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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 3/00 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
G07D3/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018181621
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020052743
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】小峯 裕久
(72)【発明者】
【氏名】岡橋 成人
(72)【発明者】
【氏名】田中 亮
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-164890(JP,A)
【文献】特開2012-243006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を搬送する搬送通路と、
前記搬送通路に設けられて硬貨を落下させる落下孔と、
前記搬送通路に対し回動可能に配設されるアーム部と
前記アーム部が前記搬送通路に対し回動して前記搬送通路を開放状態にした際に、前記搬送通路上の硬貨の前記落下孔側への移動を規制する規制部と、
を備え
前記アーム部は、
硬貨に上側において接触し正転して硬貨を前記搬送通路の上流側から下流側へ搬送する無端ベルトと、
前記無端ベルトを両端、または、両端及び中間位置で支持するプーリ群と、
前記プーリ群を回転可能に支持するアーム部本体と、を有して、
前記搬送通路の搬送面に沿う姿勢となるセット状態と、前記搬送通路の搬送面に対し交差する姿勢となって前記搬送通路を開放状態にする開状態とに、前記セット状態で硬貨搬送方向下流側に位置する回転軸を支点にして回動可能であり、
前記アーム部の前記セット状態で前記回転軸よりも硬貨搬送方向下流側に位置する部位であって、前記アーム部本体に、前記規制部が設けられてい ることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
ジャム検出時に、前記無端ベルトの逆転後、前記アーム部を前記開状態にすることが可能となることを特徴とする請求項記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記アーム部が前記搬送通路に対し回動して前記搬送通路を開放状態とする際に、前記規制部が、前記搬送通路上に残留する硬貨に当接して、当該硬貨を搬送方向上流側へ移動させることを特徴とする請求項1または2記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
硬貨を搬送する搬送通路と、
前記搬送通路に設けられて硬貨を落下させる落下孔と、
前記搬送通路に対し回動可能に配設されるアーム部と
前記アーム部が前記搬送通路に対し回動して前記搬送通路を開放状態にした際に、前記搬送通路上の硬貨の前記落下孔側への移動を規制する規制部と、
を備え
前記アーム部が前記搬送通路に対し回動して前記搬送通路を開放状態とする際に、前記規制部が、前記搬送通路上に残留する硬貨に当接して、当該硬貨を搬送方向上流側へ移動させる ことを特徴とする硬貨処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨を回転盤から1枚ずつ分離して繰り出し、搬送ベルトにより当該硬貨の上方より押圧しながら搬送通路に沿って搬送し、識別手段により硬貨の金種を識別させた後、該識別結果に基づいて硬貨を選別する硬貨処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。このような装置は、硬貨通路からリジェクト貨を落下排除させるためのリジェクト選別部や、硬貨を金種別に選別するための各金種の外径に応じた選別孔を具備しており、搬送ベルトの駆動により硬貨を搬送しながら、硬貨通路上から硬貨をその移動先に向かって落下させる。
【0003】
ここで、硬貨搬送時に硬貨詰まりなどの搬送ジャムが発生した場合には、搬送通路内に滞留している硬貨を手で取り除く必要があるため、搬送通路の上側にある搬送ベルトやプーリなどで構成される搬送上側部を回動させて搬送通路を開放できるように構成された装置もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-087296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、搬送上側部を回動させてジャム処理をしようと手で硬貨に触れる際に、誤って選別孔に硬貨を落下させてしまうと当該硬貨の回収が非常に困難となる問題があった。また落下に気づかない場合には、違算の原因となる場合や、指定金種以外の硬貨が混入して収納され、そのまま出金することに起因する現金トラブルが生じる虞があった。
