IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧 ▶ 国立大学法人 千葉大学の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】植物栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
A01G7/00 603
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018088079
(22)【出願日】2018-05-01
(65)【公開番号】P2019193582
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-02-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.発行者名 国立大学法人千葉大学 刊行物名 千葉大学 大学院園芸学研究科 環境園芸学専攻 生物資源科学コース 生物生産環境学領域 平成29年度修士論文審査発表会講演要旨集 発行年月日 平成30年2月14日 2.集会名 千葉大学 大学院園芸学研究科 環境園芸学専攻 生物資源科学コース 生物生産環境学領域 平成29年度修士論文審査発表会 開催場所 国立大学法人千葉大学 松戸キャンパス E棟103号室(千葉県松戸市松戸648) 開催日 平成30年2月14日 3.発行者名 国立大学法人千葉大学 刊行物名 千葉大学 園芸学部 園芸学科 平成29年度生物生産環境学プログラム 卒業論文発表会講演要旨集 発行年月日 平成30年2月16日 4.集会名 千葉大学 園芸学部 園芸学科 平成29年度生物生産環境学プログラム 卒業論文発表会 開催場所 国立大学法人千葉大学 松戸キャンパス E棟103号室(千葉県松戸市松戸648) 開催日 平成30年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】泉野 有司
(72)【発明者】
【氏名】湯本 学
(72)【発明者】
【氏名】安井 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】片岡 麻子
(72)【発明者】
【氏名】玉置 貴康
(72)【発明者】
【氏名】的場 ちさと
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英司
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-053903(JP,A)
【文献】特開2016-198054(JP,A)
【文献】特開2015-202056(JP,A)
【文献】特開2012-000061(JP,A)
【文献】特開2016-058293(JP,A)
【文献】特開2013-150636(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0245565(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0289211(US,A1)
【文献】国際公開第2012/073520(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/017150(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列の畝に植えられた栽培植物のうち、複数の株から構成される対象群落に照射光を照射する照射体と、
夜間において 前記照射体によって照射された前記対象群落を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された夜間の撮像画像のうち、前記対象群落における繁茂状態の領域である被覆領域を判別する判別部と、が備えられている植物栽培装置。
【請求項2】
一列の畝に植えられた栽培植物のうち、複数の株から構成される対象群落に照射光を照射する照射体と、
前記照射体によって照射された前記対象群落を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された撮像画像のうち、前記対象群落における繁茂状態の領域である被覆領域を判別する判別部と、が備えられ、
前記判別部は、前記対象群落のうち左右一端部に位置する前記栽培植物の生長度合いが他の前記栽培植物の生長度合いと比較して予め設定された範囲から外れる場合、前記左右一端部に位置する前記栽培植物を前記被覆領域の判別に含めない植物栽培装置。
【請求項3】
一列の畝に植えられた栽培植物のうち、複数の株から構成される対象群落に照射光を照射する照射体と、
前記照射体によって照射された前記対象群落を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された撮像画像のうち、前記対象群落における繁茂状態の領域である被覆領域を判別する判別部と、が備えられ、
前記撮像手段が撮像する前記対象群落は、一列の畝の長手方向の端部に位置し、
前記判別部は、前記対象群落のうち、最も前記端部の位置する側寄りに位置する前記栽培植物を前記被覆領域の判別に含めない植物栽培装置。
【請求項4】
前記照射体に、前記対象群落以外の前記栽培植物に前記照射光が照射されないように前記照射光の拡散を抑制する制限部が設けられている請求項1から3の何れか一項に記載の植物栽培装置。
【請求項5】
前記照射体は、複数備えられ、かつ、前記対象群落よりも前記撮像手段の位置する側において、前記対象群落に前記照射光を異なる方向から照射する状態に、夫々異なる位置に配置される請求項1から4の何れか一項に記載の植物栽培装置。
【請求項6】
前記被覆領域に基づいて前記対象群落における前記栽培植物の生長高さを算出し、前記生長高さに基づいて前記栽培植物の生育指標を算出する生育診断部が更に備えられている請求項1から5の何れか一項に記載の植物栽培装置。
【請求項7】
一列の畝に植えられた栽培植物のうち、複数の株から構成される対象群落に照射光を照射する照射ステップと、
夜間において 前記照射ステップによって照射された前記対象群落を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップによって取得された夜間の撮像画像のうち、前記対象群落における繁茂状態の領域である被覆領域を判別する判別ステップと、を有する植物栽培方法。
【請求項8】
一列の畝に植えられた栽培植物のうち、複数の株から構成される対象群落に照射光を照射する照射機能と、
夜間において 前記照射機能によって照射された前記対象群落を撮像する撮像機能と、
前記撮像機能によって取得された夜間の撮像画像のうち、前記対象群落における繁茂状態の領域である被覆領域を判別する判別機能と、をコンピュータに実現させるための植物栽培プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培植物に照射光を照射する照射体と、照射体によって照射された栽培植物を撮像する撮像手段と、が備えられた植物栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、複数の照明体(文献では「照明部11」)と、栽培対象(文献では符号「91」)を撮像する撮像手段(文献では「撮像部12」)と、栽培対象の繁茂状態の領域(文献では「葉緑体の存在領域」)を判別する判別部(文献では「葉緑体検出部133」)と、が備えられた植物栽培装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-5453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1における照明部は、栽培対象の一つ一つに照射光を照射する構成であるため、一列の畝に植えられた栽培植物の纏まった群落を全体的に照射する構成となっておらず、複数の株が一体的に繁茂する状態の全体的な繁茂状態を撮像するには改善の余地があった。
【0005】
上述した実情に鑑みて、本発明は、対象群落の全体的な繁茂状態を効率よく撮像可能な植物栽培装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による植物栽培装置は、
一列の畝に植えられた栽培植物のうち、複数の株から構成される対象群落に照射光を照射する照射体と、
夜間において前記照射体によって照射された前記対象群落を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された夜間の撮像画像のうち、前記対象群落における繁茂状態の領域である被覆領域を判別する判別部と、が備えられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、照射体が複数の株に対して照射光を照射するため、対象群落における複数の株が一体的に繁茂する場合であっても、撮像手段は全体的な繁茂状態を撮像可能となる。これにより、対象群落の全体的な繁茂状態を効率よく撮像可能な植物栽培装置が実現される。
【0008】
また、本発明に係る植物栽培装置の技術的特徴は、植物栽培プログラムや植物栽培方法にも適用可能であり、そのため、本発明は、そのような方法やプログラムも権利の対象とすることができる。なお、植物栽培プログラムが記憶された光ディスクやフラッシュメモリ等の記憶媒体も権利の対象とすることができる。
【0009】
その場合における植物栽培方法は、
一列の畝に植えられた栽培植物のうち、複数の株から構成される対象群落に照射光を照射する照射ステップと、
