(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】ガイド機構の製造方法、ガイド機構、および金銭収納装置
(51)【国際特許分類】
A47B 88/40 20170101AFI20220905BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20220905BHJP
A47B 88/497 20170101ALI20220905BHJP
A47B 88/919 20170101ALI20220905BHJP
【FI】
A47B88/40
G07G1/00 321Z
A47B88/497
A47B88/919
(21)【出願番号】P 2018176034
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】岩田 義彦
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-133555(JP,A)
【文献】実開昭57-057747(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102004037159(DE,A1)
【文献】米国特許第4095853(US,A)
【文献】西独国実用新案公開第8421692(DE,U)
【文献】特開平05-215461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
G07G 1/00
E05B 65/46
A47B 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出部をスライド可能に収納する筺体に、前記引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラユニットを、位置決めする第1の工程と、
前記引出部の上下方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラを前記筺体に位置決めして、回転軸を兼ねる固定部材によって前記ローラと前記ローラユニットとを前記筺体に取り付ける第2の工程と、
を備えていることを特徴とするガイド機構の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガイド機構の製造方法において、前記第1の工程では、前記ローラユニットが、前記引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドを回転しながらガイドする側面ローラと、前記側面ローラを回転可能に保持する保持部材と、前記保持部材に切起しによって形成された位置決め部と、を備え、前記位置決め部によって前記ローラユニットを前記筺体に位置決めすることを特徴とするガイド機構の製造方法。
【請求項3】
筐体内にスライド可能に収納される引出部に、前記引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラユニットを、位置決めする第1の工程と、
前記引出部の上下方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラを前記引出部に位置決めして、回転軸を兼ねる固定部材によって前記ローラと前記ローラユニットとを前記引出部に取り付ける第2の工程と、
を備えていることを特徴とするガイド機構の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のガイド機構の製造方法において、前記第1の工程では、前記ローラユニットが、前記引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドを回転しながらガイドする側面ローラと、前記側面ローラを回転可能に保持する保持部材と、前記保持部材に切起しによって形成された位置決め部と、を備え、前記位置決め部によって前記ローラユニットを前記引出部に位置決めすることを特徴とするガイド機構の製造方法。
【請求項5】
筐体内にスライド可能に収納される引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドを回転しながらガイドする側面ローラ、および前記側面ローラを回転可能に保持する保持部材を備えたローラユニットと、
前記引出部の上下方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラと、
前記ローラを前記筺体に位置決めして前記ローラと前記ローラユニットとを前記筺体に取り付ける前記ローラの回転軸を兼ねる固定部材と、
を備えていることを特徴とするガイド機構。
【請求項6】
筐体内にスライド可能に収納される引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドを回転しながらガイドする側面ローラ、および前記側面ローラを回転可能に保持する保持部材を備えたローラユニットと、
前記引出部の上下方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラと、
前記ローラを前記引出部に位置決めして前記ローラと前記ローラユニットとを前記引出部に取り付ける前記ローラの回転軸を兼ねる固定部材と、
を備えていることを特徴とするガイド機構。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のガイド機構において、前記ローラユニットは、前記筺体または前記引出部に対して位置決めする位置決め部を備えていることを特徴とするガイド機構。
【請求項8】
請求項7に記載のガイド機構において、前記位置決め部は、前記保持部材に切起しによって形成されることにより、前記保持部材に前記固定部材が挿入する挿入孔を形成したことを特徴とするガイド機構。
【請求項9】
請求項5~請求項8のいずれかに記載のガイド機構において、前記固定部材は、前記ローラが前記筺体または前記引出部に取り付けられた際に、前記ローラが前記保持部材に接触するのを防ぐための回転軸部である首下部を備えていることを特徴とするガイド機構。
【請求項10】
請求項5~請求項9のいずれかに記載のガイド機構において、前記ローラユニットおよび前記ローラは、前記筺体または前記引出部における前記引出部のスライド方向と直交する両側部にそれぞれ設けられていることを特徴とするガイド機構。
