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特許7134497サポートベルトおよびサポートベルト用バックル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】サポートベルトおよびサポートベルト用バックル
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/12 20060101AFI20220905BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20220905BHJP
   A41F 9/02 20060101ALI20220905BHJP
   A44B 11/25 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
A63B71/12 A
A41D13/05 125
A41D13/05 156
A41F9/02 A
A44B11/25
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020126001
(22)【出願日】2020-07-25
(62)【分割の表示】P 2017534012の分割
【原出願日】2015-08-18
(65)【公開番号】P2020195780
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2020-08-22
(31)【優先権主張番号】1416050.1
(32)【優先日】2014-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517089307
【氏名又は名称】エスビーディー アパレル エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100182903
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 武慶
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】バンクス,ベンジャミン
【審査官】大隈 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4541152(US,A)
【文献】米国特許第2864638(US,A)
【文献】米国特許第3637257(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/12
A41D 13/05
A44B 11/25
A41F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量挙げ用のサポートベルトであって、該サポートベルトは:
デッドエンド領域およびライブエンド領域を有する細長いベルト;および
前記 サポートベルトの緩んだ締め付け状態において前記デッドエンド領域および前記ライブエンド領域を着脱可能に接続し、前記ライブエンド領域の自由端と前記デッドエンド領域の自由端とが重なる、前記サポートベルトの段階的にきつくなる複数の締め付け閉止状態において前記デッドエンド領域と前記ライブエンド領域とを固定するバックルを含み、
前記バックルは、前記ライブエンド領域に強固に固定された第1のアンカー部と、前記デッドエンド領域に設けられた開口に着脱可能に係合するように構成された第2のアンカー部と、前記第1および第2のアンカー部に回動可能に接続されたロック機構とを含み、該ロック機構は、前記サポートベルトの締め付け状態を前記の緩んだ締め付け状態から前記段階的にきつくなる複数の締め付け閉止状態へ変化させるために、前記第1のアンカー部を前記第2のアンカー部の方へ引っ張るように動作可能であり、
前記ベルトの前記デッドエンド領域に設けられた前記開口は、前記デッドエンド領域に沿って離間して配置された少なくとも1列の開口を形成するように配列されるものであり、それにより前記サポートベルトの前記段階的にきつくなる複数の締め付け閉止状態が規定され、着用者は前記第1のアンカー部を前記ベルトの前記ライブエンド領域から取り外すことなく、前記サポートベルトを段階的に締め付けることが可能となる ことを特徴とするサポートベルト。
【請求項2】
前記第1のアンカー部は前記細長いベルトの外面部に対して配置され、前記細長いベルトの内面部に対し前記第1のアンカー部に対向して配置された固定プレートをさらに含み、前記固定プレートは凹部を規定し、前記第2のアンカー部は、前記バックルの締付け工程の間に前記凹部内へ摺動するように構成されたガイド部材を含む、請求項1に記載のサポートベルト。
