(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】流体移送管路処理システム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20220902BHJP
【FI】
A61L2/10
(21)【出願番号】P 2018551473
(86)(22)【出願日】2017-03-31
(86)【国際出願番号】 KR2017003537
(87)【国際公開番号】W WO2017171460
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-02-27
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】507186469
【氏名又は名称】センサー エレクトロニック テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ドブリンスキ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シュール,マイケル
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0228236(US,A1)
【文献】特開2006-061886(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0334974(US,A1)
【文献】特表2017-529997(JP,A)
【文献】特開2010-094676(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0929902(KR,B1)
【文献】特開2011-161443(JP,A)
【文献】特開2002-019895(JP,A)
【文献】特開2010-257014(JP,A)
【文献】特開2015-033669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
C02F 1/32
B67D 1/00
B67D 3/00
A61L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面上に分布させた複数の紫外線透過窓を有する流体移送管路と、
前記流体移送管路を囲む光ガイド部を有する外側管路と、
前記光ガイド部に連結された複数の紫外線源であって、前記紫外線源の各々が、前記紫外線透過窓の内の少なくとも1つを通って、前記流体移送管路を通過し、前記流体移送管路の内壁を照射する紫外線を放射するように構成される、複数の紫外線源と、
前記複数の紫外線源が、所定の持続時間、前記流体移送管路の前記内壁に所定の線量の紫外線を送出するようにするための制御部と、を含み、
前記光ガイド部の外面が複数のポートを含み、前記ポートの各々が、前記複数の紫外線源の内の1つを受け入れるように構成される、
流体移送管路処理システム。
【請求項2】
前記複数の紫外線透過窓が、紫外線透過フルオロポリマー、石英、AAO、SiO
2お
よびサファイアの内の1つを含む、請求項1に記載の流体移送管路処理システム。
【請求項3】
前記複数のポートにわたる配置のために構成された複数の反射素子をさらに含み、
連結された紫外線源を有しない各ポートが、上に配置された前記複数の反射素子の内の1つを有し、
連結された紫外線源を有する各ポートが、前記紫外線源および前記ポートの両方にわたって配置された前記複数の反射素子の内の1つを有する、請求項1に記載の流体移送管路処理システム。
【請求項4】
前記流体移送管路が一組の紫外線透過ドメインを含み、
各紫外線透過ドメインが前記紫外線透過窓の内の1つに隣接して位置し、
各紫外線透過ドメインが、前記流体移送管路の前記内壁への紫外線の紫外線透過および光ガイドのために構成される、請求項1に記載の流体移送管路処理システム。
【請求項5】
前記流体移送管路の表面エリアの全てにわたって前記複数の紫外線源を分布させる、請求項1に記載の流体移送管路処理システム。
【請求項6】
前記複数の紫外線源が、前記流体移送管路の表面エリアの限定部分だけを覆い、
前記複数の紫外線源が、前記流体移送管路の第1端部から前記流体移送管路の反対側の第2端部まで軸線方向に均一に延びる、請求項1の流体移送管路処理システム。
【請求項7】
流体移送管路と、
複数の紫外線源と、
前記流体移送管路を囲み、前記複数の紫外線源から放射された紫外線を前記流体移送管路内に方向づけて、前記流体移送管路の内壁に、それから汚染物を除去するために照射するための光ガイド部と、
前記複数の紫外線源が、所定の持続時間、前記光ガイド部を介して、前記流体移送管路の前記内壁に所定の線量の紫外線を放射するようにするための制御部と、
前記複数の紫外線源と前記制御部とに電力を提供するための電源と、
前記流体移送管路内に位置する清浄混合部と、
を含み、
前記清浄混合部が、前記流体移送管路内の流体に混合作用を付与するように構成され、
前記流体の前記混合作用が、前記流体移送管路の前記内壁から前記汚染物を取り除くことを促進
し、
前記清浄混合部は、壁噴流、管状機械的洗浄インサートおよび混合ファンのいずれか一つを含む、
システム。
【請求項8】
請求項1に記載の流体移送管路処理システムを含み、
前記流体移送管路処理システムは、前記複数の紫外線源と前記制御部とに電力を供給するための電源をさらに含み、
前記複数の紫外線源、前記光ガイド部、前記制御部および前記電源が、前記流体移送管路への接続のために適合させた消毒モジュールを形成し、
前記消毒モジュールが、前記流体移送管路の2つの隣接セクション間の交差接続を形成する、システム。
【請求項9】
流体移送管路と、
複数の紫外線源と、
前記流体移送管路を囲み、前記複数の紫外線源から放射された紫外線を前記流体移送管路内に方向づけて、前記流体移送管路の内壁に、それから汚染物を除去するために照射するための光ガイド部と、
前記複数の紫外線源が、所定の持続時間、前記光ガイド部を介して、前記流体移送管路の前記内壁に所定の線量の紫外線を放射するようにするための制御部と、
前記複数の紫外線源と前記制御部とに電力を提供するための電源と、
前記光ガイド部内の紫外線の分布の強度を検知するための少なくとも1つのセンサと、
を含む、システム。
【請求項10】
流体移送管路の内壁を消毒するためのシステムであって、
前記流体移送管路を囲む光ガイド層であって、前記光ガイド層が、紫外線反射層と、前記光ガイド層からの紫外線を拡散的に散乱させるための紫外線抽出表面と、前記紫外線反射層および前記紫外線抽出表面の間に形成された紫外線透過層とを有する導波路構造を含む、光ガイド層と、
紫外線を前記流体移送管路の前記内壁に方向づけるための前記光ガイド層
に連結された複数の紫外線源であって、前記光ガイド層が、前記複数の紫外線源から放射された紫外線を前記流体移送管路の外面上の紫外線透過セクションに方向づけ、放射された前記紫外線が、前記紫外線透過セクションを通過し、前記流体移送管路を通過し、前記内壁を照射する、複数の紫外線源と、
前記流体移送管路の前記内壁からの汚染物の除去に応じて、前記複数の紫外線源の複数の動作パラメータを調整するための制御部であって、前記複数の動作パラメータが、前記紫外線源が紫外線を放射する持続時間と、前記紫外線源によって送出された紫外線の線量と、前記紫外線源を動作させるための電力設定とを含む、制御部と、
を含むシステム。
【請求項11】
前記導波路構造の前記紫外線抽出表面が、前記紫外線抽出表面から出る前記紫外線
を均一にするためのラフネス層を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記流体移送管路の前記内壁の消毒の間に前記動作パラメータの内の1つのモニタリングを行うための少なくとも1つのセンサをさらに含み、
前記制御部が、前記センサによる前記モニタリングに応じて前記流体移送管路の前記内壁の前記消毒を制御する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記流体移送管路が、前記流体移送管路の前記外面から前記流体移送管路の前記内壁に延びる多孔性セクションを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
清浄流体源をさらに含み、
前記光ガイド層が、前記流体移送管路の前記内壁を洗浄するために、前記清浄流体源から前記流体移送管路の前記多孔性セクションまで清浄流体を送出するように構成された流体取水ポートを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記流体移送管路の前記外面上の前記紫外線透過セクションが、管路の剛性ドメインを形成し、
前記紫外線透過セクションを有しない前記流体移送管路の前記外面上のセクションが、管路の可撓性ドメインを形成する、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、流体を移送するための管路に関し、さらに具体的には、紫外線を用いた管路の内壁の処理(例えば、消毒、殺菌、衛生化および/または同種のもの)を行うための解決策に関する。
【背景技術】
【0002】
これらの流体をディスペンスするためのフィードラインを有するコーヒー、茶およびソーダディスペンスマシンは、流体を移送する管路を有する機械の例である。これらの流体ディスペンスマシン内のフィードラインは、概して、ライムスケールやバイオフィルム等の汚染物の堆積によって損なわれる。ライムスケールおよびバイオフィルムの堆積は、フィードライン内にディスペンスされた流体が苦味および/または不快臭を有する場合に厄介なものになる可能性がある。また、スケールおよびバイオフィルムの蓄積は、ディスペンスされた流体に移る可能性がある細菌のための「家」になる可能性がある。ライムスケールおよびバイオフィルム、例えば塩を除去するための従来の手法や、化学的方法は、これらの手法が機械からディスペンスされた流体の味に影響を及ぼすので望ましくない。その結果、スケールおよびバイオフィルムの堆積を除去するために、手作業によるフィードラインのメンテナンスが必要である。フィードラインに対する手作業によるメンテナンスの結果は、汚染物を除去する際の有効性の点で矛盾する。スケールおよびバイオフィルムの矛盾した除去によって、流体ディスペンスマシンの効率性が最終的に損なわれ、それによってより高いエネルギーおよび水費用が生じる。さらに、手作業によるフィードラインのメンテナンスは、労働、供給および機械休止時間の点で費用がかかる。矛盾する結果および高い費用によって、スケールおよびバイオフィルムの堆積を取り除くための流体ディスペンスマシンの手作業によるメンテナンスは理想的な解決策ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の態様は、流体移送管路の紫外線洗浄または処理(例えば、消毒、殺菌、衛生化)であって、流体移送管路の内壁上に蓄積する可能性がある汚染物を除去するための紫外線洗浄または処理を目的とする。概して、本明細書に記載される紫外線洗浄または処理によって除去され得る汚染物は、管路の内壁上に生じ得る任意の物理的、化学的、生物学的または放射線学的物質または物を含む。除去され得る汚染物の例としては、スケール、バイオフィルム、細菌、ウイルス、病原体および同種のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の各種実施形態は、流体または液体を搬送するかまたは分布させるために用いられる任意の管路であって、除去されない場合に時間と共に動作上および/または健康上の懸念を引き起こす汚染物の蓄積に対してその内壁が影響されやすい任意の管路の用途に適切である。管路の例としては、配管、管、流路、ダクト、通路等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の各種態様は、一組の紫外線源から放射された紫外線を流体移送管路内に方向づけて、流体移送管路の内壁に、それから汚染物を除去するために照射するための光ガイド部を含む。一実施形態において、光ガイド部は、流体移送管路を囲む光ガイド層を含む。光ガイド層は、紫外線反射層と、紫外線を拡散的に散乱させるための紫外線抽出表面と、紫外線反射層および紫外線抽出表面の間に形成された紫外線透過層とを有する導波路構造を含むことができる。一実施形態において、紫外線抽出表面は、紫外線抽出表面から出る紫外線の均一性に相当するラフネス密度を有するラフネス層を含むことができる。
【0005】
動作において、光ガイド層は、一組の紫外線源から放射された紫外線を流体移送管路の外面上の紫外線透過セクションに方向づけることができる。放射された紫外線は、紫外線透過セクションを通過し、流体移送管路を通過し、内壁を照射する。一実施形態において、流体移送管路の外面上の紫外線透過セクションは、紫外線透過窓の形態をとることができる。これらの窓は、材料、例えば、含むものではないが、紫外線透過フルオロポリマー、石英、AAO、SiO2およびサファイアを含むことができる。一実施形態において、一組の紫外線透過窓は、上壁と、底壁と、一対の側壁と、一対の側壁の間で延びる複数の水平セグメントと、上壁および底壁の間で延びる複数の垂直セグメントとを有する筐体を含むことができる。複数の水平セグメントおよび複数の垂直セグメントの交点の間に、一組の空隙が形成され得る。
【0006】
流体移送管路の外面上の紫外線透過セクションは、一組の紫外線透過ドメインを含むこともできる。一実施形態において、各紫外線透過ドメインは、紫外線透過窓の内の1つに隣接して位置することができる。このようにして、紫外線透過ドメインおよび紫外線透過窓は、流体移送管路の内壁への紫外線源から放射された紫外線の紫外線透過および光ガイドのために構成される。一実施形態において、紫外線透過セクションは、流体移送管路の外面上に剛性ドメインを形成することができるが、紫外線透過セクションを有しない流体移送管路の外面上のセクションは、可撓性ドメインを形成することができる。
