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特許7134225放射性危険廃棄物を格納するドラム缶のための格納キャスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】放射性危険廃棄物を格納するドラム缶のための格納キャスク
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/36 20060101AFI20220902BHJP
   G21F 5/005 20060101ALI20220902BHJP
   G21F 5/08 20060101ALI20220902BHJP
   G21F 5/10 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
G21F9/36 501F
G21F9/36 511P
G21F9/36 501A
G21F9/36 501J
G21F9/36 501C
G21F5/005
G21F5/08
G21F5/10 Q
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020512818
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 US2018049026
(87)【国際公開番号】W WO2019046683
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】62/552,726
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506121386
【氏名又は名称】エヌエーシー インターナショナル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴ・イー・シズリー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ケー・ラングストン
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン・シー・サビリー
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-202397(JP,A)
【文献】特開2015-007535(JP,A)
【文献】米国特許第06489623(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/36
G21F 5/005
G21F 5/08
G21F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性危険廃棄物を安全に輸送および保管するための格納キャスクであって、
前記放射性危険廃棄物を格納する単一のドラム缶と、
上部端部と下部端部との間に延在する細長い円筒形の本体を有する格納容器であって、前記本体が、細長い円筒形の側壁、前記下部端部における前記側壁に取り付けられている円形の平坦な下部プレート、および前記上部端部における前記側壁に取り付けられている円形の平坦な蓋を有し、前記本体が、前記単一のドラム缶を格納する内部領域を画定するとともに、前記単一のドラム缶から放出される放射線を抑制するように遮蔽をもたらす、格納容器と、
上部端部と下部端部との間に延在する細長い円筒形の本体を有する外側コンテナであって、前記本体が、細長い円筒形の側壁、前記下部端部における前記側壁に取り付けられている円形の平坦な下部プレート、および前記上部端部における前記側壁に取り付けられている円形の平坦な蓋を有し、前記本体が、前記放射性危険廃棄物を格納する前記単一のドラム缶を有する前記格納容器を格納する内部領域を画定する、外側コンテナと
前記格納容器内の積載物ライナであって、前記積載物ライナが、細長い本体を有し、前記細長い本体が、円筒形の内部領域を含む上部部分、円筒形の内部領域を含む下側部分、および前記上部部分と前記下側部分との間の平坦な架台であって、前記上部部分と前記下側部分とを分離する平坦な架台を有する、積載物ライナと、
を備える、格納キャスク。
【請求項2】
前記外側コンテナが、前記ドラム缶内で前記放射性危険廃棄物からの外部線量を低減させるように補助的遮蔽を備える外側遮蔽容器である、請求項1に記載のキャスク。
【請求項3】
前記格納容器がステンレス鋼から作られており、前記外側コンテナがダクタイル鋳鉄から作られている、請求項2に記載のキャスク。
