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特許7134418運動解析装置、運動解析方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】運動解析装置、運動解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
A63B69/36 541P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020086502
(22)【出願日】2020-05-18
(62)【分割の表示】P 2016226234の分割
【原出願日】2016-11-21
(65)【公開番号】P2020116475
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2020-05-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】橋本 章吾
(72)【発明者】
【氏名】奥村 亮
(72)【発明者】
【氏名】荒川 豊
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 博彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄太
(72)【発明者】
【氏名】雨森 千周
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-178026(JP,A)
【文献】特開2016-036680(JP,A)
【文献】特開2016-140693(JP,A)
【文献】特開2015-150134(JP,A)
【文献】特開2016-067410(JP,A)
【文献】特開2016-168195(JP,A)
【文献】特開2016-116745(JP,A)
【文献】特開2014-121456(JP,A)
【文献】特開2016-022308(JP,A)
【文献】特開2008-054977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-71/16
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に取り付けられ、当該対象者による一連のゴルフスイングを、当該ゴルフスイングの開始から終了までの期間、センシングするセンサ装置から、運動情報を取得する取得手段と、
前記運動情報を、前記運動情報の強さを示す強度の閾値、前記運動情報が何回発生したかを示す回数の閾値、及び前記運動情報がどのくらい継続したかを示す時間の閾値、を用いて判定することにより、前記ゴルフスイングにおける複数の状態を特定する特定手段と、を備え、
前記特定手段は、前記ゴルフスイングを開始する前の静止状態を特定する静止状態の特定と、前記静止状態の検出のための前記強度の閾値を超えた時点を前記ゴルフスイングにおけるバックスイングが開始された時点として検出する動作開始の特定と、前記ゴルフスイングにおける本スイングの候補を特定する候補の特定と、前記候補が前記本スイングに該当するかを特定する動作の特定、を含む複数の状態を特定し、更に、
前記特定手段は、前記運動情報が前記強度の閾値である閾値Aを下回っている状態を前記時間の閾値である閾値Ta以上続けている場合、前記静止状態と特定し、
前記運動情報が前記閾値Aを上回った状態を前記バックスイングが開始された時点として検出し、前記動作開始を特定し、
前記静止状態より後のタイミングにおいて、前記運動情報が前記閾値Aよりも値が高い前記強度の閾値である閾値Cを下回っている状態を前記閾値Taよりも時間が短い前記時間の閾値である閾値Tc以上続けている場合、前記ゴルフスイングの終了と判定し、前記ゴルフスイングの開始から前記ゴルフスイングの終了までを前記本スイングの候補と特定する、
ことを特徴とする運動解析装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記本スイングの候補において、前記運動情報が前記閾値Cよりも値が高い前記強度の閾値である閾値Dを前記回数の閾値以下交差した後、前記運動情報が前記閾値Dよりも値が高い前記強度の閾値である閾値Bを上回り、前記本スイングの候補と特定された期間が前記Taと前記Tcを足した時間より長い前記時間の閾値である閾値TminTmax以内の場合、前記候補が前記本スイングと特定する、
ことを特徴とする請求項に記載の運動解析装置。
【請求項3】
前記強度の閾値、前記回数の閾値、及び前記時間の閾値は、ユーザにより設定される値、又は過去にセンシングされた運動情報に基づいて設定される値を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運動解析装置。
【請求項4】
運動解析装置で実行される運動解析方法であって、
対象者に取り付けられ、当該対象者の一連のゴルフスイングを、当該ゴルフスイングの開始から終了までの期間、センシングするセンサ装置から、運動情報を取得する取得ステップと、
前記運動情報を、前記運動情報の強さを示す強度の閾値、前記運動情報が何回発生したかを示す回数の閾値、及び前記運動情報がどのくらい継続したかを示す時間の閾値、を用いて判定することにより、前記ゴルフスイングにおける複数の状態を特定する特定ステップと、を含み、
前記特定ステップは、前記ゴルフスイングを開始する前の静止状態を特定する静止状態の特定と、前記静止状態の検出のための前記強度の閾値を超えた時点を前記ゴルフスイングにおけるバックスイングが開始された時点として検出する動作開始の特定と、前記ゴルフスイングにおける本スイングの候補を特定する候補の特定と、前記候補が前記本スイングに該当するかを特定する動作の特定、を含む複数の状態を特定し、更に、
前記特定ステップは、前記運動情報が前記強度の閾値である閾値Aを下回っている状態を前記時間の閾値である閾値Ta以上続けている場合、前記静止状態と特定し、
前記運動情報が前記閾値Aを上回った状態を前記バックスイングが開始された時点として検出し、前記動作開始を特定し、
前記静止状態より後のタイミングにおいて、前記運動情報が前記閾値Aよりも値が高い前記強度の閾値である閾値Cを下回っている状態を前記閾値Taよりも時間が短い前記時間の閾値である閾値Tc以上続けている場合、前記ゴルフスイングの終了と判定し、前記ゴルフスイングの開始から前記ゴルフスイングの終了までを前記本スイングの候補と特定する、
