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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】医用撮像システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0507 20210101AFI20220902BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20220902BHJP
   G01N 22/02 20060101ALI20220902BHJP
   H01Q 3/12 20060101ALI20220902BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20220902BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
A61B5/0507 ZDM
H01Q21/06
G01N22/02 C
H01Q3/12
H01Q1/38
H01Q1/24 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019507213
(86)(22)【出願日】2017-08-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 GB2017052375
(87)【国際公開番号】W WO2018029488
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】1613879.4
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】17160388.9
(32)【優先日】2017-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518040530
【氏名又は名称】ミクリマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ボア クリス
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104473617(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0015832(US,A1)
【文献】国際公開第2014/195502(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/143691(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0276031(US,A1)
【文献】特表2002-536041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を空けられた複数のアンテナを備えるマイクロ波アンテナアレイであって、前記複数のアンテナは送信アンテナおよび受信アンテナを定め、前記送信アンテナは患者の身体部分を照射するようにマイクロ波信号を送信するように構成され、前記受信アンテナは前記身体部分内での散乱後の前記マイクロ波信号を受信するように構成される、医用撮像システムであって、
前記マイクロ波アンテナアレイは、前記身体部分に対して相対的に前記複数のアンテナの位置を定める複数の配置を有し、各々の配置において、前記複数のアンテナが、他の配置においては占められない位置に置かれ、
前記医用撮像システムは、
前記複数のアンテナを以前には占められていない位置に位置決めするように、前記複数の配置の間で前記マイクロ波アンテナアレイを動かすように構成されたアクチュエータと、
前記マイクロ波アンテナアレイの前記複数の配置の各々において生成された前記マイクロ波信号に関するデータセットを取得し、前記データセットの連結から前記身体部分の内部構造を示す出力を生成するように構成されたプロセッサと、
をさらに備え、
前記複数のアンテナの間の物理的間隔は、前記マイクロ波信号の波長の半分よりも大きく、前記複数の配置によって定められる位置において、前記複数のアンテナの間の有効間隔は、前記マイクロ波信号の前記波長の半分よりも小さい、
医用撮像システム。
【請求項2】
前記マイクロ波アンテナアレイは基板の上に形成され、前記基板は前記身体部分に一致するように形取られるかまたは形取り可能である、請求項1に記載の医用撮像システム。
【請求項3】
前記基板は半球形である、請求項2に記載の医用撮像システム。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記マイクロ波アンテナアレイを前記身体部分に対して相対的に回転させるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医用撮像システム。
【請求項5】
前記複数のアンテナは、前記複数のアンテナの移動方向に対して傾斜させられた多角形の規則的な切り嵌め細工から形成される構造体内に位置決めされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の医用撮像システム。
【請求項6】
前記複数のアンテナは、前記規則的な切り嵌め細工の逆メルカトル投影(inverse Mercator projection)から形成される構造体内に位置決めされる、請求項5に記載の医用撮像システム。
