(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】ゲルポリマー電解質用組成物、これから製造されるゲルポリマー電解質及びこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0565 20100101AFI20220905BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220905BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
H01M10/0565
H01M10/052
H01B1/06 A
(21)【出願番号】P 2020506723
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2018015105
(87)【国際公開番号】W WO2019108023
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-02-06
(31)【優先権主張番号】10-2017-0163676
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ホ・アン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウ・オ
(72)【発明者】
【氏名】チョル・ヘン・イ
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-116513(JP,A)
【文献】特開平11-149823(JP,A)
【文献】国際公開第2017/058676(WO,A1)
【文献】特開平11-288704(JP,A)
【文献】特開平07-320782(JP,A)
【文献】特開平07-320781(JP,A)
【文献】特表2017-532742(JP,A)
【文献】特開2003-282141(JP,A)
【文献】MOHANLAL DIGAR et al.,Blending Poly(methyl methacrylate) and Poly(styrene-co-acrylonitrile) as Composite Polymer Electrolyte,Journal of Applied Polymer Science,2001年,vol. 80,1319-1328
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0565
H01B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される第1オリゴマー;
スチレンモノマーから誘導された下記化学式2aで表される第1繰り返し単位を含む第2オリゴマー;
重合開始剤;リチウム塩;及び非水系溶媒を含むゲルポリマー電解質用組成物:
【化1】
前記化学式1で、
前記単位Aは、下記化学式A-1からA-6で表される単位のうち少なくとも1つ以上を含み、
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
前記化学式A-1からA-6で、前記n1からn6は、それぞれ独立して、1から30の整数であり、
前記B及びB´は、それぞれ独立して、アミド基を含む単位であり、
前記単位C及びC´は、それぞれ独立して、下記化学式C-3からC-5で表される単位のうち少なくとも1つ以上を含み、
【化21】
【化22】
【化23】
前記化学式C-3からC-5で、R2は、水素またはメチル基であり、
前記mは1から100の整数であり、
【化2】
前記化学式2aで、前記R
3は、水素及び置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキル基からなる群から選択されるものであり、前記aは1から50の整数である。
【請求項2】
前記第2オリゴマーは、下記化学式2bで表される第2繰り返し単位及び下記化学式2cで表される第3繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1つ以上の繰り返し単位をさらに含むものである、請求項1に記載のゲルポリマー電解質用組成物:
【化3】
前記化学式2bで、前記R
4は、水素及び置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキル基からなる群から選択されるものであり、前記bは1から50の整数であり、
【化4】
前記化学式2cで、前記R
5、R
6及びR
7は、それぞれ独立して、水素及び置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキル基からなる群から選択されるものであり、前記cは1から50の整数である。
【請求項3】
前記第2オリゴマーは、下記化学式2-1及び2-2で表される単位からなる群から選択される少なくとも1つ以上を含むものである、請求項1に記載のゲルポリマー電解質用組成物:
【化5】
前記化学式2-1で、d、eは、それぞれ独立して、1から50の整数であり、
【化6】
前記化学式2-2で、f、g、hは、それぞれ独立して、1から50の整数である。
【請求項4】
前記第1オリゴマー及び第2オリゴマーは、97.5:2.5から2.5:97.5質量比で含まれるものである、請求項1から3の何れか一項に記載のゲルポリマー電解質用組成物。
【請求項5】
前記第1オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000から10,000である、請求項1から4の何れか一項に記載のゲルポリマー電解質用組成物。
【請求項6】
前記第2オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、300から10,800である、請求項1から5の何れか一項に記載のゲルポリマー電解質用組成物。
【請求項7】
前記第1オリゴマーは、下記化学式1-1から1-6で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つ以上の化合物を含むものである、請求項1から6の何れか一項に記載のゲルポリマー電解質用組成物:
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
前記n1からn6は、それぞれ独立して、1から30の整数であり、前記mは1から100の整数である。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載のゲルポリマー電解質用組成物を用いて製造されるゲルポリマー電解質。
【請求項9】
正極;
負極;
前記正極と負極の間に介在される分離膜;及び
請求項8に記載のゲルポリマー電解質を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年11月30日付韓国特許出願第10-2017-0163676号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ゲルポリマー電解質組成物、これから製造されるゲルポリマー電解質及びこれを含むリチウム二次電池に関し、より詳細には、高温安定性が改善されたゲルポリマー電解質用組成物、これから製造されるゲルポリマー電解質及びこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するのに伴い、エネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加しており、このような二次電池の中でも高いエネルギー密度と電圧を有するリチウム二次電池が商用化されて広く用いられている。
