(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】育苗ポット
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20220905BHJP
【FI】
A01G9/02 101N
(21)【出願番号】P 2022078024
(22)【出願日】2022-05-11
【審査請求日】2022-05-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522128871
【氏名又は名称】株式会社三稲ガーデン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】山下 律正
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0048503(KR,A)
【文献】実開平07-039369(JP,U)
【文献】特開2002-070020(JP,A)
【文献】実開昭63-155339(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土中において分解可能な育苗ポットであって、
底板と、
前記底板から上方に延び、前記底板とともに培土収容空間を形成する側板と、を備え、
前記側板は、苗の根を前記培土収容空間の外部に伸出させる開口が形成されており、
前記開口は、前記底板に沿って延びる第1開口部と、前記第1開口部に連続し前記第1開口部から上方に延びる第2開口部と、を有し、
前記側板は、平面視で所定の角度を成すように配置されている複数の平板部と、隣り合う前記平板部を連結する隅部と、を有し、
前記開口は、前記隅部に形成されていることを特徴とする、育苗ポット。
【請求項2】
前記第1開口部は、一の前記平板部から前記隅部を跨いで他の前記平板部まで延びるように形成されている、請求項
1に記載の育苗ポット。
【請求項3】
前記側板は、前記開口に連続し前記側板を破断させるミシン目が形成されている、請求項1
又は2に記載の育苗ポット。
【請求項4】
前記ミシン目は、前記第1開口部に連続する第1ミシン目部と、前記第2開口部に連続する第2ミシン目部と、を有している、請求項
3に記載の育苗ポット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土中において分解可能な育苗ポットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、植物を配置して都市空間を緑化する試みが進められている。例えば、建築物の屋上やベランダを緑化することにより、景観の向上のみならず建築物の断熱性向上等の効果が期待できる。
【0003】
このような緑化に用いられる機器として、特許文献1に記載の育苗ポットが知られている。この育苗ポットは土中で分解可能な材料で形成されているため、苗を定植する際、苗を育苗ポットごと土中に埋設することができる。このため、特許文献1に記載の育苗ポットは、埋設することができない樹脂製の育苗ポットと異なり、苗を育苗ポットから取り出したり、苗を取り出した後の育苗ポットを処分したりする手間を要しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建築物の屋上等の緑化では、屋上の構造物上に土層を設け、当該土層に苗を定植する方法が用いられることがある。重量の抑制のため、この土層の厚みは比較的小さくすることが求められる。特許文献1に記載の育苗ポットを厚みが小さい土層に埋設して苗を定植すると、育苗ポットの分解後、下方への根の伸長に伴って苗が押し上げられて土層表面から浮き上がり、苗の生育不良を招くおそれがあった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、土中への埋設後に根の伸長に伴う苗の浮き上がりを抑制可能な育苗ポットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、土中において分解可能な育苗ポットであって、底板と、底板から上方に延び、底板とともに培土収容空間を形成する側板と、を備え、側板は、土収容空間の外部に伸出させる開口が形成されており、開口は、底板に沿って延びる第1開口部と、第1開口部に連続し第1開口部から上方に延びる第2開口部と、を有している。
