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特許7134271二重壁式チタニウム管材及びその管材を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】二重壁式チタニウム管材及びその管材を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B21C 37/06 20060101AFI20220902BHJP
   B21C 37/08 20060101ALI20220902BHJP
   B21D 26/033 20110101ALI20220902BHJP
   B23K 20/00 20060101ALI20220902BHJP
   F16L 9/19 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
B21C37/06 C
B21C37/06 K
B21C37/08 A
B21D26/033
B23K20/00 310K
B23K20/00 310L
F16L9/19 A
F16L9/19 Z
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021012708
(22)【出願日】2021-01-29
(62)【分割の表示】P 2016023358の分割
【原出願日】2016-02-10
(65)【公開番号】P2021098229
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】14/619,449
(32)【優先日】2015-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラスト, チャールズ ウィリアム
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-185566(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103008997(CN,A)
【文献】特表平03-505304(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0049482(US,A1)
【文献】米国特許第04217397(US,A)
【文献】米国特許第06138898(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 37/06
B21C 37/08
B21D 26/033
B23K 20/00
F16L 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重壁式チタニウム管構造であって、
内壁(702、802)と外壁(704、804)との間を延びる複数の補強材(806)と、前記複数の補強材(806)と内壁(702、802)と外壁(704、804)とに囲まれた複数のセルと、を備えた内壁(702、802)及び外壁(704、804)を有し、
前記複数の補強材(806)は、軸方向に整列する複数の第1の補強材及び径方向に整列する複数の第2の補強材を有し前記セルのそれぞれは、互いに対向する二つの前記第1の補強材及び互いに対向する二つの前記第2の補強材に囲まれ、前記複数の第1及び第2の補強材は、ステッチパターンを有し、前記内壁(702、802)及び前記外壁(704、804)に拡散接合される構造。
【請求項2】
前記内壁(702、802)及び前記外壁(704、804)は、留め金具を含まない一体式管を備える、請求項1に記載の二重壁式チタニウム管構造。
【請求項3】
前記複数の補強材(806)は、連続的な内面荷重経路を提供する、請求項1又は2に記載の二重壁式チタニウム管構造。
【請求項4】
前記複数の補強材(806)は、前記ステッチパターンを作成するために、圧延管材シーム溶接機でシームレス管材をステッチ溶接することと、前記ステッチパターンに従って内部構造を形成するために、前記溶接されたシームレス管材を加圧することとに基づいている、請求項1から3の何れか一項に記載の二重壁式チタニウム管構造。
【請求項5】
