(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】カプノメータ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20220902BHJP
G16H 10/40 20180101ALI20220902BHJP
【FI】
A61B5/08
G16H10/40
(21)【出願番号】P 2018551939
(86)(22)【出願日】2017-04-05
(86)【国際出願番号】 GB2017050952
(87)【国際公開番号】W WO2017174983
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-03-23
(32)【優先日】2016-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518343899
【氏名又は名称】ケンブリッジ レスピラトリー イノヴェーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Cambridge Respiratory Innovations Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】カーター,ジュリアン チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ,ベンジャミン ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】アルトリップ,ジョン ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ナリンクマール ラルバイ
(72)【発明者】
【氏名】バール オーヴァーエンド,ラッセル
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/047170(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0118632(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0041279(US,A1)
【文献】国際公開第2013/150523(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1712178(EP,A2)
【文献】特表2016-505141(JP,A)
【文献】特表2015-506189(JP,A)
【文献】特表2013-523242(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0317837(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2008581(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0112707(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/08
G16H 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の呼吸器系機能を分析するためのカプノメータにおいて、
患者の呼吸器系からの空気が通過する気流領域;
光を放射するように構成されたエミッタであって、3~5μmの範囲の波長の放射光を提供するように構成された中赤外半導体エミッタを含むエミッタ;
前記放射光を検出する検出器であって、中赤外半導体検出器を含む検出器;
前記患者に特異的な患者データを記憶するためのメモリ;及び
前記患者による吸気及び/又は呼気のCO
2レベルの経時的な変動を示すCO
2波形を分析するための、前記検出器に接続された信号プロセッサ;
を備え、
前記エミッタ及び検出器は、エミッタからの光が気流領域を通って検出器まで行くように配置されており、
前記患者データは分析アルゴリズムを含み、前記分析は該分析アルゴリズムを用いて呼吸器系機能を分析することを含み、
呼吸器系機能の分析は、前記波形と、ベースラインを有するメトリックを規定する前記患者の1つまたは複数の以前得られたCO
2波形との比較に基づき、該比較は前記ベースラインからの前記波形の偏差をモニタリングすることを含み、
前記信号プロセッサはさらに、前記患者の疾患又は疾患の種類に関して呼吸器系機能を分析するために、前記患者の疾患又は疾患の種類に関してメトリックを開発するように構成され、かつ
前記信号プロセッサはさらに、前記波形に基づき経時的にメトリックを変更するように構成され、
前記分析アルゴリズムは前記信号プロセッサによるCO
2波形の分析に基づき修正される、カプノメータ。
【請求項2】
前記患者データは患者の識別データを含み、該識別データは、識別コード、指紋データ、虹彩スキャンデータ、及び患者の呼吸プロファイルデータの内の1つまたは複数を含む、請求項1に記載のカプノメータ。
【請求項3】
前記信号プロセッサは、CO
2波形を規定するCO
2レベルデータ出力を提供するように構成され、前記CO
2レベルデータ出力は、後の照合のために、前記メモリ又はカプノメータの内部若しくは外部の第2のメモリに記憶される、請求項1又は2に記載のカプノメータ。
【請求項4】
前記信号プロセッサは、前記波形の形状、前記波形の1つまたは複数のピーク高さ、前記波形の振幅又は振幅変動、及び前記波形の周波数構成の内の1つまたは複数に応答して呼吸器系機能を分析するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のカプノメータ。
【請求項5】
前記波形に基づき呼吸器系機能の質を表示する1つまたは複数のユーザインジケータデバイスと、前記呼吸器系機能の質の表示に応じて始動されるように構成されたアラーム及び/又はメッセンジャとをさらに備え、
前記プロセッサはさらに、前記呼吸器系機能の質に基づき治療的介入が必要なときを表示するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のカプノメータ。
【請求項6】
前記信号プロセッサが、前記波形から、
薬剤を服用した時点の第1の表示;
薬剤を服用すべき時点の第2の表示;
服用した薬剤の種類の第3の表示;
服用すべき薬剤の種類の第4の表示;
服用した用量の第5の表示;
服用すべき用量の第6の表示;及び
薬剤が失効した及び/又は使い切ったことの第7の表示;
の内の1つまたは複数を特定するように構成される、請求項1に記載のカプノメータ。
【請求項7】
前記特定に応答して薬剤の放出を制御するための薬剤調剤システムをさらに備え、該薬剤調剤システムは、薬剤を自動的に放出するように、及び/又は薬剤の種類及び/又は用量及び/又はそれを放出する時点を制御するように構成され、さらに
前記信号プロセッサはさらに、呼吸サイクル中のいつ薬剤を放出すべきかを特定するように構成される、請求項6に記載のカプノメータ。
【請求項8】
前記信号プロセッサはさらに、患者によるカプノメータの単回使用の間の経時的な前記波形の変化から、呼吸器系機能の状態の変動を特定するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のカプノメータ。
【請求項9】
患者に健康状態データを入力させるための健康状態データ入力部をさらに備え、該健康状態データは患者の健康状態を記載し、
前記プロセッサはさらに、検出器の信号と組み合わせて前記健康状態データを処理して、患者に対する薬剤の効果を特定するように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のカプノメータ。
【請求項10】
前記信号プロセッサはさらに、CO
2レベルデータ出力を用いて、患者がいつ薬剤を服用したか又は服用しなかったかのエピソードを同定するコンプライアンスデータを特定し、さらにそのコンプライアンスデータから服薬レジメンのコンプライアンスを特定するように構成され、
前記服薬レジメンのコンプライアンスの特定が、
患者がCO
2レベルデータ出力を得るためにカプノメータを使用したか否かを特定する;
前記波形に基づき、患者が薬剤を服用したか否かを特定する;
カプノメータの薬剤使用データ入力部で患者により提供された薬剤使用データに基づき、患者が薬剤を服用したか否かを特定する;及び
前記薬剤がカプノメータから調剤されたか否かを特定する;
ことの内の1つまたは複数を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のカプノメータ
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のカプノメータを含む吸入器。
【請求項12】
システムであって、
請求項1から10のいずれか一項に記載のカプノメータ又は請求項11に記載の吸入器;及び
前記カプノメータと通信する分析システム;
を備え、
前記分析システムは、患者データを記憶する分析システムメモリを備え;さらに
前記分析システムは、
i)前記信号プロセッサによるCO
2波形の分析に基づき分析アルゴリズムを修正する;及び/又は
ii)前記信号プロセッサによるCO
2波形の分析に基づきカプノメータのインジケータのインジケータ設定を修正し、インジケータは呼吸器系機能の質を表示する;及び/又は
iii)前記信号プロセッサによるCO
2波形の分析に基づき、カプノメータを用いて調剤される薬剤の用量レベルを変更する;
ように構成され、
前記分析システムはさらに、修正分析アルゴリズム及び/又は修正インジケータ設定及び/又は変更用量レベルを、カプノメータのメモリに記憶するためにカプノメータに転送するように構成される、システム。
【請求項13】
前記分析システムメモリに記憶されるデータは、さらなる患者に特異的な患者データをさらに含み、分析アルゴリズムの修正及び/又はインジケータ設定の修正及び/又は用量レベルの変更は、前記さらなる患者に特異的な患者データにさらに依存する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
患者の服薬レジメンのコンプライアンスをモニタリングする
ための請求項1から10のいずれか一項に記載のカプノメータの作動方法であって、
前記カプノメータ
が、
患者の呼気中のCO
2レベルをモニタリングするステップ;
前記モニタリングからのデータを記憶するステップ;
前記記憶されたデータを用いて、薬剤がいつ服用されたか又は服用されなかったかのエピソードを同定するコンプライアンスデータを特定するステップ;
及び
前記コンプライアンスデータから服薬レジメンのコンプライアンス
を特定
するステップ;
を行うことを含む、方法。
【請求項15】
前記コンプライアンスデータ
はさらに、服用された用量
を同定
する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、患者の呼吸器系機能を分析するためのカプノメータ及びシステム、並びにカプノメータを用いて患者の服薬レジメン(drug-taking regime)のコンプライアンスをモニタリングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
限定はされないが、喘息、気管支拡張症及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性呼吸状態を有する患者を管理する未対処の臨床的必要性がある。
【0003】
これまで、この必要性にうまく対処する低コストの解決法は失敗している。例えば、今日まで肺機能検査の最も一般的な手段であった肺活量測定法は、測定結果を分析するときに比較的複雑であり、それは非安静呼吸(non-tidal breathing)及びその変動性によってさらに複雑となる。
【0004】
pH診断方法は、マスクの使用を必要とし、より急性状態の患者にのみ適する。従って、これらの方法は日常生活での使用に適したものではない。
【0005】
臨床試験は、カプノグラフィを用いて、最も一般的な慢性呼吸器疾患における悪化に関連する呼吸機能の変化を検出しうることを実証している。その方法は、正常な安静呼吸(tidal breathing)を必要とし、得られたデータは、呼吸状態の簡単な個人用指標に変換されうる。
【0006】
患者の呼吸状態をモニタリングするためにカプノメトリを使用する概念はよく知られている:例えば、非特許文献1を参照。カプノメータは、現在、CO2レベルを測定し、急性呼吸障害を有する患者の情報を提供するために病院で日常的に利用可能である。
【0007】
カプノメータは、呼吸サイクルの関数としてCO2の情報を提供する呼吸波形を獲得し、訓練を受けたオペレータがこの情報を用いて患者の状態を評価する。
【0008】
しかしながら、一部の患者は、指示された投薬量及び/又は治療レジメンに従うこと、及び/又は医薬品又は装置に添付される患者用情報リーフレットの指示に従うことに関して、医師、医療従事者又は他のアドバイザーの指示を遵守しないことが一般に知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Gunther Lenz and Wolfram Heipertz, J. of Clinical Monitoring, Vol 7, No 3, July 1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、カプノグラフィを改善する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明の第1の態様によると、患者の呼吸器系機能を分析するためのカプノメータであって、その患者に特異的な患者データを記憶するためのメモリ;及び前記患者による吸気及び/又は呼気のCO2レベルの経時的な変動を示すCO2波形を分析するための信号プロセッサ;を備えるカプノメータを提供する。
【0012】