【0008】
この構成によれば、培土収容空間で育成されている苗の根は、育苗ポットの分解に先駆けて、底板や側板に沿って伸長して開口に至り、開口を挿通して培土収容空間の外部に伸出する。この開口は側板に形成されているため、根は概ね水平方向を指向するように伸出する。換言すると、側板に形成されている開口から根を伸出させることにより、底板よりも下方への根の指向性を弱めることが可能になる。
【0009】
また、苗の成長に伴い、開口を挿通する根の数が増加したり、その根が太くなったりすることにより、根は開口の縁に干渉して力を作用させる。開口は、底板に沿って延びる第1開口部と、第1開口部に連続し第1開口部から上方に延びる第2開口部と、を有している。このため、開口の縁に力が作用すると、側板のうち第1開口部と第2開口部との間の部分が外方に捲れるように変形する。この捲れた部分から多数の太い根を伸出させることにより、底板よりも下方への根の指向性をさらに弱めることが可能になる。この結果、土中において育苗ポットが分解された後に、根の伸長に伴う苗の浮き上がりを抑制することが可能になる。
【0010】
ところで、円筒状の側板を備える育苗ポット内で苗の根が伸長すると、根は側板に沿って螺旋状に伸長し、根詰まりが生じることがある。この場合、育苗ポットの分解後に根の活着が適切に行われなくなるだけでなく、根を開口から伸出させることが困難になる。
【0011】
そこで、本発明では、側板は、平面視で所定の角度を成すように配置されている複数の平板部と、隣り合う平板部を連結する隅部と、を有し、開口は、隅部に形成されている。
【0012】
この構成によれば、苗の根は、育苗ポットの分解に先駆けて、底板及び側板の平板部に沿って伸長して隅部に至る。平板部は、平面視で所定の角度を成すように配置されており、隅部は、隣り合う平板部を連結している。したがって、平板部に沿って伸長して隅部に至った根を、螺旋状に伸長させることなく、開口を挿通させて培土収容空間の外部に伸出させることが可能になる。この結果、根を開口から効率良く伸出させることが可能になる。
【0013】
本発明において、好ましくは、第1開口部は、一の平板部から隅部を跨いで他の平板部まで延びるように形成されている。
【0014】
この構成によれば、一の平板部に沿って伸長して隅部に至った苗の根と、一の平板部と隣り合う他の平板部に沿って伸長して当該隅部に至った苗の根と、の双方が伸長する方向に、第1開口部を配置することが可能になる。この結果、双方の根を、当該隅部に形成されている開口から効率良く伸出させることが可能になる。
【0015】
ところで、開口の大型化は、側板のうち外方に捲れる部分を大きくし、より多数の太い根を当該部分から伸出させるという観点では有利である。しかしながら、開口の大型化に伴って育苗ポットの剛性が低下するため、育苗時に不都合が生じるおそれがある。
【0016】
そこで、本発明において、好ましくは、側板は、開口に連続し側板を破断させるミシン目が形成されている。
【0017】
この構成によれば、育苗時は、ミシン目において破断する前の状態の側板により、育苗ポットの剛性を高めることができる。そして、育苗ポットを土中に埋設した後は、開口を挿通する根が開口の縁に干渉して力を作用させることにより側板が外方に捲れ、これに伴い、開口に連続しているミシン目において側板を破断させることが可能になる。この結果、土中への育苗ポットの埋設後に、側板の広範囲を外方に捲れさせ、根を培土収容空間の外部に効率良く伸出させることが可能になる。
【0018】
本発明において、好ましくは、ミシン目は、第1開口部に連続する第1ミシン目部と、第2開口部に連続する第2ミシン目部と、を有している。
【0019】
この構成によれば、土中への育苗ポットの埋設後に、側板のうち第1開口部と第2開口部との間の部分が外方に捲れるように変形した状態において、根がさらにその捲れた部分に干渉して力を作用させると、側板は、第1開口部及び第1ミシン目部と、第2開口部及び第2ミシン目部と、の間に位置する部分が外方に捲れるように変形する。これにより、側板のさらに広範囲を外方に捲れさせ、根を培土収容空間の外部に効率良く伸出させることが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、土中への埋設後に根の伸長に伴う苗の浮き上がりを抑制可能な育苗ポットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る育苗ポットの使用例を示す斜視図である。
