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特許7134170先進的な養生装置及びその養生装置を使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】先進的な養生装置及びその養生装置を使用する方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 11/24 20060101AFI20220902BHJP
   C04B 40/02 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
B28B11/24
C04B40/02
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019516155
(86)(22)【出願日】2017-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 US2017053539
(87)【国際公開番号】W WO2018058139
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】62/399,949
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515252684
【氏名又は名称】ソリディア テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SOLIDIA TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100141601
【弁理士】
【氏名又は名称】貴志 浩充
(72)【発明者】
【氏名】ショーン キャムロン クイン
(72)【発明者】
【氏名】ケネス マイケル スミス
(72)【発明者】
【氏名】デヴィン エム パテン
(72)【発明者】
【氏名】シュイドーン ホゥ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ペリー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァヒット アタカン
(72)【発明者】
【氏名】ジテンドラ ジャイン
(72)【発明者】
【氏名】アヌジュ セス
(72)【発明者】
【氏名】アメット カニート タス
(72)【発明者】
【氏名】アラン トーマス ブラックルック
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シューラー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジェイ グローテンボー
(72)【発明者】
【氏名】ダン カストロ
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-517365(JP,A)
【文献】特開2004-026629(JP,A)
【文献】特開2009-149456(JP,A)
【文献】特開2006-143531(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104290183(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 11/00-19/00
C04B 2/00-32/02
C04B 40/00-40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
COとの反応の下で養生する材料を養生させる装置において、
試薬としてCOを消費する材料を収容するよう構成された養生チャンバであって、前記材料は、養生中にCOがないと養生せず、水のみ存在しても養生せず、また養生中に水は消費しないものであり、前記養生チャンバは、前記材料を前記養生チャンバに対して導入及び取り出すことができるよう構成された少なくとも1つのポートを有し、また前記ポート用の少なくとも1つの閉止体を有し、前記閉止体は、前記養生チャンバ内に存在するガスが養生チャンバ外部のガスによって汚染されるのを防止するよう閉じたとき大気シールをなすように構成されている、該養生チャンバと、
前記養生チャンバにおけるガス流入ポートによって気相の二酸化炭素を前記養生チャンバに供給するよう構成された二酸化炭素源であって、前記二酸化炭素源は、前記二酸化炭素の前記養生チャンバ内への流量を制御するよう構成された少なくとも1つのフロー調節デバイスを有する、該二酸化炭素源と、
前記二酸化炭素を前記養生チャンバで循環させるよう構成されたガス流サブシステムと、
前記養生チャンバ内における前記ガスの温度を制御するよう構成された温度制御サブシステムと、
前記養生チャンバ内における前記ガスの湿度を制御するよう構成された湿度制御サブシステムと、並びに
前記二酸化炭素源、前記ガス流サブシステム、前記温度制御サブシステム、及び前記湿度制御サブシステムのうち少なくとも1つと通信する少なくとも1つのコントローラと、
を備え、
前記少なくとも1つのコントローラは、前記養生チャンバ内における前記ガスの流量、前記養生チャンバでの前記ガスの前記循環、前記ガスの前記温度、及び前記ガス内の前記湿度のうちの少なくとも対応する1つを独立的に制御するよう構成されており、
前記少なくとも1つのコントローラは、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)での滞留時間を付与し、前記第1乾燥フェーズの滞留時間が最小化されるよう構成されており、また前記少なくとも1つのコントローラは、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)の終了時に前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)に遷移するよう構成されている、装置であって、
前記装置は、以下の変化のいずれかを検出することによって前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成される:
前記材料の表面上又はバルク内における1つ又はそれ以上の電気的特性の変化;
前記材料から除去される水分量の変化;
前記材料から除去される前記材料から除去される水分の除去率の変化;
前記チャンバ内で循環する前記ガスから回収される水分の回収率の変化;
前記チャンバ内で循環する前記ガスにおけるCO 濃度及びO 濃度のうち少なくとも一方の変化;
前記チャンバ内を循環する前記ガスの相対湿度の変化;
前記チャンバ内を循環する前記ガスの温度変化;
前記材料の温度変化;
前記チャンバ内の圧力変化;
前記材料のpH変化;
前記材料の養生中に回収される水のpH変化;
前記材料の元素組成の変化;又は
超音波刺激に対する前記材料における反響の変化。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、前記装置は、意図的に添加されるCOが存在しない状態で、前記材料を先ず前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)に曝露させるよう構成されている、装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、前記装置は、COが存在する状態で、前記材料を先ず前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)に曝露させるよう構成されている、装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、前記装置は、前記材料の表面上又はバルク内における1つ又はそれ以上の電気的特性の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている、装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、前記材料の前記1つ又は複数の電気的特性は、表面抵抗率、体積抵抗率、導電率、インピーダンス、キャパシタンス、絶縁定数、絶縁耐力、誘電率、圧電定数、及びゼーベック係数のうち少なくとも1つを含む、装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、前記装置は、前記材料から除去される水分量の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている、装置。
【請求項7】
請求項1記載の装置において、前記装置は、前記チャンバ内で循環する前記ガスにおけるCO濃度及びO濃度のうち少なくとも一方の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている、装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置において、前記装置は、前記材料の温度変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている、装置。
【請求項9】
請求項1記載の装置において、前記装置は、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)及び前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)のいずれかにおけるプロセス全体にわたり、前記チャンバ内の圧力を測定、追跡、及び制御するよう構成されている、装置。
【請求項10】
請求項1記載の装置において、前記装置は、前記材料のpH変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている、装置。
【請求項11】
請求項1記載の装置において、前記温度制御サブシステムは、さらに、ガス及び材料のうち少なくとも一方を加熱するよう構成された少なくとも1つのエネルギー源を有する、装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置において、前記エネルギー源は、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)及び前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)のうち少なくとも一方での滞留時間を制御するよう構成されている、装置。
【請求項13】
請求項11記載の装置において、前記エネルギー源は、化石燃料燃焼を採用するよう構成されている、装置。
【請求項14】
請求項11記載の装置において、前記エネルギー源は、電気抵抗加熱を採用するよう構成されている、装置。
【請求項15】
請求項11記載の装置において、前記エネルギー源は、誘電加熱を採用するよう構成されている、装置。
【請求項16】
請求項11記載の装置において、前記エネルギー源は、輻射熱源を採用するよう構成されている、装置。
【請求項17】
請求項1記載の装置において、前記湿度制御サブシステムは、材料からの水分抽出を制御するよう構成されている、装置。
【請求項18】
請求項17記載の装置において、前記湿度制御サブシステムは、乾燥剤を用いて、前記水分抽出を制御するよう構成されている、装置。
【請求項19】
請求項17記載の装置において、前記湿度制御サブシステムは、熱交換器及び冷却器のうち一方を用いて、前記水分抽出を制御するよう構成されている、装置。
【請求項20】
請求項1記載の装置において、前記ガス流サブシステムは、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)における水分抽出を制御し、かつ前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)における反応速度を制御するため、前記チャンバ内におけるガス循環を制御するよう構成されている、装置。
【請求項21】
請求項1記載の装置において、前記ガス流サブシステムは、前記材料に隣接する前記ガスの流動及び速度を制御するよう構成されている、装置。
【請求項22】
請求項1記載の装置において、前記ガス流サブシステムは、外部循環システムを用いて、前記ガスの流動及び速度を制御するよう構成されている、装置。
【請求項23】
請求項1記載の装置において、前記ガス流サブシステムは、養生プロセス中のCO消費効率を最大化するため、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)及び第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)中にCO濃度を変化するよう構成されている、装置。
【請求項24】
請求項1記載の装置において、前記CO濃度は前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)中に減少する、装置。
【請求項25】
試薬としてCOを消費する材料であって、前記材料は、養生中にCOがないと養生せず、水のみ存在しても養生せず、また養生中に水は消費しないものである、該材料を養生させる方法において、前記方法は、
装置を準備するステップであって、前記装置は、
試薬としてCOを消費する材料を収容するよう構成された養生チャンバであって、前記材料は、養生中にCOがないと養生せず、水のみ存在しても養生せず、また養生中に水は消費しないものであり、前記養生チャンバは、前記材料を前記養生チャンバに対して導入及び取り出すことができるよう構成された少なくとも1つのポートを有し、また前記ポート用の少なくとも1つの閉止体を有し、前記閉止体は、前記養生チャンバ内に存在するガスが養生チャンバ外部のガスによって汚染されるのを防止するよう閉じたとき大気シールをなすように構成されている、該養生チャンバ、