【請求項4】
前記外側コンテナは、水が閉じ込められるのを防止するために自由排出するように、1つまたは複数のドレインを含む、請求項3に記載のキャスク。
【請求項5】
前記外側コンテナの前記上部端部および前記下部端部にそれぞれ位置している上側衝撃リミッタおよび下側衝撃リミッタをさらに備え、前記上側衝撃リミッタおよび前記下側衝撃リミッタがそれぞれ、硬質ポリウレタンフォームを封入するステンレス鋼シェルを備える、請求項2に記載のキャスク。
【請求項6】
前記キャスクの垂直方向処理および前記キャスクの固定を可能にするように、前記外側コンテナの前記本体から外向きに延出する複数のトラニオンをさらに備える、請求項2に記載のキャスク。
【請求項7】
記単一のドラム缶が、前記格納容器の上部と前記積載物ライナの前記架台との間の前記上部部分の前記内部領域内に格納され、
前記上部部分が、前記格納容器の前記上部端部と前記下部端部との間に延在する垂直方向軸に沿って、前記格納容器内に前記単一のドラム缶を概して中心に置く、請求項1に記載のキャスク。
【請求項8】
前記積載物ライナが、前記ドラム缶内で前記放射性危険廃棄物からの外部線量を低減させるように補助的遮蔽をさらに備える、請求項1に記載のキャスク。
【請求項9】
前記外側コンテナが、オーバーパック組立体であり、前記オーバーパック組立体が、ステンレス鋼の離間された内側シェルおよび外側シェルを、前記オーバーパック組立体の上部、下部、および側面におけるシェル間にポリウレタンフォームを含んだ状態で備える、請求項1に記載のキャスク。
【請求項10】
前記単一のドラム缶が、次の標準サイズ、すなわち、110ガロン、85ガロン、および55ガロンのうちの1つである、請求項1に記載のキャスク。
【請求項11】
前記格納容器が、前記格納容器の前記本体に前記蓋を留める複数のボルトと、
前記格納容器の前記蓋と前記本体との間の複数の離間された同心Oリングと、
をさらに備える、請求項1に記載のキャスク。
【請求項12】
前記格納容器が、通気特性および漏れ特性を検査するための検査ポートをさらに備える、請求項1に記載のキャスク。
【請求項13】
前記格納容器の前記本体が、前記上部端部にボルトフランジを含み、前記ボルトフランジが、前記側壁から外向きに張り出し、前記蓋が、前記上部端部における前記ボルトフランジに取り付けられている、請求項1に記載のキャスク。
【請求項14】
乾燥した空気環境において放射性危険廃棄物を安全に輸送および保管するための格納キャスクであって、
上部端部と下部端部との間に延在する細長い円筒形の本体を有する格納容器であって、前記本体が、細長い円筒形の側壁、前記下部端部における前記側壁に取り付けられている円形の平坦な下部プレート、および前記上部端部における前記側壁に取り付けられている円形の平坦な蓋を有し、前記本体が、前記放射性危険廃棄物を格納する単一のドラム缶を受け入れ格納するためのサイズおよび形状を有する内部領域を画定するとともに、前記単一のドラム缶から放出される放射線を抑制するように遮蔽をもたらす、格納容器と、
上部端部と下部端部との間に延在する細長い円筒形の本体を有する外側コンテナであって、前記本体が、細長い円筒形の側壁、前記下部端部における前記側壁に取り付けられている円形の平坦な下部プレート、および前記上部端部における前記側壁に取り付けられている円形の平坦な蓋を有し、前記本体が、前記放射性危険廃棄物を格納する前記単一のドラム缶を有する前記格納容器を格納する内部領域を画定する、外側コンテナと
前記格納容器内の積載物ライナであって、前記積載物ライナが、細長い本体を有し、前記細長い本体が、円筒形の内部領域を含む上部部分、円筒形の内部領域を含む下側部分、および前記上部部分と前記下側部分との間の平坦な架台であって、前記上部部分と前記下側部分とを分離する平坦な架台を有する、積載物ライナと、
を備える、格納キャスク。
【請求項15】
前記格納キャスクが、前記内部領域内に前記単一のドラム缶を含む、請求項14に記載のキャスク。
【請求項16】
前記外側コンテナが、
前記単一のドラム缶から放出される放射線をさらに抑制するための補助的遮蔽と、
前記外側コンテナの前記上部端部および前記下部端部にそれぞれ位置している上側衝撃リミッタおよび下側衝撃リミッタと、
を備える、請求項14に記載のキャスク。
【請求項17】
記単一のドラム缶が、前記格納容器の上部と前記積載物ライナの前記架台との間の前記上部部分の前記内部領域内に格納され、