【0004】
リチウム二次電池は、正極活物質及び負極活物質を適当な厚さで集電体に塗布するか、または活物質自体を適当な長さのフィルム状で形成した後、絶縁体であるセパレータとともに巻き取りまたは積層して電極組立体を製造し、缶又はそれと類似の容器に電極組立体を注入した後、電解質を注入する工程によって製造される。
【0005】
前記正極活物質としては、リチウム金属酸化物が用いられており、負極活物質としては、リチウム金属、リチウム合金、結晶質または非晶質炭素または炭素複合体が用いられている。また、前記電解質としては、液体状態の電解質、特に非水系有機溶媒に塩を溶解したイオン伝導性液体電解質が主に用いられてきた。
【0006】
しかし、近年、エネルギー貯蔵技術に対する関心が益々高くなりながら、小型軽量化及び高容量で充放電が可能なだけでなく、高温高電圧の安全性を有する二次電池の開発が求められている。
【0007】
一方、高温高電圧で二次電池が駆動される場合、リチウム二次電池は内部の温度上昇による発熱現象が頻繁に発生するが、有機溶媒と塩でのみ構成された液体電解質は、一般的に高温安全性が低く、一旦発火が始まると外部で電流供給を遮断しても燃焼が自発的に進む問題点がある。
【0008】
これを解消するために、液体電解質と異なりそれ自身が高温安全性に優れたゲルポリマー電解質を用いた電池開発が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国公開特許第2015-0139827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記のような問題点を解決するためのものであって、電池の性能を低下させないながらも電池の高温安定性を改善し得るゲルポリマー電解質用組成物、これから製造されたゲルポリマー電解質及びこれを含むリチウム二次電池を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様において、本発明は、下記化学式1で表される第1オリゴマー;
スチレンモノマーから誘導された下記化学式2aで表される第1繰り返し単位を含む第2オリゴマー;
重合開始剤;リチウム塩;及び非水系溶媒を含むゲルポリマー電解質用組成物:
【化1】
前記化学式1で、
前記Aは、1つ以上のフッ素が置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキレン基を含む単位であり、
前記B及びB´は、それぞれ独立して、アミド基を含む単位であり、
前記C及びC´は、それぞれ独立して、(メタ)アクリレート基を含む単位であり、
前記mは1から100の整数である。
【化2】
前記化学式2aで、前記R
3は、水素及び置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキル基からなる群から選択されるものであり、前記aは1から50の整数である。
【0012】
一方、前記第2オリゴマーは、下記化学式2bで表される第2繰り返し単位及び下記化学式2cで表される第3繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1つ以上をさらに含むものであってもよい。
【0013】
【0014】
前記化学式2bで、前記R4は、水素及び置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキル基からなる群から選択されるものであり、前記bは1から50の整数である。
【0015】
【0016】
前記化学式2cで、前記R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素及び置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキル基からなる群から選択されるものであり、前記cは1から50の整数である。
【0017】
本発明の一具現形態において、前記第2オリゴマーは、下記化学式2-1及び2-2で表される単位からなる群から選択される少なくとも1つ以上を含むものであってもよい。
【0018】
【0019】
前記化学式2-1で、d、eは、それぞれ独立して、1から50の整数である。
【0020】
【0021】
前記化学式2-2で、f、g、hは、それぞれ独立して、1から50の整数である。
【0022】
また、本発明の前記第1オリゴマーは、1-1から1-6で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つ以上の化合物を含むものであってもよい。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
前記n1からn6は、それぞれ独立して、1から30の整数であり、前記mは1から100の整数である。
【0030】
他の態様において、本発明は、前記のようなゲルポリマー電解質用組成物を用いて製造されるゲルポリマー電解質及びこれを含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によるゲルポリマー電解質用組成物は、電気化学的安全性に優れた2種以上のオリゴマーを混合してポリマーネットワークを形成して用いることにより、リチウム二次電池の高温安全性が改善され得る。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に対する理解を助けるために、本発明をさらに詳細に説明する。
【0033】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために、用語の概念を適宜定義することができるとの原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0034】
また、本明細書で用いられる用語は、ただ例示的な実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0035】
本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするのであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、構成要素、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解されなければならない。
【0036】
一方、本発明で特に言及しない限り、「*」は、同一もしくは異なる原子または化学式の末端部間の連結された部分を意味する。
【0037】
<ゲルポリマー電解質用組成物>
本発明によるゲルポリマー電解質用組成物は、第1オリゴマー;第2オリゴマー;重合開始剤;リチウム塩;及び非水系溶媒を含む。
【0038】
オリゴマー
先ず、前記オリゴマーについて説明する。前記に記載したところのように、本発明のオリゴマーは、第1オリゴマー及び第2オリゴマーで構成される。
【0039】
先ず、前記第1、2オリゴマーは、重合反応を介して3次元結合され、ポリマーネットワークを形成することができ、前記第1オリゴマーは、フッ素が置換されているかまたは置換されていないアルキレン基、アミド基及び(メタ)アクリレート基を含み、前記第2オリゴマーは、スチレンモノマーから誘導された第1繰り返し単位を含む。
【0040】
