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特許7134470ヒンジ並びにこのヒンジを用いた各種機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】ヒンジ並びにこのヒンジを用いた各種機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 27/62 20060101AFI20220905BHJP
   E05D 7/086 20060101ALI20220905BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20220905BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20220905BHJP
   F16C 11/10 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
G03B27/62
E05D7/086
G03G21/16 109
F16C11/04 F
F16C11/10 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018121005
(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公開番号】P2020003561
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】波多野 興作
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲生
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-183840(JP,A)
【文献】特開2015-001619(JP,A)
【文献】特開2016-205541(JP,A)
【文献】特開2011-227370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0153833(US,A1)
【文献】特開平07-120845(JP,A)
【文献】特開2019-168560(JP,A)
【文献】特開2019-095524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 27/58-27/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して開閉体を開閉可能に連結するヒンジであって、
前記装置本体の後部上端に縦方向に取り付けられるケース部を有する取付部材と、
前記開閉体の側に取り付けられると共に前記取付部材の両側板部にヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられる支持部材と、
前記取付部材内に上下方向へスライド可能に設けられたところの上面に第1受圧カム部を有する第1スライド部材と、
前記支持部材の下面側に前記第1スライド部材の前記第1受圧カム部に接して設けられた押圧カム部と、
この第1スライド部材と前記取付部材の底部側との間に当該第1スライド部材を上方へスライド付勢させるために設けられたコイルスプリングから成る第1弾性部材と、
前記第1弾性部材内に前記第1スライド部材の下降動作を緩和するために設けられた流体ダンパー手段と、
前記流体ダンパー手段のピストン杆の先端側にスライド可能に取り付けられると共に前記第1スライド部材に設けたガイド孔を介してその先端側を前記押圧カム部に圧接させている第2スライド部材と、
前記第2スライド部材を上方へスライド付勢させるために弾設された第2弾性部材と、で構成し
前記第2スライド部材は、前記ピストン杆をその軸心部軸方向に設けた第2スプリング収容穴へ収容させると共に、前記ピストン杆に環巻させつつ当該ピストン杆との間に前記第2弾性部材を弾設させていることを特徴とする、ヒンジ。
【請求項2】
前記取付部材が合成樹脂製の場合には、その内部に前記第1スライド部材と前記第1弾性部材を収容させて金属製の補強用枠体が設けられ、ヒンジシャフトに連結されていることを特徴とする、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記第2スライド部材は、前記第1スライド部材に設けた前記ガイド孔を貫通すると共に、平面矩形状のもので、上面側に第2カム部を有し、下部側から上部側にその軸心部軸方向へ向けて前記第2弾性部材を収容させる第2スプリング収容穴を有し、その入口部分に前記ピストン杆に係止される係止部を有することを特徴とする、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記第2スライド部材は、その第2受圧カム部が前記支持部材の押圧カム部に当接する時期を、前記開閉体が閉じられ始めた後で、前記流体ダンパー手段の効き始める前に選定したことを特徴とする、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項5】
