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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】浴室用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/02 20060101AFI20220902BHJP
   C11D 1/40 20060101ALI20220902BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20220902BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20220902BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
C11D1/02
C11D1/40
C11D3/30
C11D3/20
A47L15/42 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018244183
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020105322
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 洋介
【審査官】岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-183242(JP,A)
【文献】特表平10-506143(JP,A)
【文献】特開2001-187895(JP,A)
【文献】特開平08-283778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D1
C11D3
A47L15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:下記(A1)成分及び下記(A2)成分を含有する界面活性剤と、
(B)成分:キレート剤と、
(C)成分:グリコール系溶剤と、
を、含有し、
下記(A1)成分の含有量が、総質量に対して0.1~2.5質量%であり、
下記(A1)成分/下記(A2)成分で表される質量比が、9.5~21である、浴室用洗浄剤組成物。
(A1)成分:アルキルベンゼンスルホン酸塩及びα-オレフィンスルホン酸塩から選ばれる1種以上を含む非石鹸系アニオン界面活性剤。
(A2)成分:下記式(A2-1)で表されるアミン型界面活性剤。
【化1】
[式(A2-1)中、R,R,及びRはN上の置換基であり、Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のヒドロキシアルキル基、炭素数1~4のアミノアルキル基、炭素数8~21のアルキル基、又は炭素数8~21のアルケニル基であり;Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のヒドロキシアルキル基、炭素数1~4のアミノアルキル基、又はR-X-(CH-で表される基であり、;Rは炭素数8~21の分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり;Xは-O-、-C(O)NR-、又は-NH-であり;Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり;mは1~5の整数であり、;Rは炭素数8~21のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1~4のアミノアルキル基、又はR-X-(CH-で表される基である。]
【請求項2】
前記(A)成分が、下記(A3)成分をさらに含有する、請求項1に記載の浴室用洗浄剤組成物。
(A3)成分:炭素数8~24の脂肪酸塩。
【請求項3】
前記(A)成分の含有量が、総質量に対して0.5~5質量%である、請求項1又は2に記載の浴室用洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記(A2)成分が、下記式(A2-3)で表されるアミン型界面活性剤である、請求項1~のいずれか一項に記載の浴室用洗浄剤組成物。
11-N((CHNH・・・(A2-3)[式(A2-3)中、R11は炭素数8~18の直鎖のアルキル基、炭素数8~18の分岐鎖のアルキル基、炭素数8~18の直鎖のアルケニル基、又は炭素数8~18の分岐鎖のアルケニル基であり;nは1~4の整数である。]
【請求項5】
前記(B)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.3~4.0である、請求項1~のいずれか一項に記載の浴室用洗浄剤組成物。
【請求項6】
25℃におけるpHが9以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の浴室用洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室の洗浄は、通常、浴室用液体洗浄剤を含浸したスポンジで、浴室の壁面、浴槽面、その他の浴室付帯設備等に対し、擦り洗いをすることで行われる。
擦り洗いは、洗浄対象を直接スポンジで擦るため、例えば、浴槽を洗浄する場合には、前屈したり、中腰となったり、しゃがんだりして、浴槽の全面をスポンジで擦らなければならず、手間がかかり、また、身体的な負担も大きい。
【0003】