【請求項11】
請求項5~請求項10のいずれかに記載されたガイド機構を備えていることを特徴とする金銭収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子レジスタ、家具、キャビネットなどに用いられるガイド機構の製造方法、そのガイド機構、およびそれを備えた金銭収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、キャビネットにおいては、特許文献1に記載されているように、筺体内に収納された引出部をスライドさせて引き出す際に、ガイドローラによって引出部を支持してスライド方向にガイドすると共に、側面ローラによって引出部の側面をガイドして、引出部のスライド方向と直交する左右方向のガタつきを規制する構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなキャビネットでは、筺体内の側面にガイドローラと側面ローラとをそれぞれ個別に設けているため、組立作業が煩雑で、作業性が悪いばかりか、ガイドローラと側面ローラとを個別に設置するための広い設置スペースが必要となり、コンパクトに設置することができないという問題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、組立作業性が良く、コンパクトに設置できるガイド機構の製造方法、そのガイド機構、およびそれを備えた金銭収納装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、引出部をスライド可能に収納する筺体に、前記引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラユニットを、位置決めする第1の工程と、前記引出部の上下方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラを前記筺体に位置決めして、回転軸を兼ねる固定部材によって前記ローラと前記ローラユニットとを前記筺体に取り付ける第2の工程と、を備えていることを特徴とするガイド機構の製造方法である。
【0007】
また、この発明は、筐体内にスライド可能に収納される引出部に、前記引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラユニットを、位置決めする第1の工程と、前記引出部の上下方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラを前記引出部に位置決めして、回転軸を兼ねる固定部材によって前記ローラと前記ローラユニットとを前記引出部に取り付ける第2の工程と、を備えていることを特徴とするガイド機構の製造方法である。
【0008】
また、この発明は、筐体内にスライド可能に収納される引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドを回転しながらガイドする側面ローラ、および前記側面ローラを回転可能に保持する保持部材を備えたローラユニットと、前記引出部の上下方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラと、前記ローラを前記筺体に位置決めして前記ローラと前記ローラユニットとを前記筺体に取り付ける前記ローラの回転軸を兼ねる固定部材と、を備えていることを特徴とするガイド機構である。
【0009】
さらに、この発明は、筐体内にスライド可能に収納される引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドを回転しながらガイドする側面ローラ、および前記側面ローラを回転可能に保持する保持部材を備えたローラユニットと、前記引出部の上下方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラと、前記ローラを前記引出部に位置決めして前記ローラと前記ローラユニットとを前記引出部に取り付ける前記ローラの回転軸を兼ねる固定部材と、を備えていることを特徴とするガイド機構である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、組立作業性が良く、コンパクトに設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明を金銭収納装置に適用した一実施形態を示した分解斜視図である。
【
図2】
図1に示された金銭収納装置の筺体における底板部の第1ガイド機構を拡大して示した要部の分解斜視図である。
【
図3】
図2に示された第1ガイド機構が底板部の第1ガイドレール部に取り付けられた状態を示した要部の平面図である。
【
図4】
図3に示された第1ガイド機構の一部を破断して示した要部の拡大平面図である。
【
図5】
図4に示された第1ガイド機構を示した拡大斜視図である。
【
図6】
図5に示された第1ガイド機構の側面ローラユニットを示した拡大斜視図である。
【
図7】
図6に示された側面ローラユニットの一部を破断して示した拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1~
図7を参照して、この発明を金銭収納装置に適用した一実施形態について説明する。
この金銭収納装置は、
図1に示すように、筺体1と引出部2とガイド機構3とを備え、このガイド機構3によって引出部2をスライド可能にガイドして筺体1内に引出可能に収納する構造になっている。
【0013】
筺体1は、
図1に示すように、カバーケース4と底板部5とを備えている。カバーケース4は、下面が開放された厚みの薄い四角形の箱状に形成されている。このカバーケース4の手前側の前面(
図1では左下側面)には、引出部2がスライド可能に挿通する開口部4aが設けられている。底板部5は、カバーケース4の底部に取り付けられるものである。この底板部5の奥側部(
図1では右上側部)には、筺体1内に収納された引出部2をロックするための後述するロック装置6が設けられている。
【0014】
引出部2は、
