2側面は、前記第1側面と接触していることを特徴とするものである。
【0013】
別の関連発明は、内周に内歯部を有するケーシングと、前記ケーシング内において軸受を介して回転可能に支持される第1キャリア部材と、前記ケーシング内に配置される第2キャリア部材と、前記第1キャリア部材と前記第2キャリア部材との間に配置され、前記内歯部に内接して噛み合っており、複数の貫通孔を有している外歯歯車と、前記貫通孔にそれぞれ遊挿され、前記第1キャリア部材と前記第2キャリア部材とを一体的に結合する複数のピン部材と、を備えており、前記ケーシングの内面であって、前記第2キャリア部材における前記外歯歯車と反対側の側面に対向する部分には、他の部分より内方に突出する突起部が形成されていることを特徴とするものである。
別の関連発明は、上記発明において、前記突起部は、前記内歯部の軸心と同軸の円環形状であることを特徴とするものである。
別の関連発明は、上記発明において、前記突起部は、前記第2キャリア部材の前記側面のうち、径方向内周側の部分に対向して配置されていることを特徴とするものである。
別の関連発明は、上記発明において、前記第2キャリア部材は、複数の前記ピン部材をそれぞれ保持する複数のピン保持孔を有しており、前記第2キャリア部材と前記突起部との間の距離は、前記ピン部材の前記ピン保持孔内での長さ以下であることを特徴とするものである。
【0014】
更に別の関連発明は、内周に内歯部を有するケーシングと、筒状であって、前記内歯部の径方向内方に前記内歯部と同軸で配置されており、自身の中心軸に対して偏心する偏心部、第1内径を有する第1内面部、及び前記第1内径より大きい第2内径を有する第2内面部を備えた入力軸と、前記偏心部に外装され、前記内歯部に内接して噛み合う外歯歯車と、前記入力軸における前記第1内面部側の端部に径方向外方から接触してシールするリング状の第1シール部材と、前記入力軸における前記第2内面部側の端部に径方向外方から接触してシールするリング状の第2シール部材と、を備えており、前記第2シール部材の内径は、前記第1シール部材の内径よりも小さいことを特徴とするものである。
更に別の関連発明は、上記発明において、前記第1内面部の内面は、研磨面とされており、前記第2内面部の内面は、旋削面とされていることを特徴とするものである。
更に別の関連発明は、上記発明において、前記入力軸における前記第1内面部側の端部は、前記ケーシングから飛び出しており、前記入力軸における前記第2内面部側の端部は、前記ケーシングの内方に引っ込んでいることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の主な効果は、偏心体(偏心部)に係る潤滑性能が低コストで十分に確保される差動減速機が提供されることである。
関連発明の主な効果は、シール性が確保された状態でコンパクト化が図られる減速機が提供されることである。
別の関連発明の主な効果は、過大な負荷又は衝撃等が発生したとしても、入力側のキャリアが抜け落ちることが防止される差動減速機が提供されることである。
更に別の関連発明の主な効果は、出力側のオイルシールの内径がより小さくされることで、入力軸の回転損失の低減が図られる差動減速機が提供されることである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る減速機の中央縦断面図である。
図2図1におけるOリング上部及びその付近の一部拡大図である。
図3】本発明の変更例に係る減速機の中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施の形態及びその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。尚、本発明は、下記の実施の形態及び変更例に限定されない。
【0018】
図1は、本発明に係る減速機1の中央縦断面図である。
減速機1は、内接揺動式の差動減速機である。