ことを特徴とする運動解析方法。
【請求項5】
運動解析装置を制御するコンピュータを、
対象者に取り付けられ、当該対象者の一連のゴルフスイングを、当該ゴルフスイングの開始から終了までの期間、センシングするセンサ装置から、運動情報を取得する取得手段、
前記運動情報を、前記運動情報の強さを示す強度の閾値、前記運動情報が何回発生したかを示す回数の閾値、及び前記運動情報がどのくらい継続したかを示す時間の閾値、を用いて判定することにより、前記ゴルフスイングにおける複数の状態を特定する特定手段、として機能させるプログラムであって、
前記特定手段は、前記ゴルフスイングを開始する前の静止状態を特定する静止状態の特定と、前記静止状態の検出のための前記強度の閾値を超えた時点を前記ゴルフスイングにおけるバックスイングが開始された時点として検出する動作開始の特定と、前記ゴルフスイングにおける本スイングの候補を特定する候補の特定と、前記候補が前記本スイングに該当するかを特定する動作の特定、を含む複数の状態を特定し、更に、
前記特定手段は、前記運動情報が前記強度の閾値である閾値Aを下回っている状態を前記時間の閾値である閾値Ta以上続けている場合、前記静止状態と特定し、
前記運動情報が前記閾値Aを上回った状態を前記バックスイングが開始された時点として検出し、前記動作開始を特定し、
前記静止状態より後のタイミングにおいて、前記運動情報が前記閾値Aよりも値が高い前記強度の閾値である閾値Cを下回っている状態を前記閾値Taよりも時間が短い前記時間の閾値である閾値Tc以上続けている場合、前記ゴルフスイングの終了と判定し、前記ゴルフスイングの開始から前記ゴルフスイングの終了までを前記本スイングの候補と特定する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動解析装置、運動解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザによるゴルフのスイングデータにおいてインパクトを検出し、検出されたインパクトの時点を基準として対象者によるスイング動作の範囲を特定する技術があった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-178026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の運動解析技術では、例えば、ゴルフスイングにおいて動作の範囲を特定する際、インパクト動作のように運動量が最大又は最小の値をとる時点を基準として対象者によるスイング動作の範囲を特定する必要があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、一連の動作において運動量が最大又は最小の時点を基準とせずに動作の範囲を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の運動解析装置は、
対象者に取り付けられ、当該対象者による一連のゴルフスイングを、当該ゴルフスイングの開始から終了までの期間、センシングするセンサ装置から、運動情報を取得する取得手段と、
前記運動情報を、前記運動情報の強さを示す強度の閾値、前記運動情報が何回発生したかを示す回数の閾値、及び前記運動情報がどのくらい継続したかを示す時間の閾値、を用いて判定することにより、前記ゴルフスイングにおける複数の状態を特定する特定手段と、を備え、
前記特定手段は、前記ゴルフスイングを開始する前の静止状態を特定する静止状態の特定と、前記静止状態の検出のための前記強度の閾値を超えた時点を前記ゴルフスイングにおけるバックスイングが開始された時点として検出する動作開始の特定と、前記ゴルフスイングにおける本スイングの候補を特定する候補の特定と、前記候補が前記本スイングに該当するかを特定する動作の特定、を含む複数の状態を特定し、更に、
前記特定手段は、前記運動情報が前記強度の閾値である閾値Aを下回っている状態を前記時間の閾値である閾値Ta以上続けている場合、前記静止状態と特定し、
前記運動情報が前記閾値Aを上回った状態を前記バックスイングが開始された時点として検出し、前記動作開始を特定し、
前記静止状態より後のタイミングにおいて、前記運動情報が前記閾値Aよりも値が高い前記強度の閾値である閾値Cを下回っている状態を前記閾値Taよりも時間が短い前記時間の閾値である閾値Tc以上続けている場合、前記ゴルフスイングの終了と判定し、前記ゴルフスイングの開始から前記ゴルフスイングの終了までを前記本スイングの候補と特定する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一連の動作において運動量が最大又は最小の時点を基準とせずに動作の範囲を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る運動解析システムSのシステム構成を示すシステム構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係るセンサユニット1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る運動解析装置2のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態のスイング特定の手法を説明するための模式図である。
図5図3の運動解析装置2の機能的構成のうち、スイング特定処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
図6図5の機能的構成を有する図3の運動解析装置2が実行するスイング特定処理の流れを説明するフローチャートである。
図7図5の機能的構成を有する図3の運動解析装置2が実行するスイング特定処理の流れを説明するフローチャートである。
図8図5の機能的構成を有する図3の運動解析装置2が実行するスイング特定処理の他の流れを説明するフローチャートである。
図9図5の機能的構成を有する図3の運動解析装置2が実行するスイング特定処理の他の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る運動解析システムSのシステム構成を示すシステム構成図である。
運動解析システムSは、図1に示すように、センサユニット1と、運動解析装置2と、を含む。
【0011】
センサユニット1は、少なくとも、装着対象の動作をセンシングするセンシング機能と、センシングしたデータ(以下、「センサ情報」という。)を運動解析装置2に送信する通信機能と、を有する。