【請求項3】
前記第2のアンカー部は、第2のアンカー部を前記開口に着脱可能に係合させる少なくとも1つのピンのセットを含み、前記ピンのセットは、第1の直径を有する位置決めピンと、前記ベルトの長手方向に前記位置決めピンから間隔を置いて配置され、前記第1の直径よりも小さい幅を有する本体部および該本体部から突出するヘッド部を有する係止ピンとを含み、該係止ピンは、前記本体部が前記開口内に受け入れられるときに、前記デッドエンド領域の内面部に対して係合するように構成される、請求項1または2に記載のサポートベルト。
【請求項4】
前記ロック機構は、即時に解除できるトグル機構を含む、請求項1-のいずれか1つに記載のサポートベルト。
【請求項5】
前記ロック機構は、オーバーセンターロック機構を含む、請求項1-のいずれか1つに記載のサポートベルト。
【請求項6】
前記ロック機構は、第1の端部および第2の端部を有し、前記第1の端部において回動可能に前記第2のアンカー部に接続され、前記緩んだ締め付け状態に対応する第1の位置および前記少なくとも1つの締め付け閉止状態に対応する第2の位置から移動可能であるレバーアームを含む、請求項1-のいずれか1つに記載のサポートベルト。
【請求項7】
前記ロック機構はさらに、第1の端部および第2の端部を有し、前記第1の端部において前記第1のアンカー部に回動可能に接続され、前記第2の端部において前記レバーアームに回動可能に接続された連結アームを含む、請求項に記載のサポートベルト。
【請求項8】
前記連結アームの前記第2の端部は、前記レバーアームの前記第1および第2の端部の
中間位置で前記レバーアームに接続される、請求項に記載のサポートベルト。
【請求項9】
前記連結アームの前記第2の端部は、前記レバーアームの前記第1の端部を受け入れるように構成された凹部を規定し、前記レバーアームが前記第2の位置にあるときに前記レバーアームは、前記レバーアームの前記第2の端部を前記連結アームの前記第2の端部から突出させることによって、前記連結アームの連続部を形成する、請求項またはに記載のサポートベルト。
【請求項10】
前記第1のアンカー部は、前記連結アームの前記第1の端部を受け入れるように構成された凹部を規定し、前記レバーアームが前記第2の位置にあるときに、前記連結アームの前記第2の端部を前記第1のアンカー部から突出させ、前記第2のアンカー部に重ねることによって、前記連結アームが前記第1のアンカー部の連続部を形成する、請求項またはに記載のサポートベルト。
【請求項11】
前記第1のアンカー部は、前記第2のアンカー部の方へ引っ張られたときに、前記細長いベルトの実質的な周方向に移動する、請求項1-10のいずれか1つに記載のサポートベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きな重量または荷重を持ち上げる人によって使用されるサポートベルトおよびサポートベルト用バックルに関する。
【背景技術】
【0002】
ボディービルダーや重量挙げ選手は、バーベルを持ち上げるための様々なリフティング技術を使用する。これらリフティングは「ベンチプレス」、「スクワット」および「デッドリフト」を含み、体育館で訓練するボディービルダーや競技における重量挙げ選手によって使用され得る。いずれの場合も、重量挙げの選手の腹部は、特に非常に重い重量を持ち上げるとき、相当なストレス下に置かれる。重量挙げ選手の身体への損傷を回避するため、胸郭と腰帯との間で胴体を包囲するための、耐久性の大きい重量挙げ選手用ベルトを着用することが知られている。重量挙げに関連する他のスポーツや訓練においても、支えに対する同様の必要性が生じ得る。
【0003】
必要な包囲状態を提供するため、重量挙げ選手用ベルトは硬質で且つ比較的広くする必
要があり、装着したときに、あらかじめ腹部を圧迫するために、重量挙げ選手の腹部の周りに強固に固定される。サポートベルトの締結力は腹部における内圧を生成し、それにより、重量物の持ち上げによって生じるストレスに晒されるときに、腹筋および背骨に対する損傷を防ぐのを補助する。重量挙げ選手用ベルトは、硬質性と締結力のため、これを装着するのは快適なものではない。このため、リフティングを行う前にベルトを容易に短時間で締めることができるとともに、後でそれを短時間で外せることが望まれる。同様に、医学的な緊急事態の際には、即座に重量挙げ用ベルトを外せることも望まれる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は請求項1に規定するようなサポートベルトを提供する。
本発明は請求項13に規定するようなバックルも含む。