本明細書の記載のカプノメータの実施形態は、ヒトの呼吸を測定及び分析するのに使用でき、さらに、患者並びに医療従事者が直接使用して是正措置をとることができる、患者に特異的な定量的分析を提供しうる個人用製品を提供することを可能にする。
【0013】
カプノメータ(携帯装置であってよい)を、(小型の)信号プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)と一体化させて患者の呼吸パフォーマンスの即時評価を提供することができる。装置及び分析は、患者特異的データを収集及び記憶することにより、その患者に固有のものとなりうる。
【0014】
特に、CO2波形の分析に基づきどのような措置がとられうるかを特定するためにカプノメータを使用している患者に関する特定の情報が必要な場合に、特定の患者に特異的な患者データを用いて、CO2波形の分析に基づき即時に措置をとることができる。
【0015】
データを含むカプノメータは、患者に固有のものとなり、従って、セキュリティを提供し、またデータ収集の完全性を確実としうる。
【0016】
実施形態において、分析される患者の呼吸器系は、患者の肺、気管、咽頭、喉頭、気管支、細気管支、鼻、口、呼吸のための筋肉などの内の1つ以上を含む。
【0017】
カプノメータの好ましい実施形態では、患者データは分析アルゴリズムを含み、前記分析はその分析アルゴリズムを用いて呼吸器系機能を分析することを含む。
【0018】
装置及び分析は、分析アルゴリズム及び患者の他の特異的データを収集及び記憶することにより、その患者に固有のものとなりうる。患者に特異的な分析アルゴリズムは、セキュリティをさらに高め、またデータ収集の完全性をさらに確実なものとしうる。さらには、患者に特異的な分析アルゴリズムを提供することにより、特に、特定患者の他の状態及び変量が分かり、その患者の呼吸器系機能を分析するときにそれが考慮されうるため、呼吸器系機能をより正確に分析することができる。
【0019】
カプノメータの好ましい実施形態では、患者データは、患者の識別データを含む。従って、カプノメータが特定の認可された患者又は患者達によってのみ使用されうるような機構を用いてもよい。個人識別認証システムをカプノメータに組み込んでもよい。
【0020】
カプノメータのさらなる好ましい実施形態では、識別データは、識別コード、指紋データ、虹彩スキャンデータ、及び患者の呼吸プロファイルデータの内の1つ以上を含む。これらの識別手段の任意の1つ以上を用いて患者を識別することができる。上記の通り、これは、特定の患者又は患者達のみがそのカプノメータを使用できるという点で有利となりうる。識別コードは、例えばカプノメータを使用できるようにするためにカプノメータのユーザがカプノメータの入力部に入力する必要があるPINコードであってよい。加えて又は代わりに、カプノメータは、指紋スキャナ及び/又は虹彩スキャナを含んでいてよい。加えて又は代わりに、カプノメータは、患者の呼吸プロファイルデータに基づきユーザの身元を特定するように構成してもよい。それによって、カプノメータのユーザは、例えば、少なくとも1つのCO2波形が得られさらにそれがメモリに記憶されうるように、カプノメータを通して息の吐き出し及び吸い込みを行うことができる。
【0021】
カプノメータのさらなる好ましい実施形態では、例えば携帯電話又はデータを伝送できる他のデバイスなどの外部の個人用デバイスから識別データを受信する。これは、カプノメータのユーザがそのデバイスに個人的にいずれの情報も入力する必要がないため好都合である。カプノメータと外部デバイスとの間の接続は、例えばブルートゥース(登録商標)などによって確立することができる。
【0022】
好ましくは、カプノメータと外部の個人用デバイスとの間の距離が閾値未満である場合にのみ、その外部の個人用デバイスから識別データが受信される。これは、限られた数の信号(又は好ましくは、最も近い外部デバイスのみからの信号)がカプノメータの信号プロセッサにより受信及び分析されるように、デバイスとカプノメータとの間が特定距離内である外部デバイスのみからの信号をカプノメータが捕捉できるため、好都合である。従って、遠く離れすぎている外部デバイスは、カプノメータの信号プロセッサを介して検出も分析もされないであろう。
【0023】
さらなる好ましい実施形態では、カプノメータは、前記メモリに記憶するために識別データを受信するように構成された識別データ入力部をさらに備える。これは、メモリに記憶された識別データを、後の段階で識別入力部を介して受信される識別データと比較できるため、特定患者又は患者達によるカプノメータの長期使用を可能にする。
【0024】
好ましい実施形態では、カプノメータは、識別データが第1識別子と一致する場合のみ、患者がアクセスできる。信号プロセッサは、識別データ入力部で受信した識別データと第1識別子とを比較するように構成されうる。識別データが第1識別子と一致する場合のみ、患者はカプノメータの特定機能にアクセスできる。これは、例えば、カプノメータの悪用及び/又は偶然の使用を防ぐことを可能にし、及び/又は識別セキュリティを提供することができる。
【0025】
好ましくは、第1識別子はメモリに記憶される。これは、識別データ入力部で受信した識別データを第1識別子と比較するために追加の外部デバイスを必要としないため好都合となりうる。従って、カプノメータは、カプノメータにアクセスすることを可能にするのに必要となりうる全ての構成要素を提供することができる。カプノメータの特定の機能のみが、特定の患者又は患者達にアクセス可能となりうる。
【0026】
或いは、第1識別子は、カプノメータの外部に記憶されてもよい。これは、カプノメータの内部メモリは限られた比較的小さな容量を有する場合があり、またカプノメータの内部メモリは、例えば呼吸プロファイルデータ又は他のデータなどを記憶するのに主に使用されうるため、好都合となりうる。
【0027】
カプノメータのさらなる好ましい実施形態では、信号プロセッサは、CO2波形を規定するCO2レベルデータ出力を提供するように構成され、CO2レベルデータ出力は、後の照合のために、前記メモリ又はカプノメータの内部又は外部の第2のメモリに記憶される。これは、カプノメータを用いてそれが記録された後に呼吸器系機能を分析できるため、特に好ましいであろう。CO2レベルデータ出力は、例えば患者の医療介護者が、カプノメータの内部のメモリからアクセスでき、さらに分析できる。或いは(又はさらに)、CO2レベルデータ出力は、CO2レベルデータ出力が送信されたカプノメータの外部メモリからアクセスできる。カプノメータの外部メモリはより大きな記憶容量を有し、より多くのデータを記憶するのに用いることができるため、好都合である。加えて、カプノメータの外部メモリが患者の医療介護者に送られ、その後、その介護者は、CO2レベルデータ出力にアクセスでして患者の呼吸器系機能を分析することができる。
【0028】
第1のメモリ及び第2のメモリはカプノメータ内部の単一メモリに一体化されうることが理解される。
【0029】
カプノメータのさらなる好ましい実施形態では、第2のメモリは、第1の期間後に定期的に自動で書き換えられる。メモリの容量は限られるため、これは好都合となりうる。従って、最新のデータのみを記憶し、最早必要とされない及び/又は例えば患者の医療介護者によって既に分析された古いデータを削除することが可能となる。
【0030】
好ましい実施形態では、カプノメータは、データを送信及び/又は受信するための第1のデータ通信リンクをさらに備える。このことは、カプノメータを用いて記録されているCO2波形を、その後患者の呼吸器系機能を分析するであろう患者の医療介護者に例えば無線で送信できるため、好都合となりうる。好ましくは、CO2波形を含むデータは、前記第1のデータ通信リンクを介して第1の外部記憶システムに送られる。これは、CO2レベルデータ出力を直接第1の外部記憶システムに送ることを可能にとするため好都合であり、外部記憶デバイスではそのデータは直に及び/又は後の照合のために後でアクセスされうる。これはさらに、例えば薬剤の用量及び/又は投与計画(レジメン)を変更することを可能にする。薬剤調剤システムが用いられる場合、カプノメータに制御データを送ることにより、例えば波形の分析及び/又は経時的な波形の変化の分析の後に、薬剤の種類、及び/又はその用量、及び/又は薬剤を調剤する時間を患者の総合診療医(GP)又は介護者が制御することができる。
【0031】
外部記憶デバイスと、上記の第1及び/又は第2のメモリとを、単一のメモリに一体化してもよい。
【0032】
第1のデータ通信リンクを、データを受信(及び/又は送信)するのに用いてよい。このデータは、例えば、上述した第1識別子を含んでいてよい。さらには、CO2レベルデータ出力がカプノメータ外部で分析される場合、その分析に基づき、調剤されるべき薬剤の時間、及び/又は種類、及び/又は用量に関する指示を、第1のデータ通信リンクで外部デバイスから受信することができる。従って、第1のデータ通信リンクを、例えば信号プロセッサを介して薬剤調剤システムに接続してよい。
【0033】
カプノメータのさらなる好ましい実施形態では、信号プロセッサは、波形の形状、波形の1つ以上のピーク高さ、波形の振幅又は振幅変動、及び波形の周波数構成の内の1つ以上に応答して呼吸器系機能を分析するように構成される。
【0034】
波形のこれらの特徴の分析に基づき、例えば上記のような慢性呼吸器状態に関して、患者の呼吸器系機能を試験及び分析することができる。
【0035】
さらなる好ましい実施形態では、カプノメータは、患者の呼吸器系からの空気が通過する気流領域;光を放射するように構成されたエミッタ;放射された光を検出するための検出器;を備え、前記エミッタ及び検出器は、エミッタからの光が気流領域を通って検出器まで行くように配置され;信号プロセッサは検出器に接続されてCO2波形を分析する。
【0036】
カプノメータの好ましい実施形態では、エミッタは、2つ以上の異なる波長の光を提供するように構成され、また検出器は、信号プロセッサが呼吸器系機能を分析するために2つ以上の異なる波長を検出するように構成される。これは、CO2から生じる信号が、別のガス又はガス成分から生じうる信号と少なくとも部分的に重なり合う場合があるため、特に好都合である。2つ以上の異なる波長の光を放射及び検出することによって、呼吸器系機能を分析するために検出されるべきCO2信号が、他のガスから生じる信号によって妨害される可能性を減らすことを可能とする。従って、患者の呼吸器系機能のより正確な分析を行うことができる。
【0037】
カプノメータのさらなる好ましい実施形態では、エミッタは、3~5μmの範囲内の波長の放射光を提供するように構成された中赤外半導体エミッタを含み;及び検出器は、中赤外半導体検出器を含む。これらのデバイスは、特にCO2が光を吸収する波長の光を放射及び検出するように構成されるため、CO2信号の正確な検出を可能にし、さらには製造が安価となりうるため、これは特に好都合である。
【0038】
カプノメータの例示的な実施形態を以下に記載する。
【0039】
呼吸器系機能又は呼吸器系機能の質を患者(及び/又は第三者)に知らせることが好ましい場合もある。従って、好ましい実施形態では、カプノメータは、1つ以上のユーザインジケータデバイスをさらに備え、波形に基づき、ユーザインジケータデバイスは呼吸器系機能の質を表示する。これらのユーザインジケータデバイスは、1つ以上の光出力及び/又は音出力、ディスプレイなどを含むが、これらに限定されない。好ましくは、ユーザインジケータデバイスは、より一般的な呼吸器系機能に加えて、1つ以上の特異な慢性呼吸器状態に関する情報を提供してよい。
【0040】
さらなる好ましい実施形態では、カプノメータは、呼吸器系機能の質の表示に応じて始動されるように構成されたアラーム及び/又はメッセンジャをさらに備える。アラーム及び/又はメッセージは、自動的に始動されうるが、好都合には患者のGP又は介護者に送られる。
【0041】
さらなる好ましい実施形態では、信号プロセッサはさらに、呼吸器系機能の質に基づき、及び加えて又は任意選択で、検出及び分析された特定の慢性呼吸器状態の1つ以上に基づき、治療的介入が必要なときを表示するように構成される。
【0042】
特定の患者のみに関連する呼吸器系機能の正規化表示を得ることが好ましい場合もある。
【0043】
従って、本発明の関連する態様では、患者の呼吸器系機能を分析するための、カプノメータ、特に上記の実施形態の任意の1つ以上で記載されているカプノメータであって、前記患者による吸気及び/又は呼気のCO2レベルの経時的な変動を表すCO2波形を分析するように構成された信号プロセッサを備え、前記呼吸器系機能の分析が、前記波形と前記患者の以前に得られた波形の1つ以上との比較に基づく、カプノメータを提供する。
【0044】
現在の波形を、過去(例えば、1分以上、1時間以上、1日以上、1週間以上、又は1ヶ月以上前などの過去)に得られた1つ以上の波形と比較することにより、現時点に関して呼吸器系機能の評価が行われうることが理解されるであろう。代わりに又は加えて、過去に得られた波形を、さらに早期に得られた1つ以上の波形と比較することにより、過去のある時点又は期間における呼吸器系機能の評価を行ってもよい。これは、長期間にわたる呼吸器系機能についての情報を入手及び分析することを可能にする。一部の実施形態では、以前に得られた波形は、患者によるカプノメータの1回以上の別個の使用中に得られたものであってよい。或いは、一部の実施形態では、比較は、その間に複数の波形が検出された患者がカプノメータを使用する単回の使用又はセッションの間に得られた異なる波形に基づくものであってもよい。下記にさらに記載するように、上記の比較を行うために、以前に得られた波形を、後の検索のために(カプノメータの内部及び/又は外部の)メモリに記憶させてよいことが理解される。
【0045】
一部の実施形態では、CO2波形が上昇、下降、及び/又は患者が空気を吐き出し終えた間に平らになる部分など、波形の1つ以上の部分を比較してよい。一部の実施形態では、波形全体が比較される。
【0046】
カプノメータの好ましい実施形態では、1つまたは複数の以前得られた波形は、ベースライン(例えば100%)を有するメトリック(metric)を規定し、比較は、ベースラインからの波形の偏差を検出又はモニタリングすることを含む。
