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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/00 20060101AFI20220902BHJP
【FI】
F28D7/00 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020504226
(86)(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 GB2018051351
(87)【国際公開番号】W WO2019025750
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】1712577.4
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515137174
【氏名又は名称】ハイエタ・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エヴァート・ホーイカンプ
(72)【発明者】
【氏名】ニーアル・エドワード・ハットフィールド
(72)【発明者】
【氏名】アハメド・フセイン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・メラー
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-350092(JP,A)
【文献】特公昭36-013195(JP,B1)
【文献】特開2004-108640(JP,A)
【文献】特許第2966888(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/00 - 13/00
F28F 1/00 - 99/00
F02C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体流れ通路および第2の流体流れ通路を、前記第1の流体流れ通路内の第1の流体と前記第2の流体流れ通路内の第2の流体との間で熱を交換するために備える熱交換器主要部と、
前記第1の流体を、前記熱交換器主要部の前記第1の流体流れ通路と、前記熱交換器主要部より少ない第1の流体流れ通路を備える第1の流体接合部分との間に方向付けるための第1の多岐管部分と、
前記第2の流体を、前記第2の流体流れ通路と、前記熱交換器主要部より少ない第2の流体流れ通路を備える第2の流体接合部分との間に方向付けるための第2の多岐管部分と、
を備え、
前記第1の多岐管部分は、前記第2の多岐管部分を通る第2の流体流れの方向に対してある角度で前記第2の多岐管部分を通って延びる少なくとも1つのトンネル部分を備え、前記第1の多岐管部分は、前記第1の流体の少なくとも一部を前記少なくとも1つのトンネル部分の内側を通るように方向付けるように構成され、前記第2の多岐管部分は、前記第2の流体を前記少なくとも1つのトンネル部分の外側の周りに方向付けるように構成される、熱交換器。
【請求項2】
前記第1の多岐管部分は、前記第1の流体を、前記熱交換器主要部の前記第1の流体流れ通路と前記少なくとも1つのトンネル部分との間、または、前記第1の流体接合部分と前記少なくとも1つのトンネル部分との間の曲がり部の周りに方向付けるように構成される、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記曲がり部は少なくとも45度の曲がり部を含む、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記少なくとも1つのトンネル部分を通る第1の流体流れの方向と、前記第2の多岐管部分を通る第2の流体流れの方向との間の角度が、少なくとも45度である、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1の流体接合部分は、前記熱交換器主要部の前記第1の流体流れ通路の入口/出口領域と反対の前記第2の多岐管部分の側にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
第2の流体流れの方向における前記少なくとも1つのトンネル部分の前縁が、前記第2の流体を前記少なくとも1つのトンネル部分の外側の周りに方向付けるように成形される、請求項1から5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記少なくとも1つのトンネル部分の前縁が円形、楕円形、ダイヤモンド形、または翼形の断面を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記少なくとも1つのトンネル部分は翼形の断面を有し、前記翼形の断面の前縁が、前記第2の流体接合部分および前記熱交換器主要部の前記第2の流体流れ通路の一方の方を向いている、請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第1の多岐管部分は、前記第2の多岐管部分を通じて延びる複数の前記トンネル部分を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記第1の多岐管部分は、前記第1の流体の一部を、前記熱交換器主要部の前記第1の流体流れ通路と前記第1の流体接合部分との間で前記第2の多岐管部分の外側の周りに方向付けるための外側部分を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記第2の多岐管部分の外面と前記第1の多岐管部分の前記外側部分の内面との間に架かる少なくとも1つのフィンを備える、請求項10に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記第2の多岐管部分を通って流れる第2の流体の流れを仕切るために前記第2の多岐管部分の内側に配置される少なくとも1つの分離格子を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記少なくとも1つの分離格子のうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つのトンネル部分のうちの少なくとも1つの外面に結合される、請求項12に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記熱交換器は固結物の一体化した塊を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項15】