本実施形態においては、センサユニット1は、ゴルフのスイングを行う者の腰付近に装着され、装着対象の動作として、スイングにおける一連の動作がセンシングされる。
【0012】
運動解析装置2は、少なくとも、センサユニット1から送信されたセンサ情報を受信する通信機能と、センサ情報を解析して、一連の動作及び一連の動作内の各動作を特定する解析機能と、を有する。
本実施形態においては、運動解析装置2は、スイングの一連の動作と、スイングを構成するアドレス、テイクバック、ダウンスイング、フォロー、フィニッシュ等の各動作を解析により特定する。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態に係るセンサユニット1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
センサユニット1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)11-1と、ROM(Read Only Memory)12-1と、RAM(Random Access Memory)13-1と、バス14-1と、入出力インターフェース15-1と、センサ部16-1と、入力部17-1と、出力部18-1と、記憶部19-1と、通信部20-1と、ドライブ21-1と、を備えている。
【0014】
CPU11-1は、ROM12-1に記録されているプログラム、又は、記憶部19-1からRAM13-1にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0015】
RAM13-1には、CPU11-1が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0016】
CPU11-1、ROM12-1及びRAM13-1は、バス14-1を介して相互に接続されている。このバス14-1にはまた、入出力インターフェース15-1も接続されている。入出力インターフェース15-1には、センサ部16-1、入力部17-1、出力部18-1、記憶部19-1、通信部20-1及びドライブ21-1が接続されている。
【0017】
センサ部16-1は、ジャイロセンサ、3軸角速度センサ等の各種センサにより構成され、少なくとも、ユーザの動作に応じて当該センサユニット1に生じた角速度を検出して、センサ情報として出力する。
なお、本実施形態ではサンプリングレートを200Hzとして設定する。
【0018】
入力部17-1は、各種釦等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部18-1は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
記憶部19-1は、ハードディスク或いはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種画像のデータを記憶する。
通信部20-1は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。
【0019】
ドライブ21-1には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31-1が適宜装着される。ドライブ21-1によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部19-1にインストールされる。また、リムーバブルメディア31-1は、記憶部19-1に記憶されている画像のデータ等の各種データも、記憶部19-1と同様に記憶することができる。
【0020】
図3は、本発明の一実施形態に係る運動解析装置2のハードウェアの構成を示すブロック図である。
運動解析装置2は、例えば、スマートフォン等の情報機器として構成される。
【0021】
運動解析装置2は、図3に示すように、CPU11-2と、ROM12-2と、RAM13-2と、バス14-2と、入出力インターフェース15-2と、入力部17-2と、出力部18-2と、記憶部19-2と、通信部20-2と、ドライブ21-2と、撮像部22-2と、を備える。
即ち、センサユニット1と、運動解析装置2とは、センサ部16-1を除く、CPU11-1乃至ドライブ21-1と、CPU11-2乃至ドライブ21-2との構成において同一である。運動解析装置2では、センサユニット1と同一の構成については、説明を省略する。
【0022】
運動解析装置2は、CPU11-2乃至ドライブ21-2に加えて、さらに撮像部22-2を備える。
【0023】
撮像部22-2は、図示はしないが、光学レンズ部と、イメージセンサと、を備えている。
【0024】
光学レンズ部は、被写体を撮影するために、光を集光するレンズ、例えばフォーカスレンズやズームレンズ等で構成される。
フォーカスレンズは、イメージセンサの受光面に被写体像を結像させるレンズである。ズームレンズは、焦点距離を一定の範囲で自在に変化させるレンズである。
撮像部22-2にはまた、必要に応じて、焦点、露出、ホワイトバランス等の設定パラメータを調整する周辺回路が設けられる。
【0025】
イメージセンサは、光電変換素子や、AFE(Analog Front End)等から構成される。
光電変換素子は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光電変換素子等から構成される。光電変換素子には、光学レンズ部から被写体像が入射される。そこで、光電変換素子は、被写体像を光電変換(撮像)して画像信号を一定時間蓄積し、蓄積した画像信号をアナログ信号としてAFEに順次供給する。
AFEは、このアナログの画像信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を実行する。各種信号処理によって、ディジタル信号が生成され、撮像部22の出力信号として出力される。
このような撮像部22-2の出力信号を、以下、「撮像画像のデータ」と呼ぶ。撮像画像のデータは、CPU11-2や図示しない画像処理部等に適宜供給される。
【0026】
このように構成される運動解析装置2は、センサユニット1から取得したセンサ情報に対して、種々の閾値を用いて簡単にゴルフのスイング部分を特定することができる機能を有する。
【0027】
