IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOTO株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-水栓装置 図1
  • 特許-水栓装置 図2
  • 特許-水栓装置 図3
  • 特許-水栓装置 図4
  • 特許-水栓装置 図5
  • 特許-水栓装置 図6
  • 特許-水栓装置 図7
  • 特許-水栓装置 図8
  • 特許-水栓装置 図9
  • 特許-水栓装置 図10
  • 特許-水栓装置 図11
  • 特許-水栓装置 図12
  • 特許-水栓装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20220905BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
E03C1/042 B
E03C1/044
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018118513
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019218799
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 幸人
(72)【発明者】
【氏名】早川 純司
(72)【発明者】
【氏名】城戸 健司
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴文
(72)【発明者】
【氏名】金城 政信
(72)【発明者】
【氏名】畠山 真
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-239875(JP,A)
【文献】特開2002-081108(JP,A)
【文献】特開2010-133133(JP,A)
【文献】特表2003-530529(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0112287(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00- 1/10
F16K 27/00-27/12
F16K 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置であって、
上記水栓装置が設置される設置面に固定される台座部材と、
上記水栓装置の種類に応じた形状に形成され、上記台座部材に取り付けられる概ね筒状の支柱部を備えた外殻部材と、
上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって形成され、その下方側が上記台座部材に固定される金属製のケーシング部材と、
このケーシング部材の内部に設けられ、上記台座部材から下流側に延びて湯及び水をそれぞれ供給する一次側流路を形成する湯供給流路及び水供給流路と、
上記ケーシング部材の上方側の内部に設けられたシングルレバーカートリッジであって、上記湯供給流路及び上記水供給流路から供給される湯水の混合比と流量を調整する開閉弁と、この開閉弁の開閉操作を可能にする単一のレバーと、を備えた上記シングルレバーカートリッジと、
上記ケーシング部材の内部に設けられ、上記湯供給流路及び上記水供給流路のそれぞれの下流端と上記シングルレバーカートリッジとを接続する接続部材と、
上記シングルレバーカートリッジを上記接続部材に固定する固定部材と、を有し、
上記シングルレバーカートリッジの外側と上記ケーシング部材の内側との間には、互いを水密に保持する内側シール部が設けられ、
上記ケーシング部材の外側と上記外殻部材の内側との間には、互いを水密に保持する外側シール部が設けられ、
上記ケーシング部材は、その側面に流出穴を備え、
上記外側シール部は、上記流出穴よりも上方の位置に配置されている上方シール部材と、上記流出穴よりも下方の位置に配置されている下方シール部材と、を備えており、
上記内側シール部及び上記外側シール部は、上記ケーシング部材の軸方向において互いに異なる高さ位置に設けられていることを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
上記内側シール部は、上記ケーシング部材の軸方向において上方の高さ位置に設けられ、上記外側シール部は、上記ケーシング部材の軸方向において下方の高さ位置に設けられている請求項1記載の水栓装置。
【請求項3】
上記ケーシング部材は、その軸方向の端部に設けられて外側に突出するフランジ部を備えている請求項1又は2に記載の水栓装置。
【請求項4】
上記フランジ部は、ねじ溝が形成されたねじ部を備えており、このねじ部は、溶接加工により上記フランジ部に一体に設けられている請求項3記載の水栓装置。
【請求項5】
上記シングルレバーカートリッジの外側と上記ケーシング部材の内側との間に設けられた内側シール部は、第1内側シール部であり、
さらに、上記シングルレバーカートリッジの下方に位置する上記接続部材の外側と上記ケーシング部材の内側との間には、水密にシールする第2内側シール部が設けられ、
上記第2内側シール部及び上記外側シール部は、上記ケーシング部材の軸方向において互いに異なる高さ位置に設けられている請求項1乃至4の何れか1項に記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置に係り、特に、給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、水栓装置の種類に応じた形状に形成された外殻部材を備えているものが知られている。
また、この従来の水栓装置の外殻部材の内部には、別体のケーシング部材が挿入されている。このケーシング部材には、水栓機能ユニットが内蔵されており、この水栓機能ユニットは、給水源及び給水源のそれぞれから一次側流路により供給された湯と水とを混合し、この混合した湯水を吐止水する機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第2586919号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の水栓装置においては、外殻部材の内部に挿入されているケーシング部材が樹脂材料で形成されているため、水栓装置の種類に応じた外殻部材の寸法や形状に応じて、射出成形用の型を用意する必要があり、製造コストがかかるという問題がある。
また、従来の水栓装置の樹脂製のケーシング部材については、金属製のものに比べて強度が低く、経年変化等による耐久性も低いという問題もある。これにより、長期的な安全性を確保するためには、点検や部品交換等のメンテナンスにおいてもコストがかかるという問題がある。
【0005】
一方、従来の水栓装置のケーシング部材について、仮に、樹脂材料とは異なる銅合金等の金属を用いて鋳造した場合には、銅合金から鉛成分が溶出することを規制する対策が必要となるという問題や、ケーシング部材のサイズ自体も大型化するという問題、或いは、銅価格の相場変動に影響を受け易いという問題もある。
また、常時湯水に晒される水栓装置の事情を考慮し、ケーシング部材として耐食性が高いステンレス材料を採用した場合には、ステンレス材料が高い加工精度で加工することが難しいという問題もある。
したがって、脱銅合金や脱鋳物を実現し、銅合金以外の素材を活用し、水栓装置の種類に応じて様々な仕様に対しても、いかに製造コストを抑制しつつ、設計の自由度を高めていくかが、近年要請された課題となっている。
