(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】サーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/325 20060101AFI20220902BHJP
B41J 17/10 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
B41J2/325 A
B41J17/10
(21)【出願番号】P 2022079654
(22)【出願日】2022-05-13
【審査請求日】2022-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390034223
【氏名又は名称】イーデーエム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【氏名又は名称】渡邉 聡
(72)【発明者】
【氏名】山口 礼司
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-150464(JP,A)
【文献】特開2018-167481(JP,A)
【文献】特開2020-069741(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0215170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/325
B41J 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定速度で移動される被印刷物に印刷を行うサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドと前記被印刷物の印刷面との間に配置され、前記サーマルヘッドにより前記被印刷物に印刷を行う際にインクが前記被印刷物に転写されるインクリボンと、
前記インクリボンを移動させるリボン駆動部と、
前記被印刷物の移動速度と前記インクリボンの移動速度とが同じ移動速度になるように、前記インクリボンを移動させるように前記リボン駆動部を制御するリボン制御部と、を備え、
前記リボン制御部は、
前記リボン駆動部の制御中に前記被印刷物の移動速度が加速した場合に、前記インクリボンの前回の使用領域と次回の使用領域とを監視して、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように、前記リボン駆動部を制御するサーマルプリンタ。
【請求項2】
所定速度で移動される被印刷物に印刷を行うサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドと前記被印刷物の印刷面との間に配置され、前記サーマルヘッドにより前記被印刷物に印刷を行う際にインクが前記被印刷物に転写されるインクリボンと、
前記インクリボンを移動させるリボン駆動部と、
前記被印刷物の移動速度と前記インクリボンの移動速度とが同じ移動速度になるように、前記インクリボンを移動させるように前記リボン駆動部を制御するリボン制御部と、を備え、
前記リボン制御部は、前記リボン駆動部の制御中に前記被印刷物の移動速度が減速した場合に、前記インクリボンの前回の使用領域と次回の使用領域とを監視して、前回の使用領域と次回の使用領域との間隔が広がらないように、前記リボン駆動部を制御するサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記リボン制御部は、前回の使用領域の最も後端部を監視して、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように
又は前回の使用領域と次回の使用領域との間隔が広がらないように、前記リボン駆動部を制御する、請求項1
又は2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
印刷信号を前記リボン制御部が受信してから前記インクリボンの移動を開始するまでの時間を遅延時間といい、前記インクリボンを加速させる加速時間と、前記インクリボンの送り量を調整するリボン送り調整時間と、を有する時間であって、前記インクリボンの移動を開始してから前記被印刷物への印刷の準備ができるまでの時間を印刷準備時間というと、
前記リボン制御部は、前記被印刷物の移動速度に応じて、前記遅延時間及び前記印刷準備時間に前記被印刷物が移動する距離が、前記遅延時間及び前記印刷準備時間に前記被印刷物が印刷基準速度で移動する距離と同じになるように、且つ、前記印刷準備時間に前記インクリボンが移動する距離が、前記印刷準備時間に前記インクリボンが前記印刷基準速度で移動する距離と同じになるように、前記遅延時間を変更して、前記リボン駆動部を制御する請求項1又は2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記被印刷物の進行方向と同方向に前記インクリボンを送り出しと巻き戻しの制御を行うと共に前記インクリボンの幅方向に前記インクリボン及び前記サーマルヘッドが移動される制御が行われる場合において、
前記リボン制御部は、前記インクリボンを送り出して印刷した後に前記インクリボンを移動した分だけ巻き戻すと共に、前記インクリボンの前回の使用領域と次回の使用領域とが、幅方向においては幅方向に並んだ位置であり、かつ、インクリボンRにおける幅方向に並んだ複数列の使用領域のうちの各列の使用領域において、前記被印刷物の移動方向においては、前記インクリボンの前回の使用領域と次回の使用領域とを監視して、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように
又は前回の使用領域と次回の使用領域との間隔が広がらないように、前記リボン駆動部を制御する、請求項1又は2に記載のサーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定速度で移動される包装フィルム等の長尺フィルム(被印刷物)に印刷を行うサーマルヘッドと、サーマルヘッドにより長尺フィルムに印刷を行う際にインクが長尺フィルムに転写されるインクリボンと、インクリボンを移動させるリボン駆動部と、インクリボンの移動を制御するリボン制御部と、を備えるサーマルプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなサーマルプリンタにおいては、印刷時に、インクリボンは、印刷の品質を確保するため、包装機等により連続的に移動される長尺フィルムと同じ移動速度になるように、リボン制御部により制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷時に長尺フィルムと同じ移動速度でインクリボンが移動されるように制御されるサーマルプリンタにおいては、インクリボンの移動速度が長尺フィルムの移動速度と同じ移動速度に達するまで所定の加速度で加速されるため、長尺フィルムの移動速度が異なる場合において、インクリボンの加速時間が異なる。インクリボンの加速時間が異なると、印刷信号をリボン制御部が受信してからインクリボンが長尺フィルムと同じ移動速度に達するまでにおいて、長尺フィルムの移動する距離が異なることとなる。
【0005】
また、インクリボンの加速時間が異なると、印刷信号をリボン制御部が受信してからインクリボンが長尺フィルムと同じ移動速度に達するまでにおいて、インクリボンの移動する距離が異なってしまって、印刷信号を所定のタイミングで入力しても、インクリボンの使用領域が一定の位置にならないことがある。この場合に、前回のインクリボンの使用領域と、次回のインクリボンの使用領域とが、重なる可能性がある。従って、インクリボンにおける前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないサーマルプリンタが望まれる。
【0006】
本発明は、インクリボンにおける前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、所定速度で移動される被印刷物に印刷を行うサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドと前記被印刷物の印刷面との間に配置され、前記サーマルヘッドにより前記被印刷物に印刷を行う際にインクが前記被印刷物に転写されるインクリボンと、前記インクリボンを移動させるリボン駆動部と、前記被印刷物の移動速度と前記インクリボンの移動速度とが同じ移動速度になるように、前記インクリボンを移動させるように前記リボン駆動部を制御するリボン制御部と、を備え、前記リボン制御部は、前記インクリボンの前回の使用領域と次回の使用領域とを監視して、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように、前記リボン駆動部を制御するサーマルプリンタに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インクリボンにおける前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないサーマルプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るサーマルプリンタの全体構成を説明する図である。
【
図2】サーマルプリンタの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】インクリボンの動作を示すタイミングチャートであって、印刷基準速度Vkを印刷基準速度Vaに設定した場合に、長尺フィルムが移動速度Vfで移動する場合を示す図である。
【
図4】長尺フィルムの移動速度が変化しない場合においてインクリボンの移動制御を示すタイミングチャートである。
【
図5】長尺フィルムの移動速度が変化しない場合においてインクリボンの動作を説明する図である。
【
図6】長尺フィルムの移動速度が途中から上昇する場合においてインクリボンの移動制御を示すタイミングチャートである。
【
図7】長尺フィルムの移動速度が途中から上昇する場合においてインクリボンの動作を説明する図である。
【
図8】長尺フィルムの移動速度が途中から下降する場合においてインクリボンの移動制御を示すタイミングチャートである。
【
図9】長尺フィルムの移動速度が途中から下降する場合においてインクリボンの動作を説明する図である。
【
図10】長尺フィルムの移動速度が途中から下降する場合においてインクリボンの送り動作を優先した場合のインクリボンの移動制御を示すタイミングチャートである。
【
図11】長尺フィルムの移動速度が途中から下降する場合においてインクリボンの送り動作を優先した場合のインクリボンの動作を説明する図である。