【0007】
一実施形態において、光ガイド層の外面は、各ポートが紫外線源の内の1つを受け入れるように構成される一組のポートを含むことができる。ポートの上の配置のために複数の反射素子を構成することができる。一実施形態において、それに連結された紫外線源を有しない各ポートは、その上に配置された複数の反射素子の内の1つを有することができるが、それに連結された紫外線源を有する各ポートは、紫外線源およびポートの両方にわたって配置された反射素子の内の1つを有することができる。各ポートは、距離Lだけ隣接ポートから分離され得るが、ここでLは、1つの紫外線源から放射された紫外線が部分的に減衰する距離である。一実施形態において、Lは、1つの紫外線源から放射された紫外線が、紫外線源が配置された位置で発せられた強度の少なくとも30%の強度を有する距離であることができる。別の実施形態において、Lは、隣接紫外線源の間の距離であることができるが、ここで隣接紫外線源の間で伝播する紫外線は、隣接紫外線源の各々の位置で放射された紫外線の強度と同等である、この距離の半分L/2における強度を有する。
【0008】
一組の紫外線源は、様々な仕方で流体移送管路にわたって分布させることができる。例えば、紫外線源は、流体移送管路の表面エリアの全てにわたって分布させることができる。別の実施形態において、紫外線源は、流体移送管路の表面エリアの限定部分だけを覆うことができる。例えば、紫外線源は、流体移送管路の第1端部から流体移送管路の反対側の第2端部まで軸線方向に均一に延びることができる。
【0009】
一実施形態において、流体移送管路は、流体移送管路の外面からその内壁に延びる多孔性セクションを含むことができる。本実施形態において、光ガイド層は、流体移送管路の多孔性セクションに近接する流体取水ポートを含むことができる。このようにして、流体移送管路の内壁を洗浄するために流体取水ポート内に流体移送管路の多孔性セクションを通して清浄流体源からの清浄流体を送出することができる。
【0010】
一実施形態において、流体移送管路は、流体移送管路内で送出された流体内における混合作用を生じるように構成された清浄混合部を含むことができる。混合作用によって、流体移送管路の内壁上に蓄積されたあらゆる汚染物の取り除きが促進され得る。清浄混合部は、流体移送管路の壁を洗浄するために紫外線源と共に動作することができる。
【0011】
流体移送管路の内壁を洗浄するための他の手法を光ガイド層および紫外線源と共に用いることができる。例えば、流体移送管路の内壁の少なくとも一部は、紫外線の効果を増強するための紫外線光触媒を含むことができる。一実施形態において、紫外線光触媒は、プラズモン触媒作用を達成するための金属または半導体ナノ粒子を組み込むことができる。別の実施形態において、流体移送管路の内壁は、ある種の汚染物の形成および蓄積を阻害することができる非生物汚損材料を含むことができる。一実施形態において、化学的デスケーラは、紫外線源と共に動作して、流体移送管路の内壁から汚染物を化学的に除去することができる。
【0012】
制御部は、紫外線源のための設定動作パラメータを調整するために配備され得る。動作パラメータは、紫外線源が紫外線を放射する持続時間と、紫外線源によって送出された紫外線の線量と、紫外線源を動作させるための電力設定とを含むことができる。一実施形態において、制御部は、流体移送管路の内壁からの汚染物の除去に応じて、これらのパラメータを調整することができる。
【0013】
1つ以上のセンサが、制御部と共に動作して、紫外線源から流体移送管路の内壁へ生成された紫外線を制御することができる。一実施形態において、光ガイド部を通って伝播する紫外線の強度を検出するために紫外線センサを用いることができる。一実施形態において、動作パラメータの内の1つに特異的な少なくとも1つのセンサを用いて、流体移送管路の内壁を消毒する間に該当する動作パラメータのモニタリングを行うことができる。センサに加えて、またはセンサの代わりに、他の検出装置を用いることができる。例えば、流体移送管路の内壁上の汚染の量を決定するために、少なくとも1つの可視カメラを用いることができる。制御部は、測定されたパラメータ値を表すセンサから信号を受信することが可能であり、これらの測定値に応じて流体移送管路の内壁の消毒を制御することが可能である。一実施形態において、電源部は、紫外線源と、制御部と、センサとに電力を提供することができる。
【0014】
各種実施形態は、様々な実現の内の1つにおいて構成され得る。例えば、単に光ガイド層に連結された紫外線源を有するだけでなく、流体移送管路の内部の中の挿入のために実現され得る紫外線インサートモジュールとして構成される一組の源を利用することも可能である。このようにして、紫外線インサートモジュール内の紫外線源を用いて、直接、流体移送管路の内壁を照射することができる。別の実施形態において、紫外線源、光ガイド部、制御部および任意の他の付随する構成要素、例えばセンサおよび電源は、流体移送管路への接続のために適合させた消毒モジュールを形成することができる。このようにして、流体移送管路の2つの隣接セクション間の交差接続として消毒モジュールを用いて、これらのセクションや、それらに近接する他のセクションを洗浄することができる。
【0015】
本発明の第1の態様は、流体移送管路処理システムであって、外面上に分布させた複数の紫外線透過窓を有する流体移送管路と、前記流体移送管路を囲む光ガイド部を有する外側管路と、前記光ガイド部に連結された複数の紫外線源であって、前記紫外線源の各々が、前記紫外線透過窓の内の少なくとも1つを通って、前記流体移送管路を通過し、前記流体移送管路の内壁を照射する紫外線を放射するように構成される、複数の紫外線源と、前記複数の紫外線源が、所定の持続時間、前記流体移送管路の前記内壁に所定の線量の紫外線を送出するようにするための制御部と、を含む流体移送管路処理システムを提供する。
【0016】
本発明の第2の態様は、流体移送管路と、複数の紫外線源と、前記複数の紫外線源から放射された紫外線を前記流体移送管路内に方向づけて、前記流体移送管路の内壁に、それから汚染物を除去するために照射するための光ガイド部と、前記複数の紫外線源が、所定の持続時間、前記光ガイド部を介して、前記流体移送管路の前記内壁に所定の線量の紫外線を放射するようにするための制御部と、前記複数の紫外線源と前記制御部とに電力を提供するための電源と、を含むシステムを提供する。
【0017】
本発明の第3の態様は、流体移送管路の内壁を消毒するためのシステムであって、前記流体移送管路を囲む光ガイド層であって、前記光ガイド層が、紫外線反射層と、前記光ガイド層からの紫外線を拡散的に散乱させるための紫外線抽出表面と、前記紫外線反射層および前記紫外線抽出表面の間に形成された紫外線透過層とを有する導波路構造を含む、光ガイド層と、紫外線を前記流体移送管路の前記内壁に方向づけるための前記光ガイド層に動作的に連結された複数の紫外線源であって、前記光ガイド層が、前記複数の紫外線源から放射された紫外線を前記流体移送管路の外面上の紫外線透過セクションに方向づけ、放射された前記紫外線が、前記紫外線透過セクションを通過し、前記流体移送管路を通過し、前記内壁を照射する、複数の紫外線源と、前記流体移送管路の前記内壁からの汚染物の除去に応じて、前記複数の紫外線源の複数の動作パラメータを調整するための制御部であって、前記複数の動作パラメータが、前記紫外線源が紫外線を放射する持続時間と、前記紫外線源によって送出された紫外線の線量と、前記紫外線源を動作させるための電力設定とを含む、制御部と、を含むシステムを提供する。
【0018】
本発明の例示的な態様は、本明細書に記載された課題の内の1つ以上および/または考察されていない1つ以上の他の課題を解決するように設計される。
【0019】
本開示のこれらのおよび他の特徴は、本発明の各種態様を示す添付図面と共に示された本発明の各種態様の以下の詳細な記載から、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】例えばソーダディスペンスマシン等の流体ディスペンスマシン内で用いられる流体移送管路に異常をもたらす可能性がある汚染物の堆積を模式的に示す。
【
図1B】例えばソーダディスペンスマシン等の流体ディスペンスマシン内で用いられる流体移送管路に異常をもたらす可能性がある汚染物の堆積を模式的に示す。
【
図1C】例えばソーダディスペンスマシン等の流体ディスペンスマシン内で用いられる流体移送管路に異常をもたらす可能性がある汚染物の堆積を模式的に示す。
【
図2A】実施形態に係る、一組の紫外線源が連結された光ガイド部によって囲まれた紫外線透過セクションを有する流体移送管路の概略図を示す。
【
図2B】実施形態に係る、一組の紫外線源が連結された光ガイド部によって囲まれた紫外線透過セクションを有する流体移送管路の概略図を示す。
【
図3】実施形態に係る、流体移送管路と共に利用され得る紫外線透過窓の構造の概略図を示す。
【
図4】実施形態に係る、光ガイド部と共に用いられ得る光ガイド層の概略図を示す。
【
図5】実施形態に係る、紫外線源との連結のためのポートと、ポートの内の一部を覆って形成された反射素子と、少なくとも1つのセンサとを有する光ガイド層の概略図を示す。
【
図6】実施形態に係る、紫外線源から生成された光の減衰を示す光ガイド層の概略図を示す。
【
図7】実施形態に係る、導波路構造の形態における光ガイド層の概略図を示す。
【
図8】実施形態に係る、紫外線透過窓と紫外線透過窓に近接する紫外線透過ドメインとを含む紫外線透過セクションを有する流体移送管路の概略図を示す。
【
図9】実施形態に係る、概して可撓性材料から形成された流体移送管路および光ガイド層の概略図を示す。
【
図10A】実施形態に係る、流体移送管路および流体移送管路を囲む光ガイド層の表面にわたる一組の紫外線源の分布の例を示す。
【
図10B】実施形態に係る、流体移送管路および流体移送管路を囲む光ガイド層の表面にわたる一組の紫外線源の分布の例を示す。
【
図11A】実施形態に係る、多孔性セクションを有する流体移送管路と、多孔性セクションを介して流体移送管路の内壁に清浄流体を送出するための流体取水ポートを有する光ガイド層との概略図を示す。
【
図11B】実施形態に係る、多孔性セクションを有する流体移送管路と、多孔性セクションを介して流体移送管路の内壁に清浄流体を送出するための流体取水ポートを有する光ガイド層との概略図を示す。
【
図12】実施形態に係る、流体移送管路内で送出された流体に対して、流体移送管路の内壁を洗浄するために混合作用を付与するように構成された清浄混合部の概略図を示す。
【
図13】実施形態に係る、流体移送管路内に挿入して、直接、流体移送管路の内壁を照射することができる一組の紫外線源を有する紫外線インサートモジュールの概略図を示す。
【
図14A】実施形態に係る、流体移送管路への接続のために適合させて、その内壁を洗浄することができる、紫外線源と光ガイド部と制御部とを有する消毒モジュールの概略図を示す。
【
図14B】実施形態に係る、流体移送管路への接続のために適合させて、その内壁を洗浄することができる、紫外線源と光ガイド部と制御部とを有する消毒モジュールの概略図を示す。
【
図15】実施形態に係る、
図2~
図14に示される実施形態の内のいずれかによって実現され得る紫外線洗浄部の概略図を示す。
【
図16】実施形態に係る、流体移送管路の内壁の洗浄処理を容易にするために、
図15に示される紫外線洗浄部を用いることができる例示的な環境の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
なお、図面は、一定の比率でなくてもよい。図面は、本発明の典型的な態様だけを示すことが意図されるものであって、ゆえに、本発明の範囲を限定するものとして考えられるべきではない。図面において、同様の番号付与は、図面の間における同様の要素を表す。
【0022】
上記のように、本発明の態様は、流体移送管路の紫外線洗浄または処理(例えば、消毒、殺菌、衛生化)を行って、流体移送管路の内壁上に蓄積し得る汚染物を除去することを目的とする。概して、各種実施形態は、流体または液体を搬送するかまたは分布させることができる任意の管路であって、除去されない場合に時間と共に動作上および/または健康上の懸念を引き起こす汚染物の蓄積に対してその内壁が影響されやすい任意の管路の用途に適切である。流体移送管路の例としては、配管、管、流路、ダクト、通路等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載される紫外線洗浄または処理によって除去され得る汚染物は、管路の内壁上に生じ得る任意の物理的、化学的、生物学的または放射線学的物質または物を含むことができる。除去され得る汚染物の例としては、スケール、バイオフィルム、細菌、ウイルス、病原体および同種のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
流体移送管路の内壁を洗浄するための各種実施形態は、さらに詳細には以下に記載される、管路の紫外線洗浄処理を容易にする多くの構成要素(それらの内の一部は所望により存在してもよい)を含むことができる。そのそれぞれの構成要素を含む各種実施形態と共に用いられる手法は、本明細書に記載されている実施形態の概念および構成を組み込む、任意の、現在知られているかまたは後に開発された手法を含むことができる。
【0024】
