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特許7134291仮貼組成物、仮貼膜、複合膜、及び、半導体ウエハーパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】仮貼組成物、仮貼膜、複合膜、及び、半導体ウエハーパッケージ
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/02 20060101AFI20220902BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20220902BHJP
   C08G 18/64 20060101ALI20220902BHJP
   C09J 175/00 20060101ALI20220902BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220902BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220902BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20220902BHJP
   C09J 177/00 20060101ALI20220902BHJP
   C09J 179/08 20060101ALI20220902BHJP
   C09J 179/04 20060101ALI20220902BHJP
   C08G 18/80 20060101ALN20220902BHJP
【FI】
C09J201/02
C08G73/10
C08G18/64 038
C09J175/00
C09J11/04
C09J11/06
C09J7/30
C09J177/00
C09J179/08 Z
C09J179/04 A
C08G18/80
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021070359
(22)【出願日】2021-04-19
(62)【分割の表示】P 2019236329の分割
【原出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021119233
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】108128361
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】513205226
【氏名又は名称】達興材料股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Daxin Materials Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】李政緯
(72)【発明者】
【氏名】卓珮綺
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼竣鴻
(72)【発明者】
【氏名】楊▲敏▼麒
(72)【発明者】
【氏名】林季延
(72)【発明者】
【氏名】▲廖▼元利
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-325332(JP,A)
【文献】国際公開第2015/182469(WO,A1)
【文献】小谷真志、外2名,三次元パッケージ技術を志向した高耐熱ポリイミド接着材と薄ウェーハハンドリングへの適用,電子情報通信学会論文誌 C,日本,2012年11月01日,Vol.J95-C No.11,Page.447-454
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端封止剤により保護されるイソシアネート基を有するブロック型イソシアネート基、アルケニルエーテル基、及び、アルコキシメチル基、の群から選ばれる少なくとも2つの官能基を含有する化合物を含む多官能性架橋剤と、
前記多官能性架橋剤と反応可能な官能基を有し、ヒドロキシ基、カルボキシ基もしくはアミノ基における少なくとも1つの官能基を含み、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニルを含まない、ポリアミド酸、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、それらの共重合体又は混合物であるポリマーと、
溶剤と、
を含む仮貼組成物。
【請求項2】
前記多官能性架橋剤は、少なくとも2つのブロック型イソシアネート基を含有する化合物、少なくとも2つのアルケニルエーテル基を含有する化合物、及び、少なくとも2つのアルコキシメチル基を含有する化合物、の中の少なくとも1つを含む請求項1に記載の仮貼組成物。
【請求項3】
前記末端封止剤は、ブロック型イソシアネート基が90℃~200℃の温度範囲で加熱されると解離する構造を有している請求項1に記載の仮貼組成物。
【請求項4】
少なくとも2つのブロック型イソシアネート基を含有する前記化合物は、式(I)に示す構造を有し、
【化1】

1は2以上の整数であり、R1は置換又は非置換のアルキレン基、脂環式基、芳香環基、イソシアネート二量体又はイソシアネート三量体を含む有機基であり、R2はそれぞれ独立して前記末端封止剤の残基であり、
