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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】水栓装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20220905BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
E03C1/042 B
E03C1/042 E
E03C1/044
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018118567
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019218802
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 幸人
(72)【発明者】
【氏名】早川 純司
(72)【発明者】
【氏名】城戸 健司
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴文
(72)【発明者】
【氏名】金城 政信
(72)【発明者】
【氏名】畠山 真
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-096753(JP,A)
【文献】特開2018-048516(JP,A)
【文献】特開平10-152869(JP,A)
【文献】特開2004-076888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置であって、
上記水栓装置が設置される設置面に固定される台座部材と、
上記台座部材に取り付けられる概ね筒状の支柱部を備えた外殻部材と、
この外殻部材の支柱部内に挿入され、その一端側が上記台座部材に固定されるケーシング部材と、
このケーシング部材の内部に設けられ、上記台座部材から下流側にそれぞれ延びて湯及び水をそれぞれ供給する一次側流路を形成する湯供給流路及び水供給流路と、
上記ケーシング部材の他端側の内部に設けられたシングルレバーカートリッジであって、上記湯供給流路及び上記水供給流路から供給される湯水の混合比と流路を調整する開閉弁と、この開閉弁の開閉操作を可能にする単一のレバーと、を備えた上記シングルレバーカートリッジと、
上記ケーシング部材の内部に設けられ、上記湯供給流路及び上記水供給流路のそれぞれの下流端と上記シングルレバーカートリッジとを接続する接続部材と、
上記シングルレバーカートリッジを上記接続部材に固定する固定部材と、
を有し、
上記ケーシング部材は、上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成されて側面に流出穴を有する本体部と、上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で上記本体部の他端側に接続された他側弾性部材保持部と、を有しており、
上記他側弾性部材保持部には、他側環状弾性部材が保持されており、
上記他側環状弾性部材は、上記外殻部材の上記支柱部の内周面と上記ケーシング部材の外周面との間を水密にシールしており、
上記他側弾性部材保持部は、金属製であり、
上記本体部と上記他側弾性部材保持部とは、溶接されている
ことを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
上記流出穴に対して上記他側環状弾性部材とは反対側の領域において、上記外殻部材の上記支柱部の内周面と上記ケーシング部材の外周面との間を水密にシールする一側環状弾性部材
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の水栓装置。
【請求項3】
上記他側弾性部材保持部は、上記他側環状弾性部材を保持するための他側保持溝を有しており、
上記他側保持溝は、切削加工によって形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の水栓装置。
【請求項4】
上記他側弾性部材保持部の内周面と上記シングルレバーカートリッジの外周面との間は、水密にシールされている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の水栓装置。
【請求項5】
上記他側弾性部材保持部の内周面は、円筒面状であり、
上記本体部の内周面も、円筒面状であり、
上記他側弾性部材保持部の内周面の内径は、上記本体部の内周面の内径よりも小さい
ことを特徴とする請求項に記載の水栓装置。
【請求項6】
上記他側弾性部材保持部は、上記本体部側において、当該本体部の他端側の端面形状に対応する溶接用突出部を有している
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の水栓装置。
【請求項7】
上記ケーシング部材は、更に、上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で上記本体部の一端側に接続された一側弾性部材保持部を有しており、
上記一側弾性部材保持部には、一側環状弾性部材が保持されており、
上記一側環状弾性部材も、上記外殻部材の上記支柱部の内周面と上記ケーシング部材の外周面との間を水密にシールしている
ことを特徴とする請求項1に記載の水栓装置。
【請求項8】
上記一側弾性部材保持部は、上記一側環状弾性部材を保持するための一側保持溝を有しており、
上記一側保持溝は、切削加工によって形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の水栓装置。
【請求項9】
上記一側弾性部材保持部の内周面と上記接続部材の外周面との間は、水密にシールされている
ことを特徴とする請求項7または8に記載の水栓装置。
【請求項10】
上記一側弾性部材保持部の内周面は、円筒面状であり、
上記本体部の内周面も、円筒面状であり、
上記一側弾性部材保持部の内周面の内径は、上記本体部の内周面よりも小さい
ことを特徴とする請求項に記載の水栓装置。
【請求項11】
上記一側弾性部材保持部は、上記本体部側において、当該本体部の一端側の端面形状に対応する溶接用突出部を有している
ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の水栓装置。
【請求項12】
給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置の製造方法であって、
上記水栓装置の設置面に固定される台座部材を準備する工程と、
上記台座部材に取り付けられる概ね筒状の支柱部を備えた外殻部材を準備する工程と、
上記外殻部材の支柱部内に挿入されるケーシング部材を準備する工程と、
給湯源の湯を供給する湯供給流路及び給水源の水を供給する水供給流路をそれぞれ準備する工程と、
上記湯供給流路及び上記水供給流路から供給される湯水の混合比と流路を調整する開閉弁と、この開閉弁の開閉操作を可能にする単一のレバーと、を備え、上記ケーシング部材の内部に設けられるシングルレバーカートリッジを準備する工程と、
上記湯供給流路及び上記水供給流路のそれぞれの下流端と上記シングルレバーカートリッジとを上記ケーシング部材の内部で接続する接続部材を準備する工程と、
上記シングルレバーカートリッジを上記接続部材に固定する固定部材を準備する工程と、
を有し、
上記ケーシング部材を準備する工程において、本体部が金属製の板材又は管材を用いて上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で概ね少なくとも半筒状に且つ側面に流出穴を有するように形成され、上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で上記本体部の一端側に弾性部材保持部が接続されて上記ケーシング部材が形成され、
上記ケーシング部材を準備する工程の後に、上記弾性部材保持部に他側環状弾性部材が保持され、上記他側環状弾性部材が上記外殻部材の上記支柱部の内周面と上記ケーシング部材の外周面との間を水密にシールするように上記外殻部材と上記ケーシング部材とを組み付ける工程が実施され
上記弾性部材保持部は、金属製であり、
上記本体部と上記弾性部材保持部とは、溶接によって接続される
ことを特徴とする水栓装置の製造方法。
【請求項13】
上記弾性部材保持部は、上記他側環状弾性部材を保持するための他側保持溝を有し
ており、
上記他側保持溝は、切削加工によって形成される
