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特許7134231ワークピース背面の損傷を最小限に抑えるためのシステムおよび方法
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  • 特許-ワークピース背面の損傷を最小限に抑えるためのシステムおよび方法 図1
  • 特許-ワークピース背面の損傷を最小限に抑えるためのシステムおよび方法 図2
  • 特許-ワークピース背面の損傷を最小限に抑えるためのシステムおよび方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】ワークピース背面の損傷を最小限に抑えるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220902BHJP
【FI】
H01L21/68 R
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020523403
(86)(22)【出願日】2018-09-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018050155
(87)【国際公開番号】W WO2019089130
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-06-05
(31)【優先権主張番号】15/797,264
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500239188
【氏名又は名称】ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】スコット イー ピーチ
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-198838(JP,A)
【文献】特開2015-041669(JP,A)
【文献】特開2006-269556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱遷移中のワークピースへの損傷を最小限に抑えるためのシステムであって、
1つ以上の開口部を有する上面を備えるプラテンと、
前記1つ以上の開口部のそれぞれとそれぞれ連通する複数の導管と、
前記複数の導管と連通するとともに、背面ガス供給システムと連通するバルブシステムと、
前記上面にワークピースを保持するクランプ力を生成するために前記プラテン内に配置された1つ以上の電極と、
電極電源と、
前記バルブシステムと通信して前記プラテンの前記上面への背面ガスの流れを変調するとともに、前記電極電源と通信して前記ワークピースに加えられるクランプ力を変調するコントローラと、
を備え、
前記ワークピースを前記プラテンに取り付けた後、かつ、前記ワークピースを前記プラテンから取り外す前、前記プラテン上に前記ワークピースが配置されている期間中、前記クランプ力は、複数回、交互に増加され低下され、背面ガス圧力は、前記クランプ力と連動して、複数回、交互に増加され低下される、システム。
【請求項2】
前記電極電源は、第1のクランプ力を前記ワークピースに加えるための第1の電圧と、前記第1のクランプ力より低い第2のクランプ力を前記ワークピースに加えるための第2の電圧を出力する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記バルブシステムは、背面ガスを第1の圧力レベルおよび前記第1の圧力レベルより低い第2の圧力レベルで供給するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のクランプ力が前記ワークピースに加えられているときに、前記第1の圧力レベルが供給される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のクランプ力は、前記第1のクランプ力の0%から50%の間である、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記クランプ力および前記背面ガスの流れを10Hz未満の周波数で変調する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
コントローラによって実行されると、前記コントローラに、
ークピースをプラテンに取り付けた後、かつ、前記ワークピースを前記プラテンから取り外す前、前記プラテン上に前記ワークピースが配置されている期間中、前記ワークピースに加えられるクランプ力を変調させる命令、前記クランプ力は、複数回、交互に増加され低下され、および
前記ワークピースを前記プラテンに取り付けた後、かつ、前記ワークピースを前記プラテンから取り外す前、前記プラテン上に前記ワークピースが配置されている期間中、前記プラテンの上面への背面ガスの流れを変調させる命令、背面ガス圧力は、前記クランプ力と連動して、複数回、交互に増加され低下される、
を含む、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項8】