前記内壁(702、802)及び前記外壁(704、804)は、拡散接合される、請求項1から4の何れか一項に記載の二重壁式チタニウム管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、チタニウム二重壁式管材の超塑性的な成形及び拡散接合に関し、より具体的には、内壁から外壁に延びる少なくとも1つの補強材(スティフナ)を含む内壁及び外壁を有する二重壁式チタニウム管に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を搬送するための管材システム及びダクトシステムが、多くの業界で広く用いられている。例えば、航空宇宙産業では、飛行中に氷結状態で表面に氷が形成されることを防止するために、エンジンから前縁及びナセル吸気口機首まで加熱された空気を搬送する環境制御システム及び翼除氷システムにおいて、溶接されたダクトが使用される。もちろん管材は、石油産業や、輸送要素が極限環境での使用に必要とされることもある他の環境も含む多くの他の産業で用いられることもある。
【0003】
管材料は、超塑性成形(SPF)技術及び拡散接合(DB)技術を用いて製造され得る。チタニウムやその多くの合金などのある一定の金属が超塑性を示すことが長年知られている。超塑性は、ネッキングに向かう傾向が低減された、非常に高い引張伸びを展開する材料の性能である。この性能は、2~3の金属及び合金によって、制限された温度及び歪み速度範囲内で示される。チタニウム及びチタニウム合金は、任意の他の金属の超塑性特性と等しい又はそれを上回る超塑性特性を示すと見られてきた。適するチタニウム合金では、例えば、300%までの表面積の全体的増加が可能である。超塑性成形の利点は、複雑な形状や深絞り加工された部品を作成する能力を含み数多くあり、超塑性温度範囲で金属を形成するために低い変形応力が必要とされるため、ツールの変形及び摩耗を最小限に抑える低圧力下での部品の形成が可能になる。
【0004】
拡散接合(DB)は、ある持続時間(for a time duration)熱及び圧力を印加することによる、類似又は非類似の金属の表面の冶金学的結合を指し、これにより接合界面での原子の混合をもたらす。拡散接合は、卑金属融点(絶対的な)の2分の1又はそれを上回る完全に固体の状態で実現することができる。実際の時間、温度、及び圧力は、金属次第で変わるだろう。圧力の印加によって、接合表面が原子間距離内にもたらされる。十分な圧力が提供され、ある塑性流動が通常の隙間領域を充填する。圧力が低すぎる場合、小さな隙間が接合界面に残り、接合強度が、取得可能な最大値を下回ることになるだろう。圧力の印加によっても、表面酸化物及び表面凹凸が粉砕され、結合用の清浄表面が提示される。拡散接合に使用される高温は、接合界面での原子の拡散を加速させ、表面変形を支援する金属軟化を提供する役割を果たし、これにより接合界面全域での原子の結合及び移動のより密接な接触が可能になる。高温及び圧力の印加によって、また、表面汚染物質が卑金属内へ拡散され、金属原子対原子の結合が可能になり、これにより結合が強化される。接合界面全域での原子の拡散によって接合強度を保証する十分な時間が認められる。
【0005】
既存のプロセスによれば、管材シートが平らな形態で製造されるが、その場合、一又は複数の超塑性に成形可能な金属シートは、協働可能な型の間に画定される型空洞に入れられ、超塑性を示す高温まで加熱され、次いで差圧をシートの反対側に印加するためにガスが使用され、この結果、シートが形成される。高温でその超塑性範囲内にある歪み速度で材料を引っ張り、シートを引き伸ばし、シートに型表面の形状を想定させるために、圧力が選択される。このように、シートは、型によって画定される複雑な形状に形成できる。
【0006】
他の既存のプロセスでは、SPF及びDBは、組み合わされた形成/接合工程で実行できる。例えば、1つの例示的な組み合わされたSPF/DBプロセスでは、3つの金属シートが平らな形態で積み重ねられ、パックが形成される。シートの隣接する表面部分の接合防止に、シート間にめっき防止材(stop-off material)が選択的に提供される。めっき防止材で処理されていないシートの隣接部分が拡散接合によって結合されるように、パックは加熱され、型空洞の中で十分なガス圧力で圧縮される。その後、パックを膨張させるためにシート間に加圧ガスが注入され、それによって、パックを型空洞の表面により画定された構成に超塑性成形する。例えば、空洞の内側セルを画定するために形成及び拡散接合される複雑なハニカムサンドイッチ構造を生成するために、そのような組み合わされたSPF/DBプロセスを使用することができる。概して、超塑性成形及び/又は拡散接合プロセスが単純であることにより、ファスナ(留め金具)を減らして、幾何学形状の複雑さがより高い可能性のある(higher potential geometric complexity)軽量かつ低コストの構造をもたらすことができる。