ことを特徴とする請求項12に記載の水栓装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置及びその製造方法に係り、特に、給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、水栓装置の種類に応じた形状に形成された外殻部材を備えているものが知られている。
また、この従来の水栓装置の外殻部材の内部には、別体のケーシング部材が挿入されている。このケーシング部材には、水栓機能ユニットが内蔵されており、この水栓機能ユニットは、給水源及び給水源のそれぞれから一次側流路により供給された湯と水とを混合し、この混合した湯水を吐止水する機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第2586919号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の水栓装置においては、外殻部材の内部に挿入されているケーシング部材が樹脂材料で形成されているため、水栓装置の種類に応じた外殻部材の寸法や形状に応じて、射出成形用の型を用意する必要があり、製造コストがかかるという問題がある。
また、従来の水栓装置の樹脂製のケーシング部材については、金属製のものに比べて強度が低く、経年変化等による耐久性も低いという問題もある。これにより、長期的な安全性を確保するためには、点検や部品交換等のメンテナンスにおいてもコストがかかるという問題がある。
【0005】
一方、従来の水栓装置のケーシング部材について、仮に、樹脂材料とは異なる銅合金等の金属を用いて鋳造した場合には、銅合金から鉛成分が溶出することを規制する対策が必要となるという問題や、ケーシング部材のサイズ自体も大型化するという問題、或いは、銅価格の相場変動に影響を受け易いという問題もある。
また、常時湯水に晒される水栓装置の事情を考慮し、ケーシング部材として耐食性が高いステンレス材料を採用した場合には、ステンレス材料が高い加工精度で加工することが難しいという問題もある。
したがって、脱銅合金や脱鋳物を実現し、銅合金以外の素材を活用し、水栓装置の種類に応じて様々な仕様に対しても、いかに製造コストを抑制しつつ、設計の自由度を高めていくかが、近年要請された課題となっている。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題や近年要請された課題を解決するためになされたものであり、設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる水栓装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置であって、上記水栓装置が設置される設置面に固定される台座部材と、上記台座部材に取り付けられる概ね筒状の支柱部を備えた外殻部材と、この外殻部材の支柱部内に挿入され、その一端側が上記台座部材に固定されるケーシング部材と、このケーシング部材の内部に設けられ、上記台座部材から下流側にそれぞれ延びて湯及び水をそれぞれ供給する一次側流路を形成する湯供給流路及び水供給流路と、上記ケーシング部材の他端側の内部に設けられたシングルレバーカートリッジであって、上記湯供給流路及び上記水供給流路から供給される湯水の混合比と流路を調整する開閉弁と、この開閉弁の開閉操作を可能にする単一のレバーと、を備えた上記シングルレバーカートリッジと、上記ケーシング部材の内部に設けられ、上記湯供給流路及び上記水供給流路のそれぞれの下流端と上記シングルレバーカートリッジとを接続する接続部材と、上記シングルレバーカートリッジを上記接続部材に固定する固定部材と、を有し、上記ケーシング部材は、上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成されて側面に流出穴を有する本体部と、上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で上記本体部の他端側に接続された他側弾性部材保持部と、を有しており、上記他側弾性部材保持部には、他側環状弾性部材が保持されており、上記他側環状弾性部材は、上記外殻部材の上記支柱部の内周面と上記ケーシング部材の外周面との間を水密にシールしていることを特徴とする水栓装置である。
【0008】
このように構成された本発明においては、水栓装置を組み立てる際、水栓装置の種類に応じた形状に形成された外殻部材の概ね筒状の支柱部内に対して、概ね少なくとも半筒状のケーシング部材が挿入される。その際、予めケーシング部材により、水栓装置の種類に応じた形状の外殻部材に応じて、その支柱部内の軸方向のスペースや距離寸法を定めることができると共に、支持部内に挿入されている内部構造の強度を高めることができる。
さらに、ケーシング部材については、水栓装置の種類に応じた形状の外殻部材の支柱部内に挿入可能に金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成することができる。これにより、ケーシング部材が樹脂材料で射出成形された場合や金属材料で鋳造成形された場合に比べて、水栓装置の種類に応じた外殻部材の形状毎にケーシング部材の成形用の型を用意する必要がないため、比較的安価な加工方式でケーシング部材の寸法や形状を容易に調整することができる。
また、ケーシング部材が金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成されるため、ケーシング部材について、必要な強度を保ちながら、薄く形成することもできる。これにより、水栓装置の内部寸法を抑制することができる。
さらに、水栓装置の種類に応じた様々な形状の外殻部材に対しても、ある程度共通化させたケーシング部材を用意しておけば、このケーシング部材の一部に切断加工等を施すだけで、比較的安価な加工方式で所望の軸方向の寸法に調整することができる。これにより、例えば台座部材と接続部材との間のケーシング部材の軸方向の寸法距離についても、ケーシング部材の軸方向の寸法に応じて自由に設定することができる。また、軸方向の寸法を調整した状態のケーシング部材を外殻部材の支柱部内に挿入するだけで、簡単に組み付けることができる。
これらの結果、水栓装置の設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
【0009】
そして更に、本発明においては、ケーシング部材が、外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成されて側面に流出穴を有する本体部と、外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で本体部の他端側に接続された他側弾性部材保持部と、を有している。すなわち、本発明においては、他側弾性部材保持部が、金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成される本体部とは別領域に設けられている。これは、金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成される領域内に弾性部材保持部(環状部材を保持できる構成)を直接的に形成することが難しい、という本件発明者の知見に基づいている。
本発明の他側弾性部材保持部には、他側環状弾性部材が保持されて、当該他側環状弾性部材は、外殻部材の支柱部の内周面とケーシング部材の外周面との間を水密にシールする。これにより、ケーシング部材の外周面の周囲に流路を形成することが容易となる。
【0010】
本発明の水栓装置は、好ましくは、上記流出穴に対して上記他側環状弾性部材とは反対側の領域において、上記外殻部材の上記支柱部の内周面と上記ケーシング部材の外周面との間を水密にシールする一側環状弾性部材を更に備える。
この場合、ケーシング部材の外周面の周囲において、上記流出穴と連通する流路を形成することが更に容易となる。
【0011】
また、本発明において、上記他側弾性部材保持部は、金属製であり、上記本体部と上記他側弾性部材保持部とは、溶接されていることが好ましい。
この場合、本体部と他側弾性部材保持部との接続を省スペースに実現することができ、両者の接続(接合)強度も非常に強固である。
【0012】
また、この場合において、上記他側弾性部材保持部は、上記他側環状弾性部材を保持するための他側保持溝を有しており、上記他側保持溝は、切削加工によって形成されていることが好ましい。
これによれば、他側環状弾性部材を保持する他側保持溝が金属切削加工によって形成されるため、当該保持溝を極めて高精度に容易に形成することができる。
