(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】硬化性オルガノポリシロキサン組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 290/14 20060101AFI20220902BHJP
C08J 5/04 20060101ALI20220902BHJP
C04B 26/30 20060101ALI20220902BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220902BHJP
C08K 5/17 20060101ALI20220902BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
C08F290/14
C08J5/04 CEY
C08J5/04 CFH
C04B26/30
C08K3/013
C08K5/17
C08K5/14
(21)【出願番号】P 2020540536
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2018079419
(87)【国際公開番号】W WO2020083506
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オステンドルフ,デトレフ
(72)【発明者】
【氏名】デリッヒ,シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】プラッセ,マルコ
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/061744(WO,A1)
【文献】特開2002-167552(JP,A)
【文献】特表2020-535242(JP,A)
【文献】特表2016-529365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08K
C08F290/、299/
C08G77/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式
R
aR
1
b(OR
2)
cSiO
(4-a-b-c)/2(I)、
の単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂、
式中、
Rは同じであるか、又は異なっていてもよく、水素原子
、又は脂肪族炭素-炭素多重結合を含まな
いSiC結合
を形成する任意に置換される
一価の炭化水素基であり、
R
1は同じであるか、又は異なっていてもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を有す
るSiC結合
を形成する任意に置換される
一価の炭化水素基であり、
R
2は同じであるか、又は異なっていてもよく、水素原子
、又
は任意に置換される
一価の炭化水素基であり、
aは0、1、2、又は3であり、
bは0又は1であり、及び
cは0、1、2、又は3であり、
ただし、それぞれの場合に、オルガノポリシロキサン樹脂(A)中の式(I)のすべてのシロキサン単位に基づいて、式(I)においてa+b+cの合計は≦3であり、式(I)の少なくとも1つの単位においてb=1であり、式(I)の単位の少なくとも50%においてa+b=1であり、及び式(I)の単位の最大10%においてa+b=3であり、
(B)式
CR
3
2=CR
3-CO-Z-(II)、
の少なくとも1つの単位を有する
、ケイ素原子を含まない有機化合物、
式中、
R
3は同じであるか、又は異なっていてもよく、水素原子、シアノ基-CN又はヘテロ原子によって中断され得る一価の、任意に置換される炭化水素基であり、
Zは同じであるか、又は異なっていてもよく、-O-又は-NR
5-であり、
及び
R
5は同じであるか、又は異なっていてもよく、水素原子又はヘテロ原子によって中断され得る一価の、任意に置換される炭化水素基であり、
(C)開始剤、
(D)充填剤並びに
(K)アミン
を含む組成物
であって、
当該開始剤(C)は、有機過酸化物であり、
当該充填剤(D)が、粒子状充填剤(D1)から選択され、
当該組成物は、粒子状充填剤(D1)を組成物の100重量部に基づいて合計70から99重量部の量を含み、
当該アミン(K)は、ケイ素原子を含まない有機化合物(K1)である又は有機ケイ素化合物(K2)であり、
該アミン(K1)は、R
7
3
N(III)のアミンであり、
式中、R
7
は同じであるか、又は異なっていてもよく、水素原子、又はヒドロキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、又は(ポリ)グリコール基で任意に置換され、ヘテロ原子によって中断され得る一価又は二価の炭化水素基であるが、ただし、式(III)において最大2つの基R
7
が水素原子の定義を有し、又は脂肪族環状アミンであり、
該アミン(K2)は、R
8
k
R
10
l
Si(OR
9
)
m
O
(4-k-l-m)/2
(IV)、の単位で構成されるアミンであり、
式中、R
8
は同じであるか、又は異なっていてもよく、塩基性窒素を含まない、一価のSiC結合の有機基であり、
R
9
は同じであるか、又は異なっていてもよく、基R
2
に指定された定義を有し、
R
10
は同じであるか、又は異なっていてもよく、塩基性窒素を有する一価のSiC結合の基であり、
kは0、1、2、又は3であり、
lは0、1、2、3、又は4であり、及び
mは0、1、2、又は3であり、
ただし、k+l+mの合計が4以下であり、分子あたり少なくとも1つの基R
10
が存在し、
当該組成物が、成分(A)及び(B)の総重量の100重量部に基づいて、成分(K)を0.001~5重量部の量で含む、
組成物。
【請求項2】
オルガノポリシロキサン樹脂(A)において、R
1=ビニル基である式(I)の単位の合計が、b=1である式(I)のすべての単位に基づいて、少なくとも80%であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、成分(A)100重量部に基づいて、成分(B)を1~250重量部の量で含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
樹脂(A)において、b=1である式(I)の単位の合計が10%~40%であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
細粒及び粗粒充填剤を含む混合物が成分(D1)として使用されることを特徴とする、請求項
1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
個々の成分を任意の順序で混合することにより、請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の組成物を架橋することにより製造された成形品。
【請求項8】
請求項
5に記載の組成物を成形し、架橋させることを特徴とする、人工石の製造方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの脂肪族炭素-炭素多重結合を有するシリコーン樹脂、脂肪族炭素-炭素二重結合を有する化合物及びアミンを含む硬化性オルガノポリシロキサン組成物、その調製並びにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フリーラジカル反応が可能な、SiC結合アルケニル基を有するポリオルガノシロキサンと充填剤との混合物は既に知られている。例えば、WO2015/028296は、結合剤として、とりわけ、重合性脂肪族炭素-炭素二重結合を有するフリーラジカル架橋有機ケイ素化合物を含み得る人工石を製造するための組成物を記載している。
【0003】
人工石中の結合剤として使用するための、重合性脂肪族炭素-炭素二重結合を含むオルガノポリシロキサン樹脂と、反応性可塑剤としてのアクリレート又はメタクリレートとの混合物は、これまで記載されていない。しかしながら、オルガノポリシロキサン樹脂、アクリレート又はメタクリレート及び充填剤の組成物は、それらが擬塑性流動挙動、すなわち低剪断速度での高粘度及びその逆を示し、及び充填度の増加に伴って、出発粘度がシャープに増加して、そのような混合物が低い剪断速度で加工処理することがより困難になるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
(A)一般式
RaR1
b(OR2)cSiO(4-a-b-c)/2(I)、
の単位からなるオルガノポリシロキサン樹脂、
式中、
Rは同じであるか、又は異なっていてもよく、水素原子又は脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない、一価のSiC結合の任意に置換される炭化水素基であり、
R1は同じであるか、又は異なっていてもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を有する、一価のSiC結合の任意に置換される炭化水素基であり、
R2は同じであるか、又は異なっていてもよく、水素原子又は一価の任意に置換される炭化水素基であり、
aは0、1、2、又は3であり、
bは0又は1であり、及び
cは0、1、2、又は3であり、
ただし、それぞれの場合に、オルガノポリシロキサン樹脂(A)中の式(I)のすべてのシロキサン単位に基づいて、式(I)においてa+b+cの合計は≦3であり、式(I)の少なくとも1つの単位においてb=1であり、式(I)の単位の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも90%においてa+b=1であり、及び式(I)の単位の最大10%、好ましくは最大8%、特に好ましくは最大6%においてa+b=3であり、
(B)式
CR3
2=CR3-CO-Z-(II)、
の少なくとも1つの単位を有する有機化合物、
式中、
R3は同じであるか、又は異なっていてもよく、水素原子、シアノ基-CN又はヘテロ原子によって中断され得る一価の任意に置換される炭化水素基であり、
Zは同じであるか、又は異なっていてもよく、-O-又は-NR5-であり、
及び
R5は同じであるか、又は異なっていてもよく、水素原子又はヘテロ原子によって中断され得る一価の任意に置換される炭化水素基であり、
(C)開始剤、
(D)充填剤並びに
(K)アミン
を含む組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一価のSiC結合の炭化水素基Rの例は、アルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、1-n-ブチル、2-n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル基、ヘキシル基、例えばn-ヘキシル基、へプチル基、例えばn-ヘプチル基、オクチル基、例えばn-オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,4,4-トリメチルペンチル及び2,2,4-トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn-ノニル基、デシル基、例えばn-デシル基、ドデシル基、例えばn-ドデシル基、ヘキサデシル基、例えばn-ヘキサデシル基、オクタデシル基、例えばn-オクタデシル基、シクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基、アリール基、例えばフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントリル及びフェナントリル基、アルカリール基、例えばo-、m-、p-トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基並びにアラルキル基、例えばベンジル基、α-及びβ-フェニルエチル基である。
【0007】
一価のSiC結合の置換炭化水素基Rの例は、3-(O-メチル-N-カルバマト)プロピル、O-メチル-N-カルバマトメチル、3-グリシドキシプロピル、イソシアナトメチル、3-イソシアナトプロピル、無水コハク酸、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル、3-メルカプトプロピル及び3-クロロプロピル基である。
【0008】
基Rは、好ましくは脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない1~18個の炭素原子を有する一価のSiC結合炭化水素基、
特に好ましくは1~8個の炭素原子を有するアルキル又はアリール基、特にメチル基である。
【0009】
脂肪族炭素-炭素多重結合を含む、一価のSiC結合の任意に置換される基R1の例は、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、n-5-ヘキセニル、2-(3-シクロヘキセニル)エチル、7-オクテニル、10-ウンデセニル、4-ビニルシクロヘキシル、3-ノルボルネニル、2-ボルネニル、4-ビニルフェニル、メタクリルオキシメチル、アクリルオキシエチル、メタクリルオキシエチル、アクリルオキシメチル、3-メタクリルオキシプロピル及び3-アクリルオキシプロピル基である。
【0010】
基R1は、好ましくは脂肪族炭素-炭素二重結合を含み、任意にアクリルオキシ、メタクリルオキシ、アリルオキシ又はビニルオキシ基、特に好ましくはビニル、メタクリルオキシメチル、アクリルオキシメチル、3-メタクリルオキシプロピル又は3-アクリルオキシプロピル基、特にビニル又は3-メタクリルオキシプロピル基、特に好ましくはビニル基で置換される、1~18個の炭素原子を有する一価のSiC結合の炭化水素基である。
【0011】
本発明によるオルガノポリシロキサン樹脂(A)は、ただ1つのタイプの基R1又は2つ以上の異なる基R1を有し得、好ましくは、R1=ビニル基である式(I)の単位の合計は、b=1である式(I)のすべての単位に基づいて、少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%、特に少なくとも95%である。
【0012】
基R2の例は、基R及びR1について指定された基である。
【0013】
基R2は、好ましくは水素原子又は1~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、特に好ましくは水素原子、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル又はイソブチル基、特に水素原子、メチル又はエチル基である。
【0014】
本発明に従って使用される樹脂(A)において、b=1である式(I)の単位の合計は、好ましくは10%~40%、特に好ましくは15%~35%、特に15%~30%である。
【0015】
