(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】バイオマス燃料化システム及びバイオマス由来燃料ペレットの製造方法
(51)【国際特許分類】
C10L 5/44 20060101AFI20220902BHJP
B09B 3/35 20220101ALI20220902BHJP
B09B 3/80 20220101ALI20220902BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20220902BHJP
【FI】
C10L5/44 ZAB
B09B3/35
B09B3/80
B09B3/40
(21)【出願番号】P 2019078225
(22)【出願日】2019-04-17
(62)【分割の表示】P 2018562374の分割
【原出願日】2018-06-15
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2017117913
(32)【優先日】2017-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017229845
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592094519
【氏名又は名称】ダイオーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】合田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】藤本 則次
(72)【発明者】
【氏名】高宮 寛之
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-125030(JP,A)
【文献】特開2015-229751(JP,A)
【文献】特開2008-045084(JP,A)
【文献】国際公開第2017/014028(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/056608(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/056354(WO,A1)
【文献】特開2012-228683(JP,A)
【文献】特開2010-270320(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1990399(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/44
B09B 3/35
B09B 3/80
B09B 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーム空果房からなる原料を粗破砕する破砕機と、
前記破砕機で粗破砕した原料の繊維をすり潰し、繊維を破壊することにより、繊維長が30~70mmで繊維が縮れた状態の破砕物にする摩砕機と、
前記破砕物を
投入する投入口を有し前記破砕物を洗浄する洗浄室、前記洗浄室内の水を撹拌する撹拌機、前記洗浄室内の水を加温する加温機構、及び前記洗浄室で洗浄された洗浄物を排出する排出口を備え、前記破砕物を
前記投入口から前記洗浄室に投入し、該洗浄室内の、前記加温機構により20℃以上110℃以下に加温された水
に所定時間浸すとともに前記撹拌機により前記水を撹拌することで洗浄した後、前記排出口を通じて排出するバッジ式の洗浄を所定回数繰り返すことにより、前記破砕物を、ボイラー使用時にスケールの原因となる物質及び腐食の原因となる物質の含有量が低減した洗浄物にすることができる
バッジ式の洗浄槽と、
前記洗浄物の水分含有率を低下させて乾燥物にする乾燥装置と、
前記乾燥物を炭化させることにより炭化物にする炭化装置
、又は前記乾燥物を燃料の形状に造粒して燃料ペレットにする造粒装置と、
前記炭化物を燃料の形状に造粒し、造粒物にする造粒装置
、又は前記造粒物を炭化させることにより燃料ペレットにする炭化装置と、
を備えるバイオマス燃料化システム。
【請求項2】
パーム空果房からなる原料を破砕機で粗破砕した後、摩砕機で繊維をすり潰し、繊維を破壊することにより、繊維長が30~70mmで繊維が縮れた状態の破砕物にする破砕工程と、
前記破砕物をバッジ式の洗浄槽の洗浄室に投入し、加温機構により20℃以上110℃以下に加温された前記洗浄室内の水
に所定時間浸すとともに当該水を撹拌機により撹拌することで洗浄した後、前記洗浄室から排出するバッジ式の洗浄を所定回数繰り返すことにより、前記破砕物を、ボイラー使用時にスケールの原因となる物質及び腐食の原因となる物質の含有量が低減した洗浄物にする洗浄工程と、
前記洗浄物の水分含有率を低下させて乾燥物にする乾燥工程と、
前記乾燥物を炭化させることにより炭化物にする炭化工程
、又は前記乾燥物を燃料の形状に造粒して造粒物にする造粒工程と、
前記炭化物を燃料の形状に造粒して燃料ペレットにする造粒工程
、又は前記造粒物を炭化させることにより燃料ペレットにする炭化工程と、
を含むバイオマス由来燃料ペレットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパーム製品製造工場で廃棄されるパーム空果房のようなバイオマスを原料とする燃料ペレットを得るためのバイオマス燃料化システム及びバイオマス由来燃料ペレットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パームオイル製造工場において、パーム空果房のようなパームヤシ残渣の多くは、使用されず、廃棄されていた。そこで、特許文献1に開示されるような植物由来バイオマスの乾燥方法およびバイオマス燃料の製造方法が提案された。しかし、この製造方法によって製造された燃料に含まれるカリウムや塩素等は、ボイラーの配管を詰まらせたり、腐食させたりして、ボイラー設備の劣化を早めていた。
【0003】
また、廃棄物を再利用して製造された燃料ペレットの中には、発熱量が小さいために、発熱量の大きい他の燃料に混合しなければ使用できないものもあった。
【0004】
他方で、バイオマスと他の燃料とを混焼する場合、例えば、石炭と共にミル(粉砕機)に投入されたバイオマス燃料がローラで粉砕されずに残ると、搬送用の空気の通過を妨げることが原因でミル内の粉砕物の保有量が増加し、それによってミル入口とミル内部の圧力差が増大し、燃料の供給に支障が出るという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一は、発熱量が大きく、ボイラーを劣化させ難く、しかもバイオマスと他の燃料を混焼する際の全使用燃料に対するバイオマスの熱量換算による割合である混焼率を向上させることができる、バイオマス燃料化システム及びバイオマス由来燃料ペレットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面に係るバイオマス燃料化システムによれば、パーム空果房からなる原料を粗破砕する破砕機と、前記破砕機で粗破砕した原料の繊維をすり潰し、繊維を破壊することにより、繊維長が30~70mmで繊維が縮れた状態の破砕物にする摩砕機と、前記破砕物を投入する投入口を有し前記破砕物を洗浄する洗浄室、前記洗浄室内の水を撹拌する撹拌機、前記洗浄室内の水を加温する加温機構、及び前記洗浄室で洗浄された洗浄物を排出する排出口を備え、前記破砕物を前記投入口から前記洗浄室に投入し、該洗浄室内の、前記加温機構により20℃以上110℃以下に加温された水に所定時間浸すとともに前記撹拌機により前記水を撹拌することで洗浄した後、前記排出口を通じて排出するバッジ式の洗浄を所定回数繰り返すことにより、前記破砕物を、ボイラー使用時にスケールの原因となる物質及び腐食の原因となる物質の含有量が低減した洗浄物にすることができるバッジ式の洗浄槽と、前記洗浄物の水分含有率を低下させて乾燥物にする乾燥装置と、前記乾燥物を炭化させることにより炭化物にする炭化装置、又は前記乾燥物を燃料の形状に造粒して燃料ペレットにする造粒装置と、前記炭化物を燃料の形状に造粒し、造粒物にする造粒装置、又は前記造粒物を炭化させることにより燃料ペレットにする炭化装置と、を備えるよう構成できる。
【0008】
また、本発明の第2の側面に係るバイオマス由来燃料ペレットの製造方法によれば、パーム空果房からなる原料を破砕機で粗破砕した後、摩砕機で繊維をすり潰し、繊維を破壊することにより、繊維長が30~70mmで繊維が縮れた状態の破砕物にする破砕工程と、前記破砕物をバッジ式の洗浄槽の洗浄室に投入し、加温機構により20℃以上110℃以下に加温された前記洗浄室内の水に所定時間浸すとともに当該水を撹拌機により撹拌することで洗浄した後、前記洗浄室から排出するバッジ式の洗浄を所定回数繰り返すことにより、前記破砕物を、ボイラー使用時にスケールの原因となる物質及び腐食の原因となる物質の含有量が低減した洗浄物にする洗浄工程と、前記洗浄物の水分含有率を低下させて乾燥物にする乾燥工程と、前記乾燥物を炭化させることにより炭化物にする炭化工程、又は前記乾燥物を燃料の形状に造粒して造粒物にする造粒工程と、前記炭化物を燃料の形状に造粒して燃料ペレットにする造粒工程、又は前記造粒物を炭化させることにより燃料ペレットにする炭化工程と、を含むよう構成できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発熱量が大きく、ボイラーを劣化させ難く、バイオマスと他の燃料を混焼する際の全使用燃料に対するバイオマスの熱量換算による割合である混焼率を向上させることができる、バイオマス燃料化システム及びバイオマス由来燃料ペレットの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るバイオマス燃料化システムの好適な実施形態であって、
図1Aは、第一実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図、
図1Bは、第二実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図、
図1Cは、第三実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図、
図1Dは、第四実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図である。
【
図2】本発明に係る燃料ペレットの製造方法の流れを示すフローチャートであって、
図2Aは、第一製造方法の流れを示すフローチャート、
図2Bは、第二製造方法の流れを示すフローチャート、
図2Cは、第三製造方法の流れを示すフローチャート、
図2Dは、第四製造方法の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本実施の形態に係る炭化装置システムの模式図である。
【
図8】本実施の形態に係るリングダイ式造粒機の模式図である。
【
図9】本実施の形態に係るフライヤーの模式図である。
【
図10】摩砕後のパーム空果房の状態を示す写真である。
【
図11】粗破砕後のパーム空果房の状態を示す写真である。
【
図12】本発明に係るバイオマス燃料化システムの好適な実施形態であって、
図12Aは、第五実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図、
図12Bは、第六実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図、
図12Cは、第七実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図である。
【
図13】本発明に係る燃料ペレットの製造方法の流れを示すフローチャートであって、
図13Aは、第五製造方法の流れを示すフローチャート、
図13Bは、第六製造方法の流れを示すフローチャート、
図13Cは、第七製造方法の流れを示すフローチャートである。
