(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】外科用ステープル留め器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20220902BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2020541964
(86)(22)【出願日】2018-03-02
(86)【国際出願番号】 CN2018077890
(87)【国際公開番号】W WO2019165640
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ディン, ミミ
(72)【発明者】
【氏名】ザン, フイ
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-125396(JP,A)
【文献】登録実用新案第3213928(JP,U)
【文献】特開2014-176677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープル留め器具であって、
近位部分と遠位部分とを有するアンビル本体であって、前記アンビル本体の前記近位部分は、アンビルハンドグリップを支持し、前記アンビル本体の前記遠位部分は、アンビルプレートを支持し、前記アンビル本体は、長手方向軸を画定する
、アンビル本体と、
前記アンビル本体に結合され
ているカートリッジ本体
であって、前記カートリッジ本体は、カートリッジ支持カラムを含み、前記カートリッジ支持カラムは、近位部と遠位部とを有する、カートリッジ本体と、
前記カートリッジ支持カラムの前記遠位部内に解放可能に支持されているステープルカートリッジと、
前記カートリッジ支持カラムの前記近位部内に受容されている発射部材であって、前記ステープルカートリッジを通って長手方向に移動するように構成され
ている発射部材と、
前記カートリッジ本体上に枢動可能に支持されており、かつ、前記アンビル本体を係合するように位置付けられているクランプレバーであって、前記クランプレバーは、前記アンビル本体を前記カートリッジ本体に近接する位置に移動させるように、非クランプ位置からクランプ位置まで移動可能である、クランプレバーと、
前記カートリッジ本体
内に支持され
ているロックアウト部材であって、
前記ロックアウト部材は、前記発射部材を少なくとも部分的に受容するための単一の長手方向スロットを画定し
、前記ロックアウト部材は、前記発射部材の長手方向の移動を防止するロック位置から、前記発射部材の長手方向の移動を可能にする解放位置まで移動するように構成され
ており、前記ロックアウト部材は、前記ステープルカートリッジが前記カートリッジ支持カラムの前記遠位部内に配置されることに応答して、前記ロック位置から前記解放位置まで移動可能である、ロックアウト部材
と
を備える、外科用ステープル留め器具。
【請求項2】
前記ロックアウト部材
は、ロックアウト棚を含み、前記発射部材
は、ロックアウト凹部を含み、前記ロックアウト棚は、前記ロックアウト部材の前記ロック位置にあるときには前記ロックアウト凹部と係合するように構成されており、
前記ロックアウト棚は、前記ロックアウト部材の前記解放位置にあるときには前記ロックアウト凹部を解放するように構成されている、請求項1に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項3】
前記ロックアウト部材
は、前記カートリッジ本体に枢動可能に取り付けられており、前記ロックアウト部材
は、前記ロック位置と前記解放位置との間で枢動移動するように構成されている、請求項2に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項4】
前記ロックアウト部材
は、前記ロック位置に向かって面直方向に付勢されている、請求項3に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項5】
前記外科用ステープル留め器具は、ばねを備え
、前記ばねは、前記ロックアウト部材に結合され
ており、かつ、前記カートリッジ本体と動作可能に係合可能
であり、前記ばね
は、前記ロックアウト部材を前記ロック位置に向かって面直方向に付勢するように構成されている、請求項4に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項6】
前記ばね
は、ねじりばねである、請求項5に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項7】
前記ロックアウト部材
は、少なくとも1つの解放脚部を含
み、前記少なくとも1つの解放脚部は、前記ロック位置から前記解放位置への前記ロックアウト部材の移動を容易にする
ために、前記ステープルカートリッジ
を前記カートリッジ本体
に取り付け
る際に前記ステープルカートリッジによって係合されるように構成され
