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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】車両用燃料給油管
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/04 20060101AFI20220905BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20220905BHJP
   F16L 23/036 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
B60K15/04 C
F02M37/00 301M
F16L23/036
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018129691
(22)【出願日】2018-07-09
(65)【公開番号】P2020006803
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】590000721
【氏名又は名称】株式会社キーレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】塩川 智之
(72)【発明者】
【氏名】中崎 篤
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-18521(JP,A)
【文献】国際公開第2014/109367(WO,A1)
【文献】特開2007-107618(JP,A)
【文献】実開平2-64430(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/04,
F02M 37/00,
F16L 23/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクに一端が接続される円筒状の樹脂製給油管本体と、
一端側が上記給油管本体の他端開口に組み付けられる一方、他端開口に給油キャップが着脱可能に取り付けられ、当該給油キャップが取り外された状態で、給油ガンのノズルを上記給油管本体の内側に案内する円筒状の金属製ノズルガイドとを備えた車両用燃料給油管であって、
上記ノズルガイドにその筒中心線周りに回転可能に外嵌合された第1リング体と、
上記給油管本体にその筒中心線周りに回転可能に外嵌合された第2リング体とを備え、
上記ノズルガイドには、当該ノズルガイドの一端開口周縁から径方向外側に張り出す環状のフランジ部が設けられ、
上記給油管本体の他端側外周面には、当該給油管本体の他端側を上記ノズルガイドの一端開口から当該ノズルガイドの内方に挿入した状態で上記ノズルガイドの内周面との間をシールする環状シール部と、径方向外側に張り出すとともに上記給油管本体の周方向に延びる環状をなし、上記給油管本体の他端側を上記ノズルガイドの一端開口から当該ノズルガイドの内方に挿入した状態で上記フランジ部に対応する環状張出部とが設けられ、
上記第1及び第2リング体のいずれか一方の外周面には、雄螺子部が形成され、
上記第1及び第2リング体のいずれか他方の内周面には、上記雄螺子部が螺合する雌螺子部と、内側方に突出するとともに、上記雄螺子部を上記雌螺子部に螺合させることにより、上記第1及び第2リング体のいずれか一方との間に上記フランジ部と上記環状張出部とを重ねた状態で挟み込んで固定する突出部とが設けられていることを特徴とする車両用燃料給油管。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用燃料給油管において、
上記給油管本体の他端側外周面には、当該給油管本体の周方向に延びる環状凹条溝が設けられ、
上記環状シール部は、上記環状凹条溝に嵌合するリング状のゴム体であることを特徴とする車両用燃料給油管。
【請求項3】
請求項に記載の車両用燃料給油管において、
上記給油管本体の他端側外周面には、当該給油管本体の一端側より他端側の外径を小さくする環状段差部が設けられ、
上記給油管本体の他端開口周縁と上記環状段差部との間には、1つ以上のリング状部材が外嵌合しており
