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  • 特許-マッサージ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】マッサージ装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
A61H7/00 300G
A61H7/00 320A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018120852
(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公開番号】P2020000347
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】595084807
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100101708
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 信宏
(74)【代理人】
【識別番号】100194777
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 憲治
(72)【発明者】
【氏名】原島 徹
(72)【発明者】
【氏名】横田 慎太郎
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-248217(JP,A)
【文献】特開2005-046220(JP,A)
【文献】実開平02-134090(JP,U)
【文献】特開平03-162857(JP,A)
【文献】国際公開第95/034268(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3183680(JP,U)
【文献】特開平10-15006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
A61H 15/00
A46B 13/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの駆動モータの出力軸に連動して作動する運動伝達機構を設け、当該運動伝達機構により伝達される運動力によって回転する左右一対の回転軸と、左右一対の前記回転軸のそれぞれの上端に取り付けられる回転台と、当該回転台のそれぞれの上面に設けられる揉み玉と、を備え、1つの前記駆動モータを駆動することにより左右一対の前記揉み玉をそれぞれ正逆に回転させてマッサージ効果を得るようにした マッサージ装置であって、
前記運動伝達機構を、前記駆動モータの出力軸に設けたウォームギヤと、当該ウォームギヤに噛み合う左右一対のウォームホイールと、各当該ウォームホイールから回転運動が伝達される平歯車と、当該平歯車と同軸に設けた円盤部材と、前記回転軸の周面に形成された複数の歯に噛合するラックギヤと、前記円盤部材の表面の偏心位置に一端を回転自在に固定し、他端を前記ラックギヤに回転自在に固定した棒状部材と、で構成し、
前記駆動モータの出力軸の回転運動を左右一対の前記ラックギヤの往復運動に変換し、左右一対の前記ラックギヤの往復運動に連動して左右一対の前記回転台を正逆に回転するようにしたことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
前記運動伝達機構における前記ウォームホイールの周端側が前記平歯車と前記円盤部材の間に入り込むように配置されている請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記回転軸の直径を2cmから5cmとし、前記ラックギヤの往復運動の距離幅を6cmから15cmとして調整することにより、前記回転台が一回転する直前で回転方向を正逆反転するようにした請求項1又は2に記載のマッサージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全で使用感にも優れたマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、揉み玉を支持した回転台が回転することにより、使用者の身体部位にマッサージを施すマッサージ装置として、例えば、大揉み玉及び小揉み玉が偏心位置に取り付けられた一対の回転台を回転させることにより、使用者の肩甲骨や腰部近傍等といった身体部位にマッサージを施すマッサージ装置が提供されている。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3183680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、前記従来のマッサージ装置は、前記マッサージ装置本体を布製等のカバーにより被覆し、使用者の身体部位に直接的に揉み玉を当接させずに使用するのが一般的であるが、より強力な揉み玉によるマッサージ効果を得たい使用者によっては、態々前記カバーを取り外し、その身体部位に直接的に揉み玉を当接させてマッサージする場合がある。当該行為は、マッサージ装置の製造者等が本来提供しようとする使用感から逸脱するだけでなく、前記回転台や揉み玉等の回転に使用者の衣服の解れ等が巻き込まれ、使用者の身体部位を締め付けて損傷させたり、使用者の首部を締め付けて死亡させたりするという問題をも生じさせる。
【0005】
特許文献1に記載のマッサージ装置においても同様に、使用者が前記カバー等を取り外して使用した場合には、前記回転台が同じ方向に回転することにより衣服の解れ等が巻き込まれ、使用者の身体部位を締め付けて損傷又は死亡させる問題が生じ得る。
【0006】