本明細書において用いられる場合、流体移送管路の洗浄または処理は、流体移送管路の内壁からの汚染物の取り除きまたは除去、ならびに内壁の衛生化、消毒および/または殺菌を伴うことができる。衛生化は、概して、多くの細菌性汚染物を所定の安全レベルに減少させることを意味する。消毒は、概して、病原性および他の型の微生物を破壊することを意味するが、殺菌は、それが全ての微生物形態を死滅させるという点でより広範囲にわたるものになることが可能であり、かつ/または、微生物形態が繁殖する能力を破壊することを含む可能性がある。
【0025】
紫外線は、紫外光と交換可能に用いられ得るが、約10nm~約400nmの範囲の波長を有する電磁放射線を意味する。この範囲内において、約315nm~約400nmの範囲の波長を有する紫外線A(UV-A)電磁放射線と、約280nm~約315nmの範囲の波長を有する紫外線B(UV-B)電磁放射線と、約100nm~約280nmの範囲の波長を有する紫外線C(UV-C)電磁放射線とがある。
【0026】
概して、紫外線、特に220nm~340nmの範囲の波長を有する放射線は、流体移送管路の内壁から汚染物を取り除くか、または除去するために充分である。一実施形態において、約20~約34ミリワット秒/cm2の線量において250nm~290nmの波長を有する放射は、流体移送管路の内壁上に生じ得る病原体の約99パーセントを非活性化するために充分である。UV-B放射およびUV-C放射は「殺菌性」であり、すなわち、それは、細菌、ウイルスおよび他の病原体のDNAを非活性化し、したがって、それらの疾患を増大させ、かつ引き起こす能力を破壊することができる。これによって、効果的に微生物の殺菌がもたらされる。具体的には、UV-B放射およびUV-C放射は、DNA内のある種の隣接塩基間の共有結合を形成することによって微生物の核酸に対する損傷を引き起こす。これらの結合の形成によって、DNAが複製のために「鎖をほどく(Unzipped)」ことが阻止され、生物は、生命プロセスのために必須の分子を生成することも繁殖することもできない。実際、生物がこれらの必須の分子を生成することができないか、または複製することができない場合、それは死滅する。おおよそ約250~約290nm間の波長を有する紫外線によって、最も高い殺菌性の有効性およびウイルス消毒が提供される。紫外線に対する感受性が変化すると共に、約20~約34ミリワット秒/cm2についての上記範囲内の紫外線エネルギーに対する曝露が、上記のように病原体の約99パーセントを非活性化するために適切である。
【0027】
本明細書において用いられる場合、材料/構造が特定の波長の紫外光に対して少なくとも30パーセントの紫外線反射係数を有する場合、材料/構造は、特定の波長の紫外光に対して「反射性」であると考えられる。高い紫外線反射性の材料/構造は、少なくとも80パーセントの紫外線反射係数を有する。さらに、材料/構造/層によって、材料/構造/層の界面に垂直入射で放射される目標波長を有する放射の少なくとも10パーセントがそこを通過するようになる場合、材料/構造/層は、特定の波長の紫外線に対して「透明」であると考えられる。
【0028】
以下の記載は、特定の実施態様だけを記載する目的のために本明細書において他の用語を用いてもよいが、本開示を限定することを意図するものではない。例えば、特に明記しない限り、「組」という用語は、1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を意味し、「任意の解決策」という句は、現在知られている、または後に開発された任意の解決策を意味する。単数形形態「1つの(a)」、「1つの(an)」および「前記(the)」は、文脈がそれ以外の場合を明確に示さない限り、複数形の形態も含む。本明細書において用いられる場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(have)」および「有する(having)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、素子および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、素子、構成要素および/またはそれらの群の存在または付加を排除するものではないことが、さらに理解されるであろう。
【0029】
図面を参照すると、
図1A~1Cは、汚染物の堆積によって流体ディスペンスマシン内で用いられる流体移送管路上にもたらし得る問題を模式的に示す。
図1Aで示される通りのこの例についての機械の型は、一組のディスペンスタブ12であって、圧力がディスペンスタブに印加された際に、選択された飲料をカップ内に供するように各々が構成される一組のディスペンスタブ12を有するソーダディスペンスマシン10に関する。流体ディスペンスマシン10の内部構成要素は
図1Aに示されないが、それは、圧力で密封された水容器と、二酸化炭素(CO
2)シリンダと、印加可能なディスペンスタブ12を押圧した際にユーザに供することができる飲料の内の1つに各々相当する風味シロップの容器とを含むことができることが理解される。ディスペンスタブ12の内の1つを選択した際、炭酸水が放出され、特定の量の風味シロップが炭酸水に供給される。炭酸水に供給される風味シロップの量は変化し得るが、それは、通常、その水より大きな量、例えば、5:1~炭酸水に対する風味シロップの比である。選択された飲料に対応するフィードライン(例えば、配管または管)は、ディスペンスされた飲料を受け取るために待っている顧客が典型的にはカップを有するディスペンスタブ12に流体を供給する。過剰飲料トレイ14は、カップからあふれ出る任意の流体、またはユーザが消費することを望まない量を受け入れることができる。
【0030】
これらの流体をディスペンスするフィードラインは、ライムスケールやバイオフィルム等の汚染物の堆積によって損なわれる。
図1B~1Cに示されるように、フィードライン16上に蓄積し得る汚染物は、風味シロップ18と炭酸水20とを提供するラインを含む。特に、汚染物は、プラーク22の沈着物の形態でフィードラインの内壁上に蓄積する可能性がある。プラーク22は、フィードラインの内壁上のどこにでも蓄積する可能性があるが、この沈着物は、
図1Cに示されるように、通常、風味シロップおよび炭酸水の組み合わせを搬送するフィードラインのセクション上に生じる。フィードラインの内壁上の汚染物の堆積によって、流体は、苦味および/または不快臭と共にディスペンスされるようになる。また、汚染物の蓄積は、飲料に移る可能性がある細菌のための「家」になる可能性がある。炭酸水と、通常大量の糖を含有する風味シロップとの混合の結果、細菌増殖のための環境は、より蔓延するようになる。手動でラインを洗浄することを含む、フィードラインを洗浄する現在の手法は、その矛盾する結果、長い機械休止時間および高い費用のため、理想的な解決策ではない。
【0031】
本発明の実施形態は、フィードラインから汚染を減少させるか、または除く解決策を提供するように設計される。フィードラインの内壁上の汚染物の堆積は、流体を供給するために用いられる流体移送管路を有する多くの流体ディスペンスマシンに異常をもたらす可能性があることが理解される。本発明の実施形態は、機械のメンテナンスおよび休止時間を頻繁な事象とする、プラーク、スケール、バイオフィルムおよび同種のもの等の汚染物の蓄積を受けやすい流体移送管路を有する任意の流体ディスペンスマシンの用途に適切である。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、
図2A~2Bは、一組の紫外線源30に連結された光ガイド部28によって囲まれた紫外線透過セクション26を有する流体移送管路24の概略図を示す。一実施形態において、紫外線透過セクション26は、管路24の外面32上に分布する複数の紫外線透過窓を含むことができる。本実施形態において流体移送管路24を囲繞する光ガイド部28は、一組の紫外線源30を含むことができる。紫外線源30の各々は、紫外線透過窓の内の少なくとも1つを通って紫外線を放射するように構成される。紫外線は、流体移送管路24を通過し、流体移送管路の内壁34を照射する。
【0033】
これらの図には示されていないが、一組の紫外線源30が、所定の持続時間、流体移送管路24の内壁34に所定の線量の紫外線を送出するようにするために、制御部を用いることができる。このようにして、紫外線源30は、流体移送管路24の内壁34に、内壁上に蓄積したあらゆる汚染物を取り除くか、または除去する充分な量の紫外線を送出することができる。この紫外線による流体移送管路24の内壁34の処理は、流体移送管路内で供給され、かつ消費される流体と混合する可能性がある内壁上の病原体および細菌の蓄積を最小限に抑えるものであり、その可能性は、健康安全性の観点から望ましくない。
【0034】
管路24の外面32上に分布する一組の紫外線透過窓によって、紫外線源30から放射された紫外線が流体移送管路24を通過し、流体移送管路の内壁34を照射することが可能になり、それによって、流体移送管路内に存在する汚染物を含む飲料を飲む者の健康を脅す可能性がある多くの生物の根絶および抑制が可能になる。紫外線透過窓は、紫外線透過フルオロポリマー、石英、AAO、SiO2およびサファイアを含むことができるが、これらに限定されるものではない。紫外線透過フルオロポリマー材料の例としては、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(EFEP)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオリドコポリマー(THV)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ペルフルオロメチルアルコキシ(MFA)、テフロン(登録商標)および/または同種のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。主にフルオロポリマーと共に記載されるものの、他の類似の材料、例えば、ポリ乳酸(PLA)、溶融シリカ、サファイア、THE、紫外線透過ガラス、紫外線透過結晶および/または同種のものを利用することができることが理解される。他の透過材料としては、SiO2、TiO2、Al2O3、CaF2、MgF2を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
一組の紫外線透過窓は、紫外線源30から放射された紫外線の通路を可能にするように多くの形態の内の1つにおいて構成され得る。例えば、
図3は、流体移送管路と共に利用され得る紫外線透過窓36の構造の概略図を示す。一実施形態において、窓36は、向上した透過性を可能にする一組の空隙を有する機械的固体構造を提供するように設計された一組の薄層を有する筐体38を含むことができる。
図3に示されるように、筐体38は、上壁40と、底壁42と、一対の側壁44と、一対の側壁の間で延びる一組の水平セグメント46と、上壁および底壁の間で延びる一組の垂直のセグメント48とを有することができる。この構成によって、水平セグメント46および垂直セグメント48の交点の間に、一組の空隙50を形成することができる。
【0036】
図2A~2Bに戻り、紫外線源30の各々は、光ガイド部28内に位置することができる。例えば、流体移送管路24の内壁34の洗浄処理を実現するために紫外線透過セクション26の方へ紫外光を発するように紫外線源の放射面を向けるように、紫外線源30は光ガイド部28の内面に付着することができるか、または光ガイド部内に紫外線源を組み込むことができる。
【0037】
一組の紫外線源30は、1つ以上の紫外線エミッタのいずれの組み合わせも含むことができる。紫外線エミッタの例としては、高強度紫外線ランプ(例えば、高強度水銀灯)、放電ランプ、紫外線LED、スーパールミネッセントLED、レーザーダイオードおよび/または同種のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、一組の紫外線源30は、III族窒化物材料システム(例えば、AlxInyGa1-X-YN(式中、0≦x,y≦1、x+y≦1)および/またはその合金)から選択される材料の1つ以上の層によって製造された一組のLEDを含むことができる。さらに、一組の紫外線源30は、特定の方向において、特定のパターンにおいて、および/または同種のものにおいて、発せられた放射を特定の位置/エリアに方向づけ、かつ/または送出するための1つ以上のさらなる構成要素(例えば、導波路構造、(1つまたは複数の)紫外線エミッタの再配置および/または再方向づけを行うための構成要素等)を含むことができる。例示的な導波路構造としては、導波路、各々が開口部で終端する複数の紫外線ファイバ、拡散体、光ガイド層、光拡散層および/または同種のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
図2Aと残りの図に示された他の実施形態とに示された紫外線源30の数は例示的であるだけであることが理解される。当業者は、いかなる数の紫外線源が光ガイド部28内に位置してもよいことを理解するであろう。
【0039】
流体移送管路24の内壁34の洗浄処理を実現するために、紫外線源30は、多くの波長で動作させるように構成され得る。例えば、一実施形態において、紫外線源30は、約250nm~約290nmの範囲の波長で動作するように構成され得る。別の実施形態において、紫外線源30は、多重波長で同時に動作するように構成され得る。例えば、少なくとも1つの紫外線源30は、280nmのピーク波長を有する第1の波長で動作することが可能であるが、少なくとも1つの他の紫外線源は、250nmのピーク波長で第2の波長で動作することが可能であり、各々は約20nmの波長範囲を有する。約20~約34ミリワット秒/cm2の範囲の線量で、所定の時間、この波長範囲内の紫外光を発光することは、殺菌性の有効性の観点から、流体移送管路24の内壁34を効果的に洗浄するために充分である。