【
図14】本発明に係るバイオマス燃料化システムの好適な実施形態であって、
図14Aは、第八実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図、
図14Bは、第九実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図、
図14Cは、第十実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図、
図14Dは、第十一実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図である。
【
図15】本発明に係る燃料ペレットの製造方法の流れを示すフローチャートであって、
図15Aは、第八製造方法の流れを示すフローチャート、
図15Bは、第九製造方法の流れを示すフローチャート、
図15Cは、第十製造方法の流れを示すフローチャート、
図15Dは、第十一製造方法の流れを示すフローチャートである。
【
図16】本発明に係るバイオマス燃料化システムの好適な実施形態であって、
図16Eは、第十二実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図、
図16Fは、第十三実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成図である。
【
図17】本発明に係る燃料ペレットの製造方法の流れを示すフローチャートであって、
図17Eは、第十二製造方法の流れを示すフローチャート、
図17Fは、第十三製造方法の流れを示すフローチャート、である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための燃料ペレット、及び、バイオマス燃料化システム、並びに、バイオマス由来燃料ペレットの製造方法を例示するものであって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。例えば本発明の燃料ペレットの原料となるバイオマスとしては、パーム空果房(EFB)、パーム椰子の殻(PKS)、果肉ファイバー、パーム椰子の剪定枝、パーム椰子の古木(トランク)、又はファルカタの殻、樹皮(バーク)、ファルカタの剪定枝、ファルカタの古木、或いはユーカリ、アカシア、アブラギリ、マングローブの樹皮(バーク)、木質チップ取得後の心材、剪定枝、或いはバナナの空果房、バナナの剪定枝、バナナの葉、バナナの古木、又はパイナップル、大豆の草部分でなる熱帯植物の廃棄物、又は木片、木皮の木質系廃棄物等が挙げられる。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(原料111、211、311、411、511、611、711、A11,B11、C11、D11、E11、F11)
【0012】
後述する第一実施形態から第七実施形態において、原料111、211、311、411、511、611、711はパーム空果房である。また第八実施形態から第十一実施形態では、原料A11,B11、C11、D11、E11、F11は、一般的にパーム空果房等に比べて水分含有量が多いパーム椰子の茎葉である。
【0013】
パーム空果房は、工場などから未利用材として廃棄されるパーム空果房が使用される。パーム空果房は、中空形状をしており、嵩高であるため、廃棄されるものをそのまま燃料として利用しようとすると、移送コストに見合わないという問題や、パーム空果房に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等が、ボイラー等を閉塞させ、塩素、硫黄等が、水管等の設備を腐食させるという問題があり、燃料の原料としては敬遠されていた。そこで、本実施形態では、前述の物質の除去を行い、ペレット化することにより、パーム空果房を原料とした燃料ペレットを製造する。
【0014】
また、後述する炭化工程236において、フライ装置226で利用される油は、パーム酸油(Palm Acid Oil)が使用される。
(バイオマス由来燃料ペレット11、21、31、41、51、61、71)
【0015】
バイオマス由来燃料ペレット11、21、31、41、51、61、71は、それぞれ、後述するバイオマス燃料化システム12、22、32、42、52、62、72を使用して、バイオマス由来燃料ペレットの製造方法13、23、33、43、53、63、73により製造される。以降、主として、バイオマス由来燃料ペレット11について説明し、バイオマス由来燃料ペレット21、31、41、51、61、71については、バイオマス由来燃料ペレット11と重複する工程の説明を省略し、相違する工程を説明する。
【0016】
バイオマス由来燃料ペレット11は、パーム空果房よりなり、18MJ/kg以上27MJ/kg以下の発熱量、より好ましくは20MJ/kg以上、さらに好ましくは23MJ/kg以上の発熱量を有し、ナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のボイラー使用時にスケールの原因となる物質の含有量と、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質の含有率を低減させた燃料ペレットである。
【0017】
バイオマス由来燃料ペレット11は、ボイラー使用時にスケールの原因となるカリウムの含有量が、0mg/kg以上2000mg/kg以下、より好ましくは、0mg/kg以上1000mg/kg以下の燃料ペレットである。また、バイオマス由来燃料ペレット11は、ボイラー使用時にスケールの原因となるナトリウムの含有量も同様に、0mg/kg以上2000mg/kg以下、より好ましくは、0mg/kg以上1000mg/kg以下の燃料ペレットである。カリウム、ナトリウムのいずれも含有量が2000mg/kgを越えるとスケールができやすくなる。
【0018】
バイオマス由来燃料ペレット11は、ボイラー使用時に腐食の原因となる塩素の含有量が、0mg/kg以上1000mg/kg以下、より好ましくは、0mg/kg以上500mg/kg以下の燃料ペレットである。塩素の含有量が、1000mg/kgを越えると腐食が起こりやすくなる。
【0019】
また、バイオマス由来燃料ペレット11は、ボイラー使用時に腐食の原因となる硫黄濃度が0質量%以上0.20質量%以下、より好ましくは、0質量%以上0.10質量%以下の燃料ペレットである。硫黄濃度が0.20質量%を越えると腐食が起こりやすくなる。
【0020】
バイオマス由来燃料ペレット51、61、71は、破砕された原料を常温水又は温水で洗浄することにより原料中のカリウム等のスケールの原因となる物質の含有量を低減させ、該スケールの原因となる物質の含有量が低減した原料の水分含有率を低下させ、該水分含有率が低下した原料をさらに破砕し、該破砕された原料を燃料の形状に造粒した後、炭化することにより、混焼率を向上させた燃料ペレットである。ここで混焼率とは、バイオマスと他の燃料を混焼した際の全使用燃料に対するバイオマスの熱量換算による割合(混焼率=使用したバイオマスの熱換算量/(使用したバイオマスの熱換算量+使用した他の燃料の熱換算量))をいう。
【0021】
バイオマス由来燃料ペレット11のサイズは、Φ5mm以上Φ25mm以下が好ましく、より好ましくはΦ6mm以上Φ10mm以下である。また、後述するバイオマス由来燃料ペレットの第二製造方法23(フライ装置226を用いて、油中炭化する方法)によってバイオマス由来燃料ペレット21を製造する場合、ペレットサイズは、Φ6mm以上Φ10mm以下が好ましい。例えば、バイオマス由来燃料ペレット11、21のサイズを木質ペレットのサイズ規格と同様のΦ6mm又はΦ8mmとすることで、既存のボイラーにおいて、当該燃料ペレット11、21をそのまま燃料ペレットとして使用でき、従来の燃料ペレットに、混合したり、代替したりすることが可能となる。
【0022】
また、バイオマス由来燃料ペレット11の長さは、ボイラー等の仕様に合わせ適宜変更できる。
【0023】
バイオマス由来燃料ペレット11については、後述するバイオマス由来燃料ペレットの製造方法13、23、33、43において詳細に説明する。
(第一実施形態に係るバイオマス燃料化システム12)
【0024】
本発明に係るバイオマス燃料化システムの好適な実施形態であって、第一実施形態に係るバイオマス燃料化システム12の構成を
図1Aに示す。
【0025】
図1Aに示すように、バイオマス燃料化システム12は、原料111に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム空果房からなる原料111を破砕し、繊維をすり潰すことにより、破砕物112にする破砕装置121と、破砕物112を洗浄することにより、破砕物112に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物113にする洗浄装置122と、洗浄物113の水分含有率を低下させる乾燥装置124と、乾燥装置124により水分含有率を低下させた後、乾燥物114を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、乾燥物114に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた炭化物117にする炭化装置126と、炭化物117を燃料の形状に造粒し、燃料ペレット11にする造粒装置128と、燃料ペレット11の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレット11を混合する計測・混合装置129とを備えている。なお、スケールの原因となる物質の溶質を促すとは、スケールの原因となる各種物質の全てに対して溶出を促すという意味ではない。また原料中のスケールの原因となる物質を低減するとは、スケールの原因となる各種物質の全てに対して低減するという意味ではなく、スケールの原因となる物質のうちの少なくとも一つを低減する場合もあり得る。また腐食の原因となる物質についても同様である。
【0026】
バイオマス燃料化システムについては後述するバイオマス由来燃料ペレットの製造方法13、23、33、43において詳細に説明する。
(バイオマス由来燃料ペレットの第一製造方法13)
【0027】
本発明に係るバイオマス由来燃料ペレット11、及び、バイオマス燃料化システム12、バイオマス由来燃料ペレットの第一製造方法13について、バイオマス由来燃料ペレットの製造工程に沿って詳細に説明する。
【0028】
本発明に係るバイオマス由来燃料ペレットの第一製造方法13の流れを示すフローチャートを
図2Aに、本実施の形態に係る破砕機1211の模式図を
図3に、摩砕機1212の模式図を
図4に、洗浄槽1221の模式図を
図5に、炭化装置システム1261の模式図を
図7に、リングダイ式造粒機1281の模式図を
図8に示す。
【0029】
図2Aに示すように、本実施の形態に係るバイオマス由来燃料ペレットの第一製造方法13は、原料111に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム空果房からなる原料111を破砕し、繊維をすり潰すことにより、破砕物112にする破砕工程131と、破砕物112を洗浄することにより、破砕物112に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物113にする洗浄工程132と、洗浄物113の水分含有率を低下させて乾燥物114にする乾燥工程134と、乾燥工程134により水分含有率を低下させた後、乾燥物114を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、乾燥物114に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた炭化物117にする炭化工程136と、炭化物117を燃料の形状に造粒し、燃料ペレット11にする造粒工程138と、燃料ペレット11の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレット11を混合する計測・混合工程139とからなる。