夜間において前記照射ステップによって照射された前記対象群落を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップによって取得された夜間の撮像画像のうち、前記対象群落における繁茂状態の領域である被覆領域を判別する判別ステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
また、その場合における植物栽培プログラムは、
一列の畝に植えられた栽培植物のうち、複数の株から構成される対象群落に照射光を照射する照射機能と、
夜間において前記照射機能によって照射された前記対象群落を撮像する撮像機能と、
前記撮像機能によって取得された夜間の撮像画像のうち、前記対象群落における繁茂状態の領域である被覆領域を判別する判別機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とする。
【0011】
本構成において、
前記照射体に、前記対象群落以外の前記栽培植物に前記照射光が照射されないように前記照射光の拡散を抑制する制限部が設けられていると好適である。
【0012】
照射光が一列の畝の範囲を超えて拡散すると、対象群落と別の栽培植物まで照射され、判別部は別の栽培植物の繁茂状態を誤って判別する虞がある。本構成であれば、制限部によって照射光が対象群落に絞られるため、判別部は誤判定することなく対象群落の繁茂状態を判別できる。
【0013】
本構成において、
前記照射体は、複数備えられ、かつ、前記対象群落よりも前記撮像手段の位置する側において、前記対象群落に前記照射光を異なる方向から照射する状態に、夫々異なる位置に配置されると好適である。
【0014】
本構成であれば、複数の照射体が夫々異なる方向から対象群落を照射するため、撮像手段が撮像する方向において栽培植物に影が映り難くなる。このため、判別部は対象群落の繁茂状態を一層好適に判別できる。
【0015】
本発明による植物栽培装置の別の特徴構成は
一列の畝に植えられた栽培植物のうち、複数の株から構成される対象群落に照射光を照射する照射体と、
前記照射体によって照射された前記対象群落を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された撮像画像のうち、前記対象群落における繁茂状態の領域である被覆領域を判別する判別部と、が備えられ、
前記判別部は、前記対象群落のうち左右一端部に位置する前記栽培植物の生長度合いが他の前記栽培植物の生長度合いと比較して予め設定された範囲から外れる場合、前記左右一端部に位置する前記栽培植物を前記被覆領域の判別に含めない点にある。
【0016】
対象群落のうち左右一端部に位置する栽培植物は、一列の畝の最も端部寄りに位置することが考えられ、一列の畝の最も端部寄りに位置する栽培植物は、他の栽培植物と比較して生長度合いが異なる場合がある。本構成であれば、対象群落の夫々の栽培植物の生長度合いを比較可能なように構成されているため、対象群落のうち左右一端部に位置する栽培植物が、一列の畝の最も端部寄りに位置することを推定できる。このため、左右一端部に位置する栽培植物を被覆領域の判別に含めないことによって、対象群落に基づく栽培植物の全体的な生長度合いを精度良く診断できる。
【0017】
本発明による植物栽培装置の別の特徴構成は
一列の畝に植えられた栽培植物のうち、複数の株から構成される対象群落に照射光を照射する照射体と、
前記照射体によって照射された前記対象群落を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって取得された撮像画像のうち、前記対象群落における繁茂状態の領域である被覆領域を判別する判別部と、が備えられ、
前記撮像手段が撮像する前記対象群落は、一列の畝の長手方向の端部に位置し、
前記判別部は、前記対象群落のうち、最も前記端部の位置する側寄りに位置する前記栽培植物を前記被覆領域の判別に含めない点にある。
【0018】
一列の畝の最も端部寄りに位置する栽培植物は、他の栽培植物と比較して生長度合いが異なる場合がある。本構成であれば、対象群落の夫々の栽培植物の生長度合いを比較可能なように構成されているため、対象群落のうち左右一端部に位置する栽培植物が、一列の畝の最も端部寄りに位置することを推定できる。このため、左右一端部に位置する栽培植物を被覆領域の判別に含めないことによって、対象群落に基づく栽培植物の全体的な生長度合いを精度良く診断できる。
【0019】
本構成において、
前記被覆領域に基づいて前記対象群落における前記栽培植物の生長高さを算出し、前記生長高さに基づいて前記栽培植物の生育指標を算出する生育診断部が更に備えられていると好適である。
【0020】
本構成であれば、対象群落の栽培植物の生長度合いを生育指標として数値化することによって、栽培植物の生長度合いを容易に診断できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】栽培施設の内部全体を示す平面図である。
図2】栽培施設の内部全体を示す側面図である。
図3】栽培施設の広域撮像領域の撮像を示す平面図である。
図4】栽培施設の広域撮像領域の撮像を示す側面図である。
図5】栽培施設の群落撮像領域の撮像を示す平面図である。
図6】栽培施設の群落撮像領域の撮像を示す側面図である。
図7】植物栽培システムの構成を示すブロック図である。
図8】二点間の距離のキャリブレーションを示す斜視図である。
図9】生育段階に対応したキャリブレーションを示す図である。
図10】被覆率を示す平面図である。
図11】傾斜被覆率を示す斜視図である。
図12】栽培植物の草丈の算出のフローチャートを示す図である。
図13】画像データの座標変換及び草丈の算出を示す説明図である。
図14】草丈の算出のヒストグラムを示すグラフ図である。
図15】栽培施設における照射体の照射を示す平面図である。
図16】栽培施設における照射体の照射を示す側面図である。
図17】照射体の構成を示す斜視図である。
図18】栽培植物の果房と蓄光クリップとを示す側面図である。
図19】果房間の距離の算出のフローチャートを示す図である。
図20】葉面積指数の算出のフローチャートを示す図である。
図21】葉面積指数の算出で区切られた領域を示す栽培植物の側面図である。
図22】生育段階に応じた算出項目のタイムチャートを示す図である。
図23】水ストレス算定部の構成を示すブロック図である。
図24】水ストレス状態の指標の推移を時系列で示すグラフ図である。
図25】葉面積に基づく水ストレス状態の指標化を示す説明図である。
図26】葉の広がりに基づく水ストレス状態の指標化を示す説明図である。
図27】高周波成分に基づく水ストレス状態の指標化を示す説明図である。
図28】枝葉の位置及び形状に基づく水ストレス状態の指標化を示す説明図である。
図29】茎や枝の曲率に基づく水ストレス状態の指標化を示す説明図である。
図30】栽培植物の集合体の草丈に基づく水ストレス状態の指標化を示す説明図である。
図31】果房の高さ位置に基づく水ストレス状態の指標化を示す説明図である。
図32】キャリブレーション治具の別形態を示す図である。
図33】別形態のキャリブレーション治具の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔全体構成〕
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、図1に示されているような園芸施設1に、栽培植物を植えるための畝A(1)~A(8)が縦横に並ぶ状態で設けられている。夫々の畝Aの間は栽培植物の管理者が通行可能な通路となっている。園芸施設1は、例えばビニールハウスであったり、太陽光利用型の植物工場であったりする。
夫々の畝Aは、例えば無孔性親水性フィルムで構成され、夫々の畝Aに、栽培植物として、例えばトマトが植えられる。図1及び図2に示されるように、園芸施設1の内部のうち、栽培植物が植えられる畝Aの上方に、撮像手段としての八台の定点カメラCaと、六個の照射体Lと、が天井から吊り下げられた状態で備えられている。夫々の定点カメラCaは、例えばCCD素子やCMOS素子を有し、肉眼で視覚可能な可視光を撮像可能なように構成され、撮像画像としての撮像データVを生成する。また、夫々の定点カメラCaは、回転自在に撮像アングルを変更できるように構成されている。なお、定点カメラCaの数と、照射体Lの数と、は適宜変更可能である。
【0023】
図示はされていないが、他にも、園芸施設1に、環境センサ、側窓、遮光カーテン、ヒートポンプ式の空調設備、灌水設備等が備えられている。点線Ghは、栽培植物の草丈が最大高さとなる基準位置であり、点線Ghの高さ付近から、栽培植物の茎を誘引するための誘引紐が垂下する。夫々の定点カメラCaと、夫々の照射体Lと、は点線Ghよりも高い位置に設けられている。夫々の照射体Lの高さ位置は略同じとなっている。定点カメラCa(1),Ca(2),Ca(3),Ca(6)は、定点カメラCa(4),Ca(5),Ca(7),Ca(8)よりも園芸施設1の中央側寄りに設けられ、かつ、定点カメラCa(4),Ca(5),Ca(7),Ca(8)よりも高い位置に設けられている。
【0024】