さらに、ケーシング部材の内部流路の水密性を確保するために、Оリング等のシール部材をケーシング部材の内部に設ける必要がある。しかしながら、ケーシング部材として薄肉の金属製の板材や管材等が用いられている場合には、ケーシング部材においてシール部材を保持するための溝を切削加工等で形成することが難しいという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題や近年要請された課題を解決するためになされたものであり、水密性を確保しつつ、水栓装置の設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる水栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置であって、上記水栓装置が設置される設置面に固定される台座部材と、上記水栓装置の種類に応じた形状に形成され、上記台座部材に取り付けられる概ね筒状の支柱部を備えた外殻部材と、上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって形成され、その下方側が上記台座部材に固定される金属製のケーシング部材と、このケーシング部材の内部に設けられ、上記台座部材から下流側に延びて湯及び水をそれぞれ供給する一次側流路を形成する湯供給流路及び水供給流路と、上記ケーシング部材の上方側の内部に設けられたシングルレバーカートリッジであって、上記湯供給流路及び上記水供給流路から供給される湯水の混合比と流量を調整する開閉弁と、この開閉弁の開閉操作を可能にする単一のレバーと、を備えた上記シングルレバーカートリッジと、上記ケーシング部材の内部に設けられ、上記湯供給流路及び上記水供給流路のそれぞれの下流端と上記シングルレバーカートリッジとを接続する接続部材と、上記シングルレバーカートリッジを上記接続部材に固定する固定部材と、を有し、上記シングルレバーカートリッジの外側と上記ケーシング部材の内側との間には、互いを水密に保持する内側シール部が設けられ、上記ケーシング部材の外側と上記外殻部材の内側との間には、互いを水密に保持する外側シール部が設けられ、上記内側シール部及び上記外側シール部は、上記ケーシング部材の軸方向において互いに異なる高さ位置に設けられていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、シングルレバーカートリッジの外側とケーシング部材の内側との間を水密にシールする内側シール部と、ケーシング部材の外側と外殻部材の内側との間を水密にシールする外側シール部とが、ケーシング部材の軸方向において互いに異なる高さ位置に設けられていることにより、ケーシング部材の内側及び外側のそれぞれにおいて、シール面を形成する加工の寸法精度を優先する箇所を区別することができる。
また、水栓装置の種類に応じた金属製のケーシング部材について、例えば、絞り加工では内外の寸法精度を同時に満たすことは極めて難しいが、内側シール部や外側シール部を互いに軸方向にずらした位置に設けることにより、それぞれのシール部の寸法精度を正確に出すことができ、水密に保持することができるようになる。
これらの結果、水密性を確保しつつ、水栓装置の設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記内側シール部は、上記ケーシング部材の軸方向において上方の高さ位置に設けられ、上記外側シール部は、上記ケーシング部材の軸方向において下方の高さ位置に設けられている。
このように構成された本発明においては、シングルレバーカートリッジがケーシング部材の上方側に設けられている設計上、シングルレバーカートリッジの外側とケーシング部材の内側とを水密にシールする内側シール部の位置は、ケーシング部材の軸方向における上方の高さ位置に決定されてしまう。
したがって、ケーシング部材の外側と外殻部材の内側との間を水密にシールする外側シール部について、ケーシング部材の軸方向において下方の高さ位置に設けることにより、ケーシング部材の軸方向の寸法や横断面の寸法を抑制することができるため、水栓装置の内部寸法を抑制することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記ケーシング部材は、その軸方向の端部に設けられて外側に突出するフランジ部を備えている。
このように構成された本発明においては、ケーシング部材の軸方向の端部に設けられて外側に突出するフランジ部により、ケーシング部材の軸方向に対して垂直な横方向に対する強度を向上させることができる。
また、ケーシング部材のフランジ部により、内側シール部及び外側シール部においても安定して水密にシールすることができるため、シール精度を向上させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記フランジ部は、ねじ溝が形成されたねじ部を備えており、このねじ部は、溶接加工により上記フランジ部に一体に設けられている。
このように構成された本発明においては、ケーシング部材のフランジ部に対してねじ部が溶接加工により一体に設けられているため、ケーシング部材の各シール部に対して溶接加工による熱の影響を伝わり難くすることができる。
したがって、ケーシング部材の各シール部おいて、ひずみ等の熱変形が生じ難くなるため、シール精度を確保することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記シングルレバーカートリッジの外側と上記ケーシング部材の内側との間に設けられた内側シール部は、第1内側シール部であり、さらに、上記シングルレバーカートリッジの下方に位置する上記接続部材の外側と上記ケーシング部材の内側との間には、水密にシールする第2内側シール部が設けられ、上記第2内側シール部及び上記外側シール部は、上記ケーシング部材の軸方向において互いに異なる高さ位置に設けられている。
このように構成された本発明においては、シングルレバーカートリッジよりも下方に位置する接続部材の外側とケーシング部材の内側との間についても、第2内側シール部によって水密にシールすることができる。
また、第2内側シール部と外側シール部とが、ケーシング部材の軸方向において互いに異なる高さ位置に設けられていることにより、ケーシング部材の内側及び外側のそれぞれにおいて、水栓装置の種類に応じたシール精度を優先する箇所を区別することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水栓装置によれば、水密性を確保しつつ、水栓装置の設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態による水栓装置を斜め前方から見た概略斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による水栓装置全体の分解斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態による水栓装置の中央側面断面図である。
図4】本発明の第1実施形態による水栓装置の水栓機能ユニットを分解した斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態による水栓装置の水栓機能ユニットを斜め後方から見た斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態による水栓装置の水栓機能ユニットの正面断面図であり、湯側及び水側のそれぞれの一次側流路の縦断面を示す。
図7図3に示す本発明の第1実施形態による水栓装置の中央側面断面図において、水栓機能ユニットの上方部分を拡大した部分拡大断面図である。
図8】本発明の第1実施形態による水栓装置のケーシング部材の分解斜視図である。
図9図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図10】本発明の第2実施形態による水栓装置のケーシング部材の分解斜視図である。
図11図10のXI-XI線に沿った断面図である。
図12】本発明の第3実施形態による水栓装置の中央側面中央断面図において、図7と同様に水栓機能ユニットの上方部分を拡大した部分拡大断面図である。
図13】本発明の第3実施形態による水栓装置の水栓機能ユニットを分解した斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の第1実施形態による水栓装置について説明する。
まず、図1は、本発明の第1実施形態による水栓装置を斜め前方から見た概略斜視図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による水栓装置1は、給湯源(図示せず)から供給される湯と給水源(図示せず)から供給される水とを混合して吐止水する、いわゆる、「シングルレバー式」と呼ばれる水栓装置であり、台所のシンク又は洗面台のカウンター等の設置面F1上に設置されている。
すなわち、このシングルレバー式の水栓装置1においては、いわゆる、「シングルレバー」と呼ばれる単一の操作ハンドル2が手動で回動操作されることにより、流量と温度が調整された湯水がスパウト4の吐水口6から吐止水されるようになっている。
【0015】
例えば、図1に示すように、本実施形態の水栓装置1において、まず、操作ハンドル2が最下方の止水操作位置に設定されている場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水が止水されるようになっている。
また、図1に示すように、操作ハンドル2が止水操作位置から上方の操作位置に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水が吐水状態に設定されるようになっている。
すなわち、操作ハンドル2は、吐水状態において、より上方(図1に示す矢印「開」の方向)に回動操作される程、湯水の流量が大きく設定され、より下方(図1に示す矢印「閉」の方向)に回動操作される程、湯水の流量が小さく設定されるようになっている。