(破砕工程131)
【0030】
破砕工程131は、破砕装置121を使用して、細胞壁を破壊することによって、原料であるパーム空果房に多量に含まれるカリウム等のスケールの原因物質を、洗浄工程132において、溶出しやすくさせるための前処理工程である。
【0031】
原料111は、工場などから未利用材として廃棄されたパーム空果房を使用するため、容積が大きい。まず、破砕工程131では、後述するような破砕機1211により、原料であるパーム空果房は、5mm以上50mm以下、より好ましくは、10mm以上20mm以下に破砕されて(減容)破砕物112Aにされ、その後、後述するような摩砕機1212により、破砕物112Aの表面同士を圧密し、すり合せることにより、破砕物112A表面に多数の傷を入れる。破砕物112A表面に多数の傷を入れ、細胞壁を破壊するような処理をすると、洗浄工程132において、破壊された細胞壁から、スケールの原因物質が溶出するため、スケールの原因物質を、より多く、短時間で、取り除くことができる。
【0032】
破砕工程131に使用される破砕装置121は、例えば、原料111をせん断する破砕機1211や、破砕物112A同士を圧密し、すり合せることによって、繊維をすり潰し、繊維を破壊する摩砕機1212が利用できる。破砕機1211は、例えば、
図3に示すような破砕機が使用できる。また、摩砕機1212は、例えば、
図4に示すような摩砕機が使用できる。破砕装置は、破砕、粉砕、摩砕等ができる装置であれば、特に限定はされず、例えば、一軸破砕機、二軸破砕機、リファイナー、ハンマー型破砕機、ニーダー等を用いることができる。
【0033】
本実施の形態においては、破砕機1211で粗破砕後、摩砕機1212で摩砕する場合について説明する。なお、後処理工程の洗浄工程が洗浄槽等を用いたバッジ式の場合、粗破砕、破砕、粉砕、摩砕等の破砕工程での破砕の程度・態様、及び、スクリーンの態様によって、水捌け易さが変わってくることから、スケールの原因物質の溶出具合も影響を受ける。このような場合には、洗浄工程における水捌け易さを優先して、粉砕、摩砕等は行わず、粗破砕のみに留めてもよく、スクリーンサイズを原料の破砕サイズに応じて変更してもよい。
【0034】
まず、破砕機1211は、
図3に示すように、原料111を投入する投入口1211Aと、投入された原料111を破砕する回転刃1211E及び固定刃1211Fと、回転刃1211Eが取り付けられたローター1211Dと、ローター1211Dに原料111を押しつけるプッシャー1211Cと、固定刃1211Fが取り付けられた破砕室1211Bと、複数の孔が設けられ、所定サイズ以下に粗破砕された破砕物112Aのみを通過させるスクリーン1211Gと、スクリーン1211Gを通過した粗破砕された破砕物112Aを排出する排出口1211Hとを備えている。
【0035】
原料111は、破砕機1211の投入口1211Aより、破砕室1211Bに投入される。投入された原料111は、プッシャー1211Cにより、ローター1211Dに押しつけられる。押しつけられた原料111は、ローター1211Dに取り付けられた回転刃1211Eと、破砕室1211B内に取り付けられた固定刃1211Fとで、スクリーン1211Gを通過するサイズになるまで、繰り返し破砕される。スクリーン1211Gを通過した破砕物112Aは排出口1211Hより排出される。なお、本実施の形態におけるスクリーン1211Gの孔のサイズはΦ50mmである。
【0036】
続いて、摩砕機1212は、
図4に示すように、粗破砕済みの破砕物112Aを投入する投入口1212Aと、投入された破砕物112Aを受ける筒状部1212Bと、投入された破砕物112Aを摩砕する回転刃部1212D及び固定刃部1212Eと、回転刃部1212D及び固定刃部1212Eの間へ破砕物112Aを移送する螺旋状回転体1212Cと、摩砕された破砕物112Bを排出する排出口1212Fとを備えている。
【0037】
破砕物112Aは、摩砕機1212の投入口1212Aより、筒状部1212Bに投入される。投入された破砕物112Aは、螺旋状回転体1212Cにより、回転刃部1212D及び固定刃部1212Eの間へ押し込まれる。回転刃部1212D及び固定刃部1212Eにより、すり潰される。すり潰された破砕物112Bは排出口1212Fより排出される。本実施の形態においては、摩砕済みの破砕物112Bを破砕物112とする。
【0038】
なお、破砕方法は、物理的処理に限られず、細胞壁を破壊できるような方法であればよく、凍結処理、超音波処理、化学処理、微生物処理などでもよい。
【0039】
破砕工程において、原料111を均一に破砕することで、後述する洗浄工程において、スケールの原因物質が均一に除去でき、加えて、後述する炭化工程において、均一に炭化できる。よって、バイオマス由来燃料ペレット11の品質を均一にできる。また、細かく破砕することにより、低温の水でも溶出が可能である。
(洗浄工程132)
【0040】
洗浄工程132は、原料中に含まれ、燃料ペレット使用時にボイラー等を閉塞させるカリウム等のスケールの原因物質を除去するための工程である。
【0041】
洗浄工程132では、破砕工程131で処理された破砕物112を、水に浸すことで破砕物112中に含まれるカリウム等のスケールの原因物質を水中に溶出させる。水の温度は、20℃以上110℃以下、より好ましくは、50℃以上80℃以下の水である。熱水を用いることで、スケールの原因物質の溶出時間を短縮し、溶出割合を増やすことができる。水温の調整には、工場の廃熱利用が有効である。
【0042】
溶出時間は、破砕工程131における破砕具合や原料である椰子の品種、混合比率により、異なるため、サンプリング等を行い、スケールの原因物質の残存量を測定機で計測して決めることが望ましい。
【0043】
洗浄工程132に使用される洗浄装置122は、例えば、洗浄槽1221が利用できる。
【0044】
図5に示すように、洗浄槽1221は、破砕物112を投入する投入口1221Aを有し、破砕物112を洗浄する洗浄室1221Bと、洗浄室1221B内の水を撹拌する撹拌機1221Cと、洗浄室1221B内の水を加温する加温機構1221Dと、洗浄物113を排出する排出口1221Eとを備えている。
【0045】
破砕物112は、投入口1221Aから、80℃程度の水が張られた洗浄室1221Bに投入され、数分から数日間、水に浸される。洗浄槽1221は、攪拌機1221Cを備えることができ、撹拌により、スケールの原因物質の溶出が促進されるとともに、均一な除去ができる。また、洗浄槽1221は、加温機構1221Dを備えることができ、洗浄室1221B内の水の温度が上昇することにより、スケールの原因物質の溶出が促進される。加温機構1221Dは、例えば、洗浄室の周囲に巻き付けられ、工場から排出される熱水を通す配管などで、洗浄室内の水と、配管内の熱水とで熱交換が行われることにより、洗浄室内の水が加温される。洗浄された洗浄物113は、排出口1221Eより排出される。乾燥工程移行前に、スクリュープレス(図示せず)などの脱水機で、脱水してもよい。
【0046】
洗浄回数は、1回に限られず、洗浄・脱水を複数回行ってもよい。例えば、傾斜エキストラクター(図示せず)のような脱水・洗浄装置が利用できる。また、スケールの原因物質の残存量が少ないものに使用した水は、スケールの原因物質の残存量が多いものに再利用してもよい。
【0047】
破砕・洗浄処理されたバイオマス由来燃料ペレット11は、ボイラー使用時にスケールの原因となる物質の含有量を低くできる。
【0048】
バイオマス由来燃料ペレット11のカリウム含有量は、好ましくは、0mg/kg以上2000mg/kg以下であり、より好ましくは0mg/kg以上1000mg/kg以下である。
【0049】
破砕工程131、及び、洗浄工程132により、原料となるパーム空果房に多量に含まれるカリウム等のスケールの原因物質を効率的に除くことができる。よって、燃料ペレットを使用する際に、ボイラー等の設備を閉塞させるスケールの原因物質を低減させた燃料ペレットが製造できる。
(乾燥工程134)
【0050】
乾燥工程134は、洗浄工程132で処理された洗浄物113中の水分量を減らし、炭化工程136での炭化に要するエネルギーを下げるための工程である。
【0051】
乾燥工程134は、工場内の廃熱など余剰エネルギーを利用した乾燥機1241を使用するか、天日干しなどの自然乾燥が有効な手段である。自然乾燥で、より短時間に乾燥させるためには、布や網を利用して、表面積を増やすことが有効である。乾燥工程134は、洗浄物113の水分含有率15%未満が目安となるが、省エネ、製造コストの面から、水分含有率がより低下した状態で炭化工程136に移行することが好ましい。
【0052】
乾燥工程134に使用される乾燥装置124は、例えば、乾燥機1241や、乾燥システムが利用できる。
【0053】
まず、乾燥機1241は、洗濯乾燥機のような高温の熱風により、乾燥させる装置である。このような乾燥機1241の使用にあたっては、工場内の余剰エネルギーの利用が好ましい。
【0054】
図6に示すように、乾燥機1241は、例えば、洗浄物113を投入する原料入口1241Aと、投入された洗浄物113を回転させる回転シェル1241Bと、回転シェル1241Bの内側に固定され、回転する洗浄物113に熱風を送る主管1241Cと、系外から供給される外気を加熱する熱源機構1241Eと、熱源機構1241Eにおける燃焼に必要な外気を送風するための燃焼ファン1241Fと、熱源機構1241Eにて加熱された熱風を、主管1241Cを介して回転シェル1241B内に吸い込むための吸込ファン1241Gと、回転シェル1241B内の排気ガスから粉塵などの粒子を分離する集塵装置1241Hと、集塵装置1241Hにて粉塵などの粒子が取り除かれた排気ガスを系外へ排出するための排気ファン1241Iと、回転シェル1241B内で乾燥した乾燥物114を排出する乾燥品出口1241Jとを備えている。また、乾燥機1241は、集塵装置1241Hにて粉塵などの粒子が取り除かれ、加熱状態にある排気ガスを、熱源機構1241Eに供給することで再利用している。
【0055】
洗浄物113は、原料入口1241Aから投入され、回転シェル1241B内で回転しながら、熱源機構1241Eで加熱され、吸込ファン1241Gによって、主管1241Cを介して送風された熱風に晒されることで乾燥し、水分含有率が15%程度となった乾燥物114として乾燥品出口1241Jから排出される。
【0056】
乾燥工程134により、水分を多量に含んでいる洗浄物113中の水分量を減らし、炭化工程136での炭化に要するエネルギーを下げることができる。
(炭化工程136)
【0057】
炭化工程136は、乾燥工程134で処理された乾燥物114を炭化させることにより、ボイラー使用時に腐食の原因となる塩素を除去し、単位重量当たりのカロリーを増やすための工程である。
【0058】
ヘミセルロースの熱分解温度である200℃から300℃での炭化は、トレファクション(半炭化)と呼ばれ、高温域での炭化に比べ、高熱量が保持されるとともに、破砕性や耐水性が向上する。一方、300℃以上での炭化には、不要成分を低減する効果がある。本明細書では、「炭化」の用語を、半炭化を含む概念とし、第一実施例では、200℃以上300℃未満で、半炭化する方法について説明し、第二実施例では、300℃以上で炭化する方法について説明する。
(炭化工程の第一実施例)
【0059】
炭化工程136の第一実施例では、乾燥させた乾燥物114を、半炭化させる。半炭化することにより、収率が増え、発熱量の大きい燃料ペレット11を製造できる。
【0060】
炭化工程136において、乾燥工程134で乾燥された乾燥物114は、200℃以上290℃以下の水蒸気中、より好ましくは220℃以上280℃以下の水蒸気中、さらに好ましくは230℃以上270℃以下の水蒸気中で加熱され、半炭化される。200℃未満では半炭化できない場合があり、290℃を超えるとセルロースが分解され、熱量が低下してしまうため好ましくない。炭化温度は、ヤシの品種や破砕サイズによって変動するため、適宜変更する。