【0047】
患者が有する疾患又は疾患の種類に特異的にメトリックが作成された場合、患者の呼吸器系機能をより正確に分析することができる。従って、カプノメータの好ましい実施形態では、信号プロセッサはさらに、患者の疾患又は疾患の種類に関して患者の呼吸器系機能を分析するために、患者の疾患又は疾患の種類に関してメトリックを作成(develop)するように構成される。
【0048】
患者自身のためのみならず、加えて又は代わりに1人以上の異なる患者のために以前得られた1つまたは複数の波形に基づき作成されたメトリックに基づき、特定の疾患又は疾患の種類に関して波形が分析されうることが理解されるであろう。
【0049】
長時間にわたり得られた波形に基づき、時間と共にメトリックを改作(adapt)することが好ましいであろう。従って、好ましい実施形態では、信号プロセッサはさらに、波形に基づき経時的にメトリックを変更するように構成される。経時的にメトリックを変更することにより、それ自体経時的に変化する患者の呼吸器系機能のより正確な分析が可能となるであろう。
【0050】
本発明のさらなる関連する態様では、患者の呼吸器系機能を分析するためのカプノメータ、特に上記の実施形態の任意の1つ以上で記載されているカプノメータであって、カプノメータのユーザによる吸気及び/又は呼気のCO2レベルの経時的な変動を表すCO2波形を分析するように構成された信号プロセッサを備え、前記信号プロセッサは、前記波形から、薬剤を服用した時点の第1の表示;薬剤を服用すべき時点の第2の表示;服用した薬剤の種類の第3の表示;服用すべき薬剤の種類の第4の表示;服用した用量の第5の表示;服用すべき用量の第6の表示;及び薬剤が失効した又は使い切ったことの第7の表示;の内の1つ以上を特定するように構成されている、カプノメータを提供する。
【0051】
これらの表示は特に、例えば波形の形状、波形の1つ以上のピーク高さ、波形の振幅変動、及び波形の周波数構成の内の1つ以上を分析することによって得ることができる。薬剤が服用された時に、波形が変化する場合があり、それはその後信号プロセッサによって処理されうる。同様に、異なる薬剤及び/又は異なる用量に関して波形が異なって変化する場合があり、それは信号プロセッサによって処理されうる。従って、波形の変化及び/又は偏差を用いて、上記の表示の1つ以上を特定することができる。
【0052】
薬剤を用いる場合に、波形が経時的に変化しないことが観察される場合がある。従って、波形変化の欠如は、薬剤が最早有効でないときに薬剤が失効していることを表示しうる。波形変化の非観察は、加えて又は代わりに、薬剤を使い切ったことを表示しうる。後者はさらに、調剤された投薬回数によっても特定及び表示することができる。
【0053】
上記の表示の1つ以上に基づき、薬剤が患者に放出及び提供されうる。従って、好ましい実施形態では、カプノメータは、前記特定に応答して薬剤の放出を制御するための薬剤調剤システムをさらに備える。特定の薬剤及び/又は特定の用量が、上記の表示の1つ以上に基づき薬剤調剤システムによって、好ましくは特定の時点に、放出されうる。
【0054】
カプノメータの好ましい実施形態では、薬剤調剤システムは、薬剤を自動的に放出する、及び/又は薬剤の種類及び/又は用量及び/又はそれを放出する時点を制御するように構成される。従って、ある実施形態では、カプノメータは、例えば用量を特定し、さらに例えば日中のいつ薬剤及び/又は用量を服用すべきかを患者に表示するように構成される。従って、CO2レベルデータ出力の波形を分析することによって用量が特定されうる。
【0055】
カプノメータのさらなる好ましい実施形態では、信号プロセッサは、呼吸サイクル中のいつ薬剤を放出すべきかを特定するように構成される。薬剤が放出されるべき時点は、例えば、特定の日付及び/又は時刻、及び/又は呼吸サイクル中の特定の時点であってよい。従って、CO2レベルデータ出力の波形を分析することにより、呼吸サイクルのある特定の時点又は期間の間に放出されるべき用量が特定されうる。
【0056】
実施形態において、患者は、例えば数時間、数日、数週間、数か月、又はさらにそれ以上の期間にわたり、2又はそれ以上の時点で連続してカプノメータを使用してよい。上記の通り、カプノメータを連続して使用することにより、患者の呼吸器系機能の状態の変動を検出及び分析することができる。或いは、患者によるカプノメータの単回の使用/セッション中に経時的な波形の変化を特定してもよく、すなわち、その際には患者によるカプノメータの単回使用中に複数の波形が検出される。従って、カプノメータの好ましい実施形態では、信号プロセッサはさらに、患者によるカプノメータの単回の使用又は使用セッション中の経時的な波形の変化から、患者の呼吸器系機能の状態の変動を特定するように構成される。複数の波形は、カプノメータの単回の使用又はセッション中に連続して得られた複数の波形を含んでいてよい。或いは、その波形は、カプノメータの単回の使用又はセッション中に得られた波形に関連するが、その波形は連続的に得られた波形に対応するのではなく、比較されうる波形の間に1つ以上の他の波形がある波形に対応するものであってもよい。
【0057】
患者に対する薬剤の効果を、患者の一般的健康状態と関連付けることが好ましいであろう。これは、薬剤が患者に効果(プラスであってもマイナスであってもよい)を有するか否か、及びどの程度の効果を有するかを特定することを可能にする。
【0058】
従って、好ましい実施形態では、カプノメータは、患者に健康状態データ(wellbeing data)を入力させるための健康状態データ入力部をさらに備え、健康状態データは患者の健康状態を記載する。健康状態を、呼吸器系機能に関連付けてよい。
【0059】
薬剤が患者に効果を有するか否か及びどの程度の効果を有するかの特定に加えて又はその代わりに、健康状態データを、本明細書を通して概説するカプノメータの実施形態に関連して記載される他の分析のための入力として用いてもよい。例えば、患者特異的データとして、及び/又は識別データ(それは、健康状態データにおけるパターンに基づき患者を識別できるように過去のデータを得ることが必要となりうる)及び/又は服薬レジメンのコンプライアンスに関する入力として、及び/又は波形の形状及び/又はピーク高さ及び/又は振幅及び/又は周波数構成の間の相関性を特定することを可能にする入力として、及び/又はアラーム及び/又はメッセンジャを始動させるための入力として、及び/又はいつ治療的介入が必要であるかに関する入力として、及び/又はメトリックを規定する及び/又は修正するための入力として、及び/又は上記の第1~第7の表示の1つまたは複数、及び/又は薬剤の自動放出、及び/又はその用量、及び/又はその調剤の時間(例えば、日付及び時刻、或いは呼吸サイクル中のいつであるか)に関する入力として、健康状態データを使用してよい。
【0060】
カプノメータのさらなる好ましい実施形態では、信号プロセッサはさらに、検出器信号と組み合わせて健康状態データを処理して、患者に対する前記薬剤の効果を特定するように構成される。
【0061】
本発明の関連する態様では、患者の呼吸器系機能を分析するためのカプノメータ、特に上記の実施形態の任意の1つ以上で記載されているカプノメータであって、カプノメータのユーザによる吸気及び/又は呼気のCO2レベルの経時的な変動を表すCO2波形を分析し、さらにその波形を規定するCO2レベルデータ出力を提供するように構成された信号プロセッサを備え、前記信号プロセッサがさらに、CO2レベルデータ出力を用いて、いつ薬剤が服用されたか又はされなかったかのエピソードを同定するコンプライアンスデータを特定し、さらにそのコンプライアンスデータから服薬レジメンのコンプライアンスを特定するように構成された、カプノメータを提供する。一部の患者は、指示された投薬量及び/又は治療レジメンに従うこと、及び/又は医薬品又は装置に添付される患者用情報リーフレットの指示に従うことに関して、医師、医療従事者又は他のアドバイザーの指示を遵守しないため、服薬レジメンのコンプライアンスデータを特定することを可能にする特徴を有するカプノメータを提供することは特に好都合となりうる。
【0062】
本発明のさらなる関連する態様では、患者の呼吸器系機能を分析するためのカプノメータ、特に上記の実施形態の任意の1つ以上で記載されているカプノメータであって、カプノメータのユーザによる吸気及び/又は呼気のCO2レベルの経時的な変動を表す波形を規定するCO2レベルデータ出力を提供するように構成された信号プロセッサを備え、前記信号プロセッサがさらに、前記CO2レベルデータ出力を用いて、いつ薬剤が服用されたか又はされなかったかのエピソードを同定するコンプライアンスデータを特定し、さらにそのコンプライアンスデータから服薬レジメンのコンプライアンスを特定するように構成され、服薬レジメンのコンプライアンスの特定が、患者がカプノメータを使用してCO2レベルデータ出力を得るか否かを特定する;波形に基づき、患者が薬剤を服用するか否かを特定する;カプノメータの薬剤使用データ入力部で患者により提供された薬剤使用データに基づき患者が薬剤を服用するか否かを特定する;及び、例えば上記の薬剤調剤システムにより、薬剤がカプノメータから調剤されたか否かを特定する;ことの1つ以上を含む、カプノメータを提供する。
【0063】
患者の医療介護者は、患者が(個人用)カプノメータに入力する患者の自己評価を通知されうる。
【0064】
さらなる好ましい実施形態では、カプノメータは、データを送信(及び任意選択で受信)するためのデータ通信リンクをさらに備え、コンプライアンスデータはデータ通信リンクを介して外部記憶デバイスに送られる。
【0065】
そのデータ通信リンクと本明細書で前述したデータ通信リンクとを単一のデータ通信リンクに一体化してよい。
【0066】
好ましい実施形態では、コンプライアンスデータはさらに、患者が服用した用量を同定する。これは、例えば患者が服用したであろう過量服用(及び/又は過少服用)をモニタリングすることが重要となる場合があるため、好都合となりうる。
【0067】
さらなる好ましい実施形態では、カプノメータは、コンプライアンスデータに応じて始動されるように構成されたアラーム及び/又はメッセンジャをさらに備える。これは、患者が薬剤を服用しなかった場合(又は少なすぎる用量で薬剤を服用したとき)、或いは患者が高すぎる用量で薬剤を服用した場合に、特に有用となりうる。好ましくは、アラーム及び/又はメッセージは、データ通信リンクを介して、患者の介護者又はGPがモニタリングできる外部のモニタリングシステムにさらに送られる。
【0068】
好ましい実施形態では、カプノメータは、患者の呼吸器系からの空気が通過するカプノメータの気流領域における気流量を測定するための流量センサをさらに備え、信号プロセッサは、測定された気流量に基づき気流領域におけるCO2流量を特定するように構成される。CO2流量を用いて、患者の呼吸器系機能をさらに分析することができる。
【0069】
カプノメータの好ましい実施形態では、流量センサは複数の圧力センサを備える。各圧力センサは圧力勾配を検出することができ、それらは、カプノメータの気流領域における空気、及び従ってCO2の流量又は流速を特定するために、互いに関連付けられる。例えば下記にてさらに概説するように、概して、圧力センサは検出圧力に基づき呼吸器系機能をさらに分析するために使用できるため、圧力センサを用いてカプノメータの気流領域におけるCO2流量を特定することは有利となりうる。
【0070】
CO2レベルの波形は各患者によって異なりうる。CO2レベルデータ出力は従って、カプノメータを使用する人を同定するのに使用できる。従って、カプノメータの好ましい実施形態では、信号プロセッサはさらに、CO2レベルデータ出力から患者の身元を特定するように構成される。
【0071】
さらに、患者の呼吸速度をモニタリングすることが好ましい。呼吸速度を用いて、患者が慢性呼吸状態又は任意の他の状態を有するか否かを分析してよい。呼吸速度に基づき、様々な状態及び疾患を検出及び分析することができる。
【0072】
従って、好ましい実施形態では、カプノメータは、患者の呼吸速度をモニタリングしかつ呼吸速度データを出力するための呼吸速度システムをさらに備え、信号プロセッサはさらにその呼吸速度データを処理するように構成される。
【0073】
さらなる好ましい実施形態では、カプノメータは、カプノメータの健康状態データ入力部で入力された患者による自己評価に応答して始動されるように構成されたアラーム及び/又はメッセンジャをさらに備え、アラーム及び/又はメッセージは、データ通信リンクを介して患者のGP又は介護者に送られる。アラームは、上記のアラームと一体化してもよい。加えて又は代わりに、健康状態データ入力部を上記の健康状態データ入力部と一体化してもよい。同様に、加えて又は代わりに、データ通信リンクを上記のカプノメータのデータ通信リンクと一体化してもよい。
【0074】
さらなる好ましい実施形態では、カプノメータは、カプノメータの気流領域における空気の温度を測定するための温度計をさらに備える。空気の温度は、例えば患者の肺などの患者の呼吸器系の状態に影響を及ぼしうるため、これは特に好都合である。
【0075】
さらなる好ましい実施形態では、カプノメータは、カプノメータの周囲の空気の気圧を測定するための気圧センサをさらに備える。気圧は、呼吸器系機能の分析に影響を及ぼしうる天候及び/又は高度条件に関連しうるため、これは特に好都合である。
【0076】
さらなる好ましい実施形態では、カプノメータは、カプノメータの位置を特定するための位置センサをさらに備える。カプノメータの位置、及び従って患者がそれを使用するであろう位置を、呼吸器系機能及び/又は呼吸器系機能の分析に影響を及ぼしうる、任意の1つの時間及び位置における大気汚染及び/又花粉の公知レベルと関連付けることができるため、これは特に好都合である。位置センサは、例えばGPSセンサであってよい。
【0077】
カプノメータの実施形態を吸入器に組み込んでもよい。
【0078】
従って、本発明の関連する態様では、本明細書の実施形態のいずれかに記載されるカプノメータを含む吸入器を提供する。