【請求項7】
前記多角形は正方形である、請求項5または6に記載の医用撮像システム。
【請求項8】
前記構造体は、20度と35度との間の角度で傾斜させられる、請求項5~7のいずれか一項に記載の医用撮像システム。
【請求項9】
前記構造体は、27度の角度で傾斜させられる、請求項8に記載の医用撮像システム。
【請求項10】
(a)互いに間隔を空けられた複数のアンテナを備えるマイクロ波アンテナアレイを提供するステップであって、前記複数のアンテナは送信アンテナおよび受信アンテナを定める、ステップと、
前記送信アンテナによって発せられるマイクロ波信号で、患者の身体部分を照射するステップと、
)データセットを取得するために、前記身体部分内での散乱後の前記マイクロ波信号を、前記受信アンテナにおいて受信するステップと、
)前記アンテナが以前には占められていなかった位置に置かれるように、前記複数のアンテナの位置を前記身体部分に対して相対的に動かすステップ、並びにステップ()および()を繰り返すステップと、
)取得された前記データセットを連結するステップ、および前記身体部分の内部構造を示す出力を前記連結されたデータセットから生成するステップと、
を含み、
前記複数のアンテナの間の物理的間隔は、前記マイクロ波信号の波長の半分よりも大きく、前記複数のアンテナを以前には占められていなかった位置に動かすことにより達成される前記複数のアンテナの間の有効間隔は、前記マイクロ波信号の前記波長の半分よりも小さい、
医用撮像方法。
【請求項11】
前記複数のアンテナは、前記マイクロ波アンテナアレイに接続されたアクチュエータを使用して動かされる、請求項10に記載の医用撮像方法。
【請求項12】
前記アクチュエータは、前記マイクロ波アンテナアレイを、前記身体部分に対して相対的に回転させるように構成される、請求項11に記載の医用撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医用撮像システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体を検査するための種々の医用撮像技術が知られている。そのような撮像技術は、腫瘍または病変などの異常を識別するために組織および臓器を調べるのに使用することができる。例えば、X線(マンモグラフィ)、マイクロ波撮像、超音波、MRIは全て通常の撮像モダリティである。そのような技術は、通常、胸部組織を調べるのに使用されるが、肝臓、膵臓、前立腺、甲状腺、肺臓、卵巣およびリンパ節などの身体の他の範囲において使用することもできる。
【0003】
撮像モダリティによって生成される画像の品質は、その画像を理解するための重要な因子である。特に、空間解像度、および画像内のアーチファクトの存在または非存在は、撮像モダリティを選択するときに考慮することができる基本的特性である。結果として、撮像モダリティを使用して生成される画像の品質を向上させるための要望が一般的に存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、マイクロ波アンテナアレイを用いて取得される画像の品質を向上させるシステムを提供しようとするものである。
【0005】
本発明の一態様により、互いに間隔を空けられた複数のアンテナを備えたマイクロ波アンテナアレイを備える医用撮像システムが提供され、複数のアンテナは送信アンテナおよび受信アンテナを定め、送信アンテナは患者の身体部分を照射するようにマイクロ波信号を送信するように構成され、受信アンテナは身体部分内での散乱後のマイクロ波信号を受信するように構成され、ここで、マイクロ波アンテナアレイは、身体部分に対する複数のアンテナの位置を定める複数の配置(configuration)を有し、ここで、各々の配置において、複数のアンテナは、他の配置において占められていない位置に置かれ、本医用撮像システムはさらに、複数のアンテナを以前には占められていない位置に位置決めするように複数の配置の間でマイクロ波アンテナアレイを動かすように構成されたアクチュエータと、マイクロ波アンテナアレイの複数の配置の各々において生成されたマイクロ波信号のデータセットを取得し、データセットの連結から身体部分の内部構造を示す出力を生成するように構成されたプロセッサと、を備える。
【0006】
マイクロ波アンテナアレイは、基板の上に形成することができ、この基板は身体部分に一致するように形取られる。
【0007】
基板は半球形にすることができる。
【0008】
アクチュエータは、マイクロ波アンテナアレイを身体部分に対して相対的に回転させるように構成することができる。
【0009】
アンテナの間の物理的間隔は、マイクロ波信号の波長の半分よりも大きくすることができ、複数の配置によって定められる位置におけるアンテナの間の有効間隔は、マイクロ波信号の波長の半分よりも小さくすることができる。
【0010】
アンテナは、アンテナの移動方向に対して傾斜させられた多角形の規則的な切り嵌め細工(tessellation)から形成される構造体内に位置決めすることができる。
【0011】
多角形は正方形とすることができる。
【0012】
構造体は、アンテナの間の間隔を最大化するために、20度と35度との間の角度、好ましくは27度またはより具体的には26.565度の角度に傾斜させることができる。具体的には、この配置により、アンテナは、均一な間隔で間隔を空けられ回転軸に平行に位置合わせされる。