前記養生チャンバにおけるガス流入ポートによって気相の二酸化炭素を前記養生チャンバに供給するよう構成された二酸化炭素源であって、前記二酸化炭素源は、前記二酸化炭素の前記養生チャンバ内への流量を制御するよう構成された少なくとも1つのフロー調節デバイスを有する、該二酸化炭素源
前記二酸化炭素を前記養生チャンバで循環させるよう構成されたガス流サブシステム、
前記養生チャンバ内における前記ガスの温度を制御するよう構成された温度制御サブシステム、
前記養生チャンバ内における前記ガスの湿度を制御するよう構成された湿度制御サブシステム、並びに
前記二酸化炭素源、前記ガス流サブシステム、前記温度制御サブシステム、及び前記湿度制御サブシステムのうち少なくとも1つと通信する少なくとも1つのコントローラ、
を備え、
前記少なくとも1つのコントローラは、前記養生チャンバ内における前記ガスの流量、前記養生チャンバでの前記ガスの前記循環、前記ガスの前記温度、及び前記ガス内の前記湿度のうちの少なくとも対応する1つを独立的に制御するよう構成されており、
前記少なくとも1つのコントローラは、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)での滞留時間を付与し、前記第1乾燥フェーズの滞留時間が最小化されるよう構成されており、また前記少なくとも1つのコントローラは、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)の終了時に前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)に遷移するよう構成されているものであり、かつ前記装置は、以下の変化のいずれかを検出することによって前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成される:
前記装置は、以下の変化のいずれかを検出することによって前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成される:
前記材料の表面上又はバルク内における1つ又はそれ以上の電気的特性の変化;
前記材料から除去される水分量の変化;
前記材料から除去される前記材料から除去される水分の除去率の変化;
前記チャンバ内で循環する前記ガスから回収される水分の回収率の変化;
前記チャンバ内で循環する前記ガスにおけるCO 濃度及びO 濃度のうち少なくとも一方の変化;
前記チャンバ内を循環する前記ガスの相対湿度の変化;
前記チャンバ内を循環する前記ガスの温度変化;
前記材料の温度変化;
前記チャンバ内の圧力変化;
前記材料のpH変化;
前記材料の養生中に回収される水のpH変化;
前記材料の元素組成の変化;又は
超音波刺激に対する前記材料における反響の変化、
該装置を準備するステップと、
前記第1乾燥フェーズにおける第1滞留時間を有する第1乾燥フェーズを実施するステップと、及び
前記第1乾燥フェーズの終了時に第2養生フェーズを実施するステップと
を備える、方法。
【請求項26】
意図的に添加されるCO が存在しない状態で、前記材料を先ず前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)に曝露させることをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月26日出願の同時係属米国仮出願第62/399,949号の優先権及び恩典を主張し、これら出願各々は、参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、養生装置(curing equipment)、及びとくに、COとの反応により養生する(cure)材料を用いる養生装置に関する。
【背景技術】
【0003】
試薬(reagent)としてCOを用いる材料を養生するシステム及び方法は従来既知である。
【0004】
非特許文献1(J. M. Bukowski and R. L. Berger, Cement and Concrete Research, Vol. 9, pp. 57-68, January 1979)は、100%RH及び100%CO環境に暴露される非水硬性のγ-CaSiO及びCaSiO、モルタル並びにパウダーの炭酸化について記載していると言われている。反応速度(率)及び強度成長は、CaSiOにおけるよりもγ-CaSiOの方がより速い。CO圧力を大気圧から5.62MPa[55.5気圧又は815ポンド/立方インチ]に増大させることによってγ-Ca2SiO及びCaSiO双方における反応度が増加する。強度は、反応度及び2.00MPaより高いCO圧力の関数として増大する。CO活性化セメント用の非水硬性材料の潜在的使用を詳述している。
【0005】
さらに、2017年3月16日刊行されたアル・ゴーレー(Al-Ghouleh)氏らによる特許文献1(国際公開第2017/041188号)が既知であり、これは気密エンクロージャ内でプレキャスト製品を製造するプロセスについて記載していると言われており、このプロセスは、ほぼ周囲の大気圧(0~2psig)及び/又は低圧(2~15psig)の条件下で閉鎖した気密エンクロージャ内にCOガスを送給することによって、予め乾燥したコンクリートによるプレキャストのユニットの炭酸化ステップを有し、該予め乾燥したコンクリートユニットはその初期混合物水分含有量の25~60%が失われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2017/041188号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【文献】J. M. Bukowski and R. L. Berger, Cement and Concrete Research, Vol. 9, pp. 57-68, January 1979.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
COとの反応によって養生する材料の養生を改善する養生装置及び方法に対する必要性は存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様によれば、本発明は、COとの反応の下で養生する材料を養生させる装置であって、試薬としてCOを消費する材料を収容するよう構成された養生チャンバであって、前記材料は、養生中にCOがないと養生せず、水のみ存在しても養生せず、また養生中に水は消費しないものであり、前記養生チャンバは、前記材料を前記養生チャンバに対して導入及び取り出すことができるよう構成された少なくとも1つのポートを有し、また前記ポート用の少なくとも1つの閉止体を有し、前記閉止体は、前記養生チャンバ内に存在するガスが養生チャンバ外部のガスによって汚染されるのを防止するよう閉じたとき大気シールをなすように構成されている、該養生チャンバと、前記養生チャンバにおけるガス流入ポートによって気相の二酸化炭素又は空気を前記養生チャンバに供給するよう構成された二酸化炭素又は空気源であって、前記二酸化炭素又は空気源は、前記二酸化炭素又は空気の前記養生チャンバ内への流量を制御するよう構成された少なくとも1つのフロー調節デバイスを有する、該二酸化炭素又は空気源と、前記二酸化炭素又は空気を前記養生チャンバで循環させるよう構成されたガス流サブシステムと、前記養生チャンバ内における前記ガスの温度を制御するよう構成された温度制御サブシステムと、前記養生チャンバ内における前記ガスの湿度を制御するよう構成された湿度制御サブシステムと、並びに前記二酸化炭素源、前記ガス流サブシステム、前記温度制御サブシステム、及び前記湿度制御サブシステムのうち少なくとも1つと通信する少なくとも1つのコントローラと、を備え、前記少なくとも1つのコントローラは、前記養生チャンバ内における前記ガスの流量、前記養生チャンバでの前記ガスの前記循環、前記ガスの前記温度、及び前記ガス内の前記湿度のうちの少なくとも対応する1つを独立的に制御するよう構成されており、前記少なくとも1つのコントローラは、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)での滞留時間を付与し、前記第1乾燥フェーズの滞留時間が最小化されるよう構成されており、また前記少なくとも1つのコントローラは、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)の終了時に前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)に遷移するよう構成されている装置であることを特徴とする。
【0010】
前記チャンバ内で実行される養生プロセスの絶対圧力は、複雑な圧力関連成分の使用を回避するため、0.1気圧から5気圧より低い絶対圧力にわたる範囲の圧力で生ずる。好適には、プロセスは、0.98~1.02気圧(14.5~14.9psi)の間における絶対圧力で生ずる。
【0011】
一実施形態において、前記装置は、意図的に添加されるCOが存在しない状態で、前記材料を先ず前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)に曝露させるよう構成されている。
【0012】
他の実施形態において、前記装置は、COが存在する状態で、前記材料を先ず前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)に曝露させるよう構成されている。
【0013】
さらに他の実施形態において、前記装置は、前記材料の表面上又はバルク内における1つ又はそれ以上の電気的特性の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0014】
さらに他の実施形態において、前記材料の前記1つ又は複数の電気的特性は、表面抵抗率、体積抵抗率、導電率、インピーダンス、キャパシタンス、絶縁定数、絶縁耐力、誘電率、圧電定数、及びゼーベック係数のうち少なくとも1つを含む。
【0015】
他の実施形態において、前記装置は、前記材料から除去される水分量の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0016】
さらに他の実施形態において、前記装置は、前記材料から除去される水分の除去率の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0017】
他の実施形態において、前記装置は、前記チャンバ内で循環するガスから回収される水分の回収率の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0018】
更なる実施形態において、前記装置は、前記チャンバ内で循環するガスにおけるCO濃度及びO濃度のうち少なくとも一方の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0019】
さらに他の実施形態において、前記装置は、前記チャンバ内で循環するガスの相対湿度の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0020】
一実施形態において、前記装置は、前記チャンバ内で循環するガスの温度の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0021】
さらに他の実施形態において、前記装置は、前記材料の温度の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0022】
さらに別の実施形態において、前記装置は、赤外線カメラを用いて前記材料の温度変化をモニタリングするよう構成されている。
【0023】
他の実施形態において、前記装置は、前記チャンバ内の圧力変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0024】
さらに他の実施形態において、前記装置は、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)及び前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)のいずれかにおけるプロセス全体にわたり、前記チャンバ内の圧力を測定、追跡、及び制御するよう構成されている。
【0025】
他の実施形態において、前記装置は、前記材料のpH変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0026】
さらに一実施形態において、前記装置は、前記材料の養生中に回収される水のpH変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0027】
さらに他の実施形態において、前記装置は、前記材料の元素組成の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0028】
一実施形態において、前記装置は、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)及び前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)のいずれかにおけるプロセス全体にわたり、前記材料の前記元素組成を測定、追跡、及び制御するよう構成されている。
【0029】
他の実施形態において、前記装置は、超音波刺激に対する前記材料における反響の変化を検出することによって、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移を検出するよう構成されている。