【
図12A】第2実施形態のサーマルプリンタにおいて、長尺フィルムの流れ方向に長い文字列を複数印刷する場合の動作を説明する図である。
【
図12B】第2実施形態のサーマルプリンタにおいて、リボンセーブ機能の動作を説明する図である。
【
図13】リボンセーブ機能を有するサーマルプリンタにおいて、長尺フィルムの移動速度が途中から上昇する場合においてインクリボンの移動制御を示すタイミングチャートである。
【
図14】リボンセーブ機能を有するサーマルプリンタにおいて、長尺フィルムの移動速度が途中から上昇する場合においてインクリボンの動作を説明する図である。
【
図15】リボンセーブ機能を有するサーマルプリンタにおいて、長尺フィルムの移動速度が変化しない場合においてインクリボンの移動制御を示すタイミングチャートである。
【
図16】リボンセーブ機能を有するサーマルプリンタにおいて、長尺フィルムの移動速度が変化しない場合においてインクリボンの動作を説明する図である。
【
図17】リボンセーブ機能を有するサーマルプリンタにおいて、長尺フィルムの移動速度が途中から上昇する場合においてインクリボンの移動制御を示すタイミングチャートである。
【
図18】リボンセーブ機能を有するサーマルプリンタにおいて、長尺フィルムの移動速度が途中から上昇する場合においてインクリボンの動作を説明する図である。
【
図19】リボンセーブ機能を有するサーマルプリンタにおいて、長尺フィルムの移動速度が途中から下降する場合においてインクリボンの移動制御を示すタイミングチャートである。
【
図20】リボンセーブ機能を有するサーマルプリンタにおいて、長尺フィルムの移動速度が途中から下降する場合においてインクリボンの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1実施形態について、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタ1の全体構成を説明する図である。
【0011】
本実施形態のサーマルプリンタ1は、例えば、包装機(図示せず)等により連続的に移動される包装フィルム等の長尺フィルムF(被印刷物)に、印刷を行う。長尺フィルムFは、長尺状のフィルムにより形成される。長尺フィルムFは、例えば、包装機(図示せず)などにより移動される包装フィルムである。
【0012】
サーマルプリンタ1は、
図1に示すように、プリンタ本体2と、プラテンローラ4と、上流側ガイドローラ61と、下流側ガイドローラ62と、ロータリーエンコーダ7と、マーク検出センサ8と、を備える。
【0013】
プリンタ本体2は、長尺フィルムFの移動経路の途中において、長尺フィルムFの移動経路に対して上方側に配置されている。プリンタ本体2は、支持部23に保持されている。
【0014】
支持部23は、支持軸部24と、移動部材25と、保持部材26と、を有する。支持軸部24は、保持部材26に保持されている。移動部材25は、支持軸部24の軸方向(
図1の紙面を貫く方向)に移動可能に、支持軸部24に支持される。移動部材25には、プリンタ本体2が固定されている。プリンタ本体2は、移動部材25が支持軸部24の軸方向に移動することで、支持軸部24の軸方向に移動可能である。
【0015】
プリンタ本体2は、インクリボンRと、リボン搬送機構3と、サーマルヘッド21と、保持枠体22と、を備える。保持枠体22には、リボン搬送機構3及びサーマルヘッド21が保持されている。
【0016】
サーマルヘッド21は、インクリボンR及び長尺フィルムFを挟んで、プラテンローラ4に対向して配置される。サーマルヘッド21は、先端部21a側がプラテンローラ4側に突出するように配置される。サーマルヘッド21は、上下方向Zに移動可能に構成される。サーマルヘッド21は、上流側から下流側に向けて移動する長尺フィルムFに、印刷パターン(図示せず)を印刷する。
【0017】
サーマルヘッド21は、移動方向Pに所定の移動速度で移動される長尺フィルムFに対向して配置される。サーマルヘッド21は、プラテンローラ4に対して、プラテンローラ4から離間する待機位置(
図1参照)又はプラテンローラ4を押圧する押圧位置(図示せず)に移動可能に構成される。
【0018】
サーマルヘッド21は、その先端部21aに複数の発熱素子を備える。サーマルヘッド21においては、サーマルヘッド21が通電されることにより、発熱素子が発熱する。
【0019】
インクリボンRは、サーマルヘッド21と長尺フィルムFの印刷面との間に配置される。インクリボンRからは、サーマルヘッド21により長尺フィルムFに印刷を行う際にインクが長尺フィルムFに転写される。インクリボンRは、リボン搬送機構3により搬送(移動)される。
【0020】
リボン搬送機構3は、巻回された未使用のインクリボンRを保持する原反側リボンホルダ31と、インクリボンRを巻き取る巻取側リボンホルダ32と、複数のガイドローラ33,34,35,36と、リボン駆動部としてのリボン駆動モータ321と、を備える。リボン搬送機構3は、リボン駆動モータ321の駆動により、原反側リボンホルダ31に巻回された未使用のインクリボンRをサーマルヘッド21へ向けて巻き戻すと共に、サーマルヘッド21に使用されたインクリボンRを巻取側リボンホルダ32に巻き取る。
【0021】
リボン駆動モータ321は、インクリボンRを移動させる。リボン駆動モータ321は、巻取側リボンホルダ32を、インクリボンRを巻き戻す方向及びインクリボンRを巻き取る方向の両方向に回転駆動する。リボン駆動モータ321は、インクリボンRを、包装機等により連続的に移動される包装フィルム等の長尺フィルムFと同じ移動速度になるように、サーマルヘッド21へ向けて搬送する。
リボン駆動モータ321は、後述するリボン制御部112に制御される。
【0022】
複数のガイドローラ33,34,35,36は、原反側リボンホルダ31から巻取側リボンホルダ32に向かって搬送されるインクリボンRをガイドし、又は、巻取側リボンホルダ32から原反側リボンホルダ31に向かって搬送されるインクリボンRをガイドするローラである。
【0023】
プラテンローラ4、上流側ガイドローラ61及び下流側ガイドローラ62は、側板10等に保持される。プラテンローラ4、上流側ガイドローラ61及び下流側ガイドローラ62は、長尺フィルムFの移動方向Pへの移動をガイドする。
【0024】
プラテンローラ4は、
図1に示すように、インクリボンR及び長尺フィルムFを挟んでサーマルヘッド21に対向して配置される。本実施形態においては、プラテンローラ4は、サーマルヘッド21の下方に配置されている。
【0025】
プラテンローラ4は、プラテンローラ4とサーマルヘッド21との間に長尺フィルムFを配置した状態で、長尺フィルムFの少なくとも一部を周面に巻き掛けながら回転可能である。プラテンローラ4は、所定径の金属製芯金の周面にシリコーンゴム等の所定の弾性を有する素材による弾性層が形成され、所定外径の円柱状に形成されたローラである。プラテンローラ4は、プラテンローラ本体41と、プラテン軸部材42と、を有する。プラテン軸部材42は、側板10に軸受(不図示)を介して回転自在に支持されている。
【0026】
ロータリーエンコーダ7は、長尺フィルムFを挟んで、プラテンローラ4に対向して配置される。ロータリーエンコーダ7は、長尺フィルムFが移動することにより回転して、長尺フィルムFの移動量を回転量として検出して、パルス信号として出力する。これにより、制御部110(後述)は、基準位置からの長尺フィルムFの移動方向Pの位置を算出する。基準位置は、例えば、長尺フィルムF上において所定間隔ごとに印刷された複数のマークなどである。
【0027】
ロータリーエンコーダ7から出力されたパルス信号は、制御部110(後述)に入力される。これにより、制御部110は、ロータリーエンコーダ7から出力されたパルス信号から長尺フィルムFの速度に換算して、長尺フィルムFの速度を算出することができる。
【0028】
上流側ガイドローラ61は、長尺フィルムFの移動方向Pにおいて、プラテンローラ4の上流側に配置されている。上流側ガイドローラ61は、長尺フィルムFを、プラテンローラ4の上流側においてガイドする。
【0029】
マーク検出センサ8は、上流側ガイドローラ61の上流側において、長尺フィルムFの移動経路上に配置されている。なお、マーク検出センサ8を、下流側ガイドローラ62(後述)の下流側に設けてもよい。マーク検出センサ8は、センサ発光部8aと、センサ受光部8bと、を有する。センサ発光部8aとセンサ受光部8bとは、所定間隔離れた状態で、互いに向かい合うように配置されている。マーク検出センサ8は、センサ発光部8aとセンサ受光部8bとの間に、長尺フィルムF上において所定間隔ごとに印刷された複数のマークM(基準位置)(
図5等参照)が位置した場合に、マークMを検出したことを示す検出信号を出力する。マーク検出センサ8から出力された検出信号は、制御部110(後述)に入力される。
【0030】
下流側ガイドローラ62は、長尺フィルムFの移動方向Pにおいて、プラテンローラ4の下流側に配置されている。下流側ガイドローラ62は、長尺フィルムFを、プラテンローラ4の下流側においてガイドする。
【0031】
上流側ガイドローラ61、プラテンローラ4及び下流側ガイドローラ62がこのように構成されることにより、長尺フィルムFは、上流側ガイドローラ61、プラテンローラ4、下流側ガイドローラ62の順に移動される。長尺フィルムFは、例えば、包装機(図示せず)などにより移動される包装フィルムであり、包装機のフィルム移動機構等により、移動方向Pに移動される。長尺フィルムFの移動速度は、包装機の速度変更部(図示せず)により変更可能である。
【0032】
以上のように構成されるサーマルプリンタ1は、サーマルヘッド21を、待機位置(
図1参照)から、押圧位置(図示せず)に向かうように移動させることで、インクリボンRを、長尺フィルムF及びプラテンローラ4側に押圧する。そして、長尺フィルムFが移動経路を移動されることにより、プラテンローラ4の表面において、発熱した所望の発熱素子と接触したインクリボンRは、長尺フィルムFに接触した状態で移動される。これにより、サーマルプリンタ1は、インクリボンRに塗布されたインクを長尺フィルムFに転写させ、移動速度Vfで移動される長尺フィルムFに、印刷部(図示せず)を印刷する。
【0033】
次に、サーマルプリンタ1の機能構成について説明する。
図2は、サーマルプリンタ1の機能構成を示すブロック図である。
図3は、インクリボンRの動作を示すタイミングチャートであって、印刷基準速度Vkを印刷基準速度Vaに設定した場合に、長尺フィルムFが移動速度Vfで移動する場合を示す図である。
【0034】
サーマルプリンタ1は、上述した構成要素に加えて、
