(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】組換え型アデノ随伴ウイルスの調製方法、システム及び組換え型バクミド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/864 20060101AFI20220902BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20220902BHJP
C12N 15/866 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N7/01 ZNA
C12N15/866 Z
(21)【出願番号】P 2020540597
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2019080295
(87)【国際公開番号】W WO2020133772
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】201811618542.X
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519018417
【氏名又は名称】中国科学院精密測量科学与技術創新研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】呉陽
(72)【発明者】
【氏名】徐富強
(72)【発明者】
【氏名】梅▲てぃん▼
(72)【発明者】
【氏名】蒋良玉
(72)【発明者】
【氏名】韓増鵬
【審査官】竹内 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522658(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0349374(US,A1)
【文献】Bioengineered,Vol.6 No.6,2015年,p316-322
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 7/00-7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換え型アデノ随伴ウイルスの調製方法であって、
下記のステップ、
(1)各々シャトルプラスミド及びバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを調製する、
ここで、前記のシャトルプラスミドは、異種機能的遺伝子フラグメント付き組換え型アデノ随伴ウイルスの中核的な発現コンポーネント(ITR-GOI)を含み、
前記のバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドは、非必須遺伝子のChia遺伝子及びCath遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子発現ボックスが挿入されているか、非必須遺伝子のChia遺伝子、Cath遺伝子及びAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子発現ボックスが挿入されてAc124遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのCap遺伝子発現ボックスが挿入されているか、非必須遺伝子のChia遺伝子、Cath遺伝子及びAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのCap遺伝子発現ボックスが挿入されてAc124遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子発現ボックスが挿入されている、
(2)ステップ(1)で取得したシャトルプラスミド及びバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを利用し、Tn7トランスポザーゼに仲介される相同組換えを行って異種機能的遺伝子フラグメント付き組換え型アデノ随伴ウイルスの中核的な発現コンポーネント(ITR-GOI)とアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子の発現ボックスとを組み込んで、前記の組換え型アデノ随伴ウイルスを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを取得する、
(3)ステップ(2)で取得した前記の組換え型アデノ随伴ウイルスを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドをホスト細胞系にトランスフェクトして培養する、
を含むことを特徴とする、組換え型アデノ随伴ウイルスの調製方法。
【請求項2】
ステップ(1)に記載のバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドが、Red組換えにより前記のアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子発現ボックスを前記の非必須遺伝子の遺伝子座に挿入することにより調製されることを特徴とする請求項1に記載の組換え型アデノ随伴ウイルスの調製方法。
【請求項3】
前記の組換え型バクミドがバキュロウイルスAcMNPVのゲノムからのものであり、前記のアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子発現ボックスがバキュロウイルスP10またはPHプロモーターの下流にあり、それにより調節されることを特徴とする請求項1に記載の組換え型アデノ随伴ウイルスの調製方法。
【請求項4】
組換え型アデノ随伴ウイルスの調製システムであって、
シャトルプラスミド及びバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを含み、
前記のシャトルプラスミドは異種機能的遺伝子フラグメント付き組換え型アデノ随伴ウイルスの中核的な発現コンポーネント(ITR-GOI)を含み、
前記のバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドは、非必須遺伝子のChia遺伝子及びCath遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子発現ボックスが挿入されているか、非必須遺伝子のChia遺伝子、Cath遺伝子及びAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子発現ボックスが挿入されてAc124遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのCap遺伝子発現ボックスが挿入されているか、非必須遺伝子のChia遺伝子、Cath遺伝子及びAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのCap遺伝子発現ボックスが挿入されてAc124遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子発現ボックスが挿入されていることを特徴とする、組換え型アデノ随伴ウイルスの調製システム。
【請求項5】
組換え型アデノ随伴ウイルスを調製するためのバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドであって、非必須遺伝子のChia遺伝子及びCath遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子発現ボックスが挿入されているか、非必須遺伝子のChia遺伝子、Cath遺伝子及びAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子発現ボックスが挿入されてAc124遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのCap遺伝子発現ボックスが挿入されているか、非必須遺伝子のChia遺伝子、Cath遺伝子及びAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのCap遺伝子発現ボックスが挿入されてAc124遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子発現ボックスが挿入されていることを特徴とする組換え型アデノ随伴ウイルスを調製するためのバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遺伝子治療分野、更に具体的に、組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)の調製方法、システム及び組換え型バクミドに関する。
【背景技術】
【0002】
組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)は安全性が高く、免疫原性が低く、宿主範囲が広く、仲介として外来遺伝子が動物体で長期にわたって安定に発現するようにすることができ、遺伝子治療分野で最も応用の見込みがあるキャリアの一種である。
【0003】
従来、バキュロウイルス発現システムにより大規模でrAAVを調製する方法は主に2バキュロウイルスシステム (Two Bac system)、パッケージング細胞系に依頼する1バキュロウイルスシステム(One Bac system)及びパッケージング細胞系に依頼しなく、シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステム(One Bac system)がある。2バキュロウイルスシステムの主なプロセスとして、シャトルプラスミドに仲介されるTn7組換えによりAAVのRep遺伝子とCap遺伝子を同一のバキュロウイルスのゲノムに組み込み、シャトルプラスミドに仲介されるTn7組換えにより中核的な発現コンポーネントを他のバキュロウイルスのゲノムに組み込む。そして、前記の組換え型バキュロウイルスBEVの2種に共にホスト細胞に感染させてrAAVが産生するようにする(Smithら、2009,Mol.Ther. 17:1888-1896)。パッケージング細胞系に依頼する1バキュロウイルスシステムの主なプロセスとして、先ず誘導発現Rep遺伝子とCap遺伝子のパッケージング細胞系を構築する。この様なパッケージング細胞系はRep遺伝子とCap遺伝子発現コンポーネントを組み込んだものであり、Rep遺伝子とCap遺伝子が各々バキュロウイルス後期遺伝子発現強プロモーターのPH調節にコントロールされるようにし、PHプロモーターの上流にhr2エンハンサー配列及びAAVのRepタンパク質結合配列を入れた。外来目的遺伝子(GOI)を携帯するITRの中核的な発現コンポーネントを組み込んだ組換え型バキュロウイルスBEV-(ITR-GOI) に感染されてから、パッケージング細胞系中のRep遺伝子とCap遺伝子誘導、発現されてrAAVが産生する(Aslanidiら、2009,Proc.Natl.Acad.Sci.USA、206: 5059-5064)。シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステムの主なプロセスとして、AAVのCap遺伝子、Rep遺伝子及びITRの中核的な発現コンポーネントを共にシャトルプラスミドに構築し、Tn7トランスポゾンに仲介される組換えによりシャトルプラスミドが携帯するrAAVパッケージングコンポーネントをバキュロウイルスのゲノムに組み込む。そして、この組換え型バキュロウイルスBEV分野にホスト細胞に感染させてrAAVが産生するようにする(Yangら、2018,Mol Ther Methods Clin Dev. 2018 Jul 4;10:38-47.)。
【0004】
然しながら、前者の場合、2種のバキュロウイルス共に細胞に感染する効率が低く、充分に各細胞の生産能力を利用できなく、そして感染がランダムな過程であるので、核酸を含まない空の欠陥rAAV顆粒が産生しやすく、調製のプロセス条件の最適化が複雑であり、rAAVの品質が調製のロットに応じて安定ではない。後者の場合、誘導発現Rep遺伝子とCap遺伝子に依頼するパッケージング細胞系を構築する過程が複雑であり、良質のパッケージング細胞系をスクリーニングしがたいので、異なる血清形のrAAVを調製すると、相応しい血清形Cap遺伝子を発現するパッケージング細胞系を構築しなければいけなく、柔軟性でも汎用性でも弱く、普及しがたい。第三種方法は難しさが主にシャトルプラスミドの構築にあり、rAAVの中核的な発現コンポーネントを含む異なる血清形のrAAVを調製すると、相応しい血清形のシャトルプラスミドを調製しなければいけない上、同時にCap遺伝子、Rep遺伝子及びITRの中核的な発現コンポーネントを持ったシャトルプラスミドを構築しがたく、遺伝子治療薬として用いられる場合、遺伝子治療フラグメント毎に応じて多種血清形のシャトルプラスミドを構築しなければいけなく、合成コストが高過ぎ、実際の応用が制限されている。更に重要なものとして、rAAVパッケージングコンポーネントが単なるシャトルプラスミドに構築されてTn7トランスポゾンにより集のに多面体(Polyhedron、polh)遺伝子座に組み込まれるので、産生したBEVは継代安定性が影響を受け、Two BacシステムのBEVウイルスより弱いことさえもあるので、安定性に関する要求の高い量産及び応用に適しない。一方、このシステムは互換性があまり高くないので、遺伝子治療キャリア薬の生産に用いられると、改善に対する需要が相変わらずとても大きなものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術の前記の欠陥または改善上の需要に応じて、本発明は組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)の調製方法、システム及び組換え型バクミドを提供し、異種機能的遺伝子フラグメントを携帯するrAAV ITRの中核的な発現コンポーネントをシャトルプラスミドに含ませ、rAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスを各々シャトルプラスミド及びバキュロウイルスのゲノムに含ませてシャトルプラスミドの構築を容易にし、遺伝子治療キャリア調製システムの全体の安定性、互換性及び柔軟性を向上させて従来の組換え型アデノ随伴ウイルスのバキュロウイルス調製システムのシャトルプラスミドの構築しがたい、システムの柔軟性及び汎用性が弱い、ウイルス安定性が弱い、普及しがたいという課題を解決することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一方、前記の目的に達成するために、本発明は下記のステップを含むrAAVの調製方法を提供する。