【0030】
さらに他の実施形態において、前記温度制御サブシステムは、さらに、ガス及び材料のうち少なくとも一方を加熱するよう構成された少なくとも1つのエネルギー源を有する。
【0031】
さらに別の実施形態において、前記温度制御サブシステムは、前記材料の温度、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)における水分除去率、及び前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)における反応速度を制御するよう構成されている。
【0032】
他の実施形態において、前記エネルギー源は、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)及び前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)のうち少なくとも一方での滞留時間を制御するよう構成されている。
【0033】
さらに他の実施形態において、前記エネルギー源は、化石燃料燃焼を採用するよう構成されている。
【0034】
他の実施形態において、前記エネルギー源は、電気抵抗加熱を採用するよう構成されている。
【0035】
さらに一実施形態において、前記エネルギー源は、赤外線熱源を採用するよう構成されている。
【0036】
さらに他の実施形態において、前記エネルギー源は、レーザーを採用するよう構成されている。
【0037】
一実施形態において、前記エネルギー源は、誘電加熱を採用するよう構成されている。
【0038】
他の実施形態において、前記誘電加熱を採用するよう構成されているエネルギー源は、マイクロ波周波数又は高周波の波動を使用する。
【0039】
さらに他の実施形態において、前記誘電加熱を採用するよう構成されているエネルギー源は、工業、科学及び医療用の周波数帯(ISMバンド)における高周波を使用する。
【0040】
さらに他の実施形態において、前記エネルギー源は、プラズマ加熱を採用するよう構成されている。
【0041】
他の実施形態において、前記エネルギー源は、蒸気加熱を採用するよう構成されている。
【0042】
さらに他の実施形態において、前記エネルギー源は、過熱蒸気を採用するよう構成されている。
【0043】
他の実施形態において、前記エネルギー源は、伝導加熱を採用するよう構成されている。
【0044】
もう1つの実施形態において、前記エネルギー源は、放熱器を採用するよう構成されている。
【0045】
さらに他の実施形態において、前記エネルギー源は、輻射熱源を採用するよう構成されている。
【0046】
一実施形態において、前記エネルギー源は、熱電併給設備を採用するよう構成されている。
【0047】
他の実施形態において、前記湿度制御サブシステムは、材料からの前記水分抽出を制御するよう構成されている。
【0048】
さらに他の実施形態において、前記湿度制御サブシステムは、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)中及び第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)中のうち少なくとも一方で、前記チャンバにおけるガスからの前記水分抽出を制御するよう構成されている。
【0049】
さらに別の実施形態において、前記湿度制御サブシステムは、自然対流を用いて、前記水分抽出を制御するよう構成されている。
【0050】
他の実施形態において、前記湿度制御サブシステムは、強制対流を用いて、前記水分抽出を制御するよう構成されている。
【0051】
さらに他の実施形態において、前記湿度制御サブシステムは、圧縮器を用いて、前記水分抽出を制御するよう構成されている。
【0052】
他の実施形態において、前記湿度制御サブシステムは、乾燥剤を用いて、前記水分抽出を制御するよう構成されている。
【0053】
さらに一実施形態において、前記湿度制御サブシステムは、熱交換器及び冷却器のうち一方を用いて、前記水分抽出を制御するよう構成されている。
【0054】
さらに他の実施形態において、前記湿度制御サブシステムは、大気圧より低い圧力を用いて、前記水分抽出を制御するよう構成されている。
【0055】
一実施形態において、前記ガス流サブシステムは、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)における前記水分抽出を制御するため、前記チャンバ内におけるガス循環を制御するよう構成されている。
【0056】
別の実施形態において、前記ガス流サブシステムは、前記材料に隣接する前記ガスの流動及び速度を制御するよう構成されている。
【0057】
さらに別の実施形態において、前記ガス流サブシステムは、前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)における前記反応速度を制御するため、前記チャンバ内におけるガス循環を制御するよう構成されている。
【0058】
さらに別の実施形態において、前記ガス流サブシステムは、プレナムを用いて、前記ガスの流動及び速度を制御するよう構成されている。
【0059】
他の実施形態において、前記ガス流サブシステムは、内部循環システムを用いて、前記ガスの流動及び速度を制御するよう構成されている。
【0060】
さらに他の実施形態において、前記内部循環システムはファンを有している。
【0061】
他の実施形態において、前記ガス流サブシステムは、外部循環システムを用いて、前記ガスの流動及び速度を制御するよう構成されている。
【0062】
さらに一実施形態において、前記外部循環システムはファンを有している。
【0063】
さらに他の実施形態において、装置は、内部循環システムと、外部循環システムと、及び前記内部循環システムと前記外部循環システムとの間でガス流を比例配分するよう構成されたバイパスとを備える。
【0064】
一実施形態において、装置は、複数の内部循環システムと、複数の外部循環システムと、複数のヒーターと、複数の除湿システムとを備え、前記養生チャンバ内に複数の独立制御ゾーンを設けるようにしている。
【0065】
他の実施形態において、前記ガス流調節デバイスは、前記養生プロセス中のCO消費効率を最大化するため、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)及び第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)中にCO濃度を変化するよう構成されている。
【0066】
さらに他の実施形態において、前記CO濃度は前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)中に減少する。
【0067】
他の態様によれば、本発明は、試薬としてCOを消費する材料であって、前記材料は、養生中にCOがないと養生せず、水のみ存在しても養生せず、また養生中に水は消費しないものである、該材料を養生させる方法に関し、この方法は、装置を準備するステップであって、前記装置は、試薬としてCOを消費する材料を収容するよう構成された養生チャンバであって、前記材料は、養生中にCOがないと養生せず、水のみ存在しても養生せず、また養生中に水は消費しないものであり、前記養生チャンバは、前記材料を前記養生チャンバに対して導入及び取り出すことができるよう構成された少なくとも1つのポートを有し、また前記ポート用の少なくとも1つの閉止体を有し、前記閉止体は、前記養生チャンバ内に存在するガスが養生チャンバ外部のガスによって汚染されるのを防止するよう閉じたとき大気シールをなすように構成されている、該養生チャンバ、前記養生チャンバにおけるガス流入ポートによって気相の二酸化炭素又は空気を前記養生チャンバに供給するよう構成された二酸化炭素又は空気源であって、前記二酸化炭素又は空気源は、前記二酸化炭素又は空気の前記養生チャンバ内への流量を制御するよう構成された少なくとも1つのフロー調節デバイスを有する、該二酸化炭素又は空気源、前記二酸化炭素又は空気を前記養生チャンバで循環させるよう構成されたガス流サブシステム、前記養生チャンバ内における前記ガスの温度を制御するよう構成された温度制御サブシステム、前記養生チャンバ内における前記ガスの湿度を制御するよう構成された湿度制御サブシステム、並びに前記二酸化炭素源、前記ガス流サブシステム、前記温度制御サブシステム、及び前記湿度制御サブシステムのうち少なくとも1つと通信する少なくとも1つのコントローラと、を備え、前記少なくとも1つのコントローラは、前記養生チャンバ内における前記ガスの流量、前記養生チャンバでの前記ガスの前記循環、前記ガスの前記温度、及び前記ガス内の前記湿度のうちの少なくとも対応する1つを独立的に制御するよう構成されており、前記少なくとも1つのコントローラは、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)での滞留時間を付与し、前記第1乾燥フェーズの滞留時間が最小化されるよう構成されており、また前記少なくとも1つのコントローラは、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)の終了時に前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)に遷移するよう構成されているものである、該装置を準備するステップと、前記第1乾燥フェーズにおける第1滞留時間を有する第1乾燥フェーズを実施するステップと、及び前記第1乾燥フェーズの終了時に第2養生フェーズを実施するステップと
を備える。
【0068】
一態様において、本発明は、COとの反応の下で硬化し(harden)、また水のみ存在しても硬化(harden)しない材料を養生させる(curing)装置に関し、この装置は、試薬(reagent)としてCOを消費し、またCOが存在しないと目立っては硬化(harden)しない材料を収容するよう構成された養生チャンバ(curing chamber)であって、前記養生チャンバは、前記材料を前記養生チャンバに対して導入及び取り出すことができるよう構成された少なくとも1つのポートを有し、また前記ポート用の少なくとも1つの閉止体を有し、前記閉止体は、前記養生チャンバ内に存在するガスが養生チャンバ外部のガスによって汚染されるのを防止するよう閉じたとき大気シールをなすように構成されている、該養生チャンバと、前記養生チャンバにおけるガス流入ポートによって気相の二酸化炭素又は空気を前記養生チャンバに供給するよう構成された二酸化炭素又は空気源であって、前記二酸化炭素又は空気源は、前記二酸化炭素又は空気の前記養生チャンバ内への流量を制御するよう構成された少なくとも1つのフロー調節デバイスを有する、該二酸化炭素又は空気源と、前記ガスを制御した流量及び速度で前記養生チャンバに循環させるよう構成されたガス循環サブシステムと、前記養生チャンバ内における前記ガスの温度を制御するよう構成された温度制御サブシステムと、前記養生チャンバ内における前記ガスの湿度を制御するよう構成された湿度制御サブシステムと、並びに前記二酸化炭素源、前記ガス循環サブシステム、前記温度制御サブシステム、及び前記湿度制御サブシステムのうち少なくとも1つと通信する少なくとも1つのコントローラと、を備え、前記少なくとも1つのコントローラは、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)における滞留時間(a time of residence)を短縮するため、前記養生チャンバ内における前記ガスの流量、前記養生チャンバでの前記ガスの循環、前記ガスの温度、及び前記ガス内の湿度のうちの少なくとも対応する1つを独立的に制御するよう構成されており、また前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)の終了時に第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)を実施するよう構成されている。
【0069】
他の態様において、本発明は、COとの反応の下で硬化し(harden)、また水のみ存在しても硬化しない材料を養生させる(curing)方法に関し、この方法は、短縮された滞留時間を有する第1乾燥フェーズ(フェーズ1)を実施するステップと、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)の終了時に第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)を実施するステップとを備える。
【0070】
他の態様において、本発明は、COとの反応の下で硬化し(harden)、また水のみ存在しても硬化しない材料を養生させる(curing)方法に関し、この方法は、短縮された滞留時間を有する第1乾燥フェーズ(フェーズ1)を実施するステップと、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)の終了時に第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)を実施するステップと、及び前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)及び前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)を少なくとも1回繰り返す繰り返しステップとを備える。
【0071】