【0061】
半炭化処理時間は、60分以下が好ましく、40分以下がより好ましい。長時間の処理は、セルロースが分解される可能性があるためである。ただし、処理時間については、60分以下に限定されず、ヤシの品種や破砕サイズによって適宜変更できる。また、加熱温度は、一定温度である必要はなく、徐々に温度を高くするなど、各種ヒートパターンで加熱することができる。
【0062】
このような炭化装置としては、例えば、
図7に示すような炭化システム1261が利用できる。
【0063】
炭化システム1261は、
図7に示すように、100℃の飽和水蒸気を発生させる蒸気ボイラー1261Aと、100℃の飽和水蒸気をさらに大気圧より大きな圧力下で加熱し、100℃以上の水蒸気を発生させる過熱蒸気発生装置1261Bと、過熱蒸気によって乾燥物114を炭化させる炭化炉1261Cと、炭化炉1261Cから排出されるゴミを取り除くサイクロン1261Dと、炭化炉1261Cから排出された気体等の温度を下げる熱交換器1261Eと、熱交換器1261Eを冷やす冷却水を冷却する冷却塔1261Fと、炭化炉1261Cから排出される塩化水素、炭化水素等の不要なガスを洗浄、吸着し、排出するスクラバー1261Gとを備えている。
【0064】
まず、乾燥工程134で乾燥された乾燥物114は、炭化炉1261Cの投入口から投入される。蒸気ボイラー1261Aにより、100℃の飽和水蒸気を発生させ、発生した水蒸気を過熱蒸気発生装置1261Bに送り、250℃の過熱蒸気を発生させる。続いて、過熱蒸気発生装置1261Bから投入口を閉じた炭化炉1261Cに過熱蒸気を送る。乾燥物114は、過熱蒸気によって、約250℃に維持された炭化炉1261Cで、約30分間加熱され、炭化物117となる。炭化炉1261Cから排出された蒸気等は、サイクロン1261Dに送られ、ゴミなどが取り除かれた後、スクラバー1261Gに送られ、不要なガスが洗浄された後、スクラバー1261Gの排出口より排出される。炭化物117は、発火温度以下に放熱された後、排出口より、排出される。
【0065】
なお、熱交換器1261Eを、熱回収が可能な装置にすることにより、廃熱が利用できるため、省エネである。また、水蒸気中での炭化を例に説明したが、水蒸気中に限定されず、5容量%以下の低酸素雰囲気、又は、不活性ガス雰囲気下で炭化してもよい。
(炭化工程の第二実施例)
【0066】
炭化工程136の第二実施例では、乾燥させた乾燥物114を、300℃以上で炭化させる。
【0067】
炭化工程136では、例えば、乾燥工程134で乾燥された乾燥物114を、炭化システム1261を用いて、加熱蒸気700℃、炉内温度400℃で加熱し、炭化させる。
(造粒工程138)
【0068】
造粒工程138は、炭化工程136で炭化された炭化物117を、運搬や使用が容易なペレットに成形するための工程である。
【0069】
造粒装置128としては、
図8に示すようなリングダイ方式の造粒機1281や、フラットダイ方式の造粒装置、スクリュー方式の造粒装置(特開昭63-214421に記載されているような「産業廃棄物の圧縮成型装置」)、押し出し式エキストルーダ等がある。
【0070】
例えば、リングダイ式造粒機1281によって、造粒する場合について、
図8に基づいて、説明する。
【0071】
リングダイ式造粒機1281は、
図8に示すように、炭化物117を投入する投入口1281Aと、ペレットの略直径サイズの無数の孔を有するリングダイ1281Cと、投入された炭化物117をリングダイ1281Cの内部へ押し込む押し込み装置1281Bと、リングダイ1281Cの内部から外部へ炭化物117を押し出すプレスロール1281Dと、押し出された炭化物117を一定のサイズにカットするカッター1281Eと、燃料ペレット11を排出する排出口1228Fとを備えている。
【0072】
まず、炭化物117は、投入口1281Aから投入される。続いて、投入された炭化物117は、投入口1281A下方に設けられた押し込み装置1281Bによって、リングダイ1281Cの内部に移送される。リングダイ1281C内部に移送された炭化物117は、プレスロール1281Dとリングダイ1281Cの間に噛み込まれ、リングダイ1281Cに多数設けられたΦ6mm又はΦ8mmの孔から外部へ押し出される。押し出された炭化物117は、カッター1281Eで一定サイズにカットされることにより、ペレット化されて、排出口1281Fから排出される。
【0073】
ペレットサイズは、Φ5mm以上Φ25mm以下が好ましく、より好ましくはΦ6mm以上Φ10mm以下である。
【0074】
本製造方法により製造されたバイオマス由来燃料ペレット11は、一般的なボイラーで使用し易く、加えて、運搬の際に崩れにくい。
(計測・混合工程139)
【0075】
計測・混合工程139は、造粒された燃料ペレットの熱量や脆さ等を計測し、計測データを元に混合することで製品の品質を一定にするため工程である。
【0076】
主な計測項目としては、カリウム等のスケールの原因となる物質の残存量、塩素等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質の残存量、単位重量あたりの発熱量などである。配合割合は、計測データに基づき、仕様ボイラーの種類に合わせ適宜変更することができる。
【0077】
バイオマス由来燃料ペレットは、工場などから未利用材として廃棄されるパーム空果房を原料111として使用するため、品種や個体差などさまざまな要因により、原料111の品質を一定に保つことは難しく、バラツキがでる。この原料111のバラツキによって、製造された燃料ペレット11の成分、性質などに違いがでるため、所定の項目について、計測を行い、計測データに基づき、燃料ペレット11を混合する。計測し、混合することで、品質の安定したバイオマス由来燃料ペレット11を提供できる。
(第二実施形態に係るバイオマス燃料化システム22)
【0078】
本発明に係るバイオマス燃料化システムの好適な実施形態であって、第二実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成を
図1Bに示す。
【0079】
図1Bに示すように、バイオマス燃料化システム22は、原料211に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム空果房からなる原料211を破砕し、繊維をすり潰すことにより、破砕物212にする破砕装置221と、破砕物212を洗浄することにより、破砕物212に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物213にする洗浄装置222と、洗浄物213の水分含有率を低下させて乾燥物214にする乾燥装置224と、乾燥装置224により水分含有率を低下させた後、油中で加温することにより、乾燥物214を炭化させ、水分含有率をさらに低下させるとともに、乾燥物214に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた炭化物217にするフライ装置226と、炭化物217を燃料の形状に造粒し、燃料ペレット21にする造粒装置228と、燃料ペレット21の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレット21を混合する計測・混合装置229とを備えている。
【0080】
バイオマス燃料化システム22についての詳細については、後述するバイオマス由来燃料ペレットの製造方法23において説明する。
(バイオマス由来燃料ペレットの第二製造方法23)
【0081】
本発明に係るバイオマス由来燃料ペレットの第二製造方法の流れを示すフローチャートを
図2Bに、本実施の形態に係るフライ装置226の模式図を
図9に示す。
【0082】
バイオマス由来燃料ペレットの第二製造方法23は、
図2Bに示すように、炭化工程236及び造粒工程238以外の工程は、バイオマス由来燃料ペレットの製造方法13に記載の工程と同様であり、破砕工程231・洗浄工程232・乾燥工程234・計測・混合工程239は、それぞれ、破砕工程131・洗浄工程132・乾燥工程134・計測・混合工程139に対応する。
(炭化工程236)
【0083】
炭化工程236において、乾燥工程234で乾燥された乾燥物214は、フライ装置226により、120℃以上300℃以下の油中、より好ましくは140℃以上200℃以下の油中、さらに好ましくは150℃以上170℃以下の油中で加熱され、炭化される。120℃未満では処理時間がかかりすぎる場合があり、300℃を超えるとセルロースが分解され、熱量が低下してしまうため好ましくない。炭化温度は、ヤシの品種や破砕サイズによって変動するため、適宜設定できる。
【0084】
炭化処理時間は、10分以上90分以下が好ましく、より好ましくは20分以上60分以下、さらに50分以上70分以下が最適である。10分未満であると分解されないヘミセルロースが残る可能性があり、90分を超えるとセルロースが分解される可能性があるからである。ただし、処理時間については、10分以上90分以下に限定されず、ヤシの品種や破砕サイズによって適宜設定できる。また、加熱温度は、一定温度である必要はなく、徐々に温度を高くするなど、各種ヒートパターンで加熱することができる。
【0085】
このようなフライ装置226としては、
図9に示すようなフライヤー2261が用いられる。フライ装置226は、油をいれる油槽2261Aと、油槽内に張られた油を加温する加温機2261Bを備えている。均一に炭化するために、撹拌装置や移動装置を備えてもよい。
【0086】
加熱方法は、カゴに入れられた乾燥物214を加熱した油中に一定時間浸すようにしてもよいし、乾燥物214を乗せたコンベアが油中を移動するような方法でもよい。カゴもしくはコンベアの投入口に乾燥装置224の出口を直結させることで、より効率的な運転が可能である。
【0087】
十分に炭化された炭化物217は、網上で油切りされ、または、遠心分離機、若しくは、圧搾機を使用して、余分な油分を分離し、適した油量に調整される。適した油量とは、造粒工程238で造粒する際に油分が分離しない程度であり、造粒工程238での圧縮度合いに合わせて適宜調整される。
(造粒工程238)
【0088】
造粒工程238は、造粒工程138と同様の方法、装置が利用できる。
【0089】
ペレットサイズは、Φ5mm以上Φ25mm以下が好ましく、より好ましくはΦ6mm以上Φ10mm以下である。
(第三実施形態に係るバイオマス燃料化システム32)
【0090】
本発明に係るバイオマス燃料化システムの好適な実施形態であって、第三実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成を
図1Cに示す。
【0091】
図1Cに示すように、バイオマス燃料化システム32は、原料311に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム空果房からなる原料311を破砕し、繊維をすり潰すことにより、一次破砕物312にする一次破砕装置321と、一次破砕物312を洗浄することにより、一次破砕物312に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物313にする洗浄装置322と、洗浄物313の水分含有率を低下させて乾燥物314にする乾燥装置324と、乾燥装置324により水分含有率を低下させた乾燥物314を炭化及び造粒に適したサイズに破砕する二次破砕装置325と、二次破砕装置325によって破砕された二次破砕物315を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、二次破砕物315に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた炭化物317にする炭化装置326と、炭化物317を燃料の形状に造粒し、燃料ペレット31にする造粒装置328と、燃料ペレット31の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレット31を混合する計測・混合装置329とを備えている。