【
図4】育苗ポットにおける根の伸出を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0023】
[育苗ポットの使用例]
まず、
図1を参照しながら、実施形態に係る育苗ポット1(以下、単に「ポット1」という。)の使用例について説明する。
図1は、ポット1の使用例を示す斜視図である。説明のため、
図1は、土層SL及び床面Fの断面を示している。
【0024】
ポット1は、例えば建築物の屋上やベランダの緑化に用いられる。防水シート(不図示)の敷設等、種々の処理が施された屋上やベランダの床面F上に、厚さDの土層SLが設けられている。建築物に与える悪影響や、緑化コスト等の観点から、この厚さDは小さいことが好ましい。
【0025】
ポット1は、土層SLに定植する前の苗Pの育成、及び、土層SLへの苗Pの定植に用いられる。ポット1で育苗可能な植物として、例えば、キャベツ、白菜、トマト、ピーマン、キュウリ、スイカ、メロン等の野菜や、菊、パンジー、キリンソウ等の園芸植物が挙げられる。
【0026】
ポット1による育苗は、公知の手法を用いて行うことができる。例えば、ポット1に培土Sを収容し、培土Sに播種または発芽種子を鉢上げすることにより育苗を行うことができる。培土Sとして、例えば、赤玉土、鹿沼土、日向土、山砂、川砂、桐生砂、田土、軽石、発泡スチロール、発泡ポリエチレン、パーライト、バーミキュライト、ロックウール、ゼオライト、木材チップ、竹チップ、発泡ガラス、ピートモス、腐葉土、パーク堆肥、モミガラ、薫炭、炭粉、フスマ、湿潤剤を採用することができる。必要に応じて、無機質肥料、有機質肥料、化学堆肥等を培土Sに加えてもよい。
【0027】
苗Pを土層SLに定植する際、作業者は、まず、窪みSDを土層SLの表面に形成し、次に、苗Pをポット1ごと窪みSDに配置して土層SL中に埋設すればよい。すなわち、作業者は、苗Pをポット1から取り出したり、苗Pを取り出した後のポット1を処分したりする必要が無い。
【0028】
[育苗ポットの構成]
次に、
図2及び
図3を参照しながら、ポット1の構成について説明する。
図2は、ポット1を示す平面図であり、
図3は、ポット1を示す斜視図である。
【0029】
ポット1は、土中で分解可能な材料を用いて形成され、平面視で一辺が約14cmの略正方形を呈している。土中で分解可能な材料として、例えば、サトウキビ、バナナや、ヤシ、アシ、ヨシ等のイネ科植物、海藻類、新聞紙、段ボール、古紙、バージン紙、竹、木材等に由来する植物繊維材料を採用することができる。
【0030】
ポット1は、底板2と、側板3と、を有している。底板2は、平面視で一辺が約9cmの略正方形を呈している。側板3は、底板2の周縁から上方に延びるように形成されている。底板2と側板3は、約0.3mmの肉厚を有し、上部が開放された深さ約4cmの培土収容空間10を区画形成している。培土収容空間10には、上述した培土S(
図1参照)が収容される。底板2には、苗Pの根を挿通させるような開口は形成されていない。
【0031】
側板3は、平板部31と隅部32とをそれぞれ4つずつ有している。平板部31は、平板形状を呈しており、
図2に示すように、平面視で角度θを成して互いに隣り合うように配置されている。本実施形態では、角度θは約90°に設定されている。隅部32は、底板2の四隅に対応する位置で、隣り合う平板部31を連結している。なお、平板部31は、完全に平坦に形成されている必要は無く、平面視でポット1が略多角形を呈していると認識できる程度に平坦に形成されていればよい。
【0032】
隅部32は、開口4が形成されている。開口4は、培土収容空間10に連通する貫通孔であり、幅が約4mmのスリット形状を呈する第1開口部41及び第2開口部42を有している。第1開口部41は、底板2の近傍で、底板2に沿って延びている。