【0013】
本発明の一態様により、(a)マイクロ波アンテナアレイの送信アンテナによって発せられるマイクロ波信号で患者の身体部分を照射するステップと、(b)データセットを取得するために、マイクロ波アンテナアレイの複数の受信アンテナにおいて身体部分内での散乱後のマイクロ波信号を受信するステップと、(c)身体部分に対する相対的なアンテナの位置を、以前には占められていなかった位置に置かれるように移動させるステップ、並びにステップ(a)および(b)を繰り返すステップと、(d)取得されたデータセットを連結するステップおよび連結されたデータセットから身体部分の内部構造を示す出力を生成するステップと、を含む医用撮像方法が提供される。
【0014】
アンテナは、マイクロ波アンテナアレイに接続されたアクチュエータを用いて動かすことができる。
【0015】
アクチュエータは、身体部分に対して相対的にマイクロ波アンテナアレイを回転させるように構成することができる。
【0016】
次に、本発明のより良い理解のために、およびそれをどのように実行することができるかをより明白に示すために、例として添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による医用撮像システムのシステム図である。
図2】医用撮像システムの略図である。
図3】サンプリング方法を示すフローチャートである。
図4】第1の配置(configuration)における医用撮像システムのアンテナアレイの平面図である。
図5】第2の配置におけるアンテナアレイの平面図である。
図6】第3の配置におけるアンテナアレイの平面図である。
図7図4~6に示される各々の配置に関するアンテナの互いに重なる位置を示す。
図8】傾斜させられた切り嵌め細工の並進を示す実例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による医用撮像システム2を示す。この医用撮像システムは一般に、プロセッサ4と、プロセッサ4と通信するマイクロ波アンテナアレイ6と、マイクロ波アンテナアレイ6に接続され、プロセッサ4と通信するアクチュエータ8と、を備える。
【0019】
図2に示されるように、アンテナアレイ6は、シェル基板18の表面の上または内部に配設される複数Nのアンテナ16を備える。シェル18は、図示されるように、湾曲したプロファイルを有する。具体的には、シェル18は半球形の部分であり、胸部の形状とおおよそ同じであるように構成される。アンテナ16は、それら全てが共通の焦点に向くようにシェル18の上に配設される。
【0020】
アンテナ16は、各々、スイッチングマトリクス20に電気的に接続される。スイッチングマトリクス20は次に送信パスおよび受信パスの両方に接続される。送信パスは、増幅器24に結合された信号発生器22を備える。受信パスは、検知器28およびプロセッサ4に結合された増幅器26を備える。
【0021】
スイッチングマトリクス20は、アンテナ16の各々を、送信パスまたは受信パスのいずれかに選択的に結合する。
【0022】
アンテナアレイ6は、マルチスタティック様式で操作される。具体的には、スイッチングマトリクス20は、アンテナ16のうちの1つを送信パスに接続し、残りのアンテナ16を受信パスに接続するように、制御される。信号発生器22は、ステップ周波数連続波(CW:continuous wave)信号を生成し、この信号が増幅器24によって増幅され、次いで、送信パスに接続されたアンテナ16によって送信される。ステップ周波数連続波信号は、連続波エネルギーのパルスの逐次シリーズであり、ここで各々のパルスは、周波数の範囲、典型的には3~8GHzの範囲にわたって漸増する周波数を有する。他のアンテナ16は送信された信号を受信し、受信された信号がプロセッサ4によって検知され、次いで記録される。
【0023】
図2に示されるように、シェル18はカップ30を収容する。カップ30は、シェル18の中にぴったり嵌るように、シェル18に相補的な形状を有する。信号損失を最小にし、それ故にマイクロ波信号の伝達を改善するため、アンテナ16とカップ30との間の結合を改善するように結合流体(誘電率が制御された流体)の層をシェル18とカップ30との間の間隙31の中に挿入することができる。
【0024】
前述のように、アクチュエータ8、例えばモータが、マイクロ波アンテナアレイ6に接続される。アクチュエータ8は、胸部36に対して静止したままのカップ30に対して相対的にマイクロ波アンテナアレイ6を動かすように構成される。具体的には、アクチュエータ8は、胸部36の周りのカップ30に対して相対的にマイクロ波アンテナアレイ6を回転させる。マイクロ波アンテナアレイ6は、シェル18の中心(即ち、その対称軸)の周りを回転する。これは、カップ30とシェル18との間の螺合によって可能にすることができる。具体的には、カップ30の外側とシェル18の内側とが、ネジ部分を有することができ、これらのネジ部分が、シェル18とアンテナアレイ6とがカップ30に対して相対的に回転することを可能にするように係合する。これはまた、結合流体を置き換えることができるように、カップ30を迅速かつ容易に取り外すことを可能にし得る。
【0025】