【0007】
(1)各々シャトルプラスミド及びバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを調製する。
【0008】
前記のシャトルプラスミドは、異種機能的遺伝子フラグメント付きrAAVの中核的な発現コンポーネント(ITR-GOI)を含む。
【0009】
前記のバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドは、非必須遺伝子のChia遺伝子及びCath遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子発現ボックスが挿入されているか、非必須遺伝子のChia遺伝子、Cath遺伝子及びAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子発現ボックスが挿入されてAc124遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのCap遺伝子発現ボックスが挿入されているか、非必須遺伝子のChia遺伝子、Cath遺伝子及びAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのCap遺伝子発現ボックスが挿入されてAc124遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子発現ボックスが挿入されている。
【0010】
(2)ステップ(1)で取得したシャトルプラスミド及びバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを利用し、Tn7トランスポザーゼに仲介される相同組換えを行って異種機能的遺伝子フラグメント付きrAAVの中核的な発現コンポーネント(ITR-GOI)とアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子の発現ボックスとを組み込んで、前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを取得する。
【0011】
(3)ステップ(2)で取得した前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドをホスト細胞系にトランスフェクトして培養する。
【0015】
好ましくは、前記のrAAVの調製方法として、ステップ(1)に記載のバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドが下記の方法により調製される。
【0016】
Red組換えにより前記のアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子発現ボックスを前記の非必須遺伝子の遺伝子座に挿入する。
【0018】
好ましくは、前記のrAAVの調製方法として、前記の組換え型バクミドがバキュロウイルスAcMNPVのゲノムからのものであり、前記のアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子発現ボックスがP10またはPHプロモーターの下流にあり、それにより調節される。
【0019】
もう一方、本発明はシャトルプラスミド及びバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを含むrAAVの調製システムを提供する。
【0020】
前記のシャトルプラスミドは異種機能的遺伝子フラグメント付きrAAVの中核的な発現コンポーネント(ITR-GOI)を含む。
【0021】
前記のバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドは、非必須遺伝子のChia遺伝子及びCath遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子発現ボックスが挿入されているか、非必須遺伝子のChia遺伝子、Cath遺伝子及びAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子発現ボックスが挿入されてAc124遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのCap遺伝子発現ボックスが挿入されているか、非必須遺伝子のChia遺伝子、Cath遺伝子及びAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのCap遺伝子発現ボックスが挿入されてAc124遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子発現ボックスが挿入されている。
【0025】
好ましくは、前記のrAAVの調製システムは前記のシャトルプラスミドはプラスミドpfast.Bac.Dualに基くものである。
【0026】
好ましくは、前記のrAAVの調製システムは前記の組換え型バクミドがバキュロウイルスAcMNPVのゲノムからのものであり、前記のアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子発現ボックスがP10またはPHプロモーターの下流にあり、それにより調節される。
【0027】
もう一方、本発明はrAAVを調製するためのバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを提供する。前記の組換え型バクミドは、非必須遺伝子のChia遺伝子及びCath遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子発現ボックスが挿入されているか、非必須遺伝子のChia遺伝子、Cath遺伝子及びAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子発現ボックスが挿入されてAc124遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのCap遺伝子発現ボックスが挿入されているか、非必須遺伝子のChia遺伝子、Cath遺伝子及びAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのCap遺伝子発現ボックスが挿入されてAc124遺伝子座にアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子発現ボックスが挿入されている。
【0030】
好ましくは、前記のrAAVを調製するための組換え型バクミドはバキュロウイルスAcMNPVのゲノムからのものである。
【0031】
好ましくは、前記のrAAVを調製するための組換え型バクミドは、前記のアデノ随伴ウイルスのRep遺伝子およびCap遺伝子発現ボックスがP10またはPHプロモーターの下流にあり、それにより調節される。
【0032】
全体的に、従来の技術と比べて見ると、本発明による前記の技術案は次の有益的な効果がある。
【発明の効果】
【0033】
本発明によるrAAVの調製方法及びシステムはシャトルプラスミド及びバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドに各々rAAVの中核的な発現コンポーネント及びrAAVを産生するための他の機能的タンパク質発現ボックスを搭載することにより、本発明が柔軟性及び互換性を持つようにし、即ち、異なる異種機能的遺伝子フラグメント付きrAAVを調製する場合、相応しくITRの中核的な発現コンポーネントを含むシャトルプラスミドだけを構築し、新たに多種のシャトルプラスミドを構築しないので、前記のrAAVの機能的コンポーネントのすべてを生産する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含むBEVの継代安定性を向上させると同時に、従来のrAAVのバキュロウイルス調製システムに対する互換性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明によりrAAVを調製するためのバキュロウイルスシステム策略及び相応しいコンポーネントの図。その中、A. rAAVパッケージングコンポーネントがpFBDシャトルプラスミドとAcMNPV組換え型バクミドで分配される原理図、B. rAAVの主なパッケージングコンポーネントの構築策略、C.pFBDシャトルプラスミド図、D. AcMNPV組換え型バクミド及びその主な非必須遺伝子座の図、その中、バキュロウイルスAcMNPVゲノムは二本鎖環状DNA、全長が133,966bp bpであり、配列及びマッピングについて(Maghodiaら、2014,Genome Announc. 、2(6):e01202-14.)、AcMNPV Bacmid (bMON14272)の構成について(Luckowら、J Virol,1993. 67(8): 4566-79.)を参考にすること。
【
図2】実施例1で組換え型バキュロウイルスBEV-Tn7-(ITR-GOI)-Cap-Δ(Chia-Cath)-RepがSf9細胞に感染してrAAVを調製する結果。その中、A.組換え型バクミドBac-Tn7- (ITR-GOI)-Cap-Δ(Chia-Cath)-Repの構築図、B. BEVがSf9細胞に感染し、活性検出を行う。C.精製されたrAAVを調製し、rAAVでHEK293細胞に感染し、活性検出を行う。D.精製されたrAAVウイルス粒子を調製し、電子顕微鏡で検出する。
【
図3】実施例2で組換え型バキュロウイルスBEV-Tn7-(ITR-GOI)-Rep-Δ(Chia-Cath)-Cap感染Sf9細胞rAAVを調製した結果。その中、A. 組換え型バクミドBac-Tn7-(ITR-GOI)-Rep-Δ(Chia-Cath)-Capの構築図、B. BEVがSf9細胞に感染し、活性検出を行う。C.精製されたrAAVでHEK293細胞に感染し、活性検出を行う。D.rAAVウイルス粒子を精製して電子顕微鏡で検出する。
【
図4】実施例3で組換え型バキュロウイルスBEV-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath)-Rep-CapでSf9細胞に感染してrAAVを調製した結果。その中、A. 組換え型バクミドBac-Tn7-(ITR-GOI)- Δ(Chia-Cath)-Rep-Capの構築図、B. BEVがSf9細胞に感染し、活性検出を行う。C. 精製されたrAAVを調製し、rAAVでHEK293細胞に感染し、活性検出を行う。D. 精製されたrAAVウイルス粒子を調製し、電子顕微鏡で検出する。
【
図5】実施例4で組換え型バキュロウイルスBEV-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath)-Rep-ΔAc124-CapでSf9細胞に感染してrAAVを調製した結果。その中、A. 組換え型バクミドBac-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath)-Rep-ΔAc124-Capの構築図、B.BEVがSf9細胞に感染し、活性検出を行う。C. 精製されたrAAVを調製し、rAAVでHEK293細胞に感染し、活性検出を行う。D. 精製されたrAAVウイルス粒子を調製し、電子顕微鏡で検出する。
【
図6】実施例5で組換え型バキュロウイルスBEV-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath)-Cap-ΔAc124-RepでSf9細胞に感染してrAAVを調製した結果。A. 組換え型バクミドBac-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath)-Cap-ΔAc124-Repの構築図、B. BEVがSf9細胞に感染し、活性検出を行う。C. 精製されたrAAVを調製し、rAAVでHEK293細胞に感染し、活性検出を行う。D. 精製されたrAAVウイルス粒子を調製し、電子顕微鏡で検出する。
【
図7】実施例1~5で相応しい組換え型バキュロウイルスBEVがSf9細胞に感染してrAAVを調製した産出率を示し、単位がVG/cellである。各グループで組換えの3つに関する実験を行い、標準偏差についてエラーバーで表す。
【
