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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】サンバイザホルダ
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20220902BHJP
【FI】
B60J3/02 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021543849
(86)(22)【出願日】2019-09-03
(86)【国際出願番号】 JP2019034663
(87)【国際公開番号】W WO2021044530
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早乙女 幸広
(72)【発明者】
【氏名】清田 光
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特許第5853105(JP,B2)
【文献】特開2016-035307(JP,A)
【文献】特開2010-276031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付孔に取付けられ、サンバイザのシャフトを着脱可能に保持するサンバイザホルダであって、
前記シャフトを保持する保持部を有するベース部と、前記取付孔に挿入されて固定される脚部とを有し、
前記脚部は、前記ベース部からそれぞれ立設し、対向して配置された第1壁部及び第2壁部を有しており、
前記第1壁部には、スリットを介して撓み変形可能に形成され、前記取付孔に係合する第1係合片を有し、該第1係合片には、前記第1係合片と前記取付孔との係合を解除可能とする解除部が設けられており、
前記第2壁部には、基端部が、前記第2壁部の立設方向の先端側に連結されると共に、撓み変形可能とされ、前記取付孔に係合する一対の第2係合片と、前記一対の第2係合片の間に配置され、前記第2壁部の立設方向に延びる立壁とが設けられており、
前記第2壁部の、各第2係合片と前記立壁との間には、前記第2壁部の立設方向に延び、前記第2壁部を薄肉とする溝部が形成されていることを特徴とするサンバイザホルダ。
【請求項2】
各溝部は、前記第2壁部の外面側にそれぞれ形成されている請求項1記載のサンバイザホルダ。
【請求項3】
各溝部は、前記第2係合片の基端部側の内側縁に沿ってそれぞれ配置されていると共に、その幅は、前記立壁と前記第2係合片との間隔よりも狭く形成されている請求項1又は2記載のサンバイザホルダ。
【請求項4】
前記立壁は、その基端部側に、前記取付孔の内周に当接可能とされた幅広部が設けられている請求項1~3のいずれか1つに記載のサンバイザホルダ。
【請求項5】
前記脚部は、前記第1壁部及び前記第2壁部を連結する一対の側壁部を有しており、
前記一対の側壁部を連結すると共に、前記第1係合片と前記取付孔との係合が解除された状態で、前記第1係合片の、前記第2壁部側への撓み変形を規制する、ストッパ壁が設けられており、
前記ストッパ壁には、前記解除部を押圧して、前記第1係合片が前記第2壁部側へ撓み変形したときに、同第1係合片を、前記ストッパ壁の中央にガイドする、両側面がテーパ状をなす凹状受け部が設けられている請求項1~4のいずれか1つに記載のサンバイザホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付孔に取付けられるサンバイザホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両には、太陽光等から乗員の眼を保護するための、サンバイザが配設されている。このサンバイザは、その長手方向両端から突出したシャフトが、車両内壁に取付けられたサンバイザホルダに着脱可能に回動保持されており、使用時に回動させて乗員の視界前方に配置されるようになっている。
【0003】
上記のようなサンバイザのシャフトを保持するための、サンバイザホルダとして、下記特許文献1には、本体部と、取付孔に挿入されて固定される脚部とを備え、本体部は、ベース部と、シャフトを着脱保持する保持部と、シャフトを受け入れる挿入部とを有し、脚部は、本体部の挿入部と反対側に配置されて、取付孔に係合する第1係合片と、第1係合片と協働して、取付孔に係合する一対の第2係合片とを有し、第1係合片は、脚部の先端側を支点として内方に撓み可能に形成され、その自由端側から外方に延出された解除部を有する、サンバイザホルダが記載されている。