本発明に従って使用される樹脂(A)において、a+b=2である式(I)の単位の合計は、それぞれの場合に式(I)のすべてのシロキサン単位の合計に基づいて、好ましくは最大30%、好ましくは最大20%、特に好ましくは最大10%、特に最大5%である。
【0016】
本発明に従って使用される樹脂(A)において、c≠0である式(I)の単位の合計は、それぞれの場合に式(I)のすべてのシロキサン単位の合計に基づいて、好ましくは5%~55%、好ましくは15%~50%、特に好ましくは25%~45%、特に30%~40%である。
【0017】
本発明に従って使用される樹脂(A)は、好ましくは、平均少なくとも12、特に好ましくは平均少なくとも15、特に平均少なくとも18、特に好ましくは平均18~50の式(I)の単位からなる。
【0018】
オルガノポリシロキサン樹脂(A)において、式(I)の単位は好ましくは統計的に分布している。
【0019】
オルガノポリシロキサン樹脂(A)の好ましい例は、テトラエトキシシラン、オルガニルトリエトキシシラン、ジオルガニルジエトキシシラン及び/又はトリオルガニルエトキシシランの水との共加水分解(cohydrolysis)によって得られる化合物(A)であり、これは1分子あたり、好ましくは平均少なくとも12個、特に好ましくは平均少なくとも15個、特に平均少なくとも18個のケイ素原子を含む。上述のエトキシシランの代わりに、対応するメトキシシランも調製に使用でき、この場合オルガニルメトキシポリシロキサンが得られる。しかしながら、エトキシシランとメトキシシランとの混合物も使用でき、この場合、オルガニルメトキシエトキシポリシロキサン樹脂が得られる。共加水分解後、反応混合物は、好ましくは、例えばアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属アルコキシド溶液で中和され、揮発性成分、例えば残留水、アルコール及びシラン又は揮発性シロキサンが留去される。共加水分解後又は蒸留後処理の後、特に好ましくは共加水分解後に、反応混合物を中和して、特にオルガノポリシロキサン樹脂(A)中の残留酸含有量が0~30ppmになるようにするのが好ましい。
【0020】
本発明に従って使用されるそのようなオルガノポリシロキサン樹脂(A)の好ましい例は、(MeSiO3/2)0.48(ViSiO3/2)0.12(Me(MeO)SiO2/2)0.26(Vi(MeO)SiO2/2)0.07(Me(HO)SiO2/2)0.02(Me2SiO2/2)0.01(Me(MeO)2SiO1/2)0.01(Me3SiO1/2)0.03(数平均モル質量Mnは1860g/mol及び重量平均モル質量Mwは4860g/mol)、
(MeSiO3/2)0.36(ViSiO3/2)0.09(Me(MeO)SiO2/2)0.39(Vi(MeO)SiO2/2)0.10(Me(HO)SiO2/2)0.02(Me2SiO2/2)0.01(Me(MeO)2SiO1/2)0.03(数平均モル質量Mnは1680g/mol及び重量平均モル質量Mwは4340g/mol)、
(MeSiO3/2)0.40(ViSiO3/2)0.10(Me(MeO)SiO2/2)0.34(Vi(MeO)SiO2/2)0.08(Me(HO)SiO2/2)0.02(Me2SiO2/2)0.01(Me(MeO)2SiO1/2)0.02(Me3SiO1/2)0.03(数平均モル質量Mnは1640g/mol及び重量平均モル質量Mwは4080g/mol)、
(MeSiO3/2)0.44(MaSiO3/2)0.11(Me(MeO)SiO2/2)0.28(Ma(MeO)SiO2/2)0.07(Me(HO)SiO2/2)0.02(Ma(HO)SiO2/2)0.01(Me2SiO2/2)0.01(Me(MeO)2SiO1/2)0.03(Me3SiO1/2)0.03(数平均モル質量Mnは1710g/mol及び重量平均モル質量Mwは4700g/mol)、
(MeSiO3/2)0.48(ViSiO3/2)0.12(Me(MeO)SiO2/2)0.26(Vi(MeO)SiO2/2)0.07(Me(HO)SiO2/2)0.02(Me2SiO2/2)0.03(Me(MeO)2SiO1/2)0.01(Me2(OH)SiO1/2)0.01(数平均モル質量Mnは1710g/mol及び重量平均モル質量Mwは4700g/mol)、
(MeSiO3/2)0.48(ViSiO3/2)0.12(IoSiO3/2)0.01(Me(MeO)SiO2/2)0.26(Vi(MeO)SiO2/2)0.07(Me(HO)SiO2/2)0.02(Io(HO)SiO2/2)0.01(Me2SiO2/2)0.01(Me(MeO)2SiO1/2)0.01(Io(OH)2SiO1/2)0.01(数平均モル質量Mnは1540g/mol及び重量平均モル質量Mwは3630g/mol)、
(MeSiO3/2)0.25(ViSiO3/2)0.10(PhSiO3/2)0.15(Me(MeO)SiO2/2)0.21(Vi(MeO)SiO2/2)0.09(Ph(MeO)SiO2/2)0.11(Me(HO)SiO2/2)0.01(Ph(HO)SiO2/2)0.02(Me2SiO2/2)0.01(Me(MeO)2SiO1/2)0.01(Ph(OH)(MeO)SiO1/2)0.01(Me3SiO1/2)0.03(数平均モル質量Mnは1040g/mol及び重量平均モル質量Mwは1590g/mol)、
(MeSiO3/2)0.46(ViSiO3/2)0.11(Me(EtO)SiO2/2)0.28(Vi(EtO)SiO2/2)0.08(Me(HO)SiO2/2)0.02(Me2SiO2/2)0.01(Me(EtO)2SiO1/2)0.01(Me3SiO1/2)0.03(数平均モル質量Mnは1610g/mol及び重量平均モル質量Mwは3690g/mol)、
(MeSiO3/2)0.29(ViSiO3/2)0.22(Me(MeO)SiO2/2)0.08(Vi(MeO)SiO2/2)0.06(Me(HO)SiO2/2)0.01(Me2SiO2/2)0.24(Me(MeO)2SiO1/2)0.01(Me(MeO)SiO2/2)0.05(Me3SiO1/2)0.04(数平均モル質量Mnは2200g/mol及び重量平均モル質量Mwは6800g/mol)であり、
式中、Meはメチル基、Viはビニル基、Etはエチル基、Phはフェニル基、Maは3-メタクリルオキシプロピル基、Ioは2,4,4-トリメチルペンチル基である。
【0021】
本発明に従って使用される樹脂(A)は、23℃及び1000hPaで固体又は液体であることができ、樹脂(A)は、好ましくは23℃及び1000hPaで液体である。
【0022】
本発明に従って使用される樹脂(A)が液体である場合、それらは、それぞれの場合に23℃で、好ましくは少なくとも1000mPa・s、特に好ましくは1500mPa・s~1000000mPa・s、特に3000mPa・s~100000mPa・sの動的粘度を有する。
【0023】
本発明の文脈において、動的粘度は、特に明記しない限り、23℃の温度及び1013hPaの大気圧で、DIN53019に従って決定される。測定は、Anton Paarの「Physica MCR300」回転レオメータを使用して実行される。この場合、1~200mPa・sの粘度の場合、リング測定ギャップ1.13mmの同軸シリンダ測定システム(CC27)が使用され、200mPa・sを超える粘度の場合、コーンプレート測定システム(測定コーンCP50-1を備えたSearleシステム)が使用される。剪断速度は、ポリマー粘度に調整される(100s-1で1~99mPa・s、200s-1で100~999mPa・s、120s-1で1000~2999mPa・s、80s-1で3000~4999mPa・s、62s-1で5000~9999mPa・s、50s-1で10000~12499mPa・s、38.5s-1で12500~15999mPa・s、33s-1で16000~19999mPa・s、25s-1で20000~24999mPa・s、20s-1で25000~29999mPa・s、17s-1で30000~39999mPa・s、10s-1で40000~59999mPa・s、5s-1で60000~149999mPa・s、3.3s-1で150000~199999mPa・s、2.5s-1で200000~299999mPa・s、1.5s-1で300000mPa・s~1000000mPa・s)。
【0024】
測定システムの温度を測定温度に調整した後、導入期間、予備剪断及び粘度測定からなる3段階の測定プログラムが適用される。導入期間は、予想される粘度に依存し、測定が行われることが意図されている上述の剪断速度まで、1分以内の剪断速度を段階的に増加させることによって行われる。これに達するとすぐに、予備剪断が一定の剪断速度で30秒間実行され、次いでそれぞれ4.8秒間25回の個別測定が実行されて粘度が決定され、そこから平均値が決定される。平均値は、mPa・s単位で与えられる動的粘度に対応する。
【0025】
本発明に従って使用される樹脂(A)は、好ましくは1000~6000g/mol、好ましくは1100g/mol~5000g/mol、特に好ましくは1200g/mol~4000g/mol、特に1400g/mol~3000g/molの数平均モル質量Mnを有する。
【0026】
本発明の文脈において、DIN 1333:1992-02のパラグラフ4に従って最も近い整数10に四捨五入された数平均モル質量Mn及び重量平均モル質量Mwは、DIN 55672-1/ISO 160414-1及びISO 160414-3に従ってサイズ排除クロマトグラフィ(SEC/GPC)によって決定され、ここで排除サイズが450.000g/molを超える、10000Å、500Å及び100Åのシーケンスの異なる細孔径分布を有する3つのカラムを含み、固定相としてポリ(スチレン-コジビニルベンゼン)に基づく一連のカラムが、ポリスチレン標準に対して較正される。フェニル含有成分は、THFを溶離液として使用し、非フェニル含有成分は、トルエンを溶離液として使用して決定される。分析は、40±1℃のカラム温度で、屈折率検出器を使用して実行される。
【0027】
本発明に従って使用される樹脂(A)は、市販の製品であるか、又はそれらは、化学において慣習的な方法によって製造することができる。
【0028】
本発明に従って使用される化合物(B)は、好ましくは5~50個の炭素原子、特に好ましくは6~30個の炭素原子、特に6~20個の炭素原子を有するものである。
【0029】
本発明に従って使用される化合物(B)は、好ましくは、ケイ素原子を含まない式(II)の少なくとも1つの単位を有する有機化合物である。
【0030】
本発明に従って使用される化合物(B)は、好ましくは60℃未満、特に好ましくは40℃未満、特に30℃未満の温度で、それぞれの場合に1000hPaの圧力で液体である。
【0031】
本発明に従って使用される化合物(B)は、それぞれの場合に1000hPaの圧力において、好ましくは少なくとも120℃の温度、特に好ましくは少なくとも150℃の温度、特に少なくとも200℃の温度で沸点を有する。
【0032】
基R3の例は、R及びR1について指定された基及びシアノ基である。
【0033】
基R3は好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0034】
基R5の例は、R及び(qnd)R1に指定された基である。
【0035】
基R5は好ましくは水素原子又は一価の脂肪族飽和炭化水素基であり、特に好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0036】
基Zは、好ましくは-O-である。
【0037】
化合物(B)は、好ましくは、塩基性窒素を含まない有機アクリレート又はメタクリレート、特に好ましくは塩基性窒素を含まない有機モノ-、ジ-又はトリアクリレート又は有機モノ-、ジ-又はトリメタクリレート、特に塩基性窒素を含まない有機モノ-又はジアクリレート又は有機モノ-又はジメタクリレートである。
【0038】
本発明に従って使用される化合物(B)の例は、トリプロピレングリコールジアクリレート(CAS、42978-66-5)、(1-メチルエチリデン)ビス(4,1-フェニレンオキシ-3,1-プロパンジイル)ビスメタクリレート(CAS、27689-12-9)、トリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(CAS、40220-08-4)、(5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチルアクリレート(CAS、66492-51-1)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート(CAS、42594-17-2)、(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンジイル)ビス(メチレン)ジメタクリレート(CAS、43048-08-4)、[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド(CAS、44992-01-0)、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド(CAS、5039-78-1)、1,1,1-トリメチロールエタントリメタクリレート(CAS、24690-33-3)、1,1,1-トリメチロールエタントリアクリレート(CAS、19778-85-9)、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート(CAS、72829-09-5)、1,2,5-ペンタントリオールトリメタクリレート(CAS、287196-31-0)、1,3-プロパンジオールジアクリレート(CAS、24493-53-6)、1,3-ブタンジオールジアクリレート(CAS、19485-03-1)、1,3-ブタンジオールジメタクリレート(CAS、1189-08-8)、1,4-ブタンジオールジアクリレート(CAS、1070-70-8)、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(CAS、2082-81-7)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(CAS、13048-33-4)、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(CAS、6606-59-3)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(CAS、107481-28-7)、1,9-ノナンジオールジメタクリレート(CAS、65833-30-9)、1,10-デカンジオールジアクリレート(CAS、13048-34-5)、1,10-デカンジオールジメタクリレート(CAS、6701-13-9)、1,4-シクロヘキサンジオールジメタクリレート(CAS、38479-34-4)、1,4-ブタンジイルビス[オキシ(2-ヒドロキシ-3,1-プロパンジイル)]ジアクリレート(CAS、52408-42-1)、2-(1-(2-(ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート(CAS、123968-25-2)、2-(2-オキソ-1-イミダゾリジニル)エチルメタクリレート(CAS、86261-90-7)、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート(CAS