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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20220905BHJP
   E03C 1/10 20060101ALI20220905BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20220905BHJP
   F16L 55/24 20060101ALI20220905BHJP
   C02F 1/00 20060101ALI20220905BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20220905BHJP
   F16K 11/072 20060101ALI20220905BHJP
   B05B 1/16 20060101ALI20220905BHJP
   B05B 1/18 20060101ALN20220905BHJP
【FI】
E03C1/042 B
E03C1/10
F16L55/00 M
F16L55/24 A
C02F1/00 B
C02F1/28 G
F16K11/072 Z
B05B1/16
B05B1/18 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018180257
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020051088
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】諸井 徹二
(72)【発明者】
【氏名】中尾 政也
【審査官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-044216(JP,A)
【文献】特開2004-250893(JP,A)
【文献】特開2018-044425(JP,A)
【文献】特開2003-159588(JP,A)
【文献】実開昭55-113866(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/042
E03C 1/10
F16L 55/00
F16L 55/24
C02F 1/00
C02F 1/28
F16K 11/072
B05B 1/16
B05B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方側に突出する先端部と、当該先端部よりも後方側に位置する吐水部と、を有するスパウトと、
前記先端部に設けられた回転操作部と、
を備え、
前記スパウトは、原水供給路と、浄水供給路と、前記吐水部に連通する吐水用流路と、を更に有しており、
前記原水供給路と前記吐水用流路とは、原水供給用開口によって連通されており、
前記原水供給用開口は、原水開閉弁が進退動作することによって開閉されるようになっており、
前記浄水供給路と前記吐水用流路とは、浄水供給用開口によって連通されており、
前記浄水供給用開口は、浄水開閉弁が進退動作することによって開閉されるようになっており、
前記回転操作部を回転操作することによって、前記原水開閉弁及び前記浄水開閉弁が進退動作するようになっている
ことを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
前記スパウトは、前記浄水供給路の上流側において、原水を浄化して浄水とする浄化フィルタを有している
ことを特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記回転操作部を回転操作することによって、
(1)前記原水供給用開口が開放され、前記浄水供給用開口が閉鎖された状態と、
(2)前記原水供給用開口が閉鎖され、前記浄水供給用開口が開放された状態と、
を切り替える途中において、
(3)前記原水供給用開口と前記浄水供給用開口との両方が開放された状態を経由する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記回転操作部を回転操作することによって、カム部材が回転するようになっており、
前記原水開閉弁は、前記カム部材に当接する原水弁当接部を有しており、
前記浄水開閉弁は、前記カム部材に当接する浄水弁当接部を有しており、
前記カム部材は、回転方向に変化する厚みを有していて、当該カム部材の回転によって前記原水弁当接部及び前記浄水弁当接部が変位することによって前記原水開閉弁及び前記浄水開閉弁が進退動作するようになっている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項5】
前記回転操作部と前記カム部材とは、スピンドルによって接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の吐水装置。
【請求項6】
前記カム部材は、前記スピンドルの軸方向には固定されており、
前記原水開閉弁は、前記スピンドルの軸方向に延びており、
前記原水開閉弁の軸方向の先端が、前記原水弁当接部として前記カム部材に当接しており、
前記原水供給用開口は、前記スピンドルの軸方向に略垂直な壁部内に設けられており、
前記浄水開閉弁は、前記スピンドルの軸方向に延びており、
前記浄水開閉弁の軸方向の先端が、前記浄水弁当接部として前記カム部材に当接しており、