前記上部部分が、前記格納容器の前記上部端部と前記下部端部との間に延在する垂直方向軸に沿って、前記格納容器内に前記単一のドラム缶を概して中心に置く、請求項14に記載のキャスク。
【請求項18】
前記積載物ライナが、前記ドラム缶内の前記放射性危険廃棄物の格納を補佐するための補助的遮蔽をさらに備える、請求項14に記載のキャスク。
【請求項19】
前記格納容器の前記本体がステンレス鋼から作られており、前記外側コンテナの前記本体が鉄から作られている、請求項16に記載のキャスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれている2017年8月31日出願の仮出願第62/552,726号に対する優先権およびその便益を主張するものである。
【0002】
本開示の実施形態は、一般に、放射性危険廃棄物を格納するドラム缶を安全に輸送し、保管することに関する。
【背景技術】
【0003】
少なくとも次の内容物:(a)米国標準55ガロン、85ガロン、および110ガロンのドラム缶ならびに同様の寸法またはより小型の寸法の他のコンテナ内の接触処理された(CH:contact-handled)および遠隔処理された(RH:remote-handled)TRU廃棄物を含むDOE-EMレガシー廃棄物と、(b)カナダ原子力公社(AECL:Atomic Energy of Canada Limited)施設からのバスケット形体のカナダ重水素ウラン(CANDU:Canada deuterium uranium)使用済み燃料とを積み出し、保管することができる小型のモジュール式タイプB核分裂性廃棄物のための安価な輸送/保管格納キャスクの必要性がある。
【0004】
そのような格納キャスクはいずれも、米国およびカナダにおける核分裂性および放射性内容物の輸送ならびに保管のための広範囲の適用可能な規則に従わなくてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射性危険廃棄物を格納するドラム缶を安全に輸送し、保管するための格納キャスクおよび方法の実施形態が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
中でもとりわけ、1つの実施形態は、乾燥した空気環境において放射性危険廃棄物を安全に輸送し、保管するための格納キャスクである。このキャスクは、放射性危険廃棄物を格納する単一のドラム缶と、ドラム缶を格納する封止/遮蔽型格納容器(sealed and shielded containment vessel)と、外側コンテナとを備える。
【0007】
外側コンテナは、複数の形態をとることができる。外側コンテナは、さらなる遮蔽をもたらすために鉄から作られている外側遮蔽容器(OSV:outer shield vessel)の形態であってもよい。この外側コンテナは、より高い放射能の廃棄物を有するドラム缶に適している。外側コンテナはまた、仮定事故条件(たとえば、自由落下、穿刺、および火災)については保護を追加するが、遮蔽の観点ではほとんど追加しないオーバーパック組立体(overpack assembly)の形態であってもよい。この外側コンテナは、より低い放射能の廃棄物を有するドラム缶に適している。
【0008】
本発明の他の容器、装置、方法、装置、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討すると、当業者には明らかであり、または明らかになる。すべてのそのような追加のシステム、方法、特徴、および利点は、本明細書の中に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されるものと意図される。
【0009】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照してより良く理解することができる。図面の中の構成要素は、必ずしも縮尺通りとは限らず、むしろ、本開示の原理を明瞭に示すことに重きが置かれている。その上、図面においては、同様の参照番号は、いくつかの図全体を通じて、対応する部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】切欠きが、放射性危険廃棄物を有する単一のドラム缶を格納するように設計されている共通格納容器(CCV:common containment vessel)を格納する外側遮蔽容器(OSV:outer shield vessel、外側コンテナ)を示している、キャスクの第1の実施形態の斜視図である。