前記第2スライド部材は、前記第1スライド部材に係止されて当該第1スライド部材から上方へ抜け出ないように係止されていることを特徴とする、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項6】
前記第1弾性部材は前記取付部材内に複数個設けられ、前記流体ダンパー手段はそのうちの少なくとも一つに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のヒンジ
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のヒンジを用いたことを特徴とする、各種機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、複合機、スキャナ、ファクシミリ、印刷機などを含む事務機器、或は家具などを含む各種機器などの装置本体に対し、原稿圧着板などの開閉体を開閉可能に連結する際に用いて好適なヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機などの事務機器は、装置本体の上面部に原稿読取用のコンタクトガラスを設けてあり、このコンタクトガラスに対して上下方向へ開閉可能となるようにヒンジを介して原稿圧着板(開閉体)が取り付けられている。
【0003】
従来、この種のヒンジとして、下記特許文献1に記載されたものが公知である。この特許文献1に記載されたヒンジは、装置本体に対して原稿圧着板を開閉可能に連結するヒンジであって、装置本体の側に取り付けられる取付部材と、原稿圧着板の側に取り付けられると共に取付部材の側に面する押圧カム部を有する支持部材と、取付部材に対して支持部材を回転可能に軸支するヒンジシャフトと、押圧カム部に当接する第1受圧カム部を有すると共に押圧カム部へ向かって移動可能に設けられた第1スライド部材と、取付部材と第1スライド部材の間に設けられた弾性部材と、取付部材と第1スライド部材の間に設けられて原稿圧着板の閉成方向へ向けての支持部材の急激な回転動作を緩衝することが可能な流体ダンパー手段と、この流体ダンパー手段のピストン杆に連結されて第1スライド部材に設けたガイド孔にスライド可能に収容され、支持部材の閉成方向への回転時にピストン杆より先に押圧カム部に当接する第2スライド部材とで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-183840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に記載のヒンジは、原稿圧着板の閉成方向へ向けての支持部材の回転時に、従来技術のピストン杆よりも早く支持部材の押圧カム部に第2スライド部材が当接することから、支持部材の閉成方向へ向けての回転動作をより滑らかに緩衝できるという効果を奏するが、第2スライド部材に押圧カム部が当たった際には、急激にブレーキ作用が生ずることに違いはなく、支持部材に取り付けた原稿圧着板の閉成操作時における操作フィーリングにさらに改良する余地があった。
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題点をさらに改良せんとするものであり、その目的とするところは、原稿圧着板などの開閉体の閉成時に当該開閉体が勢いよく装置本体に向かって落下してきた場合でも急激に流体ダンパー手段が動作するのではなく、流体ダンパー手段による滑らかな緩衝効果を十分に発揮し得るヒンジ並びにこのヒンジを用いた各種機器を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本願請求項1発明は、装置本体に対して開閉体を開閉可能に連結するヒンジであって、前記装置本体の後部上端に縦方向に取り付けられるケース部を有する取付部材と、前記開閉体の側に取り付けられると共に前記取付部材の両側板部にヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられる支持部材と、前記取付部材内に上下方向へスライド可能に設けられたところの上面に第1受圧カム部を有する第1スライド部材と、前記支持部材の下面側に前記第1スライド部材の前記第1受圧カム部に接して設けられた押圧カム部と、この第1スライド部材と前記取付部材の底部側との間に当該第1スライド部材を上方へスライド付勢させるために設けられたコイルスプリングから成る第1弾性部材と、前記第1弾性部材内に前記第1スライド部材の下降動作を緩和するために設けられた流体ダンパー手段と、前記流体ダンパー手段のピストン杆の先端側にスライド可能に取り付けられると共に前記第1スライド部材に設けたガイド孔を介してその先端側を前記押圧カム部に圧接させている第2スライド部材と、前記第2スライド部材を上方へスライド付勢させるために弾設された第2弾性部材と、で構成し、前記第2スライド部材は、前記ピストン杆をその軸心部軸方向に設けた第2スプリング収容穴へ収容させると共に、前記ピストン杆に環巻させつつ当該ピストン杆との間に前記第2弾性部材を弾設させていることを特徴とする。