本発明は請求項24に規定するようなサポートベルトも含む。
本発明は請求項34に規定するようなバックルも含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下の記載において、図面について説明する。
【0006】
図1】重量挙げの際に使用され得るサポートベルトの斜視図である。
図2】開放状態であるサポートベルトのバックルの斜視図である。
図3】閉止状態であるバックルの斜視図である。
図4】サポートベルトのライブエンド領域の内面部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、ボディービルダーまたは重量挙げ選手のような重量物を持ち上げる人によって着用され得るサポートベルト(10)の例を示す。サポートベルト(10)は、デッドエンド領域(14)、ライブエンド領域(16)およびバックル(18)を備える細長いベルト(12)を含む。バックル(18)は、サポートベルトの締結状態を緩めた状態でデッドエンド領域とライブエンド領域とを着脱可能に接続し、サポートベルトの少なくとも1つの締結した閉止状態において、ライブエンド領域の自由なまたは先導側(leading)の端部(20)がデッドエンド領域の自由なまたは定置側(trailing)の端部(22)に重なるように、両者を固定するように動作可能である。バックル(18)は、ライブエンド領域(16)に強固に固定された第1のアンカー部(24)と、デッドエンド領域(14)に設けられた開口(28)に取り外し可能に係合するように構成された第2のアンカー部(26)と、第1および第2のアンカー部に回動可能に接続されるロック機構(30)(図2)とを含み、ロック機構(30)は、第2のアンカー部(26)を第1のアンカー部(24)へ向かって引っ張って、サポートベルトの締め付け状態を、緩んだ締め付け状態から締め付け閉止状態へ変更するように構成されている。
【0008】
ベルト(12)は、端部(20)と端部(22)の間で規定された長さを有する。ベルト長さは、サポートベルトがその締め付け閉止位置にあるときに、指定の1つまたは複数のウエストサイズの周囲に沿って伸び、デッドエンド領域(14)およびライブエンド領域(16)で一部が重なり合うことが可能なように選択される。ベルト(12)は、内面部(31)(図4)と、内面部(31)の反対に配置された外面部(32)とを有している。使用時において、内面部は着用者の身体に面し、その一方、外面部(32)は着用者の身体の外方を向いている。ベルト(12)は比較的頑丈な構造であり、皮革または適当な合成代替物で製作されてもよい。ベルト(12)の例としては、厚さTが0~13mmの範囲であり、幅Wが5~100mmの範囲である。ベルト(12)は丈夫な構造にするため比較的硬くなり、このため、その自然な湾曲状態から輪郭を変化させるのが容易ではない。ベルト(12)の自然な曲率半径は、その厚さによって制限され得る。これにより、サポートベルト(10)は、着用する際、特にこれを締め付け閉止状態の際に、比較的
不快になる。
【0009】
ベルト(12)のデッドエンド領域(14)には、複数の開口(28)が設けられる。開口(28)は、複数の締め付け閉止状態において、サポートベルト(10)の締め付けを確実にするのを可能にするように配置される。図示された例において、本質的ではないが、開口(28)は、ベルトの幅方向に並ぶ開口の対を規定するような関係で、間隔を置いて平行に2列に配置されている。
【0010】
図1-3を参照すると、バックル(18)の第1のアンカー部(24)は本体(36)を含む。本体(36)は一般に、長方形の輪郭を有し、かつ、サポートベルト(10)の長手方向または引っ張り方向において湾曲しているかまたはアーチ形である。一般に、長方形の凹部(38)は本体(36)内に形成される。凹部(38)は、本体(36)の外面部(40)で開放され、その端部において、ベルト(12)のライブエンド領域(16)の自由な端部(20)に最も接近するように配置される。凹部(38)は、本体(36)の一部である対向して配置された側壁部42により、両面部上で区画されている。凹部(38)は、ロック機構(30)の一部を受け入れるように構成される。枢軸ピン(44)を受け入れるため、貫通孔が側壁(42)それぞれに設けられ、それによってロック機構(30)が、第1のアンカー部(24)に回動可能に接続される。
【0011】
バックル(18)の第2のアンカー部(26)は一般に、長方形の本体(46)を含む。枢軸受け部(48)が、本体(46)の外面部(50)に配置される。必須でないが、図示された例において、枢軸受け部(48)は一般に長方形の突出部である。枢軸受け部(48)は、枢軸ピン(52)を受け入れるための横断貫通孔(図示せず)を備え、それにより、オーバーセンターロック機構(30)が、第2のアンカー部(26)に回動可能に接続される。