【0006】
本発明は、搬送通路が開放状態にあるときに硬貨が搬送通路から落下孔に落下してしまうことを抑制することができる硬貨処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1,第4の態様は、硬貨を搬送する搬送通路と、前記搬送通路に設けられて硬貨を落下させる落下孔と、前記搬送通路に対し回動可能に配設されるアーム部と、を備え、前記アーム部が前記搬送通路に対し回動して前記搬送通路を開放状態にした際に、前記搬送通路上の硬貨の前記落下孔側への移動を規制する規制部を備えることを特徴とする。
【0008】
上記第1,第4の態様によれば、アーム部が搬送通路に対し回動して搬送通路を開放状態にした際に、搬送通路上の硬貨の落下孔側への移動を規制部が規制する。したがって、搬送通路が開放状態にあるときに硬貨が搬送通路から落下孔に落下してしまうことを抑制することができる。
【0009】
本発明に係る第の態様は、前記アーム部は、前記搬送通路の搬送面に沿う姿勢となるセット状態と、前記搬送通路の搬送面に対し交差する姿勢となって前記搬送通路を開放状態にする開状態とに、前記セット状態で硬貨搬送方向下流側に位置する回転軸を支点にして回動可能であり、前記アーム部の前記セット状態で前記回転軸よりも硬貨搬送方向下流側に位置する部位に、前記規制部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記第の態様によれば、アーム部の搬送通路の搬送面に沿う姿勢となるセット状態で回転軸よりも搬送方向下流側に位置する部位に規制部が設けられているため、アーム部を、回転軸を支点にして回動させると、規制部の位置を搬送面に近づけることができる。これにより、搬送通路を開放状態にするためにアーム部を回動させれば、規制部が搬送面に近づいて搬送面上の硬貨の落下孔側への移動を規制する状態になる。
【0011】
本発明に係る第の態様は、前記アーム部は、硬貨に上側において接触し正転して硬貨を前記搬送通路の上流側から下流側へ搬送する無端ベルトと、前記無端ベルトを両端、または、両端及び中間位置で支持するプーリ群と、前記プーリ群を回転可能に支持するアーム部本体と、を有しており、前記アーム部本体に前記規制部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
上記第の態様によれば、プーリ群を回転可能に支持するアーム部本体に規制部が設けられているため、容易に規制部を設けることができる。
【0013】
本発明に係る第の態様は、上記第の態様において、ジャム検出時に、前記無端ベルトの逆転後、前記アーム部を開状態にすることが可能となることを特徴とする。
【0014】
上記第の態様によれば、ジャム検出時に、アーム部を開状態にすることを規制した状態で、無端ベルトを逆転させるため、落下孔に近い位置に残留している硬貨を予め逆搬送して落下孔から退避させることができる。これにより、アーム部が開状態になる際に規制部が硬貨と干渉することを回避することができる。
【0015】
本発明に係る第の態様は、上記第1または第2の態様において、前記アーム部が前記搬送通路に対し回動して前記搬送通路を開放状態とする際に、前記規制部が、前記搬送通路上に残留する硬貨に当接して、当該硬貨を搬送方向上流側へ移動させることを特徴とする。
本発明に係る第4の態様は、上記第1の態様において、前記アーム部が前記搬送通路に対し回動して前記搬送通路を開放状態とする際に、前記規制部が、前記搬送通路上に残留する硬貨に当接して、当該硬貨を搬送方向上流側へ移動させることを特徴とする。
【0016】
上記第3,4の態様によれば、アーム部を、搬送通路に対し回動させて搬送通路を開放状態とすると、規制部が、搬送通路上に残留する硬貨に当接して、当該硬貨を搬送方向上流側へ移動させるため、ジャム処理に要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、搬送通路が開放状態にあるときに硬貨が搬送通路から落下孔に落下してしまうことを抑制することができる硬貨処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る第1実施形態の硬貨処理装置を示す斜視図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の硬貨処理装置のフィード部カバーを開いた状態を示す部分斜視図である。
図3】本発明に係る第1実施形態の硬貨処理装置の要部を示す一部を断面とした平面図である。
図4】本発明に係る第1実施形態の硬貨処理装置の搬送アーム部の開状態を示す部分斜視図である。
図5】本発明に係る第1実施形態の硬貨処理装置を示す部分断面図であって、(a)は搬送アーム部のセット状態を、(b)は開状態を、それぞれ示すものである。
図6】本発明に係る第2実施形態の硬貨処理装置の搬送アーム部の開状態を示す部分斜視図である。