【0008】
次に、請求項2発明は、前記取付部材が合成樹脂製の場合には、その内部に前記第1スライド部材と前記第1弾性部材を収容させて金属製の補強用枠体が設けられ、ヒンジシャフトに連結されていることを特徴とする。
【0009】
次に、請求項3発明は、前記第2スライド部材、前記第1スライド部材に設けた前記ガイド孔を貫通すると共に、平面矩形状のもので、上面側に第2カム部を有し、下部側から上部側にその軸心部軸方向へ向けて前記第2弾性部材を収容させる第2スプリング収容穴を有し、その入口部分に前記ピストン杆に係止される係止部を有することを特徴とする。
【0010】
次に、請求項4発明は、前記第2スライド部材が、その第2受圧カム部が前記支持部材の押圧カム部に当接する時期を、前記開閉体が閉じられ始めた後で、前記流体ダンパー手段の効き始める前に選定したことを特徴とする。
【0012】
次に、請求項発明は、前記第2スライド部材、前記第1スライド部材に係止されて当該第1スライド部材から上方へ抜け出ないように係止されていることを特徴とする。
【0013】
次に、請求項発明は、前記第1弾性部材が、前記取付け部材内に複数個設けられ、前記流体ダンパー手段はそのうちの少なくとも一つに設けられていることを特徴とする。
【0014】
次に、請求項発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載のヒンジを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1発明によれば、開閉体を閉じる際に、支持部材の押圧カム部に常時接している上方へスライド付勢された第2スライド部材によって、流体ダンパー手段に先立って従来の流体ダンパー手段だけを用いたものよりも、全閉成操作時において緩衝動作がなされるので、開閉体に対する滑らかな閉成操作を行いうるものである。
【0016】
請求項2発明では、補強用枠体によって、取付部材が強化されるので、当該取付部材に合成樹脂成型品を用いても、開閉体の開閉操作時に第1弾性部材によって取付部材が破壊されてしまうのを阻止できるものである。
【0017】
請求項3発明では、第2スライド部材がスライド中に回転してしまうことを防止できたうえで、ピストン杆から抜け出てしまうことも防止できるものである。
【0018】
請求項4発明では、前記第2スライド部材の第2受圧カム部が前記支持部材の押圧カム部に当接する時期を、前記開閉体が閉じられ始めた後で、前記流体ダンパー手段の効き始める前に選定したことにより、設置スペース上の問題を解決することができるものである。
【0020】
請求項発明では、前記第2スライド部材は、前記第1スライド部材に係止されて当該第1スライド部材から上方へ抜け出ないように係止されるものである。
【0021】
請求項発明では、第1弾性部材が複数ある場合には、そのうちの一つに流体ダンパー手段を設ければ、開閉体の急激な落下を防止でき、ヒンジのコストダウンも図ることができるものである。
【0022】
請求項の各種機器は、開閉体が勢いよく装置本体に向かって落下してきた場合でも流体ダンパー手段によるなめらかな緩衝効果を十分に発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係るヒンジを備える各種機器の一例としての複写機を示す斜視図である。
図2】(A)は装置本体に対する開閉体の一種である原稿圧着板の閉成状態の説明図、(B)は装置本体に対する原稿圧着板の開成状態の説明図である。
図3】本発明の一実施形態に係るヒンジの外観の斜視図である。
図4】ヒンジの分解斜視図である。
図5図3に示したヒンジのA-A線断面図である。
図6図3に示したヒンジのB-B線断面図である。
図7】(A)は支持部材の平面図、(B)は(A)に示す支持部材の側面図、(C)は(A)に示す支持部材の底面図である。
図8】(A)は取付部材の斜視図、(B)は(A)に示す取付部材を別角度から視た斜視図である。
図9】(A)は補強用枠体の斜視図、(B)は(A)に示す補強用枠体を別角度から視た斜視図である。
図10】(A)はヒンジシャフトの斜視図、(B)は(A)に示すヒンジシャフトを別角度から視た斜視図である。
図11】(A)は第1スライド部材の斜視図、(B)は第1スライド部材のC-C断面図、(C)は第1スライド部材の底面図である。
図12】(A)は流体ダンパー手段の平面図、(B)はピストン杆の断面で示す流体ダンパー手段の平面図、(C)は流体ダンパー手段の正面図、(D)は流体ダンパー手段の斜視図である。
図13】(A)は第2スライド部材の斜視図、(B)は(A)に示す第2スライド部材を別角度から視た斜視図、(C)は第2スライド部材の側面から見た断面図、(D)は第2スライド部材の正面から見た断面図、(E)は第2スライド部材下面図、(F)は(D)の第2スライド部材のD-D断面図である。
図14】(A)は第1導電板の斜視図、(B)は(A)に示す第1導電板を別角度から視た斜視図である。
図15】第2導電板の斜視図である。