RN、86273-46-3)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテート(CAS、21282-97-3)、2,2-ジメチルプロパンジオールジメタクリレート(CAS、1985-51-9)、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3-エポキシプロピルメタクリレート、2-[[2,2-ビス[[(1-オキソアリル)オキシ]メチル]ブトキシ]メチル]-2-エチル-1,3-プロパンジイルジアクリレート(CAS、94108-97-1)、2-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]エチルタクリレート(CAS、39670-09-2)、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ヒドロキシエチルカプロラクトンアクリレート(CAS、110489-05-9)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート(CAS、42594-17-2)、ビスフェノールAエトキシレートジメタクリレート(CAS、41637-38-1)、ビスフェノールAエポキシジアクリレート(CAS、55818-57-0)、2-アリルオキシエトキシエチルメタクリレート(CAS、58985-94-7)、2-エトキシエチルメタクリレート(CAS、2370-63-0)、オクトクリレン(CAS、6197-30-4)、2-エチルヘキシルアクリレート(CAS、103-11-7)、2-エチルヘキシルメタクリレート(CAS、688-84-6)、2-エチルヘキシル-trans-4-メトキシシンナメート(CAS、83834-59-7)、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-メトキシエチルアクリレート(CAS、3121-61-7)、2-メトキシエチルメタクリレート、2-n-ブトキシエチルメタクリレート、2-オクチルシアノアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート(CAS、48145-04-6)、2-フェノキシエチルメタクリレート、2-プロピルヘプチルアクリレート(CAS、149021-58-9)、2-プロピルヘプチルメタクリレート、3-(アクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、1709-71-3)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピオネート(CAS、1115-20-4)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(CAS、2478-10-6)、2-アセトアセトキシエチルメタクリレート(CAS、21282-97-3)、アリルメタクリレート、ベンジルジメチル[2-[(1-オキソアリル)オキシ]エチル]アンモニウムクロリド、ベンジルメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ブチルジグリコールメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート(CAS、101-43-9)、シクロヘキシルアクリレート(CAS、3066-71-5)、ジシクロペンタニルアクリレート(CAS、7398-56-3)、ジシクロペンタニルメタクリレート(CAS、34759-34-7)、シクロペンチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(CAS、68586-19-6)、ジエチレングリコールジメタクリレート(CAS、2358-84-1)、ジウレタンジメタクリレート、異性体の混合物(CAS、72869-86-4)、エチル2-シアノ-3-エトキシアクリレート(CAS、94-05-3)、エチル2-シアノアクリレート(CAS、7085-85-0)、エチル3-ベンゾイルアクリレート、エチルジグリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート(CAS、97-90-5)、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルトリエチレングリコールメタクリレート、フルフリルメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート(CAS、2495-27-4)、ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニルアクリレート(CAS 12542-30-2)、ヒドロキシブチルメタクリレート(CAS、29008-35-3)、ヒドロキシプロピルアクリレート(CAS、25584-83-2)、ヒドロキシプロピルメタクリレート、異性体混合物(CAS、27813-02-1)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、923-26-2)、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、2761-09-3)、イソボルニルアクリレート(CAS、5888-33-5)、イソボルニルメタクリレート(CAS、7534-94-3)、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソオクチルアクリレート(CAS、29590-42-9)、イソオクチルアクリレート(CAS、29590-42-9)、イソペンチルメタクリレート、イソトリデシルメタクリレート、3-メチルブタ-2-イルメタクリレート、メタクリル酸無水物(CAS、760-93-0)、メチルシンナメート(CAS、103-26-4)、メチルメタクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシル化ジアクリレート(CAS、84170-74-1)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(CAS、1985-51-9)、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート(CAS、97-88-1)、n-デシルアクリレート、n-デシルメタクリレート、n-ドデシルアクリレート、n-ドデシルメタクリレート(CAS、142-90-5)、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、n-オクタデシルアクリレート、n-オクタデシルメタクリレート、2-ノルボルニルアクリレート(CAS、10027-06-2)、ジプロピレングリコールジアクリレート(CAS、57472-68-1)、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(CAS、6197-30-4)、フェニルメタクリレートポリエーテルポリテトラアクリレート(CAS、51728-26-8)、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート(CAS、52496-08-9)、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート(CAS、25852-49-7)、p-ビニルベンジルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、エポキシド化大豆油アクリレート(CAS、91722-14-4)、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、テトラデシルアクリレート、テトラデシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(CAS、109-16-0)、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(CAS、28961-43-5)、トリメチロールプロパントリアクリレート(CAS、15625-89-5)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(CAS、3290-92-4)、トリチルメタクリレート、ビニル4-メタクリルオキシブチルエーテル、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(CAS、2680-03-7)、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アクリルアミド(CAS、4223-03-4)、N-(1,1-ジメチル-3-オキソブチル)アクリルアミド(CAS、2873-97-4)、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(CAS、924-42-5)、N-イソプリピルメタクリルアミド(CAS、13749-61-6)、N,N-ジエチルアクリルアミド(CAS、2675-94-7)、N,N-ジエチルメタクリルアミド(CAS、5441-99-6)、N-メチルロールメタクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド(CAS、7646-67-5)、N-2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N′-ヘキサメチレンビス(メタクリルアミド)(CAS、16069-15-1)及びN-ドデシルアクリルアミドである。
【0039】
本発明に従って使用される化合物(B)は、好ましくはトリエチレングリコールジメタクリレート(CAS、109-16-0)、トリメチロールプロパントリアクリレート(CAS、15625-89-5)、n-ブチルメタクリレート(CAS、97-88-1)、n-ドデシルメタクリレート(CAS、142-90-5)、2-エチルヘキシルアクリレート(CAS、103-11-7)、2-エチルヘキシルメタクリレート(CAS、688-84-6)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(CAS、818-61-1)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(CAS、868-77-9)、ヒドロキシプロピルアクリレート(CAS、25584-83-2)、ヒドロキシプロピルメタクリレート、異性体混合物(CAS、27813-02-1)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、923-26-2)、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、2761-09-3)、2-メトキシエチルアクリレート(CAS、3121-61-7)、エチレングリコールジメタクリレート(CAS、97-90-5)、イソボルニルアクリレート(CAS、5888-33-5)、イソボルニルメタクリレート(CAS、7534-94-3)、グリセロールプロポキシトリアクリレート(CAS、52408-84-1)、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(CAS、2082-81-7)、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(CAS、6606-59-3)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(CAS、107481-28-7)、ジプロピレングリコールジアクリレート(CAS、57472-68-1)、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート(CAS、52496-08-9)、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート(CAS、25852-49-7)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート(CAS、42594-17-2)、ジシクロペンタニルアクリレート(CAS、7398-56-3)、ジシクロペンタニルメタクリレート(CAS、34759-34-7)、シクロヘキシルメタクリレート(CAS、101-43-9)又はシクロヘキシルアクリレート(CAS、3066-71-5)である。
【0040】
本発明に従って使用される化合物(B)は、特に好ましくは、n-ブチルメタクリレート(CAS、97-88-1)、2-エチルヘキシルアクリレート(CAS、103-11-7)、2-エチルヘキシルメタクリレート(CAS、688-84-6)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(CAS、868-77-9)、ヒドロキシプロピルメタクリレート、異性体混合物(CAS、27813-02-1)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、923-26-2)、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、2761-09-3)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(CAS、2478-10-6)、イソボルニルアクリレート(CAS、5888-33-5)、イソボルニルメタクリレート(CAS、7534-94-3)、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(CAS、2082-81-7)、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(CAS、6606-59-3)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(CAS、107481-28-7)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート(CAS、42594-17-2)、シクロヘキシルメタクリレート(CAS、101-43-9)、シクロヘキシルアクリレート(CAS、3066-71-5)、ジシクロペンタニルアクリレート(CAS、7398-56-3)又はジシクロペンタニルメタクリレート(CAS、34759-34-7)である。
【0041】