ている、請求項4に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項8】
前記少なくとも1つの解放脚部
は、弓状の隆起部を含む、請求項7に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項9】
前記発射部材
は、初期近位位置と作動遠位位置との間で長手方向に移動するように構成されている、請求項2に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項10】
前記ロックアウト部材
は、前記ロックアウト棚の近位に止め具を含み、前記止め具は、前記発射部材の前記ロックアウト凹部と係合
することにより、前記発射部材
が前記初期近位位置を越えて近位側
に移動
することを防止するように構成されている、請求項9に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項11】
前記発射部材
は、前記発射部材が前記初期近位位置と前記作動遠位位置との間
を移動
する間に、前記ロックアウト部材の前記単一の長手方向スロットを横断するように構成されている、請求項9に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項12】
前記発射部材
は、下部弓状部
とプレート部
とを含む、請求項11に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項13】
前記ロックアウト部材の前記単一の長手方向スロット
は、前記
発射部材の前記
下部弓状部を受け入れるように構成され
ている第1のスロット部分と、前記発射部材の前記プレート部を受け入れるように構成され
ている第2のスロット部分
とを含む、請求項12に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項14】
前記第1のスロット部分
は、前記長手方向軸に直交する第1の寸法を画定し、前記第2のスロット部分
は、前記長手方向軸に直交する第2の寸法を画定し、前記第1の寸法は、前記第2の寸法よりも大きい、請求項13に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項15】
外科用ステープル留め器具であって、
近位部分と遠位部分とを有するアンビル本体であって、前記アンビル本体の前記近位部分は、アンビルハンドグリップを支持し、前記アンビル本体の前記遠位部分は、アンビルプレートを支持し、前記アンビル本体は、長手方向軸を画定する、アンビル本体と、
前記アンビル本体に結合されているカートリッジ本体であって、前記カートリッジ本体は、カートリッジ支持カラムを含み、前記カートリッジ支持カラムは、近位部と遠位部とを有する、カートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体の前記遠位部内に解放可能に支持されているステープルカートリッジと、
前記カートリッジ本体の前記近位部内に受容されている発射部材であって、前記発射部材は、前記ステープルカートリッジを通って長手方向に移動するように構成されており、前記発射部材は、プレート部と、前記プレート部に沿って長手方向に延びている二重層の弓状部とを含む、発射部材と、
前記カートリッジ本体上に枢動可能に支持されており、かつ、前記アンビル本体を係合するように位置付けられているクランプレバーであって、前記クランプレバーは、前記アンビル本体を前記カートリッジ本体に近接した位置に移動させるように、非クランプ位置からクランプ位置まで移動可能である、クランプレバーと、
前記カートリッジ本体内に支持されているロックアウト部材であって、前記ロックアウト部材は、前記発射部材を受容するための長手方向スロットを画定し、前記ロックアウト部材は、前記発射部材の長手方向の移動を防止するロック位置から、前記発射部材の長手方向の移動を可能にする解放位置まで移動するように構成されており、前記ロックアウト部材は、前記ステープルカートリッジが前記カートリッジ本体の前記遠位部内に配置されることに応答して、前記ロック位置から前記解放位置まで移動可能である、ロックアウト部材と
を備える、外科用ステープル留め器具。
【請求項16】
前記ロックアウト部材の前記単一の長手方向スロットは、前記発射部材の前記二重層の弓状部を受容する第1のスロット部分と、前記発射部材の前記プレート部を受容する第2のスロット部分とを含む、請求項15に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項17】
前記第1のスロット部分は、前記長手方向軸に直交する第1の寸法を画定し、前記第2のスロット部分は、前記長手方向軸に直交する第2の寸法を画定し、前記第1の寸法は、前記第2の寸法よりも大きく、前記第1のスロット部分は、前記発射部材の前記二重層の弓状部を受容し、前記第2のスロット部分は、前記発射部材の前記プレート部を受容する、請求項16に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項18】