【0079】
本発明のさらなる関連する態様では、システムであって、上記の任意の1つ以上の実施形態で記載されているカプノメータ;及び前記カプノメータと通信する分析システム;を備え、前記分析システムは、患者データを記憶する分析システムメモリを備え;及び前記分析システムは、(i)信号プロセッサによるCO2波形の分析に基づき分析アルゴリズムを修正する;及び/又は(ii)信号プロセッサによるCO2波形の分析に基づきカプノメータのインジケータのインジケータ設定を修正し、ここでインジケータは呼吸器系機能の質を表示する;及び/又は(iii)信号プロセッサによるCO2波形の分析に基づきカプノメータを用いて調剤される薬剤の用量レベルを変更する;ように構成され;前記分析システムはさらに、修正分析アルゴリズム及び/又は修正インジケータ設定及び/又は変更用量レベルを、カプノメータのメモリに記憶するためにカプノメータに転送するように構成される、システムを提供する。
【0080】
従って、システムの実施形態は、例えば患者の呼吸器系機能の分析に基づき薬剤放出を修正する、及び/又は、例えば(今後)患者の呼吸器系機能をより正確に分析するために、アルゴリズムを修正することを可能にする。加えて又は代わりに、患者が呼吸器系機能の質を把握し、さらには表示に応答して措置がとられるように、呼吸器系機能の質はインジケータを用いて表示されうる。
【0081】
実施形態はさらに、呼吸状態の二段階分析を可能にする。第1段階は、ローカルに記憶されているデータ及びアルゴニズムを用いてカプノメータで実施され;第2段階は、例えば、高レベルの計算資源及び高度なアルゴリズムを用いて、加えて又は代わりに他の患者データを含みうるより大きなデータセットにおいて実施されうる、より詳細な分析であってよい。その詳細な分析を用いて患者特異的なアルゴリズムを修正してよく、それは、例えばデータ通信リンクを介して、患者のカプノメータに安全に転送されうる。
【0082】
システムの好ましい実施形態では、分析システムのメモリに記憶されたデータは、さらなる患者に特異的な患者データをさらに含み、分析アルゴリズムの修正、及び/又はインジケータ設定の修正、及び/又は用量レベルの変更は、さらなる患者に特異的な患者データにさらに従属する。このことは、CO2波形及び/又は呼吸器系機能のあるパターンは、例えば、他の患者において既に検出されている場合があるため、特に好都合である。特に、現在の患者の例えば服用量の変更に対する特定の応答を、以前得られた他の患者の患者データに基づき予測することができるため、例えば、薬剤の服用量を変更する、及び/又は分析アルゴリズムを修正する、及び/又はインジケータ設定を修正するために、この情報を有利な態様で現在の患者のために用いることができる。
【0083】
上記の通りカプノメータのデータ通信リンクを用いて、患者が服薬レジメンを遵守していなければ患者のGP又は介護者に警告が発せられる。アラーム及び/又はメッセージは、患者が彼/彼女の状態を評価するためにカプノメータを使用しない場合、及び/又はカプノメータの波形により特定して、患者が薬剤を使用しない場合、及び/又は患者がカプノメータ又は吸入器の薬剤使用データ入力部に薬剤使用を入力しないことにより特定して、患者が薬剤を使用しない場合、及び/又は複合カプノメータ/吸入器から薬剤が調剤されない場合に、発動され得る。
【0084】
本発明の関連する態様では、患者による服薬レジメンのコンプライアンスをモニタリングする方法であって、カプノメータ、特に上記の実施形態の任意の1つ以上で記載されているカプノメータを用いて、患者の呼気中のCO2レベルをモニタリングするステップ;前記モニタリングからのデータを記憶するステップ;記憶されたデータを用いて薬剤がいつ服用された又は服用されなかったかのエピソードを同定するコンプライアンスデータを特定するステップ;及び前記コンプライアンスデータから服薬レジメンのコンプライアンスを特定するステップ;を含む方法を提供する。評価は、カプノメータ(又は吸入器)のインジケータ及び/又はディスプレイによって患者(及び/又は患者の介護者)に直接伝えてよい。インジケータに基づき、患者は、薬剤を服用する及び/又は援助を求めてメディカルサポートに連絡するなどの、適切な措置をとることができる。
【0085】
方法の好ましい実施形態では、コンプライアンスデータはさらに、服用された用量を同定する。これは、過量の又は過少の用量が服用されたことが患者及び/又は患者の介護者に表示され得るため好都合である。
【0086】
さらなる好ましい実施形態では、その方法は、カプノメータから離れたメモリに、データ通信リンクを介してコンプライアンスデータを送信するステップをさらに含む。その結果、上記の通り、特に服薬レジメンのノンコンプライアンスが観察された場合に、患者の介護者又はGPは措置をとることができる。患者又は患者の介護者は、後の照合のために後の段階でメモリに記憶されたデータにアクセスできる。
【0087】
さらに別の好ましい実施形態では、その方法は、コンプライアンスデータに応じてアラーム及び/又はメッセージを始動させるステップをさらに含む。アラーム及び/又はメッセージは、患者、及び代わりに又は加えて、患者の介護者又はGPに対して表示されうることが理解される。
【0088】
方法のさらなる好ましい実施形態では、コンプライアンスデータの特定は、患者を識別する患者識別コードに応答性である。このことは、カプノメータ(又はカプノメータの特定の機能)に、特定の患者又は患者達のみがアクセス可能とすべき場合に特に好ましい。
【0089】
本発明のこれらの及び他の態様を、添付の図面を参照して、単に例示として、さらに説明する。図面では、全体を通して同様の数字は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1】本発明の実施形態に従うカプノメータの構成要素の概略図
【
図2】本発明の実施形態に従うカプノメータの構成要素の概略横断面図
【
図5】使い捨て呼吸チューブを組み込んだカプノメータの概略図
【
図8】本発明の実施形態に従うカプノメータの構成要素の略図
【
図9】本発明の実施形態に従うカプノメータ及び外部デバイスの略図の第1の例
【
図10】本発明の実施形態に従うカプノメータ及び外部モニタリングシステムの略図の第2の例
【
図12】本発明の実施形態に従うシステムのさらなる略図
【発明を実施するための形態】
【0091】
本明細書に記載のカプノメータは、限定はされないが喘息、気管支拡張症及びCOPDなどの呼吸器疾患を患う患者の診断及び治療処置を容易にするためにCO2濃度及びCO2流量をモニタリングするのに用いてよい。
【0092】
経時的なカプノグラフィプロファイルの変化を分析して、例えば、いつ治療薬を服用すべきか、どの薬剤を服用すべきか、及びどの用量が必要かを評価することができる。また、経時的なカプノグラフィプロファイルの変化、又はその変化が全くないことを用いて、薬剤が有効でないか否か及び/又は薬剤が失効しているか否かを特定してもよい。
【0093】
また、本明細書に記載のカプノメータを用いて、吸入薬剤の送達を最適化し、また治療レジメンのコンプライアンスを実証してもよい。
【0094】
本明細書に記載のカプノメータの実施形態は、患者の呼吸器系状態の兆候(signature)を提供するために利用してもよい。カプノメータは十分小さく容易に持ち運ぶことができ、患者の呼吸器系機能の正確な個人データを提供する。それを用いて患者が自身の呼吸を測定することができる携帯用の低コストで使いやすいカプノメータ及びシステムを提供する。
【0095】
カプノメータは、赤外線(又は中赤外線)エミッタ/検出器対を備える。エミッタ/検出器対は、本明細書の記載の例では、カプノメータの呼吸チューブ上に構成される。エミッタ/検出器対を用いて瞬間CO2濃度を特定する。
【0096】
少なくとも2つの圧力センサを備える流量計を、一部の例において、カプノメータに組み込み、それによって、呼吸チューブを通して患者が呼吸したときに、CO2の絶対流量の測定を行うことができる。
【0097】
呼吸チューブ周辺の電子デバイスを用いて患者の呼吸中のCO2流量の変動を記録する。この情報を、カプノメータの内部及び/又は外部のメモリに記憶する。
【0098】
カプノメータは、指定された患者のみがその装置を使用できることを確実にする。従って、一部の例では、カプノメータは、患者の識別データを受け取るように構成された識別データ入力部を備える。患者の識別データは、一部の例では、識別コード、指紋データ及び虹彩スキャンデータの内の1つ以上を含む。識別コードは、一部の例では、患者が入力する必要があるPINコード、及び/又は、スキャンされる必要があるバーコードである。代わりに又は加えて、患者の近くにある、例えば、限定はされないが、携帯電話、キーフォブ、又はリストバンド型デバイスなどの外部デバイスとのカプノメータの近距離無線通信を用いて、指定患者のみがカプノメータを使用することを可能にすることができる。指定患者がカプノメータにアクセスする及び使用するために、上記の識別手段の1つ以上の任意の組合せを用いてよいことが理解される。
【0099】
カプノメータを用いて検出されたCO2濃度の波形の分析は、CO2変動が特定の指定患者のものであることを特定することを可能にする。従って、例えば、限定はされないが、波形の呼気終末及び呼吸数勾配などの、波形の様々なパラメータが分析される。
【0100】
カプノメータの実施形態を、医療専門家の介添えなしに、患者が個人用装置として使用することができる。従って、その装置は、診療所又は病院の環境の外で行うことができる信頼性の高い測定を可能にするという特徴を有する。
【0101】
1つの例では、呼吸チューブは、その装置の光学素子の汚染を防ぐために、使用していないときはポートで覆われる。
【0102】
別の例では、呼吸チューブは、呼気に含まれる痰及びその他の流体が光学素子を汚染しないように、それらを捕捉するための細かいグリッドを備える。
【0103】
その装置の別の例は、呼吸サイクル中の信号レベルを分析し、光学素子の容認できない汚染があるか否かを特定し、さらにその後、呼吸チューブを交換する必要があることをユーザに表示することを可能にする。
【0104】
別の例では、その装置は、ユーザに適した呼吸数で規則的に光をつける及び/又はビープ音を鳴らすことにより、ユーザが一貫して呼吸することを促す。
【0105】
別の例では、カプノメータは、投薬用吸入装置と一体化される。そのような一体化された装置を用いて、薬剤の送達のタイミングが息を吸う最も有効な部分になるように最適化することができる。
【0106】
別の例では、カプノメータ装置は、ユーザが最後に薬剤を服用したときを入力できるように、一体化されたスクリーン上に追加のボタン及び指示を含む。
【0107】
別の例では、カプノメータは、ユーザがどのように感じているかの主観的評価を記録する。
【0108】
別の例では、カプノメータ装置は、ユーザに測定を行う及び/又は薬を服用するように注意喚起する。
【0109】
別の例では、投薬量を呼吸プロファイルの評価によって特定する。
【0110】
例示的カプノメータ
参照によってその全てが本明細書に組み込まれる2014年12月10日出願の英国特許出願第1421961.2号において、改善されたカプノメータの実施形態を既に記載した。これらのカプノメータは、本明細書に記載の本発明の実施形態で使用できる装置を例示する。
【0111】
従って、患者が吸い込み及び/又は吐き出すガス中の成分の濃度を検出するためのカプノメータであって、それを通って患者の呼吸器系まで及び/又は患者の呼吸器系からガスが通過する気流領域;3~5μmの範囲内の波長の赤外(IR)光を提供するように構成された中赤外半導体エミッタ;IR光を検出するための中赤外半導体検出器;エミッタにより放射されたIR光を反射するためのリフレクタ;を備え、前記エミッタ、検出器及びリフレクタは、エミッタにより放射されたIR光が、リフレクタを介して気流領域を通って検出器まで行くように配置された、カプノメータを記載する。
【0112】
従って、そのカプノメータを用いて、非分散型IR吸収の原理を利用してガス混合物から特定のガス成分の濃度を定量的に測定することができる。
【0113】
カプノメータの反射配置(reflecting geometry)は、低コスト生産及び低消費電力を提供する。本発明者は、通常コリメート光学配置で用いられる、フィルタを備えた回転要素又はビームスプリッタ光学素子が、反射配置を用いることによってカプノメータで不要となりうることを見出した。従って、近接するエミッタ/検出器対がガスサンプルボリュームの片側に配置され、反射表面がガスサンプルボリュームの反対側(向かい側)に提供されるカプノメータを利用して、測定を実施することができる。
【0114】
反射配置はさらに、呼吸器系機能の測定、特に肺機能の測定に適したガス濃度で良好な信号対雑音比を達成するために適切なサンプリング長さを達成することを可能にする。反射配置では、サンプリング長さは、エミッタとリフレクタとの間の距離、並びにリフレクタと検出器との間の距離によって特定され得る。
【0115】
カプノメータは、ガス中の成分の濃度が特定されるときに高い時間分解能が達成されるように、非分流又は実質的に非分流様式で操作されうる。
【0116】
カプノメータは、口-鼻開口部の近くのガス濃度を測定することを可能にするやり方で実施される。
【0117】
反射配置を用いて、多くの構成を使用できることが理解されるであろう。
【0118】
エミッタは、気流領域の第1の側面の第1の位置に設置してよく、また検出器は、気流領域の第2の側面の第2の位置に設置してよく、第2の側面は気流領域から第1の側面の反対側にある。
【0119】
一部の例では、リフレクタは、気流領域の第3の側面の第3の位置に設置され、第3の側面は第1及び第2の側面にそれぞれ隣接する。リフレクタは、一部の例では、気流領域の第4の側面の第4の位置にさらに設置され、第4の側面は、気流領域から第3の側面の反対側にある。それによって、検出器により検出される信号を増やし、信号対雑音比を向上させることが可能となる。
【0120】