【0040】
紫外線源30は、調和させた他の方式で機能するように構成され得ることが理解される。例えば、紫外線源30は、同じ持続時間、同じ波長および強度で動作することができるか、または紫外線源は、様々な持続時間、異なる波長および強度で動作することができる。一実施形態において、第1の組の紫外線源30は、細菌および/またはウイルスの消毒のために設計された目標波長および強度で動作することができるが、第2の組の紫外線源30は、流体移送管路24の内壁34から汚染物を除去するか、または取り除くために設計された異なる目標波長および強度で動作することができる。
【0041】
制御部は、
図15~16に関してさらに詳細に以下で説明されるが、流体移送管路24の内壁34の洗浄処理を開始するために使用され得る。制御部は、流体移送管路24の内壁34の洗浄処理のための複数の動作パラメータを特定することができる。複数の動作パラメータとしては、洗浄処理時間または紫外線源30が紫外線を発する持続時間、紫外線源30によって送出される紫外線の線量、紫外線源を動作させるための電力設定、紫外線洗浄処理のための最大動作温度を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの動作パラメータは、制御部によって設定され得る動作パラメータの内の一部を例示するものであって、特定されてもよい他のパラメータ、例えば、消毒のために用いられる紫外光の波長および/または同種のものが存在するので限定的であることを意味するものではないことが理解される。
【0042】
制御部に加えて、他の構成要素は、流体移送管路24の内壁34の洗浄処理を実現するために使用され得る。例えば、洗浄処理の間に動作パラメータの内の1つのモニタリングを行い、その信号を制御部に提供するように、少なくとも1つのセンサを構成することができる。制御部は、センサから受信した信号に応じて洗浄処理の動作を制御し、流体移送管路24の内壁34からの汚染物の除去に対応する方式でパラメータを調整することができる。用いることができるセンサの例としては、細菌性蛍光センサ、可視光センサ、温度センサ、圧力センサ、化学センサ、放射センサ(例えば、紫外線線量カウンタまたはメータ)、可視カメラ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
一実施形態において、細菌性蛍光センサは、流体移送管路24の内壁34上に存在する細菌、病原体、ウイルスおよび/または同種のものの存在がある量または領域を検出することができる。例えば、細菌性蛍光センサは、細菌、病原体、ウイルスおよび同種のものの量に関して内壁の条件を表す信号を生成し、それらの信号を制御部に送信することができる。ひいては、制御部は、任意の解決策を用いて、細菌性蛍光センサによって提供されたフィードバック信号に応じて、洗浄処理が必要なのかどうかを決定することが可能であり、紫外線源30が適切な強度を有する放射を適用可能なエリアに方向づけるようにすることが可能である。一実施形態において、制御部は、流体移送管路24の内壁34が、所定の閾値を超え、したがって、洗浄処理を必要とする量の細菌、病原体、ウイルスおよび/または同種のものを有することの決定に応じて、紫外線源30の動作を活性化させることができる。制御部によって紫外線源30の動作を活性化させることは、上述の動作パラメータを特定することを含むことができる。また、制御部は、流体移送管路24の現在の処理サイクルを調整するために、センサからの信号を用いることができる。
【0044】
他の実施形態において、制御部は、紫外線源30が特定の洗浄処理のために稼働している持続時間を管理し、かつその持続時間、放射が流体移送管路24の内壁34に適用されることを確実にするための、スイッチおよび/または同種のものを有するタイマ(例えば、線量タイマ)を含むことができる。一実施形態において、タイマと共に動作する制御部は、紫外線源30がUV-B範囲に対してUV-C範囲内で放射する時間を管理することができる。紫外線源30が利用される持続時間および頻度処理は、センサの内のいずれかによって制御部に提供される検出条件信号に依存する可能性がある。
【0045】
洗浄処理の動作の間、制御部は、紫外線源30から放射された紫外線に関連付けられた複数の所定の紫外線特性の内の少なくとも1つを制御するために使用され得る。制御部によって制御され得る所定の紫外線特性としては、波長、強度および持続時間および/または同種のものを挙げることができる。一実施形態において、制御部は、空間的に流体移送管路24の内壁34にわたって、紫外線の波長および強度を制御することができる。一例として、制御部は、流体移送管路24の内壁34上の細菌および/またはウイルスの消毒のために設計された持続時間、目標波長および強度で動作するように紫外線源30を制御することができる。
【0046】
実施形態において、制御部は、前回の洗浄が行われた時からの時間に基づいて、放射の目標強度を決定することができる。例えば、制御部は、前回の洗浄がある期間内に行われた場合に最小の紫外線強度が利用されるアルゴリズムを実現することが可能であり、前回の洗浄が最大の期間にわたって行われた場合に利用される最大強度に強度を増大させる。強度範囲は、紫外線源30の属性に基づいて決定され得る。様々な強度に対応する時間の範囲にわたって、段階的または連続的に、目標強度を増加させることができる。時間の範囲は、例えば、期間について典型的な汚染の深刻度に関して得られたフィードバックデータに基づいて決定され得る。実施形態において、制御部は、前回の洗浄からの時間が最大推奨時間(例えば、最大紫外線に対応する時間)を超えた場合にユーザへの提示のための警告信号を生成することができる。警告信号は、例えば振動装置を含む任意の型の出力装置、可視光(例えば、閃光)、スピーカによって生成された聴覚信号および/または同種のものを用いて生成され得る。
【0047】
また、洗浄処理の動作の間、任意のセンサによって提供される検出条件に依存した紫外線源30をオンまたはオフにするために制御部を用いることができる。センサによって検出された条件に基づいて、紫外線特性の内の1つ以上を調整するために、制御部を用いることもできる。例えば、制御部は、紫外線源30の内のいずれかから発せられた紫外線の強度、波長、持続時間および/またはパターンを調整するために、流体移送管路24の内壁34上に存在する細菌、病原体、ウイルスおよび/または同種のものの量を表す、細菌性蛍光センサからの信号を用いることができる。別の実施形態において、制御部は、温度センサからの温度信号の受信と、洗浄処理の温度が最高温度を超えたことの決定とに応じて紫外線源30の動作を中断するように構成され得る。制御部は、所定の冷却時間が経過した後で洗浄処理を再開することができる。
【0048】
一実施形態において、制御部は、Wi-Fi、ブルートゥース(登録商標)および/または同種のものを介して遠隔位置と通信するように構成される無線送信器および受信器を含むこともできる。本明細書において用いられる場合、遠隔位置は、流体移送管路24を有する流体ディスペンスマシンから離れた位置である。例えば、無線送信器および受信器に動作上の命令を伝送するために、遠隔コンピュータを用いることができる。動作上の命令は、制御部によって実行され、かつ管理される機能をプログラム化するために使用され得る。別の実施形態において、無線送信器および受信器は、流体移送管路24の内壁34の洗浄におけるメンテナンスおよび診断上の動作を容易にするために、洗浄処理結果、すなわちセンサから遠隔コンピュータへのデータを伝送することができる。
【0049】
一実施形態において、制御部は、ユーザが、その流体移送管路を含む流体ディスペンスマシンの洗浄と相互作用して、洗浄処理に関する情報を受け取るようにするための入力構成要素および出力構成要素を含むことができる。一実施形態において、入力構成要素は、ユーザが上述した複数の動作パラメータの内の少なくとも1つを調整することができるようにすることが可能である。これは、洗浄処理動作の間、および/または、処理の開始前に、調整をすることを含むことができる。一実施形態において、入力構成要素は、ユーザが洗浄処理と共に動作パラメータに関する各種入力選択を特定することを可能にするための一組のボタンおよび/またはタッチスクリーンを含むことができる。一実施形態において、出力構成要素は、洗浄処理についての状態情報(例えば、残り時間、細菌、ウイルス、病原体または同種のものの存在)、洗浄処理が推奨されるという表示、装置が殺菌、消毒、衛生化されたという表示、装置が消毒、衛生化されたという表示、その最後の使用の後の表示、洗浄処理が進行中であるかどうか(例えば、照明光)または洗浄処理が終わっているかどうか(例えば、照明光の欠如)について表示する単純な視覚的指標を提供するための視覚的表示装置を含むことができる。
【0050】
流体移送管路24の洗浄に用いることができる、
図2A~2Bに示されない別の構成要素は、紫外線源30、制御部およびセンサの各々に給電するように構成された電源である。一実施形態において、電源は、1つ以上の電池、磁気誘導振動または圧電性結晶において発生した応力に基づいた電力を発生させることができる振動電力発生器の形態をとることができる。別の実施形態において、電源は、再充電可能な超コンデンサを含むことができる。電源の用途に適切な他の電力構成要素としては、圧電性結晶等の機械的エネルギー-電気エネルギー変換器や、再充電可能装置を挙げることができる。
【0051】
これらの構成要素のさらなる詳細は、
図15~16に示され、さらにこれらの図に関して考察される。これらの構成要素は、
図3~14に示される他の実施形態を用いるときと同様に、
図2A~2Bに示される流体移送管路24の紫外線洗浄処理を容易にするためのシステムの用途に適切である。これらの構成要素の機能は変化する可能性があり、流体ディスペンスマシンと、そのような機械に用いられる流体移送管路の型とに依存することが理解される。したがって、記載された機能は、実施される特定の機能および動作の例を例示するだけであって、
図3~14に関する実施形態を用いるときと同様に、
図2A~2Bの実施形態に限定されることを意味するものではない。
【0052】
図4は、実施形態に係る、光ガイド部として使用され得る光ガイド層52の概略図を示す。本実施形態において、光ガイド層52は、光ガイド層52に連結された紫外線源30から放射された紫外線を導く導波路構造54を含むことができる。
図4に示されるように、紫外線源30は、一端で光ガイド層52に連結され得る。例えば、光ガイド層52およびそれが囲む流体移送管路が円筒の形態をとる実施形態において、その一端の円周の全表面エリアのあたりに紫外線源30を設けることができる。このようにして、光ガイド層52の導波路構造54は、紫外線源30から光ガイド層の円筒形状の反対側端部に紫外線を導くことができる。
【0053】
一実施形態において、
図4に示されるように、導波路構造54は、紫外線反射層56と、わずかな紫外線を光ガイド層52から流体移送管路(図示されない)の内部に拡散的に散乱させるための紫外線抽出表面58とを含むことができる。紫外線反射層56および紫外線抽出表面58の間に紫外線透過層60を形成することができる。
【0054】
紫外線反射層56は、紫外線源30から発せられた紫外線の再利用または再循環を容易にする。一実施形態において、紫外線抽出表面58の上に紫外線反射層56を設けることが可能であり、紫外線源30はその間に位置する。導波路構造54に沿って紫外線を送出するために、紫外線源30の放射面を異なる角度で向けることができる。
図4に示されるように、紫外線源30からの光線は、導波路構造54の他端の方へ紫外線透過層60に沿って伝播すると共に、紫外線反射層56および紫外線抽出表面58に反射する。一実施形態において、紫外線反射層56は、紫外線源30からの紫外線の再利用を可能にするために、少なくとも50%の反射係数を有することができる。一実施形態において、紫外線反射層56は、研磨されたアルミニウム、PTFE、GORE(登録商標)、テフロン(登録商標)、ETFEまたはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0055】
別の実施形態において、紫外線反射層56は、拡散性紫外線反射層を含むことができる。拡散性紫外線反射層は、フルオロポリマーのコーティングまたは薄膜を含むことができる。拡散性反射性を可能にする紫外線反射材料として適切なフルオロポリマーの例としては、膨張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜(例えば、GORE(登録商標)DRP(登録商標)Diffuse Reflector Material)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/または同種のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
紫外線透過層60は、紫外線源30が導波路構造の反対端部に放射を発する導波路構造の端部から進行するための光の伝播に充分な透過性を有することができる。一実施形態において、紫外線透過層60は、約25%~100%の透過性を有することができる。一実施形態において、紫外線透過層60は、例えば、溶融紫外線Si、CaF2、MgF2、結晶石英、フルオロポリマー等の透過材料を含むことができる。
【0057】