記環状段差部と上記リング状部材との間と上記給油管本体の外周面とで囲われる部分か、或いは、隣り合う2つの上記リング状部材の間と上記給油管本体の外周面とで囲われる部分によって上記給油管本体の周方向に延びる環状凹条溝が形成され、
上記環状シール部は、上記環状凹条溝に嵌合するリング状のゴム体であ ることを特徴とする車両用燃料給油管。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用燃料給油管において、
上記環状シール部は、ゴム材からなる一体成形品であり、上記給油管本体の他端開口周縁と上記環状張出部との間に外嵌合される筒状部と、該筒状部の上記環状張出部側開口周縁に設けられ、当該環状張出部に沿うように外側方に突出するとともに上記筒状部の周方向に延びる環状壁部と、上記筒状部の外周面に形成され、外側方に膨出するとともに上記筒状部の周方向に延びて上記ノズルガイドの内周面と上記筒状部との間をシールする環状膨出部とを備え、
上記環状壁部は、上記ノズルガイドの一端開口から当該ノズルガイドの内方に上記給油管本体の他端側を挿入した際、上記フランジ部と上記環状張出部とに挟み込まれるようになっていることを特徴とすることを特徴とする車両用燃料給油管。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の車両用燃料給油管において、
上記第1及び第2リング体のいずれか一方は、外周面に上記雄螺子部が形成されるとともに、径方向に2分割された半割形状の第1分割体及び第2分割体を互いに突き合わせて組み立てた組立体であることを特徴とする車両用燃料給油管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の燃料タンクにガソリン等の燃料を給油する際の通路となる燃料給油管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の軽量化や低コスト化を目的として、燃料給油管の全部又は一部を樹脂材で形成する取り組みがなされている。例えば、特許文献1に開示されている燃料給油管は、燃料タンクに一端が接続される樹脂材で形成された円筒状の給油管本体と、該給油管本体の他端開口に組み付けられ、給油ガンのノズルを給油管本体の内側に案内する円筒状のノズルガイドとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-85381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、ノズルガイドを給油管本体の他端開口に圧入することにより給油管本体に組み付けている。したがって、燃料給油管とノズルガイドとの間の気密性を高めるために、外径が給油管本体の内径よりも大きく設計されたノズルガイドを給油管本体に圧入させる必要があり、組立作業に大きな力を必要とするので、組立作業が煩雑であるという問題がある。
【0005】
また、圧入によりノズルガイドを給油管本体に組み付ける場合、組立後の給油管本体に対するノズルガイドの取付位置にばらつきが生じ易いという問題もある。
【0006】
これを回避するために、給油管本体とノズルガイドとを溶着等の接合によって一体にすることも考えられるが、ノズルガイドが金属体である場合には、樹脂材からなる給油管本体とノズルガイドとの間の接合が技術的に困難で実現が難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、樹脂材からなる給油管本体と金属材からなるノズルガイドとの間における組立作業が簡単であり、しかも給油管本体に対してノズルガイドを正確な位置に組み付けた状態にすることができる燃料給油管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、互いに螺合可能で、且つ、給油管本体とノズルガイドとにそれぞれ外嵌合する2つのリング体を用いて給油管本体とノズルガイドとを一体にするようにしたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、燃料タンクに一端が接続される円筒状の樹脂製給油管本体と、一端側が上記給油管本体の他端開口に組み付けられる一方、他端開口に給油キャップが着脱可能に取り付けられ、当該給油キャップが取り外された状態で、給油ガンのノズルを上記給油管本体の内側に案内する円筒状の金属製ノズルガイドとを備えた車両用燃料給油管において、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明では、上記ノズルガイドにその筒中心線周りに回転可能に外嵌合された第1リング体と、上記給油管本体にその筒中心線周りに回転可能に外嵌合された第2リング体とを備え、上記ノズルガイドには、当該ノズルガイドの一端開口周縁から径方向外側に張り出す環状のフランジ部が設けられ、上記給油管本体の他端側外周面には、当該給油管本体の他端側を上記ノズルガイドの一端開口から当該ノズルガイドの内方に挿入した状態で上記ノズルガイドの内周面との間をシールする環状シール部と、径方向外側に張り出すとともに上記給油管本体の周方向に延びる環状をなし、上記給油管本体の他端側を上記ノズルガイドの一端開口から当該ノズルガイドの内方に挿入した状態で上記フランジ部に対応する環状張出部とが設けられ、上記第1及び第2リング体のいずれか一方の外周面には、雄螺子部が形成され、上記第1及び第2リング体のいずれか他方の内周面には、上記雄螺子部が螺合する雌螺子部と、内側方に突出するとともに、上記雄螺子部を上記雌螺子部に螺合させることにより、上記第1及び第2リング体のいずれか一方との間に上記フランジ部と上記環状張出部とを重ねた状態で挟み込んで固定する突出部とが設けられていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、上記給油管本体の他端側外周面には、当該給油管本体の周方向に延びる環状凹条溝が設けられ、上記環状シール部は、上記環状凹条溝に嵌合するリング状のゴム体であることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、第の発明において、上記給油管本体の他端側外周面には、当該給油管本体の一端側より他端側の外径を小さくする環状段差部が設けられ、上記給油管本体の他端開口周縁と上記環状段差部との間には、1つ以上のリング状部材が外嵌合しており、上記環状段差部と上記リング状部材との間と上記給油管本体の外周面とで囲われる部分か、或いは、隣り合う2つの上記リング状部材の間と上記給油管本体の外周面とで囲われる部分によって上記給油管本体の周方向に延びる環状凹条溝が形成され、上記環状シール部は、上記環状凹条溝に嵌合するリング状のゴム体であることを特徴とする。
【0013】
第4の発明では、第1の発明において、上記環状シール部は、ゴム材からなる一体成形品であり、上記給油管本体の他端開口周縁と上記環状張出部との間に外嵌合される筒状部と、該筒状部の上記環状張出部側開口周縁に設けられ、当該環状張出部に沿うように外側方に突出するとともに上記筒状部の周方向に延びる環状壁部と、上記筒状部の外周面に形成され、外側方に膨出するとともに上記筒状部の周方向に延びて上記ノズルガイドの内周面と上記筒状部との間をシールする環状膨出部とを備え、上記環状壁部は、上記ノズルガイドの一端開口から当該ノズルガイドの内方に上記給油管本体の他端側を挿入した際、上記フランジ部と上記環状張出部とに挟み込まれるようになっていることを特徴とする。
【0014】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、上記第1及び第2リング体のいずれか一方は、外周面に上記雄螺子部が形成されるとともに、径方向に2分割された半割形状の第1分割体及び第2分割体を互いに突き合わせて組み立てた組立体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明では、ノズルガイドを給油管本体に組み付ける際、給油管本体の他端側をノズルガイドの内方にその一端開口から挿入すると、ノズルガイドのフランジ部に給油管本体の環状張出部が当接してフランジ部と環状張出部とが重なり合うので、給油管本体をノズルガイドの内方にそれ以上挿入できなくなる。したがって、給油管本体のノズルガイドに対する筒中心線方向の位置が正確に決まるので、給油管本体に対してノズルガイドを正確な位置に組み付けた状態にすることができる。また、第1リング体と第2リング体とを互いに螺合させる作業によりノズルガイドを給油管本体から外れないようにすることができ、特許文献1の如き圧入作業を行う必要が無いので、燃料給油管の組立作業が簡単である。さらに、給油管本体が樹脂体で、且つ、ノズルガイドが金属体であっても、本発明の構造を適用することにより、給油管本体にノズルガイドを圧入させることなく給油管本体とノズルガイドとを組み立てることができる。