図1に示すように、筺体1内にスライド可能に収納されるものであり、上面が開放されたほぼ箱状に形成されている。この引出部2は、前面部2aがカバーケース4の開口部4aとほぼ同じ大きさに形成され、筺体1内に収納された際に、前面部2aがカバーケース4の開口部4aを開閉可能に塞ぐ構造になっている。
【0015】
また、この引出部2は、
図1に示すように、そのスライド方向と直交する幅方向の両側に位置する各側壁部2bと、スライド方向における奥側に位置する後壁部2cと、がカバーケース4内の高さよりも低く形成されている。この場合、引出部2は、後壁部2cがロック装置6を避けるためにカバーケース4の背面部から離れた位置に設けられている。これにより、引出部2は、両側の各側壁部2bが後壁部2cよりも奥側に突出して設けられている。
【0016】
このため、底板部5の奥側部には、
図1に示すように、引出部2の両側の各側壁部2bが後壁部2cよりも奥側に突出していることにより、ロック装置6を設置する設置スペースが設けられている。このロック装置6は、筺体1内に収納された引出部2をロックするロック部7と、このロック部7による引出部2のロックを解除するロック解除部8と、を備えている。
【0017】
ロック部7は、
図1に示すように、引出部2の後壁部2cに設けられた係合ピン9を係脱可能に係止する回転係止部10を備えている。ロック解除部8は、回転係止部10を回転させて係合ピン9の係止を解除する電磁ソレノイド11と、ロック部7によるロックが解除された引出部2を筐体1の内部から外部に向けて押し出すコイルばね12と、を備えている。
【0018】
これにより、ロック装置6は、
図1に示すように、筐体1内に引出部2が収納された際に、引出部2の後壁部2cによってコイルばね12が圧縮され、この状態で引出部2の後壁部2cに設けられた係合ピン9をロック部7の回転係止部10が回転して係止することにより、引出部2を筺体1内にロックする構造になっている。
【0019】
また、このロック装置6は、
図1に示すように、引出部2が筺体1内にロックされた状態で、ロック解除部8の電磁ソレノイド11がロック部7の回転係止部10を回転させて、この回転係止部10による係合ピン9の係止を解除し、圧縮されたコイルばね12のばね力によって引出部2を筐体1内から押し出す構造になっている。
【0020】
ところで、ガイド機構3は、
図1に示すように、筺体1の底板部5における引出部2のスライド方向と直交する幅方向の両側部に設けられた一対の第1ガイドレール部13と、引出部2の両側の各側壁部2bに設けられた一対の第2ガイドレール部14と、筺体1の底板部5における一対の第1ガイドレール部13に設けられた一対の第1ガイド機構15と、引出部2の一対の第2ガイドレール部14に設けられた一対の第2ガイド機構16と、を備えている。
【0021】
一対の第1ガイドレール部13それぞれは、
図1に示すように、引出部2のスライド方向と直交する幅方向における底板部5の両側部に、底板部5の前部から奥部に亘って起立して設けられた支持レール13aと、この支持レール13aの上端部にカバーケース4の内部側に向けてほぼ水平に突出して設けられたガイドレール13bと、を備えている。一対の第2ガイドレール部14は、引出部2の両側の各側壁部2bにおける下部に、引出部2の前部から奥部に亘ってそれぞれ設けられている。
【0022】
一対の第2ガイド機構16は、
図1に示すように、引出部2の両側の各側壁部2bにおける各奥側部、つまり後壁部2cよりも奥側に突出した各第2ガイドレール部14の各下部にそれぞれ設けられている。この第2ガイド機構16は、第2ガイドレール部14の奥側下部に設けられたローラ取付部17と、このローラ取付部17に取り付けられて一対の第1ガイドレール部13の各ガイドレール13b上を回転しながら移動する転動ローラ18と、この転動ローラ18をローラ取付部17に回転可能に取り付ける取付部材19と、を備えている。
【0023】
この場合、取付部材19は、
図1に示すように、取付ねじ19aとワッシャ19bとを有している。この取付部材19は、取付ねじ19aを転動ローラ18の軸孔に挿入させ、この挿入された取付ねじ19aをワッシャ19bに挿入させた状態で、取付ねじ19aの先端をローラ取付部17の取付孔17aに螺入させて締め付けることにより、転動ローラ18をローラ取付部17に回転可能に取り付ける構造になっている。
【0024】
これにより、一対の第2ガイド機構16は、
図1に示すように、引出部2が筺体1内に挿入された際に、各転動ローラ18が筺体1内の一対の第1ガイドレール部13の各ガイドレール13b上に配置され、この状態で引出部2のスライドに伴って各転動ローラ18が各ガイドレール13b上を回転しながら滑らかに移動する構造になっている。
【0025】
一方、一対の第1ガイド機構15それぞれは、
図1~
図3に示すように、ガイドローラ20と側面ローラユニット21と回転軸を兼ねる固定部材22とを備えている。一対のガイドローラ20は、引出部2の上下方向の縦振れを規制して引出部2のスライドをガイドするものである。すなわち、一対のガイドローラ20は、引出部2の一対の第2ガイドレール部14を上下方向に支持して回転することにより、引出部2をそのスライド方向に沿ってガイドするものである。これら一対のガイドローラ20それぞれは、円板状に形成され、その中心に軸孔20aがそれぞれ設けられた構造になっている。
【0026】
一対の側面ローラユニット21それぞれは、
図2~
図7に示すように、引出部2の左右方向の横振れを規制して引出部2のスライドを回転しながらガイドする側面ローラ23と、この側面ローラ23を回転可能な状態で垂直方向つまり筺体1の厚み方向である上下方向に保持する保持部材24と、この保持部材24を筺体1の第1ガイドレール部13の支持レール13aにおける各内側面に位置決めする位置決め部25と、を備えている。
【0027】
側面ローラ23は、
図2~
図7に示すように、ほぼ円柱状に形成され、上下方向の中間部にその上下部よりも大径の接触ローラ部23aが設けられ、軸中心に支持軸26が挿入する軸孔20aが設けられた構造になっている。これにより、側面ローラ23は、支持軸26によって保持部材24に回転可能に取り付けられ、引出部2の両側の各側壁部2bにおける各外側面に接触して回転することにより、引出部2の左右方向の横振れを規制する構造になっている。
【0028】
保持部材24は、
図2~
