(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】関節スペーサー
(51)【国際特許分類】
A61F 2/38 20060101AFI20220902BHJP
A61F 2/32 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
A61F2/38
A61F2/32
(21)【出願番号】P 2019216929
(22)【出願日】2019-11-29
(62)【分割の表示】P 2016521937の分割
【原出願日】2014-10-09
【審査請求日】2019-12-26
(31)【優先権主張番号】102013016899.6
(32)【優先日】2013-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202013010444.9
(32)【優先日】2013-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516104744
【氏名又は名称】レヴォモーション ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】REVOMOTION GMBH
【住所又は居所原語表記】Zuelpicher Str. 353, 50937 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ヤンセン
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-537052(JP,A)
【文献】特表2011-527377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/38
A61F 2/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝殻状の弾性被覆の形の股関節スペーサーであって、
前記股関節スペーサーは、
大腿骨頭の均分円を超えて前記大腿骨頭の頸部に向かって次第に細くなっており、
大腿骨頭靭帯の通過のための開口部を有し、
分離および接続することができる分割部を有し、
球状かつ弓型のコア層を有し、
前記コア層は、
20~77のショアA硬度を有し、かつ、20%から60%の間の伸長の範囲内の少なくとも
50%における引張応力値が3.8N/mm
2を超える、及び/又は、
20~77のショアA硬度を有し、かつ、20%から60%の間の圧縮の範囲内の少なくとも
50%における圧縮応力値が7.8N/mm
2を超える材料から成ることを特徴とする、
股関節スペーサー。
【請求項2】
前記股関節スペーサーの前記開口部は、前記大腿骨頭の近位極の近傍にあり、
前記股関節スペーサーは、少なくとも部分的に前記近位極から、前記股関節スペーサーの自由縁が分離されていることを特徴とする、請求項1に記載の股関節スペーサー。
【請求項3】
前記開口部は、円形または楕円形であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の股関節スペーサー。
【請求項4】
前記分割部は、子午線弧に沿っていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の股関節スペーサー。
【請求項5】
前記分割部は、前記股関節スペーサーの一部が互いに重なっている重複領域を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の股関節スペーサー。
【請求項6】
前記重複領域の外側部分は、前記重複領域の下部における対応する凹部に挿入される複数のノブから成ることを特徴とする、請求項5に記載の股関節スペーサー。
【請求項7】
前記分割部は、パズルの形の歯を有するジッパーのように形成されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の股関節スペーサー。
【請求項8】
前記股関節スペーサーの材料は、エラストマー又は熱可塑性エラストマーであり、又は、ポリウレタンから成ることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の股関節スペーサー。
【請求項9】
前記エラストマー、前記熱可塑性エラストマー又は前記ポリウレタンは、もっぱらソフトセグメントとして、ヒドロキシル及びアミン末端水素化ポリブタジエン、及び、ヒドロキシル末端水素化ポリブタジエンの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項8に記載の股関節スペーサー。
【請求項10】
前記エラストマー又は前記熱可塑性エラストマーは、ソフトセグメントとして、少なくとも部分的にポリカーボネート・ジオール又はポリカーボネート・ジオール共重合体を含むことを特徴とする、請求項8又は9に記載の股関節スペーサー。
【請求項11】
前記エラストマー又は前記熱可塑性エラストマーは、ポリイソブチレン及び/又はポリブタジエンを含み、かつ、ソフトセグメントとしてのポリカーボネート・ジオール、又は、全ソフトセグメント中のポリカーボネート・ジオールの割合が最大で80%であるポリカーボネート・ジオール共重合体タイプを含むことを特徴とする、請求項8~10のいずれかに記載の股関節スペーサー。
【請求項12】
前記エラストマー又は前記熱可塑性エラストマーのソフトセグメント又はソフトセグメントの混合物は、ソフトセグメントであるポリジメチルシロキサン又はポリジメチルシロキサン・ポリカプロラクトン又はポリテトラメチレンオキシドブロックコポリマー、又は、一又は複数のこれらのソフトセグメントの混合物を含み、全ソフトセグメント中の一又は複数のこれらのソフトセグメントの割合が最大で50%であることを特徴とする、請求項8~11のいずれかに記載の股関節スペーサー。
【請求項13】
前記ポリウレタンは、少なくとも部分的にナフタレン―1,5―ジイソシアネート及び/又はパラフェニレンジイソシアネート及び/又はトランス―1,4―シクロヘキサンジイソシアネート及び/又はヘキサメチレンジイソシアネートから成ることを特徴とする、請求項8~12のいずれかに記載の股関節スペーサー。
【請求項14】
前記股関節スペーサーは、円盤状又は平坦に設計されたナノ添加剤を有し、前記ナノ添加剤の幅が10nm~50nm、及び、前記ナノ添加剤の厚さが0.5nm~1.5nmであることを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の股関節スペーサー。
【請求項15】
0.1μm~0.4μmの直径を有する繊維から成るナノ繊維構造体を有する、請求項1~14のいずれかに記載の股関節スペーサー。
【請求項16】
前記股関節スペーサーは、その縁に沿って、少なくとも部分的に、多孔質フリース層、多孔質テープ、又は、微細繊維構造を有するホース、である多孔質層が配置されていることを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の股関節スペーサー。
【請求項17】
前記股関節スペーサーの前記縁、又は、前記多孔質層は、ピン、糸又はワイヤ、あるいは、強磁性層の形態の撮像用可視マーカーに接続又は横断されていることを特徴とする、請求項16に記載の股関節スペーサー。
【請求項18】
前記股関節スペーサーの縁部は、少なくとも部分的に、20から77の間のショアA硬度を有する材料からなり、前記縁部より硬い中央域の前記材料は、ショアA硬度が77を超え、20%から60%の間の伸長の範囲内の少なくとも
50%における引張応力値が3.8N/mm
2を超えることを特徴とする、請求項1~17のいずれかに記載の股関節スペーサー。
【請求項19】
少なくとも部分的に、少なくとも三層の層状構造であり、
前記少なくとも三層は、少なくとも二つのカバー層と、異なる硬質材料からなる介在コア層とを有し、
前記カバー層と前記介在コア層との間のショアA硬度の差は、5を超え、
前記少なくとも三層の少なくとも一つは、
20%から60%の間の伸長の範囲内の少なくとも
50%における引張応力値が3.8N/mm
2を超える、及び/又は、
20%から60%の間の圧縮の範囲内の少なくとも
50%における圧縮応力値が7.8N/mm
2を超える材料から成ることを特徴とする、請求項1~18のいずれかに記載の股関節スペーサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節スペーサー、特に膝関節スペーサーと腰骨スペーサーに関するものである
。
【背景技術】
【0002】
関節スペーサー
世界中で何百万人もの人々、軟骨接合面早期摩耗や裂傷である変形性関節症を患っており
、そのほとんどは膝と股関節に起こる。様々な欠点があるとされる以前の人工関節(内部
人工器官)に代わるものとして、「膝のスペーサー」と呼ばれる、弾性のある円盤状のス
ペーサーが利用可能である。これらは、(残っている)半月板除去後に皮膚の小切開を行
い、接合面を平滑化して注意深くサイズを選択することにより、膝の内部に導入すること
ができる。関節内で摩耗した軟骨や損傷を受けた半月板と交換する。膝のスペーサーは、
天然の関節空間を復元し、したがって、X脚やO脚のような不整合(外反、内反)の異常を
修正することもできる。
【0003】
天然の内側(内側)と横方向(外側)半月板はくさび形の断面をしており、脛骨プラトー
内で前方および後方の角を介して固定されている三日月形の線維軟骨組織である。それら
は、脛骨プラトーと大腿骨(大腿骨)の関節・ローラー(関節丘)の間で接触域を増やす
。
【0004】
関節スペーサーとは一般に、腰、肩、足、手または脊椎など、人体の他の関節に使用する
ことができるスペーサーを表す。ここで言う関節スペーサーには、関節の軟骨表面のほん
の一部を置換することができる「プラグ」またはフラットプラグを含む。さらに、また、
スペーサーは、内部人工器官の潤滑と減衰要素として使用される。膝のスペーサーでは、
異なる実施形態を区別するものとする。半月板スペーサーは、関節接合面の半月板と摩耗
した軟骨を置換するが、半月板インプラントは、半月板のみを置換する。接合面の交換や
接合面のスペーサーは、半月板を交換することなく、部分的に摩耗した軟骨または接合面
の初期摩耗を補償する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
膝関節スペーサーは、異なる材料およびポリマーから成ることが知られている。ここでは
、その高い機械的強度および高耐摩耗性の理由により、ポリウレタンが非常に適している
。基本的に、芳香族ポリウレタンおよび脂肪族ポリウレタンとに区別することができる。
芳香族ポリウレタンは、通常、より大きな機械的強度を有し、したがって、屈曲・伸展時
に膝関節スペーサーで生じる高負荷にとり、より適切なようである。脂肪族ポリウレタン
と比較し、芳香族ポリウレタンは、それらが「黄変」につながるという欠点を持っており