【0004】
上記のサンバイザホルダを取付孔から取外す場合には、まず、解除部を押圧して、第1係合片を内方に撓ませて、取付孔に対する係合を解除した後、取付孔と第2係合片との係合を解除することで、サンバイザホルダを取付孔から取外し可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5853105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のサンバイザホルダの場合、解除部を押圧することで、第1係合片と取付孔との係合状態が解除されるが、この状態では、第2係合片は取付孔に係合した状態となっている。そのため、取付孔から脚部を徐々に抜き出して、第2係合片を撓ませつつ、取付孔との係合を解除することになるが、第2係合片が撓みにくい場合には、取付孔から外れにくいことがあった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、取付孔から取外しやすいサンバイザホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、取付孔に取付けられ、サンバイザのシャフトを着脱可能に保持するサンバイザホルダであって、前記シャフトを保持する保持部を有するベース部と、前記取付孔に挿入されて固定される脚部とを有し、前記脚部は、前記ベース部からそれぞれ立設し、対向して配置された第1壁部及び第2壁部を有しており、前記第1壁部には、スリットを介して撓み変形可能に形成され、前記取付孔に係合する第1係合片を有し、該第1係合片には、前記第1係合片と前記取付孔との係合を解除可能とする解除部が設けられており、前記第2壁部には、基端部が、前記第2壁部の立設方向の先端側に連結されると共に、撓み変形可能とされ、前記取付孔に係合する一対の第2係合片と、前記一対の第2係合片の間に配置され、前記第2壁部の立設方向に延びる立壁とが設けられており、前記第2壁部の、各第2係合片と前記立壁との間には、前記第2壁部の立設方向に延び、前記第2壁部を薄肉とする溝部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取付孔からサンバイザホルダを取外す場合には、解除部を押込んで、第1係合片と取付孔との係合を解除した後、取付孔から脚部を徐々に引き抜いて、一対の第2係合片を撓み変形させつつ取付孔との係合を解除することになるが、このとき、第2壁部の、各第2係合片と立壁との間には、第2壁部の立設方向に延び、第2壁部を薄肉とする溝部が形成されているので、一対の第2係合片を、第2壁部に近づく方向に撓み変形させやすくすることができると共に、互いに近づく方向にも撓み変形させやすくすることができるため、一対の第2係合片と取付孔との係合を解除しやすくすることができ、取付孔からサンバイザホルダを取外しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るサンバイザホルダの一実施形態を示す斜視図である。
図2】同サンバイザホルダの拡大斜視図である。
図3】同サンバイザホルダの正面図である。
図4】同サンバイザホルダの平面図である。
図5】同サンバイザホルダの右側面図である。
図6】同サンバイザホルダの背面図である。
図7】同サンバイザホルダの、一部を破断した状態の平面図である。
図8】同サンバイザホルダを取付孔に取付けた状態の断面図である。
図9】同サンバイザホルダを取付孔に取付けた状態の平面図である。
図10】同サンバイザホルダを取付孔から取外す際の、一対の第2係合片の撓み変形の状態を示す平面図である。
図11】同サンバイザホルダが取付孔に取付けられた状態で、外部から衝撃力等が作用した場合の、一対の第2係合片の撓み変形の状態を示す断面図である。
図12】同サンバイザホルダを取付孔から取外す際に、第1係合片を撓み変形させたときの、ストッパ壁の作用を示す断面図である。
図13】同サンバイザホルダを取付孔から取外す際に、第1係合片を撓み変形させたときの、ストッパ壁の作用を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係るサンバイザホルダの、一実施形態について説明する。
【0012】