図3に示すように、第1開口部41は、一の平板部31から隅部32を跨いで他の平板部31まで、約3cmにわたって延びるように形成されている。第2開口部42は、第1開口部41の略中央部に連続し、隅部32に沿って、第1開口部41から上方に約1cmにわたって延びるように形成されている。これにより、
図3に示すように、側板3には、第1開口部41と第2開口部42との間に位置する略三角形状の部分3aが形成される。
【0033】
また、側板3には、ミシン目5が形成されている。ミシン目5は、直線状を呈し、間欠的に側板3を貫通する部分、又は、間欠的に薄肉に形成された部分であり、外力が作用することにより側板3を破断させる形状的要素である。ミシン目5は、第1ミシン目部51及び第2ミシン目部52を有している。第1ミシン目部51は、第1開口部41の両端から底板2に沿って延び、第2ミシン目部52は、第2開口部42の上端から隅部32に沿って上方に延びている。これにより、
図3に示すように、側板3には、第1開口部41及び第1ミシン目部51と、第2開口部42及び第2ミシン目部52と、の間に位置する略三角形状の部分3bが形成される。部分3bは、部分3aを包含している。
【0034】
[育苗ポットにおける根の伸出]
次に、
図2から
図4を参照しながら、ポット1における根の伸出について説明する。
図4は、ポット1における根の伸出を説明する図であり、
図3のIV部を拡大して示している。
【0035】
図2に示す、培土収容空間10の中央部Cに苗P(
図1参照)が植えられている場合について説明する。ポット1の分解に先駆けて、中央部Cから周囲に向かって伸長する苗Pの根は、矢印A21で示すように、底板2や側板3において向きを変更する。そして、根は、矢印A22で示すように、底板2や、側板3の平板部31に沿って伸長し、隅部32に至る。
【0036】
上述したように、隅部32には開口4が形成されている。開口4は、矢印A22で示す根の伸長方向の先に位置している。したがって、平板部31に沿って伸長して隅部32に至った苗Pの根は、開口4を挿通して培土収容空間10の外部に伸出する。
【0037】
また、苗Pの成長に伴い、開口4を挿通する根の数が増加したり、その根が太くなったりすることにより、根は開口4の縁4aに干渉して力を作用させる。この力により、
図4(a)に示すように、側板3の部分3aが外方に捲れるように変形する。これにより、開口面積が初期状態の開口4よりも大きい挿通口61が側板3に形成され、挿通口61から矢印A41で示す方向に多数の太い根を伸出させることができる。
【0038】
さらに、苗Pが成長すると、根は挿通口61の縁に干渉して力を作用させる。この力により、側板3は第1ミシン目部51及び第2ミシン目部において破断するとともに、
図4(b)に示すように、側板3の部分3bが外方に捲れるように変形する。これにより、開口面積が挿通口61よりも大きい挿通口62が側板に形成され(換言すると、挿通口61が拡大して挿通口62となり)、挿通口62から矢印A42で示す方向にさらに多くの太い根を伸出させることができる。
【0039】
[作用効果]
次に、実施形態に基づく作用効果について説明する。
【0040】
上記構成によれば、培土収容空間10で育成されている苗Pの根は、ポット1の分解に先駆けて、底板2や側板3に沿って伸長して開口4に至り、開口4を挿通して培土収容空間10の外部に伸出する。この開口4は側板3に形成されているため、根は概ね水平方向を指向するように伸出する。換言すると、側板3に形成されている開口4から根を伸出させることにより、底板2よりも下方への根の指向性を弱めることが可能になる。
【0041】
また、苗Pの成長に伴い、開口4を挿通する根の数が増加したり、その根が太くなったりすることにより、根は開口4の縁4aに干渉して力を作用させる。開口4は、底板2に沿って延びる第1開口部41と、第1開口部41に連続し第1開口部41から上方に延びる第2開口部42と、を有している。このため、開口4の縁4aに力が作用すると、側板3のうち第1開口部41と第2開口部42との間の部分3aが外方に捲れるように変形する。この捲れた部分3aから多数の太い根を伸出させることにより、底板2よりも下方への根の指向性をさらに弱めることが可能になる。この結果、土中においてポット1が分解された後に、根の伸長に伴う苗Pの浮き上がりを抑制することが可能になる。