、一定の経年劣化(老化効果)を示す。さらに、その潜在的な分解生成物が発癌性リスク
を持つ可能性があることから、芳香族ポリウレタンはまた物議を醸している。
【0006】
インプラントはしばしば破損して膝の関節腔から滑落したり、または運動制限を課したり
するため、これまでのところ膝のスペーサーは実際には成功していない。具体的には、生
理的な減衰と十分な機械的強度や疲労強度を併せ持つ膝のスペーサーは、現在のところ知
られていない。しかし、患者の痛みがないことにつながるため、生理的減衰が望ましい。
【0007】
本発明の課題はまた、選択的に非常に高い負荷を吸収することができ、耐久性、耐摩耗性
および十分な減衰のある関節スペーサーを提供することにある。スペーサーはまた、関節
運動接合面との間の最大の適合を達成しなければならず、かつ関節空間から滑落してはな
らない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の関節スペーサーによって達成される。したがって、本発明
によれば、関節スペーサーは、少なくとも部分的に、特に20%~60%での伸長時に引張応力
値20~77のショアA硬度を有するエラストマーまたは熱可塑性エラストマーであり、好ま
しくは50%(以下「50%引張応力」とも称す)で、3.8 N/mm2を超え、好ましくは4.6 N/mm2
を超え、より好ましくは6 N/mm2を超え、および/またはショアA硬度が最大で85、および
伸長時引張応力が20%~60%間であり、好ましくは50%、6 N/mm2を超え、好ましくは7 N/mm
2を超え、より好ましくは8 N/mm2を超える材料から成る。ここでは、特定の伸長時の値は
、接面または正割係数を意味するものではないことを特記しておく。材料はまた、最大50
%の伸長時まで、好ましくは70%の伸長時まで、たわみ挙動を見せないことが好ましい。
【0009】
好ましくは、材料は、最低5 N/mm2で、好ましくは最低 6 N/mm2で、さらに好ましくは最
低 7.5 N/mm2で、100% (100%引張応力) にショアA硬度20~77の引張応力を有するか、ま
たは最低 7.5 N/mm2で、望ましくは最低8.5 N/mm2の、さらに望ましくは最低10.5 N/mm2
の100%伸長時に最大85の引張応力のショアA硬度を有するべきである。
【0010】
適切な材料のもう一つの特性は、かかっている引張応力により生じる材料の損傷が顕著に
大きくなっても、圧縮応力である。したがって、本発明によれば、関節スペーサー-は、
少なくとも部分的に、特に20%~60%間の伸長時に引張応力値20~77のショアA硬度を有す
る、好ましくは50%(以下「50%引張応力」と称す)で、7.8 N/mm2を超え、好ましくは9 N
/mm2を超え、より好ましくは10.5 N/mm2を超え、および/またはショアA硬度が最大85、お
よび伸長時引張応力が20%~60%間であり、好ましくは50%、6 N/mm2を超え、好ましくは12
N/mm2を超え、より好ましくは14 N/mm2を超える材料から成る。
【0011】
該当する関節スペーサーは、特異な漸進的圧力-圧縮挙動を有利に示す。増加圧縮で不均
衡に弾力性が低下し、したがって、関節スペーサーは硬化する。言い換えれば、材料はシ
ョアA硬度が比較的柔らかく、同時に横方向に圧縮弾性率が比較的高い弾性率を有する。
【0012】
上述の応力値は、関節スペーサーが同じ負荷でそれほど強く圧縮されない場合にも、所定
の値よりも低い張力または圧縮値でも達成することができる。
【0013】
ショアA硬度は、関節スペーサーに適する材質やポリマーの選択のためにしばしば使用さ
れる。医療技術のために知られている適切な材料の中でも、特に膝や腰の関節に発生する
非常に高い負荷は、ショアA硬度85を超える材料のみが吸収することができる。患者の高
い適合性と減衰のため、つまり最終的に痛みの軽減を鑑みると、このような材料で作られ
た関節スペーサーはあまりにも硬く、したがって膝にはあまり適切とはならない。関節ス
ペーサーは、柔らかであればあるほど関節スペーサーと関節面の接触面積が大きく、応力
が小さくなり、これにより、また、関節スペーサー内の摩耗も小さくなる。その適応性に
おいて、関節スペーサーは理想的には、天然の関節軟骨に近いものであるべきである。こ
れには弱体化された変形性関節症の関節軟骨が含まれ、可能であれば、インプラントによ
ってそれがさらに破損しないようにする。ショアA硬度の範囲20~77、好ましくは45~72
が、材料として試みられている。約100~120キロの非常に体重が重い人々には、材料のシ
ョアA硬度は、脛骨面の大きさや関節スペーサーに応じ、最大85にする必要がある。この
文脈で、材料には主にエラストマーと熱可塑性エラストマーが理想的である。この硬度範
囲内にある既知の柔軟なポリマーまたは他の材料では、関節に生じる力に耐えるために、
より高い変形に十分な応力を構築することができない。すなわち、支持材の運搬能力が十
分でない。但し、顕著な漸進的圧力-圧縮挙動を示す素材が関節スペーサーに適している
ことが試験で証明されている。同じショアA硬度の材料が異なる弾性率を有しており、特
に、所定の伸長や圧縮時に異なるレベルの応力を確立することができる。言い換えれば、
材料は同じショアA硬度を有する所定の荷重で、より少なくまたはより多く圧縮される。
【0014】
材料、特にエラストマーおよび熱可塑性エラストマーは、水を吸収後、水中に数ヶ月間連
続して保存後、温度を上昇させることによって、または複数の負荷(応力を誘発する軟化
、またはいわゆるマリンズ効果の下で軟化させることができる。ギアリーCら。整形外科
用途のBionate(ビオネート)ポリカーボネートポリウレタンの特徴づけ:J Mater Sci:
Mater Med 19 (2008) 3355-3363)。また、機械的性質は、滅菌により変質する。また、材
料は非常に高い試験速度で固化する場合がある。したがって、本発明で指定されるパラメ
ータは、水または滑液摂取後、37℃に調整した状態の試料の、かつ滅菌状態での関連基準
の通常の試験速度での試料試験に関するものである。ヒステリシス(履歴減少)の量が大
幅に変化する場合があることから、応力値はマリンズ効果を補償するために、5サイクル
後に決定されるものとし、好ましくは、特に最初の数サイクルで決定されるものとする。
さらに、水中での保管後、少なくとも5ヶ月後に上記の値に到達するか、または上回るも
のとする。したがって、材料は加水分解的に安定していなければならない。より一般的に
は、使用される材料は、体内で注入後も長期にわたってパラメータを維持する必要がある
。
【0015】
上述のように、より柔らかい材料は、一般に関節で生じる荷重に耐えることができない。
上述の50%引張応力値に加えて - 、またはさらには100%の伸長および50%-圧縮応力に加え
、引裂伝播抵抗が、もう一つの重要な材料パラメータとなる。材料が柔らければ柔らかい
ほど、は引裂抵抗が高くなることが理想的である。言い換えれば、ショアA硬度に反比例
するということである。この関係の参考値は以下のとおりである。55のショアA硬度では
、引裂強度が60 N/mm2 を超え(好ましくは70 N/mm2を超え)、75のショアA硬度では35 N
/mm2を超える(好ましくは40 N/mm2を超える)ものとする。後部の走行(リニアラン)は
、これらの基準値の上にこれらのショアA硬度の範囲に渡って存在していなければならな
い。引裂伝播抵抗は「ズボン引裂き試験」にしたがって、発泡体をサンプリングすること
に関するものである。
【0016】
本発明の好ましい実施形態は、下記の特許請求の範囲および説明に記載されている。
【0017】
関節スペーサーに適した材料とは、生体適合性および弾性、耐久性のあるポリマーであり
、かつ既に述べたように、特定のポリウレタンの等級である。しかしながら、シリコーン
、PTFE、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリ(スチレン - ブロック - イソブチ
レン - ブロック - スチレン)(SIBS)、水素化スチレンブロックコポリマー(SBS、SIS
、SEBS)、または他のポリマーをなど、または最先端の技術に応じたその他のポリマーな
ど、他の材料を使用してもよい。また、各種ラバーに加えて、絹または人工絹も、関節ス
ペーサーに適する。また、100%以上の状態で高吸水率を有する材料が、関節スペーサーに
適した材料であることを特記しておく。さらに、望まれる50%の応力値を超えるよう、好
ましい特性をもたらすよう、ポリマーは可能な限り低分子成分を含まないものであるべき
である。
【0018】
関節スペーサーのエラストマーまたは熱可塑性エラストマーは、好ましくはポリウレタン
の等級から構成され、特にポリウレタン、ポリ尿素またはポリウレタンウレアから構成さ
れるべきである。
【0019】
ポリウレタンは、硬い(低分子量の鎖を有するイソシアネートから形成される)相互作用
、およびソフトセグメント(高分子量)によって特徴付けらる。組成に応じ、ポリウレタ
ンは、特に応力/歪み曲線において、非常に異なる材料の挙動を示す。
【0020】
イソシアネートは、広く文献に記載されており、基本的にすべてのイソシアネートを使用
することができる。しかしながら、コンパクトで、わずかに分岐しているシクロヘキサン
-ジイソシアネート(CHDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、またはパラ -
フェニレン - ジイソシアネート(PPDI)など、高融点イソシアネートが好ましい。また
、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの線形で対称なイソシアネートが適切で
あると考えられる。このような出発成分は、さらに上記の利点が得られ、漸進的圧力-圧
縮挙動を促進する。さらに、これらのイソシアネートは動的なアプリケーションに特に適
している。これらのイソシアネートの重量は、最大50%、(好ましくは3%)-ポリマーの30
% とすることができる。これらの好ましいイソシアネートは、他の芳香族または脂肪族イ
ソシアネートと混合することもできる。前述のジイソシアネートまたはジイソシアネート
合物にはまた、ポリイソシアネートを添加することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、ポリウレタン混合物は、少なくとも部分的にトラン
ス-1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、シスCHDIまたはそれらの混合物を有
するものとする。特に高い結晶性を有し、したがって好ましい特性を有しているため、ポ
リマーはトランスCHDIが特に好ましい。CHDIもまた、好ましい脂肪族ポリウレタンをもた
らす。さらに、ポリウレタン混合物は、少なくとも部分的に、他の脂肪族イソシアネート