図2に示すように、操作部9と、制御装置100と、を更に備える。制御装置100は、制御部110と、記憶部120と、を有する。
【0035】
操作部9は、タッチパネル(図示せず)やテンキー(図示せず)等で構成される。操作部9は、印刷動作の開始の操作や、印刷の回数等の数字の入力の操作や、印刷基準速度Vk(後述)の設定変更の操作や、種々の値の設定変更などをするために操作される。操作部9は、タッチパネル(図示せず)やテンキー(図示せず)等が操作されることにより、タッチパネル(図示せず)やテンキー(図示せず)等が操作されたことを示す信号を制御部110に出力する。
【0036】
記憶部120は、ハードディスクや半導体メモリー等から構成される。記憶部120は、サーマルプリンタ1の制御部110において利用される制御プログラム、及びこの制御プログラムによって利用されるデータ等を記憶する。
【0037】
制御部110は、サーマルヘッド21、リボン駆動モータ321等を制御する。制御部110は、サーマルヘッド制御部111と、リボン制御部112と、速度設定変更部113と、を有する。
【0038】
サーマルヘッド制御部111は、サーマルヘッド21の動作を制御する。サーマルヘッド制御部111は、サーマルヘッド21を、プラテンローラ4に対して、プラテンローラ4から離間する待機位置(
図1参照)又はプラテンローラ4を押圧する押圧位置(図示せず)に移動するように制御する。サーマルヘッド制御部111は、サーマルヘッド21の所望の発熱素子が発熱するように、サーマルヘッド21に通電させるように制御する。
【0039】
リボン制御部112は、印刷動作において、インクリボンRを移動させる制御を行う。リボン制御部112は、1サイクルの印刷動作において、遅延工程と、印刷準備工程と、印刷工程と、減速工程と、待機工程と、巻き戻し工程(逆移動工程)と、を順次実行するように、リボン駆動モータ321を制御する。
【0040】
インクリボンRは、印刷準備工程、印刷工程及び減速工程においては、原反側リボンホルダ31から巻取側リボンホルダ32に向かう順方向に移動する。
インクリボンRは、巻き戻し工程(逆移動工程)においては、印刷準備工程、印刷工程及び減速工程においてインクリボンRが移動する順方向と逆の逆方向であって、巻取側リボンホルダ32から原反側リボンホルダ31に向かう逆方向に移動する。
【0041】
なお、以下の説明において、インクリボンRが移動する方向において、「順方向」と記載する場合には、インクリボンRが、原反側リボンホルダ31から巻取側リボンホルダ32に向かう方向を意味する。また、インクリボンRが移動する方向において、「逆方向」と記載する場合には、インクリボンRが、巻取側リボンホルダ32から原反側リボンホルダ31に向かう方向を意味する。
【0042】
これらの工程について、長尺フィルムF及びインクリボンRの動作を主に示すタイミングチャートとして、
図3を示している。本実施形態においては、
図3に示すように、印刷基準速度Vk(後述)を印刷基準速度Va(例えば、30m/min)に設定しており、長尺フィルムFは、移動速度Vf(例えば、移動速度Vb=20m/min)で移動している。
【0043】
遅延工程は、
図3に示すように、遅延時間Taにおいて、インクリボンRの移動の開始を遅延させる工程である。遅延時間Taは、印刷信号をリボン制御部112が受信してからインクリボンRの移動を開始するまでの時間である。印刷信号をリボン制御部112が受信したタイミングは、タイミングt11である。遅延時間Taは、タイミングt11からt12までの時間である。遅延工程においては、遅延時間Taの間、インクリボンRは、移動せずに停止する。
【0044】
印刷準備工程は、遅延工程(遅延時間Ta)の後の印刷準備時間Tbにおいて、長尺フィルムFへの印刷の準備を行う工程である。印刷準備時間Tbは、遅延工程(遅延時間Ta)の後に、インクリボンRの移動を開始してから長尺フィルムFへの印刷の準備ができるまでの時間である。印刷準備時間Tbは、タイミングt12からt14までの時間である。
【0045】
印刷準備工程は、インクリボンRを加速させる加速工程と、インクリボンRの送り量を調整するリボン送り調整工程と、を有する。印刷準備時間Tbは、加速時間Tcと、リボン送り調整時間Tdと、を有する。加速時間Tcは、インクリボンRを加速させる時間であって、加速工程を実行する時間である。リボン送り調整時間Tdは、加速時間Tcの後に、インクリボンRの送り量を調整する時間であって、リボン送り調整工程を実行する時間である。
【0046】
加速時間Tcは、タイミングt12からt13までの時間である。加速工程においては、加速時間Tcにおいて、インクリボンRの移動速度Vrは、所定の初速度に立ち上がり、所定の初速度から所定の等加速度で加速して、長尺フィルムFの移動速度Vfと同じ速度になるように、例えば、移動速度Vb(=20m/min)に達する。
【0047】
本実施形態においては、加速工程における所定の等加速度は、インクリボンRの動作を制御する場合に、長尺フィルムFの移動速度Vfが異なる場合(例えば、本実施形態のように、移動速度Vb=20m/minの場合や、例えば、移動速度Vb=30m/min、10m/minの場合)においても、又は、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中で変化した場合においても、同じ等加速度である。所定の等加速度は、例えば、リボン駆動モータ321の仕様等に基づいて適宜設定される。なお、本実施形態においては、加速工程における加速度を全て同じ加速度としたが、これに限定されない。加速度は、変動する加速度であってもよい。
【0048】
インクリボンRの移動距離は、縦軸がインクリボンRの移動速度Vrで、横軸が時間tであるタイミングチャートにおいて、面積として示される。
図3に示すように、加速時間TcにおけるインクリボンRの移動距離は、移動距離Lraである。
【0049】
リボン送り調整時間Tdは、タイミングt13からt14までの時間である。リボン送り調整工程においては、リボン送り調整時間Tdにおいて、長尺フィルムFの移動速度Vfに達したインクリボンRの移動速度Vrで、リボン送り調整時間Tdの間、インクリボンRを移動速度で移動させる。リボン送り調整時間TdにおけるインクリボンRの移動距離は、移動距離Lrbである。
【0050】
印刷工程は、
図3に示すように、印刷準備工程(印刷準備時間Tb)の後の印刷時間Teにおいて、長尺フィルムFに印刷を行う工程である。印刷時間Teは、長尺フィルムFに印刷を行う時間である。印刷時間Teは、タイミングt14からt15までの時間である。つまり、印刷工程は、タイミングt14で開始され、タイミングt15で終了する。
【0051】
印刷工程においては、長尺フィルムFの移動速度Vfと同じインクリボンRの移動速度Vrで、印刷時間Teの間、インクリボンRを移動させる。印刷時間TeにおけるインクリボンRの移動距離は、移動距離Lrpである。長尺フィルムFの移動速度Vfが異なる場合(例えば、移動速度Vb=30m/min、20m/min、10m/min)においても、又は、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中で変化した場合においても、同じ移動距離である。
【0052】
減速工程は、印刷工程(印刷時間Te)の後の減速時間Tfにおいて、インクリボンRを減速させる工程である。減速時間Tfは、印刷工程を終了してからインクリボンRを減速させる時間である。減速時間Tfは、タイミングt15からt16までの時間である。
【0053】
減速工程においては、減速時間Tfにおいて、インクリボンRを、印刷工程におけるインクリボンRの移動速度Vrから所定の等加速度で減速させて、所定の終端速度に達した後、停止させる。減速時間TfにおけるインクリボンRの移動距離は、バックラン距離Lrdである。
【0054】
待機工程は、減速工程(減速時間Tf)の後の待機時間Tgにおいて、巻き戻し工程(逆移動工程)の実行を待機する工程である。待機時間Tgは、減速工程が終了してから巻き戻し工程(逆移動工程)の実行が開始されるまでの時間である。待機時間Tgは、タイミングt16からt17までの時間である。待機工程においては、待機時間Tgにおいて、インクリボンRを移動させずに停止させて、巻き戻し工程(逆移動工程)の実行が開始されるまで待機する。
【0055】
巻き戻し工程(逆移動工程)は、
図3に示すように、印刷工程(印刷時間Te)の後であって、減速工程(減速時間Tf)及び待機工程(待機時間Tg)の後の巻き戻し時間Thにおいて、インクリボンRを逆方向に巻き戻す工程である。巻き戻し時間Thは、インクリボンRを巻き戻す時間である。
【0056】
巻き戻し時間Thは、タイミングt17からt18を経てt19までの時間である。巻き戻し工程(逆移動工程)においては、巻き戻し時間Thにおいて、インクリボンRを、巻き戻し方向(逆方向)の所定の初速度から所定の等加速度で加速させて、巻き戻し方向(逆方向)の所定の巻き戻し量に達した後に、所定の等加速度で減速させて、巻き戻し方向(逆方向)の所定の終端速度に達した後、停止させる。巻き戻し工程(逆移動工程)においては、巻き戻し工程が完了して所定の終端速度に達した後に停止した時点で、所定の巻き戻し量となるように、減速するタイミングt18が決定される。本実施形態においては、巻き戻し時間ThにおけるインクリボンRの巻き戻し移動距離は、巻き戻し方向(逆方向)に、所定の巻き戻し移動距離Lrrとなる。
【0057】
また、巻き戻し時間ThにおけるインクリボンRの逆方向への巻き戻し移動距離Lrrは、インクリボンRを、減速工程(減速時間Tf)で順方向に移動したバックラン距離Lrdの分だけ逆方向に巻き戻して移動させる距離と、印刷開始移動距離Lx逆方向に巻き戻して移動させる距離と、テキスト間のリボン送り量Lfmの分だけ順方向に移動させる距離と、を合計した距離である。そのため、加速工程(加速時間Tc)における移動距離Lraと、リボン送り調整工程(リボン送り調整時間Td)における移動距離Lrbと、を合わせた距離を印刷開始移動距離Lxとすると、逆方向をプラスとし順方向をマイナスとした場合、巻き戻し移動距離Lrr(=Lx+Lrd-Lfm)となる。テキスト間のリボン送り量Lfmの分だけ順方向(下流側)に位置させることで、詳細については後述するが、インクリボンRの使用領域の最も後端部が、インクリボンRの搬送方向の所定位置に位置するように、インクリボンRを巻き戻す制御を実行している。
【0058】
リボン制御部112は、印刷動作における印刷工程時に、長尺フィルムFの移動速度VfとインクリボンRの移動速度Vrとが同じ移動速度になるように、インクリボンRを移動させるように、リボン駆動モータ321を制御する。
【0059】