一実施形態において、本発明は、COとの反応の下で硬化し(harden)、また水のみ存在しても硬化しない材料を養生させる(curing)方法に関し、この方法は、短縮された滞留時間を有する第1乾燥フェーズ(フェーズ1)を実施するステップと、前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)の終了時に第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)を実施するステップと、及び前記第1乾燥フェーズ(フェーズ1)及び前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)を1回より多く繰り返す繰り返しステップとを備える。
【0072】
一実施形態において、本発明は、COとの反応の下で硬化し(harden)、また水のみ存在しても硬化しない材料を養生させる(curing)方法に関し、この方法は、前記第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)における任意な部分として製品内のバランス水分を除去するステップを備える。幾つかの実施形態において、製品内のバランス水分を除去するステップは、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)における任意な部分を含む。
【0073】
様々な実施形態において、本発明のシステム及び方法は、以下の特徴及び機能を個別又は組合せにすることができると期待される。
【0074】
図1Dに示すような方法及びハードウェアの任意な個別又は組合せによって、養生すべき製品は、乾燥フェーズ(フェーズ1)及び/又は炭酸化フェーズ(フェーズ2)の任意な部分中に温度制御する。
【0075】
図1Dに示すような方法及びハードウェアの任意な個別又は組合せによって、製品に近接するガスの速度並びに養生システム全体にわたる循環速度及び量は、乾燥フェーズ(フェーズ1)及び/又は炭酸化フェーズ(フェーズ2)の任意な部分中に制御する。
【0076】
図1Dに示すような方法及びハードウェアの任意な個別又は組合せによって、製品に近接するガスの相対湿度並びに養生システム全体にわたる循環ガス内における相対湿度は、乾燥フェーズ(フェーズ1)及び/又は炭酸化フェーズ(フェーズ2)の任意な部分中に制御する。
【0077】
図1Dに示すような方法及びハードウェアの任意な個別又は組合せによって、循環ガスからの過剰水分量除去又は循環ガスの水分量増加は、乾燥フェーズ(フェーズ1)及び/又は炭酸化フェーズ(フェーズ2)の任意な部分中で容易にする。
【0078】
図1Eに示すような方法及びハードウェアの任意な個別又は組合せによって、製品に近接するガス並びに養生システム全体にわたる循環ガスのCO濃度は、乾燥フェーズ(フェーズ1)及び/又は炭酸化フェーズ(フェーズ2)の任意な部分中で制御する。
【0079】
製品に近接するガス流の速度、温度、及び湿度を制御することによって、養生すべき製品からの水分除去(蒸発)を容易にする。
【0080】
乾燥フェーズ(フェーズ1)及び/又は炭酸化フェーズ(フェーズ2)の任意な部分中で、望ましい蒸発率及びその後の製品の細孔構造内の水分分布を生成及び維持するよう、する。
【0081】
特定の水分量を除去し、製品の細孔構造内に特定水分分布を生成及び維持するため、乾燥フェーズ(フェーズ1)及び/又は炭酸化フェーズ(フェーズ2)の任意な部分中で、製品に近接するガス流の速度、温度、及び湿度、ひいては蒸発率を制御するよう、図1Cに挙げたような製品及び/又は養生システムからのセンサ出力を組み込んで、養生システムが分析する。
【0082】
個別製品の水分量及び個別製品の水分の均一性が、養生システム内のすべての製品にわたり均一となるのを確実にする。
【0083】
養生チャンバのすべての領域で均一な蒸発率が誘発されるよう製品に近接するガス流の速度、温度及び湿度を制御することによって、養生システム内におけるすべての製品にわたる個別製品の水分量分布を狭める。
【0084】
チャンバ全体にわたり乾燥レベルを均一にするため、製品及びシステムの状態に従って、乾燥フェーズ(フェーズ1)及び/又は炭酸化フェーズ(フェーズ2)の任意な部分中で、チャンバ全体にわたる一定ゾーンにおける製品に近接するガス流の速度、温度及び湿度を制御するよう、図1Cに挙げたような製品及び/又は養生システムからのセンサ出力を組み込んで、養生システムが分析する。
【0085】
製品及びシステムの状態に従って、乾燥フェーズ(フェーズ1)及び/又は炭酸化フェーズ(フェーズ2)の任意な部分中で、チャンバ全体における製品に近接するガス流の速度、温度及び湿度を制御するよう、図1Cに挙げたような製品及び/又は養生システムからのセンサ出力を組み込んで、養生システムが分析する。
【0086】
製品及びシステムの状態に従って、乾燥フェーズ(フェーズ1)及び/又は炭酸化フェーズ(フェーズ2)の任意な部分中で、循環ガスのCO濃度を制御するよう、図1Cに挙げたような製品及び/又は養生システムからのセンサ出力を組み込んで、養生システムが分析する。
【0087】
本発明の上述した及び他の目的、態様、特徴並びに利点は、以下の説明及び特許請求の範囲からより明らかになるであろう。
【0088】
本発明の目的及び特徴は、以下に詳細に説明する図面及び特許請求の範囲を参照することによってよりよく理解できるであろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、むしろ本発明の原理を図解する際に概して誇張している。
【図面の簡単な説明】
【0089】
図1A】本発明の原理による先進的な養生装置の例示的実施形態の概略図であって、矢印180で示すように、随意的にフェーズI(150)及びフェーズII(160)を繰り返すことができ、また随意的に所望に応じてフェーズI(150)からプロダクトアウト(170)まで進むことができることを示す。
図1B】本発明の原理による先進的な養生装置に使用されるチャンバの例示的実施形態を示す概略図である。
図1C】本発明の原理による先進的な養生装置に使用されるセンサの例示的実施形態を示す概略図である。
図1D】本発明の原理による先進的な養生装置を使用して実施される第1処理フェーズの例示的実施形態を示す概略図である。
図1E】本発明の原理による先進的な養生装置を使用して実施される第2処理フェーズの例示的実施形態を示す概略図である。
図1F】本発明の原理による先進的な養生装置での処理中に測定されるチャンバのチャンバ特性に関して測定されるパラメータの例示的実施形態、及び材料パラメータの例示的実施形態を示す概略図である。
図1G】本発明の原理による養生装置のプロセス制御コンポーネントの例示的実施形態を示す概略図である。
図2】時間の関数としてCO養生中に養生されているCO複合材料(CCM)の質量を示す概略的のグラフであり、個別の乾燥フェーズI及び炭酸化フェーズIIを示す養生中にサンプルの質量及びCO2取込みを示す。
図3】実施例1を養生するデータを示す図表である。
図4A】実施例2を養生する乾燥フェーズI中のサンプル温度及びRHプロファイルを示す。
図4B】実施例2を養生する炭酸化フェーズII中のサンプル温度及びRHプロファイルを示す。
図4C】実施例2を養生する炭酸化フェーズIII中のサンプル温度及びRHプロファイルを示す。
図5A】実施例3を養生するシステム養生プロファイルを示すグラフである。
図5B】実施例3を養生するシステム養生プロファイルを示すグラフである。
図5C】実施例3を養生するための、サンプル表面抵抗データ及びシステム養生プロファイルを示すグラフである。
図6】1つのファン及び3つのファンを使用するシステムで養生されるCO複合材料における、反応深さ、毎分立方フィート単位のガス流、及び試料から除去される水分量の差を示すグラフである。
図7】異なる相対湿度を有するガスの流速(流率)の関数としての水分除去率のデータを示すグラフである。
図8】デコンボリューション(解析)によって得られる、乾燥単独及び炭酸化単独に対する計算した経時的温度挙動を示すグラフである。
図9】2016年2月23日発行の米国特許第9,266,147号における従来技術説明の一部である図1に対応し、g-rHLPDプロセス概略図を示し、A--乾燥した多孔質CaSiOプレフォーム;B--部分的に濡れたCaSiOプレフォーム;C--最終高密度化モノリシック固体であり、ステップ1~4は、個別細孔で生ずる炭酸化-高密度化プロセスを示し、ステップ1--COを有する部分的に湿った細孔;ステップ2--COの拡散、溶解、及び解離;ステップ3--水素イオンによるCaSiOの溶解;ステップ4--固体の沈殿であり、ステップ4完了後には、種々の動的因子がプロセス(例えば、厚いCO反応層)を遅速化するまでプロセスはステップ2~4を連続的に行う。
図10】2016年2月23日発行の米国特許第9,266,147号における従来技術説明の一部である図2に対応し、細孔構造内での気相CO及び液状水を伴う炭酸化反応の第1実施例を示す。
図11】2016年2月23日発行の米国特許第9,266,147号における従来技術説明の一部である図3に対応し、細孔構造内での気相CO及び液状水を伴う炭酸化反応の第2実施例(90C、20PSIG反応で反応した、8×8×1.5インチ振動注型のカーメル石英組成物)を示す。
図12】2016年2月23日発行の米国特許第9,266,147号における従来技術説明の一部である図4に対応し、細孔構造内での気相CO及び液状水を伴う炭酸化反応の第3実施例(~90%相対湿度における90C、20PSIG反応で反応した、8×8×2インチサンプルサイズの1-2-3組成物)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本発明による装置、方法及びシステムは、養生(curing)のためにCOを必要とする材料を養生するのに有用である。この材料は、HOだけ存在しても養生しない。この材料はCOがないと養生しない。この材料は、試薬としては水を消費しない。このような材料は、参照によって本明細書に組み入れられる上述の特許文献に記載されている。
【0091】
本発明は、養生試薬(curing reagent)としてCOを必要とする材料を養生する養生システムを主眼とする。この養生システムは、反応剤(又は試薬)としてCOを消費し、またCO2が存在しないと養生しない材料を収容するよう構成された養生チャンバを備える。養生チャンバは、材料が養生チャンバ内に導入され、また養生チャンバから取り出すことができる構成された少なくとも1つのポートを有し、また前記ポートを閉じる少なくとも1つの閉止体であって、養生チャンバ内のガスが養生チャンバ外部のガスによる汚染を防止(又は差し障りのないレベルに制限)するよう、閉じたとき大気シールをなすよう構成された、該閉止体を有する。養生システムは、さらに、養生チャンバにおけるガス流入ポートによって気相二酸化炭素を養生チャンバに供給するよう構成された二酸化炭素源であって、気相二酸化炭素の養生チャンバ内への流率を制御するよう構成された少なくとも1つのフロー調節装置を有する、該二酸化炭素源と、反応剤としてCOを消費する材料が養生されていく時間的期間中にガスを養生チャンバ内で循環させるよう構成されたガス流サブシステムと、チャンバ内のガス温度を制御するよう構成された温度制御サブシステムと、チャンバ内におけるガスの湿度を制御して湿度を増減するよう構成された湿度制御サブシステムと、二酸化炭素源、ガス流サブシステム、温度制御サブシステム、及び湿度制御サブシステムのうち少なくとも1つと通信する少なくとも1つのコントローラと、並びに反応剤としてCOを消費する材料が養生されていく時間的期間中に、気相二酸化炭素の流率、養生チャンバにおけるガスの循環、ガスの温度、ガスの湿度のうち少なくとも1つをそれぞれ独立的に制御するよう構成された少なくとも1つのコントローラと、を備える。
【0092】
本発明は、CO複合材料の養生における乾燥サブプロセス及び炭酸化サブプロセスが直接的に互いに連係し、これにより炭酸化の割合及び程度は、乾燥率を制御することによって制御することができるという認識を含んでいる。
【0093】
特許文献である米国特許第9,211,027号、米国特許出願第14/602,313号、及び米国特許出願第14/818,629号に記載されている養生チャンバ及びその動作についての説明は、参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする。
【0094】
チャンバ内で実行される養生プロセスの絶対圧力は、複雑な圧力定格コンポーネントの使用を回避するため、5気圧より幾分低い圧力で行う。好適には、プロセスは、0.68~1.36気圧(10~20psi)の間における絶対圧力で行う。より好適には、0.98~1.02気圧(14.5~14.9psi)の間における絶対圧力で行う。
【0095】
本発明の幾つかの実施形態において、プロセスの部分、部分は、養生すべき製品からの水の蒸発を容易にするよう大気圧より低い圧力で行うことができる。
【0096】
本発明は、その複合材料の乾燥率を制御することにより複合材料の炭酸化率を最大化するプロセスを考慮する。このプロセスは、0~1000時間の炭酸化持続時間を有することができる。このプロセスは、0%~100%の範囲における浸透性を有するCO複合材料を含むことができる。幾つかの実施形態において、0%~100%の範囲内における浸透性は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%、のうち対応する1つの上限又は下限を有することができる。
【0097】
このプロセスは、0~36インチの範囲におけるCCMの炭酸化深さを有するCO複合材料を含むことができる。このプロセスは、CCMから除去される水分量がCCM質量の0%~99%における量に等しいCO複合材料を含むことができる。幾つかの実施形態において、水分除去量は、CCM質量の10%~90%、115%~90%、20%~90%、25%~90%、30%~90%、35%~90%、40%~90%、45%~90%、又は50%~90%の範囲内である。