少なくとも2つのアルケニルエーテル基を含有する前記化合物は、式(II)に示す構造を有し、
【化2】

4は置換又は非置換のアルキレン基、脂環族又は芳香環を含む有機基であり、n2は2以上の整数であり、
少なくとも2つのアルコキシメチル基を含有する前記化合物は、式(III)、式(IV)又は式(V)に示す構造を有し、
【化3】

5、R7、R8及びR10はそれぞれ独立してアルキル基、脂環族又は芳香環を含む有機基又は水素であり、R6、R9及びR11は芳香環又は複素環を含む有機基であり、n3、n4及びn5はそれぞれ独立して2以上の整数である請求項2に記載の仮貼組成物。
【請求項5】
有機顔料、無機顔料又は染料である光遮蔽材を更に備える請求項1に記載の仮貼組成物。
【請求項6】
前記無機顔料は、カーボンブラック、チタンブラック、酸化チタン、酸化鉄、チタン窒化物又はシリカヒュームである請求項5に記載の仮貼組成物。
【請求項7】
末端封止剤により保護されるイソシアネート基を有するブロック型イソシアネート基、アルケニルエーテル基、及び、アルコキシメチル基、の群から選ばれる少なくとも2つの官能基を含有する化合物を含む多官能性架橋剤と、
前記多官能性架橋剤と反応可能な官能基を有し、ヒドロキシ基、カルボキシ基もしくはアミノ基における少なくとも1つの官能基を含み、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニルを含まない、ポリアミド酸、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、それらの共重合体又は混合物であるポリマーと、
光遮蔽材と、
を含む仮貼膜。
【請求項8】
ガラス転移温度(Tg)が200℃よりも低い請求項7に記載の仮貼膜。
【請求項9】
剥離可能な支持膜と、
前記剥離可能な支持膜の表面に設けられる請求項7又は8に記載の仮貼膜と、
を備える複合膜。
【請求項10】
請求項1~6の何れか1項に記載の仮貼組成物を備える半導体ウエハーパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮貼組成物、仮貼膜、複合膜、及び、半導体ウエハーパッケージに関し、特に、良好な熱圧着性及び耐溶剤性を持つ仮貼組成物、仮貼膜、複合膜及び半導体ウエハーパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の薄型化に伴い、仮貼/剥離技術は、近年開発された重要な技術の1つになっている。一般的に、被加工物(例えば、ウエハー)を、後の加工処理を行うことができるように、仮貼剤によって支持基板に接着する必要があり、加工が終了した後、仮貼剤を除去して加工物を支持基板から分離させる。
【0003】
しかし、従来の仮貼技術において、接着層が圧着過程中に接着特性を主とするので、例えば、スピンコート、ワイヤーバーコート等のような厚膜をコーティングする場合、縁部が厚くなる現象があり、高歪量で越流無しの品質を達成することができない。また耐薬品性を考慮する同時に30~40μmの厚い縁部の段差を平坦化することができない。また厚膜の圧着時に圧着キャリアの変形や屈曲性の不足により、縁部に未圧着領域が生じることがある。
【0004】
これにより、仮貼組成物に同時に優れた熱圧着性及び耐溶剤性の両方の効果を持たせるように、如何に仮貼組成物のレシピを改良し、また適切な剥離方法に組み合わせるかは、当業者の努力する目標となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、異なる成分及びレシピによって優れた熱圧着性及び耐溶剤性が両立される、仮貼組成物、仮貼膜及びそれらを使用する複合膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、末端封止剤により保護されるイソシアネート基を有するブロック型イソシアネート基、アルケニルエーテル基、及び、アルコキシメチル基の群から選ばれる少なくとも2つの官能基を含有する化合物を含む多官能性架橋剤と、多官能性架橋剤と反応可能な官能基を有するポリマーと、溶剤と、を含む仮貼組成物を提供する。
【0007】
前記実施形態の仮貼組成物によれば、ポリマーは、ヒドロキシ基、カルボキシ基もしくはアミノ基の中の少なくとも1つの官能基を含み、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニルを含まない、ポリアミド酸、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、それらの共重合体又は混合物であってよい。
【0008】
前記実施形態の仮貼組成物によれば、多官能性架橋剤は、少なくとも2つのブロック型イソシアネート基を含有する化合物、少なくとも2つのアルケニルエーテル基を含有する化合物、及び、少なくとも2つのアルコキシメチル基を含有する化合物、の中の少なくとも1つを含んでよい。
【0009】
前記実施形態の仮貼組成物によれば、末端封止剤は、ブロック型イソシアネート基が90℃~200℃の温度範囲で加熱されると解離する構造を有してよい。
【0010】
前記実施形態の仮貼組成物によれば、少なくとも2つのブロック型イソシアネート基を含有する前記化合物は、式(I)に示す構造を有してよい。
【0011】
【化1】
【0012】