図4に示されるように、紫外線抽出表面58は、紫外線源30からの光が拡散的に導波路構造54から流体移送管路の紫外線透過セクションの方へ出る光退出領域62を含むことができる。光退出領域62からの光の拡散性散乱は、紫外線抽出表面58にラフネス層または構成要素を適用することによって達成され得る。本明細書において用いられる場合、ラフネス層または構成要素は、上述した紫外線透過材料の内の1つ等の任意の材料、または複合材料、例えば、半導体と複合させたアルミナまたはその中に組み込まれる金属ナノ粒子を含む。一実施形態において、ラフネス層は、紫外線抽出表面58から出る紫外線の均一性に相当するラフネス密度を有することができる。例えば、導波路構造54の全体にわたるラフネス密度は、紫外線抽出表面58に沿ってほとんど均一である可能性がある。一実施形態において、ラフネス密度は、特定の紫外線源30または一まとまりの源から離れるに従って増加する可能性がある。
【0058】
一実施形態において、導波路構造54は、一組の紫外線源30の反対側の端部に位置する少なくとも1つのセンサ64を含むことができる。例えば、一実施形態において、センサ64は、導波路構造54を通って伝播する紫外線の強度を検出するための紫外線センサを含むことができる。紫外線の強度を検出することに加えて、紫外線センサ64は、紫外線反射層56を補完する反射表面の役割を果たすことができる。一組の紫外線源30の反対側の導波路構造54の端部で位置するセンサ64によって、センサが紫外光の強度を決定することができるように紫外線源30から他端へ光が充分に伝播するように紫外線透過層60の透過性を選択することができることが理解される。
【0059】
図4において示される導波路構造54は1つのセンサ64を有するが、複数のセンサを配備することができることが理解される。さらなるセンサは、導波路構造54のその一端に、および/または導波路の内壁に沿って位置することができる。さらなる(1つまたは複数の)センサは、他の紫外線センサおよび/または上述のセンサ、例えば、細菌性蛍光センサ、可視光センサ、温度センサ、圧力センサ、化学センサ、放射センサ(例えば、紫外線線量カウンタまたはメータ)、可視カメラ等の内のいずれかを含むことができる。
【0060】
図5は、別の実施形態に係る光ガイド層66の概略図を示す。本実施形態において、光ガイド層66は、一組の紫外線源30と連結するための一組のポート68を含むことができる。一実施形態において、ポート68は、光ガイド層66の上面70上に形成され得る。
図5に示されるように、ポート68は、上面70上に設けられた反射層74の間に位置することができる。一実施形態において、反射層74はアルミニウムを含むことができるが、これに限定されるものではない。ポート68の数および位置は変化する可能性があり、
図5で示される通りのこれらのポートの構成は、限定的であることを意味するものではないことが理解される。
【0061】
いくつかの手法によってポート68を通して紫外線源30を光ガイド層66に取り付けることができる。例えば、ポート68に紫外線源30を連結するために、石英またはアルミナ光学素子を用いることができる。一実施形態において、ポート68に取り付けられる紫外線源30の数は、光ガイド層66内の紫外線の目標密度に適合することができる。
【0062】
一実施形態において、ポート68および紫外線源30にわたって、紫外線を反射する一組の反射素子76を配置することができる。反射素子76は、紫外線源30と連結されないポート68にわたって配置され得る。
図5に示されるように、反射素子76は、ポートの全てにわたってまたがる反射層74のセクション、ならびに反射層74のいずれも有さない上面70上のセクションの間で延びることができる。ポート68に連結される紫外線源30の内のいずれかにわたって、反射素子76を配置することもできる。例えば、反射素子76は、アルミニウム層を含むことが可能であり、ポート68によって分離される反射層74の隣接セクション上に配置され得る。このようにして、反射素子76は、紫外線源30およびポート68にわたって延びる橋を形成することができる。
【0063】
光ガイド層66は、流体移送管路の内壁の消毒の間に制御部がモニタリングを行うことができる上述の動作パラメータの内のいずれか1つのモニタリングを行うための少なくとも1つのセンサ64を含むこともできる。
図5に示される実施形態において、光ガイド層66は、各々が光ガイド層の反対側の端部に位置する2つのセンサ64を有することができる。この例において、センサ64は、フォトダイオード、光電界効果トランジスタ(FET)、または時間、温度および湿度に応じて放射強度を検出する蛍光ストリップを含むことができる。いずれのさらなるセンサも光ガイド層66の内壁に沿って位置することができることが理解される。
【0064】
一実施形態において、紫外線源30、センサ64および制御部(図示されない)に給電する電源(図示されない)は、流体移送管路内で移送される流体の流体運動であれば充電され得る。別の実施形態において、紫外線源、センサおよび制御部に給電するために、流体移送管路内の流体と流体移送管路を囲繞する周囲との間の温度の差を用いることができる。本実施形態の構成要素に給電するために、流体移送管路内の流体または周囲のいずれかからの温度を用いることができることが理解される。
【0065】
図6は、一組の紫外線源30が、紫外線源、ポートおよび上面にわたって形成される反射層74を有する光ガイド層の上面70内のポート68に連結される、別の実施形態に係る光ガイド層78の概略図を示す。この構成において、紫外線源30から発生した光の減衰が若干あり得ることが理解される。減衰に加えて、光ガイド層78においては、屈折指標の定差による紫外光の若干の漏れが生じる可能性がある。
【0066】
図6は、紫外線漏洩セクション80として光ガイド層78内で生じる紫外光の漏洩を示す。
図6から分かるように、光は、光ガイド層の左側のコーナで紫外線源30から発生する紫外線のフェーディング光線82によって図の中で明示されるように、紫外線漏洩セクション80で光ガイド層78を通って漏洩すると共に減衰する。
図6は、光線が、左側のコーナの紫外線源30から光ガイド層78の右側の紫外線源に距離Lを伝播した後で最終的に消えることも示す。
【0067】
一実施形態において、紫外線源30を有する各ポート68は、距離Lだけ隣接ポートから分離され得るが、ここでLは、1つの紫外線源から放射された紫外線が部分的に減衰する距離である。本明細書において用いられる場合、部分的に減衰する、は、20dBを超えない減衰を意味する。一実施形態において、Lは、1つの紫外線源30から放射された紫外線が、紫外線源が配置された位置で発せられた強度の少なくとも30%である強度を有する距離であることができる。別の実施形態において、Lは、隣接紫外線源の間で伝播する紫外線が、隣接紫外線源の距離の半分の距離L/2の強度を有する、隣接紫外線源30の間の距離であることができる。
【0068】
図7は、光をそこで通って伝播させる全内反射(TIR)を利用する実施形態に係る代替的な導波路構造86の形態の光ガイド層84の概略断面図を示す。導波路構造86は、複数層88A~88Gを含む。層88A、88C、88Eおよび88Gは、任意の適切な型の透過材料から形成され得る。例えば、放射線が紫外線である場合、透過材料は、紫外線透過フルオロポリマー系材料であることができる。導波路構造86を形成するために利用することが可能な例示的なフルオロポリマーとしては、フッ素化エチレン-プロピレン(EFEP)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオリド(THV)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエテン(PCTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロメチルビニルエーテル(MFA)とのコポリマー、低密度ポリエチレン(LDPE)、ペルフルオロエーテル(PFA)、非晶質フッ素プラスチック樹脂(例えば、テフロンAF 2400)および/または同種のものが挙げられる。主にフルオロポリマーと共に記載されるものの、他の類似の材料を利用することができることが理解される。例示的な材料としては、ポリ乳酸(PLA)、溶融シリカ、サファイア、THEおよび/または同種のものが挙げられる。
【0069】
それぞれの層88A、88C、88E、88Gは、所望のレベルの透過性を提供するために充分に薄い厚さを有することができる。例えば、層88A、88C、88E、88Gは、テフロンAF 2400から形成され得、数マイクロメートル(例えば、10マイクロメートル以下)またはさらに数十マイクロメートル(例えば、40マイクロメートル以下)の厚さを有することができる。そのようなフルオロポリマー層を作製するための例示的な解決策は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第7,914,852号に示される。実施形態において、フルオロポリマーは、溶融シリカの薄層上に適用される。実施形態において、遺伝的アルゴリズムを用いて材料の厚さおよび/または屈折率の選択を行うことができる。この場合、若干のランダム性と共に、用いられる最もパフォーマンスの良い値のサブセットによって、値の複数の可能な組み合わせを評価して、評価される値の新しい群を生じさせる。そのようなプロセスは、一組の値に達するために、何回も繰り返され得る。
【0070】
とにかく、導波路構造86は、透明流体が充填される層88B、88D、88Fを含む。実施形態において、層88B、88Fには透明気体が充填されるが、層88Dには透明液体が充填される。実施形態において、層88B、88F内の気体は、周囲空気等、低屈折率(例えば、隣接層88A、88C、88E、88Gを形成する材料の屈折率の多くても90パーセント)を有することができる。実施形態において、層88D内の液体は、紫外線に対して実質的に透明である。この場合、液体は、240nm~360nmの範囲内の光波長に対する精製水の透明性と少なくとも同様(例えば、10パーセント以内)の透明性を有する。実施形態において、層88D内の液体は、米国食品医薬品局によって定義される通りの精製水である。別の場合、液体は、人間の消費のために充分にきれいな水(飲用水)であることができる。
【0071】
気体を含む層88B、88Fについて、導波路構造86は、さらに対応する一組の柱90B、90Fを含むことができる。柱90B、90Fは、本明細書に記載されるフルオロポリマー系材料から形成され得る。柱90B、90Fは、それぞれ、対応する低屈折率ガイド層88B、88Fの形状を維持するように構成され得る。この程度まで、柱90B、90Fは、任意のパターン/ランダム配置で位置することが可能であり、所望の量の支持体を提供するために適切な1つ以上の大きさおよび/または形状の任意の組み合わせを有することができる。示されてはいないが、任意の流体充填層、例えば層88Dは、一組の柱を含むことができることが理解される。実施形態において、柱90B、90Fは拡散性素子を含む。この場合、図示されるように、拡散性素子は、1つの層、例えば層88Aで開始し、層88Bを通して延び、別の層88Cで終わる。両方の組の柱90B、90Fが含まれる場合、柱90Bは、柱90Fに対して互い違いに配置され得る。
【0072】
図示されるように、導波路構造86の側面92Bに隣接した位置で導波路構造86に光源30(例えば、紫外線エミッタ)を連結することができる。光が、導波のために最適な角度、例えば導波路構造86についての全内反射角度より大きい角度で導波路構造86に入るような位置で光源30を保持するように、導波路構造86に光源30を取り付けるために用いられる連結機構94を構成することができる。実施形態において、光源30によって発生させた光の少なくとも30パーセントは、層88Dに沿って導かれる。実施形態において、連結機構94は、光源30が埋設される、本明細書に記載されるフルオロポリマー系材料から形成されるドメインである。単一の光源30だけが示されるが、位置の各種可能な組み合わせの内のいずれかにおいて、導波路構造86に、任意の数の光源30を連結することが可能であることが理解される。
【0073】
導波路構造86の1つ以上の層88A~88Gは、それに関連付けられた一組の拡散性素子を含むことが可能であり、拡散性素子は、光が拡散性の方式で導波路構造86から放射表面92Cを通って伝播するように構成される。例えば、一組の拡散性素子96Aを含む層88Aが示され、一組の拡散性素子96Cを含む層88Cが示される。図示されるように、拡散性素子96Aは、放射表面92Cを形成する層88Aの外面上に位置することができる。本明細書に記載される拡散性素子96A、96Cの実施形態は、円錐台、レンズ、球、角錐、逆円錐台、逆角錐および/または同種のもの、を含む各種形状の内のいずれかを有することができる。さらに、一組の拡散性素子96A、96Cが2つ以上の異なる形状の拡散性素子の組み合わせを含むことができることが理解される。任意の解決策、例えば、表面パターニングまたは粗化、拡散性素子96A、96Cを、対応する層96A、96Cに溶接/溶融させること、および/または同種のものを用いて、拡散性素子96A、96Cを形成することができる。
【0074】