【0098】
幾つかの実施形態において、水分除去量は、CCM質量の10%~85%、15%~85%、20%~85%、25%~85%、30%~85%、35%~85%、40%~85%、45%~85%、又は50%~85%の範囲内である。
【0099】
幾つかの実施形態において、水分除去量は、CCM質量の10%~80%、15%~80%、20%~80%、25%~80%、30%~80%、35%~80%、40%~80%、45%~80%、又は50%~80%の範囲内である。
【0100】
幾つかの実施形態において、水分除去量は、CCM質量の10%~75%、15%~75%、20%~75%、25%~75%、30%~75%、35%~75%、40%~75%、45%~75%、又は50%~75%の範囲内である。
【0101】
幾つかの実施形態において、水分除去量は、CCM質量の10%~70%、15%~70%、20%~70%、25%~70%、30%~70%、35%~70%、40%~70%、45%~70%、又は50%~70%の範囲内である。
【0102】
幾つかの実施形態において、水分除去量は、CCM質量の10%~65%、15%~65%、20%~65%、25%~65%、30%~65%、35%~65%、40%~65%、45%~65%、又は50%~65%の範囲内である。
【0103】
炭酸化可能ケイ酸カルシウム・コンクリートは、コンクリート製品が炭酸化可能ケイ酸カルシウムセメントを用いて製造され、また制御された様態でCO2に曝露させて望ましい物理的及び/又は化学的特性を有する養生済みコンクリート部品を製造するプロセスとして定義される。
【0104】
セメント系結合剤として炭酸化可能なケイ酸カルシウムを含有するコンクリート製品は、反応プロセス中に養生する。養生プロセス中にコンクリート体の質量及びCO消費のモニタリングは養生中に2つの特徴的なフェーズを明らかにする。このことを図2に明示する。第1フェーズは乾燥フェーズであり、この乾燥フェーズではCOの消費は最小か又は全く生じないかであるが、水が製品からチャンバ雰囲気に蒸発するにつれて製品の質量は減少する。第2フェーズは炭酸化フェーズであり、この炭酸化フェーズでは、CO2消費率が増大し、また炭酸化からの質量増加が乾燥中の質量損失を上回る。特定製品及び養生プロセスで使用する条件に関して、炭酸化反応プロセスがその最大収量に近づくにつれて、CO2消費率及びこれに続く固体の質量増加は減少する。このように、養生プロセスは、2つの特徴的フェーズ、すなわち乾燥フェーズ(フェーズ1)及び炭酸化フェーズ(フェーズ2)からなる。とくに、縦軸は質量とラベル付けされる。サンプル内に水並びに固体物質を含むサンプル質量の質量(実線曲線で表示)及び蓄積CO質量(点線曲線で表示)を表すのに使用される単位は、異なるスケールを有することができる。すなわち、概して、養生すべき材料へのCO付加は、養生すべき材料の質量よりも相当小さい絶対質量を表すもので、これはすなわち、COが約44原子単位の分子量を有するとともに、多くの固体は、それぞれが別個に40、24及び28原子単位を有するCa、Mg及びSiのような複数の化学元素を有するからである。
【0105】
フェーズI及びフェーズIIの度合い及び持続時間は、製品の調製、コンクリート原材料、セメント及び結合剤成分の特性、製品密度、製品ジオメトリ、化学的添加物の使用、及び養生プロセス中に加える条件に基づいて変化し得る。
【0106】
幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、製品の表面上又はバルク内における電気的特性の変化に関連する。幾つかの実施形態において、抵抗率、導電率、インピーダンス、キャパシタンス、絶縁定数、絶縁耐力、誘電率、圧電定数、製品のゼーベック係数のような、1つ又はそれ以上の電気的特性が変化し得る。
【0107】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、製品から除去される水分量の変化に関連する。幾つかの実施形態において、製品から除去される水分量は、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で製品の質量変化を追跡することにより測定される。
【0108】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、製品から除去される水分の変化率に関連する。幾つかの実施形態において、製品から除去される水分変化率は、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で測定、追跡及び制御される。
【0109】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、チャンバ内で循環するガスから収集される水分の変化率に関連する。幾つかの実施形態において、チャンバ内で循環するガスから収集される水分の変化率は、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で測定、追跡及び制御される。
【0110】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、チャンバ内で循環するガスにおけるCO2及び/又はO2の濃度変化に関連する。幾つかの実施形態において、チャンバ内で循環するガスにおけるCO2及び/又はO2の濃度変化は、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で測定、追跡及び制御される。
【0111】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、チャンバ内で循環するガスの相対湿度変化に関連する。幾つかの実施形態において、チャンバ内で循環するガスの相対湿度変化は、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で測定、追跡及び制御される。
【0112】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、チャンバ内で循環するガスの温度変化に関連する。幾つかの実施形態において、チャンバ内で循環するガスの温度変化は、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で測定、追跡及び制御される。
【0113】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、チャンバ内で循環するガスの温度変化に関連する。幾つかの実施形態において、チャンバ内で循環するガスの温度変化は、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で測定、追跡及び制御される。
【0114】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、製品の温度変化に関連する。幾つかの実施形態において、製品の温度は、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で測定、追跡及び制御される。幾つかの実施形態において、製品の温度変化は赤外線カメラを用いてモニタリングする。
【0115】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、チャンバ内圧変化に関連する。幾つかの実施形態において、チャンバ内圧は、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で測定、追跡及び制御される。
【0116】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、製品のpH変化に関連する。幾つかの実施形態において、製品のpHは、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で測定、追跡及び制御される。
【0117】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、プロセス中に製品から、またそれに続くチャンバから収集される水分のpH変化に関連する。幾つかの実施形態において、プロセス中に製品から、またそれに続くチャンバから収集される水分のpHは、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で測定、追跡及び制御される。
【0118】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、製品における元素組成の変化に関連する。幾つかの実施形態において、製品における元素組成は、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で測定、追跡及び制御される。
【0119】
他の幾つかの実施形態において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)から第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)への遷移は、製品における超音波刺激に対する応答の変化に関連する。幾つかの実施形態において、製品における超音波刺激に対する応答は、プロセスにわたり第1乾燥フェーズ(フェーズ1)又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)におけるあらゆる部分で測定、追跡及び制御される。
【0120】
本発明の態様において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)における製品温度及び水分除去の制御、並びに第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)における反応速度を制御し、また幾つかの事例において、エネルギー源を選択することで促進する。
【0121】
幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源は化石燃料の燃焼とする。
【0122】
幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源は電気抵抗加熱とする。
【0123】
幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源は赤外線加熱源とする。
【0124】
幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源はレーザーとする。
【0125】
幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源は誘電加熱とし、この誘電加熱は、マイクロ波周波数又は高周波周波数の波を採用することができる。幾つかの実施形態において、使用される高周波周波数は、工業、科学及び医療用の周波数帯(ISMバンド)である。
【0126】
他の幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源はプラズマとする。
【0127】
他の幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源は蒸気とする。
【0128】
他の幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源は過熱蒸気とする。
【0129】
他の幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源は伝導加熱とする。
【0130】
他の幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源は放熱器とする。
【0131】
他の幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源は輻射熱源とする。
【0132】
他の幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源は、熱電併給設備のような熱源とする。
【0133】
他の幾つかの実施形態において、ガス及び/又は製品の加熱に使用するエネルギー源は、上述した熱源の組合せを含むものとする。
【0134】
本発明の態様において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)における水分除去の制御、及び/又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)における反応速度を制御し、また幾つかの事例において、製品から、またそれに続くチャンバからの水分抽出を制御することによって促進する。
【0135】
幾つかの実施形態において、製品から、またそれに続くチャンバからの水分抽出は自然対流によって制御する。
【0136】
幾つかの実施形態において、製品から、またそれに続くチャンバからの水分抽出は強制対流によって制御する。
【0137】
幾つかの実施形態において、製品から、またそれに続くチャンバからの水分抽出は圧縮器によって制御する。
【0138】
幾つかの実施形態において、製品から、またそれに続くチャンバからの水分抽出は乾燥剤によって制御する。
【0139】
幾つかの実施形態において、製品から、またそれに続くチャンバからの水分抽出は熱交換器/冷却器によって制御する。
【0140】
幾つかの実施形態において、製品から、またそれに続くチャンバからの水分抽出は、真空に限定されないが、大気圧レジームよりも低い圧力を使用することによって制御する。
【0141】