前記ロックアウト部材は、ロックアウト棚を含み、前記発射部材は、ロックアウト凹部を含み、前記ロックアウト棚は、前記ロックアウト部材のロック位置にあるとき、前記ロックアウト凹部内に受容され、前記ロックアウト棚は、前記ロックアウト部材の前記解放位置にあるとき、前記ロックアウト凹部から除去される、請求項15に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項19】
前記発射部材は、初期近位位置と作動遠位位置との間で長手方向に移動するように構成されている、請求項18に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項20】
前記ロックアウト部材は、前記ロックアウト棚の遠位に位置付けられている止め具を含み、前記止め具は、前記発射部材と係合することにより、前記発射部材が前記初期近位位置を越えて近位側に移動することを防止するように構成されている、請求項19に記載の外科用ステープル留め器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用ステープル留め器具に関し、より具体的には、ステープルカートリッジが適切に装着されるまで、ステープル留め器具の発射を防止する、直線ステープル留め器具のロックアウトに関する。本開示はさらに、ロックアウトと共に使用し、発射部材の変形または誤動作のリスクなしに複数列のステープルを送達するのに十分な圧縮強度を有する薄型の発射部材に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の背景
外科処置中に組織を接合するためにステープルを吐出する外科用ステープル留め器具がよく知られている。直線タイプの外科用ステープル留め器具は、典型的には、複数のステープルを収容するステープルカートリッジと、ステープルカートリッジの反対側に配置されたアンビルと、を備える。組織を、ステープルカートリッジとアンビルとの間に配置し、これらの構成要素を近づける。二重チャネルまたはU字形駆動部を含む発射機構は、ステープルカートリッジからステープルを順次押し出し、組織を貫通させ、アンビルによって変形させるように作動する。適用されたステープルセットの間の組織を切断するためにナイフが利用されてもよい。いくつかのステープル留め器具は、ステープルカートリッジとアンビルとが接近するまで、器具の発射を防止するための1つ以上の機構を組み込んでいる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、例えば、直線ステープル留め器具などの外科用ステープル留め器具のさらなる改善を対象とする。例示的な一実施形態によれば、外科用ステープル留め器具は、長手方向軸を画定するアンビル本体と、アンビル本体に結合されたカートリッジ本体と、カートリッジ本体に対して解放可能に取り付けられたステープルカートリッジと、カートリッジ本体に取り付けられ、ステープルカートリッジを通って長手方向に移動するように構成された発射部材と、カートリッジ本体によって支持されたロックアウト部材と、を備える。ロックアウト部材は、発射部材を少なくとも部分的に受容するための単一の長手方向スロットを画定する。ロックアウト部材は、ステープルカートリッジのカートリッジ本体への取り付け時に、発射部材の長手方向の移動を防止するロック位置から、発射部材の長手方向の移動を可能にする解放位置まで移動するように構成されている。
【0004】
実施形態では、ロックアウト部材はロックアウト棚を含み、発射部材はロックアウト凹部を含む。ロックアウト棚は、ロックアウト部材のロック位置にあるときにはロックアウト凹部と係合するように構成されており、ロックアウト部材の解放位置にあるときにはロックアウト凹部を解放するように構成されている。いくつかの実施形態では、ロックアウト部材は、カートリッジ本体に枢動可能に取り付けられており、ロック位置と解放位置との間で枢動移動するように構成されている。特定の実施形態では、ロックアウト部材は、ロック位置に向かって面直方向に付勢されている。実施形態では、ばね、例えば、ねじりばねは、ロックアウト部材に結合されており、カートリッジ本体と動作可能に係合可能である。ばねは、ロックアウト部材をロック位置に向かって面直方向に付勢するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、ロックアウト部材は、ステープルカートリッジのカートリッジ本体への取り付け時にステープルカートリッジによって係合されるように構成された、ロック位置から解放位置へのロックアウト部材の移動を容易にするための少なくとも1つの解放脚部を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの解放脚部は、弓状の隆起部を含む。
【0006】