本発明に従って使用される化合物(B)は、特に、n-ブチルメタクリレート(CAS、97-88-1)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(CAS、868-77-9)、ヒドロキシプロピルメタクリレート、異性体混合物(CAS、27813-02-1)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、923-26-2)、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、2761-09-3)、イソボルニルアクリレート(CAS、5888-33-5)、イソボルニルメタクリレート(CAS、7534-94-3)、シクロヘキシルメタクリレート(CAS、101-43-9)、シクロヘキシルアクリレート(CAS、3066-71-5)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート(CAS、42594-17-2)、ジシクロペンタニルアクリレート(CAS、7398-56-3)又はジシクロペンタニルメタクリレート(CAS、34759-34-7)である。
【0042】
本発明による組成物は、成分(B)を、それぞれの場合に成分(A)の100重量部に基づいて、好ましくは1~250重量部、特に好ましくは10~100重量部、特に15~50重量部の量で含む。
【0043】
本発明による組成物は、好ましくは少なくとも2つの異なる成分(B)、特に好ましくは少なくとも2つの異なるアクリレート又はメタクリレート(B)を含み、1つの成分(B)は、特に2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(異性体混合物、CAS、27813-02-1)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、923-26-2)及び3-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、2761-09-3)から選択される化合物である。
【0044】
本発明による組成物は、特に好ましくは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(異性体混合物、CAS、27813-02-1)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、923-26-2)及び3-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、2761-09-3)から選択される少なくとも1つの成分(B)、並びに1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(CAS、6606-59-3)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(CAS、107481-28-7)、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート(CAS、52496-08-9)、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート(CAS、25852-49-7)から選択される少なくとも1つの他の成分(B)を含み、これらの組成物は有利なことには臭いが少ない。
【0045】
さらに特に好ましい変形形態において、本発明による組成物は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(異性体混合物、CAS、27813-02-1)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、923-26-2)及び3-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、2761-09-3)から選択される少なくとも1つの成分(B)、並びにブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート(CAS、103-11-7)及び2-エチルヘキシルメタクリレート(CAS、688-84-6)から選択される少なくとも1つの他の成分(B)を含む。
【0046】
さらに特に好ましい変形形態において、本発明による組成物は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(異性体混合物、CAS、27813-02-1)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、923-26-2)及び3-ヒドロキシプロピルメタクリレート(CAS、2761-09-3)から選択される少なくとも1つの成分(B)、並びにトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート(CAS、42594-17-2)、ジシクロペンタニルアクリレート(CAS、7398-56-3)、ジシクロペンタニルメタクリレート(CAS、34759-34-7)、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートから選択される少なくとも1つの他の成分(B)を含む。
【0047】
特に好ましい変形形態において、本発明による組成物は、成分(B)としてヒドロキシプロピルメタクリレート(異性体混合物、CAS、27813-02-1)並びにイソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートから選択される1つの他の成分(B)を含む。
【0048】
本発明による組成物は、現在知られている重合方法により、例えば熱的又はUV照射により架橋することができ、熱活性化が好ましい。
【0049】
開始剤(C)は、これまでに知られているすべてのラジカル開始剤、例えば、無機又は有機過酸化物、アゾ化合物、C-C開始剤又は金属塩と組み合わせたフリーラジカル形成硬化系であり得、これはDE-A102013114061及びEP-B2985318に記載されている。
【0050】
使用される開始剤(C)の例は、フリーラジカル開始剤、例えばメチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサ-3-イン、ジ-tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、tert-ブチルモノペルオキシマレエート、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-アミルペルオキシネオデカノエート、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(n-プロピル)ペルオキシジカーボネート及びtert-ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、アゾ開始剤、例えばアゾビス(イソブチロニトリル)、1,1′-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)及び1,1-アゾビス(ヘキサヒドロベンゾニトリル)並びにC-C開始剤、例えば1,1,2,2-テトラフェニル-1,2-エタンジオールである。
【0051】
好ましい開始剤(C)は、有機過酸化物、特に好ましくはtert-ブチルペルオキシベンゾエート又はtert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエートである。
【0052】
本発明に従って使用される開始剤(C)は、任意に使用される有機ケイ素化合物(G)又は溶媒(L)に溶解又は分散させることができる。
【0053】
本発明に従って使用される開始剤(C)は、23℃及び1000hPaで固体又は液体のいずれであってもよく、23℃及び1000hPaで開始剤(C)液体が好ましい。
【0054】
開始剤(C)が任意に使用される有機ケイ素化合物(G)又は溶媒(L)に溶解又は分散される場合、成分(G)又は(L)は、それぞれの場合に、1000hPaの圧力で、好ましくは少なくとも100℃、特に好ましくは少なくとも150℃、特に少なくとも200℃の沸点を有する。
【0055】
60℃~200℃の範囲、特に好ましくは80℃~160℃の範囲、特に90℃~130℃の範囲の1時間半減期温度を有する熱的に活性化できる開始剤(C)を使用することが好ましい。
【0056】
本発明による組成物は、開始剤(C)を、それぞれの場合に成分(A)及び(B)の総重量の100重量部に対して、好ましくは0.1~5重量部、特に好ましくは0.2~3重量部、特に0.3~2重量部の量で含む。
【0057】
本発明による組成物に使用される充填剤(D)は、これまでに知られている任意の充填剤であってよい。
【0058】
本発明に従って使用される充填剤(D)は、好ましくは23℃及び1000hPaでトルエン中に1重量%未満を溶解するものである。
【0059】
充填剤(D)の例は、非強化充填剤、すなわち、好ましくは50m2/gまでのBET表面積を有する充填剤、例えば石英、石英粉末、石英顆粒、溶融石英粉末、石英ガラス粉末、ガラス粉末、破砕ガラス、ミラーフラグメント、クリストバライト、クリストバライト粉末、クリストバライト顆粒、珪藻土、水に不溶性のケイ酸塩、例えばケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、タルク、カオリン、ゼオライト、金属酸化物粉末、例えばアルミニウム、チタン、鉄又は亜鉛の酸化物又はそれらの混合酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、大理石粉、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、プラスチック粉末、例えばポリアクリロニトリル粉末、強化充填剤、すなわちBET表面積が50m2/gを超える充填剤、例えば熱分解法で製造されたシリカ、沈降シリカ、沈降チョーク、カーボンブラック、例えばファーネスブラック及びアセチレンブラック、及び高BET表面積のケイ素-アルミニウム混合酸化物、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、中空球充填剤、例えばセラミック微小球、例えば3M Deutschland GmbH,Neuss,Germanyから商品名Zeeospheres(商標)の下で得られるもの、繊維状充填剤、例えばウォラストナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、並びに同様に細断及び/又は粉砕されたガラス繊維(ガラス短繊維)又はミネラルウール、ガラス、炭素、プラスチックからなる繊維織物である。上記の充填剤は、例えばオルガノシラン又はオルガノシロキサン又はステアリン酸での処理により、疎水性にすることができる。
【0060】
本発明に従って使用される充填剤(D)は、それぞれ個別に、又は互いに任意の所望の混合物で使用されてもよい。
【0061】
成分(D)は、好ましくは、5cmまでの長さの繊維を含む粒子状充填剤(D1)及び5cmを超える長さを有する繊維を含む繊維半製品(D2)から選択される成分を含む。
【0062】
本発明に従って使用される充填剤(D1)は、好ましくは85重量%を超える、特に好ましくは95重量%を超える、特に97重量%を超えるSiO2含有量を有する。
【0063】
本発明に従って使用される充填剤(D1)は、好ましくは無機充填剤、特に好ましくは無機ケイ素含有充填剤、より具体的には天然由来のもの、例えば石英、石英粉末、石英顆粒、溶融石英粉末、クリストバライト、クリストバライト粉末、クリストバライト顆粒及び天然由来の繊維状のケイ素含有充填剤、例えばモンモリロナイト及びウォラストナイト、又は合成のケイ素含有製品、例えば熱分解シリカ(これは、例えば酸水素ガス火炎中のテトラクロロシランの火炎加水分解によって得られてもよい)(ヒュームドシリカ)、又は無機の繊維状の合成ケイ素含有充填剤、例えば細断又は粉砕されたガラス短繊維を含む。
【0064】
充填剤(D1)は、特に好ましくは、石英粉末、石英顆粒、クリストバライト粉末、クリストバライト顆粒、モンモリロナイト又はウォラストナイトを含む。
【0065】
より具体的には、充填剤(D1)は、石英粉末、石英顆粒、クリストバライト粉末又はクリストバライト顆粒を含む。
【0066】
使用される充填剤(D2)は、織物、レイドスクリム、ニット、ブレード、マット、又は不織布であることが好ましく、繊維は、これまでに知られている任意の繊維形成材料、例えば玄武岩、ホウ素、ガラス、セラミック又は石英の無機繊維、金属鋼繊維、アラミド、炭素、PPBO、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン又はポリプロピレンで構成される有機繊維及び同様に亜麻、麻、木材、サイザル麻の天然繊維からなってもよい。
【0067】
本発明に従って使用される充填剤(D1)及び(D2)は、任意に表面処理されていてもよい。好ましくは、本発明に従って使用される充填剤(D1)は、表面処理されていない。好ましくは、本発明に従って使用される充填剤(D2)は、表面処理されている。
【0068】
好ましい実施形態では、本発明による組成物は、充填剤(D)が粒子状充填剤(D1)を含む組成物である(組成物1)。
【0069】
好ましい実施形態では、本発明による組成物1は、成分(D1)として、細粒及び粗粒充填剤を含む混合物を含む。
【0070】
本発明による組成物1が充填剤(D1)として微細及び粗充填剤の混合物を含む場合、充填剤は好ましくは石英及びクリストバライト、特に好ましくは天然源からの石英及びクリストバライト、特に微細及び粗石英の混合物から選択される。
【0071】
本発明に従って使用される細粒充填剤(D1)は、好ましくは0.02μm~200μm未満、好ましくは0.1μm~200μm未満、特に好ましくは0.3μm~100μmの粒径を有する。好ましくは、本発明に従って使用される細粒充填剤(D1)の最大90重量%は、0.02μm~100μm未満の粒径を有し、特に好ましくは、本発明に従って使用される細粒充填剤(D1)の最大90重量%は、0.02μm~70μm未満の粒径を有する。繊維状充填剤の場合、これは繊維の最長範囲に対応する。
【0072】
本発明に従って使用される粗粒充填剤(D1)は、好ましくは少なくとも0.2mm、好ましくは0.2mm~10mm、特に好ましくは0.2mm~5mm、特に0.2mm~3mmの粒径を有する。
【0073】
さらに好ましい実施形態では、成分(D1)は、少なくとも80重量%の範囲、特に好ましくは少なくとも90重量%の範囲で、0.1μm~200μm未満の粒径を有する細粒充填剤及び0.2mm~10mmの粒径を有する粗粒充填剤の混合物からなる。
【0074】
特に粗粒充填剤(D1)として使用されるのは、天然資源からの石英又はクリストバライトである。