ところで、当該回転台を備えたマッサージ装置において、回転台の動力源となる駆動モータの正回転及び逆回転を切り換えることにより、前記回転台の回転方向を定期的に正逆反転させ、前記衣服の解れ等の巻き込みを防止することも考え得る。しかしながら、このような解れ等の巻き込みを防止するには、比較的短い時間間隔で正逆回転を切り換える必要があるため、高頻度の当該切り換えによって前記駆動モータ又は回転台に回転運動を伝達するギヤに負担を掛け、製品寿命に影響が出るという問題が生じるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、短い時間間隔で回転台の正逆回転を反転させることができ、安全で且つ使用感にも優れたマッサージ装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明にかかるマッサージ装置は、1つの駆動モータの出力軸に連動して作動する運動伝達機構を設け、当該運動伝達機構により伝達される運動力によって回転する左右一対の回転軸と、左右一対の前記回転軸のそれぞれの上端に取り付けられる回転台と、当該回転台のそれぞれの上面に設けられる揉み玉と、を備え、1つの前記駆動モータを駆動することにより左右一対の前記揉み玉をそれぞれ正逆に回転させてマッサージ効果を得るようにしたマッサージ装置であって、
前記運動伝達機構を、前記駆動モータの出力軸に設けたウォームギヤと、当該ウォームギヤに噛み合う左右一対のウォームホイールと、各当該ウォームホイールから回転運動が伝達される平歯車と、当該平歯車と同軸に設けた円盤部材と、前記回転軸の周面に形成された複数の歯に噛合するラックギヤと、前記円盤部材の表面の偏心位置に一端を回転自在に固定し、他端を前記ラックギヤに回転自在に固定した棒状部材と、で構成し、
前記駆動モータの出力軸の回転運動を左右一対の前記ラックギヤの往復運動に変換し、左右一対の前記ラックギヤの往復運動に連動して左右一対の前記回転台を正逆に回転するようにしたことを特徴としている。
【0009】
また、マッサージ装置は、前記運動伝達機構における前記ウォームホイールの周端側が前記平歯車と前記円盤部材の間に入り込むように配置されていることを特徴としている。
【0010】
また、マッサージ装置は、前記回転軸の直径を2cmから5cmとし、前記ラックギヤの往復運動の距離幅を6cmから15cmとして調整することにより、前記回転台が一回転する直前で回転方向を正逆反転するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るマッサージ装置によれば、駆動モータの出力軸回転運動を特別に構成した運動伝達機構によりラックギヤの往復運動に変換し、ラックギヤの往復動により回転台の回転方向を正逆反転できるようにしたので、駆動モータにかかる負担を軽減することができ、短い時間間隔で揉み玉の正逆回転を反転できることから、装置の故障が少なくなり、製品寿命を長くすることができる。
【0013】
また、本発明に係るマッサージ装置によれば、運動伝達機構におけるウォームホイールの周端側が平歯車と円盤部材の間に入り込むように配置することにより、運動伝達機構をハウジング内にコンパクトに収容でき、マッサージ装置自体の小型化を図ることができる。
【0014】
また、本発明に係るマッサージ装置によれば、回転軸の直径と、回転軸周面に形成された歯に噛合するラックギヤの往復運動の距離幅とを調整することにより、回転台が一回転する直前で回転方向を正逆反転するようにできるので、駆動モータの駆動自体を正逆反転する電気的な制御を必要とせず、運動伝達機構による機構的な構成により揉み玉の正逆回転の反転制御を行うことができ、一回転直前で反転するようにして揉み玉の回動範囲を最大限に制御することで、マッサージ効果の能力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るマッサージ装置の内部機構を示す外観斜視図である。
図2】マッサージ装置の内部機構を示す底面図である。
図3】マッサージ装置の内部機構を示す平面図である。
図4】マッサージ装置の内部機構を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明を具体的に説明する。まず、図1は、本発明に係るマッサージ装置1の構成を示す斜視図である。マッサージ装置1は、ハウジング2と、当該ハウジング2内に収納された駆動モータ3、ウォームギヤ41乃至棒状部材46からなる運動伝達機構4、ラックギヤ5、ガイド6及び回転軸7と、当該回転軸7に支持されて前記ハウジング2の外側で回転する回転台8と、当該回転台8の上面に支持された揉み玉9とから構成されている。
【0017】
なお、ハウジング2と駆動モータ3を除く各構成要素は、駆動モータ3に対して左右対称に設けられているため、本文では、図1中の右側についてのみ説明する。また、図中、各構成要素の説明の都合上、ハウジング2の上蓋を表示していない。当該ハウジング2の上蓋には、図示しないが、前記回転軸7の貫通孔が設けられており、当該上蓋から回転軸7の上端、回転台8及び揉み玉9のみが露出した状態で回転するように構成され、或いは、回転台8の貫通孔を設け、回転台8及び揉み玉9を前記上蓋の上方に露出させる構成でもよい。
【0018】
運動伝達機構4は、前記駆動モータ3の出力軸31に設けたウォームギヤ41と、当該ウォームギヤ41の回転運動を水平方向の回転に変換して伝達するウォームホイール42と、図2の底面図に示すように当該ウォームホイール42の下方で同軸上に設けられた小歯車43と、当該小歯車43に噛み合う別軸の平歯車44と、当該歯車44の上方で同軸上に設けられた円盤部材45と、当該円盤部材45の表面でその偏心位置に一端が回転自在に固定された棒状部材46とから構成されている。
【0019】