1は2以上の整数であり、R1は置換又は非置換のアルキレン基、脂環式基、芳香環基、イソシアネート二量体又はイソシアネート三量体を含む有機基であり、R2はそれぞれ独立して末端封止剤の残基である。
少なくとも2つのアルケニルエーテル基を含有する前記化合物は式(II)に示す構造を有してよい。
【0013】
【化2】
【0014】
4は置換又は非置換のアルキレン基、脂環族又は芳香環を含む有機基であり、n2は2以上の整数である。
少なくとも2つのアルコキシメチル基を含有する前記化合物は、式(III)、式(IV)又は式(V)に示す構造を有してよい。
【0015】
【化3】
【0016】
5、R7、R8及びR10はそれぞれ独立してアルキル基、脂環族又は芳香環を含む有機基又は水素であり、R6、R9及びR11は芳香環又は複素環を含む有機基であり、n3、n4及びn5はそれぞれ独立して2以上の整数である。
【0017】
前記実施形態の仮貼組成物によれば、有機顔料、無機顔料又は染料であってよい光遮蔽材を更に含んでよい。
【0018】
前記実施形態の仮貼組成物によれば、無機顔料は、カーボンブラック、チタンブラック、酸化チタン、酸化鉄、チタン窒化物又はシリカヒュームであってよい。
【0019】
本発明の別の実施形態は、末端封止剤により保護されるイソシアネート基を有するブロック型イソシアネート基、アルケニルエーテル基、及び、アルコキシメチル基、の群から選ばれる少なくとも2つの官能基を含有する化合物を含む多官能性架橋剤と、ポリマー多官能性架橋剤と反応可能な官能基を有し、ヒドロキシ基、カルボキシ基もしくはアミノ基の少なくとも1つの官能基を含み、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニルを含まない、ポリアミド酸、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、それらの共重合体又は混合物であるポリマーと、光遮蔽材と、を含む。
【0020】
前記実施形態の仮貼膜によれば、ガラス転移温度(Tg)が200℃よりも低くてよい。
【0021】
本発明のまた1つの実施形態は、剥離可能な支持膜と、剥離可能な支持膜の表面に設けられる前段に記載の仮貼膜と、を備える複合膜を提供する。
【0022】
本発明のまた1つの実施形態は、前段に記載の仮貼組成物を備える半導体ウエハーパッケージを提供する。
【0023】
これにより、本発明の仮貼組成物は、異なる成分及びレシピによって、優れた熱圧着性及び耐溶剤性の両方が得られ、仮貼/剥離技術に有利であり、半導体ウエハーパッケージに適用可能である。
下記図面の説明は、本発明の上記及び他の目的、特徴、メリット及び実施例をより分かりやすくするためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による被加工物の仮貼方法を示す工程フロー図である。
図2図1の実施形態による工程110を示す工程フロー図である。
図3A図1の実施形態による工程110及び工程120を示す工程フロー図である。
図3B図1の実施形態による工程110及び工程120を示す別の工程フロー図である。
図3C図1の実施形態による工程110及び工程120を示すまた別の工程フロー図である。
図4図1の実施形態による工程110を示す別の工程フロー図である。
図5図4の実施形態による工程フロー図である。
図6A】本発明の一実施形態による接合構造を示す側面図である。
図6B】本発明の別の実施形態による接合構造を示す側面図である。
図7】本発明の別の実施形態による被加工物の仮貼方法を示す工程フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の各実施形態をより詳細に検討する。しかしながら、この実施形態は、各種の発明の概念であってよく、様々な特定の範囲に実施されてよい。特定の実施形態は、単に例示するためのものであり、開示された範囲により限定されない。
【0026】
<仮貼組成物>
本発明の仮貼組成物は、多官能性架橋剤、ポリマー及び溶剤を含み、好ましくは、光遮蔽材を更に含んでよい。以下、上記の各成分について詳しく説明する。
【0027】
<多官能性架橋剤>
本実施形態において、多官能性架橋剤は、ブロック型イソシアネート基、アルケニルエーテル基、及び、アルキルメチル基、の群から選ばれる少なくとも2つの官能基を含有する化合物を含む。好ましくは、多官能性架橋剤は、末端封止剤によって保護されるイソシアネート基を有する少なくとも2つのブロック型イソシアネート基を含有する化合物、少なくとも2つのアルケニルエーテル基を含有する化合物、及び、少なくとも2つのアルコキシメチル基を含有する化合物、の中の少なくとも1つを含んでよい。仮貼組成物の合計重量に対して、多官能性架橋剤の添加量は0.5重量%~20重量%であってよく、好ましくは0.8重量%~15重量%であってよく、より好ましくは2重量%~10重量%であってよい。
【0028】
前記の少なくとも2つのブロック型イソシアネート基を含有する化合物によれば、式(I)に示す構造を有してよい。
【0029】
【化4】
【0030】