また、この場合、他側環状弾性部材の内周面も金属切削加工によって仕上げることができるため、所望のシール面を形成することができ、他側弾性部材保持部の内周面とシングルレバーカートリッジの外周面との間を水密にシールすることが容易である。
【0013】
更に、この場合において、上記他側弾性部材保持部の内周面は、円筒面状であり、上記本体部の内周面も、円筒面状であり、上記他側弾性部材保持部の内周面の内径は、上記本体部の内周面の内径よりも小さいことが好ましい。
これによれば、他側弾性部材保持部の内周面において所望のシール面等を形成することによって、本体部の内周面に関しては低い寸法精度を採用することができる。
【0014】
また、本体部と他側弾性部材保持部とを溶接する場合において、他側弾性部材保持部が、本体部側において、当該本体部の他端側の端面形状に対応する溶接用突出部を有していることが好ましい。
これによれば、周方向から容易に(斜め等にする必要無しで)溶接作業を実施することができて作業性が向上する他、溶接後の品質(寸法精度への熱による影響等)も安定する。
【0015】
あるいは、本発明において、好ましくは、上記ケーシング部材は、更に、上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で上記本体部の一端側に接続された一側弾性部材保持部を有しており、上記一側弾性部材保持部には、一側環状弾性部材が保持されており、上記一側環状弾性部材も、上記外殻部材の上記支柱部の内周面と上記ケーシング部材の外周面との間を水密にシールしている。
すなわち、一側弾性部材保持部が、金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成される本体部とは別領域に設けられている。これも、金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成される領域内に弾性部材保持部(環状部材を保持できる構成)を直接的に形成することが難しい、という本件発明者の知見に基づいている。
この特徴によれば、ケーシング部材の外周面の周囲において、上記流出穴と連通する流路を形成することが更に容易となる。
【0016】
この場合において、上記一側弾性部材保持部は、金属製であり、上記本体部と上記一側弾性部材保持部とは、溶接されていることが好ましい。
この場合、本体部と一側弾性部材保持部との接続を省スペースに実現することができ、両者の接続(接合)強度も非常に強固である。
【0017】
また、この場合において、上記一側弾性部材保持部は、上記一側環状弾性部材を保持するための一側保持溝を有しており、上記一側保持溝は、切削加工によって形成されていることが好ましい。
これによれば、一側環状弾性部材を保持する一側保持溝が金属切削加工によって形成されるため、当該保持溝を極めて高精度に容易に形成することができる。
また、この場合、一側環状弾性部材の内周面も金属切削加工によって仕上げることができるため、所望のシール面を形成することができ、一側弾性部材保持部の内周面と接続部材の外周面との間を水密にシールすることが容易である。
【0018】
更に、この場合において、上記一側弾性部材保持部の内周面は、円筒面状であり、上記本体部の内周面も、円筒面状であり、上記一側弾性部材保持部の内周面の内径は、上記本体部の内周面の内径よりも小さいことが好ましい。
これによれば、一側弾性部材保持部の内周面において所望のシール面等を形成することによって、本体部の内周面に関しては低い寸法精度を採用することができる。
【0019】
また、本体部と一側弾性部材保持部とを溶接する場合において、一側弾性部材保持部が、本体部側において、当該本体部の一端側の端面形状に対応する溶接用突出部を有していることが好ましい。
これによれば、周方向から容易に(斜め等にする必要無しで)溶接作業を実施することができて作業性が向上する他、溶接後の品質(寸法精度への熱による影響等)も安定する。
【0020】
また、本発明は、給湯源から供給される湯と給水源から供給される水とを混合した湯水を吐止水可能にする水栓装置の製造方法であって、上記水栓装置の設置面に固定される台座部材を準備する工程と、上記台座部材に取り付けられる概ね筒状の支柱部を備えた外殻部材を準備する工程と、上記外殻部材の支柱部内に挿入されるケーシング部材を準備する工程と、給湯源の湯を供給する湯供給流路及び給水源の水を供給する水供給流路をそれぞれ準備する工程と、上記湯供給流路及び上記水供給流路から供給される湯水の混合比と流路を調整する開閉弁と、この開閉弁の開閉操作を可能にする単一のレバーと、を備え、上記ケーシング部材の内部に設けられるシングルレバーカートリッジを準備する工程と、上記湯供給流路及び上記水供給流路のそれぞれの下流端と上記シングルレバーカートリッジとを上記ケーシング部材の内部で接続する接続部材を準備する工程と、上記シングルレバーカートリッジを上記接続部材に固定する固定部材を準備する工程と、を有し、上記ケーシング部材を準備する工程において、本体部が金属製の板材又は管材を用いて上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で概ね少なくとも半筒状に且つ側面に流出穴を有するように形成され、上記外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で上記本体部の一端側に弾性部材保持部が接続されて上記ケーシング部材が形成され、上記ケーシング部材を準備する工程の後に、上記弾性部材保持部に他側環状弾性部材が保持され、上記他側環状弾性部材が上記外殻部材の上記支柱部の内周面と上記ケーシング部材の外周面との間を水密にシールするように上記外殻部材と上記ケーシング部材とを組み付ける工程が実施されることを特徴とする水栓装置の製造方法である。
【0021】
このように構成された本発明においては、水栓装置を組み立てる際、水栓装置の種類に応じた形状に形成された外殻部材の概ね筒状の支柱部内に対して、概ね少なくとも半筒状のケーシング部材が挿入される。その際、予め、ケーシング部材により、水栓装置の種類に応じた形状の外殻部材に応じて、その支柱部内の軸方向のスペースや距離寸法を定めることができると共に、支持部内に挿入されている内部構造の強度を高めることができる。
さらに、ケーシング部材については、水栓装置の種類に応じた形状の外殻部材の支柱部内に挿入可能に金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成することができる。これにより、ケーシング部材が樹脂材料で射出成形された場合や金属材料で鋳造成形された場合に比べて、水栓装置の種類に応じた外殻部材の形状毎にケーシング部材の成形用の型を用意する必要がないため、比較的安価な加工方式でケーシング部材の寸法や形状を容易に調整することができる。
また、ケーシング部材が金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成されるため、ケーシング部材について、必要な強度を保ちながら、薄く形成することもできる。これにより、水栓装置の内部寸法を抑制することができる。
さらに、水栓装置の種類に応じた様々な形状の外殻部材に対しても、ある程度共通化させたケーシング部材を用意しておけば、このケーシング部材の一部に切断加工等を施すだけで、比較的安価な加工方式で所望の軸方向の寸法に調整することができる。これにより、例えば台座部材と接続部材との間のケーシング部材の軸方向の寸法距離についても、ケーシング部材の軸方向の寸法に応じて自由に設定することができる。また、軸方向の寸法を調整した状態のケーシング部材を外殻部材の支柱部内に挿入するだけで、簡単に組み付けることができる。
これらの結果、水栓装置の設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
【0022】
そして更に、本発明においては、ケーシング部材が、外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成されて側面に流出穴を有する本体部と、外殻部材の支柱部内に挿入可能な寸法で本体部の他端側に接続された他側弾性部材保持部と、を有している。すなわち、本発明においては、他側弾性部材保持部が、金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成される本体部とは別領域に設けられている。これは、金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成される領域内に弾性部材保持部(環状部材を保持できる構成)を直接的に形成することが難しい、という本件発明者の知見に基づいている。