、特にジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)またはその異性体混合物、あ
るいはCHDIおよびH12MDIの混合物から成るものとする。
【0022】
一連の調合と構成要素は下記に指定する。その全ては有利に好ましい特性に至る。
【0023】
ソフトセグメントは、50%の伸長または圧縮時、低いショアA硬度での高い応力値で、ポリ
ウレタンの望ましい漸進的な圧力-圧縮性質を達成する際に、決定的に重要である。関節
スペーサーに好適なのは、ポリオレフィンベースの耐加水分解性および生体安定性のソフ
トセグメント、特にポリイソブチレン(PIB)またはポリブタジエン(PB)である。さら
に、ポリカーボネート(PC)およびポリジメチルシロキサン(PDMS)ベースのソフトセグ
メントは、加水分解に対して比較的耐性があり有効である。典型的には、文献または商業
用的に知られているように、医療ポリエステルまたはポリエーテルウレタンも、長期的な
インプラントのための生体安定性が不十分であり、比較的少量で配合することができる場
合であっても、したがってあまり適していないか、または好ましくない。シリコーン -
エーテル - ポリウレタンコポリマーも不十分な生体安定性を有するようである。
【0024】
本発明の好ましい実施形態によれば、エラストマーまたは熱可塑性エラストマーのソフト
セグメントは、ポリイソブチレン(PIB)、または二官能性ポリイソブチレン、好ましく
はヒドロキシル末端(HO-PIB-OH)またはアミン末端(H 2 N-PIB-NH2)ポリイソブチレン
である。
【0025】
別の好ましい実施形態においては、ソフトセグメントは、ポリブタジエン(PB)、好まし
くはOH末端、特に好ましくはOH末端水素化ポリブタジエンである。しかしながら、アミン
末端ポリブタジエンを使用することもできる。
【0026】
ソフトセグメントがPIBまたはPB単独で、あるいはこれらの2つのソフトセグメントの混合
物から構成されている場合に、ポリマーの有利な特性が特に高い。
【0027】
エチレンジアミン(EDA)、または1,4-ジアミノブタン(BDA)、および好ましくは1,6-ジ
アミノヘキサン(HDA)または1,8-ジアミノ(ODA)などが、ソフトセグメントの連鎖延長
剤としてのアミン末端PIBに適している。ヒドロキシル末端PIBは、鎖延長剤、1,6-ヘキサ
ンジオール(HD)と特に良好に組み合わせることができる。これら鎖延長剤を使用するこ
とにより、各ソフトセグメントは他のソフトセグメントと非常によく混合することができ
、特定の材料の挙動を修正・調整することができる。好ましくはH12MDIが使用されるが、
記載されているその他のイソシアネートを使用することもできる。
【0028】
触媒、1,3-ジアセトキシ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(DTDS)が使用される場合
、ヒドロキシル末端PIBはまた、鎖延長剤ブタネジオールを持つ適切なポリウレタンを生
成する。この場合、ポリマーはまた、いわゆるプレポリマー不使用で1段階重合法で合成
することができる。これは、そうでない場合、好ましくは、2段階の手順で使用される。
好適なイソシアネートの他に、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が、イソ
シアネートとして特に好適である。
【0029】
ソフトセグメントPB、特に、ヒドロキシル - 水素化ポリブタジエンは、好ましくは、連
鎖延長N、N-ジイソプロピルアニリン(DIPA)または2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(EH
D)と組み合わせることができるが、また、2,2,4トリメチル-1,3-ペンタンジオール(TMP
D)または2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(EPG)とも機能する。これらの鎖延
長剤は、他のソフトセグメントとソフトセグメントを混合するために使用することができ
る。ここではMDIが好ましいが、記載されている他のイソシアネートを使用することもで
きる。
【0030】
ポリウレタンはまた、触媒1,3-ジアセトキシ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(DTDS
)を重合に使用する場合に特に適しており、有利な材料特性をもたらす。上述したように
、ここでは、1段階重合プロセスが理想的である。
【0031】
ポリウレタンタイプも架橋されていてよい。所望の特性を達成するためには、この点で水
が最も好適である。3価グリコールまたはポリウレタン化学において既知の他の多価の材
料といった、他の架橋試薬を使用することもできる。
【0032】
水架橋のための好ましいイソシアネートはHDI、NDI、PPDIまたはCHDである。上記の好適
なソフトセグメントのPIBとPBに加えて、好適なソフトセグメントは、ポリカーボネート
・ジオール(PCD)であり、また適切な場合には、鎖延長ブタンジオール(BD)または1つ
以上の他の鎖延長剤である。しかし、連鎖延長剤の使用は好ましくは回避され、架橋のた
めに水飲みが使用される。
【0033】
ポリカーボネート・ジオール ベースのポリウレタンにおいては、一般的には医療技術用
にはポリヘキサメチレンカーボネートジオール(C6-PCD)が使用される。これらは、もっ
ぱら6のメチル基(CH 2)それぞれで構成される。しかし、より柔らかいポリウレタンを
達成するために、また同時に、関節スペーサーに相応しい有利な材料特性を達成するため
に、ユニットヘキサン(C6)ペンタン(C5)、ブタン(C4)やプロパン(C3)で構築され
る均質なC6-PCDの代りに、特にポリカーボネート共重合体タイプ(ポリアルキレンカーボ
ネートジオール)が使用される。共重合体は好ましくは、公式で表すと、C6/C5またはC6/
C4またはC4/C3ユニットとの組み合わせで構成される。
【0034】
ここでは、n=6または5、あるいはn=6または4、あるいはn=4または3。また、メチル基の数
が減少する共重合体の種類は、著しく良好な耐摩耗性を示す。
【0035】
したがって、好ましい調合は、関節スペーサーのポリマーが少なくとも部分的にポリカー
ボネート・ジオール共重合体を含むものとなる。
【0036】
既に述べたように、ポリウレタン系の特に好ましい成分は、イソシアネートHDI、CHDI、P
PDIまたはNDI、並びにソフトセグメントとしてポリオレフィン、好ましくはPIBまたはPB
およびPCDであり、PCDには上記のポリカーボネート・ジオール共重合体タイプが好ましく
使用される。ポリオレフィンの等級、PIBまたはPBを混合・ブレンドすることができ、特
にPCDを混合すると、非常に耐摩耗性の高いポリウレタンの種類をここで達成することが
できる。合計ソフトセグメントのPCDの割合は最大80%、好ましくは5~40%である。ソフト
セグメントはまた、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)またはポリテトラメチレンオキ
シド(PTMO)の他の既知のソフトセグメントと混合してもよい。また、ポリジメチルシロ
キサンポリカプロラクトンブロックコポリマーの添加が、有利な特性を達成するのに適し
ている。合計セグメントにおけるこれらソフトセグメントの割合は最大50%、好ましくは3
~35%である。
【0037】
さらに有利な調合は、関節スペーサーのポリマーがヒドロキシルおよび/またはアミン末
端ポリイソブチレンのみを含有するし、および/またはヒドロキシルおよび/またはアミン
末端およびヒドロキシル末端水素化ポリブタジエンおよび/またはポリカーボネート・ジ
オールをソフトセグメントとするものである。
【0038】
上述のアミンもしくはヒドロキシル末端PIBはまた、直鎖状または分枝状のPIBであっても
よい。アクリロニトリル - ブタジエン - スチレンのような共重合体を、ポリブタジエン
内で使用することができる。
【0039】
さらに、上術のイソシアネートは、3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレン(TODI)などの他
の芳香族または脂肪族あるいは脂環式イソシアネートと混合することができる。
【0040】
また、以前に表示された調合で、言及されている連鎖延長は、2つ以上の連鎖延長剤およ
び/またはポリマー合成中の架橋剤(例えば、グリコール)を組み合わせて導入すること
ができる。
【0041】
使用される材料の引張強度、切裂抵抗、特に耐摩耗性を改善するため、材料または好まし
いポリウレタン混合物は、少なくとも一次元が他の二つの次元よりも有意に大きいナノ添
加剤を有することが、本発明の有利な実施形態にしたがって提供される。好ましくは、ナ
ノ添加剤は円盤状または平坦であるか、あるいは第三の次元での測定値と比較して二次元
がより大きな値として設定されている。ナノ添加物は、幅10nm~50nm、好ましくは25nm~
50nm、および0.5nm~1.5nm、好ましくは1nmの厚さを有する。その結果、一方では漸進的
圧力-圧縮挙動が改善され、他方クリープの傾向は低減される。指定されたサイズを有す
るナノ添加剤は、材料が硬化せず、ショアA硬度がほぼ一定である。これは関節スペーサ
ーに必要な適応性/減衰のために望ましい。しかし、ナノ添加剤の添加は、ポリマーの50%
-張力-または圧縮応力値を増加させる。ナノ添加剤は、好ましくは10%未満、好ましくは5
%未満、さらにより好ましくは3%未満の体積濃度で使用されまる。ナノ粒子の適切な材料
はまた、特に層状シリケート、種々の金属酸化物、カーボンまたはボルネオの粒子であり
、これに加えてチタン、白金、銀または金粒子である。しかしながら、カーボンナノチュ
ーブまたは他の繊維のナノ粒子を添加することもできる。さらに、原則として長繊維強化
材は関節の材料に組み込むことができる。
【0042】
以前に同定された材料の実施形態では、50%-引張応力値は、ポリウレタン系の個々の成分
の正確な組成と/またはナノ粒子の付加に依存し、すなわち上記のショアA硬度範囲、最大
20N/mm2で達成することができる。
【0043】
摺動性を向上させるため、または摩擦係数を低減するためには、ポリウレタン混合物は、
さらに、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)または他の親水性
ポリマーまたはその他適切な物質も有することができる。これらの物質の割合は、10%未
満、好ましくは3%未満である。
【0044】
本発明のさらなる実施形態において、発泡体または多孔質構造を有することができる、使
用される材料、ポリマー、またはポリウレタン混合物の漸進的圧力-圧縮挙動を改善する
ために、好ましくは前記調整後の材料は、関連ショアA硬度範囲において、上記の50%伸長