前記浄水供給用開口は、前記スピンドルの軸方向に略垂直な壁部内に設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水装置に関し、特には、原水と浄水との切り替え機能を有する吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、原水と浄水との切り替え機能を有する吐水装置が知られている。特許文献1に記載された吐水装置では、シャワー吐出口を形成した頭部の周面に設けた操作部を回動することによって、原水と浄水とが切り替えられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-149251
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、スパウトの周囲に操作用のレバーを設ける必要があり、また、バルブを納めるために頭部を大きく設計する必要があり、デザイン性が低下してしまう(選択できるデザインが限られてしまう)という問題があった。また、操作用レバーを吐水部の右側に設けた場合、左利きの使用者にとっては使い勝手が悪くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような背景の下で創案されたものである。本発明の目的は、スパウトのデザイン性を保ちながら使い勝手よく原水と浄水とを切り替えることができる吐水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前方側に突出する先端部と、当該先端部よりも後方側に位置する吐水部と、を有するスパウトと、前記先端部に設けられた回転操作部と、を備え、前記スパウトは、原水供給路と、浄水供給路と、前記吐水部に連通する吐水用流路と、を更に有しており、前記原水供給路と前記吐水用流路とは、原水供給用開口によって連通されており、前記原水供給用開口は、原水開閉弁が進退動作することによって開閉されるようになっており、前記浄水供給路と前記吐水用流路とは、浄水供給用開口によって連通されており、前記浄水供給用開口は、浄水開閉弁が進退動作することによって開閉されるようになっており、前記回転操作部を回転操作することによって、前記原水開閉弁及び前記浄水開閉弁が進退動作するようになっていることを特徴とする吐水装置である。
【0007】
本発明によれば、スパウトの先端部に設けられた回転操作部を用いて原水開閉弁及び浄水開閉弁を進退動作させることで原水供給用開口及び浄水供給用開口が開閉されて原水と浄水とが切り替えられるため、デザイン性の低下が抑制される。
【0008】
吐水装置をコンパクトに設計するためには、原水を浄化して浄水とする浄化フィルタをスパウト内の浄水供給路の上流側の領域に設置することが好ましい。
【0009】
これによれば、浄化フィルタの交換を行う際に、スパウト部分を取り外すだけで作業が行える為、メンテナンス作業を効率的に行うことが出来るようになる。
【0010】
また、回転操作部を回転操作することによって、
(1)前記原水供給用開口が開放され、前記浄水供給用開口が閉鎖された状態と、
(2)前記原水供給用開口が閉鎖され、前記浄水供給用開口が開放された状態と、
を切り替える途中において、
(3)前記原水供給用開口と前記浄水供給用開口との両方が開放された状態を経由する
ようになっていることが好ましい。
【0011】
これによれば、原水供給用開口と浄水供給用開口との両方が閉鎖された状態で原水供給路と浄水供給路との両方における水圧が高くなることによって、回転操作部の回転操作が行い難くなる(円滑さを失う)、という不都合を防止できる。
【0012】
回転操作部の回転動作は、例えばカム部材を介して、原水開閉弁及び浄水開閉弁の進退動作に変換される。例えば、回転操作部を回転操作することによってカム部材が回転するようになっており、原水開閉弁はカム部材に当接する原水弁当接部を有しており、浄水開閉弁はカム部材に当接する浄水弁当接部を有しており、カム部材は回転方向に変化する厚みを有していて、当該カム部材の回転によって原水弁当接部及び浄水弁当接部が変位することによって原水開閉弁及び浄水開閉弁が進退動作するようになっている。
【0013】
このような形態によれば、スパウトの内部領域を有効活用したレイアウトの採用が可能である。
【0014】
更に、回転操作部とカム部材とは、スピンドルによって接続されていることが好ましい。
【0015】
これによれば、コンパクトな構成で、回転操作部の回転動作をカム部材に伝達することが可能である。
【0016】
また、この場合、更に、カム部材はスピンドルの軸方向には固定されていて、原水開閉弁はスピンドルの軸方向に延びており、原水開閉弁の軸方向の先端が原水弁当接部としてカム部材に当接しており、原水供給用開口はスピンドルの軸方向に略垂直な壁部内に設けられており、浄水開閉弁はスピンドルの軸方向に延びており、浄水開閉弁の軸方向の先端が浄水弁当接部としてカム部材に当接しており、浄水供給用開口はスピンドルの軸方向に略垂直な壁部内に設けられていることが好ましい。
【0017】
これによれば、コンパクトな構成で、回転操作部の回転動作を原水開閉弁及び浄水開閉弁の進退動作に変換することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スパウトの先端部に設けられた回転操作部を用いて原水開閉弁及び浄水開閉弁を進退動作させることで原水供給用開口及び浄水供給用開口が開閉されて原水と浄水とが切り替えられるため、デザイン性の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態による吐水装置の概略斜視図である。
図2】本実施形態の吐水装置の上方から見た分解斜視図である。
図3】本実施形態の吐水装置の原水/浄水切替ユニットの前方から見た分解斜視図である。
図4図3の原水/浄水切替ユニットの後方から見た分解斜視図である。
図5】本実施形態の吐水装置の原水整流吐水時の正面図である。
図6】本実施形態の吐水装置の原水整流吐水時の縦断面図(図5のVI-VI線断面図)である。