図8】実施例1~5で相応しい組換え型バキュロウイルスBEVの安定性分析図。各実施例で相応しいP1~P8世帯のBEVがMOI=3でSf9細胞に感染してからウエスタンブロットで感染されたSf9細胞でAAVのRep及びCapタンパクの発現レベルを検出する。その中、A.シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステムの組換え型バキュロウイルスBEV-Tn7-(ITR-GOI)- Cap2-Rep2の安定性分析図(Yangら、2018,Mol Ther Methods Clin Dev. 2018 Jul 4;10:38-47を参考にすること)、B.実施例1のBEVの安定性分析図、C. 実施例2のBEVの安定性分析図。D. 実施例3のBEVの安定性分析図、E. 実施例4のBEVの安定性分析図、F. 実施例5のBEVの安定性分析図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の目的、技術案及び長所を更にはっきりと理解できるために、次に付図及び実施例と結び合わせて本発明について詳細に説明する。言うまでもなく、ここで述べた具体的な実施例は本発明を説明するためのものだけであり、本発明を限定するものではない。なお、次に述べた本発明の各実施方式に関わる技術特徴は矛盾しない限り相互に組み合うことができる。
【0036】
本発明による組換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)の調製方法は下記のステップを含む。
【0037】
(1)各々シャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを調製する。
【0038】
前記のシャトルプラスミドは少なくとも異種機能的遺伝子フラグメント付きrAAVの中核的な発現コンポーネントを含む。
【0039】
前記のシャトルプラスミドは好ましくpFBDプラスミドであり、それに含まれる前記のシャトルプラスミドは少なくとも異種機能的遺伝子フラグメント付きrAAVの中核的な発現コンポーネントを含むが、rAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスの一部を含むこともできる。機能的タンパク質成分の発現ボックスはAAV機能的タンパク質成分の発現ボックスでも他の機能的タンパク質成分の発現ボックスでもいい。
【0040】
前記のバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドはrAAV産生に必要な他の機能的タンパク質成分の発現ボックスを含む。
【0041】
アデノ随伴ウイルス機能的タンパク質成分の発現ボックス(Rep遺伝子とCap遺伝子を含む)はは前記のバキュロウイルスの組換え型バクミドゲノムに含まれてもいい。よって、前記のシャトルプラスミドは異種機能的遺伝子フラグメント付きrAAVの中核的な発現コンポーネントしか含まない。異なる異種機能的遺伝子フラグメントをシャトルプラスミドに構築して相応しいバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドと協力する。そして、相応しい組換え型バクミドはタイプがAAV機能的タンパク質成分のタイプにしか関わらない。一方、本発明による1バキュロウイルスシステム(One Bac system)はパッケージング細胞系に依頼する1バキュロウイルスシステムと違い、パッケージング細胞系に依頼しなく、シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステムと比べて見ると、汎用性及び互換性が強い上、シャトルプラスミドの負荷が大いに低下するので、組換え型バキュロウイルスBEVの安定性が大いに向上するものである。
【0042】
従来のrAAVを調製するバキュロウイルスシステムの大多数で、外来遺伝子(AAVのRep遺伝子、Cap遺伝子またはITRの中核的な発現コンポーネント)を携帯する組換え型バキュロウイルスでバキュロウイルスに差し込まれた非必須遺伝子多面体遺伝子(Polyhedron 、polh)座にするので、とても高い発現レベルを取得できる。便利に組換え型バキュロウイルスを構築するために、普通の場合に事業化のBac-to-Bacシステムを利用する。Bac-to-Bacシステムは原理が次の通りである。外来遺伝子をシャトルプラスミドに構築してから組換え型シャトルプラスミドを組換え型バクミドを含む大腸菌に転化し、Tn7トランスポゾンに仲介される細菌の水平組換えにより組換え型シャトルプラスミドが携帯する外来遺伝子を組換え型バクミドに組み込む。そして、前記の大腸菌から抽出した組換え型バクミドDNAに昆虫細胞をトランスフェクトさせてから外来遺伝子を携帯する組換え型バキュロウイルスBEVを救い出す。このシステムで、この様な大腸菌で複製増殖できる上、昆虫細胞で複製し、組換え型バキュロウイルスをパッケージングすることができる高分子環状DNAは「バクミド(Bacmid)」と呼ばれる。バクミドが細菌複製起点、抗生物質耐性遺伝子、組換え型バキュロウイルスのゲノム及びTn7組換え型クローニングサイトを携帯するので、このシステムの最も早期の開発者のLuckowらは多面体遺伝子(polh)座をTn7組換え型クローニングサイトにしたものである(Luckowら、1993,J.Virol.67 (8):4566-4579)。
【0043】
多種の外来遺伝子配列が同時に単一遺伝子座に挿入されることもできるが、不安定なウイルスゲノムにつながり、挿入される外来遺伝子の種類にも数量にも顕著に制限因子がある。よって、rAAVパッケージングコンポーネント負荷に適する他の座について検討しなければいけない。
【0044】
バキュロウイルスのゲノムで異種遺伝子の高発現を認める他の非必須遺伝子の遺伝子座の多種が発見された。例えば、Noadらは非必須遺伝子座ctx、egt、39k、orf51,pg37、iap2,odv-e56を発見した(Noadら、2009,BMC Molecular Biology10:87)。
【0045】
Kabaらの研究によると、キチナーゼ (Chitinase、Chia)遺伝子及びカテプシン(Cathepsin、Cath)遺伝子のノックアウトに細胞内及び分泌型組換え型タンパクの安定性に対する強化効果がある(kabaら、2004,Journal of Virological Methods、122,113-118)。Hitchmanらの研究によると、Chitinase、Cathepsin、P10,P26及びP74遺伝子の欠如が外来タンパク質の発現レベルを向上できる(Hitchmanら、2009,Cell Biol Toxicol、26:57-68)。Liangらの研究によると、Ac124遺伝子のノックアウトはAcMNPVの増殖に対する顕著な影響がない(Liangら、2015,Arch Virol,160(1):275-84.)。
【0046】
然しながら、前記の研究でこれらのバキュロウイルスの非必須遺伝子座の欠如または交換がポリタンパク質複合体、rAAVまたは他の組換え型ウイルスキャリアの調製に対する効果の有無が指摘されていないが、これらの遺伝子座がAAVの機能的タンパク質成分の発現ボックスを負荷できるかということについて、rAAVの複雑性及び調製に様々な困難があるので、より一歩の実験による検証が必要である。
【0047】
本発明の実験によると、非必須遺伝子Chia、Cath、Ac124、p10、p26、p74、ctx、egt、39k、orf51、gp37、iap2及び遺伝子座odv-e56はrAAV産生に必要なAAV Rep及びCap遺伝子発現ボックスを成功して負荷したり、正常に発現したりすることができる。即ち、好ましい案として、rAAV産生に必要なAAV Rep及びCap遺伝子発現ボックスは同時に前記の組換え型バクミドに組み込まれ、その発現ボックスが前記のバキュロウイルスの非必須遺伝子Chia、Cath、Ac124、p10、p26、p74、ctx、egt、39k、orf51、gp37、iap2及び遺伝子座odv-e56から選出した遺伝子座の1つまたは複数に挿入される。この案では、前記の組換え型バクミドに基いてTn7トランスポゾンに仲介されてrAAV ITRの中核的な発現コンポーネントを携帯するシャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)を組換えるだけでrAAVパッケージングコンポーネントのすべてを組み込んだ組換え型バキュロウイルスのゲノムを取得できる。その長所として、従来のThree Bac、Two Bac及びSf9/Rep-Capパッケージング細胞系に依頼するOneBacシステムと互換できる。即ち、それにより構築した汎用シャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)は直接にAAVのRep及びCap遺伝子発現ボックスを組み込んだ組換え型バクミドと組換えてrAAVを調製するための新規組換え型バキュロウイルスを取得できる。シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステム(One Bac system)と比べて見ると、この案はシャトルプラスミドの構築を容易にし、ITRの中核的な発現コンポーネントとRep及びCap遺伝子発現ボックスとの空間的間隔を大きくし、新しい組換え型バキュロウイルスBEVの安定性が向上し、新しいシステムの安定性が全体的に向上した。
【0048】
更に好ましくは、前記のシャトルプラスミドに相応しい組換え型バクミドが非必須遺伝子Chia遺伝子及び/またはCath遺伝子が欠けているバキュロウイルスのゲノムである。前記の他のrAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスが前記の組換え型バクミドの非必須遺伝子Chia、Cath、Ac124、p10、p26、p74、ctx、egt、39k、orf51、gp37、iap2及び遺伝子座odv-e56から選出した遺伝子座の1つまたは複数に挿入される。
【0049】
好ましくは、前記の他のrAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスが前記のバキュロウイルスの非必須遺伝子Chia及び/またはCathから選出した遺伝子座に挿入される。
【0050】
実験によると、遺伝子Chia、Cathが欠如してからrAAVの機能的タンパク質の安定性を強化し、遺伝子Chia、Cathがタンパク質酵素遺伝子であり、Sf9細胞でのAcMNPVの複製及びウイルスの産生に役に立つのは非必須遺伝子である。本研究によると、これらの遺伝子の2つはrAAVウイルスの産出量に関するマイナスの影響がない。
【0051】
同時に、Chia遺伝子及びCath遺伝子座は密に隣接するものである。操作で好ましく相同組換えによりAAV Rep及び/またはCap発現ボックスを挿入する同時にCath及びChia遺伝子が欠如するようにすることができる。よって、Cath、Chia遺伝子座自身が挿入するために用いられることができ、好ましくCath、Chia遺伝子座を挿入座にする。
【0052】
よって、前記の案で採用される組換え型バキュロウイルスは好ましく下記の方法により調製する。
【0053】
Red組換えにより非必須遺伝子座の遺伝子フラグメントを前記の他のrAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスに交換する。
【0054】
Tn7トランスポゾンに仲介される組換えに対する利用は快速に、高い効率で外来遺伝子を組換え型バキュロウイルスのゲノムに構築する方法であるが、とても大きな局限性がある。組換え型バキュロウイルスのゲノムにTn7トランスポゾン認識配列を導入しなければいけないと同時に、同時に、または数回に複数の異なる座で組換えを行うことに適しない。従来、組換え型バキュロウイルスのゲノムに対する効率の高い改造は相変わらず繁雑である。
【0055】
Red組換えはλファージRed組換え型酵素(タンパク質Exo、Beta及びGamからなるものである)で細胞に導入された直鎖状DNAフラグメントをゲノムの特定の標の配列と相同組換えを行って目的遺伝子の交換に達するものであり(Doubletら、2008、J Microbiol Methods.、75(2):359-61を参考にすること)、細菌レベルでの効率の高い組換え方法であり、決まった程度で快速に組換え型バキュロウイルスのゲノムを改造できる。
【0056】
好ましくは、前記の組換え型バクミドはAcMNPV E2 (ゲノム配列の例:Genbank accession No. KM667940.1)、AcMNPV Bacmid (bMON14272)の構成について(Luckowら、J Virol、1993. 67(8): 4566-79.を参照すること) からのものであり、rAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスがP10またはPHプロモーターの下流にあり、それにより調節される。
【0057】
rAAVのパッケージングは主にrAAVのゲノム、即ちITRの中核的な発現コンポーネント、AAVのRep機能的遺伝子及びAAVのCap機能的遺伝子が必要である。またパッケージング効率の向上に対して決まった促進効果があるAAPなどの他の機能的タンパク質成分も必要である。
【0058】
本発明によるrAAVの調製方法として、異種機能的遺伝子フラグメント付きrAAVの中核的な発現コンポーネントを(ITR-GOI)及びrAAV産生に必要な他の機能的タンパク質成分の発現ボックスを各々シャトルプラスミド及び組換え型バクミドに設置して異種遺伝子フラグメントを携帯するシャトルプラスミドの負荷を分担し、組換え型バキュロウイルスの安定性及び当該システムの互換性と柔軟性を向上させる。