園芸施設1の一方側寄りに並列に並ぶ一群の畝A(1)~A(4)の略中央に、定点カメラCa(2)が設けられている。また、園芸施設1の他方側寄りに並列に並ぶ一群の畝A(5)~A(8)の略中央に、定点カメラCa(1)が設けられている。図3及び図4に示されるように、園芸施設1の一方側寄りに位置する一群の畝A(1)~A(4)が広域撮像領域P1として設定され、広域撮像領域P1が、園芸施設1の他方側寄りに設けられている定点カメラCa(1)によって撮像される。このことから、広域撮像領域P1の撮像データVに、一群の畝A(1)~A(4)の栽培植物の集合体が映し出される。また、図示はされていないが、園芸施設1の他方側寄りに位置する一群の畝A(5)~A(8)が、広域撮像領域P1とは別の広域撮像領域P1bとして設定され、この広域撮像領域P1bが、園芸施設1の一方側寄りに設けられている定点カメラCa(2)によって撮像される。このことから、定点カメラCa(2)によって撮像された撮像データVに、一群の畝A(5)~A(8)の栽培植物の集合体が映し出される。つまり、夫々の定点カメラCa(1),Ca(2)は、点線Ghの高さよりも十分高い位置に設けられている。このため、定点カメラCa(1)は一群の畝A(1)~A(4)の栽培植物を俯瞰する視点から撮像でき、定点カメラCa(2)は一群の畝A(5)~A(8)の栽培植物を俯瞰する視点から撮像できる。なお、この記載以降、広域撮像領域P1に関する記載は、広域撮像領域P1bにも同様に当てはまる記載である。
【0025】
図5及び図6に示されるように、定点カメラCa(7),Ca(8)が園芸施設1の壁際に設けられている。夫々の定点カメラCa(7),Ca(8)は、畝A(6)の長手方向の端部うち、園芸施設1の壁際の位置する側の端部の群落撮像領域P2を、園芸施設1の壁際から撮像する。夫々の定点カメラCa(7),Ca(8)の撮像によって取得される撮像データVは、群落撮像領域P2における栽培植物の斜視図となる。また、定点カメラCa(4),Ca(5)が、園芸施設1の壁際のうち、定点カメラCa(7),Ca(8)の位置する側と反対側の壁際に設けられている(図1及び図2参照)。図示はされていないが、夫々の定点カメラCa(4),Ca(5)は、畝A(2)の長手方向の端部うち、園芸施設1の壁際の位置する側の端部の群落撮像領域P3を、園芸施設1の壁際から撮像する。夫々の定点カメラCa(4),Ca(5)の撮像によって取得される撮像データVは、群落撮像領域P3における栽培植物の斜視図となる。
【0026】
夫々の定点カメラCa(4),Ca(5),Ca(7),Ca(8)の位置は、定点カメラCa(1),Ca(2)の位置よりも低く設定され、定点カメラCa(1),Ca(2)の撮像対象よりも近い群落撮像領域P2,P3の栽培植物を撮像対象としている。つまり、定点カメラCa(1),Ca(2)は、複数の畝Aにおける栽培植物の集合体を全体的に撮像するが、これに対して定点カメラCa(4),Ca(5),Ca(7),Ca(8)は、一列の畝Aの一部分における数株程度の栽培植物を、対象群落として至近距離で撮像する。なお、定点カメラCa(4),Ca(5),Ca(7),Ca(8)は、アングルを変更して複数の畝Aに亘る栽培植物を全体的に撮像することも可能である。例えば、定点カメラCa(4),Ca(5)のアングルが水平方向に変更されると、一群の畝A(1)~A(4)が定点カメラCa(4),Ca(5)によって撮像可能となる。同様に、定点カメラCa(7),Ca(8)のアングルが水平方向に変更されると、一群の畝A(5)~A(8)が定点カメラCa(7),Ca(8)によって撮像可能となる。
【0027】
定点カメラCa(3)は、畝A(2)の長手方向の端部のうち、園芸施設1の壁際の位置する側の端部の群落撮像領域P3の真上に設けられている。定点カメラCa(3)は、群落撮像領域P3の栽培植物を真上から平面視で撮像する。また、図5及び図6に示されていないが、定点カメラCa(6)(図1及び図2参照)は、畝A(6)の長手方向の端部のうち、園芸施設1の壁際の位置する側の端部の群落撮像領域P2の真上に設けられている。定点カメラCa(6)は、群落撮像領域P2の栽培植物を真上から平面視で撮像する。
【0028】
このように、群落撮像領域P2の栽培植物は、定点カメラCa(6),Ca(7),Ca(8)によって三方向から撮像され、群落撮像領域P3の栽培植物は、定点カメラCa(3),Ca(4),Ca(5)によって三方向から撮像される。
【0029】
〔装置構成〕
図7に示されるように、園芸施設1で、定点カメラCaによって撮像された撮像データVと、環境検出部10で測定された環境状態がデータ化された環境状態データEと、が広域通信網WAN(Wide Area Network)を介して管理コンピュータ2に送信される。特に図示はされていないが、園芸施設1と管理コンピュータ2との夫々に、広域通信網WANにアクセス可能な通信手段が備えられている。
【0030】
園芸施設1の環境検出部10に、日射量センサ10Aと、温度センサ10Bと、湿度センサ10Cと、二酸化炭素濃度センサ10Dと、が接続されている。日射量センサ10Aは、園芸施設1における栽培植物に降り注ぐ太陽光の日射量を測定する。温度センサ10Bは、園芸施設1において栽培植物が栽培される室内の気温を測定する。湿度センサ10Cは、園芸施設1において栽培植物が栽培される室内の湿度を測定する。二酸化炭素濃度センサ10Dは、園芸施設1において栽培植物が栽培される室内の二酸化炭素濃度を測定する。即ち、環境検出部10は、栽培植物が栽培される園芸施設1の環境を測定可能なように構成されている。
【0031】
園芸施設1に、管理報知部11が備えられており、管理報知部11は、園芸施設1において栽培植物に対する人的な栽培管理の情報を管理コンピュータ2に送信可能なように構成されている。栽培植物に対する人的な栽培管理として、例えば、灌水作業、つる下ろし作業、摘葉作業、等が例示される。つまり、管理者がこれらの作業を行う前、又は、これらの作業を行った後に、管理報知部11を操作することによって、これらの作業に関する情報が管理コンピュータ2に送信される。
【0032】
管理コンピュータ2に、判別部としての判定部21と、水ストレス算定部22と、生育診断部23と、記憶部24と、が備えられている。定点カメラCaによって栽培植物が撮像されると、撮像データVの色情報等に基づいて枝葉や茎の領域が、判定部21によって判定される。枝葉や茎の領域の判定は、RGBデータに基づいて行われるものであっても良いし、YUVデータに基づいて行われるものであっても良い。但し、本実施形態では、天候や時間帯の変化に伴う明暗の変化に対応するため、枝葉や茎の領域の判定は、YUVデータに基づいて行われるのが望ましい。撮像データVのうち、枝葉や茎を有する領域が栽培植物の繁茂領域、即ち被覆領域と判定される。また、管理報知部11によって送信された情報が判定部21に取り込まれ、撮像データVに、灌水作業、つる下ろし作業、摘葉作業、等の情報も付加される。
【0033】
栽培植物が、例えばトマトである場合、栽培植物に水ストレスを与えることにより、高糖度なトマトを収穫できることが当業者に知られている。栽培植物に与える水ストレスは、水ストレス算定部22によって管理される。水ストレス算定部22は、栽培植物における複数の視覚的特徴と、環境検出部10から受信した環境状態データEと、天候情報3と、に基づいて、栽培植物の水ストレス状態WSを指標化する。ここで、栽培植物における複数の視覚的特徴は、定点カメラCaによって撮像された栽培植物の撮像データVから解析される。天候情報3は、例えば気象機関や気象情報会社から広域通信網WANを介して得られる気象の電子情報である。
【0034】
本実施形態で水ストレス状態WSとは、栽培植物に含まれる水分の減少によって、枝葉や茎が萎れる状態をいう。即ち、栽培植物の萎れ度合い及び萎れの進行確率が、水ストレス状態WSとして数値化される。生育診断部23は、定点カメラCaによって撮像された撮像データVにおける被覆領域の割合に基づいて、栽培植物の生育指標Giを算出することによって、栽培植物の生育度合いを診断する。記憶部24は、例えばRAM(Random Access Memory)やハードディスクであり、撮像データV、環境状態データE、解析結果や診断結果等を記憶可能なように構成されている。
【0035】
園芸施設1に、栽培植物に灌水を行うための灌水制御部14と、灌水装置15と、が備えられている。水ストレス算定部22によって指標化された水ストレス状態WSのデータは広域通信網WANを介して灌水制御部14に送信され、灌水制御部14は、水ストレス状態WSのデータに基づいて灌水装置15に灌水指示信号Irを送信する。灌水装置15は、灌水制御部14の灌水指示信号Irを受信すると灌水バルブ(不図示)を開弁して栽培植物に水を供給する。なお、灌水制御部14の灌水指示信号Irは、電圧値や電流値であって良い。また、灌水制御部14が管理コンピュータ2に備えられ、灌水指示信号Irが広域通信網WANを介して灌水装置15に送信される構成であっても良い。
【0036】
また、園芸施設1に施肥制御部17と施肥装置18とが備えられている。生育診断部23によって算出された生育指標Giのデータは広域通信網WANを介して施肥制御部17に送信され、施肥制御部17は、生育指標Giのデータに基づいて施肥装置18に施肥指示信号Frを送信する。施肥装置18は、施肥制御部17の施肥指示信号Frを受信すると、施肥バルブ(不図示)を開弁して肥料を供給する。肥料の供給は、例えば灌水装置15によって栽培植物に供給される水と混合された状態で行われても良い。この構成によって、施肥制御部17の施肥指示信号Frに基づく施肥量の調整が可能となる。また、肥料には主に窒素が含まれる。なお、肥料の成分は窒素に限定されず、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が含まれても良い。また、施肥制御部17が管理コンピュータ2に備えられ、施肥指示信号Frが広域通信網WANを介して灌水装置15に送信される構成であっても良い。