図16】(A)は支持部材の角度が0度のときのダンパー収容側の断面図、(B)はこのときのダンパー非収容側の断面図である。
図17】(A)は支持部材の角度が18度のときのダンパー収容側の断面図、(B)はこのときのダンパー非収容側の断面図である。
図18】(A)は支持部材の角度が30度のときのダンパー収容側の断面図、(B)はこのときのダンパー非収容側の断面図である。
図19】(A)は支持部材の角度が85度のときのダンパー収容側の断面図、(B)はこのときのダンパー非収容側の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。この実施形態では、本発明のヒンジを、各種機器の一例である複写機の装置本体に対して原稿圧着板の一例である開閉体を開閉可能に連結するヒンジに適用した場合を例に説明するが、本発明に係るヒンジは、複写機以外の上述した各種機器の装置本体に対し、本発明と同じ目的を持つ蓋体や開閉体を開閉可能に取り付ける場合に適用できることは言うまでもない。したがって、原稿圧着板以外の蓋体や開閉体に用いるときは、これを蓋体或は開閉体に読み替えるものとする。
【0025】
図1に示すように、各種機器の一例である複写機1は、装置本体2、開閉体の一例である原稿圧着板3、左右一対のヒンジ10L、10R等を備えており、原稿圧着板3がヒンジ10L、10Rによって装置本体2に対して開閉可能に連結されている。装置本体2の上面部にはコンタクトガラス4が設けられている。原稿圧着板3には、原稿自動送り装置5が装備されている。原稿自動送り装置5は原稿圧着板3の左側部分に設けられているため、右側のヒンジ10Rよりも左側のヒンジ10Lの方に大きな荷重が掛かる。このため、左側のヒンジ10Lには、右側のヒンジ10Rよりも大型のものが使用されている。右側のヒンジ10Rは、実施例のものは、後述する流体ダンパー手段80を有せず単一の弾性部材やトーションスプリングが用いられているので、以下、左側のヒンジ10Lの構成についてのみ説明する。もちろん、右側のヒンジ10Rに、本実施例に係る流体ダンパー手段80を用いることは可能である。
【0026】
図2(A)、(B)に示すように、ヒンジ10Lは、装置本体2の後部上端へ縦方向に取り付けられる取付部材20と、原稿圧着板3の側に取り付けられる支持部材30と、取付部材20に対して支持部材30を回転可能に軸支するヒンジシャフト40と、を備えている。
【0027】
図3図4に示すように、ヒンジ10Lは、多数の部品を用いて組み立てられている。取付部材20のケース部21に正面視略U字形状を呈した補強用枠体50が設置され、補強用枠体50上に流体ダンパー手段80及び第1弾性部材70が設置され、取付部材20の両側板部27、27と補強用枠体50の両連結部54、54にそれぞれ設けた第1軸受孔28と第2軸受孔57を貫通するヒンジシャフト40により支持部材30が軸支されている。
【0028】
図5に示すように、取付部材20内のダンパー収容側には、補強用枠体50のダンパー収容側部分に、第1スライド部材60、第1弾性部材70及び流体ダンパー手段80が収容されている。図6に示すように、取付部材20内のダンパー非収容側には、補強用枠体50のダンパー非収容側部分に、第1スライド部材60、及び第1弾性部材70が収容されている。
【0029】
図7(A)、(B)、(C)に示すように、支持部材30は例えばPOMのような機械的強度のある樹脂成形品であるが、金属板をプレス加工して製作してもよい。取付部材20も実施例のものは、同じく例えばPOMのような機械的強度のある樹脂成型品である。支持部材30の表面には、一部図示を省略しているが、樹脂材料を節約すると共に構造を補強するためのリブ構造や凹所が多数形成されている。
【0030】
支持部材30は、本体部31と、本体部31から左右対象に張り出したアーム部32L、32Rを有する。本体部31の前後方向中央部には、図5に示すように、取付部材20の側に面する押圧カム部33が形成されている。
【0031】
図4に示すように、支持部材30の本体部31の後端近傍には、連結孔34が形成されている。連結孔34は、本体部31を左右に貫通している。また、本体部31には、図14に示す第1導電板90を取り付けるための取付溝35と複数(この例では4つ)の取付孔36とが形成されている。図7(A)、(C)に示すように、取付溝35は、本体部31の前面31aの右側部分から下面31cを経て右側のアーム部32Rの下面32Raの左端近傍に至る部分に亘って形成されている。
【0032】
左側のアーム部32Lの左端近傍及び右側のアーム部32Rの右端近傍には、支持部材30を原稿圧着板3に固定するためのネジ(図示省略)が挿通される4つのネジ挿通孔37が形成されている。ネジ挿通孔37は、両アーム部32L、32Rの前後二箇所に設けられている。左側のアーム部32Lに設けられた前後のネジ挿通孔37のうち、前側のネジ挿通孔37は取付溝35の部分に開口している。また、両アーム部32L、32Rの下面32La、32Raには、ネジ挿通孔37の間に位置決め用の一対の円筒状の突起部38が設けられている。なお、この支持部材30は、樹脂成型品とすることなく、SUSのような金属プレートをプレス加工して製作することができる。本発明はこの場合にも実施できるものである。
