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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】排ガス処理装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/60 20060101AFI20220902BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20220902BHJP
   B01J 8/00 20060101ALI20220902BHJP
   B01J 8/12 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
B01D53/60 ZAB
B01D53/82
B01J8/00 C
B01J8/12 331
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021194310
(22)【出願日】2021-11-30
【審査請求日】2021-12-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】野間田 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】今村 彰伸
(72)【発明者】
【氏名】正木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】上田 芳裕
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-068646(JP,A)
【文献】特開2013-052377(JP,A)
【文献】特開昭63-016024(JP,A)
【文献】特開2005-103433(JP,A)
【文献】特開2005-211761(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0040419(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34 - 53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
B01J 8/00 - 8/46
B65G 43/00 - 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質吸着材を収容する複数の吸着塔と、
前記複数の吸着塔を通過するように排ガスを導く排ガス流路と、
前記複数の吸着塔に前記炭素質吸着材をそれぞれ投入する複数の投入装置と、
前記複数の吸着塔から前記炭素質吸着材をそれぞれ切り出す複数の切出装置と、
前記複数の吸着塔における前記炭素質吸着材の充填レベルをそれぞれ検出する複数のレベル検出部と、
前記複数の吸着塔のそれぞれについて、対応する切出装置による前記炭素質吸着材の切り出し速度と、対応するレベル検出部により検出された充填レベルとに基づいて、対応する投入装置による前記炭素質吸着材の投入量を調節する投入制御部と、を備える排ガス処理装置。
【請求項2】
前記複数の吸着塔のそれぞれについて、前記切り出し速度と、前記充填レベルとに基づいて投入時間を算出する投入時間算出部を更に備え、
前記投入制御部は、前記複数の吸着塔のそれぞれについて、前記投入時間算出部により算出された前記投入時間に亘って前記炭素質吸着材を投入するように、前記投入装置を制御する、請求項1記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記投入時間算出部は、前記複数のレベル検出部により検出された充填レベルを平均して平均充填レベルを算出し、前記複数の吸着塔のそれぞれについて、前記切り出し速度と全切出装置の切り出し速度とに基づいて、切り出された炭素質吸着材の量を補うようにフィードフォワード成分を算出し、前記平均充填レベルと前記充填レベルとの偏差を縮小するようにフィードバック成分を算出し、前記フィードフォワード成分に前記フィードバック成分を加算して前記投入時間を算出する、請求項2記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記投入時間算出部は、前記複数の吸着塔のそれぞれについて、前記切り出し速度に相関しないように前記フィードバック成分を算出する、請求項3記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記炭素質吸着材から吸着物を脱離させる脱離塔と、
前記複数の切出装置により切り出された前記炭素質吸着材を前記脱離塔に搬送する第1コンベヤと、
前記脱離塔から前記複数の吸着塔に前記炭素質吸着材を搬送する第2コンベヤと、を更に備え、
前記複数の投入装置は、前記第2コンベヤから前記複数の吸着塔に前記炭素質吸着材をそれぞれ投入する、請求項3又は4記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記脱離塔から前記第2コンベヤに前記炭素質吸着材を切り出す脱離後切出装置と、
前記複数の切出装置による切り出し速度の合計値に基づいて、前記脱離後切出装置に対する脱離後目標速度を算出する速度算出部と、
前記速度算出部により算出された前記脱離後目標速度に対応する速度で前記脱離塔から前記炭素質吸着材を切り出すように前記脱離後切出装置を制御する切出制御部と、を更に備える、請求項5記載の排ガス処理装置。
【請求項7】
前記速度算出部は、目標レベルと、前記平均充填レベルとの偏差に更に基づいて前記脱離後目標速度を算出する、請求項6記載の排ガス処理装置。
【請求項8】
前記投入時間算出部は、前記複数の投入装置のそれぞれに対する前記投入制御部による制御が、前記平均充填レベルと前記充填レベルとの偏差に基づく比例制御となるように前記投入時間を算出し、
前記速度算出部は、前記脱離後切出装置に対する前記切出制御部による制御が、目標レベルと前記平均充填レベルとの偏差に基づく比例・積分制御となるように前記脱離後目標速度を算出する、請求項7記載の排ガス処理装置。
【請求項9】
前記複数の投入装置は前記第2コンベヤに沿って並び、
前記複数の投入装置のそれぞれは、前記第2コンベヤにおける下流側への前記炭素質吸着材の移動を遮断しながら、前記第2コンベヤから、対応する吸着塔に前記炭素質吸着材を投入するように構成され、
前記投入制御部は、前記第2コンベヤの上流側から下流側に向かう順序にて、前記複数の投入装置に順次前記炭素質吸着材の投入を実行させ、
前記複数の投入装置は、第1投入装置と、前記第2コンベヤにおいて第1投入装置よりも一つ下流側に位置する第2投入装置とを含み、
前記投入制御部は、前記第1投入装置が前記炭素質吸着材の投入を停止した後、前記第1投入装置から前記第2投入装置への前記炭素質吸着材の移動時間と、前記第2投入装置に対応する前記投入時間との合計時間が経過するまで、前記第2投入装置による前記炭素質吸着材の投入を継続させる、請求項5~8のいずれか一項記載の排ガス処理装置。
【請求項10】
前記投入制御部は、前記複数の投入装置のうち前記第2コンベヤにおける最下流の投入装置が前記炭素質吸着材を投入している期間に、前記複数の投入装置のうち前記第2コンベヤにおける最上流の投入装置に前記炭素質吸着材の投入を再開させ、前記最上流の投入装置が前記炭素質吸着材の投入を再開した後も、前記最下流の投入装置に前記炭素質吸着材の投入を一時的に継続させる、請求項9記載の排ガス処理装置。
【請求項11】
前記投入制御部は、前記最下流の投入装置に対応する前記投入時間の経過予定タイミングの前に、前記最上流の投入装置から前記最下流の投入装置への前記炭素質吸着材の移動時間を残したタイミングで、前記最上流の投入装置に前記炭素質吸着材の投入を再開させる、請求項10記載の排ガス処理装置。
【請求項12】
前記複数の吸着塔は、前段吸着塔と、後段吸着塔とを含み、
前記排ガス流路は、前記前段吸着塔と、前記後段吸着塔とを順次通過するように排ガスを導き、
前記複数の投入装置は、前記前段吸着塔に対応する前段投入装置と、前記後段吸着塔に対応する後段投入装置とを含み、
前記複数の切出装置は、前記前段吸着塔に対応する前段切出装置と、前記後段吸着塔に対応する後段切出装置とを含み、