図7】本発明に係る第2実施形態の硬貨処理装置を示す部分断面図であって、(a)は搬送アーム部のセット状態を、(b)は開状態を、それぞれ示すものである。
図8】本発明に係る第2実施形態の硬貨処理装置の搬送アーム部のセット状態を示す部分断面図である。
図9】本発明に係る第1,第2実施形態の硬貨処理装置の変形例1を説明するための側面図であって、(a)は搬送アーム部の開途中の状態を、(b)は開状態を、それぞれ示すものである。
図10】本発明に係る第1,第2実施形態の硬貨処理装置の変形例2を示す側面図であって、(a)は搬送アーム部のセット状態を、(b)は開状態を、それぞれ示すものである。
図11】本発明に係る第1,第2実施形態の硬貨処理装置の変形例3を示す側面図であって、(a)は搬送アーム部のセット状態を、(b)は開状態を、それぞれ示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態の硬貨処理装置を図1図5を参照して以下に説明する。
【0020】
硬貨処理装置11は、指定された計数対象金種の硬貨を計数するものであって、図1に示すように、その上部には、上方に開口し投入された硬貨をプールする硬貨プール部としてのホッパ12と、ホッパ12の上部開口を開閉するホッパカバー13とを有している。図2に示すように、ホッパ12の下部は回転円板14で構成されており、回転円板14は、図示略の繰出モータで駆動されて鉛直軸回りに回転する。
【0021】
図1に示すように、硬貨処理装置11は、ホッパ12よりも下側に、ホッパ12よりも前方(操作者側)に突出する本体部18を有している。本体部18は、その前部に、下方に突出するシュート19と、電源スイッチ20とを有している。シュート19は、計数後の計数対象金種の硬貨を外部に放出するシュート本体21と、シュート本体21に図示略の収納袋を係止する係止リング22とを有している。
【0022】
本体部18は、側部に、計数対象金種以外の硬貨を放出する放出口25と、放出口25から放出された硬貨を受け入れる上方開口の排除ボックス26とが設けられている。
【0023】
本体部18は、ホッパ12よりも前側部分の上面に、操作者による押圧操作を受け付けると共に操作者に向けて表示を行う操作表示部30と、操作者により回動操作されるコース幅調整ノブ31と、図1に示すように閉状態とされると本体部18の内部を覆う一方、図2に示すように開状態とされると本体部18の内部を開放するフィード部カバー32と、フィード部カバー32を閉状態でロックする図示略のロック部とを有している。
【0024】
本体部18の内部には、フィード部カバー32で開放される位置に、回転円板14から繰り出される硬貨を一枚ずつに分離する分別環34と、回転円板14から分別環34で一枚ずつに分離されて繰り出された硬貨を搬送するアーム状の搬送アーム部35(アーム部)および図3に示す搬送通路60と、搬送アーム部35および搬送通路60で搬送中の硬貨Cを識別しつつ計数する磁気センサからなる識別計数部37とが設けられている。
【0025】
搬送アーム部35は、回転円板14の外周側の上部に配置される取込プーリ52と、取込プーリ52と軸方向の位置および高さを合わせて平行に配置される駆動プーリ53と、これらの間に配置される複数、具体的には2つの中間プーリ55,56と、これら取込プーリ52、中間プーリ55,56および駆動プーリ53からなるプーリ群57に掛けられる無端ベルト54とを有している。
【0026】
取込プーリ52および駆動プーリ53は、無端ベルト54を両端で支持し、中間プーリ55,56は、無端ベルト54を中間位置で支持する。なお、中間プーリ55,56はなくても良く、少なくとも無端ベルト54を両端で支持する取込プーリ52および駆動プーリ53が設けられていれば良い。搬送アーム部35は、駆動プーリ53が図示略の搬送モータで駆動されて回転する。取込プーリ52および中間プーリ55,56は、無端ベルト54を介して駆動プーリ53に対し従動する従動プーリである。
【0027】
図2に示す本体部18の内部には、図3に示すように、無端ベルト54の下側に、硬貨Cを搬送する搬送通路60が無端ベルト54に沿って延在するように設けられている。搬送通路60は、取込プーリ52の位置の下側に配置された入口側通路部61と、無端ベルト54を挟んで両側に配置されて、入口側通路部61から鉛直に立ち上がる一対の壁部63および壁部64とを有している。入口側通路部61は、その上面62が水平に配置されており、回転円板14から繰り出された硬貨Cの下面を、この上面62で下側から支持する。一対の壁部63,64は、入口側通路部61の上面62から立ち上がっている。
【0028】
搬送アーム部35は、その無端ベルト54が、回転円板14から図2に示す分別環34で一枚ずつに分離されて、図3に示す入口側通路部61の上面62上に繰り出された硬貨Cに上側において接触して、この硬貨Cを一対の壁部63,64の間に向けて搬送する。
【0029】