【0016】
さらに、図1に示すように、操作ハンドル2は、水栓装置1の鉛直方向に延びる中心軸線(回転中心軸線A1)を中心に水側(図1に示す矢印「C」側)に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水の温度が低温側に設定されるようになっている。
一方、図1に示すように、操作ハンドル2が回転中心軸線A1を中心に湯側(図1に示す矢印「H」側)に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水の混合比を湯が大きく設定されるなっている。
【0017】
つぎに、図2図9により、本発明の第1実施形態による水栓装置の内部構造について具体的に説明する。
図2は、本発明の第1実施形態による水栓装置全体の分解斜視図である。また、図3は、本発明の第1実施形態による水栓装置の中央側面断面図である。
まず、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、その種類又は仕様に応じた形状に形成された中空の外殻部材8を備えている。この外殻部材8は、上下方向に概ね筒状に延びる支柱部8a、及び、この支柱部8aの側面から外側に延びるスパウト部8bをそれぞれ備えている。
なお、外殻部材8については、金属材料で形成されていてもよいし、樹脂材料で形成されていてもよい。
【0018】
つぎに、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8の下方側(上流側)において、湯供給管10、水供給管12、固定金具14(把持金具14a、締結金具14b)、及び、台座部材16をそれぞれ備えている。
図2及び図3に示すように、台座部材16は、水栓装置1の設置面F1に配置された状態で固定金具14の馬蹄形の把持金具14a及び締結金具14bにより固定されるようになっている。
また、図2に示すように、台座部材16には、縦方向に貫く通湯穴16a及び通水穴16bがそれぞれ形成されている。通湯穴16aには、給湯器等の給湯源(図示せず)から湯を供給する湯供給管10が下方から接続されている。同様に、通水穴16bには、水道等の給水源(図示せず)から水を供給する水供給管12が下方から接続されている。
さらに、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8の支柱部8aの内部において、詳細は後述する水栓機能ユニット18を備えている。
【0019】
つぎに、図4は、本発明の第1実施形態による水栓装置1の水栓機能ユニット18を分解した斜視図である。また、図5は、本発明の第1実施形態による水栓装置1の水栓機能ユニット18を斜め後方から見た斜視図である。
図4及び図5に示すように、本実施形態の水栓装置1は、水栓機能ユニット18の外側において、下方から上方に向って、下側下方シール保持部材20、下方シール部材22、上側下方シール保持部材24、下側上方シール保持部材26、上方シール部材28、及び、上側上方シール保持部材30をそれぞれ備えている。
また、図4及び図5に示すように、下方シール部材22及び上方シール部材28のそれぞれは、詳細については後述するが、水栓機能ユニット18の外側面と外殻部材8の支柱部8aの内側面との間を水密にシールするものである。
さらに、図4及び図5に示すように、下側下方シール保持部材20及び上側下方シール保持部材24のそれぞれは、下方シール部材22を保持するためのものでもあり、一方、下側上方シール保持部材26及び上側上方シール保持部材30のそれぞれは、上方シール部材28を保持するためのものである。
【0020】
さらに、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8とその上方の操作ハンドル2との上下方向の間において、下方から上方に向って、Cリング32、シール部材34、固定部材36、及び、留め具38(ビス38a、キャップ38b)をそれぞれ備えている。
これらの部材32,34,36,38については、外殻部材8の支柱部8a内に挿入された水栓機能ユニット18について、上方から水密に保持するものである。
【0021】
つぎに、図6は、本発明の第1実施形態による水栓装置1の水栓機能ユニット18の正面断面図であり、湯側及び水側のそれぞれの一次側流路の縦断面を示す。また、図7は、図3に示す本発明の第1実施形態による水栓装置1の中央側面断面図において、水栓機能ユニット18の上方部分を拡大した部分拡大断面図である。
まず、図3図7に示すように、本実施形態の水栓装置1の水栓機能ユニット18は、詳細については後述する金属製のケーシング部材40を備えている。この金属製のケーシング部材40は、外殻部材8の支柱部8a内に挿入された状態で、その一端側(下端側)が台座部材16に対して固定されている。
【0022】
つぎに、図4及び図6に示すように、水栓機能ユニット18は、ケーシング部材40の内部において、下方から上方に且つ内側から外側に向って(或いは、上流側から下流側に向って)、軸シール部材42(湯側軸シール部材42a、水側軸シール部材42b)、湯供給管44、水供給管46、軸シール部材48(湯側軸シール部材48a、水側軸シール部材48b)、一次側アダプタ部材50、弁座部材52、シングルレバーカートリッジ54(固定弁体54a、可動弁体54b、単一のレバー54c)、及び、カートリッジ押さえ部材56をそれぞれ備えている。
また、図4及び図5に示すように、水栓機能ユニット18は、ケーシング部材40の外側面において、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60をそれぞれ備えている。
【0023】
また、図4及び図6に示すように、湯供給管44及び水供給管46のそれぞれは、下方の台座部材16の通湯穴16a及び通水穴16bのそれぞれと、上方の一次側アダプタ部材50の通湯穴50a及び通水穴50bのそれぞれとを互いに連通させる一次側通湯路(湯供給流路)及び一次側通水路(水供給流路)を形成している。
また、図6に示すように、湯供給管44は、下側被接続部44a及び上側被接続部44bをそれぞれ備えている。湯供給管44の下側被接続部44aは、台座部材16の通湯穴16aの上端(下流端)の湯側接続受け部16c内に湯側軸シール部材42aを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。一方、湯供給管44の上側被接続部44bは、一次側アダプタ部材50の通湯穴50aの下端(上流端)の湯側接続受け部50c内に湯側軸シール部材48aを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。
同様に、図6に示すように、水供給管46は、下側被接続部46a及び上側被接続部46bをそれぞれ備えている。水供給管46の下側被接続部46aは、台座部材16の通水穴16bの上端(下流端)の水側接続受け部16d内に水側軸シール部材42bを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。一方、水供給管46の上側被接続部46bは、一次側アダプタ部材の通水穴50bの下端(上流端)の水側接続受け部50d内に水側軸シール部材48bを介して水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。
【0024】
つぎに、図6に示すように、台座部材16及び一次側アダプタ部材50の各接続受け部16c,16d,50c,50dにおいて、湯供給管44及び水供給管46の各被接続部44a,44b,46a,46bに対するクリアランスd1,d2,d3,d4がそれぞれ設けられている。
これらのクリアランスd1,d2,d3,d4により、湯供給管44の各被接続部44a,44b及び水供給管46の各被接続部46a,46bが、台座部材16の各接続受け部16c,16d及び一次側アダプタ部材50の各接続受け部50c,50dにおける各クリアランスd1~d4の範囲内で水密状態を保ちながら移動することができるようになっている。
【0025】
つぎに、図4図7に示すように、一次側アダプタ部材50の上面には、弁座部材52が水密に接続されており、この弁座部材52の上面には、シングルレバーカートリッジ54が水密に接続されている。これらの一次側アダプタ部材50及び弁座部材52のそれぞれは、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料で概ね円柱状に形成されており、互いに別部材となっている。
また、これらの一次側アダプタ部材50及び弁座部材52は、詳細は後述する上側ケーシング部材74の底部74aを間に挟みつつ、湯供給管44及び水供給管46のそれぞれの下流端とシングルレバーカートリッジ54とを互いに水密に接続する接続部材として機能するようになっている。