浴室にはタンパク質や脂肪酸金属塩、皮脂等の混合物である湯垢汚れや、人体由来の皮脂汚れ等、種々の汚れが存在する。これらの汚れは、乾燥した状態が続くと浴槽等の硬質表面にこびりついて、除去するのに多大な労力が必要である。
【0004】
従来、このような浴室洗浄の手間や身体的負担を軽減するための洗浄剤が提案されている。
例えば、特許文献1には、非石鹸系アニオン界面活性剤を含む界面活性剤と、グリコール系溶剤と、アミノカルボン酸型キレート剤とを所定の量比で含有し、pHが10~12である浴室用液体洗浄剤が提案されている。
特許文献2には、グリセリルエーテル混合物と、界面活性剤と、ビルダー又はアルカリ剤とを含有する液体洗浄剤組成物が提案されている。
特許文献1の発明によれば、湯垢汚れに対する洗浄力(湯垢洗浄力)とすすぎ性の向上が図られている。特許文献2の発明によれば、石鹸カスに対する洗浄力(湯垢洗浄力)と樹脂基材等の洗浄対象を損傷しないこと(損傷性)の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-124965号公報
【文献】特開平11-189796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、浴室用洗浄剤組成物には、湯垢洗浄力に加えて、皮脂汚れに対する洗浄力(皮脂洗浄力)のさらなる向上が求められている。
また、浴室用洗浄剤組成物には、擦り洗い時によく泡立つこと(泡立ち性)、シャワーの水で泡を洗い流す時に泡切れが早いこと(すすぎ性)も求められる。
【0007】
そこで、本発明は、湯垢洗浄力と皮脂洗浄力とにより優れ、かつ、泡立ち性、すすぎ性が良好な浴室用洗浄剤組成物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1](A)成分:下記(A1)成分及び下記(A2)成分を含有する界面活性剤と、
(B)成分:キレート剤と、
(C)成分:グリコール系溶剤と、
を、含有する浴室用洗浄剤組成物。
(A1)成分:非石鹸系アニオン界面活性剤。
(A2)成分:下記式(A2-1)で表されるアミン型界面活性剤。
【0009】
【化1】
【0010】
[式(A2-1)中、R,R,及びRはN上の置換基であり、Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のヒドロキシアルキル基、炭素数1~4のアミノアルキル基、炭素数8~21のアルキル基、又は炭素数8~21のアルケニル基であり;Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のヒドロキシアルキル基、炭素数1~4のアミノアルキル基、又はR-X-(CH-で表される基であり、;Rは炭素数8~21の分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり;Xは-O-、-C(O)NR-、又は-NH-であり;Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり;mは1~5の整数であり、;Rは炭素数8~21のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1~4のアミノアルキル基、又はR-X-(CH-で表される基である。]
【0011】
[2]前記(A1)成分/前記(A2)成分で表される質量比が8.5~30である、[1]に記載の浴室用洗浄剤組成物。
[3]前記(A)成分が、下記(A3)成分をさらに含有する、[1]又は[2]に記載の浴室用洗浄剤組成物。
(A3)成分:炭素数8~24の脂肪酸塩。
[4]前記(A)成分の含有量が、総質量に対して0.5~5質量%である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の浴室用洗浄剤組成物。
[5]前記(A2)成分が、下記式(A2-3)で表されるアミン型界面活性剤である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の浴室用洗浄剤組成物。
11-N((CHNH・・・(A2-3)
[式(A2-3)中、R11は炭素数8~18の直鎖のアルキル基、炭素数8~18の分岐鎖のアルキル基、炭素数8~18の直鎖のアルケニル基、又は炭素数8~18の分岐鎖のアルケニル基であり;nは1~4の整数である。]
[6]前記(B)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.3~4.0である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の浴室用洗浄剤組成物。
[7]25℃におけるpHが9以上である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の浴室用洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の浴室用洗浄剤組成物によれば、湯垢洗浄力と皮脂洗浄力とにより優れ、かつ、泡立ち性、すすぎ性を良好にできる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪浴室用洗浄剤組成物≫
本発明の浴室用洗浄剤組成物(以下、単に「洗浄剤組成物」ともいう。)は、(A)~(C)成分を含有する組成物である。
【0014】
<(A)成分>
(A)成分は、下記(A1)成分及び下記(A2)成分を含有する界面活性剤である。洗浄剤組成物は、(A)成分を含有することで、湯垢洗浄力及び皮脂洗浄力(以下、これらを合わせて「洗浄力」ともいう。)を発揮できる。