実施形態において、各拡散性素子96A、96Cは、ランバート分布に近づく紫外線98の拡散性透過/反射が可能である。特に、拡散性素子96A、96Cから透過/反射された紫外線98の強度の角度分布を、総放射量によって正規化し、ランバート分布と比較することができる。本明細書において用いられる場合、各放射角度におけるランバート分布からの偏差が40パーセント未満である場合に分布はランバート分布に近づく。偏差が各放射角度においてランバート分布から10パーセント未満である場合、分布は実質的にランバート分布に近づく。さらに、表面上に位置する2つの隣接する拡散性素子96A、96Cの間の距離は、拡散性素子96A、96Cによって透過/反射される拡散性紫外線98によって照明される表面の有効面積より小さくなるように選択され得る。この程度まで、拡散性素子96A、96Cからの紫外線98の分布、ならびに拡散性素子96A、98Cと照明されている物体の表面との間の目標距離に基づいて、間隔を決定することができる。さらに、本明細書に記載される通りの消毒システムの一部として実現される場合、隣接する拡散性素子96A、96Cの間の間隔は、消毒すべき表面上の汚染の想定された空間密度に基づいて決定され得る。この場合、この距離は、汚染の想定された空間密度に反比例することができる。
【0075】
さらに、層88A、88C、88Eおよび88Gの内の1つ以上は、反射材料で形成され、かつ/またはコーティングされ得る。利用される場合、反射コーティングは、層88A、88C、88Eおよび88Gの全体、または層88A、88C、88Eおよび88Gの一部だけにわたって位置することができる。さらに、反射コーティングは、層88A、88C、88Eおよび88Gの最外または最内表面のいずれかの上に位置することができる。例えば、層88Gは、層88Gの最外表面上に反射コーティングを含むことができる。しかし、これは例示的なものに過ぎないことが理解される。この程度まで、用途に応じて、導波路構造86のいずれの表面も反射コーティングを含むことができる。任意の解決策、例えば、反射金属(例えば、アルミニウム)の蒸着、反射ポリマー(例えば、テフロン)のコーティング、および/または同種のもの、を用いて、反射コーティングを適用することができる。実施形態において、反射コーティングは、高反射材料、例えば、高研磨アルミニウムおよび/または同種のもの、から形成され得る。より特定の実施形態において、反射コーティングは、拡散的反射材料、例えば、高紫外線反射延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜(例えば、GORE(登録商標)Diffuse Reflector Material)および/または同種のもの、から形成され得る。
【0076】
実施形態において、反射コーティング100を形成する材料は、導波路構造86の1つ以上の光学特性に基づいて選択される。例えば、材料の反射率が導波路構造86内の層88A、88C、88E、88Gの透明性と同等であるように、反射コーティング100を選択することができる。さらに、層88A、88C、88E、88Gは、部分的に反射することが可能であり、部分的に透明であることが可能であり、紫外線吸収が小さい可能性がある。他の最適化パラメータに左右される紫外線吸収を最小限に抑えることができることが理解される。とにかく、Fluon(登録商標)ETFE Film等のETFE膜は、280nm~360nmの範囲内の紫外線に対して90パーセントもの透過率を有する。この場合、反射コーティング100は、約90パーセント(+/-5パーセント)の反射率を有する材料から形成され得る。導波路構造86の実施形態は、紫外線源30によって発せられた光の再方向づけ、拡散、導波、再循環および/または同種のものを行うために使用され得る他の装置の各種組み合わせを含むことができることが理解される。例示的なさらなる装置は、1つ以上の反射体/鏡、反射/透過メッシュ、および/または同種のものを含む。
【0077】
導波路構造86の1つ以上の属性に基づいて、2つ以上の紫外線源30の間の間隔を決定することができる。例えば、約50度の全内反射(TIR)角度で伝播する光線について、光線が導波路構造86の壁88C、88Eとの衝突の間の導波路構造86の層88D内の流体内で伝播する距離は約1.2*hであるが、ここでhは、導波路構造86の層88Dの厚さである。光線は、壁88C、88Eと約6回衝突した後、およそ7*h程度の全体的横方向距離に相当する、その強度の約50パーセントを喪失する。強度の少なくとも30パーセントの保持のために、移動の横方向距離は13*hもあることができる。例えば、1ミリメートルの厚さhについて、約1.3センチメートルの光線の移動の横方向距離は、導波路構造86の壁88C、88Eの表面法線に対して50度の角度で伝播する光について約30パーセントの強度を送出する。照明の所望の強度および均一性、ならびに導波路構造86の光学特性に基づいて、2つ以上の紫外線源30の間の間隔を容易に決定することができる。実施形態において、層88Dの厚さは、層88Dの長さの多くても10パーセントである。
【0078】
TIR角度を超えて伝播する光線は、さらに、(壁88C、88Eとの衝突があまり頻繁でないために)同等の強度を保持すると共に、進行することができる。実施形態において、紫外線源30は、導波路構造86の方向に少なくとも部分的にコリメートされた光を発光するように構成される。この場合、紫外線源30によって発せられた光の大部分は、TIR角度よりも著しく大きい角度で壁88C、88Eと衝突する。紫外線源30によって発光させた光の少なくとも部分的なコリメートは、任意の解決策を用いて達成され得る。例えば、少なくとも部分的にコリメートされた光(例えば、レーザーダイオードを利用することができる)を発光するために、紫外線源30に含まれるLEDの発光特性を改変/選択することが可能であり、光を少なくとも部分的にコリメートするために、LEDを反射体(例えば、放物面反射体、円錐形反射体、切頭角錐反射体および/または同種のもの)と組み合わせることが可能であり、および/または同種のものが可能である。導波路構造のさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第14/853,075号に見出される。
【0079】
図8は、実施形態に係る、紫外線透過窓105と紫外線透過窓に近接する紫外線透過ドメイン107とを含む紫外線透過セクション104を有する流体移送管路102の概略図を示す。紫外線透過窓105および紫外線透過ドメイン107は、そこで通る紫外光の透過およびガイドを可能にすることができる。
図8に示されるように、流体移送管路102の紫外線透過セクション104は、流体移送管路を囲む光ガイド層106のポート68と整列することができる。光ガイド層106のポート68に連結される紫外線源30は、流体移送管路102の内部に紫外線透過窓105および紫外線透過ドメイン107を通過する紫外線を伝送することができる。このようにして、紫外線は、流体移送管路102の内壁108を照射することができる。本実施形態において、流体移送管路102の表面の一部分だけを光ガイド層106で覆うことができることが理解される。
【0080】
一実施形態において、紫外線透過セクション104のあたりに配置される一組の拡散性紫外線反射素子110と、一組の拡散性紫外線反射素子110および紫外線透過セクション104に対向する流体移送管路102の表面上の拡散性紫外線反射層112とによって、内壁108の照射は容易になる可能性がある。一実施形態において、拡散性紫外線反射素子110および拡散性紫外線反射層112は、上述した拡散性紫外線材料の内のいずれかを含むことができる。
【0081】
図8に示されるように、一組の拡散性紫外線反射素子110は、光ガイド層106内に形成されたポート68の各々の両側と接する一組の反射素子114と整列することができる。光ガイド層106は、流体移送管路102の拡散性紫外線反射層112を覆う反対側表面上の反射層116を含むこともできる。一組の反射素子114および反射層116の両方は、上述の反射材料の内のいずれかを含むことができる。
【0082】
一実施形態において、
図8に示されるように、流体移送管路102の内壁108の消毒に用いられる動作パラメータの内の1つのモニタリングを行うために、光ガイド層106の1つ以上のポート68にセンサ64を連結することができる。
図8に示されるように、センサ64は、紫外線源を連結した場合に紫外線透過セクション104を覆うことになる流体移送管路102の領域内に、光ガイド層106のポート68から延びることができる。上述のセンサの内のいずれかは、本実施形態における使用に適切であることが理解される。
図8に示される単一のセンサ64は例示的なものに過ぎず、所望により、より多くのセンサを配備することができることが理解される。
【0083】
流体移送管路102および光ガイド層106の両方の構成要素は例示的なものに過ぎず、これらの物がさらなる構成要素を含むことができることが理解される。例えば、光ガイド層106は、一組の反射素子114および反射層116に加えて、他の副層を含むことができる。一実施形態において、光ガイド層106は、電源から紫外線源30、センサ64および制御部(図示されない)に電力を送出する副層を含むことができる。
【0084】
図9は、実施形態に係る、可撓性材料から形成された流体移送管路118および光ガイド層120の概略図を示す。流体移送管路118および光ガイド層120のために用いられる可撓性材料は、フルオロポリマー膜を含むことができるが、これに限定されるものではない。一実施形態において、流体移送管路118および光ガイド層120は、紫外線源30がない領域で可撓性材料を含むことができる。例えば、紫外線源30が紫外線窓105を通して流体移送管路118内に紫外線を放射するために連結されるポート68の外側の領域で、可撓性材料を用いることができる。このようにして、流体移送管路118および光ガイド層120は曲げ構成を有することができるが、ポート68およびそれらに連結される紫外線源30を有する光ガイド層120の領域と、流体移送管路118の紫外線窓105とは、剛性ドメインを形成することができる。
【0085】
図10A~10Bは、実施形態に係る、流体移送管路122および流体移送管路を囲む光ガイド層124の表面にわたる一組の紫外線源30の可能な分布の例を示す。
図10Aに示されるように、流体移送管路122は、紫外線透過窓105と紫外線透過窓に近接する紫外線透過ドメイン107とを有することができる。紫外線透過窓105および紫外線透過ドメイン107は、紫外線源30から放射された紫外線のための、そこで通る紫外光の透過およびガイドを可能にすることができる。紫外線透過窓105および紫外線透過ドメイン107は、流体移送管路を囲む光ガイド層124のポート68と整列することができる。一組の拡散性紫外線反射素子110は、紫外線透過窓105および紫外線透過ドメイン107のあたりに配置され得る。一組の拡散性紫外線反射素子110は、光ガイド層124内に形成されるポート68の各々の両側に接する一組の反射素子114と整列することができる。
【0086】
この構成において、光ガイド層124のポート68に連結される紫外線源30は、流体移送管路122の内部に紫外線透過窓105および紫外線透過ドメイン107を通過する紫外線を伝送することができる。このようにして、紫外線は、流体移送管路102の内壁126を照射することができる。
【0087】
紫外線源30が流体移送管路の表面エリアの限定部分だけに沿って設けられる
図8に示される実施形態と比較して、
図10A~10Bの構成は、紫外線源を流体移送管路122の表面エリアの全てにわたって分布させることができることを示す。
図10Aの断面図に示されるように、流体移送管路122は、光ガイド層に連結された紫外線源30の全てのための光ガイド層124のポート68および反射素子114のあたりに位置する透過窓105、紫外線透過ドメイン107および拡散性紫外線反射素子110を有することができる。
【0088】
流体移送管路122の表面エリアの全てにわたって分布させた紫外線源30を有することによって、流体移送管路の内壁126からの汚染物のより有効な洗浄および除去を提供することができるが、その理由は、様々に位置決めされた紫外線源からの内壁の適用範囲がより広範囲にわたるからである。
図8に示される構成と比較して、紫外線源が、概して、流体移送管路の第1端部から流体移送管路の反対側の第2端部まで軸線方向に均一に延びるので、内壁の適用範囲がより少ない。しかし、
図8における、それぞれ流体移送管路および光ガイド層の反対側に配置された拡散性紫外線反射層および反射物は、流体移送管路内の光の再利用を促進して、内壁の有効な洗浄を容易にすることができる。
【0089】
図10A~10Bに示される実施形態は、洗浄される流体移送管路122の内壁126のより広範囲にわたる適用範囲を達成するために、光ガイド層124のより大きい表面エリアを含む方式で、紫外線源30を分布させることができることを示すことを意味するものである。本実施形態は、内壁126の洗浄であって、内壁上に生じる汚染物の除去を含む洗浄を容易にする様々な他の構成要素を含むことができることが理解される。例えば、流体移送管路122の内壁126の処理を容易にするために、この構成で、上述のセンサの内のいずれか、ならびに制御部を実現することができる。
【0090】
図11A~11Bは、実施形態に係る、多孔性セクション130を有する流体移送管路128と、流体移送管路の内壁136に清浄流体を送出するための流体取水ポート134を有する光ガイド層132との概略図を示す。
図11Aに示されるように、流体移送管路128は、紫外線透過窓105と紫外線透過窓に近接する紫外線透過ドメイン107とを有することができる。流体移送管路128は、紫外線透過窓105および紫外線透過ドメイン107の間に位置する拡散性紫外線反射素子110の層を有することもできる。流体移送管路128の紫外線透過窓105および紫外線透過ドメイン107は、流体移送管路を囲む光ガイド層132のポート68と整列することができる。流体移送管路128は、さらに、拡散性紫外線反射素子110、紫外線透過窓105および紫外線透過ドメイン107の層に対向する表面上の拡散性紫外線反射層112を含むことができる。光ガイド層132は、拡散性紫外線反射層112を覆う拡散性紫外線反射素子114およびポート68の層に対向する表面上の反射層116を含むことができる。