【0016】
第2の発明では、樹脂材よりも比較的柔らかいリング状のゴム体を用いて給油管本体の外周面とノズルガイドの内周面との間の隙間が埋まるように給油管本体とノズルガイドとを組み立てているので、給油管本体とノズルガイドとの間の気密性が高い燃料給油管にすることができる。
【0017】
第3の発明では、給油管本体の他端側にリング状部材を嵌め込む作業だけでゴム体を嵌合させるための環状凹条溝が給油管本体の外周面に形成されるので、給油管本体の成形時に環状凹条溝を一体に成形する必要が無くなり、給油管本体を成形する成形型を複雑な形状にする必要が無くなってコストを抑えることができる。
【0018】
第4の発明では、燃料給油管を組み立てる際、環状シール部の環状壁部がノズルガイドのフランジ部と給油管本体の環状張出部との間に位置するので、第1リング体及び第2リング体でフランジ部と環状張出部とを挟み込むと、環状壁部がフランジ部と環状張出部との間に固定されるようになる。したがって、環状シール部が給油管本体から不意に外れてしまうのを確実に防ぐことができ、ノズルガイドと給油管本体との間の気密性を確実に確保した状態に維持することができる。
【0019】
第5の発明では、第1及び第2リング体のいずれか一方をノズルガイドか、或いは、給油管本体に組み付ける際、第1及び第2リング体のいずれか一方の内方にノズルガイドか、或いは、給油管本体を挿入するという作業を行う必要が無くなる。したがって、例えば、ノズルガイドに設けられたフランジ部や、給油管本体に設けられた環状張出部が組付作業の邪魔になるといったことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態1における燃料給油管、燃料給油管が接続された燃料タンク及び燃料給油管に取り付けられる給油キャップを示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態1における燃料給油管のノズルガイド側の分解斜視図である。
図3図1のIII-III線における断面図である。
図4図3のIV部拡大図である。
図5】給油管本体にリング体を組み付ける直前の状態を示す燃料給油管のノズルガイド側の断面図である。
図6図5の後、給油管本体にリング体を組み付けた直後の状態を示す図である。
図7図6の後、給油管本体にノズルガイドを組み付ける直前の状態を示す図である。
図8】本発明の実施形態2に係る図4相当図である。
図9】本発明の実施形態3に係る図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0022】
《発明の実施形態1》
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係る車両用の燃料給油管1を示す。該燃料給油管1は、車両の燃料タンク3に燃料を給油する際の燃料の通路となるものであり、燃料タンク3に一端が接続される円筒状の樹脂製給油管本体2を備えている。
【0023】
給油管本体2は、ブロー成形により製造されたブロー成形体であり、その他端側には、給油管本体2の一端から中途部に亘る部分よりも径が大きい拡管部20が形成されている。尚、以下では、給油管本体2の他端開口を拡管開口部20aと呼ぶことにする。
【0024】
給油管本体2は、図3及び図4に示すように、筒中心線C1が一致する第1円筒体21及び第2円筒体22を備えている。
【0025】
第1円筒体21は、給油管本体2の一端から他端寄りの位置までを構成する一方、第2円筒体22は、給油管本体2の他端側を構成していて、第2円筒体22は、熱板溶着又は振動溶着により第1円筒体21の第2円筒体22側の開口周縁に組み付けられている。
【0026】
第1円筒体21における第2円筒体22側の開口周縁には、径方向外側に張り出すとともに第1円筒体21の周方向に延びる環状張出部21aが形成されている。
【0027】
該環状張出部21aは、第2円筒体22を第1円筒体21に溶着する際に第1円筒体21の溶けた部分を外測方に押し広げることにより形成されている。
【0028】
第2円筒体22の外周面には、当該第2円筒体22の周方向に延びる一対の環状凹条溝22aが並設されている。