このように運動伝達機構4を構成することにより、ウォームホイール42からラックギヤ5までを略水平方向に動作させることができ、これら構成要素をハウジング内にコンパクトに収容することができる。また、前記ウォームホイール42は、その周端側が平歯車44と円盤部材45の間に一部が嵌まり込むように配置され、ハウジング2内の運動伝達機構4をよりコンパクトに構成している。
【0020】
ラックギヤ5は、前記棒状部材の他端に回転自在に固定され、側面に設けた複数の歯が前記回転軸7に設けた複数の歯に噛み合うように配設されている。さらに、回転軸7の上端には、回転台8が固定されており、当該回転台8の上面には、揉み玉9が支持されている。なお、当該揉み玉9は、本実施例において、大揉み玉と、当該大揉み玉の回転軸7と対向する位置に配した小揉み玉とから構成されるが、マッサージ装置1の実施態様においてこれに限られるものではなく、種々の揉み玉を1又は複数、回転台8の上面に配してもよい。また、回転台8は、本実施例では円形の台座状に形成したが、特にこの形状に限られるものではなく、回転軸7と、当該回転軸7の偏心位置に支持されて回転軸7の周りを回転する揉み玉9との間を連結する部材をも含むものである。
【0021】
図3は、マッサージ装置1の内部機構であって回転台8及び揉み玉9を取り除いた状態を示す図である。前記駆動モータ3で出力された回転運動は、前記ウォームギヤ41からウォームホイール42、小歯車43及び平歯車44を介し、矢印Aで示す回転運動として円盤部材45へと伝達される。当該円盤部材45の回転運動は、前記棒状部材46及びガイド6によってラックギヤ5の矢印Bで示す往復運動に変換される。当該ラックギヤ5の往復運動に従い、前記回転軸7の回転方向は、図中の矢印Cで示すように正逆反転する。
【0022】
図4は、マッサージ装置1の内部機構であって前記回転軸7の上端に回転台8を設け、当該回転台8の上面に揉み玉9を支持した状態を示す図である。前記回転軸7の矢印C方向へ回転の正逆反転に従い、前記回転台8及び揉み玉9もその回転方向が矢印Dに示すように正逆反転する。
【0023】
正逆反転のタイミングは、一回転、すなわち、360°回転するよりも前に、好適には、300°~360°、最適には359°回転したタイミングで、回転方向を正逆反転させる。当該正逆反転の設定は、複数の歯を周囲に設けた回転軸7の直径と、前記ラックギヤ5の側面に設けた複数の歯のうち、ラックギヤ5が往復運動する際に前記回転軸7の歯と噛み合う幅、すなわち往復動させる距離幅とによって決定される。
【0024】
当該距離幅は、マッサージ装置1のサイズ等に応じて決定すればよいが、本実施例のような、通常使用される一般的なマッサージ装置1のサイズ、回転軸7から回転台8への回転運動の伝達における回転軸7の強度維持、ラックギヤ5から回転軸7への回転運動の伝達効率、または、本実施例のマッサージ装置1の内部機構の配置を考慮すると、前記回転軸7の直径を2cm~5cmとし、ラックギヤ5の往復運動の距離幅を約6cm~15cmとするのが好ましく、コンパクトな内部機構でハウジング2内の空間を有効に使用し、且つ、前記ラックギヤ5の往復運動を効率的に回転軸7の正逆反転する回転運動に変換できるマッサージ装置1とすることができる。
【0025】
なお、前記回転軸7の強度維持及び伝達効率とは、359°回転したタイミングで正逆反転させる際、例えば、回転軸7の直径が小さすぎる場合は、僅かな往復運動の距離幅で回転軸7の回転方向を正逆反転させることができるが、回転軸7の強度に問題が生じる一方、回転軸7の直径が大きすぎる場合は、強度上問題はないが、ラックギヤ5を往復運動させる距離幅が大きくなって効率が悪化するととともに、マッサージ装置1のサイズも大きくなってしまう。このように、前記強度維持及び伝達効率を考慮すると、前述の通り、回転軸7の直径を2cm~5cmとし、前記距離幅を約6cm~15cmとするのが好ましい。
【0026】
このように、前記回転台8を一回転するよりも前に正逆反転させることにより、使用者の衣服の解れ等を巻き込むことを防止し、使用者の身体部位を損傷又は死亡させることなく安全に、また、同じ方向に回転する回転台とは異なった使用感でマッサージを施すことができる。
【0027】
なお、マッサージ装置1は、回転台8を一回転するよりも前に正逆反転させることができればよく、駆動モータ3自体の回転を正逆反転させてもよい。ただ、前記実施例の構成とすることにより、駆動モータ3の出力軸31の回転方向を正逆反転させて駆動モータ3や各ギヤに負担を掛けることなく、また、簡易な構成で且つ短い時間間隔、すなわち回転台を一回転させるよりも前に前記回転台の回転方向を正逆反転させることができる。また、前記運動伝達機構4等の内部機構も前記実施例の構成に限られず、駆動モータ3の回転運動を変換し、回転台8を一回転するよりも前に正逆反転させることができればどのような構成であってもよい
【0028】
また、本実施例では、図1に示す内部機構の右側の機構のみ説明したが、左側の機構も同様であり、左右一対の回転台8に支持された揉み玉9において、安全に、且つ、一方方向に回転する揉み玉9とは異なった優れた使用感でマッサージを施すことができる。また、本実施例のように左右対称に回転台8を設けないマッサージ装置1であっても、片方のみの回転台8及び揉み玉9を備えたマッサージ装置1であっても、前記運動伝達機構4等の内部機構により、前記効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本実施例の内部機構の構成は、回転台8の上面に支持された揉み玉を回転させるマッサージ装置1であれば、どのようなマッサージ装置1においても利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 マッサージ装置
2 ハウジング
3 駆動モータ
31 出力軸
4 運動伝達機構
41 ウォームギヤ
42 ウォームホイール
43 小歯車
44 平歯車
45 円盤部材
46 棒状部材
5 ラックギヤ
6 ガイド
7 回転軸
8 回転台
9 揉み玉
図1
図2
図3
図4