本発明の他側弾性部材保持部には、他側環状弾性部材が保持されて、当該他側環状弾性部材は、外殻部材の支柱部の内周面とケーシング部材の外周面との間を水密にシールする。これにより、ケーシング部材の外周面の周囲に流路を形成することが容易となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の水栓装置及びその製造方法によれば、設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態による水栓装置を斜め前方から見た概略斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による水栓装置全体の分解斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態による水栓装置の中央側面断面図である。
図4】本発明の第1実施形態による水栓装置の水栓機能ユニットを分解した斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態による水栓装置の水栓機能ユニットの正面断面図であり、湯側及び水側のそれぞれの一次側流路の縦断面を示す。
図6図3に示す本発明の第1実施形態による水栓装置の中央側面断面図において、水栓機能ユニットの上方部分を拡大した部分拡大断面図である。
図7】本発明の第1実施形態による水栓装置のケーシング部材の分解斜視図である。
図8図8のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の第1実施形態による水栓装置について説明する。
まず、図1は、本発明の第1実施形態による水栓装置を斜め前方から見た概略斜視図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による水栓装置1は、給湯源(図示せず)から供給される湯と給水源(図示せず)から供給される水とを混合して吐止水する、いわゆる、「シングルレバー式」と呼ばれる水栓装置であり、台所のシンク又は洗面台のカウンター等の設置面F1上に設置されている。
すなわち、このシングルレバー式の水栓装置1においては、いわゆる、「シングルレバー」と呼ばれる単一の操作ハンドル2が手動で回動操作されることにより、流量と温度が調整された湯水がスパウト4の吐水口6から吐止水されるようになっている。
【0026】
例えば、図1に示すように、本実施形態の水栓装置1において、まず、操作ハンドル2が最下方の止水操作位置に設定されている場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水が止水されるようになっている。
また、図1に示すように、操作ハンドル2が止水操作位置から上方の操作位置に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水が吐水状態に設定されるようになっている。
すなわち、操作ハンドル2は、吐水状態において、より上方(図1に示す矢印「開」の方向)に回動操作される程、湯水の流量が大きく設定され、より下方(図1に示す矢印「閉」の方向)に回動操作される程、湯水の流量が小さく設定されるようになっている。
【0027】
さらに、図1に示すように、操作ハンドル2は、水栓装置1の鉛直方向に延びる中心軸線(回転中心軸線A1)を中心に水側(図1に示す矢印「C」側)に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水の温度が低温側に設定されるようになっている。
一方、図1に示すように、操作ハンドル2が回転中心軸線A1を中心に湯側(図1に示す矢印「H」側)に回動操作された場合には、スパウト4の吐水口6から吐出される湯水の温度が高温側に設定されるなっている。
【0028】
つぎに、図2図8により、本発明の第1実施形態による水栓装置の内部構造について具体的に説明する。
図2は、本発明の第1実施形態による水栓装置全体の分解斜視図である。また、図3は、本発明の第1実施形態による水栓装置の中央側面断面図である。
まず、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、その種類又は仕様に応じた形状に形成された中空の外殻部材8を備えている。この外殻部材8は、上下方向に概ね筒状に延びる支柱部8a、及び、この支柱部8aの側面から外側に延びるスパウト部8bをそれぞれ備えている。
なお、外殻部材8については、金属材料で形成されていてもよいし、樹脂材料で形成されていてもよい。
【0029】
つぎに、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8の下方側(上流側)において、湯供給管10、水供給管12、固定金具14(把持金具14a、締結金具14b)、及び、台座部材16をそれぞれ備えている。
図2及び図3に示すように、台座部材16は、水栓装置1の設置面F1に配置された状態で固定金具14の馬蹄形の把持金具14a及び締結金具14bにより固定されるようになっている。
また、図2に示すように、台座部材16には、縦方向に貫く通湯穴16a及び通水穴16bがそれぞれ形成されている。通湯穴16aには、給湯器等の給湯源(図示せず)から湯を供給する湯供給管10が下方から接続されている。同様に、通水穴16bには、水道等の給水源(図示せず)から水を供給する水供給管12が下方から接続されている。
さらに、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8の支柱部8aの内部において、詳細は後述する水栓機能ユニット18を備えている。
【0030】
つぎに、図4は、本発明の第1実施形態による水栓装置1の水栓機能ユニット18を分解した斜視図である。
図4に示すように、本実施形態の水栓装置1は、水栓機能ユニット18の外側において、下方から上方に向って、下方シール部材22(一側弾性部材)及び上方シール部材28(他側弾性部材)をそれぞれ備えている。下方シール部材22及び上方シール部材28のそれぞれは、水栓機能ユニット18の外側面と外殻部材8の支柱部8aの内側面との間を水密にシールするものである。
【0031】
さらに、図2及び図3に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8とその上方の操作ハンドル2との上下方向の間において、下方から上方に向って、Cリング32、シール部材34、固定部材36、及び、留め具38(ビス38a、キャップ38b)をそれぞれ備えている。
これらの部材32,34,36,38については、外殻部材8の支柱部8a内に挿入された水栓機能ユニット18について、上方から水密に保持するものである。
【0032】
つぎに、図5は、本発明の第1実施形態による水栓装置1の水栓機能ユニット18の正面断面図であり、湯側及び水側のそれぞれの一次側流路の縦断面を示す。また、図6は、図3に示す本発明の第1実施形態による水栓装置1の中央側面断面図において、水栓機能ユニット18の上方部分を拡大した部分拡大断面図である。
まず、図3図6に示すように、本実施形態の水栓装置1の水栓機能ユニット18は、ケーシング部材40を備えている。このケーシング部材40は、複数の要素部材72,24、25、26、76が溶接されて構成されており(詳細については後述する)、外殻部材8の支柱部8a内に挿入された状態で、その一端側(下端側)が台座部材16に対して固定されている。
【0033】
つぎに、図4及び図5に示すように、水栓機能ユニット18は、ケーシング部材40の内部において、下方から上方に且つ内側から外側に向って(或いは、上流側から下流側に向って)、軸シール部材42(湯側軸シール部材42a、水側軸シール部材42b)、湯供給管44、水供給管46、軸シール部材48(湯側軸シール部材48a、水側軸シール部材48b)、一次側アダプタ部材50、シングルレバーカートリッジ54(固定弁体54a、可動弁体54b、レバー操作部54c)、及び、カートリッジ押さえ部材56をそれぞれ備えている。
また、図4に示すように、水栓機能ユニット18は、ケーシング部材40の外側面において、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60をそれぞれ備えている。
【0034】
また、図4及び図5に示すように、湯供給管44及び水供給管46のそれぞれは、下方の台座部材16の通湯穴16a及び通水穴16bのそれぞれと、上方の一次側アダプタ部材50の通湯穴50a及び通水穴50bのそれぞれと、を互いに連通させる一次側通湯路及び一次側通水路を形成している。