減速機1は、図の左右方向を中心軸C0の方向である軸方向とする円筒状のケーシング2と、ケーシング2の径方向内方においてケーシング2と同軸に配置された円筒状の入力軸4と、ケーシング2と入力軸4との間に配置される複数(2個)の外歯歯車である第1外歯歯車6A,第2外歯歯車6Bと、図の左側(出力側)の第2外歯歯車6Bの出力側に配置された円筒状の出力軸10(第1キャリア部材)と、図の右側(入力側)の第1外歯歯車6Aの入力側に配置されたリング状のキャリア受け12(第2キャリア部材)と、それぞれキャリア受け12から第1外歯歯車6A,第2外歯歯車6Bを経て出力軸10まで軸方向に延び周方向に並ぶように複数(8個)設けられたピン14(ピン部材)と、を備えている。
【0019】
ケーシング2は、内面に内歯歯車20を一体に有する中ケース22(第1ケース部材)と、中ケース22における入力側の端面に配置される円盤状のケースカバー24と、中ケース22における出力側の端面に配置される外ケース26(第2ケース部材)と、を有する。
中ケース22とケースカバー24と外ケース26とは、ケースカバー24側から中ケース22を貫通して外ケース26に係合される複数のボルト28により結合されている。
【0020】
入力軸4は、配線等を通すため、中空の円筒状とされている。
入力軸4は、入力側の端部がケーシング2の端部から飛び出し、出力側の端部がケーシング2の端部及び出力軸10の端部から引っ込むように配置されている。即ち、入力軸4の入力側の端部は、ケーシング2の端部より入力側に位置しており、入力軸4の出力側の端部は、出力軸10の端部より入力側に位置している。
入力軸4における入力側部分4aの内面部分である第1内面部29aには、芯出しのための研磨が施されており、又入力軸4における入力側の端部には、軸方向に延びる複数の連結ボルト孔30が設けられていて、入力側部分4aは、駆動軸(図示略)を連結可能な駆動軸用インローとして形成されている。
出力側部分4bの内面部分である第2内面部29bの内径(第2内径)は、第1内面部29aの内径(第1内径)より大きく、第1内面部29aが研磨される際の研磨逃げとなっている。第2内面部29bに、研磨は施されておらず、第2内面部29bは、旋削された旋削面となっている。
【0021】
入力軸4の外面の中央部であって、入力側部分4a(第1内面部29a)と出力側部分4b(第2内面部29b)との境目における段差31の径方向外方には、入力側部分4aの外面である入力側端部外面部32より径方向外方に一周突出する入力側肩部33が設けられている。入力側肩部33の頂部は、中心軸C0を中心として形成されている。
入力側肩部33の出力側には、中心軸C0と同じ方向を向いており中心軸C0に対してずれている第1偏心軸C1を中心とした円筒面を有する第1偏心部34が形成されている。
第1偏心部34の軸方向の両側には、第1溝36が一周形成されている。各第1溝36は、中心軸C0を中心として形成されており、第1偏心部34の最大偏心部の隣接位置で最も深く、第1偏心部34の最小偏心部の隣接位置で最も浅くなっている。尚、第1溝36は、第1偏心部34の何れか一方の側に設けられても良いし、第1偏心部34の中央部に設けられても良いし、省略されても良い。又、各第1溝36のうちの少なくとも一方は、第1偏心部34の最小偏心部において、配置されなくても良い(深さがなくなっても良い)。
出力側の第1溝36の出力側には、入力側肩部33と同様に成る中央肩部38が形成されている。
【0022】
中央肩部38の出力側には、第1偏心軸C1と位相が180°異なる状態で第1偏心軸C1と同量で偏心した第2偏心軸C2を中心とした円筒面を有する第2偏心部40が形成されている。
第2偏心部40の軸方向の両側には、第2溝42が一周形成されている。各第2溝42は、中心軸C0を中心として形成されており、第2偏心部40の最大偏心部の隣接位置で最も深く、第2偏心部40の最小偏心部の隣接位置で最も浅くなっている。尚、第2溝42は、第2偏心部40の何れか一方の側に設けられても良いし、第2偏心部40の中央部に設けられても良いし、省略されても良い。又、各第2溝42のうちの少なくとも一方は、第2偏心部40の最小偏心部において、配置されなくても良い(深さがなくなっても良い)。
出力側の第2溝42の出力側には、入力側肩部33と同様に成る出力側肩部44が形成されている。
入力側肩部33,中央肩部38及び出力側肩部44は、第1偏心部34及び第2偏心部40の各最大偏心部の径方向の高さよりも高く、壁状になっている。