前記排ガス処理装置は、
前記炭素質吸着材から吸着物を脱離させる脱離塔と、
前記前段切出装置により切り出された前記炭素質吸着材を前記脱離塔に搬送する第1コンベヤと、
前記脱離塔から前記後段吸着塔に前記炭素質吸着材を搬送する第2コンベヤと、
前記後段切出装置により切り出された前記炭素質吸着材を前記前段吸着塔に搬送する第3コンベヤと、を更に備え、
前記後段投入装置は、前記第2コンベヤから前記後段吸着塔に前記炭素質吸着材を投入し、
前記前段投入装置は、前記第3コンベヤから前記前段吸着塔に前記炭素質吸着材を投入する、請求項3又は4記載の排ガス処理装置。
【請求項13】
前記脱離塔から前記第2コンベヤに前記炭素質吸着材を切り出す脱離後切出装置と、
前記後段切出装置による切り出し速度に基づいて、前記脱離後切出装置に対する脱離後目標速度を算出する速度算出部と、
前記速度算出部により算出された前記脱離後目標速度に対応する速度で前記脱離塔から前記炭素質吸着材を切り出すように前記脱離後切出装置を制御する脱離後切出制御部と、を更に備える、請求項12記載の排ガス処理装置。
【請求項14】
前記速度算出部は、目標レベルと、前記後段吸着塔の充填レベルとの偏差に更に基づいて前記脱離後目標速度を算出する、請求項13記載の排ガス処理装置。
【請求項15】
前記速度算出部は、前記前段切出装置による切り出し速度に基づいて、前記後段切出装置に対する吸着後目標速度を更に算出し、
前記排ガス処理装置は、
前記速度算出部により算出された前記吸着後目標速度に対応する速度で前記後段吸着塔から前記炭素質吸着材を切り出すように前記後段切出装置を制御する吸着後切出制御部を更に備える、請求項13記載の排ガス処理装置。
【請求項16】
前記速度算出部は、目標レベルと、前記後段吸着塔の充填レベルとの偏差に更に基づいて前記脱離後目標速度を算出し、前記目標レベルと、前記前段吸着塔の充填レベルとの偏差に更に基づいて前記吸着後目標速度を算出する、請求項15記載の排ガス処理装置。
【請求項17】
排ガスが通過する複数の吸着塔のそれぞれに対する炭素質吸着材の充填レベルを取得することと、
前記複数の吸着塔のそれぞれについて、前記炭素質吸着材の切り出し速度を取得することと、
前記複数の吸着塔のそれぞれについて、前記炭素質吸着材の切り出し速度と、前記炭素質吸着材の充填レベルとに基づいて、投入装置による炭素質吸着材の投入量を調節することと、を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排ガス所為装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、炭素質吸着材が充填される複数の吸着塔と、複数の吸着塔それぞれの上部に接続され、炭素質吸着材を分配して吸着塔に供給する分配ホッパと、を備える排ガス処理装置であって、分配ホッパ内の炭素質吸着材のレベルを検出するレベル検出手段と、レベル検出手段によって検出された分配ホッパ内の炭素質吸着材のレベルと目標レベルとの差に基づいて、分配ホッパに対する炭素質吸着材の供給を、順次各分配ホッパごとに制御する供給制御手段と、を備える排ガス処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-52377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、より高度な排ガス処理を容易に遂行できる装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る排ガス処理装置は、炭素質吸着材を収容する複数の吸着塔と、複数の吸着塔を通過するように排ガスを導く排ガス流路と、複数の吸着塔に炭素質吸着材をそれぞれ投入する複数の投入装置と、複数の吸着塔から炭素質吸着材をそれぞれ切り出す複数の切出装置と、複数の吸着塔における炭素質吸着材の充填レベルをそれぞれ検出する複数のレベル検出部と、複数の吸着塔のそれぞれについて、対応する切出装置による炭素質吸着材の切り出し速度と、対応するレベル検出部により検出された充填レベルとに基づいて、対応する投入装置による炭素質吸着材の投入量を調節する投入制御部と、を備える。
【0006】
排ガス流路が複数の吸着塔を通過する構成によれば、より高度な排ガス処理が可能となる。しかしながら、排ガス流路が複数の吸着塔を通過する構成においては、複数の吸着塔で、炭素質吸着材に対する物質の付着ペースに差が生じる。高度な排ガス処理性能を維持するためには、付着ペースが速い吸着塔においては、切出装置による切り出し速度を高くする必要がある。一方、付着ペースが遅い吸着塔においては、切出装置による切り出し速度を遅くし、吸着塔内の炭素質吸着材を有効活用して無駄なエネルギー消費を抑制する必要がある。このため、切出装置による切り出し速度が、複数の吸着塔で互いに異なる場合がある。複数の吸着塔で切り出し速度が異なる場合、複数の吸着塔のそれぞれについて、充填レベルに基づき投入装置を制御するのみでは、炭素質吸着材の投入量をタイムリーに調節できず、複数の吸着塔で充填レベルに差が生じる可能性がある。本排ガス処理装置によれば、複数の吸着塔のそれぞれについて、切り出し速度と、充填レベルとの両方に基づいて投入装置が制御される。これにより、複数の吸着塔のそれぞれに対する炭素質吸着材の投入量をタイムリーに調節することができる。従って、排ガス処理性能の向上に有効である。
【0007】
複数の吸着塔のそれぞれについて、切り出し速度と、充填レベルとに基づいて投入時間を算出する投入時間算出部を更に備え、投入制御部は、複数の吸着塔のそれぞれについて、投入時間算出部により算出された投入時間に亘って炭素質吸着材を投入するように、投入装置を制御してもよい。この場合、投入時間の調節によって、投入装置による炭素質吸着材の投入量を容易に調節することができる。
【0008】
投入時間算出部は、複数のレベル検出部により検出された充填レベルを平均して平均充填レベルを算出し、複数の吸着塔のそれぞれについて、切り出し速度に基づいてフィードフォワード成分を算出し、平均充填レベルと充填レベルとの偏差を縮小するようにフィードバック成分を算出し、フィードフォワード成分にフィードバック成分を加算して投入時間を算出してもよい。この場合、炭素質吸着材の投入量をよりタイムリーに調節することができる。
【0009】
投入時間算出部は、複数の吸着塔のそれぞれについて、切り出し速度に相関しないようにフィードバック成分を算出してもよい。この場合、炭素質吸着材の投入量をよりタイムリーに調節することができる。
【0010】
複数の切出装置により切り出された炭素質吸着材を搬送する第1コンベヤと、第1コンベヤにより搬送された炭素質吸着材を収容し、炭素質吸着材から吸着物を脱離させる脱離塔と、脱離塔から複数の吸着塔に炭素質吸着材を搬送する第2コンベヤと、を更に備え、複数の投入装置は、第2コンベヤから複数の吸着塔に炭素質吸着材をそれぞれ投入してもよい。この場合、第2コンベヤによる炭素質吸着材の搬送ペースを即時に変更することができないので、投入時間の調節により炭素質吸着材の投入量を調節することがより有効である。
【0011】
脱離塔から第2コンベヤに炭素質吸着材を切り出す脱離後切出装置と、複数の切出装置による切り出し速度の合計値に基づいて、脱離塔からの炭素質吸着材の脱離後目標速度を算出する速度算出部と、速度算出部により算出された脱離後目標速度に対応する速度で脱離塔から炭素質吸着材を切り出すように脱離後切出装置を制御する切出制御部と、を更に備えてもよい。この場合、複数の切出装置による切り出し速度の合計値に基づいて、脱離後切出装置による切り出し速度を調節することで、複数の吸着塔のそれぞれに対する炭素質吸着材の投入量をタイムリーに調節することができる。
【0012】
速度算出部は、目標レベルと、平均充填レベルとの偏差に更に基づいて脱離後目標速度を算出してもよい。この場合、複数の吸着塔のそれぞれに対する炭素質吸着材の投入量をよりタイムリーに調節することができる。
【0013】
投入時間算出部は、複数の投入装置のそれぞれに対する投入制御部による制御が、平均充填レベルと充填レベルとの偏差に基づく比例制御となるように投入時間を算出し、速度算出部は、脱離後切出装置に対する切出制御部による制御が、目標レベルと平均充填レベルとの偏差に基づく比例・積分制御となるように脱離後目標速度を算出してもよい。この場合、複数の投入装置に対しては、安定性を優先した比例制御を行いつつ、脱離後切出装置に対しては、比例・積分制御を行うことによって、複数の吸着塔と、脱離塔との間における炭素質吸着材の入出バランスを長期的に維持することができる。