ここで、図4図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54の構造については、周知のシングルレバーカートリッジの構造と同様であるため、詳細な説明は省略するが、代表的には、下方から上方に向って、固定弁体54a、可動弁体54b、及び、レバー操作部54cをそれぞれ備えている。
【0026】
また、図4図7に示すように、固定弁体54aは、シングルレバーカートリッジ54内の底部に固定されている。
つぎに、図6及び図7に示すように、可動弁体54bは、固定弁体54aの上面に対して並進及び回転する摺動が可能に配置されている。
さらに、図6及び図7に示すように、レバー操作部54cは、その下端が可動弁体54bに連結されており、上端が操作ハンドル2に連結されている単一の軸部材となっている。
なお、図6に示すように、固定弁体54a及び可動弁体54bのそれぞれには、弁座部材52の通湯穴52a及び通水穴52bのそれぞれと連通する一次側流路である通湯路54d及び通水路54eがそれぞれ形成されている。
また、図7に示すように、固定弁体54a及び可動弁体54bのそれぞれには、通湯路54d及び通水路54eのそれぞれから供給された湯と水を混合する二次側流路である湯水混合路54fがそれぞれ形成されている。通湯路54d及び通水路54eから湯水混合路54fに供給される湯水の混合比と流量は、可動弁体54bの位置に応じて調整されるようになっている。
また、図5及び図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gは、詳細は後述するケーシング部材40の上側ケーシング部材74の側面の流出穴74fと連通している。
【0027】
つぎに、図3及び図7に示すように、本実施形態の水栓装置1は、シングルレバーカートリッジ54の側方のケーシング部材40の外側と外殻部材8の支柱部8aの内側との間において、二次側流路形成部材62、二次側アダプタ部材64、及び、スペーサ部材66をそれぞれ備えている。
また、図3及び図7に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8のスパウト部8b内において、スパウト流路68aを形成するスパウト側流路形成部材68と、吐水口6を形成する吐水口形成部材70と、をそれぞれ備えている。
【0028】
つぎに、図8及び図9を参照して、本実施形態による水栓装置1のケーシング部材40の詳細について、このケーシング部材40の加工方法と共に説明する。
図8は、本発明の第1実施形態による水栓装置1のケーシング部材40の分解斜視図である。また、図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図4図8及び図9に示すように、本実施形態による水栓装置1の金属製のケーシング部材40は、下方から上方に向って、下側ケーシング部材72、上側ケーシング部材74、及び、上部円環部材76をそれぞれ備えている。
また、これらの部材72,74,76の金属材料としては、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高いステンレス材料(例えば、SUS304等)等が用いられている。
しかしながら、本実施形態による水栓装置1の金属製のケーシング部材40に用いられる金属材料については、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高い材料であれば、ステンレス材料以外の他の金属材料であってもよい。
そして、図4図8及び図9に示すように、下側ケーシング部材72の上端と上側ケーシング部材74の下端とは、溶接加工等により互いに一体的に接続されていると共に、上側ケーシング部材74の上端と上部円環部材76の下端とは、溶接加工等により互いに一体的に接続されている。
【0029】
ここで、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74と溶接される前の状態の下側ケーシング部材72おいては、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によってほぼ円筒状に形成されている。
例えば、ほぼ円筒状の金属製の下側ケーシング部材72を成形する際には、金属製の薄板材について、ロール成形等の曲げ加工を行うことにより湾曲状に成形し、最終的には、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法でほぼ円筒状に形成する。
或いは、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について、切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の下側ケーシング部材72を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に下側ケーシング部材72の成形用の型を用意する必要がない。
【0030】
つぎに、図4図8及び図9に示すように、下側ケーシング部材72の側面の下方において、穴開け加工等により径方向に貫く下方ピン係合穴72aが周方向に間隔を置いて複数形成されている。
これにより、図3図4図8及び図9に示すように、台座部材保持用の機械的係合ピン58は、下方ピン係合穴72aに対して外側から挿入されるようになっている。そして、この機械的係合ピン58は、下方ピン係合穴72aに係合した後、その内側端部が台座部材16の側面の係合穴16eに係合するようになっている。
したがって、これらの下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、台座部材16の係合穴16eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により台座部材16を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
【0031】
同様に、図4図8及び図9に示すように、下側ケーシング部材72の側面の上方においても、穴開け加工等により径方向に貫く上方ピン係合穴72bが周方向に複数形成されている。
これにより、図3図4図8及び図9に示すように、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60は、上方ピン係合穴72bに対して外側から挿入されるようになっている。そして、この機械的係合ピン60は、上方ピン係合穴72bに係合した後、その内側端部が一次側アダプタ部材50の側面の係合穴50eに係合するようになっている。
したがって、これらの下側ケーシング部材72の上方ピン係合穴72b、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60、及び、一次側アダプタ部材50の係合穴50eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により一次側アダプタ部材50を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
【0032】
つぎに、図8及び図9に示すように、下側ケーシング部材72と溶接される前の状態の上側ケーシング部材74は、底部74aを備えており、その上方が開放された有底のカップ状の部材である。
また、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74は、その底部74aから上方にほぼ円筒状に延びるように形成されている。
さらに、上側ケーシング部材74の上縁には、外側に突出するフランジ部74bが形成されている。
例えば、このような有底のカップ状の上側ケーシング部材74を成形する際には、金属製の薄板材について絞り加工等を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で有底のカップ状に成形する。
すなわち、金属製の上側ケーシング部材74を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に上側ケーシング部材74の成形用の型を用意する必要がない。
【0033】
つぎに、図6図7及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aにおいて、湯側連通穴74c、水側連通穴74d、及び、取付穴74eのそれぞれが穴開け加工により形成されている。