【0015】
((A1)成分)
(A1)成分は、非石鹸系アニオン界面活性剤である。(A1)成分は、浴室内に付着した湯垢汚れや皮脂汚れ等に対して、効果的な洗浄力を発揮せしめるために使用するものである。
本明細書において、「非石鹸系アニオン界面活性剤」とは、炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸塩(いわゆる石鹸)を除くアニオン界面活性剤である。
【0016】
(A1)成分としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルフェノキシフェニルジスルホン酸塩、石鹸を除く脂肪酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、エーテルカルボン酸塩、リン酸アルキル塩、リン酸アルキルポリオキシエチレン塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル塩、アルケニルコハク酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-アシルメチルタウリン塩等が挙げられる。
これらの中でも、洗浄力に優れる観点から、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩が好ましく、α-オレフィンスルホン酸塩がより好ましい。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。これらの中でも、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0017】
(A1)成分は、炭素数8~18のアルキル基を有することが好ましい。当該アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
【0018】
(A1)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対して、0.1~2.5質量%が好ましく、0.5~1.5質量%がより好ましい。(A1)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄力と泡立ち性とを良好にしやすい。(A1)成分の含有量が上記上限値以下であると、すすぎ性を良好にしやすい。
【0019】
(A)成分中の(A1)成分の含有量は、(A)成分の総質量に対して、50~99質量%が好ましく、70~99質量%がより好ましい。(A)成分中の(A1)成分の含有量が上記数値範囲内であると、洗浄力をより良好にしやすい。
【0020】
((A2)成分)
(A2)成分は、下記式(A2-1)で表されるアミン型界面活性剤である。(A2)成分は、(A1)成分と併用することで、皮脂洗浄力と泡立ち性とを良好にできる。
【0021】
【化2】
【0022】
式(A2-1)中、R,R,及びRはN上の置換基であり、Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のヒドロキシアルキル基、炭素数1~4のアミノアルキル基、炭素数8~21のアルキル基、又は炭素数8~21のアルケニル基であり;Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のヒドロキシアルキル基、炭素数1~4のアミノアルキル基、又はR-X-(CH-で表される基であり、;Rは炭素数8~21の分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり;Xは-O-、-C(O)NR-、又は-NH-であり;Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり;mは1~5の整数であり、;Rは炭素数8~21のアルキル基又はアルケニル基、炭素数1~4のアミノアルキル基、又はR-X-(CH-で表される基である。
【0023】
式(A2-1)で表される化合物は、炭素数8~21のアルキル基又はアルケニル基を分子内に少なくとも1つ含むことが好ましく、1~2個含むことがより好ましい。
【0024】
(A2)成分としては、下記式(A2-2)で表される化合物、後述する式(A2-3)で表される化合物が好ましく、式(A2-3)で表される化合物がより好ましい。
【0025】
【化3】
【0026】
式(A2-2)中、Rは炭素数13~21の直鎖のアルキル基、炭素数13~21の分岐鎖のアルキル基、炭素数13~21の直鎖のアルケニル基、又は炭素数13~21の分岐鎖のアルケニル基であり;Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基であり;Rは、炭素数1~4のアルキレン基であり;R及びR10は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~4のアルキル基である。
【0027】
式(A2-2)中、Rは、炭素数13~21の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。Rにおけるアルキル基及びアルケニル基の炭素数は、それぞれ13~21であり、皮脂洗浄力がより高まることから、好ましくは15~21であり、より好ましくは15~19である。