【0014】
複数の投入装置は第2コンベヤに沿って並び、複数の投入装置のそれぞれは、第2コンベヤにおける下流側への炭素質吸着材の移動を遮断しながら、第2コンベヤから、対応する吸着塔に炭素質吸着材を投入するように構成され、投入制御部は、第2コンベヤの上流側から下流側に向かう順序にて、複数の投入装置に順次炭素質吸着材の投入を実行させ、複数の投入装置は、第1投入装置と、第2コンベヤにおいて第1投入装置よりも一つ下流側に位置する第2投入装置とを含み、投入制御部は、第1投入装置が炭素質吸着材の投入を停止した後、第1投入装置から第2投入装置への炭素質吸着材の移動時間と、第2投入装置に対応する投入時間との合計時間が経過するまで、第2投入装置による炭素質吸着材の投入を継続させてもよい。この場合、投入装置による炭素質吸着材の投入量をより適切に調節することができる。
【0015】
投入制御部は、複数の投入装置のうち第2コンベヤにおける最下流の投入装置が炭素質吸着材を投入している期間に、複数の投入装置のうち第2コンベヤにおける最上流の投入装置に炭素質吸着材の投入を再開させ、最上流の投入装置が炭素質吸着材の投入を再開した後も、最下流の投入装置に炭素質吸着材の投入を一時的に継続させてもよい。この場合、投入装置による炭素質吸着材の投入量をより適切に調節することができる。
【0016】
投入制御部は、最下流の投入装置に対応する投入時間の経過予定タイミングの前に、最上流の投入装置から最下流の投入装置への炭素質吸着材の移動時間を残したタイミングで、最上流の投入装置に炭素質吸着材の投入を再開させてもよい。この場合、投入装置による炭素質吸着材の投入量をより適切に調節することができる。
【0017】
複数の吸着塔は、前段吸着塔と、後段吸着塔とを含み、排ガス流路は、前段吸着塔と、後段吸着塔とを順次通過するように排ガスを導き、複数の投入装置は、前段吸着塔に対応する前段投入装置と、後段吸着塔に対応する後段投入装置とを含み、複数の切出装置は、前段吸着塔に対応する前段切出装置と、後段吸着塔に対応する後段切出装置とを含み、排ガス処理装置は、炭素質吸着材から吸着物を脱離させる脱離塔と、前段切出装置により切り出された炭素質吸着材を脱離塔に搬送する第1コンベヤと、脱離塔から後段吸着塔に炭素質吸着材を搬送する第2コンベヤと、後段切出装置により切り出された炭素質吸着材を前段吸着塔に搬送する第3コンベヤと、を更に備え、後段投入装置は、第2コンベヤから後段吸着塔に炭素質吸着材を投入し、前段投入装置は、第3コンベヤから前段吸着塔に炭素質吸着材を投入してもよい。
【0018】
下流側の後段吸着塔に比較して上流側の前段吸着塔における付着ペースが速くなる場合がある。これに対し、上述の構成によれば、後段吸着塔から切り出された炭素質吸着材が前段吸着塔で再利用されることとなる。このため、後段吸着塔からの炭素質吸着材の切り出し速度を、前段吸着塔からの炭素質吸着材の切り出し速度に合わせたとしても、付着が少ない状態で後段吸着塔から切り出された炭素質吸着材を前段吸着塔において有効活用することができる。このため、後段吸着塔からの炭素質吸着材の切り出し速度と、前段吸着塔からの炭素質吸着材の切り出し速度との差を小さくし得るので、複数の吸着塔における充填レベルの均一性を更に向上させることができる。
【0019】
脱離塔から第2コンベヤに炭素質吸着材を切り出す脱離後切出装置と、後段切出装置による切り出し速度に基づいて、脱離後切出装置に対する脱離後目標速度を算出する速度算出部と、速度算出部により算出された脱離後目標速度に対応する速度で脱離塔から炭素質吸着材を切り出すように脱離後切出装置を制御する脱離後切出制御部と、を更に備えてもよい。この場合、後段切出装置による切り出し速度に基づいて、脱離後切出装置による切り出し速度を調節することで、複数の吸着塔のそれぞれに対する炭素質吸着材の投入量をタイムリーに調節することができる。
【0020】
速度算出部は、目標レベルと、後段吸着塔の充填レベルとの偏差に更に基づいて脱離後目標速度を算出してもよい。この場合、複数の吸着塔のそれぞれに対する炭素質吸着材の投入量をよりタイムリーに調節することができる。
【0021】
速度算出部は、前段切出装置による切り出し速度に基づいて、後段切出装置に対する吸着後目標速度を更に算出し、排ガス処理装置は、速度算出部により算出された吸着後目標速度に対応する速度で後段吸着塔から炭素質吸着材を切り出すように後段切出装置を制御する吸着後切出制御部を更に備えてもよい。この場合、後段切出装置の制御演算を簡素化しつつ、複数の吸着塔における充填レベルの均一性を更に向上させることができる。
【0022】
速度算出部は、目標レベルと、後段吸着塔の充填レベルとの偏差に更に基づいて脱離後目標速度を算出し、目標レベルと、前段吸着塔の充填レベルとの偏差に更に基づいて吸着後目標速度を算出してもよい。この場合、前段切出装置の制御演算を簡素化しつつ、複数の吸着塔における充填レベルの均一性を更に向上させることができる。
【0023】
本開示の他の側面に係る制御方法は、排ガスが通過する複数の吸着塔のそれぞれに対する炭素質吸着材の充填レベルを取得することと、複数の吸着塔のそれぞれについて、炭素質吸着材の切り出し速度を取得することと、複数の吸着塔のそれぞれについて、炭素質吸着材の切り出し速度と、炭素質吸着材の充填レベルとに基づいて、投入装置による炭素質吸着材の投入量を調節することと、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、より高度な排ガス処理を容易に遂行できる装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】排ガス処理装置の構成を例示する模式図である。
図2】コントローラの機能的な構成を例示するブロック図である。
図3】第2コンベヤの上流から下流に並ぶ二つの投入装置の動作を例示する模式図である。
図4】第2コンベヤの最上流の投入装置と最下流の投入装置との動作を例示する模式図である。
図5】コントローラのハードウェア構成を例示するブロック図である。
図6】投入装置の制御手順を例示するフローチャートである。
図7】排ガス処理装置の変形例を示す模式図である。
図8】コントローラの変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
〔排ガス処理装置〕
図1に示す排ガス処理装置1は、排ガスからSOx及びNOxを除去する乾式脱硫脱硝装置である。排ガス処理装置1は、様々な設備からの排ガスに適用可能である。排ガス処理装置1が適用される設備の具体例としては、鉄鉱石の焼結設備等が挙げられる。
【0028】
図1に示すように、排ガス処理装置1は、複数の吸着塔10と、排ガス流路20と、複数の投入装置30と、複数の切出装置40と、を備える。吸着塔10は、炭素質吸着材17を収容し、排ガス中のSOx及びNOxを炭素質吸着材17によって除去する。例えば吸着塔10は、炭素質吸着材17によってSOxを吸着し、炭素質吸着材17によってNOxをN2に還元する。炭素質吸着材17の具体例としては、活性炭、活性チャー又は活性コークス等が挙げられる。
【0029】
例えば吸着塔10は、塔本体11と、ホッパ12と、複数のシュート13とを有する。塔本体11は、炭素質吸着材17を収容する。塔本体11は、排ガス受入口14と、排ガス送出口15と、吸着材送出口16とを有する。排ガス受入口14は排ガスを塔本体11内に受け入れる。排ガス送出口15は、塔本体11内の炭素質吸着材17を通過した排ガスを塔本体11外に送り出す。排ガス受入口14及び排ガス送出口15は、いずれも塔本体11の側部に形成されている。吸着材送出口16は塔本体11の下端に形成され、SOx及びNOxの除去により劣化した炭素質吸着材17を下方に送り出す。
【0030】
図示において、排ガス受入口14及び排ガス送出口15は、互いに反対向きに開口するように配置されているが必ずしもこれに限られない。排ガス受入口14及び排ガス送出口15は同じ向きに開口するように配置されていてもよい。また、排ガス受入口14及び排ガス送出口15は同じ高さに配置されているが必ずしもこれに限られない。例えば排ガス送出口15が排ガス受入口14よりも上方に形成されていてもよい。