図7】本実施形態の吐水装置のチャック部材の内部の断面図である。
図8】本実施形態の吐水装置の浄水整流吐水時の正面図である。
図9】本実施形態の吐水装置の浄水整流吐水時の縦断面図(図8のIX-IX線断面図)である。
図10】本実施形態の吐水装置の原水整流吐水と浄水整流吐水との間の切替途中の正面図である。
図11】本実施形態の吐水装置の原水整流吐水と浄水整流吐水との間の切替途中の縦断面図(図10のXI-XI線断面図)である。
図12】本実施形態の吐水装置の原水シャワー吐水時の正面図である。
図13】本実施形態の吐水装置の原水シャワー吐水時の縦断面図(図12のXIII-XIII線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による吐水装置について説明する。本実施形態の吐水装置1は、原水と浄水とを切り替えることができる吐水装置である。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による吐水装置1の概略斜視図である。図1に示すように、本実施形態の吐水装置1は、支柱部2と、スパウト3と、シングルレバー4と、を備えており、シングルレバー4の操作によって、吐水量(止水状態を含む)と吐水温度とを選択調整できるようになっている。
【0022】
スパウト3は、前方側(図1では左側)に突出する先端部3aと、先端部3aよりも後方側(図1では右側)に位置する吐水部3bと、を有している。先端部3aには、回転操作部10が設けられている。
【0023】
図2は、本実施形態の吐水装置1の上方から見た分解斜視図であり、図3は、本実施形態の吐水装置の原水/浄水切替ユニット60の前方から見た分解斜視図であり、図4は、図3の原水/浄水切替ユニット60の後方から見た分解斜視図であり、図5は、本実施形態の吐水装置1の原水整流吐水時の正面図であり、図6は、本実施形態の吐水装置1の原水整流吐水時の縦断面図(図5のVI-VI線断面図)である。
【0024】
図2及び図6に示すように、スパウト3の先端部3aには、チャック部材33が設けられている。チャック部材33は、スパウト3の外殻部材31内に、Oリング32と二重のスリーブ部材38、39とを介して固定されている。図2に示すように、チャック部材33は、2つの鏡像の略半円形状部分33a、33bからなっている。
【0025】
回転操作部10は、スパウト3の先端部3aのチャック部材33に対して回転可能に支持されて当該回転操作部10の回転操作によって回転する樹脂部材11を有している。より詳細には、樹脂部材11の後方側のフランジ部11f(図6参照)が、チャック部材33の前方側の縮径部33fと互いに摺動可能に係合することによって、互いに回転可能に接続されている。樹脂部材11は、例えばポリアセタール樹脂(POM)から製造されている。
【0026】
樹脂部材11には、当該樹脂部材11と共に回転するように、筒状部12が接続されている。より詳細には、樹脂部材11の爪部(不図示)と筒状部12の爪受容部12a(図2参照)とが、回転方向に接続されている。筒状部12も、例えばポリアセタール樹脂(POM)から製造されている。
【0027】
筒状部12の外周面は、略円筒状であり、チャック部材33によって摺動可能に包囲されている。また、筒状部12の内周面には、スパウト3に固定された板バネ35と順次に係合可能な3箇所の係合凹部12r(図2参照)が設けられている。
【0028】
図7は、チャック部材33の内部の断面図である。図7に示すように、板バネ35は、スパウト3の通水本体34の前方端面上に設けられた2つの回転摺動ガイド突起34gのうちの一方と3つの板バネ保持突起34pとによって保持されている。2つの回転摺動ガイド突起34gは、樹脂部材11の後方面内の回転摺動ガイド溝(不図示)内を摺動するようになっている。回転摺動ガイド突起34g及び板バネ保持突起34pを含む通水本体34も、例えばポリアセタール樹脂(POM)から製造されている。
【0029】
一方、図2図5及び図6に示すように、樹脂部材11には、回転操作部10の外殻部材13が固定されている。当該外殻部材13には、美観向上のため、例えば金属メッキ等が施され得る。
【0030】
また、樹脂部材11には、当該樹脂部材11と共に回転するように、スピンドル14が固定されている。スピンドル14の後方のフランジ部14fが、スパウト3の通水本体34によって回転可能に支持され、また、スピンドル14の中間位置付近の縮径部14aが、水密摺動用のOリング15を介して、やはりスパウト3の通水本体34によって回転可能に支持されている。そして、スピンドル14の外周面に、所定のカム凹部14rが形成されている。
【0031】
スピンドル14のフランジ部14fとOリング15(縮径部14a)との間の領域は、一次側流路である吐水用流路22となっている。また、フランジ部14fに設けられた切欠14cが、通水本体34の後方側の流路21と吐水用流路22とを連通させている。そして、吐水用流路22内において、昇降可能な切替弁40が設けられている。
【0032】
切替弁40には、スピンドル14が貫通する貫通孔41が設けられていて、当該貫通孔41の一部にカム凹部14rと当接する当接部41cが設けられている。これにより、回転操作部10の回転動作に伴って、カム凹部14rが当接部41cを昇降移動させるようになっている(後述する図13参照)。
【0033】
また、スピンドル14のカム凹部14rの下方側においては、略二重筒状のシャワー流路形成部材51が通水本体34に固定されている。シャワー流路形成部材51の内側筒部51a(後述する図9参照)が、切替弁40の下方側の筒部42の鉛直移動を案内するようになっており、内側筒部51aと外側筒部51b(後述する図9参照)との間にコイルバネ47が収容されている。コイルバネ47の上方端は、切替弁40の筒部20と当接部41cとの間に設けられたフランジ部43を上向きに付勢しており、これによって、当接部41cがカム凹部14rと常に当接する(当接部41cがカム凹部14rによって規定される位置に直ちに移動する)ようになっている。