【0012】
第1のアンカー部(24)は、確保手段(54)(図4)によって、ベルト(12)のライブエンド領域(16)にしっかりと固定される。確保手段(54)はリベット、ねじ、または類似のものでとし得る。必須でないが、保持板(56)が、ベルト(12)の内面部(31)上に設けてもよい。保持板(56)は、第1のアンカー部(24)の反対側に配置されてもよく、確保手段(54)の各ヘッドをそれぞれ受け入れるように構成された開口を有する。随意に、保持板(56)は、概略的にはU字型であり、第2のアンカー部(26)の本体(46)の端部から伸びる舌部(60)を受け入れるためのガイド凹部(58)を規定する。舌部(60)は、サポートベルト(10)の長手方向に延び、サポートベルト(10)の締め付け閉止状態において、機構30がデッドエンド領域(14)およびライブエンド領域(16)を固定するように動作するときに、ガイド凹部58内へ摺動するように構成される。
【0013】
図1および4に示されるように、第2のアンカー部(26)は、位置決めピン(64)および係止ピン(66)を各々含む2つのピンのセットが設けられる。位置決めピン(64)は、ベルト(12)の長手方向に、各係止ピン(66)と並んで且つ一定間隔を置いて配置される。ピンのセットは、ベルト(12)の幅方向に並んだ各位置決めピン(64)とベルト(12)の幅方向に並んだ各係止ピン(66)とが対向し間隔を置いた関係で配置される。位置決めピン(64)は、開口にぴったり適合するように、開口(28)の直径に実質的に対応する直径を有する円柱体であり、係止ピン(66)は、円柱状で開口(28)の直径未満の直径を有する本体部分(70)と、本体部分から突出し、デッドエンド領域(14)の内面部(31)に対し係合するように構成されたヘッド部(72)とを含む。他の例において、縮小された直径を有する代わりに、各位置決めピン(64)に向かって対面し長手方向に伸びる平面を提供することによって、本体部分(70)のベルト(12)の長手方向の断面幅寸法が、位置決めピン(64)および開口(28)の直径
と比較して減少されてもよい。
【0014】
ロック機構(30)は、第1および第2のアンカー部(24)および(26)に回動可能に接続され、第1および第2のアンカー部間の間隔を減少させるために、第2のアンカー部の方へ第1のアンカー部を引く、または引っ張るとともに、デッドエンド領域(14)の方へライブエンド領域(16)を引っ張る動作が可能なトグル機構であり得る。ロック機構(30)はオーバーセンターロック機構であってもよい。図2および3で最良に示されるように、図示された例において、ロック機構(30)は、レバーアーム(またはアクチュエーターアーム)(80)および連結アーム(82)を含む。レバーアーム(80)と連結アーム(82)は一般に、長方形の断面を有し、それぞれベルト(12)の長手方向に湾曲しているか、またはアーチ形である。
【0015】
レバーアーム(80)は第1の端部(84)および第2の端部(86)を有する。レバーアーム(80)の第1の端部(84)は、サポートベルト(10)の緩んだ締め付け状態に対応する第1の位置(図2)と、締められた閉止状態に対応する第2の位置(図3)との間で移動可能なように、枢軸受け部(48)および枢軸ピン(52)によって第2のアンカー部(26)に回動可能に接続される。レバーアーム(80)の第1の端部(84)は、枢軸受け部(48)を受け入れるように構成されたヨークを規定する凹部(87)が設けられる。レバーアーム(80)の第2の端部(86)は、ロック機構(30)を動作させるために把持され操作される。従って、レバーアーム(80)の第2の端部(86)は、把持を容易にするための輪郭または形態が与えられる。
【0016】
連結アーム(82)は、凹部(38)の側壁(42)に収容された枢軸ピン(44)によって、第1のアンカー部(24)に回動可能に接続された第1の端部(88)を有する。連結アーム(82)の第2の端部(90)は、レバーアームの第1および第2の端部(84、86)の中間位置で、レバーアームを通過する枢軸ピン(92)によって、レバーアーム(80)に回動可能に接続される。連結アーム(82)の第2の端部(90)には、レバーアーム(80)の第1の端部(84)が受け入れられるヨークを規定する凹部(94)が設けられる。
【0017】