【0007】
しかしながら、既存の超塑性成形及び拡散接合プロセスを使用すると、シートを管材システム内に形成するために更なる製造プロセスを更に必要とし、作成された接合部を変更する可能性がある、平らなシートが生成される。本明細書に記載される例を用いると、耐食性及び耐熱性があり、平らなシートに見られるより強度が大きい増大した断面で構造的に補強され、チタニウム管にフェイルセーフティ(fail safety)を提供するSPF及びDBを使用して、チタニウム(又は他の合金)二重壁式管を製造することができる。
【発明の概要】
【0008】
1つの例では、内側から外側への壁補強材を後に形成するパックを形成するために、複数のシートを同心円状にステッチ溶接することを含む、二重壁式チタニウム導管を製造する方法が記載される。二重壁式チタニウム導管の同心円状の組の内壁及び外壁が、内側のステッチ溶接されたパックシートに周方向にシーム溶接され、溶接されたアセンブリが作成され、ある温度及び圧力で溶接されたアセンブリが型成形され、ステッチ溶接線に従って複数の同心円状のシート間に内部構造が形成され、外壁と補強材との間、内壁と補強材との間、及び隣接する補強材間で拡散接合が可能となり、二重壁式チタニウム導管が型から取り外される。
【0009】
別の例では、二重壁式管の内部構造を超塑性的に成形することと、二重壁式管の外壁と、内壁と、内部構造とを拡散接合することとを含む、二重壁式管を製造する別の方法が記載される。超塑性成形及び拡散接合は、実質的に密接した同心円状のシームレス管材を配置することと、ステッチパターンを含む内側から外側への壁補強材を後に形成するパックを作成するために、圧延管材シーム溶接機でシームレス管材をステッチ溶接することと、溶接された管アセンブリを作成するために外壁の同心円状外面シートを内壁及びステッチされたパックに周方向にシーム溶接することとを含む。形成プロセスはまた、円筒型を溶接された管アセンブリに挿入することと、溶接された管アセンブリを加熱された型に入れることと、溶接された管アセンブリをある温度まで上昇させること(bringing the welded tube assembly up to temperature)と、ステッチパターンに従って内部構造を形成するために溶接された管アセンブリを加圧することと、外壁と内壁との間での拡散接合プロセスのために圧力を保持することと、加熱された型から生じた管部分を取り外し、生じた管部分を冷却することとを含む。
【0010】
別の例では、内壁と外壁との間を延びる複数の補強材を含む内壁及び外壁を備える二重壁式チタニウム管構造が記載され、複数の補強材は、軸方向かつ半径方向の双方に整列され、複数の補強材は、内壁及び外壁に拡散接合される。
【0011】
前述の特徴、機能及び利点は、様々な実施形態において個別に実現することができ、又は以下の説明及び図面を参照して更なる詳細が理解できる、更に別の実施形態において組み合わせてもよい。
【0012】
例示的な実施形態の特徴と考えられる新規の特性は、付随する特許請求の範囲に明記される。しかしながら、例示的な実施形態と、好ましい使用モードと、更にはその目的及び利点とは、添付図面を参照して、本開示の例示的な実施形態の後述の詳細な説明を読むことにより最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】二重壁式管の外壁と、内壁と、内部構造とを超塑性的に成形し、拡散接合することによって、二重壁式管を製造する例示的方法を記載するフローチャートである。
図2】例示的なステッチパターンがその上に溶接されたシームレス管材の一部を示す。
図3】例示的な溶接された管アセンブリの一部を示す。
図4】別の例示的な溶接された管アセンブリの一部を示す。
図5】例示的な管材及び例示的な型成形を示す。
図6】A~Dは、ステッチパターンに基づく内壁内部でのセル形成の例を示す。
図7】A~Fは、ステッチパターンに基づく管状構造内部でのセル形成の例の別の図を示す。