また、図5に示すように、湯供給管44は、下側被接続部44a及び上側被接続部44bをそれぞれ備えている。湯供給管44の下側被接続部44aは、台座部材16の通湯穴16aの上端(下流端)の湯側接続受け部16c内に湯側軸シール部材42aを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。一方、湯供給管44の上側被接続部44bは、一次側アダプタ部材50の通湯穴50aの下端(上流端)の湯側接続受け部50c内に湯側軸シール部材48aを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。
同様に、図5に示すように、水供給管46は、下側被接続部46a及び上側被接続部46bをそれぞれ備えている。水供給管46の下側被接続部46aは、台座部材16の通水穴16bの上端(下流端)の水側接続受け部16d内に水側軸シール部材42bを介して差し込まれて水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。一方、水供給管46の上側被接続部46bは、一次側アダプタ部材50の通水穴50bの下端(上流端)の水側接続受け部50d内に水側軸シール部材48bを介して水密に接続され、いわゆる、軸シールされている。
【0035】
また、図5に示すように、台座部材16及び一次側アダプタ部材50の各接続受け部16c,16d,50c,50dにおいて、湯供給管44及び水供給管46の各被接続部44a,44b,46a,46bに対するクリアランスd1,d2,d3,d4がそれぞれ設けられている。
これらのクリアランスd1,d2,d3,d4により、湯供給管44の各被接続部44a,44b及び水供給管46の各被接続部46a,46bが、台座部材16の各接続受け部16c,16d及び一次側アダプタ部材50の各接続受け部50c,50dにおける各クリアランスd1~d4の範囲内で水密状態を保ちながら移動することができるようになっている。
【0036】
また、図4図6に示すように、一次側アダプタ部材50の上面には、シングルレバーカートリッジ54が水密に接続されている。一次側アダプタ部材50は、ポリプロピレン等の樹脂材料で概ね円柱状に形成されている。
また、一次側アダプタ部材50は、湯供給管44及び水供給管46のそれぞれの下流端とシングルレバーカートリッジ54とを互いに水密に接続する接続部材として機能するようになっている。
ここで、図4図6に示すように、シングルレバーカートリッジ54の構造については、周知のシングルレバーカートリッジの構造と同様であるため、詳細な説明は省略するが、代表的には、下方から上方に向って、固定弁体54a、可動弁体54b、及び、レバー操作部54cをそれぞれ備えている。
【0037】
図4図6に示すように、固定弁体54aは、シングルレバーカートリッジ54内の底部に固定されている。
つぎに、図5及び図6に示すように、可動弁体54bは、固定弁体54aの上面に対して並進及び回転する摺動が可能に配置されている。
さらに、図5及び図6に示すように、レバー操作部54cは、その下端が可動弁体54bに連結されており、上端が操作ハンドル2に連結されている単一の軸部材となっている。
なお、図5に示すように、固定弁体54a及び可動弁体54bのそれぞれには、一次側アダプタ部材50の通湯穴50a及び通水穴50bのそれぞれと連通する一次側流路である通湯路54d及び通水路54eがそれぞれ形成されている。
また、図6に示すように、固定弁体54a及び可動弁体54bのそれぞれには、通湯路54d及び通水路54eのそれぞれから供給された湯と水を混合する二次側流路である湯水混合路54fがそれぞれ形成されている。
また、図6に示すように、シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gが、詳細は後述するケーシング部材40の上側ケーシング部材74の側面の流出穴74fと連通している。
【0038】
つぎに、図3及び図6に示すように、本実施形態の水栓装置1は、シングルレバーカートリッジ54の側方のケーシング部材40の外側と外殻部材8の支柱部8aの内側との間において、二次側流路形成部材62、二次側アダプタ部材64、及び、スペーサ部材66をそれぞれ備えている。
また、図3及び図6に示すように、本実施形態の水栓装置1は、外殻部材8のスパウト部8b内において、スパウト流路68aを形成するスパウト側流路形成部材68と、吐水口6を形成する吐水口形成部材70と、をそれぞれ備えている。
【0039】
つぎに、図7及び図8を参照して、本実施形態による水栓装置1のケーシング部材40の詳細について、このケーシング部材40の加工方法と共に説明する。
図7は、本発明の第1実施形態による水栓装置1のケーシング部材40の分解斜視図である。また、図8は、図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図4図7及び図8に示すように、本実施形態による水栓装置1のケーシング部材40は、下方から上方に向って、下側ケーシング部材72、上側ケーシング部材74、及び、上部円環部材76をそれぞれ備えている。上側ケーシング部材74は、本体部25と、下側(一側)弾性部材保持部24と、上側(他側)弾性部材保持部26と、を有している。
また、これらの部材72,74(24,25,26),76の材料としては、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高いステンレス材料(例えば、SUS304等)等が用いられている。
しかしながら、本実施形態による水栓装置1のケーシング部材40に用いられる材料については、耐食性が比較的高く、耐久性や強度等も比較的高い材料であれば、ステンレス材料以外の他の金属等の材料であってもよい。
そして、図4図7及び図8に示すように、下側弾性部材保持部24と本体部25と上側弾性部材保持部26とは、溶接加工により順に一体的に接続されて上側ケーシング部材74を形成しており、下側ケーシング部材72の上端と上側ケーシング部材74の下端(後述する下側弾性部材保持部24の溶接用突出部24q)とは、溶接加工により互いに一体的に接続されていると共に、上側ケーシング部材74の上端と上部円環部材76の下端とは、溶接加工により互いに一体的に接続されている。もっとも、少なくとも本願出願の時点では、各溶接加工が他の接続態様に置換された態様の採用も排除されない。また、少なくとも本願出願の時点では、下側弾性部材保持部24及び上側弾性部材保持部26が金属製でない態様も排除されない。
【0040】
ここで、図7及び図8に示すように、上側ケーシング部材74と溶接される前の状態の下側ケーシング部材72おいては、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によってほぼ円筒状に形成されている。
例えば、ほぼ円筒状の金属製の下側ケーシング部材72を成形する際には、金属製の薄板材について、ロール成形等の曲げ加工を行うことにより湾曲状に成形し、最終的には、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法でほぼ円筒状に形成する。
或いは、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について、切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の下側ケーシング部材72を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に下側ケーシング部材72の成形用の型を用意する必要がない。
【0041】
つぎに、図4図7及び図8に示すように、下側ケーシング部材72の側面の下方において、穴開け加工等により、径方向に貫く下方ピン係合穴72aが周方向に間隔を置いて複数形成されている。
これにより、図3図4図7及び図8に示すように、台座部材保持用の機械的係合ピン58が、下方ピン係合穴72aに対して外側から挿入されるようになっている。そして、この機械的係合ピン58は、下方ピン係合穴72aに係合した後、その内側端部が台座部材16の側面の係合穴16eに係合するようになっている。
したがって、下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、台座部材16の係合穴16eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により台座部材16を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
同様に、図4図7及び図8に示すように、下側ケーシング部材72の側面の上方においても、穴開け加工等により、径方向に貫く上方ピン係合穴72bが周方向に複数形成されている。