【0092】
バイオマス燃料化システム32についての詳細については、後述するバイオマス由来燃料ペレットの第三製造方法33において説明する。
(バイオマス由来燃料ペレットの第三製造方法33)
【0093】
本発明に係るバイオマス由来燃料ペレットの第三製造方法の流れを示すフローチャートを
図2Cに示す。
【0094】
バイオマス由来燃料ペレットの第三製造方法33は、
図2Cに示すように、破砕工程131の代わりに、一次破砕工程331を行い、炭化工程336の前に、二次破砕工程335を行う。その他の工程は、バイオマス由来燃料ペレットの製造方法13に記載の工程と同様であり、洗浄工程332・乾燥工程334・造粒工程338・計測・混合工程339は、それぞれ、洗浄工程132・乾燥工程134・造粒工程138・計測・混合工程139に対応する。
(一次破砕工程331)
【0095】
一次破砕工程331は、破砕工程131と略同様である。
【0096】
炭化、造粒工程に最適化した破砕は、二次破砕工程335で行われるため、この工程では、原料311は、カリウム等のスケールの原因となる物質の溶出のしやすさを主に考慮したサイズに破砕される。
(二次破砕工程335)
【0097】
二次破砕工程335では、乾燥物314は、炭化、造粒工程に最適化したサイズに破砕される。
(炭化工程336)
【0098】
炭化工程336は、炭化工程136と同様である。
(第四実施形態に係るバイオマス燃料化システム42)
【0099】
本発明に係るバイオマス燃料化システムの好適な実施形態であって、第四実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成を
図1Dに示す。
【0100】
図1Dに示すように、バイオマス燃料化システム42は、原料411に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム空果房からなる原料411を破砕し、繊維をすり潰すことにより、一次破砕物412にする一次破砕装置421と、一次破砕物412を洗浄することにより、一次破砕物412に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物413にする洗浄装置422と、洗浄物413の水分含有率を低下させて乾燥物414にする乾燥装置424と、乾燥装置424により水分含有率を低下させた後、乾燥物414を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、乾燥物414に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた炭化物417にする炭化装置426と、炭化物417を造粒に適したサイズに破砕する二次破砕装置427と、二次破砕装置427によって破砕された炭化物418を燃料の形状に造粒し、燃料ペレット41にする造粒装置428と、燃料ペレット41の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレット41を混合する計測・混合装置429とを備えている。
【0101】
バイオマス燃料化システム42についての詳細については、後述するバイオマス由来燃料ペレットの製造方法43において説明する。
(バイオマス由来燃料ペレットの第四製造方法43)
【0102】
本発明に係るバイオマス由来燃料ペレットの第四製造方法の流れを示すフローチャートを
図2Dに示す。
【0103】
バイオマス由来燃料ペレットの第四製造方法43は、
図2Dに示すように、破砕工程131の代わりに、一次破砕工程431を行い、トレファクション工程436の後に、二次破砕工程437が行われる。その他の工程は、バイオマス由来燃料ペレットの製造方法13に記載の工程と同様であり、洗浄工程432・乾燥工程434・造粒工程438・計測・混合工程439は、それぞれ、洗浄工程132・乾燥工程134・造粒工程138・計測・混合工程139に対応する。
(一次破砕工程431)
【0104】
一次破砕工程431は、一次破砕工程331と同じである。
(トレファクション工程436)
【0105】
トレファクション工程436では、ヘミセルロースの熱分解温度である200℃から300℃で乾燥装置424により水分含有率を低下させた乾燥物414を半炭化する。具体的な方法、及び使用装置は、炭化温度が200℃から300℃に限定される点を除き、炭化工程136における半炭化と同じである。
【0106】
トレファクションを行うことにより、炭化物417は、高熱量を保持でき、破砕性や耐水性が向上する。
(二次破砕工程437)
【0107】
二次破砕工程437では、炭化物417を造粒しやすいサイズに破砕する。
【0108】
炭化物417は、トレファクション工程436により、破砕性が向上しており、第三実施形態における二次破砕機に比べ、小型の破砕機でも破砕できる。よって、製造エネルギー、コストを抑えることができる。
(スケール原因物質の除去試験)
【0109】
製造された燃料ペレットにおいて、スケール原因物質となるナトリウム、カリウム、及び、腐食の原因となる塩素が適切に除去されているかを評価するため、前記スケール原因物質の除去試験を行った。
(試験方法)
【0110】
洗浄工程後のパーム空果房と炭化工程後のパーム空果房に対して、前記スケール原因物質の含有量を計測した。サンプルは、
図3に示すような破砕機で粗破砕後、
図4に示すような摩砕機で摩砕した後、洗浄工程にて洗浄を行った実施例1と、
図3に示すような破砕機で粗破砕後、洗浄工程にて洗浄を行った実施例2との二種類用意した。洗浄は、バッジ式の洗浄槽を用いて、水を投入し、10分程度撹拌し、その後排水する作業を3回繰り返した。スケール原因物質の含有量は、カリウム及びナトリウムについては、乾式分解後、フレーム原子吸光法により測定し、乾燥サンプル換算にて算出した。また、塩素については、燃焼管式空気法を用いて、イオンクロマトグラフにより測定し、乾式サンプル換算にて算出した。
(実施例1)
【0111】
300kgのパーム空果房を、
図3に示すような破砕機において、
Φ50のスクリーンを用いて、粗破砕を実施した。その後、
図4に示すような摩砕機で摩砕した。この摩砕後のパーム空果房の写真を
図10に示す。この図に示すように、実施例1のパーム空果房は、繊維長が30~70mm程度となり、繊維が縮れた状態となった。その後、3回の洗浄を行い、前述の測定方法により、実施例1の洗浄工程後のスケール原因物質の含有量を算出した。また、実施例1のパーム空果房については、乾燥工程134にて乾燥させた後、炭化工程136にて炭化させたサンプルも作製し、前述の測定方法により、実施例1の炭化工程後のスケール原因物質の含有量も算出した。
(実施例2)
【0112】
460kgのパーム空果房を、
図3に示すような破砕機において、ローター回転刃と
Φ50のスクリーンを用いて、粗破砕した。この粗破砕後の原料の写真を
図11に示す。この図に示すように、実施例2のパーム空果房は、繊維長が30~70mm程度となり、繊維が解れた状態となった。その後、3回の洗浄を行い、前述の測定方法により、実施例2の洗浄工程後のスケール原因物質の含有量を算出した。
(カロリーの測定)
【0113】
実施例1のパーム空果房を乾燥工程134にて乾燥させた後、炭化工程136にて炭化して作製したサンプルの高位発熱量をボンブ熱量計によって測定した。
(評価)
【0114】
表1は、洗浄後の、実施例1及び実施例2のパーム空果房のスケール原因物質の含有量を示している。
【表1】
【0115】
前述したように、バイオマス由来燃料ペレット11のカリウム含有量及びナトリウム含有量は、いずれも、好ましくは、0mg/kg以上2000mg/kg以下であり、より好ましくは0mg/kg以上1000mg/kg以下であることが要求されるところ、表1に示すように、洗浄工程後は極めて低い値となり、炭化工程後は、要求される数値範囲内の値となった。また、バイオマス由来燃料ペレット11の塩素含有量は、好ましくは、0mg/kg以上1000mg/kg以下であり、より好ましくは0mg/kg以上500mg/kg以下であることが要求されるところ、同様に、洗浄工程後は極めて低い値となり、炭化工程後は、要求される数値範囲内の値となった。さらに、バイオマス由来燃料ペレットは、18MJ/kg以上27MJ/kg以下の発熱量、より好ましくは20MJ/kg以上の発熱量を有することが要求されるところ、実施例1のパーム空果房由来の燃料ペレットの発熱量は20.4MJ/kgの発熱量と計測された。
【0116】
以上のことから、本実施の形態によれば、ボイラー使用時にスケールの原因となる物質の含有量を低くでき、実用レベルの発熱量を有する燃料ペレットを提供できる。
【0117】
第一実施形態乃至第四実施形態においては、主として、破砕工程や洗浄工程を工夫することで、パーム空果房からなる原料から、効率良く、ボイラー使用時にスケールの原因となる物質を溶出し得る種々のシステム及び製造方法を示すと共に、実験によって、製造される炭化物は、ボイラー使用時にスケールの原因となる物質の含有量が低く、実用レベルの大きな発熱量が得られることを示した。
【0118】
ここからは、第五実施形態乃至第七実施形態において、主として、製造過程において原料を燃料の形状に造粒した後、炭化することにより、バイオマスと他の燃料を混焼する際の全使用燃料に対するバイオマスの熱量換算による割合である混焼率を向上させ得る種々のシステム及び製造方法を示すと共に、実験によって、製造される炭化物は、当該混焼率が高く、実用レベルの大きな発熱量が得られることを示す。
(第五実施形態に係るバイオマス燃料化システム52)
【0119】
本発明に係るバイオマス燃料化システムの好適な実施形態であって、第五実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成を
図12Aに示す。
【0120】
図12Aに示すように、バイオマス燃料化システム52は、原料511に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム空果房からなる原料511を破砕し、繊維をすり潰すことにより、破砕物512にする破砕装置521と、破砕物512を洗浄することにより、破砕物512に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物513にする洗浄装置522と、洗浄物513の水分含有率を低下させて乾燥物514にする乾燥装置524と、乾燥装置524により水分含有率を低下させた後、乾燥装置524により水分含有率が低下した乾燥物514を燃料の形状に造粒し、造粒物516にする造粒装置528と、造粒物516を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、造粒物516に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた燃料ペレット51にする炭化装置526と、燃料ペレット51の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレット51を混合する計測・混合装置529とを備えている。なお、破砕装置521において、繊維をすり潰す摩砕は省略してもよく、また、計測・混合装置529による計測自体を省略してもよい。
【0121】
バイオマス燃料化システム52についての詳細については、後述するバイオマス由来燃料ペレットの第五製造方法53において説明する。
(バイオマス由来燃料ペレットの第五製造方法53)
【0122】
本発明に係るバイオマス由来燃料ペレットの第五製造方法の流れを示すフローチャートを
図13Aに示す。
【0123】