または圧縮応力を有する。多孔質構造は、原則として、ハチの巣状の本質的な形で開孔、
または古典的なバブルまたは発泡体のような閉じた多孔質構造とすることができる。例え
ばポリウレタン発泡体でしばしば起こるように、200μm範囲の孔サイズが比較的早く関節
スペーサーに損害を与えることをテストは示している。5μm未満の細孔およびナノポーラ
ス構造がはるかに優れている。水または孔による滑液流体吸収により、上記のパラメータ
を満たさないさらにより弱い材料が強化され、これによりより大きな負荷に耐えることが
できる。原理的にはセル発泡体構造は耐久性の観点から有利であるため閉じたが、混合セ
ル構造は、これらが液体を吸収し細胞間の流体の交換を容易にすることができるという利
点を有する。
【0045】
関節スペーサーは、したがって、少なくとも部分的に発泡構造を有し、細孔サイズが0.1
nm~2 μmであり、好ましくは1nm~500nm、より好ましくは5nm~200nmである。2μmを超
える細孔、特に5μmのものは、通常、関節スペーサー材料の早期摩耗や損傷につながる。
さらに、100 nm ~ 200 nm 未満の孔径は特に、構造の硬化または石灰化を避けるために
滑液のタンパク質などの構造を保持する。多孔質構造はまた、細孔内の液体の吸収により
、負荷下で表面上に支持フィルム(流体摩擦)が構築できるという利点がある。換言すれ
ば、多孔質基材で潤滑堆積が起こり得るということである。したがって、関節スペーサー
は好ましくは表面が多孔質であるべきである。しかし、関節スペーサーはまた、積層する
ことができる。すなわち、表面に気孔を持っていないこともこともできる。摺動性が向上
し、良好な流体摩擦値を達成するために、それはまた、完全にまたは部分的に多孔質また
は表面のみで粗面化することができる。
【0046】
発泡体構造の孔を充填するか、少なくとも濡らすことを通して潤滑析出物を達成するため
に、摺動特性を改善する、または摩擦係数を減らすために、例えばポリビニルピロリドン
(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)または他の適当な物質といった上記の物質を用い
ることもできる。
【0047】
上述のように、ナノ多孔質構造は、漸進的圧力-圧縮挙動を改善する。また、得られる効
果は、低いショアA硬度で達成することができる細孔およびナノ粒子、特に高い50%-張力-
または圧縮応力値を組み合わせることによって補強される。
【0048】
望まれる有利な材料特性を達成するための本発明の別の実施形態では、多孔質不織布の構
造、または特に好ましくは0.1~0.4μmの直径を持つ繊維から成るナノ不織布の構造を備
える。材料は、微細な線維状構造を持ち(ランダムな不織布)、好ましくは織布であり、
その交点にて融着される。さらに、このような不織布構造の細孔は、好ましくは5μm未満
、特に好ましくは1μm未満とすべきである。
【0049】
完全性のため、使用されるポリマーが均質またはコンパクトな形で顕著に硬い場合には、
関節スペーサーの漸進的圧力圧縮動作と、言及されているショアA硬度、および50%-張力-
または圧縮応力が、好ましくは発泡体-またはフリース状の構造によって達成されること
を追記する必要がある。すなわち、それらが多孔質構造によって軟化され、これにより望
まれるショアA硬度を達成することができる場合、材料またはショアA硬度が77または85を
超えるポリマーが関節スペーサーに特によく適している。
【0050】
特に膝のスペーサーでは、関節スペーサーの中央領域は、大腿骨関節丘の凸部のため高負
荷となる。しかし、文献や特許では、中央部が柔らかく、かつ縁が硬いエビデンスがある
。しかし、関節スペーサーの中心領域が連続動作中に「アイロン掛けされた」状態になる
のに対し、プラスチックは這うように動く傾向がある。つまり、中心部が波状になるか、
または折れ、関節スペーサーに歪みや脱臼をもたらす可能性がある。また、境界領域は、
時間の経過とともに負荷の吸収がどんどん少なくなる場合がある。好ましい減衰特性(適
応性)を有する関節スペーサーを達成するために、本発明のさらなる形態は、好ましくは
関節スペーサー中央部にはより硬い材料を用い、好ましくは縁にはより柔らかい材料を備
えるものとする。半月板スペーサーは、より柔らかい境界領域は、まずは大腿骨を通って
最初に負荷されるよう、より硬い中央領域はその後にのみ負荷されるよう、望ましくは漸
進的圧縮圧力挙動が達成されるよう、設計されている。半月板スペーサーの大腿骨側は大
腿骨の凸状より凹形を持つ。すなわち、接触の間、大腿骨は最初にメニスカス・スペーサ
ーの縁に触れることになる。
【0051】
ここでは、対応する50%-引張-または圧縮応力値を有する、上記のより硬いまたはより柔
らかい材料が用いられることが好ましい。この変異体はまた、公知のポリウレタンから設
計することができる。好ましくは78~85のショア-A硬度範囲である硬い材料として、ショ
ア-A硬度範囲が77以下のより低い50%-引張-または圧縮応力を持つ材料を使うことができ
る。さらに、柔らかい材料として、ソア-A硬度範囲が20-77の言及されているものよりも
、より低い50%-引張-または圧縮応力を持つ材料を使うことができる。好ましくは、柔ら
かい部分は中央で半月板スペーサーの縁からくさび形で延びており、硬い材料(硬い材料
は中央にのみ存ある)の両側に埋め込まれる。ソフトな縁領域の変形、したがってこれら
の領域の回復保存は、全負荷を受ける中央の硬質部によって制限される。
【0052】
また、関節スペーサーは、少なくとも3つの層、すなわち2つのカバー層および封入された
コア(核となる)層との積層構造を有することができる。この文脈では、コア層とカバー
層は異なる硬い素材で作ることができる。好ましくは、コア層は比較的硬く、カバー層は
比較的柔らかい。特別に高い適応性を初期に示すよう、これらの地域が最初に関節丘によ
って載せられるよう、比較的柔らかい縁領域は適切な厚みを持つことが望ましい。柔い境
界領域の圧縮が増加すると、関節スペーサーは、比較的硬いコア層(漸進的圧力-圧縮挙
動)により硬く反応する。
【0053】
カバー層とコア層との間のショアA硬度の差は5を超え、好ましくは10~25である。硬いコ
ア層はショアA硬度78~90で、好ましくは80~84を有するポリマーから成る。対照的に、
カバー層は20~77の間、好ましくは40~70間のショアA硬度を有する。ソフトエッジを伴
う前述の実施形態で説明したように、ハードおよびソフト層は、50%-引張-または圧縮応
力値を有する。
【0054】
2つのソフト層の一つは、特に抹消部にあるもの - つまり膝スペーサーの場合には脛骨(
すねの骨)の層 - は、好ましくは膝関節スペーサーが脛骨に固定されている場合、省く
ことができる。しかし、追加のソフト層(を用いる)の利点は、それが患者の個々の関節
のトポグラフィにはるかに優れて適応することができるという点である。コア層が柔らか
くカバー層が硬い場合、原則的に漸進的圧力-圧縮挙動も達成することができることを特
記しておく。
【0055】
特にスポーツや動きの多い患者の場合には、関節スペーサーの脱臼や、関節内の最適な位
置を失うことが観察される。膝は比較的スペースが少ないため、大腿骨頭用関節スペーサ
ーとは異なり、十分な固定および適切な形状嵌合を達成することができないことから、膝
のスペーサーとして設計された関節スペーサーにおいては、特にリスクが高い。脱臼のリ
スクを軽減するため、関節スペーサー、特に膝関節スペーサーは、少なくとも部分的に多
孔質フリース層または微細繊維構造のテープで縁に沿ってカバーされるべきである。微細
繊維構造(ランダムな不織布)は、周囲の細胞または組織構造が成長できるという利点を
有している。半月板スペーサーは、したがって、特に膝のカプセルと共に成長することが
でき、正しいポジショニングと脱臼の減少に貢献することができる。微細繊維構造は、好
ましくは 約2μmの平均直径を持つ£ 0.4 μm 以上の厚さの繊維のナノファイバーで構成
される。微細線維の表面層は、完全にまたは部分的にその高さが半月板スペーサーの縁面
を覆うことができるものとする。これは全体を、半月板スペーサーの縁に接続することが
できる。しかし、微細線維の表面層のみ、遠位端部と近位端部で膝関節スペーサーに接続
されていることが好ましい。ここでの利点は、小さな相対運動となるため、半月板スペー
サーと大きくなった微細な線維縁層間の動きの補償が起こり、さらに半月板スペーサーの
ポジショニングを支援する点である。
【0056】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、関節スペーサーは追加の固定用テープが配置さ
れた、微細繊維構造のホースで少なくとも部分的に囲まれている。ホースは、好ましくは
関節スペーサーの縁の全表面に取り付けられている。固定用テープまたは単にホース、あ
るいは追加の固定用テープ無しの微細繊維構造は、関節スペーサーを関節の一部に、膝関
節スペーサーの場合、残存する半月板角または脛骨プラトーの他の構成要素へ接続するの
に役立つ。微細線維構造は、両方が、好ましくは拡散接着剤によって相互に接着できるよ
う、実際の関節スペーサーと同じ材料で作られることが好ましい。
【0057】
微細線維縁も、半月板スペーサーを残存するの半月板や関節カプセルへ縫合するために使
用することができる。代替的または追加的に、半月板スペーサーはまた、単一または複数
の小さな穴を有することができる - 半月板スペーサーの厚さ全体を通じて、または脛骨
表面および/または大腿骨表面から縁面 - 好ましくは外周に沿って、穿つものとする。微
細線維エッジはまた、織物または編物構造のような他の繊維構造体を有してもよいことを
特記する。また、縫合糸の糸は線維の縁を外側方向に通過させることができる。外側に導
くこれらの糸は、好ましくは、外側の縁で前方に取り付けられているか、または後方、お
よび関節スペーサーを周囲の組織構造に追加で綴じつけるために縫合することができる。
【0058】
本発明の別の実施形態によれば、脱臼を防止するため、上述のホースは円弧状の外周の縁
のみに固定し、このホースが膝の内側に円弧の両縁にわたって延びていることを備える。
ホースは、上面視ではC字状を成す。ホース全体を通して、例えば超高分子量ポリエチレ
ン(UHMWPE)、またはポリウレタンのような他のポリマーの繊維製の、柔軟で高強度の固
定用テープが貼られている。ホースが完全にスペーサーの縁面を覆っている場合、固定用
テープは開口部を介して、ホース内またはフリースの縁の適切な場所で引き出すことがで
きる。本発明のESTAの実施形態の変形例では、半月板スペーサー交換が非常に容易となる
、内部固定用テープが付いたホース、またはおそらく固定用テープのみが半月板スペーサ
ーにしっかりと結合していないもの。ホースのC字状の輪郭内に固定用テープを固定した
後、半月板スペーサーが挿入され、形状嵌合方法で、その外側方向に留められる。