図8】例示的な生成された管部分を示す。
図9】二重壁式チタニウム導管を製造する別の例示的方法を記載するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以降、添付図面を参照して本発明の実施形態についてさらに詳細に説明するが、添付図面には開示されるすべての実施形態が示されているわけではない。実際には、複数の異なる実施形態が記載されてもいいが、これらの実施形態は、本明細書で説明される実施形態に限定されるものではない。むしろこれらの実施形態は、本開示内容が包括的かつ完全であるように、当業者に本開示の範囲が十分に伝わるように記載されている。
【0015】
例の範囲内で、二重壁式導管の超塑性成形(SPF)及び拡散接合のための方法及びシステムが記載される。SPFは、概して、材料がその通常のプラスチック変形の限界を超えて超塑性変形されるプロセスを指す。超塑性成形は、限定された温度及び歪み速度の範囲内で超塑性特性を示すある一定の材料を用いて実行することができる。例えば、チタニウム合金から形成される工作物は、毎秒約3×10-4までの歪み速度、約1450°Fから約1850°Fまでの温度範囲で超塑性成形することができる。拡散接合(DB)は、概して、熱及び圧力を使用して部材を結合し、結合された部材の材料間に固体合着を形成するプロセスを指す。拡散接合による結合は、結合されている材料の融点未満の温度で起こる可能性があり、それらの間の合着は、肉眼で見える物品の変形を引き起こすであろう温度未満で荷重により生成されることもある。
【0016】
例において、チタニウム二重壁式管材の超塑性的成形及び拡散接合は、より具体的には、内壁から外壁に延びる少なくとも1つの補強材を含む内壁及び外壁を有する二重壁式チタニウム管を製造することによって実現することができる。管材は、軸方向に整列された複数の補強材を含み得、他の例では、管材は、軸方向かつ半径方向の双方に整列された複数の補強材を含み得る。
【0017】
二重壁式チタニウム管の超塑性的成形及び拡散接合の例示的方法は、実質的に密接した同心円状のシームレス管材を配置することと、シームレス管材を洗浄することと、圧延管材シーム溶接機でシームレス管材をステッチ溶接することとを含む。次に、方法は、ステッチ溶接されたパックを含む内側管材に外側管材を周方向にシーム溶接することと、圧力線を融接することと、円筒型を管アセンブリに挿入することとを含む。管アセンブリは、加熱された型に入れ、拡散接合プロセスが一定期間にわたって起こるように保持される温度及び圧力まで上昇させることができる。生成された部品は、型から取り外され、使用するために又は更なる処理のために冷却することができる。
【0018】
ここで図を参照するが、図1は、二重壁式管の外壁と、内壁と、内部構造とを超塑性的に成形し、拡散接合することによって、二重壁式管を製造する例示的方法100を記載するフローチャートである。管の外壁及び内壁は、同心円状に一体的に巻かれたシートを含む、管の内外の層を指す。超塑性的成形及び拡散接合の方法100は、ブロック102~118の一又は複数によって示されるように、一又は複数の工程、機能、又は作用を含み得る。ブロックは連続的順番で図示されているが、いくつかの例では、これらのブロックは、並行して、及び/又は明細書に記載された順番とは異なる順番で実行されてもよい。また、種々のブロックがより少ないブロックに組み合わされても、追加的なブロックに分割されても、及び/又は所望の実施態様に基づき除去されてもよい。
【0019】
ブロック102において、方法100は、第1の組の密接した同心円状のシームレス管材を配置することを含む。いくつかの例では、同心円状のシームレス管材は、ステッチ溶接中の接触が可能となるように、およそ一致した直径を有する。管材は、シームレス管材又は圧延管材を使用することによって、輪状に一体的に挟むことができる。1つの例では、チタニウムの平らなシートは、一体的に配置され、同心円状のチタニウムシームレス管を形成するまで巻かれ得る。
【0020】
いくつかの例では、方法100は、オプションで、酸化を取り除くためにシームレス管材を洗浄することを含む。
【0021】
ブロック104において、方法100は、内側から外側への壁補強材を後に形成する、ステッチパターンを含むパックを作成するために、圧延管材シーム溶接機でシームレス管材をステッチ溶接することを含む。シームレス管材をステッチ溶接することは、シームレス管材の長さに沿ってステッチパターンを作成し得る。