運動解析装置2では、まず、センサ情報(本実施形態においては、)から[静止状態](Status0)を特定し、特定した静止状態からバックスイングが開始された状態[動作開始状態](Status1)を特定し、特定した静止状態を含む一連の動作からスイングらしい一連の動作を[スイング候補](Status2)として特定して、最後にスイング候補が[スイング](Status3)に該当するかを特定する。
即ち、運動解析装置2では、[静止状態]、[動作開始状態]、[スイング候補]、[スイング]の4つのStatus下において、夫々のStatusに応じた閾値(本実施形態においては、閾値A~閾値Dの相対的に異なる閾値)を用いてスイングを特定する。
【0028】
図4は、本実施形態のスイング特定の手法を説明するための模式図である。
スイングの特定にあたり、まず、取得したセンサ情報のうち、X軸,Y軸,Z軸の各角速度の値を合成して、合成ジャイロ値を算出する。
合成ジャイロ値Jは、以下の式(1)を用いて、算出する。
【数1】
なお、「x」はX軸の角速度の値であり、「y」はY軸の角速度の値であり、「z」はZ軸の角速度の値である。
【0029】
本実施形態においては、図4に示すように、算出した合成ジャイロ値Jを時系列に並べた経時変化するグラフから、各Status0~3に応じた閾値と合成ジャイロ値Jを比較することで、スイング部分を特定する。
【0030】
[静止状態の特定](Status0)
このStatusでは、時系列に沿って変化する合成ジャイロ値Jのグラフから、スイングのアドレス状態を検出する。
本実施形態においては、所定の時間連続して静止状態である場合、スイングのアドレス状態である可能性が高いものとして、一定期間継続して行われた静止状態を特定する。
例えば、閾値A:静止状態を判定する閾値(強度)を下回っている状態が、閾値Ta:静止状態を判定するための閾値(時間)以上連続して続く状態を静止状態として検出する。静止状態を特定するため、閾値Aは、最初に用いられ、且つ各閾値の中で最も低い値となる。閾値Taは、一般的なゴルフプレーヤーがアドレスに要する時間となる値である。
【0031】
[動作開始の特定](Status1)
このStatusでは、時系列に沿って変化する合成ジャイロ値Jのグラフから、スイングのアドレス状態からバックスイングが開始される時点を検出する。
本実施形態においては、Status0からStatus1に移行した後、静止状態検出のための閾値を超えた場合、静止状態からバックスイングが開始された状態である可能性が高いものとして、静止状態検出のための閾値を超えた時点を特定する。
動作開始の特定においては、例えば、合成ジャイロ値Jが閾値A:静止状態を判定する閾値(強度)を上回った状態を、バックスイングの動作開始の時点として検出する。この検出処理が行われた後、Status2に移行する。
【0032】
[スイング候補として特定](Status2)
このStatusでは、Status1で検出されたバックスイングの開始時点に対応するスイングの終了時点を特定することで、スイングの候補を検出する。スイング動作は、バックスイングの開始後、一定以上の瞬発的な動作(インパクト動作)を経て、最終的に静止状態が一定期間連続して続くフィニッシュによって終わる。
本実施形態においては、閾値C:バックスイングの開始時点を経て、最終の動作の静止状態であるフィニッシュを判定する閾値(強度)を下回っている状態が、閾値Tc:静止状態を判定するための閾値(時間)以上連続して続く状態をスイング動作におけるフィニッシュとして特定する。
閾値Cは、閾値Aより後のタイミングで用いられ、静止状態よりもプレーヤーによってバラつきがあるために閾値Aよりも値が高く設定される。閾値Tcは、一般的なフィニッシュに要する時間となる値であり、本実施例においては、閾値Taよりも短い期間の値となる。
【0033】
[スイングとして特定](Status3)
このStatusでは、Status2までで特定されたスイングの蓋然性が高い状態(スイング候補状態)において、さらに、スイングの特徴を閾値で判断して、本スイングとして特定する。
1)Status2の区間で最大となる値が閾値B:ダウンスイングの急峻な値を特定してスイングと判定するための閾値(強度)を上回っている。
2)閾値D:ノイズデータをスイングとして判定しないための閾値(回数)との交点が規定数内(本実施形態においては、5回~10回)である。
3)スイング候補として特定された期間が規定時間以内(閾値TminTmax:スイングしている時間を判定するための閾値(時間),本実施形態においては、650~3000フレーム)に収まっている。
上記の3つの条件を満たす場合に、当該期間内の動作をスイングとして特定する。
閾値Bは、閾値Aから閾値Cの間の期間で用いられ、各閾値の中で最も高い値である。
閾値Dは、閾値Aから閾値Cの間の期間で用いられ、閾値Bよりも低く、閾値A及び閾値Cよりも高い値である。
閾値TminTmaxは、一般的なゴルフプレーヤーによるスイングの動作開始から動作終了までに要する時間となる値である。
【0034】
図5は、図3の運動解析装置2の機能的構成のうち、スイング特定処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
スイング特定処理とは、センサユニット1から取得した運動情報からスイングを検出する一連の処理をいう。
【0035】
スイング特定処理を実行する場合には、図5に示すように、CPU11-2において、センサ情報取得部51と、スイング特定処理部52と、が機能する。
【0036】
また、記憶部19-2の一領域には、センサ情報記憶部71が設定される。
センサ情報記憶部71には、センサユニット1から取得したセンサ情報が記憶される。
【0037】
センサ情報取得部51は、例えば、センサ情報記憶部71に記憶されているセンサ情報を取得することができる。
具体的には、センサ情報取得部51は、センサ情報のうち、X軸,Y軸,Z軸角速度の各値を、上述した式(1)を用いて、合成して算出した、合成ジャイロ値Jを取得する。
【0038】
スイング特定処理部52は、例えば、スイングの特定に係る処理を実行し、取得したセンサ情報から、Status毎に所定の閾値を用いて、スイングを構成する各動作の時点と、スイング範囲を特定することができる。具体的には、スイングの特定に加えて、スイングを構成する各動作の付近として、アドレス、バックスイングの開始、フィニッシュ時点の付近、ダウンスイング時点の特定が可能となる。
【0039】
図6及び図7は、図5の機能的構成を有する図3の運動解析装置2が実行するスイング特定処理の流れを説明するフローチャートである。