【0037】
園芸施設1に、施設環境機器制御部19と、複数の施設環境機器19A,19B,19C,19Dと、が備えられている。複数の施設環境機器19A,19B,19C,19Dは、例えば天窓や側窓、二酸化炭素発生器、換気扇や循環扇、ヒートポンプ空調、蓄熱装置、殺菌装置、等である。また、施設環境機器19A,19B,19C,19Dは四個に限定されず、必要に応じて単数又は複数の機器で構成されて良い。施設環境機器制御部19は、生育指標Giのデータに基づいて施設環境機器19A,19B,19C,19Dの夫々に、任意の指示信号を送信する。これにより、上述に例示された施設環境機器19A,19B,19C,19Dが適切に稼働し、園芸施設1の温度や湿度等が適切に管理される。また、施設環境機器制御部19が管理コンピュータ2に備えられ、施設環境機器19A,19B,19C,19Dに対する指示信号が、広域通信網WANを介して送信される構成であっても良い。
【0038】
園芸施設1に、出力報知部16が備えられている。出力報知部16は、灌水制御部14と、施肥制御部17と、施設環境機器制御部19と、から信号を受信可能なように接続されている。例えば、水ストレス状態WSや生育指標Giが、出力報知部16によって栽培植物の管理者に報知される構成となっている。出力報知部16は、園芸施設1に備えられたブザーや音声案内であったり、画面に表示されるものであったり、LED報知機の点灯や点滅であったりしても良い。また、出力報知部16から端末4に送信される構成であっても良く、端末4は、例えば携帯電話や携帯パソコンや車載端末やスマートウォッチ等であって良い。
【0039】
図7に示されるように、生育診断部23では、栽培植物の繁茂量に基づいて算出される被覆率Br及び傾斜被覆率Crと、栽培植物の草丈と、栽培植物に着花した夫々の果房間の距離と、栽培植物の果房間ごとに区切られた領域の葉面積に基づく葉面積指数LAIと、が生育指標Giの要素として算出される。本実施形態では、栽培植物の草丈や果房間の距離を、撮像データVから算出するため、二点間の距離を算出可能なように、下記のキャリブレーション処理が行われる。
【0040】
〔キャリブレーション処理〕
撮像データVに基づく二点間の距離のキャリブレーションに、図8に示されているようなキャリブレーション用治具5が用いられる。キャリブレーション用治具5に、上下方向に伸びる一対の縦柱部51と、一対の縦柱部51に亘って横架する横架部52と、が備えられている。本実施形態では、縦柱部51は夫々200センチメートルの長さに設定され、横架部52は60センチメートルの長さに設定されている。そして、縦柱部51及び横架部52に、例えば20センチメートルの間隔で基準マーカ53が設けられている。なお、縦柱部51及び横架部52の長さは適宜変更可能であり、基準マーカ53が設けられる間隔も適宜変更可能である。
【0041】
キャリブレーション用治具5が、例えば畝A(2)の群落撮像領域P3に配置されると、定点カメラCa(4),Ca(5)によって群落撮像領域P3が撮像される。群落撮像領域P3の撮像データVにキャリブレーション用治具5が表示され、キャリブレーション用治具5に含まれる四隅の基準マーカ53a,53b,53c,53dに基づいて、撮像データVにおける二点間の距離が夫々定義される。また、キャリブレーション用治具5が、畝A(6)の群落撮像領域P2に配置されると、定点カメラCa(7),Ca(8)によって群落撮像領域P2が撮像される。そして、群落撮像領域P2の撮像データVにキャリブレーション用治具5が表示され、キャリブレーション用治具5に含まれる四隅の基準マーカ53a,53b,53c,53dに基づいて、撮像データVにおける二点間の距離が夫々定義される。これにより、撮像データVに基づく二点間の距離のキャリブレーションは完了する。
【0042】
植物栽培は生育段階によって形状が異なるため、キャリブレーションは、複数の生育段階に対応して行われる。本実施形態では、生育初期の段階と、生育中期の段階と、生育後期の段階と、の三段階に対応したキャリブレーションが行われる。本実施形態では、栽培植物としてトマトを例示している。このことから、図9に示されるように、生育初期の段階では、畝Aから茎が上に伸びることを前提に、キャリブレーション用治具5が畝Aから直上に立ち上がる状態でキャリブレーション処理が行われる。生育中期の段階では、栽培植物の茎を誘引体としての誘引紐54に誘引する。
【0043】
本実施形態では、誘引紐54は、畝Aから通路側に位置ずれしているため、誘引紐54に誘引された栽培植物が通路側に傾斜する。このため、キャリブレーション用治具5が誘引紐54に取り付けられて、畝Aと誘引紐54とに亘ってキャリブレーション用治具5が傾斜する状態でキャリブレーション処理が行われる。更に、生育後期の段階では、誘引紐54に誘引された栽培植物のつる下ろしが行われる。このため、キャリブレーション用治具5が誘引紐54から垂下してキャリブレーション用治具5の下端が畝Aの外側に位置する状態でキャリブレーション処理が行われる。
【0044】
このように、生育段階に対応して複数パターンのキャリブレーション処理が行われるため、生育段階が変化しても、撮像データVに基づく二点間の距離の精度が向上する。なお、上述したキャリブレーション処理は、栽培植物が畝Aに定植される前に行われるのが望ましい。なお、キャリブレーション用治具5は、上記のものに限られるものではない。例えば、図32に示すものでもよい。このキャリブレーション用治具5は、ワイヤ51’にマーカ53’を設けることにより構成されている。このキャリブレーション治具5は、図33に示すように、ワイヤ51’を誘引紐54に沿わせて配置することができる。
【0045】
〔被覆率及び傾斜被覆率の算出〕
判定部21による枝葉の領域の判定に基づいて、撮像データVのうち、栽培植物の位置する範囲が設定される。図10に示されるように、栽培植物の枝葉が映されている領域として四辺で囲まれた範囲が設定され、この四辺で囲まれた範囲が計測領域Bに設定されて、計測領域Bの面積Bsが算出される。面積Bsの算出は、撮像データVのうち、計測領域Bのドット(撮像データVにおける画素の最小単位)の数を数えることで可能である。
計測領域Bの面積Bsのうち、枝葉を有する領域として判定される被覆領域のドットの数を数えることによって、葉面積B1の算出が可能である。そして、下記の数式によって、面積Bsに対する葉面積B1の割合が、被覆率Brとして算出される。
【0046】
被覆率Br=葉面積B1/面積Bs
【0047】
定点カメラCa(1),Ca(2),Ca(4),Ca(5),Ca(7),Ca(8)で撮像され、栽培植物の斜視図である撮像データVでは、図11に示されるように、斜め方向視の箱の輪郭のような六角形状に囲まれた範囲が計測領域Cに設定され、計測領域Cの面積Csの算出が可能である。また、計測領域Cの面積Csのうち、傾斜する視点から枝葉を有する領域として判定される被覆領域、即ち傾斜被覆領域のドットの数を数えることによって、葉面積C1の算出が可能である。葉面積C1及び面積Csの算出は、上述した平面視の撮像データVにおける算出と同様に、撮像データVで該当するドットの数を数えることで可能である。そして、下記の数式によって、面積Csに対する葉面積C1の割合が、傾斜被覆率Crとして算出される。
【0048】
傾斜被覆率Cr=葉面積C1/面積Cs
【0049】
広域撮像領域P1の撮像データVに基づく傾斜被覆率Crは、複数の畝Aにおける多数の栽培植物の全体的な繁茂量の指標として算出され、群落撮像領域P2,P3の撮像データVに基づく傾斜被覆率Crは、単一の畝Aにおける群落の繁茂量の指標として算出される。
【0050】
〔草丈の算出〕
栽培植物の生長高さ、即ち草丈の算出は、図12のフローチャートに基づいて行われる。まず、定点カメラCa(4),Ca(5)によって、群落撮像領域P3の撮像データVが撮像される。また、定点カメラCa(7),Ca(8)によって、群落撮像領域P2の撮像データVが撮像される。これにより、群落撮像領域P2及び群落撮像領域P3における栽培植物が、数株の対象群落として定点カメラCaによって斜め上方向から撮像される(ステップ#1)。
【0051】
定点カメラCaによって撮像された撮像データVは、図12に示されるような画像データの視点変換、即ち座標変換が行われる(ステップ#2)。上述したキャリブレーション処理によって四隅の基準マーカ53a,53b,53c,53d(図8参照)が定義される。図12の変換前画像では、四隅の基準マーカ53a,53b,53c,53dに基づいて描かれる四辺は遠近感を有する。これに対して図12の変換後画像では、四隅の基準マーカ53a,53b,53c,53dに基づいて描かれる四辺のうち、対向する夫々の二辺が平行となっている。即ち、撮像データVの栽培植物は図12の変換前画像に示されるような投影図の状態となっているが、上述したキャリブレーション処理によって定義された四隅の基準マーカ53a,53b,53c,53dに基づいて、投影図の画像から側面視点の画像に疑似変換される。
【0052】
側面視点の画像に疑似変換された撮像データVは、上述した被覆率Brの算出の場合の同様に、栽培植物の枝葉が映されている領域として四辺で囲まれた範囲が設定され、この四辺で囲まれた範囲が計測領域Bに設定される(ステップ#3)。図13に示されるように、計測領域Bは水平方向のX軸と、垂直方向のY軸とによって構成される。計測領域Bのうち、枝葉の領域が抽出され(ステップ#4)、X軸毎の枝葉の最大高さYmが算出される(ステップ#5)。そして、図14に示されるように、最大高さYmのヒストグラムが構成される。最大高さYmのヒストグラムのうち、最大高さYmの値が高く、かつ、頻度の高い領域から離散するデータはノイズ領域と判定されて草丈の算出から除去される。