【0034】
また、シャワー流路形成部材51の外側筒部51bには、欠損部51cが設けられていて、当該欠損部51cが外側筒部51bの内方空間(吐水用流路22)と下方空間とを連通するシャワー流路を形成している。当該欠損部51cを介しての通水量は、切替弁40の昇降移動に伴うフランジ部43の昇降移動によって変化するようになっている。なお、本実施形態の外側筒部51bの上端面は、内側に凹んだ切頭円錐面状となっている。
【0035】
また、シャワー流路形成部材51には、屈曲筒部55と整流筒部57とを介して、筒状のシャワーヘッド部52が接続されている。シャワーヘッド部52は、内部に散水用流路52aが形成されている。本実施形態の散水用流路52aは、散水板の形態で提供されている。また、整流筒部57の外周面上には、整流作用を有する整流通路57b(図2参照)が形成されており、シャワーヘッド部52の外周面上にも、整流作用を有する整流通路52bが形成されている。
【0036】
切替弁40の弁体45は、貫通孔41の上方に設けられており、水密用のOリング45aを有している。通水本体34には、当該弁体45によって開閉される開口34aが設けれており、当該開口34aの内側が前述した吐水用流路22となっており、当該開口34aの外側が二次側流路23となっている。二次側流路23の上方側は、カバー部材36及びOリング37によって水密に覆われている。二次側流路23は、吐水用流路22の側方を通って、整流筒部57の外周面上の整流通路57bに至っている。
【0037】
筒状のシャワーヘッド部52の更に外側に、筒状の水流案内部53が設けられている。筒状の水流案内部53は、屈曲筒部56を介して通水本体34に固定されている。水流案内部53は、整流通路52bからの水流をシャワーヘッド部52の吐水面上の領域24に向けて案内するようになっており、整流通路52bの下方側に環状路53aを規定している。当該環状路53aは、シャワーヘッド部52の吐水面上の領域24の外周側に隣接している。
【0038】
以上の構成により、図6に示す原水整流吐水時においては、シャワーヘッド部52から当該シャワーヘッド部52の吐水面上の領域24への吐水と、当該シャワーヘッド部の吐水面上の領域24の外周側に隣接して設けられた環状路53aから当該領域24への内方向きの吐水と、が合流されて、吐水部3bから吐水されるようになっている。
【0039】
筒状の水流案内部53の更に外側には、筒状の外殻部材54が固定されている。当該外殻部材54には、美観向上のため、例えば金属メッキ等が施され得る。
【0040】
スパウト3の外殻部材31も、美観向上のため、例えば金属メッキ等が施され得る。ここで、図6に示すように、スリーブ部材38の一部が、回転操作部10の外殻部材13とスパウト3の外殻部材31との間に介在している。これにより、外殻部材13、31同士が擦れ合って、メッキ剥がれ等が生じることが防止されている。
【0041】
また、本実施形態による吐水装置1は、スパウト3の通水本体34内の吐水用流路22の上流側に、原水/浄水切替ユニット60が挿入されている。
【0042】
図2乃至図6に示すように、原水/浄水切替ユニット60は、前方壁69eを有する中空筒部69の外周面と通水本体34の内周面との間の隙間(中空筒部69の外周面上の突起部69pによって規制されている)を介して中空筒部69の前方壁69eの前方領域に連通して切替弁保持筒71の第1突出筒71c内に至る原水供給路81と、中空筒部69の内部の中空領域から前方壁69eの前方に突出する円筒状突出部69cの内部を経て切替弁保持筒71の第2突出筒71d内に至る浄水供給路82と、を規定している。
【0043】
円筒状突出部6cと第2突出筒71dとは、Oリング76を介して水密に接続されている。これにより、原水供給路81と浄水供給路82とが互いに遮断されている。
【0044】
切替弁保持筒71は、第1突出筒71cの内部(原水供給路81の一部)において、スピンドル14の軸方向に略垂直な壁部を有しており、当該壁部内に原水供給用開口71aが設けられている。
【0045】
原水供給用開口71aは、原水開閉弁62がスピンドル14の軸方向に進退動作することによって開閉されるようになっている。具体的には、原水開閉弁62はスピンドル14の軸方向に延びていて、Oリング保持部62a及びOリング64が弁体となって、原水供給用開口71aを開閉するようになっている。原水開閉弁62の進退動作は、後述するカム部材61に当接する原水開閉弁62の先端62bが、カム部材61の回転に伴って変位することで生じるようになっている。
【0046】
切替弁保持筒71の原水供給用開口71aの更に前方側には、原水開閉弁62の進退動作を案内するべく、原水開閉弁62の摺動部62cを円滑に摺動させる案内筒部71gが設けられている。
【0047】
また、原水開閉弁62のOリング保持部62aの後方側には、フランジ部62fが形成されている。そして、当該フランジ部62fと中空筒部69の前方壁69e上に設けられたコイルバネ固定突部69aとの間に、コイルバネ66が嵌合されている。これにより、原水開閉弁62は、原水供給用開口71aを閉塞する方向に(図6の左側方向に)常に付勢されている。
【0048】
略同様に、切替弁保持筒71は、第2突出筒71dの内部(浄水供給路82の一部)においても、スピンドル14の軸方向に略垂直な壁部を有しており、当該壁部内に浄水供給用開口71bが設けられている(後述する図10参照)。
【0049】