図1に示すように、この実施形態のサンバイザホルダ10は、車両パネル1に形成された長方形状の取付孔2を介して車両の内壁に取付けられ、図示しないサンバイザの長手方向両端から突出したシャフト5を着脱可能に回動保持するためのものである。車両パネル1の表側には、トリム部材3が重ねて配置されている。このトリム部材3には、車両パネル1の取付孔2よりも大きい長方形状の挿入孔4が形成されている。
【0013】
図2に示すように、この実施形態におけるサンバイザホルダ10は、サンバイザのシャフト5を着脱可能に保持する保持部21を有するベース部20と、前記取付孔2に挿入されて固定される脚部30とを有している。
【0014】
前記ベース部20は、周壁22及び底部23(図4参照)を有し、一方向に長く延びる有底枠状をなしており、前記トリム部材3の表側に当接して配置されるようになっている(図8参照)。なお、図6に示すように、ベース部20の長手方向の一端には、略コ字状をなした切欠き部22aが形成されている。
【0015】
なお、以下の説明においては、図4に示すように、ベース部20部の長手方向に沿った方向を、長手方向Aとし、ベース部20の長手方向Aに直交する方向を、幅方向Bとして説明する。
【0016】
図5に示すように、前記保持部21は、ベース部20の長手方向Aの一端部寄りの部分から、略C字状をなすように延出されており、サンバイザのシャフト5を着脱可能に保持する。この保持部21の内側には、サンバイザのシャフト5を受け入れる挿入部25が設けられている。
【0017】
また、図5に示すように、ベース部20の長手方向Aの他端部側からは、挿入部25に向けて湾曲した形状をなすように押え片27が延出しており、この押え片27が、サンバイザのシャフト5の外周に弾性的に当接して、抜け止めすると共に、そのガタ付きを抑制する部分となっている(図8参照)。
【0018】
前記脚部30は、ベース部20からそれぞれ立設し、対向して配置された第1壁部31及び第2壁部32を有している。
【0019】
図2図4に示すように、この実施形態における脚部30は、ベース部20の長手方向Aの一端部側に配置され、ベース部20の幅方向Bに沿って延びる第1壁部31と、ベース部20の長手方向Aの他端部側に配置され、ベース部20の幅方向Bに沿って延びる第2壁部32とを有しており、両壁部31,32は互いに平行に配置されている。また、脚部30は、両壁部31,32の、対向する端部どうしを互いに連結する、一対の側壁部33,33を有している。なお、上記壁部31,32,33,33は、ベース部20の底部23から立設している(図8参照)。その結果、脚部30は、立設方向の先端側が開口し、内部に内部空間34を設けた略長方形の枠状をなしている。
【0020】
また、図4に示すように、第1壁部31の基端部側とベース部20の周壁22との間は、連結部36,36によって連結され、第2壁部32の基端部側とベース部20の周壁22との間は、連結部37,37によって連結され、各側壁部33の基端部側とベース部20の周壁22との間は、連結部38,38によって連結されており、脚部30の剛性維持が図られている。
【0021】
また、第1壁部31には、スリット41aを介して撓み変形可能に形成され、取付孔2に係合する第1係合片41を有し、該第1係合片41には、第1係合片41と取付孔2との係合を解除可能とする解除部43が設けられている。
【0022】
具体的に説明すると、図6に示すように、第1壁部31には、ベース部20の切欠き部22aと連通する、略U字状をなしたスリット41aが形成されており、このスリット41aを介して、第1係合片41が撓み可能に設けられている。第1係合片41は、その基端部が、第1壁部31の立設方向の先端部側に連結されており、第2壁部32に近接離反する方向に撓み変形可能となっている(図8及び図12参照)。また、第1係合片41は、その基端部側の外面が、ベース部20に向かうにつれて、外方に次第に突出する傾斜面をなすと共に、その最も突出した部分から次第に高さが低くなるように傾斜した係合部42が形成されており、この係合部42が取付孔2の裏側周縁に係合する部分となっている(図8参照)。
【0023】
また、図8に示すように、第1係合片41の、基端部とは反対側の自由端部には、第2壁部32とは反対側に向けて、解除部43が延出している。この解除部43は、ベース部20の周壁22の切欠き部22a内に配置されて、ベース部20の外周面から突出しないようになっている(図6及び図8参照)。そのため、解除部43は、ベース部20の外側からは、指等により押込みにくい構造となっており、解除部43の押込み時には、図8に示すように、例えば、マイナスドライバー等の押込み具7で押し込むこととなる。