におけるヒドロキシアルキル基中のヒドロキシ基の数は、1つでも2つ以上でもよい。中でも、Rとしては、水素原子、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
におけるアルキレン基の炭素数は、1~4であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは2又は3であり、特に好ましくは3である。
及びR10におけるアルキル基の炭素数は、それぞれ1~4であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。中でも、R及びR10は、それぞれ炭素数1~4のアルキル基が好ましく、互いに同一のアルキル基であることが好ましい。
【0028】
式(A2-2)で表される化合物としては、例えば、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。これらの中でも、すすぎ性により優れる観点から、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドが好ましい。
【0029】
(A2)成分としては、すすぎ性に優れる観点から、下記式(A2-3)で表される化合物が特に好ましい。
11-N((CHNH・・・(A2-3)
式(A2-3)中、R11は炭素数8~18の直鎖のアルキル基、炭素数8~18の分岐鎖のアルキル基、炭素数8~18の直鎖のアルケニル基、又は炭素数8~18の分岐鎖のアルケニル基であり;nは1~4の整数である。
【0030】
式(A2-3)で表される化合物としては、例えば、N-(3-アミノプロピル)-N-デシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノエチル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-テトラデシルプロパン-1,3-ジアミン等が挙げられる。これらの中でも、皮脂洗浄力、泡立ち性に優れる観点から、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミンが好ましい。
【0031】
(A2)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対して、0.01~3.0質量%が好ましく、0.1~0.5質量%がより好ましい。(A2)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄力と泡立ち性を良好にしやすい。(A2)成分の含有量が上記上限値以下であると、すすぎ性を良好にしやすい。
【0032】
(A)成分中の(A2)成分の含有量は、(A)成分の総質量に対して、1~15質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。(A)成分中の(A2)成分の含有量が上記数値範囲内であると、皮脂洗浄力とすすぎ性とをより良好にしやすい。
【0033】
(A1)成分/(A2)成分で表される質量比(以下、「A1/A2比」ともいう。)は、8.5~30が好ましく、9.5~21がより好ましい。A1/A2比が上記下限値以上であると、すすぎ性をより良好にしやすい。A1/A2比が上記上限値以下であると、皮脂洗浄力と泡立ち性とをより良好にしやすい。
【0034】
(A)成分は、上述した(A1)成分、(A2)成分のほか、脂肪酸塩((A3)成分)、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等の他の界面活性剤を含有してもよい。
【0035】
((A3)成分)
(A3)成分は、炭素数8~24の脂肪酸塩である。(A3)成分は、高級脂肪酸塩であり、いわゆる石鹸である。洗浄剤組成物は、(A3)成分を含有することで、泡立ち性をより良好にし、かつ、すすぎ性を良好にしやすい。加えて、洗浄剤組成物は、A1/A2比を8.5~30とし、さらに(A3)成分を含有することで、泡立ち性及びすすぎ性をより良好にしやすい。
【0036】
(A3)成分としては、例えば、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、ステアリン酸塩等の炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸塩、又は、これらの混合物であるヤシ油脂肪酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸塩、パーム油脂肪酸塩、硬化パーム油脂肪酸塩、牛脂脂肪酸塩、硬化牛脂脂肪酸塩等が挙げられる。
これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0037】
洗浄剤組成物が(A3)成分を含有する場合、(A3)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対して、0.01~3.0質量%が好ましく、0.1~1.0質量%がより好ましい。(A3)成分の含有量が上記下限値以上であると、すすぎ性を良好にしやすい。(A3)成分の含有量が上記上限値以下であると、洗浄力を良好にしやすい。
【0038】
洗浄剤組成物が(A3)成分を含有する場合、(A)成分中の(A3)成分の含有量は、(A)成分の総質量に対して、10~50質量%が好ましく、20~40質量%がより好ましい。(A)成分中の(A3)成分の含有量が上記数値範囲内であると、泡立ち性とすすぎ性とをより良好にしやすい。
