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  • 特許-油漬け食品及び油漬け食品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】油漬け食品及び油漬け食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20220905BHJP
   A23D 9/00 20060101ALI20220905BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20220905BHJP
   A23G 3/34 20060101ALN20220905BHJP
【FI】
A23L5/00 Z
A23L5/00 L
A23D9/00 504
A23L27/10 C
A23G3/34 104
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018109590
(22)【出願日】2018-06-07
(65)【公開番号】P2019208466
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-05-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)平成30年3月9日 新潟交通商事株式会社に販売 (2)平成30年3月14日 食泉小千谷店,食泉ココロ長岡店,食泉きたまち店に販売 (3)平成30年3月20日 今井商店に販売 (4)平成30年3月23日 財団法人小千谷市産業開発センターに販売 (5)平成30年3月28日 山古志特産品販売に販売 (6)平成30年3月29日 ちぢみの里に販売 (7)平成30年4月17日 食泉フレッシュネスに販売 (8)平成30年6月5日 株式会社関口製菓に販売 (9)平成30年6月6日 日本生命長岡支社に販売 (10)2018年(平成30年)3月6日~9日 FOODEX JAPAN2018において公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (11)平成30年3月4日 ウェブサイトのアドレス(a)http://www.abeko.co.jp及び(b)http://www.facebook.comにおいて公開 (12)平成30年3月13日 ウェブサイトのアドレス(a)http://www.rakuten.co.jp/okashi-saori/及び(b)http://www.rakuten.co.jp/okashi-saori/abk200において公開 (13)平成30年6月8日 ウェブサイトのアドレス(a)http://www.abeko.co.jp及び(b)http://www.abeko.co.jp/kakinotane/garlicoil/index.htmlにおいて公開 (14)2018年3月26日 ウェブサイトのアドレスhttps://www.sankei.com/region/news/180326/rgn1803260039-n1.html(産経ニュース電子版)において公開 (15)平成30年4月30日 社内報ひまわり通信において公開 (16)平成30年3月26日 菓子食品新聞において公開 (17)平成30年3月16日 日本食糧新聞において公開 (18)2018年3月27日 BSN新潟放送ラジオゴゴイチにおいて公開 (19)2018年3月29日 新潟県民FM放送MINT CONDITONにおいて公開 (20)2018年5月11日 ラジオ関西川浪ナミヲの情報アサイチにおいて公開 (21)2018年3月10日 小千谷新聞において公開 (22)2018年3月16日 日本経済新聞において公開 (23)2018年4月10日 日経産業新聞において公開 (24)2018年3月20日 新潟日報において公開(25)2018年3月21日 日経MJにおいて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】397004799
【氏名又は名称】阿部幸製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(74)【代理人】
【識別番号】100201237
【氏名又は名称】吉井 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】大村 敏史
(72)【発明者】
【氏名】広野 剛士
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-039903(JP,A)
【文献】特開2012-019780(JP,A)
【文献】特開2000-116326(JP,A)
【文献】特開2013-212078(JP,A)
【文献】特開2015-073517(JP,A)