図7に示すように、筺体1の第1ガイドレール部13における支持レール13aの前端部側に配置されて、側面ローラ23を回転可能に保持する構造になっている。すなわち、この保持部材24は、ステンレスなどの金属板からなる本体部27と、この本体部27の前端部における上下部に設けられた一対のローラ取付片28と、を備えている。本体部27は、引出部2のスライド方向である筺体1の前後方向に長い長方形の板状に形成され、上下辺に補強片27aがそれぞれ折り曲げられて設けている。
【0029】
上下一対のローラ取付片28は、
図2~
図7に示すように、筺体1の前面側に位置する本体部27の前部、つまり筺体1の前面側に位置する本体部27の前部における上下部に筐体1の内部側に向けて突出した状態で互いに対向して設けられている。これら一対のローラ取付片28における各先端部には、支持軸26の両端部が取り付けられる一対の軸取付孔28aが同一軸上に対応して設けられている。
【0030】
これにより、保持部材24は、
図5および
図6に示すように、上下一対のローラ取付片28間に側面ローラ23を垂直に配置させて、側面ローラ23の軸孔20aを一対のローラ取付片28の各軸取付孔28aに同一軸上に対応させ、この状態で上側の軸取付孔28aから側面ローラ23の軸孔20aに支持軸26が挿入され、この挿入された支持軸26の下端部が下側の軸取付孔28aに挿入されることにより、側面ローラ23が支持軸26によって一対のローラ取付片28間に回転可能に取り付けられる構造になっている。
【0031】
位置決め部25は、
図2~
図7に示すように、保持部材24の本体部27に切起しによって舌状に設けられている。すなわち、この位置決め部25は、本体部27の中間部に切起しによって一対のローラ取付片28と反対に向けて舌状に突出して設けられている。これにより、本体部27の中間部には、固定部材22の後述するねじ部22cが挿入する挿入孔30が引出部2のスライド方向に長い長孔状に形成されている。
【0032】
この位置決め部25は、
図2~
図4に示すように、本体部27が筺体1の底板部5の第1ガイドレール部13における支持レール13aの内側面に配置された際に、位置決め部25の一面が支持レール13aの前端部側に突出して設けられた折曲部13cの一面に、面接触によって当接する構造になっている。この場合、折曲部13cは、支持レール13aの前端部側に引出部2のスライド方向と直交する方向における筐体1の外部側に向けて突出して設けられている。
【0033】
これにより、位置決め部25は、
図2~
図4に示すように、引出部2のスライド方向である本体部27の前後方向の位置、および筺体の1の厚み方向である本体部27の上下方向への回転を規制して、本体部27の挿入孔30を第1ガイドレール部13の支持レール13aに設けられたねし取付孔13dに対応させて位置決めする構造になっている。
【0034】
一対の固定部材22それぞれは、
図2~
図7に示すように、ガイドローラ20の回転軸を兼ねるねじ部材であり、皿状の頭部22aと回転軸部である首下部22bとねじ部22cとを備えている。頭部22aは、外径がガイドローラ20の軸孔20aよりも大きく形成され、ガイドローラ20の軸孔20aの一端部に設けられた座ぐり部20bに食込んで配置されて、ガイドローラ20の一側面から突出しない構造になっている。
【0035】
首下部22bは、
図2および
図4に示すように、外径がガイドローラ20の軸孔20aの内径とほぼ同じ大きさで、軸方向の長さがガイドローラ20の軸孔20aにおける軸方向の長さとほぼ同じ長さで、回転軸部として形成されている。これにより、首下部22bは、ガイドローラ20の軸孔20aに挿入されて、頭部22aがガイドローラ20の軸孔20aの座ぐり部20bに食い込んで配置されだ際に、軸方向におけるガイドローラ20の位置を規制してガイドローラ20を回転可能に保持する構造になっている。
【0036】
また、この首下部22bは、
図2および
図4に示すように、ガイドローラ20の軸孔20aに挿入されて、頭部22aがガイドローラ20の軸孔20aの座ぐり部20bに食い込んで配置された際に、頭部22aと反対側の端部がガイドローラ20の軸孔20aの他端部から突出する構造になっている。この場合、首下部22bは、ガイドローラ20の軸孔20aの他端部から突出する突出長さが、保持部材24の本体部27の上下辺に折り曲げられた補強片27aの折曲長さよりも長く形成されている。
【0037】
これにより、首下部22bは、
図2および
図4に示すように、ガイドローラ20の軸孔20aに挿入されて、頭部22aと反対側の端部がガイドローラ20の軸孔20aの他端部から突出して本体部27の挿入孔30の縁部に当接した際に、ガイドローラ20を本体部の補強片27aに接触させない構造になっている。
【0038】
ねじ部22cは、
図2および
図4に示すように、外径が首下部22bの外径よりも少し小さく形成され、軸方向の長さが首下部22bの軸方向の長さと同じか、それよりも少し短く形成されている。このねじ部22cは、首下部22bがガイドローラ20の軸孔20aに挿入された際に、保持部材24の本体部27に設けられた挿入孔30を通して底板部5の第1ガイドレール部13における支持レール13aのねじ取付孔13dに螺入する構造になっている。
【0039】
これにより、固定部材22は、
図2~
図4に示すように、回転軸部である首下部22bがガイドローラ20の軸孔20aに挿入されて、ねじ部22cが保持部材24の本体部27に設けられた挿入孔30に挿入され、この挿入されたねじ部22cが底板部5の第1ガイドレール部13における支持レール13aのねじ取付孔13dに螺入し、この状態で頭部22aが締め付けられた際に、ガイドローラ20と側面ローラユニット21とを一度に第1ガイドレール部13の支持レール13aに取り付ける構造になっている。
【0040】
すなわち、この固定部材22は、
図2~
図4に示すように、ねじ部22cが第1ガイドレール部13の支持レール13aのねじ取付孔13dに螺入して締め付けられた際に、首下部22bが保持部材24の本体部27における挿入孔30の縁部に押し当てられて、保持部材24の本体部27を支持レール13aに押し付けることにより、ガイドローラ20と側面ローラユニット21とを一度に第1ガイドレール部13の支持レール13aに取り付ける構造になっている。
【0041】
この場合、側面ローラ23は、