バイオマス由来燃料ペレットの第五製造方法53は、
図13Aに示すように、破砕工程531から乾燥工程534までが、バイオマス由来燃料ペレットの第一製造方法13における破砕工程131から乾燥工程134と同様である。第五製造方法53は、乾燥工程534の後に、造粒工程538があって、その後に、炭化工程536を行う点で、第一製造方法13と異なっている。計測・混合工程539は、計測・混合工程139に対応している。
(乾燥工程534)
【0124】
乾燥工程534では、第一製造方法13の乾燥工程134のように、乾燥機1241や乾燥システムを利用して、洗浄工程532により、洗浄・脱水され、水分含有率が40%程度含まれる洗浄物513を水分含有量が15%程度となるまで乾燥させる。
【0125】
このように、造粒工程538の前工程で、乾燥物514に水分を例えば15%程度含ませておくことは、造粒工程538において乾燥物514を圧縮しやすく、固めやすいため、造粒しやすいというメリットがある。また、炭化工程536においては、ほぼ無酸素状態となるよう水蒸気を送風して造粒物516を加熱するところ、造粒物516の繊維が水分を含んでいるので、その水分が気化して水蒸気となるので、遮へいして造粒物516に熱風を送ることで一部は燃焼するものの大半は炭化させることができる。
(造粒工程538)
【0126】
造粒工程138では、リングダイ式造粒機1281にて、炭化物117を造粒したが、造粒工程538においては、リングダイ式造粒機を用いて、乾燥工程534を経て水分が低下した乾燥物514を好ましくはΦ5mm以上Φ25mm以下、より好ましくはΦ6mm以上Φ10mm以下のサイズに造粒する。
(炭化工程536)
【0127】
炭化工程136では、乾燥させた乾燥物114を半炭化させる炭化工程の第一実施例と、乾燥させた乾燥物114を炭化させる炭化工程の第二実施例とがあり、適宜使い分けるが、炭化工程536においては、造粒物516を半炭化又は炭化させる。造粒物516の状態で炭化させることにより、燃料ペレット51がしっかりと固まるので、燃料ペレットとしての耐水性が向上する。また、造粒物516の形態で熱処理を行うことで、繊維では燃焼してしまうような場合であっても、燃焼させずに炭化させることも可能である。
(第六実施形態に係るバイオマス燃料化システム62)
【0128】
本発明に係るバイオマス燃料化システムの好適な実施形態であって、第六実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成を
図12Bに示す。
【0129】
図12Bに示すように、バイオマス燃料化システム62は、原料611に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム空果房からなる原料611を破砕し、繊維をすり潰すことにより、破砕物612にする破砕装置621と、破砕物612を洗浄することにより、破砕物612に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物613にする洗浄装置622と、洗浄物613の水分含有率を低下させて乾燥物614にする乾燥装置624と、乾燥装置624により水分含有率を低下させた後、乾燥装置624により水分含有率が低下した乾燥物614を燃料の形状に造粒し、造粒物616にする造粒装置628と、造粒物616を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、造粒物616に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた燃料ペレット61にする炭化装置626と、燃料ペレット61の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレット61を混合する計測・混合装置629とを備えている。
(バイオマス由来燃料ペレットの第六製造方法63)
【0130】
本発明に係るバイオマス由来燃料ペレットの第六製造方法の流れを示すフローチャートを
図13Bに示す。
【0131】
バイオマス由来燃料ペレットの第六製造方法63は、
図13Bに示すように、炭化工程636以外の工程は、バイオマス由来燃料ペレットの第五製造方法53に記載の工程と同様であり、破砕工程631・洗浄工程632・乾燥工程634・造粒工程638・計測・混合工程639は、それぞれ、破砕工程531・洗浄工程532・乾燥工程534・造粒工程538・計測・混合工程539に対応する。
(炭化工程636)
【0132】
炭化工程536では、水蒸気を送風して造粒物516を加熱することで、造粒物516を半炭化又は炭化させるが、炭化工程636においては、造粒物616をフライ装置626により炭化させる。炭化工程636の詳細は、炭化工程236と同様であるので省略する。
(第七実施形態に係るバイオマス燃料化システム72)
【0133】
本発明に係るバイオマス燃料化システムの好適な実施形態であって、第七実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成を
図12Cに示す。
【0134】
図12Cに示すように、バイオマス燃料化システム72は、原料711に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム空果房からなる原料711を破砕し、繊維をすり潰すことにより、一次破砕物712にする一次破砕装置721と、一次破砕物712を洗浄することにより、一次破砕物712に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物713にする洗浄装置722と、洗浄物713の水分含有率を低下させて乾燥物714にする乾燥装置724と、乾燥装置724により水分含有率を低下させた乾燥物714を造粒に適したサイズに破砕し、二次破砕物715にする二次破砕装置725と、二次破砕装置725により破砕された二次破砕物715を燃料の形状に造粒し、造粒物716にする造粒装置728と、造粒物716を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、造粒物716に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた燃料ペレット71にする炭化装置726と、燃料ペレット71の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレット71を混合する計測・混合装置729とを備えている。
(バイオマス由来燃料ペレットの第七製造方法73)
【0135】
本発明に係るバイオマス由来燃料ペレットの第七製造方法の流れを示すフローチャートを
図13Cに示す。
【0136】
バイオマス由来燃料ペレットの第七製造方法73は、
図13Cに示すように、バイオマス由来燃料ペレットの第五製造方法53において、乾燥工程534と造粒工程538の間で、二次破砕工程735を行う。したがって、二次破砕工程735以外の工程は、バイオマス由来燃料ペレットの第五製造方法53に記載の工程と同様であり、破砕工程731・洗浄工程732・乾燥工程734・造粒工程738・炭化工程736・計測・混合工程739は、それぞれ、破砕工程531・洗浄工程532・乾燥工程534・造粒工程538・炭化工程536・計測・混合工程539に対応する。
(二次破砕工程735)
【0137】
二次破砕工程735では、乾燥工程734によって水分含有率が低下した乾燥物714に対して、二次破砕を行う。この後に行う造粒工程738で利用するリングダイ式造粒機のリングダイに多数設けられた孔のサイズがΦ6mm又はΦ8mmであるため、その孔に入りやすく圧縮しやすいように、二次破砕工程735では、10mm前後の繊維の長さに粉砕する。この粉砕した二次破砕物715を造粒工程738にて造粒後に炭化工程736にて炭化することで、均一に炭化されたバイオマス由来燃料ペレット71が得られる。また、このバイオマス由来燃料ペレット71は、細かく粉砕されてから、しっかりと固められているため、高い耐水性を有すると共に、粉砕性に優れるため、他の燃料を混焼する際の全使用燃料に対するバイオマスの熱量換算による割合である混焼率を向上させることができる。
(混焼率の評価試験)
【0138】
製造されたバイオマス由来燃料ペレット71において、他の燃料を混焼する際の全使用燃料に対するバイオマスの熱量換算による割合である混焼率を評価するための試験を行った。
(試験方法)
【0139】
粉砕性が優れる場合、高い混焼率が得られ、粉砕性が劣る場合、混焼率が低くなる相関があるので、混焼率を評価するに当たり、粉砕性を評価することで、混焼率も評価することができる。
【0140】
JIS M 8801に準拠して、粉砕性の評価試験を行った。試験は、試料を所定の方法で採取し気乾するか、又は縮分したものを所定の大きさ以下に予備粉砕してから、更に所定の大きさになるように粉砕、ふるい分けをして調製したものを供試試料とする。
【0141】
この供試試料を所定の試験機で粉砕した後、所定のふるいでふるい分け、ふるい下の質量をはかり、所定の実験式によって求めた値をHGI(ハードグローブ粉砕指数)として表す。
【0142】
第七実施例のバイオマス由来燃料ペレット71を作成し、上記の試験方法によって、このバイオマス由来燃料ペレット71の粉砕性指数であるHGIを求めた。
(混焼率の評価)
【0143】
第七実施例のバイオマス由来燃料ペレット71のHGIは、44という値となった。この値は、各種燃料ペレットの標準的なHGIの値である、木質チップの16、原料PKS(パーム椰子殻)の14、PKSの25、木質ペレットの22、と比較して、大きな値である。このことは、第七実施例のバイオマス由来燃料ペレット71は、各種燃料ペレットよりも粉砕しやすいことを示しており、少なくとも、第七実施例のバイオマス由来燃料ペレット71によれば、混焼率が向上することが判明した。
(カロリーの測定)
【0144】
第七実施例のバイオマス由来燃料ペレット71の高位発熱量をボンブ熱量計によって測定した。
(カロリーの評価)
【0145】
前述したように、バイオマス由来燃料ペレットは、18MJ/kg以上27MJ/kg以下の発熱量、より好ましくは20MJ/kg以上の発熱量を有することが要求されるところ、第七実施例のバイオマス由来燃料ペレット71の発熱量は22.1MJ/kgの発熱量と計測された。
【0146】
以上のことから、本実施の形態によれば、発熱量が大きく、バイオマスと他の燃料を混焼する際の全使用燃料に対するバイオマスの熱量換算による割合である混焼率を向上させることができる燃料ペレットを提供できる。
(第八実施形態に係るバイオマス燃料化システム82)
【0147】
本発明に係るバイオマス燃料化システムの好適な実施形態であって、第八実施形態に係るバイオマス燃料化システムの構成を
図14Aに示す。
【0148】
図14Aに示すように、バイオマス燃料化システムA2は、原料A11に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム椰子の茎葉からなる原料A11を圧搾することにより、圧搾物A19にする圧搾装置A30と、圧搾物A19を洗浄することにより、圧搾物A19に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物A13にする洗浄装置A22と、洗浄物A13の水分含有率を低下させて乾燥物A14にする乾燥装置A24と、乾燥装置A24により水分含有率を低下させた後、乾燥物A14を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、乾燥物A14に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた炭化物A17にする炭化装置A26と、炭化物A17を燃料の形状に造粒し、燃料ペレットA1にする造粒装置A28と、燃料ペレットA1の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレットA1を混合する計測・混合装置A29とを備えている。なお、計測・混合装置A29による計測自体を省略してもよい。