アンテナ16は、国際公開第2009/060181号に記載されているようにすることができる。具体的には、アンテナ16は導電要素内に形成されるスロット16を備え、このスロットは導電要素の内縁部に実質的に接近して定められる長方形の外部境界を有する。マイクロストリップフィードラインは、誘電体物質によって導電要素から間隔を空けられ、ラインの遠位端部がスロットの幾何学的中心に位置決めされるようにすることができる。そのようなアンテナは、マイクロ波を人の組織内部に発射するのに効果的であるが、そのサイズが、アンテナを互いに十分近くに位置決めすることを妨げる可能性がある。システム2は、アンテナ16が以前には占められなかった位置を取るように、アンテナアレイ6を回転させるのにアクチュエータ8を使用する。アンテナ16の位置はある程度重なることができるが、用語「占められない」は、本明細書では新しいサンプリング位置を指すのに用いられる。アンテナアレイ6の回転は、したがって、より高密度のアンテナ16を有する「実際上の」アレイを創出する。
【0026】
使用中、患者は、自身の胸部36がカップ30の中に位置するように、俯せ状態で横たわる。アンテナ16と胸部36との間の結合を改善するために、カップ30と胸部36との間の間隙35に結合流体の層を設けることもできる。
【0027】
図示されていないが、カップ30の内表面と胸部36との間をうまく合わせることができるように、1つまたはそれ以上の挿入物をカップ30の内側に配置することができる。例えば、種々の形状およびサイズの胸部にシステムをより良好に適合させることができるように、各々が異なる形状およびサイズを有する複数のそのような挿入物を準備することができる。挿入物は、カップと同じ材料(例えば、セラミック)から作製することができる。
【0028】
図3は、データ取得方法のフローチャートを示す。図示されるように、スイッチングマトリクス20が、Nアンテナのうちのアンテナmを送信パスに接続する。他の全てのアンテナ16(n=1・・・N、n≠m)は受信パスに接続される。送信パスに接続されたアンテナ16は、胸部36をマイクロ波信号で照射する。信号は胸部組織によって散乱され、散乱された信号は非送信アンテナ16の各々において受信され、そこで(多分、時分割配置において)検知され記録される。m≠Nである場合、スイッチングマトリクス20は、送信パスに接続されるように次のアンテナ16(m=m+1)に進む。これは、全てのアンテナ16が送信パスに接続されるまで繰り返される。
【0029】
追加のデータセットが必要な場合、胸部を所定位置に留めたままアレイ6を胸部36に対して相対的に回転させるためにアクチュエータ8が使用される。この取得プロセスは、さらに、新しい配置におけるアンテナアレイ6を用いて繰り返される。
【0030】
プロセッサ4は、送信信号の計測された位相および振幅と、複素数(実数部分および虚数部分を有する)として記録された散乱信号の位相および振幅とを比較しての相対的差異を記録することができる。
【0031】
各々のアンテナ16において検知される信号は、撮像される体積(即ち、胸部36)内の対象物から生じる散乱による影響を受ける。具体的には、腫瘍は、それらの著しい含水量のために、脂肪および結合組織よりも遥かに高い誘電特性を示すので、著しい反射を生成することができ、それ故に取得されたデータ内で識別することができる。
【0032】
取得されたデータセットは、胸部36の内部構造の画像を構築するためにプロセッサ4によって使用することができる。具体的には、アンテナアレイ6の各々の配置に対して取得されたデータセットが連結され(即ち、組み合わされ)、連結されたデータセットが画像を生成するのに用いられる。したがって、画像の解像度は、アンテナアレイ6の各々の配置に対するデータセットを組み合わせることによって向上する。データ再構築は、位相アレイ(Phased Array)(周波数域)、遅延および和(DAS:Delay and Sum、時間域)の技術または他の任意の適切な技術、例えば、3Dフーリエ変換、背面投影など、を用いて行うことができる。これから、プロセッサ4は、可能性のある腫瘍または他の病変が存在し得る関心領域(存在する場合)を識別することができる(多分、付加的なユーザ入力または確認と共に)。
【0033】
上述のように、画像取込みプロセスの間、胸部36に対するアンテナアレイ6の相対的な回転は、アンテナ16を以前には占められていない位置に移動させる。実際上のアレイ中のアンテナ16の有効間隔(即ち、全ての配置にわたって占められている位置の間の間隔)は、それ故に、シェル18上のアンテナ16の物理的間隔よりも小さい。それ故に、これは画像の解像度を向上させる。実際上のアレイ中のアンテナ16の有効間隔は、グレーティングローブ(grating lobe)が画像内に生じるのを防ぐために、マイクロ波信号の波長の半分より小さいことが好ましい。アンテナ16のサイズのために、そのような間隔は別の方法では物理的に達成することができない。前述のように、マイクロ波信号の周波数は、周波数の範囲、典型的には3~8GHzの範囲にわたって漸増させることができる。したがって、本明細書で言及される波長は、中心周波数、即ち、5.5GHz(
【0034】
【数1】
【0035】
における)に基づく。
【0036】
アンテナ16を以前には占められていない位置に移動させるいずれの配置においても、アンテナ16はシェル18の上に位置決めすることができるが、図4図6は受信範囲を最大にする好ましい配置を示す。図4は、第1の配置におけるアンテナアレイ6を示し、図5および6は、アレイが、アンテナアレイ6の対称軸と位置合わせされることが好ましい回転軸の周りを回転させられた、第2および第3の配置におけるアンテナアレイ6を示す。
【0037】