第1溝36は、第1偏心部34を研磨する際の研磨逃げとなっており、第2溝42は、第2偏心部40を研磨する際の研磨逃げとなっている。
【0023】
出力側肩部44の出力側における入力軸4外面であって、出力側端部を除く部分は、入力側端部外面部32と同様に形成された出力側外面部46となっている。
入力軸4の出力側端部の外面である出力側端部外面部48は、その外径が出力側外面部46の外径より小さくなるように形成されている。
【0024】
入力軸4における入力側肩部33の入力側隣接部には、入力軸4を回転可能に支持する第1ボールベアリング50が配置されている。第1ボールベアリング50は、ケースカバー24の中央孔の内面において径方向内方に突出するように形成された突出部52と、入力側肩部33とにより挟まれて保持される。突出部52は、第1ボールベアリング50の外輪の入力側の側面を押さえ、入力側肩部33は、第1ボールベアリング50の内輪の出力側の側面を押さえる。
他方、出力側肩部44の出力側隣接部には、第1ボールベアリング50と同様に成る第2ボールベアリング54が配置されている。第2ボールベアリング54は、出力軸10の内面の入力側部分を出力側部分より拡径することで形成された段差部56と、出力側肩部44とにより保持される。段差部56は、第2ボールベアリング54の外輪(出力側)を押さえ、出力側肩部44は、第1ボールベアリング50の内輪(入力側)を押さえる。
【0025】
又、第1偏心部34及び各第1溝36の径方向外側には、それぞれ軸方向に延びており周方向に並べられた複数の円柱状のころ60を介して、第1外歯歯車6Aが回転可能に支持されている。全てのころ60を総合して、第1外歯歯車6Aを支持する第1ニードルベアリングが形成される。各ころ60の中心軸であるころ中心軸は、中心軸C0と同じ方向を向いており、各ころ60の軸方向の長さは、第1偏心部34の軸方向の長さより長い。各ころ60の軸方向への移動は、入力側肩部33及び中央肩部38(規制部)により規制される。
同様に、第2偏心部40及び各第2溝42の径方向外側には、それぞれ軸方向に延びており周方向に並べられた複数の円柱状のころ62を介して、第2外歯歯車6Bが回転可能に支持されている。全てのころ62を総合して、第2外歯歯車6Bを支持する第2ニードルベアリングが形成される。各ころ62の中心軸であるころ中心軸は、中心軸C0と同じ方向を向いており、各ころ62の軸方向の長さは、第2偏心部40の軸方向の長さより長い。各ころ62の軸方向への移動は、中央肩部38及び出力側肩部44(規制部)により規制される。
【0026】
ケースカバー24の中央孔内面における突出部52より入力側の部分には、入力軸4の入力側端部外面部32に接触するリング状の第1シール部材66が取り付けられている。第1シール部材66は、弾性体(ゴム製)であり、入力軸4の回転を許容しつつ、ケースカバー24と入力軸4との間をシールする。
他方、出力軸10の中央孔内面における出力側の部分には、入力軸4の出力側端部外面部48に接触するリング状の第2シール部材68が取り付けられている。第2シール部材68は、弾性体(ゴム製)であり、入力軸4の回転を許容しつつ、出力軸10と入力軸4との間をシールする。
出力側端部外面部48の外径は、入力側端部外面部32の外径より小さく、第2シール部材68の内径は、第1シール部材66の内径より小さい。
入力軸4における出力側端部外面部48の肉厚は、隣接する出力側外面部46の肉厚の半分(1/2)以下となっている。
【0027】
第1外歯歯車6A,第2外歯歯車6Bは、それぞれ中ケース22の内歯歯車20より少ない歯数であって互いに同一の歯数を有して、偏心位置で内歯歯車20と噛み合っている。
第1外歯歯車6Aには、同心円上に並ぶ複数(8個)の断面円形の貫通孔70Aが、周方向に等間隔をおいて形成されている。同様に、第2外歯歯車6Bには、複数(8個)の貫通孔70Bが形成されている。そして、一対の貫通孔70A,70Bに、1個のピン14が遊挿される。各ピン14の外周における第1外歯歯車6A及び第2外歯歯車6Bの遊挿部分には、筒状のメタル72が外装されている。
各ピン14は、対応するメタル72の外周を、貫通孔70A,70Bの内周に、互いに180°異なる位相で内接させている。