浄水供給用開口71bは、浄水開閉弁63がスピンドル14の軸方向に進退動作することによって開閉されるようになっている。具体的には、浄水開閉弁63はスピンドル14の軸方向に延びていて、Oリング保持部63a及びOリング65が弁体となって、浄水供給用開口71bを開閉するようになっている。浄水開閉弁63の進退動作は、後述するカム部材61に当接する浄水開閉弁63の先端63bが、カム部材61の回転に伴って変位することで生じるようになっている。
【0050】
切替弁保持筒71の浄水供給用開口71bの更に前方側には、浄水開閉弁63の進退動作を案内するべく、浄水開閉弁63の摺動部63cを円滑に摺動させる案内筒部71gが設けられている。
【0051】
また、浄水開閉弁63のOリング保持部63aの後方側には、フランジ部63fが形成されている。そして、当該フランジ部63fと中空筒部69の前方壁69e上に設けられたコイルバネ固定突部69b(円筒状突出部69cの内部に浄水供給路82を塞がないように設けられている(図6参照))との間に、コイルバネ66が嵌合されている。これにより、浄水開閉弁63は、浄水供給用開口71bを閉塞する方向に(図6の左側方向に)常に付勢されている。
【0052】
さて、カム部材61は、前方側の接続筒部61eがスピンドル14の後方端と嵌合することによって、スピンドル14と一体的に回転するようになっている。軸方向には、後方側においては、切替弁保持筒71の前方側に設けられた中央支持突部71tによって当接支持され、前方側においては、金属製の止め板72を介して通水本体34の壁部によって支持されている。
【0053】
カム部材61の回転時には、カム部材61の後方面の中央部61fが中央支持突部71tに対して互いに摺動し、カム部材61の前方側の環状突部61pが止め板72に対して互いに摺動するようになっている。
【0054】
そして、カム部材61は、回転方向に変化する厚みを有している。本実施形態では、図4に示すように、約120°の回転範囲において一定の厚みを有する弁押込部61bと、その両側それぞれ約30°の回転範囲において厚みゼロから弁押込部61bの厚みまで滑らかに厚みが変化する弁押込推移部61a、61cと、を有している。本実施形態では、残りの約120°の回転範囲において厚みゼロである(欠損部となっている)ため、接続筒部61eを除いたカム部材61の形状はディスクの一部が欠けた形状となっているが、当該角度範囲を弁押込部61bの厚みよりも薄い厚みとした形態も採用可能である。
【0055】
その他、本実施形態では、切替弁保持筒71は、2つのOリング73、74を介して通水本体34内に保持されている。また、中空筒部69(の内部の中空領域)には、原水を浄化して浄水とする浄化フィルタ90が接続されている。
【0056】
次に、本実施形態による吐水装置1の作用について説明する。
【0057】
原水整流吐水時において、回転操作部10は、図5及び図6に示された回転位置にあり、カム部材61の弁押込部61bが、コイルバネ66による付勢力に対抗して、原水開閉弁62の先端62bを後方側(図6の右側)に変位させている。これにより、原水供給用開口71aが開放されている。
【0058】
このため、原水は、中空筒部69の外周面と通水本体34の内周面との間の隙間から中空筒部69の前方壁69eの前方領域及び切替弁保持筒71の第1突出筒71c内を通り(原水供給路81を通り)、開放された原水供給用開口71aを通って、供給側流路21に至る。供給側流路21に供給された原水は、カム部材61の接続筒部61eと止め板72及び通水本体34との間の隙間(不図示)を介して、スピンドル14の切欠14cを経て、吐水用流路22に至る。
【0059】
一方、カム部材61の厚みゼロの部分が、カム部材61と浄水開閉弁63の先端63bとの当接を解除している。これにより、コイルバネ67による付勢力を受ける浄水開閉弁63が浄水供給用開口71bを閉塞している。
【0060】
このため、浄水は、中空筒部69の内部の中空領域から前方壁69eの前方に突出する円筒状突出部69cの内部を経て切替弁保持筒71の第2突出筒71d内に至る(浄水供給路82を通る)が、浄水供給用開口71bが閉塞されているため、供給側流路21にまでは至らない。
【0061】
原水整流吐水形態から浄水整流吐水状態への切り替えは、回転操作部10を回転操作することによってなされる。この時、互いに摺動する樹脂部材11及びチャック部材33、並びに、樹脂部材11及び回転摺動ガイド突起34gは、いずれも樹脂製(ポリアセタール樹脂(POM)製)であるため、回転操作が滑らかである。
【0062】
また、図6に示すように、スリーブ部材38の一部が回転操作部10の外殻部材13とスパウト3の外殻部材31との間に介在しているため、外殻部材13、31同士が擦れ合って、メッキ剥がれ等が生じることが防止されている。
【0063】
図8は、本実施形態の吐水装置1の浄水整流吐水時の正面図であり、図9は、本実施形態の吐水装置1の浄水整流吐水時の縦断面図(図8のIX-IX線断面図)である。
【0064】
浄水整流吐水時において、回転操作部10は、図8及び図9に示された回転位置にあり、カム部材61の弁押込部61bが、コイルバネ67による付勢力に対抗して、浄水開閉弁63の先端63bを後方側(図9の右側)に変位させている。これにより、浄水供給用開口71bが開放されている。
【0065】
このため、浄水は、中空筒部69の内部の中空領域から前方壁69eの前方に突出する円筒状突出部69cの内部を経て切替弁保持筒71の第2突出筒71d内を通り(浄水供給路82を通り)、開放された浄水供給用開口71bを通って、供給側流路21に至る。供給側流路21に供給された浄水は、カム部材61の接続筒部61eと止め板72及び通水本体34との間の隙間(不図示)を介して、スピンドル14の切欠14cを経て、吐水用流路22に至る。
【0066】