【0033】
図4図7に示すように、支持部材30の本体部31の上端後縁部には、押圧カム部33よりも後方に張り出した張出部39が設けられている。図19に示すように、張出部39は、原稿圧着板3が装置本体2に対して最大開成角度(85度)まで回転したときに、取付部材20の後板部23の上端縁部23aに当接して原稿圧着板3の開成角度を制限している。
【0034】
図4に示すように、取付部材20は、支持部材30側に開口したケース部21を有する。図8(A)、(B)に示すように、取付部材20は硬質樹脂で形成された樹脂成形品である。取付部材20の表面にも、樹脂材料を節約すると共に構造を補強するためのリブ構造や凹所が多数形成されている。図8(A)、(B)に示すように、取付部材20は、前板部22、後板部23、底板部24、左側板部25L及び右側板部25Rを有し、これらに囲まれてケース部21が形成されている。取付部材20の上部外周にはフランジ部26が設けられている。図2(A)、(B)に示すように、取付部材20は、フランジ部26よりも下側部分を装置本体2の取付孔2aに嵌合させて装置本体2に取り付けられる。フランジ部26の右側板部25Rに形成された部分の前端近傍には、図15に示す第2導電板100を取り付けるための取付孔26aが上下に貫通させて形成されている。尚、この取付部材20は、樹脂成型品とすることなく、SUSのような金属プレートをプレス加工して製作したり、鍛造品とすることができる。本発明はこのどちらにも実施できるものである。
【0035】
図8(A)、(B)に示すように、取付部材20の左側板部25L及び右側板部25Rの後部には上方に突出した左右一対の両側板部27、27が形成されている。両側板部27、27の上端近傍には、それぞれ第1軸受孔28、28が形成されている。両第1軸受孔28、28は両側板部27、27を同軸に貫通している。取付部材20の内側には、図9(A)、(B)に示す補強用枠体50が嵌め込まれている。補強用枠体50は、例えばステンレス鋼板を曲げ加工して形成された金属部材である。
【0036】
図9(A)、(B)に示すように、補強用枠体50は、例えばSUSのような金属製のもので、合成樹脂製の取付部材20を補強するためのものである。これは弾力の強い一対の第1弾性部材70、70の圧縮伸長により取付部材20が破壊されてしまうのを防止している。尚、取付部材20を合成樹脂の成型品を用いても、肉厚を厚くし、十分に強度のあるものとした場合には、補強用枠体50を省略できる。この補強用枠体50は、正面視略U字形状を呈したもので、底板部51と、底板部51の左右両端から屈曲して上方に起立した左右の側板部52L、52Rと、両側板部52L、52Rの前後の縁部からそれぞれ左右方向内向きに延びる縁板部53a、53a及び53b、53bと、両側板部52L、52Rの後部から上方に突出した左右一対の連結部54、54が形成されている。底板部51には、流体ダンパー手段80を取り付けるための貫通孔56が形成されている。両連結部54の上端近傍には、それぞれ第2軸受孔57が形成されている。両第2軸受孔57は両連結部54を同軸に貫通している。
【0037】
図4図5図6に示すように、補強用枠体50は、取付部材20の内面に嵌合させてケース部21内に設けられる。取付部材20の第1軸受孔28、28と補強用枠体50の第2軸受孔57、57は互いに同軸的に連通している。
【0038】
図10(A)、(B)に示すように、ヒンジシャフト40は、例えばSUSのような金属製のもので、円柱状の軸部41と軸部41の一端部(右端部)41aに形成されたヘッド部42とを有する。ヒンジシャフト40は、例えばステンレス鋼などで形成された金属部材である。軸部41の他端部(左端部)41bは中空になっており、図4に示すように、取付部材20及び支持部材30の第1軸受孔28、28及び連結孔34に軸部41を挿通した後、他端部41bが加締(カシメ)められる。
【0039】
図4図5図6に示すように、第1スライド部材60は、合成樹脂製のもので、補強用枠体50に周囲を囲まれた状態で取付部材20のケース部21内に収容されている。第1スライド部材60は、補強用枠体50に案内されてケース部21内を上下にスライドする。図11(A)に示すように、第1スライド部材60の上面部には、支持部材30の押圧カム部33と当接する第1受圧カム部61が設けられている。また、第1スライド部材60の前面側と後面側には、凸部60a、60bが設けられ、凸部60a、60bが補強用枠体50の縁板部53a、53a内及び53b、53b内にそれぞれ嵌まり込んで案内されることにより、補強用枠体50が上下方向へスライドする際のその姿勢を制御されている。
【0040】
第1受圧カム部61の一部には、図11(A)、(B)、(C)に示すように、第1スライド部材60のスライド方向(上下方向)に延びる平面矩形状を呈したガイド孔62が形成されている。第1スライド部材60の内部には、図11(B)、(C)に示すように、下方に開口した左右一対の円筒状のバネケース部63L、63Rが形成されている。ガイド孔62は、左側のバネケース部63Lから第1受圧カム部61を貫通して、第1受圧カム部61の表面に開口している。