各ピン14は、出力軸10とキャリア受け12との間に架設される。各ピン14の入力側の端部は、キャリア受け12に設けられた対応するピン保持孔74に圧入され、各ピン14の出力側の端部は、出力軸10に設けられた対応する出力軸貫通孔76に圧入される。各ピン14の出力側端部には、ピン留めボルト78が入れられている。出力軸貫通孔76の入力側部分に対して出力側部分が拡径していて、これらの境界部分に出力軸貫通孔段差部79が形成されており、出力軸貫通孔76の入力側部分にピン14が圧入され、出力軸貫通孔76の出力側部分にピン留めボルト78の頭部が配置されて、当該頭部が出力軸貫通孔段差部79に引っ掛かり得るようになっている。キャリア受け12は、第1ボールベアリング50により回転可能に支持され、各ピン14を介して出力軸10と一体に回転可能となっている。
【0028】
ケースカバー24の内面(出力側の面)であって、キャリア受け12における第1外歯歯車6Aと反対側の側面(入力側の垂直面)に対向する部分には、当該内面の周囲の部分より内方(出力側)に突出する突起部80が形成されている。
突起部80は、内歯歯車20(内歯部)の中心軸C0(軸心)と同軸の円環形状を呈している。
又、突起部80は、ケースカバー24の当該内面のうち、径方向内方側の部分に配置されており、キャリア受け12における径方向内方側の部分に対向して配置されている。突起部80は、径方向内方側の面において第1ボールベアリング50に隣接しており、第1ボールベアリング50の外輪及びキャリア受け12の回転を妨げない。
キャリア受け12の入力側の垂直面と突起部80の頂部(出力側の面)との間の距離D1は、キャリア受け12のピン保持孔74、即ちピン14のピン保持孔74内での長さD2より小さい。
【0029】
外ケース26は、その径方向内側において、中心軸を交互に斜行させた状態で中心軸C0を中心とした仮想円上に並べられた複数の円柱状のクロスローラ81を介して、出力軸10を、中心軸C0の周りで回転可能に支持している。外ケース26は、クロスローラ81に係るクロスローラベアリングの外輪となっており、出力軸10は、クロスローラベアリングの内輪となっている。尚、ニードルベアリングのように、各クロスローラ81の集合が軸受を構成するものと捉えられても良い。
外ケース26は、内面の出力側の部分において、出力軸10の外周面に対し内面で接触するリング状の出力軸オイルシール82を保持している。
【0030】
ケーシング2における中ケース22とケースカバー24との間には、シールのためのケーシング入力側Oリング90が挟まれており、ケースカバー24と外ケース26との間には、シールのためのケーシング2の出力側のOリング92が挟まれている。
【0031】
ケースカバー24は、中ケース22を嵌めるためのケースカバーインロー100を、出力側の垂直面から出力側に円筒状に突出するように有しており、ケーシング入力側Oリング90は、ケースカバーインロー100における径方向外面の根元において径方向内方に窪むように形成されたケースカバー溝102に入れられている。中ケース22の内面の入力側端部であって、ケースカバー溝102に対向する部分には、面取部104が設けられている。ケーシング入力側Oリング90は、ケースカバー溝102の底面及び入力側の面並びに面取部104の3面で圧縮される。
【0032】
Oリング92は、図2にも示されるように、中ケース22に形成されたOリング溝110に配置されている。Oリング92は、内歯歯車20の径方向外方に配置される。中ケース22の出力側端部の径方向外側には、軸方向に垂直な第1側面112が形成されており、径方向内側には、外ケース26を嵌めるための第1インロー114が、第1側面112に対して出力側へ円筒状に突出するように形成されている。第1インロー114の径方向外側の面である第1インロー面114aと、第1側面112との間に、Oリング溝110が形成されている。
Oリング溝110は、第1側面112に対して軸方向に入力側へ凹んだ底面部110bと、第1インロー面114aに対して径方向内側に凹んだ側面部110sと、を有している。側面部110sは、ボルト28が通過する中ケース22のボルト孔116と対向している。
Oリング溝110における第1側面112から底面部110bまでの深さD3は、Oリング92の半径D4より大きい。