図4図6に示される配置は、多角形の傾斜させられた規則的な切り嵌め細工(タイル張り)の半球形内への投影に基づくものであり、それらタイルの各隅がアンテナ16の各位置を定める。
【0038】
単位正方形の簡単な切り嵌め細工に関して、0.5の水平移動が、水平方向における減らされた有効間隔を有する実際上のアレイを生成することになるが、これは同じ垂直間隔を維持する。これとは対照的に、対角移動(垂直および水平の2つの運動軸に沿った移動)は、水平および垂直方向の両方において有効間隔を減らすことになる。代わりに、正方形の切り嵌め細工を傾斜させ、次いで、図8に示されるように単一軸(例えば、水平の)に沿った移動を行うことによって、この同じ効果を達成することができる。
【0039】
切り嵌め細工を傾斜させることにより、正方形の隅は、共通の経路に沿って動くのではなく、全てが互いにずれた経路に沿って動く。隅の間の均一な垂直方向の間隔は、正方形の切り嵌め細工を26.565度(=tan-1(0.5))傾斜させることによって達成することができる。これは、隅の間の垂直分離を最大にする。
【0040】
上述のように、図4図6に示される配置は傾斜させられた切り嵌め細工の半球形内への投影である。傾斜させられた切り嵌め細工は、逆メルカトル投影(inverse Mercator projection)または他のマップ投影を用いて半球形に変換することができる。したがって、アンテナアレイ6のその軸の周りの回転は、半波長基準を満たす有効間隔を伴う実質的に均一な密度を有する実際上のアレイを定めるように、アンテナ16が、アンテナ16の元の位置間の、間隔を空けられた新しい位置を占めるようにする。図7は、互いに重なる各々の配置のアンテナ16の位置を示し、それ故に、実際上のアレイの密度を示す。
【0041】
典型的には、アンテナが単一の角距離Aで分離される半球形アレイにおいて、各々の増分の角回転はA/3となり、それにより実際上のアレイ密度が3倍増加する。
【0042】
図7に示される位置の密度は、完全に決定される連結されたデータセットを生成するのに十分である。換言すれば、連結されたデータセットから、散乱場である干渉パターンを、試料の位置以外の位置を含む、いずれの空間位置においても計算することができる。したがって、一組の別々の試料から、全ての空間位置における場に関する完全な情報を得ることができる。これは、グレーティングローブなどのアーチファクトが画像内に生ずるのを防ぐ。アンテナ16の移動は、アンテナ16の間の有効間隔を減らす。したがって、これは、より多数のおよび/またはより少数のアンテナを、それでもなおマイクロ波波長の半分より小さい有効間隔を得るように、使用することを可能にする。
【0043】
アンテナアレイ6は、複数の個々の配置/位置を有するように説明されているが、データは、その代わりに、連続的に動くアレイから取得することができる。さらに、全体のアンテナアレイ6は回転する必要がなく、その代わりに、個々のアンテナ16が、アンテナアレイ6の各々の配置においてシェル18内の種々異なる位置を取ることができる。
【0044】
本システムは、胸部の撮像に関して説明されているが、当然のことながら身体の他の範囲に適合させることができる。したがって、アンテナアレイ6は半球形にする必要はなく、他の身体部分に一致するように形取ることができる。アンテナアレイ6が回転対称を有しない場合、アンテナ16は回転ではなく並進させることができる。
【0045】
アクチュエータ8は、任意の適切な仕方でアンテナ16を移動させることができる。他の配置において、アンテナ16の移動は、手で作動させることができる。手による作動が用いられる場合、アンテナアレイ6は、計測の再現性を確実にするように準備することができる。特に、アンテナアレイ6は、個別の位置、および、アンテナアレイ6が正しい位置にあるときにユーザに対する確認のための適した形のフィードバックを有することができる。アンテナアレイ6は、適切な割出し機構または同様のものを用いて個別の位置に向かって付勢することができる。
【0046】
当然のことながら、プロセッサ4は、関心領域を識別するために胸部の内部構造の画像を表示すること、または実際に生成することを必要としない。関心領域は、その代わりに未加工データに基づいて決定することができる。
【0047】
本システムは、データを複数のアンテナから同時に記録することができるように、複数の送信および受信パスを用いることができ、さらに、データを全てのアンテナから同時に記録することができるように、アンテナの数に対応する数の送信および受信パスを備えることさえも可能である。代替的な接続形態において、スイッチングマトリクスを取り除き、したがって、各々のアンテナを送信/受信デバイスに接続できるようにすることができる。
【0048】
本明細書において不必要な二度手間やテキストの繰り返しを避けるために、ある特定の特徴は、本発明の1つのみのまたは幾つかの態様または実施形態に関連して説明されている。しかし、技術的に可能である場合には、本発明のいずれかの態様または実施形態に関連して説明される特徴はまた、本発明の他のいずれかの態様または実施形態と共に使用することができることを理解されたい。
【0049】
本発明は、本明細書において説明された実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、修正するかまたは適合させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8