【0024】
そして、第1係合片41の係合部42が取付孔2の裏側周縁に係合した状態から(図8参照)、トリム部材3の表側から、押込み具7で解除部43を第2壁部32に近接する方向に押圧すると、図12に示すように、解除部43を介して、第1係合片41が脚部30の内部空間34内を移動しつつ撓み変形し、係合部42が取付孔2の裏側周縁から外れて、取付孔2に対する第1係合片41の係合が解除されるようになっている。
【0025】
一方、図2に示すように、第2壁部32には、基端部が、第2壁部32の立設方向の先端側に連結されると共に、撓み変形可能とされ、取付孔2に係合する一対の第2係合片45,45と、一対の第2係合片45,45の間に配置され、第2壁部の立設方向に延びる立壁50とが設けられている。
【0026】
図2や、図5図8等に示すように、第2係合片45は、その基端部が、第2壁部32の外面側であって、立設方向の先端側に連結されており、ベース部20側に向けて斜め外方に延設されている。なお、上記の第2壁部32の「外面側」とは、第2壁部32の、第1壁部31との対向面とは反対面側を意味する。以下の説明でも同様である。また、各第2係合片45の、基端部とは反対側の自由端部側の外面に、取付孔2の裏側周縁に係合する係合部46が設けられている(図8参照)。
【0027】
更に、図2や、図5図8等に示すように、脚部30を構成する一対の側壁部33,33には、第2壁部32寄りの位置に、略U字状をなしたスリット48aが形成されており、該スリット48aを介して、脚部30の内部空間34に向けて撓み可能な、略三角板状をなした仮保持片48,48がそれぞれ設けられている。各仮保持片48の一端部には、係合部48bが設けられている。
【0028】
そして、各仮保持片48の係合部48bが、トリム部材3の挿入孔4の裏側周縁に係合すると共に、ベース部20が挿入孔4の表側周縁に当接することで、トリム部材3に対してサンバイザホルダ10が仮保持されるようになっている。
【0029】
また、図2図4に示すように、第2壁部32の外面側であって、一対の第2係合片45,45の間には、第2壁部32の立設方向に延びる立壁50が延設されている。この実施形態における立壁50は、先端外面がテーパ状にカットされた略長板状をなしており、ベース部20の底部23から、第2壁部32の立設方向の先端に至る長さで延びている。
【0030】
更に、第2壁部32の、各第2係合片45と立壁50との間には、第2壁部32の立設方向に延び、第2壁部32を薄肉とする溝部51が形成されている。
【0031】
図2や、図4図7に示すように、この実施形態における溝部51は略コ字溝状をなしており、第2壁部32の外面側であって、各第2係合片45の基端部の内側縁に配置されていると共に、ベース部20の底部23に至る長さでそれぞれ延びている。また、図7に示すように、溝部51の幅W1(幅方向Bに沿った方向)は、立壁50と第2係合片45との間隔W2(幅方向Bに沿った方向)よりも狭く形成されている。
【0032】
また、上記のような溝部51,51を形成することによって、図7に示すように、第2係合片45の基端部と、第2壁部32の幅方向Bの側部との連結部分44の厚さT2が、第2壁部32の溝部51を形成した部分の厚さT1よりも、厚く形成されるようになっている。なお、この連結部分44は、溝部51よりも幅広(幅方向Bに沿った方向が大きい)で、略四角柱状をなしている(図7参照)。
【0033】
そして、上記の溝部51を設けたことによって、取付孔2にサンバイザホルダ10を取付けた状態で、第1係合片41と取付孔2との係合を解除した後、取付孔2から脚部30を取外すべく、脚部30を取付孔2から徐々に引き抜く際に(第2係合片45に、ゆっくり引き抜き荷重が作用する態様)、第2係合片45を撓み変形させやすくなっている。また、溝部51を設けたことで、取付孔2にサンバイザホルダ10を取付けた状態で、衝撃力等の急激な力が外部から作用したときに(第2係合片45に、急な引き抜き荷重が作用する態様)、第2係合片45を故意に破損しやすくなっている。これらの作用効果については後述する。
【0034】