或いは、一部の例では、エミッタが気流領域の第1の側面の第1の位置に設置され、検出器が気流領域の第2の側面の第2の位置に設置され、第1の側面が第2の側面に隣接し、リフレクタが気流領域の第3の側面の第3の位置に設置され、第3の側面は第1の側面の反対側にある又は第2の側面の反対側にあるような配置が用いられる。
【0121】
様々な構成をカプノメータの反射配置で利用してよいことが理解されるであろう。エミッタ、検出器、及びリフレクタの相対的位置、及び/又はリフレクタの形状は、エミッタにより放射されるIR光が、リフレクタを介して気流領域を通って検出器まで行くことを確実にするために変更してよい。
【0122】
一部の例では、カプノメータは、呼吸チューブをさらに備え、呼吸チューブは、気流領域のための、エミッタ/検出器とリフレクタとの間のチャンネル(通路)を画定する。一部の例では、呼吸チューブはカプノメータから取り外し可能である。使用後に呼吸チューブを交換することによって、ガス濃度の測定に望ましくない影響を及ぼしうる呼吸チューブ上のあらゆる汚染を最小限にすることが可能となるため、これは特に有用となりうる。
【0123】
一部の例では、呼吸チューブを使用する一部の例示のカプノメータでは、エミッタ、検出器及びリフレクタは、呼吸チューブ内に取り付けられる。呼吸チューブがカプノメータから取り外し可能である場合、エミッタ、検出器及びリフレクタと共に呼吸チューブを交換することにより、エミッタ、検出器及びリフレクタ上のあらゆる汚染を最小限にすることが可能となる。
【0124】
一部の例では、カプノメータは、エミッタにより放射されるIR光の検出器への収集効率を向上させるために、エミッタとリフレクタとの間、及び/又は検出器とリフレクタとの間に、光学層をさらに備える。一部の例では、この光学層はケイ素を含む。光学層に適した他の材料は当業者に公知であり、限定はされないが、ZnS、ZnSe、Ge、カルコゲナイドガラス、及び特定のポリマーなどが挙げられる。エミッタ及び検出器が気流領域の同じ側面上に配置される一部の例において、光学層は単一の層であるか、又はそれぞれエミッタ/リフレクタ及び検出器/リフレクタの間の2つの別個の層である。
【0125】
一部の例では、エミッタ及び検出器は、呼吸チューブの外側に設置され、呼吸チューブは中赤外線透過部分を含み、その中赤外線透過部分をエミッタ及び検出器と合わせて、中赤外線がそれらを通って呼吸チューブ内へ入る及び呼吸チューブから出ることを可能にする。一部の例では、中赤外線透過部分は別個の窓を含む。別個の窓が利用されない場合は、呼吸チューブは、エミッタ及び検出器と合わせた部分で中赤外透過性であってよいことが理解されるであろう。中赤外線透過部分が別個の窓を含む場合、一部の例では、カプノメータは、呼吸チューブと別個の窓との間に配置されるシールをさらに備える。一部の例では、シールは、ガスがサンプリングされる気流領域内にカプノメータの周囲の空気が侵入するのを防ぐのに適している。
【0126】
一部の例では、中赤外線透過部分は、反射防止コーティング及び/又は防曇コーティングを含む。コーティングは中赤外線透過部分上でのIR光の散乱を減らすため、これによって、エミッタにより放射されるIR光の検出器への収集効率を高め、従って信号対雑音比を向上させることができる。代わりに又は加えて、一部の例では、カプノメータは、中赤外線透過部分を加熱するためのヒータをさらに備える。このようにして、収集効率及び従って信号対雑音比を高めるために、中赤外線透過部分での水分凝縮を防ぐことができる。
【0127】
中赤外線透過部分に加えて、一部の例では、カプノメータは、エミッタにより放出されたIR光の検出器への収集効率を向上させるために、エミッタとリフレクタとの間、及び/又は検出器とリフレクタとの間に光学層をさらに備える。エミッタ及び検出器が気流領域の同じ側面に配置される一部の例では、光学層は単一の層であるか、又はそれぞれエミッタ/リフレクタ及び検出器/リフレクタの間の2つの別個の層である。一部の例では、光学層は、反射防止コーティング及び/又は防曇コーティングを含む。一部の例では、カプノメータは、光学層の表面上での水分凝縮を回避するために、光学層を加熱するための第2のヒータをさらに備える。一部の例では、第1のヒータと第2のヒータは単一のヒータに一体化される。さらには、中赤外線透過部分と光学層は、一部の例では、単一の機構に一体化される。
【0128】
上記の通り、一部の例では、光学層は、ケイ素、ZnS、ZnSe、Ge、カルコゲナイドガラス、特定のポリマー、又は当業者に公知の他の材料を含む。
【0129】
エミッタ及び検出器が呼吸チューブの外側にある一部の例示のカプノメータでは、リフレクタは呼吸チューブ内に取り付けられる。一部の例では、リフレクタは、呼吸チューブの内表面にコーティング、特に反射防止及び/又は防曇コーティングを含む。
【0130】
好ましいタイプのコーティング(反射防止コーティング及び防曇コーティング)は、サンプリングガスと接触しうる光学層、リフレクタ、中赤外線透過窓、及び他の構成要素に用いられる特定材料に応じて特定されうる。
【0131】
一部の例では、呼吸チューブは、リフレクタをエミッタ及び検出器と共に配置することを可能にするための1つ以上の位置合わせ機構を有する。従って、これらの位置合わせ機構は、カプノメータで行う測定の信号対雑音比を向上させることができる。一部の例では、1つ以上の位置合わせ機構はアライメントピンを含む。
【0132】
代わりに、カプノメータの一部の例では、リフレクタは呼吸チューブの外側に設置され、呼吸チューブは第2の中赤外線透過部分を備え、その第2の中赤外線透過部分をリフレクタと合わせて、中赤外線がそれらを通って呼吸チューブ内へ入る及び呼吸チューブから出ることを可能にする。
【0133】
カプノメータの一部の例では、エミッタは、3~5μmの範囲内の2つ以上の異なる波長のIR光を提供するように構成され、また検出器は、信号プロセッサのために2つ以上の異なる波長を検出するように構成される。これらのカプノメータは、異なる吸収ピーク又は一般的に異なる吸収スペクトルを有する異なるガスを検出するのに特に適している。
【0134】
一部の例示のカプノメータでは、リフレクタは、呼吸チューブの内面に取り付けられる。一部の例では、リフレクタは呼吸チューブに一体化される又はカプノメータの本体に一体化される。代わりに、一部の例では、カプノメータは、リフレクタを支持するためのリフレクタ取り付け部材をさらに備える。
【0135】
一部の例では、カプノメータは、レベルデータ出力を記憶するためのメモリをさらに備える。これは、後の段階で、カプノメータを用いて測定したガス濃度を分析することを可能にする。
【0136】
一部の例では、ガス混合物中の検出されるべきガス成分はCO2である。
【0137】
カプノメータの一部の例では、エミッタはIII-V中赤外半導体エミッタを含む。
【0138】
カプノメータの一部の例では、検出器はIII-V中赤外半導体検出器を含む。
【0139】
エミッタ及び検出器の種類は、サンプリングされるべきガス及び/又はガス成分によって特定されうることが理解されるであろう。
【0140】
カプノメータの一部の例では、リフレクタは、有機層でコーティングした反射金属薄膜を含む。一部の例では、有機層は、特に、リフレクタが呼吸チューブの内面に配置される場合、反射防止コーティング及び/又は防曇コーティングを含む。一部の例では、代わりに又は加えて、有機層を加熱して有機層の表面での水分凝縮を防ぐために、例えば上記のヒータの1つのようなヒータがカプノメータに設けられる。
【0141】
信号が、患者の呼吸器系、特に肺の血流及び換気に関する十分な情報を伝えることを可能にするのに十分な測定の時間分解能を得ることが重要であろう。縮小光学素子(cut down optics)及び/又はサンプリング領域を通るガスを加速するような呼吸チューブ設計を用いて、サンプル幅を減らしてもよい。従って、カプノメータの一部の例では、気流領域は、IR光が気流領域を通過するところで断面積が減少する。
【0142】
カプノメータは、医療装置と組み合わせて使用することができ、その際にカプノメータはカプノメータの周囲の空気が医療装置に流れ込むことを阻害するブロッキング手段をさらに備える。
【0143】
カプノメータの一部の例では、エミッタは複数のエミッタを含み、複数のエミッタのそれぞれは、異なるそれぞれの発光中心波長の光を放射する。これは、カプノメータを用いて異なる吸収スペクトルを有する異なるガスをサンプリングすることを可能にする。さらには、このカプノメータは、下記においてさらに説明するように、装置をキャリブレーションする及び/又はガス濃度の測定が無効(void)であるときを特定することを可能にする。
【0144】
一部の例では、検出器は複数の検出器を含み、複数の検出器のそれぞれは、異なるそれぞれの波長範囲の光を検出する。
【0145】
光路の設計は、カプノメータで用いられる、エミッタ及び検出器を含む光学システムの良好な収集効率を確実にすることである。成分が光を吸収する波長(例えば、CO2に関して4.26μm)で低い吸収を有する材料の使用が好ましいであろう。さらに、一部の例では、例えば、物理蒸着又は電気化学堆積により堆積させた金(Au)などにより、リフレクタの高反射表面を提供する。
【0146】
さらに、カプノメータを通して吸気/呼気サイクルにおいて患者が吐き出したガス中のCO2レベルの測定が無効であるときを特定する方法であって、カプノメータを用いて吸気中のガスにおけるCO2レベルを測定するステップ;及び、吸気中のガスにおける測定CO2レベルが第1の範囲のCO2レベルの範囲外であるときに、呼気中のガスにおけるCO2レベルの測定が無効であることを特定するステップ;を含む方法を記載する。
【0147】
本明細書に記載のカプノメータの例をこの方法を実施するのに用いてよい。
【0148】
一部の例では、その方法は、測定が無効であると特定されたときに、呼気中のガスにおける補正されたCO2レベルを特定するステップをさらに含む。呼気中のガスにおける補正されたCO2レベルを特定することは、一部の例では、検出器により検出された信号を補正する及び/又はエミッタにより放射される光信号に関して補正することにより、達成される。従って、一部の例では、補正は、カプノメータのエミッタからの信号とカプノメータの検出器からの信号の一方又は両方に適用される。様々な技術を用いて、補正されたCO2レベルを特定することができる。
【0149】
さらに、カプノメータを通して吸気/呼気サイクルにおいて患者が吸い込み及び/又は吐き出したガス中のCO2レベルの測定が無効であるときを特定する方法において、複数のエミッタを有するカプノメータを提供するステップであって、複数のエミッタのそれぞれが、異なるそれぞれの波長の光を放射し、それぞれの波長はカプノメータの検出器の検出波長範囲内である、ステップ;複数のエミッタのそれぞれの光が異なるそれぞれの時点で検出器により検出されるように、前記吸気中及び/又は吸気中に複数のエミッタをパルスするステップ;前記複数のエミッタにより放射される光の散乱が、前記複数のエミッタの内の少なくとも2つのエミッタ間で相関するときに測定が無効であることを特定するステップ;を含む方法を提供する。
【0150】
一部の例では、複数のエミッタの内の1つは、実質的に4.26μmに中心波長を有する光を放射する。一部の例では、その方法は、測定が無効であるときに、実質的に4.26μmに中心波長を有する光を放射するエミッタからの信号を補正するステップをさらに含む。代わりに又は加えて、一部の例では、測定が無効であるときに、検出器からの信号を補正する。
【0151】
さらに、カプノメータをキャリブレーションする方法であって、カプノメータ、特に本明細書に記載される例示のカプノメータを提供するステップ;既知のCO2レベルを有するガスを含む呼吸チューブを提供するステップ;前記呼吸チューブをカプノメータに挿入するステップ;カプノメータを用いて呼吸チューブ内のガスのCO2レベルを測定するステップ;測定したCO2レベルを既知のCO2レベルに相関させるステップ;及びカプノメータのメモリにその相関性を記憶するステップ;を含む方法を記載する。
【0152】
さらに、カプノメータをキャリブレーションする方法であって、カプノメータ、特に本明細書に記載される例示のカプノメータを提供するステップ;カプノメータを用いて、カプノメータの周囲の空気の既知のCO2レベルを測定するステップ;測定したCO2レベルを既知のCO2レベルに相関させるステップ;及びカプノメータのメモリにその相関性を記憶するステップ;を含む方法を記載する。
【0153】
一部の例では、本明細書に記載のカプノメータは、呼吸器と組み合わされる及び/又は呼吸器に組み込まれる。従って、本明細書に記載の例のいずれかに記載されるカプノメータを含む呼吸器であって、カプノメータは、呼吸器を通って吸い込まれる又は呼吸器を通って吐き出される空気中のCO2レベルをモニタリングするように構成される、吸入器を記載する。
【0154】
図1は、カプノメータの例の構成要素の概略図を示す。その装置は、エミッタ(2)/検出器(3)対とリフレクタ(4)との間に介在する気流領域を流れるサンプルガス中のガス成分の濃度を測定するのに用いられる。この例では、エミッタ(2)/検出器(3)対、及びリフレクタ(4)を、呼吸チューブ(1)内に組み込み、適切な電子駆動デバイス及び検出回路(図示していない)に接続する。一部の例では、検出器電流の値は、エミッタ電流、及びサンプリング領域でサンプリングされるガスの量に比例する。
【0155】
カプノメータのエミッタ(2)及び/又は検出器(3)は、この例では、III-V半導体から構成される。エミッタ(2)及び検出器(3)に適した材料は当業者に公知であることが理解されるであろう。この例では、エミッタダイオードは、中心波長がおよそ4.26μmであるIR放射を発するように設計され、検出器(3)はおよそ4.26μmで中心となるピーク感度を有するフォトダイオードである。
【0156】