【0059】
固定用テープは、好ましくは残存する半月板の角に取り付けられる。これは、それぞれ、
再度開閉ができるセルフロッククリップまたはクランプ、あるいはカップリングを介して
、縫製によって達成することができる。クランプまたはカップリングは、例えば形状記憶
合金で形成される。しっかりとテープに接続された1つの半分のクランプまたはカップリ
ングは、ペンチを使って膝にある残りの半分に押し込む。クランプはこの場合は、爪付き
にして半月板の角に「食い込」ませるようにすることができる。これは、体温以上に温度
を上げることにより、繰り返しの介入を通して再度開くことができる。好ましい実施形態
では、形状記憶合金製クランプまたはカップリングは。温度パルスを介して(ペンチで能
動的に押し付けることなしに)閉じることができる。別のバリエーションでは、カップリ
ングの半分は、半月板角および固定用テープに接続された他の半分にしっかり固定される
。半月板の角でテープを固定した後、微細繊維が材料のホースは、接続点の上に押し込む
ことができる。接続点、つまりクランプまたはカップリングを通じてより良い誘導を促進
するため、ホースは縁部にスロットを付けて設計することができる。スロット付きのホー
ス縁は、変位後、おそらくはベルクロ(登録商標)インターロックの助けを借りて、再度
(先縁に)固定することができる。
【0060】
残存する半月板の角に固定できない場合、テープは脛骨プラトーの穴に固定することがで
きる。その穴は、好ましくは脛骨プラトーの谷構成(顆間領域の前方後方または)で、よ
り正確には前方角または後方角と開始地点または終了地点にて掘削する。本目的のために
、固定用テープは取り外し可能なクランプを介して、ピン状部品の縁に接続することがで
きる。半月板インプラントも同様に固定することができる。
【0061】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、固定用テープは関節スペーサーのコア層内周
溝を走行し、微細線維縁の層から出現する形で提供される。固定用テープは、好ましくは
自在に溝内に固定されるか、またはコア層に固定される。ここでは、外縁のコア層はより
厚くなるよう設計されている、これにより固定用テープによる支持が補強される。代替と
して、固定用テープはまた、半月板スペーサーの縁面のみに貼り付けるか、その他方法で
貼り付けることができる。微細線維のフリース層は、その後、遠位端と近位端部で縁面に
接続される。
【0062】
さらに、別の実施形態に従い、関節スペーサーが固定用テープから取り外し可能な状態で
取付られるよう、テープはU字状またはL字状の取り付けレール内を通るように提供される
。U字形状のレールは、好ましくは関節スペーサーのコア層に接続されている。記載され
ている固定方法に従って、固定用テープは恒久的に膝に残ることができるが、固定用テー
プは患者の体内に残ることができるが、好ましくは関節スペーサーのみは再手術中に交換
されなければならない。
【0063】
U-またはL字形状のレールは、好ましくは関節スペーサーの固定コア層に接続され、微細
繊維構造の外側に被覆される。本発明の有利な実施形態によれば、プロファイルレールは
、特に硬質な材料、高強度プラスチック、ポリウレタンまたは金属から成る。実際の関節
スペーサーと半月板の角の接合部の外側に位置する固定用テープは、微細線維ホース構造
内に封入することができる。溝はまた、半月板スペーサーのサンドイッチ構造内に統合す
ることができる。
【0064】
膝のスペーサーまたはその位置と動きをイメージング方法の助けを借りて可視化すること
から、好ましくはマーカーの取り付けのために、膝関節スペーサーを通る柔らかい境界線
は、微細繊維構造、ホースまたは固定用テープもまた適切である。マーカーは、小さなピ
ン、細かい糸またはワイヤ、あるいは強磁性層であってもよく、縁の柔らかく非常に柔軟
な構造に接続することが好ましい。縁または固定用テープ自体は、それぞれの画像化方法
に適した、X線を通さないまたは他の材料で作ることができる。関節スペーサーの変形を
これによって最小現に防ぎ得るため、マーカーを縁に装着させることは、特に有利となる
。マーカーが関節スペーサーに直接装着される場合、経時的にこれらが動的負荷により剥
離し、関節の隙間を貫通する危険性がある。
【0065】
本発明のさらなる有利な実施形態によると、膝関節スペーサーは二つの突起を有しており
、これらはトラフ構成内で、または穴に形状嵌合方法または圧入で内縁に、次いで脛骨プ
ラトー上に配置される。これらの突起は、(正面視)L字状であり、好ましくは関節スペ
ーサーのコア層と同じ材料で作られ、この材料嵌合で接続される。突起、または突起部分
は、代替として半月板の角に突起部縫合を可能とする微細線維または他の適切な構造を有
していてもよい。突起は特別に、後部または脛骨プラトーの内側だけで、前方や後方の縁
部を越えて通らないように設計されている。それらは、関節スペーサーが外側に向けて横
方向に脱臼するのを防止するだけで、前方/後方方向への移動は防止しない。したがって
、膝関節スペーサーの前後移動が支持されるよう、それらはまた、弾性をもって設計する
ことができる。本発明の好ましい実施形態によれば、突起の縁部は、ピンとして構成され
、トラフの構成上に形成される予め開けた穴に挿入し、その中での関節スペーサーの脱臼
を防ぐ。膝関節スペーサーの基部への突起の移行の際は、丸められてその輪郭に統合する
こともできる。この場合好ましくは、突起はL字状突起投影の遠位方向の部分が欠落して
いるか、または大幅に削減された形で存在し、半月板または十字靭帯の残りに接続するこ
とができる。
【0066】
また、特許文献または最先技術に記載されている固定に関するにこれまでに既知の方法お
よび要素を、本発明と組み合わせることができることを特記する。
【0067】
上述の固定方法に加えて、半月板スペーサーの形状は、脱臼の危険性に顕著な影響を与え
る。最先技術によると、上面図では円弧形状、断面図ではくさび形状である半月板または
半月板の交換物がスペーサーに組み込まれていることから、半月板スペーサーは中央領域
よりも外側の縁が厚い柔らかい素材で作られる。しかしながら、半月板スペーサーのこの
形状は簡単に脱臼につながることがテストを通して証明されている。実質的に均一な厚さ
の膝スペーサーも、膝スペーサーの脛骨側にアンカーリブがあり、該当する脛骨の亀裂内
に達する半月板スペーサーもある。脱臼の危険性を回避または低減するために、本発明の
別の代替実施形態は、半月板スペーサーと、少なくとも外縁の一箇所が中央部よりも前方
および後方に厚く作られ、同じ厚さを有するか、または好ましくは円形縁の輪郭の中心か
ら見て90°の角度、好ましくは、45°の角度に延びる半月板スペーサーの中央領域よりも
薄くなっている。縁の中央の直後の位置が特に好ましい。さらに、上記領域の中央外縁は
半月板スペーサーの縁全体の最小の高さを有する。当然のことながら、この部分的形状変
更は、脱臼のリスクを低減するために、以前に説明した膝のスペーサーを固定する実施形
態と組み合わせることができる。
【0068】
以下の好適な方法が、膝関節スペーサーの移植に適用される。膝の内側のスペースを開い
た後、固定用テープが脛骨プラトーに以前に説明したオプションによって接続される。続
いて、膝関節スペーサーは、固定用テープで構築されたC字状の溝に挿入される。ここで
は膝関節スペーサーは、形状嵌合方法でその凹状(溝、プロファイル)に通すことができ
、または単に固定用テープに入れた。膝関節スペーサーは、一定の期間の後に新しいもの
と交換することができる。これを行うためには、必要であれば上記のクランプを開かなけ
ればならない。
【0069】
本発明のさらなる実施形態によれば、関節スペーサーは、股関節スペーサーとして設計さ
れており、貝殻状の弾性被覆の形で大腿骨頭の上に滑らせることができる。股関節スペー
サーは骨を切除することなく、最小侵襲的に使用できる利点がある。股関節スペーサー -
好ましくは近位極近傍のものは - 大腿骨頭靭帯を実行するための開口部を有するという
利点がある。
【0070】
本発明の好ましい実施形態によれば、股関節スペーサーは分割線に沿って重複領域が設け
られており、貝殻状の外被物の縁の穴から分離される。換言すると、大腿骨頭靭帯が分離
されなかった場合、股関節スペーサーは、大腿骨頭の周り股関節スペーサーをスライドさ
せるために「ウエストバンド穴」のように下向きに(尾部を)切り落とす。好ましくは、
重複領域の外側部分は内側にノブを複数有し、重複領域の下部の該当する凹部に導入する
ことができるものとする。この場合、ノブは好ましくは半曲線に沿って配置される。代替
として、ニップル形状の手段、「鋲」の形状または押しボタン、コード(紐)、またはベ
ルクロ(登録商標)ファスナー、あるいは蝶番をつけられたジョイントやスナップフック
やその他スナップ接合を伴う形状嵌合といったその他の適当な装置が、閉鎖と固定のため
に備わっている。これは、特に指物の世界で言うところの、斜めの滑り刃継ぎである。ま
た、接着または溶接によって材料嵌合接続することが可能である。さらに、股関節スペー
サーの分離は、タック(留め金)で留める、またはステープル(U字釘など)で閉じるこ
とができる。ジッパーや突起の歯も、接続として適切である。ジッパータイプの接続は、
パズルに見られる「歯」のように噛み合わせるよう設計されることが好ましい。
【0071】
股関節スペーサーは、好ましくは弾性的であるように設計されるため、大腿骨頭と比較し
た場合、形状嵌合および圧入方法で大腿骨頭に股関節スペーサーの接続を容易にするよう
に、それはわずかに小さい(アンダーサイズである)場合がある。
【0072】
代替では、大腿骨頭靭帯を分離した場合の股関節スペーサー形態は、近位閉鎖し、分離す
ることなく設計することができる。しかし、このアプリケーションでは、大腿骨骨頭の上
に容易に引きあげられるよう、股関節スペーサーは均分円から自由縁に分離することがで
きる。分離は単純な切開の形式で、または例えば「ウエストバンド穴」の形態における重
複領域を伴って行うことができる。
【0073】
股関節スペーサーの両極の自由な縁部分は、完全にまたは部分的に微細繊維構造の多孔質
フリース層から成ることができる。代替として、テープ、または膝関節スペーサーの場合
のように、必要に応じて自由縁の先縁を超えて延びる、微細繊維構造を有するホースを自
由縁に接続することができる。微細線維テープ自体、またはホース内に位置する固定用テ
ープは、例えばテープの縁を結ぶことによって、大腿骨頭頸部に股関節スペーサーを取り
付けるために使用することができる。
【0074】
股関節スペーサー用の適切な材料および材料の構造は、関節スペーサーまたは膝関節スペ
ーサーの以前の説明に対応している。特に、股関節スペーサーはまた、部分的に周囲の細
胞および組織構造に成長してなじむ、材料またはマトリックスに取って変わるかこれを補