1は2以上の整数であり、R1は置換又は非置換のアルキレン基、脂環式基、芳香環基、イソシアネート二量体又はイソシアネート三量体を含む有機基である。前記「置換」とは、有機基における任意の原子が別の異種原子により置換されてよいことを意味する。例として、前記置換のアルキル基は、例えば、エーテル基を含む有機基のように、任意の-CH2-が酸素原子(-O-)、-CH=CH-又は-C≡C-により置換されてよい。前記置換の芳香環基における任意の炭素原子は、N原子により置換されてよいが、これに限定されない。R2はそれぞれ独立して末端封止剤の残基である。
【0031】
前記末端封止剤は、アルコール類、フェノール類、ピリジン類、オキシム類、チオール類、チオフェノール類、アミド類、環状アミド類、イミド類、イミダゾリン類、イミダゾール類、トリアゾール類、アミジン類、ヒドロキサメート類、ピラゾール類、アミン類、ギ酸塩類、活性メチレン類、尿素類又はジケトン類であってよいが、これらに限定されない。好ましくは、末端封止剤は、ブタノール、エタノール、イソプロパノール、フェノール、メチルフェノール、エチルフェノール、シクロヘキサノール、ブチルセロソルブ、2-ブチルフェノール、2-ヒドロキシピリジン、ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトンオキシム、アセトアルデヒドオキシム、1-ドデシルメルカプタン、ペンタフルオロチオフェノール、チオフェノール、アセトアニリド、メチルアセトアニリド、カプロラクタム、ブチロラクタム、バレロラクタム、マレイミド、スクシンイミド、2-フェニルイミダゾール、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、3,5-ジメチルピラゾール、3-メチルピラゾール、2-メチル-4-エチル-5-メチルピラゾール、ジイソプロピルアミン、アニリン、マロン酸エチル、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、マロン酸ジエチル、フェニル尿素又はチオ尿素であってよいが、これらに限定されない。また、半導体ウエハーパッケージのプロセス温度によって、その末端封止剤として、好ましくは、例えば、カプロラクタム、ブタノンオキシム、又はマロン酸エチル等のような、90℃~200℃の温度範囲で加熱されると解離する構造を選択してよい。
【0032】
また、前記式(I)の化合物は、加熱された後で、イソシアネート基を有する架橋反応し得る構造を生じ、樹脂と反応し、それは、構造が式(i-1)、式(i-2)、式(i-3)、式(i-4)、式(i-5)、式(i-6)、式(i-7)及び式(i-8)の何れか1つに示す官能基であってよいが、これらに限定されない。R3は、置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環族又は芳香族を含む2価の有機基である。
【0033】
【化5】
【0034】
少なくとも2つのアルケニルエーテル基を含有する前記の化合物によれば、式(II)に示す構造を有してよい。
【0035】
【化6】
【0036】
4は置換又は非置換のアルキレン基、脂環族又は芳香環を含む有機基である。前記「置換」とは、有機基における任意の原子が別のヘ異種原子により置換されてよいことを意味する。例として、前記置換のアルキル基は、例えば、エーテル基を含む有機基のように、任意の-CH2-が酸素原子(-O-)、-CH=CH-又は-C≡C-により置換されてよい。前記置換の芳香環基における任意の炭素原子は、N原子により置換されてよいが、これに限定されない。n2は2以上の整数である。式(II)の化合物は、具体的に、構造が式(II-1)、式(II-2)、式(II-3)及び式(II-4)の何れか1つに示す化合物であってよいが、これらに限定されない。xは1以上の整数である。
【0037】
【化7】
【0038】
少なくとも2つのアルコキシメチル基を含有する前記の化合物によれば、式(III)、式(IV)及び式(V)に示す構造を有してよい。
【0039】
【化8】
【0040】
5、R7、R8及びR10はそれぞれ独立してアルキル基、脂環族又は芳香環を含む有機基又は水素であり、好ましくアルキル基を含有する有機基である。R6、R9及びR11は芳香環又は複素環を含む有機基である。n3、n4及びn5はそれぞれ独立して2以上の整数である。式(III)の化合物は、具体的に、構造が式(III-1)、式(III-2)、式(III-3)、式(III-4)及び式(III-5)の何れか1つに示す化合物であってよいが、これらに限定されない。
【0041】
【化9】
【0042】
式(IV)の化合物は、具体的に、構造が式(IV-1)、式(IV-2)及び式(IV-3)の何れか1つに示す化合物であってよいが、これらに限定されない。
【0043】
【化10】

【0044】
式(V)の化合物は、具体的に、構造が式(V-1)に示す化合物であってよいが、これらに限定されない。
【0045】
【化11】

【0046】
<ポリマー>
本実施形態において、ポリマーは、多官能性架橋剤と反応可能な官能基を有する。詳しく言えば、ポリマーは、ヒドロキシ基、カルボキシ基又はアミノ基の中の少なくとも1つの官能基を含むポリアミド酸、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール(polybenzoxazole;PBO)、それらの共重合体又は混合物であってよい。仮貼組成物の合計重量に対して、ポリマーの添加量は、5重量%~60重量%であってよく、好ましくは、10重量%~55重量%であってよく、より好ましくは10重量%~52重量%であってよい。