幾つかの実施形態において、製品から、またそれに続くチャンバからの水分抽出は、上述したプロセスの組合せを使用することによって制御する。
【0142】
本発明の態様において、第1乾燥フェーズ(フェーズ1)における水分除去の制御、及び/又は第2炭酸化フェーズ(フェーズ2)における反応速度を制御し、また幾つかの事例において、チャンバ内におけるガス循環を制御することによって促進する。幾つかの実施形態において、製品近傍におけるガスの速度は、チャンバ内ガス流を調整することによって制御する。
【0143】
幾つかの実施形態において、ガス流は工学的プレナムを用いて制御する。
【0144】
幾つかの実施形態において、ガス流及び製品上におけるガス速度は内部循環システムを用いて制御する。幾つかの実施形態において、チャンバ内での工学的内部循環システムは、ガスをチャンバ内で移動させるファンを備える。
【0145】
幾つかの実施形態において、ガス流は外部循環システムを用いて制御する。幾つかの実施形態において、チャンバ内での工学的外部循環システムは、ガスをチャンバの内部と外部との間で移動させるファンを備える。
【0146】
幾つかの実施形態において、ガス流は、縦列配置した内部循環システム及び外部循環システムを用いて制御する。幾つかの実施形態において、ガス流はバイパスによって内部循環システムと外部循環システムとの間で比例配分する。
【0147】
幾つかの実施形態において、養生システムは、複数の内部循環システム、外部循環システム、ヒーターを備え、また除湿システムを1つのチャンバに付加してチャンバ内に複数の独立制御ゾーンをもたらすようにすることができる。
【0148】
本発明の態様において、養生プロセス中のCO消費効率を、炭酸化フェーズ(フェーズ2)の終了時におけるCO濃度を調整することによって最大化する。より具体的には、製品によるCO吸収率が減少するにつれて、炭酸化フェーズ中にチャンバ内におけるCO濃度は低下することができる。このことは、コスト及び環境配慮の双方から必須であるCO保全を支援する。
【0149】
実施例1
蒸発率を増減させる交互サイクルを利用する養生方法を使用して、厳密な一定乾燥条件に基づく実行よりも短い実行時間でケイ酸カルシウムセメント舗装材の同等な強度が得られた。
【0150】
方法論
養生チャンバには炭酸化可能なケイ酸カルシウムセメント舗装材を装填した。事前の測定はチャンバにわたる相対蒸発率の分布を示した。電気抵抗センサを、製品表面における相対蒸発率が比較的高い及び比較的低いことが既知である場所に配置した。
【0151】
チャンバ及びガス調整システムにCO2を高濃度に達するまで導入することによって養生プロセスを開始した。次に、フロー、熱、及びシステム除湿を調整して所望の温度及び相対湿度にした。チャンバは2.5時間で60℃に達し、相対湿度を60%以下に維持した。
【0152】
2.5時間の到達時にチャンバ内の蒸発率を減少させた。乾燥条件削減は、ヒーターの停止、及びガス循環システムの停止によって行った。ヒーター及びガス循環システムを再始動させる前に、この減少蒸発率条件を30分間維持した。他の乾燥条件削減サイクルを開始する前には、初期の蒸発条件を1時間にわたり維持した。通常蒸発レジームと削減蒸発レジームとの間における遷移の正確なタイミングは、製品表面における電気抵抗をモニタリングすることによって決定した。システムが65℃、高ガス流/速度、及び極低相対湿度による高度乾燥ステップに進行する前には、合計で4回のサイクルが完遂された。養生プロセスの総持続時間は13時間であった。
【0153】
利用した養生プロセスは、チャンバ内における製品全体にわたる水分除去を均一化するのに役立つよう開発した。内部循環速度を減少することによって、製品の表面における蒸発率は減退した。このことは、水が製品内部から製品外部に輸送する機会を与え、これにより各製品内部における水分勾配を少なくする。このような失速プロセスを導入することによって、比較的高い局所的蒸発率に起因するフェーズ1の乾燥中に好ましくない急峻な水分勾配を生ずるおそれがある若干の製品は、その代わりに、フェーズ1の乾燥終了時までに好ましい低い水分勾配が得られるように乾燥することができる。
【0154】
この実験データを図3に示す。
【0155】
実施例2
COがない状態におけるフェーズ1の乾燥を含む養生プロセスを研究するため、炭酸化可能なケイ酸カルシウムセメントをベースとするコンクリート円筒体を製造した。生コンクリートを生産するのに使用した混合物割合を表1に示す。表1における量の材料を用いて生産された生コンクリートの特性を表2に示す。
【表1】
【0156】
【表2】
【0157】
コンクリートを生産するのに使用した混合手順は以下の通りである。
1) すべての粗骨材をミキサー内に添加する。
2) すべての砂をミキサー内に添加する。
3) ドライな混合物を30秒間混合する。
4) 50%の混合水を添加してウェット骨材ミックスを生産する。
5) セメントをミキサー内に添加して濡れたコンクリートミックスを生産する。
6) 限定しないが、Sika Plastimentのような固化遅延剤をミキサー内に添加し、またこれを30秒間混合する。
7) 残りの50%の混合水を添加し、またこれを30秒間混合する。
8) 限定しないが、Glenium 7500のような減水剤を添加し、またこれを30分間混合する。
9) ミキサーを1分間休止させる。
10) 生コンクリートのスランプを測定する。
11) 生コンクリートの単位重量及び空気含有量を測定する。
12) 16個の4×8″の円筒体を、2~3層に分けて生コンクリートミックスで注型し、各層につき約30秒振動を加えた。
13) コンクリート試料を80℃にセットした温度のオーブン内に3時間にわたり置いた(図4A参照)。
14) 3時間のオーブン乾燥後に試料をオーブンから取り出し、また1時間にわたり周囲条件で冷却する。
15) 乾燥状態(フェーズ1)中に失われた水分量を計算するため試料の重量を秤量する。
16) 試料を型から取り出し、それら試料を炭酸化のための60℃及び60%RHである養生チャンバ内に20時間投入し(フェーズ2)、この養生チャンバは>95%のCOガス濃度を有している(図4B参照)。
17) これら試料は、さらに、80℃及び30%RH、>95%のCOガス濃度で20時間にわたり炭酸化した(フェーズ2の継続)(図4C参照)。
【0158】
40時間の炭酸化後の養生したコンクリート(4×8″円筒体)の平均圧縮強度は、9388psiであることが観測された。
【0159】
実施例3
実施例3のためのウェット注型コンクリート製品の製造に使用された混合物割合を表3に示す。コンクリートは、セメント及び骨材をドライ混合し、次に水及び骨材を導入し、また最終的にバッチ全体をウェット混合することにより調製した。生コンクリートは、スプレッド量、単位重量、空気含有量、及び偏析の傾向を試験した。生ミックスは、144lb/ftの単位重量、7%の空気含有量及び20インチのスプレッド量であった。ミックスは偏析しなかった。コンクリートは、24″×24″×1.5″、24″×18″×1.5″、及び24″×12″×1.5″のABSプラスチック成形キャビティ内に直接注入し、また成形型を穏やかにタッピングすることによって手短に固密化した。
【0160】
【表3】
【0161】
濡れた注型試料を含むABS成形型を養生チャンバ内に装填した。2つの養生プロセスを調べた。調べた各養生プロセスの持続時間は14時間であった。
【0162】
養生プロセスAにおいて、養生チャンバはパージして高CO濃度(>90%)にした。ヒーター及びガス循環システムを制御して60℃の温度及び25%以下の相対湿度にした。製品表面の電気抵抗をモニタリングした。養生を14時間実施した。製品表面の電気抵抗は、4時間目における不完全養生のコンクリート体の電気抵抗から観測を開始した。製品表面の電気抵抗変化は、乾燥優勢フェーズと炭酸化優勢フェーズとの間の遷移を示した。
【0163】
養生プロセスBにおいて、養生レシピは、炭酸化養生の程度を高めるために、炭酸化フェーズ中にサンプルの蒸発率が減少するよう変更した。先ず、養生チャンバはパージして高CO濃度(>90%)にした。ヒーター及びガス循環システムを制御して60℃の温度及び25%以下の相対湿度にした。4時間後には、製品表面の電気抵抗変化が示すように、チャンバ内が高湿度となるようガス循環のセッティングを変更し、またこれにより3時間にわたり蒸発を減少させた。この低蒸発率ステップに続いて、ガス循環システムのセッティングを変更し、チャンバの相対湿度の上限を50%にすることによって2時間にわたり蒸発率を徐々に増大させた。このステップに続いて、ガス循環システム及びヒーターのセッティングを変更し、残りの実働時間にわたりガス温度を70℃に上昇させ、またチャンバの相対湿度上限を25%にした。
【0164】
養生プロセスA及び養生プロセスBにわたる、チャンバ温度、チャンバ相対湿度、及びサンプル表面の電気抵抗を図5Cに示す。
【0165】
プロセスA及びプロセスB中に養生した製品の曲げ強度を測定した。製品は、さらに半分にカットし、それら半部が均一に炭酸化していたかを確認できるようにした。プロセスAを用いて養生した製品は、620psiの曲げ強度を有しており、また中心に脆弱で炭酸化不足領域があることが観測された。プロセスBを用いて養生した製品は、789psiの曲げ強度を有しており、また強固でありかつ厚さ全体にわたり炭酸化されていることが観測された。この試験結果は、コンクリート養生プロセスの炭酸化フェーズ中に蒸発率を減少させることが養生プロセスを促進できることを証明している。
【0166】
高周波養生
実施例4
幾つかの炭酸化可能なケイ酸カルシウムセメントをベースとする舗装材を、種々の温度センサを有するRF両立性ボード上の所定位置に配置した。サンプルは、RFシステム内に装填し、5分間で60℃の温度にし、次の10分間で70℃にし、次の10分間で90℃にまでした。経時的に温度すべてをモニタリングし、また目視観測も行った。25分間の試験終了時に複数サンプルを水分分析のため種々の場所から取り出した。
【0167】
すべての炭酸化可能なケイ酸カルシウムセメントをベースとする舗装材を、効果的に加熱及び乾燥した。内部温度及び外部温度は、双方ともに±5℃であった。単一の舗装材の中心から頂面まで測定した水分量間の相違は、0.25%~1.05%の間であった。
【0168】
実施例5
8個の炭酸化可能なケイ酸カルシウムセメントをベースとする舗装材を、RFシステム内における4つの別個のRF両立性ビンに装填した。COをビンの底部コーナーに流入させ、また反対側の頂部から流出させた。サンプルは、RFにより約10分間で60℃まで上昇させ、1時間にわたりこの温度を保持してから、この第1サンプルを試験した(60℃になるまで10分間は1300W、次に舗装材あたり12Wにして60℃を維持)。サンプルは、30分毎に取り出して試験し、次にRFシステム内のCO環境に戻した。最後の30分間はサンプル温度を85℃にした。総CO曝露時間は5時間であった。1つのサンプルは半分に壊し、硬いことが判明し、また全体にわたり炭酸化していた。
【0169】
高周波ベースの養生システム内部で舗装材は養生することが可能であり、短い時間フレーム内で実施することができる。
【0170】
実施例6
8個の炭酸化可能なケイ酸カルシウムセメントをベースとする舗装材を、温度センサを埋設した状態でRFシステム内に装填し、温度を85℃まで上昇させた。
【0171】
内部舗装材温度は1分で60℃に達し、2分で85℃に達した。
【0172】
実施例7
炭酸化可能なケイ酸カルシウムセメントをベースとする舗装材を、温度センサを埋設した状態でRFシステム内に装填し、また2分で85℃にした。サンプルを取り出し、水分量を測定し、水の分布を観測した。この実験を数回、マシンに対する微調整を行いながら反復して行った。
【0173】
水分量測定したサンプルは、RF曝露の2分間内で水分の30%~50%が失われたことを示した。
【0174】
実施例8
8個の炭酸化可能なケイ酸カルシウムセメントをベースとする舗装材を、RFシステム内における4つの別個のRF両立性ビンに装填した。各ビンにおけるサンプル内に温度センサを埋設した。COをビンの底部コーナーに流入させ、また反対側の頂部から流出させた。サンプルは、約3分50秒で85℃まで上昇させ、3時間にわたりこの温度を保持した(85℃になるまで3分50秒間は8kW、次に舗装材あたり~200W又は25Wにして85℃を維持)。
【0175】
舗装材の中心は極めて硬いものであったが、表面及びコーナーは幾分柔らかかった。この結果は、RFベースの養生システムの更なる最適化及び開発により極めて急速な養生時間をもたらし得ることを証明している。
【0176】
実施例9
8個の炭酸化可能なケイ酸カルシウムセメントをベースとする舗装材を、そのうち2個に温度センサを埋設した状態でRFシステム内に装填し、また2分で85℃にした。サンプルを取り出し、半分のサンプルに水を噴霧して表面を再ウェット化し、残りの半分はそうしなかった。次に4個のサンプルの2セットをプラスチック容器内に配置し、加熱COを底部コーナーに流入させ、また反対側の頂部から流出させた。3時間後、サンプルを各容器から取り出し、半分に壊し、また点検し、追加の1個は各容器から取り出し、別にしておいた。再ウェット化しなかったサンプルは、中心が養生していると見受けられたが、表面及びコーナーは柔らかく、ほこりまみれの外観を呈していた。再ウェット化したサンプルは、硬い表面を有し、また中心が養生していることが分かった。
【0177】
炭酸化可能なケイ酸カルシウムセメントをベースとする舗装材は、高周波を用いて加熱及び乾燥することができ、また次に高周波を使用することなくCO2環境内で養生することができた。プロセスの第1加熱及び乾燥フェーズ中にのみ高周波を使用することによっても、依然として総プロセス時間を大幅に短縮することができる。表面の再ウェット化は、極めて急速な加熱フェーズ後に有益であることが分かった。
