(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】固定デッキの設置方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
E04H6/18 601G
E04H6/18 606B
(21)【出願番号】P 2018039189
(22)【出願日】2018-03-06
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】竹越 勇人
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-058186(JP,A)
【文献】特開2012-007348(JP,A)
【文献】実開昭48-063910(JP,U)
【文献】実開昭49-140912(JP,U)
【文献】特開2000-274008(JP,A)
【文献】実開昭54-063411(JP,U)
【文献】特開平11-013189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/18,6/42
E04F 15/00 -15/22
E04B 1/41
E04B 2/56
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体駐車装置の入出庫階の床に
固定デッキを設置する固定デッキの設置方法であって、
前記固定デッキは、仮床面の上方に間隙を有して配置されるとともに、前記固定デッキの設置後に床面となるフロアプレートと、該フロアプレートの下面の前記間隙に配置された状態で、前記フロアプレートの上面側から着脱可能にねじ止めされるアンカープレートと、を備え、
前記固定デッキを複数設置した後に前記間隙にモルタルを充填することで、前記アンカープレートのそれぞれが前記モルタルに埋設されるように構成されていることを特徴とする
固定デッキの設置方法。
【請求項2】
前記入出庫階の床に搬器が収容されるピットが形成され、該ピットの側面に支持ブラケットが固設され、該支持ブラケットの上面に前記フロアプレートが支持されていることを特徴とする請求項1記載の
固定デッキの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車装置の入出庫階に固定デッキを設置する固定デッキの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な立体駐車装置としては、エレベータ式駐車装置や垂直循環式駐車装置のように地上に立設したタワー式駐車装置や、水平循環式駐車装置や多層循環式駐車装置や平面往復式駐車装置のように、地上の入出庫部と地下の駐車部との間で車両を昇降搬送するようにした地下式駐車装置等、種々の方式の駐車装置が利用されている。いずれの方式の駐車装置においても、車両が入退出する入出庫部を備えており、この入出庫部と駐車階層との間を車両を搭載する搬器を昇降させて車両を搬送する。
【0003】
入出庫部の床には、搬器が停止する開口部が設けられており、この開口部に搬器が停止したときに搬器上のパレット等の上面と床面が略面一となるようになっている。開口部の外縁部には、開口部と搬器との隙間が最小限となるように床面に鋼板等の固定デッキが敷設されている(例えば、特許文献1(
図8)参照)。従来の一例として固定デッキは、
図8に示すように床面50をモルタルで仕上げた後、床面50に後施工のグリップアンカー51を打ち込んで、ネジ52により固定デッキ53の端部を床面50に固定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなグリップアンカーを用いた固定方法は、一旦床面をモルタルで仕上げた後に床に孔を穿孔してグリップアンカーを打ち込むため、施工に要する時間、手間、および費用が増加するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、施工に要する行程を簡略化でき、よって施工に要する時間、手間、および費用を低減することのできる固定デッキの設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、立体駐車装置の入出庫階の床に固定デッキを設置する固定デッキの設置方法であって、前記固定デッキは、仮床面の上方に間隙を有して配置されるとともに、前記固定デッキの設置後に床面となるフロアプレートと、該フロアプレートの下面の前記間隙に配置された状態で、前記フロアプレートの上面側から着脱可能にねじ止めされるアンカープレートと、を備え、前記固定デッキを複数設置した後に前記間隙にモルタルを充填することで、前記アンカープレートのそれぞれが前記モルタルに埋設されるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、前記入出庫階の床に搬器が収容されるピットが形成され、該ピットの側面に支持ブラケットが固設され、該支持ブラケットの上面に前記フロアプレートが支持されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、固定デッキを設置した後にフロアプレートの下方にモルタルを充填するだけで固定デッキを固定できるので、グリップアンカー等を施工する必要がなく、施工に要する時間、手間、および費用を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する
。図1及び
図2は、エレベータ式駐車装置の概略を示す側面図及び正面図である。
【0012】