エミッタ(2)により放射され、さらにリフレクタ(4)を介して検出器(3)によって検出されるIR光が伝わる光路長は、CO2分子による吸収による信号の減衰が、ガス流に適した濃度範囲のための検出器によって強度変化を検出できるものであるように、選択される。人の呼吸に関して、CO2濃度の範囲は、その人が吸い込むバックグラウンドCO2レベルと、その人が吐き出すガスでの5%までの間で変動する。この例では、IR光が伝わる距離はほぼ20mmである。
【0157】
図2の横断面図に図示するように、この例では、サンプリング領域の幅は、エミッタ(2)/リフレクタ(4)及びリフレクタ(4)/検出器(3)の間の距離によって特定される。サンプリング領域の幅は、システムの時間分解能が、その装置の意図された適用のために十分高くなるように選択される。上記の通り、気流領域は、一部の例では、特定されるガス成分の濃度の測定の時間分解能を高めるために、IR光が気流領域を通過するところで断面積が減少する。
【0158】
図3は、ケイ素光学窓(5)を備えたカプノメータの概略図を示す。カプノメータは、一部の例では、使い捨て(single use)に適している。或いは、一部の例では、カプノメータは、使い捨て呼吸チューブ(1)を、リフレクタ(4)、及び光学層(5)(一部の例では、ケイ素を含む)と合体させる。
【0159】
呼吸チューブ(1)は、一部の例では、リフレクタ形状を形成するように射出成形された高密度ポリマーから作られる。呼吸チューブ(1)は、一部の例ではコーティングされており、この例では、高い反射効率を有するリフレクタ(4)を形成する薄い金属薄膜で、蒸着又は電気化学的方法によりコーティングされる。この例では、高密度ポリマーの呼吸チューブ(1)を金薄膜でコーティングする。限定はされないが、例えばアルミニウム及び銀などの様々な材料を呼吸チューブ(1)及びリフレクタ(4)に利用してよい。
【0160】
呼吸チューブ(1)は、一部の例では、サンプルガスが検査される気流領域からサンプルガスを分岐させることを可能にするチャンネルを含み、その流れがサンプリングされるのに十分高いコンダクタンスが達成される。
【0161】
図3に示す例では、ケイ素を含む光学層(5)が、リフレクタ(4)の反対側(向かい側)に提供される。光学層(5)は、呼吸チューブ(1)と共に密閉を形成する。ケイ素を含む光学層(5)の目的は、呼吸からエミッタ(2)/検出器(3)対を保護する、例えば、エミッタ(2)/検出器(3)対の汚染を回避すること、及びエミッタ(2)から放射されるより多くの光が検出器に作用するように導くことにより、システムの収集効率を高めることの両方である。光学層(5)に適した他の材料として、限定はされないが、ZnS、ZnSe、Ge、カルコゲナイドガラス、及び特定のポリマーが挙げられる。この例では、光学層(5)とエミッタ(2)/検出器(3)対との間に間隙が設けられる。或いは、一部の例では、光学層(5)は、エミッタ(2)/検出器(3)対と接触する。さらには、光学層(5)は、一部の例では、エミッタ(2)とリフレクタ(4)との間及び/又は検出器(3)とリフレクタ(4)との間にそれぞれ複数の層を含む。
【0162】
カプノメータは、周辺領域からのガスがサンプリング領域に入るのを防ぐためのシール(9)をさらに備える。この例では、シール(9)は、呼吸チューブ(1)と光学層(5)が互いに接触する2つの位置に配置される。シール(9)は、1つ以上の位置に配置してよい。一部の例では、シール(9)は、呼吸チューブ(1)と光学層が接触する位置で気流領域に面する側及び/又は気流領域に背を向ける側(
図3に示す)に配置される。
【0163】
上記の通り、光学層(5)は、一部の例では、空気との界面での損失を最小限にするために反射防止コーティングを含む。
【0164】
サンプルガスと接触するリフレクタ(4)及び光学層(5)の表面は、一部の例では、表面エネルギーを変更する材料でコーティングされる。従って、呼吸からの凝縮水がそれら表面上に凝縮したときに、高表面エネルギー改質剤の場合、凝縮水は水滴ではなく薄い膜を形成し、それは潜在的にIR放射を散乱させ、従って検出器(3)に作用するIR放射を減らす。表面をコーティングするための高表面エネルギー材料は、例えば、ヒドロキシル及びカルボキシル含有炭化水素チオールである。ヒドロキシル及びカルボキシル含有炭化水素チオールは、自己組織化単層膜を形成するために金表面をコーティングするのに特に適している。ポリエチレンオキシド又はシアノ含有ポリマーのアミンを、一部の例では、リフレクタ(4)及び光学層の両方の表面上に堆積させる。低表面エネルギー改質剤の場合、凝縮水は玉のようにくっつき窓から落ちる水滴を形成し、又はリフレクタ(4)の場合、それほどリフレクタ(4)を被覆せず、従って信号に対する影響が少ない。低表面エネルギー材料は、例えば、フルオロカーボン含有分子である。フルオロカーボン含有分子は、自己組織化単層膜を用いて金表面をコーティングするのに特に適している。
【0165】
表面エネルギー改質材料に加えて又はその代わりに、一部の例では、サンプルガスと接触するリフレクタ(4)及び/又は光学層(5)を、その表面温度がリフレクタ(4)及び/又は光学層(5)での凝縮を防ぐのに十分高い温度になるように加熱する。
【0166】
一部の例では、呼吸チューブ(1)の周囲のガスのサンプリングを最小限にするために、光学層(5)とエミッタ(2)/検出器(3)対との間の距離を、実施可能な限り小さく維持する。一部の例では、この距離は、1cm未満、1mm未満、又は0.1mmであってもよい。この例では、この距離は典型的には0.1mm未満である。
【0167】
この例では、光学層(5)とエミッタ(2)/検出器(3)対との間に間隙が設けられる。或いは、一部の例では、光学層(5)はエミッタ(2)/検出器(3)対と接触する。さらには、光学層(5)は、一部の例では、エミッタ(2)とリフレクタ(4)との間及び/又は検出器(3)とリフレクタ(4)との間にそれぞれ、複数の層を含む。
【0168】
エミッタ(2)/検出器(3)対は、射出成形呼吸チューブ(1)に組み込まれる位置決めピン(8)のための高精度位置決め突起を組み込むプリント基板(6)上に取り付けられる。これは、高収集効率が達成されうるように、エミッタ(2)/検出器(3)対のリフレクタ(4)に対する高精度の位置合わせを可能にする。
【0169】
一部の例では、プリント基板(6)は、エミッタ(2)/検出器(3)対と駆動回路との間の接続を可能にする。
【0170】
エミッタ(2)/検出器(3)対を駆動させるために、電気コネクタ(7)をプリント基板(6)に接続する。
【0171】
一部の例では、システムは、アセンブリ全体を駆動電子デバイス及びカプノメータ本体から取り除き、交換できるように設計される。従って、リフレクタ(4)、光学層(5)、及び回路基板(6)にプリントされたエミッタ(2)/検出器(3)を備えた呼吸チューブアセンブリを、カプノメータの使用後に捨てることができる。
【0172】
図4は、赤外線透過窓(10)を備えたカプノメータの概略図を示す。本明細書に記載のいずれの構成要素に関しても赤外線(IR)透過への言及は、赤外線で透明であることを含む。いずれの構成要素の赤外線透過性も定義済み閾値を超えてよい。
【0173】
この例では、装置は、リフレクタ(4)を形成するためのコーティングを有する射出成形呼吸チューブ(1)を備える。
【0174】
さらには、この例では、リフレクタ(4)の反対側に、IR放射に対する低い減衰を有する窓(10)により覆われた開口部がある。そのような赤外線透過窓(10)のための材料として、限定はされないが、ポリエチレンなどのポリオレフィンが挙げられる。窓(10)の厚さは、好ましくは1cm未満、より好ましくは1mm未満、さらに好ましくは100μm未満である。この例では、赤外線透過窓(10)の厚さは100μmである。
【0175】
リフレクタ(4)及び薄い赤外線透過窓(10)を備えた呼吸チューブ(1)は、ケイ素を含む光学層(5)で覆われたエミッタ(2)/検出器(3)対を含むプリント基板(6)との位置を定めるピン(8)を組み込む。これは、呼吸チューブ(1)をカプノメータから取り外し可能にする。このようにして、低コストの使い捨て呼吸チューブ(1)を製造する。加えて又は代わりに、位置決めピン(8)は、一部の例では、プリント基板(6)に組み込まれる。
【0176】
エミッタ(2)/検出器(3)対を駆動させるために、電気コネクタ(7)をプリント基板(6)に接続させる。
【0177】
図5は、使い捨て呼吸チューブ(1)を組み込むカプノメータの概略図を示す。この例では、カプノメータは、射出成形高密度ポリマーの本体(11)を備える。本体(11)は、一部の例では、プリント基板(6)における突起に合わせる位置決めピン(図示していない)を備える。リフレクタ(4)は任意選択で本体(11)と一体となっている。
【0178】
エミッタ(2)/検出器(3)対はプリント基板(6)の上に配置される。エミッタ(2)/検出器(3)対を駆動させるために、電気コネクタ(7)をプリント基板(6)に接続させる。
【0179】
この例では、ケイ素を含む光学層(5)は、エミッタ(2)/検出器(3)対の上に配置される。
【0180】
呼吸チューブ(1)は、成形本体(11)とプリント基板(6)との間に散在する。呼吸チューブ(1)は、窓、又は赤外線透過又は赤外線透明材料を含む。従って、この例では、呼吸チューブ(1)は使い捨てであり、呼吸チューブ(1)の低コスト生産を可能にする。
【0181】
図6は、エミッタ(2)と検出器(3)が気流領域の反対側に配置されているカプノメータの概略図を示す。この例は、エミッタにより放出されたIR光(2)がリフレクタ(4)を介して気流領域を通って検出器(3)まで行くように、エミッタ(2)、検出器(3)及びリフレクタ(4)が配置される、反射配置を利用する。
【0182】
この構成では、リフレクタ(4)は、気流領域の片側にのみ、或いは、
図6に示すように気流領域の両側に配置してよい。
【0183】
さらには、
図6の例は、反射配置、又はリフレクタ(4)により反射されることなくIR光が気流領域を通過する非反射配置のいずれか、或いは反射配置と非反射配置の組合せを用いることを可能にする。
【0184】
この例では、エミッタ(2)及び検出器(3)は、カプノメータから取り外し可能である呼吸チューブ(
図6に図示していない)内に取り付けられる。或いは、エミッタ(2)及び検出器(3)は、気流領域に面する対向する側面においてカプノメータの本体(11)の2つの内面に取り付けてよい。エミッタ(2)及び検出器(3)は、一部の例では、カプノメータの本体(11)と一体となっている。
【0185】
図6に示すように、一部の例ではケイ素を含む光学層(5)は、気流領域と、エミッタ(2)及び検出器(3)との間にそれぞれ配置される。気流領域とエミッタ(2)との間、又は気流領域と検出器(3)との間のいずれかに、単一の光学層(5)のみを配置してもよいことが理解されるであろう。この例では、光学層(5)は、気流領域とエミッタ(2)の間、並びに気流領域と検出器(3)の間の両方に配置される。上記の通り、光学層(単数又は複数)(5)は、エミッタにより放射されるIR光の検出器(3)への収集効率を向上させることができる。
【0186】
図7は、本明細書の実施形態に記載のカプノメータ並びに標準的なCapnostat(登録商標)5カプノメータをそれぞれ用いて実施した、時間の関数としてのCO
2濃度の測定を示す。この例では、患者の3回の吸気/吸気サイクルを、14秒間にわたり上記特定の装置のそれぞれを用いて記録した。
【0187】
本明細書に記載のカプノメータを用いて得た測定値は、わずかにより安定なCapnostat(登録商標)5カプノメータと比較して、検出されたCO2濃度にわずかな小変動を示すことが見られる。しかしながら、概して、カプノメータのそれぞれで検出された信号は、それらの周波数、振幅、信号の立ち上がり及び立ち下り時間、及び他の特徴に関して一致する。この例は、本明細書に記載のカプノメータのコンセプトの証拠を示す。
【0188】
上記の通り、波形の形状、1つ以上の波形のピーク高さ、波形の振幅又は振幅変動、波形の周波数構成、CO2レベルの立ち上がり時間、CO2レベルの時間に対する勾配の内の1つ以上を用いて、患者の呼吸器系機能を分析してよい。呼吸器系(特に肺)の様々な状態及び/又は疾患を特定することができる。そのような状態及び疾患として、限定はされないが、気管支痙攣、喘息、COPD、低換気、過換気、無呼吸、鎮静、肺塞栓などが挙げられる。
【0189】
一部の例では、反射面及び/又は任意の赤外線透過窓/構成要素の汚染の問題がある。汚染は、検出器(3)により受信される信号を低減する場合があり、実際には全く変化が生じていない場合であってもCO2レベルの上昇に見えることがある。それを軽減する1つの方法は、低いCO2レベルを有する新鮮な空気がサンプリング領域を通過する、呼吸サイクルの吸気相をモニタリングすることである。典型的に、CO2濃度はおよそ450ppmである。閾値は変動しうること、及び好ましくは装置周囲の領域の状態に応じて調節されうることが理解されるであろう。測定CO2レベルが閾値よりも高い場合、システムはその測定が無効であることを表示する。その後、測定CO2レベルに対する補正を行ってよい。
【0190】
別の例では、カプノメータは、およそ4.26μm未満又は超であるが検出器(3)の検出範囲内である中心波長の放射を発する追加のエミッタ(2)を備える。2つのエミッタ(2)は、検出器(3)が別個の時点で2つのエミッタ(2)からの光を検出するように、逆位相でパルスされうる。この方法では、汚染による放射のあらゆる散乱は2つのエミッタ放射間で同様となりうる。次いで、4.26μm又はおよそ4.26μmの中心波長のIR光を放射するエミッタ(2)からの信号に補正を適用することができる。代わりに又は加えて、特定された汚染に基づき、検出器(3)によって検出される信号を補正してよいことが理解されるであろう。
【0191】
一部の例では、システムの正確なキャリブレーションを達成することの問題がある。これは、特に、位置合わせにわずかな変動の可能性があるため、交換可能な呼吸チューブ(1)が用いられる場合である。バックグラウンドCO2レベルが既知であれば、装置をキャリブレーションすることができる。空気が周囲空気であればそうかもしれない。或いは、CO2レベルを異なる情報源から得ることができる。