【0075】
細粒充填剤と粗粒充填剤との混合物を成分(D1)として使用する場合、細粒充填剤と粗粒充填剤との重量比は、好ましくは5:1~1:5、より好ましくは4:1~1:4、特に3:1~1:3である。
【0076】
細粒充填剤と粗粒充填剤との比の変化はまた、同時に曲げ強度を変化させ得る、例えば細粒充填剤と粗粒充填剤との比が増加すると、曲げ強度が増加し得、その場合、充填剤粒子の全体的な表面積が大きいため、成分(A)と(B)との比率を混合物全体の比率として増加させる必要があり得る。
【0077】
>500μmの粒子の粒径分布は、ALPINE e200LSエアジェットシーブを使用して分析することが好ましく、分析シーブはDIN ISO3310-1の要件を満たす。約0.02μm~500μmの範囲の粒径分布は、好ましくは、CilasからのCILAS1064PARTICLE SIZE ANALYZERを使用して分析される。
【0078】
別の好ましい実施形態では、本発明による組成物1は、成分(D1)として排他的に細粒充填剤を含む。
【0079】
本発明による組成物1は、それぞれの場合に、本発明に従う組成物の100重量部に基づいて、合計で好ましくは70~99重量部、特に好ましくは80~95重量部、特に87~92重量部の量の充填剤(D1)を含む。
【0080】
本発明による組成物1中の充填剤(D)は、好ましくは主に、特に好ましくは完全に、充填剤(D1)からなる。
【0081】
別の好ましい実施形態では、本発明による組成物は、充填剤(D)として繊維半製品(D2)を含む組成物(組成物2)である。
【0082】
本発明による組成物2は、好ましくは、充填剤(D2)として、繊維織物、繊維レイドスクリム、繊維ニット又は繊維ブレードを含み、特に好ましくは、それぞれが炭素繊維、ガラス繊維又はアラミドからなる。
【0083】
本発明に従って使用される繊維織物(D2)又は繊維レイドスクリム(D2)は、好ましくは、それぞれの場合に複数のプライで使用される。
【0084】
本発明による組成物2は、それぞれの場合に本発明による組成物100重量部に基づいて、合計で好ましくは40~90重量部、特に好ましくは50~80重量部の量の充填剤(D2)を含む。
【0085】
本発明による組成物2中の充填剤(D)は、好ましくは主に、特に好ましくは完全に、成分(D2)からなる。
【0086】
好ましい実施形態では、成分(D2)は、少なくとも80重量%の範囲、特に好ましくは少なくとも90重量%の範囲で、繊維織物、繊維レイドスクリム、繊維ニット又は繊維ブレードからなる。
【0087】
本発明に従って使用されるアミン(K)は、好ましくは、ケイ素原子を含まない有機化合物(K1)である又は有機ケイ素化合物(K2)である。
【0088】
本発明に従って使用されるアミン(K1)は、好ましくは式
R7
3N(III)
のアミンであり、
式中
R7は同じであるか、又は異なっていてもよく、水素原子、又はヒドロキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、又は(ポリ)グリコール基で任意に置換され、ヘテロ原子によって中断され得る一価又は二価の炭化水素基であるが、
ただし、式(III)において最大2つの基R7が水素原子の定義を有し、
又は脂肪族環状アミン、例えばピペリジン及びモルホリンである。
【0089】
基R7の例は、R及びR1並びに式(II)の基について指定された例である。
【0090】
基R7は、好ましくは水素原子又は1~20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、任意にヒドロキシル基、アリル基、アクリル基又はメタクリル基により置換され、任意にヘテロ原子により中断され、特に好ましくは水素原子又はメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、ウンデシル、ヘキサデシル、アクリルオキシエチル、メタクリルオキシエチル、アクリルアミドプロピル又はメタクリルアミドプロピル基である。
【0091】
本発明に従って使用される化合物(K1)の例は、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、1,1,3,3-テトラメチルブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、2-メチル-2-ヘプチルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジエチル-n-プロピルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ビス(2-エチルヘキシル)アミン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリオクチルアミン、トリス(2-エチルヘキシル)アミン、トリエタノールアミン、2-アミノエタノール、2-アミノ-n-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、N,N-ジエチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ココナッツ脂肪アミン、ココナッツ脂肪メチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート(CAS、105-16-8)、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート(CAS、2439-35-2)、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(CAS、2867-47-2)、2-[2,2-ビス(2-プロパ-2-エノイルオキシエトキシメチル)ブトキシ]エチル3-(ジブチルアミノ)プロパノエート(CAS、195008-76-5)、2-N-モルホリノエチルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2-N-モルホリノエチルメタクリレート、2-tert-ブチルアミノエチルメタクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、エチル3-(ジメチルアミノ)アクリレート(CAS、924-99-2)、ピペリジンエチルメタクリレート、tert-ブチルアミノエチルメタクリレート、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド(CAS、5205-93-6)及びN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(CAS、3845-76-9)、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、N,N,N′,N′-テトラメチルグアニジン(TMG)、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン及びN,N-ジメチル-p-トルイジンである。
【0092】
本発明に従って使用される化合物(K1)は、好ましくは、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ビス(2-エチルヘキシル)アミン、トリス(2-エチルヘキシル)アミン、ウンデシルアミン、ヘキサデシルアミン、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート(CAS、2439-35-2)、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(CAS、2867-47-2)、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート(CAS、105-16-8)、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド(CAS、5205-93-6)又はN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(CAS、3845-76-9)である。
【0093】
本発明に従って使用される化合物(K1)は、特に好ましくは、ウンデシルアミン、ヘキサデシルアミン、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート(CAS、2439-35-2)、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(CAS、2867-47-2)、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド(CAS、5205-93-6)又はN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(CAS、3845-76-9)である。
【0094】
本発明に従って使用されるアミン(K2)は、好ましくは、式
R8
kR10
lSi(OR9)mO(4-k-l-m)/2(IV)、
の単位で構成されるアミンであり
式中、
R8は同じであるか、又は異なっていてもよく、塩基性窒素を含まない、一価のSiC結合の有機基であり、
R9は同じであるか、又は異なっていてもよく、基R2に指定された定義を有し、
R10は同じであるか、又は異なっていてもよく、塩基性窒素を有する一価のSiC結合の基であり、
kは0、1、2、又は3であり、
lは0、1、2、3、又は4であり、及び
mは0、1、2、又は3であり、
ただし、k+l+mの合計が4以下であり、分子あたり少なくとも1つの基R10が存在する。
【0095】
基R8の例は、R及びR1について指定された例並びに式(II)の基である。
【0096】
基R8は、好ましくは、1~18個の炭素原子を有する炭化水素基であり、メチル、エチル又はn-プロピル基、特にメチル基が特に好ましい。
【0097】
基R9の例は、基R2に指定された例である。
【0098】
基R9は好ましくは水素原子、メチル又はエチル基である。
【0099】
基R10の例は、式H2NCH2-、H2N(CH2)2-、H2N(CH2)3-、H2N(CH2)2NH(CH2)2-、H2N(CH2)2NH(CH2)3-、H2N(CH2)2NH(CH2)2NH(CH2)3-、H3CNH(CH2)3-、C2H5NH(CH2)3-、H3CNH(CH2)2-、C2H5NH(CH2)2-、H2N(CH2)4-、H2N(CH2)5-、H(NHCH2CH2)3-、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)2-、シクロ-C6H11NH(CH2)3-、シクロ-C6H11NH(CH2)2-、(CH3)2N(CH2)3-、(CH3)2N(CH2)2-、(C2H5)2N(CH2)3-及び(C2H5)2N(CH2)2-の基である。
【0100】
R10は、好ましくはH2N(CH2)3-、H2N(CH2)2NH(CH2)3-、H3CNH(CH2)3-、C2H5NH(CH2)3-又はシクロ-C6H11NH(CH2)3-基であり、H2N(CH2)2NH(CH2)3-又はNH2(CH2)3-基が特に好ましい。
【0101】
本発明に従って使用される有機ケイ素化合物(K2)は、シラン、すなわちk+l+m=4である式(IV)の化合物、又はシロキサン、すなわちk+l+m≦3である式(IV)の単位の化合物のいずれかであることができる。
【0102】
有機ケイ素化合物(K2)がシランである場合、kは好ましくは0、1又は2、特に好ましくは0又は1、lは好ましくは1又は2、特に好ましくは1であり、mは好ましくは1、2又は3、特に好ましくは2又は3であり、ただしk+l+mの合計が4に等しい。
【0103】
本発明に従って使用される式(IV)のシラン(K2)の例は、H2N(CH2)3-Si(OCH3)3、H2N(CH2)3-Si(OC2H5)3、H2N(CH2)3-Si(OCH3)2CH3、H2N(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OH)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OH)2CH3、H2N(CH2)2NH(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)3、C6H5NH(CH2)3-Si(OC2H5)3、C6H5NH(CH2)3-Si(OCH3)3、モルホリノ-CH2-Si(OC2H5)3、モルホリノ-CH2-Si(OCH3)3、(C4H9)2N-CH2-Si(OC2H5)3、(C4H9)2N-CH2-Si(OCH3)3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OC2H5)3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OH)3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OH)2CH3、HN((CH2)3-Si(OCH3)3)2及びHN((CH2)3-Si(OC2H5)3)2であり、好ましくはH2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3、H2N(CH2)3-Si(OCH3)3、H2N(CH2)3-Si(OC2H5)3、H2N(CH2)3-Si(OCH3)2CH3又はH2N(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3であり、特に好ましくはH2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2CH3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)3又はH2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)2CH3である。
【0104】
有機ケイ素化合物(K2)がオルガノポリシロキサンである場合、kの平均値は好ましくは0.5~2.5、特に好ましくは1.4~2.0であり、lの平均値は好ましくは0.01~1.0、特に好ましくは0.01~0.6であり、mの平均値は、好ましくは0~2.0、特に好ましくは0~0.2であり、ただし、k、l及びmの合計は3以下である。
【0105】
本発明に従って使用することができる式(IV)の単位から構成されるオルガノポリシロキサン(K2)は、25℃で、好ましくは5~105mPas、特に好ましくは10~104mPasの粘度を有する。
【0106】