これにより、図3図4図7及び図8に示すように、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60が、上方ピン係合穴72bに対して外側から挿入されるようになっている。そして、この機械的係合ピン60は、上方ピン係合穴72bに係合した後、その内側端部が一次側アダプタ部材50の側面の係合穴50eに係合するようになっている。
したがって、下側ケーシング部材72の上方ピン係合穴72b、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60、及び、一次側アダプタ部材50の係合穴50eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により一次側アダプタ部材50を保持可能にする機械的係合手段として機能するようになっている。
【0042】
なお、本実施形態の水栓装置1では、下側ケーシング部材72の側面について穴開け加工を行うことにより、下方ピン係合穴72aや上方ピン係合穴72bを下側ケーシング部材72の機械的係合部とするような形態を採用している。
しかしながら、下側ケーシング部材72の機械的係合部として、下方ピン係合穴72aや上方ピン係合穴72bを設けた形態を採用する代わりに、下側ケーシング部材72について曲げ加工等を行うことにより、下側ケーシング部材72の側面に機械的係合を可能にする係合面等を設けた形態を採用してもよい。
【0043】
図7及び図8に示すように、下側ケーシング部材72と溶接される前の状態の上側ケーシング部材74は、下側弾性部材保持部24と、本体部25と、上側弾性部材保持部26と、から構成されている。
例えば、ほぼ円筒状の本体部25を成形する際には、金属製の薄板材について、ロール成形等の曲げ加工を行うことにより湾曲状に成形し、最終的には、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法でほぼ円筒状に形成する。
或いは、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について、切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の本体部25を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に本体部25の成形用の型を用意する必要がない。
【0044】
上側(他側)弾性部材保持部26は、上側(他側)環状弾性部材である上方シール部材28を保持する部材であり、図7及び図8に示すように、本実施形態では外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法の金属製の環状部材である。
上側弾性部材保持部26の外周面には、上方シール部材28を保持するための上方(他側)保持溝26gが形成されている。
また、上側弾性部材保持部26の下面(本体部25側の面)には、本体部25の上端側の端面形状(ほぼ円形状)に対応する溶接用突出部26pが形成されている。
また、図3及び図6に示すように、上側弾性部材保持部26の内周面は、円筒面状であって、本体部25の内周面の内径よりも小径となっている。
【0045】
例えば、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材が用意され、この管材に対して切断加工又は切削加工が行われて軸方向の長さ寸法が調整され、その後に、上方(他側)保持溝26gが切削加工され、更に溶接用突出部26pが切削加工されることで、上側弾性部材保持部26が形成される。
【0046】
下側(一側)弾性部材保持部24は、下側(一側)環状弾性部材である下方シール部材22を保持する部材であり、図7及び図8に示すように、本実施形態では外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法の金属製の環状部材である。
下側弾性部材保持部24の外周面には、下方シール部材22を保持するための下方(一側)保持溝24gが形成されている。
また、下側弾性部材保持部24の上面(本体部25側の面)には、本体部25の下端側の端面形状(ほぼ円形状)に対応する溶接用突出部24pが形成されている。また、下側弾性部材保持部24の下面(下側ケーシング部材72側の面)には、下側ケーシング部材72の上端側の端面形状(ほぼ円形状)に対応する溶接用突出部24qが形成されている。
また、図3及び図6に示すように、下側弾性部材保持部24の内周面も、円筒面状であって、本体部25の内周面の内径よりも小径となっている。
【0047】
例えば、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材が用意され、この管材に対して切断加工又は切削加工が行われて軸方向の長さ寸法が調整され、その後に、下方(一側)保持溝24gが切削加工され、更に溶接用突出部24p,24qが切削加工されることで、下側弾性部材保持部24が形成される。
【0048】
そして、本体部25の上端側と上側弾性部材保持部26の溶接用突出部26pとが溶接される。この溶接作業は、周方向から容易に(斜め等にする必要無しで)実施することができて作業性が良い。また、溶接後の品質(寸法精度への熱による影響等)も安定的である。
同様に、本体部25の下端側と下側弾性部材保持部24の溶接用突出部24pとが溶接される。この溶接作業も、周方向から容易に(斜め等にする必要無しで)実施することができて作業性が良い。また、溶接後の品質(寸法精度への影響等)も安定的である。
その後、図7及び図8に示すように、本体部25の側面において穴開け加工等によって流出穴74fが形成される(もっとも、本体部25に溶接作業を実施する前に流出穴74fが形成されてもよい)。以上によって、上側ケーシング部材74が形成される。
【0049】
つぎに、図7及び図8に示すように、上側ケーシング部材74と溶接される前の状態の上部円環部材76は、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によってほぼ円環状に形成されている。
例えば、ほぼ円環状の金属製の上部円環部材76を成形する際には、予め外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法径の金属製の管材を用意し、この管材について切断加工又は切削加工を行うことにより、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な軸方向の長さ寸法に調整する。
すなわち、金属製の上部円環部材76を成形する際には、鋳型等を用いる鋳造加工は採用されていないため、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎に上部円環部材76の成形用の型を用意する必要がない。
【0050】
つぎに、図7及び図8に示すように、上部円環部材76の内周面において、雌ねじ加工により雌ねじ76aが形成されている。
また、図5に示すように、上部円環部材76の雌ねじ76aにより、カートリッジ押さえ部材56の外周面に形成された雄ねじ56aが螺合可能であり、カートリッジ押さえ部材56がケーシング部材40の上端部(上部円環部材76)に対して固定されるようになっている。
このような雌ねじ加工の後、図7及び図8に示すように、上部円環部材76の下縁部分と上側ケーシング部材74の下側弾性部材保持部24とが互いに溶接加工され、上側ケーシング部材74の上端と上部円環部材76の下端とが互いに一体的に接続されている。
なお、本実施形態の水栓装置1では、上部円環部材76の内周面に雌ねじ76aを形成して雌側部材とし、カートリッジ押さえ部材56の外周面に雄ねじ56aを形成して雄側部材として互いに螺合させる形態を採用している。しかしながら、このような形態に限られず、上部円環部材76の外周面に雄ねじを形成して雄側部材とし、カートリッジ押さえ部材56の内周面に雌ねじを形成して雌側部材として互いに螺合させる形態を採用してもよい。
【0051】
つぎに、図4及び図6に示すように、一次側アダプタ部材50は、機械的係合ピン60により下側ケーシング部材72内及び下側弾性部材保持部24内に保持されている。
本実施形態の一次側アダプタ部材50は、図4に示すように、ほぼ円筒状の本体部50mと、当該本体部の上方のほぼ円筒状の小径部50sと、を有している。本体部50mの外径は、下側ケーシング部材72の内径より僅かに小径となっており、小径部50sの外径は、下側弾性部材保持部24の内径より僅かに小径となっている。そして、小径部50sの外周面に保持溝50gが設けられていて、当該保持溝50gに保持された水密シール20によって、下側弾性部材保持部24の内周面と一次側アダプタ部材50の外周面との間が水密にシールされている。