そして、頻度の高い領域のうちの最大高さYmの値が高い領域の10点が抽出され、この10点の平均値から対象群落における栽培植物の草丈が算出される(ステップ#6)。算出された栽培植物の草丈に基づいて、対象群落の上端付近に草丈ラインHGが設定される。なお、草丈ラインHGの算出のために抽出される最大高さYmの値の点数は、10点に限定されず、適宜変更可能である。
【0053】
ステップ#6で栽培植物の草丈が算出されると、栽培植物の草丈の算出結果が保存される(ステップ#7)。算出結果は、例えば、図7に示される管理コンピュータ2の記憶部24に、CSV(Comma Separated Value)の画像データファイルとして保存される。なお、ステップ#1からステップ#6までが予め設定された回数だけ繰り返され、算出結果の平均値がステップ#7で保存処理される構成であっても良い。
【0054】
図12のステップ#1において撮像される撮像データVに、畝A(2)又は畝A(6)の栽培植物が映される。しかし、栽培植物が生長すると、例えば、畝A(2)の栽培植物の上端が、畝A(2)に隣接する畝A(1)又は畝A(3)の栽培植物と重複した状態で、撮像データVに映される可能性がある。また、畝A(6)の栽培植物の上端が、畝A(6)に隣接する畝A(5)又は畝A(7)の栽培植物と重複した状態で、撮像データVに映される可能性がある。このような場合、栽培植物の草丈の算出を正確に行えなくなる虞がある。この不都合を回避するため、定点カメラCaによる対象群落の撮像は、夜間に行われ、かつ、栽培植物に対して下記のような照射が行われる。
【0055】
図1図2図15図16に示されるように、定点カメラCa(4),Ca(5)の近傍に照射体L(1),L(2),L(3)が備えられ、定点カメラCa(7),Ca(8)の近傍に照射体L(4),L(5),L(6)が備えられている。照射体L(1),L(2),L(3)は、群落撮像領域P3における数株の対象群落のみを夫々上方から照射する。また、照射体L(4),L(5),L(6)は、群落撮像領域P2における数株の対象群落のみを夫々上方から照射する。照射体L(1),L(2),L(3)は、対象群落よりも定点カメラCa(4)の位置する側に配置されている。また、照射体L(4),L(5),L(6)は、対象群落よりも定点カメラCa(7)の位置する側に配置されている。
【0056】
群落撮像領域P3における数株の対象群落が、照射体L(1),L(2),L(3)によって三方向から照射される。同様に、群落撮像領域P2における数株の対象群落も、照射体L(4),L(5),L(6)によって三方向から照射される。つまり、夫々の照射体Lは、対象群落に照射光が万遍なく当たる状態で定点カメラCaによる撮像が可能なように配置される。これにより、照射体Lによって照射された対象群落が定点カメラCaによって撮像されると、撮像データVの画像は、暗闇の背景に、照射体Lによって照射された対象群落が映る画像となる。
【0057】
図17に示されているような投光器が照射体Lとして用いられる。照射体Lは、例えばフラッドライトであって、発光面61と、取付部62と、制限部63と、を有する。発光面61の光源にLED(Light Emitting Diodes)が用いられている。照射体Lの取付部62は、図2で示されたような園芸施設1の天井付近に取り付けられ、取付部62が角度調整されて、発光面61対象群落を照射する。制限部63は発光面61の前面を覆う平板状の部材である。本実施形態では、制限部63は二つ備えられ、発光面61の左右両端から発光面61の左右中心寄りに亘って制限部63が発光面61を覆う構成となっている。これにより、発光面61から照射光が左右方向に拡散することが抑制され、対象群落以外の栽培植物に照射光が照射されないように、照射体Lは構成されている。
【0058】
〔果房間の距離の算出〕
本実施形態では、栽培植物としてトマトを例示している。トマトは、図18に示されるように、トマトの株の主茎から分岐する枝部に纏まって果房が形成され、果房に花が咲いてトマトの実が成ることが知られている。トマトの株に、高さが異なる状態で複数の果房Flが形成される。本実施形態では、トマトの株における果房Flは、低い位置から順に、第一果房Fl1と、第二果房Fl2と、第三果房Fl3と、第四果房Fl4と、を有する。
【0059】
定点カメラCa(4),Ca(5),Ca(7),Ca(8)によって撮像された撮像データVに基づいて、夫々の果房Flの位置が特定され、夫々の果房Flの間の距離が算出される。しかし、夫々の果房Flは、枝葉に隠れたり枝葉と同化したりする場合が多いため、撮像データVに基づく果房Flの位置の特定は難しい。そこで、本実施形態では、夫々の果房Flの近傍の枝や茎に、蓄光クリップ7が取り付けられる。
【0060】
蓄光クリップ7は、太陽や発光面61等によって照射された可視光線や紫外線を蓄光し、可視光線や紫外線の照射が終了した後も暫くの間だけ発光し続ける性質、即ち蓄光性を、本体の表面の少なくとも一部に有する。本体の表面は、蓄光体で構成されていても良いし、蓄光材によって被覆されていても良い。栽培植物であるトマトの茎や枝は、誘引紐54に誘引され、トマトの茎や枝と、誘引紐54と、が蓄光クリップ7によって係止されている。このため、蓄光クリップ7は誘引クリップでもある。隣接する株と区別するため、蓄光クリップ7の発光色は、一つの株で同一の発光色であり、かつ、隣接する株と異なる発光色となるように構成されている。なお、蓄光材や蓄光体の種類は、例えばアルミン酸系蓄光体やケイ酸系蓄光体等の種類を適宜選択可能である。
【0061】
蓄光クリップ7は、夫々の果房Flが着花するタイミングで取り付けられる。このため、蓄光クリップ7は一つの株において、夫々の果房Flに対応して複数取り付けられる。
果房間の距離の算出には、少なくとも第一果房Fl1と第二果房Fl2とが必要であるため、第二果房Fl2が着花して、蓄光クリップ7が第二果房Fl2に取り付けられた後から果房間の距離の算出が開始される。
【0062】
果房間の距離の算出は、図19に示されるフローチャートに基づいて、夜間に行われる。まず、照射体Lが点灯して、対象群落に照射光を照射する(ステップ#11)。蓄光クリップ7の蓄光が十分に行われるようにするために、照射光の照射は、例えば10分程度に亘って継続するのが望ましい。したがって、照射光の照射の間に、上述した栽培植物の草丈の算出処理が行われる構成であっても良い。照射光の照射によって蓄光クリップ7の蓄光が完了すると、照射体Lが消灯する(ステップ#12)。その後、定点カメラCa(4),Ca(5)によって、群落撮像領域P3の撮像データVが撮像される。また、定点カメラCa(7),Ca(8)によって、群落撮像領域P2の撮像データVが撮像される。これにより、群落撮像領域P2及び群落撮像領域P3における対象群落が、定点カメラCaによって斜め上方向から撮像される(ステップ#13)。
【0063】
定点カメラCaによって撮像された撮像データVは、上述した栽培植物の草丈の算出と同様に、図12に示されるような画像データの座標変換が行われ、撮像データVは投影図の画像から側面視点の画像に疑似変換される(ステップ#14)。座標変換の方法は、上述したステップ#2の座標変換処理と同様である。
【0064】
ステップ#13における撮像は、照射体Lが消灯後に行われるため、撮像データVは、夜間における略暗闇の画像となる。照射体Lの消灯後、蓄光クリップ7は暗闇の中で暫く発光するため、略暗闇が映される撮像データVの中で、蓄光クリップ7の光が点在する状態で映し出され、蓄光クリップ7の検知処理が行われる(ステップ#15)。その上で、蓄光クリップ7が検知された箇所の座標位置が特定される。蓄光クリップ7の発光色は、一つの株で同一の発光色であり、かつ、隣接する株と異なる発光色となるように構成されている。このため、夫々の蓄光クリップ7の発光色に基づいて株を判別する処理が行われる(ステップ#16)。即ち、略暗闇で対象群落の株が映し出されない撮像データVであっても、隣接する株同士で蓄光クリップ7の発光色が異なるため、対象群落の株が蓄光クリップ7の発光色に基づいて判別可能な構成となっている。
【0065】
同一の株における夫々の蓄光クリップ7は、夫々の果房Flの高さに対応して、夫々異なる高さで位置する。つまり、一定の横幅の範囲内に、同一発光色の蓄光クリップ7が、高さの異なる状態で撮像データVに映る。このことから、同一発光色の蓄光クリップ7の上下方向の離間距離が算出されることによって、同一の株における果房間の距離が算出される。果房間の距離の算出は複数の株で行われ、夫々の株において、第一果房Fl1及び第二果房Fl2の果房間距離H1と、第二果房Fl2及び第三果房Fl3の果房間距離H2と、第三果房Fl3及び第四果房Fl4の果房間距離H3と、が算出される(ステップ#17)。
【0066】
夫々の株毎に果房間距離H1,H2,H3の値にばらつきがあるため、夫々の株毎の果房間距離H1の平均値H1aと、夫々の株毎の果房間距離H2の平均値H2aと、夫々の株毎の果房間距離H3の平均値H3aと、が算出される。夫々の群落撮像領域P2,P3は、畝Aの端部寄りに位置し、対象群落のうち、畝Aの最も端部寄りに位置する株は、他の株と比較して生長度合いが異なる場合が有る。この場合、畝Aの最も端部寄りに位置する株における果房間距離H1,H2,H3の値は、他の株における果房間距離H1,H2,H3の値と、大きく異なる虞がある。