図4に示すように、固定部材22の頭部22aがガイドローラ20の軸孔20aの座ぐり部20bに食い込んで、首下部22bが保持部材24の本体部27における挿入孔30の縁部に押し当てられた際に、接触ローラ部23aが頭部22a側のガイドローラ20の側面よりも引出部2の側壁部2bに向けて突出した状態で配置される構造になっている。
【0042】
これにより、一対の第1ガイド機構15は、
図1および
図2に示すように、引出部2が筺体1内に挿入された際に、一対のガイドローラ20が引出部2の一対の第2ガイドレール部14の下面に配置され、一対の側面ローラ23の各接触ローラ部23aが固定部材22の頭部22a側に位置する各ガイドローラ20の側面から突出した状態で引出部2の両側の各側壁部2bに接触する構造になっている。
【0043】
このため、一対の第1ガイド機構15は、
図1および
図2に示すように、引出部2を筺体1内でスライドさせると、引出部2のスライドに伴って各ガイドローラ20が各ガイドローラ20上で回転しながら一対の第2ガイドレール13bをガイドすることにより、上下方向の縦振れを規制して引出部2のスライドを滑らかにガイドする構造になっている。
【0044】
また、一対の第1ガイド機構15は、
図1および
図2に示すように、引出部2を筺体1内でスライドさせると、引出部2のスライドに伴って一対の側面ローラ23の各接触ローラ部23aが引出部2の両側の各側壁部2bに接触して回転しながら引出部2の両側の各側壁部2bを移動させることにより、一対の側面ローラ23によって引出部2の左右方向の横振れを規制して引出部2のスライドを円滑にガイドする構造になっている。
【0045】
次に、このような第1ガイド機構15の製造方法について説明する。
この第1ガイド機構15の製造方法は、筺体1の底板部5の第1ガイドレール部13に側面ローラユニット21を位置決めする第1の工程と、引出部2を支持してガイドするガイドローラ20を側面ローラユニット21と共に第1ガイドレール部13に取り付ける第2の工程と、を備えている。
【0046】
すなわち、第1の工程では、予め、側面ローラユニット21を組み立てる。この場合には、まず、保持部材24を製作する。すなわち、保持部材24の本体部27をプレス加工することにより、本体部27に上下一対のローラ取付片28と上下一対の補強片27aとを形成すると共に、本体部27の中間部にプレス加工による切起しによって位置決め部25を形成して挿入孔30を形成する。
【0047】
そして、この本体部27に側面ローラ23を取り付ける。このときには、上下一対のローラ取付片28間に側面ローラ23を配置させて、側面ローラ23の軸孔20aを一対のローラ取付片28の各軸取付孔28aに同一軸上に対応させる。この状態で、上側のローラ取付片28の軸取付孔28aから側面ローラ23の軸孔20aに支持軸26を挿入させ、この挿入した支持軸26の下端部を下側のローラ取付片28の軸取付孔28aに挿入させる。これにより、側面ローラ23が支持軸26によって一対のローラ取付片28間に回転可能に取り付けられ、側面ローラユニット21が組み立てられる。
【0048】
この側面ローラユニット21を第1ガイドレール部13に位置決めする際には、保持部材24の本体部27に設けられた挿入孔30を第1ガイドレール部13の支持レール13aの前端部側に設けられたねじ取付孔13dに対応させて、位置決め部25の一面を支持レール13aの前端部側に設けられた折曲部13cの一面に面接触により当接させる。これにより、保持部材24は、本体部27の前後方向の位置および本体部27の上下方向への回転が規制されて、側面ローラユニット21を第1ガイドレール部13の支持レール13aに位置決めする。
【0049】
第2の工程では、ガイドローラ20を側面ローラユニット21と共に第1ガイドレール部13の支持レール13aに取り付ける。このときには、まず、ガイドローラ20の軸孔20aに回転軸を兼ねる固定部材22の首下部22bを挿入させてねじ部22cを軸孔20aから突出させる。このとき、頭部22aがガイドローラ20の軸孔20aの座ぐり部20bに食い込んで配置されると、回転軸部である首下部22bによってガイドローラ20の軸方向の位置が規制された状態で、ガイドローラ20が首下部22bに回転可能に保持される。
【0050】
そして、突出したねじ部22cを保持部材24の本体部27に設けられた挿入孔30に挿入させ、この挿入されたねじ部22cを第1ガイドレール部13の支持レール13aに設けられたねじ取付孔13dに螺合させる。この状態で、固定部材22のねじ部22cをねじ取付孔13dに締め付けると、頭部22aがガイドローラ20の軸孔20aの座ぐり部20bに食い込んで配置されることにより、頭部22aがガイドローラ20の側面から突出することなく配置される。
【0051】
また、このときには、首下部22bがガイドローラ20の軸孔20aから突出して保持部材24の本体部27に設けられた挿入孔30の縁部に押し当てられる。このため、固定部材22の首下部22bによって保持部材24の本体部27が第1ガイドレール部13の支持レール13aに押し付けられる。これにより、ガイドローラ20と側面ローラユニット21とが固定部材22によって一度に第1ガイドレール部13の支持レール13aに取り付けられる。
【0052】
この状態では、回転軸部である首下部22bがガイドローラ20の軸孔20aから突出して保持部材24の本体部27に設けられた挿入孔30の縁部に押し当てられるので、ガイドローラ20の側面が保持部材24の本体部27の補強片27aに接触することがなく、ガイドローラ20が首下部22bに回転可能な状態で取り付けられる。また、この状態では、側面ローラ23の接触ローラ部23aが頭部22a側のガイドローラ20の側面よりも引出部2の側壁部2b側に向けて突出した状態で取り付けられる。
【0053】
一方、第2ガイド機構16を引出部2に取り付ける場合には、取付部材19の取付ねじ19aを転動ローラ18の軸孔に挿入させ、この挿入された取付ねじ19aをワッシャ19bに挿入させた状態で、取付ねじ19aの先端をローラ取付部17の取付孔17aに螺入させて締め付ける。これにより、転動ローラ18がワッシャ19bを介してローラ取付部17に回転可能な状態で取り付けられる。
【0054】
また、筺体1を組み立てる場合には、まず、引出部2の両側の各側壁部2bが後壁部2cよりも奥側に突出していることにより、筺体1の底板部5の奥側部に設けられた設置スペースにロック装置6を取り付ける。この状態で、底板部5をカバーケース4の底部に取り付ける。これにより、筺体1が組み立てられる。