【0041】
図4図5図6及び図11に示すように、両バネケース部63L、63Rには、第1弾性部材70、70が各々収容される。第1弾性部材70、70は、鋼製の巻きばねである。実施例では、左右のバネケース部63L、63Rのうち一方(この例では左側)のバネケース部63Lに、一方の第1弾性部材70とともに流体ダンパー手段80が収容されており、第1弾性部材70は、流体ダンパー手段80を囲むようにしてバネケース部63Lに配置されている。他方のバネケース部63Rには、もう一方の第1弾性部材70が収容され、流体ダンパー手段80は収容されていない。もちろん、両方のバネケース部63L、63R内に第1弾性部材70、70及び流体ダンパー手段80、80を収容させても良い。
【0042】
図5図6に示すように、両第1弾性部材70、70の上端70a、70aは、第1スライド部材60のバネケース部63L、63Rの天井面63aにそれぞれ圧接している。図5に示すように、左側のバネケース部63L内に設けられた第1弾性部材70の下端70bは、ダンパー本体81のフランジ部83に圧接している。図6に示すように、右側のバネケース部63R内に設けられた第1弾性部材70の下端70bは、補強用枠体50の底板部51の上面51aに圧接している。両第1弾性部材70、70によって第1スライド部材60は上下に移動可能に弾力的に支承されている。第1スライド部材60は、取付部材20に対する支持部材30の回転にともなって第1スライド部材60の第1受圧カム部61と支持部材30の押圧カム部33との互いの当接状態が変化することにより、両第1弾性部材70により上方に付勢されつつ上下にスライドさせられる。この実施形態では、装置本体2に対する原稿圧着板3の角度が0度から85度の範囲における取付部材20に対する支持部材30の回転にともなって押圧カム部33と第1受圧カム部61との互いの当接状態が変化するように構成されている。ここで「角度」は、装置本体2のコンタクトガラス4の上面と原稿圧着板3の下面とが成す角度を意味する。
【0043】
図4図7を参照して図14に示すように、第1導電板90は、支持部材30の本体部31の上面31bに被せて設けられる上板部91と、上板部91の前縁右端部から下方に屈曲して延びる前板部92と、前板部92の下端から後方に屈曲するとともに右側に延びる下板部93と、上板部91の右縁後端部から下方に屈曲して延びる右板部94とを有する。上板部91及び下板部93は、支持部材30に取り付けられた原稿圧着板3側の導体部品と電気的に接続される部分である。上板部91には、本体部31の取付孔36と連通する複数(この例では4つ)の貫通孔95が設けられており、各貫通孔95の縁部が各取付孔36に固定される。前板部92及び下板部93は本体部31の取付溝35に嵌合する。下板部93の右端近傍には、右側のアーム部32Rの前側のネジ挿通孔37と連通する貫通孔96が設けられており、ネジ挿通孔37及び貫通孔96に挿通されて原稿圧着板3に螺着される図示しないネジによって、下板部93が右側のアーム部32Rに固定される。右板部94には第1軸受孔28と連通する貫通孔97が設けられており、ヒンジシャフト40の軸部41の外周面に貫通孔97の内周縁が接触することにより、第1導電板90とヒンジシャフト40とが互いに電気的に導通するようになっている。
【0044】
図2図4図8に示すように、第2導電板100は、取付部材20の右側板部25Rに取り付けられる。図15に示すように、第2導電板100は、取付部材20のフランジ部26よりも上側に設けられる上半部101と、フランジ部26から下側に設けられる下半部102と、上半部101と下半部102とをつなぐ段部103とを有する。下半部102は、装置本体2の導体部品と接触して電気的に接続される部分である。上半部101は、フランジ部26に沿って前後に延びる水平部101aと、水平部101aの後端部から上方に延びる垂直部101bとを有する。垂直部101bの上端部には、ヒンジシャフト40のヘッド部42が嵌合する貫通孔104が設けられており、ヒンジシャフト40のヘッド部42に垂直部101bの上端部が接触することにより、第2導電板100とヒンジシャフト40とが互いに電気的に導通するようになっている。
【0045】
上記のように構成されたヒンジ10Lは、装置本体2と原稿圧着板3とを、第1導電板90、ヒンジシャフト40及び第2導電板100を介して導通させ、装置本体2と原稿圧着板3との間で電気的なアース接続を確保し得る。
【0046】
図5を参照して図12(C)に示すように、流体ダンパー手段80は、公知のものであることから、内部構造の詳細は省略するが、取付部材20のケース部21内に補強用枠体50内に固定して設けられたダンパー本体81と、ダンパー本体81内から支持部材30側すなわち上方に一体に延びるピストン杆82とを有する。ダンパー本体81の下端近傍には、フランジ部83が形成されている。流体ダンパー手段80は、ダンパー本体81の下端部を補強用枠体50の貫通孔56に嵌合させるとともにフランジ部83を補強用枠体50の底板部51の上面51aに係止させた状態で補強用枠体50に固定されている。尚、この流体ダンパー手段80は、実施例では、2連のコイルスプリングから成る第1弾性部材70、70の一方に設置されているが、もう一方のものに設置しても良い。