実施形態では、発射部材は、初期近位位置と作動遠位位置との間で長手方向に移動するように構成されている。いくつかの実施形態では、ロックアウト部材は、ロックアウト棚の近位に止め具を含む。止め具は、発射部材のロックアウト凹部と係合して、初期近位位置を越える、発射部材の近位側への移動を防止するように構成されている。
【0007】
特定の実施形態では、発射部材は、初期近位位置と作動遠位位置との間の発射部材の移動中に、ロックアウト部材の単一の長手方向スロットを横断するように構成されている。実施形態では、発射部材は、下部弓状部およびプレート部を含む。いくつかの実施形態では、ロックアウト部材の単一のスロットは、ロックアウト部材の弓状部を受け入れるように構成された第1のスロット部分と、発射部材のプレート部を受け入れるように構成された第2のスロット部分と、を含む。特定の実施形態では、第1のスロット部分は、長手方向軸に直交する第1の寸法を画定し、第2のスロット部分は、長手方向軸に直交する第2の寸法を画定し、これにより、第1の寸法は第2の寸法よりも大きい。
【0008】
本開示のロックアウト部材は、ステープルカートリッジが器具内に適切に装着されるまで、ステープル留め器具が発射され得ないことを確実にする。これにより、器具の使いやすさが向上し、外科用ステープルの不適切な発射が防止される。発射部材は、例えば、下部弓状部を含む構造的特徴を組み込み、これは、発射部材の圧縮強度を増加させて、発射部材の全体形状を縮小しながら、複数列のステープルの発射を可能にする。縮小された形状は、ステープル留め器具の他の動作構成要素のための追加の空間を提供することができる。
【0009】
本開示の他の特徴は、以下の説明からより容易に明らかになるであろう。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
外科用ステープル留め器具であって、
長手方向軸を画定するアンビル本体と、
前記アンビル本体に結合されたカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体に対して解放可能に取り付けられたステープルカートリッジと、
前記カートリッジ本体に取り付けられ、前記ステープルカートリッジを通って長手方向に移動するように構成された発射部材と、
前記カートリッジ本体によって支持されたロックアウト部材であって、前記発射部材を少なくとも部分的に受容するための単一の長手方向スロットを画定し、前記ステープルカートリッジの前記カートリッジ本体への取り付け時に、前記発射部材の長手方向の移動を防止するロック位置から、前記発射部材の長手方向の移動を可能にする解放位置まで移動するように構成された、ロックアウト部材と、を備える、外科用ステープル留め器具。
(項目2)
前記ロックアウト部材が、ロックアウト棚を含み、前記発射部材が、ロックアウト凹部を含み、前記ロックアウト棚は、前記ロックアウト部材の前記ロック位置にあるときには前記ロックアウト凹部と係合するように構成されており、前記ロックアウト部材の前記解放位置にあるときには前記ロックアウト凹部を解放するように構成されている、項目1に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目3)
前記ロックアウト部材が、前記カートリッジ本体に枢動可能に取り付けられており、前記ロックアウト部材が、前記ロック位置と前記解放位置との間で枢動移動するように構成されている、項目2に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目4)
前記ロックアウト部材が、前記ロック位置に向かって面直方向に付勢されている、項目3に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目5)
前記ロックアウト部材に結合され、前記カートリッジ本体と動作可能に係合可能なばねを備え、前記ばねが、前記ロックアウト部材を前記ロック位置に向かって面直方向に付勢するように構成されている、項目4に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目6)
前記ばねが、ねじりばねである、項目5に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目7)
前記ロックアウト部材が、前記ステープルカートリッジの前記カートリッジ本体への取り付け時に前記ステープルカートリッジによって係合されるように構成された、前記ロック位置から前記解放位置への前記ロックアウト部材の移動を容易にするための少なくとも1つの解放脚部を含む、項目4に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目8)
前記少なくとも1つの解放脚部が、弓状の隆起部を含む、項目7に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目9)
前記発射部材が、初期近位位置と作動遠位位置との間で長手方向に移動するように構成されている、項目2に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目10)