う分解性材料またはマトリックスを用いることができる。発泡体および股関節スペーサー
の概念はまた、組織工学により製造軟骨組織の助けを借りて、製造組織培養材料から構成
することもできる。
【0075】
股関節スペーサーは - 膝関節スペーサー同様 - 均質または多孔性材料で作られ、および
/またはは多層構造を有する。硬い内側コア層と柔らかい外側層のサンドイッチ構造を備
えていることが好ましい。しかしながら、一つの内側コア層と一つの柔らかい外装層を使
用することもできる。非常に柔らかい場合、大腿骨頭に面する内側は、個々の大腿骨頭患
者のトポグラフィにかなり良好に適合させることができる。股関節スペーサーの内側は、
好適な接着剤を用いて大腿骨頭に取り付けることができる。例えば、下側が股関節スペー
サーと大腿骨頭の間の不一致を相殺するために骨セメントを噴霧することができる。また
、内側または内側層の良好な接着のため、粗面化するか、あるいはフリースまたは発泡体
様構造を有することができる。骨構造は、これらの多孔質構造で成長することができる。
したがって、内側は、部分的骨成長に有利となる、例えば、ヒドロキシアパタイト、リン
酸カルシウム、チタンまたは他の適当な物質から構成される。
【0076】
股関節スペーサーは、単に大腿骨頭の上に配置されているのではなく、股関節ソケットに
挿入されるよう、基本的に股関節スペーサーは上記で説明した材料を使用し、ソケット挿
入の形態でサンドイッチ構造に設計することができる。さらに、股関節スペーサーは頭部
上コーティングまたはソケット挿入の形態で股関節プロテーゼ用の減衰要素として使用す
ることができる。
【0077】
さらに、本発明に記載の材料構成とサンドイッチ構造はまた、内部に他の関節(椎間板、
肩、足、手)、または装具のような人体外部で使用することができる他の関節スペーサー
用に使用することができる。それらはまた、馬などの動物の関節用に使用することができ
る。より硬度な実施形態では、材料は膝関節における十字靭帯のような腱または靭帯の代
替としても適している。
【0078】
また、記載されたポリマーは、血管、心臓弁や人体内の他の弁だけでなく、ポンプ用ダイ
ヤフラムと人工心臓内心室、心室補助装置のような人体内の他のインプラントに適してい
る。さらに、それらは眼内レンズまたは人工角膜などの眼科用インプラントに適する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
具体的な実施形態および本発明の他の好ましい実施形態を、図および図面の助けを借りて
以下に説明する。示されているもの:
[図 1]ダイアグラム:応力 - ひずみ曲線、
[図 1a]脛骨と内側(左)と横方向(右)半月板スペーサーと左膝の大腿骨、
[図 1 b, c]横方向にわずかに曲げられた膝の側面図(b)と正面図 (c)、
[図 2]内側(左)と横方向(右)膝関節スペーサーの縁輪郭を伴う左脛骨プラトーの上
面
[図 3]a-iサンドイッチ構造を伴う、内側半月板スペーサーの別図(負荷支持した状態
)、
[図 4 a-i]横方向半月板スペーサーの別図(負荷支持した状態)、
[図 4 j-l]柔らかい縁を伴う横方向半月板スペーサーの別図、
[図 5 a, b]スタッフ(棒)縁面を伴う、横方向半月板スペーサー、
[図 6 a, b]図 3のセクションB1-B1に従ったフリース状の構造で作られた境界線と内側
のスペーサー(3Dビュー(a)と断面図(b)、
[図 7 a-c]固定ベルトを含む平らなホースを持つ内側のスペーサー、
[図 8 a-c]サンドイッチ構造を伴う内側のスペーサー、
[図 9 a, b]サンドイッチ構造を伴う内側のスペーサー、
[図 10 a, b]プロファイルレールを伴う内側のスペーサー、
[図 11]サンドイッチ構造と開口溝を伴う内側スペーサー、
[図 12]a, bサンドイッチ構造と着脱可能取付レールを伴う内側スペーサー、
[図 13 a-e]突起のあるサンドイッチ構造を伴う内側のスペーサー、
[図 14]a-e固定用テープを配置したホースを伴う外側半月板インプラント、
[図 15 a-f]横方向(大腿骨)の関節面スペーサー、
[図 16 a, b]横方向(大腿骨)の関節面スペーサー、
[図 17]横接合面スペーサーの断面図を示す、
[図 18 a-e]横方向(脛骨)関節面スペーサー、
[図 19 a-d]大腿骨頭靭帯と大腿骨頭の上にある股関節スペーサー、(a-b 開、c-d 閉
)、
[図 20 a-e]股関節スペーサーと
[図 21 a-b]股関節スペーサーの断面図
斜角スカーフジョイント( A- 上記)、
斜断面(A - 下記)と
股関節スペーサーの分離接続のパズルの形の中の歯のような噛み合わせの平面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0080】
以下で使用される略語は、次の以下の意味である:
a 前部(の)
p 後部(の)
I 膝関節スペーサーの膝内部中心側
O 膝関節スペーサーの外側
【0081】
図 1は、好ましい材料の引張応力 - ひずみ曲線の特性範囲を示したものである。特にシ
ョアA硬度の範囲20~77内の、材料の50%引張応力値を示している。値は3.8 N/mm2を超え
、好ましくは4.6 N/mm2を超え、より好ましくは6 N/mm2を超えているべきである。降伏点
が10 N/mm2を超える非常に高い値に達することになっていたこと以外、図はまた避けるべ
きである降伏挙動を伴う応力曲線も示す。S字カーブ(「S-プロセス」)は、適切な50%
の引張応力を有する好適な材料が、他で示されている曲線のように、50%未満の伸びにお
ける弾性引張応力値がはるかに低い弾性率を有し得ることを示す。
【0082】
図 1a-cは、(左)膝関節10ならびに下腿部13(脛骨)の大腿骨12(大腿骨)の部分の、
異なる視点を示している。関節表面14、14'の間に、半月板スペーサー15、15’は準備さ
れる。そして、それは擦過で損害を受けた(自然な)半月板と交換される。半月板スペー
サー15、15’の材料を保護するために、伝達される力はできるだけ大きな荷重支持面とし
て広がらなければならない。形状、特に脛骨プラトー14上の、膝関節スペーサー15、15’
の突起の縁輪郭は、したがって、中心的な役割を果たしている。図 1bに示されるように
、最も高い負荷はほぼ完全に延伸脚の位置で起こる。このやや屈曲位で、膝関節スペーサ
ー15、15’前部の応力は、脛骨台地14に関連し、隙間16の拡大の結果として生じる、後部
の大腿関節丘により最高となる。さらに、トラフ(後部顆間領域)により、脛骨プラトー
14の支持面が前部から後部に絞り込まれる。支持面の後ろの半分は、負荷がより小さい、
より柔軟な位置にある関節丘17、17'を転がすために特に使用される。
【0083】
図 2は、縁輪郭20、ひいては膝関節スペーサー15、15’の負荷支持ボーダーが、より広い
前部とより狭い後部を持つ足跡に類似していることを示す。本発明の図示された特定の実
施形態では、前半は後半より10~25%に幅が広い。外側内縁形状の側面、並びに前後軸MA
-MPに沿った横方向の半月板スペーサー、LA-LPは実質的に円弧として構成される(矢印21
)。ここでは、横方向の半月板スペーサー15’の縁輪郭の外側は、内側半月板スペーサー
15の外側縁輪郭よりも円弧に近似する(矢印22、22'を比較)。円弧に面する縁輪郭23、2
3'の内側は、支持面の広い部分から狭い部分に凹形状を有する。内側と外側半月板スペー
サー15、15’のこのように形成された縁輪郭21は、脛骨プラトー14の支持面に最適に馴染
み、また可能な限り最大の面積に負荷を分散する。さらに、脱臼やジャミング(折れ・重
なり)の危険性が低減される。脱臼の危険性を回避または低減するために、半月板スペー
サー15’前部と後部は半月板スペーサー15’中央部よりも厚く形成されており、さらに外
縁において少なくとも一つの領域は半月板スペーサーの中央部と同じ厚さであるか、好ま
しくは薄い。円形縁輪郭の中心から見た面積は、約90°の角度24の周りに延び、好ましく
は45°の角度25に伸びるものとする。
【0084】
半月板スペーサー15、15’の脛骨面は、個々の患者の脛骨プラトーのトポグラフィに適合
することが好ましい。また、脛骨と膝の大腿骨表面 - 好適なコーティングの骨と軟骨は
- 人口固有の特性を持つ患者群の統計的な3Dモデルから生成される。形状モデルは、類似
の形状を有するグループの大多数の平均形状を示し、このグループの形状バリエーション
を図に示すことができる。ここでは、患者群は関節炎の臨床的重症度の分類に従って分類
することができ、患者群はさらに、性別や年齢/体重グループや、民族などの他の基準に
よっても平均化することができる。一般的に、個々の膝の形状は、CTやMRI画像から作成
される。3次元形状モデルを生成する際、グループに追加された膝の形状のそれぞれの位
置ずれは、生理学的に可能な脚のアライメント(位置合わせ)に修正する必要がある。実
際には、これは患者の個々の状況 - この場合特に、靭帯が「緩い」か「ブカブカであ
る」かまたは「縮んでいる」かに依存する。結果として、例えば、ゆるい靱帯を有する患
者には、膝関節スペーサーを挿入することによってより容易に正しい足の位置に変換する
ことができ、膝関節スペーサーを使用するための隙間が小さすぎる収縮した靱帯を有する
患者には、標準的な脚のアライメントはは小さする。したがって、後者の基準は、グルー
プ内の3D形状モデルを生成する際に、例えば脚の位置ずれの程度によってグループを分割
することを考慮しなければならない。
【0085】
半月板スペーサー15、15’の大腿骨表面は、最大力が生じる角度または曲げられた位置(
0~40°)を伴う大腿骨のキャストから生じる。好ましくは、印象領域は6°~28°の間の
曲げられた角度の範囲にあること、さらに好ましくはこの角度範囲の平均値の範囲にある
こと。しかし、大腿骨側の印象は、好ましくは大腿骨の複数の位置から、または前記の好
ましい角度範囲内で大腿骨を回転させることにより得られる。その際、言及されている全
角度範囲を成形する必要はない。この整形は、脱臼のリスクをかなり低減する。大腿骨側
の印象は、患者ごとに個別に撮影するか、または前述した統計的な3D形状モデルに基づい
てすることができる。後者から、一方、それぞれの3D形状モデルに属する予め組み立てら
れたかプレハブ方式のスペーサーを導出させることができ、これらは他方、いろいろなサ
イズと厚みで提供される。脚の非生理的なアラインメント(外反/内反)、または患者と
体重、脚膝を覆う軟骨の摩耗に応じて、異なる関節ギャップをこの方法で相殺されること
ができるため、厚さに応じた分類が行われる。
【0086】
以下の方法は、好ましくは膝関節スペーサーと膝関節スペーサー形状の適切な厚さを選択
するために提案されている。一つ以上のイメージングプロセスをもって、患者の脚を記録
する。まずは、荷重下に静止状態で、脛骨と大腿骨が接触した状態で脚に位置ずれがある
状態で。次に、正しい脚の位置にまっすぐ伸ばした状態で、この場合は好ましくは前面お