前記コントローラは電極電源と通信し、前記命令は、前記コントローラによって実行されると、前記電極電源に、第1のクランプ力を前記ワークピースに加えるために第1の電圧および前記第1のクランプ力より低い第2のクランプ力をワークピースに加えるために第2の電圧を出力させる、請求項7に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記コントローラはバルブシステムと通信し、前記命令は、前記コントローラによって実行されると、前記バルブシステムに、背面ガスを第1の圧力レベルで、および前記第1の圧力レベルより低い第2の圧力レベルで供給させる、請求項8に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記命令は、前記コントローラによって実行されると、前記第1のクランプ力が前記ワークピースに加えられているときに前記第1の圧力レベルが供給されるようにする、請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記第2のクランプ力は、前記第1のクランプ力の0%から50%の間である、請求項8に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
熱遷移中のワークピースへの損傷を最小限に抑える方法であって、
加熱されたプラテン上にワークピースを配置するステップと、
前記ワークピースを前記プラテンに取り付けた後、かつ、前記ワークピースを前記プラテンから取り外す前、前記ワークピースが前記加熱されたプラテン上に配置されている期間中、クランプ力と前記加熱されたプラテンの上面への背面ガスの流れを変調するステップであって、前記クランプ力は、複数回、交互に増加され低下され、背面ガス圧力は、前記クランプ力と連動して、複数回、交互に増加され低下される、ステップと、
前記ワークピースが目的の温度に達したとき、前記ワークピースを取り外すステップと、を含む、方法。
【請求項13】
前記クランプ力は、第1のクランプ力と該第1のクランプ力より低い第2のクランプ力との間で変調される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記背面ガスの流れが、第1の圧力レベルと該第1の圧力レベルより低い第2の圧力レベルとの間で変調される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のクランプ力が前記ワークピースに加えられているときに、前記第1の圧力レベルが供給される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、ワークピースが加熱または冷却されている間にワークピースの背面に引き起こされる損傷を最小限に抑えるためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造には、複数の個別の複雑なプロセスが含まれる。それらのプロセスの1つは、ワークピースから材料を除去するエッチングプロセスであり得る。別のプロセスは、ワークピース上に材料を堆積する堆積プロセスであり得る。さらに別のプロセスは、ワークピースにイオンを注入さするイオン注入プロセスであり得る。
【0003】
いくつかの実施形態では、これらのプロセスの1つまたは複数を室温と異なる温度で実行するのが有益であり得る。例えば、特定の実施形態では、イオン注入プロセスは高温で最もよく実行することができる。他の実施形態では、このプロセスは低温で最もよく実行することができる。
【0004】
このプロセスのためにワークピースを準備するには、予熱または冷却ステーションが使用され得る。特定の実施形態では、ワークピースはプラテン上に配置され、その後プラテンの温度がワークピースの温度を制御するために変更される。この熱遷移がワークピースの膨張または収縮を引き起こす可能性がある。
【0005】
場合によっては、ワークピースがプラテン上に置かれている間に損傷され得る。たとえば、ワークピースの温度が変化すると、ワークピースはプラテンに対して膨張または収縮する。ワークピースの寸法が変化すると、ワークピースとプラテンの間に相対運動が生じるため、プラテン上にある粒子がワークピースの底面を引っかいたり、傷つけたりすることがある。その結果、放射状の傷やガウジ痕が発生することがある。引っかき傷は、デバイス全体の歩留まりを低下させ、したがって、半導体コンポーネントの製造コストを増加させる可能性がある。
【0006】
したがって、これらの熱遷移中のワークピース背面への損傷を最小限に抑えるためのシステムと方法があれば有益であろう。また、このシステムがワークピースを所望の温度にする時間に大きな影響を与えなかった場合も有利であろう。
【発明の概要】
【0007】
熱遷移中プラテン上に配置されたワークピースの背面への損傷を最小限に抑えるためのシステムおよび方法が開示される。このシステムは、熱遷移中クランプ電圧と背面ガス圧力を変調するコントローラを含む。クランプ電圧を変調することによって、ワークピースが特定の時間にプラテンにしっかりと保持されないかもしれないが、プラテンの上面に存在する粒子によって引き起こされる可能性のある損傷を最小限に抑えることができる。さらに、背面ガス圧の変調はそれでもプラテンとワークピースの間の良好な熱伝導性を可能にする。
【0008】