燃料を燃焼させることで熱を発生させるための燃焼器と、
前記燃焼器によって放出される排気ガスから熱を回収するための復熱装置と、
を備え、
前記復熱装置は、請求項1から14のいずれか一項に記載の熱交換器を備える、システム。
【請求項16】
前記第2の流体は前記排気ガスを含み、前記第1の流体は、前記燃焼器に供給される前に前記排気ガスによって加熱される空気を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
熱交換器を製造する方法であって、
第1の流体流れ通路および第2の流体流れ通路を、前記第1の流体流れ通路内の第1の流体と前記第2の流体流れ通路内の第2の流体との間で熱を交換するために備える熱交換器主要部を形成するステップと、
前記第1の流体を、前記熱交換器主要部における前記第1の流体流れ通路と、前記熱交換器主要部より少ない第1の流体流れ通路を備える第1の流体接合部分との間に方向付けるための第1の多岐管部分を形成するステップと、
前記第2の流体を、前記第2の流体流れ通路と、前記熱交換器主要部より少ない第2の流体流れ通路を備える第2の流体接合部分との間に方向付けるための第2の多岐管部分を形成するステップと、
を含み、
前記第1の多岐管部分は、前記第2の多岐管部分を通る第2の流体流れの方向に対してある角度で前記第2の多岐管部分を通って延びる少なくとも1つのトンネル部分を備え、前記第1の多岐管部分は、前記第1の流体の少なくとも一部を前記少なくとも1つのトンネル部分の内側を通るように方向付けるように構成され、前記第2の多岐管部分は、前記第2の流体を前記少なくとも1つのトンネル部分の外側の周りに方向付けるように構成される、方法。
【請求項18】
前記熱交換器は付加製造によって作られる、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は熱交換器の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、第1および第2の熱交換通路を、第1の熱交換通路内の第1の流体と第2の熱交換通路内の第2の流体との間で熱を交換するために有する主要部分を含み得る。このような熱交換器は、例えば、内燃エンジンまたはガスタービンからの排気ガスから熱を回収するための復熱装置といった、幅広い用途に有用であり得る。他の用途が発電または換気システムにあり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
少なくとも一部の例は、
第1の流体流れ通路および第2の流体流れ通路を、第1の流体流れ通路内の第1の流体と第2の流体流れ通路内の第2の流体との間で熱を交換するために備える熱交換器主要部と、
第1の流体を、熱交換器主要部の第1の流体流れ通路と、熱交換器主要部より少ない第1の流体流れ通路を備える第1の流体接合部分との間に方向付けるための第1の多岐管部分と、
第2の流体を、第2の流体流れ通路と、熱交換器主要部より少ない第2の流体流れ通路を備える第2の流体接合部分との間に方向付けるための第2の多岐管部分と
を備え、
第1の多岐管部分は、第2の多岐管部分を通る第2の流体流れの方向に対してある角度で第2の多岐管部分を通って延びる少なくとも1つのトンネル部分を備え、第1の多岐管部分は、第1の流体の少なくとも一部を少なくとも1つのトンネル部分の内側を通るように方向付けるように構成され、第2の多岐管部分は、第2の流体を少なくとも1つのトンネル部分の外側の周りに方向付けるように構成される、熱交換器を提供する。
【0004】
少なくとも一部の例は、燃料を燃焼させることで熱を発生させるための燃焼器と、燃焼器によって放出される排気ガスから熱を回収するための復熱装置とを備え、復熱装置は前述したような熱交換器を備える、システムを提供する。
【0005】
少なくとも一部の例は、熱交換器を製造する方法であって、
第1の流体流れ通路および第2の流体流れ通路を、第1の流体流れ通路内の第1の流体と第2の流体流れ通路内の第2の流体との間で熱を交換するために備える熱交換器主要部を形成するステップと、
第1の流体を、熱交換器主要部の第1の流体流れ通路と、熱交換器主要部より少ない第1の流体流れ通路を備える第1の流体接合部分との間に方向付けるための第1の多岐管部分を形成するステップと、
第2の流体を、第2の流体流れ通路と、熱交換器主要部より少ない第2の流体流れ通路を備える第2の流体接合部分との間に方向付けるための第2の多岐管部分を形成するステップと
を含み、
第1の多岐管部分は、第2の多岐管部分を通る第2の流体流れの方向に対してある角度で第2の多岐管部分を通って延びる少なくとも1つのトンネル部分を備え、第1の多岐管部分は、第1の流体の少なくとも一部を少なくとも1つのトンネル部分の内側を通るように方向付けるように構成され、第2の多岐管部分は、第2の流体を少なくとも1つのトンネル部分の外側の周りに方向付けるように構成される、方法を提供する。
【0006】
少なくとも一部の例は、前述したような熱交換器の設計を表すコンピュータ読取可能データ構造を提供する。記憶媒体が構造を記憶することができる。記憶媒体は非一時的記憶媒体であり得る。
【0007】
本技術のさらなる態様、特徴、および利点は、添付の図面と併せて読まれる以下の例についての記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】熱電供給(CHP)システムにおいて復熱装置として使用される熱交換器の例を示す概略図である。
図2】第1および第2の流体流れ通路を備える熱交換器主要部の例を示す図である。
図3】第1または第2の流体を熱交換器主要部と第1および第2の流体接合部分との間に方向付けるための多岐管部分を実施するときの問題を示す概略図である。
図4】第1の多岐管部分と第2の多岐管部分とを備える多岐管区域の例であって、第1の多岐管部分が、第2の多岐管部分を通じて延びる少なくとも1つのトンネル部分を含む例を示す図である。
図5】一方の側から見た図4の多岐管部分の図である。
図6】他方の側から見た図4の多岐管部分の図である。