【0039】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。これらの塩の対イオンとしては、ハロゲン化物イオン等が挙げられる。
【0040】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコール、アルキルフェノール、高級脂肪酸又は高級アミン等にアルキレンオキシドを付加したポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、脂肪酸ポリグリセリンエステル、糖脂肪酸エステル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキシド、アミドアミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド、アルキルポリグリコシド、グリセリルエーテル等が挙げられる。
【0041】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0042】
(A)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対して、0.5~5質量%が好ましく、1~3質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄力と泡立ち性を良好にしやすい。(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、すすぎ性をより良好にしやすい。
【0043】
<(B)成分>
(B)成分は、キレート剤である。本発明に用いるキレート剤は、浴槽等に付着した脂肪酸金属塩、皮脂・タンパク汚れに対して優れた湯垢洗浄力を発揮するものである。
【0044】
(B)成分としては、例えば、有機カルボン酸類、アミノカルボン酸類、ホスホン酸類、ホスホノカルボン酸類、リン酸類等が挙げられる。
有機カルボン酸類としては、酢酸、アジピン酸、モノクロル酢酸、シュウ酸、コハク酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸等が挙げられ、また、グリコール酸、ジグリコール酸、乳酸、酒石酸、カルボキシメチル酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸物質が挙げられる。
アミノカルボン酸類としては、ニトリロトリ酢酸、イミノジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミノペンタ酢酸、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酢酸、トリエチレンテトラヘキサ酢酸、エチレングリコールジエーテルジアミンテトラ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、シクロヘキサン-1,2-ジアミンテトラ酢酸等が挙げられる。
ホスホン酸類としては、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸及びその誘導体、1-ヒドロキシエタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられる。
ホスホノカルボン酸類としては、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸、α-メチルホスホノコハク酸等が挙げられる。
リン酸類としては、オルソリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、フィチン酸等の縮合リン酸等が挙げられる。
【0045】
(B)成分としては、これらの中でも、洗浄力に優れる観点から、アミノカルボン酸類が好ましく、エチレンジアミンテトラ酢酸がより好ましい。
(B)成分は、酸の形で用いてもよく、塩基性物質との塩の形で用いてもよい。塩基性物質との塩としては、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属との塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンとの塩等が挙げられる。
これら(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
(B)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対して、0.1~5.0質量%が好ましく、1.5~3.5質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が上記数値範囲内であると、湯垢洗浄力と泡立ち性とをより良好にしやすい。
【0047】
(B)成分/(A)成分で表される質量比(以下、「B/A比」ともいう。)は、0.3~4.0が好ましく、1.0~3.0がより好ましい。B/A比が上記数値範囲内であると、湯垢洗浄力、泡立ち性及びすすぎ性をより良好にしやすい。
【0048】
<(C)成分>
(C)成分は、グリコール系溶剤である。洗浄剤組成物は、(C)成分を含有することで、湯垢洗浄力を良好にしやすい。
(C)成分としては、下記式(I)で表される化合物から選択されるものが好ましい。
【0049】
12-O-(CO)-(CO)-R13・・・(I)