リボン制御部112は、長尺フィルムFの移動速度Vfに応じて、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが移動する距離が、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが印刷基準速度Vk(
図3参照)で移動する距離と同じになるように、且つ、印刷準備時間TbにインクリボンRが移動する距離が、印刷準備時間TbにインクリボンRが印刷基準速度Vkで移動する距離と同じになるように、遅延時間Taを変更して、リボン駆動モータ321を制御する。
【0060】
印刷前段階時間Txは、リボン制御部112が印刷信号を受信してから長尺フィルムFへの印刷の準備ができるまでの時間であって、遅延時間Taと印刷準備時間Tbとを合計した時間である。印刷前段階時間Txは、タイミングt11からt14までの時間である。
【0061】
印刷基準速度Vkは、長尺フィルムF及びインクリボンRにおける基準となる移動速度である。印刷基準速度Vkは、長尺フィルムFの移動速度Vfのうち、最高速度であると想定される長尺フィルムFの移動速度Vfが設定される。
【0062】
「最高速度であると想定される長尺フィルムFの移動速度Vf」について説明する。
長尺フィルムFの移動速度Vfは、例えば、包装機(不図示)において包装される製品の大きさなどにより設定変更可能である。そのため、最高速度であると想定される長尺フィルムFの移動速度Vfは、例えば、包装機(不図示)により包装される製品の大きさ等に基づいて設定される長尺フィルムFの移動速度のうち、設定変更の可能性がある長尺フィルムFの移動速度Vfの上限値である。
そのため、長尺フィルムFの移動速度Vfは、印刷基準速度Vk以下の速度である。印刷基準速度Vkは、速度設定変更部113により設定変更をすることができる。
【0063】
本実施形態においては、印刷基準速度Vkを印刷基準速度Va(例えば、30m/min)に設定することで、長尺フィルムFの移動速度Vfが異なる場合(例えば、移動速度Vb=30m/min、20m/min、10m/minの場合)や長尺フィルムFの移動速度Vfが変化した場合においても、リボン制御部112は、長尺フィルムFの移動速度Vfが印刷基準速度Vkであった場合の移動距離と同じ移動距離となるように、遅延時間Taを変更して、印刷前段階時間Tx(遅延時間Ta及び印刷準備時間Tb)における長尺フィルムFが進む移動距離が同じなるように制御する。遅延時間Taは、リボン制御部112の制御により算出されてもよいし、記憶部120に記憶テーブルとして記憶されていてもよい。
【0064】
例えば、
図3に示すように、長尺フィルムFの移動速度Vfの最高速度が印刷基準速度Vaと想定される場合には、印刷基準速度Vkを印刷基準速度Va(例えば、30m/min)に設定する。この場合に、長尺フィルムFの移動速度Vfが異なる場合(例えば、移動速度Vb=30m/min、20m/min、10m/min)や変化した場合においても、印刷前段階時間Tx(=遅延時間Ta+印刷準備時間Tb)において、リボン制御部112は、長尺フィルムFが移動する距離が、長尺フィルムFが印刷基準速度Vk(
図3参照)で移動する距離と同じになるように、遅延時間Taを調整する。
【0065】
ここで、印刷前段階時間Tx(=遅延時間Ta+印刷準備時間Tb)における長尺フィルムFの移動距離は、単位時間当たりに移動する長尺フィルムFの移動距離を、印刷前段階時間Tx(=遅延時間Ta+印刷準備時間Tb)において積分したものである。
図3においては、長尺フィルムFの移動距離は、印刷前段階時間Tx(=遅延時間Ta+印刷準備時間Tb)における面積に相当する。長尺フィルムFの移動距離は、移動距離Lfである。
【0066】
ここで、印刷前段階時間Tx(=遅延時間Ta+印刷準備時間Tb)において、「長尺フィルムFが移動する距離が、長尺フィルムFが印刷基準速度Vkで移動する距離と同じ」とは、印刷基準速度Vkを印刷基準速度Va(例えば、30m/min)に設定した場合には、長尺フィルムFの移動する距離が、長尺フィルムFの移動速度Vfが印刷基準速度Vaと同じ移動速度である場合の移動距離と同じであることを意味する。具体的には、本実施形態においては、リボン制御部112は、長尺フィルムFの移動速度Vfが異なる場合(例えば、移動速度Vb=30m/min、20m/min、10m/min)のいずれの場合においても、長尺フィルムFの移動距離Lfが、印刷基準速度Vkを印刷基準速度Vaに設定した場合の移動距離と同じになるように、遅延時間Taを調整する。
【0067】
このように、印刷基準速度Vkを設定して、遅延時間Taを調整することにより、印刷前段階時間Tx(=遅延時間Ta+印刷準備時間Tb)に移動される長尺フィルムFの距離を、一定にすることができる。これにより、インクリボンRにおけるリボン制御部112が印刷信号を受信した位置から、長尺フィルムFにおける印刷を開始する位置までの移動距離を一定にすることができる。従って、長尺フィルムFの移動速度Vfが異なる場合や変化した場合において、長尺フィルムFにおける印刷位置を一定にすることができる。
【0068】
また、印刷準備時間Tbにおいて、リボン制御部112は、インクリボンRが移動する距離が、インクリボンRが印刷基準速度Vk(
図3参照)で移動する距離と同じになるように、遅延時間Ta及びリボン送り調整時間Tdを調整する。遅延時間Ta及びリボン送り調整時間Tdは、リボン制御部112の制御により算出されてもよいし、記憶部120に記憶テーブルとして記憶されていてもよい。
【0069】
ここで、印刷準備時間TbにおけるインクリボンRの移動距離は、単位時間当たりに移動するインクリボンRの移動距離を、印刷準備時間Tbにおいて積分したものである。
図3においては、インクリボンRは、印刷準備時間Tbにおける面積に相当する。インクリボンRの移動距離は、加速時間Tcにおける移動距離Lraと、リボン送り調整時間Tdにおける移動距離Lrbとの和の印刷開始移動距離Lx(=Lra+Lrb)である。
【0070】
ここで、印刷準備時間Tbにおいて、「インクリボンRが移動する距離が、インクリボンRが印刷基準速度Vkで移動する距離と同じ」とは、
図3に示すように、印刷基準速度Vkを印刷基準速度Vaに設定した場合には、インクリボンRの移動する距離が、インクリボンRの移動速度Vrが印刷基準速度Vaと同じ移動速度である場合の移動距離と同じであることを意味する。そのため、本実施形態においては、リボン制御部112は、長尺フィルムFの移動速度Vfが、異なる場合(例えば、移動速度Vb=30m/min、20m/min、10m/min)や変化した場合に、インクリボンRの印刷開始移動距離Lx(=Lra+Lrb)が、印刷基準速度Vkを印刷基準速度Vaに設定した場合における移動距離と同じになるように、遅延時間Ta及びリボン送り調整時間Tdを調整する。
【0071】
このように、印刷基準速度Vkを設定して、遅延時間Ta及びリボン送り調整時間Tdを調整することにより、印刷準備時間Tbに移動されるインクリボンRの距離を、一定にすることができる。これにより、インクリボンRにおけるリボン制御部112が印刷信号を受信した位置から、インクリボンRにおける転写を開始する位置までの移動距離を一定にすることができる。従って、長尺フィルムFの移動速度Vfが異なる場合や変化した場合であっても、インクリボンRにおける転写位置を一定にすることができる。
【0072】
次に、以上のように行われる印刷制御において、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中で変化する場合に、従来、インクリボンの前回の使用領域と次回の使用領域とが重なってしまうという課題があった。本発明は、このような課題を解決する。以下に、
図4~
図11により、本発明の特徴部分であるインクリボンRの使用領域が重ならない制御の詳細について説明する。
【0073】
リボン制御部112は、上述した機能のほかに、更に、インクリボンRの使用領域が重ならない制御を実行できる。具体的には、リボン制御部112は、インクリボンRの前回の使用領域と次回の使用領域とを監視して、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように、リボン駆動モータ321を制御する。詳細には、リボン制御部112は、前回の使用領域の最も後端部を監視して、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように、リボン駆動モータ321を制御する。
【0074】
長尺フィルムの幅方向に沿って並ぶ文字列を所定間隔を空けて印刷するサーマルプリンタにおいて、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合と変化する場合とにおいて、インクリボンRの使用領域が重ならない制御の詳細の動作について説明する。本実施形態のインクリボン制御においては、前述のように、リボン制御部112の制御により、印刷動作において、1サイクルの印刷動作において、遅延工程と、印刷準備工程と、印刷工程と、減速工程と、待機工程と、巻き戻し工程(逆移動工程)と、を順次実行するように、リボン駆動モータ321を制御する動作が実行されている。
【0075】
まず、
図4及び
図5により、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合について説明する。
図4に示すように、リボン制御部112の制御により、タイミングt21において、印刷信号を受信すると、タイミングt22まで遅延されて、タイミングt22~t23の加速工程及びタイミングt23~t24のリボン送り調整工程を経て、タイミングt24において印刷工程における印刷が開始するように制御される。
【0076】
この場合、タイミングt21において、
図5(a)に示すように、インクリボンRにおける次回の使用予定領域Rsは、サーマルヘッドヒータラインHLに対して、印刷開始移動距離Lxだけ巻き戻し方向(逆方向)に位置している。次回の使用予定領域Rsとは、サーマルヘッドヒータラインHLに対して、リボン制御部112の制御により算出された印刷開始移動距離Lxだけ巻き戻し方向(逆方向)の位置の領域であって次回に使用される予定の使用領域を意味する。サーマルヘッドヒータラインHLは、インクリボンRの搬送方向において、サーマルヘッド21のヒータ部がインクリボンRの幅方向に沿って配置されたラインである。つまり、サーマルヘッド21は、サーマルヘッドヒータラインHLにおいて、搬送方向に移動されるインクリボンRを使用して印刷を行う。
【0077】