【0047】
<溶剤>
本実施形態において、溶剤は、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、γ-ブチロラクタム、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等を含んでよいがこれらに限定されない有機溶剤であってよい。前記溶剤は、2種以上を混合して使用してもよく、また、ここでの溶剤として、ポリマーを溶解可能な溶剤又は2種以上を混合した溶剤であれば、何れも使用されてよい。仮貼組成物の合計重量に対して、溶剤の添加量は、5重量%~95重量%であってよく、好ましく20重量%~80重量%であってよい。
【0048】
<光遮蔽材>
本実施形態において、仮貼材料の剥離時の使用される光源の波長範囲に応じて、必要によって光遮蔽材を追加してよい。光遮蔽材を本発明材料に加えると、剥離時の使用可能な光源の波長範囲を広げることができる。前記の光遮蔽材は有機顔料、無機顔料又は染料であってよく、無機顔料は、好ましくは、カーボンブラック、チタンブラック、酸化チタン、酸化鉄、チタン窒化物又はシリカヒュームであってよい。仮貼組成物の合計重量に対して、光遮蔽材の添加量は、0重量%~30重量%であってよく、好ましくは、0.5重量%~25重量%であってよい。
【0049】
<仮貼膜&複合膜>
本発明に開示される仮貼膜の一実施形態は、多官能性架橋剤、ポリマー及び光遮蔽材を含む。多官能性架橋剤、ポリマー及び光遮蔽材については、前文を参照してよいので、ここで繰り返して説明しない。また、本発明の仮貼膜のガラス転移温度(Tg)は200℃よりも低くてよい。
【0050】
本発明の複合膜は、剥離可能な支持膜、及び剥離可能な支持膜の表面に設けられる仮貼膜を含む。詳しく言えば、仮貼膜は、多官能性架橋剤、ポリマー、光遮蔽材及び溶剤を混合してから剥離可能な支持膜の表面にコーティングし、溶剤の一部又は全部を加熱し除去してから得られ、且つ複合膜における仮貼膜は剥離可能である。
【0051】
前記剥離可能な支持膜は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の膜厚15~200μmの合成樹脂フィルムを含んでよいが、これらに限定されない。また、前記コーティング方法は、スピンコート、スリットコーティング、ワイヤーバーコート、スクリーン印刷等を含んでよいが、これらに限定されない。
【0052】
<被加工物の仮貼方法>
本発明の一実施形態による被加工物の仮貼方法100の工程フロー図を示す図1を参照する。被加工物の仮貼方法100は、工程110、工程120、工程130、工程140及び工程150を含む。
【0053】
工程110は、少なくとも1つの基板及び/又は少なくとも1つの被加工物の表面に接着層を形成する結合工程である。詳しく言えば、接着層は、基板の表面のみに、或いは、被加工物の表面のみに、或いは、同時に基板の表面と被加工物の表面に設けられてよい。また、基板の数と被加工物との数は、一対一の関係、多対一の関係又は一対多の関係であってよい。つまり、本発明の被加工物の仮貼方法100によれば、1つの基板で1つの被加工物を支持し、或いは、複数の基板で共に1つの被加工物を支持し、或いは、1つの基板で同時に複数の被加工物を支持してよい。
【0054】
前記接着層は仮貼組成物からなり、仮貼組成物については、前文を参照してよいので、ここで繰り返して説明しない。前記被加工物は、チップ、ウエハー、又は半導体製造におけるマイクロデバイスであってよいが、これらに限定されない。半導体製造におけるマイクロデバイスは、ウエハーに多層構造の堆積、配線等の冶金処理をした後で切断して得られるマイクロデバイスであってよいが、これらに限定されない。マイクロデバイスの具体例としては、電界効果トランジスタ、光学センサ、ロジックウエハー、ノーン・グッド・ダイ(Known Good Die;KGD)を含むが、これらに限定されず、且つ前記マイクロデバイスにおけるサイズが1μm~数mmである。前記基板は、ガラス、シリコンウエハー又はレーザー透過性の他の材料で製造されてよい。
【0055】
工程120は、基板と被加工物とを接着層によって接着して結合させる接着工程である。説明の便宜上、以下、基板と被加工物とを接着層によって接着して結合させてなる構造を接合構造と称する。詳しく言えば、工程120は、被加工物、接着層、基板に温度及び圧力をかけて接着させるホットプレスによって達成されてよく、温度が室温~250℃であってよく、圧力が0.5kgf/cm2~5kgf/cm2であってよい。
【0056】
工程130は、基板と被加工物を加熱する第2の加熱工程である。架橋硬化反応を行うように、第2の加熱工程の温度範囲が90℃~200℃であってよく、又は多官能性架橋剤の官能基の選択のような、実際の要求に応じて、第2の加熱工程の温度と時間を適切に調整してよい。
【0057】
工程140は、被加工物を加工する加工工程である。加工形態としては、銅メッキ、エッチング、研磨、貼付け又は印刷を含んでよいが、これらに限定されない。
【0058】