図7図5に示された平面A-Aにおける多岐管部分の断面図である。
図8図5に示された平面B-Bにおける多岐管部分の断面図である。
図9図5に示された平面C-Cにおける多岐管部分の断面図である。
図10】第1の流体が第1の多岐管部分によって第2の多岐管部分の周りと第2の多岐管部分を通るのとの両方にどのように案内されるかを示す図である。
図11】分離格子が第2の多岐管部分内に設けられている多岐管部分の第2の例を示す図である。
図12】分離格子が第2の多岐管部分内に設けられている多岐管部分の第2の例を示す図である。
図13】付加製造によって熱交換器を製造するための製造機器の一例を示す図である。
図14】熱交換器を製造する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1および第2の流体流れ通路を、第1の流体流れ通路内の第1の流体と第2の流体流れ通路内の第2の流体との間で熱を交換するために備える熱交換器は、例として、自動車の推進力のためのマイクロタービンエンジン、または、例えば住宅用の電気および熱供給を提供するための熱電供給(CHP)システムといった、幅広い工学用途にとって有用であり得る。システムのための空間はしばしば過大になり得るため、熱交換器の大きさを縮小したいという要求があり得る。しかしながら、熱交換器主要部が小形化できる一方で、第1および第2の流体を、第1および第2の流体流れ通路と、システムの他の要素と接合するための接合部分との間に方向付ける多岐管部分を実施することには困難があり得る。典型的には、第1および第2の流体流れ通路は主要部において交互配置され得るが、通路に入るかまたは通路から出る第1または第2の流体は、共通の入口から分割される必要がある、または、共通の出口へと一緒に集められる必要がある可能性があり、入口または出口は、熱交換器主要部内に設けられる流れ通路より少ない流れ通路を有する。
【0010】
第1の流体接合部分および第2の流体接合部分(第1/第2の流体入口/出口導管と接合できる)の場所は、熱交換器が使用されるシステム内の熱交換器を包囲する物体によって制約され得る。例えば、自動車の用途では、熱交換器は、車または他の車両のボンネットの下またはブーツに設けられる可能性があり、そのため、その空間を境界付けるパネルは、熱交換器が使用されるマイクロタービンエンジンシステムまたは他の工学システムの他の要素と熱交換器が接合できる場所を制約する可能性がある。また、熱交換器で既存の熱交換器を置き換える場合、第1および第2の流体接合部分の場所はすでに定められていることがあり、熱交換器は、第1および第2の流体接合部分の固定された場所と一致するように設計される必要があり得る。これは、流体を熱交換器主要部内の交互の多くの通路と第1または第2の流体接合部分内のより少ない通路との間に方向付ける多岐管部分を実施することを困難にする可能性がある。熱交換器が使用される空間と、接合の場所とによって課せられる制限と共に、多岐管部分のための設計は、熱交換器主要部に入る流体の流れ、または、熱交換器主要部から出る流体の流れを阻害することを回避すべきでもあり、例えば、多岐管部分にわたる圧力損失を低減し、主要部への流れ分配、または、主要部からの流れ分配を向上させたいという要求もあり得る。これらの競合する要件は、熱交換器の大きさが縮小されるのに伴って、満足させるのが難しくなり得る。
【0011】
以下に記載されている熱交換器は、第1の流体を、熱交換器主要部の第1の流体流れ通路と、熱交換器主要部より少ない第1の流体流れ通路を備える第1の流体接合部分との間に方向付けるための第1の多岐管部分と、第2の流体を、第2の流体流れ通路と、熱交換器主要部より少ない第2の流体流れ通路を備える第2の流体接合部分との間に方向付けるための第2の多岐管部分とを有する。第1の多岐管部分は、第2の多岐管部分を通る第2の流体流れの方向に対してある角度で第2の多岐管部分を通って延びる少なくとも1つのトンネル部分を備える。第1の多岐管部分は、第1の流体の少なくとも一部を少なくとも1つのトンネル部分の内側を通るように方向付け、第2の多岐管部分は、第2の流体を少なくとも1つのトンネル部分の外側の周りに方向付ける。
【0012】
したがって、第1および第2の流体を、熱交換器主要部の第1および第2の流体流れ通路へと案内するための、または、それら第1および第2の流体流れ通路から案内するための第1および第2の多岐管部分は、第1の多岐管部分の一部が、第2の多岐管部分を通るトンネルにおいて第2の流体流れ方向に交差して延びるように絡み合わされる。これは、第2の流体流れを阻害する可能性があると予想され得るが、驚くべきことにこれは当てはまらず、実際には、第2の多岐管部分を通る第2の流体の流れを仕切るための構造を提供することは、流れを分割することが渦の発生する可能性を低減できるため、流体流れの特性を向上させる助けとなり得る。その一方で、第1の流体の少なくとも一部を第2の多岐管部分内のトンネル部分を通すように方向付けることは、所与の量の流体流れの体積を提供するために、第1の多岐管部分が第2の多岐管部分の外側を包囲する領域に大きいとされる範囲を有する必要がないことを意味し、そのため、第1および第2の流体接合部分の場所における制約と合致する一方で、多岐管全体をよりコンパクトにすることができる。鋳造または成型などの従来の手段を用いて入れ子の第1および第2の多岐管部分を製造することは困難であり得るが、発明者らは、付加製造技術の使用によって、第2の多岐管部分に部分的に通るトンネル内に第1の多岐管部分が延びるこのような多岐管を構築することが可能であることを認識している。
【0013】
多岐管のコンパクト性を向上させることと共に、第2の多岐管部分を通るトンネル部分を提供することは、第1の流体と第2の流体とがトンネル部分の壁を通じて熱を交換できる追加の領域があるため、第1の流体と第2の流体との間に熱交換のより大きな機会を提供もする。したがって、この設計を伴う熱交換器は、より大きな熱交換効率を提供できる、または、所与の量の熱交換について、多岐管部分内でより多くの熱の交換があるため、主要部分の大きさを小さくできる。
【0014】