【文献】特開昭58-028231(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101352227(CN,A)
【文献】Cookpad, おつまみで☆食べるラー油♪, [online], レシピID : 1440121 公開日 : 2011/05/16 更新日 : 2014/03/16, [検索日:2022.03.15], <URL: https://cookpad.com/recipe/1440121>
【文献】Rakutenレシピ, 食感バツグン食べるラー油 レシピ・作り方, [online], レシピID : 1400000248 公開日:2011/01/10, [検索日:2022.03.15], <URL: https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1400000248/>
【文献】柿ピーで食べるラー油, [online], 公開日 : 2013/05/14, [検索日:2022.03.15], <URL: https://snapdish.co/d/Kr0uXa>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23D
A23G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刻み加工された複数種の食材と食用油とが混合されてなる油含有具材と、柿の種とが容器内に封入されてなる油漬け食品であって、前記油含有具材には、柿の種を粉砕した粉砕状柿の種が含まれ、また、前記柿の種は、市販の柿の種に比して内部空洞が小さく形成され、且つ、表面がラー油含有食用油で被覆されたものであり、さらに、前記容器内において、前記油含有具材を含む油含有具材層の上に前記柿の種からなる柿の種層が積層状態に設けられていることを特徴とする油漬け食品。
【請求項2】
請求項1記載の油漬け食品において、前記柿の種は、1.6mm~2.0mm程度の厚さに切断形成され、乾燥処理により水分調整され、5~10℃に設定した冷蔵庫内で20時間以上保管された生地を加熱焼成処理により膨化させたものであることを特徴とする油漬け食品。
【請求項3】
刻み加工した複数種の食材と食用油とを混合して油含有具材を得る油含有具材形成工程と、柿の種を得る柿の種形成工程と、前記油含有具材、前記柿の種及びラー油と食用油とを混合してなるラー油含有食用油を容器に封入する具材及び油封入工程と、前記容器内に封入した前記油含有具材、前記柿の種及び前記ラー油含有食用油を殺菌する殺菌処理工程とを含む油漬け食品の製造方法であって、前記油含有具材形成工程における前記食材として、柿の種を粉砕した粉砕状柿の種を用い、また、前記柿の種形成工程における前記柿の種として、生地を1.6mm~2.0mm程度の厚さで切断形成した後、乾燥処理により前記切断形成した生地の水分調整を行い、5~10℃に設定した冷蔵庫内で20時間以上保管して前記水分調整を行い生地の中心部に残存する水分を分散除去し、加熱焼成処理を施し膨化させた柿の種を採用したことを特徴とする油漬け食品の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の油漬け食品の製造方法において、前記具材及び油封入工程は、前記 油含有具材を前記容器の下側に入れ、続いて、この油含有具材の上に前記柿の種を入れ、続いて、この柿の種が浸漬するように前記ラー油含有食用油を注入して、前記柿の種の表面を前記ラー油含有食用油で被覆された状態にすることを特徴とする油漬け食品の製造方法。
【請求項5】
請求項3,4いずれか1項に記載の油漬け食品の製造方法において、前記殺菌処理工程は、 前記油含有具材、前記柿の種及び前記ラー油含有食用油を封入した前記容器ごと加熱処理して、前記容器内の前記油含有具材、前記柿の種及び前記ラー油含有食用油を殺菌することを特徴とする油漬け食品の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の油漬け食品の製造方法において、 前記加熱処理は、80℃~100℃、30分以上のボイル処理であることを特徴とする油漬け食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油漬け食品及び油漬け食品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ラー油に細かく刻んだ具材を加えた具材入りラー油(通称、食べるラー油)が販売され、調味料としてだけでなく、ご飯の惣菜として、或いは酒のつまみとして食されるようになってきている。
【0003】