一実施形態によれば、熱遷移中のワークピースへの損傷を最小限に抑えるためのシステムが開示される。このシステムは、1つ以上の開口部を有する上面を備えるプラテンと、前記1つ以上の開口部のそれぞれとそれぞれ連通する複数の導管と、前記複数の導管と連通するとともに、背面ガス供給システムと連通するバルブシステムと、前記上面にワークピースを保持するクランプ力を生成するために前記プラテン内に配置された1つ以上の電極と、電極電源と、前記バルブシステムと通信して前記プラテンの前記上面への背面ガスの流れを変調するとともに、前記電極電源と通信して前記ワークピースに加えられるクランプ力を変調するコントローラと、を備える。特定の実施形態では、前記電極電源は、第1のクランプ力を前記ワークピースに加えるための第1の電圧と、前記第1のクランプ力より低い第2のクランプ力を前記ワークピースに加えるための第2の電圧を出力する。特定の実施形態では、前記バルブシステムは、背面ガスを第1の圧力レベルでおよび前記第1の圧力レベルより低い第2の圧力レベルで供給するように構成されている。特定の実施形態では、前記第1のクランプレベルが前記ワークピースに加えられているときに、前記第1の圧力レベルが供給される。いくつかの実施形態では、前記第2のクランプ力は、前記第1のクランプ力の0%から50%の間である。いくつかの実施形態では、前記コントローラは、前記クランプ力および前記背面ガスの流れを10Hz未満の周波数で変調する。
【0009】
別の実施形態によれば、命令を含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が開示される。前記命令は、コントローラによって実行されると、前記コントローラに、プラテン上に配置されたワークピースに加えられるクランプ力を変調させ、前記プラテン上に前記ワークピースが配置されている間、前記プラテンの上面への背面ガスの流れを変調させる。特定の実施形態では、前記コントローラは電極電源と通信し、前記命令は、前記コントローラによって実行されると、前記電極電源に、第1のクランプ力を前記ワークピースに加えるための第1の電圧と、前記第1のクランプ力より低い第2のクランプ力を前記ワークピースに加えるための第2の電圧を出力させる。特定の実施形態では、前記コントローラはバルブシステムと通信し、前記命令は、前記コントローラによって実行されると、前記バルブシステムに、背面ガスを第1の圧力レベルで、および前記第1の圧力レベルより低い第2の圧力レベルで供給させる。特定の実施形態では、前記命令は、前記コントローラによって実行されると、前記第1のクランプ力が前記ワークピースに加えられているときに前記第1の圧力レベルが供給されるようにする。
【0010】
別の実施形態によれば、熱遷移中のワークピースへの損傷を最小限に抑える方法が開示される。この方法は、加熱されたプラテン上にワークピースを配置するステップと、前記ワークピースが前記加熱されたプラテン上に配置されている間、クランプ力と前記加熱されたプラテンの上面への背面ガスの流れを変調するステップと、前記ワークピースが目的の温度に達したとき、前記ワークピースを取り外すステップを含む。特定の実施形態では、前記クランプ力および前記背面ガスの流れは10Hz未満の周波数で変調される。
【0011】
本開示のよりよい理解のために、本明細書に組み込まれた添付図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による、ワークピース背面への損傷を最小限に抑えるためのシステムの断面図である。
図2】一実施形態による、クランプ力および背面ガス圧力を示す波形を示す。
図3図2のシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記のように、半導体デバイスの製造は、エッチングプロセス、堆積プロセスおよびイオン注入などの様々なプロセスを含む。これらのプロセスの1つ以上は、温度に敏感である。いくつかの実施形態では、この半導体プロセスをワークピースに施す前に、ワークピースの温度を調節するために予熱または冷却ステーションが使用される。
【0014】
図1は、ワークピースの底面または背面への損傷を最小限に抑えつつワークピースの温度を変化させるために使用できるシステムを示している。システム10は、プラテン100を含む。プラテンは、その中に配置された1つ以上の電極110を含む。これらの電極110は電極電源120と通電する。電極電源120は、DCまたはAC電圧を電極110に供給することができる。電極110に供給される電圧の周波数および振幅は設計によって決めることができ、本開示によって限定されない。特定の実施形態では、電極は対に配置してもよく、その場合には反対極性の電圧が電極対に供給される。
【0015】
プラテン100はまた、プラテン100に埋め込まれたヒーター130を含むことができる。これらのヒーター130は、プラテン100を所望の温度に加熱するために使用することができる。これらのヒーター130は抵抗素子としてよく、電流をヒーター130に流すとそれらの温度が上昇する。ヒーター130は加熱電源135と通電してよい。特定の実施形態では、プラテン100が冷却ステーションの一部として使用される場合には、ヒーター130および加熱電源135は含めなくてもよい。
【0016】