この技術は、第1の流体接合部分が、熱交換器主要部の第1の流体流れ通路の入口/出口領域と反対の第2の多岐管部分の側にある場合、特に有用であり得る。例えば、熱交換器主要部のコンパクトな設計のために、第1の流体は、所与の領域において、熱交換器主要部へと流れる、または、熱交換器主要部から流れる必要があり得るが、第1の流体接合部分は他の側にあってもよく、多岐管部分内に第2の流体のためにより真っ直ぐでない経路を設けることで第2の流体の流れを阻害することは望ましくない可能性がある。前述したように第1の多岐管部分においてトンネル部分を使用することで、第2の流体は第2の多岐管部分を比較的真っ直ぐに流れることができる一方で、第1の流体はトンネルを通るように方向付けることができる。第1の多岐管部分は、第1の流体を、熱交換器主要部の第1の流体流れ通路と少なくとも1つのトンネル部分との間、または、第1の流体接合部分と少なくとも1つのトンネル部分との間の曲がり部の周りに方向付けてもよい。曲がり部は、例えば少なくとも45度の曲がり部を備え得る。したがって、少なくとも1つのトンネル部分を通る第1の流体流れの方向と、第2の多岐管部分を通る第2の流体流れの方向との間の角度が、少なくとも45度であり得る。このやり方であれば、第1の流体は、第1の流体のすべてを第2の多岐管部分の外側の周りに方向付ける必要なく、熱交換器円柱の入口/出口領域と反対の第2の多岐管部分の側にある第1の流体接合部分に到達できる。第1の流体は、第2の多岐管部分の他方の側に到達するために、曲がり部の周りで第2の多岐管部分内のトンネルを通って方向付けでき、多岐管全体をよりコンパクトにすることができる。
【0015】
トンネル部分は、第2の多岐管部分を通る第2の流体の流れを支援するように成形され得る。例えば、第2の流体流れの方向における少なくとも1つのトンネル部分の前縁が、第2の流体を少なくとも1つのトンネル部分の外側の周りに方向付けるように成形され得る。具体的には、前縁は、第2の流体を分割し、第2の流体の一部をトンネル部分の一方の側に分流し、一部を他方の側に分流するように成形され得る。例えば、少なくとも1つのトンネル部分の前縁が円形、楕円形、ダイヤモンド形、または翼形の断面を有してもよい。トンネル部分をこのように成形することで、第2の流体の流れはトンネル部分の外側に留まって、第2の多岐管部分内に渦が発生する可能性を低減することができ、これは、流体流れの効率を向上させ、そのため熱交換器の性能を向上させることができる。
【0016】
翼形のトンネル部分が特に有用であり得る。したがって、トンネル部分は、第一に、第2の多岐管の外側の第1の多岐管部分の一部分の大きさを縮小するために第2の多岐管部分を通る第1の流体のための流れ経路を提供し、第二に、第2の流体流れの効率を支援するという複数の機能を有する、第2の多岐管部分の内側にわたって延びる中空の翼を備えてもよい。したがって、少なくとも1つのトンネル部分に、第2の流体接合部分の方(第2の流体が第2の多岐管部分から熱交換器主要部へと流れる場合)、または、熱交換器主要部の第2の流体流れ通路の方(第2の流体が熱交換器主要部から第2の多岐管部分を通って第2の流体接合部分へと流れる場合)のいずれかの方を向いている翼形の断面の前縁を伴う翼形の断面を提供することで、全体としての熱交換の性能が向上させられ得る。このような中空の翼形のトンネルを製造することは、従来の製造技術を用いる場合には困難であり得るが、付加製造であればこれが可能である。
【0017】
一部の実施形態は、第2の多岐管部分を通って延びる第1の多岐管部分のトンネル部分を1つだけ提供してもよい。しかしながら、他の例では、2つ以上のこのようなトンネル部分が提供されてもよい。
【0018】
一部の実施形態では、第1の多岐管部分を通じて流れる第1の流体のすべてが、少なくとも1つのトンネルを通じて流れてもよい。したがって、第1の流体を熱交換器主要部の第1の流体流れ通路と第1の流体の入口/出口領域との間に案内するための他の部分が必要ない。
【0019】
しかしながら、他の実施形態では、トンネル部分と同様に、第1の多岐管部分は、第1の流体の一部を、熱交換器主要部の第1の流体流れ通路と第1の流体接合部分との間で第2の多岐管部分の外側の周りに方向付ける外側部分を備えてもよい。したがって、第2の多岐管部分内のトンネルを通る第1の流体の案内部品と同様に、第1の多岐管部分は、全体の体積または流体流量が増加され得るように第2の多岐管部分の外側の周りにいくつかの通路を備えてもよい。トンネル部分を設けることで外側部分の大きさを縮小することができ、そうでない場合には、より大きな通路が第2の多岐管部分の外側の周りを包むために必要である。
【0020】
熱交換器は、第2の多岐管部分の外面と、第2の多岐管部分の外側に位置する第1の多岐管部分の内面との間に架かる少なくとも1つのフィンを伴って、製造され得る。このようなフィンは、堅牢性を増加させるために機械的な強度を熱交換器に提供することに加えて、渦の出現を低減するために流れを仕切ることで、多岐管を通る第1の流体の流れを向上させるのを助けることもできる。また、このようなフィンは、追加の支持体を提供し、その上に連続する材料の層を置くことで設計の他の部品が構築され得るため、設計を付加製造によって製造できるようにすることに有用であり得る。また、フィンは、流体同士の間の熱交換を促進するための追加の表面を提供できる。
【0021】
一例では、少なくとも1つの分離格子が、第2の多岐管部分を通って流れる第2の流体の流れを仕切るために第2の多岐管部分の内側に配置され得る。第2の多岐管部分は、第1の断面積を有する熱交換器主要部の領域と、第2の断面積を有する第2の流体接合部分との間で流体を案内する必要のある可能性があり、第2の断面積は第1の断面積より小さくてもよい。典型的には、乱流の低減した効率的な流体流れを提供するために、多岐管が断面積を急速に拡張または収縮することを回避することが望ましい可能性がある。しかしながら、この望みは、限られた空間内に合致するために熱交換器全体がコンパクトになるという要件と対立する。分離格子を提供することで、これは、第2の多岐管部分内で旋回する大きな渦の可能性を低減するために第2の流体の流れを分割し、第2の多岐管部分に断面積をより素早く拡張または収縮させることができ、したがって、よりコンパクトな熱交換器の設計を可能にする。一例では、分離格子は、第1の多岐管部分からの少なくとも1つのトンネル部分を収容する部分以外の第2の多岐管部分の一部分にわたって製造され得る。しかしながら、分離格子を付加製造によって製造することは、格子を層ごとに積み上げるための支持体がある場合により単純になることができ、そのため、少なくとも1つの分離格子が少なくとも1つのトンネル部分の外面に結合されることが特に有用であり得る。それにより製造がより単純になるためである。一例では、トンネル部分の側と別のトンネル部分または第2の多岐管部分の内面の側との間の各々の空間には、その空間にわたって延びる分離格子が設けられ得る。