図2図1のOSVの分解組立図である。
図3】切欠きが、硬質ポリウレタンフォームを封入するステンレス鋼シェルを示している、図1および図2のOSVの上部端部および下部端部に位置する衝撃リミッタ(上側および/または下側)の斜視図である。
図4】放射性危険廃棄物を有する単一のドラム缶を格納するように設計されている図1のCCVを格納する遮蔽されていないオーバーパック組立体を示す、キャスクの第2の実施形態の斜視図である。
図5】切欠きが、図1のCCVを格納する外側コンテナ(遮蔽されていないオーバーパック)を示している、図4のキャスクの第2の実施形態の斜視図である。
図6図4のキャスクの第2の実施形態の断面図である。
図7】第1の実施形態および第2の実施形態にそれぞれ関連する図1および図4のCCVの斜視図である。
図8図1および図6のCCVの分解組立図である。
図9A】それぞれに異なるサイズの積載物ライナ(payload liner)を使用することによって、放射性危険廃棄物を有する異なるサイズのドラム缶を格納する、図7のCCVの横断面図である。
図9B】それぞれに異なるサイズの積載物ライナ(payload liner)を使用することによって、放射性危険廃棄物を有する異なるサイズのドラム缶を格納する、図7のCCVの横断面図である。
図9C】それぞれに異なるサイズの積載物ライナ(payload liner)を使用することによって、放射性危険廃棄物を有する異なるサイズのドラム缶を格納する、図7のCCVの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A. 格納キャスクの第1の実施形態
図1は、参照番号10によって指定されている格納キャスクの第1の実施形態の斜視図であり、切欠きは、放射性危険廃棄物を有する単一のステンレス鋼ドラム缶16(図9)を格納するように設計されている共通格納容器(CCV)14を格納する外側遮蔽容器12(OSV、外側コンテナ)を示しており、この放射性危険廃棄物には、不適合の遠隔処理された超ウラン(RH-TRU:remote handled transuranic)廃棄物(たとえば、スプレー缶、小さい液体コンテナなど、放射性廃棄物隔離試験施設(WIPP:waste isolation pilot plate)の許容基準によって許可されていない項目を含んでいるRH-TRU廃棄物)、カナダ重水素ウラン(CANDU:Canada deuterium uranium)廃棄物、放射性デブリ、実験で使用済みの核燃料、照射された核分裂性物質、核燃料デブリ、高レベル廃棄物(HLW:high level waste)、クラスCを超える廃棄物(GTCC:greater than Class C waste)などが含まれるが、これらに限定されない。ドラム缶16は、次の米国標準の110ガロンドラム缶16a(図9A)、85ガロンドラム缶16b(図9B)、または55ガロンドラム缶16c(図9C)のうちのいずれか1つとすることができる。格納キャスク10の設計は、単純で、低コストである。格納キャスク10の第1の実施形態は、より高い放射性廃棄物内容物を有するドラム缶を処理するために、本明細書において詳細に後述する第2の実施形態よりも遮蔽を伴って設計されている。
【0012】
CCV14は、上部端部と下部端部との間に延在する細長い円筒形の本体18を有する。CCV本体は、円筒形の側壁25、下部端部における、側壁25に溶接されている平坦な下部プレート22、開放上部が上部端部における側壁25に溶接されている張出しボルトフランジ23、および張出しボルトフランジ23の上部に、開放上部にわたって取り付けられている円形の平坦な蓋24を含む。側壁25、下部プレート22、張出しボルトフランジ23、および蓋24は、ともに組み合わさって、単一のドラム缶16を格納する内部領域を画定し、CCV14内の放射性物質の漏れ止め格納をもたらす。CCV14は、ステンレス鋼から作られており、格納されたドラム缶16の一次遮蔽機構である。CCV14は、輸送および保管に使用されているとき、完全に封止された形体である。
【0013】
図2は、OSV12の分解組立図である。OSV12は、上部端部と下部端部との間に延在する細長い円筒形のOSV本体26を有する。OSV本体26は、側壁27、側壁27と一体である、下部端部における平坦な下部プレート28、および上部端部における側壁27に、OSV12の開放上部にわたって取り付けられている円筒形の平坦な蓋32を含む。OSV本体26は、放射性危険廃棄物を格納する単一のドラム缶16を有するCCV14を格納する内部領域を画定する。OSV12は、圧力維持用組立体ではなく、単に、落下、穿刺、火災などの可能性など、外部事象からCCV14を保護するための構造体にすぎない。