図3に示すように、一方の壁部63は、最も回転円板14側が、鉛直軸回りに回転可能に支持された入口ローラ71で構成されている。壁部63は、回転円板14から離れるように無端ベルト54に沿って延びる壁面72を壁部64側に有する位置固定の固定壁73を備えている。固定壁73は、入口側通路部61よりも回転円板14とは反対側まで延びている。固定壁73は、壁面72が入口側通路部61の上面62から鉛直に立ち上がっている。
【0030】
他方の壁部64は、最も回転円板14側が、回転円板14の外周面に沿って湾曲する円弧状のガイド壁81で構成されている。壁部64は、ガイド壁81の取込プーリ52側の端部から無端ベルト54に沿って延びる壁面82を壁部63側に有する可動壁83を備えている。可動壁83は、入口側通路部61よりも回転円板14とは反対側まで延びている。可動壁83は、壁面82が入口側通路部61の上面62から鉛直に立ち上がっている。
【0031】
可動壁83の壁面82と、固定壁73の壁面72とは、平行で相互に対向しており、可動壁83は、その壁面82を固定壁73の壁面72と平行させた状態のまま、固定壁73との延在方向の位置関係は維持しながら、固定壁73に対し近接および離間するように水平移動する。
【0032】
ガイド壁81は、一端が可動壁83に、鉛直に沿う連結ピン85で連結されており、連結ピン85を中心に回動可能となっている。また、ガイド壁81には、他端にその長さ方向に延びる長穴86が形成されており、この長穴86内には、鉛直に沿う位置固定のピン87が配置されている。可動壁83が移動する際に、ガイド壁81は、長穴86をピン87に対し移動させながら、連結ピン85を中心に可動壁83に対し回動して、可動壁83の移動に追従する。
【0033】
一対の壁部63,64の回転円板14側の入口91は、入口ローラ71とガイド壁81の連結ピン85側の端部とで形成されている。この入口91の幅は、可動壁83の壁面82と固定壁73の壁面72との間隔と等しく設定されている。湾曲形状のガイド壁81は、ホッパ12の回転円板14から一対の壁部63,64間に向かう硬貨を案内する。ガイド壁81の入口91側の端は、連結ピン85を介して可動壁83と連結されており、可動壁83と連動して可動するように構成されている。
【0034】
搬送通路60は、固定壁73の下側に、壁面72よりも可動壁83側に突出する位置固定の支持部101を有している。支持部101は、その上面102が入口側通路部61の上面62と同一平面に配置されて、入口側通路部61から回転円板14とは反対側に延出している。
【0035】
搬送通路60は、可動壁83の下側に、壁面82よりも固定壁73側に突出する支持部103を有している。支持部103は、その上面104が入口側通路部61の上面62と同一平面に配置されて、入口側通路部61から回転円板14とは反対側に延出している。支持部103は、可動壁83に固定されており、可動壁83と一体に移動する。
【0036】
搬送通路60は、一対の支持部101,103よりも入口側通路部61とは反対側に、上面111が上面62,102,104と同一平面に配置される出口側通路部112を有している。ここで、入口側通路部61と一対の支持部101,103と出口側通路部112とで囲まれた部分がリジェクト孔115となっている。よって、一対の支持部101,103は、相互間にリジェクト孔115を形成している。このリジェクト孔115が図1に示す放出口25に繋がっており、リジェクト孔115に落下した硬貨Cが放出口25から排除ボックス26に放出される。一対の壁部63,64は、入口側通路部61と出口側通路部112との間で硬貨Cの外周面を案内する。
【0037】
一対の支持部101,103は、入口側通路部61と出口側通路部112との間で硬貨Cの下面の外周側を支持する中間通路部121を構成している。入口側通路部61の上面62と、中間通路部121の支持部101の上面102および支持部103の上面104と、出口側通路部112の上面111とが、搬送通路60の上面である搬送面125を構成している。
【0038】
出口側通路部112は、出口側通路部112上を移動する硬貨Cの金種を識別しつつ計数する識別計数部37を有している。搬送通路60には、出口側通路部112の中間通路部121とは反対側に、出口側通路部112の識別計数部37で識別計数された硬貨Cを搬送通路60から落下させる落下孔141が設けられている。落下孔141から落下した硬貨Cが図1に示すシュート19から外部に放出される。
【0039】
搬送アーム部35は、その無端ベルト54が、回転円板14から分別環34で一枚ずつ分離されて入口側通路部61上に繰り出された硬貨Cに上側において接触して、この硬貨Cを一対の壁部63,64の入口91側からリジェクト孔115に向け搬送し、リジェクト孔115で落下しなければ、さらに出口側通路部112に向け搬送して、最終的に落下孔141に落下させる。搬送アーム部35と搬送通路60とが、硬貨Cを駆動して搬送する硬貨搬送部128を構成しており、搬送アーム部35は硬貨搬送部128の上側部分を構成し、搬送通路60が硬貨搬送部128の下側部分を構成している。
【0040】