【0052】
つぎに、図6に示すように、上側ケーシング部材74内の一次側アダプタ部材50の上方には、シングルレバーカートリッジ54が配置されている。
また、図6に示すように、シングルレバーカートリッジ54の上方において、カートリッジ押さえ部材56の雄ねじ56aが上部円環部材76の雌ねじ76aに螺合されることにより、シングルレバーカートリッジ54が上側ケーシング部材74内の一次側アダプタ部材50の上方において押圧された状態で保持されている。すなわち、カートリッジ押さえ部材56は、シングルレバーカートリッジ54を一次側アダプタ部材50に固定する固定部材となる。
シングルレバーカートリッジ54の上部の外周面には保持溝が設けられていて、当該保持溝に保持された水密シール30によって、上側弾性部材保持部26の内周面とシングルレバーカートリッジ54の外周面との間が水密にシールされている。
このとき、図6に示すように、シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gは、上側ケーシング部材74の流出穴74fと連通している。
また、図6に示すように、上側ケーシング部材74の外周面とその外側の二次側流路形成部材62の内周面との間には、二次側流路78が形成されている。シングルレバーカートリッジ54の湯水混合路54fの流出口54gから流出した湯水は、上側ケーシング部材74の流出穴74fを介して二次側流路78に流出するようになっている。
さらに、図6に示すように、二次側流路78内の湯水は、二次側流路形成部材62のスパウト側の側面に形成された流出穴62aから二次側アダプタ部材64内の流路64aに流出した後、スパウト側流路形成部材68内のスパウト流路68aに流出するようになっている。
【0053】
つぎに、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置1の作用について、水栓装置1の組立方法や加工方法を交えながら説明する。
まず、本実施形態による水栓装置1によれば、この水栓装置1を組み立てる際、水栓装置1の種類に応じた形状に形成された外殻部材8の概ね筒状の支柱部8a内に対して、概ね円筒状の水栓機能ユニット18が挿入される。
その際、予め、この水栓機能ユニット18のケーシング部材40において、台座部材保持用の機械的係合ピン58及び一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60のそれぞれを介して、台座部材16及び一次側アダプタ部材50のそれぞれを保持することができる。これにより、台座部材16と一次側アダプタ部材50とをケーシング部材40を介して軸方向に接続することができる。
また、金属製のケーシング部材40により、水栓装置1の種類に応じた形状の外殻部材8に応じて、その支柱部8a内の台座部材16と一次側アダプタ部材50との間の軸方向のスペースや距離寸法を定めることができると共に、外殻部材8の支柱部8a内に挿入されている水栓機能ユニット18等の内部構造の強度を高めることができる。
さらに、金属製のケーシング部材40については、水栓装置1の種類に応じた形状の外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能に金属製の板材又は管材によって概ね円筒状に形成することができる。
これにより、ケーシング部材40が樹脂材料で射出成形された場合や金属材料で鋳造成形された場合に比べて、水栓装置1の種類に応じた外殻部材8の形状毎にケーシング部材40の成形用の型を用意する必要がないため、比較的安価な加工方式でケーシング部材40の寸法や形状を容易に調整することができる。
また、ケーシング部材40が金属製の板材又は管材によって概ね円筒状に形成されるため、ケーシング部材40について、必要な強度を保ちながら、薄く形成することもできる。これにより、水栓装置1の内部寸法を抑制することができる。
さらに、水栓装置1の種類に応じた様々な形状の外殻部材8に対しても、ある程度共通化させたケーシング部材40を用意しておけば、このケーシング部材40の例えば下側ケーシング部材72に切断加工等を施すだけで比較的安価な加工方式で所望の軸方向の寸法に調整することができる。これにより、台座部材16と一次側アダプタ部材50との間のケーシング部材40の軸方向の寸法距離についても、ケーシング部材40の軸方向の寸法に応じて自由に設定することができる。また、軸方向の寸法を調整した状態のケーシング部材40を外殻部材8の支柱部8a内に挿入するだけで、簡単に組み付けることができる。
これらの結果、水栓装置1の設計の自由度を向上させることができると共に、製造コストを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態による水栓装置1によれば、下側ケーシング部材72の下方ピン係合穴72a、台座部材保持用の機械的係合ピン58、及び、台座部材16の係合穴16eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により台座部材16を保持可能にする機械的係合手段として機能する。
さらに、下側ケーシング部材72の上方ピン係合穴72b、一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン60、及び、一次側アダプタ部材50の係合穴50eは、下側ケーシング部材72が機械的係合により一次側アダプタ部材50を保持可能にする機械的係合手段として機能する。
これらにより、金属製の板材又は管材によって概ね円筒状に形成されているケーシング部材40であっても、このケーシング部材40が、台座部材16及び一次側アダプタ部材50を確実に保持することができる。
【0055】
さらに、本実施形態による水栓装置1によれば、図5に示すように、特に、湯供給管44内を流れる湯の熱量等により、湯供給管44やその周辺の水供給管46、或いは、湯供給管44の各被接続部44a,44b及び水供給管46の各被接続部46a,46bにおいて、熱膨張が生じることにより軸方向に移動することがある。
これに対し、本実施形態の水栓装置1では、図5に示すように、湯供給管44の各被接続部44a,44b及び水供給管46の各被接続部46a,46bが、台座部材16の各接続受け部16c,16d及び一次側アダプタ部材50の各接続受け部50c,50dにおける各クリアランスd1~d4の範囲内で水密状態を保ちながら移動することができる。これにより、熱膨張による湯供給管44の各被接続部44a,44b及び水供給管46の各被接続部46a,46bの移動を吸収することができる。
【0056】
また、本実施形態による水栓装置1によれば、接続部材である一次側アダプタ部材50が樹脂材料で形成されている。これにより、安価で且つ軽量な一次側アダプタ部材50を提供することができると共に、浸出性能についても確保することができる。
【0057】
そして更に、本実施形態の水栓装置1によれば、ケーシング部材40が、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成されて側面に流出穴74fを有する本体部25と、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で本体部25の他端側(上端側)に接続された上側弾性部材保持部26と、を有している。すなわち、本実施形態においては、上側弾性部材保持部26が、金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成される本体部25とは別領域に設けられている。これによって、金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成された領域内に弾性部材保持部(環状部材を保持できる構成)を直接的に形成する必要がない。
そして、本実施形態の上側弾性部材保持部26には、上方シール部材28が保持されていて、当該上方シール部材28は、外殻部材8の支柱部8aの内周面とケーシング部材40の外周面との間を水密にシールしていて、ケーシング部材40の外周面の周囲に流路が安定的に形成されている。
【0058】
また、本実施形態の水栓装置1は、流出穴74fに対して上方シール部材28とは反対側(すなわち下側)の領域において、外殻部材8の支柱部8aの内周面とケーシング部材40の外周面との間を水密にシールする下方シール部材22(一側環状弾性部材)を備えているため、ケーシング部材40の外周面の周囲において流出穴74fと連通する流路を形成することが更に容易となっている。