式(I)中、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルケニル基、フェニル基又はベンジル基である。xはオキシエチレン基の平均繰返し数を表す数であり、0~5が好ましく、1~3がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。yはオキシプロピレン基の平均繰返し数を表す数であり、0~5が好ましく、0~2がより好ましい。ただし、xとyが同時に0になることはない。
【0050】
(C)成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエチレングリコール系溶剤;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、イソプレングリコール等のプロピレングリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等のエチレングリコール系エーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコール系エーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル等のジアルキルグリコールエーテル系溶剤等が挙げられる。
【0051】
(C)成分としては、上記の中でも、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルが好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。
これら(C)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
(C)成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対して、0.1~5.0質量%が好ましく、1.0~3.0質量%がより好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄力をより良好にしやすい。(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、すすぎ性をより良好にしやすい。
【0053】
<任意成分>
本発明の洗浄剤組成物は、必要に応じて、上記(A)~(C)成分以外に、通常、洗浄剤組成物に使用され得る成分を含有することができる。このような任意成分としては、例えば、水、殺菌剤、防腐剤、抗カビ剤、色素、酸化防止剤、増粘剤、紫外線吸収剤、可溶化剤(ただし、(C)成分を除く)、香料、pH調整剤等が挙げられる。
【0054】
洗浄剤組成物は、取り扱いのしやすさ、すすぎ性を向上する観点から、溶媒として水を含有することが好ましい。
水の含有量は、特に限定されないが、洗浄剤組成物の総質量に対して、50~99.5質量%が好ましく、70~99質量%がより好ましく、75~98質量%がさらに好ましい。
【0055】
pH調整剤としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア及びその誘導体から選ばれるアルカリ剤等が挙げられる。これらの中でも、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
洗浄剤組成物が任意成分を含有する場合、任意成分の含有量は、洗浄剤組成物の総質量に対して、50~99.5質量%が好ましい。
【0057】
なお、本発明の洗浄剤組成物を構成する成分の合計量は100質量%を超えない。
【0058】
≪洗浄剤組成物の製造方法≫
洗浄剤組成物は、従来公知の製造方法により製造される。例えば、溶媒である水に、上記(A)~(C)成分を添加し、必要に応じて任意成分を加え、これを混合する方法等が挙げられる。
【0059】
洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、9以上が好ましく、9~12がより好ましく、9.5~12がさらに好ましく、10~11が特に好ましい。pHが上記数値範囲内であると、湯垢洗浄力と泡立ち性とをより良好にしやすい。
pHは、pH調整剤を適量添加することにより調整できる。
本明細書におけるpHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(製品名:HM-30G、東亜ディーケーケー(株)製)により測定される値である。
【0060】
洗浄剤組成物の25℃における粘度は、1~100mPa・sが好ましく、1~50mPa・sがより好ましい。25℃における粘度が上記下限値以上であると、浴槽等の洗浄対象に対する洗浄剤組成物の付着性がより向上する。25℃における粘度が上記上限値以下であると、洗浄剤組成物をスプレー容器等の吐出容器から吐出しやすく、取り扱い性が良好になる。
洗浄剤組成物の粘度は、水の含有量、増粘剤の添加等により調整できる。
本明細書における粘度は、測定対象を25℃とし、B型粘度計を用いて、ローター番号No.1、ローター回転数60rpmで、ローターの回転の開始から60秒後に測定される値である。
【0061】
≪洗浄剤組成物の使用方法≫
洗浄剤組成物の使用方法としては、例えば、洗浄剤組成物をスポンジ等の洗浄用具に含浸し、浴室の壁面、浴槽面、その他の浴室付帯設備等の洗浄対象をスポンジ等で擦り洗いをする使用方法や、洗浄剤組成物を吐出容器に収容し、この吐出容器から、適量の洗浄剤組成物を上記洗浄対象に塗布し、一定時間経過後に、シャワー等ですすぐ、「擦らず洗い」をする使用方法等が挙げられる。
【0062】