外ケース26は、入力側端部が第1インロー114を受け入れることで中ケース22に嵌合しており、軸方向に垂直で第1側面112に対向する第2側面120と、径方向内側(内周側)に形成され第1インロー面114aに対向する第2インロー面122と、を有している。第2側面120の径方向内側の部分は、Oリング溝110の底面部110b(側面部110sにより径方向へ凹んでいる部分を除く)と対向する。
Oリング92は、Oリング溝110の底面部110bと、第2側面120の径方向内側の部分とによって軸方向で圧縮されており、側面部110sは、Oリング92の圧縮に寄与しない。
【0033】
第1シール部材66,第2シール部材68,出力軸オイルシール82,ケーシング入力側Oリング90,及びOリング92により、ケーシング2内が密閉される。
ケーシング2内には、グリスが塗布されあるいは充填される。尚、グリス以外の潤滑剤が用いられても良い。
【0034】
次いで、かような減速機1の動作例が説明される。
入力軸4が駆動軸から回転入力を受けて回転すると、第1偏心部34及び第2偏心部40がそれぞれ対称的に偏心運動を行い、第1外歯歯車6A,第2外歯歯車6Bを内歯歯車20に内接した状態で偏心及び自転運動させる。このため、各貫通孔70A,70Bも偏心及び自転運動するところ、各貫通孔70A,70Bはメタル72を含むピン14よりも大径に形成されているので、各メタル72は貫通孔70A,70Bに内接した状態で相対的に偏心運動して偏心成分を吸収し、各ピン14からは自転成分のみが取り出される。よって、各ピン14を介して出力軸10及びキャリア受け12が同期回転し、出力軸10が所定の減速比で減速された状態で回転する。
【0035】
続いて、減速機1の作用効果が説明される。
減速機1は、円筒状であって、軸方向に垂直な第1側面112、外周側に形成された第1インロー面114a、及び第1側面112と第1インロー面114aとの間に形成されたOリング溝110を有する中ケース22と、中ケース22と嵌合する円筒状であって、軸方向に垂直な第2側面120、及び内周側に形成された第2インロー面122を有する外ケース26と、Oリング溝110に配置されたOリング92と、を備えており、Oリング溝110は、第1側面112に対して軸方向に凹んだ底面部110bと、第1インロー面114aに対して径方向に凹んだ側面部110sとを有しており、Oリング92は、底面部110bと、第2側面120とによって圧縮されている。よって、ケーシング2のOリング92は、Oリング溝110の底面部110bと、第2側面120の径方向内側の部分とによって軸方向で圧縮されることとなり、ケーシング2(中ケース22)におけるOリング92外方の部分において、Oリング92を圧縮するための強度を確保する必要が無く、ケーシング2(中ケース22)がシール性を維持しながら径方向にコンパクト化可能となり、減速機1がコンパクトになる。
又、中ケース22は、内周に内歯歯車20を有しており、Oリング92は、内歯歯車20の径方向外方に配置されている。よって、Oリング92が径方向において内歯歯車20と重なり、減速機1の軸方向の大きさが小さくなる。
更に、Oリング溝110における第1側面112から底面部110bまでの深さD3は、Oリング92の半径D4以上である。よって、中ケース22に外ケース26が組み付けられる際、Oリング92がOリング溝110に半分以上入ることとなり、Oリング92が外れ難くなる。
又更に、第2側面120は、第1側面112と接触している。よって、外ケース26の入力側の端面が平坦になってシンプルに形成可能であり、又Oリング92のつぶし代が、Oリング溝110の深さD3のみで管理可能である。
尚、これらの構成は、内接揺動式の差動減速機以外の減速機にも適用可能である。
【0036】
加えて、減速機1は、内歯歯車20と、内歯歯車20と同軸で内歯歯車20内に貫通するように配置されており、自身の中心軸である入力中心軸(中心軸C0)に対して偏心する第1偏心部34及び第2偏心部40を有している入力軸4と、第1偏心部34及び第2偏心部40の径方向外側において、自身の中心軸であるころ中心軸が中心軸C0と同方向である状態で配置される複数のころ60,62と、複数のころ60,62の径方向外側に配置され、内歯歯車20に内接して噛み合う第1外歯歯車6A及び第2外歯歯車6Bと、を備えており、入力軸4は、入力中心軸の方向において第1偏心部34,第2偏心部40に隣接する第1溝36,第2溝42を有しており、複数のころ60,62のそれぞれの両端が、第1溝36,第2溝42に対向するように配置されている。よって、各ころ60,62が第1溝36,第2溝42に供給されたグリスにより直接潤滑され、減速機1の潤滑性能が向上する。