【0022】
図2は、例示的なステッチパターンがその上に溶接されたシームレス管材の一部を示す。図2において、部分は、密接して一体的に配置されている管材202及び204を含み、ステッチ溶接が実行されている。図2のステッチパターンは、管材202及び204の長さに沿って走る任意の数の平行な線206及び208、並びに管材202及び204の幅に沿って走る他の平行な線210及び212を含む。線206及び208は、線210及び212に垂直である。線206、208、210及び212は管材202及び204の長さ及び幅に沿って走っているように示され記載されるが、ステッチを溶接する、又は、例えば、ステッチ間に空間を有した状態で管材202及び204に沿った領域を溶接するために、他の方法でステッチ溶接が実行されてもよい。
【0023】
ステッチパターンは、材料の長さに沿って走る、例えば、セル214及び216などの個々のセルを作成する。管材の長さに沿って溶接パターンを提供し、溶接線206、208、210、及び212を提供するためなどに、シーム溶接機が使用されてもよく、溶接点に対して管材の直径を周回して、所望のセル状構造のレイアウトを生成するために、異なる圧延シーム溶接機が使用されてもよい。
【0024】
図1に戻り、ブロック106において、方法100は、第2の組の同心円状の管材を配置することを含み、ブロック108において、方法100は、溶接された管アセンブリを作成するために、外側管材をパックに周方向にシーム溶接することを含む。1つの例では、方法100は、第1の外側管材と第2の外側管材との間にパックを置き、次いで、第1の外側管材と、第2の外側管材と、パック(即ち、ステッチ溶接された管材)との端部の周囲を周方向に溶接することを含む。1つの例では、パックは、図2に示された溶接された構造を含み得、材料の2つの層は、溶接用のパック周囲に提供され得る。
【0025】
図3は、例示的な溶接された管アセンブリの一部を示す。図3において、シーム溶接機は、ステッチ溶接され、図2で2つの外面シート304と306との間に示される内側の2つのシートを囲む周囲溶接部302を提供するために使用された。周囲の溶接部は、シート端部における外面シート上での周方向の溶接部であり得る。図3において、溶接された管アセンブリの部分は、管状又は円筒形状である。
【0026】
図4は、別の例示的な溶接された管アセンブリの一部を示す。図4では、溶接された管アセンブリは、形状がより楕円形に示される。管アセンブリは、また他の円形状又は楕円形状の断面形状を有するように構成されてもよい。
【0027】
図1に戻り、ブロック110において、方法100は、円筒型を溶接された管アセンブリに挿入することを含み、ブロック112において、方法100は、溶接された管アセンブリを加熱された型に入れることを含む。例示的型は、管材の内側における形状(例えば、円筒型形態)と2つの外側型半分ずつを保持する3ピースの型である。
【0028】
図5は、例示的な管材及び例示的な型成形を示す。図5では、管材(その管材の層504が管材の内壁である)の層504及び506と、一体的にステッチ溶接されたステッチ溶接パック508を含む管材に、円筒型502が挿入される。溶接された管アセンブリは、次いで下型510及び上型512に挿入される。円筒型502、下型510、及び上型512を含む3ピースの型が、接合プロセス中に管の形状を保持するために使用される。図5は実質的に一定の断面を有する管材の実質的に直線的な長さを示すが、管材の曲率及び断面は非直線的で湾曲していてもよく、任意の他の構成でもよいことが容易に理解されるだろう。
【0029】
図1に戻り、ブロック114において、方法100は、溶接された管アセンブリをある温度まで上昇させること(bringing)を含む。1つの例として、型内部の溶接された管アセンブリは、材料の合金次第で、約1450°Fから約1850°Fまでの範囲、又は約1500°Fから約1700°Fまでの範囲の温度に加熱される。
【0030】
ブロック116では、方法100は、型を充填するために外側管を加圧することを含み、方法100は、ステッチパターンに従って内部構造を形成するために、内側の溶接された管アセンブリを加圧することを含む。圧力は、約300psiの圧力、又は拡散接合プロセスが起こり得る他の圧力で印加され得る。例として、図5に示されるように、拡散接合部は、拡散接合部514など、パック508内部で作成され得る。拡散接合部はまた、拡散接合部516、518、及び520など、層504及び506とパック508との間にも生じ得る。