工程150は、接着層にレーザーを照射して、被加工物と基板とを分離させる剥離工程である。前記レーザーは、YAGレーザー、ルビーレーザー、YVO4レーザー、ファイバーレーザー等の固体レーザー、色素レーザー等の液体レーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー、Arレーザー、He-Neレーザー等のガスレーザー、半導体レーザー、半導体励起固体レーザー(Diode Pump Solid State Laser;DPSSL)、自由電子レーザー等であってよい。
【0059】
これにより、本発明の仮貼組成物によれば、本発明の被加工物の仮貼方法100は、被加工物を基板に容易に仮固定することができる。つまり加工過程において、被加工物を基板に安定的に固定して、加工が終了した後で、被加工物と基板とを簡単に分離させ、簡単に仮貼組成物を被加工物からきれいに除去することができる。また、本発明の被加工物の仮貼方法100は、高温プロセスに有利であるので、半導体プロセスにおける仮貼/剥離技術とされてよい。例えば、被加工物はウエハーであってよく、基板は支持基板であってよい。支持基板によってウエハーの加工過程中に必要な支持力を提供することで、ウエハーが加工過程中に破裂することを防ぐことができ、加工が終了した後で、またウエハーと支持基板とを分離させる。
【0060】
図1の実施形態による工程110の工程フロー図を示す図2を参照する。図2において、工程110は、工程111及び工程112を含んでよい。
【0061】
工程111は、仮貼組成物を基板及び/又は被加工物の表面にコーティングするコーティング工程である。コーティング方法としては、スピンコート、スリットコーティング、ワイヤーバーコート、スクリーン印刷等を含んでよいが、これらに限定されない。
【0062】
工程112は、仮貼組成物を加熱して接着層に転換させる第1の加熱工程である。工程112は、50℃~200℃の温度で0.5時間~2時間行われてよく、その主な目的が仮貼組成物における溶剤の一部又は全部を除去し、溶剤の種類又は溶剤含有量のような、実際の要求に応じて、工程112の温度と時間を適切に調整することができることにある。
【0063】
図3A図3B及び図3Cを参照する。図3Aは、図1の実施形態による工程110及び工程120を示す工程フロー図である。図3Bは、図1の実施形態による工程110及び工程120を示す別の工程フロー図である。図3Cは、図1の実施形態による工程110及び工程120のまた別の工程フロー図である。
図3Aに示すように、工程110は、工程111及び工程112を含み、工程111を行う場合、仮貼組成物330を基板310の表面(特に付番せず)にコーティングしてよい。その後、仮貼組成物330を加熱して接着層340に転換させる工程112を行い、次に、基板310と被加工物320とを接着層340によって接着して結合させる工程120を行って、接合構造300を形成する。
或いは、図3Bに示すように、仮貼組成物330を被加工物320の表面(特に付番せず)にコーティングして、工程120を行う前に被加工物320を裏返して、仮貼組成物330を基板310に向かわせて接合構造300を形成してよい。
或いは、図3Cに示すように、仮貼組成物330を同時に被加工物320の表面(特に付番せず)及び基板310の表面(特に付番せず)にコーティングして、工程120を行う前に被加工物320を裏返して、被加工物320の接着層340を基板310の接着層340に向けて接合構造300を形成してよい。図3B及び図3Cの他の細部については、図3Aと同じであってよいので、ここで繰り返して説明しない。
【0064】
図1の実施形態による工程110の別の工程フロー図を示す図4を参照する。図4において、工程110は、工程113及び工程114を含んでよい。
【0065】
工程113は、複合膜を提供する工程である。複合膜については、前文を参照してよいので、ここで繰り返して説明しない。
【0066】
工程114は、基板及び/又は被加工物の表面と複合膜の仮貼膜とを接触して加熱させて、仮貼膜を基板及び/又は被加工物の表面に転写させ接着層に転換させる転写工程である。詳しく言えば、工程114は、50℃~200℃の温度で加熱し、ローリング又は真空熱プレスに合わせて、仮貼膜を基板及び/又は被加工物の表面に転写させる。剥離可能な支持膜を除去した後でも、引き続き50℃~200℃の温度で約0.5時間~2時間加熱して、仮貼膜を接着層に転換させてから、接着接合を行ってよい。工程114において、加熱の主な目的は、仮貼膜を軟化することにあり、転写に有利であるので、ガラス転移温度を調整することで後の転写効果を向上させることができる。
【0067】
図4の実施形態による工程フロー図を示す図5を参照する。図5に示すように、工程113は、剥離可能な支持膜550a及び仮貼膜550bを含む複合膜(特に付番せず)を提供する工程である。仮貼膜550bは、多官能性架橋剤、ポリマー、光遮蔽材及び溶剤を混合した後で、剥離可能な支持膜550aの表面(特に付番せず)にコーティングして、溶剤の一部又は全部を加熱し除去して得られる。その後、基板510の表面(特に付番せず)と複合膜の仮貼膜550bとを接触させて加熱して、仮貼膜550bを基板510の表面に転写させる工程114を行い、剥離可能な支持膜550aを除去した後でも、引き続き加熱して仮貼膜550bを接着層540に転換させ、残りの溶剤を去除し、その後、基板510と被加工物520とを接着層540によって接着して結合させる接着工程を行って、接合構造500を形成する。図5において、仮貼膜550bを基板510に転写するが、本発明はこれに限定されない。実際の作業上、仮貼膜550bを被加工物520に転写し、或いは、仮貼膜550bを同時に基板510と被加工物520に転写してから、接着工程を行うように変えてもよい。また、図5において、基板510と被加工物520の数、形及びサイズの何れも例示だけであり、本発明はこれに限定されない。