本発明に従って使用することができる式(IV)の単位から構成されるオルガノポリシロキサン(K2)の例は、H2N(CH2)3-Si(OCH3)2-O-Si(CH3)(OCH3)2、H2N(CH2)3-Si(OC2H5)2-O-Si(CH3)(OCH3)2、H2N(CH2)3-Si(OC2H5)2-O-Si(CH3)(OC2H5)2、H2N(CH2)3-Si(OCH3)(CH3)-O-Si(CH3)(OCH3)2、H2N(CH2)3-Si(OCH3)(CH3)-O-Si(OCH3)3、H2N(CH2)3-Si(OC2H5)(CH3)-O-Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2-O-Si(CH3)(OCH3)2、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)2-O-Si(CH3)(OCH3)2、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)2-O-Si(CH3)(OC2H5)2、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)(CH3)-O-Si(CH3)(OCH3)2、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)(CH3)-O-Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OC2H5)(CH3)-O-Si(OCH3)3、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)2-O-Si(CH3)(OCH3)2、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OC2H5)2-O-Si(CH3)(OCH3)2、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OC2H5)2-O-Si(CH3)(OC2H5)2、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)(CH3)-O-Si(CH3)(OCH3)2、シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)(CH3)-O-Si(OCH3)3及びシクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OC2H5)(CH3)-O-Si(OCH3)3、H2N(CH2)3-Si(OCH3)2-(O-Si(CH3)2)0-100-0-Si(OCH3)2-(CH2)3NH2、H2N(CH2)3-Si(OCH2CH3)2-(O-Si(OCH2CH3)2)0-100-(O-Si(OCH2CH3)(CH2)3NH2)1-100-O-Si(OCH2CH3)2-(CH2)3NH2、Si(OCH2CH3)3-(O-Si(OCH2CH3)2)0-100-(O-Si(OCH2CH3)(CH2)3NH2)0-100-O-Si(OCH2CH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2-(O-Si(CH3)2)0-100-0-Si(OCH3)2-(CH2)3NH(CH2)2NH2、H2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2-(O-Si(CH3)2)0-100-(O-Si(OCH3)(CH2)3NH(CH2)2NH2)0-100-O-Si(OCH3)2-(CH2)3NH(CH2)2NH2、
HO-Si(CH3)2-(O-Si(CH3)2)0-100-(O-Si(OCH3)(CH2)3NH(CH2)2NH2)0-100-O-Si(CH3)2-OH
及び
シクロ-C6H11NH(CH2)3-Si(OCH3)2-(O-Si(CH3)2)1-100-0-Si(OCH3)2-(CH2)3NHシクロ-C6H11及び/又はその部分加水分解物及び/又はSi-O-Si含有化合物との平衡反応によって生成できる化合物であり、特に好ましいのは、H2N(CH2)3-Si(OC2H5)2-O-Si(CH3)(OC2H5)2、H2N(CH2)3-Si(OCH2CH3)2-(O-Si(OCH2CH3)2)1-100-(O-Si(OCH2CH3)(CH2)3NH2)0-100-O-Si(OCH2CH3)2-(CH2)3NH2又はH2N(CH2)2NH(CH2)3-Si(OCH3)2-(O-Si(CH3)2)0-100-(O-Si(OCH3)(CH2)3NH(CH2)2NH2)0-100-O-Si(OCH3)2-(CH2)3NH(CH2)2NH2である。
【0107】
式(IV)の単位で構成される有機ケイ素化合物(K2)は、市販の製品である、又はケイ素化学で一般的な方法によって調製することができる。
【0108】
必要に応じて、成分(K)を溶媒(L)及び/又は有機ケイ素化合物(G)に溶解できる。
【0109】
本発明による組成物は、成分(K)を、それぞれの場合に成分(A)及び(B)の総重量の100重量部に基づいて、好ましくは0.001~5重量部、好ましくは0.001~2重量部、特に好ましくは0.01~1重量部、特に0.05~0.5重量部の量で含む。
【0110】
成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(K)に加えて、本発明による組成物は、成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(K)とは異なるさらなる物質、例えば促進剤(E)、助剤(F)、有機ケイ素化合物(G)、安定剤(H)、溶媒(L)及び調整剤(M)を含み得る。
【0111】
本発明による組成物において使用される促進剤(E)は、ラジカル的に及び縮合反応により架橋可能な組成物について、これまで知られている任意の所望の促進剤であり得る。
【0112】
任意に使用される成分(E)の例は、金属カルボキシレート、例えばビスマス(III)2-エチルヘキサノエート、ジオクチルスズ(IV)ラウレート、亜鉛(II)2-エチルヘキサノエート、コバルト(II)2-エチルヘキサノエート、酢酸銅(II)、酢酸マンガン(II)、酢酸鉄(II)、鉄(II)エチルヘキサノエート、バリウム(II)エチルヘキサノエート、ジルコニウム(IV)2-エチルヘキサノエート、金属アセチルアセトネート、例えばビスマス(III)アセチルアセトネート、亜鉛(II)アセチルアセトネート、アルミニウム(III)アセチルアセトネート、チタン(IV)ビス(アセチルアセトネート)ジイソブトキシド、金属エチルアセトアセテート、例えばチタン(IV)ビス(エチルアセトアセテート)ジイソブトキシド、チタン(IV)ビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、金属アルコキシド、例えばアルミニウム(III)エトキシド、チタン(IV)n-ブトキシド、チタン(IV)n-プロポキシド及び金属ハライド、例えば塩化銅(I)である。
【0113】
任意に使用される成分(E)は、好ましくはコバルト(II)2-エチルヘキサノエート又はジオクチルスズ(IV)ラウレートである。
【0114】
必要に応じて、成分(E)を溶媒(L)及び/又は有機ケイ素化合物(G)に溶解できる。
【0115】
任意に使用される成分(E)は、23℃及び1000hPaで固体又は液体のいずれでもあることができ、23℃及び1000hPaで成分(E)液体が好ましい。
【0116】
本発明による組成物が促進剤(E)を含む場合、関与する量は、それぞれの場合に成分(A)及び(B)の総重量の100重量部に基づいて、好ましくは0.1~5重量部、特に好ましくは0.1~1重量部である。好ましくは、本発明による組成物では促進剤(E)は使用されない。
【0117】
本発明に従って任意に使用される成分(F)は、好ましくは、顔料、染料、着臭剤、熱安定剤又は難燃剤を含む。
【0118】
任意に使用される顔料(F)は、好ましくは、無機顔料、例えば酸化鉄(黄色、黒色、赤色)、酸化クロム(III)及び二酸化チタン、カーボンブラック、メタリックエフェクトを生じるエフェクト顔料、例えば金、銀、銅、アルミニウム、ケイ素、雲母のフレーク(例えばFeTiO3、Fe2O3、TiO2、ミラーフラグメントで任意にコーティングされる)、又はゴニオクロマティックカラー効果を生成するための液晶顔料である。顔料(F)は、粉末形態又は例えば有機ケイ素化合物(G)及び/又は溶媒(L)などの適切な液体中の分散液で使用されてもよい。さらに、顔料(F)は、粗粒充填剤(D1)に適用される表面コーティングの形態で使用されてもよい。
【0119】
任意に使用される染料(F)は、好ましくはフタロシアニン又はアゾ化合物である。
【0120】
任意に使用される成分(F)は、好ましくは顔料(F)の形態をとる。
【0121】
本発明による組成物が助剤(F)を含む場合、含まれる量は、それぞれの場合に、成分(A)及び(B)の総重量の100重量部に基づいて、好ましくは0.01~20重量部、特に好ましくは0.1~10重量部、特に0.1~5重量部である。本発明による組成物1は、好ましくは助剤(F)、好ましくは顔料(F)を含むが、本発明による組成物2は、好ましくは、いかなる助剤(F)も含まない。
【0122】
任意に使用される有機ケイ素化合物(G)は、好ましくは成分(A)及び(K)とは異なるもの、好ましくはシラン、実質的に線状のシロキサン及び脂肪族飽和シリコーン樹脂から選択されるものであり、それぞれの場合に塩基性窒素を含まない。
【0123】
実質的に線状のシロキサン(G)及び脂肪族飽和シリコーン樹脂(G)は、好ましくは、成分(A)の調製において副生成物として形成され得る化合物である。
【0124】
成分(G)は、好ましくは、塩基性窒素を含まないシランを含む。
【0125】
任意に使用されるシラン(G)は、好ましくは、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、(2,4,4-トリメチルペンチル)トリメトキシシラン、(2,4,4-トリメチルペンチル)トリエトキシシラン、(2,4,4-トリメチルペンチル)メチルジメトキシシラン、(2,4,4-トリメチルペンチル)メチルジエトキシシラン、n-オクチルメチルジメトキシシラン、n-オクチルメチルジエトキシシラン、(シクロヘキシル)トリメトキシシラン、(シクロヘキシル)トリエトキシシラン、シクロヘキシル(メチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(メチル)ジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラエチルシリケート、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)(メチル)ジメトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)(メチル)ジエトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)トリメトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)トリエトキシシラン、(メタクリルオキシプロピル)(メチル)ジメトキシシラン、(メタクリルオキシプロピル)(メチル)ジエトキシシラン、3-(メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3-(メタクリルオキシプロピル)トリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、ビス(トリエトキシシリル)エタン又はビス(トリエトキシシリル)エテンである。
【0126】
任意に使用されるシラン(G)は、特に好ましくは、テトラエチルシリケート、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エテン又は3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである。
【0127】
本発明による組成物が成分(G)を含む場合、関与する量は、それぞれの場合に成分(A)及び(B)の総重量の100重量部に基づいて、好ましくは1~10重量部、特に好ましくは1~5重量部である。本発明による組成物は、好ましくは成分(G)を含まない。
【0128】
任意に使用される安定剤(H)の好ましい例は、ケトンアセタール、例えば2,2-ジメトキシプロパン、エポキシド、例えばエポキシ化大豆油、グリセロールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル及び(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン又はラジカルスカベンジャー、例えば4-メトキシフェノール、4-tert-ブチル-1,2-ジヒドロキシベンゼン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、4-tert-ブチルピロカテコール及びフェノチアジンである。
【0129】
本発明による組成物が安定剤(H)を含む場合、関与する量は、それぞれの場合、成分(A)及び(B)の合計の100重量部に基づいて、好ましくは0.001~1重量部、特に好ましくは0.005~0.5重量部である。本発明による組成物は、好ましくは安定剤(H)を含む。
【0130】
任意に使用される溶媒(L)の例は、一価及び多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコール、エーテル、例えばメチルtert-ブチルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル及びジ-、トリ-又はテトラエチレングリコールジメチルエーテル、飽和炭化水素、例えばn-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン及び異性体オクタン及びExxsol(商標)、Hydroseal(R)又はShellsol(R)の商品名で得られる種類の60~300℃の沸騰範囲を有する飽和炭化水素の混合物、アルデヒドアセタール、例えばメチラール、エチルヘキシラール、ブチラール、1,3-ジオキソラン及びグリセロールホルマール、エステル、例えば酢酸エチル、酢酸n-ブチル、二酢酸エチレングリコール、酢酸2-メトキシプロピル(MPA)、ジ安息香酸ジプロピレングリコール、フタル酸ジシクロヘキシル及びエトキシプロピオン酸エチル及びカルボン酸、例えばエチルヘキサン酸、n-オクタン酸又はネオデカン酸である。
【0131】
好ましい溶媒(L)は、カルボン酸、カルボン酸エステル又は飽和炭化水素、特に好ましくは、1000hPaで60~300℃の沸点範囲を有する飽和炭化水素の混合物、エチルヘキサン酸、n-オクタン酸、ネオデカン酸又は酢酸2-メトキシプロピル(MPA)である。
【0132】
本発明による組成物が溶媒(L)を含む場合、関与する量は、それぞれの場合に、成分(A)及び(B)の合計の100重量部に基づいて、好ましくは0.1~1重量部、特に好ましくは0.1~0.5重量部である。本発明による組成物は、好ましくは溶媒(L)を含まない。
【0133】