スイング特定処理は、ユーザによる入力部17-2へのスイング特定処理開始の操作により開始される。スイング特定処理開始にあたり、運動解析装置2からセンサユニット1に対して、センシングを開始する指示が送信されて、当該指示によりセンサユニット1でセンシングが開始される。センサユニット1では、センシングして得たセンサ情報を逐次、運動解析装置2に送信する。運動解析装置2では、センサユニット1から送信されたセンサ情報を受信して、センサ情報記憶部71に記憶させる。
【0040】
ステップS11において、スイング特定処理部52は、Statusを[0]にする(即ち、初期化をする)。
【0041】
ステップS12において、センサ情報取得部51は、センサ情報記憶部71に記憶されるセンサ情報を取得して読み込む。
【0042】
ステップS13において、スイング特定処理部52は、現在のStatusが[0]であるか否かを判定する。
Statusが[0]でない場合には、ステップS13においてNOと判定されて、処理はステップS16に進む。
Statusが[0]の場合には、ステップS13においてYESと判定されて、処理はステップS14に進む。
【0043】
ステップS14において、スイング特定処理部52は、合成ジャイロ値Jが閾値Aを閾値Taの時間連続して下回ったか否かを判定する。
合成ジャイロ値Jが閾値Aを閾値Taの時間連続して下回ってない場合には、ステップS14においてNOと判定されて、処理はステップS12に戻る。
合成ジャイロ値Jが閾値Aを閾値Taの時間連続して下回った場合には、ステップS14においてYESと判定されて、処理はステップS15に進む。
【0044】
ステップS15において、スイング特定処理部52は、Statusを[1]にする。その後、処理はステップS12に戻る。
【0045】
ステップS16において、スイング特定処理部52は、Statusが[1]であるか否かを判定する。
Statusが[1]でない場合には、ステップS16においてNOと判定されて、処理はステップS19に進む。
Statusが[1]の場合には、ステップS16においてYESと判定されて、処理はステップS17に進む。
【0046】
ステップS17において、スイング特定処理部52は、合成ジャイロ値Jが閾値Aを上回っているか否かを判定する。
合成ジャイロ値Jが閾値Aを上回っていない場合には、ステップS18においてNOと判定されて、処理はステップS12に戻る。
合成ジャイロ値Jが閾値Aを上回っている場合には、ステップS18においてYESと判定されて、処理はステップS18に進む。
【0047】
ステップS18において、スイング特定処理部52は、Statusを[2]にする。その後、処理はステップS12に戻る。
【0048】
ステップS19において、スイング特定処理部52は、Statusが[2]であるか否かを判定する。
Statusが[2]でない場合には、ステップS19においてNOと判定されて、処理はステップS22に進む。
Statusが[2]の場合には、ステップS19においてYESと判定されて、処理はステップS20に進む。
【0049】
ステップS20において、スイング特定処理部52は、合成ジャイロ値Jが閾値Cを閾値Tcの時間連続して下回ったか否かを判定する。
合成ジャイロ値Jが閾値Cを閾値Tcの時間連続して下回ってない場合には、ステップS20においてNOと判定されて、処理はステップS12に戻る。
合成ジャイロ値Jが閾値Cを閾値Tcの時間連続して下回った場合には、ステップS20においてYESと判定されて、処理はステップS21に進む。
【0050】
ステップS21において、スイング特定処理部52は、Statusを[3]にする。その後、処理はステップS12に戻る。
【0051】
ステップS22において、スイング特定処理部52は、Status2の区間において、合成ジャイロ値Jの最大値が閾値Bを超えたか否かを判定する。
Status2の区間において、合成ジャイロ値Jの最大値が閾値Bを超えていない場合には、ステップS22においてNOと判定されて、処理はステップS26に進む。
Status2の区間において、合成ジャイロ値Jの最大値が閾値Bを超えていた場合には、ステップS22においてYESと判定されて、処理はステップS23に進む。
【0052】
ステップS23において、スイング特定処理部52は、Status2の区間において、合成ジャイロ値Jと閾値Dとの交点が規定回数範囲内であるか否かを判定する。
Status2の区間において、合成ジャイロ値Jと閾値Dとの交点が規定回数範囲内でない場合には、ステップS23においてNOと判定されて、処理はステップS26に進む。
Status2の区間において、合成ジャイロ値Jと閾値Dとの交点が規定回数範囲内であった場合には、ステップS23においてYESと判定されて、処理はステップS24に進む。
【0053】
ステップS24において、スイング特定処理部52は、合成ジャイロ値Jが閾値Aを所定時間(閾値Ta)連続で下回った状態の始点から、合成ジャイロ値Jが閾値Cを所定時間(閾値Tc)連続で下回った状態の終点までの間の時間が所定時間(閾値TminTmaxの期間)以内であったか否かを判定する。即ち、始点から終点までの長さが閾値TminTmax以内か否かを判定する。
始点から終点までの長さが閾値TminTmax以内でない場合には、ステップS24においてNOと判定されて処理はステップS26に進む。
始点から終点までの長さが閾値TminTmax以内の場合には、ステップS24においてYESと判定されて処理はステップS25に進む。
【0054】
ステップS25において、スイング特定処理部52は、始点(Tmin)から終点(Tmax)までの間の動作をスイングとして特定する。
【0055】
ステップS26において、スイング特定処理部52は、Statusを[0]にする。その後、処理はステップS12に戻る。
【0056】
上述のように処理を行うことによって、プレーヤーによるスイング動作においてインパクト時点を基準とせずにスイング範囲を特定することができ、且つ合成ジャイロ値Jと各閾値との比較処理という軽い計算処理によってスイング範囲特定を行うことができるという効果を有する。
【0057】
<第2の実施形態>