【0192】
或いは、装置のキャリブレーションのために既知のCO2レベルのガスを組み込んだ呼吸チューブ(1)を用いてもよい。一部の例では、呼吸チューブ(1)は、取り外し可能な要素を有するエンドキャップを備え、キャリブレーション後に、その取り外し可能な要素を取り除くことができ、装置はすぐ使える状態になる。
【0193】
【0194】
カプノメータ800は、上記の様々な機能、特に、限定はされないが、CO2レベルデータ出力を提供するために検出器3からの信号の分析などを実施するように構成されるプロセッサ802を備える。
【0195】
プロセッサ802は、バス804を介してカプノメータ800の他のユニットに接続される。
【0196】
カプノメータは、カプノメータ800の内部メモリに記憶されうるOS/ソフトウェア 818をさらに含む。内部メモリはメモリ806と一体化されてよい。
【0197】
上述したように、例えば患者のGP又は介護者による分析のため、及び/又は現在のCO2レベルデータ出力と1つ以上の以前に得られたCO2レベルデータ出力とを比較するためなど、後での検索のためにCO2レベルデータ出力をメモリ806に記憶させてよい。
【0198】
カプノメータ800は、(1つ以上の)ユーザインジケータデバイス808をさらに備える。ユーザインジケータデバイス808は呼吸器系機能の質を表示する。ユーザインジケータデバイス808は、この例では、薬剤が服用された時点、薬剤を服用すべき時点、服用された薬剤の種類、服用すべき薬剤の種類、服用された薬剤の用量、服用すべき薬剤の用量、及び薬剤を使い切った及び/又は有効期限が切れているか否かの内の1つ以上を表示するためにさらに使用される。
【0199】
カプノメータ800は、薬剤の放出を制御するために使用される薬剤調剤システム810をさらに備える。患者は、自身で薬剤の放出を制御することができる。或いは、薬剤(種類及び/又は用量及び/又は時間)は、プロセッサ802を用いて特定され、さらに任意選択でユーザインジケータデバイス808により表示される上記の表示の1つ以上に応答して自動的に放出されうる。
【0200】
カプノメータ800は、患者の識別データを受信するように構成された識別データ入力部812をさらに備える。上記の通り、識別データは、識別コード、指紋データ、虹彩スキャンデータ、患者呼吸プロファイルデータ、及び他のデータの1つ以上であってよい。識別データは、データ通信リンク814を介して受信される。或いは、他の例では、識別データは、識別データ入力部812に直接入力される。
【0201】
上記の通り、カプノメータ800は、識別データが識別子と一致する場合にのみ使用されうる。識別子は、この例では、メモリ806に記憶され、又は代わりに又は加えてそれはカプノメータ800の外部に記憶されてもよい。
【0202】
カプノメータ800は、患者の健康状態を記載する健康状態データを患者が入力することを可能にする健康状態データ入力部816をさらに備える。プロセッサ802は、薬剤が患者に効果があるか又はあったか、及びどの程度効果があるか又はあったかを特定するために、検出器3からの信号と組み合わせて健康状態データを処理することができる。
【0203】
カプノメータ800はアラーム820をさらに備える。患者が服薬レジメン(薬剤の種類、及び/又は薬剤の用量、及び/又は薬剤を服用する時間)に従って薬剤を服用しなかった場合にアラームが始動される。加えて又は代わりに、例えば患者のGP又は介護者に警告するために、アラームを外部デバイス又はシステムに送ってよい。
【0204】
カプノメータ800は、カプノメータの気流領域800におけるCO2流量を測定するように構成された1つ以上の圧力センサ822をさらに備える。
【0205】
カプノメータ800は、患者の呼吸速度をモニタリングするのに用いられ、さらにプロセッサ802によって処理されうる呼吸速度データを出力する、呼吸速度システム824をさらに備える。
【0206】
カプノメータ800は、患者がその薬剤使用に関してデータを入力できる薬剤使用データ入力部826をさらに備える。上記の通り、この情報を用いて、服薬レジメンのコンプライアンスを特定することができ、さらにそのコンプライアンス応じて、患者のGP又は介護者に警告することができる。
【0207】
図9は、カプノメータ800及び外部デバイス900の略図を示す。
【0208】
外部デバイス900は、カプノメータ800のデータ通信リンク814と通信するデータ通信リンク906を含む。外部デバイス900は、固有の識別子コードを記憶するメモリ908を含む。このコードを、データ通信リンク906によってカプノメータ800に送ることができ、カプノメータにおいてそれはデータ通信リンク814で受信される。次に、そのコードを、メモリ806に記憶された識別子と比較し、及び/又は特定の患者(又は患者達)のみがカプノメータ800を使用できるようにそのコードを用いてカプノメータ800のロックを解除する。
【0209】
メモリ908は手動で書き換えることができ、及び/又はそれは自動で定期的に書き換えられてもよい。
【0210】
図10は、カプノメータ800及びシステム1004の略図を示す。
【0211】
カプノメータ800を介して得られたデータは、プロセッサ802によって処理され、データ通信リンク1002を介してシステム1004に送られる。この例では、データ通信リンク1002、及び上記のデータ通信リンク814は同じ単一のデータ通信リンクである。
【0212】
次に、データは、データ通信リンク1006を介してシステム1004で受信することができ、さらにそれはメモリ1008に記憶されうる。
【0213】
代わりに又は加えて、データは、カプノメータ800の内部、例えばメモリ806に記憶されうる。
【0214】
データは、後の分析のために、例えば患者のGP又は介護者が使用することができる。
【0215】
データは、限定はされないが、CO2レベルデータ、調剤の種類及び/又は用量及び/又は時間などの上述されたユーザインジケータデバイス808を介して得られたデータ、CO2流量データ、識別データ入力部812を介して得られたデータ、呼吸速度データ、健康状態データ、アラーム820を介したデータ出力、及び他のデータなどである。
【0216】
メモリ1008は手動で書き換えることができ、及び/又はそれは自動で定期的に書き換えられてもよい。
【0217】
図11は、本明細書に記載のシステム1100の略図を示す。
【0218】
システム1100は、データ通信リンク814/1002を有するカプノメータ800(又は、本明細書に記載のカプノメータを含む吸入器800)、及び分析システム1104を含む。
【0219】
分析システム1104は、プロセッサ1102、データ通信リンク1106、及びメモリ1108を含む。
【0220】
分析システム1104は、データ通信リンク814/1102及び1106を介してカプノメータ800と通信する。
【0221】
分析システム1104のメモリ1108は、1又は2人以上の患者に特異的な患者データを記憶する。
【0222】
分析システム1104は、カプノメータ800の信号プロセッサによるCO2波形の分析に基づき、カプノメータ800で用いられる分析アルゴリズムを修正する;及び/又は信号プロセッサによるCO2波形の分析に基づき、カプノメータのインジケータ800のインジケータ設定を修正し、インジケータは、カプノメータのユーザの呼吸器系機能の質を表示する;及び/又は信号プロセッサによるCO2波形の分析に基づき、カプノメータを用いて調剤する薬剤の用量レベルを変更する;ように構成される。分析システム1104は、カプノメータ800の信号プロセッサを用いてCO2波形を分析するのに用いられる修正分析アルゴリズム、及び/又は修正インジケータ及び/又は変更用量レベルを、カプノメータ800のメモリに記憶するためにカプノメータ800に転送するように構成される。
【0223】
この例では、メモリ1108は、さらなる患者に特異的な患者データをさらに記憶する。分析アルゴリズムの修正及び/又はインジケータ設定の修正及び/又は用量レベルの変更は、メモリ1108に記憶されたさらなる患者の患者特異的なデータに従属し、それは、上述したように、特定の呼吸器系機能又は機能不全、特に、特定の肺機能又は機能不全を表示しうる他の患者から得られた以前のCO2波形の分析に基づき、特定の措置をとることができる点で好都合である。
【0224】
従って、患者評価は、カプノメータ(又は吸入器)におけるインジケータ及び/又はディスプレイにより伝えることができる。カプノメータ800と分析システム1104(セントラルデータベースとなりうる)の間のデータ伝送がセキュアリンクを介して生じる。
【0225】
分析システム1104は、他の患者からのデータと組み合わせた個々の患者データで(プロセッサ1102を用いて)高度なデータ分析を実施するために、追加の演算能力を利用してよい。
【0226】
このプロセスは、医師によって用いられる患者の呼吸状態に関するより詳細な情報を提供するであろう。上記の通り、修正ルーチンを、個人用装置に確実に転送することができる。
【0227】
図12は、本明細書に記載のシステム1200の略図を示す。
【0228】
システム1200は、この例では、携帯型の個人用カプノメータ1202を含む。カプノメータ1202は、無線通信ネットワーク1206を介してグローバルデータベース1204(例えば、カプノメータ1202の外部のストレージクラウド又は他の格納システム)に接続する。
【0229】
カプノメータ1202は、この例では、パラメータ抽出ユニット1210と通信するガス分析計1208を備える。ガス分析計1208は、カプノメータ1202のユーザによる吸気/呼気のCO2波形を分析するように構成される。その後、パラメータ抽出ユニット1210を用いて、CO2波形のパラメータ、この例では、波形の形状、1つ以上の波形のピーク高さ、波形の振幅、波形の振幅変動、CO2レベルの立ち上がり及び立ち下り時間、CO2レベルの時間に対する勾配、及び波形の周波数構成を抽出する。
【0230】
パラメータ抽出ユニット1210は、患者データユニット1218及びアルゴリズムユニット1212と通信する。患者データユニット1218は、とりわけパラメータ抽出ユニット1210から、患者データを受信する。パラメータ抽出ユニット1210により抽出されたパラメータは、アルゴリズムユニット1212に送られ、そこでは、患者の呼吸器系機能、特に肺機能を分析するのに用いられるアルゴリズムが上記の通り修正されうる。
【0231】
アルゴリズムユニット1212は、呼吸器系質特定ユニット1214(この例では肺質特定ユニット(lung quality unit)1214)と通信し、そこでは、カプノメータ1202のユーザの肺機能の質が特定される。
【0232】
肺質特定ユニット1214で得られたデータは、肺質特定ユニット1214で得られたデータに基づきカプノメータ1202のユーザの健康状態を表示するのに用いられるヘルスインジケータ1216に伝えられる。
【0233】
この例では、肺質特定ユニット1214で特定された肺の質を表示するデータが、患者データユニット1218に伝えられる。患者データユニット1218は、この例では、アルゴリズムユニット1212と接続しているため、必要に応じてアルゴリズムを修正するために、肺質データは、患者データユニット1218を介してアルゴリズムユニット1212に伝えられうる。一部の例では、必要に応じてアルゴリズムを変更するために、肺質特定ユニット1214は、アルゴリズムユニット1212と直接通信する。
【0234】
グローバルデータベース1204は、この例では、患者の記録を記憶するメモリ1220を含む。メモリ1220は、患者データユニット1218からの患者データがネットワーク1206を介して受信されるグローバルデータベースユニット1222に接続している。患者データユニット1218からの患者データはグローバルデータベースユニット1222で分析することができ、アップデートされたアルゴリズムはアップデートアルゴリズムユニット1224で作成される。この例では、グローバルデータベースユニット1222は、さらなる患者からの患者データを記憶するためにも用いられる。
【0235】
アップデートされたアルゴリズムは、この例では同じネットワーク1206を介して、グローバルデータベース1204のアップデートアルゴリズムユニット1224から、カプノメータ1202のアルゴリズムユニット1212に伝えることができる。
【0236】
おそらく多くの他の有効な代替案が当業者に考え付くであろう。本発明は、記載の実施形態に限定されず、当業者に明白でありかつ添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある変更及び修正を包含することを理解されたい。
最後に、本発明の好ましい実施態様を項分け記載する。
[実施態様1]
患者の呼吸器系機能を分析するためのカプノメータであって、
前記患者に特異的な患者データを記憶するためのメモリ;及び
前記患者による吸気及び/又は呼気のCO2レベルの経時的な変動を示すCO2波形を分析するための信号プロセッサ;
を備えるカプノメータ。
[実施態様2]
前記患者データは分析アルゴリズムを含み、前記分析は、該分析アルゴリズムを用いて呼吸器系機能を分析することを含む、実施態様1に記載のカプノメータ。
[実施態様3]
前記患者データは前記患者の識別データを含む、実施態様1又は2に記載のカプノメータ。
[実施態様4]
前記識別データは、識別コード、指紋データ、虹彩スキャンデータ及び患者呼吸プロファイルデータの内の1つまたは複数を含む、実施態様3に記載のカプノメータ。
[実施態様5]
外部の個人用デバイスから前記識別データを受信する、実施態様3又は4に記載のカプノメータ。
[実施態様6]
前記カプノメータと前記外部の個人用デバイスとの間の距離が閾値未満である場合にのみ、前記外部の個人用デバイスから前記識別データを受信する、実施態様5に記載のカプノメータ。
[実施態様7]
前記メモリに記憶するために識別データを受信するように構成された識別データ入力部をさらに備える、実施態様3から6のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様8]