リチウム二次電池は、用いられる電解質の種類により液体電解質を用いるリチウムイオン電池、ポリマー電解質を用いるリチウムポリマー電池に分けることができる。
【0041】
しかし、液体電解質を用いると、電極物質が劣化して有機溶媒が揮発される可能性が大きいだけでなく、周辺温度及び電池自体の温度上昇による燃焼などのように安全性に問題がある。特に、過熱により液体電解質が発火点(flash point)を超えるようになると、熱暴走現象が発生し得る。熱暴走現象とは、高電流、過充電、高温環境で液体電解質が油のような燃料と作用し、正極活物質から放出される酸素との化学反応を介して高温で発生するものとして知られている。
【0042】
このような問題点を解消するために、電池が任意の温度以上に過熱される場合、電流を遮断させる保護回路、安全排気口などを活用することができるが、前記のような装置の場合、相対的に高価であるため価格の負担が大きいという問題点がある。
【0043】
したがって、本発明では、前記第1、2オリゴマーを3次元結合して形成されるポリマーネットワークを含むゲルポリマー電解質を用いてこのような問題を解決しようとした。前記第1、2オリゴマーを結合して形成されるゲルポリマー電解質の場合、液体電解質に比べて高温でも揮発性が低く、電気化学的に安定性が高い。また、コオリゴマー(co-oligomer)で互いに異なる種類の第1、2オリゴマーをともに用いるようになると、電気化学的に安定な構造を有する第1オリゴマーにより電気化学的安定性を維持しながらも、第2オリゴマーによりゲルポリマー電解質構造の強度(modulus)が向上し得る。
【0044】
また、分子量が互いに異なる2種のオリゴマーを混用する場合、ポリマーネットワークを迅速に形成することができるので、オリゴマーからポリマーへの転換率も向上し得る。
【0045】
一方、ゲルポリマー電解質と正極との界面で発生する電気化学的反応を抑制させて電池の安全性が向上するのはもちろん、高温貯蔵時の前記電気化学的反応により発生されるガス量が減少するので高温安全性も向上し得る。
【0046】
一方、前記第1オリゴマー及び第2オリゴマーは、97.5:2.5から2.5:97.5、好ましくは70:30から30:70、より好ましくは40:60から60:40の質量比で含まれるものであってもよい。前記第1、2オリゴマーが前記質量比で含まれる場合、前記オリゴマーで形成されるゲルポリマーの電気化学的安定性、強度(Modulus)、高温貯蔵の耐久性などが改善し得る。
【0047】
前記第1オリゴマーは、下記化学式1で表されるものであってもよい。
【0048】
【0049】
前記化学式1で、
前記Aは、1つ以上のフッ素が置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキレン基を含む単位であり、前記B及びB´は、それぞれ独立して、アミド基を含む単位であり、前記C及びC´は、それぞれ独立して、(メタ)アクリレート基を含む単位であり、前記mは1から100の整数である。
【0050】
一方、前記mは、好ましくは1から50の整数、より好ましくは1から30の整数であってもよい。前記mが前記範囲内である場合、前記化学式1で表される第1オリゴマーが適切な重量平均分子量(Mw)を有する。
【0051】
このとき、本明細書で重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味し、特に他に規定しない限り、分子量は重量平均分子量を意味する。このとき、前記重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)を用いて測定することができる。例えば、一定濃度のサンプル試料を準備した後、GPC測定システムalliance4機器を安定化させる。機器が安定化されてから、機器に標準試料とサンプル試料を注入してクロマトグラムを得た後、分析方法によって重量平均分子量を計算する(システム:Alliance4、カラム:Ultrahydrogel linearx2、eluent:0.1M NaNO3(pH7.0 phosphate buffer、flowrate:0.1mL/min、temp:40℃、injection:100μL)
【0052】
前記化学式1で表される第1オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、繰り返し単位の数によって調節可能であり、約1,000から20,000、具体的に1,000から15,000、より具体的に1,000から10,000であってもよい。前記第1オリゴマーの重量平均分子量が前記範囲内である場合、ゲルポリマー電解質の揮発性が低くて高温安全性が改善し、これを含む電池の機械的強度を効果的に改善することができ、加工性(成形性)及び電池安定性などが向上されたゲルポリマー電解質を製造することができる。
【0053】
一方、前記Aは、1つ以上のフッ素が置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキレン基を含む単位である。前記第1オリゴマーは、前記単位Aを含むことで、ラジカルスカベンジャー(radical scavenger)として作用する。
【0054】
例えば、前記単位Aは、下記下記化学式A-1からA-6で表される単位のうち少なくとも1つ以上を含むものであってもよい。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
前記化学式A-1からA-6で、前記n1からn6は、それぞれ独立して、1から30の整数である。一方、前記n1からn6は、好ましくは、それぞれ独立して、1から25の整数、より好ましくは、それぞれ独立して、1から20の整数であってもよい。前記n1からn6が、それぞれ独立して、前記範囲内に該当する場合、一定水準の重量平均分子量を有するオリゴマーを形成することができ、抵抗が上昇することを防止することができる。
【0062】
また、前記単位B及びB´は、それぞれ独立して、アミド基を含む単位として、前記第1オリゴマーを用いてゲルポリマー電解質を具現するにおいて、イオン伝達特性を調節し、機械的物性及び密着力を調節する機能を付与するためのものである。
【0063】
例えば、前記単位B及びB´は、それぞれ独立して、下記化学式B-1で表される単位を含んでもよい。
【0064】
【0065】
前記化学式B-1で、
R1は、炭素数1から10の直鎖状または非直鎖状アルキレン基、炭素数3から10の置換されているかまたは置換されていないシクロアルキレン基、炭素数6から20の置換されているかまたは置換されていないバイシクロアルキレン基、炭素数6から20の置換されているかまたは置換されていないアリール基、下記化学式R1-1で表される単位及び下記化学式R1-2で表される単位からなる群から選択される少なくとも1つ以上である。
【0066】
【0067】
【0068】
また他の例を挙げると、前記化学式B-1で、
前記R1は、下記化学式R1-3からR1-8で表される単位のうち少なくとも1つ以上を含んでもよい。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
また、前記単位C及びC´は、前記第1オリゴマーが3次元構造に結合されてポリマーネットワークを形成できるように(メタ)アクリレート基を含む単位である。前記単位C及びC´は、分子構造内に少なくとも1つの単官能性または多官能性(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリル酸を含む単量体から誘導されてもよい。
【0076】