【0022】
熱交換器は第1の流体および第2の流体で動作するものと先に記載されているが、熱交換器が3つ以上の流体で動作することも可能であり、各々の場合で、前述の第1および第2の流体は3つ以上の流体のうちの任意の2つであってもよい。したがって、第1および第2の多岐管部分に加えて、第3の流体を、熱交換器主要部において第1および第2の流体流れ通路と交互配置される第3の流体流れ通路へと送る、または、そのような第3の流体流れ通路から送るための第3の多岐管部分(または、追加の流体のためのさらなる多岐管部分)があってもよい。
【0023】
熱交換器は、例えば付加製造によって形成される、固結物の一体化した塊を備え得る。これは、複数の別々の構成要素から製造される熱交換器と対照的である。したがって、第1および第2の多岐管部分は、単一の材料体からの1つの実体として一緒に形成できる。熱交換器主要部は、組み立てられた熱交換器において第1/第2の多岐管部分の傍に置かれる多岐管部分への別々の実体として形成されてもよく、または、主要部および第1/第2の多岐管部分は、単一の材料体からの1つの実体としてすべて一緒に形成されてもよい。
【0024】
前述した第1および第2の流体接合部分は、一部の例では、第1または第2の流体が、熱交換器へと、または、熱交換器から案内される管または他の導管を備えるだけである。管は円形または非円形の断面を有し得る。一部の例では、第1および第2の流体接合部分は、単一の通路、つまり、熱交換器へと方向付けられているかまたは熱交換器から方向付けられている第1または第2の流体のすべてを搬送する単一の管または導管を、各々備えてもよい。しかしながら、他の場合には、第1または第2の流体接合部分は2つ以上の通路を備えてもよく、例えば、管は内部でさらに分割されてもよい。したがって、概して、第1および第2の流体接合部分は、熱交換器主要部内に設けられる場合より少ないそれぞれ第1または第2の流体のための通路を備える任意の部分であり得る。したがって、概して、第1および第2の多岐管部分は、熱交換器主要部からの出口において、流体をより多くの数の通路からより少ない数の通路へと合併する部分、または、熱交換器主要部への入口において、流体をより少ない数の通路からより多くの数の通路へと分割する部分である。一部の場合では、第1および第2の多岐管部分は、第1または第2の流体を搬送するために使用される通路の断面積または断面形状における変化も提供し得る。
【0025】
先に記載した熱交換器は、幅広い工学システムにおいて使用できる。しかしながら、熱交換器は、燃料を燃焼させることで熱を発生させるための燃焼器と、燃焼器によって放出される排気ガスから熱を回収するための復熱装置とを備えるシステムにとって特に有用であり得る。復熱装置は、前述したような熱交換器を備えてもよい。コンパクト性は、このようなシステムにとってしばしば重要な要件であり得る。
【0026】
一部の場合で、システムは、燃焼器によって放出される排気ガスによって駆動され、発電機に動力供給できるタービンと、燃焼器へと投入される流体を圧縮するための圧縮機とを備え得る。復熱装置は、燃焼が可能である温度まで空気を加熱するエネルギーを燃焼器ができるだけ消費する必要がないように、燃焼器に供給される空気を予加熱するために、燃焼器からの排気ガス中の排熱を使用できる。したがって、第2の流体は、燃焼器からの排気ガスを含み得、第1の流体は、燃焼器に供給される前に排気ガスによって加熱される空気を含み得る。前述した熱交換器は、排気ガスが加熱された空気より高温であり得るため、このようなシステムにとって有用であり得、そのため、排気ガスを第2の流体として搬送する第2の多岐管部分の外側における第1の流体(予加熱される空気)のために多岐管を提供することが望ましい可能性があり、そのため、予加熱される空気は、排気ガスから周囲へと失われる熱の量を低減し、より多くの熱を回収させることができるように、いくらかの断熱を提供することができる。しかしながら、第1の多岐管部分を第2の多岐管部分の外側の周り全体で包むことは、空間を増大させることになり、前述したようにトンネルを第2の多岐管部分を通じて設けることで、空間使用のより大きな効率を可能にする一方で、効率的な流体流れも提供し、圧力損失を低減する。
【0027】
熱交換器主要部、第1の多岐管部分、および第2の多岐管部分が前述の構成で形成される、熱交換器を製造する対応する方法が提供され得る。例えば、熱交換器は付加製造によって形成できる。付加製造では、物品は、物品全体を製作するために、材料の層を次々に連続的に積み上げることで製造され得る。例えば、付加製造は、選択的レーザー溶融、選択的レーザーセンタリング、電子ビーム溶融などによってであり得る。主要部分と第1および第2の多岐管部分とのために使用される材料は様々であり得るが、一部の例では、例えばアルミニウム、チタン、もしくは鋼鉄といった金属であり、または合金であり得る。一部の場合では、熱交換器主要部と第1および第2の多岐管部分とは1つのみの工程で形成でき、それによって、熱交換器のそれぞれの部品を作る層は付加製造によって首尾よく置かれ得る。したがって、第1および第2の多岐管部分は、具体的には、それらが絡み合わされるため、一緒に製造され得る。
【0028】
付加製造工程は、製造される設計の特性を表す電子設計ファイルを供給することと、設計ファイルを製造装置に供給される命令に変換するコンピュータに設計ファイルを入力することとによって制御できる。例えば、コンピュータは、三次元設計を連続した二次元の層へと薄切りにでき、例えば、粉末床にわたるレーザーの走査を制御して対応する層を形成するために、各々の層を表す命令が付加製造機械に供給され得る。したがって、一部の実施形態では、物理的な熱交換器を提供するのではなく、本技術は、前述したような熱交換器の設計を表すコンピュータ読取可能データ構造(例えば、コンピュータ自動設計(CAD)ファイル)として実施されてもよい。そのため、熱交換器をその物理的な形態で販売するのではなく、熱交換器は、このような熱交換器を形成するために付加製造機械を制御するデータの形態で販売されてもよい。データ構造を記憶する記憶媒体が提供されてもよい。