図4に示すように、リボン制御部112は、長尺フィルムFの移動速度Vfに応じて、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが移動する距離が、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが印刷基準速度Vk(
図3参照)で移動する距離と同じになるように、且つ、印刷準備時間TbにインクリボンRが移動する距離が、印刷準備時間TbにインクリボンRが印刷基準速度Vkで移動する距離と同じになるように、遅延時間Taを変更して、リボン駆動モータ321を制御する。
【0078】
図4に示すように、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化していないため、インクリボンRは、遅延時間Taにより調整して、予め計算された印刷開始移動距離Lxだけ移動されることで、インクリボンRにおける予定通りの位置の次回の使用予定領域Rsを使用して印刷を行うことができる。
図5(a)に示すような、テキスト間のリボン送り量Lfmや、印刷文字高さLthなどについても予め設定されている。
【0079】
ここで、リボン制御部112は、インクリボンRにおける前回の使用領域Rpの後端部Reを把握した上で、
図4に示すタイミングt24において、
図5(b)に示すように、前回の使用領域Rpの後端部Reと次回の使用領域Rnとが重ならないように制御している。リボン制御部112が、インクリボンRにおける前回の使用領域Rpの後端部Reを把握することの詳細は後述する。
【0080】
具体的には、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合においては、インクリボンRは、遅延時間Taにより調整して、予め計算された印刷開始移動距離Lxだけ移動されることで、インクリボンRの次回の使用領域Rnについて、インクリボンRにおける予定通りの位置の次回の使用予定領域Rsを使用して印刷を行うことができるため、
図5(b)に示すように、次回に予定した使用予定領域Rsと実際の次回の使用領域Rnとは同じ位置になる。そのため、印刷のタイミングを変更せずに、そのまま、タイミングt24において印刷動作を実行する。これにより、インクリボンRの使用領域において、前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとが重ならないように、次回の印刷を行うことができる。
【0081】
その後、インクリボンRは、
図5(c)に示すように、
図3における減速時間Tfにおいて進行方向にバックラン距離Lrd移動する。本実施形態においては、
図5(c)に示すように、減速時間Tfにおいて進行方向に移動したバックラン距離Lrdは、サーマルヘッドヒータラインHLから前回の使用領域Rpの最も後端部Reまでの距離と同じ距離である。
【0082】
図3における巻き戻し時間Thにおいて、
図5(d)に示すように、インクリボンRが、巻き戻し方向(逆方向)に巻き戻し移動距離Lrr戻される。巻き戻し移動距離Lrrは、バックラン距離Lrdと印刷開始移動距離Lxとを加算したものから、テキスト間のリボン送り量Lfmを減算した距離である(=Lx+Lrd-テキスト間のリボン送り量Lfm)である。テキスト間のリボン送り量Lfmの分だけ順方向(下流側)に位置させることで、インクリボンRの使用領域Rpの最も後端部Reが、インクリボンRの搬送方向の所定位置に位置するように、インクリボンRを巻き戻すことができる。
【0083】
ここで、リボン制御部112は、次回の印刷動作におけるリボン制御のために、サーマルヘッドヒータラインHLから、インクリボンRにおける前回の使用領域Rpの最も後端部Reまでのテキスト後端部距離Leを算出している。テキスト後端部距離Leは、巻き戻し移動距離Lrrからバックラン距離Lrdを減算した距離である(Le=Lrr―Lrd)。これにより、リボン制御部112は、インクリボンRにおける前回の使用領域Rpの最も後端部Reの位置を把握している。その後、次の印刷信号が来るまで、待機する。
【0084】
次に、
図6及び
図7により、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中から変化して上昇する場合について説明する。なお、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合と同様の動作については説明を省略することがある。
図6に示すように、リボン制御部112の制御により、タイミングt31において、印刷信号を受信すると、タイミングt32まで遅延されて、タイミングt32~t33の加速工程及びタイミングt33~t34のリボン送り調整工程を経て、タイミングt34において印刷工程における印刷が開始するように制御される。
【0085】
この場合、タイミングt31において、
図7(a)に示すように、インクリボンRにおける次回の使用予定領域Rsは、サーマルヘッドヒータラインHLに対して、印刷開始移動距離Lxだけ巻き戻し方向(逆方向)に位置している。
図6に示すように、タイミングt32の少し後のタイミングから、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化して上昇している。
【0086】
図6に示すように、リボン制御部112は、長尺フィルムFの移動速度Vfに応じて、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが移動する距離が、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが印刷基準速度Vk(
図3参照)で移動する距離と同じになるように、且つ、印刷準備時間TbにインクリボンRが移動する距離が、印刷準備時間TbにインクリボンRが印刷基準速度Vkで移動する距離と同じになるように、遅延時間Taを変更して、リボン駆動モータ321を制御する。
【0087】
図6に示すように、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中で変化して上昇しているため、インクリボンRの移動速度Vrも追従して上昇している。インクリボンRは、遅延時間Taにより調整して、予め計算された印刷開始移動距離Lxだけ移動されると、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中で変化して上昇することまでは計算されていないため、次回の使用領域Rnは、前回の使用領域Rpに重なってしまう。
【0088】
ここで、リボン制御部112は、前述の長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合の制御動作と同様に、前回の使用領域Rpの後端部Reを把握した上で、
図6に示すタイミングt34において、前回の使用領域Rpの後端部Reと次回の使用領域Rnとが重ならないように制御している。そのため、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化して上昇している場合においては、前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとが重ならないように、印刷を行うタイミングを、
図6に示すタイミングt34においては印刷を開始せずに、タイミングt34aに遅らせて印刷を開始するように印刷動作を実行する。これにより、
図7(b)に示すように、インクリボンRの使用領域において、前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとが重ならないように、次回の印刷を行うことができる。
【0089】
その後、前述の長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合の制御動作と同様に、インクリボンRは、
図7(c)に示すように、
図3における減速時間TfにおいてインクリボンRが進行方向にバックラン距離Lrd移動する。本実施形態においては、
図7(c)に示すように、減速時間Tfにおいて進行方向に移動したバックラン距離Lrdは、サーマルヘッドヒータラインHLから前回の使用領域Rpの最も後端部Reまでの距離と同じ距離である。続けて、
図7(d)に示すように、
図3における巻き戻し時間Thにおいて、インクリボンRが、巻き戻し方向(逆方向)に巻き戻し移動距離Lrr戻される。リボン制御部112は、次回の印刷動作におけるリボン制御のために、戻し移動距離Lrrからバックラン距離Lrdを減算することで、サーマルヘッドヒータラインHLから、インクリボンRにおける前回の使用領域Rpの最も後端部Reまでのテキスト後端部距離Leを算出している。その後、次の印刷信号が来るまで、待機する。
【0090】
次に、
図8及び
図9により、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中から変化し下降する場合について説明する。なお、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合と同様の動作については説明を省略することがある。
図8に示すように、リボン制御部112の制御により、タイミングt41において、印刷信号を受信すると、タイミングt42まで遅延されて、タイミングt42~t43の加速工程及びタイミングt43~t44のリボン送り調整工程を経て、タイミングt44において印刷工程における印刷が開始するように制御される。
【0091】
この場合、タイミングt41において、
図9(a)に示すように、インクリボンRにおける次回の使用予定領域Rsは、サーマルヘッドヒータラインHLに対して、印刷開始移動距離Lxだけ巻き戻し方向(逆方向)に位置している。
図8に示すように、タイミングt42の少し後のタイミングから、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化して下降している。
【0092】
図8に示すように、リボン制御部112は、長尺フィルムFの移動速度Vfに応じて、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが移動する距離が、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが印刷基準速度Vk(
図3参照)で移動する距離と同じになるように、且つ、印刷準備時間TbにインクリボンRが移動する距離が、印刷準備時間TbにインクリボンRが印刷基準速度Vkで移動する距離と同じになるように、遅延時間Taを変更して、リボン駆動モータ321を制御する。
【0093】