搬送通路60には、回転円板14から硬貨Cが、入口側通路部61の上面62上に、一対の壁部63,64の固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との間に向けて繰り出されることになる。搬送アーム部35は、その無端ベルト54が、入口側通路部61の上面62上に繰り出された硬貨Cに上側から接触して、搬送通路60に沿って移動させる。その際に、硬貨Cは、その外周面が一対の壁部63,64で案内されながら、その下面が、入口側通路部61の上面62上から一対の支持部101,103の上面102,104上、さらには出口側通路部112の上面111上を移動する。その際に、一対の支持部101,103は硬貨Cの下面の外周側を上面102,104で支持する。
【0041】
このようにして、搬送アーム部35および搬送通路60は、硬貨Cを、入口側通路部61側から落下孔141に向けて搬送することになる。言い換えれば、硬貨Cは、入口側通路部61、一対の支持部101,103および出口側通路部112で支持されて、搬送アーム部35の駆動により移動する。その際に、一対の壁部63,64は、硬貨Cの外周面を案内し、一対の支持部101,103は、硬貨Cの下面の外周側を支持する。
【0042】
可動壁83および支持部103は、図示略の間隔変更機構で移動位置が調整される。図示略の間隔変更機構は、図1に示すコース幅調整ノブ31の回動位置に応じて一対の壁部63,64間の距離および一対の支持部101,103間の距離を変更する。
【0043】
固定壁73および支持部101がコースガイド壁131を構成しており、可動壁83および支持部103がコースガイド壁132を構成していて、これらコースガイド壁131,132が、指定された計数対象金種よりも小径の硬貨Cをリジェクト孔115から排除する小径貨排除方式の選別コース133を構成している。また、指定された計数対象金種よりも大径の硬貨Cについては、図3に二点鎖線で示すように、入口91を構成する入口ローラ71とガイド壁81とがこれに当接して、搬送通路60の入口側通路部61よりも下流側への移動を規制する。入口側通路部61には、壁部63の入口ローラ71の近傍に一対の壁部63,64の入口91側で滞留する硬貨Cを検知する滞留貨検知センサ126が設けられている。
【0044】
図4図5に示すように、搬送アーム部35は、搬送通路60を開閉可能となっている。なお、図4図5では、搬送アーム部35から無端ベルト54を略して示している。図4に示すように、固定壁73のリジェクト孔115および出口側通路部112とは反対側には、位置固定の固定フレーム151が設けられており、この固定フレーム151から、搬送通路60上に、図5に示す回転軸152が延出している。搬送アーム部35は、この回転軸152に回動可能に支持されるアーム部本体155を有しており、よって、搬送アーム部35は、搬送通路60に対し回動可能に配設されている。
【0045】
図4に示すように、このアーム部本体155に、取込プーリ52、中間プーリ55,56および駆動プーリ53からなるプーリ群57が支持されている。プーリ群57のうち、駆動プーリ53がアーム部本体155の回転軸152側に、取込プーリ52がアーム部本体155の回転軸152とは反対側に設けられている。
【0046】
アーム部本体155は、図5に示す回転軸152を支点として回動可能となっており、よって、アーム部本体155を含む搬送アーム部35が、回転軸152を支点として回動可能となっている。アーム部本体155は、図5(a)に示すように搬送通路60の搬送面125に沿う姿勢と、図5(b)に示すように搬送通路60の搬送面125に対して交差して立ち上がる姿勢との間で回動可能となっている。
【0047】
搬送アーム部35の外形形状は、ほぼアーム部本体155の外形形状となっている。よって、搬送アーム部35は、回転軸152からアーム部本体155と同様に延出し、回転軸152を中心にアーム部本体155と同様に回動する。
【0048】
搬送アーム部35は、図4図5(b)に示すように、搬送通路60の搬送面125に対して交差して立ち上がる姿勢となって搬送通路60を開放状態にする開状態と、図5(a)に示すように搬送通路60の搬送面125に沿う姿勢となって搬送面125上の硬貨Cに無端ベルト54(図3参照)を上から接触させるセット状態とに回動可能となっている。搬送アーム部35は、図5(b)に示すように、開状態にあるとき、搬送面125に対して略垂直をなすように、言い換えれば略90°をなして交差するように立ち上がる。
【0049】
搬送アーム部35は、図5(a)に示すセット状態にあるとき、搬送面125上の硬貨Cに無端ベルト54(図3参照)を上から接触させることになり、この状態で無端ベルト54が回転するとその摩擦力によって硬貨Cを上流側の回転円板14から下流側の落下孔141に向けて搬送する。言い換えれば、搬送アーム部35は、セット状態にあるときに、搬送通路60とで硬貨Cを搬送する。
【0050】