【0031】
ホッパ12は、吸着材送出口16からの炭素質吸着材17の送り出しに応じて塔本体11に補充するための炭素質吸着材17を一時的に収容する。ホッパ12は塔本体11の上方に設けられている。複数のシュート13は、ホッパ12内の下部から塔本体11内の上部に炭素質吸着材17を導く。複数のシュート13は、塔本体11内の複数箇所に炭素質吸着材17を分配するように構成されている。これにより、塔本体11内における炭素質吸着材17の粒度分布の均一性が向上し、粒度分布の不均一性に起因する排ガスの偏流が抑制される。
【0032】
排ガス流路20は、複数の吸着塔10を通過するように排ガスを導く。排ガス流路20は、複数の吸着塔10の少なくとも二つを順次通過するように排ガスを導いてもよい。排ガス流路20は、少なくとも二本の流路に分岐して、少なくとも二系統の流路によって、複数の吸着塔10の少なくとも二つに排ガスをそれぞれ導いてもよい。
【0033】
一例として、複数の吸着塔10は、少なくとも一つの前段吸着塔10Aと、少なくとも一つの後段吸着塔10Bとを含み、排ガス流路20は、前段吸着塔10Aと後段吸着塔10Bとを順次通過するように排ガスを導く。複数の吸着塔10は、複数の前段吸着塔10Aと、複数の後段吸着塔10Bとを含んでいてもよい。この場合、排ガス流路20は、複数の前段吸着塔10Aよりも上流において複数系統の流路に分岐し、複数系統の流路によって、複数の前段吸着塔10Aに排ガスをそれぞれ導いてもよい。複数系統の流路は、複数の前段吸着塔10Aよりも下流において合流していてもよい。排ガス流路20は、複数の後段吸着塔10Bよりも上流において複数系統の流路に分岐し、複数系統の流路によって、複数の後段吸着塔10Bに排ガスをそれぞれ導いてもよい。複数系統の流路は、複数の後段吸着塔10Bよりも下流において合流していてもよい。
【0034】
図示においては、排ガス流路20が二つの前段吸着塔10Aよりも上流において二系統の流路21及び流路22に分岐しており、流路21及び流路22が二つの前段吸着塔10Aに排ガスをそれぞれ導く。流路21及び流路22は、二つの前段吸着塔10Aよりも下流において合流している。排ガス流路20は、二つの後段吸着塔10Bよりも上流において二系統の流路23及び流路24に再分岐しており、流路23及び流路24が二つの後段吸着塔10Bに排ガスをそれぞれ導く。流路23及び流路24は、二つの後段吸着塔10Bよりも下流において合流している。
【0035】
前段吸着塔10Aの数と後段吸着塔10Bの数とが等しい場合、複数の前段吸着塔10Aに排ガスを導く複数系統の流路と、複数の後段吸着塔10Bに排ガスを導く複数系統の流路とが、合流箇所を経ずにそれぞれ接続されていてもよい。例えば流路21が流路23に接続され、流路22が流路24に接続されていてもよい。
【0036】
複数の投入装置30は、複数の吸着塔10に炭素質吸着材17をそれぞれ投入する。例えば、複数の投入装置30のそれぞれは、対応する吸着塔10のホッパ12に上方から炭素質吸着材17を投入する。
【0037】
複数の切出装置40は、複数の吸着塔10から炭素質吸着材17をそれぞれ切り出す。例えば、複数の切出装置40のそれぞれは、対応する吸着塔10の吸着材送出口16から、塔本体11内の炭素質吸着材17を切り出す。切出装置40の具体例としては、電動式のロータリーバルブ等が挙げられる。切出装置40がロータリーバルブである場合、切出装置40の回転速度を変更することによって、吸着塔10からの炭素質吸着材17の切り出し速度を変更することが可能である。
【0038】
排ガス処理装置1は、複数の吸着塔10から複数の切出装置40により切り出された炭素質吸着材17を再生して複数の吸着塔10に戻すように構成されていてもよい。例えば排ガス処理装置1は、第1コンベヤ70と、脱離塔60と、脱離後切出装置90と、第2コンベヤ80とを更に備える。
【0039】
第1コンベヤ70は、複数の切出装置40により切り出された炭素質吸着材17を脱離塔60に搬送する。例えば第1コンベヤ70は、複数の吸着塔10の下方を順次通過するように構成され、複数の切出装置40により切り出された炭素質吸着材17を順次取得しながら水平方向に搬送し、更に脱離塔60の上方に搬送する。第1コンベヤ70の具体例としては、ベルトコンベヤ又はバケットコンベヤ等が挙げられる。
【0040】
脱離塔60は、第1コンベヤ70により搬送された炭素質吸着材17を収容し、炭素質吸着材17からSOx等の吸着物を脱離させる。例えば脱離塔60は、吸着材受入口61と、吸着材送出口62とを有する。吸着材受入口61は脱離塔60の上端に形成されており、第1コンベヤ70により搬送された炭素質吸着材17を上方から受け入れる。吸着材送出口62は、脱離塔60の下端に形成されており、吸着物の脱離が完了した炭素質吸着材17を下方に送り出す。
【0041】
脱離塔60においては、吸着部を脱離させるために炭素質吸着材17の加熱及び冷却が行われる。脱離塔60は、炭素質吸着材17の割れ及び磨耗等により発生した細粒を篩い分け器で分離・除去するように構成されていてもよい。細粒の分離・除去により、炭素質吸着材17は徐々に減少することとなる。これに応じ、新たな炭素質吸着材17が適宜脱離塔60に補充される。
【0042】
脱離後切出装置90は、脱離塔60から第2コンベヤ80に炭素質吸着材17を切り出す。例えば脱離後切出装置90は、吸着材送出口62から、脱離塔60内の炭素質吸着材17を切り出す。脱離後切出装置90の具体例としては、電動式のロータリーバルブ等が挙げられる。脱離後切出装置90がロータリーバルブである場合、脱離後切出装置90の回転速度を変更することによって、脱離塔60からの炭素質吸着材17の切り出し速度を変更することが可能である。
【0043】
第2コンベヤ80は、脱離塔60による吸着部の脱離が完了した炭素質吸着材17を複数の吸着塔10に搬送する。例えば第2コンベヤ80は、脱離塔60の吸着材送出口62から送り出された炭素質吸着材17を複数の吸着塔10の上方に順次搬送する。第2コンベヤ80の具田例としては、ベルトコンベヤ等が挙げられる。
【0044】
上述した複数の投入装置30は、第2コンベヤ80に沿って並ぶ。このため、複数の投入装置30は、第1投入装置と、第2コンベヤ80において第1投入装置よりも一つ下流側に位置する第2投入装置とを含む。複数の投入装置30のそれぞれは、第2コンベヤ80から炭素質吸着材17を取得し、取得した炭素質吸着材17を対応する吸着塔10のホッパ12に投入する。
【0045】
投入装置30は、対応する吸着塔10に炭素質吸着材17を投入する投入状態と、対応する吸着塔10への炭素質吸着材17の投入を停止する投入停止状態とを切り替える。投入装置30は、投入状態において、第2コンベヤ80における下流側への炭素質吸着材17の移動を遮断しながら、第2コンベヤ80から炭素質吸着材17を取得し、取得した炭素質吸着材17を対応する吸着塔10に投入するように構成されていてもよい。投入装置30は、投入停止状態において、第2コンベヤ80における炭素質吸着材17の移動を遮断せず、第2コンベヤ80からの炭素質吸着材17の取得も行わない。例えば投入装置30は、上昇により投入停止状態を投入状態に切り替え、下降により投入状態を投入停止状態に切り替えるトリッパである。このように、複数の投入装置30のそれぞれが、投入状態において下流側への炭素質吸着材17の移動を遮断する構成によれば、複数の吸着塔10のそれぞれに対する炭素質吸着材17の投入が断続的に行われることとなる。
【0046】
ここで、吸着塔10に収容される炭素質吸着材17は、吸着塔10からの排ガスのリークを防ぐマテリアルシールとしても機能する。このため、投入装置30による吸着塔10への炭素質吸着材17の投入量の調節によって、吸着塔10内における炭素質吸着材17の充填レベルを適切に維持する必要がある。そこで、排ガス処理装置1は、複数のレベル検出部50と、コントローラ100とを更に備える。複数のレベル検出部50は、複数の吸着塔10における炭素質吸着材17の充填レベルをそれぞれ検出する。レベル検出部50の具体例としては、レーザ式等の非接触型のレベル計が挙げられる。一例として、複数のレベル検出部50のそれぞれは、対応する吸着塔10のホッパ12内における炭素質吸着材17の充填高さを検出する。複数のレベル検出部50のそれぞれは、対応する吸着塔10の塔本体11内における炭素質吸着材17の充填高さを検出するように構成されていてもよい。