【0059】
特に負荷の機能的タンパク質成分の発現ボックスは多種の異なる血清形があるCap遺伝子である場合、効果的にシャトルプラスミド及び相応しいバキュロウイルスの複雑さの降下に達成できる。例えば、rAAVを調製する場合、rAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスはRep遺伝子発現ボックス及びCap遺伝子発現ボックスを含む。普通、異なる血清形のrAAVを調製する場合、タイプ2のRep遺伝子を利用できるが、AAV感染範囲及びターゲット特異性を決めるCap遺伝子にとって、特定血清形のCap遺伝子を利用しなければいけない。そして、特定血清形のCap遺伝子の種類がAAV血清形に応じ、今までAAV血清形及び突然変異形の100種以上が開発された。従来のシャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステムがシャトルプラスミドで同時にRep遺伝子及びCap遺伝子を含むので、特定の異種機能的遺伝子フラグメント、異なる種類のAAV血清形の組換え型バキュロウイルスを調製するには、多種の異なるシャトルプラスミドを調製しなければいけないので、非常に構築しがたいと同時に、シャトルプラスミドは自身のゲノムが小さいので、同時にRep遺伝子、Cap遺伝子及びITRの中核的な発現コンポーネントを収容すると、安定性が弱い。研究データによると、前記の高度に組み込まれた組換え型バキュロウイルスBEVは安定に4世代にしか継代できなく、第5世代になってからBEVでrAAV調製する産出率が顕著に降下する(Yangら、2018,Mol Ther Methods Clin Dev. 2018 Jul 4;10:38-47を参考にすること)。
【0060】
好ましい案の一として、シャトルプラスミドがITR-GOIを含む同時にCap遺伝子発現ボックスpFBD-Cap-(ITR-GOI)も含み、相応しい組換え型バクミドの場合にRep遺伝子発現ボックス及び他の機能的タンパク質成分発現ボックスを組み込まなければならない。この場合、様々なITR-GOI及び血清形Cap遺伝子は必要に応じて柔軟にpFBDシャトルプラスミドに組み合うことができる。そして、Rep2遺伝子発現ボックスを組み込んだ組換え型バクミドだけで様々な異なる血清形及び異なる異種機能的遺伝子フラグメントを携帯するrAAVの調製に達成でき、シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステム(One Bac system)の柔軟性が保たれ、決まった程度でシャトルプラスミドを構築しやすく、ITR-GOI中核的な発現コンポーネントとRep遺伝子発現ボックスとの空間的間隔を大きくし、新しい組換え型バキュロウイルスの安定性が向上し、新しいシステムの安定性が決まった程度で向上した。
【0061】
好ましい案の二として、シャトルプラスミドにITR-GOIを含む同時にRep遺伝子発現ボックスpFBD-Rep-(ITR-GOI)も含む場合、相応しい組換え型バクミドはCap遺伝子発現ボックス及び他の機能的タンパク質成分発現ボックスを組み込まなければいけない。この場合、相応しく異なる血清形 Cap遺伝子発現ボックスを組み込んだ多種の組換え型バクミドを構築しなければ異なる異種機能的遺伝子フラグメントの携帯及び様々な異なる血清形rAAVの調製に満たすことができないので、シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステム(One Bac system)と比べて見ると、決まった程度でシャトルプラスミドを構築しやすく、ITR-GOI中核的な発現コンポーネントとCap遺伝子発現ボックスとの空間的間隔を大きくし、新しい組換え型バキュロウイルスの安定性が向上し、新しいシステムの安定性が決まった程度で向上したが、システムの柔軟性が決まった程度で降下した。
【0062】
好ましい案の三として、シャトルプラスミドにITR-GOIだけを含み、相応しい組換え型バクミドはRep遺伝子発現ボックス、Cap遺伝子発現ボックス及び他の機能的タンパク質成分発現ボックスを組み込まなければいけない。この場合、Rep2遺伝子発現ボックス及び相応しい多種の異なる血清形 Cap遺伝子発現ボックスを組み込んだ組換え型バクミドを構築しなければ異なる異種機能的遺伝子フラグメントの携帯及び様々な異なる血清形のrAAVの調製に満たすことができないので、シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステム(One Bac system)と比べて見ると、最大な程度でシャトルプラスミドを構築しやすく、ITR-GOI中核的な発現コンポーネントとRep及びCap遺伝子発現ボックスとの空間的間隔を大きくし、新しい組換え型バキュロウイルスの安定性が向上し、新しいシステムの安定性が全体的に向上した上、今までの多種のBacシステムのシャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)と見事に互換できる。
【0063】
(2)ステップ(1)で取得したシャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドにより異種機能的遺伝子フラグメントのrAAVの中核的な発現コンポーネントとrAAV産生に必要な他の機能的タンパク質成分の発現ボックスとを組み込んで、前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを取得する。
【0064】
具体的に、シャトルプラスミドが携帯するTn7トランスポゾンと組換え型バクミドの特定座との組換えを行って異種機能的遺伝子フラグメント付きrAAVを携帯する中核的な発現コンポーネントを組み込む。
【0065】
シャトルプラスミドはITRの中核的な発現コンポーネントをバキュロウイルスのゲノムに組み込みでき、多面体遺伝子(polh)座が好ましいが、シャトルプラスミド自身のゲノムが小さく、外来遺伝子フラグメントを携帯できる大さが限られる。従来、1種の組換え型バキュロウイルスだけで普通昆虫の細胞系に感染してrAAVを調製できるように、AAVのRep遺伝子とCap遺伝子及びITRの中核的な発現コンポーネントを共にシャトルプラスミドに挿入したが、シャトルプラスミドを構築し難く、組み込まれた組換え型バクミドが単一座で大量の外来性遺伝子フラグメントを負荷したので、安定性が弱い。
【0066】
本発明による前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドはITRの中核的な発現コンポーネント、Rep遺伝子及びCap遺伝子が各々異なる座に負荷されるので、組換え型バクミド及び調製した組換え型バキュロウイルスBEVの安定性が顕著に向上した。特にRep遺伝子及び/またはCap遺伝子がChia及び/またはCath遺伝子座に挿入された場合、安定性が全体的に顕著に向上した。
【0067】
(3)ステップ(2)で取得した前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドをホスト細胞系にトランスフェクトして培養する。
【0068】
具体的に、ステップ(2)で取得した組換え型バクミドを相応しいホスト細胞系にトランスフェクトしてから前記のrAAVを調製する(下記の方式を含むがそれに限るものではない)。
【0069】
抽出・トランスフェクト:含まれる前記の組換え型バクミドDNAを大腸菌から抽出して精製し、ホスト細胞系にトランスフェクトする。
【0070】
直接感染:含まれる前記の組換え型バクミドをホスト細胞系にトランスフェクトしてから組換え型バキュロウイルスBEVを取得し、BEVが直接に相応しいホスト細胞系に感染する。
【0071】
抽出及びトランスフェクトにより毒素が速く産生し、BEVウイルスシードバンクの早期調製に適し、直接感染による感染効率が高く、rAAVの大量調製用BEVウイルスの大量拡張に適する。
【0072】
シャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを含む本発明による組換え型アデノ随伴ウイルスの調製システム。
【0073】
前記のシャトルプラスミドは少なくとも異種機能的遺伝子フラグメント付きrAAVの中核的な発現コンポーネントを含む。前記のシャトルプラスミドは好ましくプラスミドpfast.Bac.Dualに基くものである。本発明の好ましい案として、前記のシャトルプラスミドはAAVのRep遺伝子またはCap遺伝子の発現ボックスを含む。
【0074】
前記のバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドはrAAV産生に必要な他の機能的タンパク質成分の発現ボックスを含む。前記のバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドはChia遺伝子及び/またはCath遺伝子が欠けているバキュロウイルスである。前記のrAAV産生に必要な他の機能的タンパク質成分の発現ボックスが前記の組換え型バクミドの非必須遺伝子Chia、Cath、Ac124、p10、p26、p74、ctx、egt、39k、orf51、gp37、iap2及び遺伝子座odv-e56から選出した遺伝子座の1つまたは複数に挿入される。
【0075】
好ましい案として、前記のrAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の他の発現ボックスが前記のバキュロウイルスがChia及び/またはCathから選出した遺伝子座に挿入される。
【0076】
前記のChia及び/またはCath遺伝子の欠如により、rAAV機能的タンパク質の安定性が強化し、Cath及びChia遺伝子が隣り合う遺伝子座であり、負荷力が強く、操作に便利である。
【0077】
少なくともrAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスの1種を含む本発明によるrAAVを調製するための組換え型バクミド。前記の他のrAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスが前記のバキュロウイルスがChia、Cath、Ac124、p10、p26、p74、ctx、egt、39k、orf51、gp37、iap2及び遺伝子座odv-e56から選出した遺伝子座の1つまたは複数に挿入される。
【0078】
好ましい案として、前記のrAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスが前記のバキュロウイルスがChia及び/またはCathから選出した遺伝子座に挿入される。
【0079】
好ましくは、前記のバキュロウイルスのゲノムはAcMNPVからのものであり、少なくともrAAV産生に必要なAAV Cap遺伝子及び/またはRep遺伝子の発現ボックスを含み、rAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスがP10またはPHプロモーターの下流にあり、それにより調節される。
【実施例1】
【0080】
DH10Bac-Tn7-(ITR-GOI)-Cap-Δ(Chia-Cath)-RepによりrAAVを調製する。
【0081】
シャトルプラスミドpFBDがrAAVの中核的な発現コンポーネントITR-GOI及びAAVのCap遺伝子発現ボックスを含む場合、相応しい組換え型バクミドはAAVのRep遺伝子発現ボックス及び他の機能的タンパク質成分発現ボックスを
組み込んだものである(
図2A)。
【0082】
シャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを含むrAAVの調製システム。前記のシャトルプラスミドはプラスミドpfast.Bac.Dualに基くものであり、マルチクローニングサイトにITR-GOI配列及びCap遺伝子が挿入されていて、Cap遺伝子がP10プロモーターの下流に設置されている。前記のバキュロウイルスのゲノムの組換え型バクミドは非必須遺伝子Chia及びCath遺伝子が欠けているAcMNPV E2であり、遺伝子配列がGenbank accession No. KM667940.1のようなものであり、その(座の範囲105,353bp-108,025bp)内にChia及びCath遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にRep遺伝子発現ボックスが挿入されている。
【0083】
rAAVの調製方法が下記のステップを含む本実施例によるrAAVの調製システム。
【0084】
(1)各々シャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを調製する。
【0085】