【0178】
水分除去
図6は、1つのファン及び3つのファンを使用するシステムで養生されるCO複合材料における、反応深さ、毎分立方フィート単位のガス流、及び試料から除去される水分量の差を示すグラフである。CO複合材料における、反応深さ、毎分立方フィート単位のガス流、及び試料から除去される水分量はすべて、反応ガスを移動させる能力がより高くなるとき、増大する。
【0179】
図7は、異なる相対湿度を有するガスの流速(流率)の関数としての水分除去率のデータを示すグラフである。図7で見られるように、より高い流率及びより低い相対湿度を用いることは、水分がサンプルから除去される割合が増大する傾向を示す。COによるCCM反応は、水分が飽和したCCMが気相COと接触する界面で優先的に生じ、したがって、より急速な水分除去はより速い養生速度に相関すると考えられる。
【0180】
図8は、参照により本明細書に組み入れられるものである、米国特許出願第14/602,313号で説明されているような、デコンボリューション(解析)によって得られる、乾燥単独及び炭酸化単独に対する計算した経時的温度挙動を示すグラフである。図8は、同一時間スケールでプロットした炭酸化発熱と乾燥発熱との比較を含む。図8は、乾燥を使用して反応の速度及び程度を制御できることを示している。
【0181】
養生中乾燥前線自体が確立し、また形成した物体の外側から内側に向かって移動することが分かる。反応前線も乾燥前線とほぼ同期して形成される。養生反応は、乾燥前線/反応前線の近傍でのみ生ずることができ、これはすなわち、COは、ガスとして供給され、また初期的には水には何ら高い濃度では存在しないからである。乾燥前線の前方(例えば、前線のウェット側)において、水はCO拡散を阻止する細孔内に存在する。前線の背後(例えば、前線のドライ側)において、細孔は炭酸化を支援する水を僅かしか含んでいないが、COは前線領域に急速に拡散することができ、また水は前線背後から形成体の表面に拡散することができる。これら前線が形成体の領域を経て急速に移動する場合、反応の程度は、前線が化学反応の固有速度に比べて緩慢に移動する場合よりも低下する。乾燥前線の形状は、形成体の外形、外表面にわたる相対乾燥率、及び前線から形成体の表面までの拡散距離に依存する。
【0182】
付加資料
米国特許第9,266,147号は、参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする。
【0183】
流体において、拡散を生じなければならない厚さが、二乗平均平方根変位の計算によって推定できる拡散距離よりも大きいとき、拡散プロセスはプロセス速度を制限する。例えば、対流のない流体に関しては、室温及び大気圧で水におけるイオンの拡散は約0.19cmである。材料の厚さがその長さスケールを超える多くの用途がある。多くの事例では、当業者に既知の任意の適当な手段による流体の機械的対流が必要である。他の代案は溶媒又は反応種を気相種として導入することである。このことが行われるとき、拡散距離は9cmまで増大する。他の実施形態において、液体とガスとの間に存在する輸送速度を得るために、超臨界条件を採用することができる。
【0184】
図9はg-rHLPDプロセス概略図を示す。A--乾燥した多孔質CaSiOプレフォーム;B--部分的に濡れた(ウェットな)CaSiOプレフォーム;C--最終高密度化モノリシック固体である。ステップ1~4は、個別細孔で生ずる炭酸化-高密度化プロセスを示し、ステップ1--COを有する部分的に濡れた細孔;ステップ2--COの拡散、溶解、及び解離;ステップ3--水素イオンによるCaSiOの溶解;ステップ4--固体の沈殿である。ステップ4完了後には、種々の動的因子がプロセス(例えば、厚いCO2反応層)を遅速化するまでプロセスはステップ2~4を連続的に行う。
【0185】
無機ケイ酸塩の炭酸化反応を迅速に行うには、ガス支援HLPS、すなわち換言すれば、ガス支援熱水液相高密度化、rHLPDのコンセプトがある。g-rHLPDは、部分的に浸透した細孔を利用して、気相拡散が迅速に多孔質プレフォームに浸透し、また細孔内における液体界面溶媒薄膜を溶解したCOで飽和できるようにする。COベースの種は、純水において低溶解性を有する(25℃、1気圧で1.5g/L)。したがって、相当多量のCOを多孔質プレフォーム全体にわたり連続的に供給して、著しい炭酸塩転換を可能にしなければならない。気相拡散を利用することは、液相での同等時間における溶解可能COの拡散よりも拡散長さに100倍もの増加をもたらす。この部分的浸透状態は、反応が固定時間内で高程度の炭酸化に進行させることができる。例えば、部分的浸透状態において、CaSiOのCaCO及びSiOへの47.5±2.7mol%転換を、90℃の温度及び2.36気圧においてほぼ19時間で達成することができる。細孔が完全に水で満たされていることは除外して、すべて同一反応条件が維持されている場合、3.8±0.5mol%の相当低い炭酸化転換結果になる。
【0186】
この研究は、(1) 反応(この事例では炭酸化)の前及び最中双方において多孔質プレフォーム全体にわたり多孔質体における細孔飽和度(DPS:degree of pore saturation)に対する水濃度の選択、及び(2)水を多孔質体にどのように送給するかの方法論には注意を払っていなかった従来公表済みの研究とは異なる。その代わりに、従来技術は、DPSの値を100%未満の値に維持する反応中に水送給の最適方法を識別することなしに、DPSの重要性並びにCO及び水蒸気を含むオートクレーブ内でのプレフォーム後処理の重要性を認識できずに、多孔質プレフォームの調製中には任意な量の残留水を使用した。LTS中における水濃度及び多孔質プレフォーム内への給水方法を制御することは、炭酸化反応速度論の大きく影響を及ぼす。このこと及び向上した反応度及び反応収率(反応した高い割合)の条件を見出すDPSコンセプトを実践する概念を実証するため、サンプルは微多孔質のGore-TexTM層から形成した容器内で反応させた。Gore-TexTMだけが、水蒸気の種を水飽和状態の雰囲気内におけるサンプルに対する出入りを可能にし、この雰囲気において、COの反応度は2.36気圧の圧力及び90℃の温度で一定となる。水のプールをサンプルの下方にセットして、雰囲気を飽和させ、また反応持続時間全体にわたり水蒸気と共存させる。このようにして、多孔質マトリクスにおける選択した水分量が平衡化水蒸気によって一定となり、多孔質マトリクスにおける蒸発を生じない。その代わりに、多孔質マトリクスは、毛細管流動により質量損失なしに、水をマトリクス内に再分配する。19時間の反応にわたり(DPSが0vol%から60vol%に上昇するとき)、炭酸化度は31.3mol%からこの値を超えて最大レベルの49.6mol%まで変化し、DPSが80vol%に上昇するとき、炭酸化度は35.6mol%に低下し、またDPSが100vol%であるとき、3.8mol%に低下する。これらデータは、細孔内の液体水の最適量が反応収率及び反応速度を上昇させ、これはすなわち、炭酸種及びカルシウム種双方のイオン化が重要であるからである。しかし、浸透溶液レベルは、COガスが水相における多孔質マトリクス固体/液体界面に対する細孔境界で溶解及び拡散する前に気相拡散によって多孔質マトリクス内にCOガスが拡散できるほど十分低いレベルにする必要はない。このことをすべて図9に概略的に示す。
【0187】
図9に戻って説明すると、多くの実際的事例において粒径は多分散系であるが、この粒径分布は単分散系であり、また粒子の固結(packing)は階層構造をとる幅広い多様な固結形態を採用することができ、この階層構造では固結形態は各階層レベルを繰り返す、又は各レベルで変化する。さらに、固結構造は、長距離秩序、短距離秩序を有することができ、又は長さスケールが小さい、中間、又は大きいかに係わらず、長さスケール毎にランダムレベルの秩序を採用することができる。代案的に、短距離秩序は、小さい長さスケールでのみ持続することができ、中間及び大きい長さスケールではランダムになり得る。さらに、粒子は短い長さスケールにおいてランダム秩序で固結化することができるが、これらランダム秩序の領域は長い長さスケールで周期的に分布することができる。これら実施例からは、粒子が多くの異なる形態で固結化することができ、順列はほぼ無限にあることが明らかである。したがって、すべての可能性を定義する意味はない。順列がほぼ無限にあることを容認すると、固結密度は小さい値から変化することができ、この値は、大きい長さスケール、中間長さスケール及び小さい長さスケールで繰り返す秩序立った階層固結化で99vol%もの高い値になり得る。代案的に、固結構造が多孔質マトリクスにおける粒子又は無機ポリマーのフラクタルな又は樹枝状の固結化をしているエーロゲルの特徴を有するとき、0.04vol%程度の低い値となることができる。
【0188】
固結化密度は広範囲にわたって変化し得ることを考えると、99vol%固結化を有する細孔を飽和させるのに要する水分量は極めて少ない水分量であるとともに、0.04vol%固結化の細孔を飽和させるのに要する水分量は極めて多い水分量である。したがって、必要条件が気相と水との間及び水と固相との間における迅速な反応を可能にするオープンな多孔率を維持することである場合、当業者には急速反応を可能にする最適な水分量は系体毎に異なることに想到できるであろう。
【0189】
系体における多孔率を知ることは有用であるとともに、必要とする水分量は細孔サイズ、細孔のねじれ度、及び何らかの細孔が閉塞されることになるか否かにも左右される。閉塞した細孔は、多孔質マトリクスの大きな割合部分を確実に溶解する反応によって生ずる開放した細孔に転換するまでは浸透溶液のための反応部位をなさない。さらに、上述した説明は多孔質構造が均一であることを前提とする。しかし、細孔構造が均一でない場合、水の最適濃度は、水で飽和されている不均一構造に依存する。それはそれとして、多分散系細孔を有する系体を考慮すると、浸透溶液は、大きな細孔を部分的に満たした状態に維持するとともに、小さい細孔を完全に充満できることが考えられる。このような状況は、開放している細孔が充満状態にある細孔に対して妥当な近接範囲内にあると仮定すると容認可能である。正確な近接距離は、距離が、ガスの温度、圧力及び組成、浸透溶液並びに多孔質マトリクスに依存するため精密には規定できない。
【0190】
上述の議論は、多孔率を表現できる方法が無限にあるため、反応速度を最適化するのに必要である精密な水分(例えば、溶媒)の量を特定することが重要であることを実証している。最適水分濃度は、固結化密度が95vol%であるとき1vol%(DPS=20%)であるが、固結化密度が62vol%であるとき24vol%(DPS=63%)である。正確な多孔率を予測する方法は、多孔率、細孔サイズ分布、細孔形状、ねじれ度、マトリクスにおける閉じた細孔に対する開放した細孔の割合、及び反応している物体のすべての長さスケールにおける種々のタイプ又は細孔の均一性を詳細に知得することによって可能であることが考えられる。したがって、本発明の重要な態様は、ガスが細孔構造内に対流移動又は拡散し、溶媒に溶解及び反応し、次いで多孔質マトリクスと反応することが重要であるときは、いつでも最適な水分濃度は実際には極めて広範囲にわたって変化し得るものであるとの認識にある。
【0191】
本発明の他の重要なポイントは、本明細書記載のように多孔質マトリクスに水を分配するには異なる方法があるとの認識にある。例えば、多孔質固結体が水で完全に飽和されている場合、オープンな細孔を生ずるのに乾燥を使用できる。しかし、多孔質マトリクスの外面から内部バルクに移行するにつれて、この構造の細孔は異なるDPS値を有する。外面において細孔は水を含まないが、構造の内方に移行するにつれて、細孔は部分的に満たされ、また一層構造内に移行するにつれて細孔は完全に充満状態となる。この構造は、明らかにDPS値に大きな勾配を有し、またしたがって、DPSに勾配のある構造が静止状態にあると仮定すると、この構造の反応速度は構造の外側から内側に向って変化する。しかし、乾燥ステップを即座に停止すると、相対湿度は平衡値に調整され、これにより多孔質マトリクスからの水分損失は止み、毛細管は充填された細孔を空にしようと駆動して部分的に充填された状態にし、また部分的に充填された細孔は空の細孔を部分的に充填し、この場合、構造全体は水分布がより一層均一になる。このような状況は、不均一系は均一系と同じように速く反応しない状況であり、これはすなわち、均一系ではすべての細孔にアクセス可能であり、より多くの反応部位が利用できるからである。したがって、この実施例は、多孔質マトリクスにおける水の分布をどのように均一にするかが重要であることを示している。したがって、浸透溶液成分(溶媒、反応種)の添加方法に加えて、水の最適濃度は、多孔質構造が均質又は不均質なものとして維持されているか否かによっても左右される。したがって、最適水分濃度を特定しなければならない任意な状況において、均質性の記述は、なぜ所定水分濃度が最速の反応速度を生ずるか、並びに高密度化反応を実施する度毎にどのようにしてその条件の極めて同一セットを再現するかの理解を深めていく上で重要である。さらに、溶媒、又は換言すれば水の分布が均一でない状況において、水分を再分布させるためにアニーリングのようなプロセスを実施できる点を指摘することも重要である。水に関して、制御された湿度環境においてサンプルから水蒸発がないようにすることが最善である。その代わりに、単に水をオープンな細孔内に流入させ、マトリクスにおける種々の細孔間で流体毛細管力を均衡化する。
【0192】
図10~12は、細孔構造内での気相CO及び液状水を伴う炭酸化反応が、いかに所定CaSiO結合剤の炭酸化度を最大化する最適DPS値を呈するかの3つの実施例を示す。
【0193】