【0042】
また、側板3は、平面視で角度θを成すように配置されている複数の平板部31と、隣り合う平板部31を連結する隅部32と、を有し、開口4は、隅部32に形成されている。
【0043】
この構成によれば、苗Pの根は、ポット1の分解に先駆けて、底板2及び側板3の平板部31に沿って伸長して隅部32に至る。平板部31は、平面視で角度θを成すように配置されており、隅部32は、隣り合う平板部31を連結している。したがって、平板部31に沿って伸長して隅部32に至った根を、螺旋状に伸長させることなく、開口4を挿通させて培土収容空間10の外部に伸出させることが可能になる。この結果、根を開口4から効率良く伸出させることが可能になる。
【0044】
また、第1開口部41は、一の平板部31から隅部32を跨いで他の平板部31まで延びるように形成されている。
【0045】
この構成によれば、一の平板部31に沿って伸長して隅部32に至った苗Pの根と、一の平板部31と隣り合う他の平板部31に沿って伸長して当該隅部32に至った苗Pの根と、の双方が伸長する方向に、第1開口部41を配置することが可能になる。この結果、双方の根を、当該隅部32に形成されている開口4から効率良く伸出させることが可能になる。
【0046】
また、側板3は、開口4に連続し側板3を破断させるミシン目5が形成されている。
【0047】
この構成によれば、育苗時は、ミシン目5において破断する前の状態の側板3により、ポット1の剛性を高めることができる。そして、ポット1を土中に埋設した後は、開口4を挿通する根が開口4の縁4aに干渉して力を作用させることにより側板3が外方に捲れ、これに伴い、開口4に連続しているミシン目5において側板3を破断させることが可能になる。この結果、土中へのポット1の埋設後に、側板3の広範囲を外方に捲れさせ、根を培土収容空間10の外部に効率良く伸出させることが可能になる。
【0048】
また、ミシン目5は、第1開口部41に連続する第1ミシン目部51と、第2開口部42に連続する第2ミシン目部52と、を有している。
【0049】
この構成によれば、土中へのポット1の埋設後に、側板3のうち第1開口部41と第2開口部42との間の部分3aが外方に捲れるように変形した状態において、根がさらにその捲れた部分3aに干渉して力を作用させると、側板3は、第1開口部41及び第1ミシン目部51と、第2開口部42及び第2ミシン目部52と、の間に位置する部分3bが外方に捲れるように変形する。これにより、側板3のさらに広範囲を外方に捲れさせ、根を培土収容空間10の外部に効率良く伸出させることが可能になる。
【0050】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されない。すなわち、これらの具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。上述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されず、適宜変更することができる。
【0051】
例えば、開口のサイズは、育苗ポットのサイズや苗の種類に応じて適宜選択することができる。また、側板が有しているすべての隅部に開口を形成する必要はない。開口を形成する隅部は、育苗ポットの剛性等を考慮しながら適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0052】
1:育苗ポット
10:培土収容空間
2:底板
3:側板
31:平板部
32:隅部
4:開口
4a:縁
41:第1開口部
42:第2開口部
5:ミシン目
51:第1ミシン目部
52:第2ミシン目部
P:苗
【要約】
【課題】土中への埋設後に根の伸長に伴う苗の浮き上がりを抑制可能な育苗ポットを提供することを目的とする。
【解決手段】土中において分解可能な育苗ポット1であって、底板2と、底板2から上方に延び、底板2とともに培土収容空間10を形成する側板3と、を備え、側板2は、苗の根を培土収容空間10の外部に伸出させる開口4が形成されており、開口4は、底板に沿って延びる第1開口部41と、第1開口41に連続し第1開口41から上方に延びる第2開口部42と、を有している。
【選択図】
図3