例えば、前記単位C及びC´は、それぞれ独立して、下記化学式C-1からC-5で表される単位のうち少なくとも1つ以上を含んでもよい。
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
本発明の一具現形態によると、前記第1オリゴマーは、下記化学式1-1から1-6からなる群から選択される少なくとも1つ以上の化合物であるものでよい。
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
前記n1からn6は、それぞれ独立して、1から30の整数であり、前記mは1から100の整数である。
【0090】
一方、前記mは、好ましくは1から50の整数、より好ましくは、1から30の整数であってもよい。
【0091】
一方、前記第1オリゴマーは、ゲルポリマー電解質用組成物100重量部に対し、0.5から20重量部、好ましくは1.0から20重量部、より好ましくは1.5から20重量部の含量で含まれてもよい。前記第1オリゴマーの含量が0.5重量部未満である場合、ゲルポリマー電解質を形成するための第1オリゴマー間または第2オリゴマーとのネットワーク反応が形成されにくく、前記第1オリゴマーの含量が20重量部を超える場合、ゲルポリマー電解質の粘度が一定水準を超えて電池内の含浸性、濡れ性(wetting)低下及び電気化学的安定性が阻害され得る。
【0092】
前記第2オリゴマーは、スチレンモノマーから誘導された下記化学式2aで表される第1繰り返し単位を含むものであってもよい。スチレンモノマーから誘導された第1繰り返し単位の場合、共鳴構造を有するベンゼンを含むが、ベンゼンの場合、共鳴構造によってラジカルが形成する際、ラジカル化合物を安定化させ、固定させるラジカルスカベンジャー(radical scavenger)の役割を行って酸素ラジカルにより誘導される発火現象を抑制させることができるので、高温安全性が向上し得る。
【0093】
【0094】
前記化学式2aで、前記R3は、水素及び置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキル基からなる群から選択されるものであり、前記aは1から50の整数である。好ましくは、aは1から40の整数、より好ましくは1から30の整数であってもよい。
【0095】
一方、前記第1繰り返し単位は、スチレンモノマーから誘導されたものであって、相対的に沸点が高いので容易に揮発されない。したがって、前記第1繰り返し単位を含む前記第2オリゴマーと第1オリゴマーがともにポリマーネットワークをなし、ゲルポリマー電解質を形成するようになると、1種のオリゴマーのみを用いる場合より高温安全性が改善され得る。
【0096】
また、前記第2オリゴマーは、第2繰り返し単位及び第3繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1つ以上の繰り返し単位をさらに含むものであってもよい。
【0097】
前記第2繰り返し単位は、シアノ基(-CN)を含む繰り返し単位であって、シアノ基は多重結合を有する親水性(hydrophilic)基でリチウム陽イオンと配位(coordination)し、これを含むオリゴマー及びゲルポリマー電解質の極性(polarity)を調節することができ、誘電率上昇を誘導してイオン伝導度を向上させて電池の性能を改善させることができる。
【0098】
前記第2繰り返し単位は、下記化学式2bで表されるものであってもよい。
【化41】
【0099】
前記化学式2bで、前記R4は、水素及び置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキル基からなる群から選択されるものであり、前記bは1から50の整数である。好ましくは、bは1から40の整数、より好ましくは1から30の整数であってもよい。
【0100】
前記第3繰り返し単位は、炭素-炭素二重結合(-C=C-)を含む繰り返し単位であって、リチウムイオンとの相互作用を介してこれを含むゲルポリマー電解質内にイオン伝達経路を確保することができるので、伝導性が向上し得る。また、第3繰り返し単位を含む第2オリゴマーは、第1オリゴマーとさらに堅固に連結されて最終的に形成されるゲルポリマー電解質の物理的強度を向上させることができる。
【0101】
前記第3繰り返し単位は、下記化学式2cで表されるものであってもよい。
【0102】
【0103】
前記化学式2cで、前記R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素及び置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキル基からなる群から選択されるものであり、前記cは1から50の整数である。好ましくは、cは1から40の整数、より好ましくは1から30の整数であってもよい。
【0104】
例えば、前記第2オリゴマーは、下記化学式2-1及び2-2で表される単位からなる群から選択される少なくとも1つ以上を含むものであってもよい。
【0105】
【0106】
【0107】
前記化学式2-1及び2-2で、d、e、f、g、hは、それぞれ独立して、1から50の整数である。好ましくは、1から40の整数、より好ましくは1から30の整数であってもよい。
【0108】
前記第2オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、第1繰り返し単位と第2繰り返し単位及び第3繰り返し単位との結合割合、第2オリゴマーを構成するそれぞれの繰り返し単位内の数によって調節可能であり、約300から10,800、具体的に500から10,800、より具体的に1,000から10,800であってもよい。前記第2オリゴマーの重量平均分子量が、前記範囲内である場合、前記第2オリゴマーを含むゲルポリマー電解質の粘度及びイオン伝導度が一定水準で維持され、これを含むゲルポリマー電解質の電気化学的安全性が改善し得る。
【0109】
重合開始剤
次に、前記重合開始剤について説明する。
【0110】
前記重合開始剤は、本発明のオリゴマーを重合させて3次元構造に結合されたポリマーネットワークを形成させるためのものであって、当業界で知られた通常的な重合開始剤が制限なしに用いられてもよい。前記重合開始剤は、重合方式に従って、光重合開始剤または熱重合開始剤を用いてもよい。
【0111】
具体的に、前記光重合開始剤は、代表的な例として、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(HMPP)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニル-ケトン、ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、オキシ-フェニル酢酸2-[2-オキソ-2フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-ヒドロキシエトキシ]-エチルエステル、α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、ビス(エタ5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)、ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル]チタン、4-イソブチルフェニル-4´-メチルフェニルヨードニウム、ヘキサフルオロリン酸塩及びベンゾイルギ酸メチルからなる群から選択された少なくとも1つ以上を含んでもよい。