【0029】
図1は、熱交換器4を備えるシステム2の例を概略的に示している。この例では、システム2は、住宅用エネルギー供給のための熱電供給(CHP)のために使用されるマイクロタービンエンジンを備える。燃焼器6は燃料(例えば、ガス)を燃焼させる。燃焼器のための吸入空気は、燃焼器6からの排気ガスによって駆動されるタービン10によって駆動される圧縮機8によって圧縮される。タービンおよび圧縮機8は、タービンの回転に基づいて電力を発生する発電機12と共に共通のシャフトに搭載されている。電力は、住宅のための電気供給の一部として供給され得る。
【0030】
タービン10を駆動した燃焼器6からの排気ガスは、第1の流体と第2の流体との間で熱を交換するための交互の通路を伴う熱交換器を備える復熱装置4に通される。排気ガスにおける熱は、空気が燃焼器に入るとより高い温度になり、そのため燃焼器6の燃焼効率が向上させられ得るように、燃焼器のための圧縮された空気吸入を予加熱するために使用される。復熱装置4を通過した後、排気ガスは、例えば、加熱要素14における住宅内の家庭用水供給またはセントラルヒーティングを加熱するために回収され得るいくらかの熱をなおも含み、その後、排気ガスは通気口16から外部に排気される。
【0031】
復熱装置4に入る燃焼器吸入空気は、吸入空気が圧縮機8によって圧縮されており、また、排気ガスがタービン10によって膨張させられているため、燃焼器6およびタービン10からの排気ガスよりも高い圧力にある。したがって、吸入空気は高圧(HP)流体と称されてもよく、排気ガスは低圧(LP)流体と称されてもよい。燃焼器6からの排気ガスが典型的には吸入空気より高温となるため、HP流体は低温流体と称されてもよく、LP流体は高温流体と称されてもよい。しかしながら、復熱装置4が比較的効率が良い場合、LP流体が復熱装置を離れ、HP流体が復熱装置を離れるときまでに、これらの流体はおおよそ同様の温度になることができ、そのため温度差は大きな影響を与えない可能性がある。したがって、疑念を回避するために、本明細書ではHP流体およびLP流体という用語が使用されている。
【0032】
図1が、このような復熱装置を使用し得る工学システムの1つの可能性のある例に過ぎず、他のマイクロタービン技術が同様の復熱装置を使用できることは、理解されるものである。
【0033】
復熱装置4は、HP流体およびLP流体のそれぞれのためのいくつかの交互の熱交換通路22、24を含む熱交換器主要部分20を備える。この例では、熱交換器主要部20は、HP流体とLP流体と(第1の流体と第2の流体と)が熱交換器主要部を通じて反対の方向に流れるように向流の熱交換器である。しかしながら、本明細書で詳述されている技術は、HP流体とLP流体とが熱交換器通路を通じて対応する方向に流れる並流の熱交換器、または、HP流体とLP流体とが互いに対して平行でない方向に流れる直交流の熱交換器に適用されてもよい。それでもなお、熱交換器の効率は、向流の熱交換器においてしばしばより大きくなり得る。
【0034】
図3は、比較的空間の制約された環境においてこのような復熱装置4の実施を試みるときに生じ得るいくつかの困難を概略的に示している。熱交換器主要部20には、図2にあるように、交互になっている第1および第2の流体流れ通路22、24が設けられている。熱交換器主要部20を最も効率的に実施するためには、HP流体またはLP流体が熱交換器の一方の側において入り、他方の側において出て行くことが望まれ得る。しかしながら、これは、LP流体およびHP流体を熱交換器に案内する、または熱交換器から案内するための多岐管26を実施することをより複雑にする可能性がある。概して、多岐管26は、HP入口流体またはLP入口流体を単一の導管(または、比較的少ない導管)から一緒に集め、熱交換器主要部の一方の側において、適切な流体のための複数の交互配置された熱交換器通路22、24の間へ流体を分割し、熱交換器主要部の他方の側において、複数の通路からより少ない通路へと流体を再び合併する。図3は、LP入およびHP出の多岐管26が熱交換器の一方の側に設けられ、多岐管におけるLP出およびHP入が他方の側に設けられる向流の熱交換器を示しているが、並流の熱交換器では、多岐管におけるLP入およびHP入が熱交換の同じ側にあり、LP出およびHP出の多岐管が他方の側にある。
【0035】
先に記載したように、コンパクトな熱交換器主要部の設計のために、熱交換器主要部20のHP出口領域28が熱交換器主要部の一方の側(図3の左側に示されている)にあることが望ましい可能性がある。しかしながら、空間の制約、または、システム2の他の構成要素の場所によって課される制約は、HP出口境界部30(例えば、図1に示されているような燃焼器6につながる導管30)が、HP流体が熱交換器主要部20を離れる領域28と反対側にある必要があり得ることを意味する可能性がある。また、熱交換器主要部に入るより高温のLP流体の最も効率的な流れのためには、LP入口32と関連付けられる多岐管が比較的真っ直ぐであり、主要部分20の入口にLP流体を直接的に拡散させることが望ましい可能性がある。圧力損失を低減し、主要部への流れ分配を向上させ、システム全体を所与の体積内に適合させる一方で、熱交換器主要部20と、LP入口32およびHP出口30の固定された場所との間に架かるように多岐管を設計することは、困難であり得る。
【0036】
図4は、第1の多岐管部分42と第2の多岐管部分44とを備える多岐管部分40の例を概略的に示している。第1の多岐管部分42はHP流体のために使用され、第2の多岐管部分44はLP流体のために使用される。LP多岐管44は、直接的な拡散器を熱交換器主要部20のLP入口へと提供する。一方、HP多岐管部分42は、LP多岐管部分44の周りを包み、LP多岐管44の一方の側における主要部のHP出口領域46とLP多岐管部分44の他方の側におけるHP出口境界部48との間に架かるために、LP流れの方向に対してある角度でLP多岐管を通って延びるトンネル部分46も含む。したがって、HP流体は、LP多岐管の周りとLP多岐管を通るのとの両方に流れる。これは、熱交換器主要部のLP入口およびHP出口の側における多岐管部分40を、縮小した空間でより効率的にすることができる一方で、流れ特性も向上させる。
【0037】