本例では、上述した第1の実施形態における実施形態と異なり、フィニッシュを検出せずにダウンスイングを特定した場合にその時点を基準としてスイング範囲の特定を行うよう構成される。そのため、より精度の高いアドレス検出処理と、ダウンスイングの検出処理と、ダウンスイングを検出できなかった場合のタイムアウト処理と、ダウンスイングを検出できた場合のウエイト処理が追加される。即ち、本例では、タイムアウト処理と、ダウンスイングを検出できた場合のウエイト処理が追加されているため、Statusが増えている。具体的には、Status0が静止状態の特定となり、Status1が動作開始の特定となり、Status2がダウンスイングを検出及びタイムアウト処理となり、Status3がダウンスイングを検出できた場合のウエイト処理となり、Status4が本スイングの特定処理となる。
【0058】
図8及び図9は、図5の機能的構成を有する図3の運動解析装置2が実行するスイング特定処理の流れを説明するフローチャートである。
以下、ステップS41~S49までは第1の実施形態と同様の処理が行われるため、追加されたフロー部分に関して図8及び図9に基づいて詳述する。
【0059】
[動作開始特定及びアドレス検出処理]
ステップS47において、スイング特定処理部52は、現在の合成ジャイロ値Jが静止状態判定のための閾値Aを上回るか否かを判定し、動作開始の特定を行う。
閾値Aを超えていない場合には、ステップS47においてNOと判定されて、処理はステップS42に戻る。
閾値Aを超えている場合には、ステップS47においてYESと判定されて、処理はステップS48に進む。
【0060】
ステップS48において、スイング特定処理部52は、Statusを[2]にする。その後、処理はステップS49に進む。
【0061】
[アドレス特定処理]
ステップS49において、スイング特定処理部52は、動作開始時点からt秒前の時点をアドレスの開始時点として合成ジャイロ値Jのグラフから特定し、その後、処理はステップS42に戻る。
このときtの値はユーザにより任意に設定される値でもよく、予め記憶部19-2に記憶されている固定値を用いてもよい。
【0062】
[ダウンスイングを検出できなかった場合のタイムアウト処理]
ステップS51において、スイング特定処理部52は、スイング特定処理部52は、Status2の状態にいる時間が閾値Tαの時間(本実施形態においては、少なくとも3秒を超えない範囲で、1.5秒~2.5秒であり、判定処理の回数に換算した場合には、300回~500回)を超えているか否かを判定する。
Status2の状態が所定時間続いている場合には、ステップS51においてYESと判定されて、処理はステップS52に進む。
Status2の状態が所定時間続いていない場合、ステップS51においてNOと判定されて、処理はステップS53に進む。
【0063】
ステップS52において、スイング特定処理部52は、Statusを[0]にする。その後、処理はステップS42に戻る。
【0064】
[ワッグル検出処理]
ステップS53において、スイング特定処理部52は、合成ジャイロ値Jが閾値Aを閾値Taの時間連続して下回ったか否かを判定する。
合成ジャイロ値Jが閾値Aを閾値Taの時間連続して下回ってない場合には、ステップS53においてNOと判定されて、処理はステップS55に進む。
合成ジャイロ値Jが閾値Aを閾値Taの時間連続して下回った場合には、ステップS53においてYESと判定されて、処理はステップS54に進む。
【0065】
ステップS54において、スイング特定処理部52は、Statusを[1]にする。その後、処理はステップS42に戻る。
【0066】
[ダウンスイング検出処理]
ステップS55において、スイング特定処理部52は、現在の合成ジャイロ値Jと、所定時間前(N回前)の合成ジャイロ値Jの平均値との差が閾値Eを超えているか否かを判定する。本実施形態では、所定時間前を10回前と規定し、閾値Eは0.5となるように値を設定した。しかし、上記の値に限定されず、個人のスイング特定に応じて値を調整するように構成してもよい。
閾値Eを超えていない場合には、ステップS55においてNOと判定されて、処理はステップS42に戻る。
閾値Eを超えている場合には、ステップS55においてYESと判定されて、処理はステップS56に進む。
【0067】
ステップS56において、スイング特定処理部52は、Statusを[3]にする。その後、処理はステップS42に戻る。
【0068】
[ダウンスイングを検出できた場合のウエイト処理]
ステップS58において、スイング特定処理部52は、Status3の状態にいる時間が閾値Tβの時間(本実施形態においては、少なくとも3.0秒を超えない範囲で、1.5秒~2.5秒であり、判定処理の回数に換算した場合には、400回~500回)を超えているか否かを判定する。
Status3の状態にいる時間が閾値Tβの時間を超えていない場合には、ステップS58においてNOと判定されて、処理はステップS42に戻る。
Status3の状態にいる時間が閾値Tβの時間を超えている場合には、ステップS58においてYESと判定されて、処理はステップS59に進む。その後、スイング特定処理部52は、Statusを[4]にする。
【0069】
ステップS59において、スイング特定処理部52は、Statusを[4]にする。その後、処理はステップS42に戻る。
【0070】
以上のように構成される運動解析装置2は、センサ情報取得部51と、スイング特定処理部52と、を備える。
センサ情報取得部51は、対象者による一連の動作をセンシングするセンサユニット1から、運動情報であるセンサ情報を取得する。
スイング特定処理部52は、運動情報から運動量の最大値又は最小値の時点を検出せずに、センサ情報取得部51により取得された運動情報と、所定の閾値とに基づいて、動作の開始時点及び終了時点を特定する。
また、スイング特定処理部52は、特定された動作の開始時点及び終了時点に基づいて、当該動作の範囲内の動作を特定する。
これにより、運動解析装置2においては、簡単に高い精度でスイングの動作範囲を特定することができる。
【0071】
スイング特定処理部52は、特定された開始時点及び終了時点の間の時間範囲が有効であるか否かを判定する。
これにより、運動解析装置2においては、簡単に高い精度でスイングの動作範囲を特定することができる。
【0072】
運動情報であるセンサ情報は、運動量として角速度又は加速度の情報を含む。
スイング特定処理部52は、特定された開始時点及び終了時点の間の時間範囲において、角速度又は加速度が所定の閾値を所定の回数を超える場合には、時間範囲内が有効であると判定する。
これにより、運動解析装置2においては、角速度又は加速度によって、簡単に高い精度でスイングの動作範囲を特定することができる。
【0073】
対象者による一連の動作は、特定の姿勢を含む。
スイング特定処理部52は、運動情報における時間範囲において特定の姿勢が含まれる場合、時間範囲が有効であると判定する。