一方、カム部材61の厚みゼロの部分が、カム部材61と原水開閉弁62の先端62bとの当接を解除している。これにより、コイルバネ66による付勢力を受ける原水開閉弁62が原水供給用開口71aを閉塞している。
【0067】
このため、原水は、中空筒部69の外周面と通水本体34の内周面との間の隙間から中空筒部69の前方壁69eの前方領域及び切替弁保持筒71の第1突出筒71c内に至る(原水供給路81を通る)が、原水供給用開口71aが閉塞されているため、供給側流路21にまでは至らない。
【0068】
ここで、図10は、本実施形態の吐水装置1の原水整流吐水と浄水整流吐水との間の切替途中の正面図であり、図11は、本実施形態の吐水装置1の原水整流吐水と浄水整流吐水との間の切替途中の縦断面図(図10のXI-XI線断面図)である。
【0069】
図10及び図11に示すように、本実施形態の吐水装置1は、原水整流吐水と浄水整流吐水との間の切替途中において、原水供給用開口71aと浄水供給用開口71bとの両方が開放された状態を経由するようになっている。
【0070】
具体的には、回転操作部10が図10及び図11に示された回転位置にある時、カム部材61の弁押込推移部61cが、コイルバネ66による付勢力に対抗して、原水開閉弁62の先端62bを後方側(図11の右側)に変位させている。これにより、原水供給用開口71aが開放されている。
【0071】
このため、原水は、中空筒部69の外周面と通水本体34の内周面との間の隙間から中空筒部69の前方壁69eの前方領域及び切替弁保持筒71の第1突出筒71c内を通り(原水供給路81を通り)、開放された原水供給用開口71aを通って、供給側流路21に至る。供給側流路21に供給された原水は、カム部材61の接続筒部61eと止め板72及び通水本体34との間の隙間(不図示)を介して、スピンドル14の切欠14cを経て、吐水用流路22に至る。
【0072】
一方で、カム部材61の弁押込推移部61aも、コイルバネ67による付勢力に対抗して、浄水開閉弁63の先端63bを後方側(図11の右側)に変位させている。これにより、浄水供給用開口71bが開放されている。
【0073】
このため、浄水も、中空筒部69の内部の中空領域から前方壁69eの前方に突出する円筒状突出部69cの内部を経て切替弁保持筒71の第2突出筒71d内を通り(浄水供給路82を通り)、開放された浄水供給用開口71bを通って、供給側流路21に至る。供給側流路21に供給された浄水も、カム部材61の接続筒部61eと止め板72及び通水本体34との間の隙間(不図示)を介して、スピンドル14の切欠14cを経て、吐水用流路22に至る。
【0074】
このような状態を経由することによって、原水供給用開口71aと浄水供給用開口71bとの両方が閉鎖された状態で原水供給路81と浄水供給路82との両方における水圧が高くなることによって、カム部材61が各開閉弁62、63の先端62b、63bを変位させるために必要な力が大きくなって回転操作部10の回転操作が行い難くなる(円滑さを失う)、という不都合を防止できる。
【0075】
なお、本実施形態の吐水装置1は、原水のシャワー吐水を行うことも可能である。
【0076】
まず、図5図6図8及び図9に示すように、原水整流吐水時においても、浄水整流吐水時においても、スピンドル14のカム凹部14rは側方側に位置しており、すなわち、スピンドル14のカム凹部14rは、切替弁40の貫通孔41の当接部41cとは当接していない。そして、コイルバネ47による切替弁40のフランジ部43を上向きに付勢する力に対抗するように、スピンドル14の周面(カム凹部14rが形成されていない面)が切替弁40の貫通孔41の当接部41cを下降させている。これにより、弁体45は開口34aを開放している。
【0077】
シングルレバー4の操作によって吐水が開始されると、温調された水(または湯)がスパウト3内に供給され、前述した原水/浄水切替ユニット60の作用により、原水または浄水が吐水用流路22に供給される。整流吐水(棒状吐水形態)においては、前述のように、開口34aが開放されているため、当該水は、吐水用流路22から二次側流路23にも供給される。
【0078】
吐水用流路22に供給された水は、スピンドル14の下方において、切替弁40のフランジ部43とシャワー流路形成部材51との間の隙間を介して、シャワー流路形成部材51の外側筒部51bの内方空間(コイルバネ47が収容されている)に至る。そして更に、当該水は、欠損部51cを介して、シャワー流路形成部材51の下方空間へと流出し、シャワーヘッド部52の散水用流路52aを介して、シャワー状に吐水される(但し、フランジ部43とシャワー流路形成部材51との間の隙間は、後述するシャワー吐水形態の時よりも相対的に小さいため、シャワー状の吐水量はシャワー吐水形態の時よりも少ない)。
【0079】
二次側流路23に供給された水は、吐水用流路22の側方を通って、整流筒部57の外周面上の整流通路57bに至る。そして、当該整流通路57b及びシャワーヘッド部52の外周面上の整流通路52bを通過する際に整流されながら、環状路53aを介して、シャワーヘッド部52の吐水面上の領域24へと内向きに吐水される。
【0080】
シャワーヘッド部52の散水用流路52aからシャワー状に吐水される水流と、整流通路52bにより整流されて環状路53aを介してシャワーヘッド部52の吐水面上の領域24へ内向きに吐水される水流とが合流されて、吐水部3bからの吐水は整流された棒状となる。
【0081】
次に、図12は、本実施形態の吐水装置1の原水シャワー吐水時の正面図であり、図13は、本実施形態の吐水装置1の原水シャワー吐水時の縦断面図(図12のXIII-XIII線断面図)である。
【0082】
図12及び図13に示すように、本実施形態の吐水装置1は、原水整流吐水と浄水整流吐水との間の切替途中において、原水シャワー吐水形態を提供できるようになっている。
【0083】