プラテン100はまた、入口141および出口142を有する埋め込み流体チャネル140を含むことができる。特定の実施形態では、流体源が入口141と連通している。流体が入口141からプラテン100に入り、流体チャネル140を通って、出口142から出ることができる。いくつかの実施形態では、この流体は冷却された、例えば冷水または液体窒素としてよい。他の実施形態では、流体は加熱された、例えば温水としてもよい。いくつかの実施形態では、流体チャネル140を通る流体を再循環させるためにポンプを使用してもよい。特定の実施形態では、流体チャネル140は、プラテン100に含めなくてもよい。
【0017】
背面ガスチヤネル150は、プラテン100を通ってプラテン100の上面101で終端させてよい。背面ガスチヤネル150はガス源155と連通してよい。ガス源155から背面ガスチャネル150へのガスの流れを制御するために、マスフローコントローラ(MFC)などのバルブシステム151または単なる開閉バルブを使用してよい。背面ガスは、プラテン100の上面101とワークピースの背面との間の容積に導入される。この背面ガスは、プラテン100の上面とワークピース20との間の熱伝導率を増加させる。特定の実施形態では、背面ガスは、約4~8トルの圧力で供給してよい。
【0018】
コントローラ160は、電極電源120およびバルブシステム151と通信することができる。コントローラ160は、処理ユニット161および関連するメモリデバイス162を有する。このメモリデバイス162は、処理ユニット161によって実行されると、システム10に本明細書に記載された機能を実行させることができる命令を含む。このメモリデバイス162は、フラッシュROM、電気的に消去可能なROMなどの不揮発性メモリ、または他の適切なデバイスであってよい。他の実施形態では、メモリデバイス162は、RAMまたはDRAMなどの揮発性メモリであってもよい。特定の実施形態では、コントローラ160は、汎用コンピュータ、内臓プロセッサ、または専用マイクロコントローラであってよい。コントローラ160の実際の実装は、この開示によって限定されない。
【0019】
通常動作中、ワークピース20はプラテン100の上面101に配置される。次に、電極電源120を作動させることによって、ワークピース20はプラテンにクランプされる。電極110に供給される電圧は、ワークピース20を上面101に保持するクランプ力を生成する。クランプ力が加えられると、背面ガスが背面ガスチャネル150に提供され得る。この背面ガスは、ワークピース20の背面とプラテン100の上面101との間の容積を満たす。
【0020】
特定の実施形態では、プラテン100は、流体を流体チャネル140に流すか、またはヒーター130にエネルギーを与えることによって、特定の温度に維持される。このように、ワークピース20がプラテン100の上面101上に配置されると同時にワークピース20の熱遷移が始まる。他の実施形態では、ワークピース20が上面101の上に配置された後に、プラテン100が加熱される。
【0021】
熱遷移中のワークピース20の背面への損傷の可能性を最小限に抑えるために、コントローラ160は、クランプ力と背面ガス圧力を変調することができる。図2は、クランプ力200および背面ガス圧力210を例示する波形を示す。図2に示されるように、コントローラ160は、電極電源120によって供給される電圧を変調して、クランプ力をワークピースが上面101にしっかりと保持される第1のクランプレベル201から、それより低い第2のクランプレベル202に変化させる。特定の実施形態では、第2のクランプレベル202は、第1のクランプレベル201の0~50%の間とすることができる。特定の一実施形態では、第1のクランプレベル201は1kVとすることができ、第2のクランプレベルは0kVとすることができる。もちろん、他の電圧を使用してもよい。
【0022】
クランプ力200は、いくつかの方法で減少させることができる。一実施形態では、電極電源120により供給される電圧の振幅を低減する。別の実施形態では、電極110に供給されるAC電圧のデューティサイクルを変更する。さらに別の実施形態では、電極110に供給される電圧の振幅とデューティサイクルの両方を変更してもよい。
【0023】
図2に示されるように、クランプ電圧は周期信号としてよい。クランプ力の周波数は10Hz未満、例えば0.2~5Hzの間としてよいが、他の値を使用してもよい。さらに、全時間に対する第1のクランプレベルの持続時間の比として定義されるクランプ力のデューティサイクルは、20~70%の間としてよいが、他の値を使用してもよい。
【0024】
背面ガス圧力210も、第1の圧力レベル211とそれより低い第2の圧力レベル212との間で変調されることに留意されたい。第1の圧力レベル211は4~8トルの間とし得るが、他の値を使用してもよい。特定の実施形態では、第2の圧力レベル212はゼロであるが、いくつかの実施形態ではもっと大きな値を使用してもよい。
【0025】
背面ガス圧力210の周波数は、クランプ力200の周波数と同じである。いくつかの実施形態では、背面ガス圧力がワークピースを変位させたり移動させたりしないように、背面ガス圧力210の第1の圧力レベル211は、図2に示されるように、クランプ力200が第1のクランプレベル201であるときに加えられる。その結果、背面ガス圧力210のデューティサイクルは、クランプ力200のデューティサイクルよりも低い。