任意に使用される調整剤(M)の例は、有機ビニルポリマー、例えばポリビニルアセテート又はポリビニルアセテート-co-ビニルラウレートであり、これらは好ましくは成分(B)において25℃及び1000hPaで可溶性である。
【0134】
調整剤(M)が使用される場合、これらは、好ましくは、成分(B)において均一な混合物の形態で使用される。
【0135】
本発明による組成物が調整剤(M)を含む場合、関与する量は、それぞれの場合に、成分(A)及び(B)の合計の100重量部に基づいて、好ましくは5~30重量部、特に好ましくは10~20重量部である。本発明による組成物は、好ましくは、調整剤(M)を含まない。
【0136】
本発明による組成物は、好ましくは、
(A)オルガノポリシロキサン樹脂、
(B)式(II)の少なくとも1つの単位を有する有機化合物、
(C)開始剤、
(D)充填剤、
任意に(E)促進剤、
任意に(F)顔料、
任意に(G)有機ケイ素化合物、
(H)安定剤、
(K)アミン、
任意に(L)溶媒及び
任意に(M)調整剤
を含む。
【0137】
本発明による組成物は、好ましくは、
(A)オルガノポリシロキサン樹脂、
(B)少なくとも1つのアクリレート又はメタクリレート単位を有する有機化合物、
(C)開始剤、
(D)充填剤、
(E)促進剤、
任意に(F)顔料、
任意に(G)有機ケイ素化合物、
(H)安定剤、
(K)アミン、
任意に(L)溶媒及び
任意に(M)調整剤
を含む。
【0138】
本発明による組成物1は、好ましくは、
(A)オルガノポリシロキサン樹脂、
(B)式(II)の少なくとも1つの単位を有する有機化合物、
(C)開始剤、
(D1)組成物1の100重量部に基づいて70~99重量部の量の充填剤、
任意に(E)促進剤、
任意に(F)顔料、
任意に(G)有機ケイ素化合物、
(H)安定剤、
(K2)アミン、
任意に(L)溶媒及び
任意に(M)調整剤
を含む。
【0139】
本発明による組成物1は、特に好ましくは、
(A)オルガノポリシロキサン樹脂、
(B)少なくとも1つのアクリレート又はメタクリレート単位を有する有機化合物、
(C)開始剤、
(D1)組成物1の100重量部に基づいて80~95重量部の量の充填剤(ただし、細粒及び粗粒充填剤を含む混合物が充填剤(D1)として使用され、細粒充填剤と粗粒充填剤との重量比は5:1~1:5である)、
任意に(E)促進剤、
(F)顔料、
任意に(G)有機ケイ素化合物、
(H)安定剤、
(K2)アミン、
任意に(L)溶剤及び
任意に(M)調整剤
を含む。
【0140】
本発明による組成物2は、好ましくは、
(A)オルガノポリシロキサン樹脂、
(B)式(II)の少なくとも1つの単位を有する有機化合物、
(C)開始剤、
(D2)組成物2の100重量部に基づいて、少なくとも40~90重量部の量の充填剤(ただし、充填剤(D2)は、数層の繊維織物、又は数層の繊維性レイドスクリムからなる)、
任意に(E)促進剤、
任意に(F)顔料、
任意に(G)有機ケイ素化合物、
(H)安定剤、
(K)アミン、
任意に(L)溶媒及び
任意に(M)調整剤
を含む。
【0141】
本発明による組成物2は、特に好ましくは、
(A)オルガノポリシロキサン樹脂、
(B)少なくとも1つのアクリレート又はメタクリレート単位を有する有機化合物、
(C)開始剤、
(D2)組成物2の100重量部に基づいて、少なくとも40~90重量部の量の充填剤(ただし、充填剤(D2)は、数層の繊維織物又は数層の繊維レイドスクリムからなる)、
任意に(E)促進剤、
任意に(F)顔料、
任意に(G)有機ケイ素化合物、
(H)安定剤、
(K2)アミン、
任意に(L)溶媒及び
任意に(M)調整剤
を含む。
【0142】
本発明による組成物は、好ましくは少なくとも95重量%の範囲、特に好ましくは99重量%の範囲の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(K)、並びに任意に(E)、(F)、(G)、(H)、(L)及び(M)からなる。
【0143】
本発明による組成物は、成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(K)並びに任意に(E)、(F)、(G)、(H)、(L)及び(M)以外のさらなる成分、及び同様に可能性として通常の原材料不純物、例えば触媒残留物、例えば塩化ナトリウム又は塩化カリウム、及び同様に技術等級のアクリレートモノマー中の不純物及び可能性として混合中又は保管中に形成される、使用される成分の反応生成物を含まない。
【0144】
本発明に従って使用される成分は、それぞれの場合において、そのような成分の1つのタイプ、並びにそれぞれの成分の少なくとも2つのタイプの混合物であることができる。
【0145】
本発明による組成物は、個々の成分を任意の順序で、これまでに知られている方法で混合することによって調製することができる。
【0146】
本発明はまた、個々の成分を任意の順序で混合することにより、本発明による組成物を製造する方法に関する。
【0147】
本発明による方法において、充填剤(D)は、好ましくはアミン(K)、特に好ましくはアミン(K2)と、任意に有機ケイ素化合物(G)及び/又は溶媒(L)との混合物として予備混合される。充填剤(D)が細粒充填剤と粗粒充填剤(D1)との混合物の形態をとる場合、好ましくは粗粒充填剤(D1)のみがアミン(K)と、任意に有機ケイ素化合物(G)及び/又は溶媒(L)との混合物として予備混合される。
【0148】
本発明による方法において、混合は、好ましくは10~50℃の範囲、特に好ましくは15~45℃の範囲の温度、特に20~40℃の温度で実施することができる。特に好ましくは、混合は、周囲温度で混合する際に、原料の温度に加えて、混合時のエネルギー入力による温度上昇から生じる温度で行われ、必要に応じて混合物を加熱又は冷却することができる。
【0149】
混合は周囲の雰囲気の圧力、すなわち約900~1100hPaで行うことができる。揮発性化合物及び/又は空気を除去するために、混合を減圧下で断続的又は連続的に、例えば30~500hPaの絶対圧力で実施することも可能である。
【0150】
本発明による方法は、連続的に、不連続的に、又は半連続的に実施することができ、この方法は、好ましくは不連続的に実施される。
【0151】
組成物1を製造するための本発明による方法(V1)の好ましい実施形態では、充填剤(D1)が成分(D)として使用される。
【0152】
本発明による方法(V1)の好ましい実施形態において、充填剤(D1)は、アミン(K)及び任意に使用される成分(F)、(G)及び(L)と予備混合され、続いて成分(A)、(B)、(C)及び同様に任意成分(E)、(F)、(G)、(H)、(L)及び(M)は任意の順序で追加され、混合される。
【0153】
本発明による方法(V1)の特に好ましい実施形態では、粗粒充填剤(D1)は、最初にアミン(K)及び任意に使用される成分(F)、(G)及び(L)と予備混合され、続いて成分(A)、(B)及び(C)の混合物及び任意成分(H)、(E)、(G)、(L)及び(M)をそれらに添加し、混合し、次いで細粒充填剤(D1)をそれらに添加し、混合する。
【0154】
組成物2を製造するための本発明による方法(V2)の好ましい実施形態では、成分(D2)が充填剤(D)として使用される。
【0155】
本発明による方法(V2)の好ましい実施形態では、成分(A)、(B)、(C)及び(K)並びに同様に任意の成分(E)、(F)、(G)、(H)、(L)及び(M)を最初に任意の順序で混合してプレミックスを得て、次いで成分(D2)、好ましくは織物、レイドスクリム、ニット又はブレードをプレミックスに含浸させ、任意に脱気する。多層織物又はレイドスクリム(D2)の場合、各層を個別に、又はすべての層を合わせて、含浸及び脱気することができる。
【0156】
本発明による方法(V2)の特に好ましい実施形態では、成分(A)、(B)、(C)及び(K)並びに同様に任意の成分(E)、(F)、(G)、(H)、(L)及び(M)は最初に任意の順序で混合されてプレミックスを得て、次いで成分(D2)、好ましくは織物、レイドスクリム、ニット、又はブレードを含むモールドキャビティに注入される。
【0157】
本発明による方法(V2)の特に好ましい実施形態では、成分(D2)、好ましくは織物、レイドスクリム、ニット又はブレードは、最初にアミン(K)、任意に有機ケイ素化合物(G)及び/又は溶媒(L)との混合物として前処理され、次いで成分(A)、(B)及び(C)及び同様に任意成分(E)、(F)、(G)、(H)、(L)及び(M)の混合物は、(K)で前処理された成分(D2)を含むモールドキャビティに注入される。
【0158】
本発明による組成物は、周囲温度又は任意に高温での機械的圧力によって任意の形状に成形することができる。
【0159】
好ましい実施形態では、本発明による組成物1は、室温で非常に高粘度であるが、適切に高い機械的圧力で流動させることができるパテ状稠度の混練可能な混合物である。
【0160】
さらに好ましい実施形態では、本発明による組成物1は、湿潤砂の稠度を有する。それらは、例えばコンベヤベルト上で混練可能、成形可能、運搬可能であり、さらなる加工処理までの保管で十分に安定している。
【0161】
本発明による組成物2は、好ましくは成形可能であり、特に好ましくはモールドキャビティ内又は成形によって成形及び硬化される。
【0162】
本発明による組成物、又は本発明に従って製造された組成物は、フリーラジカル重合によって、同様に任意にさらに、アルコール及び可能性として水の除去を伴う縮合反応によって架橋する。本発明による硬化がさらに、縮合反応によって行われる場合、樹脂(A)の任意に存在するシラノール及び/又はオルガニルオキシ基並びに同様に他の成分、並びに同様に任意に成分に付着し得る大気中の湿気又は湿度は、好ましくは互いに反応するが、ただし縮合反応は加水分解工程に先行する。
【0163】
本発明による又は本発明に従って製造された混合物は、好ましくは硬化前に脱気され、脱気工程は有利には圧縮中に行われ、続いて特に好ましくは、5重量%未満、特に好ましくは1重量%未満の酸素含有量を有する不活性ガスが充填される。
【0164】
本発明による架橋は、好ましくは50~200℃、特に好ましくは70~160℃、特に80~130℃の範囲の温度で行われる。
【0165】
さらに、本発明による組成物は、好ましくは、加熱された表面との直接及び/又は間接接触によって、又は加熱された循環空気中で、特に好ましくは、例えば周囲空気からの酸素の侵入が、架橋中に可能な限り回避されるような様式で、架橋できる。この目的のために、本発明による組成物は、例えば密閉チャンバ内での成形面と加熱面との直接接触により、及び/又は成形面を適切な気密フィルムで覆うことにより、及び/又は本発明による組成物をモールドキャビティに導入し、続いて間接的に、すなわち加熱された表面又は高温の循環空気で、フィルム及び/又はモールドキャビティを含めて加熱することによって架橋させることができる。
【0166】
温度を上げることにより架橋を加速し、成形及び架橋を組み合わせた工程で実行できるようにしてもよい。
【0167】
本発明による架橋は、好ましくは周囲雰囲気の圧力、すなわち約900~1100hPaで行われるが、それは高圧、すなわち1200hPa~10MPaで行うこともできる。
【0168】
本発明による組成物は、これまでにプレポリマーも使用されてきたすべての目的に使用することができる。本発明による混合物は、既知の方法により加工処理される。
【0169】
本発明はさらに、本発明による組成物を架橋することにより製造される成形品に関する。
【0170】
成形品は、本発明による混合物から、例えばそれ自体長い間知られている射出成形方法によって製造することができる。この目的のために、混合物は機械的圧力を利用して適切なモールドキャビティに注入される。モールドは一般に2つに分割され、射出成形方法中に油圧プレスによって封止される。モールドを所望の温度に予熱すると、一方では組成物の流れが促進され、他方では硬化が加速される。射出成形方法の最後に、非破壊で成形品を取り除くことができる稠度に成形品が達するまで、モールドを閉じたままにする。試験片のモールドキャビティは、例えば、DIN EN ISO 10724-1:2002-04に記載されている。
【0171】
組成物1を架橋することにより得られる本発明による成形品(成形品1)は、それぞれの場合に23℃で、好ましくは少なくとも20MPa、特に好ましくは少なくとも25MPa、特に少なくとも30MPa、特に好ましくは少なくとも35MPaの曲げ強度を有する。好ましくは、細粒充填剤と粗粒充填剤との重量比が3:1~1:3である本発明による成形品1は、23℃で少なくとも30MPa、特に好ましくは少なくとも35MPa、特に70℃では少なくとも35MPaの曲げ強度を有する。
【0172】
本発明による成形品1は、好ましくは人工石である。
【0173】
本発明はさらに、本発明による組成物1が成形され、架橋できることを特徴とする、人工石の製造方法に関する。
【0174】
人工石を製造するために、本発明による組成物は最初に成形され、ガスの混入を回避するためにその後負圧が適用される。圧縮は、好ましくは本発明による組成物をモールド全体にわたって振動させることにより、この工程で既に実施することができる。これに続いて、機械的圧力を加えることにより組成物をさらに圧縮する。この圧縮方法、すなわち任意に50mPa未満の圧力で振動を伴う圧縮は、好ましくは1~3分間続く。成形品がモールド内で硬化した場合、先行する工程の1つと同時に、又はその後に、モールドを、好ましくは15~120分間、室温を超える温度、好ましくは50~200℃、特に好ましくは70~160℃、特に80~130℃で加熱する。次いで、成形品をモールドから取り出す。代替的に、これが特に好ましいが、成形の完了後、すなわち機械的押圧後に、未硬化の成形品をモールドから取り出し、その後の別の装置にて別の工程で上記の温度及び時間で硬化させることができる。続いて-硬化方法とは関係なく-有利には、周囲温度で少なくとも1時間のさらなる保管が行われる。このようにして得られた成形品は、次いで、例えば、研削、表面の研磨及びトリミングなどの既知の方法によってさらに加工処理することができる。
【0175】
本発明による人工石は、それぞれの場合において23℃で、好ましくは少なくとも75、特に好ましくは少なくとも80のショアD、特に少なくとも85のショアDのショアD硬度を有する。
【0176】
本発明による成形品2は、好ましくは繊維複合体である。
【0177】
本発明はさらに、本発明による組成物2が成形され、架橋されることを特徴とする、繊維複合体の製造方法に関する。
【0178】
本発明による組成物は、それらが保管時に安定であり、要件に従って調整することができる稠度を有するという利点を有する。
【0179】
本発明による組成物は、それらが容易に入手可能な原材料から簡単な方法で製造できるという利点を有する。
【0180】
本発明による組成物は、それらが急速に硬化して固体複合体を与えるというさらなる利点を有する。
【0181】