【0029】
すなわち、給油管本体2における拡管部20の外周面には、上記環状凹条溝22aが設けられている。
【0030】
各環状凹条溝22aには、ゴム体であるリング状のシール部材10(環状シール部)が嵌合している。
【0031】
拡管部20における環状張出部21aよりも拡管開口部20aから遠い部分には、図2に示すように、外側方に略円盤状に膨出する膨出部23が形成され、該膨出部23には、給油管本体2の内側と外側とを連通させる取付孔23aが形成されている。
【0032】
燃料給油管1は、図1に示すように、短い略円筒状をなすノズルガイド4を備え、該ノズルガイド4の一端側が給油管本体2の拡管開口部20aに組み付けられている。
【0033】
ノズルガイド4の他端開口には、給油キャップ11が着脱可能に取り付けられ、ノズルガイド4は、図3に示すように、当該給油キャップ11が取り外された状態で、給油ガンGのノズルG1を給油管本体2の内側に案内するようになっている。
【0034】
ノズルガイド4は、図2乃至図4に示すように、鉄板をプレス成形することにより得られた短い円筒状をなす金属体である。
【0035】
ノズルガイド4の中途部には、当該ノズルガイド4の一端側から他端側に行くにつれて次第に拡径する環状傾斜部4aが設けられ、該環状傾斜部4aによってノズルガイド4の一端側略半分の外径が他端側略半分の外径よりも小さくなっている。
【0036】
ノズルガイド4の一端開口周縁には、径方向外側に張り出す環状のフランジ部4bが設けられている。
【0037】
一方、ノズルガイド4の他端開口周縁部分には、径方向外側に折り返された環状の折返部4cが形成され、ノズルガイド4の他端側における折返部4c寄りの位置には、一条の螺合部4dが形成されている。
【0038】
ノズルガイド4の一端側内方には、給油管本体2の拡管部20がノズルガイド4の一端開口から挿入されるようになっていて、拡管部20をノズルガイド4の内方に挿入した状態で各シール部材10がノズルガイド4の内周面と給油管本体2の外周面との間をシールするようになっている。
【0039】
また、給油管本体2の環状張出部21aは、拡管部20をノズルガイド4の一端開口から当該ノズルガイド4の内方に挿入した状態でノズルガイド4のフランジ部4bに対応するようになっている。
【0040】
ノズルガイド4には、図2乃至図4に示すように、アルミニウム合金製の第1リング体5が外嵌合しており、該第1リング体5は、ノズルガイド4の筒中心線C1周りに回転可能になっている。
【0041】
該第1リング体5は、図2に示すように、径方向に2分割された半割形状の第1分割体5a及び第2分割体5bを互いに突き合わせて組み立てた組立体であり、その外周面には、雄螺子部5cが形成されている。
【0042】
また、給油管本体2には、アルミニウム合金製の第2リング体6が外嵌合しており、該第2リング体6は、給油管本体2の筒中心線C1周りに回転可能になっている。
【0043】
第2リング体6の一端開口側内周面には、図5及び図6に示すように、第1リング体5の雄螺子部5cが螺合可能な雌螺子部6aが形成されている。
【0044】
一方、第2リング体6の他端側内周面には、当該第2リング体6の内側方に突出するとともに当該第2リング体6の周方向に延びる環状突出部6bが形成され、該環状突出部6bの突出高さは、給油管本体2の環状張出部21a及びフランジ部4bの張出高さに対応している。
【0045】
環状突出部6bは、図7に示すように、給油管本体2の拡管部20をノズルガイド4の一端開口から当該ノズルガイド4の内方に挿入した状態で第1リング体5と第2リング体6とを互いに接近させるとともに第1リング体5をX1方向に回転させて雄螺子部5cを雌螺子部6aに螺合させることにより、第1リング体5との間にフランジ部4bと環状張出部21aとを重ねた状態で挟み込んで固定するようになっている。
【0046】
尚、第2リング体6に対して第1リング体5を螺合させる作業は、専用の工具を作成して行うと効率良く行うことができる。
【0047】
給油管本体2の側方には、図1及び図2に示すように、一端が燃料タンク3に接続される一方、他端が給油管本体2の拡管部20に接続されたブリーザチューブ7が並設され、該ブリーザチューブ7は、給油管本体2を用いて燃料を燃料タンク3に給油する際において、気化した燃料を含む空気を燃料タンク3から給油管本体2のノズルガイド4側に抜くようになっている。