前記識別データが第1識別子と一致する場合にのみ、前記患者がカプノメータにアクセスできる、実施態様7に記載のカプノメータ。
[実施態様9]
前記第1識別子は前記メモリに記憶される、実施態様8に記載のカプノメータ。
[実施態様10]
前記第1識別子はカプノメータの外部に記憶される、実施態様8に記載のカプノメータ。
[実施態様11]
前記信号プロセッサは、CO2波形を規定するCO2レベルデータ出力を提供するように構成され、前記CO2レベルデータ出力は、後の照合のために、前記メモリ又はカプノメータの内部又は外部の第2のメモリに記憶される、実施態様1から10のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様12]
前記第2のメモリは、第1の期間後に定期的に自動で書き換えられる、実施態様11に記載のカプノメータ。
[実施態様13]
データを送信及び/又は受信するための第1のデータ通信リンクをさらに備える、実施態様1から12のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様14]
前記CO2波形を含むデータが、前記第1のデータ通信リンクを介して第1の外部記憶システムに送られる、実施態様13に記載のカプノメータ。
[実施態様15]
前記信号プロセッサは、波形の形状、波形の1つまたは複数のピーク高さ、波形の振幅又は振幅変動、及び波形の周波数構成の内の1つまたは複数に応答して呼吸器系機能を分析するように構成される、実施態様1から14のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様16]
患者の呼吸器系からの空気が通過する気流領域;
光を放射するように構成されたエミッタ;
前記放射された光を検出する検出器;
を備え、前記エミッタ及び検出器は、エミッタからの光が気流領域を通って検出器まで行くように配置され;
前記信号プロセッサは前記検出器に接続されて前記CO2波形を分析する、実施態様1から15のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様17]
前記エミッタは、2つ以上の異なる波長の光を提供するように構成され、かつ前記検出器は、前記信号プロセッサが呼吸器系機能を分析するために前記2つ以上の異なる波長を検出するように構成される、実施態様16に記載のカプノメータ。
[実施態様18]
前記エミッタは、3~5μmの範囲内の波長の放射光を提供するように構成された中赤外半導体エミッタを含み;及び
前記検出器は、中赤外半導体検出器を含む、実施態様16又は17に記載のカプノメータ。
[実施態様19]
1つまたは複数のユーザインジケータデバイスをさらに備え、前記波形に基づき、該ユーザインジケータデバイスは呼吸器系機能の質を表示する、実施態様1から18のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様20]
前記呼吸器系機能の質の表示に応じて始動されるように構成されたアラーム及び/又はメッセンジャをさらに備える、実施態様19に記載のカプノメータ。
[実施態様21]
前記プロセッサはさらに、前記呼吸器系機能の質に基づき治療的介入が必要なときを表示するように構成される、実施態様19又は20に記載のカプノメータ。
[実施態様22]
患者の呼吸器系機能を分析するためのカプノメータ、特に上記実施態様のいずれかに記載のカプノメータであって、前記患者による吸気及び/又は呼気のCO2レベルの経時的な変動を表すCO2波形を分析するように構成された信号プロセッサを備え、前記呼吸器系機能の分析が、前記波形と前記患者の1つまたは複数の以前得られた波形との比較に基づく、カプノメータ。
[実施態様23]
前記1つまたは複数の以前得られた波形は、ベースラインを有するメトリックを規定し、前記比較は、前記ベースラインからの波形の偏差をモニタリングすることを含む、実施態様22に記載のカプノメータ。
[実施態様24]
前記信号プロセッサはさらに、前記患者の疾患又は疾患の種類に関して患者呼吸器系機能を分析するために、前記患者の疾患又は疾患の種類に関してメトリックを作成するように構成される、実施態様23に記載のカプノメータ。
[実施態様25]
前記信号プロセッサはさらに、波形に基づき経時的に前記メトリックを変更するように構成される。実施態様23又は24に記載のカプノメータ。
[実施態様26]
患者の呼吸器系機能を分析するためのカプノメータ、特に上記実施態様のいずれかに記載のカプノメータであって、カプノメータのユーザによる吸気及び/又は呼気のCO2レベルの経時的な変動を表すCO2波形を分析するように構成された信号プロセッサを備え、該信号プロセッサは、前記波形から、
薬剤を服用した時点の第1の表示;
薬剤を服用すべき時点の第2の表示;
服用した薬剤の種類の第3の表示;
服用すべき薬剤の種類の第4の表示;
服用した用量の第5の表示;
服用すべき用量の第6の表示;及び
薬剤が失効した及び/又は使い切ったことの第7の表示;
の内の1つまたは複数を特定するように構成される、カプノメータ。
[実施態様27]
前記特定に応答して薬剤の放出を制御するための薬剤調剤システムをさらに備える、実施態様26に記載のカプノメータ。
[実施態様28]
前記薬剤調剤システムは、薬剤を自動的に放出する、及び/又は薬剤の種類及び/又は用量及び/又はそれを放出する時点を制御するように構成される、実施態様27に記載のカプノメータ。
[実施態様29]
前記信号プロセッサは、呼吸サイクル中のいつ薬剤を放出すべきかを特定するように構成される、実施態様26、27又は28に記載のカプノメータ。
[実施態様30]
前記信号プロセッサはさらに、患者によるカプノメータの単回の使用中の経時的な波形の変化から、呼吸器系機能の状態の変動を特定するように構成される、実施態様1から29のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様31]
前記患者に健康状態データを入力させるための健康状態データ入力部をさらに備え、前記健康状態データは患者の健康状態を記載する、実施態様1から30のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様32]
前記プロセッサはさらに、検出器の信号と組み合わせて前記健康状態データを処理して、患者に対する前記薬剤の効果を特定するように構成される、実施態様31に記載のカプノメータ。
[実施態様33]
患者の呼吸器系機能を分析するためのカプノメータ、特に上記実施態様のいずれかに記載のカプノメータであって、
カプノメータのユーザによる吸気及び/又は呼気のCO2レベルの経時的な変動を表すCO2波形を分析し、さらにその波形を規定するCO2レベルデータ出力を提供するように構成された信号プロセッサを備え、
前記信号プロセッサはさらに、前記CO2レベルデータ出力を用いて、いつ薬剤が服用されたか又はされなかったかのエピソードを同定するコンプライアンスデータを特定し、さらにそのコンプライアンスデータから服薬レジメンのコンプライアンスを特定するように構成される、カプノメータ。
[実施態様34]
カプノメータ、特に上記実施態様のいずれかに記載のカプノメータであって、カプノメータのユーザによる吸気及び/又は呼気のCO2レベルの経時的な変動を表す波形を規定するCO2レベルデータ出力を提供するように構成された信号プロセッサを備え、
前記信号プロセッサはさらに、前記CO2レベルデータ出力を用いて、いつ薬剤が服用されたか又はされなかったかのエピソードを同定するコンプライアンスデータを特定し、さらにそのコンプライアンスデータから服薬レジメンのコンプライアンスを特定するように構成され、前記服薬レジメンのコンプライアンスの特定が、
患者がカプノメータを使用してCO2レベルデータ出力を得るか否かを特定する;
波形に基づき、患者が薬剤を服用するか否かを特定する;
カプノメータの薬剤使用データ入力部で患者により提供された薬剤使用データに基づき、患者が薬剤を服用するか否かを特定する;及び
前記薬剤がカプノメータから調剤されたか否かを特定する;
ことの内の1つまたは複数を含む、カプノメータ
[実施態様35]
データを送信及び/又は受信するためのデータ通信リンクをさらに備え、前記コンプライアンスデータは、前記データ通信リンクを介して外部記憶デバイスに送られる、実施態様33又は34に記載のカプノメータ。
[実施態様36]
前記コンプライアンスデータはさらに、服用された用量を同定する、実施態様33から35のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様37]
前記コンプライアンスデータに応じて始動されるように構成されたアラーム及び/又はメッセンジャをさらに備える、実施態様33から36のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様38]
患者の呼吸器系からの空気が通過するカプノメータの気流領域における気流量を測定するための流量センサをさらに備え、前記信号プロセッサはさらに、測定された気流量に基づき前記気流領域におけるCO2流量を特定するように構成される、実施態様1から37のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様39]
前記流量センサは複数の圧力センサを備える、実施態様38に記載のカプノメータ。
[実施態様40]
前記信号プロセッサはさらに、CO2波形を規定するCO2レベルデータ出力から患者の身元を特定するように構成される、実施態様1から39のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様41]
患者の呼吸速度をモニタリングしかつ呼吸速度データを出力するための呼吸速度システムをさらに備え、前記信号プロセッサはさらに、前記呼吸速度データを処理するように構成される、実施態様1から40のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様42]
カプノメータの健康状態データ入力部で入力された患者による自己評価に応答して始動されるように構成されたアラーム及び/又はメッセンジャをさらに備え、アラーム及び/又はメッセージは、データ通信リンクを介して患者の総合診療医(GP)又は介護者に送られる、実施態様1から41のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様43]
カプノメータの気流領域における空気の温度を測定するための温度計をさらに備える、実施態様1から42のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様44]
カプノメータの周囲の空気の気圧を測定するための気圧センサをさらに備える。実施態様1から43のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様45]
カプノメータの位置を特定するための位置センサをさらに備える、実施態様1から44のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様46]
実施態様1から45のいずれかに記載のカプノメータを含む吸入器。
[実施態様47]
システムであって、
実施態様1から45のいずれかに記載のカプノメータ又は実施態様46に記載の吸入器;及び
前記カプノメータと通信する分析システム;
を備え、
前記分析システムは、患者データを記憶する分析システムメモリを備え;さらに
前記分析システムは、
i)前記信号プロセッサによるCO2波形の分析に基づき分析アルゴリズムを修正する;及び/又は
ii)前記信号プロセッサによるCO2波形の分析に基づきカプノメータのインジケータのインジケータ設定を修正し、ここでインジケータは呼吸器系機能の質を表示する;及び/又は
iii)前記信号プロセッサによるCO2波形の分析に基づき、カプノメータを用いて調剤される薬剤の用量レベルを変更する;
ように構成され、
前記分析システムはさらに、修正分析アルゴリズム及び/又は修正インジケータ設定及び/又は変更用量レベルを、カプノメータのメモリに記憶するためにカプノメータに転送するように構成される、システム。
[実施態様48]
前記分析システムメモリに記憶されたデータは、さらなる患者に特異的な患者データをさらに含み、分析アルゴリズムの修正及び/又はインジケータ設定の修正及び/又は用量レベルの変更は、前記さらなる患者に特異的な患者データにさらに従属する、実施態様47に記載のシステム。
[実施態様49]
服薬レジメンの患者のコンプライアンスをモニタリングする方法であって、
カプノメータ、特に実施態様1から45のいずれかに記載のカプノメータを用いて、患者の呼気中のCO2レベルをモニタリングするステップ;
前記モニタリングからのデータを記憶するステップ;
前記記憶されたデータを用いて薬剤がいつ服用された又は服用されなかったかのエピソードを同定するコンプライアンスデータを特定するステップ;及び
前記コンプライアンスデータから服薬レジメンのコンプライアンスを特定するステップ;
を含む方法。
[実施態様50]
前記コンプライアンスデータはさらに、服用された用量を同定する、実施態様49に記載の方法。
[実施態様51]
前記カプノメータから離れたメモリに、データ通信リンクを介して前記コンプライアンスデータを送信するステップをさらに含む、実施態様49又は50に記載の方法。
[実施態様52]
前記コンプライアンスデータに応じてアラーム及び/又はメッセージを始動させるステップをさらに含む、実施態様49から51のいずれかに記載の方法。
[実施態様53]
前記コンプライアンスデータの特定は、患者を識別する患者識別コードに応答性である、実施態様49から52のいずれかに記載の方法。
【符号の説明】
【0237】
1 呼吸チューブ
2 エミッタ
3 検出器
4 リフレクタ
5 光学層
6 プリント基板
7 電気コネクタ
8 位置決めピン
9 シール
10 赤外線透過窓
11 本体