1.1 rAAVの中核的な発現コンポーネントITR-GOI及びAAVを含むCap遺伝子発現ボックスシャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)-Capを構築する。先ず、バキュロウイルス発現システムBac-to-BacのpFast.Bac.Dual (pFBD)シャトルプラスミドを利用する。実例で、タイプ2のAAVに基くCap遺伝子に対してリボソームリークスキャニング原理によりコドンの最適化を行い(Smithら、2009,Mol.Ther.17:1888-1896を参考にすること)、Cap遺伝子がP10プロモーターにコントロールされるようにし、VP1,VP2,VP3というキャプシドタンパク質の3種に達成して自然な割合(1:1:10)の機能的発現に近寄せるようにする。ITRの中核的な発現コンポーネントについて、実例でITRについてタイプ2のAAVのITR核酸配列、ITRの中核的な発現コンポーネントについて緑色蛍光タンパク質(GFP)発現ボックスを利用し、CMVプロモーターによりGFPの発現をコントロールし、rAAVの活性検出に便利である。ITRの中核的な発現コンポーネントは5’末端連結核酸フラグメント及び3’末端連結核酸フラグメントによりCap遺伝子の発現ボックスまたはキャリア枠組みと連結する(相応しいCap遺伝子、ITR及びその連結フラグメントの配列について中国特許CN 106916793Aを参考にすること)。
【0086】
1.2 相応しい欠如非必須遺伝子Chia及びCath遺伝子を構築する同時に、Chia及びCath遺伝子座にAAV Rep遺伝子発現ボックスの組換え型バクミドを挿入する。
【0087】
野生型AcMNPVバクミドのChia及びCath遺伝子が隣り合い、本実施例でChia及びCath遺伝子が同時に欠如する好ましい案を利用する。組換え型クローニング操作を便利にするために、Red組換え型技術及び転化されたpKD46プラスミドがあり、AcMNPVバクミドを含む大腸菌DH10Bacの菌株を利用し、相同アーム遺伝子組換えによりバクミドゲノムを改造する。pKD46プラスミドは温度感受性低複製プラスミドであり、20~25℃でアラビノースを入れると、Exo、Beta及びGamという3種のタンパク質(即ちRed組換え型酵素)の発現を誘導でき、相同アームを携帯する外来遺伝子を細菌のバクミドゲノムと高い効率の特異性組換えを行うことができる(Doubletら、2008,J Microbiol Methods. ,75(2):359-61を参考にすること)。組み換え型のスクリーニングを便利にするために、両側にFrt配列のあるクロラムフェニコール(Chloromycetin、Chlo)抵抗性遺伝子を導入し(プライマー Frt-Chlo-F(配列番号9)及びFrt-Chlo-R(配列番号10)によりPKD3プラスミドからフラグメントP1-FRT-Chlo-P2を拡張しる)、次にFlp組換え型酵素の働きによりこの抵抗性遺伝子を除去すると、バクミドゲノムで連続して数回にChlo抵抗性遺伝子により一連の遺伝子の欠如または挿入に用いられることができる。Invitrogen社製 Bac-to-BacシステムのpFBDシャトルプラスミドにより枠組みを構築した。pFBDプラスミドのBsrGI酵素制限サイトに上流相同アームChia-up及びクロラムフェニコール抵抗性遺伝子フラグメントP1-FRT-Chlo-P2,pFBDプラスミドのAvrII酵素制限サイトに下流相同アームCath-Downを導入し、pFBDプラスミドのPHプロモーター及び/またはP10プロモーター下流にRep遺伝子及び/または Cap遺伝子を挿入してRep遺伝子及び/または Cap遺伝子の発現ボックスを構成する。
【0088】
本実例でタイプ2のAAVに基くRep遺伝子に対してリボソームリークスキャニング原理によりコドンの最適化を行い(Smithら、2009,Mol.Ther.17:1888-1896を参考にすること)、Rep遺伝子がPHプロモーターにコントロールされるようにし、Rep72,Rep52複製タンパク質の機能的発現に達成する(相応しいRep遺伝子配列について中国特許CN 106916793Aを参考にすること)。
【0089】
下記の方法により前記のrAAVを調製するための組換え型バクミドを調製する。先ず下記のステップによりプラスミドpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Rep2-Cath-Downを構築する。
【0090】
先ず、野生型AcMNPVバクミドDNAをテンプレートにし、プライマーChia-up-F(配列番号1)及びChia-up-R(配列番号2)により上流相同アームChia-upフラグメント、プライマーCath-down-F(配列番号3)及びCath-down- R(配列番号4)により下流相同アームCath-Downフラグメントを拡張する。
【0091】
相同組換えにより上流相同アームChia-upフラグメント及びクロラムフェニコール抵抗性遺伝子を含むDNAフラグメント P1-FRT-Chlo-P2をpsimple-Tプラスミドにクローニングしてpsimple-T1-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2プラスミドを構築する。
【0092】
次に、相同組換えにより下流相同アームCath-DownフラグメントをpFBDプラスミドのAvrII酵素制限サイトに挿入してpFBD-Cath-Downプラスミドを構築し、フラグメント Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2をpFBD-Cath-DownプラスミドのBsrG酵素制限サイトに挿入してpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cath-Downプラスミドを構築する。次に、Rep遺伝子をpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cath-DownプラスミドのBamH1とXba1酵素制限サイトとの間に挿入し、それがPHプロモーターにコントロールされるようにし、最終にpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Rep2-Cath-Downプラスミドを取得する。
【0093】
BsrGI及びAvrIIによりpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Rep2-Cath-Downプラスミドを切断し、電気泳動でChia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Rep2-Cath-Down核酸フラグメントを回収する。そして、このDNAフラグメントをDH10Bac/pKD46コンピテントセルに電気変換し、カナマイシン、テトラサイクリン及びクロラムフェニコールという3種の抵抗性のあるLBプレートに塗る。電気変換を行って48時間にわたってから青斑振とう菌を選出する。ミニプレップバクミドDNAに関するPCR鑑定を行い、ポジティブをスクリーニングしてクローニングを行い、シーケンスを測定し、検証を行う。スクリーニングによるポジティブ菌株をDH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Rep2に命名する。
【0094】
(2)ステップ(1)で取得したシャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドにより異種治療性遺伝子フラグメントのあるrAAVの中核的な発現コンポーネントとrAAV産生に必要な他の機能的タンパク質成分の発現ボックスとを組み込んで、前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを取得する。
【0095】
Bac-to-Bacシステムの操作方法によりBEVを調製し、組換え型シャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)-Cap2 から転化し、相応しい組換え型バクミドを含む大腸菌DH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Rep2をTn7トランスポザーゼに仲介される相同組換えを行ってrAAVパッケージングコンポーネントのすべてを組み込んだ組換え型バクミドを含む大腸菌DH10Bac-Tn7-(ITR-GOI)-Cap2-Δ(Chia-Cath)-Rep2を取得する。
【0096】
(3)ステップ(2)で取得した前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドをホスト細胞系にトランスフェクトして培養する。
【0097】
この組換え型バクミドDNAを抽出してSf9昆虫細胞をトランスフェクトし、組換え型バキュロウイルスBEV及びrAAVを調製する。トランスフェクトされたSf9昆虫細胞に成功してBEVが産生し、大量で増殖したBEVを複製してより一歩の感染により、Sf9細胞に顕著な病変現象(CPE)が発生し、蛍光顕微鏡で顕著な緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現(
図2B)を観察できる。CPEが発生した大量のBEVを含むSf9細胞培養上澄みを収集し、第1世帯のBEV (P1)にし、同時に大量のrAAVを含むSf9細胞を収集する。調製して取得したBEV (P1)で感染複数(MOI=3)でサスペンション培養によるSf9細胞を感染してから72時間後に細胞培養液を3000rpmで5min遠心し、各々培養上澄み及び細胞沈殿物を収集する。細胞培養の上澄みを第2世帯のBEV (P2)にする。
【0098】
このシステムで産生したrAAVの精製とウイルス特性の検出
【0099】
BEVで感染してから収集したSf9細胞(約1×108cells)を10ml溶解バッファー(50mM Tris-Cl、150mM NaCl、2mM MgCl2、pH 8.0)に入れ、凍結、溶解を3回繰り返し、5000rpmで10min遠心して上澄みを収集し、上澄みに核酸酵素(Benzonase) を入れ、60min にわたって37℃のウォーターバストリートメントをしてから5000rpmで10min遠心する。イオジキサノール密度勾配遠心分離により収集した上澄みを精製する(方法についてAslanidiら、2009,Proc.Natl Acad.Sci.USA、206:5059-5064を参考にすること)。リアルタイムPCRによりrAAVの力価を測定し、力価の単位をVG/ml(VG、virus genomes)にする。実験結果によると、本実例で取得したBEVがSf9細胞に感染してから単なるSf9細胞rAAVの産出量は2.40×10
5VGに達することができる(
図7)。
【0100】
精製されたrAAVの勾配希釈を行って96オリフィスプレートで培養したHEK293細胞に2日に感染してから蛍光顕微鏡で緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を観測する。実験結果によると、このシステムで調製したrAAVに高い体外感染活性がある(
図2C)。
【0101】
精製されたrAAVについて透過型電子顕微鏡でウイルス顆粒の形態を観察する。完全な固体のrAAV顆粒は六角形の均一した顆粒であるが、中空核酸無し欠陥rAAV顆粒は中央がディープカラーに染色された。電子顕微鏡写真による統計結果によると、rAAV顆粒は完全率がとても高い(
図2D)。
【0102】
本実施例で調製したBEV-Tn7-(ITR-GOI)-Cap2-Δ(Chia-Cath)-Rep2は連続して継代してからSf9細胞に感染する。ウエスタンブロット実験によりRep及びCapタンパク質の発現を検出し、組換え型バキュロウイルスBEVの安定性を試験する。シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステムと比べて見ると、P1~P5世代でRep及びCapタンパク質の発現レベルが高く、P5世代からだんだんに低下し、BEVの安定性がP5世代からだんだんに顕著に低下する(
図8A)。本実施例で調製したBEVはP1~P8世代Capタンパク質での発現レベルがP1-P4で安定であり、P5世代から顕著に低下するが、Repタンパク質の発現レベルがP1~P8世代で共に安定である(
図8B)。まとめて言うと、本実施例で構築したBEVは安定性が決まった程度で向上したものである。
【実施例2】
【0103】
DH10Bac-Tn7-(ITR-GOI)-Rep-Δ(Chia-Cath)-CapによりrAAVを調製する。
【0104】
シャトルプラスミドpFBDがrAAVの中核的な発現コンポーネントITR-GOI及びAAVのRep遺伝子発現ボックスを含む場合、相応しい組換え型バクミドにAAVのCap遺伝子発現ボックス及び他の機能的タンパク質成分の発現ボックスを
組み込んだことが必要である(
図3A)。
【0105】
シャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを含むrAAVの調製システム。前記のシャトルプラスミドはプラスミドpfast.Bac.Dualに基くものであり、マルチクローニングサイトにITR-GOI配列及びRep遺伝子が挿入されていて、Rep遺伝子がPHプロモーターの下流にある。前記のバキュロウイルスのゲノムの組換え型バクミドは非必須遺伝子Chia及びCath遺伝子が欠けているAcMNPV E2であり、遺伝子配列がGenbank accession No. KM667940.1のようなものであり、その(座の範囲105,353bp-108,025bp)内でChia及びCath遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にCap遺伝子発現ボックスが挿入されている。
【0106】
本実施例によるrAAVの調製システムでrAAVを調製する方法は下記のステップを含む。
【0107】
(1)各々シャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを調製する。
【0108】