以上により、搬送アーム部35は、硬貨Cに上側において接触し正転して硬貨Cを搬送通路60の上流側から下流側へ搬送する無端ベルト54と、無端ベルト54を両端及び中間位置で支持するプーリ群57と、プーリ群57を回転可能に支持するアーム部本体155と、を有している。回転軸152は、搬送アーム部35がセット状態にあるとき、アーム部本体155、すなわち搬送アーム部35の硬貨搬送方向下流側に位置する。
【0051】
アーム部本体155は、回転軸152に支持されるとともにプーリ群57を支持する主体部161と、搬送アーム部35がセット状態にあるとき主体部161よりも硬貨搬送方向下流側に突出する規制部162とを有している。主体部161および規制部162は、一枚の同じ板材から形成されており、言い換えれば一体成形されている。
【0052】
主体部161は、プーリ群57の配列方向に沿って直線状に延在しており、言い換えれば無端ベルト54の延在方向に沿って直線状に延在している。規制部162は、主体部161の延在方向の一端部から主体部161の延在方向に沿って延出している。規制部162は、セット状態にある搬送アーム部35の回転軸152よりも硬貨搬送方向下流側に位置する部位に設けられている。
【0053】
図5(a)に示すように、規制部162は、搬送アーム部35が搬送通路60を開放しないセット状態にあるときは、搬送通路60の搬送面125および落下孔141の鉛直上方にあって、搬送通路60上の硬貨Cに干渉しない位置に退避している。この状態から、図5(b)に示すように、搬送アーム部35が搬送通路60を開放状態にする開状態になると、規制部162は、回転軸152を中心に下方かつ硬貨搬送方向上流側に向けて旋回し、落下孔141内に一部入り込んで、搬送通路60の出口側通路部112に近接する。その結果、搬送アーム部35が開状態になると、規制部162は、搬送通路60の搬送面125の硬貨搬送方向下流側の近傍位置で、搬送面125を上下に横断するように延在することになる。このとき、図4に示すように、規制部162は、出口側通路部112の通路幅方向、すなわち硬貨搬送方向に直交する水平方向の中間位置にあって、搬送通路60の搬送面125上の硬貨Cが、落下孔141側に移動することを、硬貨Cに当接することで規制する。
【0054】
すなわち、搬送アーム部35が搬送通路60を開放状態にする開状態になると、アーム部本体155に形成された規制部162が、壁部63,64間の中間位置にあって、壁部63,64で通路幅方向の移動が規制された状態の硬貨Cの搬送方向下流側への移動を規制する。言い換えれば、アーム部本体155は、搬送通路60に対し回動して搬送通路60を開放状態にした際に、搬送通路60上の硬貨Cの落下孔141側への移動を規制する規制部162を備えている。
【0055】
硬貨処理装置11において、硬貨詰まりなどの搬送ジャムが発生した場合、図示略の制御部が、図示略のロック部によるフィード部カバー32の閉状態でのロックを解除する。すると、作業者は、ジャム処理のため、フィード部カバー32を開いて、セット状態にあった搬送アーム部35を、回転軸152を中心に回動させて開状態にする。すると、搬送通路60が開放状態になる。そして、搬送通路60上に滞留している硬貨Cを取り除く。このとき、作業者が、誤って搬送通路60上に滞留している硬貨Cを落下孔141側へ押してしまうことがあっても、開状態にある搬送アーム部35の規制部162が、この硬貨Cの落下孔141側への移動を規制して、この硬貨Cの落下孔141への誤落下を規制する。
【0056】
ここで、搬送アーム部35が開状態となった場合に、搬送アーム部35の規制部162は、搬送幅方向に対し直径14.8~34mm(日本硬貨の外径範囲を含む)までの硬貨Cを受け止めることが可能な位置に配置される。具体的には、規制部162と搬送通路60の壁面72,82までの寸法を14.4mm以下となるように構成している。このように、規制部162を適切な配置場所に構成することにより、規制部162を構成する板材の厚みを不必要に大きくすることを抑制でき、軽量化と低コスト化を図ることができる。
【0057】
以上に述べた第1実施形態の硬貨処理装置11によれば、搬送アーム部35が搬送通路60に対し回動して搬送通路60を開放状態にした際に、搬送通路60上の硬貨Cの落下孔141側への移動を規制部162が規制する。したがって、搬送通路60が開放状態にあるときに硬貨Cが搬送通路60から落下孔141に落下してしまうことを抑制することができる。すなわち、搬送ジャム処理の際に、硬貨Cを搬送通路60から落下孔141に落下させてしまうことを防ぐことができる。
【0058】
また、回動する搬送アーム部35に、これが搬送通路60を開放しないセット状態では、搬送通路60の硬貨Cに干渉しない位置に退避し、これが搬送通路60を開放する開放状態で搬送通路60上の硬貨Cの落下孔141側への移動を規制する規制部162を設けた簡素な構成であるため、特に新たに駆動部品を必要としない。従って、構造の複雑化および装置の大型化を伴うことがなく、コスト増を抑制することが可能となる。
【0059】