【0112】
また、前記熱重合開始剤は、その代表的な例として、ベンゾイルパーオキサイド(benzoyl peroxide)、アセチルパーオキサイド(acetyl peroxide)、ジラウリルパーオキサイド(dilauryl peroxide)、ジ-tert-ブチルパーオキサイド(di-tert-butyl peroxide)、t-ブチルパーオキシ-2-エチル-ヘキサノエート(t-butyl peroxy-2-ethyl-hexanoate)、クミルハイドロパーオキサイド(cumyl hydroperoxide)、及びハイドロジェンパーオキサイド(hydrogen peroxide)、2,2´‐アゾビス(2-シアノブタン)、2,2´-アゾビス(メチルブチロニトリル)、2,2´-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN;2,2´-Azobis( iso‐butyronitrile ))及び2,2´-アゾビスジメチル‐バレロニトリル(AMVN;2,2´-Azobisdimethyl-Valeronitrile)からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含んでもよい。
【0113】
前記重合開始剤は、電池内で30℃から100℃の熱により分解されるか、常温(5℃から30℃)でUVのような光(light)により分解されてラジカルを形成し、フリーラジカル重合によって架橋結合を形成してオリゴマーが重合されるようにすることができる。
【0114】
一方、前記重合開始剤は、前記第1オリゴマー及び第2オリゴマー100重量部に対し、0.01から5重量部、好ましくは0.05から5重量部、より好ましくは0.1から5重量部の量で用いられてもよい。重合開始剤の含量が前記範囲内で用いられると、電池性能に悪影響を及ぼし得る未反応重合開始剤の量を最小化することができる。また、前記範囲内で重合開始剤が含まれる場合、ゲル化が適宜なされ得る。
【0115】
リチウム塩
次に、前記リチウム塩について説明する。
【0116】
リチウム塩は、リチウム二次電池内で電解質塩として用いられるものであって、イオンを伝達するための媒介体として用いられるものである。通常、リチウム塩は、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiClO4、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2、CF3SO3Li、LiC(CF3SO2)3、LiC4BO8、LiTFSI、LiFSI、及びLiClO4からなる群から選択される少なくとも1つ以上の化合物を含んでもよく、好ましくはLiPF6を含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0117】
一方、前記リチウム塩は、0.5から5M、好ましくは0.5から4Mで含まれてもよい。リチウム塩の含量が前記範囲未満である場合、電解質内のリチウムイオンの濃度が低いので電池の充放電が適宜なされないこともあり、前記範囲を超える場合、ゲルポリマー電解質の粘度が高くなり電池内の濡れ性(wetting)が低下するため、電池性能を悪化させることがある。
【0118】
非水系溶媒
次に、非水系溶媒について説明する。
【0119】
本発明で、非水系溶媒は、リチウム二次電池に通常用いられる電解液溶媒として、例えば、エーテル、エステル(アセテート(Acetate)類、プロピオネート(Propionate)類)、アミド、直鎖状カーボネートまたは環状カーボネート、ニトリル(アセトニトリル、SNなど)などをそれぞれ単独にまたは2種以上混合して用いてもよい。
【0120】
中でも、代表的に、環状カーボネート、直鎖状カーボネートまたはこれらの混合物であるカーボネート化合物を含むカーボネート系電解液溶媒を用いてもよい。
【0121】
前記環状カーボネート化合物の具体的な例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、及びこれらのハロゲン化物からなる群から選択される単一化合物または少なくとも2種以上の混合物がある。
【0122】
また、前記直鎖状カーボネート化合物の具体的な例としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)及びエチルプロピルカーボネート(EPC)からなる群から選択された化合物または少なくとも2種以上の混合物などが代表的に用いられてもよいが、これに限定されるものではない。
【0123】
特に、前記カーボネート系電解液溶媒のうち、環状カーボネートであるプロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートは、高粘度の有機溶媒であって、誘電率が高くて電解液中のリチウム塩を解離させやすいため好適に使用可能であり、このような環状カーボネートに、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートまたはジメチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の直鎖状カーボネートを適当な割合で混合して用いると、高い電気伝導率を有する電解液を作製することができるため、さらに好適に使用できる。
【0124】
また、前記電解液溶媒のうち、エステルとしては、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、α-バレロラクトン及びε-カプロラクトンからなる群から選択される単一化合物または少なくとも2種以上の混合物を用いてもよいが、これに限定されるものではない。
【0125】
本発明の一実施形態によるゲルポリマー電解質用組成物は、前記記載の成分以外に、オリゴマーのポリマーネットワーク形成反応の効率性増大と抵抗減少効果を付与するために、当業界に知られたこのような物性を具現することができるその他添加剤、無機物粒子などを選択的にさらに含んでもよい。
【0126】
前記その他添加剤としては、例えば、VC(ビニレンカーボネート(Vinylene Carbonate))、VEC(ビニル エチレンカーボネート(vinylethylene carbonate))、PS(プロパンスルトン(Propane sultone))、SN(スクシノニトリル(succinonitrile))、AdN(アジポニトリル(Adiponitrile))、ESa(エチレンサルフェート(ethylene sulfate))、PRS(プロペンスルトン(Propene Sultone))、FEC(フルオロエチレンカーボネート(fluoroethylene carbonate))、LiPO2F2、LiODFB(リチウムジフルオロオキサラトボレート(Lithiumdifluorooxalatoborate))、LiBOB(リチウムビスオキサラトボレート(Lithium bis-(oxalato)borate))、TMSPa(3-トリメトキシシラニル-プロピル-N-アニリン(3-trimethoxysilanyl-propyl-N-aniline))、TMSPi(亜りん酸トリス(トリメチルシリル)(Tris(trimethylsilyl)Phosphite))、LiBF4などの添加剤をいずれも適用可能である。
【0127】