【0067】
園芸施設1における多数の栽培植物の全体的な生育指標Giの診断に、果房間距離H1,H2,H3の平均値H1a,H2a,H3aが用いられる。生育指標Giの診断精度を向上させるため、果房間距離H1,H2,H3の平均値H1a,H2a,H3aの算出において、畝Aの最も端部寄りに位置する株が、平均値H1a,H2a,H3aの算出対象の株から除外される構成であっても良い。例えば、撮像データVに基づいて算出された夫々の株毎の果房間距離H1,H2,H3のうち、撮像データVの最も左右両端の何れかの隅に位置する株、即ち左右一端部に位置する株が、他の株の果房間距離H1,H2,H3と比較して、予め設定された範囲から外れている場合も考えられる。このような場合、当該左右一端部に位置する株が、平均値H1a,H2a,H3aの算出対象の株から除外される構成であっても良い。
【0068】
ステップ#17で果房間距離H1,H2,H3の平均値H1a,H2a,H3aが算出されると、栽培植物の草丈の算出結果が保存される(ステップ#18)。算出結果は、例えば、図7に示される管理コンピュータ2の記憶部24に、CSVの画像データファイルとして保存される。なお、ステップ#11からステップ#17までが予め設定された回数だけ繰り返され、算出結果の平均値がステップ#18で保存処理される構成であっても良い。
【0069】
〔葉面積指数の算出〕
対象群落において、予め区切られた高さ領域毎の繁茂状態の割合が、葉面積指数LAI(Leaf Area Index)として算出される。葉面積指数LAIは、栽培植物の草丈の算出に用いられた画像データと、果房間の距離の算出に用いられた画像データと、に基づいて算出され、葉面積指数LAIは収量予測のシミュレーション等に用いられる。このことから、葉面積指数LAIの算出の前に、栽培植物の草丈の算出処理と、果房間の距離の算出処理と、が行われていることが望ましい。
【0070】
まず、図20に示されるように、図7に示される管理コンピュータ2の記憶部24から、上述した栽培植物の草丈の算出処理で撮像された撮像データVが読み出される(ステップ#21)。撮像データVは、上述したステップ#2(図12参照)で座標変換した撮像データVである。また、記憶部24から対象群落における栽培植物の草丈のデータが読み出され、撮像データVに栽培植物の草丈に対応した草丈ラインHGが設定される(ステップ#22)。更に、記憶部24から、夫々の蓄光クリップ7の位置座標が読み出されて、枝葉が映る撮像データVに蓄光クリップ7の位置座標がプロットされる(ステップ#23)。加えて、夫々の株毎の果房間距離H1の平均値H1aと、夫々の株毎の果房間距離H2の平均値H2aと、夫々の株毎の果房間距離H3の平均値H3aと、が読み出される。
そして、果房間距離H1,H2,H3の平均値H1a,H2a,H3aに基づいて、基準水平ラインHL(1)~HL(4)が、撮像データVに夫々設定される(ステップ#24)。基準水平ラインHLは果房Flの位置する高さの指標として設定される。
【0071】
図21に示されるように、ステップ#25の処理で、基準水平ラインHL(1)と基準水平ラインHL(2)との間の領域は下層領域LLに設定され、基準水平ラインHL(2)と基準水平ラインHL(3)との間の領域は中層領域MLに設定され、基準水平ラインHL(3)と基準水平ラインHL(4)との間の領域は上層領域ULに設定される。更に、ステップ#25の処理で、基準水平ラインHL(3)と草丈ラインHGとの間の領域は最上層領域MULに設定される。そして、下層領域LL,中層領域ML,上層領域UL,最上層領域MUL毎に、上述した被覆率Brの算出が行われる。その上で、夫々の被覆率Brに基づいて葉面積指数LAI(1)~LAI(4)が算出される。葉面積指数LAI(1)は下層領域LLに対応し、葉面積指数LAI(2)は中層領域MLに対応し、葉面積指数LAI(3)は上層領域ULに対応し、葉面積指数LAI(4)は最上層領域MULに対応する。葉面積指数LAIと被覆率Brとの関係は、必ずしも線形性を有するものでなくても良く、葉面積指数LAIは、例えばニューラルネットワークの演算によって算出される構成であっても良い。
【0072】
一般的に、栽培植物の生長が進行すると、栽培植物の下側寄りの枝葉は繁茂状態となるため、下層領域LLや中層領域MLにおける被覆率Brは次第に変化し難くなる。更に、この状態で栽培植物の下側寄りの枝葉の摘葉が行われる場合もあり、下層領域LLや中層領域MLにおける被覆率Brに基づく生育指標Giの高精度な算出は難しくなる。一方、上層領域ULや最上層領域MULにおける被覆率Brは、下層領域LLや中層領域MLにおける被覆率Brと比較して、植物の生長に伴って変化し易い。このため、栽培植物の生長段階が進むと、上層領域ULや最上層領域MULにおける被覆率Brは、生育指標Giの算出に有用に用いられる。
【0073】
〔生育段階毎の診断〕
図22のタイムチャートに、生育段階に応じた算出項目の詳細が示されている。栽培植物の定植後、栽培植物に、第一果房Fl1,第二果房Fl2,第三果房Fl3,第四果房Fl4の順に果房Flが着花する。図22に示される第一段階は、果房Flが順番に着花する期間の生長段階であり、栽培植物が、茎を伸ばしたり、新たな枝葉を広げたり、根を広げたりする栄養生長の段階である。第四果房Fl4の着花後に、茎の上端が摘心され、栽培植物の生長は第二段階に移行する。第二段階は果房Flが生長する生殖生長が活発になる段階であり、栽培植物の摘葉やつる下ろしが行われる。本実施形態では、管理者がつる下ろしや摘葉を行う際に管理報知部11を操作する。このため、例えば、つる下ろしや摘葉の情報が管理報知部11から管理コンピュータ2に最初に送信されたタイミングで、第一段階から第二段階への移行の判定が行われるように、生育診断部23が構成されていても良い。
【0074】
被覆率Br及び傾斜被覆率Crの算出は、第一段階及び第二段階において継続的に行われる。被覆率Br及び傾斜被覆率Crは、広域撮像領域P1における多数の栽培植物から大まかに算出される。第一段階において生育診断部23は、被覆率Br及び傾斜被覆率Crに基づいて栽培植物の集合体における葉面積の指標を算出し、算出した葉面積の指標を生育指標Giの算出に用いる。そして生育診断部23は、生育指標Giに基づいて主に施肥制御部17における窒素量の調整度合いを算出する。また、第二段階において生育診断部23は、被覆率Br及び傾斜被覆率Crに基づいて、主に栽培植物の摘葉度合いを診断する。
【0075】
定点カメラCa(1),Ca(2)によって撮像された広域撮像領域P1における多数の栽培植物は、第二段階において繁茂状態となっている。このため、多数の栽培植物の生育指標Giを算出するために、第二段階では、傾斜被覆領域の採取領域、即ち、傾斜被覆率Crの算出領域は、繁茂状態の領域のうちの上部の領域に変更される構成であっても良い。つまり、第二段階では繁茂状態の領域のうちの下部や中部は、多数の枝葉が重なり合う状態となる場合が多く、更に摘葉も行われる。このため、第二段階における繁茂状態の領域のうちの下部や中部は、栽培植物の生育指標Giの高精度な算出が難しい領域となる。そこで、傾斜被覆率Crの算出領域を、繁茂状態の領域のうちの上部の領域に変更することによって、多数の栽培植物の生育指標Giを精度良く算出可能となる。この構成は、誘引紐54のつる下ろしが行われた後に、特に有用である。
【0076】
栽培植物の草丈の算出は、第一段階及び第二段階において継続的に行われる。栽培植物の草丈は、群落撮像領域P2及び群落撮像領域P3における対象群落から大まかに算出される。第一段階では、対象群落における茎の長さの変化が算出される。その上で生育診断部23は、算出された草丈を生育指標Giの算出に用い、更に生育指標Giに基づいて、主に施肥制御部17における窒素量の調整度合いや、灌水制御部14における灌水量の調整度合いを算出する。第二段階では、対象群落におけるつる下ろし後の見かけの草丈が算出される。
【0077】
果房間の距離の算出は、第二果房Fl2の開花後から第二段階に移行する前まで間だけ行われる。第三果房Fl3の開花前の段階で、第一果房Fl1及び第二果房Fl2の果房間距離H1が算出される。第四果房Fl4の開花前の段階で、果房間距離H1に加えて、第二果房Fl2及び第三果房Fl3の果房間距離H2が算出される。第四果房Fl4の開花後の段階で、果房間距離H1及び果房間距離H2に加えて、第三果房Fl3及び第四果房Fl4の果房間距離H3が算出される。
【0078】
果房間距離H1,H2,H3の平均値H1a,H2a,H3aが生育指標Giの算出に用いられる。果房間の距離が長過ぎると、生育指標Giに、過度な栄養生長の状態が示される。また、果房間の距離が短過ぎると、生育指標Giに、過度な生殖生長の状態が示される。その上で生育診断部23は、生育指標Giに基づいて、施肥制御部17における窒素量の調整度合いや、灌水制御部14における灌水量の調整度合いを算出する。なお、果房間の距離は、天候や季節によって変化するため、生育指標Giの算出に、天候や季節が考慮される構成であっても良い。
【0079】
葉面積指数LAIの算出は、第二果房Fl2の開花後から行われる。第三果房Fl3の開花前の段階で、下層領域LLの葉面積指数LAI(1)が算出される。第四果房Fl4の開花前の段階で、下層領域LLの葉面積指数LAI(1)に加えて、中層領域MLの葉面積指数LAI(2)が算出される。第四果房Fl4の開花後の段階で、下層領域LLの葉面積指数LAI(1)及び中層領域MLの葉面積指数LAI(2)に加えて、上層領域ULの葉面積指数LAI(3)が算出される。また、第四果房Fl4の開花後の段階で、第四果房Fl4と栽培植物の上端とに亘る最上層領域MULの葉面積指数LAI(4)も、更に算出される。第一段階において栽培植物の生長が進行すると、生育診断部23は、栽培植物の上端側寄りの領域における葉面積指数LAIに基づいて栽培植物の繁茂状態を診断する。その上で生育診断部23は、診断した繁茂状態に基づいて、施肥制御部17における窒素量の調整度合いや、灌水制御部14における灌水量の調整度合いを算出する。