g-rHLPDは、部分的に浸透した細孔空間を利用して、気相拡散が迅速に多孔質プレフォームに浸透し、また溶解したCOで細孔内における液体界面溶媒薄膜を飽和できるようにする。COベースの粒子は、純水において低溶解性を有する(25℃、1気圧で1.5g/L)。したがって、相当多量のCOを多孔質プレフォーム全体にわたり連続的に供給して、著しい炭酸塩転換を可能にしなければならない。気相拡散を利用することは、液相での同等時間における溶解可能COの拡散よりも拡散長さに100倍もの増加をもたらす。約1.88g/ccのバルク密度を有する珪灰石多孔質マトリクスは、湿式加圧によって準備した。このマトリクスに部分的に浸透することによって、反応は一定の時間的期間で高い炭酸化度に進展できる。例えば、部分的浸透状態において、CaSiOのCaCO及びSiOへの47.5±2.7mol%転換を、90℃の温度及び2.36気圧においてほぼ19時間で達成することができる。細孔が完全に水で満たされていることは除外して、すべて同一反応条件が維持されている場合、3.8±0.5mol%の相当低い炭酸化転換結果になる。
【0194】
このこと及び向上した反応度及び反応収率(反応した高い割合)の条件を見出すDPSコンセプトを実践する概念を実証するため、サンプルは微多孔質のGore-TexTM層から形成した容器内で反応させた。Gore-TexTMだけが、水蒸気の種を水飽和状態の雰囲気内におけるサンプルに対する出入りを可能にし、この雰囲気において、COの反応度は2.36気圧の圧力及び90℃の温度で一定となる。水のプールをサンプルの下方に追加して、雰囲気を飽和させ、また反応持続時間全体にわたり水蒸気と共存させた。このようにして、多孔質マトリクスにおける選択した水分量が平衡化水蒸気によって一定となり、多孔質マトリクスにおける蒸発を生じない。その代わりに、多孔質マトリクスは、毛細管流動により質量損失なしに、水をマトリクス内に再分配する。湿式加圧方法を用いて、約1.83~1.86g/ccのバルク密度を有する多孔質マトリクスを準備した。19時間の反応にわたり(DPSが0vol%から60vol%に上昇するとき)、炭酸化度は31.3mol%からこの値を超えて最大レベルの49.6mol%まで変化し、DPSが80vol%に上昇するとき、炭酸化度は35.6mol%に低下し、またDPSが100vol%であるとき、3.8mol%に低下する。これらデータは、図10にプロットされている。これらデータは、細孔における60vol%のDPSでの最適量の液体水溶媒が19時間にわたる反応収率を最大化することを実証している。
【0195】
図10は、細孔構造内での気相CO及び液状水を伴う炭酸化反応の第1実施例を示す。
【0196】
図11は、細孔構造内での気相CO及び液状水を伴う炭酸化反応の第2実施例:90C、20PSIG反応で反応した、8×8×1.5インチ振動注型のカーメル石英組成物を示す。
【0197】
図12は、細孔構造内での気相CO及び液状水を伴う炭酸化反応の第3実施例:~90%相対湿度(~90%RH)における90C、20PSIG反応で反応した、8×8×2インチサンプルサイズの1-2-3組成物を示す。
【0198】
これらグラフ各々において、システムがそれぞれ異なっており、サンプルのサイズ、形状、反応性珪灰石、反応時間、反応温度、相対湿度及びリアクタ設計のすべてが異なるが、それでも各システムは、質量輸送及び反応速度が形成される炭酸塩量を最大化するよう最適化された最適濃度を示す上では一致するものであった。最適DPS値は20~60vol%にわたり変化した。これら事例において、すべての多孔質マトリクスは約60%の相対密度を有する。したがって、多孔質マトリクスがそれよりも大幅に大きい又は小さい密度であった場合、値のこの範囲は、細孔のサイズ及びねじれ度が同一であると仮定すると、それより大きいものとさえなり得る。細孔のサイズ及びねじれ度が異なる場合、値はより幅広い範囲にわたってさえも変動し得る。したがって、炭酸化度及び炭酸化速度を最適化する重要なステップは、任意な所定水送給方法に対して最適なDPS値が存在すると認識することである。この値を知得することは、反応時間量を最小化する理想的条件を決定できるとともに、熱水液相焼結反応によってより一層結合した相に結晶化する。
【0199】
本発明の一層の改善は、多孔質マトリクスに対して圧力勾配を加えることによってガス種を機械的に対流させるとき行うことができる。ガスが反応種である場合、溶媒流体が充填された細孔は、反応種ガスを吸収できる細孔における溶媒膜の背後に流体を流出させることができる。代案として、部分的に充填された細孔は、溶媒がガスの一部分を吸収しながら、ガスを細孔に通過させることができる。
【0200】
好ましい手法は、低コストプロセスを開発できる低温及び低圧を利用すべきである。したがって、反応性種の気相拡散を容易にするよう細孔に溶媒の一部分を保持するプロセスは、製品の大部分にとって望ましい反応に対して静止流体を利用するよりも好ましい。気相前駆体が利用できない場合、浸透流体を迅速に多孔質マトリクスに対して機械的に対流させる方法は有効な代替手法である。
【0201】
非限定的な作動実施例
実施例A
水蒸気による外部輸送
A1 混合
11.117kgのNYAD400、20.39kgの石工砂、及び16.76kgの1/4″骨材、及び16.76kgの#67骨材を、個別のバケットに集めた。次に4.9kgの脱イオン水、55mlのGlenium(登録商標)、及び8gのウェランガムを予混合することによってバッチ水を調製した。#67及び1/4″の骨材をマーシャルけん引コンクリートミキサー内に投入し、またバッチ水溶液の1/4を骨材に注入した。ミキサーを始動し、1分間にわたり全速力で運転した。ミキサーを運転した状態で石工砂を注入した。更なる1分間の混合後に、ミキサーを運転している間にNYAD400を直接ミキサーに添加した。ミキサーは、さらに1分間運転させ、次にミキサーを運転させたまま残りのバッチ水をミックス(混合物)に直接添加した。このバッチを2分間混合して、ミキサーを停止した。ミキサーの側面をパテナイフで付着した材料を除去するよう削ぎ落した。ミキサーを再び始動し、追加の3分間にわたり全速力で運転した。ミキサーを停止し、ミックスを5ガロンのバケットに注入した。
【0202】
A2 注型(Casting)
1フィート×1′×6″の成形型を潤滑剤で塗布し、この塗布は、ぼろ切れにWD-40をスプレーし、クリーンな成形型の内面に擦り付けることによって行った。テーブル状秤を用いて成形型の重量を記録した。潤滑した成形型はVibco社の振動テーブル上に配置した。こて、スコップ又は手によってバケットからミックスを取り出し、また成形型にほぼ1/4程度充填した。次に、約1分間又はミックスが成形型になじむまで、60%の出力で成形型を振動させた。このプロセスを繰り返し、最終的に成形型があふれるほど充満させた。サンプルの最終的重量を記録してから空気乾燥エリアで一晩保管した。
【0203】
A3 乾燥
サンプルを一晩空気乾燥させた。24時間の空気乾燥後、サンプルを90℃のオーブン内に配置した。90℃での24時間後にサンプルを取り出し、離型した。サンプルは追加の48時間にわたりオーブン内に戻して配置し、反応前に完全に乾燥させた。
【0204】
A4 反応
サンプルを養生(反応)に使用するオートクレーブは、ステンレス鋼の半径7フィート及び長さ12フィートの水平間接蒸気ユニットである。サンプルは90℃に予加熱したオートクレーブ内に装填した。オートクレーブのドアを閉鎖した後、15分でー14psigまで抽気した。オートクレーブには加熱したCOガス及び147.5℃の蒸気を充填戻しし、追加の熱をサンプルに供給し、サンプル装填及びガス膨張中に生ずる熱損失を補償した。オートクレーブ内の圧力が0psigに達した後、オートクレーブのファンを4900RPMで始動させた。総圧力が10psigに達したとき、COを遮断した。オートクレーブの温度は90℃にセットし、また95℃の熱水をオートクレーブの底部で循環させ、ユニットを水蒸気で飽和した状態に維持した。システムは、45分から1時間にわたり平衡化できるようにし(総psiが約16psigに達する)、また次にオートクレーブ圧力は、加熱したCOのみを充填することによって、20psigまで上昇させた。サンプルは19時間にわたり養生した。
【0205】
加熱したサンプルは、それ以上の重量損失がないようになるまで90℃の乾燥オーブン内で乾燥させた。反応程度は反応中の重量利得に基づいて計算した。平均反応程度は35%であった。
【0206】
実施例B
内部の部分的乾燥
B1 混合
11.117kgのNYAD400、20.39kgの石工砂、及び16.76kgの1/4″骨材、及び16.76kgの#67骨材を、個別のバケットに集めた。次に4.9kgの脱イオン水、55mlのGlenium(登録商標)、及び8gのウェランガムを予混合することによってバッチ水を調製した。#67及び1/4″の骨材をマーシャルけん引コンクリートミキサー内に投入し、またバッチ水溶液の1/4を骨材に注入した。ミキサーを始動し、1分間にわたり全速力で運転した。ミキサーを運転した状態で石工砂を注入した。更なる1分間の混合後に、ミキサーを運転している間にNYAD400を直接ミキサーに添加した。ミキサーは、さらに1分間運転させ、次にミキサーを運転させたまま残りのバッチ水をミックス(混合物)に直接添加した。このバッチを2分間混合して、ミキサーを停止した。ミキサーの側面をパテナイフで付着した材料を除去するよう削ぎ落した。ミキサーを再び始動し、追加の3分間にわたり全速力で運転した。ミキサーを停止し、ミックスを5ガロンのバケットに注入した。
【0207】
B2 注型(Casting)
1フィート×1′×6″の成形型を潤滑剤で塗布し、この塗布は、ぼろ切れにWD-40をスプレーし、クリーンな成形型の内面に擦り付けることによって行った。テーブル状秤を用いて成形型の重量を記録した。潤滑した成形型はVibco社の振動テーブル上に配置した。こて、スコップ又は手によってバケットからミックスを取り出し、また成形型にほぼ1/4程度充填した。次に、約1分間又はミックスが成形型になじむまで、60%の出力で成形型を振動させた。このプロセスを繰り返し、最終的に成形型があふれるほど充満させた。サンプルの最終的重量を記録してから空気乾燥エリアで一晩保管した。
【0208】
B3 乾燥
サンプルを一晩空気乾燥させた。24時間の空気乾燥後、サンプルを90℃のオーブン内に配置した。90℃での24時間後にサンプルを取り出し、離型した。サンプルは追加の48時間にわたりオーブン内に戻して配置し、最終的にサンプルの残留水が2.2wt%まで低下するまで乾燥させた。
【0209】
B4 反応
サンプルを養生(反応)に使用するオートクレーブは、ステンレス鋼の半径7フィート及び長さ12フィートの水平間接蒸気ユニットである。サンプルは90℃に予加熱したオートクレーブ内に装填した。オートクレーブのドアを閉鎖した後、オートクレーブには加熱したCOガス及び147.5℃の蒸気を充填戻しし、追加の熱をサンプルに供給し、サンプル装填及びガス膨張中に生ずる熱損失を補償した。オートクレーブのファンを4900RPMで始動させた。総圧力が10psigに達したとき、COを遮断した。オートクレーブの温度は90℃にセットし、また95℃の熱水をオートクレーブの底部で循環させ、ユニットを水蒸気で飽和した状態に維持した。システムは、45分から1時間にわたり平衡化できるようにし(総psiが約16psigに達する)、また次にオートクレーブ圧力は、加熱したCOのみを充填することによって、20psigまで上昇させた。サンプルは19時間にわたり養生した。
【0210】
加熱したサンプルは、それ以上の重量損失がないようになるまで90℃の乾燥オーブン内で乾燥させた。反応程度は反応中の重量利得に基づいて計算した。平均反応程度は53%であった。
【0211】
幾つかの実施形態において、機械的対流は、加圧流、毛細管電気浸透圧流、磁気浸透圧流、並びに温度及び化学的な勾配駆動流のうちの1つからなる。
【0212】
幾つかの実施形態において、モノリシックなセラミック体は、約15%~約70%の細孔飽和値度を有する。
【0213】
定義
電気信号又は電磁的信号(又はそれらと等価なもの)に対する特許請求の範囲における言及は、好適な実施形態において信号は非一過性の電子信号又は非一過性の電磁信号であると理解されたい。信号自体が特許請求されていない場合、その言及は、時として伝搬性又は一過性の電子信号又は電磁信号に対するものでありうる。
【0214】
理論的考察
本明細書記載の理論的記述は正確であると考えられるが、本明細書記載の及び特許請求の範囲に記載のデバイスの動作は、理論的記述の正確さ又は有効性に依存しない。すなわち、本明細書記載の理論とは異なる根拠に基づいて観測された結果を説明できる後々の理論的発展は、本明細書記載の発明を損なうものではないであろう。
【0215】
いかなる発明、特許出願、特許出願刊行物、学術論文、書籍、出版物、又は本明細書記載の他の公的に入手可能な資料は、参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする。本明細書に組み入れられるべきと言えるが、本明細書に明確に記載された既存の定義、陳述、又は他の開示資料と矛盾する資料又はその一部分は、組み入れられる資料と本明細書記載の開示資料との間で矛盾を生じない範囲に限ってのみ組み入れられるものである。
【0216】
本発明は、とくに、図面で示した好適な態様につき図示及び説明してきたが、当業者には様々な細部変更も特許請求の範囲で定義される発明の精神及び範囲から逸脱せずに行えることは理解できるであろう。
図1A
図1B
図1C-1】
図1C-2】
図1D-1】
図1D-2】
図1E
図1F
図1G
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12