なお、溝部51としては、例えば、略U字状、略V字状等をなしていてもよく、特に限定はされない。また、溝部の形成位置も、特に限定はないが、第2係合片45の基端部側の内側縁に沿って配置されていることが好ましい。更に、溝部の形成範囲(立壁の立設方向に沿った範囲)も、特に限定はされないが、第2係合片45の基端部が設けられた範囲にあることが好ましい。
【0035】
また、図2に示すように、立壁50の基端部側には、取付孔2の内周に当接可能(図9参照)とされた幅広部53が設けられている。
【0036】
この実施形態における幅広部53は、立壁50の、第2壁部32からの突出方向先端側(図7のような平面視において、第2壁部32の外面から最も離れた位置)であって、かつ、図2図3に示すように、立設方向の基端部側において、一対の第2係合片45,45に向けて、リブ状に張り出した形状をなしている。その結果、図2図3に示すように、幅広部53は、立壁50の立設方向の先端部側の幅(幅方向Bに沿った長さ)が幅広となっている。更に、この幅広部53は、ベース部20の底部23から延びている。
【0037】
また、図2図4に示すように、立壁50の基端部側とベース部20の周壁22との間は、連結部55によって連結されており、立壁50の剛性維持が図られている。
【0038】
更に、図4図7に示すように、脚部30を構成する一対の側壁部33,33の内面側(対向面側)であって、第2壁部32に近接した位置には、リブ57,57がそれぞれ立設されている。これらのリブ57,57によって、一対の側壁部33,33の剛性や耐衝撃性の向上が図られている。
【0039】
そして、図4図7に示すように、このサンバイザホルダ10においては、一対の側壁部33,33を連結すると共に、第2係合片45と取付孔2との係合が解除された状態で、第2係合片45の、第1壁部31側への撓み変形を規制する、ストッパ壁60が設けられている。また、このストッパ壁60は、第1係合片41が第2壁部32側へ撓み変形したときに、図13に示すように、第1係合片41を、ストッパ壁60の中央にガイドする、両側面がテーパ状をなす凹状受け部65が設けられている。
【0040】
図7に示すように、この実施形態では、一対の側壁部33,33の内面側(対向面側)であって、第1壁部31に近接した部分が、ストッパ壁60によって連結されている。図8には、第1係合片41の回動軌跡Kが示されているが、この実施形態のストッパ壁60は、この回動軌跡Kの途中、具体的には、第1壁部31と、仮保持片48を形成する略U字状のスリット48aとの間に、配置されている。
【0041】
また、このストッパ壁60は、ストッパ壁中央に配置され、前記第1壁部31に対して平行に延びる中央部61と、該中央部61の両側から、前記第1壁部31に次第に近接するように傾斜して延びる、一対の傾斜部62,62と、これらの傾斜部62,62の延出方向先端から、前記第1壁部31に対して平行に延び、一対の側壁部33,33にそれぞれ連結する、一対の連結部63,63とを有している。前記一対の傾斜部62,62の両内側面(互いに近接する側の面)がテーパ状をなしている。そして、これらの一対の傾斜部62,62と、その間に配置された中央部61とによって、図7のような平面視において、第1壁部31側が凹み、その両側面がテーパ状をなした、前記凹状受け部65が構成されている。
【0042】
なお、以上説明したサンバイザホルダ10の各部材(ベース部、脚部、第1係合片、第2係合片等)の形状や構造は、あくまで例示であり、上記形状や構造に限定されるものではない。
【0043】
次に、上記構成からなるサンバイザホルダ10の使用方法について説明する。
【0044】
まず、図1に示すように、サンバイザホルダ10の脚部30を、トリム部材3の表側から挿入孔4に対して挿入していく。すると、第1係合片41、第2係合片45,45、及び、仮保持片48,48が、挿入孔4の内周に押圧されて内方に撓みながら通過していき、挿入孔4の裏側から各片41,45,48が抜け出て弾性復帰すると、各仮保持片48の係合部48bが挿入孔4の裏側周縁に係合し、ベース部20が挿入孔4の表側周縁に当接して、トリム部材3にサンバイザホルダ10が仮保持される。
【0045】