また、前記無機物粒子としては、誘電定数が5以上であるBaTiO3、BaTiO3、Pb(Zr、Ti)O3(PZT)、Pb1-aLaaZr1-bTibO3(PLZT、ここで、0<a<1、0<b<1である)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3(PMN-PT)、ハフニア(HfO2)、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO2、Y2O3、Al2O3、TiO2、SiC及びこれらの混合体からなる群から選択される単一化合物または少なくとも2種以上の混合物などが用いられてもよい。
【0128】
それ以外にも、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子、すなわち、リチウムホスフェート(Li3PO4)、リチウムチタンホスフェート(LicTid(PO4)3、0<d<2、0<d<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(Lia1Alb1Tic1(PO4)3、0<a1<2、0<b1<1、0<c1<3)、14Li2O‐9Al2O3-38TiO2-39P2O5などのような(LiAlTiP)a2Ob2系ガラス(glass)(0<a2<4、0<b2<13)、リチウムランタンチタネート(Lia3Lab3TiO3、0<a3<2、0<b3<3)、Li3.25Ge0.25P0.75S4などのようなリチウムゲルマニウムチオホスフェート(Lia4Geb4Pc2Sd、0<a4<4、0<b4<1、0<c2<1、0<d<5)、Li3Nなどのようなリチウムナイトライド(Lia5Nb5、0<a5<4、0<b5<2)、Li3PO4-Li2S-SiS2などのようなSiS2系ガラス(Lia6Sib6Sc3、0<a6<3、0<b6<2、0<c4<4)、LiI-Li2S‐P2S5などのようなP2S5系ガラス(Lia7Pb7Sc5、0<a7<3、0<b7<3、0<c5<7)、またはこれらの混合物などをさらに含んでもよい。
【0129】
<ゲルポリマー電解質>
以下、本発明によるゲルポリマー電解質について説明する。
【0130】
本発明の一具現形態によると、前記ゲルポリマー電解質組成物を用いて製造されるゲルポリマー電解質である。
【0131】
従来、ゲルポリマー電解質は、液体電解質に比べてイオン伝導度などが低く、固体高分子電解質と比べる場合、安定性及び機械的物性が相対的に脆弱であるとの問題点がある。
【0132】
しかし、本発明によるゲルポリマー電解質は、フッ素が置換されているかまたは置換されていない炭素数1から5のアルキレン基を含む単位A、それぞれ独立して、アミド基を含む単位B及びB´、それぞれ独立して、(メタ)アクリレート基を含む単位C及びC´を含む第1オリゴマー及びスチレン系モノマーから誘導された第1繰り返し単位を含む第2オリゴマーがポリマーネットワークを形成し、イオン伝導性及び機械的物性を改善させることができ、揮発性が低くて電気化学的安全性及び高温安全性が改善し得る。
【0133】
一方、本発明によるゲルポリマー電解質は、当業界に知られた通常の方法によりゲルポリマー電解質用組成物を重合させて形成されたものである。一般的に、ゲルポリマー電解質は、in-situ重合またはコーティング重合により製造されることができる。
【0134】
より具体的に、in-situ重合は、(a)正極、負極、及び前記正極と負極の間に介在された分離膜からなる電極組立体を電池ケースに挿入するステップ及び(b)前記電池ケースに本発明によるゲルポリマー電解質用組成物を注入した後、重合するステップを経てゲルポリマー電解質を製造する方法である。
【0135】
リチウム二次電池内のin-situ重合反応は、電子ビーム(E-BEAM)、ガンマ線、常温/高温エージング工程により可能であって、本発明の一実施形態によると、熱重合または光重合を介して進められてもよい。この際、重合時間は略2分から12時間程度必要とし、熱重合温度は30℃から100℃であってもよく、光重合温度は常温(5℃から30℃)であってもよい。
【0136】
より具体的に、リチウム二次電池内のin-situ重合反応は、前記ゲルポリマー電解質組成物を電池セルに注液した後、重合反応を介するゲル化を経てゲルポリマー電解質を形成させるものである。
【0137】
また他の方法では、前記ゲルポリマー電解質組成物を電極及び分離膜の一表面にコーティングし、熱やUVのような光を用いて硬化(ゲル化)させた後、ゲルポリマー電解質が形成された電極及び/または分離膜を巻取または積層して電極組立体を製造し、これを電池ケースに挿入して既存液体電解液を再注液して製造することもできる。
【0138】
<リチウム二次電池>
次に、本発明によるリチウム二次電池について説明する。本発明のまた他の実施例による二次電池は、負極、正極、前記正極及び負極の間に介在された分離膜及びゲルポリマー電解質を含む。前記ゲルポリマー電解質は、前述した内容と同様なので、具体的な説明を省略する。
【0139】
正極
前記正極は、正極集電体上に正極活物質、バインダー、導電材及び溶媒などを含む正極合剤スラリーをコーティングして製造することができる。
【0140】
前記正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく、且つ導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したこものなどが用いられてもよい。
【0141】
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーション及びデインターカレーションが可能な化合物として、具体的にはコバルト、マンガン、ニッケルまたはアルミニウムのような1種以上の金属とリチウムを含むリチウム複合金属酸化物を含んでよい。より具体的には、前記リチウム複合金属酸化物は、リチウム-マンガン系酸化物(例えば、LiMnO2、LiMn2O4など)、リチウム-コバルト系酸化物(例えば、LiCoO2など)、リチウム-ニッケル系酸化物(例えば、LiNiO2など)、リチウム-ニッケル-マンガン系酸化物(例えば、LiNi1-Y1MnY1O2(ここで、0<Y1<1)、LiMn2-z1Niz1O4(ここで、0<Z1<2)など)、リチウム-ニッケル-コバルト系酸化物(例えば、LiNi1-Y2CoY2O2(ここで、0<Y2<1)など)、リチウム-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、LiCo1-Y3MnY3O2(ここで、0<Y3<1)、LiMn2-z2Coz2O4(ここで、0<Z2<2)など)、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト系酸化物(例えば、Li(Nip1Coq1Mnr1)O2(ここで、0<p1<1、0<q1<1、0<r1<1、p1+q1+r1=1)またはLi(Nip2Coq2Mnr2)O4(ここで、0<p2<2、0<q2<2、0<r2<2、p2+q2+r2=2)など)、またはリチウム-ニッケル-コバルト-遷移金属(M)酸化物(例えば、Li(Nip3Coq3Mnr3MS1)O2(ここで、MはAl、Fe、V、Cr、Ti、Ta、Mg及びMoからなる群から選択され、p3、q3、r3及びs1は、それぞれ独立した元素の原子分率として、0<p3<1、0<q3<1、0<r3<1、0<s1<1、p3+q3+r3+s1=1である)など)などを挙げることができ、これらのうち何れか1つまたは2つ以上の化合物が含まれてもよい。