また、搬送アーム部35には、搬送通路60の搬送面125に沿う姿勢となるセット状態で回転軸152よりも搬送方向下流側に位置する部位に規制部162が設けられているため、搬送アーム部35を、回転軸152を支点にして回動させると、規制部162の位置を搬送面125に近づけることができる。これにより、搬送通路60を開放状態にするために搬送アーム部35を回動させれば、規制部162が搬送面125に近づいて搬送面125上の硬貨Cの落下孔141側への移動を規制する状態になる。
【0060】
また、プーリ群57を回転可能に支持するアーム部本体155に規制部162が設けられているため、容易に規制部162を設けることができる。
【0061】
[第2実施形態]
本発明に係る第2実施形態の硬貨処理装置を主に図6図7を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
【0062】
第1実施形態では、搬送アーム部35は、開状態にあるとき、搬送面125に対して略90°をなすように立ち上がるようにしたが、第2実施形態では、搬送面125に対して、これよりも小さい80°程度をなすように立ち上がる。
【0063】
このため、図6図7(b)に示すように、搬送アーム部35が開状態にあるときに、規制部162は、搬送通路60の出口側通路部112に近接するように、主体部161の延在方向の一端部から主体部161の延在方向に沿って突出する基板部181と、基板部181の主体部161とは反対側の端部から出口側通路部112側に向かって延出する延出板部182とを有している。規制部162は、延出板部182の先端部183が、搬送アーム部35が開状態にあるときに、搬送面125に対してほぼ直交する。図7(a)に示すように、搬送アーム部35がセット状態にあるときに、規制部162は、延出板部182が、基板部181の主体部161とは反対側から下方に延出する。
【0064】
第2実施形態によれば、搬送アーム部35が開状態にあるとき搬送面125に対する角度が垂直よりも小さくなっても、規制部162が硬貨Cを確実に受け止めることが可能となる。搬送アーム部35が開状態にあるとき、規制部162の先端部183が搬送面125に対してほぼ直交するため、硬貨Cを規制部162に押しつけたとしても硬貨Cの浮き上がりを抑制することができる。
【0065】
ここで、第1,第2実施形態において、硬貨詰まりなどのジャムが検出された場合に、図示略の制御部が、図示略のロック部によるフィード部カバー32の閉状態でのロックを解除する前に、無端ベルト54を所定量逆転させて、図7(a)に示すように落下孔141に近い位置に残留している硬貨Cを予め逆搬送して、図8に示すように、識別計数部37よりも落下孔141とは反対側の所定位置まで退避させてから、ロック部によるフィード部カバー32のロックを解除するようにしても良い。すなわち、ジャム検出時に、無端ベルト54の逆転後、搬送アーム部35を開状態にすることが可能となるようにしても良い。この場合、例えば、無端ベルト54の逆転後、識別計数部37が硬貨Cを検知したタイミングに基づいて、その後の無端ベルト54の駆動時間を制御する。つまり、識別計数部37が硬貨Cを検知したタイミングから所定時間無端ベルト54を駆動する。
【0066】
これにより、ジャム処理動作で搬送アーム部35が開状態になる時、搬送アーム部35の規制部162が硬貨Cと干渉することを予め回避することができる。このため、硬貨Cにより搬送アーム部35の開作動が阻害されることや、規制部162と硬貨Cとの干渉による予期せぬ事故(例えば、規制部162や硬貨Cの変形など)を未然に防ぐことが可能となる。
【0067】
なお、第1,第2実施形態では、搬送アーム部35が開状態となった際に、硬貨Cを装置外に出金する出金部であるシュート19へ放出する出金用の落下孔141への硬貨Cの落下を規制部162で規制する場合を説明した。しかしながら、本発明は、出金用の落下孔に対してのみではなく、例えば、硬貨を金種別に選別して内部の貯留部に落下させる分別用の落下孔に対しても適用できる。すなわち硬貨Cを落下させる落下孔の上流位置に規制部が配置される位置関係であれば良い。
【0068】
第1,第2実施形態を以下の変形例のように変更することが可能である。
<変形例1>
第1,第2実施形態では、ジャム検出時に、無端ベルト54の逆転後、搬送アーム部35を開状態にすることが可能となるようにする、硬貨Cの逆搬送制御を行うことについて説明した。しかしながら、この制御を行わずに落下孔141の縁に残留している硬貨Cを、図9(a)から図9(b)に示すように、人手による搬送アーム部35の開操作により、規制部162で当該硬貨Cを搬送通路60の上流側、即ち落下孔141の縁から離れる方向へ押し戻しても良い。言い換えれば、搬送アーム部35は、搬送通路60に対し回動して搬送通路60を開放状態とする際に、規制部162が、搬送通路60上に残留する硬貨Cに当接して、この硬貨Cを搬送方向上流側へ移動させるようにする。これにより、搬送モータを逆転させるステップおよび硬貨Cを所定位置まで逆搬送させたことを検知するステップを省くことができるため、ジャム処理に要する時間を短縮することができる。