【0014】
OSV12は、外部放射性線量率を許容レベルまで低減させることが要求される補助的遮蔽を備える。好ましい実施形態においては、OSV12の側壁27、下部プレート28、および蓋32は、ダクタイル鋳鉄から作られている。好ましい実施形態においては、鉄側壁27の厚さは、(a)衝撃リミッタ56間で約7インチ、(b)衝撃リミッタ56がOSVの端部の上に出っ張っているところで約6.5インチ、および(c)下部端部において約6インチである。格納キャスク10は、RH-TRU廃棄物および/または照射された燃料廃棄物を有するドラム缶16を輸送し、保管するのに使用され得る。その上、RH-TRU廃棄物および照射された燃料廃棄物は、それぞれ、200ワット以下および1500ワット以下の崩壊熱を呈する可能性がある。
【0015】
上部端部における蓋32は、鋼ワッシャ36とともに複数の合金鋼ボルト34、および水の浸入を防止するための弾性ガスケットウェザーシールによりOSV本体26にボルト締めされる。位置合わせピンもまた、OSV蓋の位置合わせと装着の作業を容易にするために使用される。
【0016】
OSV12は、1つまたは複数のドレインポート38、好ましくは、排出できるようにする、および排出できなくするための対応するドレインポートプラグ42を備えたドレインポート38を含む。ドレインポート38は、OSV空洞を液体が存在するかどうか確認することができるように、および保管または現場の作業中、必要に応じて排出することができるように設けられる。ドレインポートはまた、現場規則および/または管理規則によって必要があれば、継続的に監視するのにも使用され得る。ドレインポート38は、格納キャスク10が保管モードであるとき、封止されたCCV14の外側にあるOSV12の内部領域内に水が閉じ込められるのを防止するために、自由排出を可能とすることができる。
【0017】
複数の直径方向に対向する引上げ用トラニオン44が、両側に位置決めされ、OSV本体26の表面から外向きに延出して、格納キャスク10の垂直方向の処理および格納キャスク10の固定を可能にする。OSV本体に鋳造されている引上げ用トラニオン44は、特別な設備なしに作業可能でありANSI-N14.6業界標準に準拠する単純な引上げヨーク設計である。引上げ用トラニオン44はまた、格納キャスク10をタイダウンして輸送するのにも使用され得る。
【0018】
複数のタイダウン突起(tie-down lug)46もまた、OSV本体26の表面から外向きに延出するように位置決めされて、格納キャスク10の固定を可能にする。一例として、タイダウン突起46により、格納キャスク10をトレーラ荷台に固定することが可能になる。格納キャスク10が軽量(すなわち、CCV重量は2650lb.から6200lb.の間、およびキャスクの総重量は26,100lb.から30,000lb.の間)であるので、最大で3個までの格納キャスク10が、陸路積出しごとに積出し可能であり、タイダウンアーム46は、これらの格納キャスク10をトレーラ荷台に固定するのに使用され得る。
【0019】
OSV12は、上側の衝撃リミッタ56がOSV12の上部端部に位置し得るように、OSV本体26から外向きに延出する複数の上側の衝撃リミッタ留め具突起52を含む。OSV12は、下側の衝撃リミッタ56がOSV12の下部端部に位置し得るように、OSV本体26から外向きに延出する複数の下側の衝撃リミッタ留め具突起54をさらに含む。好ましい実施形態においては、上側および下側の衝撃リミッタ56はそれぞれ、構造が同一である。
【0020】
上側および下側の衝撃リミッタ56は、対称であり、相互交換可能である。図3に示されているように、各衝撃リミッタ56は、OSV12のそれぞれの端部にわたって嵌合するポケットを内側に有する。各衝撃リミッタ56は、硬質ポリウレタンフォーム62を封入するステンレス鋼シェル58を有する。好ましい実施形態においては、シェルは、厚さが約0.075インチである。各衝撃リミッタ56は、好ましくはTボルト型連結部を使用してOSV12に関連する留め具突起54(図2)に係合し留め付ける複数の留め具突起64を含む。ドレイン管66により、水が下部衝撃リミッタ56とOSV12との間の環状の間隙領域から流出できるようになる。上部衝撃リミッタ56については、ドレイン管66は、水の浸入を防止するようにキャップ付けされている。下部摩擦リング68および複数の放射状の摩擦ストリップ72が、OSV12の外側に係合するように設計されている。せん断リング(shear ring)74が、必要に応じて、せん断効果を提供する。他の適切なタイプの衝撃リミッタが知られており、好ましい実施形態に関連するものの代わりに利用可能になる。