【0048】
ブリーザチューブ7は、一端が燃料タンク3に接続された細長い円筒状をなす樹脂製のチューブ本体8と、該チューブ本体8の他端側に接続され、該チューブ本体8を給油管本体2に接続する樹脂製のジョイント部材9とを備えている。
【0049】
該ジョイント部材9は、側面視で略L字状をなしており、給油管本体2に沿って延びる第1ジョイント部9aと、該第1ジョイント部9aから給油管本体2に向かって延びる第2ジョイント部9bとを有している。
【0050】
第1ジョイント部9aは、環状に延びる複数の山が並設されたタケノコ状の接続面部9cを有し、該接続面部9cにOリング12を外嵌合させるとともに、第1ジョイント部9aをチューブ本体8の他端側内方に圧入することにより、気密性が保たれた状態でチューブ本体8とジョイント部材9とが接続されるようになっている。
【0051】
第2ジョイント部9bの中途部には、外側方に突出する環状の鍔部9dが形成され、第2ジョイント部9bを給油管本体2の取付孔23aに圧入するとともに、鍔部9dと膨出部23とを溶着させることによってジョイント部材9と給油管本体2とが接続されている。
【0052】
次に、実施形態1に係る燃料給油管1の組み立てについて詳述する。
【0053】
まず、図5に示すように、ブロー成形により形成した環状張出部21aの無い第1円筒体21と、第2リング体6とを用意する。
【0054】
次に、図6に示すように、第2リング体6を第1円筒体21に外嵌合させた後、当該第1円筒体21の一方の開口周縁に第2円筒体22を熱板溶着か、或いは、振動溶着により接合する。このとき、第1円筒体21の溶けた部分を外側方に押し広げて環状張出部21aを形成する。
【0055】
次いで、第2円筒体22の各環状凹条溝22aにシール部材10をそれぞれ嵌合させた後、図7に示すように、ノズルガイド4の一端開口から当該ノズルガイド4の内方に第2円筒体22を挿入する。すると、各シール部材10によってノズルガイド4の内周面と第2円筒体22の外周面との間がシールされるとともに、ノズルガイド4のフランジ部4bに環状張出部21aが当接して給油管本体2に対するノズルガイド4の位置が決まる。
【0056】
しかる後、離間した状態の第1分割体5aと第2分割体5bとをノズルガイド4の外周面を囲うように互いに突き合わせて第1リング体5を組み立てた後、第1リング体5と第2リング体6とを互いに接近させて第1リング体5の雄螺子部5cを第2リング体6の雌螺子部6aに螺合させる。すると、第2リング体6の環状突出部6bと第1リング体5との間にフランジ部4bと環状張出部21aとが重なり合った状態で挟み込まれて固定され、燃料給油管1が完成する。
【0057】
以上より、本発明の実施形態1によると、ノズルガイド4を給油管本体2に組み付ける際、給油管本体2の他端側をノズルガイド4の内方にその一端開口から挿入すると、ノズルガイド4のフランジ部4bに給油管本体2の環状張出部21aが当接してフランジ部4bと環状張出部21aとが重なり合うので、給油管本体2をノズルガイド4の内方にそれ以上挿入できなくなる。したがって、給油管本体2のノズルガイド4に対する筒中心線方向の位置が正確に決まるので、給油管本体2に対してノズルガイド4を正確な位置に組み付けた状態にすることができる。
【0058】
また、第1リング体5と第2リング体6とを互いに螺合させる作業によりノズルガイド4を給油管本体2から外れないようにすることができ、特許文献1の如き圧入作業を行う必要が無いので、燃料給油管1の組立作業が簡単である。
【0059】
さらに、給油管本体2が樹脂体で、且つ、ノズルガイド4が金属体であっても、本発明の構造を適用することにより、給油管本体2にノズルガイド4を圧入させることなく給油管本体2とノズルガイド4とを組み立てることができる。
【0060】
また、樹脂材よりも比較的柔らかいリング状のゴム体を用いて給油管本体2の外周面とノズルガイド4の内周面との間の隙間が埋まるように給油管本体2とノズルガイド4とを組み立てているので、給油管本体2とノズルガイド4との間の気密性が高い燃料給油管1にすることができる。
【0061】