この中でも、電池の容量特性及び安定性を高めることができるという点で、前記リチウム複合金属酸化物は、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(例えば、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O2、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O2、またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O2など)、またはリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2など)などであってもよく、リチウム複合金属酸化物を形成する構成元素の種類及び含量比の制御による改善効果の顕著さを考慮すると、前記リチウム複合金属酸化物は、Li(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O2、Li(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O2、Li(Ni0.7Mn0.15Co0.15)O2またはLi(Ni0.8Mn0.1Co0.1)O2などであってもよく、これらの何れか1つまたは2つ以上の混合物が用いられてもよい。
【0142】
前記正極活物質は、正極合剤スラリー中の溶媒を除いた固形物の全重量を基準として、60から99重量%、好ましくは70から99重量%、より好ましくは80から98重量%で含まれてもよい。
【0143】
前記バインダーは、活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合を助ける成分である。
【0144】
このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレン‐ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン‐ブタジエンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などが挙げられる。
【0145】
通常、前記バインダーは、正極合剤スラリー中の溶媒を除いた固形物の全重量を基準として、1から20重量%、好ましくは1から15重量%、より好ましくは1から10重量%で含まれてもよい。
【0146】
前記導電材は、正極活物質の導電性をさらに向上させるための成分である。
【0147】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなく、且つ導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、グラファイト;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどの炭素系物質;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられてもよい。市販されている導電材の具体的な例としては、アセチレンブラック系列であるシェブロンケミカルカンパニー(Chevron Chemical Company)製やデンカブラック(Denka Singapore Private Limited製)、ガルフオイルカンパニー(Gulf Oil Company)製など、ケッチェンブラック(Ketjenblack)、EC系(アルマックコンパニー(Armak Company)製、ブルカン(Vulcan)XC-72(キャボットコンパニー(Cabot Company)製及びスーパー(Super)P(Timcal製)などがある。
【0148】
通常、前記導電材は、正極合剤スラリー中の溶媒を除いた固形物の全重量を基準として1から20重量%、好ましくは1から15重量%、より好ましくは1から10重量%で含まれてもよい。
【0149】
前記溶媒は、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)などの有機溶媒を含んでもよく、前記正極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材などを含む際に好適な粘度となる量で用いられてもよい。例えば、正極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材を含む固形分の濃度が50から95重量%、好ましくは70から95重量%、より好ましくは70から90重量%となり得るように含まれてもよい。
【0150】
負極
前記負極は、例えば、負極集電体上に負極活物質、バインダー、導電材及び溶媒などを含む負極合剤スラリーをコーティングして製造するか、炭素(C)からなる黒鉛電極または金属自体を負極として用いることができる。
【0151】
例えば、前記負極集電体上に負極合剤スラリーをコーティングして負極を製造する場合、前記負極集電体は、一般的に3から500μmの厚さを有する。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく、且つ高い導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが用いられてもよい。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成することで負極活物質の結合力を強化させてもよく、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で用いられてもよい。
【0152】
前記負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、炭素質材料;リチウム含有チタン複合酸化物(LTO)、Si、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiまたはFeである金属類(Me);前記金属類(Me)で構成された合金類;前記金属類(Me)の酸化物(MeOx);及び前記金属類(Me)と炭素との複合体からなる群から選択された1種または2種以上の負極活物質を挙げることができる。
【0153】
前記負極活物質は、負極合剤スラリー中の溶媒を除いた固形物の全重量を基準として60から99重量%、好ましくは70から99重量%、より好ましくは80から98重量%で含まれてもよい。
【0154】
前記バインダーは、導電材、活物質及び集電体の間の結合を助ける成分である。このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、これらの様々な共重合体などを挙げることができる。
【0155】
通常、前記バインダーは、負極合剤スラリーの中で溶媒を除いた固形物の全重量を基準として1から20重量%、好ましくは1から15重量%、より好ましくは1から10重量%で含まれてもよい。
【0156】
前記導電材は、負極活物質の導電性をさらに向上するための成分である。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなく、且つ導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられてもよい。
【0157】
前記導電材は、負極合剤スラリー中の溶媒を除いた固形物の全重量を基準として1から20重量%、好ましくは1から15重量%、より好ましくは1から10重量%で含まれてもよい。
【0158】
