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特許7134504位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地及びその加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地及びその加工方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/14 20060101AFI20220905BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20220905BHJP
   A41D 31/06 20190101ALI20220905BHJP
   B32B 3/26 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
B32B7/14
A41D31/00 502M
A41D31/00 502U
A41D31/06 100
A41D31/00 504D
A41D31/00 502A
B32B3/26 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020520807
(86)(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 CN2019114926
(87)【国際公開番号】W WO2021003901
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2020-04-08
(31)【優先権主張番号】201910613352.7
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520124556
【氏名又は名称】蘇州市興視創紡織科技研究有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU XINGSHICHUANG TEXTILE TECHNOLOGY RESEARCH CO.LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 307,Building 10,No.1188,Xierhuan Road,Shengze Town,Wujiang District Suzhou,Jiangsu 215200 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】王 方明
(72)【発明者】
【氏名】王 徐涛
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-129940(JP,A)
【文献】特開昭60-259605(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104512060(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109130347(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109878159(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
A41D 31/00-31/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー加工可能な空気を充填したり排出したりすることができる通気性チャンネル付き4層生地であって、
気密性表面布層と気密性底部布層と、を含み、
前記通気性チャンネルは、前記気密性表面布層と前記気密性底部布層との間に設けられる開口と、前記開口に取り付けられる吸気弁とからなり、
前記気密性表面布層は、環境保全型pu接着剤層を介して、上から下へ表地と、接着性及び密閉性を有する差別化熱可塑性ポリウレタン膜と、を含み、
前記気密性底部布層は、環境保全型pu接着剤層を介して、上から下へ順に接着性及び密閉性を有する差別化熱可塑性ポリウレタン膜と、裏地と、を含み、
前記表地は、両面織り布又は両面編み布を含み、
前記裏地は、織り柔軟糸生地又はシングルジャージ生地を含み、
前記表地には、レーザー加工をするための視覚認識用のレーザー切断点が設けられている、ことを特徴とするレーザー加工可能な空気を充填したり排出したりすることができる通気性チャンネル付き4層生地。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザー加工可能な空気を充填したり排出したりすることができる通気性チャンネル付き4層生地を製造して加工する方法であって、
環境保全型 pu接着剤層を介して、それぞれ表地と接着性及び密閉性を有する差別化熱可塑性ポリウレタン膜と、裏地と接着性及び密閉性を有する差別化熱可塑性ポリウレタン膜を接着して密着させ、気密性表面布層及び気密性底部布層を製造するステップ(1)と、
当該レーザー加工可能な空気を充填したり排出したりすることができる通気性チャンネル付き4層生地に求められる模様に応じて、彫刻凸版プロセスを用い、所要形状に合致する凸版金型を予め製作するステップ(2)と、
接着機で気密性表面布層及び気密性底部布層をそれぞれ凸版金型の上下両側に案内し、接着機を100~200℃に加熱し、所定の温度に達した後接着機に圧力を印加して凸版金型を作動させ、0.1~10s後、特定箇所に吸気弁を取り付けるための5~8cmの開口を残して気密性表面布層の表面と気密性底部布層の表面とを圧着し、その後開口箇所に吸気弁を取り付けるステップ(3)と、