よび側面図を記録する。第二の記録から、大腿骨と脛骨との間に生じた隙間を利用して、
厚さを選択することができる。しかしながら、二つの画像における大腿骨と脛骨との距離
の差を利用して、膝関節スペーサーの適切な厚さを選択することが好ましい。これは、X
線のようにシンプルでコスト効率のよい2D画像で行うことができると有利である。また、
このように2D画像上の特徴的な目印または個々の患者の他の特性に基づく場合、統計的な
3D形状モデル - したがって膝関節スペーサーの正しい形状を結論付けることができ、
これにより予め組み立てまたはプレハブ方式の膝関節スペーサーを選択することができる
点も有利である。脛骨と比較した大腿骨の相対的な位置は、前記の脚画像、望ましくは最
大の屈曲位置の下のさらに横方向画像の一つから確認することができる。
【0087】
図 3 a-iは、内側半月板スペーサー15と図を示す。図 4 a-iは、スペーサー15’の横方向
半月板を示す。縁輪郭20と大腿半月板スペーサー15、15’によって形成された縁面間の移
行は、大腿骨12が大腿骨面31の表面をスライドして転がることから丸くなる(矢印30)。
半月板の縁面とスペーサーの脛骨面32との間の移行は、丸めることができる(図 4、矢印
40)。または丸めなくてもよい(図 3、矢印33)。特に後者の半月板スペーサー15、15’
は、脛骨プラトー14に固定され、したがって、二つの間には相対的な動きは発生すること
は不可能である。半月板スペーサー15、15’は、しかしながら、脛骨プラトー14に移動す
ることが好ましい。
【0088】
上述の、半月板スペーサーの脛骨と大腿骨面31、32の生成により、円周に沿った側縁面の
高さが変化する。内側または外側半月板スペーサー15、15’は後部であり、前部は側面に
比べて平均して高く、特に後部から内縁面への移行時が最も高くなる。さらに、後部半分
への移行が起こる付近の前部半分内の中間の半月板スペーサー15内縁面が最も薄い(図 3
のセクションgとi間)。この領域で脛骨プラトー14がプラトーレベルに対して特に内縁に
おける内側横方向に、傾くか、「傾斜」している(図 1 cおよび断面図 3 iを参照のこと
)。スペーサーが厚ければ厚いほど、スペーサーの垂直荷重方向により、横方向の脱臼の
リスクも大きくなる。対照的に、横方向の半月板スペーサー15’では、内周面が高くなる
か、または脛骨プラトー14の外反位置における摩耗および平坦化に従って、外縁面とほぼ
同じ高さとなる。半月板スペーサーの横方向への脱臼の危険性が少なくなるよう、外側脛
骨プラトー14は凹形状を有しており、合力のベクトルは脚の垂直位置と同軸であることに
より、実質的に脚軸(傾斜しない)に垂直に配置されている。
【0089】
図 4 d と iは、最も薄い点または外縁の最小の高さ41を特徴とし、同時にこの地点での
厚さに等しいか、中央のエリアの厚さ未満であることが好ましい。
【0090】
半月板スペーサー15、15’の脛骨面32は実質的に凸であり、大腿骨面31は凹面である。高
い減衰を確実なものとできるよう、半月板スペーサー15、15’が最初に弾性縁で応力を受
けるよう、大腿骨表面半月板スペーサー15、15’の31の曲率は、大腿顆のそれよりも大き
いことが好ましい。
【0091】
図 3と図 4で表されていることとは対照的に、半月板スペーサーの縁面は、必ずしも「縦
」方向に走行する必要はなく、図 5に示すように、脚軸と前後方向によって形成される平
面(サジタル平面)に沿って走行することも可能である。さらに、製造の観点から、境界
領域は、生産ツールからスペーサーを離型しやすいように整列することができる。
【0092】
全体的にこの成形を通じ、この半月板スペーサー15、15’は自然な膝の動きをなぞり、さ
らに下記に説明する材料の高い適応力により、関節のそれぞれの屈曲に合わせて調整する
、セルフセンタリング式である。通常の移動では、過度に高い応力と損傷の可能性による
、脱臼や動きの制限、またはスペーサーのジャミング(折れ・重なり)の制限を大いに回
避することができる。
【0093】
本発明の具体的な実施形態によれば、サンドイッチ構造の関節スペーサーが漸進的圧力-
圧縮挙動を有していることが、既に詳細に説明されている。図 3は、コア層34と2つのカ
バー層35、35’とのサンドイッチ構造を有するスペーサーの一例を示すものである。脛骨
カバー層35は、本発明の具体的な実施形態によれば、均一な厚さを有している。ほぼ一定
の厚さのコア層34は、表面全体に沿って、このカバー層35を結合することが好ましい。中
間半月板スペーサー15のコア層の34の厚さはこれより薄くてもよいが、ただし、特にライ
ンMA-MP間(図 2、横方向半月板スペーサーでラインLA)と内縁(図 3 gを参照のこと)で
膝の中心で上昇する脛骨プラトーの横方向脱臼のリスクを低く抑えることができることを
確認すること。さらに、コア層34は、スペーサーの縁まで完全に拡張する必要はない。脛
骨カバー層は、好ましくは、約0.2~2mm、厚さは約3mmを有する。コア層34は、半月板ス
ペーサー15、15’と膝のギャップの厚さ合計の関数として、約3~10mmの範囲内である。
大腿カバー層35’は、上に不均一な厚さ分布を有するコア層34に続き、これは中心部で比
較的薄く、縁部に向かって厚さが増す。縁領域がより厚くなる柔らかいカバー層35と35’
は、非常によく衝撃荷重を減衰させることができる。サンドイッチ構造の高い柔軟性は、
半月板スペーサー15、15’が屈曲と伸展時の膝の動きに確実に適応できるようにする。こ
れにより、脱臼のリスクをさらに低減する。
【0094】
本発明の別の実施形態において、半月板スペーサー15、15’のコア層34は、外側の円弧状
の縁に向かって厚くすることができる。つまり、下記図 9 bで説明するスペーサーが、脛
骨プラトー14上の追加の円形のテープで固定されている場合などである。平面図では、こ
の増粘剤は、その外縁に沿ってコア層の付加的なC字状補強材を形成する。
【0095】
関節スペーサー15、15’のサンドイッチ構造の柔らかい外側カバー層35、35’は、好まし
くは、特に親水性および/または低摩擦および耐摩耗性のある材料から成る、またはそれ
に加えて、そのような材料の薄い層で被覆される。別の代替実施形態では、カバー層35、
35’は粗い表面を有しているか、またはそれらが周りの組織構造または関節の骨の側面と
ともに成長することができるように、例えば、ヒドロキシアパタイトの層に関連している
。上述のサンドイッチ構造、またはその個々の層は、好ましくは均質な材料で作られる。
しかし、すべてのまたは個々の層のみは、好ましくは、外側の層はまた、記載の多孔質構
造から成ることができる。さらに、関節スペーサーはまた、例えば等級の低い硬度差また
は硬度の範囲拡大を達成するための中間膜を有することができる。さらに、個々の層は、
薄層状でない場合があるが、それはそれらの縁部でのみ接合するか、または相互にスライ
ド可能としてもよい。
【0096】
図 4 j-lは硬い材料で作られた縁領域のみがサンドイッチ構造を有し、このスペーサーの
外周はより硬い材料から成り、周囲より軟らかい材料から成るくさび形のリングに、少な
くとも部分的に挿入される、半月板スペーサーの実施形態を示すものである。縁部はまた
、図に示されているものとは異なるように構成することができ、例えば、柔らかい材料は
縁領域により硬い材料中で重畳されることができ、または縁は厚さ全体にわたって柔らか
い材料で形成される。
【0097】
よりスポーティ、またはより動きの多い患者に対する脱臼のリスクを軽減するために、本
発明の別の具体的な実施形態において、半月板スペーサー15、15’の縁面は、微細繊維構
造の多孔質フリース層60により全周にわたって覆われている(ランダム不織布)(図 6)
。これにより、周囲の細胞および組織構造が、硬化や瘢痕組織を形成することなく成長す
ることができる。半月板のスペーサー15、15’は、このように膝のカプセルに付着し、位
置決めと転位の低減に寄与することができる。別の実施形態によれば、微細線維縁層60は
膝関節スペーサー(図 12b、矢印120、121)の遠位端と近位端でのみ接続されることが提
供される。ここでの利点は、小さな相対運動となる場合、半月板スペーサー15、15’と微
細線維縁層との間の動き補償がトリガされ、半月板スペーサーの位置がまだサポートされ
ることである。この目的のため、特定の実施形態によれば、微細繊維構造を有するフラッ
トホース70が半月板スペーサーの縁面に固定されている(図 11、図 7)。
【0098】
脱臼を防ぐための代替的な実施形態では、ホース70のみ外側の円弧状縁部に取り付けられ
、それが膝の内側に円弧の縁部を越えて延長されていることを提供する(図 7)。この設
計により、ホース70は、上面視でC字状の構成を有する。その内部には柔軟で同じ高強度
の固定用テープが走行している。半月板スペーサー15、15が周面の全周の周りにホースが
配置されている場合、この固定用テープ71はホース70と開口部を介してのフリース縁から
出る該当する地点で引き出されてもよい(図 8、図 11)。
【0099】
図 8は、固定用テープ71は、コア層34の周溝80や凹部に延びており、同様に記載されるよ
うに、以前の微細線維層60の縁部から引き出されている実施形態を示す。ここで使用され
る固定用テープ71または同じ種類で同じ形状の強化繊維は、溝80内で自由に移動すること
ができるが、それはまた図 9に示すように、コア層34に一体化され、固定されてもよい。
そこで、コア層34は外縁に向かって厚くなるようにし、これにより固定用テープ71により
懸架(サスペンション)が強化される。代替として、固定用テープ71のみを半月板スペー
サー15、15’の縁面に貼り付けるか、またはそうでなければ固定用テープで固定すること
ができる。微細線維フリース層は、その後、遠位端と近位端に縁面で取り付けられる。
【0100】
さらなる実施形態において、断面L字状のレール100は円弧(図 10)に沿って走行し、末
梢部または脛骨側で固定用テープ71が挿入される円周の溝101を解放する。上述の固定方
法によれば、固定用テープ71は、膝に永続的に残ることができるため、再手術操中に半月
板スペーサー15、15’のみ交換すればよい。L字状プロファイル100の外側領域は、好まし
くは、微細繊維構造で覆われている。プロファイルレール100は、好ましくは、半月板ス
ペーサー15、15’の固形コア層34に接続されており、特に硬質なポリウレタン、高強度プ
ラスチックまたは金属から成る。実際の半月板スペーサー15、15’外側にある固定用テー
プ71、および半月板ホーンとの接合部は、図 11における本発明の具体的な実施形態に記
載の方法に従い、微細線維ホース構造で囲まれている。本発明の実施形態によれば、溝10
1は、半月板スペーサー15、15’のサンドイッチ構造に一体化されている。
【0101】