【0091】
図11Aに示されるように、光ガイド層132のポート68の内の一部は、紫外線源30であって、紫外線源およびポートを封入する反射素子138を有する紫外線源30に連結され得る。上述の反射材料の内のいずれかを含むことができる反射素子138は、対応する紫外線源30およびポート68を封入することが可能であり、拡散性紫外線反射素子114の隣接セグメント上に延びることが可能である。連結された紫外線源30を有する光ガイド層132内のポート68の数は、1つの可能な構成を例示するものに過ぎず、限定的であることを意味するものではないことが理解される。
【0092】
本実施形態において、本明細書に記載される他のものと同様に、光ガイド層132のポート68に連結される紫外線源30は、流体移送管路128の内部に紫外線透過窓105および紫外線透過ドメイン107を通過する紫外線を伝送することができる。このようにして、紫外線は、流体移送管路128の内壁136を照射することができる。
【0093】
流体移送管路128の内壁136を照射するための紫外線源30の使用に加えて、
図11A~11Bの実施形態は、例えば壁を洗浄するための液状石鹸等の清浄流体を有する清浄流体源140を利用することができる。本実施形態において、清浄流体源140は、清浄流体流路142を介して流体取水ポート134に清浄流体を供給することができる。一実施形態において、清浄流体流路142は、清浄流体源140と光ガイド層132の流体取水ポート134との両方に接続することができるチューブまたはホースを含むことができる。
【0094】
このようにして、流体取水ポート134は、流体移送管路128の多孔性セクション130に清浄流体を送出することができる。一実施形態において、多孔性セクション130は、流体移送管路128の外面から流体移送管路の内壁136まで延びることができる。また、多孔性セクション130は、一方の表面からもう一方までの流体の移送を可能にするために充分な任意の材料を含むことができる。例えば、多孔性セクション130は、アルミナ等の材料を含むことができるが、これに限定されるものではない。一実施形態において、多孔性セクション130は、各々の直径が10ミクロン~1mmの範囲である多数の細孔を含むことができる。このことによって、清浄流体源140からの流体を流体移送管路128内に送出する際に多孔性セクション130が清浄流体の加圧シャワー144を生成することが可能になる。清浄流体のこの加圧シャワー144は、流体移送管路128の内壁136上に蓄積したあらゆる汚染物を取り除くことができる。
図11Aは、流体移送管路128内に1つの多孔性セクション130を開示するだけであるが、流体移送管路128の内壁136に清浄流体の加圧シャワーを送出するために用いることができる流体移送管路内に複数のセクションが存在することができることが理解される。
【0095】
流体移送管路128の内壁136を洗浄するための清浄流体源140、清浄流体流路142、流体取水ポート134および多孔性セクション130の使用は、様々な実現における紫外線源30と共に動作することができる。例えば、清浄流体源140、清浄流体流路142、流体取水ポート134および多孔性セクション130は、紫外線源30と同時に動作することができる。別の実施形態において、清浄流体源140、清浄流体流路142、流体取水ポート134および多孔性セクション130は、紫外線源30から発生させた紫外光の適用の前に、または後で動作することができる。
【0096】
図11A~11Bに示される本実施形態は、流体移送管路128の内壁136の洗浄を容易にする様々な他の構成要素を含むことができることが理解される。例えば、流体移送管路128の内壁138の処理を容易にするために、この構成で上述のセンサの内のいずれかと制御部とを実現することができる。
【0097】
図12は、別の洗浄手法が一組の紫外線源30と共に動作する実施形態の概略図を示す。本実施形態において、清浄混合部146は、流体移送管路148内において、流体移送管路の内壁150を洗浄するために送出される流体に混合作用を付与するように構成される。清浄混合部146によって生じる混合作用によって、流体移送管路148の内壁上に蓄積した汚染物を取り除くことが促進される。清浄混合部146は、壁噴流、管状機械的洗浄インサートおよび混合ファンを含むことができるが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、清浄混合部146は、流体移送管路148内に位置することができる。例えば、清浄混合部146は、固定ホルダ(
図12に図示されない)によって流体移送管路148の流体流路内に配置され得る。流体移送管路148の他の位置に清浄混合部146を配置することができることが理解される。また、流体移送管路148が流体移送管路内に設けられた1超の清浄混合部を有することができることも理解される。
【0098】
清浄混合部146は、流体移送管路148を囲む光ガイド層152のポート68に連結される紫外線源30と共に動作することができる。なお、本実施形態において、流体移送管路148および光ガイド層152は、
図12の流体移送管路148および光ガイド層152が、それぞれ多孔性セクションおよび流体取水ポートを有しないことを除いて、
図11A~11Bの流体移送管路128および光ガイド層132に含まれるものと同じ素子を含むことができる。しかし、紫外線源30および清浄混合部146によって流体移送管路148の内壁150の処理を補完するために、清浄流体源140(
図11A~11B)および清浄流体流路142(
図11A~11B)と共に、これらの素子を用いることができることが理解される。
【0099】
動作において、光ガイド層152のポート68に連結された紫外線源30は、流体移送管路148の内部に紫外線透過窓105および紫外線透過ドメイン107を通過する紫外線を伝送することができる。このようにして、紫外線は、流体移送管路148の内壁150を照射することができる。同時に、または紫外線源30が紫外線を放射して内壁150を照射する別の時、清浄混合部146は、内壁上に蓄積したあらゆる汚染物を取り除くために充分である流体移送管路148内で送出される流体上に混合作用を付与することができる。
【0100】
図12に示される本実施形態は、流体移送管路148の内壁150の洗浄を容易にする様々な他の構成要素を含むことができることが理解される。例えば、流体移送管路148内の内壁150の処理を補完するために、他の洗浄手法を用いることができる。一実施形態において、流体移送管路148の内壁150に非生物汚損材料を適用することができる。流体移送管路148の内壁150に適用され得る非生物汚損材料の例としては、イルカの皮膚と同様の「滑りやすい」ナノスケールトポロジーを有する超低汚損表面を挙げることができるが、これに限定されるものではない。別の実施形態において、流体移送管路148の内壁150の少なくとも一部は、紫外線の効果を増強する紫外線光触媒を含むことができる。紫外線光触媒は、プラズモン光触媒作用を刺激するために金属または半導体ナノ粒子を含むことができる。紫外線光触媒の他の例としては、ITOを挙げることができるが、これに限定されるものではない。別の実施形態において、化学的デスケーラは、紫外線源30および/または清浄混合部146と共に動作して、流体移送管路の内壁からスケールを化学的に除去することができる。使用に適した化学的デスケーラの例としては、クエン酸を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0101】
別の実施形態において、流体移送管路148または光ガイド層152内に、少なくとも1つの可視カメラを配備することができる。流体移送管路148の内壁150上のスケール汚染の量を決定するために、少なくとも1つのセンサおよび制御部と共に、可視カメラを用いることができる。このようにして、制御部は、紫外線源30、清浄混合部146、または使用される他のいずれかの洗浄手法による内壁150の洗浄処理を制御することができる。
【0102】
これまで記載された実施形態において、一組の紫外線源30は、光ガイド層に連結され、流体移送管路内に形成された紫外線窓を透過する紫外光を発光するように構成される。しかし、一組の紫外線源30は、他の手法を用いて紫外線流体移送管路の内壁を照射するように構成され得ることが理解される。例えば、
図13は、実施形態に係る、流体移送管路156内に挿入して、直接、流体移送管路の内壁158を照射することができる一組の紫外線源30を有する紫外線インサートモジュール154の概略図を示す。一実施形態において、紫外線インサートモジュール154は、一組の紫外線源30を支持する紫外線源支持部材160を含むことができる。紫外線源支持部材160は、紫外線源30を支持することが可能であり、かつ流体移送管路と共に配置され得る任意の紫外線透過素子を含むことができる。紫外線源支持部材の例としては、ステンレス鋼支持体を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0103】
動作において、紫外線インサートモジュール154は、流体移送管路156内に配置され得、流体移送管路の内壁158の表面の方へ紫外線を放射するように方向づけられ得る。このようにして、紫外線源30から放射された紫外線は、内壁158を照射して、内壁上に蓄積した可能性があるあらゆる汚染物を取り除くことが可能である。流体移送管路156の反射層112は、流体移送管路156内の放射を再利用することができる。このことによって、この放射が流体移送管路156の内壁158に反射することによって、流体移送管路内の内壁の全てから汚染物を除去することが促進される。一実施形態において、紫外線インサートモジュール154は、流体移送管路156内で回転するように構成可能である。このことによって、紫外線源30から放射された紫外線は、直接、反対側の内壁表面の方へ方向づけられる。
【0104】
紫外線流体移送管路の内壁を照射するために、他のモジュール手法を用いることができる。例えば、
図14A~14Bに示されるように、流体移送管路のそれらの特定のセクションと、近くに位置するそれらのセクションとを洗浄するために、消毒モジュール162を流体移送管路164の各種部分に連結することができる。一実施形態において、消毒モジュール162は、一組の紫外線源、光ガイド部および電源(全て、図示せず)を含むことができる。このようにして、制御部によって制御され、かつ電源によって給電される紫外線源は、光ガイド部が、流体移送管路164の内壁へ、その処理のためにガイドする紫外線を放射することができる。消毒モジュール162は、上述のセンサの内のいずれか等の他の構成要素を含むことができることが理解される。
【0105】
消毒モジュール162は、一組の締結具166の使用によって流体移送管路164に連結され得る。締結具166は、流体移送管路の2つの隣接セクションの間に交差接続を形成することが可能な様々な継手の内の1つを含むことができる。流体移送管路が配管の形態をとる実施形態において、締結具166は、PVC、ポリプロピレン、ポリエチレン、鋼、黄銅、銅が挙げられるが、これらに限定されるものではない様々な材料から作製される管継手およびコネクタを含むことができる。締結具166によって、流体移送管路164の各種部分に消毒モジュール162を設置することが可能になる。
図14Aに示されるように、消毒モジュール162は、直線セグメントの形態をとることが可能であり、または、
図14Bに示されるように、湾曲セグメントとすることができる。締結具の使用によって、直線セグメントおよび湾曲セグメントの両方を流体移送管路164の隣接セクションと交差接続させることができる。動作において、消毒モジュール162は、近接して位置する流体移送管路164の内壁の紫外線処理を提供するように方向づけられ得る。消毒モジュール162の光ガイド部は、さらにモジュールの位置から除去される流体移送管路164のセクションへ紫外線をガイドし、かつ方向づけることができることが理解される。
【0106】
図15は、実施形態に係る、
図2~14に示される実施形態の内のいずれかによって実現され得る紫外線洗浄部800の概略図を示す。本実施形態において、流体移送管路の内壁に対して洗浄処理を提供するために用いられる構成要素の全ての相互作用を示す目的のための紫外線源30((1つまたは複数の)UV放射源)とセンサ64とを含む紫外線洗浄部800が示される。
【0107】
図15に示されるように、紫外線洗浄部800は制御部805を含むことができる。一実施形態において、制御部805は、本明細書に記載される方式で紫外線源30およびセンサ64を管理するようにコンピュータシステム820を動作可能にする分析プログラム830を含むコンピュータシステム820として実現され得る。特に、分析プログラム830によって、コンピュータシステム820が、流体移送管路の内壁の方へ紫外線を放射させ、かつ方向づけるために紫外線源30を動作させることが可能になり、かつ、センサ64によって取得され得る、流体移送管路の内壁に関する1つ以上の属性に対応するデータ、および/または、データ840として記憶される紫外線履歴のプロセッシングを行うことが可能になる。コンピュータシステム820は、各紫外線源30およびセンサ64を個別に制御することが可能であり、かつ/または、紫外線源およびセンサの内の2つ以上を群として制御することが可能である。さらに、紫外線源30は、実質的に同じ波長の、または、複数の別個の波長の紫外線を放射することができる。
【0108】