ちなみに、図6に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aの湯側連通穴74cにより、その下方の一次側アダプタ部材50の通湯穴50aと上方の弁座部材52の通湯穴52aとが連通可能となっている。
また、図6及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aの水側連通穴74dにより、その下方の一次側アダプタ部材50の通水穴50bと弁座部材52の通水穴52bとが連通可能となっている。
さらに、図7図9に示すように、上側ケーシング部材74の底部74aの取付穴74eにおいて、その上方の弁座部材52の底面から下側に突出する突起52cが挿入された後、その下方の一次側アダプタ部材50の取付穴50fに挿入されるようになっている。これにより、弁座部材52が上側ケーシング部材74の底部74aに固定されるようになっている。
【0034】
つぎに、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の側面において、複数(例えば、2個)の流出穴74fが、穴開け加工により互いに周方向に隣接して形成されている。
また、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の側面において、各流出穴74fに対して互いに周方向に離間する側には、複数(例えば、2個)の下方突起係合穴74gのそれぞれが、穴開け加工により互いに対角線上に形成されている。
ちなみに、図2図5及び図8に示すように、上側ケーシング部材74の側面の各下方突起係合穴74gについては、上側下方シール保持部材24の内周面に対角線上に設けられた、複数(例えば、2個)の突起24aのそれぞれが嵌合されるようになっている。これにより、上側下方シール保持部材24の内周面が上側ケーシング部材74の外周面上に対して保持されるようになっている。
さらに、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の側面において、各流出穴74f及び各下方突起係合穴74gよりも上方には、複数(例えば、2個)の上方突起係合穴74hのそれぞれが、穴開け加工により互いに対角線上に形成されている。
ちなみに、図2図5及び図9に示すように、上側ケーシング部材74の側面の各上方突起係合穴74hについては、下側上方シール保持部材26の内周面に対角線上に設けられた複数(例えば、2個)の突起26aのそれぞれが嵌合されるようになっている。これにより、下側上方シール保持部材26の内周面が、上側下方シール保持部材24よりも上方の位置で上側ケーシング部材74の外周面に対して保持されるようになっている。
これらの穴開け加工の後、図8及び図9に示すように、有底のカップ状の上側ケーシング部材74の底部74aの外縁且つ下縁部分が下側ケーシング部材72の上方開口縁部72c内に挿入された状態で、この上側ケーシング部材74の底部74aの外縁且つ下縁部分と下側ケーシング部材72の上方開口縁部72cとが互いに溶接加工される。これにより、下側ケーシング部材72の上端と上側ケーシング部材74の下端とが互いに一体的に接続されるようになっている。
【0035】
つぎに、図8及び図9に示すように、上側ケーシング部材74と溶接される前の状態の上部円環部材76は、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によってほぼ円環状に形成されている。
例えば、ほぼ円環状の金属製の上部円環部材76を成形する際には、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の上部円環部材76を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に上部円環部材76の成形用の型を用意する必要がない。
【0036】
つぎに、図8及び図9に示すように、上部円環部材76の内周面において、雌ねじ加工により雌ねじ76aが形成されている。
また、図4図6及び図7に示すように、上部円環部材76の雌ねじ76aにより、カートリッジ押さえ部材56の外周面に形成された雄ねじ56aが螺合可能であり、カートリッジ押さえ部材56がケーシング部材40の上端部(上部円環部材76)に対して固定されるようになっている。
このような雌ねじ加工の後、図8及び図9に示すように、上部円環部材76の下縁部分と上側ケーシング部材74のフランジ部74bの外縁部分とが互いに溶接加工され、上側ケーシング部材74の上端と上部円環部材76の下端とが互いに一体的に接続されている。
なお、本実施形態の水栓装置1では、上部円環部材76の内周面に雌ねじ76aを形成して雌側部材とし、カートリッジ押さえ部材56の外周面に雄ねじ56aを形成して雄側部材として互いに螺合させる形態を採用している。しかしながら、このような形態に限られず、上部円環部材76の外周面に雄ねじを形成して雄側部材とし、カートリッジ押さえ部材56の内周面に雌ねじを形成して雌側部材として互いに螺合させる形態を採用してもよい。
【0037】
つぎに、図4及び図7に示すように、一次側アダプタ部材50は、機械的係合ピン60により下側ケーシング部材72内の上方に保持されており、弁座部材52は、上側ケーシング部材74内の底部74aに保持されている。
また、図7に示すように、概ね円柱状の一次側アダプタ部材50の外径D1は、弁座部材52の外径D2よりも大きく設定されている(D1>D2)。
【0038】
つぎに、図7に示すように、上側ケーシング部材74内の弁座部材52の上方には、シングルレバーカートリッジ54が配置されている。
また、図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54の上方において、カートリッジ押さえ部材56の雄ねじ56aが上部円環部材76の雌ねじ76aに螺合されることにより、シングルレバーカートリッジ54が上側ケーシング部材74内の弁座部材52の上方において押圧された状態で保持されている。すなわち、カートリッジ押さえ部材56は、シングルレバーカートリッジ54を弁座部材52に固定する固定部材となる。
このとき、図5及び図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gは、上側ケーシング部材74の流出穴74fと連通している。
また、図5及び図7に示すように、上側ケーシング部材74の外周面とその外側の二次側流路形成部材62の内周面との間には、二次側流路78が形成されている。シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gから流出した湯水は、上側ケーシング部材74の流出穴74fを介して二次側流路78に流出するようになっている。
さらに、図7に示すように、二次側流路78内の湯水は、二次側流路形成部材62のスパウト側の側面に形成された流出穴62aから二次側アダプタ部材64内の流路64aに流出した後、スパウト側流路形成部材68内のスパウト流路68aに流出するようになっている。
【0039】
つぎに、図2図5及び図7に示すように、下方シール部材22は、上側ケーシング部材74の外側面において流出穴74fよりも下方の位置に配置されている。この下方シール部材22により、上側ケーシング部材74における流出穴74fよりも下方の外側面と外殻部材8の支柱部8a内の二次側流路形成部材62の内側面との間が水密にシール可能になっている。
一方、図2図5及び図7に示すように、上方シール部材28は、上側ケーシング部材74の外側面において流出穴74fよりも上方の位置に配置されている。この上方シール部材28により、上側ケーシング部材74における流出穴74fよりも上方の外側面と外殻部材8の支柱部8a内の二次側流路形成部材62の内側面との間が水密にシール可能になっている。
ここで、これらのシール部材22,28としては、ゴム材料又は樹脂材料等の弾性材料により円環状に形成され且つその横断面形状が概ねX字状である、いわゆる、Xリングが採用されている。
しかしながら、これらのシール部材22,28としては、Xリングに限られず、横断面形状が円形である、いわゆる、Oリング等が採用されてもよい。
【0040】
つぎに、図2図5及び図7に示すように、下側下方シール保持部材20及び上側下方シール保持部材24のそれぞれは、上側ケーシング部材74における流出穴74fよりも下方の外側面において、上側ケーシング部材74の軸方向に対して垂直な横方向(上側ケーシング部材74の径方向外側)から係合した状態となっている。また、この状態では、下側下方シール保持部材20が下方シール部材22に対して下側から接触して保持している状態となっており、上側下方シール保持部材24が下方シール部材22に対して上側から接触して保持している状態となっている。
すなわち、下側下方シール保持部材20及び上側下方シール保持部材24は、下方シール部材22を下側及び上側から挟み込むことにより保持している状態となっている。