図 12は、プロファイルレール122と、半月板スペーサー15、15’の別の実施形態を示
すもので、形状嵌合方法で円弧状または他のいくつかの形状で半月板のスペーサーの縁面
に適応するが、スペーサーに強固に結合していない。プロファイルレール122はまた、半
月板スペーサー15、15’の全体の縁面の周りに延びることができる。この構成により、半
月板スペーサー15、15’は、プロファイルレール122から除去でき、また、持ち上げて交
換することができる。固定用テープ、またはおそらく周囲の微細線維ホースを、半月板の
周囲にC字状に配置することができるよう、追加のプロファイルは、この実施形態では排
除することができる。
【0102】
さらなる実施形態では、内側および外側膝関節スペーサー15、15’は、固定用テープ71の
1片または2片を介して互いに接続されることが提供される。ここでは、一つのスペーサー
の前方テープ縁は、他のスペーサーの後縁に交差接続される。2片かおそらく2片以上の固
定テープ71が使用される場合、接続はカップリングを介して確立され、好ましくはバック
ル、スナップ、トングとバックル溝などでスナップ接続され、これによりテープの長さを
同時に調整することができる。長さの変化は、この場合にはリュックサック、スーツケー
スベルトテンショナー、ストラップに使用されるように別個の要素、例えば、弾性バンド
または他の特別なクリップまたは(クランプ)バックルによって行われ、またはケーブル
タイなどの可能性がある。上記の項目は、以前のバージョンで使用することができる。カ
ップリング作動後、前述のように微細線維構造のホースは、これらの要素上に、または長
さを同一に変更するために使用される要素上に押し出されることができる。
【0103】
図 13は、半月板スペーサー15、15は、内側の縁130と外側の縁に2つの突起131、131'を有
しており、これは最初に内側を、次に遠位方向131、131'を指し、形状嵌合方法で脛骨プ
ラトー14に、上述のトラフ形状に達する本発明の別の実施形態を示す。正面視において、
これらのL字状突起131、131'は、好ましくはコア層34と同じ材料で作られ、それに接続さ
れている。突起131、131’、または突起131、131’の部分は、代替として突起部131、131
’を半月板の角に縫合可能とする微細線維または他の適切な構造ら成ることができる。前
方/後方の膝関節スペーサー15、15’の移動が促進されるよう、それらはまた、弾性的に
適合させることもができる。さらに、突起131、131'の縁部は、トラフ構成の穴から突出
するピンとして設計し、これにより半月板スペーサー15、15の脱臼を防止することができ
る。半月板スペーサー15、15’の縁面は、微細繊維状材料の層で覆われていることが好ま
しい。
【0104】
膝関節スペーサーの複数の実施形態が、以下に記載されている。図 14は、膝の半月のみ
を置換する横方向半月板インプラント140を示す。これは、上面図で三日月形、および断
面図でくさび形である天然の半月板のようである。ホース形状の外装142を伴う周囲のテ
ープ141は、半月板のスペーサーと同様に構成されている。半月板インプラントはまた、
固定するための他の上記で説明した要素と組み合わせることができ、これにより脱臼を回
避することができる。
【0105】
図 15は、半月板がまだ完全に除去されてはならない状態にある、初期段階の変形性関節
症に苦しむ人々のための、横方向の「大腿骨」接合面スペーサー150の好ましい実施形態
を示す。接合面スペーサー150は、膝に板半月を残存して形成される脛骨プラトー14の凹
状溝内に配置される。脛骨と大腿骨の縁輪郭が溶け合わさるよう、この接合面スペーサー
150は、脛骨側の縁部に向かって傾斜している。半月板スペーサーのような縁面は存在し
ない。大腿関節面スペーサーの脛骨側はさらに、部分的に欠陥があるか、部分的に切除さ
れた半月板を埋めるために突起部を含むことができる。しかし、縁の輪郭は丸めることが
できる(図 16、細部W)。また、関節面のスペーサーは、微細繊維構造を有することがで
きる(図 16)。オプションとして、溶合する脛骨と大腿骨縁輪郭が約 270°のみまで延
びるように内縁の輪郭は、縁面を有することができる(図 17)。この関節面スペーサー
の大腿骨形状は半月板スペーサーの大腿骨側と同一に導出され、凹面である。脛骨の形状
は凸状である。
【0106】
「脛骨」としての関節面スペーサーの別の実施形態では、本質的に、半月板下に置かれる
前に、ほぼ均一な厚さを有する比較的平坦な形態、または円盤として存在する。図 18は
、外側脛骨関節面スペーサー180を示す。しかし、内側 - 外側方向において、断面はまた
、先の尖った楔形であることができる。関節面スペーサー180の脛骨面は、半月板スペー
サーの脛骨表面と同様の結果となる。関節面スペーサーのこの実施形態では、エッジに微
細繊維構造を有することができる。微細繊維構造は、半月板またはカプセル構造を持つ上
部または下部の標高に、大腿骨または脛骨関節面スペーサーの固定や縫製を可能にする。
接合面のスペーサーの両方の形式は、不整合の脚(外反、内反)の矯正のために使用する
ことができる。
【0107】
半月板または関節面スペーサーとその材料の実施形態およびサンドイッチ構造、特に、通
常はポリエチレンで作られているユニまたは顆プロテーゼ用円盤状の摺動面としての適切
な成形に適している。最高水準の技術の非常に固い摺動面に対する摺動面の弾力と減衰特
性は、特に有利である。顆頭プロテーゼの場合には、2つ(内側と外側)の円盤は、その
内側の縁に接続された内部人工器官のようでもある。これらのプレートの底部側は、典型
的には平らであり、それはまた、例えば凸形状のように異なっていてもよい。この用途の
ために、サンドイッチ構造は硬いカバー層と組み合わせて、特にソフトコア層として想像
することができる。この場合、カバー層は特に滑りやすい。
【0108】
股関節スペーサー190(以降、図 19)は、好ましくは骨なしで、最小限の組織切除と低侵
襲性の方法で使用される、大腿骨頭191上の弾性コーティングである。図 19は、概略的に
大腿骨頭191の周りの股関節スペーサー190のアプリケーションを示す。股関節スペーサー
190は、大腿骨頭靱帯193をおよそ近位の極で実装するための、円形または楕円形の開口部
192を有する。遠位極の開口部は、均分円と大腿骨の首の反対側に位置し、大腿骨頭191の
遠位側につながる。大腿骨頭部靭帯193が切り離されない場合、下方向(尾部)で、大腿
骨頭部191のまわりで股関節スペーサー190を引くために、「ウエストバンド穴」(矢印19
4)と同様に、股関節スペーサー190が切り離される。股関節スペーサー190の厚さは、子
午線弧小片に沿ってウエストバンドの領域でスライスされ、好ましくは半減する。外側半
分の内側には、内部の半分の穴196に達してから閉じ、ボタン穴バーのように大腿骨頭部1
91のまわりに股関節スペーサー190を固定するいろいろなノブ195を有する。図 19および
図 20に示すように、ノブ195は、中央値円弧に沿って2列に配列されている。股関節スペ
ーサー190は、好ましくは、非常に弾性をもって設計されているため、大腿骨頭191への形
状嵌合方法または圧入を容易にするため、大腿骨頭191に対してわずかに小さく(アンダ
ーサイズ)であることができる。
【0109】
代替では、大腿骨頭靭帯を分離した場合の股関節スペーサー190の特定の形態は、近位閉
鎖し、および/または大腿骨頭靭帯が先に分離した場合にも、通気なしで設計することが
できる。
【0110】
股関節スペーサー190の近位半分は外側に球状で、内側に楕円体球状にやや変形している
ことが好ましい。先端を越えて均分円上で、股関節スペーサーの外側面は楕円形であり、
内側は再び切断面に応じて楕円球状にわずかに変形されている。股関節スペーサー形状は
、外側が球状と楕円形円形の半貝殻(ハーフシェル)で構成されていることが好ましい。
ここではサンプルの直径は、円形または球形部分の58mmと楕円の短軸の32mmである。もち
ろん、その他の絶対サイズと直径の比も可能である。全体的な結果は、不規則に分布され
た厚さであるが、均一な厚さでも可能である。股関節スペーサーが近位端と尾部で閉じら
れる場合、大腿骨頭靭帯がそこから出ていることから、大腿骨頭の自然な平坦化により、
内側の近位の極付近で平坦化される。
【0111】
股関節スペーサー190とその幾何学的形状および厚さ分布は、必要に応じて患者ごとに個
別に適合させることができる。この方法では、特にソケットの大腿骨頭と腰ソケットの不
適合、特に摩耗したソケットでより良く補償することができるであろう。大腿骨頭(図 2
0 c)の首をより良く適合するように、ここでも、均分円の先端に位置する股関節スペー
サーの内面は、円形状以外に変えることができる。図 19と20に示すように、股関節スペ
ーサーの遠位半分は、大腿骨頸部または完全な前の最小の円周につながることができる。
【0112】
図 20は、股関節スペーサーのサンドイッチ構造を示す。可能な限り多くの部屋を達成す
るため、好ましくは軟質材料によって与えられる大腿骨頭と股関節ソケットとの間の不一
致の補償のため、ハードコア層は特に重い重荷である大腿骨頭の表面の一部に制限するこ
とができる。したがって、コア層は球状の弓型200の形で設計されることが好ましい。特
に荷重支持コア層の球状弓型の開き角度は125°未満、好ましくは105°未満である。ここ
では、コア層は遠位均分円を越えて展開し、股関節スペーサーの閉鎖バーは、好ましくは
完全に柔軟な材料で構成されるよう、近位開口部の近位領域で開始している。したがって
、不完全に覆われた股関節の圧力ピークは、最大圧力がソケットの縁に非常に近接して移
動することができる場合、特に衝撃緩和できる。関節の高応力部分がサポートされている
。同時に、非常に柔らかい尾側股関節スペーサー半分が不一致の保証を進める。
【0113】
前述される、分離された股関節スペーサー閉鎖・固定のための様々な実施形態。図 21は
、好ましい実施形態を示す。図 21A(上半分)は、股関節スペーサー190の211斜角スカー
フジョイント断面を示したもので、これは分離の重なり面を隆起させる。2つのフックの
代わりに、フック1つのみで構成することもできる。フックブレード接続211はまた、股関
節スペーサー190の金型空洞またはその後ペーストへの挿入を介して、股関節スペーサー1
90の(射出成形など)成形工程におけるプレハブ成分として使用することができる。図 2
1(下半分)は、斜めの断面212の形で股関節スペーサー190の分離部分が表示され、この
場合分離面と重複領域は、ベルクロ(登録商標)ファスナーを使っての接続のため、ステ
ープルまたはいくつかのパンクチャリング穿刺ノブを使って、接着または溶接することが
できる。図 21bは、パズル形式のプロングの歯を表示する(矢印213)。アンダーカット
の形状のため、両端または歯が一緒にプッシュすることができ、通常のパズルのように上
からの発射は必要ない 。