図8に示すように、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中で変化して下降しているため、インクリボンRの移動速度Vrも追従して下降している。インクリボンRは、遅延時間Taにより調整して、予め計算された印刷開始移動距離Lxだけ移動されることで、インクリボンRの使用領域において、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合と比べて、次回の使用領域Rnが巻き戻し方向(逆方向)に位置するため、前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとの間に間隔を広く空けた状態で、次回の使用領域RnがサーマルヘッドヒータラインHLに向けて移動される。ここでは、リボン制御部112は、前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとの間に間隔を広く空けた状態であり、前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとが重なることがないため、印刷のタイミングを変更せずに、そのまま、タイミングt44において印刷動作を実行する。これにより、前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとが重ならないように、次回の印刷を行うことができる。
【0094】
その後、前述の長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合の制御動作と同様に、インクリボンRは、
図9(c)に示すように、
図3における減速時間TfにおいてインクリボンRが進行方向にバックラン距離Lrd移動する。本実施形態においては、
図9(c)に示すように、減速時間Tfにおいて進行方向に移動したバックラン距離Lrdは、サーマルヘッドヒータラインHLから前回の使用領域Rpの最も後端部Reまでの距離と同じ距離である。続けて、
図9(d)に示すように、
図3における巻き戻し時間Thにおいて、インクリボンRが、巻き戻し方向(逆方向)に巻き戻し移動距離Lrr戻される。リボン制御部112は、次回の印刷動作におけるリボン制御のために、戻し移動距離Lrrからバックラン距離Lrdを減算することで、サーマルヘッドヒータラインHLから、インクリボンRにおける前回の使用領域Rpの最も後端部Reまでのテキスト後端部距離Leを算出している。その後、次の印刷信号が来るまで、待機する。
【0095】
なお、
図9(b)において、インクリボンRの使用領域において、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合と比べて、前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとの間に間隔を広く空けた状態で、次回の使用領域Rnが移動されるが、インクリボンRを節約する観点から、リボン制御部112は、次のような制御を行うこともできる。リボン制御部112は、前回の使用領域Rpの最も後端部Reを把握しているため、
図10に示すように、印刷の開始のタイミングt44をタイミングt44aに早めて、
図11に示すように、インクリボンRの使用領域Rpの最も後端部Reから所定のテキスト間のリボン送り量Lfmを空けた位置において印刷を行うように制御することもできる。これにより、インクリボンRを節約できる。
【0096】
第1実施形態のサーマルプリンタ1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態のサーマルプリンタ1は、所定速度で移動される長尺フィルムFに印刷を行うサーマルヘッド21と、サーマルヘッド21と長尺フィルムFの印刷面との間に配置され、サーマルヘッド21により長尺フィルムFに印刷を行う際にインクが被印刷物Fに転写されるインクリボンRと、インクリボンRを移動させるリボン駆動部321と、長尺フィルムFの移動速度とインクリボンRの移動速度Vrとが同じ移動速度になるように、インクリボンRを移動させるようにリボン駆動部321を制御するリボン制御部112と、を備え、リボン制御部112は、インクリボンRの前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとを監視して、前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとが重ならないように、リボン駆動モータ321を制御する。これにより、前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとが重ならないように制御されるため、インクリボンRを節約する制御において、インクリボンRにおける前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとが重ならないように使用できる。
【0097】
また、本実施形態においては、リボン制御部112は、前回の使用領域Rpの最も後端部Reを監視して、前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとが重ならないように、リボン駆動モータ321を制御する。これにより、前回の使用領域Rpの最も後端部Reを監視することで、簡単な制御で、インクリボンRにおける前回の使用領域Rpと次回の使用領域Rnとが重ならないように制御できる。
【0098】
また、リボン制御部112は、長尺フィルムFの移動速度に応じて、遅延時間及び印刷準備時間に長尺フィルムFが移動する距離が、遅延時間及び印刷準備時間に長尺フィルムFが印刷基準速度で移動する距離と同じになるように、且つ、印刷準備時間にインクリボンRが移動する距離が、印刷準備時間にインクリボンRが印刷基準速度で移動する距離と同じになるように、遅延時間を変更して、リボン駆動モータ321を制御する。
【0099】
そのため、長尺フィルムFにおいて、リボン制御部112が印刷信号を受信した位置から、印刷を開始するまでの移動距離を一定にすることができる。これにより、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しても、長尺フィルムFにおける印刷位置を一定にすることができる。また、インクリボンRにおいて、リボン制御部112が印刷信号を受信した位置から、転写を開始するまでの移動距離を一定にすることができる。これにより、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しても、インクリボンRにおける転写位置を一定にすることができる。従って、インクリボンRを効率よく使用することができる。
【0100】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、リボンセーブ機能を有するサーマルプリンタ1に、本発明の特徴部分であるインクリボンRの使用領域が重ならない制御を適用した場合の実施形態である。
【0101】
リボンセーブ機能による印刷は、所定幅を有するインクリボンRを使用して、インクリボンRの幅方向の領域を有効活用することにより行われる。
図12Aに示すように、サーマルプリンタ1において、例えば、「AAAA」、「BBBB」、「CCCC」、「DDDD」、「EEEE」、「FFFF」の文字列が、長尺フィルムFの搬送方向に沿って、所定間隔で一列に並んで印刷される構成において、インクリボンRを節約する制御である。
【0102】
インクリボンRを節約するリボンセーブ機能は、長尺フィルムFの幅方向における印刷部を印刷する位置を変えずに、インクリボンRを幅方向に移動させると共に、インクリボンRを所定長さ巻き戻すことで、インクリボンRの幅方向の使用領域を有効に利用して、インクリボンRの使用量を節約する機能である。インクリボンRの幅方向の移動は、インクリボンRが装着されたプリンタ本体2の全体を移動させたり、インクリボンRをサーマルヘッド21などの主な印刷機構部と一緒に移動させることで行うことができる。
【0103】
リボンセーブ機能において、長尺フィルムFの進行方向と同方向にインクリボンRを送り出しと巻き戻しの制御を行うと共にインクリボンRの幅方向にインクリボンR及びサーマルヘッド21が移動される制御が行われる場合において、リボン制御部112は、インクリボンRを送り出して印刷した後にインクリボンRを移動した分だけ巻き戻すと共に、インクリボンRの前回の使用領域と次回の使用領域とが、幅方向においては幅方向に並んだ位置に形成され、長尺フィルムFの移動方向においては重ならない位置に形成される。
【0104】
リボンセーブ機能においては、インクリボンRの幅方向において、複数列の使用領域が形成される。例えば、本実施形態においては、インクリボンRにおいて、幅方向に4列の使用領域が並んで形成され、長尺フィルムFに並んで形成されている。複数列の使用領域は、例えば、
図12Bの(i)~(iv)に示すように、「AAAA」、「BBBB」、「CCCC」及び「DDDD」の文字列の使用領域が、幅方向の一方側から他方側に順に並んで使用された後に、
図12Bの(v)に示すように、インクリボンRの幅方向の他方側の端部と同じ列の後部に、「EEEE」の文字列が、長尺フィルムFの長さ方向に並ぶように使用され、その後、インクリボンRの幅方向の他方側から一方側に並んで使用される。この制御が繰り返して行われている。
【0105】
ここで、リボン制御部112は、リボンセーブ機能を備えるサーマルプリンタにおいても、複数列の使用領域の各列毎に、前述したインクリボンRの制御において前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならない制御と同様に、インクリボンRの前回の使用領域と次回の使用領域とを監視して、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように、リボン駆動モータ321を制御する。
【0106】
詳細には、例えば、
図14に示すインクリボンRの複数列の使用領域を、
図14における上から下に順番に、第1列目、第2列目、第3列目、第4列目とした場合に、第1列目、第2列目、第3列目及び第4列目のそれぞれの列毎に、リボン制御部112は、インクリボンRにおける幅方向に並んだ複数列の使用領域のうちの各列の使用領域において、長尺フィルムFの移動方向においては、インクリボンRの前回の使用領域と次回の使用領域とを監視して、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように、リボン駆動モータ321を制御する。
【0107】
リボンセーブ機能を備えるサーマルプリンタ1において、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合と変化する場合とにおいて、インクリボンRの使用領域が重ならない制御の詳細の動作について説明する。
【0108】