1.1 rAAVの中核的な発現コンポーネントITR-GOI及びAAVを含むRep遺伝子発現ボックスのシャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)-Repを構築する。先ず、バキュロウイルス発現システムBac-to-BacのpFast.Bac.Dual (pFBD)シャトルプラスミドを利用する。本実例でタイプ2のAAVに基くRep遺伝子に対してリボソームリークスキャニング原理によりコドンの最適化を行い(Smithら、2009,Mol.Ther.17:1888-1896を参考にすること)、Rep遺伝子がPHプロモーターにコントロールされるようにし、Rep72,Rep52複製タンパク質の機能的発現に達成する。ITRの中核的な発現コンポーネント。実例でITRについてタイプ2のAAVのITR核酸配列を利用し、ITRの中核的な発現コンポーネントに緑色蛍光タンパク質(GFP)発現ボックスを採用し、CMVプロモーターによりGFPの発現をコントロールし、rAAVの活性検出に便利である。ITRの中核的な発現コンポーネントは5’末端連結核酸フラグメント及び3’末端連結核酸フラグメントによりRep遺伝子の発現ボックスまたはキャリア枠組みと連結する(相応しいRep遺伝子、ITR及びその連結フラグメントの配列については実施例1を参考にすること)。
【0109】
1.2相応しい欠如非必須遺伝子Chia及びCath遺伝子を構築する同時に、Chia及びCath遺伝子座にAAV Cap遺伝子発現ボックスの組換え型バクミドを挿入する。
【0110】
野生型AcMNPVバクミドのChia及びCath遺伝子が隣り合い、本実施例でChia及びCath遺伝子が同時に欠如する好ましい案を採用する(実施例1を参考にしてChia及びCath遺伝子座が欠けている操作を行う)。本実例でタイプ2のAAVに基くCap遺伝子配列については実施例1を参考にすること。
【0111】
下記の方法により前記のrAAVを調製するための組換え型バクミドを調製する。
【0112】
先ず、次の通りにプラスミドpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cap2-Cath-Downを構築する。
【0113】
pFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cath-Downプラスミドの構築(実施例1の方法を参考にすること)。そして、Cap遺伝子をpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cath-DownプラスミドのSma1とNhe1酵素制限サイトとの間に挿入し、それがP10プロモーターにコントロールされるようにし、最終に pFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cap2-Cath-Downプラスミドを取得する。
【0114】
BsrGI及びAvrII二重酵素によりpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cap2-Cath-Downプラスミドを切断し、電気泳動でChia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cap2-Cath-Down核酸フラグメントを回収する。そして、このDNAフラグメントをDH10Bac/pKD46コンピテントセルに電気転化し、カナマイシン、テトラサイクリン及びクロラムフェニコールという3種の抵抗性のあるLBプレートに塗る。電気変換を行って48時間にわたってから青斑振とう菌を選出する。ミニプレップバクミドDNAに関するPCR鑑定を行い、スクリーニングポジティブクローニング、シーケンスを測定し、検証を行う。スクリーニングによるポジティブ菌株をDH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Cap2に命名する。
【0115】
(2)ステップ(1)で取得したシャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドにより異種治療性遺伝子フラグメントのあるrAAVの中核的な発現コンポーネントとrAAV産生に必要な他の機能的タンパク質成分の発現ボックスとを組み込んで、前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを取得する。
【0116】
Bac-to-Bacシステムの操作方法によりBEVを調製し、組換え型シャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)-Rep2 を相応しい組換え型バクミドを含む大腸菌DH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Cap2,Tn7に転化し、トランスポザーゼに仲介される相同組換えを行ってrAAVパッケージングコンポーネントのすべてを組み込んだ組換え型バクミドを含む大腸菌DH10Bac-Tn7-(ITR-GOI)-Rep2-Δ(Chia-Cath)-Cap2を取得する。
【0117】
(3)ステップ(2)で取得した前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドをホスト細胞系にトランスフェクトして培養する。
【0118】
この組換え型バクミドDNAを抽出してSf9昆虫細胞をトランスフェクトし、組換え型バキュロウイルスBEV及びrAAVを調製する。トランスフェクトされたSf9昆虫細胞に成功してBEVが産生し、大量で増殖したBEVを複製してより一歩の感染により、Sf9細胞に顕著な病変現象(CPE)が発生し、蛍光顕微鏡で顕著な緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を観察できる(
図3B)。CPEが発生した大量のBEVを含むSf9細胞培養上澄みを収集し、第1世帯のBEV (P1)にし、同時に大量のrAAVを含むSf9細胞を収集する。継代でBEV(P2)を調製する方法については実施例1を参考にすること。
【0119】
このシステムで産生したrAAVの精製とウイルス特性の検出
【0120】
BEVが感染したSf9細胞で調製したrAAVを精製する(実施例1の方法とステップを参照すること)。実験結果によると、本実例で取得したBEVがSf9細胞に感染してから単なるSf9細胞rAAVは産出量が1.85×10
5VGに達することができる(
図7)。
【0121】
精製されたrAAVの勾配希釈を行って96オリフィスプレートで培養したHEK293細胞に2日に感染してから蛍光顕微鏡で緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を観測する。実験結果によると、このシステムで調製したrAAVに高い体外感染活性がある(
図3C)。
【0122】
精製されたrAAVについて透過型電子顕微鏡でウイルス顆粒の形態を観察する。完全な固体のrAAV顆粒は六角形の均一した顆粒であるが、中空核酸無し欠陥rAAV顆粒は中央がディープカラーに染色された。電子顕微鏡写真の統計結果によると、rAAV顆粒は完全率がとても高い(
図3D)。
【0123】
本実施例で調製したTn7-(ITR-GOI)-Rep2-Δ(Chia-Cath)-Cap2は連続して継代してからSf9細胞に感染する。ウエスタンブロット実験によりRep及びCapタンパク質の発現を検出し、組換え型バキュロウイルスBEVの安定性を試験する。シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステムと比べて見ると、P1~P5世代でRep及びCapタンパク質の発現レベルが高く、P5世代からだんだんに低下し、BEVの安定性がP5世代からだんだんに顕著に低下する(
図8A)。本実施例で調製したBEVはP1~P8世代Repタンパク質の発現レベルがP1-P4で安定であり、P5世代から顕著に低下するが、
Capタンパク質の発現レベルがP1~P8世代で顕著に低下しなかった(
図8C)。まとめて言うと、本実施例で構築したBEVは安定性が決まった程度で向上したものである。
【実施例3】
【0124】
DH10Bac-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath)-Rep-CapによりrAAVを調製する。
【0125】
シャトルプラスミドpFBDにrAAVの中核的な発現コンポーネントITR-GOIしかない場合、相応しい組換え型バクミドがAAVのRep遺伝子発現ボックス、Cap遺伝子発現ボックス及び他の機能的タンパク質成分発現ボックスを
組み込んだものである(
図4A)。
【0126】
シャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを含むrAAVの調製システム。前記のシャトルプラスミドはプラスミドpfast.Bac.Dualに基くものであり、マルチクローニングサイトにITR-GOI配列が挿入されていて、前記のバキュロウイルスのゲノムの組換え型バクミドは非必須遺伝子Cath遺伝子及びChia遺伝子が欠けているAcMNPV E2,遺伝子配列がGenbank accession No. KM667940.1のようなものであり、その(座の範囲105,353bp-108,025bp)内にChia及びCath遺伝子が欠如し、Cap遺伝子及びRep遺伝子発現ボックスがChia及びCath遺伝子座に挿入されている。
【0127】
本実施例によるrAAVの調製システムによりrAAVを調製する方法は下記のステップを含む。
【0128】
(1)各々シャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを調製する。
【0129】
1.1 rAAVの中核的な発現コンポーネントITR-GOIを含むシャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)を構築する。先ず、バキュロウイルス発現システムのBac-to-BacのpFast.Bac.Dual (pFBD)シャトルキャリアを利用する。実例でITRについてタイプ2のAAVのITR核酸配列を利用し、ITRの中核的な発現コンポーネントについて緑色蛍光タンパク質(GFP)発現ボックスを採用し、CMVプロモーターによりGFPの発現をコントロールし、rAAVの活性検出に便利である。ITRの中核的な発現コンポーネントは5’末端連結核酸フラグメント及び3’末端連結核酸フラグメントによりキャリア枠組み連結と連結する(相応しいITR及びその連結フラグメントの配列については実施例1を参考にすること)。
【0130】
1.2 相応しい欠如非必須遺伝子Chia及びCath遺伝子を構築する同時に、Chia及びCath遺伝子座にAAV Rep遺伝子発現ボックス及びCap遺伝子発現ボックスの組換え型バクミドを挿入する。
【0131】
野生型AcMNPVバクミドのChia及びCath遺伝子が隣り合い、本実施例でChia及びCath遺伝子が同時に欠如する好ましい案を採用する(実施例1を参考にしてChia及びCath遺伝子座が欠けている操作を行う)。本実例でタイプ2のAAVに基くRep遺伝子とタイプ2のAAVに基くCap遺伝子配列は実施例1を参考にする。
【0132】
下記の方法により前記のrAAVを調製するための組換え型バクミドを調製する。
【0133】
先ず、次の通りにプラスミドpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cap2-Cath-Downを構築する。
【0134】
pFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cath-Downプラスミドを構築する(実施例1の方法を参考にすること)。そして、Rep遺伝子をpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cath-DownプラスミドのBamH1とXba1酵素制限サイトとの間に挿入し、それがPHプロモーターにコントロールされるようにし、Cap遺伝子をpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cath-DownプラスミドのSma1とNhe1酵素制限サイトとの間に挿入し、それがP10プロモーターにコントロールされるようにし、最終にpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Rep2-Cap2-Cath-Downプラスミドを取得する。
【0135】
BsrGI及びAvrII二重酵素によりpFBD-Chia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Rep2-Cap2-Cath-Downプラスミドを切断し、電気泳動でChia-up-P1-FRT-Chlo-P2-Rep2-Cap2-Cath-Down核酸フラグメントを回収する。そして、このDNAフラグメントをDH10Bac/pKD46コンピテントセルに電気転化し、カナマイシン、テトラサイクリン及びクロラムフェニコールという3種の抵抗性のあるLBプレートに塗る。電気変換を行って48時間にわたってから青斑振とう菌を選出する。ミニプレップバクミドDNAに関するPCR鑑定を行い、スクリーニングポジティブクローニング、シーケンスを測定し、検証を行う。スクリーニングによるポジティブ菌株をDH10Bac-Δ(Chia-Cath)- Rep2-Cap2に命名する。
【0136】