これにより、運動解析装置2においては、簡単に高い精度でスイングの動作範囲を特定することができる。
【0074】
スイング特定処理部52は、運動情報における時間範囲において運動量の最大値又は最小値の時点が含まれる場合、時間範囲が有効であると判定する。
これにより、運動解析装置2においては、簡単に高い精度でスイングの動作範囲を特定することができる。
【0075】
スイング特定処理部52は、動作の開始時点から前記終了時点までの経過時間が所定の長さを超える場合、時間範囲が無効であると判定する。
これにより、運動解析装置2においては、特定の動作である蓋然性が低いと判定することができる。
【0076】
センサ情報取得部51は、センサユニット1によるセンシング毎にリアルタイムで運動情報であるセンサ情報を取得する。
スイング特定処理部52は、センサ情報取得部51により運動情報であるセンサ情報が取得された際に、動作の開始点及び終了時点を特定する。
これにより、運動解析装置2においては、リアルタイムで動作を特定することができる。
【0077】
運動解析装置2は、スイング特定処理部52によって特定された一連の動作の開始時点及び終了時点を含む範囲の運動情報であるセンサ情報を外部装置に送信する通信部20-2を更に備える。
これにより、運動解析装置2においては、記憶や送信に係るデータ量を減らすことができる。
【0078】
スイング特定処理部52は、対象者の動作開始のタイミングを変更することができ、特定された動作開始のタイミングから遡ったタイミングを動作の開始時点として変更する。
これにより、運動解析装置2においては、アドレスを特定することができる。
【0079】
対象者の動作は、少なくともダウンスイングを含むスイング動作である。
スイング特定処理部52は、運動情報と所定の閾値に基づいて、対象者のダウンスイングのタイミングを特定し、ダウンスイングが特定された場合、ダウンスイングが特定されたタイミングから所定時間経過したタイミングを対象者の動作の終了時点として特定する。
これにより、運動解析装置2においては、ダウンスイングを特定することができる。
【0080】
スイング特定処理部52は、対象者の動作開始のタイミングが特定され、且つ対象者によるダウンスイングのタイミングが特定されない場合、特定に係る処理を中止する。
これにより、運動解析装置2においては、ダウンスイングが特定されない場合は、処理の途中で、処理を中止することができる。
【0081】
所定の閾値は、ユーザにより設定される値、又は過去にセンシングされた運動情報に基づいて設定される値を含む。
これにより、運動解析装置2においては、個別のユーザ設定を反映させたり、スイングの履歴から自動的に値を設定したりすることができる。
【0082】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0083】
上述の実施形態では、閾値Dの値については、ノイズデータと実際のスイングとの統計によって決定しているが、(フィルタ処理後の)ノイズ、センサ特性、ユーザの傾向を考慮して、値を変更させるようにしてもよい。
また、閾値Dとの交点の回数については、ノイズデータと実際のスイングとの統計によって決定しており、具体的には、ダウンスイングの検出が早かったり、フィニッシュの動作を含んだりすると多く検出されるために、本実施形態においては、2回を規定値としているが、範囲を持たせて、例えば5回~10回以下としてもよい。また、交点がないスイングがないため、少なくとも最低1回以上とするようにしてもよいし、多彩なスイングのバリエーションを考慮して10回を超えて設定するように構成してもよい。また、ダウンスイングの検出が早かったり、フィニッシュの動作を含んだりした場合を検出できたときには、回数を増加させるように構成してもよい。
【0084】
また、上述の実施形態では、(強度、回数、時間等の)閾値の値を、統計データから導き出した値により規定するよう構成したが、ユーザにより個人のスイングの傾向に応じて任意に閾値を変更できるように構成してもよい。
【0085】
また、上述の実施形態では、(強度、回数、時間等の)閾値の値を、統計データから導き出した値により規定するよう構成したが、本実施形態によるスイング検出の前に、プレーヤーにマーカを付けて撮像し、その画像に対して画像解析を行うことでスイング動作を解析したデータ(動作リズムや動作速度)に応じて、閾値を設定するように構成してもよい。このとき、画像解析の手法は公知慣用の一般的な技術を用いる。
【0086】
また、上述の実施形態では、(強度、回数、時間等の)閾値の値を、統計データから導き出した値により規定するよう構成したが、ユーザにより個人のスイングの傾向に応じて任意に閾値を変更できるように構成してもよい。
【0087】
また、上述の実施形態では、スイング特定処理を運動解析装置2で実行したが、センサユニット1や外部サーバ等で実行するように構成してもよい。
【0088】
また、上述の実施形態では、センサユニット1は、運動解析装置2とは別体で構成したが、運動解析装置2の一部であってもよい。
【0089】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される運動解析装置2は、スマートフォンを例として説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、本発明は、スイング特定処理機能を有する電子機器一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータ、プリンタ、テレビジョン受像機、ビデオカメラ、携帯型ナビゲーション装置、携帯電話機、デジタルカメラ、スマートウォッチ、ポータブルゲーム機等に適用可能である。
【0090】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図5の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が運動解析装置2に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図5の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
本実施形態における機能的構成は、演算処理を実行するプロセッサによって実現され、本実施形態に用いることが可能なプロセッサには、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものを含む。