図5および図6は、側50および52から見た多岐管部分40の図示をそれぞれ示している。つまり、図5は、LPおよびHPの入口/出口の境界側における側50からの図示を示しており、図6は、熱交換器主要部20に最も近い側52からの図示を示している。図5に示されているように、HP出口接合部分48およびLP入口接合部49は、LP流体をLP入口接合部49に供給するための、または、HP流体をHP出口境界部48から搬送するための管状の導管を覆って嵌まるかまたは内部に嵌まることができる首部分に対応する。
【0038】
多岐管部分40の図6における図示に示されているように、HP出口領域46は多岐管の一方の側にあり、多岐管部分の残りの断面の全体の領域の大部分は主要部のLP入口領域に対応している。LP入口接合部49の開口は、図6に示された図示の奥に見える。ドーム形の漏斗領域54が、より小さい通気口49と、LP入口領域にある大きい開口との間に架かっている。
【0039】
図6に示されているように、HP出口領域46は、HP流体を、LP多岐管のドーム形状部分54の外側の周りで延びる外側通路56に供給し、LP多岐管部分にわたって延びるトンネル部分58を通じて供給する。したがって、HP流体は、LP多岐管の周りとLP多岐管を通るのとの両方に方向付けられ、HP流れからの流体は、トンネル部分の中に入るときに曲がる。
【0040】
HP多岐管のトンネル部分および外側領域は、図7図9の断面図においてよりはっきりと見て取れる。図7における図示は、図5でA-Aとして示されている平面および方向で取られている。図8における図示は平面B-Bで示されており、図9における図示は図5における平面C-Cで示されている。
【0041】
図7に示されているように、トンネル部分58は、多岐管へと流れるLP流体が翼形トンネルの前縁60に最初に到達するように、LP流体入口接合部49の方を向いている前縁60を伴う翼形に対応する断面を有し、これは、第2の流体がトンネル部分58の外側のいずれかの側において流れるように第2の流体の流れを分割する。LP流体は、乱流を低減させるために、多岐管を通じた流体のより滑らかな流れを可能にするために有用であり得るトンネルの外面に留まろうとする。当然ながら、LP流体が多岐管を通じて熱交換器から流れ出ていく熱交換器のために多岐管が使用される場合、翼形は、前縁60が熱交換器主要部の方を向くように他の向きで配向され得る。翼形の代替には、円、楕円、またはダイヤモンドの頂部が流体入口方向の方を向いている楕円形、円形、またはダイヤモンド形があり得る。
【0042】
トンネル部分58に加えて、HP多岐管は、LP多岐管部分のドーム形の外面54の外側の周りに流体を案内するための通路を提供する外側部分56も備える。いくつかのフィン62が、LP多岐管部分54の外面とHP多岐管の外側通路56の外側境界64の内面との間に架橋を提供している。
【0043】
平面B-Bにおいて取られた図8の断面図に示されているように、外側通路およびトンネル部分58は、HP流体がLP入口49の端を越えて流れ、HP出口48の方へと案内されると、最終的に再び合併する。これは、図7および図8に示された図示と反対方向で見返した平面C-Cにおける図示を示している図9にも見られる。ドーム54の外側の周りで流れるHP流体と、トンネル58を通じて流れる流体とは、再び合併され、HP出口48を通じて、HP流体を燃焼器6へと案内するために設けられた任意の導管へと方向付けられる。
【0044】
したがって、図10に示しているように、LP流体のために設けられた第2の多岐管部分の外側の周りと、トンネルを通じた第2の多岐管部分を通るのとの両方のHP流体の流れがあり、これは、よりコンパクトな設計を提供しつつ、流体流れの特性も向上させる。
【0045】
先に示した例は単一のトンネル部分を提供するが、他の場合には、2つ以上のトンネルが提供され得る。トンネルは、LP多岐管を通じて方向付けられるLP流体の流体流れ方向に対しておおよそ90度で延びているが、これは必須ではなく、他の例では、トンネルは図に示された90度の角度から斜めにされてもよい。概して、トンネルは、HP流体流れ方向に対して少なくとも45度の角度で延び得る。フィンは流体の流れを助け、加えて剛性を提供する。一部の例では、いくつかの外部のフィンが、さらなる機械的剛性を提供するために、多岐管部分40の外側に構築されてもよい。
【0046】
コンパクト性および流体流れ特性を向上させることに加えて、LP多岐管の周りおよびLP多岐管を通るHP流体の流れが追加的な熱伝達のための潜在力を提供するため、追加的な熱伝達がある。フィン62は、より高温のLP流体がフィン62およびドーム形の壁54を通じて伝導できる熱を提供でき、HP流体を加熱するのを支援できるため、熱伝達領域にも寄与する。したがって、システム要件に依存して、これは、多岐管領域内でより多くの熱交換があることから、特定の量の熱交換を提供するために、より小さい熱交換器主要部20を使用することを可能にし得る。
【0047】
図4図10は、熱交換器主要部のLP入口およびHP出口の側のための多岐管部分を示しているが、同様の構成は、LP出口およびHP入口の側において使用されてもよい(しかしながら、空間の制約がときとして主要部の一方の側において他方の側より重要であり得るため、これは必須ではない)。また、LP入口およびHP出口としての第1のおよび第2の多岐管領域の指定は単なる一つの例であり、他の場合には、熱交換を通じた流体流れの方向に依存して、これはLP入口およびHP入口またはLP出口およびHP出口であり得る。
【0048】
図11は、追加の分離格子80がトンネル領域58の外面と第2の多岐管部分のドーム形の外側境界の内面との間において第2の多岐管部分にわたって構築されていることを除いて図4図10に示されたものと同じである多岐管部分40の第2の実施形態を示している。他の例では、分離部は、トンネル領域58の上方または下方に位置する第2の多岐管部分の一部分にわたることができ、そのためトンネルに架かることは必須ではない。しかしながら、トンネルは、付加製造によって分離格子を構築するための良好な支持体を提供できる。分離格子は、格子80が相互連結された部材の格子構造にどのように対応しているかを示す、斜めでの断面図を表している図12に示された図示において、よりはっきりと見ることができる。分離格子はいくつかの長孔または孔を備え、第2の流体の流れが第2の多岐管部分を通過するときに格子の交差する棒が第2の流体の流れを分割する。これは、格子のない場合よりも小さい空間で、より小さい断面積とより大きい断面積との間に架かるときに第2の多岐管をよりコンパクトにすることを可能にするため、有用である。典型的には、流体が面積において過度に素早く拡張または圧縮される場合、流れを阻害する可能性のあるより多くの乱流および渦のより多くの出現があり得る。分離格子80は、流れを仕切り、塊ほどの大きさの流体が互いと相互作用する可能性を減らすことで、これを防止する。追加の分離格子以外には、図11および図12の例は前述したものと同じである。