【0149】
バイオマス燃料化システムA2についての詳細については、後述するバイオマス房由来燃料ペレットの製造方法A3において説明する。
(バイオマス由来燃料ペレットの第八製造方法A3)
【0150】
本発明に係るパーム空果房由来燃料ペレットの第八製造方法A3は、
図15Aに示すように、原料A11に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム空果房からなる原料A11を圧搾し、圧搾物A19にする圧搾工程A40と、圧搾物A19を洗浄することにより、圧搾物A19に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物A13にする洗浄工程A32と、洗浄物A13の水分含有率を低下させて乾燥物A14にする乾燥工程A34と、乾燥工程A34により水分含有率を低下させた後、乾燥物A14を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、乾燥物A14に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた炭化物A17にする炭化工程A36と、炭化物A17を燃料の形状に造粒し、燃料ペレットA1にする造粒工程A38と、燃料ペレットA1の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレットA1を混合する計測・混合工程A39とからなる。
【0151】
圧搾工程A40以外の工程は、バイオマス由来燃料ペレットの第一製造方法13に記載の工程と同様であり、洗浄工程A32・乾燥工程A34・炭化工程A36・造粒工程A3A・計測・混合工程A39は、それぞれ、洗浄工程132・乾燥工程134・炭化工程136・造粒工程138・計測・混合工程139に対応する。なお洗浄工程A32では、圧搾物A19を複数段階に分けて洗浄してもよい。
【0152】
圧搾工程A40において、原料A11は圧搾装置A30により圧搾されて、原料A11中の植物細胞が破壊され、原料A11に含まれる水分が一定量除去されると共に、原料A11中のカリウム等のスケールの原因物質の溶出が促される。この段階で原料A11に含まれる水分が、質量において40%以上減少するのが望ましい。圧搾装置A30は、例えば公知のスクリュー式の圧搾機、油圧プレス機等を用いることができる。
(第九実施形態に係るバイオマス燃料化システムB2)
【0153】
図14Bに示すように、バイオマス燃料化システムB2は、原料B11に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム椰子の茎葉からなる原料B11を圧搾することにより、圧搾物B19にする圧搾装置B30と、圧搾物B19を洗浄することにより、圧搾物B19に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物B13にする洗浄装置B22と、洗浄物B13の水分含有率を低下させて乾燥物B14にする乾燥装置B24と、乾燥装置B24により水分含有率を低下させた後、乾燥装置B24により水分含有率が低下した乾燥物B14を燃料の形状に造粒し、造粒物B16にする造粒装置B28と、造粒物B16を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、造粒物B16に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた燃料ペレットB1にする炭化装置B26と、燃料ペレットB1の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレットB1を混合する計測・混合装置B29とを備えている。なお、計測・混合装置B29による計測自体を省略してもよい。
【0154】
バイオマス燃料化システムB2についての詳細については、後述するバイオマス房由来燃料ペレットの製造方法B3において説明する。
(バイオマス由来燃料ペレットの第九製造方法B3)
【0155】
バイオマス由来燃料ペレットの第九製造方法B3は、
図15Bに示すように、圧搾工程B40から乾燥工程B34までが、バイオマス由来燃料ペレットの第八製造方法A83における圧搾工程A40から乾燥工程A34と同様である。第九製造方法B3は乾燥工程B34後に造粒工程B38があって、その後に、炭化工程B36を行う点で、第八製造方法A3と異なっている。計測・混合工程B39は、計測・混合工程A39に対応している。
(第十実施形態に係るバイオマス燃料化システムC2)
【0156】
図14Cに示すように、バイオマス燃料化システムC2は、原料C11に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム空果房からなる原料C11を破砕することにより、破砕物C12にする破砕装置C21と、破砕物C12を圧搾することにより、圧搾物C19にする圧搾装置C30と、圧搾物C19を洗浄することにより、圧搾物C19に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物C13にする洗浄装置C22と、洗浄物C13の水分含有率を低下させて乾燥物C14にする乾燥装置C24と、乾燥装置C24により水分含有率を低下させた後、乾燥物C4を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、乾燥物C4に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた炭化物C17にする炭化装置826と、炭化物C17を燃料の形状に造粒し、燃料ペレットC1にする造粒装置C28と、燃料ペレットC1の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレットC1を混合する計測・混合装置C29とを備えている。なお、計測・混合装置C29による計測自体を省略してもよい。
【0157】
バイオマス燃料化システムC2についての詳細については、後述するバイオマス房由来燃料ペレットの製造方法C3において説明する。
(バイオマス由来燃料ペレットの第十製造方法C3)
【0158】
本発明に係るパーム空果房由来燃料ペレットの第十製造方法C3は、
図15Cに示すように、原料C11に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、原料C11を破砕することにより、破砕物C12にする破砕工程C31と、破砕物C12を圧搾することにより、圧搾物C19にする圧搾工程C40と、圧搾物C19を洗浄することにより、圧搾物C19に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物C13にする洗浄工程C32と、洗浄物C13の水分含有率を低下させて乾燥物C14にする乾燥工程C34と、乾燥工程C34により水分含有率を低下させた後、乾燥物C14を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、乾燥物C14に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた炭化物C17にする炭化工程C36と、炭化物C17を燃料の形状に造粒し、燃料ペレットC1にする造粒工程C38と、燃料ペレットC1の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレットC1を混合する計測・混合工程C39とからなる。破砕工程C31で原料を破砕して圧搾工程C39に供給することにより、圧搾工程C39における圧搾装置C30により圧搾処理がし易くなり能率が上がる。
【0159】
第十製造方法C3では、圧搾工程C40・洗浄工程C32・乾燥工程C34・炭化工程C36・造粒工程C38・計測・混合工程C39は、それぞれ、バイオマス由来燃料ペレットの第八製造方法83と同様であり、破砕工程C31では、原料C11を圧搾装置C30により処理するのに適した大きさになるように、破砕装置C21により破砕する。破砕工程C31で生じた破砕物C19は圧搾工程C40へ供給される。この破砕装置C21は、第一実施形態に係るバイオマス燃料化システム12の破砕装置121と同様のものである。
(第十一実施形態に係るバイオマス燃料化システムD2)
【0160】
図14Dに示すように、バイオマス燃料化システムD2は、原料D11に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム空果房からなる原料D11を破砕し、繊維をすり潰すことにより、破砕物D12にする破砕装置D21と、破砕物D12を圧搾することにより、圧搾物D19にする圧搾装置D30と、圧搾物D19を洗浄することにより、圧搾物D19に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物D13にする洗浄装置D22と、洗浄物D13の水分含有率を低下させて乾燥物D14にする乾燥装置D24と、乾燥装置D24により水分含有率を低下させた後、乾燥物D4を燃料の形状に造粒することにより、造粒物D16にする造粒装置D28と、造粒物D16を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、造粒物D16に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた燃料ペレットD1にする炭化装置D26と、燃料ペレットD1の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレットD1を混合する計測・混合装置D29とを備えている。なお、計測・混合装置D29による計測自体を省略してもよい。
【0161】
バイオマス燃料化システムD2についての詳細については、後述するバイオマス房由来燃料ペレットの製造方法D3において説明する。
(バイオマス由来燃料ペレットの第十一製造方法D3)
【0162】
本発明に係るパーム空果房由来燃料ペレットの第十一製造方法の流れを示すフローチャートを
図15Dに示す。
【0163】
本発明に係るバイオマス由来燃料ペレットの第十一製造方法D3は、
図15Dに示すように、破砕工程D31から乾燥工程D34までが、バイオマス由来燃料ペレットの第十製造方法C3における破砕工程C31から乾燥工程C34と同様である。第十一製造方法D3は、乾燥工程D34後に造粒工程D36があって、その後に、炭化工程D38を行う点で、第十製造方法C3と異なっている。計測・混合工程D39は、計測・混合工程C39に対応している。
(第十二実施形態に係るバイオマス燃料化システムE2)
【0164】
図16Eに示すように、バイオマス燃料化システムE2は、パーム椰子の茎葉からなる原料E11を加熱することにより、加工しやすい加熱物E11aにする加熱装置E30Aと、原料E11に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム椰子の茎葉からなる原料E11を圧搾することにより、圧搾物E19にする圧搾装置E30と、圧搾物E19を洗浄することにより、圧搾物E19に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物E13にする洗浄装置E22と、洗浄物E13の水分含有率を低下させて乾燥物E14にする乾燥装置E24と、乾燥装置E24により水分含有率を低下させた後、乾燥物E14を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、乾燥物E14に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた炭化物E17にする炭化装置E26と、炭化物E17を燃料の形状に造粒し、燃料ペレットE1にする造粒装置E28と、燃料ペレットE1の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレットE1を混合する計測・混合装置E29とを備えている。なお、計測・混合装置E29による計測自体を省略してもよい。