上記のように、トリム部材3にサンバイザホルダ10を仮保持させ、挿入孔4の裏側から脚部30の先端側を突出させた状態で、トリム部材3ごと車両パネル1側に向けて押し込んで、サンバイザホルダ10の脚部30を車両パネル1の表側から取付孔2に対して挿入していく。すると、第1係合片41、第2係合片45,45、仮保持片48,48が、取付孔2の内周に押圧されて脚部内方に向けて撓んでいき、第1係合片41の係合部42及び各第2係合片45の係合部46が取付孔2を通過すると、第1係合片41及び各第2係合片45がそれぞれ弾性復帰して、取付孔2の裏側周縁に係合する(図8参照)と共に、仮保持片48が内方に撓んで取付孔2の内周に当接した状態に保持される。その結果、図8に示すように、トリム部材3の挿入孔4に当接したベース部20と、同取付孔2の裏側周縁に係合した第1係合片41及び一対の第2係合片45,45とによって、車両パネル1及びトリム部材3が挟み込まれると共に、柔軟なトリム部材3がやや押し潰された状態で、取付孔2にサンバイザホルダ10を取付けることができる。なお、この状態では、図9に示すように、立壁50の基端部側に設けた幅広部53が、取付孔2の内周に当接可能となっている。
【0046】
そして、開口した挿入部25を通して保持部21に、サンバイザのシャフト5を挿入することで、シャフト外周に押え片27が弾性的に当接して、そのガタ付きが抑制された状態で、シャフト5が保持部21に着脱可能に回動保持されて、車両パネル1及びトリム部材3に対してサンバイザを固定することができる。
【0047】
ところで、部品交換やメンテナンス、リサイクル等の理由で、車両パネル1の取付孔2からサンバイザホルダ10を取外したい場合には、図8に示すように、トリム部材3の表側から、例えば、マイナスドライバー等の押込み具7で、解除部43を第2壁部32に近接する方向に向けて押込む。すると、図12に示すように、解除部43を介して、第1係合片41が脚部30の内部空間34内を移動しつつ、第2壁部32に近接する方向に撓み変形し、その結果、係合部42が取付孔2の裏側周縁から外れて、取付孔2に対する第1係合片41の係合を解除することができる。
【0048】
そして、この実施形態においては、図4図7等に示すように、一対の側壁部33,33を連結すると共に、第1係合片41と取付孔2との係合が解除された状態で、第1係合片41の、第2壁部32側への撓み変形を規制する、ストッパ壁60が設けられており、このストッパ壁60は、第1係合片41が第2壁部32側へ撓み変形したときに、第1係合片41を、ストッパ壁60の中央にガイドする、両側面がテーパ状をなす凹状受け部65が設けられている。
【0049】
そのため、押込み具7で解除部43を押込んで、第1係合片41を撓み変形させたときに、過度に解除部43を押しても、図12に示すように、第1係合片41がストッパ壁60に当接するので、第1係合片41のそれ以上の撓み変形を規制することができる。その結果、第1係合片41の塑性変形を防止することができる。
【0050】
また、押込み具7で解除部43を押込むときには、図4の矢印F1に示すように、解除部43を第2壁部32側に向けて真っすぐに押込むことが望ましいが、図4の矢印F2,F3のように斜めに押込んでしまうこともある。この場合、第1係合片41が、ストッパ壁60の中央位置からずれて、曲がりながら撓み変形することなるが、両側面がテーパ状をなす凹状受け部65によって、図13に示すように、第1係合片41がガイドされて(ここでは、傾斜部62のテーパ状をなした両内側面によりガイドされる)、ストッパ壁60の中央に位置させることができ、第1係合片41の撓み変形規制を確実に図ることができる。
【0051】
更に、ストッパ壁60には、両側面がテーパ状をなす凹状受け部65が設けられているので、ストッパ壁60自体の剛性を高めることができる(凹状受け部がない構成に比べて、ストッパ壁60の剛性が高くなる)。
【0052】
また、このストッパ壁60は、第1壁部31に近接して設けられており、第2壁部32とは離反しているので、後述する第2壁部32の変形しやすさを阻害しない構成としつつ、一対の側壁部33,33の強度を高めることができる。
【0053】
サンバイザホルダ10の取付孔2からの取外し手順の説明に戻ると、上記のように、係合部42が取付孔2の裏側周縁から外れて、取付孔2に対する第1係合片41の係合が解除された状態を保持しつつ、図8の矢印F4に示すように、ベース部20をトリム部材3の表側から離れる方向となるように回動させて、取付孔2から脚部30を、長手方向Aの一端部側(第1壁部31,第1係合片41側)から、徐々に引き抜いていく。
【0054】
このとき、このサンバイザホルダ10においては、図2や、図4図7に示すように、第2壁部32の、各第2係合片45と立壁50との間には、第2壁部32の立設方向に延び、第2壁部32を薄肉とする溝部51が形成されている。そのため、図10に示すように、一対の第2係合片45,45を、第2壁部32に近づく方向に撓み変形させやすくすることができると共に、互いに近づく方向にも撓み変形させやすくすることができる。