前記ロックアウト部材が、前記ロックアウト棚の近位に止め具を含み、前記止め具は、前記発射部材の前記ロックアウト凹部と係合して、前記初期近位位置を越える、前記発射部材の近位側への移動を防止するように構成されている、項目9に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目11)
前記発射部材が、前記初期近位位置と前記作動遠位位置との間の前記発射部材の移動中に、前記ロックアウト部材の前記単一の長手方向スロットを横断するように構成されている、項目9に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目12)
前記発射部材が、下部弓状部およびプレート部を含む、項目11に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目13)
前記ロックアウト部材の前記単一の長手方向スロットが、前記ロックアウト部材の前記弓状部を受け入れるように構成された第1のスロット部分と、前記発射部材の前記プレート部を受け入れるように構成された第2のスロット部分と、を含む、項目12に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目14)
前記第1のスロット部分が、前記長手方向軸に直交する第1の寸法を画定し、前記第2のスロット部分が、前記長手方向軸に直交する第2の寸法を画定し、前記第1の寸法は、前記第2の寸法よりも大きい、項目13に記載の外科用ステープル留め器具。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の外科用ステープル留め器具の様々な実施形態を、図面を参照して以下に説明する。
【0011】
【
図1】本開示のロックアウト部材および発射部材を組み込む外科用ステープル留め器具の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図2】カートリッジ本体、アンビル本体、ステープルカートリッジ、発射部材、およびロックアウト部材を示す外科用ステープル留め器具の分解斜視図である。
【
図3】ロックアウト部材を示す、
図2で特定された詳細領域の拡大図である。
【
図4】ロックアウト部材の第1および第2の斜視図である。
【
図5】ロックアウト部材の第1および第2の斜視図である。
【
図6】ロックアウト部材、およびロックアウト部材を通って延在する発射部材を示す後軸図である。
【
図7】ステープルカートリッジをカートリッジ本体に取り付ける前の、発射部材が初期近位位置にある、カートリッジ本体およびステープルカートリッジの斜視図である。
【
図8】発射部材と係合するロック位置にあるロックアウト部材を示す、
図7で特定された詳細領域の拡大図である。
【
図9】
図7の線9-9に沿って切り取られた断面図である。
【
図10】
図7の線10-10に沿って切り取られた断面図である。
【
図11】ステープルカートリッジがカートリッジ本体に取り付けられた状態のカートリッジ本体の斜視図である。
【
図12】解放位置にあるロックアウト部材を示す、
図11の線12-12に沿って切り取られた部分断面の斜視図である。
【
図13】
図11の線13-13に沿って切り取られた断面図である。
【
図14】作動した遠位位置にある発射部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の外科用ステープル留め器具は、ここで、図面を参照して詳細に説明され、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において、同一または対応する要素を指定する。この説明では、「近位」という用語は、一般的に、臨床医に近い方のデバイスの部分を指すために使用され、「遠位」という用語は、一般的に、臨床医から遠い方のデバイスの部分を指すために使用される。加えて、「臨床医」という用語は、医師、看護師、および補助員を含む医療従事者を指すために概して使用される。
【0013】
本開示の外科用ステープル留め器具は、アンビル本体と、カートリッジ本体と、アンビル本体およびステープルカートリッジを離間位置とクランプ位置との間で移動させるように構成された作動装置またはレバーと、発射部材と、を備える。単回使用の装填ユニット(single use loading unit、SULU)または複数回使用の装填ユニット(「multi-use loading unit、MULU」)などのステープルカートリッジは、カートリッジ本体に取り付け可能である。ステープル留め器具は、ステープルカートリッジがカートリッジ本体上に適切に装着されるまで、発射部材の作動を防止するロックアウト部材をさらに備える。発射部材は、発射部材の圧縮強度を増加させる構造的特徴を含み、それにより、複数列のステープル、例えば、2組の3列のステープルを、比較的容易に、かつ発射部材の任意の部分が変形することなく、ステープルカートリッジから発射することができる。発射部材は、特に、ステープルを展開するために二重チャネルまたはU字形駆動部を組み込む従来のステープル留め器具と比較して、縮小された形状を画定する。