又、ころ60,62のころ中心軸の方向における長さは、第1偏心部34,第2偏心部40の中心軸(第1偏心軸C1,第2偏心軸C2)の方向における長さよりも長い。よって、第1溝36,第2溝42に対向するころ60,62の部分が大きくなり、減速機1の潤滑性能が向上する。
更に、第1溝36,第2溝42は、第1偏心部34,第2偏心部40の両側にそれぞれ形成されている。よって、第1偏心部34,第2偏心部40のそれぞれの一体性の確保が図られ、又減速機1の潤滑性能が向上する。
又更に、第1溝36,第2溝42は、入力軸4の全周にわたって形成されている。よって、第1溝36,第2溝42は全周にわたりころ60,62にグリス供給可能に対向し、減速機1の潤滑性能が向上する。
加えて、第1溝36,第2溝42は、内歯歯車20と同軸である(中心軸C0と同じ中心軸を有するように形成されている)。よって、第1溝36,第2溝42が入力軸4における第1偏心部34,第2偏心部40以外の部分と同時に旋削加工することができる。
又、入力軸4には、複数のころ60,62がころ中心軸の方向へ移動することを規制する入力側肩部33,中央肩部38,出力側肩部44が設けられている。よって、入力側肩部33,中央肩部38,出力側肩部44によりころ60,62の位置が安定し、入力側肩部33,中央肩部38,出力側肩部44が設けられても第1溝36,第2溝42によりころ60,62が十分に潤滑される。
更に、入力側肩部33,中央肩部38,出力側肩部44は、複数のころ60,62のころ中心軸における両側にそれぞれ配置されている。よって、ころ60,62の位置がより安定し、入力側肩部33,中央肩部38,出力側肩部44が両側に設けられてもころ60,62が十分に潤滑される。
【0037】
加えて、減速機1は、内周に内歯歯車20を有するケーシング2と、ケーシング2内において各クロスローラ81を介して回転可能に支持される出力軸10と、ケーシング2内に配置されるキャリア受け12と、出力軸10とキャリア受け12との間に配置され、内歯歯車20に内接して噛み合っており、複数の貫通孔70A,70Bを有している第1外歯歯車6A,第2外歯歯車6Bと、貫通孔70A,70Bにそれぞれ遊挿され、出力軸10とキャリア受け12とを一体的に結合する複数のピン14と、を備えており、ケーシング2の内面であって、キャリア受け12における第1外歯歯車6Aと反対側の側面に対向する部分には、他の部分より内方に突出する突起部80が形成されている。よって、衝撃等によりピン14からキャリア受け12が外れて抜け落ちようとしても、キャリア受け12に対向するケーシング2の突起部80がキャリア受け12に接触しその脱落を食い止めて、キャリア受け12及び内部構造の脱落による故障が防止される。
又、突起部80は、内歯歯車20の軸心(中心軸C0)と同軸の円環形状である。よって、キャリア受け12は、突起部80に接触した状態であってもスムーズに回転することができる。
更に、突起部80は、キャリア受け12の側面のうち、径方向内周側の部分に対向して配置されている。よって、キャリア受け12は、突起部80に接触した状態で回転する場合、より周速の遅い状態で接触することとなり、キャリア受け12と突起部80との接触抵抗が抑制され、これらが保護される。
又更に、キャリア受け12は、複数のピン14をそれぞれ保持する複数のピン保持孔74を有しており、キャリア受け12と突起部80との間の距離D1は、ピン14のピン保持孔74内での長さD2以下である。よって、キャリア受け12は、ピン14から完全に外れる前に突起部80に接触し、落下による故障から保護される。
【0038】