【0031】
加圧することにより、管材の層504及び506が、加熱された下型510及び上型512の輪郭を充填するようになる。また、加圧することにより、パック508が、ステッチパターンに基づき内壁内部にセルを形成するようになる。例えば、ステッチパターンは、セルの拡大を可能にする境界を提供する。加熱及び加圧によって、シートを一体的に接合できる。
【0032】
図6Aから図6Dは、ステッチパターンに基づくステッチ溶接されたパック内部でのセル形成の例を示す。図6Aは、セル610及び612などのセルを形成するために、ステッチ606及び608でステッチ溶接された2つのシート602及び604を示す。加熱及び加圧プロセス中に、シート602及び604がキルトのようなパターンで一体的にステッチされると、気泡が徐々に生じる。図6Bは、気泡614など、生じている気泡の初期段階を示す。図6Cは、気泡がより完全に形成され拡大している次の段階を示す。図6Dは、長方形、正方形、又は任意の他の形状であり得るセルの例示的な最終形成を示し、拡散接合部616及び618などの拡散接合部がシート間に形成されている。
【0033】
図1に戻り、ブロック120において、方法100は、外壁と内壁との間に拡散接合プロセスのために圧力を保持することを含む。内壁が外壁に拡散接合できるように、圧力が保持される。外壁及び内壁が統合ピースとなるように、外壁及び内壁が拡散接合プロセスに耐えられるように、圧力は、約3時間など、ある期間保持することができる。圧力はまた、セル又は管材の内部構造の完全な形成を可能にする。
【0034】
ブロック122において、方法100は、加熱された型から生じた管部分を取り外し、生じた管部分を冷却することを含む。
【0035】
図7Aから図7Fは、ステッチパターンに基づく管状構造内部でのセル形成の例の別の図を示す。図7Aでは、内壁702、外壁704、及びステッチ溶接部706などのステッチ溶接部でステッチ溶接されたシートを含むパックを含む、溶接されたパックアセンブリが示される。図7Bでは、内壁及び外壁が、ステッチにおける溶接部708を形成するステッチパックに接合される。図7Cでは、パックアセンブリ内部で更なる接合が行われ、いくつかのセル形成が起こる。図7Dでは、パックアセンブリ内部で、再び更なる接合が行われ、ステッチ溶接部がセルを形成し続ける。図7Eでは、ステッチ溶接部が補強材となり、セル形成が完了する。図7Fでは、拡散接合部(例えば、接合部710)で生じる圧力を保持することにより、拡散接合が起こる。
【0036】
図8は、例示的な生成された管部分を示す。図示されるように、管は、内壁802と外壁804との間を延びる、補強材806などの複数の補強材を有する内壁802及び外壁804を含む、二重壁式チタニウム管構造であり得る。複数の補強材は、軸方向かつ半径方向の双方に整列され、複数の補強材は、内壁802及び外壁804に拡散接合される。
【0037】
図8に示される二重壁式チタニウム管構造は、ある温度及び圧力での型成形に先立ち溶接されるチタニウム耐性(titanium resistance)の複数の同心円状管から生じるファスナを含まない一体式管であり得る。複数の補強材は、強度をより高めるために、連続的な内面荷重経路を管に提供する。管のアニュラス(annulus)は、耐食性又は耐熱性用途に対する断熱目的で使用することができる。特定のステッチパターンを有するアニュラスはまた、空気又は流体の任意の構成の中で並流又は逆流を収容することができる。
【0038】
図1に示される方法100は、二重壁式導管又は管構造のうちの任意の数の種類又は様々な種類を製造するために実行され得る。1つの例は、図示され記載されたように、シームレスで開放されたアニュラスの加熱プレスプロセスを含む。別の例は、ステッチ溶接に続く、シームレスで閉鎖されたアニュラスの加熱プレスプロセスを含み、スポット溶接又は周方向の溶接を半径方向の間隔に対して実行することができる。更に別の例は、シートが管材に圧延され摩擦撹拌溶接されて、SPF特性が保証される、圧延管の、開放されたアニュアルの加熱プレスプロセスを含む。更に別の例は、スポット溶接又は周方向の溶接、及び摩擦撹拌溶接の双方が実行される、圧延管の、閉鎖されたアニュラスの加熱プレスプロセスを含む。