【0165】
バイオマス燃料化システムE2の詳細については、後述するバイオマス房由来燃料ペレットの製造方法E3において説明する。
(バイオマス由来燃料ペレットの第十二製造方法E3)
【0166】
本発明に係るバイオマス由来燃料ペレットの第十二製造方法E3は、
図17Eに示すように、洗浄工程E32から造粒工程E38までが、
図14Aに示すバイオマス由来燃料ペレットの第八製造方法A3における洗浄工程A32から造粒工程A38と同様である。第十二製造方法E3は、圧搾工程E40の前に加熱工程E40Aがあり、加熱工程E40Aで原料E11を加熱することにより加熱物E11aとし、圧搾工程E40は加熱物E11aを圧搾する点で、第八製造方法A3と異なっている。計測・混合工程E39は、計測・混合工程A39に対応している。
【0167】
加熱装置E30Aは、例えば蒸し器、熱風を吹き付ける公知のドライヤー等を用いることができ、原料E11を加熱して柔らかくし、原料E11から水分を絞り出し易くする。原料の加熱は、例えば温度が摂氏100度から摂氏200度に保たれた容器中に原料を10分から1時間収容することで行う。
(第十三実施形態に係るバイオマス燃料化システムF2)
【0168】
図16Fに示すように、バイオマス燃料化システムF2は、パーム椰子の茎葉からなる原料F11を加熱することで加工しやすい加熱物E11aにする加熱装置E30Aと、原料F11に含まれるナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉛、銅、アルミニウム、カルシウム、硫黄、ガラス等のスケールの原因となる物質の溶出を促すよう、パーム椰子の茎葉からなる原料F11を圧搾することにより、圧搾物F19にする圧搾装置F30と、圧搾物F19を洗浄することにより、圧搾物F19に含まれるスケールの原因物質を低減し、洗浄物F13にする洗浄装置F22と、洗浄物F13の水分含有率を低下させて乾燥物F14にする乾燥装置F24と、乾燥装置F24により水分含有率を低下させた後、乾燥装置F24により水分含有率が低下した乾燥物F14を燃料の形状に造粒し、造粒物F16にする造粒装置F28と、造粒物F16を炭化させることにより、水分含有率をさらに低下させるとともに、造粒物F16に含まれる、塩素、硫黄等のボイラー使用時に腐食の原因となる物質を低減させ、単位重量あたりの熱量を増加させた燃料ペレットF1にする炭化装置F26と、燃料ペレットF1の熱量や脆さ等を計測し、製品の品質が一定になるよう燃料ペレットF1を混合する計測・混合装置F29とを備えている。なお、計測・混合装置F29による計測自体を省略してもよい。
(バイオマス由来燃料ペレットの第十三製造方法F3)
【0169】
本発明に係るバイオマス由来燃料ペレットの第十三製造方法F3は、
図17Fに示すように、洗浄工程F32から造粒工程F38までが、
図14Bに示すバイオマス由来燃料ペレットの第九製造方法B3における洗浄工程B32から造粒工程B38と同様である。第十三製造方法F3は、圧搾工程F40の前に加熱工程F40Aがあり、加熱工程F40Aで原料F11を加熱することにより加熱物F11aとし、圧搾工程F40は加熱物E11aを圧搾する点で、第九製造方法B3と異なっている。計測・混合工程F39は、計測・混合工程B39に対応している。
【0170】
本発明によれば、第八実施形態から第十三実施形態に係るバイオマス燃料化システムA2、B2、C2、D2、E2、F2において、過熱水蒸気により原料を炭化する炭化装置A26、B26、C26、D26、E26、F26を、第二実施形態における炭化装置226と同様のものに替えることができる。この場合、第八から第十三製造方法A3、B3、C3、D3、E3、F3は、それぞれ高温の油中で原料を炭化する炭化工程を含むものとなる。
【0171】
また、第八実施形態、第十実施形態、第十二実施形態に係るバイオマス燃料化システムA2、C2、E2において、乾燥装置A24、C24、E24と、炭化装置A26、C26、E26を、第三実施形態係るバイオマス燃料化システム32における、乾燥装置334と、二次破砕装置335と、炭化装置336とに替えることができる。この場合、バイオマス由来燃料ペレットの製造方法は、乾燥工程と炭化工程との間に、乾燥物を二次破砕装置により造粒に適したサイズに破砕してから炭化する二次破砕工程を含むものとなる。
【0172】
さらに、第八実施形態、第十実施形態、第十二実施形態に係るバイオマス燃料化システムA2、C2、E2において、炭化装置A26、C26、E26と、造粒装置A28、C28、E28を、第四実施形態係るバイオマス燃料化システム42における、炭化装置426と、二次破砕装置427と、造粒装置428に替えことができる。この場合、バイオマス由来燃料ペレットの製造方法は、炭化工程と造粒工程との間に、炭化物を二次破砕装置により造粒に適したサイズに破砕する二次破砕工程を含むものとなる。
【0173】
また、第九実施形態、第十一実施形態、第十三実施形態に係るバイオマス燃料化システムB2、D2、F2において、乾燥装置B24、D24、F24と、造粒装置B28、D28、F28を第七実施形態係るバイオマス燃料化システム72における、乾燥装置734と、二次破砕装置735と、炭化装置736に替えることができる。この場合、バイオマス由来燃料ペレットの製造方法は、乾燥工程と造粒工程との間に、乾燥物を二次破砕装置により造粒に適したサイズに破砕する二次破砕工程を含むものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0174】
本発明に係るバイオマス由来燃料ペレット、及び、バイオマス燃料化システム、並びに、バイオマス由来燃料ペレットの製造方法は、パーム製品の製造工場などで、廃棄物として処理されていたパーム空果房を燃料化する用途に適用できる。
【符号の説明】
【0175】
11…バイオマス由来燃料ペレット
111…原料、112…破砕物、113…洗浄物、114…乾燥物
12…バイオマス燃料化システム
121…破砕装置:1211…破砕機、1211A…投入口、1211B…破砕室、1211C…プッシャー、1211D…ローター、1211E…回転刃、1211F…固定刃、1211G…スクリーン、1211H…排出口、1212…摩砕機、1212A…投入口、1212B…ハウジング、1212C…ローター、1212D…排出口
122…洗浄装置:1221…洗浄槽、1221A…投入口、1221B…洗浄室、1221C…撹拌機、1221D…加温機構、1221E…排出口
124…乾燥装置:1241…乾燥機、1241A…原料入口、1241B…回転シェル、1241C…主管、1241D…熱風吹込管、1241E…熱源機構、1241F…燃焼ファン、1241G…吸込ファン、1241H…集塵装置、1241I…排気ファン、1241J…乾燥品出口
126…炭化装置:1261…炭化システム、1261A…蒸気ボイラー、1261B…過熱蒸気発生装置、1261C…炭化炉、1261D…サイクロン、1261E…熱交換器、1261F…冷却塔、1261G…スクラバー
128…造粒装置:1281…リングダイ式造粒機、1281A…投入口、1281B…押し込み装置、1281C…リングダイ、1281D…プレスロール、1281E…カッター、1281F…排出口
129…計測・混合装置
13…バイオマス由来燃料ペレットの第一製造方法
131…破砕工程、132…洗浄工程、134…乾燥工程、136…炭化工程、138…造粒工程、139…計測・混合工程
22…バイオマス燃料化システム
226…フライ装置:2261…フライヤー、2261A…油槽、2261B…加温機
228…造粒装置
23…バイオマス由来燃料ペレットの第二製造方法
236…炭化工程、238…造粒工程
32…バイオマス燃料化システム
321…一次破砕装置、325…二次破砕装置、326…炭化装置
33…バイオマス由来燃料ペレットの第三製造方法
331…一次破砕工程、335…二次破砕工程、336…トレファクション工程
42…バイオマス燃料化システム
421…一次破砕装置、426…炭化装置、427…二次破砕装置
43…バイオマス由来燃料ペレットの第四製造方法
431…一次破砕工程、436…トレファクション工程、437…二次破砕工程
51…バイオマス由来燃料ペレット
52…バイオマス燃料化システム
521…破砕装置、522…洗浄装置、524…乾燥装置、526…炭化装置、528…造粒装置、529…計測・混合装置
53…バイオマス由来燃料ペレットの第五製造方法
531…破砕工程、532…洗浄工程、534…乾燥工程、538…造粒工程、536…炭化工程、539…計測・混合工程
62…バイオマス燃料化システム
621…破砕装置、622…洗浄装置、624…乾燥装置、628…造粒装置、626…炭化装置、629…計測・混合装置
63…バイオマス由来燃料ペレットの第六製造方法
631…破砕工程、632…洗浄工程、634…乾燥工程、638…造粒工程、636…炭化工程、639…計測・混合工程
72…バイオマス燃料化システム
721…一次破砕装置、722…洗浄装置、724…乾燥装置、725…二次破砕装置、728…造粒装置、726…炭化装置、729…計測・混合装置
73…バイオマス由来燃料ペレットの第七製造方法
731…一次破砕工程、732…洗浄工程、734…乾燥工程、735…二次破砕工程、738…造粒工程、736…炭化工程、739…計測・混合工程
A2…バイオマス燃料化システム
A30…圧搾装置、A22…洗浄装置、A24…乾燥装置、A26…炭化装置、A28…造粒装置、A29…計測・混合装置、A29…計測・混合装置
A3…バイオマス由来燃料ペレットの第八製造方法
A40…圧搾工程、A32…洗浄工程、A34…乾燥工程、A36…炭化工程、A38…造粒工程、A39…計測・混合工程
B2…バイオマス燃料化システム
B30…圧搾装置、B22…洗浄装置、B24…乾燥装置、B28…造粒装置、B26…炭化装置、B29…計測・混合装置、B29…計測・混合装置
B3…バイオマス由来燃料ペレットの第九製造方法
B40…圧搾工程、B32…洗浄工程、B34…乾燥工程、B38…造粒工程、B36…炭化工程、B39…計測・混合工程
C2…バイオマス燃料化システム
C21…破砕装置、C30…圧搾装置、C22…洗浄装置、C24…乾燥装置、C26…炭化装置、C28…造粒装置、C29…計測・混合装置、C29…計測・混合装置
C3…バイオマス由来燃料ペレットの第十製造方法
C31…破砕工程、C40…圧搾工程、C32…洗浄工程、C34…乾燥工程、C36…炭化工程、C38…造粒工程、C39…計測・混合工程
D2…バイオマス燃料化システム
D21…破砕装置、D30…圧搾装置、D22…洗浄装置、D24…乾燥装置、D28…造粒装置、D26…炭化装置、D29…計測・混合装置、D29…計測・混合装置
D3…バイオマス由来燃料ペレットの第十一製造方法
D31…破砕工程、D40…圧搾工程、D32…洗浄工程、D34…乾燥工程、D38…造粒工程、D36…炭化工程、D39…計測・混合工程
E2…バイオマス燃料化システム
E30A…加熱装置、E30…圧搾装置、E22…洗浄装置、E24…乾燥装置、E28…造粒装置、E26…炭化装置、E29…計測・混合装置、E29…計測・混合装置
E3…バイオマス由来燃料ペレットの第十二製造方法
E40A…加熱工程、E40…圧搾工程、E32…洗浄工程、E34…乾燥工程、E36…炭化工程、E38…造粒工程、E39…計測・混合工程
F2…バイオマス燃料化システム
F30A…破砕装置、F30…圧搾装置、F22…洗浄装置、F24…乾燥装置、F28…造粒装置、F26…炭化装置、F29…計測・混合装置、F29…計測・混合装置
F3…バイオマス由来燃料ペレットの第十三製造方法
F40A…加熱工程、F40…圧搾工程、F32…洗浄工程、F34…乾燥工程、F38…造粒工程、F36…炭化工程、F39…計測・混合工程