洗浄剤組成物を収容する吐出容器としては、スプレー容器やスクイズ容器等が挙げられる。中でも、洗浄対象に対する塗布性に優れることから、洗浄剤組成物を収容する吐出容器としては、スプレー容器が好ましい。
スプレー容器としては、エアゾールスプレー容器、トリガースプレー容器(直圧型又は蓄圧型)、ディスペンサースプレー容器等が挙げられる。これらの容器は、手動式のものでもよいし、電動式のものでもよい。
エアゾールスプレー容器としては、例えば、特開平9-3441号公報、特開平9-58765号公報等に記載されているものが挙げられる。エアゾールスプレー容器に充填する場合、噴射剤としてLPG(液化プロパンガス)、DME(ジメチルエーテル)、炭酸ガス、窒素ガス、亜酸化窒素ガス等を使用できる。これら噴射剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
トリガースプレー容器の例としては、例えば、特開平9-268473号公報、特開平10-76196号公報等に記載のものが挙げられる。
ディスペンサースプレー容器の例としては、例えば、特開平9-256272号公報等に記載のものが挙げられる。
蓄圧式のトリガースプレー容器としては、例えば、特開2013-154276号公報等に記載のものが挙げられる。
これらの中でも、噴霧性状やスプレーパターンが良好であり、良好な塗布性が得られることから、蓄圧式のトリガースプレー容器が好ましい。
【0063】
本発明の洗浄剤組成物は、浴槽に付着した脂肪酸金属塩、皮脂汚れ、タンパク汚れに対し高い洗浄力を有し、かつ、泡立ち性、すすぎ性が良好であるため、擦り洗いをする使用方法が好適である。
また、洗浄剤組成物がすすぎ性に優れる場合は、浴槽全面に洗浄剤組成物を塗布して、一定時間経過後に、シャワー等ですすぐ、「擦らず洗い」をする使用方法を用いてもよい。
【実施例
【0064】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。本実施例において「%」は特に断りがない限り、純分の「質量%」を示す。各例の浴室用洗浄剤組成物の組成を表1~3に示した。本実施例において使用した原料は下記の通りである。
表中の各符号は以下のものを示す。
【0065】
≪使用原料≫
<(A)成分>
((A1)成分)
A1-1:C14-αオレフィンスルホン酸ナトリウム(AOS)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「リポラン(登録商標)LJ441」。なお、前記「C14」は炭素数が14であることを意味し、以下同様である。
A1-2:直鎖アルキル(C12-14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「ライポン(登録商標)PS-230」。
A1-3:ポリオキシエチレン(2)ラウリル硫酸ナトリウム(AES)。新日本理化株式会社製、商品名「シノリン(登録商標)SPE-1250」。なお、ポリオキシエチレン(2)は、オキシエチレン基の付加モル数が「2」であることを意味する。
A1-4:ラウリル硫酸塩(SDS)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「サンノール(登録商標)LM-1130」。
【0066】
((A2)成分)
A2-1:N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、ロンザ社製、商品名「Lonzabac12.30」(式(A2-3)で、R11が炭素数12の直鎖のアルキル基、nが3の化合物)。
A2-2:ステアリルジメチルアミノプロピルアミド、東邦化学工業株式会社製、商品名「カチナール(登録商標)MPAS」(式(A2-2)で、Rが炭素数17の直鎖のアルキル基、Rが水素原子、Rが炭素数3のアルキレン基、R及びR10がともにメチル基である化合物)。
A2-3:n-ドデシルアミン、関東化学株式会社製試薬「鹿特級」(式(A2-1)で、R及びRがともに水素原子、Rが炭素数12のアルキル基である化合物)。
((A2’)成分((A2)成分の比較品))
A2’-1:ラウリン酸アミドプロピルベタイン(LPB)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「エナジコール(登録商標)L-30B」。
A2’-2:n-ドデシルジメチルアミンオキシド(AX)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「AX-CS」。
【0067】
((A3)成分)
A3-1:ヤシ油脂肪酸カリウム30%水溶液(ヤシ脂肪酸K)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製。
【0068】
<(B)成分>
B-1:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、アクゾノーベル株式会社製、商品名「ディゾルビン(登録商標)NA2」。
B-2:ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、キレスト株式会社製、商品名「DHEG」。
【0069】
<(C)成分>
C-1:ブチルジグリコール、日本乳化剤株式会社製(式(I)で、R12が水素原子、R13が炭素数4のアルキル基、xが2、yが0である化合物)。
【0070】
<任意成分>
pH調整剤:1N水酸化ナトリウム、1N塩酸、関東化学株式会社製。
水:イオン交換水。
【0071】
[実施例1~19、比較例1~5]