気密性表面布層の表面及び気密性底部布層の表面がいずれも接着性及び密閉性を有する差別化熱可塑性ポリウレタン膜であり、加熱加圧されると熱融着して接着し、次に自然冷却又は冷却ローラの補助によって、2層の接着性及び密閉性を有する差別化熱可塑性ポリウレタン膜の熱融着接着部を冷却し、高強度の粘着熔融を実現するステップ(4)と、
前記表地にレーザー加工をするための視覚認識用のレーザー切断点を設け、視覚認識装置によって前記表地における前記レーザー切断点を認識し、これに基づいてレーザー加工によって当該レーザー加工可能な空気を充填したり排出したりすることができる通気性チャンネル付き4層生地を切断し、所要の形状及びパターンを取得するステップ(5)と、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記凸版金型における彫刻パターンは、ドット、一字、横棒、波、鋭い先端つきの横棒、又は八字の形状であり、前記凸版金型は、アルミニウム材質平板及び鉄又は合金製ローラである、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生地加工に関し、具体的には、位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地及びその加工方法を含む。
【背景技術】
【0002】
ダウンコート(down coat)は、羽毛充填材が内部に充填されたトップスであり、外形が大きくて丸いものであり、一般的に、ケワタガモの綿毛の量が半分以上を占めるとともに、いくつかの小さな羽毛が混ぜられ、ケワタガモの綿毛をきれいに洗浄し、高温消毒をした後、服に充填すれば、ダウンコートとなり、ダウンコートは、保温性が最も良好なものである。寒冷地域の人々により着用されることが多く、極地探検隊の隊員にも一般的に使用されている。
【0003】
ダウンコート(down coat)は、羽毛充填材が内部に充填されたトップスであり、外形が大きくて丸いものである。ダウンコートは、一般的に、ケワタガモの綿毛の量が半分以上を占めるとともに、いくつかの小さな羽毛が混ぜられ、ケワタガモの綿毛をきれいに洗浄し、高温消毒をした後、服に充填すれば、ダウンコートとなる。ダウンコート用の生地は、非常に重要な材料であるが、従来のダウンコート生地には、耐久性が不十分であり、メンテナンスしにくく、抗皺・ノーアイロンの特性を具備せず、駆虫作用を具備せず、着心地が悪く、アルファベット、logo、形状などをうまく表現できないことによりファッション性が不十分であり、製造には手間がかかるという欠点が存在する。この欠点に対して、3D接着チャンネル付き4層保温生地の設計は、非常に必要なことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の目的
本発明は、従来技術の欠点に対して、位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地及びその加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
技術案
本発明は、前記位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地であって、気密性表面布層と、気密性底部布層と、を含み、前記気密性表面布層は、上から下へ表地と、環境保全型pu接着剤層と、差別化熱可塑性ポリウレタン膜と、を含み、前記気密性底部布層は、上から下へ順に差別化熱可塑性ポリウレタン膜と、環境保全型pu接着剤層と、裏地と、を含み、前記表地には、レーザー視覚認識用レーザー切断点が設けられる。
【0006】
好ましくは、前記表地は、20d、30d、50d及び70dなどの両面織り布、両面編み布を含み、20d、30d、40d、50d、70d、75d、90d、100d、150d、200d及び300dなどの織りテリレン、ナイロン、ラシャ及びその他の弾性生地であってもよい。
【0007】
好ましくは、前記裏地は、30d、50d及び75dの織り柔軟糸生地又は20d、30d、50d及び75dのシングルジャージ生地を含む。
【0008】
前記位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地を製造する加工方法であって、
環境保全型pu接着剤層を介して、それぞれ表地と差別化熱可塑性ポリウレタン膜ポリウレタン膜と、裏地と差別化熱可塑性ポリウレタン膜とを接着して密着させ、気密性表面布層及び気密性底部布層を製造するステップ(1)と、
該位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地に求められる模様に応じて、彫刻凸版プロセスを用い、所要形状に合致する凸版金型を予め製作するステップ(2)と、
3D接着機で気密性表面布層及び気密性底部布層をそれぞれ凸版金型の上下両側に案内し、3D接着機を100~200℃に加熱し、所定の温度に達した後3D接着機に圧力を印加して凸版金型を作動させ、0.1~10s後、気密性表面布層の表面と気密性底部布層の表面とを圧着し、圧着するときに特定箇所に5~8cmの開口を残して開口箇所に吸気弁を取り付けるステップ(3)と、
気密性表面布層の表面及び気密性底部布層の表面がいずれも差別化熱可塑性ポリウレタン膜であり、加熱加圧されると熱融着して接着し、次に自然冷却又は冷却ローラの補助によって、2層の差別化熱可塑性ポリウレタン膜の熱融着接着部を冷却し、高強度の粘着熔融を実現するステップ(3)と、
レーザー視覚認識装置によって表地においてレーザー切断点を認識し、これに基づいて該位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地を切断し、所要の形状、パターン及び通気点を取得するステップ(5)と、を含むことを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記凸版金型における彫刻パターンは、ドット、一字、横棒、波、鋭い先端つきの横棒及び八字などの形状であってもよく、前記凸版金型は、アルミニウム材質平板及び鉄又は合金製ローラであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