【0021】
好ましい実施形態においては、格納キャスク10は、直径が約74.5インチ、および垂直方向高さが約84.5インチある。その上、頑強設計により、既存の建物または屋外に格納キャスク10を保管することが可能になる。
【0022】
B. 格納キャスクの第2の実施形態
次に、参照番号10'によって指定される格納キャスクの第2の実施形態について、図4図6を参照して説明する。格納キャスク10'(第2の実施形態)は、1回の運搬で輸送され得る格納キャスクの数を最大にするように、格納キャスク10(第1の実施形態)よりも小型であり、重量の観点で軽量であるように設計されている。図4は、格納キャスク10'の斜視図である。図5は、第2の実施形態の斜視図であり、切欠きは、放射性危険廃棄物、たとえば、200ワット以下の崩壊熱を呈する接触処理された超ウラン(CHTRU:contact handled transuranic)廃棄物を有する単一のドラム缶16(図7)を格納するように設計されているCCV14(図1)を格納する遮蔽されていないオーバーパック組立体76(外側コンテナ)を示している。図6は、格納キャスク10'の横断面図である。オーバーパック組立体76は、概して、CCV14によって提供される一次遮蔽を補佐するための最小限の補助的遮蔽をもたらす。
【0023】
オーバーパック組立体76は、円筒形の蓋組立体78によってカバーされている円筒形のベース組立体75を有する。蓋組立体78は、その内部空洞内にCCV18を固定するように複数の等間隔のボルト80によってベース組立体75にボルト締めされている。ベース組立体75および蓋組立体78は、概して、硬質ポリウレタンフォームにより充填されているステンレス鋼シェルで作られている。遮蔽に関連して柔軟性が存在する。遮蔽用インサートは、異なる内容物に最適化され得、不適合のTRU廃棄物を有するいくつかのドラム缶をパッケージし直す必要性がなくなり、それによって結果的に、積出しがより少なくなる。
【0024】
蓋組立体78は、標準支持材を使用して、蓋組立体78および被載荷パッケージ10'の垂直方向処理を可能するための複数の引上げ用タブ81を有する。ベース組立体75には、オーバーパック組立体76(および格納キャスク10')を支持構造体83に固定することを可能にするための複数のタイダウンアーム82が備えられている。パッケージング10'および内容物の重量が軽量(すなわち、CCV重量が約3100lb.、およびキャスクの総重量が約6,000lb.から8,200lb.の間)であるので、最大で10個までの格納キャスク10'が、陸路積出しごとに積出し可能であり、タイダウンアーム82は、これらの格納キャスク10'をトレーラ荷台に固定するのに使用され得る。
【0025】
図6に示されているように、オーバーパック組立体76は、組み立てられると、上部端部と下部端部との間に延在する細長い円筒形の本体を有する。ベース組立体75の本体に溶接されている平坦な下部プレート83が下部端部に存在し、蓋組立体78の本体に溶接されている平坦な上部プレート84が上部端部に存在する。
【0026】
フォームインサートに関しては、ベース組立体75の側面は、外側および内側のステンレス鋼シェル75a、75bを有し、これらのシェル間に側面フォーム85がある。蓋組立体78の側面もまた、外側および内側のステンレス鋼シェル78a、78bを有し、これらのシェル間に側面フォーム86がある。ベース組立体75の下部端部は、隅部フォーム87および中心部フォーム87を含む。熱スパイダ(thermal spider)もまた、熱散逸のために中心部フォーム87に位置していてもよい。蓋組立体78の上部端部は、隅部フォーム88および中心部フォーム89を含む。外側および内側のシェルの厚さは、最適な破砕特性について設計されており、好ましい実施形態においては、それぞれ3/16インチおよび14ゲージである。
【0027】
寸法の観点では、好ましい実施形態においては、格納キャスク10'は、直径が約47インチ、および垂直方向高さが約64.5インチある。
【0028】
C. 共通格納容器(CCV)