(2)ステップ(1)で取得したシャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドにより異種治療性遺伝子フラグメントのあるrAAVの中核的な発現コンポーネントと他のrAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスとを組み込んで、前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを取得する。
【0137】
Bac-to-Bacシステムの操作方法によりBEVを調製し、組換え型シャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)を相応しい組換え型バクミドを含む大腸菌DH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Rep2-Cap2に転化し、Tn7トランスポザーゼに仲介される相同組換えを行ってrAAVパッケージングコンポーネントのすべてを組み込んだ組換え型バクミドを含む大腸菌DH10Bac-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath)-Rep2-Cap2を取得する。
【0138】
(3)ステップ(2)で取得した前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドをホスト細胞系にトランスフェクトして培養する。
【0139】
この組換え型バクミドDNAを抽出してSf9昆虫細胞をトランスフェクトし、組換え型バキュロウイルスBEV及びrAAVを調製する。トランスフェクトされたSf9昆虫細胞に成功してBEVが産生し、大量で増殖したBEVを複製してより一歩の感染により、Sf9細胞に顕著な病変現象(CPE)が発生し、蛍光顕微鏡で顕著な緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を観察できる(
図4B)。CPEが発生した大量のBEVを含むSf9細胞培養上澄みを収集し、第1世帯のBEV (P1)にし、同時に大量のrAAVを含むSf9細胞を収集する。継代でBEV(P2)を調製する方法については実施例1を参考にすること。
【0140】
このシステムで産生したrAAVの精製とウイルス特性の検出
【0141】
BEVが感染したSf9細胞で調製したrAAVを精製する(実施例1の方法とステップを参照すること)。実験結果によると、本実例で取得したBEVがSf9細胞に感染してから単なるSf9細胞rAAVは産出量が3.60×10
5VGに達することができる(
図7)。
【0142】
精製されたrAAVの勾配希釈を行って96オリフィスプレートで培養したHEK293細胞に2日に感染してから蛍光顕微鏡で緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を観測する。実験結果によると、このシステムで調製したrAAVに高い体外感染活性がある(
図4C)。
【0143】
精製されたrAAVについて透過型電子顕微鏡でウイルス顆粒の形態を観察する。完全な固体のrAAV顆粒は六角形の均一した顆粒であるが、中空核酸無し欠陥rAAV顆粒は中央がディープカラーに染色された。電子顕微鏡写真による統計結果によると、rAAV顆粒は完全率がとても高い(
図4D)。
【0144】
本実施例で調製したBEV-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath)-Rep2-Cap2は連続して継代してからSf9細胞に感染する。ウエスタンブロット実験によりRep及びCapタンパク質の発現を検出し、組換え型バキュロウイルスBEVの安定性を試験する。シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステムと比べて見ると、P1~P5世代でRep及びCapタンパク質の発現レベルが高く、P5世代からだんだんに低下し、BEVの安定性がP5世代からだんだんに顕著に低下する(
図8A)。本実施例で調製したBEVはP1~P8世代Rep及びCapタンパク質での発現レベルが共に安定である(
図8D)。まとめて言うと、本実施例で構築したBEVは安定性がとても大きな程度で向上したものである。
【実施例4】
【0145】
DH10Bac-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath)-Rep-ΔAc124-CapによりrAAVを調製する。
【0146】
シャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを含むrAAVの調製システム。前記のシャトルプラスミドはプラスミドpfast.Bac.Dualに基くものであり、マルチクローニングサイトにITR-GOI配列が挿入されていて、前記のバキュロウイルスのゲノムの組換え型バクミドは非必須遺伝子遺伝子Chia、Cath及びAc124遺伝子が欠けているAcMNPV E2,遺伝子配列がGenbank accession No. KM667940.1のようなものであり、その(座の範囲105,353bp-108,025bp)にChia及びCath遺伝子、その(座の範囲103,864bp-104,607bp)にAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にRep遺伝子発現ボックスが挿入されていて、Ac124ゲノムにCap遺伝子発現ボックスが挿入されている(
図5A)。
【0147】
本実施例で実施例1の組換え型バクミドを含む大腸菌DH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Rep2菌株に基いて他の非必須遺伝子座によりCap遺伝子発現ボックスを挿入する。本実施例で非必須遺伝子Ac-124が好ましい(Liang ら、2015、Arch Virol、160(1):275-84を参考にすること)。
【0148】
本実施例によるrAAVの調製システムによりrAAVを調製する方法は下記のステップを含む。
【0149】
(1)各々シャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを調製する。
【0150】
1.1 rAAVの中核的な発現コンポーネントITR-GOIを含むシャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)を構築する(実施例3の案を参考にすること)。
【0151】
1.2 相応しい欠如非必須遺伝子Chia及びCath遺伝子を構築する同時に、Chia及びCath遺伝子座にAAV Rep遺伝子発現ボックス及び欠如非必須遺伝子Ac-124遺伝子、Ac-124遺伝子座にAAV Cap遺伝子発現ボックスの組換え型バクミドを挿入する。
【0152】
非必須遺伝子Ac-124遺伝子座から新たにRed組換えを行うように、実施例1の大腸菌DH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Rep2の組換え型バクミドゲノムのクロラムフェニコール(Chloromycetin、Chlo)抵抗性遺伝子を除去しなければいけない。pCP20プラスミドは温度敏感誘導発現FLP組換え型酵素のプラスミドである(Doubletら、2008,J Microbiol Methods.、75(2): 359-61を参考にすること)。先ず、pCP20プラスミドをDH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Rep菌に転化し、カナマイシン、テトラサイクリン及びアンピシリン耐性LBプレートを塗り、30℃で48時間培養してからコロニーを選出してFLPプライマーに関するPCRにより鑑定及びスクリーニングを行い、ポジティブ菌をスクリーニングする。そして、転化されたpCP20プラスミドのDH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Rep2菌をカナマイシン、テトラサイクリン、アンピシリン耐性の液体LB培養基で42℃で8時間培養してFLP組換え型酵素遺伝子発現を誘導し、FrtコンポーネントのChlo遺伝子を切断して除去する。クロラムフェニコール耐性がなくなった菌を選出してPCR鑑定を行う。この菌株をDH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Rep2-ΔChloに命名する。
【0153】
組換え型クローニング操作を便利にするために、Red組換え型技術、pKD46プラスミドが添加されたDH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Rep2-ΔChlo菌株及び相同アーム遺伝子組換えによりバクミドゲノムを改造する(原理及び方法については実施例1を参考にすること)。
【0154】
pFBDプラスミドのBsrGI酵素制限サイトに上流相同アームAc124-up及びクロラムフェニコール抵抗性遺伝子フラグメントP1-FRT-Chlo-P2,pFBDプラスミドのAvrII酵素制限サイトに下流相同アームAc124-Downを導入し、pFBDプラスミドのPHプロモーター及び/またはP10プロモーター下流にRep遺伝子及び/またはCap遺伝子を挿入してRep遺伝子及び/またはCap遺伝子の発現ボックスを構成する。本実例でタイプ2のAAVに基くCap遺伝子配列については実施例1を参考にすること。
【0155】
下記の方法により前記のrAAVを調製するための組換え型バクミドを調製する。
【0156】
先ず、次の通りにプラスミドpFBD-Ac124-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cap2-Ac124 -Downを構築する。
【0157】
先ず、野生型AcMNPVバクミドDNAをテンプレートにし、プライマーAc124-up-F(配列番号5)及びAc124-up-R(配列番号6)により上流相同アームAc124-upフラグメント、プライマーAc124-down-F(配列番号7)及びAc124-down-R(配列番号8)により下流相同アームAc124-Downフラグメントを拡張する。
【0158】
相同組換えにより上流相同アームAc124-upフラグメント及びクロラムフェニコール抵抗性遺伝子を含むDNAフラグメント P1-FRT-Chlo-P2をpsimple-Tプラスミドにクローニングしてpsimple-T- Ac124-up-P1-FRT-Chlo-P2プラスミドを構築する。
【0159】
次に、相同組換えにより下流相同アームAc124-DownフラグメントをpFBDプラスミドのAvrII酵素制限サイトに挿入してpFBD-Ac124-Downプラスミドを構築してから相同組換えによりフラグメントAc124-up-P1-FRT-Chlo-P2をpFBD-Ac124-DownプラスミドのBsrGI酵素制限サイトに挿入してpFBD-Ac124-up-P1-FRT-Chlo-P2-Ac124-Downプラスミドを構築する。
【0160】
次に、Cap遺伝子をpFBD-Ac124-up-P1-FRT-Chlo-P2-Ac124-DownプラスミドのSma1とNhe1酵素制限サイトとの間に挿入し、それがP10プロモーターにコントロールされるようにし、最終にpFBD-Ac124-up-P1-FRT-Chlo-P2- Cap2-Ac124-Downプラスミドを取得する。
【0161】
BsrGI及びAvrII二重酵素によりpFBD-Ac124-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cap2-Ac124-Downプラスミドを切断し、電気泳動でAc124-up-P1-FRT-Chlo-P2-Cap2-Ac124-Down核酸フラグメントを回収する。次に、このDNAフラグメントを電気転化DH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Rep2-ΔChlo/ pKD46コンピテントセル、カナマイシン、テトラサイクリン及びクロラムフェニコールという3種の抵抗性のあるLBプレートに塗る。
【0162】
電気変換を行って48時間にわたってから青斑振とう菌を選出する。ミニプレップバクミドDNAに関するPCR鑑定を行い、スクリーニングポジティブクローニング、シーケンスを測定し、検証を行う。スクリーニングによるポジティブ菌株をDH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Rep2-ΔAc124-Cap2に命名する。
【0163】
(2)ステップ(1)で取得したシャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドにより異種治療性遺伝子フラグメントのあるrAAVの中核的な発現コンポーネントと他のrAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスとを組み込み、前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを取得する。
【0164】
Bac-to-Bacシステムの操作方法によりBEVを調製し、実施例4で構築した組換え型シャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)を相応しい組換え型バクミドを含む大腸菌DH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Rep2-ΔAc124-Cap2に転化し、Tn7トランスポザーゼに仲介される相同組換えを行ってrAAVパッケージングコンポーネントのすべてを組み込んだ組換え型バクミドを含む大腸菌DH10Bac-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath)-Rep2-ΔAc124-Cap2を取得する。