エレベータ式駐車装置10には、中央を上下に貫通する昇降路11が形成されており、この昇降路11を昇降可能に昇降リフト12を設けている。昇降リフト12は、車両19を搬送するための搬器13と、この搬器13を懸垂するワイヤロープ14と、昇降路11上端部に設置した巻き上げ装置15と、ワイヤロープ14を介して搬器13の重量とバランスを保つカウンターウエイト16とを有しており、次のように構成されている。搬器13の四隅には、ワイヤロープ14の一端部がそれぞれ連結されており、このワイヤロープ14は、昇降路11の上端部に備えた巻き上げ装置15に巻き掛けられて、他端部がカウンターウエイト16に連結されている。巻き上げ装置15には、電動機21、減速機22、駆動シーブ23を備え、電動機21の動力により駆動シーブ23を回転駆動するようにしており、前記ワイヤロープ14は駆動シーブ23に巻き掛けられている。そして、電動機21を正転又は逆転に回転制御することにより、搬器13が昇降路11内を上昇又は下降する。
【0013】
昇降路11の両側方には、複数の駐車室17が上下多段に形成されており、搬器13により搬送された車両19が格納される。各駐車室17には、車両19の前端部付近と後端部付近とに位置するように、二本の横行ガイドレール20が昇降路11側から側方に向けて延出して固設されている。各横行ガイドレール20の長手方向に沿っては、所定の間隔で複数のガイドローラ24が回転可能に支持されており、対向する二本の横行ガイドレール20に備えたこれらのガイドローラ24上に掛け渡されてパレット18が載置され、それぞれの駐車室17においてパレット18が昇降路11方向にスライド可能に備えられている。一方、昇降リフト12の搬器13は、その上面において駐車室17と同様にパレット18をスライド可能に支持するように構成するとともに、パレット18を駐車室17と搬器13上との間で往復移動させる横行駆動装置を備えている。
【0014】
このような構成において、車両19は、パレット18に搭載されてパレット18とともに搬送及び格納される。すなわち、車両19の入庫時には、空車の駐車室17から空パレット18を引き出して搬器13上に搭載し、この後、搬器13が入出庫階25まで昇降して停止した後、車両19が搬器13上のパレット18に乗り込む。次いで、搬器13は、搭載したパレット18及び車両19とともに昇降し、所定の駐車室17で停止してパレット18及び車両19を共に駐車室17へ送り込んで格納する。これとは逆に出庫時には、車両19を搭載したパレット18が搬器13上に引き出された後、搬器13が入出庫階25まで昇降して停止した後に車両19が自走して出庫する。入出庫階25の床には、搬器13が到着したときにパレット18の上面と入出庫階25の床面とが同一高さとなるように搬器13が収容されるピット26が形成されている。
【0015】
図3は、入出庫階25の平面図である。入出庫階25の中央部床面には、前記したように搬器13が収まるよう、床面より掘り下げられてピット26が形成されている。ピット26の上端の縁に沿っては、床面と搬器13との隙間を塞ぐように固定デッキ27が敷設されている。
図4は固定デッキ27の正面図であり、
図5は固定デッキ27の側面図である。
【0016】
固定デッキ27は長尺の鋼板からなるフロアプレート32を備えており、このフロアプレート32は仮床面28よりも上方の位置に設置されるとともに、一端部をピット側面29から搬器13ないしパレット18側へ突出しており、この端部は上方へ折り返された形状となっている。ピット側面29には、上部をピット26側へ延出したL字形状の支持ブラケット30が固設されており、この支持ブラケット30の上面に固定デッキ27が支持されて固定される。フロアプレート32の仮床面28側の端部下面には、側面視において略山形形状に折り曲げ形成されたアンカープレート31を備えている。
【0017】
図6及び
図7は、アンカープレート31の詳細を示す側面図及び平面図である。アンカープレート31は、頂点部を平坦にした台形の山形形状に折り曲げ加工された鋼板であって、頂点部の下面には、ナット等の雌ねじ体33が接合されている。また、アンカープレート31の両傾斜部には、円形状に切り抜き35が形成されている。フロアプレート32には、所定の位置に雌ねじ体33に対応する孔が穿孔されており、これを通して雄ねじ体34によりフロアプレート32にアンカープレート31が取り付けられている。
【0018】
以上の構成により、以下のように固定デッキ27が設置される。まず、フロアプレート32にアンカープレート31が取り付けられた各固定デッキ27は、それぞれ所定の位置に配置されて仮設置される。この後、固定デッキ27の位置調整を行った後に、フロアプレート32と仮床面28との間にモルタル36を充填する。時間が経過してモルタル36が固化すると、下方に向けて末広がりに形成されたアンカープレート31によってフロアプレート32が浮き上がることなく設置される。また、保守等によりフロアプレート32を取り外す場合には、所定位置の雄ねじ体34を取り外すことにより、アンカープレート31をモルタル36内に残したままフロアプレート32を取り外すことができる。この後、固定デッキ27以外の部分の床面は、フロアプレート32と高さが略同一となるようにコンクリートやモルタルを打設して仕上げられる。
【符号の説明】
【0019】
10 エレベータ式駐車装置
11 昇降路
12 昇降リフト
13 搬器
14 ワイヤロープ
15 巻き上げ装置
16 カウンターウエイト
17 駐車室
18 パレット
19 車両
20 横行ガイドレール
21 電動機
22 減速機
23 駆動シーブ
24 ガイドローラ
25 入出庫階
26 ピット
27 固定デッキ
28 仮床面
29 ピット側面
30 支持ブラケット
31 アンカープレート
32 フロアプレート
33 雌ねじ体
34 雄ねじ体
35 切り抜き
36 モルタル
50 床面
51 グリップアンカー
52 ネジ
53 固定デッキ