また、第1リング体5は、第1分割体5a及び第2分割体5bからなる分割体であるので、第1リング体5をノズルガイド4に組み付ける際、第1リング体5の内方にノズルガイド4を挿入するという作業を行う必要が無くなる。したがって、例えば、ノズルガイド4に設けられたフランジ部4bが組付作業の邪魔になるといったことを回避することができる。
【0062】
《発明の実施形態2》
図8は、本発明の実施形態2に係る燃料給油管1を示す。この実施形態2では、給油管本体2における第2円筒体22周りの構造が実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを詳細に説明する。
【0063】
実施形態2の第2円筒体22は、高密度ポリエチレンで形成され、その外周面には、第1円筒体21側より当該第1円筒体21の反対側の外径を小さくする環状段差部22bが設けられている。
【0064】
すなわち、環状段差部22bは、給油管本体2の一端側より他端側の外径を小さくするように設けられている。
【0065】
第2円筒体22の開口周縁と環状段差部22bとの間には、ナイロン材で形成された第1リング状部材24と第2リング状部材25とが順に外嵌合しており、第2リング状部材25は、第2円筒体22の開口周縁を覆うように断面略L字状をなしている。
【0066】
そして、実施形態2の各環状凹条溝22aは、環状段差部22bと第1リング状部材24との間と第2円筒体22の外周面とで囲われる部分と、第1リング状部材24と第2リング状部材との間と第2円筒体22の外周面とで囲われる部分とにより構成されている。
【0067】
尚、実施形態2に係る燃料給油管1の組立作業は、実施形態1に係る燃料給油管1の組立作業と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0068】
以上より、本発明の実施形態2によると、給油管本体2の他端側に第1リング状部材24及び第2リング状部材25を嵌め込む作業だけでシール部材10を嵌合させるための環状凹条溝22aが給油管本体2の外周面に形成されるので、給油管本体2の成形時に環状凹条溝22aを一体に成形する必要が無くなり、給油管本体2を成形する成形型を複雑な形状にする必要が無くなってコストを抑えることができる。
【0069】
尚、本発明の実施形態2では、2つのリング状部材を第2円筒体22に外嵌合して2つの環状凹条溝22aを形成しているが、1つのリング状部材を第2円筒体22に外嵌合して1つの環状凹条溝22aを形成してもよいし、3つ以上のリング状部材を第2円筒体22に外嵌合して複数の環状凹条溝22aを形成してもよい。
【0070】
《発明の実施形態3》
図9は、本発明の実施形態3に係る燃料給油管1を示す。この実施形態3では、給油管本体2とノズルガイド4との間のシール構造が実施形態1と異なるだけでその他は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを詳細に説明する。
【0071】
実施形態3における給油管本体2の他端側には、略短い円筒状をなすシール部材13(環状シール部)が外嵌合している。
【0072】
該シール部材13は、例えばフッ素ゴム材で一体成形されたゴム体であり、給油管本体2の他端開口周縁と環状張出部21aとの間に外嵌合する筒状部13aを備えている。
【0073】
該筒状部13aの環状張出部21a側開口周縁には、外側方に突出するとともに筒状部13aの周方向に延びる環状壁部13bが設けられ、該環状壁部13bは、シール部材13を給油管本体2の他端側に外嵌合させた際、環状張出部21aに沿うようになっている。
【0074】
また、環状壁部13bは、ノズルガイド4の一端開口から当該ノズルガイド4の内方に給油管本体2の他端側を挿入した際、フランジ部4bと環状張出部21aとに挟み込まれるようになっている。
【0075】
筒状部13aの外周面には、外測方に膨出するとともに筒状部の周方向に延びる一対の環状膨出部13cが形成され、各環状膨出部13cは、ノズルガイド4の一端開口から当該ノズルガイド4の内方に給油管本体2の他端側を挿入した際、ノズルガイド4の内周面と筒状部13aとの間をシールするようになっている。
【0076】
筒状部13aにおける環状張出部21aの反対側開口周縁には、内側方に突出するとともに筒状部13aの周方向に延びる環状のエッジカバー部13dが設けられ、該エッジカバー部13dは、シール部材13が給油管本体2の他端側に外嵌合している状態において給油管本体2の他端開口周縁を覆うようになっている。