【0047】
コントローラ100は、複数のレベル検出部50により検出された充填レベルに基づいて、複数の吸着塔10に対する炭素質吸着材17の投入量を調節するように複数の投入装置30を制御する。
【0048】
上述したように、排ガス流路20は、複数の吸着塔10を通過するように排ガスを導く。このように、排ガス流路20が複数の吸着塔10を通過する構成によれば、より高度な排ガス処理が可能となる。しかしながら、排ガス流路20が複数の吸着塔10を通過する構成においては、複数の吸着塔10で、炭素質吸着材17に対する物質(例えばSOx)の付着ペースに差が生じる。例えば、排ガス流路20の上流側の前段吸着塔10Aにおいては主としてSOxの吸着が行われ、排ガス流路20の下流側の後段吸着塔10Bにおいては主としてNOxの還元が行われることとなるため、下流側の後段吸着塔10Bに比較して上流側の前段吸着塔10Aにおける付着ペースが速くなる場合がある。
【0049】
高度な排ガス処理性能を維持するためには、付着ペースが速い前段吸着塔10Aにおいては、切出装置40による切り出し速度を高くする必要がある。一方、付着ペースが遅い後段吸着塔10Bにおいては、切出装置40による切り出し速度を遅くし、吸着塔10内の炭素質吸着材17を有効活用して無駄なエネルギー消費を抑制する必要がある。このため、切出装置40による切り出し速度が、複数の吸着塔10で互いに異なる場合がある。例えば、前段吸着塔10Aの切出装置40による切り出し速度が、後段吸着塔10Bの切出装置40による切り出し速度よりも高くされる場合がある。
【0050】
複数の吸着塔10で切り出し速度が異なる場合、複数の吸着塔10のそれぞれについて、充填レベルに基づき投入装置30を制御するのみでは、炭素質吸着材17の投入量をタイムリーに調節できず、複数の吸着塔10で充填レベルに差が生じる可能性がある。そこで、コントローラ100は、複数の吸着塔10のそれぞれについて、対応する切出装置40による炭素質吸着材17の切り出し速度と、対応するレベル検出部50により検出された炭素質吸着材17の充填レベルとに基づいて、対応する投入装置30による炭素質吸着材17の投入量を調節するように構成されている。これにより、複数の吸着塔10のそれぞれに対する炭素質吸着材17の投入量をタイムリーに調節することができる。
【0051】
一例として、図2に示すように、コントローラ100は、機能ブロック(機能上の構成要素)として、速度設定値取得部111と、吸着後切出制御部112と、投入制御部114とを有する。速度設定値取得部111は、複数の切出装置40のそれぞれの切り出し速度を示す情報を取得する。例えば速度設定値取得部111は、複数の切出装置40に対する切り出し速度の設定値を取得する。以下、この設定値を「速度設定値」という。速度設定値は、排ガス処理装置1を通過した排ガスのSOx濃度、NOx濃度等に基づいて、オペレータにより適宜調節される。SOx濃度、NOx等に基づいて、速度設定値が自動調節されてもよい。
【0052】
吸着後切出制御部112は、速度設定値取得部111が取得した速度設定値に対応する速度で炭素質吸着材17を切り出すように、複数の切出装置40を制御する。投入制御部114は、複数の吸着塔10のそれぞれについて、対応する切出装置40による炭素質吸着材17の切り出し速度と、対応するレベル検出部50により検出された炭素質吸着材17の充填レベルとに基づいて、対応する投入装置30による炭素質吸着材17の投入量を調節する。
【0053】
コントローラ100は、投入装置30による炭素質吸着材17の投入時間の長さによって、投入装置30による炭素質吸着材17の投入量を調節するように構成されていてもよい。例えばコントローラ100は、投入時間算出部113を更に有する。投入時間算出部113は、複数の吸着塔10のそれぞれについて、対応する切出装置40による炭素質吸着材17の切り出し速度と、対応する吸着塔10における炭素質吸着材17の充填レベルとに基づいて、対応する投入装置30による炭素質吸着材17の投入時間を算出する。例えば投入時間算出部113は、複数の吸着塔10のそれぞれについて、速度設定値取得部111が取得した速度設定値と、対応するレベル検出部50により検出された炭素質吸着材17の充填レベルとに基づいて、対応する投入装置30による炭素質吸着材17の投入時間を算出する。
【0054】
投入制御部114は、複数の吸着塔10のそれぞれについて、投入時間算出部113により算出された投入時間に亘って炭素質吸着材17を投入するように、投入装置30を制御する、例えば投入制御部114は、投入装置30を投入停止状態から投入状態に切り替えて吸着塔10に対する炭素質吸着材17の投入を開始した後、投入時間が経過したタイミングで投入装置30を投入状態から投入停止状態に切り替える。
【0055】
投入時間算出部113は、速度設定値(切り出し速度)に基づくフィードフォワード成分と、充填レベルに基づくフィードバック成分とを算出し、フィードフォワード成分とフィードバック成分とに基づいて投入時間を算出してもよい。例えば投入時間算出部113は、複数のレベル検出部50により検出された充填レベルを平均して平均充填レベルを算出し、平均充填レベルと充填レベルとの偏差を縮小するようにフィードバック成分を算出し、フィードフォワード成分にフィードバック成分を加算して投入時間を算出してもよい。投入時間算出部113は、複数の吸着塔10のそれぞれについて、速度設定値に相関しないようにフィードバック成分を算出してもよい。投入時間算出部113は、複数の投入装置30のそれぞれに対する投入制御部114による制御が、平均充填レベルと充填レベルとの偏差に基づく比例制御となるように投入時間を算出してもよい。
【0056】
一例として、投入時間算出部113は、次式により投入時間Tを算出する。
T=Tff+Tfb
Tff=Tstd×N×Vn/Vall
Tfb=Tstd×k×(Lref-Ln)
Tff:フィードフォワード成分
Tfb:フィードバック成分
Tstd:予め定められた基準時間
N:吸着塔の数
Vn:自装置の切り出し速度
Vall:全装置の切り出し速度合計値
k:予め定められた比例定数
Lref:目標充填レベル
Ln:自装置の充填レベル
【0057】
投入制御部114は、第2コンベヤ80の上流側から下流側に向かう順序にて、複数の投入装置30に順次炭素質吸着材17の投入を実行させる投入サイクルを繰り返すように構成されていてもよい。この場合、投入時間算出部113は、複数の吸着塔10のそれぞれについて投入時間を算出することを、投入サイクルごとに実行する。
【0058】
上述したように、複数の投入装置30のそれぞれが、投入状態において下流側への炭素質吸着材17の移動を遮断する構成によれば、上流側の投入装置30が炭素質吸着材17の投入を停止した後、一つ下流側の投入装置30が炭素質吸着材17の投入を開始されるまでにはタイムラグが生じることとなる。
【0059】
例えば図3の(a)は、最上流の投入装置30Aが投入状態となり、直下の吸着塔10に炭素質吸着材17を投入している状態を示している。この状態において、投入装置30Aよりも下流側への炭素質吸着材17の移動は遮断されているため、投入装置30Aよりも下流側には炭素質吸着材17が存在しない状態となっている。図3の(b)は、上流側の投入装置30Aが投入停止状態に切り替わり、一つ下流側の投入装置30Bが投入状態に切り替わった状態を示している。図3の(b)に示すように、投入装置30Aが投入停止状態に切り替わった後、図3の(c)に示すように、炭素質吸着材17が投入装置30Bに到達するまでは、投入装置30Bによる炭素質吸着材17の投入は開始されない。
【0060】
そこで、投入制御部114は、投入装置30Aが炭素質吸着材17の投入を停止した後、投入装置30Aから投入装置30Bへの炭素質吸着材17の移動時間と、投入装置30Bに対応する投入時間との合計時間が経過するまで、投入装置30Bによる炭素質吸着材17の投入を継続させてもよい。これにより、投入時間に亘る炭素質吸着材17の投入が確実に遂行される。
【0061】