リボンセーブ機能を備えるサーマルプリンタ1においては、インクリボンRの使用領域は、例えば、
図14においては、インクリボンRの幅方向に、第4列目、第3列目、第2列目、第1列目の順に使用され、その後、第1列目のインクリボンRの流れ方向の順方向の下流側において、再び第1列目が使用され、インクリボンRの幅方向に、第1列目、第2列目、第3列目、第4列目の順に使用される。そして、その後、第4列目のインクリボンRの流れ方向の順方向の下流側において、再び第4列目が使用され、インクリボンRの幅方向に、第4列目、第3列目、第2列目、第1列目の順に使用される。これが繰り返して行われる。
【0109】
まず、インクリボンRの第1列目の使用領域について、
図13及び
図14により、例えば、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中から変化して上昇する場合について説明する。本実施形態においては、前述したインクリボンRの制御において前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならない制御が実行されている。
【0110】
インクリボンRの第1列目の使用領域においては、
図13に示すように、リボン制御部112の制御により、タイミングt51において、印刷信号を受信すると、タイミングt52まで遅延されて、タイミングt52~t53の加速工程及びタイミングt53~t54のリボン送り調整工程を経て、タイミングt54において印刷工程における印刷が開始するように制御される。
【0111】
この場合、タイミングt51において、
図14(a)に示すように、インクリボンRの第1列目の使用領域について、インクリボンRにおける次回の使用予定領域Rs1は、サーマルヘッドヒータラインHLに対して、印刷開始移動距離Lxだけ巻き戻し方向(逆方向)に位置している。
図13に示すように、タイミングt52の少し後のタイミングから、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化して上昇している。
【0112】
図13に示すように、リボン制御部112は、長尺フィルムFの移動速度Vfに応じて、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが移動する距離が、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが印刷基準速度Vk(
図3参照)で移動する距離と同じになるように、且つ、印刷準備時間TbにインクリボンRが移動する距離が、印刷準備時間TbにインクリボンRが印刷基準速度Vkで移動する距離と同じになるように、遅延時間Taを変更して、リボン駆動モータ321を制御する。
【0113】
図13に示すように、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中で変化して上昇しているため、インクリボンRの移動速度Vrも追従して上昇している。インクリボンRは、インクリボンRの第1列目の使用領域において、遅延時間Taにより調整して、予め計算された印刷開始移動距離Lxだけ移動されると、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中で変化して上昇することまでは計算されていないため、次回の使用領域Rn1は、前回の使用領域Rp1に重なってしまう。
【0114】
ここで、リボン制御部112は、インクリボンRの第1列目の使用領域においては、前回の使用領域Rp1の後端部Re1を把握した上で、
図13に示すタイミングt54において、前回の使用領域Rp1の後端部Re1と次回の使用領域Rn1とが重ならないように制御している。そのため、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化して上昇している場合においては、前回の使用領域Rp1と次回の使用領域Rn1とが重ならないように、印刷を行うタイミングを、
図13に示すタイミングt54においては印刷を開始せずに、タイミングt54aに遅らせて印刷を開始するように印刷動作を実行する。これにより、
図14(b)に示すように、インクリボンRの使用領域において、前回の使用領域Rp1と次回の使用領域Rn1とが重ならないように、次回の印刷を行うことができる。
【0115】
その後、インクリボンRは、
図14(c)に示すように、
図3における減速時間TfにおいてインクリボンRが進行方向にバックラン距離Lrd移動する。続けて、
図14(d)に示すように、第2列目の前回の使用領域Rp2の最も後端部Re2が所定位置に位置するように、インクリボンRが、巻き戻し方向(逆方向)に移動距離(テキスト後端部距離Le+前回後端部距離Lre2)戻される。リボン制御部112において、第2列目の前回の使用領域Rp2の最も後端部Re2の位置は、第2列目の前回の使用領域Rp2を使用した場合に把握されている。前回後端部距離Lre2は、第2列目の前回の印刷終了時(
図14(c)参照)において、サーマルヘッドヒータラインHLから、第2列目の前回の使用領域Rp2の最も後端部Re2までの距離である。また、リボン制御部112は、次回の第1列目の制御のために、第1列目の前回の使用領域Rp1の最も後端部Re1の位置を把握する。
【0116】
続いて、インクリボンRの第2列目の使用領域について、
図15及び
図16により、例えば、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合について説明する。本実施形態においては、前述したインクリボンRの制御において前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならない制御が実行されている。
【0117】
インクリボンRの第2列目の使用領域においては、
図15に示すように、リボン制御部112の制御により、タイミングt61において、印刷信号を受信すると、タイミングt62まで遅延されて、タイミングt62~t63の加速工程及びタイミングt63~t64のリボン送り調整工程を経て、タイミングt64において印刷工程における印刷が開始するように制御される。
【0118】
この場合、タイミングt61において、
図16(a)に示すように、インクリボンRの第2列目の使用領域について、インクリボンRにおける次回の使用予定領域Rs2は、サーマルヘッドヒータラインHLに対して、印刷開始移動距離Lxだけ巻き戻し方向(逆方向)に位置している。
【0119】
図15に示すように、リボン制御部112は、長尺フィルムFの移動速度Vfに応じて、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが移動する距離が、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが印刷基準速度Vk(
図3参照)で移動する距離と同じになるように、且つ、印刷準備時間TbにインクリボンRが移動する距離が、印刷準備時間TbにインクリボンRが印刷基準速度Vkで移動する距離と同じになるように、遅延時間Taを変更して、リボン駆動モータ321を制御する。
【0120】
図15に示すように、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化していないため、リボン制御部112は、インクリボンRの第2列目の使用領域においては、前回の使用領域Rp2と次回の使用領域Rn2とが重なることがないため、印刷のタイミングを変更せずに、そのまま、タイミングt64において印刷動作を実行する。これにより、前回の使用領域Rp2と次回の使用領域Rn2とが重ならないように、次回の印刷を行うことができる。
【0121】
その後、インクリボンRは、
図16(c)に示すように、
図3における減速時間TfにおいてインクリボンRが進行方向にバックラン距離Lrd移動する。続けて、
図16(d)に示すように、第3列目の前回の使用領域Rp3の最も後端部Re3が所定位置に位置するように、インクリボンRが、巻き戻し方向(逆方向)に移動距離(テキスト後端部距離Le+前回後端部距離Lre3)戻される。リボン制御部112において、第3列目の前回の使用領域Rp3の最も後端部Re3の位置は、第3列目の前回の使用領域Rp3を使用した場合に把握されている。前回後端部距離Lre3は、第3列目の前回の印刷終了時(
図16(c)参照)において、サーマルヘッドヒータラインHLから、第3列目の前回の使用領域Rp3の最も後端部Re3までの距離である。また、リボン制御部112は、次回の第2列目の制御のために、第2列目の前回の使用領域Rp2の最も後端部Re2の位置を把握する。
【0122】
続いて、インクリボンRの第3列目の使用領域について、
図17及び
図18により、例えば、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中から変化して上昇する場合について説明する。本実施形態においては、前述したインクリボンRの制御において前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならない制御が実行されている。
【0123】
インクリボンRの第3列目の使用領域においては、
図17に示すように、リボン制御部112の制御により、タイミングt71において、印刷信号を受信すると、タイミングt72まで遅延されて、タイミングt72~t73の加速工程及びタイミングt73~t74のリボン送り調整工程を経て、タイミングt74において印刷工程における印刷が開始するように制御される。
【0124】
この場合、タイミングt71において、
図18(a)に示すように、インクリボンRの第3列目の使用領域について、インクリボンRにおける次回の使用予定領域Rs3は、サーマルヘッドヒータラインHLに対して、印刷開始移動距離Lxだけ巻き戻し方向(逆方向)に位置している。
図17に示すように、タイミングt72の少し後のタイミングから、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化して上昇している。
【0125】
図17に示すように、リボン制御部112は、長尺フィルムFの移動速度Vfに応じて、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが移動する距離が、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが印刷基準速度Vk(
図3参照)で移動する距離と同じになるように、且つ、印刷準備時間TbにインクリボンRが移動する距離が、印刷準備時間TbにインクリボンRが印刷基準速度Vkで移動する距離と同じになるように、遅延時間Taを変更して、リボン駆動モータ321を制御する。