【0055】
そして、筺体1内に引出部2を挿入する場合には、引出部2の奥側部をカバーケース4の前面に設けられた開口部4aから挿入させて、引出部2の奥部側に設けられた一対の第2ガイド機構16の各転動ローラ18を筺体1の底板部5に設けられた一対の第1ガイドレール部13の各ガイドレール13b上に配置させる。
【0056】
このときには、引出部2の一対の第2ガイドレール部14を底板部5の一対の第1ガイドレール部13の各支持レール13aに設けられた一対の第1ガイドレール機構15の各ガイドローラ20上に配置すると共に、一対の第1ガイドレール機構15の各側面ローラユニット21における各側面ローラ23の各接触ローラ部23aを引出部2の両側の各側壁部2bの各外側面に接触させる。
【0057】
この状態で、引出部2を筺体1内に挿入すると、引出部2のスライドに伴って、一対の第2ガイド機構16の各転動ローラ18が筺体1内の一対の第1ガイドレール部13の各ガイドレール13b上を回転しながら移動する。また、このときには、引出部2のスライドに伴って、一対の第2ガイドレール13bが第1ガイド機構15の各ガイドローラ20を回転させながら各ガイドローラ20上を移動すると共に、引出部2の両側の各側壁部2bが一対の側面ローラ23の各接触ローラ部23aを回転させながら移動する。
【0058】
これにより、一対の第1ガイドレール部13の各ガイドレール13b上を回転しながら移動する第2ガイド機構16の各転動ローラ18と、一対の第2ガイドレール13bを支持して回転しながら移動させる第1ガイド機構15の各ガイドローラ20とによって、引出部2の上下方向の縦振れを規制して引出部2を筺体1内で円滑にスライドさせる。また、このときには、引出部2の両側の各側壁部2bの各外側面に接触する一対の側面ローラ23によって、引出部2のスライド方向と直交する左右方向の横振れを規制する。
【0059】
そして、引出部2が筺体1内に収納された際には、引出部2の後壁部2cによってロック装置6のコイルばね12が圧縮され、この状態で引出部2の係合ピン9がロック部7の回転係止部10に係止される。これにより、引出部2が筺体1内にロックされる。また、筺体1内にロックされた引出部2を引き出す際には、ロック装置6による引出部2のロックを解除する。
【0060】
このときには、ロック装置6のロック解除部8の電磁ソレノイド11を動作させ、この電磁ソレノイド11によってロック部7の回転係止部10を回転させて、回転係止部10による係合ピン9の係止を解除する。すると、圧縮されたコイルばね12が、そのばね力によって引出部2を筐体1内から押し出す。
【0061】
このように、この金銭収納装置における第1ガイド機構15の製造方法によれば、引出部2をスライド可能に収納する筺体1に、引出部2の左右方向の横振れを規制して引出部2のスライドをガイドする側面ローラユニット21を位置決めする第1の工程と、引出部2の上下方向の縦振れを規制して引出部2のスライドをガイドするガイドローラ20を筺体1に位置決めして、回転軸を兼ねる固定部材22によってガイドローラ20と側面ローラユニット21とを筺体1に取り付ける第2の工程と、を備えていることにより、組立作業性が良く、コンパクトに設置することができる。
【0062】
すなわち、この第1ガイド機構15の製造方法では、第1の工程で側面ローラユニット21を筺体1に位置決めし、第2の工程で側面ローラユニット21とガイドローラ20とを回転軸を兼ねる固定部材22によって筺体1に一度に取り付けることができるので、組立作業の簡素化を図り、組立作業性を向上させることができると共に、側面ローラユニット21とガイドローラ20とを筺体1に個別に設置する必要がないので、側面ローラユニット21とガイドローラ20とをコンパクトに設置することができる。
【0063】
この場合、第1の工程では、側面ローラユニット21が、引出部2の左右方向の横振れを規制して引出部2のスライドを回転しながらガイドする側面ローラ23と、この側面ローラ23を回転可能に保持する保持部材24と、この保持部材24に切起しによって形成された位置決め部25と、を備え、この位置決め部25によって側面ローラユニット21を筺体1に位置決めすることにより、引出部2のスライド方向である側面ローラユニット21の前後方向の位置と、筺体1の厚み方向である側面ローラユニット21の上下方向への回転と、を規制することができ、これにより側面ローラユニット21を筺体1に正確にかつ良好に位置決めすることができる。
【0064】
すなわち、この第1ガイド機構15の製造方法では、保持部材24の本体部27を切起しによって位置決め部25を舌状に形成することにより、本体部27に固定部材22が挿入する挿入孔30を同時に形成することができるので、加工性および生産性が良い。また、舌状の位置決め部25の一面を、筺体1の第1ガイドレール部13の支持レール13aに引出部2のスライド方向と直交する方向に向けて設けられた折曲部13cの一面に、当接させることにより、側面ローラユニット21の前後方向の位置と、側面ローラユニット21の上下方向への回転と、を確実に規制することができ、これにより側面ローラユニット21を筺体1に正確に位置決めすることができる。
【0065】
また、この第1ガイド機構15によれば、筐体1内にスライド可能に収納される引出部2の左右方向の横振れを規制して引出部2のスライドを回転しながらガイドする側面ローラ23、およびこの側面ローラ23を回転可能に保持する保持部材24を備えた側面ローラユニット21と、引出部2の上下方向の縦振れを規制して引出部2のスライドをガイドするガイドローラ20と、このガイドローラ20を筺体1に位置決めしてガイドローラ20と側面ローラユニット21とを筐体1に取り付けるガイドローラ20の回転軸を兼ねる固定部材22と、を備えていることにより、組立作業性が良く、コンパクトに設置することができる。
【0066】
すなわち、この第1ガイド機構15では、側面ローラ23を保持部材24で回転可能に保持した側面ローラユニット21を筺体1に位置決めし、この状態で側面ローラユニット21とガイドローラ20とをガイドローラ20の回転軸を兼ねる固定部材22によって筺体1に一度に取り付けることができるので、組立作業の簡素化を図り、組立作業性を向上させることができると共に、側面ローラユニット21とガイドローラ20とを筺体1に個別に設置する必要がないので、側面ローラユニット21とガイドローラ20とをコンパクトに設置することができる。