【0014】
図1~
図2は、本開示のロックアウト部材および発射部材を組み込み、概してステープル留め器具10として指定される、外科用ステープル留め器具の例示的な実施形態を示す。ステープル留め器具10は、長手方向軸「k」を画定するアンビル本体12と、クランプレバー16を支持するカートリッジ本体14と、カートリッジ本体14に取り付け可能なステープルカートリッジまたは単回使用の装填ユニット(「SULU」)18と、発射アセンブリ20と、を備える。カートリッジ本体14は、近位部24および遠位部26を有するカートリッジ支持カラム22を含む。カートリッジ支持カラム22の近位部24は、発射アセンブリ20を受容し、クランプレバー16を枢動可能に支持する。カートリッジ支持カラム22の遠位部26は、ステープルカートリッジ18を受容する。アンビル本体12は、アンビルハンドグリップ28およびアンビルプレート30を含む。クランプレバー16は、カートリッジ本体14上に枢動可能に支持されており、アンビル本体12と係合可能であり、その結果、クランプレバー16の非クランプ位置(
図2)からクランプ位置(
図1)への移動により、アンビル本体12をカートリッジ本体14に接近して移動させる。発射アセンブリ20は、発射レバー32と、発射レバー32から延在する発射部材34と、を含む。一般に、クランプレバー16が、組織がステープルカートリッジ18とアンビルプレート30との間で接合されるクランプ位置にある状態では、発射アセンブリ20は、長手方向軸「k」に沿って前進することによって作動され、それにより、発射部材34は、ステープルカートリッジ18内のステープルプッシャ(図示せず)と協働して、アンビルプレート30による係合および変形に対してステープルカートリッジ18から複数列のステープルを押し出す。実施形態では、ステープルカートリッジ18は、組織を通して送達される2組の3列のステープルを受け入れる。ナイフ(図示せず)は、ステープルカートリッジ18を横断して、2組のステープルの列の間の組織を切断してもよい。
【0015】
例示的な外科用ステープル留め器具の構造および動作の詳細な考察については、その全容が参照により本明細書に組み込まれる、Ehrenfelsらへの同一出願人による米国特許第8,505,801号を参照することができる。
【0016】
ここで
図3~
図6を参照すると、ステープル留め器具10は、発射部材34に対して取り付けられたロックアウト部材36を備える。ロックアウト部材36は、カートリッジ本体14によって支持されており、発射部材34と係合するロック位置と発射部材34を解放する解放位置との間で移動可能である。ロックアウト部材36は、発射部材34を少なくとも部分的に受容するための単一の長手方向スロット40を画定するロックアウトベース38を含む。ロックアウト部材36の単一の長手方向スロット40は、第1の下部スロット部分40aおよび第2の上部スロット部分40bを含む。
図4に最もよく図示されているように、第1のスロット部分40aは、長手方向軸「k」に直交する第1の寸法「d1」を画定し、第2のスロット部分40bは、長手方向軸「k」に直交する第2の寸法「d2」を画定する。第1の寸法「d1」は、第2の寸法「d2」よりも大きい。
【0017】
ロックアウト部材36は、ロックアウトベース38の前端または遠位端から垂下するロックアウト棚42(
図5)を含む。ロックアウト棚42は、断面において三角形を画定し、ロックアウト部材36がロック位置にあるとき、発射アセンブリ20の前進、すなわち遠位長手方向の移動を防止するために発射部材34の対応する構造と係合するように構成されている。ロックアウト部材36は、ロックアウト棚42から近位方向に延在する止め具44をさらに含む。止め具44は、例えば、器具10の使用前に、発射部材34の近位側への移動を防止するために、発射部材34の対応する構造と係合するように構成される。止め具44は、ロックアウトベース38の長手方向スロット40内に延在してもよい。
【0018】
ロックアウト部材36は、ロックアウトベース38の後端または近位端から垂下する一対の解放脚部46をさらに含む。解放脚部46は、ステープルカートリッジ18をカートリッジ本体14に対して装着したとき、ステープルカートリッジ18と係合して、ロックアウト部材36をロック位置から解放位置に移動させる。解放脚部46は、ステープルカートリッジ18との係合を強化するために弓状の隆起部48を含んでもよい。
【0019】
ロックアウト部材36は、ロックアウトベース38から半径方向外向きに垂下する一対の枢動ボス50を含む。枢動ボス50は、カートリッジ本体14の対向壁14a、14bの対応する開口部52(1つは
図7に示されている)内に受容され、ロックアウト部材36をカートリッジ本体14に枢動可能に取り付ける。枢動ボス50は、カートリッジ本体14の開口部52内における位置付けを容易にするために面取りされた表面54を画定してもよい。ロックアウト部材36は、枢動ボス50を介してロック位置と解放位置との間で枢動移動することができる。