この原水シャワー吐水形態において、回転操作部10は、図12及び図13に示された回転位置にあり、コイルバネ47が切替弁40のフランジ部43を上向きに付勢しているため、切替弁40の貫通孔41の当接部41cがカム凹部14rに当接する位置にまで上昇している。これにより、弁体45が開口34aを閉塞している。
【0084】
シングルレバー4の操作によって吐水が開始されると、温調された水(または湯)がスパウト3内に供給され、前述した原水/浄水切替ユニット60の作用により、原水が吐水用流路22に供給される。原水シャワー吐水形態においては、前述のように、開口34aが閉塞されているため、当該原水は、吐水用流路22から二次側流路23へは通流しない。
【0085】
吐水用流路22に供給された水は、スピンドル14のカム凹部14rの下方において、切替弁40のフランジ部43とシャワー流路形成部材51の外側筒部51bとの間の隙間を介して、シャワー流路形成部材51の外側筒部51bの内方空間(コイルバネ47が収容されている)に至る。そして更に、当該水は、欠損部51cを介して、シャワー流路形成部材51の下方空間へと流出し、シャワーヘッド部52の散水用流路52aを介して、シャワー状に吐水される。
【0086】
以上のように、本実施形態の吐水装置1によれば、スパウト3の先端部に設けられた回転操作部10を用いて原水開閉弁62及び浄水開閉弁63を進退動作させることで原水供給用開口71a及び浄水供給用開口71bが開閉されて原水と浄水とが切り替えられるため、吐水部3b付近が大型化(大径化)することが抑制され、デザイン性の低下が抑制される。
【0087】
また、本実施形態の吐水装置1によれば、原水を浄化して浄水とする浄化フィルタ90をスパウト3内の浄水供給路82の上流側の領域に設置しているため、コンパクトな設計が可能である。
【0088】
また、本実施形態の吐水装置1によれば、回転操作部10を回転操作することによって原水整流吐水(原水供給用開口71aが開放され浄水供給用開口71bが閉鎖された状態)と浄水整流吐水(原水供給用開口71aが閉鎖され浄水供給用開口71bが開放された状態)とを切り替える途中において、原水供給用開口71aと浄水供給用開口71bとの両方が開放された状態が経由される。これにより、原水供給用開口71aと浄水供給用開口71bとの両方が閉鎖された状態で原水供給路81と浄水供給路82との両方における水圧が高くなることによって、回転操作部10の回転操作が行い難くなる(円滑さを失う)、という不都合を防止できる。
【0089】
また、本実施形態の吐水装置1によれば、回転操作部10を回転操作することによってカム部材61が回転するようになっており、原水開閉弁62はカム部材61に当接する原水弁当接部としての先端62bを有しており、浄水開閉弁63はカム部材61に当接する浄水弁当接部としての先端63bを有しており、カム部材61は回転方向に変化する厚みを有していて、当該カム部材61の回転によって各開閉弁62、63の先端62b、63b部が変位することによって各開閉弁62、63が進退動作するようになっている。このような形態により、スパウト3の内部領域を有効活用したレイアウトが可能である。
【0090】
また、本実施形態の吐水装置1によれば、回転操作部10とカム部材61とは、スピンドル14によって接続されている。これにより、コンパクトな構成で、回転操作部10の回転動作をカム部材61に伝達することが可能である。
【0091】
また、本実施形態の吐水装置1によれば、カム部材61はスピンドル14の軸方向には固定されていて、原水開閉弁62はスピンドル14の軸方向に延びており、原水開閉弁62の軸方向の先端62bがカム部材61に当接しており、原水供給用開口71aはスピンドル14の軸方向に略垂直な壁部内に設けられており、浄水開閉弁63はスピンドル14の軸方向に延びており、浄水開閉弁63の軸方向の先端63bがカム部材61に当接しており、浄水供給用開口71bはスピンドル14の軸方向に略垂直な壁部内に設けられている。これにより、コンパクトな構成で、回転操作部10の回転動作を原水開閉弁62及び浄水開閉弁63の進退動作に変換することが可能である。
【0092】
更に、本実施形態の吐水装置1によれば、スパウト3の先端部に設けられた回転操作部10を用いて吐水部3bからの吐水形態も切り替えられる。特に、スパウト3内の吐水部3bの上方領域はデッドスペースとなりやすい(有効活用例が少ない)が、上下方向に昇降可能な切替弁40を用いることによって当該上方領域を有効活用したレイアウトの採用が可能となり、吐水部3bの突出量を不所望に増大させる必要もない。
【0093】
具体的には、本実施形態の吐水装置1によれば、回転操作部10の回転動作がスピンドル14の回転となり、当該スピンドル14の外周面に所定のカム凹部14rが形成されており、切替弁40にはスピンドル14が貫通する貫通孔41が設けられていて、当該貫通孔41の一部にカム凹部14rと当接する当接部41cが設けられていて、回転操作部10の回転動作に伴ってカム凹部14rが当接部41cを昇降移動させるようになっている。このような形態によって、スパウト3内の吐水部3bの上方領域を有効活用している。
【0094】
また、本実施形態の吐水装置1によれば、切替弁40の昇降位置に応じて、シャワー吐水形態と棒状吐水形態とが切り替えられるようになっており、シャワー吐水形態においては、吐水部3bのシャワーヘッド部52から吐水がなされ、棒状吐水形態においては、シャワーヘッド部52からの吐水と、当該シャワーヘッド部52の吐水面上の領域24の外周側に隣接して設けられた環状路53aから当該領域24への内方向きの吐水と、が合流されるようになっている。これにより、一般的なシャワー吐水形態と、棒状に整流された棒状吐水形態と、を容易に切り替えることができる。
【0095】