加えて、減速機1は、内周に内歯歯車20を有するケーシング2と、筒状であって、内歯歯車20の径方向内方に内歯歯車20と同軸(中心軸C0)で配置されており、自身の中心軸に対して偏心する第1偏心部34及び第2偏心部40、第1内径を有する第1内面部29a、並びに第1内径より大きい第2内径を有する第2内面部29bを備えた入力軸4と、第1偏心部34,第2偏心部40に外装され、内歯歯車20に内接して噛み合う第1外歯歯車6A,第2外歯歯車6Bと、入力軸4における第1内面部29a側の端部に径方向外方から接触してシールするリング状の第1シール部材66と、入力軸4における第2内面部29b側の端部に径方向外方から接触してシールするリング状の第2シール部材68と、を備えており、第2シール部材68の内径は、第1シール部材66の内径よりも小さい。よって、肉厚のより大きい第1内面部29a側の端部が駆動軸を強度十分に連結するためのインローにし易く、反対側の第2内面部29b側の端部が肉厚を薄くし易く、第2内面部29b側の端部に接触する第2シール部材68の内径が小さくし易い。又、第2シール部材68に接触する第2内面部29b側の端部の周速が、内径の縮小分だけ遅くなり、第2シール部材68の接触による入力軸4の回転運動の損失が抑制される。
又、第1内面部29aの内面は、研磨面とされており、第2内面部29bの内面は、旋削面とされている。よって、第1内面部29aの端部が駆動軸連結用インローとして使用し易くなる。又、第2内面部29bが第1内面部29a研磨時の研磨逃げとなる。
更に、入力軸4における第1内面部29a側の端部は、ケーシング2から飛び出しており、入力軸4における第2内面部29b側の端部は、ケーシング2の内方に引っ込んでいる。よって、第1内面部29a側の端部が、駆動軸連結用インローとして使用し易くなる。又、第2内面部29b側の端部の駆動軸連結用インローとしての使用が推奨されず、第1内面部29a側の端部が駆動軸連結用インローであることが分かり易くなる。
【0039】
最後に、減速機1の更なる変更例が説明される。
減速機1の一部が変更された減速機201に係る図3に示されるように(減速機1と同様に成る部材又は部分には同じ符号が付される)、入力軸204における第1溝236は、第1偏心部34の第1偏心軸C1と同軸であるように形成されており、第2溝242は、第2偏心部40の第2偏心軸C2と同軸であるように形成されている。第1溝236は、第1偏心部34の最大偏心部及び最小偏心部において同様な深さを呈しており、第2溝242は、第1偏心部34の最大偏心部及び最小偏心部において同様な深さを呈している。
かように、第1溝236,第2溝242は、第1偏心部34,第2偏心部40と同軸であるように形成されている。よって、潤滑のための第1溝236,第2溝242が、第1偏心部34,第2偏心部40と同時に容易に加工可能である。
【0040】
第1外歯歯車6A,第2外歯歯車6Bの枚数、第1偏心部34,第2偏心部40の数、及び偏心角度の少なくとも何れかは、増減されても良い。
各種軸受の数及び形式の少なくとも一方は、第1ボールベアリング50,第2ボールベアリング54の数を増減したり、ころ60,62(ニードルベアリング)をボールベアリングとしたりする等、様々に変更可能である。
中ケース22とケースカバー24とが一体化されたり、ピン14がキャリア受け12にボルト止めされるようにしたりする等、各種部材の構成は様々に変更されても良い。
【符号の説明】
【0041】
1・・減速機(差動減速機)、2・・ケーシング、4・・入力軸、6A・・第1外歯歯車(外歯歯車)、6B・・第2外歯歯車(外歯歯車)、10・・出力軸(第1キャリア部材)、12・・キャリア受け(第2キャリア部材)、14・・ピン(ピン部材)、20・・内歯歯車(内歯部)、22・・中ケース(第1ケース部材)、26・・外ケース(第2ケース部材)、29a・・第1内面部、29b・・第2内面部、33・・入力側肩部(規制部)、34・・第1偏心部、36・・第1溝(溝)、38・・中央肩部(規制部)、40・・第2偏心部、42・・第2溝(溝)、44・・出力側肩部(規制部)、60,62・・ころ、66・・第1シール部材、68・・第2シール部材、70A,70B・・貫通孔、72・・ピン保持孔、80・・突起部、81・・クロスローラ(軸受)、92・・Oリング、110・・Oリング溝、110b・・底面部、110s・・側面部、112・・第1側面、114a・・第1インロー面、120・・第2側面、122・・第2インロー面。
図1
図2
図3