図3で最良に示されるように、レバーアーム(80)および連結アーム(82)は、ベルト(12)の長手方向に、湾曲しているかまたはアーチ形である。湾曲は、第1および第2のアンカー部(24、26)の湾曲に少なくとも実質的に相当している。これによりバックル(18)が、ベルト(12)および重量挙げ選手の身体曲面に、一般に少なくともその部分が平坦である場合よりも良好に一致することを可能にする。さらにバックル(18)が図3に示されるような締め付け閉止状態にあるときに、連結アーム(82)の第1の端部(88)は、第1のアンカー部(24)中の凹部(38)にぴったり受け入れられ、第2の端部(90)は、本体(36)からの続きを形成するように凹部から伸び、一方、レバーアーム(80)の第1の端部(84)が、連結アームの第2の端部(90)に設けられた凹部(94)にぴったりと受け入れられると共に、第2の端部(86)が連結アームの連続部を形成するように連結アームから突出する。その結果、バックル(18)の外面部が結合して、実質的に連続する表面を形成する。これにより、重量挙げ選手の身体や衣服に突き刺さったり引っかかったりする角部や端部の存在をより少なくできるという実際的な利点を有する、満足できる審美的な外観を提供する。
【0018】
使用において、重量挙げ選手は、ベルト(12)のデッドエンド領域(14)から第2のアンカー部(26)を分離することによって、サポートベルト(10)を着用のために準備し、デッドエンド領域(14)およびライブエンド領域(16)を別々に移動させることによって、ベルトを腰周りに巻きつけることが可能になる。その後、図2に示される開放状態中のバックル(18)で、第2のアンカー部(26)を、デッドエンド領域(1
4)の方へ移動させ、選択された開口(28)に、係止ピン(64)および位置決めピン(66)を挿入する。いくつかの場合において、係止ピン(66)の挿入をより容易にするため、重量挙げ選手は、デッドエンド領域(14)を、自分の身体から少し離して持ち上げることが必要かもしれない。一旦、係止ピン(66)のヘッド部(72)を、それぞれの本体部(70)が開口内に受け入れられ、大径の頭部(72)がベルト(12)の内面部(31)と係合するように、選択された開口(28)を通過させたならば、デッドエンド領域(14)を身体へ向かって後方へ移動させることができるとともに、デッドエンド領域および第2のアンカー部(26)が身体に対し「平坦」になるので、位置決めピン(64)は、それらが開口内に完全に受け入れられるように、それぞれ選択した開口内へ押し込められることになる。バックル(18)が開放状態に有る段階においては、係止ピン(66)のヘッド部(72)がベルト(12)の内面部(31)に対し係合し、位置決めピン(64)がその開口(28)内に完全に受け入れられ、デッドエンド領域(14)とライブエンド領域(16)とは、着脱可能に接続された緩んだ締め付け状態となる。重量挙げ選手は、この状態において、ベルト(12)がウエストの周りにわずかに緩く且つ着用が快適なように、位置決めピン(64)および係止ピン(66)が受け入れられる開口(28)を選択し得る。
【0019】
重量挙げ選手が荷重を持ち上げたいとき、レバーアームを枢軸ピン(52)によって規定された枢軸の周りを時計回り方向(図2に示す)へ回転させるために、レバーアーム(80)の第2の端部(86)を把持して右側へ引っ張る(再度図2に示す)。レバーアーム(80)が右へ移動するに従い、ベルト(12)の第1のアンカー部(24)およびライブエンド領域(16)は、連結アーム(82)により第2のアンカー部をレバーアームが接続されているために、第2のアンカー部(26)およびデッドエンド領域(14)の方へ引っ張られる。第1のアンカー部(24)が第2のアンカー部(26)に接近するに従い、凹部(58)内へ嵌合する舌部60は、デッドエンド領域およびライブエンド領域内でベルト(12)が長手方向軸に沿って少なくとも実質的に整列し、ベルト端部がねじれないように、ライブエンド領域(16)をデッドエンド領域(14)の方へ向ってまっすぐに案内するのを補助する。
【0020】
図3に示すように、一旦、レバーアーム(80)が完全に閉じた位置まで移動したならば、ベルト(12)のデッドエンド領域(14)およびライブエンド領域(16)は、締め付け閉止状態にあり、それにより、重量挙げ選手が重量挙げによって与えられるストレスにさらされるときに、腹筋および脊椎への損傷を防ぐのを支援し得るような腹部内での内圧を生成するために、重量挙げ選手の腹部は予め圧力がかけられる。サポートベルト(10)によって予め与えられる圧力の大きさは、位置決めピン(64)および係止ピン(66)が受け入れられる開口(28)の選択、および、枢軸ピン(52、92)それぞれの各軸間の距離によって規定される引っ張り長さに依存する。
【0021】