【0026】
クランプ力200の第1のクランプレベル201と背面ガス圧力210の第1の圧力レベル211との間の位相関係は、最適な性能を達成するように変調することができる。同様に、クランプ力200の第2のクランプレベル202と背面ガス圧力210の第2の圧力レベル212との間の位相関係も最適な性能を達成するように変調することができる。
【0027】
図2は台形波形を示しているが、他の波形も可能である。例えば、クランプ電圧および/または背面ガス圧力の波形は、正弦波、のこぎり波、三角波、方形波、または他の任意の周期関数とすることができる。
【0028】
コントローラ160は、図2に示されるように、電極電源120およびバルブシステム151をワークピース20が所望の温度に到達するまで変調する。所望の温度に到達すると、クランプ力および背面ガス圧力を低下させて、ワークピース20をプラテン100から取り外すことができる。
【0029】
図3は、一実施形態によるシステムの動作を表すフローチャートを示す。最初に、ボックス300に示すように、ワークピース20がプラテン100上に配置される。次に、ボックス310に示すように、クランプ力が第1のクランプレベル201まで増加される。次に、ボックス320に示すように、背面ガス圧力が第1の圧力レベル211まで増加され、このレベルに第1の所定の持続時間に亘り維持される。上述のように、ボックス310とボックス320の間の持続時間は、最適なシステム性能を達成するために変化させることができる。ボックス330において、背面ガス圧力が第2の圧力レベル212まで低下される。次に、ボックス340に示すように、クランプ力が第2のクランプレベル202まで低下される。上述のように、ボックス330とボックス340の間の期間は、最適なシステムパフォーマンスを達成するために変化させることができる。次に、ボックス350に示すように、ワークピースが所望の温度に達したかどうかのチェックが実行される。ワークピース20が所望の温度に達した場合、クランプ力と背面ガス圧力は0に低下される。ワークピース20の温度は、例えば温度センサ170を使用して、直接測定することができる。温度センサ170は、コントローラ160と通信することができ、プラテン100の内部に、またはプラテン100の外部に配置することができる。あるいは、温度は、例えば、ワークピース20がプラテン100上に配置される持続時間に基づいて、間接的に推定することもできる。次に、ボックス360に示すように、ワークピース20をプラテン100から取り外すことができる。ワークピース20が所望の温度に達していない場合、シーケンスは、ボックス310に戻って継続する。ボックス340とボックス310との間の持続時間は、最適なシステム性能を達成するために変化させることができる。
【0030】
図1は、ワークピースが熱遷移を受けている間に、そのワークピースの背面への損傷を最小限に抑えるために使用できるシステムを示している。特定の実施形態では、既存の予熱または冷却ステーションを、図2に示される動作を実行するように変更してもよい。例えば、一実施形態では、コントローラ160の処理ユニット161で実行し得る命令を含むソフトウェアプログラムを、コントローラ160にダウンロードすることができる。ソフトウェアプログラムは、CD ROMやメモリデバイスなどの非一時的な媒体に格納することができる。そのソフトウェアプログラムは、コントローラ160に配置されたメモリデバイス162にダウンロードすることができる。このソフトウェアプログラムは、実行時に、コントローラによって実行されたとき、本明細書に記載された図3のボックス310~350に示すシーケンスをコントローラ160に実行可能にする命令を含む。
【0031】
本明細書に記載したシステムおよび方法は、多くの利点を有する。上記のように、ワークピースが熱遷移を受けると、そのワークピースは膨張または収縮する可能性がある。この寸法の変化はプラテン上に置かれたワークピースをプラテンに対して移動させる。そしてワークピースが寸法変化するにつれて、プラテンの上面に存在し得る粒子がワークピースに擦り傷やその他の傷をつける可能性がある。本システムおよび方法は、ワークピースがプラテンの上面に対してより自由に膨張または収縮することを可能にし、これにより、ワークピースへの損傷の可能性を最小限に抑えるか排除することができる。
【0032】
本開示は本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が制限されるものではない。実際に、本明細書の記載されたものに加えて、本開示の他の様々な実施形態及び変更は、前述の説明及び添付の図面から当業者には明らかである。したがって、これらの他の実施形態及び修正は、本開示の範囲内に含まれるものとする。さらに、本開示は、特定の目的のための特定の環境における特定の実装に関する説明として記載されているが、有用性はこの記載に限定されず、本開示が様々な目的のために様々な環境で有益に実装されうることを当業者は認識することができる。したがって、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書に記載される本開示の完全な範囲及び精神を考慮して解釈されるものである。
図1
図2
図3