図7は、格納キャスク10の第1の実施形態および格納キャスク10'の第2の実施形態の中に保管されている(図1および図4の)CCV14の斜視図であり、図8は、このCCV14の分解組立図である。図7および図8に示されているように、CCV14は、上部端部と下部端部との間に延在する細長い円筒形の本体18を有する。CCV本体は、円筒形の側壁18、下部端部における、側壁18に溶接されている平坦な下部プレート22、開放上部が上部端部における側壁18に溶接されている張出しボルトフランジ23、および張出しボルトフランジ23の上部に、開放上部にわたって取り付けられている円形の平坦な蓋24を含む。側壁18、下部プレート22、張出しボルトフランジ23、および蓋24は、ともに組み合わさって、単一のドラム缶16を格納する内部領域を画定し、CCV14内に放射線を収めるのに十分な遮蔽をもたらす。好ましい実施形態においては、ドラム缶16は、最大で390までの核分裂性グラム当量(FGE:fissile gram equivalent、すなわち、プラトニウム239のグラム)を有することができる。
【0029】
蓋24は、対応するワッシャ101とともに複数の拘束クロージャボルト(captured closure bolt)99により張出しボルトフランジ23に取り付けられる。拘束ボルト99は、特定の積載物に必要である遠隔の蓋の装着と取外しの作業を容易にする。位置合わせピンは、CCV蓋の位置合わせと装着の作業を容易にするのに使用される。複数の離間された同心Oリング102(弾性ガスケットウェザーシール;格納用には内側、検査用には外側)が、CCV14の蓋24とボルトフランジ23との間に位置している。蓋24内の複数のねじ穴103により、標準支持材(ワイヤロープ、シャックル、回転巻上げリング(swivel hoist ring))を使用して、CCV14を垂直方向に引き上げ、下ろすことが可能になる。好ましい実施形態においては、CCV14は、直径が約32.5インチ、および垂直方向高さが約47.38インチである。
【0030】
CCV14は、知られている技法を使用してCCV14の封止性能(通気および漏れ)を検査するのに使用され得る検査ポート組立体104を含む。基本的には、検査ポート組立体104は、CCV14を空にし、ヘリウムなどの不活性ガスでCCV14を充填し戻し、次いで、漏れについて確認するのに使用される。検査ポート組立体104は、複数のポートカバーボルト110により円形の蓋開口部108内に取り付けられているポートカバー106を有する。二重Oリング112(格納用には内側、検査用には外側)が、ポートカバー106と、円形の蓋開口部108に関連するドーナツ形状の下部との間に使用される。迅速連結弁114が、CCV14の内側雰囲気へのアクセスを可能にするための円形の蓋穴116にわたって取り付けられている。迅速連結弁114は、ポートカバー106を取り除くことによってアクセスされる。
【0031】
1つまたは複数のモジュール式補助的遮蔽が、CCV14に追加されても、または別個の遮蔽ライナ(たとえば、後述の積載物ライナ)が、CCV14の内部空洞に追加されてもよい。これらの追加の遮蔽は、CCV14にライナとして追加され得る。各遮蔽は、特定の放射性危険廃棄物セットまたはタイプに最適化され得る。
【0032】
D. 積載物ライナ
様々な積載物のサイズおよび遮蔽の要件に応じて、CCV空洞内に内容物を支え追加の遮蔽をもたらすように、積載物ライナをCCV空洞の内部で使用することができる。積載物ライナは、要求される遮蔽のタイプおよび量に応じて、様々な材料およびサイズから作ることができる。
【0033】
図9A図9B、および図9Cは、それぞれ異なるサイズの積載物ライナ118a、118b、および118cを使用することによって、放射性危険廃棄物を有する異なるサイズのドラム缶16a、16b、および16cをそれぞれ格納するCCV14の横断面図である。具体的には、図9Aは、米国標準110ガロンドラム缶16aを示している。図9Bは、米国標準85ガロンドラム缶16bを示している。図9Cは、米国標準55ガロンドラム缶16cを示している。
【0034】
図9Aを参照すると、積載物ライナ118aは、ドラム缶16aが置かれている円形の架台122aを有する。円筒形の内部領域を含む円筒形の下側部分124aは、CCV14の下部プレート22にわたって架台122aを支持する。
【0035】