【0041】
また、図2図5及び図7に示すように、下側上方シール保持部材26及び上側上方シール保持部材30のそれぞれは、上側ケーシング部材74における流出穴74fよりも上方の外側面において、上側ケーシング部材74の軸方向に対して垂直な横方向(上側ケーシング部材74の径方向外側)から係合した状態となっている。また、この状態では、下側上方シール保持部材26が上方シール部材28に対して下側から接触して保持している状態となっており、上側上方シール保持部材30が上方シール部材28に対して上側から接触して保持している状態となっている。
すなわち、下側上方シール保持部材26及び上側上方シール保持部材30は、上方シール部材28を下側及び上側から挟み込むことにより保持している状態となっている。
【0042】
つぎに、図4及び図7に示すように、シングルレバーカートリッジ54のケーシング54hの外周面において、上方シール部材28よりも上方の位置には、シール部材80が設けられている。このシール部材80により、シングルレバーカートリッジ54の外側と上側ケーシング部材74の内側との間(シングルレバーカートリッジ54のケーシング54hの外周面と上側ケーシング部材74の内周面との間)が水密にシール可能となっている。
ここで、シール部材80としては、ゴム材料又は樹脂材料等の弾性材料により円環状に形成され且つその横断面形状が概ね円形である、いわゆる、Оリングが採用されている。
しかしながら、このシール部材80としては、Oリングに限られず、横断面形状がX字形形状である、いわゆる、Xリング等が採用されてもよい。
これらにより、シール部材80は、上側ケーシング部材74の内側を水密にシールする内側シール部となる一方、下方シール部材22及び上方シール部材28のそれぞれは、上側ケーシング部材74の外側を水密にシールする外側シール部となっている。
【0043】
また、図7に示すように、シール部材80は、上側ケーシング部材74の軸方向において、下方シール部材22及び上方シール部材28のそれぞれに対して互いに異なる高さ位置に設けられている。
より具体的には、図7に示すように、シール部材80は、下方シール部材22及び上方シール部材28のそれぞれに対して、上側ケーシング部材74の軸方向において上方の高さ位置に設けられている。
【0044】
つぎに、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1の作用について、水栓装置1の組立方法や加工方法を交えながら説明する。
まず、本実施形態による水栓装置1によれば、シングルレバーカートリッジ54のケーシング54hの外周面と上側ケーシング部材74の内周面との間を水密にシールするシール部材80が、上側ケーシング部材74の外側面と外殻部材8の支柱部8a内の二次側流路形成部材62の内側面との間を水密にシールする各シール部材22,28に対して、上側ケーシング部材74の軸方向において互いに異なる高さ位置に設けられている。
これにより、上側ケーシング部材74の内側及び外側のそれぞれにおいて、シール面を形成する加工の寸法精度を優先する箇所を区別することができる。
また、水栓装置1の種類に応じた金属製のケーシング部材40の上側ケーシング部材74について、例えば、絞り加工では内外の寸法精度を同時に満たすことは極めて難しいが、内側シール部であるシール部材80や外側シール部であるシール部材22,28を互いに軸方向にずらした位置に設けることにより、各シール部材22,28,80の寸法精度を正確に出すことができ、水密にシールすることができるようになる。
これらの結果、水密性を確保しつつ、水栓装置1の設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態による水栓装置1によれば、シングルレバーカートリッジ54がケーシング部材40の上方側に設けられている設計上、シングルレバーカートリッジ54のケーシング54hの外周面と上側ケーシング部材74の内周面との間を水密にシールするシール部材80の位置は、ケーシング部材40の軸方向における上方の高さ位置に決定されてしまう。
したがって、上側ケーシング部材74の外側面と外殻部材8の支柱部8a内の二次側流路形成部材62の内側面との間を水密にシールする各シール部材22,28について、ケーシング部材40の軸方向においてシール部材80に対して下方の高さ位置に設けることにより、ケーシング部材40の軸方向の寸法や横断面の寸法を抑制することができるため、水栓装置1の内部寸法を抑制することができる。
【0046】
さらに、本実施形態による水栓装置1によれば、ケーシング部材40の上側ケーシング部材74の軸方向の端部(上端部)に設けられて外側に突出するフランジ部74bにより、上側ケーシング部材74の軸方向に対して垂直な横方向に対する強度を向上させることができる。
また、ケーシング部材40の上側ケーシング部材74のフランジ部74bにより、内側シール部であるシール部材80及び外側シール部である各シール部材22,28においても安定して水密にシールすることができるため、シール精度を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態による水栓装置1によれば、ねじ部(雌ねじ76a)を備えた上部円環部材76がケーシング部材40の上側ケーシング部材74のフランジ部74bに対して溶接加工により一体に設けられている。これにより、ケーシング部材40の各シール部材22,28,80に対して溶接加工による熱の影響を伝わり難くすることができる。
したがって、ケーシング部材40の各シール部材22,28,80おいて、ひずみ等の熱変形が生じ難くなるため、シール精度を確保することができる。
【0048】
つぎに、図10及び図11を参照して、本発明の第2実施形態による水栓装置について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態による水栓装置のケーシング部材の分解斜視図である。また、図11は、図10のXI-XI線に沿った断面図である。
ここで、図10及び図11に示す本発明の第2実施形態による水栓装置100のケーシング部材140において、図8及び図9に示す本発明の第1実施形態による水栓装置1のケーシング部材40と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
【0049】
まず、図10及び図11に示すように、本発明の第2実施形態による水栓装置100のケーシング部材140は、下方から上方に向って、下側ケーシング部材172、中間ケーシング部材174、上側ケーシング部材74、及び、上部円環部材76をそれぞれ備えている。
すなわち、図10及び図11に示す本実施形態の水栓装置100のケーシング部材140おいては、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1のケーシング部材40の下側ケーシング部材72に相当する部材が、概ね円筒状の下側ケーシング部材172及び中間ケーシング部材174の二つの金属製の部材となっている点で異なった構造となっている。
また、これらの下側ケーシング部材172及び中間ケーシング部材174の金属材料としては、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高いステンレス材料(例えば、SUS304等)等が用いられている。
しかしながら、本実施形態による水栓装置100の金属製のケーシング部材140に用いられる金属材料については、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高い材料であれば、ステンレス材料以外の他の金属材料であってもよい。
そして、図10及び図11に示すように、下側ケーシング部材172の上縁部172aの外周面と中間ケーシング部材174の下方開口端部174aの内周面とは、溶接加工等により互いに一体的に接続されている。
さらに、図10及び図11に示すように、中間ケーシング部材174の上方開口端部174bの内周面と有底の上側ケーシング部材74の底部74aの外周面とは、溶接加工等により互いに一体的に接続されている。
【0050】
ここで、図10に示すように、中間ケーシング部材174と溶接される前の下側ケーシング部材172においては、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって、その横断面視の形状が概ねC字形形状に形成されている。これにより、この下側ケーシング部材172の両側縁部172b,172c同士は、互いに周方向に所定間隔d101[mm]となるように形成されている。