【0165】
(3)ステップ(2)で取得した前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドをホスト細胞系にトランスフェクトして培養する。
【0166】
この組換え型バクミドDNAを抽出してSf9昆虫細胞をトランスフェクトし、組換え型バキュロウイルスBEV及びrAAVを調製する。トランスフェクトされたSf9昆虫細胞に成功してBEVが産生し、大量で増殖したBEVを複製してより一歩の感染により、Sf9細胞に顕著な病変現象(CPE)が発生し、蛍光顕微鏡で顕著な緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を観察できる(
図5B)。CPEが発生した大量のBEVを含むSf9細胞培養上澄みを収集し、第1世帯のBEV (P1)にし、同時に大量のrAAVを含むSf9細胞を収集する。継代でBEV(P2)を調製する方法については実施例1を参考にすること。
【0167】
このシステムで産生したrAAVの精製とウイルス特性の検出
【0168】
BEVが感染したSf9細胞で調製したrAAVを精製する(実施例1の方法とステップを参照すること)。実験結果によると、本実例で取得したBEVがSf9細胞に感染してから単なるSf9細胞rAAVは産出量が2.27×10
5VGに達することができる(
図7)。
【0169】
精製されたrAAVの勾配希釈を行って96オリフィスプレートで培養したHEK293細胞に2日に感染してから蛍光顕微鏡で緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を観測する。
【0170】
実験結果によると、このシステムで調製したrAAVに高い体外感染活性がある(
図5C)。
【0171】
精製されたrAAVについて透過型電子顕微鏡でウイルス顆粒の形態を観察する。完全な固体のrAAV顆粒は六角形の均一した顆粒であるが、中空核酸無し欠陥rAAV顆粒は中央がディープカラーに染色された。電子顕微鏡写真による統計結果によると、rAAV顆粒は完全率がとても高い(
図5D)。
【0172】
本実施例で調製したBEVは連続して継代してから本実施例で調製したBEV-Tn7-(ITR-GOI)- Δ(Chia-Cath)-Rep2-ΔAc124-Cap2に感染し、連続して継代してからSf9細胞に感染する。ウエスタンブロット実験によりRep及びCapタンパク質の発現を検出し、組換え型バキュロウイルスBEVの安定性を試験する。シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステムと比べて見ると、P1~P5世代でRep及びCapタンパク質の発現レベルが高く、P5世代からだんだんに低下し、BEVの安定性がP5世代からだんだんに顕著に低下する(
図8A)。本実施例で調製したBEVはP1~P8世代Rep及びCapタンパク質での発現レベルが共に安定である(
図8E)。まとめて言うと、本実施例で構築したBEVは安定性がとても大きな程度で向上したものである。
【実施例5】
【0173】
DH10Bac-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath)-Cap-ΔAc124-RepによりrAAVを調製する。
【0174】
シャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを含むrAAVの調製システム。前記のシャトルプラスミドはプラスミドpfast.Bac.Dualに基くものであり、マルチクローニングサイトにITR-GOI配列が挿入されていて、前記のバキュロウイルスのゲノムの組換え型バクミドは非必須遺伝子遺伝子Chia、Cath及びAc124遺伝子が欠けているAcMNPV E2,遺伝子配列がGenbank accession No. KM667940.1のようなものであり、その(座の範囲105,353bp-108,025bp)にChia及びCath遺伝子、その(座の範囲103,864bp-104,607bp)にAc124遺伝子が欠如し、Chia及びCath遺伝子座にCap遺伝子発現ボックスが挿入されていて、Ac124ゲノムにRep遺伝子発現ボックスが挿入されている(
図6A)。
【0175】
本実施例で実施例2の組換え型バクミドを含む大腸菌DH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Cap2菌株に基いて、他の非必須遺伝子座によりRep遺伝子発現ボックスを挿入する。本実施例で非必須遺伝子Ac-124が好ましい(Liangら、2015、Arch Virol、160(1):275-84を参考にすること)。
【0176】
本実施例によるrAAVの調製システムによりrAAVを調製する方法は下記のステップを含む。
【0177】
(1)各々シャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを調製する。
【0178】
1.1 rAAVの中核的な発現コンポーネントITR-GOIを含むシャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)を構築する (実施例3の案を参考にすること)。
【0179】
1.2 相応しい欠如非必須遺伝子Chia及びCath遺伝子を構築する同時に、Chia及びCath遺伝子座にAAV Cap遺伝子発現ボックス及び欠如非必須遺伝子Ac-124遺伝子を挿入する同時に、Ac-124遺伝子座にAAV Rep遺伝子発現ボックスの組換え型バクミドを挿入する。
【0180】
非必須遺伝子Ac-124 遺伝子座から新たにRed組換えを行うように、実施例2の大腸菌DH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Cap2ノ組換え型バクミドゲノムのクロラムフェニコール(Chloromycetin、Chlo)抵抗性遺伝子を除去しなければいけない。菌株DH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Cap2-ΔChloの構築については実施例4の方法を参考にすること。
【0181】
組換え型クローニング操作を便利にするために、Red組換え型技術、pKD46プラスミドが添加されたDH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Cap2-ΔChlo菌株及び相同アーム遺伝子組換えによりバクミドゲノムを改造する(原理及び方法については実施例1を参考にすること)。
【0182】
フェニコール抵抗性遺伝子フラグメント(P1-FRT-Chlo-P2)、pFBDプラスミドのAvrII酵素制限サイトに下流相同アーム(Ac124-Down)を導入する。pFBDプラスミドのPHプロモーター及び/またはP10プロモーター下流にRep遺伝子及び/またはCap遺伝子を挿入してRep遺伝子及び/またはCap遺伝子の発現ボックスを構成する。本実例でタイプ2のAAVに基くRep遺伝子配列は実施例1を参考にすること。
【0183】
下記の方法により前記のrAAVを調製するための組換え型バクミドを調製する。
【0184】
先ず、次の通りにプラスミドpFBD-Ac124-up-P1-FRT-Chlo-P2-Rep2-Ac124-Downを構築する。
【0185】
pFBD-Ac124-up-P1-FRT-Chlo-P2-Ac124-Downプラスミドを構築する(実施例4の方法を参考にすること)。次に、Rep遺伝子をpFBD-Ac124-up-P1-FRT-Chlo-P2-Ac124- DownプラスミドのBamH1とXba1酵素制限サイトとの間に挿入し、それがPHプロモーターにコントロールされるようにし、最終にpFBD-Ac124-up-P1-FRT-Chlo-P2-Rep2-Ac124-Downプラスミドを取得する。
【0186】
BsrGI及びAvrII二重酵素により電気泳動でAc124-up-P1-FRT-Chlo-P2-Rep2-Ac124-Down核酸フラグメントを回収する。
【0187】
pFBD-Ac124-up-P1-FRT-Chlo-P2-Rep2-Ac124-Downプラスミドを切断する。次に、このDNAフラグメントをDH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Cap2-ΔChlo/pKD46コンピテントセルを電気転化し、カナマイシン、テトラサイクリン及びクロラムフェニコールという3種の抵抗性のあるLBプレートに塗る。電気変換を行って48時間にわたってから青斑振とう菌を選出する。ミニプレップバクミドDNAに関するPCR鑑定を行い、スクリーニングポジティブクローニング、シーケンスを測定し、検証を行う。スクリーニングによるポジティブ菌株をDH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Cap2-ΔAc124-Rep2に命名する。
【0188】
(2)ステップ(1)で取得したシャトルプラスミド及び相応しくバキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドにより異種治療性遺伝子フラグメントのあるrAAVの中核的な発現コンポーネントと他のrAAV産生に必要な機能的タンパク質成分の発現ボックスとを組み込み、前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドを取得する。
【0189】
Bac-to-Bacシステムの操作方法によりBEVを調製し、実施例5で構築した組換え型シャトルプラスミドpFBD-(ITR-GOI)を相応しい組換え型バクミドを含む大腸菌DH10Bac-Δ(Chia-Cath)-Cap2-ΔAc124-Rep2に転化し、Tn7トランスポザーゼに仲介される相同組換えを行ってrAAVパッケージングコンポーネントのすべてを組み込んだ組換え型バクミドを含む大腸菌DH10Bac-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath)-Cap2-ΔAc124-Rep2を取得する。
【0190】
(3)ステップ(2)で取得した前記のrAAVを産生する組換え型バキュロウイルスのゲノムを含む組換え型バクミドをホスト細胞系にトランスフェクトして培養する。
【0191】
この組換え型バクミドDNAを抽出してSf9昆虫細胞をトランスフェクトし、組換え型バキュロウイルスBEV及びrAAVを調製する。トランスフェクトされたSf9昆虫細胞に成功してBEVが産生し、大量で増殖したBEVを複製してより一歩の感染により、Sf9細胞に顕著な病変現象(CPE)が発生し、蛍光顕微鏡で顕著な緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を観察できる(
図6B)。CPEが発生した大量のBEVを含むSf9細胞培養上澄みを収集し、第1世帯のBEV (P1)にし、同時に大量のrAAVを含むSf9細胞を収集する。継代でBEV(P2)を調製する方法については実施例1を参考にすること。
【0192】
このシステムで産生したrAAVの精製とウイルス特性の検出
【0193】
BEVが感染したSf9細胞で調製したrAAVを精製する(実施例1の方法とステップを参照すること)。実験結果によると、本実例で取得したBEVがSf9細胞に感染してから単なるSf9細胞rAAVは産出量が2.80×10
5VGに達することができる(
図7)。
【0194】
精製されたrAAVの勾配希釈を行って96オリフィスプレートで培養したHEK293細胞に2日に感染してから蛍光顕微鏡で緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を観測する。実験結果によると、このシステムで調製したrAAVに高い体外感染活性がある(
図6C)。
【0195】
精製されたrAAVについて透過型電子顕微鏡でウイルス顆粒の形態を観察する。完全な固体のrAAV顆粒は六角形の均一した顆粒であるが、中空核酸無し欠陥rAAV顆粒は中央がディープカラーに染色された。電子顕微鏡写真による統計結果によると、rAAV顆粒は完全率がとても高い(
図6D)。
【0196】
本実施例で調製したBEVは連続して継代してから感染本実施例で調製したBEV-Tn7-(ITR-GOI)-Δ(Chia-Cath) -Cap2-ΔAc124-Rep2は連続して継代してからSf9細胞に感染する。ウエスタンブロット実験によりRep及びCapタンパク質の発現を検出し、組換え型バキュロウイルスBEVの安定性を試験する。シャトルプラスミドに基く1バキュロウイルスシステムと比べて見ると、P1~P5世代でRep及びCapタンパク質の発現レベルが高く、P5世代からだんだんに低下し、BEVの安定性がP5世代からだんだんに顕著に低下する(
図8A)。本実施例で調製したBEVはP1~P8世代Rep及びCapタンパク質での発現レベルが共に安定である(
図8F)。まとめて言うと、本実施例で構築したBEVは安定性がとても大きな程度で向上したものである。
【0197】
本分野の技術が容易に理解できるように、前記が本発明の好ましい実施例だけであり、本発明を制限するものではなく、本発明の精神と原則で行う一切の改訂、同等交換及び改善などが本発明の保護範囲にある。
【配列表】