この具材入りラー油の具材としては、フライドガーリックやフライドオニオンが定番であるが、新たな食味や食感を追求し、例えば、特許文献1に示すような様々な種類の食材を具材として含むものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-19780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような具材入りラー油において、これまでにない新しい食味、食感を有し、更に未開封状態において長期保存が可能な画期的な油漬け食品及び油漬け食品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
刻み加工された複数種の食材と食用油とが混合されてなる油含有具材1と、柿の種2とが容器4内に封入されてなる油漬け食品であって、前記油含有具材1には、柿の種2を粉砕した粉砕状柿の種5が含まれ、また、前記柿の種2は、市販の柿の種に比して内部空洞が小さく形成され、且つ、表面がラー油含有食用油3で被覆されたものであり、さらに、前記容器4内において、前記油含有具材1を含む油含有具材層の上に前記柿の種2からなる柿の種層が積層状態に設けられていることを特徴とする油漬け食品に係るものである。
【0008】
また、請求項1記載の油漬け食品において、前記柿の種2は、1.6mm~2.0mm程度の厚さに切断形成され、乾燥処理により水分調整され、5~10℃に設定した冷蔵庫内で20時間以上保管された生地を加熱焼成処理により膨化させたものであることを特徴とする油漬け食品に係るものである。
【0009】
また、刻み加工した複数種の食材と食用油とを混合して油含有具材1を得る油含有具材形成工程と、柿の種2を得る柿の種形成工程と、前記油含有具材1、前記柿の種2及びラー油と食用油とを混合してなるラー油含有食用油3を容器4に封入する具材及び油封入工程と、前記容器4内に封入した前記油含有具材1、前記柿の種2及び前記ラー油含有食用油3を殺菌する殺菌処理工程とを含む油漬け食品の製造方法であって、前記油含有具材形成工程における前記食材として、柿の種2を粉砕した粉砕状柿の種5を用い、また、前記柿の種形成工程における前記柿の種2として、生地を1.6mm~2.0mm程度の厚さで切断形成した後、乾燥処理により前記切断形成した生地の水分調整を行い、5~10℃に設定した冷蔵庫内で20時間以上保管して前記水分調整を行い生地の中心部に残存する水分を分散除去し、加熱焼成処理を施し膨化させた柿の種2を採用したことを特徴とする油漬け食品の製造方法に係るものである。
【0010】
また、請求項3記載の油漬け食品の製造方法において、前記具材及び油封入工程は、前記油含有具材1を前記容器4の下側に入れ、続いて、この油含有具材1の上に前記柿の種2を入れ、続いて、この柿の種2が浸漬するように前記ラー油含有食用油3を注入して、前記柿の種2の表面を前記ラー油含有食用油3で被覆された状態にすることを特徴とする油漬け食品の製造方法に係るものである。
【0011】
また、請求項3,4いずれか1項に記載の油漬け食品の製造方法において、前記殺菌処理工程は、前記油含有具材1、前記柿の種2及び前記ラー油含有食用油3を封入した前記容器4ごと加熱処理して、前記容器4内の前記油含有具材1、前記柿の種2及び前記ラー油含有食用油3を殺菌することを特徴とする油漬け食品の製造方法に係るものである。
【0012】
また、請求項5記載の油漬け食品の製造方法において、前記加熱処理は、80℃~100℃、30分以上のボイル処理であることを特徴とする油漬け食品の製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、柿の種の風味と食感が加わり、これまでにない食味、食感を有する新しい油漬け食品となると共に、おやつ、おつまみ、惣菜、調味料など幅広い食シーンに適する万能タイプの油漬け食品となる。
【0014】
また、本発明に含まれる柿の種は、表面が食用油で被覆されているから、水分吸収が抑制され、未開封状態において長期保存が可能であると共に、開封後もサクサクとした食感が損なわれずおいしく食することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例を示す説明正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
本発明の油漬け食品は、例えばフライドオニオンやフライドガーリックといった従来の具材入りラー油に用いられる食材を細かく刻んで食用油と混ぜ合わせた油含有具材1と共に、柿の種2を含むものであるから、例えば、この油含有具材1と柿の種2とを混ぜ合わせることで、柿の種2のサクサクした食感が加わり、これまでにない新しい食味、食感が得られる。
【0018】
また、従来、柿の種2は、一般的に単独で食される場合はおやつやおつまみとして食され、惣菜として食されることは殆どないが、本発明の油漬け食品に含まれる柿の種2は、表面に食用油3が被覆されていて、油含有具材1と合わせることで惣菜的な食べ方もできるものとなる。
【0019】