【0091】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0092】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図3のリムーバブルメディア31-2により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア31は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図3のROM12-2や、図3の記憶部19-2に含まれるハードディスク等で構成される。
【0093】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段などより構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0094】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0095】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
対象者に取り付けられ、当該対象者による一連の動作をセンシングするセンサ装置から、運動情報を取得する取得手段と、
前記運動情報から運動量の最大値又は最小値の時点を検出せずに、前記取得手段により取得された前記運動情報と所定の閾値とに基づいて、前記動作の開始時点及び終了時点を特定する第1の特定手段と、
を備えることを特徴とする運動解析装置。
[付記2]
前記第1の特定手段により特定された前記開始時点及び前記終了時点の間の時間範囲が有効であるか否かを判定する判定手段を更に備える、
ことを特徴とする付記1に記載の運動解析装置。
[付記3]
前記運動情報は、前記運動量として角速度又は加速度の情報を含み、
前記判定手段は、前記第1の特定手段により特定された前記開始時点及び前記終了時点の間の時間範囲において、前記角速度又は前記加速度が所定の閾値を所定の回数超える場合、前記時間範囲が有効であると判定する、
ことを特徴とする付記2に記載の運動解析装置。
[付記4]
前記対象者による一連の動作は特定の姿勢を含み、
前記判定手段は、前記運動情報における前記時間範囲において前記特定の姿勢が含まれる場合、前記時間範囲が有効であると判定する、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の運動解析装置。
[付記5]
前記判定手段は、前記運動情報における前記時間範囲において前記運動量の最大値又は最小値の時点が含まれる場合、前記時間範囲が有効であると判定する、
ことを特徴とする付記2乃至4の何れか1つに記載の運動解析装置。
[付記6]
前記判定手段は、前記動作の開始時点から前記終了時点までの経過時間が所定の長さを超える場合、前記第一の範囲が無効であると判定する、
ことを特徴とする付記2乃至5の何れか1つに記載の運動解析装置。
[付記7]
前記取得手段は、前記センサ装置によるセンシング毎にリアルタイムで前記運動情報を取得し、
前記第1の特定手段は、前記取得手段により前記運動情報が取得された際に、前記動作の開始点及び終了時点を特定する、
ことを特徴とする付記1乃至6の何れか1つに記載の運動解析装置。
[付記8]
前記第1の特定手段によって特定された一連の動作の開始時点及び終了時点を含む範囲の運動情報を外部装置に送信する送信手段を更に備える、
ことを特徴とする付記1乃至7の何れか1つに記載の運動解析装置。
[付記9]
前記第1の特定手段により特定される前記対象者の動作開始のタイミングを変更する第1の変更手段を更に備え、
前記第1の変更手段は、前記第1の特定手段により特定された動作開始のタイミングから所定時間遡ったタイミングを動作の開始時点として変更する、
ことを特徴とする付記1乃至8の何れか1つに記載の運動解析装置。
[付記10]
前記対象者の動作は、少なくともダウンスイングを含むスイング動作であり、
前記運動情報と前記所定の閾値に基づいて、前記対象者のダウンスイングを特定する第2の特定手段を備え、
前記第1の特定手段は、前記第2の特定手段により前記ダウンスイングが特定された場合、前記ダウンスイングが特定されたタイミングから所定時間経過したタイミングを前記対象者の動作の終了時点として特定する、
ことを特徴とする付記1乃至9の何れか1つに記載の運動解析装置。
[付記11]
前記第1の特定手段は、前記対象者の動作開始のタイミングが特定され、且つ前記対象者によるダウンスイングのタイミングが特定されない場合、特定に係る処理を中止する、
ことを特徴とする付記10に記載の運動解析装置。
[付記12]
前記所定の閾値は、ユーザにより設定される値、又は過去にセンシングされた運動情報に基づいて設定される値を含む、
ことを特徴とする付記1乃至11の何れか1つに記載の運動解析装置。
[付記13]
運動解析装置で実行される運動解析方法であって、
対象者に取り付けられ、当該対象者の一連の動作をセンシングするセンサ装置から、運動情報を取得する取得ステップと、
前記運動情報から運動量の最大値又は最小値の時点を検出せずに、前記取得ステップにより取得された前記運動情報と所定の閾値とに基づいて、前記動作の開始時点及び終了時点を特定する特定ステップと、
を含むことを特徴とする運動解析方法。
[付記14]
運動解析装置を制御するコンピュータを、
対象者に取り付けられ、当該対象者の一連の動作をセンシングするセンサ装置から、運動情報を取得する取得手段、
前記運動情報から運動量の最大値又は最小値の時点を検出せずに、前記取得手段により取得された前記運動情報と所定の閾値とに基づいて、前記動作の開始時点及び終了時点を特定する特定手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0096】
1・・・運動解析装置,2・・・センサユニット,11・・・CPU,12・・・ROM,13・・・RAM,14・・・バス,15・・・入出力インターフェース,16・・・センサ部,17・・・入力部,18・・・出力部,19・・・記憶部,20・・・通信部,21・・・ドライブ,22・・・撮像部,31・・・リムーバブルメディア,51・・・センサ情報取得部,52・・・スイング特定処理部,71・・・センサ情報記憶部,S・・・運動解析システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9