例えば、金属製の下側ケーシング部材172を成形する際には、金属製の薄板材について、ロール成形等の曲げ加工を行うことにより湾曲状に成形し、最終的には、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で、その横断面視の形状が概ねC字形形状に形成する。
或いは、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について、切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整すると共に、下側ケーシング部材172の側縁部172b,172c同士の周方向に所定間隔がd101[mm]となるように、この所定間隔d101とほぼ同一寸法の溝幅の縦溝G101を成形する。
すなわち、金属製の下側ケーシング部材172を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置100の種類に応じた外殻部材8の形状毎に下側ケーシング部材172の成形用の型を用意する必要がない。
【0051】
つぎに、図10及び図11に示すように、下側ケーシング部材172の側面の下方において、穴開け加工等により径方向に貫く下方係合穴172dが周方向に間隔を置いて複数形成されている。
これにより、図10及び図11に示すように、台座部材保持用の機械的係合ピン58は、下方係合穴172dに対して外側から挿入されることにより下方係合穴172dに係合した後、その内側端部が台座部材16の側面の係合穴16eに係合するようになっている。
したがって、これらの下側ケーシング部材172の下方係合穴172d、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、台座部材16の係合穴16eは、下側ケーシング部材172が機械的係合により台座部材16を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
【0052】
つぎに、図10及び図11に示すように、上側ケーシング部材74と溶接される前の状態の中間ケーシング部材174についても、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によってほぼ円筒状に形成されている。
例えば、ほぼ円筒状の金属製の中間ケーシング部材174を成形する際には、金属製の薄板材について、ロール成形等の曲げ加工を行うことにより湾曲状に成形し、最終的には、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法でほぼ円筒状に形成する。
或いは、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について、切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の中間ケーシング部材174を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に中間ケーシング部材174の成形用の型を用意する必要がない。
【0053】
つぎに、図10及び図11に示すように、中間ケーシング部材174の側面においても、穴開け加工等により径方向に貫く係合穴174cが周方向に複数形成されている。
これにより、図10及び図11に示すように、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60は、係合穴174cに対して外側から挿入されることにより係合穴174cに係合した後、その内側端部が一次側アダプタ部材50の側面の係合穴50eに係合するようになっている。
したがって、これらの中間ケーシング部材174の係合穴174c、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60、及び、一次側アダプタ部材50の係合穴50eは、下側ケーシング部材172が機械的係合により一次側アダプタ部材50を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
【0054】
上述した本発明の第2実施形態による水栓装置100によれば、下側ケーシング部材172がその横断面視において概ねC字形形状に形成されているため、下側ケーシング部材172を概ねC字形形状に形成する際に、金属製の板材について比較的に安価な曲げ加工で簡単に成形することができる。
また、比較的に安価な曲げ加工で成形される下側ケーシング部材172のみを変更することにより、水栓装置1の種類に応じた様々な形態のケーシング部材40を用意することができるため、より一層のコストダウンを実現することもできる。
したがって、水栓装置100の設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
【0055】
つぎに、図12及び図13を参照して、本発明の第3実施形態による水栓装置について説明する。
図12は、本発明の第3実施形態による水栓装置の中央側面断面図において、図7と同様に水栓機能ユニットの上方部分を拡大した部分拡大断面図である。また、図13は、本発明の第3実施形態による水栓装置の水栓機能ユニットを分解した斜視断面図である。
ここで、図12及び図13に示す本発明の第3実施形態による水栓装置200において、図4及び図7に示す本発明の第1実施形態による水栓装置1と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
【0056】
まず、図12及び図13に示すように、本発明の第3実施形態による水栓装置200においては、水栓機能ユニット218のケーシング部材240及び接続部材250のそれぞれの構造のみが、図4及び図7に示す本発明の第1実施形態による水栓装置1の水栓機能ユニット18のケーシング部材40及び接続部材(一次側アダプタ部材50、弁座部材52)のそれぞれの構造と異なっている。
具体的には、図12及び図13に示すように、本実施形態の水栓装置200の水栓機能ユニット218のケーシング部材240においては、ほぼ円筒状の段付きケーシング部材272と、上部円環部材76とをそれぞれ備えている。また、上部円環部材76は、溶接加工により段付きケーシング部材272の上端部に一体的に接続されている。
すなわち、図12及び図13に示すように、上部円環部材76が溶接される前の段付きケーシング部材272は、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって円筒状に形成されており、有底形状ではない単一の部材である。
よって、段付きケーシング部材272は、第1実施形態による水栓装置1の円筒状の下側ケーシング部材72と有底形状である上側ケーシング部材74とが溶接加工により一体的に接続された部材とは異なっている。
また、図12及び図13に示すように、段付きケーシング部材272の上下方向の中間部には、金属製の板材又は管材について絞り加工等を行うことにより括れ(段部272a)が形成されている。これにより、接続部材250の段部250aが段付きケーシング部材272の括れ(段部272a)に下側から当接しており、接続部材250がシール部材252を介して段付きケーシング部材272によって保持されるようになっている。
【0057】
つぎに、図12及び図13に示すように、本実施形態の水栓装置200の接続部材250においては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料で概ね円柱状に形成されている。
また、図12及び図13に示すように、接続部材250は、本発明の第1実施形態による水栓装置1の一次側アダプタ部材50及び弁座部材52が互いに一体的に形成されたものに相当しており、第1実施形態による水栓装置1の一次側アダプタ部材50及び弁座部材52のそれぞれが別部材である形態とは異なっている。
さらに、図12及び図13に示すように、水栓機能ユニット218のケーシング部材240の内部において、各機械的係合ピン58,60が段付きケーシング部材272の上下の各ピン係合穴272b,272cを介して台座部材16の係合穴16e及び接続部材250の係合穴250bのそれぞれに係合することにより、台座部材16及び接続部材250のそれぞれが段付きケーシング部材272によって保持されている。
したがって、これらの段付きケーシング部材272の各ピン係合穴272b,272c、各機械的係合ピン58,60、台座部材16の係合穴16e、及び、接続部材250の係合穴250bのそれぞれは、段付きケーシング部材272が機械的係合により台座部材16及び接続部材250を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
【0058】