即ち、本発明の油漬け食品は、従来の具材入りラー油の食べ方に柿の種2の食べ方が加わり、おやつやおつまみ、惣菜、調味料といった幅広い食シーンに用いることができる。
【0020】
しかも、この柿の種2は、表面に食用油3が被覆されることで水分の吸収が可及的に抑止され、未開封状態において長期保存が可能となると共に、容器4の開封後もサクサクとした食感が損なわれず最後までおいしく食することができる。
【実施例
【0021】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0022】
本実施例は、刻み加工された複数種の食材と食用油とが混合されてなる油含有具材1が容器4内に封入されている食用油漬け食品であって、前記油含有具材1と共に表面が食用油3で被覆されている小型米菓2が封入されているものである。
【0023】
具体的には、本実施例においては、小型米菓2として柿の種2が用いられている。
【0024】
即ち、本実施例は、刻み加工された複数種の食材と食用油とが混合されてなる油含有具材1と、表面が食用油3で被覆されている柿の種2とが容器4に封入されてなる食用油漬け食品である。
【0025】
以下、本実施例の食用油漬け食品について詳述する。
【0026】
油含有具材1は、細かく刻まれたフライドガーリックとフライドオニオン、コチュジャン、すりゴマ(白すりごま)、唐辛子、柿の種2を数mm(例えば2~5mm程度の大きさ)に砕いた粉砕状柿の種5に、食用油(具体的には、サラダ油とごま油とを混合したもの)を加えて混合してなるものである。尚、油含有具材1を構成する具材(食材)は、前述の記載に限定されるものではない。
【0027】
本実施例の油含有具材1は、この粉砕状柿の種5を混ぜ入れることで、この油含有具材1の固結化を防ぐと共に、後述する柿の種2と一緒に食した際の違和感を感じさせない構成とされている。
【0028】
尚、この油含有具材1の本実施の食用油漬け食品中に占める割合は約60%(内約20%は食用油)、とされ、また、この油含有具材1中の粉砕状柿の種5の割合は約3%とされている。
【0029】
また、この油含有具材1と共に容器4内に封入される小型米菓2としての柿の種2は、従来の一般的に市販されている柿の種と比べて、内部空洞が少ない(小さい)ものとなっている。
【0030】
具体的には、本実施例の柿の種2は、生地から切断して柿の種形状に形成する際に、従来の柿の種よりも厚く(約1.6~2.0mm)成形し、乾燥工程において生地水分を調整後、5~10℃に設定された冷蔵庫内で20時間以上保管することで中心部に残存する水分を分散させ、空洞の形成を可及的に抑制したものとなっている。
【0031】
また、本実施例の柿の種2は、この内部空洞を最小化すると共に、生地膨化時のひび割れの発生を可及的に抑制して、表面を油脂でコーティング状態にしても、この油脂の柿の種2内部への侵入を抑制し、油脂侵入による食味の低下を防止しつつ、油脂コーティング効果による品質維持(吸湿による食感の低下の防止)する構成とされている。
【0032】
具体的には、本実施例の柿の種2への油脂コーティングは、柿の種2を容器4に入れた後、この柿の種2が浸漬するように容器4内に食用油3を注入することによってなされていて、また、この柿の種2の表面をコーティングする食用油3は、油含有具材1に混ぜ入れられている食用油3と異なるものが用いられていて、具体的には、ラー油とサラダ油とを混合したラー油含有食用油3が用いられている。
【0033】
また、本実施例の容器4は、透明性があるガラス製容器4とされ、本実施例は、この容器4内に封入した油含有具材1と柿の種2とラー油含有食用油3とが外から視認できるように構成されている。
【0034】
具体的には、本実施例は、容器4の下側から油含有具材層、柿の種層、ラー油含有食用油層の三層構造になっていて、この各食材(具材)が三層に分けられて封入された状態をビジュアル的特徴として容器4の外から視認できる構成とされている。
【0035】
即ち、本実施例は、この容器4の中身を視認可能とすることで、本実施例の特徴と言える柿の種2が入っていること購入者が容易に視認でき、外観にインパクトを与え、購入意欲を刺激する効果を奏するものとなっている。
【0036】
次に、本実施例の食用油漬け食品の製造方法について説明する。
【0037】
[油含有具材形成工程]
油含有具材形成工程は、油含有具材1をつくる工程である。
【0038】
具体的には、原料の刻み加工したフライドガーリック及びフライドオニオンと、柿の種2を2~5mm程度の大きさに粉砕した粉砕状柿の種5と、コチュジャン、コチュジャンパウダー、すりごま(本実施例では白すりごまを採用)、唐辛子等の各種調味料や添加物と、食用油(サラダ油とごま油を混合したもの)を加え、混合して油含有具材1を得る。尚、油含有具材の構成食材は上記の食材に限られるものではなく、また、本実施例においては、粉砕状柿の種5の油含有具材1に対する含有率は約3%としたが、粉砕状柿の種5の含有率はこれに限定されるものではない。