また、投入サイクルの最終段階においては、最上流の投入装置30から最下流の投入装置30まで炭素質吸着材17が存在している状態となるため、次の投入サイクルで最上流の投入装置30が炭素質吸着材17の投入を開始した直後には、最上流の投入装置30から最下流の投入装置30までの間に炭素質吸着材17が残存することとなる。
【0062】
例えば図4の(a)は、投入サイクルの最終段階で、最下流の投入装置30Cが直下の吸着塔10に炭素質吸着材17を投入している状態を示している。図4の(b)は、最上流の投入装置30Aが投入停止状態から投入状態に切り替わり、次の投入サイクルが開始された状態を示している。図4の(b)に示すように、次の投入サイクルが開始された直後においては、投入装置30Aから投入装置30Cまでの間に炭素質吸着材17が残存する。
【0063】
そこで、投入制御部114は、投入装置30Cが炭素質吸着材17を投入している期間に、投入装置30Aに炭素質吸着材17の投入を再開させ、投入装置30Aが炭素質吸着材17の投入を再開した後も、投入装置30Cに炭素質吸着材17の投入を一時的に継続させる(図4の(c)参照)。投入制御部114は、投入装置30Cに対応する投入時間の経過予定タイミングの前に、投入装置30Aから投入装置30Cへの炭素質吸着材17の移動時間を残したタイミングで、投入装置30Aに炭素質吸着材17の投入を再開させてもよい。これにより、投入装置30Aから投入装置30Cまでの間に残存する炭素質吸着材17を無駄なく投入装置30Cに投入することができる。
【0064】
コントローラ100は、複数の切出装置40による炭素質吸着材17の切り出し速度に基づいて、脱離後切出装置90による炭素質吸着材17の切り出し速度を制御するように構成されていてもよい。例えばコントローラ100は、速度算出部115と、脱離後切出制御部116とを更に有する。速度算出部115は、複数の切出装置40による切り出し速度の合計値に基づいて、脱離後切出装置90に対する脱離後目標速度を算出する。例えば速度算出部115は、複数の切出装置40による切り出し速度の合計値に一致するように、脱離後目標速度を算出する。脱離後切出制御部116は、速度算出部115により算出された脱離後目標速度に対応する速度で脱離塔60から炭素質吸着材17を切り出すように脱離後切出装置90を制御する。
【0065】
速度算出部115は、所定の目標レベルと、上述の平均充填レベルとの偏差に更に基づいて脱離後目標速度を算出してもよい。例えば速度算出部115は、上記切り出し速度の合計値に一致するように、基準目標速度を算出し、目標レベルと平均充填レベルとの偏差に基づき速度調節値を算出し、基準目標速度に速度調節値を加算して脱離後目標速度を算出しもよい。速度算出部115は、脱離後切出装置90に対する脱離後切出制御部116による制御が、目標レベルと平均充填レベルとの偏差に基づく比例・積分制御となるように速度調節値を算出してもよい。
【0066】
図5は、コントローラ100のハードウェア構成を例示する図である。コントローラ100は、例えば排ガス処理装置1以上の制御用コンピュータにより構成されるプログラマブルロジックコントローラである。
【0067】
例えばコントローラ100は、回路190を備える。回路190は、一以上のプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、入出力ポート194とを有する。ストレージ193は、複数の吸着塔10のそれぞれについて、対応する切出装置40による炭素質吸着材17の切り出し速度と、対応するレベル検出部50により検出された炭素質吸着材17の充填レベルとに基づいて、対応する投入装置30による炭素質吸着材17の投入量を調節することをコントローラ100に実行させるためのプログラムを記憶している。例えばストレージ193は、上述の各機能ブロックをコントローラ100に構成させるためのプログラムを記憶している。
【0068】
メモリ192は、ストレージ193からロードされたプログラムと、当該プログラムの実行過程で生成されるデータとを一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192が記憶するプログラムを実行することで、各機能ブロックとしてコントローラ100を機能させる。入出力ポート194は、プロセッサ191からの指令に応じて、複数の投入装置30と、複数の切出装置40と、複数のレベル検出部50との間で電気信号の入出力を行う。以上のハードウェア構成はあくまで一例であり、適宜変更可能である。例えば、各機能ブロックの少なくともいずれかが、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用の回路素子により構成されていてもよい。
【0069】
〔制御手順〕
続いて、制御方法の一例として、コントローラ100が実行する複数の投入装置30の制御手順を例示する。この手順は、複数の吸着塔10のそれぞれに対する炭素質吸着材17の充填レベルを取得することと、複数の吸着塔10のそれぞれについて、炭素質吸着材17の切り出し速度を取得することと、複数の吸着塔10のそれぞれについて、炭素質吸着材17の切り出し速度と、炭素質吸着材17の充填レベルとに基づいて、投入装置30による炭素質吸着材17の投入量を調節することと、を含む。
【0070】
図6に示すように、コントローラ100は、まずステップS01,S02,S03,S04を実行する。ステップS01では、投入制御部114が、第2コンベヤ80における最上流の投入装置30を投入状態にする。これにより、最上流の投入装置30による炭素質吸着材17の投入が開始される。
【0071】
ステップS02では、投入時間算出部113が、最上流の投入装置30に対応する切出装置40の速度設定値と、最上流の投入装置30に対応するレベル検出部50により検出された充填レベルとに基づいて、最上流の投入装置30に対応する投入時間を算出する。
【0072】
ステップS03では、投入制御部114が、ステップS01の実行タイミングを起点として、ステップS02で算出された投入時間が経過するのを待機する。ステップS04では、投入制御部114が、最上流の投入装置30を投入停止状態。これにより、最上流の投入装置30による炭素質吸着材17の投入が停止する。
【0073】
次に、コントローラ100は、ステップS05,S06を実行する。ステップS05では、投入制御部114が、直前に投入停止状態にした投入装置30の一つ下流側の投入装置30を投入状態にする。以下、ステップS05で投入状態にした投入装置30を、現在の投入装置30という。ステップS06では、現在の投入装置30が最下流の投入装置30であるか否かを投入制御部114が確認する。
【0074】
ステップS06において、現在の投入装置30が最下流の投入装置30ではないと判定した場合、コントローラ100はステップS07,S08,S09を実行する。ステップS07では、投入制御部114が、現在の投入装置30による炭素質吸着材17の投入の完了タイミングを算出する。例えば投入制御部114は、現在の投入装置30に対応する切出装置40の速度設定値と、現在の投入装置30に対応するレベル検出部50により検出された充填レベルとに基づいて、現在の投入装置30に対応する投入時間を算出する。更に投入制御部114は、一つ上流側の投入装置30から現在の投入装置30への炭素質吸着材17の移動時間と、現在の投入装置30に対応する投入時間との合計時間を算出し、一つ上流の投入装置30が炭素質吸着材17の投入を停止したタイミングを起点として合計時間が経過するタイミングを完了タイミングとして算出する。
【0075】
ステップS08では、投入制御部114が、ステップS07で算出した完了タイミングを待機する。ステップS09では、投入制御部114が、現在の投入装置30を投入停止状態にする。これにより、現在の投入装置30による炭素質吸着材17の投入が停止する。その後、コントローラ100は処理をステップS05に戻す。以後、最下流の投入装置30が現在の投入装置30となるまでは、ステップS05~S09が繰り返される。
【0076】