【0068】
図6A及び図6Bを参照する。図6Aは、本発明の一実施形態による接合構造600aを示す側面図である。図6Bは、本発明の別の実施形態による接合構造600bを示す側面図である。
図6Aに示すように、接合構造600aは基板610a、2つの被加工物620aを含み、且つ基板610aと被加工物620aとが接着層640aによって接着され結合される。本実施形態において、基板610aと被加工物620aとの数は、一対多の関係である。
また、図6Bに示すように、接合構造600bは2つの基板610b、被加工物620bを含み、且つ基板610bと被加工物620bとが接着層640bによって接着され結合される。本実施形態において、基板610bと被加工物620bとの数は、多対一の関係である。
【0069】
図3A図3C図5図6A及び図6Bから分かるように、本発明において、基板と被加工物との数の関係は、一対一、一対多又は多対一の関係であってよい。また、図3A図3C図5図6A及び図6Bにおいて、基板と被加工物の数、形及びサイズの何れも例示だけであり、本発明はこれに限定されない。
【0070】
本発明の別の実施形態による被加工物の仮貼方法700の工程フロー図を示す図7を参照する。被加工物の仮貼方法700は、工程710、工程720、工程730、工程740、工程750及び工程760を含む。
【0071】
工程710は結合工程であり、工程720は接着工程であり、工程730は第2の加熱工程であり、工程740は加工工程であり、工程750は剥離工程である。工程710~750については、図1における工程110~工程150の関連説明を参照してよいので、ここで繰り返して説明しない。
【0072】
工程760は、剥離工程の後、洗浄溶剤によって被加工物に残った接着層を溶解し除去する溶解工程である。前記洗浄溶剤としては、N,N-ジエチルホルムアミド(N,N-diethyl formamide;DEF)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、N-メチルピロリジノン(N-methyl pyrrolidinone;NMP)又はγ-ブチロラクトン(gamma-butyl lactone;GBL)であってよいが、これらに限定されない。しかし、環境又は人体に対する有害性の少ない溶剤を選択するために、本発明の洗浄溶剤は、好ましくは、主溶剤としてN,N-ジエチルホルムアミドを使用する。
【0073】
<ポリマーの調製方法>
本発明に開示されるポリマーの一実施形態では、ジアミンと二無水物を反応体として、有機溶剤において重縮合反応を行い、反応量に応じて調整し、25℃~50℃の温度で8~12時間撹拌して、ポリアミド酸を含む反応溶液を得ることができる。ポリアミド酸を含む上記反応溶液にトルエンを加えて120℃~150℃の温度で3~6時間の還流脱水閉環反応を行って、アミド酸/イミド共重合体又はポリイミドを含む反応溶液を得る。(アミド酸/イミド)共重合体は部分的に環化されたポリアミド酸であり、環化率が70%以上であり、好ましくは90%以上である。最後に、上記の(アミド酸/イミド)共重合体又はポリイミド反応溶液からトルエンを留去して、減圧蒸留して又は有機溶剤を加えるように固形分を調整すると、(アミド酸/イミド)共重合体溶液又はポリイミド溶液を得ることができる。
【0074】
前記有機溶剤は、反応物及び生成物を溶解することに用いられ、高溶解度の有機溶剤及び低溶解度の有機溶剤を含む。高溶解度の有機溶剤としては、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、γ-ブチロラクトン、ピリジンを含むが、これらに限定されない。低溶解度の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンを含むが、これらに限定されない。以上の有機溶剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。有機溶剤が反応物及び生成物を溶解するために使用されるため、反応物及び生成物を溶解できる有機溶剤であれば、何れも使用してよいが、上記に限定されない。
【0075】
<半導体ウエハーパッケージ>
本発明の半導体ウエハーパッケージは、前記の仮貼組成物を含む。仮貼組成物については、上文を参照するが、ここで繰り返して説明しなく、半導体ウエハーパッケージの構造と製造方法については、慣用されるので、ここで繰り返して説明しない。
【0076】
<評価方法>
熱圧着性:2Kg/cm2で、仮貼組成物と基板及び/又は被加工物の表面に対して圧着を行い、圧着後の貼合面の割合を判断する。95%よりも大きい貼合面は優、95%~75%の間にある貼合面は良好、75%~50%の間にある貼合面は可、50%よりも小さい貼合面は不良を示す。
【0077】
ポストベーキング後の耐溶剤性:仮貼組成物を加熱によってポストベーキングして成膜させた後で、70℃の溶剤(AP7880T、Pin Chemical Technologyから購入)に浸し、膜損失の程度を判断する。10%よりも小さい膜損失は優、10%~20%の間にある膜損失は良好、20%~40%の間にある膜損失は可、40%よりも大きい膜損失は不良を示す。