【0067】
この場合、この第1ガイド機構15では、側面ローラユニット21を筺体1に対して位置決めするための位置決め部25を備えていることにより、側面ローラ23を保持部材24で回転可能に保持した側面ローラユニット21を、位置決め部25によって筺体1に確実にかつ良好に位置決めすることができる。
【0068】
すなわち、この位置決め部25は、保持部材24の本体部27に切起しによって舌状に形成されることにより、保持部材24の本体部27にガイドローラ20の回転軸を兼ねる固定部材22が挿入する挿入孔30を引出部2のスライド方向に長い長孔状に形成することができるので、位置決め部25によって側面ローラユニット21を筺体1に対して位置決めする際に、本体部27の挿入孔30を筺体1の第1ガイドレール部13の支持レールに設けられたねじ取付孔13dに簡単にかつ容易に対応させることができ、これによっても組立作業性を向上させることができる。
【0069】
また、この位置決め部25は、舌状の一面を、筺体1の第1ガイドレール部13の支持レール13aに引出部2のスライド方向と直交する方向に向けて設けられた折曲部13cの一面に、面接触によって当接させることにより、側面ローラユニット21の前後方向の位置と、側面ローラユニット21の上下方向への回転と、を確実に規制することができ、これにより側面ローラユニット21を筺体1に正確にかつ確実に位置決めすることができる。
【0070】
また、この第1ガイド機構15では、ガイドローラ20の回転軸を兼ねる固定部材22が、頭部22a、回転軸部である首下部22b、およびねじ部22cを備えたねじ部材であり、このねじ部材である固定部材22によってガイドローラ20が筺体1に取り付けられた際に、固定部材22の首下部22bによってガイドローラ20の保持部材24への接触を防ぐことにより、ガイドローラ20を回転可能な状態で筐体1に確実にかつ良好に取り付けることができる。
【0071】
すなわち、この固定部材22の回転軸部である首下部22bは、ガイドローラ20の軸孔20aから突出して保持部材24の本体部27に設けられた挿入孔30の縁部に押し当てられるので、保持部材24の本体部27の上下辺に補強片27aがそれぞれ設けられていても、この補強片27aにガイドローラ20の側面を接触させないようにすることができ、これによりガイドローラ20を回転軸部である首下部22bによって円滑にかつ良好に回転可能な状態で取り付けることができる。
【0072】
また、この固定部材22の頭部22aは、その外径がガイドローラ20の軸孔20aの内径よりも大きく形成されていても、ガイドローラ20の軸孔20aの端部に座ぐり部20bが設けられているので、この座ぐり部20bに頭部22aを食い込ませて配置させることができるので、頭部22aをガイドローラ20の側面から突出させることなく配置させることができ、これにより引出部2を筺体1内でスライドさせる際に、頭部22aが引出部2の側壁部2bに接触することなく、ガイドローラ20を円滑にかつ良好に回転させることができる。
【0073】
さらに、この第1ガイド機構15では、側面ローラユニット21およびガイドローラ20が、筺体1における引出部2のスライド方向と直交する両側部に設けられた一対の第1ガイドレール部13にそれぞれ設けられていることにより、両側のガイドローラ20によって引出部2の両側下部を確実にかつ良好に支持して引出部2のスライド方向にガイドすることができ、また両側の側面ローラユニット21によって引出部2の両側の側壁部2bを確実にかつ良好にガイドすることができるので、引出部2の縦振れおよび横振れを確実にかつ良好に抑えることができる。
【0074】
なお、上述した実施形態では、第1ガイド機構15を筐体1側に設けた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、第1ガイド機構15を引出部2側に設けても良い。すなわち、この第1ガイド機構は、筐体1内にスライド可能に収納される引出部2の左右方向の横振れを規制して引出部2のスライドを回転しながらガイドする側面ローラ23、およびこの側面ローラ23を回転可能に保持する保持部材24を備えた側面ローラユニット21と、引出部2の上下方向の縦振れを規制して引出部2のスライドをガイドするガイドローラ20と、このガイドローラ20を側面ローラユニット21と共に引出部2に位置決めして取り付けるガイドローラ20の回転軸を兼ねる固定部材22と、を備えた構造であっても良い。
【0075】
このような第1ガイド機構の製造方法は、筐体1内にスライド可能に収納される引出部2に、この引出部2の左右方向の横振れを規制して引出部2のスライドをガイドする側面ローラユニット21を、位置決めする第1の工程と、引出部2の上下方向の縦振れを規制して引出部2のスライドをガイドするガイドローラ20を引出部2に位置決めして、回転軸を兼ねる固定部材22によってガイドローラ20と側面ローラユニット21とを引出部2に取り付ける第2の工程と、を備えていれば良い。
【0076】
この場合、第1の工程では、側面ローラユニット21が、引出部2の左右方向の横振れを規制して引出部2のスライドを回転しながらガイドする側面ローラ23と、この側面ローラ23を回転可能に保持する保持部材24と、この保持部材24に切起しによって形成された位置決め部25と、を備え、この位置決め部25によって側面ローラユニット21を引出部2に位置決めするようにすれば良い。このような第1ガイド機構の製造方法およびその第1ガイド機構においても、上述した実施形態と同様の作用項がある。
【0077】
また、上述した実施形態およびその変形例では、筺体1と引出部2との一方に第1ガイド機構15を設けた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、第1ガイド機構15を筐体1と引出部2との両方に設けても良い。
【0078】
また、この発明は、これに限らず、筺体1と引出部2との一方に第1ガイド機構15を設ける際に、その一方の両側に第1ガイド機構15をそれぞれ設ける必要はなく、片側にガイドローラ20と側面ローラユニット21とを備えた第1ガイド機構15を設け、他の片側にガイドローラ20のみを設けた構造であっても良い。