【0059】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、上側弾性部材保持部26が金属製であり、本体部25と上側弾性部材保持部26とが溶接によって接続されている。これにより、本体部25と上側弾性部材保持部26との接続が省スペースに実現されており、両者の接続(接合)強度も非常に強固である。
【0060】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、上側弾性部材保持部26が上方シール部材28を保持するための上方保持溝26gを有しており、当該上方保持溝26gが、切削加工によって形成されている。すなわち、上方シール部材28を保持する上方保持溝26gが金属切削加工によって形成されている。これにより、当該保持溝26gを極めて高精度に容易に形成することができる。
また、本実施形態の水栓装置1によれば、上側弾性部材保持部26の内周面も金属切削加工によって仕上げることができるため、所望のシール面を形成することができる。これにより、上側弾性部材保持部26の内周面とシングルレバーカートリッジ54の外周面との間を水密シール30を用いてシールすることが容易である。
【0061】
更に、本実施形態の水栓装置1によれば、上側弾性部材保持部26の内周面は円筒面状であり、上側弾性部材保持部26の内周面の内径は、本体部25の内周面の内径よりも小さい。これにより、上側弾性部材保持部26の内周面において所望のシール面等を形成することによって、本体部25の内周面に関しては低い寸法精度を採用することができる。
【0062】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、上側弾性部材保持部26が、本体部25側において、当該本体部25の他端側(上端側)の端面形状に対応する溶接用突出部26pを有している。これにより、上側弾性部材保持部26と本体部25とを溶接する際に、周方向から容易に(斜め等にする必要無しで)溶接作業を実施することができて作業性がよく、溶接後の品質(寸法精度への熱による影響等)も安定的である。
【0063】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、ケーシング部材40は、更に、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で本体部25の一端側(下端側)に接続された下側(一側)弾性部材保持部24を有している。すなわち、下側弾性部材保持部24が、金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成される本体部25とは別領域に設けられている。これも、金属製の板材又は管材によって概ね少なくとも半筒状に形成された領域内に弾性部材保持部(環状部材を保持できる構成)を直接的に形成することが難しい、という本件発明者の知見に基づいている。
この特徴によれば、ケーシング部材40の外周面の周囲において、流出穴74fと連通する流路を形成することが更に容易となる。
【0064】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、下側弾性部材保持部24が金属製であり、本体部25と下側弾性部材保持部24とが溶接によって接続されている。これにより、本体部25と下側弾性部材保持部24との接続が省スペースに実現されており、両者の接続(接合)強度も非常に強固である。
【0065】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、下側弾性部材保持部24が下方シール部材22を保持するための下方保持溝24gを有しており、当該下方保持溝24gが、切削加工によって形成されている。すなわち、下方シール部材22を保持する下方保持溝24gが金属切削加工によって形成されている。これにより、当該保持溝24gを極めて高精度に容易に形成することができる。
また、本実施形態の水栓装置1によれば、下側弾性部材保持部24の内周面も金属切削加工によって仕上げることができるため、所望のシール面を形成することができる。これにより、下側弾性部材保持部24の内周面と一次側アダプタ部材50の外周面との間を水密シール20を用いてシールすることが容易である。
【0066】
更に、本実施形態の水栓装置1によれば、下側弾性部材保持部24の内周面は円筒面状であり、下側弾性部材保持部24の内周面の内径は、本体部25の内周面の内径よりも小さい。これにより、下側弾性部材保持部24の内周面において所望のシール面等を形成することによって、本体部25の内周面に関しては低い寸法精度を採用することができる。
【0067】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、下側弾性部材保持部24が、本体部25側において、当該本体部25の一端側(下端側)の端面形状に対応する溶接用突出部24pを有している。これにより、下側弾性部材保持部24と本体部25とを溶接する際に、周方向から容易に(斜め等にする必要無しで)溶接作業を実施することができて作業性がよく、溶接後の品質(寸法精度への熱による影響等)も安定的である。
【0068】
なお、上述した本発明の第1実施形態において、上側ケーシング部材74の本体部25及び下側ケーシング部材72は、外殻部材8の支柱部8a内に挿入可能な寸法で金属製の板材又は管材によって概ね円筒形状に形成されている形態として説明されている。
しかしながら、これらの部材25、72は、必ずしも全周に亘って連続的に形成された完全な円筒形状に限られず、半円筒形状であってもよいし、この半円筒よりも周方向に延びて且つ完全な円筒未満の形状であってもよいし、要するに少なくとも半円筒形状に形成された形状であればよい。
【符号の説明】
【0069】
1 水栓装置
2 操作ハンドル
4 スパウト
6 吐水口
8 外殻部材
8a 支柱部
8b スパウト部
10 湯供給管(一次側流路)
12 水供給管(一次側流路)
14 固定金具
14a 把持金具
14b 締結金具
16 台座部材
16a 通湯穴
16b 通水穴
16c 湯側接続受け部
16d 水側接続受け部
16e 係合穴
18 水栓機能ユニット
20 水密シール
22 下方シール部材(環状弾性部材)
24 下側弾性部材保持部(上側ケーシング部材74の要素)
25 本体部(上側ケーシング部材74の要素)
26 上側弾性部材保持部(上側ケーシング部材74の要素)
28 上方シール部材(環状弾性部材)
30 水密シール
32 Cリング
34 シール部材
36 固定部材
38 留め具
38a ビス
38b キャップ
40 ケーシング部材
42 軸シール部材
42a 湯側軸シール部材
42b 水側軸シール部材
44 湯供給管(一次側流路)
44a 下側被接続部(被接続部)
44b 上側被接続部(被接続部)
46 水供給管(一次側流路)
46a 下側接続部
46b 上側接続部
48 軸シール部材
48a 湯側軸シール部材
48b 水側軸シール部材
50 一次側アダプタ部材(接続部材)
50a 通湯穴
50b 通水穴
50c 湯側接続部
50d 水側接続部
50e 係合穴
50f 取付穴
50g 保持溝
50m 本体部(相対的に大径)
50s 小径部(相対的に小径)
54 シングルレバーカートリッジ
54a シングルレバーカートリッジの固定弁体
54b シングルレバーカートリッジの可動弁体(開閉弁)
54c シングルレバーカートリッジのレバー操作部
54d シングルレバーカートリッジ内の通湯路(一次側流路)
54e シングルレバーカートリッジ内の通水路(一次側流路)
54f シングルレバーカートリッジ内の湯水混合路(二次側流路)
54g シングルレバーカートリッジの湯水混合路の流出口
56 カートリッジ押さえ部材(固定部材)
56a 雄ねじ
58 台座部材保持用の機械的係合ピン
60 一次側アダプタ部材保持用の機械的係合ピン
62 二次側流路形成部材
62a 流出穴
64 二次側アダプタ部材
64a 流路
66 スペーサ部材
68 スパウト側流路形成部材
68a スパウト流路
70 吐水口形成部材
72 下側ケーシング部材
72a 下方ピン係合穴
72b 上方ピン係合穴
72c 上方開口縁部
74 上側ケーシング部材
74f 上側ケーシング部材の側面の流出穴
76 上部円環部材
76a 雌ねじ
78 二次側流路
A1 回転中心軸線
d1 クリアランス
d2 クリアランス
d3 クリアランス
d4 クリアランス
F1 設置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8