【0078】
レーザー剥離性:剥離が生じるまで接着層にレーザーを照射して、2W以上及び5Wよりも小さい累積レーザパワーは良、5W以上及び8Wよりも小さい累積レーザパワーは可、8Wよりも大きい累積レーザパワーは不良を示す。
【0079】
<合成例>
合成例で使用されるジアミンを表1に示した。表1において、ジアミン(A-1)の商品名はBisAPAFであり、ジアミン(A-2)の商品名はJEFFAMINE-D400であり、yは商品仕様次第であった。
【0080】
【表1】
【0081】
合成例で使用される二酸無水物を表2に示した。表2において、二酸無水物(B-1)の商品名はBPADAであった。
【0082】
【表2】
【0083】
ジアミン及び二酸無水物を表3に示す成分比率に従い、順に溶剤に加え、固形分20wt%の(アミド酸/イミド)共重合体溶液又はポリイミド溶液を調製した。具体的に、ジアミン及び二酸無水物を表3に示す成分比率に従い、有機溶剤において重縮合反応させて、反応量に応じて調整し、25℃~50℃の温度で8~12時間撹拌して、ポリアミド酸を含む反応溶液を得た。ポリアミド酸を含む上記反応溶液にトルエンを加えて120℃~150℃の温度で3~6時間の還流脱水閉環反応を行って、アミド酸/イミド共重合体又はポリイミドを含む反応溶液を得、(アミド酸/イミド)共重合体の環化率が90%であった。最後に、上記の(アミド酸/イミド)共重合体又はポリイミド反応溶液からトルエンを留去して、減圧蒸留して又は有機溶剤を加えるように固形分を調整すると、固形分20wt%の(アミド酸/イミド)共重合体溶液又はポリイミド溶液を得ることができた。
【0084】
【表3】
【0085】
<実施例/比較例>
実施例/比較例で使用される多官能性架橋剤を表4、表5に示した。表4、5において、多官能性架橋剤(a-1)、(a-2)及び(a-3)はイソシアネート基に末端封止剤を組み合わせた少なくとも2つのブロック型イソシアネート基を含有する化合物であり、多官能性架橋剤(b-1)及び(b-2)は少なくとも2つのアルケニルエーテル基を含有する化合物であり、多官能性架橋剤(c-1)及び(c-2)は少なくとも2つのアルコキシメチル基を含有する化合物であった。また、多官能性架橋剤(d-1)はエポキシ化合物の熱架橋剤であるが、多官能性架橋剤(d-2)は非ブロック型イソシアネートであった。
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
実施例/比較例で使用される光遮蔽材は、達興材料(Daxin Materials Corp.)から購入され、商品名がPK-127であり、平均粒子径が120nmであるカーボンブラックであった。
【0089】
ポリマー、多官能性架橋剤、溶剤及び光遮蔽材で、表6、表7に示す種類と成分比率に従い実施例/比較例の仮貼組成物を調製した。
【0090】
【表6】
【0091】
【表7】
【0092】
実施例/比較例の接合構造に対して熱圧着性、ポストベーキング後の耐溶剤性、レーザー剥離性等の評価を行い、各実施例/比較例に使用されるレーザー波長及び評価結果を表8、表9に示した。
【0093】
【表8】
【0094】
【表9】
【0095】
表6、表7及び表8、表9から分かるように、比較例1のポリマーはOH官能基を含まず、比較例1のポストベーキング後の耐溶剤性が悪い。また、比較例2~比較例4の多官能性架橋剤は実施例1~実施例10と異なる。比較例2は本発明の多官能性架橋剤を加えておらず、比較例3の多官能性架橋剤はエポキシ基構造を有し、比較例4の多官能性架橋剤は非ブロック型イソシアネートである。これにより、本発明の多官能性架橋剤を加えておらず、また本発明でない多官能性架橋剤を使用すると、何れの場合にも優れた熱圧着性及び耐溶剤性を同時に持つことができないことが判明した。従って、本発明の実施例1~実施例10の仮貼組成物によれば、熱圧着性が何れも優、良好又は可であり、ポストベーキング後の耐溶剤性の何れも優又は良好であり、レーザー剥離性の何れも優又は良好である。よって、本発明の仮貼組成物は優れた熱圧着性及び耐溶剤性を同時に持つことが明らかであり、仮貼/剥離技術の適用に有利である。
【0096】
本発明の実施形態を前記の通りに開示したが、それは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神や範囲から逸脱せずに、多様の変更や修正を加えてもよいので、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に記載した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0097】
100、700:被加工物の仮貼方法
110、120、130、140、150、111、112、113、114、710、720、730、740、750、760:工程
300、500、600a、600b:接合構造
310、510、610a、610b:基板
320、520、620a、620b:被加工物
330:仮貼組成物
340、540、640a、640b:接着層
550a:剥離可能な支持膜
550b:仮貼膜
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7