(1)羽毛の代わりに空気を保温基材とするため、保温効果が羽毛より優れ、且つより軽くなり、製品コストがより低くなり、また、羽毛抜けの問題も解決する。
(2)空気を必要に応じて充填したり排出したりすることができ、簡便に収納でき、空気を排出したものが保温効果を失って、春や秋の日常着とすることができる。
(3)レーザー切断点と組み合わせることによって、レーザー視覚認識による自動精密切断を実現し、より優しくて美しい模様を実現し、生地の外観性をより向上させるとともに、極めて小さな切断点を切断することができ、それによって、保温気密効果を確保するとともに、湿気を排出しやすく、気密保温と通気の2重効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地及びその加工方法に係る位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地の断面構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の技術案について詳細に説明するが、本発明の特許請求の範囲は、前記実施例に限定されるものではない。
【0013】
位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地であって、気密性表面布層と、気密性底部布層と、を含み、気密性表面布層は、上から下へ表地と、環境保全型pu接着剤層と、差別化熱可塑性ポリウレタン膜と、を含み、気密性底部布層は、上から下へ順に差別化熱可塑性ポリウレタン膜と、環境保全型pu接着剤層と、裏地と、を含み、表地には、レーザー視覚認識用レーザー切断点が設けられる。
【0014】
表地は、20d、30d、50d及び70dなどの両面織り布、両面編み布を含み、20d、30d、40d、50d、70d、75d、90d、100d、150d、200d及び300dなどの織りテリレン、ナイロン、ラシャ及び他の弾性生地であってもよい。
【0015】
裏地は、30d、50d及び75dの織り柔軟糸生地又は20d、30d、50d及び75dのシングルジャージ生地を含む。
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
(1)羽毛の代わりに空気を保温基材とするため、保温効果が羽毛より優れ、且つより軽くなり、製品コストがより低くなり、また、羽毛抜けの問題も解決する。
(2)空気を必要に応じて充填したり排出したりすることができ、簡便に収納でき、空気を排出したものが保温効果を失って、春や秋の日常着とすることができる。
(3)レーザー切断点と組み合わせることによって、レーザー視覚認識による自動精密切断を実現し、より優しくて美しい模様を実現し、生地の外観性をより向上させるとともに、極めて小さな切断点を切断することができ、それによって、保温気密効果を確保するとともに、湿気を排出しやすく、気密保温と通気の2重効果を有する。
【0016】
また、該位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地に用いられる差別化熱可塑性ポリウレタン膜そのものは、従来のポリウレタ熱可塑性よりも優れた接着性及び密閉性を有する。
【0017】
前記位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地を製造する加工方法であって、
環境保全型pu接着剤層を介して、それぞれ表地と差別化熱可塑性ポリウレタン膜と、裏地と差別化熱可塑性ポリウレタン膜とを接着して密着させ、気密性表面布層及び気密性底部布層を製造するステップ(1)と、
該位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地における模様要求に従って、彫刻凸版プロセスを用い、所要形状に合致する凸版金型を予め製作するステップ(2)と、
3D接着機で気密性表面布層及び気密性底部布層をそれぞれ凸版金型の上下両側に案内し、3D接着機を100~200℃に加熱し、所定の温度に達した後3D接着機に圧力を印加して凸版金型を作動させ、0.1~10s後、気密性表面布層の表面と気密性底部布層の表面とを圧着し、圧着するときに特定箇所に5~8cmの開口を残して開口箇所に吸気弁を取り付けるステップ(3)と、
気密性表面布層の表面及び気密性底部布層の表面がいずれも差別化熱可塑性ポリウレタン膜であり、加熱加圧後に熱融着して接着し、次に自然冷却又は冷却ローラの補助によって、2層の差別化熱可塑性ポリウレタン膜の熱融着接着部を冷却し、高強度の粘着熔融を実現するステップ(4)と、
レーザー視覚認識装置によって表地においてレーザー切断点を認識し、これに基づいて該位置決めされたレーザー加工可能な3D空気充填型保温通気性チャンネル付き4層生地を切断し、所要の形状、パターン及び通気点を取得するステップ(5)とことを特徴とする。
【0018】
凸版金型における彫刻パターンは、ドット、一字、横棒、波、鋭い先端つきの横棒及び八字などの形状であってもよく、凸版金型は、アルミニウム材質平板及び鉄又は合金製ローラであってもよい。
【0019】
上記加工プロセスで加工することで、生産の自動化が実現され、生産効率が高く、且つステップが簡単であり、品質の制御性が高く、それにより、不良品率を効果的に低下することができる。
【0020】
前記のように、特定の好適な実施例を参照しながら、本発明を説明したが、本発明に対する限定として解釈してはいけない。添付の特許請求の範囲に定義される本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に対して様々な変化を行うことができる。
図1