【0039】
図9は、二重壁式チタニウム導管を製造する別の例示的方法900を記載するフローチャートである。方法900は、ブロック902~910の一又は複数によって示されるように、一又は複数の工程、機能、又は作用を含み得る。ブロックは連続的順番で図示されているが、いくつかの例では、これらのブロックは、並行して、及び/又は明細書に記載された順番とは異なる順番で実行されてもよい。また、種々のブロックがより少ないブロックに組み合わされても、追加的なブロックに分割されても、及び/又は所望の実施態様に基づき除去されてもよい。
【0040】
ブロック902では、方法900は、ステッチ層を形成するために複数の同心円状のシートをステッチ溶接することを含む。いくつかの例では、ステッチ溶接は、内部構造の大きさ及び形状を形成する複数の同心円状のシート上にパターンを形成する。内部構造は、導管外壁の外側シート間を延びる少なくとも1つの補強材を含むことができる。
【0041】
ブロック904では、方法900は、二重壁式チタニウム導管の内壁と外壁との間にステッチ層を提供することを含む。特定のステッチ溶接パターンは、内壁と外壁との間での進路形成又はセル形成の適用に基づき選択され得る。
【0042】
ブロック906では、方法900は、溶接されたアセンブリを作成するために、内壁及び外壁をステッチ層に周方向にシーム溶接することを含む。溶接されたアセンブリは、ここでは、管状の形状及び構成である。
【0043】
ブロック908では、方法900は、ステッチ溶接線に従って複数の同心円状のシートの間に内部構造を形成し、内壁と、ステッチ層と、外壁との間で拡散接合プロセスを可能にするために、ある温度及び圧力で溶接されたアセンブリを型成形することを含む。型の形状及び構成は、導管の適用に基づき選択することができる。拡散接合プロセスが、例えば、300psiかつ1450°Fで約3時間起こるように、圧力及び温度が加えられる。
【0044】
ブロック910では、方法900は、型から二重壁式チタニウム導管を取り外すことを含む。例の範囲内で、二重壁式チタニウム導管は、管状の構造である。他の例の範囲内で、二重壁式チタニウム導管は、楕円構造である。
【0045】
本明細書に記載される例を用いると、耐食性及び耐熱性があり、強度が大きい増大した断面で構造的に補強され、チタニウム管にフェイルセーフティを提供するチタニウム(又は他の合金)二重壁式管を製造することができる。例示的使用は、例えば、石油産業や航空宇宙などの極限環境での輸送要素又は構造適用の管材を含む。
【0046】
更に、本開示は、下記の条項による実施形態を含む。
条項1. 二重壁式チタニウム導管を製造する方法であって、
ステッチ層を形成するために複数のシートを同心円状にステッチ溶接することと、
二重壁式チタニウム導管の内壁と外壁との間に前記ステッチ層を提供することと、
溶接されたアセンブリを作成するために、内壁及び外壁をステッチ層に周方向にシーム溶接することと、
ステッチ溶接線に従って複数の同心円状のシートの間に内部構造を形成し、内壁と、ステッチ層と、外壁との間で拡散接合プロセスを可能にするために、ある温度及び圧力で溶接されたアセンブリを型成形することと、
型から二重壁式チタニウム導管を取り外すことと
を含む方法。
条項2. 内部構造は、内壁と外壁との間を延びる少なくとも1つの補強材を備える、条項1に記載の方法。
条項3. ステッチ溶接することは、内部構造の大きさ及び形状を形成する複数のシート上にパターンを作成する、条項1又は2に記載の方法。
条項4. 二重壁式チタニウム導管は、管状の構造である、条項1から3の何れか一項に記載の方法。
条項5. 二重壁式チタニウム導管は、楕円形上を有する、条項1から4の何れか一項に記載の方法。
条項6. 二重壁式管を製造する方法であって、
二重壁式管の内部構造を超塑性的に成形することと、
二重壁式管の外壁と、内壁と、内部構造とを拡散接合することと
を含み、超可塑的に成形すること及び拡散接合することは、
実質的に密接した同心円状のシームレス管材を配置することと、
ステッチパターンを含むステッチ層を作成するために、圧延管材シーム溶接機でシームレス管材をステッチ溶接することと、
溶接された管アセンブリを作成するために、外壁の同心円状外面シートを内壁及びステッチ層に周方向にシーム溶接することと、