【0077】
次に、実施形態3に係る燃料給油管1の組み立てについて詳述する。
【0078】
まず、ブロー成形により形成した環状張出部21aの無い第1円筒体21と、第2リング体6とを用意する。
【0079】
次に、第2リング体6を第1円筒体21に外嵌合させた後、当該第1円筒体21の一方の開口周縁に第2円筒体22を熱板溶着か、或いは、振動溶着により接合する。このとき、第1円筒体21の溶けた部分を外側方に押し広げて環状張出部21aを形成する。
【0080】
次いで、第2円筒体22にシール部材13を外嵌合させた後、ノズルガイド4の一端開口から当該ノズルガイド4の内方に第2円筒体22を挿入する。すると、各環状膨出部13cがノズルガイド4の内周面と第2円筒体22の外周面との間をシールするとともに、ノズルガイド4のフランジ部4bに環状壁部13bを介して環状張出部21aが当接してノズルガイド4に対する第2円筒体22の位置が決まる。
【0081】
しかる後、離間した状態の第1分割体5aと第2分割体5bとをノズルガイド4の外周面を囲うように互いに突き合わせて第1リング体5を組み立てた後、第1リング体5と第2リング体6とを互いに接近させて第1リング体5の雄螺子部5cを第2リング体6の雌螺子部6aに螺合させる。すると、図9に示すように、第2リング体6の環状突出部6bと第1リング体5との間にフランジ部4b、環状壁部13b及び環状張出部21aが順に重なり合った状態で挟み込まれて固定され、燃料給油管1が完成する。
【0082】
以上より、本発明の実施形態3によると、燃料給油管1を組み立てる際、シール部材13の環状壁部13bがノズルガイド4のフランジ部4bと給油管本体2の環状張出部21aとの間に位置するので、第1リング体5及び第2リング体6でフランジ部4bと環状張出部21aとを挟み込むと、環状壁部13bがフランジ部4bと環状張出部21aとの間に固定されるようになる。したがって、シール部材13が給油管本体2から不意に外れてしまうのを確実に防ぐことができ、ノズルガイド4と給油管本体2との間の気密性を確実に確保した状態に維持することができる。
【0083】
尚、本発明の実施形態1~3では、ノズルガイド4は、鉄板から形成された金属体であるが、ステンレス鋼材等の金属材で形成してもよい。
【0084】
また、本発明の実施形態1~3では、第1リング体5の外周面に雄螺子部5cが形成される一方、第2リング体6の内周面に雄螺子部5cが螺合する雌螺子部6aと環状突出部6bとが形成されているが、第2リング体6の外周面に雄螺子部5cが形成される一方、第1リング体5の内周面に雌螺子部6aと環状突出部6bとが形成される構成であってもよい。
【0085】
また、本発明の実施形態1~3では、第1リング体5が分割構造になっているが、第2リング体6の外周面に雄螺子部5cが形成されている場合には、第2リング体6が分割構造になっていてもよい。
【0086】
また、本発明の実施形態1~3では、第2リング体6の環状突出部6bが環状をなしているが、環状であることが必須ではなく、第1リング体5との間にフランジ部4bと環状張出部21aとを挟み込める形状であればよい。
【0087】
また、本発明の実施形態1~3では、第1リング体5及び第2リング体6をアルミニウム合金材から形成しているが、その他の金属材で形成してもよいし、ポリブチレンテレフタレート樹脂材やポリアセタール樹脂材等の樹脂材で形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、車両の燃料タンクにガソリン等の燃料を給油する際の通路となる燃料給油管に適している。
【符号の説明】
【0089】
1 燃料給油管
2 給油管本体
3 燃料タンク
4 ノズルガイド
4b フランジ部
5 第1リング体
5c 雄螺子部
6 第2リング体
6a 雌螺子部
6b 環状突出部
10 シール部材(環状シール部)
11 給油キャップ
13 シール部材(環状シール部)
13a 筒状部
13b 環状壁部
13c 環状膨出部
21a 環状張出部
22a 環状凹条溝
22b 環状段差部
24 第1リング状部材
25 第2リング状部材
C1 筒中心線
G 給油ガン
G1 ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9