「1サイズ」バージョンのサポートベルト(10)においては、各ピン(64、66)を受け入れるちょうど4つの開口(28)を有する。図示された例では、一連のサイズ調節工程を提供するため、デッドエンド領域(14)の長さ方向に沿って伸びている一連の開口(28)を有する。これは、サポートベルト(10)は、直径または周面を減少させるために、バックル(18)を解放し、ベルト(12)のデッドエンド領域(14)の自由端22からより遠くの開口へ移動させることによって、一連の段階的にきつくなる締め付け閉止状態を通じて、迅速かつ容易に移動することができることを意味する。この利点は、重量挙げの準備をする際に、重量挙げ選手が、緩めた締め付け状態から重量挙げに使用される締め付け閉止状態へ、直接的に移行させる必要がないことである。代わりに重量挙げ選手は、サポートベルト(10)を使用して、重量挙げ選手の腹部内での内圧の漸増を誘発するための一連の工程を通じて締め上げることができ、それにより、重量挙げ選手は、重量挙げを実行するのに必要な比較的高いレベルの圧力に到達する前に、比較的より低い内部圧力に慣れることができる。さらなる利点は、サポートベルト(10)は、共有の影響を受けやすい「1つのサイズ」ではないということである。これは同時に、競技のための重量挙げ選手の体重制限を起因とする、ウエストサイズのどのような減少にも適合することを容易にする。
【0022】
図示された例において、開口(28)は、ベルト(12)の長手方向に伸びる2つの列に配置され、この2つの列それぞれに係合するためのピンのセット(64、66)が存在する。他の例において、ピンのセット数に対応して、開口のただ1つの列があってもよく、あるいは3つ以上の列があってもよい。
【0023】
連結アーム(82)を装備することによって、バックル(18)を構成することが可能になり、それによって、レバーアーム(80)が、緩んだ締め付け状態から締め付け閉止状態へ、締め付け状態を変更するために操作されるときに、ベルトの第1のアンカー部(24)およびライブエンド領域(16)が、第2のアンカー部(26)およびデッドエンド領域(14)の方へ、ベルト(12)または重量挙げ選手はウエストに対する本質的に周辺的な動きにおいて、滑らかに摺動することが理解されるであろう。比較的短距離の動きにより、それは多くの場合本質的に直線的な摺動となる。この利点は、このサポートベルト(10)が、公知のサポートベルトに比べて、重量挙げ選手の身体または衣服を、締め付け動作の間に、挟むおそれが少ないことである。さらなる利点は、サポートベルトは、重量挙げ選手が耐え得る最大値まで締め付けて、その状態を確保できるということである。たとえば一般に長方形の、ベルトの一方の端部に適合する、1つ以上の回動可能なプロングを備えるフレームを有している公知のベルトでは、ベルトは、締め付け工程の間に、固定が完了した時の比較的低い締め付け状態に到達する前に、最大の締め付け状態を通過する。
【0024】
バックル(18)は、ベルト(12)を固定して、重量挙げの間に負荷される荷重に対抗するのに十分な強度を有する任意の材質で製作される。一般にバックルは、できるだけ軽量に保つことが望ましく、したがって、アルミニウム合金のような適当な軽量金属が使用されうる。代替的に、他の例において、少なくともバックルの一部分は、エンジニアリング・プラスチック材料で製作されてもよい。適当な金属で製造される場合、バックルの部分は、ダイカストのような鋳造法によって製造されてもよい。
【0025】
図示された例において、レバーアームは、ベルトのデッドエンド領域の開口に着脱可能に係合するアンカー部に備えられる枢軸の周りを回転し、ベルトのライブエンド領域に固定されたアンカー部を、ベルトのデッドエンド領域の方へ向って引っ張る。他の例において、レバーアームは、ベルトのデッドエンド領域に固定されたアンカー部上に設けられた枢軸の周りを回転して、ベルトのライブエンド領域の開口も着脱可能に係合するアンカー部を、デッドエンド領域の方へ引っ張る。
【0026】
本明細書において、サポートベルトの部分が、デッドエンド領域およびライブエンド領域として指定された。締め付け操作の間、デッドエンド領域は、着用者の身体に対して動かない傾向がある一方、ライブエンド領域は、バックルの操作によってデッドエンド領域の方へ向って移動する。このことは、デッドエンド領域が、固定され移動できないものであるを意味するものでないことが理解されるであろう。これは単に少なくとも、第1のアンカー部が第2のアンカー部の方へ引っ張られるときに、デッドエンド領域に向かってまたは領域を超えて動くライブエンド領域によって、動きの大部分が作り出されることを意味している。
図1
図2
図3
図4