【0049】
図13は、付加製造の例を概略的に示している。この例では、レーザー溶解される金属粉末188が、前述した熱交換器などの物品4を形成するために使用される。物品4は、レーザー184から提供される走査レーザー光線を介して溶融(溶解)される前に、粉末スプレッダ182によって、溶解される金属粉末の薄い層が上に広げられる下降する粉末床180において層ごとに形成される。レーザー184を介したレーザー光線の走査および床180の下降は、制御コンピュータ186によってコンピュータ制御される。制御コンピュータ186はコンピュータプログラム(例えば、製造される物品4を定めるコンピュータデータ)によってさらに制御される。データを定めるこの物品は、コンピュータ読取可能な非一時的な媒体198において保存される。図13は、付加製造を実施するために使用され得る機械の一例を示している。様々な他の機械および付加製造工程も、本技術に従う使用に適しており、それによって、熱交換器のための多岐管部分が、前述したように、第2の多岐管区域を通じて延びるトンネル区域を第1の多岐管区域が含む状態で製造される。図4に示した特定の設計について、付加製造についての構築方向は、右手側における矢印によって示されている。熱交換器主要部の入口/出口に最も近い層で始まって多岐管部分を構築することで、上方の層が鉛直から45度を超える角度で下方の層を超えて延びる必要なく、多岐管部分の残りの部分を構築することが可能であり、構成要素を付加製造によって作ることをより実用的とするために、下方の層によって上方の層のためのより大きな支持がある。
【0050】
図14は、熱交換器を製造する方法を示している。ステップ200において、コンピュータ自動設計(CAD)ファイルが得られる。CADファイルは、第1の多岐管部分と第2の多岐管部分とを備える熱交換器の設計を表すデータ構造を提供し、第1の多岐管部分は、第2の流体流れの方向に対してある角度で第2の多岐管部分を通じて延びる少なくとも1つのトンネル部分を含む。例えば、ステップ200においてCADファイルを得ることは、最初から熱交換器の三次元(3D)モデルを生成する設計者を含み得る、または、記録媒体から既存の設計を読むこと、もしくは、ネットワークを介してCADファイルを得ることを含み得る。設計ファイルは、製造される3D形状を表し得る。
【0051】
ステップ202において、CADファイルは、付加製造機械に供給するための命令に変換される。命令は、材料のそれぞれの層を堆積または形成するために付加製造機械を制御し、それらの材料の層は、熱交換器全体を形成するために層ごとに構築される。例えば、CADファイルによって表された3D設計は、対応する層において形成される材料の二次元の表現を各々提供する層へと薄切りにされ得る。
【0052】
ステップ204において、変換された命令は、付加製造を用いて熱交換器を固結物の一体化した塊として製造する付加製造機械に供給される。熱交換器は、例として、チタン、ステンレス鋼などの金属もしくは合金、または、例えばポリマといった、様々な材料から作ることができる。付加製造の様々な形態が使用され得るが、一例では、付加製造は、選択的なレーザー溶融を使用する。
【0053】
要するに、第2の多岐管部分を通過するトンネルを含む第1の流体の多岐管部分を有する熱交換器4のために多岐管を提供することで、これは、流体のための入口接合部または出口接合部の場所に制約があるときに、より良い流体流れの特性を伴うよりコンパクトな設計を可能にする。1つの具体的な実施形態では、第2の多岐管部分を通じて第1の流体を案内するために中空の翼形のトンネル部分を使用することで、これは、第2の流体の案内を支援すると共に、第2の流体の流れを向上させるために第1の流体のための通路を提供し、熱交換器の効率を向上させるために追加的な熱伝達の機会を提供する。
【0054】
本出願では、「~するように構成される」という言葉は、装置の要素が定められた動作を実行することができる構成を有することを意味するために使用されている。この文脈において「構成」は、ハードウェアまたはソフトウェアの相互接続の配置または様態を意味している。例えば、装置は、定められた動作を提供する専用のハードウェアを有してもよく、または、プロセッサもしくは他の処理装置は、機能を実施するためにプログラムされてもよい。「~するように構成される」は、装置の要素が、定められた動作を提供するために任意の方法で変化させられる必要があるという意味を含んでいない。
【0055】
本発明の例示の実施形態が、添付の図面を参照しつつ本明細書において詳細に記載されてきたが、本発明がそれらの詳細な実施形態に限定されないことと、様々な変更および改良が、添付の特許請求の範囲によって定められているような本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者によってもたらされ得ることとは、理解されるものである。
【符号の説明】
【0056】
2 システム
4 熱交換器、復熱装置、物品
6 燃焼器
8 圧縮機
10 タービン
12 発電機
14 加熱要素
16 通気口
20 熱交換器主要部分、熱交換器主要部
22、24 熱交換通路、流体流れ通路
26 多岐管
28 HP出口領域
30 HP出口境界部、HP出口
32 LP入口
40 多岐管部分
42 第1の多岐管部分、HP多岐管部分
44 第2の多岐管部分、LP多岐管部分
46 HP出口領域、トンネル部分
48 HP出口接合部分
49 LP入口接合部、通気口
50、52 側
54 漏斗領域、ドーム形状部分、LP多岐管部分
56 外側通路、外側部分
58 トンネル部分
60 前縁
62 フィン
64 外側境界
80 分離格子
180 粉末床
182 粉末スプレッダ
184 レーザー
188 金属粉末
198 媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14