ステップS06において、現在の投入装置30が最下流の投入装置30であると判定した場合、コントローラ100はステップS11,ステップS12を実行する。ステップS11では、投入制御部114が、次の投入サイクルの開始タイミングを算出する。例えば投入制御部114は、現在の投入装置30に対応する切出装置40の速度設定値と、現在の投入装置30に対応するレベル検出部50により検出された充填レベルとに基づいて、現在の投入装置30に対応する投入時間を算出する。更に投入制御部114は、一つ上流側の投入装置30から現在の投入装置30への炭素質吸着材17の移動時間と、現在の投入装置30に対応する投入時間との合計時間を算出し、一つ上流の投入装置30が炭素質吸着材17の投入を停止したタイミングを起点として合計時間が経過するタイミングを投入時間の経過予定タイミングとして算出する。更に投入制御部114は、経過予定タイミングの前に、最上流の投入装置30から現在の投入装置30への炭素質吸着材17の移動時間を残したタイミングを、次の投入サイクルの開始タイミングとして算出する。
【0077】
ステップS12では、投入制御部114が、次の投入サイクルの開始タイミングを待機する。ステップS12の後、コントローラ100は処理をステップS01に戻す。これにより、次の投入サイクルが開始される。コントローラ100は以上の手順を繰り返し実行する。
【0078】
〔実施形態の効果〕
以上に説明したように、排ガス処理装置1は、炭素質吸着材17を収容する複数の吸着塔10と、複数の吸着塔10を通過するように排ガスを導く排ガス流路20と、複数の吸着塔10に炭素質吸着材17をそれぞれ投入する複数の投入装置30と、複数の吸着塔10から炭素質吸着材17をそれぞれ切り出す複数の切出装置40と、複数の吸着塔10における炭素質吸着材17の充填レベルをそれぞれ検出する複数のレベル検出部50と、複数の吸着塔10のそれぞれについて、対応する切出装置40による炭素質吸着材17の切り出し速度と、対応するレベル検出部50により検出された充填レベルとに基づいて、対応する投入装置30による炭素質吸着材17の投入量を調節する投入制御部114と、を備える。
【0079】
排ガス流路20が複数の吸着塔10を通過する構成によれば、より高度な排ガス処理が可能となる。しかしながら、排ガス流路20が複数の吸着塔10を通過する構成においては、複数の吸着塔10で、炭素質吸着材17に対する物質の付着ペースに差が生じる。高度な排ガス処理性能を維持するためには、付着ペースが速い吸着塔10においては、切出装置40による切り出し速度を高くする必要がある。一方、付着ペースが遅い吸着塔10においては、切出装置40による切り出し速度を遅くし、吸着塔10内の炭素質吸着材17を有効活用して無駄なエネルギー消費を抑制する必要がある。このため、切出装置40による切り出し速度が、複数の吸着塔10で互いに異なる場合がある。複数の吸着塔10で切り出し速度が異なる場合、複数の吸着塔10のそれぞれについて、充填レベルに基づき投入装置30を制御するのみでは、炭素質吸着材17の投入量をタイムリーに調節できず、複数の吸着塔10で充填レベルに差が生じる可能性がある。これに対し、本排ガス処理装置1では、複数の吸着塔10のそれぞれについて、切り出し速度と、充填レベルとの両方に基づいて投入装置30が制御される。これにより、複数の吸着塔10のそれぞれに対する炭素質吸着材17の投入量をタイムリーに調節することができる。従って、排ガス処理性能の向上に有効である。
【0080】
複数の吸着塔10のそれぞれについて、切り出し速度と、充填レベルとに基づいて投入時間を算出する投入時間算出部113を更に備え、投入制御部114は、複数の吸着塔10のそれぞれについて、投入時間算出部113により算出された投入時間に亘って炭素質吸着材17を投入するように、投入装置30を制御してもよい。この場合、投入時間の調節によって、投入装置30による炭素質吸着材17の投入量を容易に調節することができる。
【0081】
投入時間算出部113は、複数のレベル検出部50により検出された充填レベルを平均して平均充填レベルを算出し、複数の吸着塔10のそれぞれについて、切り出し速度に基づいてフィードフォワード成分を算出し、平均充填レベルと充填レベルとの偏差を縮小するようにフィードバック成分を算出し、フィードフォワード成分にフィードバック成分を加算して投入時間を算出してもよい。この場合、炭素質吸着材17の投入量をよりタイムリーに調節することができる。
【0082】
投入時間算出部113は、複数の吸着塔10のそれぞれについて、切り出し速度に相関しないようにフィードバック成分を算出してもよい。この場合、炭素質吸着材17の投入量をよりタイムリーに調節することができる。
【0083】
炭素質吸着材17から吸着物を脱離させる脱離塔60と、複数の切出装置40により切り出された炭素質吸着材17を脱離塔60に搬送する第1コンベヤ70と、脱離塔60から複数の吸着塔10に炭素質吸着材17を搬送する第2コンベヤ80と、を更に備え、複数の投入装置30は、第2コンベヤ80から複数の吸着塔10に炭素質吸着材17をそれぞれ投入してもよい。この場合、第2コンベヤ80による炭素質吸着材17の搬送ペースを即時に変更することができないので、投入時間の調節により炭素質吸着材17の投入量を調節することがより有効である。
【0084】
脱離塔60から第2コンベヤ80に炭素質吸着材17を切り出す脱離後切出装置90と、複数の切出装置40による切り出し速度の合計値に基づいて、脱離後切出装置90に対する脱離後目標速度を算出する速度算出部115と、速度算出部115により算出された脱離後目標速度に対応する速度で脱離塔60から炭素質吸着材17を切り出すように脱離後切出装置90を制御する切出制御部と、を更に備えてもよい。この場合、複数の切出装置40による切り出し速度の合計値に基づいて、脱離後切出装置90による切り出し速度を調節することで、複数の吸着塔10のそれぞれに対する炭素質吸着材17の投入量をタイムリーに調節することができる。
【0085】
速度算出部115は、目標レベルと、平均充填レベルとの偏差に更に基づいて脱離後目標速度を算出してもよい。この場合、複数の吸着塔10のそれぞれに対する炭素質吸着材17の投入量をよりタイムリーに調節することができる。
【0086】
投入時間算出部113は、複数の投入装置30のそれぞれに対する投入制御部114による制御が、平均充填レベルと充填レベルとの偏差に基づく比例制御となるように投入時間を算出し、速度算出部115は、脱離後切出装置90に対する切出制御部による制御が、目標レベルと平均充填レベルとの偏差に基づく比例・積分制御となるように脱離後目標速度を算出してもよい。この場合、複数の投入装置30に対しては、安定性を優先した比例制御を行いつつ、脱離後切出装置90に対しては、比例・積分制御を行うことによって、複数の吸着塔10と、脱離塔60との間における炭素質吸着材17の入出バランスを長期的に維持することができる。
【0087】
複数の投入装置30は第2コンベヤ80に沿って並び、複数の投入装置30のそれぞれは、第2コンベヤ80における下流側への炭素質吸着材17の移動を遮断しながら、第2コンベヤ80から、対応する吸着塔10に炭素質吸着材17を投入するように構成され、投入制御部114は、第2コンベヤ80の上流側から下流側に向かう順序にて、複数の投入装置30に順次炭素質吸着材17の投入を実行させ、複数の投入装置30は、第1投入装置30と、第2コンベヤ80において第1投入装置30よりも一つ下流側に位置する第2投入装置30とを含み、投入制御部114は、第1投入装置30が炭素質吸着材17の投入を停止した後、第1投入装置30から第2投入装置30への炭素質吸着材17の移動時間と、第2投入装置30に対応する投入時間との合計時間が経過するまで、第2投入装置30による炭素質吸着材17の投入を継続させてもよい。この場合、投入装置30による炭素質吸着材17の投入量をより適切に調節することができる。
【0088】
投入制御部114は、複数の投入装置30のうち第2コンベヤ80における最下流の投入装置30が炭素質吸着材17を投入している期間に、複数の投入装置30のうち第2コンベヤ80における最上流の投入装置30に炭素質吸着材17の投入を再開させ、最上流の投入装置30が炭素質吸着材17の投入を再開した後も、最下流の投入装置30に炭素質吸着材17の投入を一時的に継続させてもよい。この場合、投入装置30による炭素質吸着材17の投入量をより適切に調節することができる。
【0089】