【0047】
ピストン杆82の外周には、とくに図12(D)に示したように、その上部側に等間隔に設けた4個の第1溝部82c、82c・・が設けられ、この第1溝部82c、82c・・の下部に周溝82dを介して第1溝部82c、82c・・とは設置角度を90度ずらせて4個の第2溝部82f、82f・・が設けられている。さらに、このピストン杆82には、その先端側から軸心部軸方向に向けて第1スプリング収容穴82aが所定の深さまで設けられている。
【0048】
とくに図5に示したように、ピストン杆82には、第2スライド部材110が上下方向へスライド可能に取り付けられている。この第2スライド部材110は、とくに図13(A)、(B)に示したように、第1スライド部材60のガイド孔62の形状に合わせた矩形状を呈しており、ガイド孔62の内部を回転することなく定位置でスライド可能となっている。この第2スライド部材110は、上面に第2受圧カム部111を有すると共に、図13(C)、(D)、(E)、(F)に示すように、内部の軸心部軸方向に平面視円形状の第2スプリング収容穴113が設けられ、この第2スプリング収容穴113の入口部分に等間隔に配した4個の凸部113a、113a・・と凹部113b、113b・・から成る係止部113cが設けられている。そして、とくに図5に示したように、ピストン杆82と第2スライド部材110の間には、第2スプリング収容穴113に収容させて第2スライド部材110を上方へスライド付勢させる第2弾性部材120がピストン杆82に環巻させつつ弾設されている。
【0049】
この第2スライド部材110をピストン杆82へ取り付けるにあたっては、まず、図13(E)に示す第2スライド部材110の第2スプリング収容穴113の入口をピストン杆82の上端部にあてがい、係止部113cの凸部113a、113a・・を図12(D)に示すピストン杆82の上端部に設けた第1溝部82c、82c・・にあてがい下押しすると、第2スライド部材110はその下端部側がピストン杆82の上端部に挿入され、ピストン杆82に設けた周溝82dを通過して凸条部82e、82e・・に当たって停止する。この状態で第2スライド部材110を左右いずれかの方向に回転させて凸部113a、113a・・を第2溝部82f、82f・・に合わせる。この状態から第2スライド部材110を下押しすると、凸部113a、113a・・が第2溝部82f、82fに案内されて下方へスライドするので、第2スライド部材110はピストン杆82へ装着される。この状態において、第2弾性部材120による上方へのスライド付勢力を受けて第2スライド部材110が上方へ移動しても、ピストン杆82の上端部に段違いに設けた、凸部82b、82b・・に当たって停止し、直ちに上方へ抜け出てしまうことがない。
【0050】
以上のよう構成すると、とくに図16図19に示したように、第2スライド部材110は、原稿圧着板3の開閉操作に伴う支持部材30の回転動作時に常時押圧カム部33に圧接することになることから、原稿圧着板3がその閉成操作時において、所定の閉成角度から急激に流体ダンパー手段80が動作するということはなくなり、原稿圧着板3のよりスムーズな閉成操作を行うことができるものである。
【0051】
次に、原稿圧着板3の開閉動作時におけるヒンジ10Lの作用効果について説明する。
【0052】
ヒンジ10Lは、装置本体2に対して原稿圧着板3を開閉可能に連結する。装置本体2に対する原稿圧着板3の開閉角度の範囲は、実施例のものは完全に閉じた状態(全閉状態)の角度すなわち0度から最大の開成角度すなわち85度である。なお、この全開成角度は実施例のものに限定されない。
【0053】
図16に示したように、原稿圧着板3を閉じた角度0度の時には、支持部材30の押圧カム部33は、原稿圧着板3がその重量で支持部材30を第1弾性部材70と第2弾性部材120の合計弾力に抗して押して、第1スライド部材60と第2スライド部材110を下方へ押して第1弾性部材70、70と第2弾性部材120を最大限に圧縮した状態にある。この閉成状態において、原稿圧着板3の重量が第1弾性部材70、70と第2弾性部材120の合計弾力よりも勝るので、原稿圧着板3は安定した閉成状態を保っている。
【0054】
この閉成状態から原稿圧着板3の手前側を持って開いて行くと、当該原稿圧着板3は第1弾性部材70、70と第2弾性部材120の合計弾力により、その本来の重さを感じさせることなく軽く開くことができる。図18(A)と(B)に示したように、原稿圧着板3が30度の開成角度に達すると、当該原稿圧着板3の重量と第1弾性部材70、70と第2弾性部材120の合計弾力が均衡するので、原稿圧着板3から手を離しても自然落下して閉じられることはない。
【0055】