【0080】
上述したように、下層領域LLと、中層領域MLと、上層領域ULと、最上層領域MULと、の設定は、高さ位置が異なる複数の基準水平ラインHLに基づいて行われる。基準水平ラインHLの高さ位置は蓄光クリップ7の高さ位置の変化に対応して変化する。このことから、第一段階では、下層領域LLと、中層領域MLと、上層領域ULと、最上層領域MULと、の領域は蓄光クリップ7の高さ位置の変化に対応して変化する。栽培植物の生長段階が第一段階から第二段階に切換ると、下層領域LLと、中層領域MLと、上層領域ULと、最上層領域MULと、の領域は、第二段階に切換る直前の領域を保持するように構成されている。即ち、第二段階では、下層領域LLと、中層領域MLと、上層領域ULと、最上層領域MULと、の領域は固定される。第二段階において生育診断部23は、主に下層領域LLと、中層領域MLと、の葉面積指数LAIに基づいて栽培植物の摘葉度合いを診断する。また、第二段階において生育診断部23は、主に上層領域ULと、最上層領域MULと、の葉面積指数LAIに基づいて栽培植物の生育指標Giを算出する。つまり、第二段階において生育診断部23は、上層領域ULと最上層領域MULとを重点的に採取して葉面積指数LAIを算出する。つまり、葉面積指数LAIに基づいて栽培植物の繁茂状態や摘葉状態等を診断することによって、生育診断部23における収量予測のシミュレーションが精度良く可能となる。
【0081】
〔水ストレス算定部の構成〕
以下、水ストレス算定部22に関して説明する。図7及び図23に示されるように、水ストレス算定部22に、定点カメラCaによって撮像された撮像データVと、環境検出部10で検出された環境状態データEと、が入力される。撮像データVから、平面撮像データV1と畝水平撮像データV2との二種類のデータが抽出される。平面撮像データV1は、定点カメラCa(3)又は定点カメラCa(6)によって撮像された撮像データVであり、畝水平撮像データV2は、定点カメラCa(4)、定点カメラCa(5)、定点カメラCa(7)、又は定点カメラCa(8)によって撮像され、複数の畝Aに亘る撮像データVである。そして、平面撮像データV1と畝水平撮像データV2とが水ストレス算定部22に入力される。平面撮像データV1に、群落撮像領域P2又は群落撮像領域P3における平面視の栽培植物が映し出される。また、畝水平撮像データV2に、図28乃至図31に示されるような栽培植物の集合が映し出される。なお、平面撮像データV1及び畝水平撮像データV2は、定点カメラCaによって撮像された静止画像であるが、動画であっても良い。また、畝水平撮像データV2に映し出される映像は、畝A(1)~A(8)における栽培植物が水平視点で撮像されるものでなくても良く、栽培植物の上端を多少見下ろす視点や多少見上げる視点で、これらの栽培植物が撮像されるものであっても良い。
【0082】
平面撮像データV1及び畝水平撮像データV2に基づいて複数の項目で画像解析が行われ、解析結果によって数値データが算出される。複数の平面撮像データV1によって一つの時系列データVT1が構成され、複数の畝水平撮像データV2によって一つの時系列データVT2が構成される。時系列データVT1及び時系列データVT2は、記憶部24に記憶される構成であって良い。本実施形態では、複数の平面撮像データV1によって構成される時系列データVT1に基づいて、葉面積と、枝葉の広がりと、枝葉の形状から検出可能な高周波成分と、が画像解析され、栽培植物の萎れ度合いを示す数値データが算出される。また、畝水平撮像データV2から構成される時系列データVT2に基づいて、枝葉の位置と、枝葉の形状と、茎や枝の曲率と、栽培植物の草丈と、果房の高さ位置と、が画像解析され、栽培植物の萎れ度合いを示す数値データが算出される。なお、夫々の解析項目において算出された数値データに、重み係数αが夫々割り当てられている。即ち、夫々の数値データは、夫々の重み係数αで乗算されて水ストレス算定部22の指標化処理に用いられる。夫々の重み係数αは、解析項目の重要度に対応して夫々異なる値を有する。夫々の重み係数αの値は適宜変更可能である。
【0083】
栽培植物に対して灌水されない状態が続くと、栽培植物は水ストレスを受ける状態に曝されて次第に萎れる。定点カメラCaは、例えば10分程度の間隔で栽培植物を撮像する。このため、栽培植物が萎れる様子、即ち、栽培植物の視覚的特徴の変化が、経時的に撮像され、水ストレス算定部22に平面撮像データV1及び畝水平撮像データV2が経時的に出力される。そして、水ストレス算定部22に出力された平面撮像データV1及び畝水平撮像データV2は、複数の平面撮像データV1によって構成される時系列データVT1と、複数の畝水平撮像データV2によって構成される時系列データVT2と、に纏められる。
【0084】
栽培植物が水ストレスを受ける状態は、日射量、気温、湿度等の環境分布情報によって大きく異なり、環境分布情報の違いによって栽培植物の萎れる速さも変化する。このため、日射量センサ10Aと、温度センサ10Bと、湿度センサ10Cと、二酸化炭素濃度センサ10Dと、の夫々によって検出された環境状態データEが、環境検出部10を介して水ストレス算定部22に経時的に出力される。環境状態データEにおける日射量、温度、湿度、二酸化炭素濃度の夫々の項目に重み係数βが設けられ、夫々の項目の値に重み係数βが乗算されて水ストレス算定部22の指標化処理に用いられる構成であっても良い。
【0085】
更に、天候情報3によって得られる情報に基づいて、環境状態データEにおける重み係数βが変化する構成であっても良い。例えば、早朝に天候予報が天候情報3から取得され、天候予報が晴天であれば、栽培植物が萎れる確率が高いと判断され、環境状態データEにおける重み係数βの値が増加する構成であっても良い。また、天候予報が雨天であれば、栽培植物が萎れる確率が低いと判断され、環境状態データEにおける重み係数βの値が減少する構成であっても良い。
【0086】
水ストレス算定部22は、平面撮像データV1及び畝水平撮像データV2の画像解析によって算出された数値データと、環境検出部10に基づく環境状態データEと、天候情報3によって得られる情報と、に基づいて水ストレス状態WSを指標化する。図24に、水ストレス状態WSの指標がグラフ化されたものが示されている。水ストレス算定部22によって指標化された水ストレス状態WSのデータは広域通信網WANを介して灌水制御部14に送信される。そして、水ストレス状態WSの指標が、予め設定された閾値Wを超えると、灌水制御部14は、灌水装置15に灌水指示信号Irを送信し、灌水装置15による灌水作業が行われる。
【0087】
また、灌水装置15に灌水指示信号Irが送信されない構成であっても良い。例えば、灌水装置15に対する灌水指示信号Irに代えて、灌水制御部14は出力報知部16を介して管理者に報知を行い、管理者が灌水装置15を用いて灌水作業を行う構成であっても良い。更に、灌水装置15に対する灌水指示信号Irと、出力報知部16を介した報知と、の両方が灌水制御部14によって行われる構成であっても良い。加えて、出力報知部16による報知は、灌水に関する報知以外に、園芸施設1の側窓の開閉を管理者に促す報知や、園芸施設1の遮光カーテンの操作を管理者に促す報知も含まれて良い。
【0088】
図24において、灌水指示信号Irが出力されたタイミングが、灌水装置15による灌水タイミングであり、灌水タイミングの直後における水ストレス状態WSの指標は、略零値まで減少し、その後は時間の経過と共に水ストレス状態WSの指標が上昇する。水ストレス状態WSの指標の上昇は一様ではなく、天候や日射量、温度や湿度によって上昇の速さは大きく変化する。
【0089】
〔葉面積に基づく水ストレス状態の指標化〕
図25に示されるように、水ストレス算定部22によって枝葉の葉面積B1が経時的に算出される。枝葉が萎れると、葉先の広がりが小さくなる。即ち、栽培植物に対して灌水されない状態が続くと、時系列データVT1に映る平面視の枝葉の葉面積B1は、時間の経過と共に減少する。このことから、枝葉の葉面積B1の減少に伴って水ストレス状態WSの指標が上昇する。
【0090】
また、平面撮像データV1に基づいて被覆率Brが算出され、被覆率Brの減少に基づいて水ストレス状態WSが指標化される構成であっても良い。上述した被覆率Brの算出では、栽培植物の枝葉が映される領域に基づいて計測領域Bが設定され、計測領域Bの面積Bsが算出される構成となっている。しかし、水ストレス状態WSの指標化において、計測領域Bの面積Bsは、枝葉の映されている領域が次第に狭まる場合であっても、栽培植物が萎れ始める前の面積Bsで固定されるのが望ましい。つまり、時系列データVT1のうち、最初の平面撮像データV1に基づいて算出された面積Bsのまま、葉面積B1だけ変化して被覆率Brが経時的に算出される構成が望ましい。
【0091】
〔葉の広がりに基づく水ストレス状態の指標化〕