投入制御部114は、最下流の投入装置30に対応する投入時間の経過予定タイミングの前に、最上流の投入装置30から最下流の投入装置30への炭素質吸着材17の移動時間を残したタイミングで、最上流の投入装置30に炭素質吸着材17の投入を再開させてもよい。この場合、投入装置30による炭素質吸着材17の投入量をより適切に調節することができる。
【0090】
以上、排ガス処理装置1の具体的な構成を例示したが、排ガス処理装置1の構成は適宜変更可能である。
【0091】
図7に示すように、複数の投入装置30は、前段吸着塔10Aに対応する前段投入装置31Aと、後段吸着塔10Bに対応する後段投入装置31Bとを含み、複数の切出装置40は、前段吸着塔10Aに対応する前段切出装置40Aと、後段吸着塔10Bに対応する後段切出装置40Bとを含んでいてもよい。複数の吸着塔10が複数の前段吸着塔10Aを含む場合、これに対応して、複数の投入装置30が複数の前段投入装置31Aを含み、複数の切出装置40が複数の前段切出装置40Aを含んでいてもよい。複数の吸着塔10が複数の後段吸着塔10Bを含む場合、これに対応して、複数の投入装置30が複数の後段投入装置31Bを含み、複数の切出装置40が複数の後段切出装置40Bを含んでいてもよい。
【0092】
排ガス処理装置1は、第1コンベヤ70及び第2コンベヤ80に代えて、第1コンベヤ70Aと、第2コンベヤ80Aと、第3コンベヤ80Bとを備えてもよい。第1コンベヤ70Aは、複数の前段切出装置40Aにより切り出された炭素質吸着材17を脱離塔60に搬送する。第2コンベヤ80Aは、脱離塔60から複数の後段吸着塔10Bに炭素質吸着材17を搬送する。第3コンベヤ80Bは、複数の後段切出装置40Bにより切り出された炭素質吸着材17を複数の前段吸着塔10Aに搬送する。複数の後段投入装置31Bのそれぞれは、第2コンベヤ80Aから後段吸着塔10Bに炭素質吸着材17を投入し、複数の前段投入装置31Aのそれぞれは、第3コンベヤ80Bから前段吸着塔10Aに炭素質吸着材17を投入する。
【0093】
上述したように、下流側の後段吸着塔10Bに比較して上流側の前段吸着塔10Aにおける付着ペースが速くなる場合がある。図7の構成によれば、後段吸着塔10Bから切り出された炭素質吸着材17が前段吸着塔10Aで再利用されることとなる。このため、後段吸着塔10Bからの炭素質吸着材17の切り出し速度を、前段吸着塔10Aからの炭素質吸着材17の切り出し速度に合わせたとしても、付着が少ない状態で後段吸着塔10Bから切り出された炭素質吸着材17を前段吸着塔10Aにおいて有効活用することができる。このため、後段吸着塔10Bからの炭素質吸着材17の切り出し速度と、前段吸着塔10Aからの炭素質吸着材17の切り出し速度との差を小さくし得るので、複数の吸着塔10における充填レベルの均一性を更に向上させることができる。
【0094】
コントローラ100は、後段切出装置40Bによる切り出し速度に基づいて、第2コンベヤ80に対する脱離後目標速度を算出し、脱離後目標速度に対応する速度で脱離塔60から炭素質吸着材17を切り出すように脱離後切出装置90を制御するように構成されていてもよい。また、コントローラ100は、前段切出装置40Aによる切り出し速度に基づいて、後段切出装置40Bに対する吸着後目標速度を更に算出し、吸着後目標速度に対応する速度で後段吸着塔10Bから炭素質吸着材17を切り出すように後段切出装置40Bを制御するように構成されていてもよい。
【0095】
例えば図8に示すように、コントローラ100は、吸着後切出制御部112、速度算出部115及び脱離後切出制御部116に代えて、吸着後切出制御部112A,112Bと、速度算出部115Aと、脱離後切出制御部116Aとを有する。吸着後切出制御部112Aは、速度設定値取得部111が取得した速度設定値に対応する速度で炭素質吸着材17を切り出すように、複数の前段切出装置40Aを制御する。速度算出部115Aは、複数の前段切出装置40Aによる切り出し速度に基づいて、後段切出装置40Bに対する吸着後目標速度を算出する。速度算出部115Aは、目標レベルと、前段吸着塔10Aの充填レベル(例えば複数の前段吸着塔10Aの平均充填レベル)との偏差に更に基づいて吸着後目標速度を算出してもよい。吸着後切出制御部112Bは、速度算出部115Aにより算出された吸着後目標速度に対応する速度で後段吸着塔10Bから炭素質吸着材17を切り出すように後段切出装置40Bを制御する。
【0096】
速度算出部115Aは、複数の後段切出装置40Bによる切り出し速度に基づいて、脱離後切出装置90に対する脱離後目標速度を更に算出する。速度算出部115Aは、上記目標レベルと、後段吸着塔10Bの充填レベル(例えば複数の後段吸着塔10Bの平均充填レベル)との偏差に更に基づいて脱離後目標速度を算出してもよい。脱離後切出制御部116Aは、速度算出部115Aにより算出された脱離後目標速度に対応する速度で脱離塔60から炭素質吸着材17を切り出すように脱離後切出装置90を制御する。
【0097】
このように、速度算出部115Aは、脱離塔60から第2コンベヤ80に炭素質吸着材17を切り出す脱離後切出装置90と、後段切出装置40Bによる切り出し速度に基づいて、脱離後切出装置90に対する脱離後目標速度を算出し、脱離後切出制御部116Aは、速度算出部115Aにより算出された脱離後目標速度に対応する速度で脱離塔60から炭素質吸着材17を切り出すように脱離後切出装置90を制御してもよい。この場合、後段切出装置40Bによる切り出し速度に基づいて、脱離後切出装置90による切り出し速度を調節することで、複数の吸着塔10のそれぞれに対する炭素質吸着材17の投入量をタイムリーに調節することができる。
【0098】
速度算出部115Aは、目標レベルと、後段吸着塔10Bの充填レベルとの偏差に更に基づいて脱離後目標速度を算出してもよい。この場合、複数の吸着塔10のそれぞれに対する炭素質吸着材17の投入量をよりタイムリーに調節することができる。
【0099】
速度算出部115Aは、前段切出装置40Aによる切り出し速度に基づいて、後段切出装置40Bに対する吸着後目標速度を更に算出し、吸着後切出制御部112Bは、速度算出部115Aにより算出された吸着後目標速度に対応する速度で後段吸着塔10Bから炭素質吸着材17を切り出すように後段切出装置40Bを制御してもよい。この場合、後段切出装置40Bの制御演算を簡素化しつつ、複数の吸着塔10における充填レベルの均一性を更に向上させることができる。
【0100】
速度算出部115Aは、目標レベルと、後段吸着塔10Bの充填レベルとの偏差に更に基づいて脱離後目標速度を算出し、目標レベルと、前段吸着塔10Aの充填レベルとの偏差に更に基づいて吸着後目標速度を算出してもよい。この場合、前段切出装置40Aの制御演算を簡素化しつつ、複数の吸着塔10における充填レベルの均一性を更に向上させることができる。
【0101】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも例示した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0102】
1…排ガス処理装置、10…吸着塔、17…炭素質吸着材、20…排ガス流路、30…投入装置、40…切出装置、70…第1コンベヤ、60…脱離塔、90…脱離後切出装置、80…第2コンベヤ、50…レベル検出部、114…投入制御部、113…投入時間算出部、115…速度算出部、116…脱離後切出制御部。
【要約】
【課題】より高度な排ガス処理を容易に遂行できる装置を提供する。
【解決手段】排ガス処理装置1は、炭素質吸着材17を収容する複数の吸着塔10と、複数の吸着塔10を順次通過するように排ガスを導く排ガス流路20と、複数の吸着塔10に炭素質吸着材17をそれぞれ投入する複数の投入装置30と、複数の吸着塔10から炭素質吸着材17をそれぞれ切り出す複数の切出装置40と、複数の吸着塔10における炭素質吸着材17の充填レベルをそれぞれ検出する複数のレベル検出部50と、複数の吸着塔10のそれぞれについて、対応する切出装置40による炭素質吸着材17の切り出し速度と、対応するレベル検出部50により検出された充填レベルとに基づいて、対応する投入装置30による炭素質吸着材17の投入量を調節する投入制御部114と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8