ここで、本件発明者の知見によれば、シャワーヘッド部52からの吐水量よりも環状路53aからの吐水量の方を多くすることで、棒状吐水(1本吐水)の整流度を高めることができる。
【0096】
また、本実施形態の吐水装置1によれば、シャワーヘッド部52は、筒状であって、内部に散水用流路52aを有しており、シャワーヘッド部52の外周面上に、整流部としての整流通路52bが設けられており、環状路53aは、整流通路52bの下方側に位置している。このような構成によって、吐水部3b付近を大型化(大径化)させることなく、シャワーヘッド部52を通る吐水用の流路と環状路53aを通る吐水用の流路とをコンパクトに形成することができる。また、シャワーヘッド部52の外周面上の整流通路52bの下方側に環状路53aを位置させることにより、シャワーヘッド部52を通る吐水用の流路よりも環状路53aを通る吐水用の流路の方が長くなる。このことによっても、環状路53aを通る吐水の整流度の方がより高くなり、合流後の棒状吐水の整流度が改善される。なお、整流通路52bにメッシュ部材等の整流部材が付加されてもよいし、あるいは、整流通路52bがメッシュ部材等の整流部材によって置換されてもよい。
【0097】
また、本実施形態の吐水装置1によれば、環状路53aは、整流通路52bからの水流をシャワーヘッド部52の吐水面上の領域24に向けて案内する水流案内部53によって規定されている。これにより、環状路53aを容易に設計することができる。
【0098】
ここで、本件発明者の知見によれば、水流案内部53によって変更される水流の方向の角度は、60度以上、特には90度(鉛直下向きから水平内方向き)、であることが好ましい。
【0099】
また、本実施形態の吐水装置1によれば、回転操作部10は、スパウト3の先端部に対して回転可能に支持され回転操作部10の回転操作によって回転する樹脂部材11を有している。これにより、樹脂部材11によって円滑な回転動作を実現することができる一方で、回転操作部10の外殻部材13について金属メッキ等を採用した場合でも、そのような金属メッキ等が回転操作部10の回転操作中に剥がれることが防止される。
【0100】
また、本実施形態の吐水装置1によれば、スパウト3の先端部には樹脂部材11を回転可能に支持するチャック部材33が設けられており、当該チャック部材33はスパウト3の外殻部材31内で2つのスリーブ部材38、39及びOリング32を介して固定されている。これにより、スパウト3の先端部と回転操作部10との間にガタツキが生じることが効果的に防止されている。
【0101】
また、樹脂部材11には、筒状部12が接続されており、筒状部12の外周面がチャック部材33によって摺動可能に包囲されており、筒状部12の内周面には、回転操作部10の回転操作によってスパウト3に固定された板バネ35と順次に係合可能な複数の係合凹部12rが設けられている(図7参照)。これにより、板バネ35が各係合凹部12rと順次に係合することで、回転操作部10の回転操作を行うユーザに「クリック感」を提供することができ、すなわち、操作性が向上する。更に、板バネ35の弾性力(弾発力)は筒状部12によって吸収されるため、チャック部材33やスパウト3の外殻部材31に変形等が生じる懸念もない。
【0102】
なお、本実施形態では、切妻屋根状に屈曲された板バネ35の屈曲部が各係合凹部12r内に順次に係合(嵌合)するようになっているが、異なる形態の弾性部材が採用された異なるタイプのクリック感提供機構が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 吐水装置
2 支柱部
3 スパウト
3a 先端部
3b 吐水部
4 シングルレバー
6c 円筒状突出部
10 回転操作部
11 樹脂部材
11f フランジ部
12 筒状部
12a 爪受容部
12r 係合凹部
13 外殻部材
14 スピンドル
14a 縮径部
14c 切欠
14f フランジ部
14r カム凹部
15 Oリング
20 筒部
21 供給側流路
22 吐水用流路
23 二次側流路
24 領域
31 外殻部材
32 Oリング
33 チャック部材
33a 半円形状部分
33b 半円形状部分
33f 縮径部
34 通水本体
34a 開口
34g 回転摺動ガイド突起
34p 板バネ保持突起
35 板バネ
36 カバー部材
37 Oリング
38 スリーブ部材
39 スリーブ部材
40 切替弁
41 貫通孔
41c 当接部
42 筒部
43 フランジ部
45 弁体
45a Oリング
47 コイルバネ
51 シャワー流路形成部材
51a 内側筒部
51b 外側筒部
51c 欠損部
52 シャワーヘッド部
52a 散水用流路
52b 整流通路
53 水流案内部
53a 環状路
54 外殻部材
55 屈曲筒部
56 屈曲筒部
57 整流筒部
57b 整流通路
60 浄水切替ユニット
61 カム部材
61a 弁押込推移部
61b 弁押込部
61c 弁押込推移部
61e 接続筒部
61f 中央部
61p 環状突部
62 原水開閉弁
62a Oリング保持部
62b 先端
62c 摺動部
62f フランジ部
63 浄水開閉弁
63a Oリング保持部
63b 先端
63c 摺動部
63f フランジ部
64 Oリング
65 Oリング
66 コイルバネ
67 コイルバネ
69 中空筒部
69a コイルバネ固定突部
69b コイルバネ固定突部
69c 円筒状突出部
69e 前方壁
69p 突起部
71 切替弁保持筒
71a 原水供給用開口
71b 浄水供給用開口
71c 第1突出筒
71t 中央支持突部
71d 第2突出筒
71g 案内筒部
72 止め板
73 Oリング
74 Oリング
76 Oリング
81 原水供給路
82 浄水供給路
90 浄化フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13