【0069】
<変形例2>
変形例2として、硬貨Cを当接させる機構のバリエーションを以下に説明する。
【0070】
規制部162を搬送アーム部35に設けるのではなく、図10に示すように、搬送アーム部35と連結バネ201で連結され、手動による搬送アーム部35の開作動に連動して、先端部が下方へ向くように回転可能に構成された可動式上部ガイド202を設け、可動式上部ガイド202の先端部に規制部162を設けても良い。
【0071】
可動式上部ガイド202は、図10(a)に示すように、搬送アーム部35がセット状態にあるときは、落下孔141へ硬貨Cを案内する状態になり、図10(b)に示すように、搬送アーム部35が開状態になった際に、規制部162が搬送通路60上の硬貨Cの落下孔141側への移動を規制する。
【0072】
即ち、搬送アーム部35を図10(b)に示す開状態から図10(a)に示すセット状態にすると、引張バネである連結バネ201が可動式上部ガイド202の先端(搬送方向上流側)である規制部162を上方向に引き上げる。このとき、可動式上部ガイド202は回転軸203を中心にして先端部(入口側)の規制部162が上方に移動するように回転した後、図示略のストッパに当接して、落下孔141へ硬貨Cを案内する位置で停止する。この状態で硬貨搬送部128が硬貨Cを搬送すると、可動式上部ガイド202が落下孔141へ硬貨Cを導くための搬送ガイドとして働く。
【0073】
搬送アーム部35を図10(a)に示すセット状態から図10(b)に示す開状態にすると、連結バネ201が可動式上部ガイド202の先端(搬送方向上流側)を下方向に付勢する。このとき、可動式上部ガイド202は回転軸203を中心にして先端部(入口側)の規制部162が下方に移動するように回転した後、図示略のストッパに当接して、規制部162が搬送通路60上の硬貨Cの落下孔141側への移動を規制する位置で停止する。これによりジャム処理の際、可動式上部ガイド202の先端の規制部162が、搬送通路60に残留する硬貨Cの落下孔141への落下を規制することになる。
【0074】
この構成では、第1,第2実施形態や変形例1に比べメカ機構が複雑ではあるものの、搬送アーム部35を開状態としたとき、開状態の搬送アーム部35の下端部を搬送面125より上位置(即ち、搬送面125と干渉しない位置)に配置することが可能であるため、搬送アーム部35と落下孔141の位置関係の制約を受けることなく実現可能となる。即ち、第1,第2実施形態および変形例1では、搬送アーム部35が開状態にあるとき、搬送アーム部35の先端部は、落下孔141の上方位置に配置される必要があったが、このような制約がなくなる。
【0075】
<変形例3>
変形例2では、可動式上部ガイド202の回転規制部材として図示略の2つのストッパを利用していたが、変形例3では、これらを設けず、図11に示すように、カム211に代用させる。すなわち、カム211は搬送アーム部35の回転軸152に取り付けられ、搬送アーム部35の、図11(a)に示すセット状態と図11(b)に示す開状態との回動に連動して回転する。カム211は、連結バネ201の付勢力で常に可動式上部ガイド202に当接している。
【0076】
即ち、搬送アーム部35を図11(b)に示す開状態から図11(a)に示すセット状態にすると、引張バネである連結バネ201が可動式上部ガイド202の先端(搬送方向上流側)を上方向に引き上げる。この連結バネ201の付勢力で、可動式上部ガイド202が、回転軸203を中心にして先端部(入口側)の規制部162が上方に移動するように回転するが、搬送アーム部35と連動して一体に回動するカム211に当接して落下孔141へ硬貨Cを案内する位置で停止する。この状態で硬貨Cを搬送すると、可動式上部ガイド202が落下孔141へ硬貨Cを導くための搬送ガイドとして働く。
【0077】
搬送アーム部35を図11(a)に示すセット状態から図11(b)に示す開状態にすると、搬送アーム部35と連動して一体に回動するカム211が可動式上部ガイド202の先端(搬送方向上流側)を下方向に押し下げる。これにより、可動式上部ガイド202が回転軸203を中心にして先端部(入口側)の規制部162が下方に移動するように回転し、規制部162が搬送通路60上の硬貨Cの落下孔141側への移動を規制する位置で停止する。これによりジャム処理の際、可動式上部ガイド202の先端の規制部162が、搬送通路60上に残留する硬貨Cの落下孔141への落下を規制することになる。
【0078】
変形例3は、変形例2のストッパの配置場所が確保できない場合に有効な構成である。
【符号の説明】
【0079】
11 硬貨処理装置
35 搬送アーム部(アーム部)
54 無端ベルト
57 プーリ群
60 搬送通路
125 搬送面
141 落下孔
152 回転軸
155 アーム部本体
162 規制部
C 硬貨
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11