図9Bを参照すると、積載物ライナ118bは、細長い本体を有し、この細長い本体は、円筒形の内部領域を含む上部部分126b、円筒形の内側領域を含む下側部分124b、および上部部分126bと下側部分124bとの間を分離する円形の平坦な架台122bを有する。円筒形の下側部分124bは、CCV14の下部プレート22にわたって架台122bを支持する。ドラム缶16bは、CCV14の上部とライナ118bの架台122bとの間の上部部分124bの内部領域に格納される。上部部分126bはまた、CCV14の上部端部と下部端部との間に延在する垂直方向軸に沿って、CCV14内に単一のドラム缶16bを概して中心に置くように設計されている。
【0036】
図9Cを参照すると、積載物ライナ118cは、細長い本体を有し、この細長い本体は、円筒形の内部領域を含む上部部分126c、円筒形の内側領域を含む下側部分124c、および上部部分126cと下側部分124cとの間を分離する円形の平坦な架台122cを有する。円筒形の下側部分124cは、CCV14の下部プレート22にわたって架台122cを支持する。ドラム缶16cは、CCV14の上部とライナ118cの架台122cとの間の上部部分124cの内部領域に格納される。上部部分126cはまた、CCV14の上部端部と下部端部との間に延在する垂直方向軸に沿って、CCV14内に単一のドラム缶16cを概して中心に置くように設計されている。
【0037】
積載物ライナ118は、種々の異なる材料から作ることができる。いくつかの実施形態においては、積載物ライナ118は、ドラム缶16内の放射性危険廃棄物の格納を補佐するように補助的遮蔽を含むことができる。1つの実施形態においては、積載物ライナ118は、中でもとりわけ、それ自体が遮蔽用材料であるステンレス鋼から作られている。別の実施形態においては、積載物ライナ118は、中でもとりわけ、中性子を遮蔽するのではなく吸収するポリウレタンフォームから作られている。
【0038】
E. 変形形態および変更形態
本発明の上述した実施形態、具体的には、任意の「好ましい(preferred)」実施形態が、単に実装形態の可能な非限定例にすぎず、本発明の原理を明確に理解するために示しているにすぎないことを強調すべきである。本発明の趣旨および原理から実質的に逸脱することなく、本発明の上述した実施形態に対する多くの変形形態および変更形態が作成され得る。そのようなすべての変更形態および変形形態は、本開示および本発明の範囲内で本明細書に含まれているように意図されている。
【0039】
一例として、格納キャスク10および10'は、説明したものとは異なるドラム缶のサイズに対応することができる。
【0040】
別の例としては、衝撃リミッタ56とは異なる衝撃リミッタが、OSV12に関連して利用され得る。
【符号の説明】
【0041】
10 格納キャスク
10' 格納キャスク、被載荷パッケージ
12 外側遮蔽容器(OSV)
14 共通格納容器(CCV)
16 ドラム缶
16a、16b、16c ドラム缶
18 CCV本体
18 細長い円筒形の本体、円筒形の側壁
22 下部プレート
23 張出しボルトフランジ
24 蓋
25 側壁
26 OSV本体
27 側壁
28 下部プレート
32 蓋
34 合金鋼ボルト
36 鋼ワッシャ
38 ドレインポート
42 ドレインポートプラグ
44 引上げ用トラニオン
46 タイダウン突起、タイダウンアーム
52 上側の衝撃リミッタ留め具突起
54 下側の衝撃リミッタ留め具突起
56 衝撃リミッタ
58 ステンレス鋼シェル
62 硬質ポリウレタンフォーム
66 ドレイン管
68 下部摩擦リング
72 摩擦ストリップ
75 ベース組立体
75a、75b ステンレス鋼シェル
76 オーバーパック組立体
78 蓋組立体
78a、78b ステンレス鋼シェル
80 ボルト
81 引上げ用タブ
82 タイダウンアーム
83 支持構造体、下部プレート
84 上部プレート
85 側面フォーム
86 側面フォーム
87 隅部フォーム
87 中心部フォーム
88 隅部フォーム
89 中心部フォーム
99 拘束クロージャボルト
101 ワッシャ
102 同心Oリング
103 ねじ穴
104 検査ポート組立体
106 ポートカバー
108 蓋開口部
110 ポートカバーボルト
112 Oリング
114 迅速連結弁
118a 積載物ライナ
118a、118b、118c 積載物ライナ
122a、122b、122c 架台
124a、124b、124c 下側部分
126b、126c 上部部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C