実施形態において、動作の最初の期間の間、コンピュータシステム820は、流体移送管路の内壁の1つ以上の属性に関するデータをセンサ64の内の少なくとも1つから取得することが可能であり、さらなるプロセッシングのためのデータ840を生成することが可能である。データ840は、流体移送管路の内壁上の汚染物(例えば、スケール)および生物学的活性(例えば、微生物、ウイルス、細菌および/または同種のもの)の存在、流体移送管路の利用頻度、流体移送管路についての消毒スケジュール履歴、検出される放射(例えば、紫外線、赤外線、可視および/またはマイクロ波)の量、および/または同種のものに関する情報を含むことができる。コンピュータシステム820は、洗浄処理の間に(1つまたは複数の)紫外線源30によって放射させた紫外線の1つ以上の態様を制御するために、データ840を使用することができる。
【0109】
さらに、外部インターフェイスI/O構成要素826Bを介して、ユーザ812によって、紫外線源30の動作の1つ以上の態様を制御または調整することができる。外部インターフェイスI/O構成要素826Bは、紫外線洗浄部800の外部上に位置することが可能であり、ユーザ812が選択的に紫外線源30をオン/オフすることができるようにするために使用され得る。
【0110】
外部インターフェイスI/O構成要素826Bは、例えば、強度、スケジューリング、および/または一組の紫外線源30の他の動作特性(例えば、動作パラメータ、放射特性)の内の1つ以上をユーザ812が調整することを可能にする、制御ダイヤル等の、選択的にユーザインターフェイス制御を表示することができるタッチスクリーンを含むことができる。実施形態において、外部インターフェイスI/O構成要素826Bは、考えられるところでは、ユーザ812が一組の紫外線源30の動作の1つ以上の態様を制御することを可能にすることができる、キーボード、複数のボタン、ジョイスティック様制御機構および/または同種のものを含むことができる。外部インターフェイスI/O構成要素826Bは、ユーザ812による使用のための流体移送管路の洗浄処理に関する状態情報を提供するためにコンピュータシステム820が動作させることが可能な各種出力装置(例えば、LED、視覚的表示装置)の任意の組み合わせを含むこともできる。例えば、外部インターフェイスI/O構成要素826Bは、例えば、洗浄処理の状態を示すために、ユーザ812のための視覚的光を発光するための1つ以上のLEDを含むことができる。実施形態において、外部インターフェイスI/O構成要素826Bは、例えば、紫外線を放射中である、または洗浄処理が完了した、という信号伝達のための警報(例えば、聴覚信号)を提供するためのスピーカを含むことができる。
【0111】
プロセッシング構成要素822(例えば、1つ以上のプロセッサ)と、記憶構成要素824(例えば、記憶階層)と、入出力(I/O)構成要素826A(例えば、1つ以上のI/Oインターフェイスおよび/または装置)と、通信経路828とを含むコンピュータシステム820が示される。概して、プロセッシング構成要素822は、記憶構成要素824内で少なくとも部分的に固定される分析プログラム830等のプログラムコードを実行する。プログラムコードを実行すると共に、プロセッシング構成要素822は、データのプロセッシングを行うことが可能であり、それによって、さらなるプロセッシングのための記憶構成要素824および/またはI/O構成要素826Aから/へ変換データを読み取ることおよび/または書き込むことが可能になる。通信経路828は、コンピュータシステム820内の構成要素の各々の間の通信リンクを提供する。I/O構成要素826Aおよび/または外部インターフェイスI/O構成要素826Bは、人間ユーザ812が、コンピュータシステム820、および/またはシステムユーザ812が任意の型の通信リンクを用いてコンピュータシステム820と通信することを可能にするための1つ以上の通信装置と相互作用することを可能にする1つ以上の人間I/O装置を含むことができる。この程度まで、コンピュータシステム820による実行の間、分析プログラム830は、人間および/またはシステムユーザ812が分析プログラム830と相互作用することを可能にする一組のインターフェイス(例えば、(1つまたは複数の)グラフィックユーザインターフェイス、アプリケーションプログラムインターフェイスおよび/または同種のもの)を管理することができる。さらに、分析プログラム830は、任意の解決策を用いて、データ840等のデータの管理(例えば、記憶、検索、作成、操作、組織化、提示等)を行うことができる。
【0112】
いかなる場合も、コンピュータシステム820は、1つ以上の汎用性演算製品(例えば、演算装置)であって、それにインストールされる、分析プログラム830等のプログラムコードを実行することが可能な汎用性演算製品を含むことができる。本明細書において用いられる場合、「プログラムコード」は、情報プロセッシング能力を有する演算装置が、直接、または、以下の(a)別の言語、コードまたは表記法への変換、(b)異なる材料形態における複製、および/または(c)復元、の任意の組み合わせの後、のいずれかにおいて、特定の機能を行うようにする、任意の言語、コードまたは表記法における命令の任意の集合を意味することが理解される。この程度まで、分析プログラム830は、システムソフトウェアおよび/またはアプリケーションソフトウェアの任意の組み合わせとして具体化され得る。
【0113】
さらに、分析プログラム830は、一組のモジュール832を用いて実現され得る。この場合、モジュール832は、コンピュータシステム820が分析プログラム830によって用いられる一組のタスクを行うことを可能にすることができ、分析プログラム830の他の部分とは別に、別々に開発および/または実現され得る。コンピュータシステム820が複数の演算装置を含む場合、各演算装置は、その上に固定される分析プログラム830の一部だけを有することができる(例えば、1つ以上のモジュール832)。しかし、コンピュータシステム820および分析プログラム830は、制御部、紫外線源およびセンサに関して本明細書に記載されるプロセスを行うことができる各種の可能な同等のモニタリングおよび/または制御システムを表すに過ぎないことが理解される。この程度まで、他の実施形態において、コンピュータシステム820および分析プログラム830によって提供される機能は、プログラムコードを有するか、または有しない、一般的な、および/または特定の目的のハードウェアの任意の組み合わせを含む1つ以上の演算装置によって少なくとも部分的に実現され得る。各実施形態において、ハードウェアおよびプログラムコードは、含まれる場合、それぞれ標準的な設計手法およびプログラミング手法を用いて作られ得る。別の実施形態において、制御部は、いかなる演算装置を用いることなく、例えば、1つ以上のセンサの出力が洗浄処理の動作を制御するための入力として用いられるフィードバック制御ループを実現する閉ループ回路を用いて実現され得る。本発明の例示的な態様は、さらに、コンピュータシステム820と共に記載される。しかし、それと共に記載される機能は、任意の型のモニタリングおよび/または制御システムによって実現され得ることが理解される。
【0114】
とにかく、コンピュータシステム820が複数の演算装置を含む場合、演算装置は、任意の型の通信リンクにわたって通信することができる。さらに、本明細書に記載されるプロセスを行うと共に、コンピュータシステム820は、任意の型の通信リンクを用いて、ユーザ812等の1つ以上の他のコンピュータシステムと通信することができる。いずれにせよ、通信リンクは、各種の型の有線および/または無線リンクの任意の組み合わせを含むことが可能であり、1つ以上の型のネットワークの任意の組み合わせを含むことが可能であり、かつ/または各種の型の伝送手法およびプロトコルの任意の組み合わせを利用することが可能である。
【0115】
図15に示される構成要素の全ては、電源845から電力を受けることができる。電源845は、1つ以上の電池、磁気誘導振動または圧電性結晶において発生した応力に基づいた電力を発生させることができる振動電力発生器、送電線網から供給される電力にアクセスするための埋め込みコンセント、および/または同種のものの形態をとることができる。実施形態において、電源は、再充電可能な超コンデンサを含むことができる。電源の用途に適切な他の電力構成要素としては、太陽、機械的エネルギー-電気エネルギー変換器、例えば、再充電可能装置等を挙げることができる。
【0116】
図16は、実施形態に係る、流体移送管路の内壁の洗浄処理を容易にするために、
図15に示される紫外線洗浄部800を用いることができる例示的な環境900の概略図を示す。本実施形態において、制御部805のコンピュータシステム820は、本明細書に記載される通りの流体移送管路810の内壁の方へ紫外線を方向づけるために紫外線源30を制御するように構成され得る。センサ64は、一定時間にわたって流体移送管路810の洗浄処理に関する一組の属性のモニタリングを行うために、コンピュータシステム820によってプロセッシングが行われるデータを取得するように構成される。図示されるように、センサ64は、一組の属性(例えば、動作パラメータ、紫外線特性)のモニタリングを行うために、コンピュータシステム820によって用いられるデータを取得することができる。
【0117】
流体移送管路810についての一組の属性は、流体移送管路810の利用の頻度、流体移送管路810の表面上の汚染物および生物学的活性の存在、流体移送管路810の利用、流体移送管路810についての消毒スケジュール履歴、および/または同種のもの、の内の1つ以上の任意の組み合わせを含むことができることが理解される。
【0118】
流体移送管路810上の生物学的活性の存在を決定する場合、センサ64は、生物学的活性の位置、生物学的活性の種類(例えば、生物の種類)、生物学的活性の濃度、生物が増殖期(例えば、指数増殖および/または定常)にあった推定時間、および/または同種のものを決定することもできる。さらに、センサ64は、増殖速度、汚染物および生物学的活性を含むエリアが広がる速度、および/または同種のもの等、経時的な汚染物および生物学的活性の変化に関する情報を決定することができる。実施形態において、一組の汚染物および生物学的活性動態は、例えば、検出可能な汚染物、細菌および/またはウイルス活性の存在、測定された汚染物、細菌および/またはウイルス集団/濃度時間動態、増殖期および/または同種のものを含む、流体移送管路810の内壁上に存在する汚染物、細菌および/またはウイルス活性の各種属性に関連する。
【0119】
コンピュータシステム820は、センサ64から受信されたデータに基づいて、一組の紫外線源30の方向、強度、パターンおよび/またはスペクトルパワー(例えば、波長)を制御し、かつ調整するように構成され得る。コンピュータシステム820は、独立して、一組の紫外線源30の各特性を制御し、かつ調整することができる。例えば、コンピュータシステム820は、所定の波長に対して、紫外線源30の強度、持続時間、および/または時間スケジューリング(例えば、持続時間(例えば、曝露/照明時間)を含む)、デューティサイクル、曝露/照明の間の時間、および/または同種のもの)を調整することができる。紫外線源30の特性の各々は、調整可能であることができ、かつ、センサ64によって提供されるデータに従ってコンピュータシステム820によって制御され得る。
【0120】
例えば、コンピュータシステム820は、任意の解決策を用いて流体移送管路810の内部に検出された汚染物および生物学的活性の位置に従って紫外線の方向を調整するように構成され得る。コンピュータシステム820は、汚染物および生物学的活性の型に従って紫外線の目標タイミング、強度および/またはスペクトルパワーを利用するように構成され得る。すなわち、センサ64は、流体移送管路810の表面上のより高いレベルの汚染物および生物学的活性の位置を検知することが可能であり、紫外線源30は、より高いレベルの汚染物および生物学的活性を有する位置に対して、(強度または曝露量を増加させることによる)より高い線量の紫外線(例えば、非均一紫外線)を方向づけるように、コンピュータシステム820によって構成され得る。
【0121】
一実施形態において、コンピュータシステム820は、流体移送管路810に送出すべき紫外線についての周期的または非周期性スケジュールを設定するように構成され得る。流体移送管路810の壁が汚染物および生物学的活性のいかなる存在も有しないことをセンサが決定する場合、この(周期的または非周期的)スケジュールを中断することができる。このようにして、コンピュータシステム820は、紫外線をオフにするように構成され得る。
【0122】
センサ64の内の1つは、洗浄処理の間に表面が曝露される放射の量を検出するための放射検出器を含むことができる。放射は、例えば、紫外線、可視、赤外線、マイクロ波および/または同種のものを含む任意の種類の放射を含むことができる。消毒のために任意のさらなる放射が必要であるかを決定するために、コンピュータシステム820によって、表面が曝露される放射の量を用いることができる。
【0123】
環境900は、
図16に示される各種構成要素、例えば、紫外線源30、センサ64、制御部805および/または同種のもの、の内の1つ以上に電力を供給するための電源845を含んでもよいことが理解される。
【0124】
本発明の各種態様の前述の記載が、図示および記載の目的ために提示された。網羅的であることも、本発明を開示された厳密な形態に限定することも意図するものではなく、明らかに、多くの修正および変更が可能である。当業者にとって明らかであり得るそのような修正および変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される通りの本発明の範囲内に含まれる。