【0039】
このように、油含有具材1に粉砕状柿の種5を混ぜ入れることで、この油含有具材1を、この油含有具材1と共に入れられる後述の柿の種2と一緒に食した際に、この柿の種2との食べ合わせに違和感を感じさせず、これまでにない新しい食味、食感が得られる。
【0040】
また、油含有具材1に食用油を混ぜ入れることで、粉砕状柿の種5を混ぜた際に油含有具材1の固結化を防止することができ、この油含有具材1を容易に容器4内に充填することができる。尚、本実施例の油含有具材1は、前述したようにサラダ油とごま油を混合した食用油を含むものとされているが、このサラダ油とごま油に更にラー油を加えた食用油でも良く、また、サラダ油とごま油のいずれかとラー油を混合したものでも良い。
【0041】
[柿の種形成工程]
柿の種形成工程は、本実施例の食用油漬け食品に適した柿の種をつくる工程である。
【0042】
具体的には、従来と同様の方法で生地を形成した後、この生地を従来よりも厚め、具体的には、約1.6~2.0mm程度の厚さで切断形成し、次いで、乾燥処理により生地の水分調整を行った後、5~10℃に設定した冷蔵庫内で20時間以上保管して生地中心部に残存する水分を分散除去する。これにより、油脂が入りにくい柿の種の生地が形成される。
【0043】
次いで、この柿の種の生地を、従来と同様に加熱焼成処理を行い、膨化させて柿の種2を得る。
【0044】
上記のようにして柿の種の生地を形成することで、内部空洞化が可及的に抑えられた柿の種2を得ることができると共に、膨化時のひび割れの発生が抑えられ、高品質の柿の種2を得ることができる。
【0045】
[具材封入工程]
具材封入工程は、油含有具材1、柿の種2及びラー油含有食用油3を容器4に封入する工程である。
【0046】
具体的には、先ず、最初に油含有具材1を容器4に入れ、この油含有具材1の上に柿の種2を入れ、最後に、この容器4内に収容された柿の種2が浸漬するようにラー油含有食用油3を柿の種2の上から注入し、その後、容器4内を脱気し閉蓋して封入する。
【0047】
より具体的には、本実施例においては、油含有具材1、柿の種2、ラー油含有食用油3の配分比を約6:2:2(重量比)としている。
【0048】
このように、柿の種2をラー油含有食用油3に浸漬状態にすることで、柿の種2の表面がラー油含有食用油3で被覆され、柿の種2の吸湿作用が抑制されて、長期保存が可能(従来の柿の種の約2倍の1年以上に賞味期限を延長することが可能)となる。
【0049】
尚、ラー油含有食用油3の注入量は適宜変更可能なものであり、また、柿の種2とラー油含有食用油3を別々に入れず、予め柿の種2の表面にラー油含有食用油3を付着させ、この表面をラー油含有食用油3で被覆した柿の種2を入れても良い。
【0050】
[殺菌処理工程]
殺菌処理工程では、加熱処理により容器4内に封入した具材を殺菌する工程である。
【0051】
具体的には、油含有具材1、柿の種2及びラー油含有食用油3を封入した容器4ごと加熱処理を行う。
【0052】
より具体的には、加熱処理は、80℃~100℃、30分以上のボイル処理であり、90℃、40分以上のボイル処理が好ましい。
【0053】
この各具材を封入した容器4ごと加熱処理することで、具材を殺菌するだけでなく、柿の種2の表層部にラー油含有食用油3(油脂)を浸透させることができ、この柿の種2の表層部へのラー油含有食用油3の浸透により、柿の種2にこのラー油含有食用油3に含まれるラー油の風味が加えられると共に、パリパリとした新しい食感になり、従来にない風味と食感の柿の種2とすることができる。
【0054】
以上のような製法により作られる本実施例の食用油漬け食品は、油含有具材1の惣菜、調味料的要素と、柿の種2のおやつ、おつまみ的要素がバランスよく融合し、おやつやおつまみ、惣菜、調味料といった幅広い食シーンに用いることができるこれまでに無い食味と食感を有する新しい食用油漬け食品となる。
【0055】
即ち、従来と同様、油含有具材1を単体で惣菜や調味料として用いても良く、また、柿の種2を単体でおやつやおつまみとして食しても良い。更に、油含有具材1と柿の種2とを混ぜ合わせて惣菜やおつまみとして食しても良い。
【0056】
しかも、本実施例の食用油漬け食品に含まれる柿の種2は、上述したようにラー油含有食用油3に含まれるラー油の風味が加えられて、従来の柿の種とは違った食味になるだけでなく、表層部に浸透した食用油3の吸湿抑制作用により水分の吸収が可及的に抑止され、未開封状態において長期保存が可能となると共に、容器4の開封後もパリパリ、サクサクとした食感が損なわれず最後までおいしく食することができる画期的な食用油漬け食品となる。
【0057】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0058】
1 油含有具材
の種
3 食用油
4 容器
5 粉砕状米菓
図1