本発明による組成物は、特に、それらが18~25℃の温度範囲で、好ましくは30分を超える、特に好ましくは45分を超える、特に60分を超える良好な加工処理時間を有するが、依然として、高温、好ましくは80~130℃で急速に硬化され、こうして得られた成形品は、好ましくは1時間後に既に高い硬度及び曲げ強度を有しているため、さらなる加工処理(切削、研削、研磨)が可能であるという利点を有する。
【0182】
本発明による成形品は、依然として、有機樹脂に基づく従来の成形品と比較して、UV照射への曝露時に変色(明るい色合いの黄色の変色又は暗い色合いの淡色化)を示さないが、従来のシステム、例えばスチレンに溶解したポリエステル樹脂の場合、顕著な変化は既に視覚可能である。
【0183】
本発明による成形品はまた、充填剤の湿潤性を改善することにより、より高い耐候性が達成されるという利点を有する。
【0184】
本発明による成形品は、純粋に有機結合剤を有する複合材料と比較して、それらが熱に対して安定であり、火災荷重が少ないという利点を有する。
【0185】
さらに、本発明による組成物は、それらが人工石の製造に非常に適しているという利点を有する。
【0186】
本発明による組成物は、スチレンに溶解される従来技術に従って使用されるポリエステル樹脂において典型的に発生する程度までは、加工処理中に健康に有害な排出物が形成されないという利点を有する。
【0187】
本発明による組成物は、高い曲げ強度と同時に高い硬度とを有するいわゆる複合体を製造できるという利点を有する。
【0188】
本発明による組成物は、例えば70℃などの高温においてさえ、高い曲げ強度と同時に高い硬度とを有するいわゆる複合体を製造することができるという利点を有する。
【0189】
本発明による組成物1は、少量のアミン(K)がその流動性を著しく増加させる、すなわち低剪断速度で粘度を大幅に低下させるのに十分であるという利点を有し、それにより、それらは非常に加工処理しやすくなる、例えば圧縮可能になる。また、アミン(K)を添加すると、色の深みが増す。
【0190】
本発明による方法は、実施するのが簡単であるという利点を有する。
【0191】
以下の実施例では、特に明記しない限り、部及びパーセンテージに関するすべてのデータは重量を指す。特に明記しない限り、以下の実施例は、周囲の雰囲気の圧力、すなわち約1000hPa、及び室温(すなわち、約20℃)で、又は反応物を室温で追加の加熱又は冷却なしに、組み合わせる場合に生じる温度で実行される。実施例に詳述されているすべての動的粘度データは、23℃の温度を参照することを目的とする。
【0192】
充填された組成物の流動特性の測定
本発明の文脈において、粘度は、特に明記しない限り、23℃の温度及び1013hPaの大気圧で、以下の手順により低剪断速度で決定される。測定のために、20gの組成物1が、量が30mmの直径を有するように円形テンプレートを使用して、100mlの切頂プラスチックシリンジによってポリエチレンフィルムに塗布される。30分後、円形のテンプレートを上から1mmの精度で読み取り、サンプルの直径を再決定する。より大きな直径は、混合物のより高い流動性又はより低い粘度に対応する。試験の結果を表1に示す。
【0193】
曲げ強度の測定
本発明において、曲げ強度は、ISO 178:2011-04方法Aに従って、60mmの支持距離にて2mm/分の試験速度で測定された。この場合の手順は次のとおりであった、長さ×幅×厚さ=80mm×10mm×4mmの寸法の試験片を使用した。測定は、それぞれの場合に5つの試験片で行われた。試験片は、実施例1に示されるように、DIN EN ISO 10724-1:2002-04に従って交換可能な成形キャビティプレートを有するモールドを使用する射出成形方法によって製造され、実施例1に指定された条件(温度、時間)の下で硬化された。試験中、サンプル試験片は、射出成形モールドに配置されたときと同じ方法で、すなわち底面が下になるように、常に機械に挿入された。表1に報告されているMPa単位の曲げ強度の値は、DIN 1333:1992-02セクション4に従って整数に四捨五入された、個々の測定のそれぞれの平均値に対応する。
【0194】
ショアD硬度の測定
ショアD硬度は、DIN EN ISO868:2003-10に従って決定された。測定は、ショアDデュロメータを使用して、長さ×幅×厚さ=40mm×40mm×6mmの寸法のプレートサンプル試験片で行われ、実施例1に記載されているDIN EN ISO 10724-1:2002-04フォーム2に従って、これらの試験片は交換可能なモールドキャビティプレートを有するモールドを用いる射出成形方法により、実施例1に指定されている条件(温度、時間)で硬化させた。ショアD硬度は、それぞれの場合、3つの試験片の表側及び裏側の両方で測定され、合計6つの測定値が得られた。表1に報告されている値は、個々の測定の平均値に対応している。
【0195】
以下の本文において
Meはメチル基であり、Viはビニル基であり、Etはエチル基であり、Phはフェニル基であり、Maは3-メタクリロイルオキシプロピル基であり、Ioは2,4,4-トリメチルペンチル基である。
【0196】
樹脂混合物1
KPGスターラを備えた加熱可能なガラス反応器で、技術等級のメチルトリメトキシシラン(Wacker Chemie AG,Munich,GermanyからSilan M1-trimethoxyの名前で市販)2080g、ビニルトリメトキシシラン(Wacker Chemie AG,Munich,GermanyからSilan V-trimethoxyの名前で市販)568.0g及びヘキサメチルジシロキサン(Wacker Chemie AG,Munich,GermanyからOl AK0,65の名前で市販)48.0gを50℃に加熱し、10分かけて水520.0g及び塩酸(水中20%、塩化水素21.9mmol、Bernd Kraft GmbH,Duisburg,GermanyからSalzsaure20%zur Analyseの名前で市販)4.00gの混合物を添加し、混合物を還流下で90分間撹拌する。続いて、2分間にわたって、混合物をナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%、21.1mmolのナトリウムメトキシド、SIGMA-ALDRICH Chemie GmbH、Taufkirchen,Germanyから市販)4.56gで中和する。
【0197】
176.0gの2-ヒドロキシエチルメタクリレート(SIGMA-ALDRICH Chemie GmbH,Taufkirchen,GermanyからMethacrylsaure-2-hydroxyethylesterの名前で市販)を添加し、次いで混合物を100℃、50mbarで1時間揮発分除去を行う。組成(MeSiO3/2)0.49(ViSiO3/2)0.13(Me(MeO)SiO2/2)0.25(Vi(MeO)SiO2/2)0.06(Me(HO)SiO2/2)0.02(Me2SiO2/2)0.01(Me(MeO)2SiO1/2)0.01(Me3SiO1/2)0.03(2100g/molの数平均モル質量Mn及び11940g/molの重量平均モル質量Mw)のオルガノポリシロキサンで樹脂混合物1571gが得られる。
【0198】
混合物を、ブチルメタクリレート(SIGMA-ALDRICH Chemie GmbH,Taufkirchen,GermanyからMethacrylsaure-butylesterの名前で市販)232g及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(SIGMA-ALDRICH Chemie GmbH,Taufkirchen,GermanyからMethacrylsaure-2-hydroxyethylesterの名前で市販)93gと均質に混合する。このようにして得られた樹脂混合物1の動的粘度は、230mPa・sである。
【実施例】
【0199】
[実施例1]
0.3~0.9mmの平均粒径を有する粗粒石英顆粒(Amberger Kaolinwerke Eduard Kick GmbH,Hirschau,GermanyからSB0,3-0,9Tの名前で市販)70gに、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(Wacker Chemie AG,Munich,GermanyからGENIOSIL(R)GF93の名前で市販)0.034gを添加し、これを、Thinkyからの「Thinky Mixer ARV-310」自転公転式ミキサーにおいて、大気圧にて1500回転/分で30秒間混合する。続いて、前処理された顆粒を23℃に冷却させる。
【0200】
17gの樹脂混合物1を、40μmのメッシュサイズで2重量%の乾燥シービング残分を含む粗粒石英粉(Amberger Kaolinwerke Eduard Kick GmbH&Co.KG,Hirschau,GermanyからQuarzmehl 16.900の名前で市販)35gとブレンドし、大気圧で1500回転/分で30秒間、Thinky Mixer ARV-310において混合を継続し、その後、予め前処理された粗粒石英顆粒70gを混合物に添加し、大気圧でThinky Mixer ARV-310において、1500回転/分で30秒間混合し、この混合物を40℃まで加熱する。その後、tert-ブチルペルオキシベンゾエート(SIGMA-ALDRICH Chemie GmbH,Taufkirchen,GermanyからのLUPEROX(R)Pの名前で市販)0.1gを、大気圧でThinky Mixer ARV-310において、1500回転/分で30秒間混ぜ合わせ、その後、混合物は、スパチュラで手作業により短時間撹拌され、次いでThinky Mixer ARV-310において大気圧で、1500回転/分で30秒間再度混合する。このようにして得られた混合物1は、流動挙動を決定する前に23℃で30分間静置し、機械的特性の決定の前にThinky Mixer ARV-310において850回転/分及び10mbarで90秒間混合する。
【0201】
機械的測定用の試験片は、Lauffer GmbH&Co,KGからVSKO75タイプの油圧プレスを使用して製造される。プレスには、DIN EN ISO 10724-1:2002-04に従って交換可能なモールドキャビティプレートを有するモールドが取り付けられており、長さ×幅×厚さ=80mm×10mm×4mm(曲げ強度試験用)又は長さ×幅×厚さ=40mm×40mm×6mm(硬度試験用)の寸法での試験片の製造を可能にする。モールドは、140kNの閉鎖力で油圧によって閉じられる。モールドの外形寸法(長さ×幅=450mm×450mm単位)。押圧ラムの直径は50mmである。試験片を製造するために、上記の混合物100gを導入し、5kNの押圧力を用いて、120℃の温度で予熱されたそれぞれのモールドキャビティに注入する。モールドキャビティが完全に充填される場合、押圧力が25kNに増加する。この時点で、油圧システムは遮断される。硬化の過程で、力はゆっくりと弱まり、全体の押圧及び硬化過程の最後に14kNになる。120℃で30分後、モールドを開き、試験片を取り出す。
【0202】
このようにして得られた試験片を、23℃で24時間、相対湿度50%で保管し、次いで、その機械的特性を表1に記載された温度で調べる。結果を表1に示す。
【0203】
[実施例2]
実施例1に記載されている手順を繰り返し、粗粒石英顆粒を3-アミノプロピルトリメトキシシランで前処理せず、むしろ3-アミノプロピルトリメトキシシランを1500回転/分にて大気圧でThinky Mixer ARV-310において、樹脂混合物1と15秒間予備混合される。次いで、実施例1に記載されているような細粒石英粉、前処理されていない粗粒石英顆粒及びtert-ブチルペルオキシベンゾエートを連続的に混合する。
【0204】
結果を表1に示す。
【0205】
[実施例3]
3-アミノプロピルトリメトキシシランの代わりにN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Wacker Chemie AG,Munich,GermanyからGENIOSIL(R)GF91の名前で市販)を使用する変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返す。
【0206】
結果を表1に示す。
【0207】
[実施例4]
3-アミノプロピルトリメトキシシランの代わりに、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(CAS、2867-47-2)(SIGMA-ALDRICH Chemie GmbH,Taufkirchen,Germanyから市販)を使用するという変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返す。
【0208】
結果を表1に示す。
【0209】
[実施例5]
3-アミノプロピルトリメトキシシランの代わりにトリエタノールアミン(SIGMA-ALDRICH Chemie GmbH,Taufkirchen,Germanyから市販)を使用するという変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返す。
【0210】
結果を表1に示す。
【0211】
[実施例6]
3-アミノプロピルトリメトキシシランの代わりにアミン含有シリコーン油(Wacker Chemie AG,Munich,GermanyからWACKER(R)FLUID NH15 Dの名前で市販されている)を使用するという変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返す。
【0212】
結果を表1に示す。
【0213】
比較例C1
3-アミノプロピルトリメトキシシランの代わりにメチルトリメトキシシランを使用するという変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返す。
【0214】
結果を表1に示す。
【0215】
比較例C2
3-アミノプロピルトリメトキシシランの代わりにアミンを含まないシリコーン油(Wacker Chemie AG,Munich,GermanyからWACKER(R)WEICHMACHER X345の名前で市販されている)を使用するという変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返す。
【0216】
結果を表1に示す。
【0217】
比較例C3
3-アミノプロピルトリメトキシシランの代わりにアミンを含まないメチルシロキサン(Wacker Chemie AG,Munich,GermanyからSILRES(R)MSE 100の名前で市販されている)を使用するという変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返す。
【0218】
結果を表1に示す。
【0219】
比較例C4
3-アミノプロピルトリメトキシシランを使用しないという変更を加えて、実施例1に記載の手順を繰り返す。
【0220】
結果を表1に示す。
【0221】