【0126】
図17に示すように、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中で変化して上昇しているため、インクリボンRの移動速度Vrも追従して上昇している。インクリボンRは、インクリボンRの第3列目の使用領域において、遅延時間Taにより調整して、予め計算された印刷開始移動距離Lxだけ移動されると、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中で変化して上昇することまでは計算されていないため、次回の使用領域Rn3は、前回の使用領域Rp3に重なってしまう。
【0127】
ここで、リボン制御部112は、インクリボンRの第3列目の使用領域においては、前回の使用領域Rp3の後端部Re3を把握した上で、
図17に示すタイミングt74において、前回の使用領域Rp3の後端部Re3と次回の使用領域Rn3とが重ならないように制御している。そのため、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化して上昇している場合においては、前回の使用領域Rp3と次回の使用領域Rn3とが重ならないように、印刷を行うタイミングを、
図17に示すタイミングt74においては印刷を開始せずに、タイミングt74aに遅らせて印刷を開始するように印刷動作を実行する。これにより、
図17(b)に示すように、インクリボンRの使用領域において、前回の使用領域Rp3と次回の使用領域Rn3とが重ならないように、次回の印刷を行うことができる。
【0128】
ここでは、例えば、
図18(b)において、インクリボンRの第3列目の使用領域においては、印刷の途中において日付が変わったため、日付の印刷が、前回において「賞味期限22.12.31」であったものから、次回において「賞味期限23.1.1」に変わっている。この場合、次回の使用領域のインクリボンRの流れ方向の長さが、前回の使用領域よりも、短くなっている。この場合においても、印刷文字長さによりインクリボンRの使用領域の印刷文字長さを把握できるため、リボン制御部112は、第3列目の前回の使用領域Rp3の最も後端部Re3の位置を把握できる。
【0129】
その後、インクリボンRは、
図18(c)に示すように、
図3における減速時間TfにおいてインクリボンRが進行方向にバックラン距離Lrd移動する。続けて、
図18(d)に示すように、第4列目の前回の使用領域Rp4の最も後端部Re4が所定位置に位置するように、インクリボンRが、巻き戻し方向(逆方向)に移動距離(テキスト後端部距離Le+前回後端部距離Lre4)戻される。リボン制御部112において、第4列目の前回の使用領域Rp4の最も後端部Re4の位置は、第4列目の前回の使用領域Rp4を使用した場合に把握されている。前回後端部距離Lre4は、第4列目の前回の印刷終了時(
図18(c)参照)において、サーマルヘッドヒータラインHLから、第4列目の前回の使用領域Rp4の最も後端部Re4までの距離である。また、リボン制御部112は、次回の第3列目の制御のために、第3列目の前回の使用領域Rp3の最も後端部Re3の位置を把握する。
【0130】
続いて、インクリボンRの第4列目の使用領域について、
図19及び
図20により、例えば、長尺フィルムFの移動速度Vfが途中から変化して下降する場合について説明する。本実施形態においては、前述したインクリボンRの制御において前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならない制御が実行されている。
【0131】
インクリボンRの第4列目の使用領域においては、
図19に示すように、リボン制御部112の制御により、タイミングt81において、印刷信号を受信すると、タイミングt82まで遅延されて、タイミングt82~t83の加速工程及びタイミングt83~t84のリボン送り調整工程を経て、タイミングt84において印刷工程における印刷が開始するように制御される。
【0132】
この場合、タイミングt81において、
図20(a)に示すように、インクリボンRの第4列目の使用領域について、インクリボンRにおける次回の使用予定領域Rs4は、サーマルヘッドヒータラインHLに対して、印刷開始移動距離Lxだけ巻き戻し方向(逆方向)に位置している。
図19に示すように、タイミングt82の少し後のタイミングから、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化して下降している。
【0133】
図19に示すように、リボン制御部112は、長尺フィルムFの移動速度Vfに応じて、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが移動する距離が、印刷前段階時間Txに長尺フィルムFが印刷基準速度Vk(
図3参照)で移動する距離と同じになるように、且つ、印刷準備時間TbにインクリボンRが移動する距離が、印刷準備時間TbにインクリボンRが印刷基準速度Vkで移動する距離と同じになるように、遅延時間Taを変更して、リボン駆動モータ321を制御する。
【0134】
図19に示すように、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化して下降しているため、インクリボンRの移動速度Vrも追従して下降している。インクリボンRは、遅延時間Taにより調整して、予め計算された印刷開始移動距離Lxだけ移動されることで、インクリボンRの使用領域において、長尺フィルムFの移動速度Vfが変化しない場合と比べて、前回の使用領域Rp4と次回の使用領域Rn4との間に間隔を広く空けた状態で、次回の使用領域Rn4が移動される。ここでは、リボン制御部112は、前回の使用領域Rp4と次回の使用領域Rn4との間に間隔を広く空けた状態であり、前回の使用領域Rp4と次回の使用領域Rn4とが重なることがないため、印刷のタイミングを変更せずに、そのまま、タイミングt44において印刷動作を実行する。これにより、前回の使用領域Rp4と次回の使用領域Rn4とが重ならないように、次回の印刷を行うことができる。
【0135】
その後、インクリボンRは、
図20(c)に示すように、
図3における減速時間TfにおいてインクリボンRが進行方向にバックラン距離Lrd移動する。続けて、
図20(d)に示すように、一連の印刷動作の最後であるため、第1列目の使用領域~第4列目の使用領域の全部において最も後端部である第3列目の前回の使用領域Rp3の後端部Re3が所定位置に位置するように、インクリボンRが、巻き戻し方向(逆方向)に移動距離(テキスト後端部距離Le+前回後端部距離Lre3)戻される。リボン制御部112において、第3列目の前回の使用領域Rp3の最も後端部Re3の位置は、第3列目の前回の使用領域Rp3を使用した場合に把握されている。前回後端部距離Lre3は、第3列目の前回の印刷終了時(
図20(c)参照)において、サーマルヘッドヒータラインHLから、第3列目の前回の使用領域Rp3の最も後端部Re3までの距離である。また、リボン制御部112は、次回の第4列目の制御のために、第4列目の前回の使用領域Rp4の最も後端部Re4の位置を把握する。
【0136】
第2実施形態のサーマルプリンタ1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
第2実施形態のサーマルプリンタ1においては、長尺フィルムFの進行方向と同方向にインクリボンRを送り出しと巻き戻しの制御を行うと共にインクリボンRの幅方向にインクリボンR及びサーマルヘッド21が移動される制御が行われる場合において、リボン制御部112は、インクリボンRを送り出して印刷した後にインクリボンRを移動した分だけ巻き戻すと共に、インクリボンRの前回の使用領域と次回の使用領域とが、幅方向においては幅方向に並んだ位置であり、かつ、インクリボンRにおける幅方向に並んだ複数列の使用領域のうちの各列の使用領域において、長尺フィルムFの移動方向においては、インクリボンRの前回の使用領域Rp1,Rp2,Rp3,Rp4と次回の使用領域Rn1,Rn2,Rn3,Rn4とを監視して、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように、リボン駆動モータ321を制御する。
【0137】
これにより、リボンセーブ機能を有するサーマルプリンタ1において、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように制御されるため、インクリボンRにおける前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように使用できる。
【0138】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、リボン制御部112は、前回の使用領域の最も後端部を監視して、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように、リボン駆動モータ321(リボン駆動部)を制御するように構成したが、これに限定されない。リボン制御部112は、次回の使用領域の最も先端部を監視して、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように、リボン駆動モータ321(リボン駆動部)を制御するように構成したてもよい。
【符号の説明】
【0139】
1 サーマルプリンタ
21 サーマルヘッド
112 リボン制御部
321 リボン駆動モータ(リボン駆動部)
F 長尺フィルム(被印刷物)
R インクリボン
Ta 遅延時間
Tb 印刷準備時間
Tc 加速時間
Td リボン送り調整時間
Vf 長尺フィルム(被印刷物)の移動速度
Vk 印刷基準速度
【要約】
【課題】インクリボンにおける前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないサーマルプリンタを提供すること。
【解決手段】サーマルプリンタ1は、所定速度で移動される被印刷物Fに印刷を行うサーマルヘッド21と、サーマルヘッド21と被印刷物Fの印刷面との間に配置され、サーマルヘッド21により被印刷物Fに印刷を行う際にインクが被印刷物Fに転写されるインクリボンRと、インクリボンRを移動させるリボン駆動部321と、被印刷物Fの移動速度VfとインクリボンRの移動速度Vrとが同じ移動速度になるように、インクリボンRを移動させるようにリボン駆動部321を制御するリボン制御部112と、を備え、リボン制御部112は、インクリボンRの前回の使用領域と次回の使用領域とを監視して、前回の使用領域と次回の使用領域とが重ならないように、リボン駆動部321を制御する。
【選択図】
図6