図26に示されるように、水ストレス算定部22によって枝葉の広がり状態が経時的に算出される。枝葉が萎れると、葉先の広がりが小さくなる。即ち、栽培植物に対して灌水されない状態が続くと、時系列データVT1に映る平面視の枝葉の領域は、時間の経過と共に減少する。具体的には、平面撮像データV1に基づいて、図10に示されているものと同様に、栽培植物の枝葉が映されている領域として四辺で囲まれた計測領域Bが設定され、計測領域Bの面積Bsが算出される。図26において、計測領域Bのうち、計測幅Bx2が、栽培植物が萎れ始める前の計測幅Bx1よりも小さくなっている。そして、面積Bsの経時的な減少に基づいて水ストレス状態WSが算出される。このことから、枝葉の広がりの減少に伴って水ストレス状態WSの指標が上昇する。
【0092】
〔高周波成分に基づく水ストレス状態の指標化〕
図27に示されるように、平面撮像データV1に三次元座標を設定し、この三次元座標において枝葉が検出される領域を波形に見立ててフーリエ変換を行うことによって、高周波成分が検出される。平面撮像データV1の横方向にX軸を設定し、平面撮像データV1の縦方向にY軸を設定し、平面撮像データV1の奥行方向にZ軸を設定する。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交するため、X軸とY軸とZ軸とによって三次元座標が構成される。
【0093】
平面撮像データV1に映る枝葉は、RGBデータの値やYUVデータの値に基づく色の濃淡を有する。そして、平面撮像データV1のうち、枝葉が検出される領域の濃淡に基づいて、Z軸方向に振幅を有する波形を生成することによって、枝葉に基づく三次元波形が生成される。この三次元波形に基づくフーリエ変換処理によって、角周波数ωの分布を取得できる。また、三次元波形に限定されず、X-Z軸又はY-Z軸の二次元波形に基づくフーリエ変換処理によって、角周波数ωの分布の取得も可能である。
【0094】
図27に示されるように、時系列データVT1に映る枝葉は、枝葉が萎れる前の枝葉と比較すると、大きな枝葉が重なり合う状態から、小さな枝葉が多数点在する状態に変化する。つまり、夫々の枝葉の大きさが小さくなる。時系列データVT1に含まれる夫々の平面撮像データV1の枝葉が波形に変換され、夫々の波形に基づくフーリエ変換処理によって、夫々の平面撮像データV1に対応する角周波数ωの分布が、図27に示されている。
枝葉が萎れた状態の角周波数ωの分布は、枝葉が萎れる前の角周波数ωの分布よりも、高い角周波数成分が検出される。このことから、角周波数ωの分布に基づいて高周波成分が多く検出されると、水ストレス状態WSの指標が上昇する。
【0095】
〔枝葉の位置及び形状に基づく水ストレス状態の指標化〕
図28乃至図31に示されるように、畝水平撮像データV2に園芸施設1における栽培植物の集合体70が映し出されている。畝水平撮像データV2に、園芸施設1の天井領域71や通路領域72も映し出されている。集合体70と天井領域71と通路領域72との夫々の境界によって、集合体70のエッジが検出される。集合体70と通路領域72との間のエッジから、枝葉の特徴を有する判定用枝葉73が検出される。
【0096】
時系列データVT2に、判定用枝葉73が形状の変化を伴いながら映し出される。図28に示されるように、栽培植物に対して灌水されない状態が続くと、判定用枝葉73の高さ位置は、時間の経過と共に下方向に移動し、かつ、判定用枝葉73の形状は、時間の経過と共に縦長になる。このことから、水ストレス算定部22は、判定用枝葉73の形状の変化と、判定用枝葉73の高さ位置の移動と、を水ストレス状態WSの指標化に用いる。
判定用枝葉73の形状の変化は、判定用枝葉73と通路領域72との間のエッジから、縦方向のエッジ強度の変化を検出することによって算出される。縦方向のエッジ強度が高まると、水ストレス状態WSの指標が上昇する。また、判定用枝葉73の高さ位置の移動はオプティカルフロー処理によって算出される。なお、背景差分処理やフレーム間差分処理によって判定用枝葉73の高さ位置の移動が算出される構成であっても良い。判定用枝葉73が下方向に移動すると、水ストレス状態WSの指標が上昇する。
【0097】
〔茎や枝の曲率に基づく水ストレス状態の指標化〕
畝水平撮像データV2に映る栽培植物の集合体70は、RGBデータの値やYUVデータの値に基づく色の濃淡を有する。例えば図29に示されるように、栽培植物の集合体70における色の濃淡に基づいて、栽培植物の茎先74が検出される。時系列データVT2に、茎先74が形状の変化を伴いながら映し出される。栽培植物に対して灌水されない状態が続くと、茎先74が次第に下方向に垂れ下がる。このことから、水ストレス算定部22は、茎先74の垂れ下がり度合いを水ストレス状態WSの指標化に用いる。
【0098】
本実施形態では、茎先74の線形形状がグラフにプロットされ、茎先74の線形形状の経時的な変化がグラフに重ね書きされる。そして、グラフに示された線形形状の曲率が算出され、曲率が大きくなると水ストレス状態WSの指標は上昇する。なお、畝水平撮像データV2に茎先74が映らない場合、茎先74の垂れ下がり度合いは水ストレス状態WSの指標化に用いられない。また、茎先74以外にも、例えば定点カメラCa(4),Ca(5),Ca(7),Ca(8)の近傍で枝部分が撮像されれば、当該枝部分の垂れ下がり度合いに基づく水ストレス状態WSの指標化が行われる構成であっても良い。
【0099】
〔栽培植物の草丈に基づく水ストレス状態の指標化〕
図30に示されるように、集合体70と天井領域71との間のエッジから、集合体70の稜線70aが検出される。栽培植物に対して灌水されない状態が続くと、茎先74の垂れ下がり等によって、栽培植物の草丈が次第に低くなり、稜線70aの高さ位置も次第に低くなる。このため、水ストレス算定部22は、稜線70aの高さ位置の変化を水ストレス状態WSの指標化に用いる。稜線70aの高さ位置の低下に伴って、水ストレス状態WSの指標は上昇する。稜線70aの高さ位置の移動はオプティカルフロー処理によって算出される。なお、背景差分処理やフレーム間差分処理によって稜線70aの高さ位置の移動が算出される構成であっても良い。
【0100】
〔果房の高さ位置に基づく水ストレス状態の指標化〕
例えば図31に示されるように、栽培植物の集合体70における色の濃淡に基づいて、栽培植物の果房Flが検出される。栽培植物に対して灌水されない状態が続くと、茎と果房Flとに亘る枝部分の垂れ下がり等によって、果房Flの高さ位置が次第に低くなる。
このため、水ストレス算定部22は、果房Flの高さ位置の変化を水ストレス状態WSの指標化に用いる。果房Flの高さ位置の低下に伴って、水ストレス状態WSの指標は上昇する。なお、畝水平撮像データV2に果房Flが映らない場合、果房Flの高さ位置の変化は水ストレス状態WSの指標化に用いられない。また、果房Fl以外にも、例えば蓄光クリップ7が果房Flの枝先に取り付けられ、蓄光クリップ7の高さ位置の変化に基づく水ストレス状態WSの指標化が行われる構成であっても良い。
【0101】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0102】
〔1〕上述した実施形態に示された照射体Lは、フラッドライトに限定されない。照射体Lは、例えば、ストロボであったり、スポットライトであったり、サーチライトであったり、平行光照明であったりしても良い。また、発光面60の光源は、LEDに限定されず、キセノン、ハロゲン、ナトリウム等の放電灯であっても良い。
【0103】
〔2〕上述した実施形態において、制限部63は二つ備えられ、発光面60の左右両端から発光面60の左右中心寄りに亘って制限部63が発光面60を覆う構成となっているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、制限部63は、発光面60の周囲から照射方向に沿って延出する絞りであっても良いし、発光面60の照射範囲を調整する集光レンズであっても良い。
【0104】
〔3〕上述した実施形態において、園芸施設1と管理コンピュータ2とが広域通信網WANを介して接続される構成となっているが、上述した実施形態に限定されない。管理コンピュータ2は園芸施設1に備えられ、園芸施設1における定点カメラCa等の機器が、管理コンピュータ2と施設内のネットワークで接続される構成であっても良い。施設内のネットワークは、有線接続であっても良いし、無線接続であっても良い。
【0105】
〔4〕上述した実施形態において、照射体Lによる照射及び撮像手段Caによる撮像は、夜間に行われるが、上述した実施形態に限定されない。例えば、照射体Lによる照射及び撮像手段Caによる撮像は、朝方もしくは夕方、又はその両方で行われる構成であっても良い。また、照射体Lによる照射及び撮像手段Caによる撮像は、園芸施設1の遮光カーテンを閉じて行うことも可能である。
【0106】
〔5〕上述した実施形態において、栽培植物としてトマトが例示されているが、トマトに限定されず、イチゴ、メロン、キュウリ、ナス、ウリ、ゴーヤ、パプリカ、ピーマン等であっても良い。また、園芸施設1の内部の室内栽培植物に限定されず、屋外の栽培植物であっても良い。更に、畝Aは、無孔性親水性フィルムでなくても良く、作土であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、対象群落を撮像する撮像手段が備えられた植物栽培装置に適用可能である。
また、本発明に係る植物栽培装置の技術的特徴は、植物栽培方法や植物栽培プログラムにも適用可能である。
【符号の説明】
【0108】
21 :判定部
23 :生育診断部
63 :制限部
Ca :定点カメラ(撮像手段)
L :照射体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33