円筒型を溶接された管アセンブリに挿入することと、
溶接された管アセンブリを加熱された型に入れることと、
溶接された管アセンブリをある温度まで上昇させることと、
ステッチパターンに従って内部構造を形成するために溶接された管アセンブリを加圧することと、
外壁と内壁との間での拡散接合プロセスのために圧力を保持することと、
加熱された型から生じた管部分を取り外し、生じた管部分を冷却することと
を更に含む方法。
条項7. 同心円状のシームレス管材は、ステッチ溶接中の接触が可能となるように、およそ一致した直径を有する、条項6に記載の方法。
条項8. 酸化を取り除くためにシームレス管材を洗浄することを更に含む、条項6又は7に記載の方法。
条項9. シームレス管材をステッチ溶接することは、シームレス管材の長さに沿ってステッチパターンを作成することを含む、条項6から8の何れか一項に記載の方法。
条項10. 外壁の外面シートを内壁及びステッチ層に周方向にシーム溶接することは、
第1の外面シートと第2の外面シートとの間に内壁を置くことと、
第1の外面シートと、第2の外面シートと、内壁との端部の周囲を周方向に溶接することと
を含む、条項6から9の何れか一項に記載の方法。
条項11. 溶接された管アセンブリを加熱された型に入れることは、溶接された管アセンブリを下型及び上型に入れることを含む、条項6から10の何れか一項に記載の方法。
条項12. 溶接された管アセンブリをある温度まで上昇させることは、溶接された管アセンブリを約1450°Fから約1850°Fまでの範囲の温度に加熱することを含む、条項6から10の何れか一項に記載の方法。
条項13. 内部構造を形成するために溶接された管アセンブリを加圧することは、
外面シートに加熱された型の輪郭を充填させることと、
ステッチパターンに基づき内壁内部にセルを形成するために、内壁のシームレス管材を加圧することと
を含む、条項6から12の何れか一項に記載の方法。
条項14. 内部構造を形成するために溶接された管アセンブリを加圧することは、約300psiの圧力で加圧することを含む、条項6から13の何れか一項に記載の方法。
条項15. 外壁と内壁との間での拡散接合プロセスのために圧力を保持することは、外壁及び内壁が統合ピースとなるように、外壁及び内壁に拡散接合プロセスを実施可能とさせるために、ある期間圧力を保持することを含む、条項6から14の何れか一項に記載の方法。
条項16. 二重壁式チタニウム管構造であって、
内壁と外壁との間を延びる複数の補強材を含む内壁及び外壁を備え、
複数の補強材は、軸方向かつ半径方向の双方に整列され、複数の補強材は、内壁及び外壁に拡散接合される構造。
条項17. 内壁及び外壁は、ある温度及び圧力での型成形に先立ち溶接されるチタニウム耐性(titanium resistance)の複数の同心円状管から生じるファスナを含まない一体式管を備える、条項16に記載の二重壁式チタニウム管構造。
条項18. 複数の補強材は、連続的な内面荷重経路を提供する、条項16又は17に記載の二重壁式チタニウム管構造。
条項19. 複数の補強材は、ステッチパターンを作成するために、圧延管材シーム溶接機でシームレス管材をステッチ溶接することと、ステッチパターンに従って内部構造を形成するために、溶接されたシームレス管材を加圧することとに基づいている、条項16から18の何れか一項に記載の二重壁式チタニウム管構造。
条項20. 内壁及び外壁は、拡散接合される、条項16から19の何れか一項に記載の二重壁式チタニウム管構造。
【0047】
種々の有利なアレンジの説明は、例示及び説明を目的として提示されており、包括的な説明であること、又は開示された形態の実施形態に限定することを意図しているのではない。当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかだろう。更に、種々の有利な実施形態は、他の有利な実施形態と比べて異なる利点を特徴付けることもある。選択された一又は複数の実施形態は、実施形態の原理、実際の適用を最もよく説明するため、及び、他の当業者が、想定される特定の用途に適する様々な修正例を伴う様々な実施形態の開示内容を理解することを可能にするために、選ばれ、かつ説明されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9