【0079】
さらに、上述した実施形態では、金銭収納装置に適用した場合について述べたが、この発明は、必ずしも金銭収納装置である必要はなく、例えばキャビネットや机などの事務用品、あるいは箪笥などの家具にも適用することができる。
【0080】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0081】
(付記)
請求項1に記載の発明は、引出部をスライド可能に収納する筺体に、前記引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラユニットを、位置決めする第1の工程と、前記引出部の上下方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラを前記筺体に位置決めして、回転軸を兼ねる固定部材によって前記ローラと前記ローラユニットとを前記筺体に取り付ける第2の工程と、を備えていることを特徴とするガイド機構の製造方法である。
【0082】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガイド機構の製造方法において、前記第1の工程では、前記ローラユニットが、前記引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドを回転しながらガイドする側面ローラと、前記側面ローラを回転可能に保持する保持部材と、前記保持部材に切起しによって形成された位置決め部と、を備え、前記位置決め部によって前記ローラユニットを前記筺体に位置決めすることを特徴とするガイド機構の製造方法である。
【0083】
請求項3に記載の発明は、筐体内にスライド可能に収納される引出部に、前記引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラユニットを、位置決めする第1の工程と、前記引出部の上下方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラを前記引出部に位置決めして、回転軸を兼ねる固定部材によって前記ローラと前記ローラユニットとを前記引出部に取り付ける第2の工程と、を備えていることを特徴とするガイド機構の製造方法である。
【0084】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のガイド機構の製造方法において、前記第1の工程では、前記ローラユニットが、前記引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドを回転しながらガイドする側面ローラと、前記側面ローラを回転可能に保持する保持部材と、前記保持部材に切起しによって形成された位置決め部と、を備え、前記位置決め部によって前記ローラユニットを前記引出部に位置決めすることを特徴とするガイド機構の製造方法である。
【0085】
請求項5に記載の発明は、筐体内にスライド可能に収納される引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドを回転しながらガイドする側面ローラ、および前記側面ローラを回転可能に保持する保持部材を備えたローラユニットと、前記引出部の上下方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラと、前記ローラを前記筺体に位置決めして前記ローラと前記ローラユニットとを前記筺体に取り付ける前記ローラの回転軸を兼ねる固定部材と、を備えていることを特徴とするガイド機構である。
【0086】
請求項6に記載の発明は、筐体内にスライド可能に収納される引出部の左右方向の振れを規制して前記引出部のスライドを回転しながらガイドする側面ローラ、および前記側面ローラを回転可能に保持する保持部材を備えたローラユニットと、前記引出部の上下方向の振れを規制して前記引出部のスライドをガイドするローラと、前記ローラを前記引出部に位置決めして前記ローラと前記ローラユニットとを前記引出部に取り付ける前記ローラの回転軸を兼ねる固定部材と、を備えていることを特徴とするガイド機構である。
【0087】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載のガイド機構において、前記ローラユニットは、前記筺体または前記引出部に対して位置決めする位置決め部を備えていることを特徴とするガイド機構である。
【0088】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のガイド機構において、前記位置決め部は、前記保持部材に切起しによって形成されることにより、前記保持部材に前記固定部材が挿入する挿入孔を形成したことを特徴とするガイド機構である。
【0089】
請求項9に記載の発明は、請求項5~請求項8のいずれかに記載のガイド機構において、前記固定部材は、前記ローラが前記筺体または前記引出部に取り付けられた際に、前記ローラが前記保持部材に接触するのを防ぐための回転軸部である首下部を備えていることを特徴とするガイド機構である。
【0090】
請求項10に記載の発明は、請求項5~請求項9のいずれかに記載のガイド機構において、前記ローラユニットおよび前記ローラは、前記筺体または前記引出部における前記引出部のスライド方向と直交する両側部にそれぞれ設けられていることを特徴とするガイド機構である。
【0091】
請求項11に記載の発明は、請求項5~請求項10のいずれかに記載されたガイド機構を備えていることを特徴とする金銭収納装置である。
【符号の説明】
【0092】
1 筐体
2 引出部
2a 前面部
2b 側壁部
2c 後壁部
3 ガイド機構
4 カバーケース
4a 開口部
5 底板部
6 ロック装置
13 第1ガイドレール部
13a 支持レール
13b ガイドレール
13c 折曲部
13d ねじ取付孔
14 第2ガイドレール部
15 第1ガイド機構
16 第2ガイド機構
20 ガイドローラ
20a 軸孔
21 側面ローラユニット
22 固定部材
22a 頭部
22b 首下部
22c ねじ部
23 側面ローラ
23a 接触ローラ部
23b 軸孔
24 保持部材
25 位置決め部
26 支持軸
27 本体部
28 ローラ取付片
30 挿入孔