つぎに、図12及び図13に示すように、ケーシング部材240の内部の接続部材250において、その通湯穴250c及び通水穴250dのそれぞれの下端側(上流側)は、各軸シール部材48a,48bを介して各供給管44,46に水密に接続されており、いわゆる、軸シールされている。
一方、図12及び図13に示すように、接続部材250の通湯穴250c及び通水穴250dのそれぞれの上端側(下流側)は、シングルレバーカートリッジ54の固定弁体54aの通湯路54d及び通水路54eのそれぞれに水密に接続され、いわゆる、面シールされている。
また、図12及び図13に示すように、段付きケーシング部材272の係合穴272cよりも上方の側面には、第1実施形態の流出穴74fと同様な複数(例えば、2個)の流出穴272d、第1実施形態の下方突起係合穴74gと同様な複数(例えば、2個)の下方突起係合穴272e、及び、第1実施形態の上方突起係合穴74hと同様な複数(例えば、2個)の上方突起係合穴272fのそれぞれが穴開け加工により形成されている。
【0059】
さらに、図12及び図13に示すように、段付きケーシング部材272の流出穴272dは、シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gと連通しており、湯水混合路54fの流出口54gから流出した湯水は、段付きケーシング部材272の流出穴272dを介して二次側流路78に流出するようになっている。
そして、図12に示すように、二次側流路78内の湯水は、二次側流路形成部材62のスパウト側の側面に形成された流出穴62aから二次側アダプタ部材64内の流路64aに流出した後、スパウト側流路形成部材68内のスパウト流路68aに流出するようになっている。
【0060】
また、図12及び図13に示すように、シングルレバーカートリッジ54のケーシング54hに取り付けられたシール部材80は、シングルレバーカートリッジ54のケーシング54hの外周面と上側ケーシング部材74の内周面との間を水密にシールする第1内側シール部となっている。
これに対し、図12及び図13に示すように、接続部材250に取り付けられたシール部材252は、接続部材250における段部20aよりも上方の外周面と上側ケーシング部材74の内周面との間を水密にシールする第2内側シール部となっている。
さらに、図12に示すように、第2内側シール部であるシール部材252は、ケーシング部材272の外側を水密にシールする外側シール部である各シール部材22,28に対して、ケーシング部材272の軸方向において互いに異なる高さ位置に設けられている。
より具体的には、図12に示すように、シール部材252は、下方シール部材22及び上方シール部材28のそれぞれに対して、ケーシング部材272の軸方向において下方の高さ位置に設けられている。
ここで、シール部材252としては、ゴム材料又は樹脂材料等の弾性材料により円環状に形成され且つその横断面形状が概ね円形である、いわゆる、Оリングが採用されている。
しかしながら、このシール部材252としては、Oリングに限られず、横断面形状がX字形形状である、いわゆる、Xリング等が採用されてもよい。
【0061】
上述した本実施形態による水栓装置200によれば、シングルレバーカートリッジ54よりも下方に位置する接続部材250の外側とケーシング部材272の内側との間についても、第2内側シール部であるシール部材252によって水密にシールすることができる。
また、図12に示すように、シール部材252は、上側ケーシング部材74の外側を水密にシールする外側シール部である各シール部材22,28に対して、ケーシング部材272の軸方向において互いに異なる高さ位置に設けられている。
これにより、ケーシング部材272の内側及び外側のそれぞれにおいて、水栓装置200の種類に応じたシール精度を優先する箇所を区別することができる。
【0062】
なお、上述した本発明の第1~第3実施形態による水栓装置1,100,200に用いられる金属製のケーシング部材40,140,240においては、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって概ね円筒形状に形成されている形態について説明した。
しかしながら、本実施形態では、金属製のケーシング部材の形状については、必ずしも全周に亘って連続的に形成された完全な円筒形状に限られず、半円筒形状であってもよいし、この半円筒よりも周方向に延びて且つ完全な円筒未満の形状であってもよい。要するに、金属製のケーシング部材の形状については、少なくとも半円筒形状に形成された形状であればよい。
【符号の説明】
【0063】
1 水栓装置
2 操作ハンドル
4 スパウト
6 吐水口
8 外殻部材
8a 支柱部
8b スパウト部
10 湯供給管(一次側流路)
12 水供給管(一次側流路)
14 固定金具
14a 把持金具
14b 締結金具
16 台座部材
16a 通湯穴
16b 通水穴
16c 湯側接続受け部
16d 水側接続受け部
16e 係合穴
18 水栓機能ユニット
20 下側下方シール保持部材
22 下方シール部材(外側シール部)
24 上側下方シール保持部材
24a 突起
24b 突起
24c 突起
26 下側上方シール保持部材
26a 突起
26b 突起
26c 突起
28 上方シール部材(外側シール部)
30 上側上方シール保持部材
32 Cリング
34 シール部材
36 固定部材
38 留め具
38a ビス
38b キャップ
40 ケーシング部材
42 軸シール部材
42a 湯側軸シール部材
42b 水側軸シール部材
44 湯供給管(一次側流路、湯供給流路)
44a 下側被接続部
44b 上側被接続部
46 水供給管(一次側流路、水供給流路)
46a 下側接続部
46b 上側接続部
48 軸シール部材
48a 湯側軸シール部材
48b 水側軸シール部材
50 一次側アダプタ部材(接続部材)
50a 通湯穴
50b 通水穴
50c 湯側接続部
50d 水側接続部
50e 係合穴
50f 取付穴
52 弁座部材(接続部材)
52a 通湯穴
52b 通水穴
52c 突起
54 シングルレバーカートリッジ
54a シングルレバーカートリッジの固定弁体
54b シングルレバーカートリッジの可動弁体(開閉弁)
54c シングルレバーカートリッジのレバー操作部
54d シングルレバーカートリッジ内の通湯路(一次側流路)
54e シングルレバーカートリッジ内の通水路(一次側流路)
54f シングルレバーカートリッジ内の湯水混合路(二次側流路)
54g シングルレバーカートリッジの湯水混合路の流出口
54h シングルレバーカートリッジのケーシング
56 カートリッジ押さえ部材(固定部材)
56a 雄ねじ
58 台座部材保持用の機械的係合ピン
60 一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン
62 二次側流路形成部材
62a 流出穴
64 二次側アダプタ部材
64a 流路
66 スペーサ部材
68 スパウト側流路形成部材
68a スパウト流路
70 吐水口形成部材
72 下側ケーシング部材
72a 下方ピン係合穴
72b 上方ピン係合穴
72c 上方開口縁部
74 上側ケーシング部材
74a 上側ケーシング部材の底部
74b 上側ケーシング部材のフランジ部
74c 上側ケーシング部材の底部の湯側連通穴
74d 上側ケーシング部材の底部の水側連通穴
74e 上側ケーシング部材の底部の取付穴
74f 上側ケーシング部材の側面の流出穴
74g 上側ケーシング部材の側面の下方突起係合穴
74h 上側ケーシング部材の側面の上方突起係合穴
76 上部円環部材
76a 雌ねじ(ねじ部、ねじ溝)
78 二次側流路
80 シール部材(内側シール部、第1内側シール部)
100 本発明の第2実施形態による水栓装置
140 ケーシング部材
172 下側ケーシング部材
172a 上縁部
172b 側縁部
172c 側縁部
172d 下方係合穴
174 中間ケーシング部材
174a 下方開口端部
174b 下方開口端部
174c 係合穴
200 本発明の第3実施形態による水栓装置
218 水栓機能ユニット
240 ケーシング部材
250 接続部材
250a 段部
250b 係合穴
250c 通湯穴
250b 通水穴
252 シール部材(内側シール部、第2内側シール部)
272 段付きケーシング部材
272a 段部
272b 下方ピン係合穴
272c 上方ピン係合穴
272d 流出穴
272e 下方突起係合穴
272f 上方突起係合穴
A1 回転中心軸線
B1 切れ目
B2 切れ目
B3 切れ目
B4 切れ目
D1 一次側アダプタ部材の外径
D2 弁座部材の外径
d1 クリアランス
d2 クリアランス
d3 クリアランス
d4 クリアランス
d101 間隔
F1 設置面
G101 縦溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13