【0055】
ここでは、図10に示すように、第2壁部32の、溝部51,51が形成された薄肉部分が、第1壁部31に近接するように斜め内方に向けてやや屈曲しつつ(すなわち、第2壁部32は、両側部が互いに近づく方向に屈曲変形する)、一対の第2係合片45,45が、第2壁部32の外面側に近づく方向に、かつ、立壁50を挟んで互いに近づく方向に、斜め内方に撓み変形するようになっている。
【0056】
その結果、取付孔2に対する第2係合片45の係合部46の掛かり代を減らして、一対の第2係合片45,45と取付孔2との係合を解除しやすくすることができるので、取付孔2から脚部30を引き抜きやすくなり、取付孔2からサンバイザホルダ10を取外しやすくなる。
【0057】
なお、上述したように、一対の第2係合片45,45が、第2壁部32に近づく方向に撓み変形させやすく、互いに近づく方向にも撓み変形させやすいので、取付孔2に対する係合部42の掛かり代を確保しやすくなり、取付孔2にサンバイザホルダ10をしっかりと取付けることができるという効果も得られる。
【0058】
また、この実施形態においては、図4図7に示すように、各溝部51は、第2壁部32の外面側にそれぞれ形成されている。そのため、取付孔2からのサンバイザホルダ10の取外し時に、図10に示すように、第2壁部32を、両側部が互いに近づきつつ、第1壁部31に近接する方向となるように屈曲変形するため、一対の第2係合片45,45が互いに近づく方向に撓み変形させやすくすることができる。
【0059】
更に、この実施形態においては、図2図4に示すように、各溝部51は、第2係合片45の基端部側の内側縁に沿ってそれぞれ配置されていると共に、図7に示すように、各溝部51の幅W1は、立壁50と第2係合片45との間隔W2よりも狭く形成されている。そのため、第2壁部32の強度低下を防ぎつつ、一対の第2係合片45,45をより撓み変形させやすくすることができる。
【0060】
また、この実施形態においては、立壁50の基端部側には、図9に示すように、取付孔2の内周に当接可能とされた幅広部53が設けられている。そのため、取付孔2にサンバイザホルダ10が取付けられた状態で、外部から衝撃力が作用したときに、その衝撃力を受け止めやすくすることができ、立壁50の破損を防いで、取付孔2からサンバイザホルダ10を外れにくくすることができる。
【0061】
ところで、このサンバイザホルダ10には、取付孔2に取付けられた状態で、衝撃力等の急激な力が作用することがある。例えば、図11の矢印に示すように、保持部21の延出方向先端側に、斜め外方から衝撃力が作用することがある。この際、上述したサンバイザ取外し時の引き抜き荷重よりも、遥かに大きい荷重が作用する。この場合、このサンバイザホルダ10においては、図11に示すように、各第2係合片45の基端部が、脚部30の立設方向の先端部からやや突出し、かつ、各第2係合片45の内面側が、第2壁部32に近接するように、撓み変形するが、互いに近づく方向に方向には撓み変形しづらいようになっている。
【0062】
そのため、各第2係合片45を故意に破損しやすくすることができ(第2係合片45の基端部側に、短時間で集中して剪断応力が作用するので、破損しやすい)、取付孔2からサンバイザホルダ10を外れやすくすることができる。なお、この実施形態においては、上述したように、各溝部51は、第2壁部32の外面側にそれぞれ形成され、かつ、第2係合片45の基端部側の内側縁に沿ってそれぞれ配置され、その幅W1は、立壁50と第2係合片45との間隔W2よりも狭く形成されているので、上記のように、衝撃力等の急激な外力が作用した場合に、各第2係合片45をより破損しやすくなっている。
【0063】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
2 取付孔
5 シャフト
10 サンバイザホルダ
20 ベース部
21 保持部
30 脚部
31 第1壁部
32 第2壁部
33,33 側壁部
41 第1係合片
43 解除部
45 第2係合片
50 立壁
51,51 溝部
53 幅広部
60 ストッパ壁
65 凹状受け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13