原稿圧着板3をこの中間角度からさらに開いて行くと、第2スライド部材110の第2受圧カム部111は押圧カム部33との間の接触状態を保つ。この押圧カム部33と第2スライド部材110の第2受圧カム部111との接触状態は、図19に示した原稿圧着板3の全開位置まで続いている。即ち、この接触状態は、図19に示したように、原稿圧着板3の最大開成角度の85度まで継続する。原稿圧着板3のこの最大開成角度において、当該原稿圧着板3は、その回転トルクが減少することと、第2スライド部材110に作用している第2弾性部材120の弾力により、開成状態を保っている。
【0056】
原稿圧着板3をその全開成状態から閉じて行くと、支持部材30の押圧カム部33によって、まず、第2スライド部材110が第2弾性部材120の弾力に抗して押し下げられることから、原稿圧着板3は弱い反発を受ける。この第2弾性部材120の弾力抵抗は原稿圧着板3が閉じられるにしたがって徐々に強まるが、さらに第1弾性部材70、70が作用している第1スライド部材60に支持部材30の押圧カム部33が圧接することから、その緩衝作用によって原稿圧着板3が急激に閉じられることはない。このようにして原稿圧着板3の閉成角度が18度に達すると、図17(A)に示したように第2スライド部材110に設けた第2スプリング収容孔113の内頂部115にピストン杆82の上端部が接触して、流体ダンパー手段80が効き始めることから、原稿圧着板3は、その自重によって回転トルクが増大しても急激に閉じられることはない。さらに、原稿圧着板3が閉じられるにしたがって、支持部材30は回転するが、第1スライド部材60と第2スライド部材110は、支持部材30の押圧カム部33に押されて第1弾性部材70、70と第2弾性部材120の弾力に抗して下方へスライドすることから、原稿圧着板3が急激に閉じられる心配はない。
【0057】
図17(A)に示したように、原稿着板3の閉成角度18度から第2スライド部材110に設けた第2スプリング収容孔113の内頂部115が流体ダンパー手段80のピストン杆82の先端部当接することから、流体ダンパー手段80が動作し始め、原稿圧着板3の閉成操作時における慣性力や、原稿圧着板3に対し閉成操作時に強く下押ししても、原稿圧着板3が急激に閉じられることはないものである。
もとより、ここのところは、第2スライド部材110の第2受圧カム部111が支持部材30の押圧カム部33に対して原稿圧着板3の開閉角度30度近辺から接触するようにし、流体ダンパー手段80が効き始める開閉角度を18度とすることは、適宜選択できる実施例である。このように構成すると、ヒンジの縦方向の短いものや、弾性部材の最大圧縮高さが短い場合にも対応できるという利点がある。
【0058】
即ち、本発明においては、とくに原稿圧着板3の閉成操作時に、従来技術のもののように、その所定の閉成角度から、流体ダンパー手段80が効き始めるということではなく、第2弾性部材120を作用させた第2スライド部材110で、原稿圧着板3の閉成操作時において予め緩衝作用がなされることから、流体ダンパー手段80による緩衝作用が滑らかになされるものである。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲内における各種の変更実施例を包摂するものである。たとえば、上記実施形態では、本発明のヒンジを、複写機の装置本体と原稿圧着板とを連結するヒンジに適用した例について説明したが、複写機に限らず、複合機、スキャナ、ファクシミリなどその他の各種機器のヒンジにも適用可能であることは勿論である。
【0060】
また、上記実施形態では、本発明のヒンジを、原稿圧着板の中間保持角度が60度である機器のヒンジに適用した例について説明したが、中間保持角度が60度以外の角度である機器にも適用可能であることは勿論である。
【0061】
また、上記実施形態では、装置本体と原稿圧着板とが大きさの異なる2つのヒンジで連結されている例を示したが、装置本体と原稿圧着板とが同じ大きさの2つのヒンジ又は3つ以上のヒンジで連結されていてもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、以上のように構成したので、流体ダンパー手段を用いても原稿圧着板などの開閉体の閉成操作時の動作がスムーズになるヒンジとして、また、このヒンジを用いた各種機器として好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 複写機
2 装置本体
3 原稿圧着板(開閉体)
4 コンタクトガラス
5 原稿自動送り装置
10L ヒンジ
10R ヒンジ
20 取付部材
21 ケース部
28 第1軸受孔
30 支持部材
34 連結孔
40 ヒンジシャフト
50 補強用枠体
57 第2軸受孔
60 第1スライド部材
61 第1受圧カム部
70 第1弾性部材
80 流体ダンパー手段
81 ダンパー本体
82 ピストン杆
110 第2スライド部材
111 第2受圧カム部
120 第2弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
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図19