図6に最もよく図示されているように、ねじりばね56は、一方の枢動ボス50の周りに取り付けられており、ロックアウトベース38の側壁の凹部58内に少なくとも部分的に配置されている。ねじりばね56は、一端で、ロックアウトベース38(
図6)の凹部58の後面と係合し、他端で、カートリッジ本体14と係合する。ねじりばね56は、ロックアウト部材36を
図7~
図8に図示されているロック位置に向かって面直方向に付勢する。
【0020】
図3および
図6を参照して、発射部材34が考察される。発射部材34は、下部弓状部60と、弓状部60から延在する単一のプレート部62とを有するプレート状の形状を画定する。実施形態では、発射部材34は、長手方向の一端に沿って巻かれて二重層の弓状部60を画定する鋼などの単一のプレートから製造される。弓状部60は、発射部材34の圧縮強度を実質的に増加させ、これは、複数列のステープル、例えば、2組の3列のステープルを有するステープルカートリッジ18のステープルを送達するために必要な力を達成するために必要とされてもよい。弓状部60は、ロックアウトベース38の長手方向スロット40の第1のスロット部分40a内に存在し、プレート部62は、長手方向スロット40の第2のスロット部分40b内に存在する。発射部材34は、発射アセンブリ20の作動中に、ロックアウトベース38の長手方向スロット40を横断する。
【0021】
ここで
図7~
図10を参照すると、ロックアウト部材36および発射部材34のさらなる詳細が考察される。
図7~
図10では、ロックアウト部材36は、ねじりばね56の付勢効果を介して、発射部材34をその初期近位位置に固定するロック位置にある。ステープルカートリッジ18は、カートリッジ本体14に対して装着または取り付けられていない。ロック位置では、ロックアウト部材36のロックアウト棚42は、発射部材34の対応する寸法のロックアウト凹部64(
図9および
図10)内に配置される。ロックアウト凹部64は、他の構成も想定されるが、多角形状であってもよい。実施形態では、ロックアウト凹部64は、ロックアウト棚42が、ロックアウト部材36をロック位置に保持し、発射部材34を初期近位位置に保持するように係合する遠位斜面66(
図10)によって部分的に画定されている。ロックアウト凹部64はまた、例えば、ステープル留め器具の使用前に発射部材34が近位方向に引っ張られた場合に、ロックアウト部材36の止め具44によって係合される近位止め具表面68によって部分的に画定されて、発射部材34の変位を防止する。
【0022】
図11~
図13は、カートリッジ本体14に取り付けられたステープルカートリッジ18、およびロックアウト部材36に対する、その対応する効果を示す。ステープルカートリッジ18のカートリッジ本体14の遠位部26への取り付け時に、弓状の隆起部48を含む解放脚部46は、ステープルカートリッジ18によって係合され、カートリッジ本体14に向かって下向きに移動する(
図12)。これにより、ロックアウト部材36は、ねじりばね56の付勢に抗してカートリッジ本体14内で反時計回り方向に(
図12~
図13に関連して)枢動ボス50を中心に枢動し、それにより、ロックアウト棚42を発射部材34のロックアウト凹部64から持ち上げて解放する。ロックアウト棚42が解放位置にある状態で、発射部材34は、
図14に図示されるように、作動遠位位置に向かって長手方向に前進して、ステープル(図示せず)をステープルカートリッジ18から駆動することができる。
【0023】
したがって、ロックアウト部材36および関連する発射部材34は、発射部材34が作動され得る前に、ステープルカートリッジ18を適切に装着することを確実にするために協働する。発射部材34は、ロックアウト部材36の単一の長手方向スロット40を横断するように構成され、複数列のステープルを展開するのに十分な力を送達することができる、縮小されたプレート状の形状を画定する。発射部材の縮小された形状は、ステープル留め器具の他の動作構成要素のための追加の空間を作成する可能性がある。
【0024】
本開示の外科用ステープル留め器具10は、開口タイプの直線外科用ステープラとして示されているが、本開示の利点は、例えば、内視鏡直線ステープラを含む様々な異なるタイプの外科用ステープル留め器具に組み込まれ得ることが想定される。
【0025】
当業者においては、本明細書で具体的に説明され、添付の図面において図示されたデバイスおよび方法が、非限定的かつ例示的な実施形態であることが理解されよう。1つの例示的な実施形態に関連して例示または説明される要素および特徴は、別の要素および特徴と、本開示の範囲から逸脱することなく組み合わせることができることが想到される。同様に、当業者であれば、上述の実施態様に基づく本開示の更なる特徴および利点を理解するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除いて、具体的に図示および記述されているものによって限定されるべきではない。