≪洗浄剤組成物の製造≫
表1~3の配合に従い、(A2)成分を(C)成分に溶解した後、残りの(A)成分、水、及び(B)成分を混合し、pH調整剤を適量加えてpHを表中の値に調整し、各例の洗浄剤組成物を得た。
表中、「組成」の単位は、「質量%」であり、純分換算量を示す。表中、「-」は、その成分が含まれていないことを示す。表中、水の含有量「バランス」は、洗浄剤組成物の総質量を100質量%にするのに要した量を示す。表中、pH調整剤の含有量「適量」は、洗浄剤組成物のpHを表中の値に調整するのに要した量を示す。表中、「A合計量」は、(A)成分の含有量を示す。表中、「AB合計量」は、(A)成分と(B)成分の含有量の合計を示す。なお、実施例4、5、7、8、11は、参考例である。
【0072】
≪洗浄剤組成物の評価方法≫
各例の洗浄剤組成物について、湯垢洗浄力、皮脂洗浄力、泡立ち性、すすぎ性を以下のように評価した。
【0073】
<湯垢洗浄力の評価>
一般家庭の浴槽内側壁面に、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)製テストピース(2cm×10cm)を固定した後、成人男性3名がそれぞれ3回入浴(1日につき1回の入浴を3日間繰り返し、その間、風呂水のみを入れ替え、浴槽は洗わずに使用)し、テストピースに汚れを付着させた。
この汚れが付着したテストピースを充分乾燥させた後、該テストピースに対して、その全面が濡れるように各例の洗浄剤組成物を滴下し、30秒間放置した後、水道水(15℃)ですすぎ流した。テストピースを充分乾燥させ、5枚のテストピース表面の汚れの除去状態を目視、指触により、下記評価基準に従って評価した。下記評価基準において、◎及び○を合格とした。結果を表1~3に示す。
《評価基準》
◎:汚れ落ちが非常に良好[5枚のテストピースのうち、5枚とも目視による汚れが観察されず、5枚ともテストピース全面につるつるとした指触が得られる]。
○:汚れ落ちが良好[5枚のテストピースのうち、1枚以上は目視による汚れが観察されず、かつ、テストピース全面につるつるとした指触が得られ、5枚のテストピースのうち、少なくとも1枚はテストピースにざらざらとした指触を感じる]。
△:ほとんど汚れが落ちない[5枚のテストピースのうち、5枚とも目視による汚れが観察され、5枚ともざらざらとした指触を感じるが、前記目視による汚れ及びざらざらとした指触は、洗浄前より軽減されている]。
×:全く汚れが落ちない[5枚のテストピースのうち、5枚とも目視による汚れが観察され、5枚ともざらざらとした指触を感じ、前記目視による汚れ及びざらざらとした指触は、洗浄前と変わらない]。
【0074】
<皮脂洗浄力の評価>
牛脂(関東化学株式会社製)30g、大豆油(関東化学株式会社製)20g、ズダンIV(関東化学株式会社製)0.05gをクロロホルム(関東化学株式会社製、特級)50mLと混合して汚垢液を調製した。この汚垢液50mLをガラス瓶に入れ、1×5cmのスライドガラス(MATSUNAMI株式会社製)を浸漬して引き上げ、1時間以上乾燥したものを汚垢板とした。
100mLガラス瓶に各例の洗浄剤組成物50mLを入れ、この洗浄剤組成物に汚垢板を3分間浸漬した。その後、汚垢板を取り出して、汚れ落ちの状態を目視で観察し、下記評価基準に従い評価した。下記評価基準において、〇以上であれば実用上皮脂洗浄力が良好である。すなわち、下記評価基準において、◎及び○を合格とした。結果を表1~3に示す。
《評価基準》
◎:汚れ落ちが非常に良好。
〇:汚れ落ちが良好。
△:汚れ落ちにムラがある。
×:ほとんど汚れが落ちない。
【0075】
<泡立ち性の評価>
市販されている浴室用洗剤「おふろのルック」のトリガー容器に各例の洗浄剤組成物を充填し、FRP製の浴槽内(100×75×65cm)に対して均等間隔で10回スプレーした。その後、ウレタン製スポンジを用いて、約10g/cmの荷重をかけながら浴槽の内側全面を円を描くように擦った。その際の泡の状態を目視で観察し、下記評価基準に従い評価した。下記評価基準において、◎及び○を合格とした。結果を表1~3に示す。
《評価基準》
◎:泡立ちが非常に良好。
○:泡立ちが良好。
△:泡立ちにムラがある。
×:若干泡立つ程度。
【0076】
<すすぎ性の評価>
上記泡立ち性の評価後、シャワーを用いて水道水ですすぎを行い(水温15℃、流量0.2L/秒)、浴槽の排水口から泡が完全になくなるまでの時間を測定し、下記評価基準に従って各例の洗浄剤組成物のすすぎ性を評価した。下記評価基準において、◎、○及び△を合格とした。結果を表1~3に示す。
《評価基準》
◎:20秒未満。
○:20秒以上23秒未満。
△:23秒以上30秒未満。
×:30秒以上。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
表1~3に示すように、本発明を適用した実施例1~19は、湯垢洗浄力の評価、皮脂洗浄力の評価、泡立ち性の評価、すすぎ性の評価の全てにおいて、合格だった。
これに対し、(A1)成分を含有しない比較例1は、湯垢洗浄力の評価と泡立ち性の評価が「×」だった。(B)成分を含有しない比較例2は、湯垢洗浄力の評価が「×」だった。(A2)成分を含有しない比較例3は、皮脂洗浄力の評価が「×」で、泡立ち性の評価が「△」だった。(A2)成分を比較品とした比較例4、5は、皮脂洗浄力の評価が「×」だった。
【0081】
これらの結果から、本発明を適用した洗浄剤組成物は、湯垢洗浄力と皮脂洗浄力とにより優れ、かつ、泡立ち性、すすぎ性を良好にできることを確認できた。