前記溶媒は、水またはNMP(N-メチル-2-ピロリドン)などの有機溶媒を含んでもよく、前記負極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材などを含む際に好適な粘度となるように用いられてもよい。例えば、負極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材を含む固形分の濃度が50重量%から95重量%、好ましく70重量%から90重量%となるように含まれてもよい。
【0159】
前記負極として、金属自体を用いる場合、金属薄膜自体または前記負極集電体上に金属を物理的に接合、圧延または蒸着などをさせる方法で製造してもよい。前記蒸着する方式は金属を電気的蒸着法または化学的蒸着法(chemical vapor deposition)を用いてもよい。
【0160】
例えば、前記金属薄膜自体または、前記負極集電体上に接合/圧延/蒸着される金属は、リチウム(Li)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銅(Cu)及びインジウム(In)からなる群から選択される1種の金属または2種の金属の合金などを含んでもよい。
【0161】
分離膜
また、分離膜としては、従来分離膜として用いられた通常の多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリルレート共重合体などのようななポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムを単独でまたはこれらを積層して用いてよく、または通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を用いてもよいが、これに限定されるものではない。
【0162】
本発明のリチウム二次電池の外形は特別な制限がないが、缶を用いた円筒状形、角形、パウチ(pouch)型またはコイン(coin)型などからなってよい。
【0163】
本発明の他の実施形態によると、前記リチウム二次電池を単位として含む電池モジュール及びこれを含む電池パックを提供する。前記電池モジュール及び電池パックは、高容量、高い律速特性及びサイクル特性を有する前記リチウム二次電池を含むので、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車及び電力貯蔵用システムからなる群から選択される中大型デバイスの電源として用いられてもよい。
【0164】
以下、具体的な実施例を介して本発明をより具体的に説明する。ただし、下記実施例は、本発明の理解を助けるための例示であるだけで、本発明の範囲を限定するものではない。本記載の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは当業者において明白なものであり、このような変形及び修正が特許請求の範囲に属することは当然である。
【0165】
[実施例]
1.実施例1
(1)ゲルポリマー電解質用組成物の製造
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)を3:7体積比で混合し、LiPF6を0.7M、LiFSIを0.5Mを投入して混合溶媒を製造した後、前記製造された混合溶媒91.98gに、化学式1-5のオリゴマー(重量平均分子量4,000)4g及び化学式2-1のオリゴマー(重量平均分子量3,000)1g、重合開始剤(2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(2,2´-Azobis(iso-butyronitrile))、AIBN)0.02g、その他添加剤としてビニレンカーボネート(Vinylene Carbonate、VC)1.5g、プロパンスルトン(Propane sultone、PS)0.5g、エチレンサルフェート(Ethylene sulfate、ESa)1gを添加してゲルポリマー電解質用組成物を製造した。
【0166】
(2)リチウム二次電池の製造
正極活物質として、(LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2;NCM)97.5重量%、導電材としてカーボンブラック(carbon black)1.5重量%、バインダーとしてPVDF1重量%を溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加し、正極合剤スラリーを製造した。前記正極合剤スラリーを厚さが20μm程度の正極集電体であるアルミニウム(Al)薄膜に塗布後に乾燥させた後、ロールプレス(roll press)を行って正極を製造した。
【0167】
次に、人造黒鉛電極を負極として用いた。
【0168】
前記正極、負極及びポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン(PP/PE/PP)3層からなる分離膜を用いて電極組立体を製造し、前記電極組立体に前記製造されたゲルポリマー電解質用組成物を注入した後2日放置後、60℃で24時間加熱してゲルポリマー電解質を含むリチウム二次電池を製造した。
【0169】
2.実施例2
前記実施例1で、化学式2-1の化合物2gを添加したことを除いては、実施例1と同一の方法でゲルポリマー電解質を含むリチウム二次電池を製造した。
【0170】
3.実施例3
前記実施例1で、第2オリゴマーとして、化学式2-1のオリゴマー1gの代わりに化学式2-2のオリゴマーを1gを添加したことを除いては、実施例1と同一の方法でゲルポリマー電解質を含むリチウム二次電池を製造した。
【0171】
4.実施例4
前記実施例3で、化学式2-2のオリゴマー2gを添加したことを除いては、実施例3と同一の方法でゲルポリマー電解質を含むリチウム二次電池を製造した。
【0172】
[比較例]
1.比較例1
(1)電解液の製造
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を3:7体積比で混合し、LiPF6を0.7M、LiFSIを0.5Mを投入した混合溶媒で電解液を97.5g製造した後、その他添加剤としてビニレンカーボネート(Vinylene Carbonate、VC)1.5g、プロパンスルトン(Propane sultone、PS)0.5g、エチレンサルフェート(Ethylene sulfate、ESa)1gを添加した。
【0173】
(2)リチウム二次電池の製造
正極活物質として(LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2;NCM ;NCM)97.5重量%、導電材としてカーボンブラック(carbon black)1.5重量%、バインダーとしてPVDF1重量%を溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加し、正極合剤スラリーを製造した。前記正極合剤スラリーを厚さが20μm程度の正極集電体であるアルミニウム(Al)薄膜に塗布後に乾燥させた後、ロールプレス(roll press)を行って正極を製造した。
次に、人造黒鉛電極を負極として用いた。
前記正極、負極及びポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン(PP/PE/PP)3層からなる分離膜を用いて電極組立体を製造し、前記電極組立体に前記製造された電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。
【0174】
2.比較例2
前記実施例1で、化学式1-5のオリゴマー(重量平均分子量4,000)4gのみを用いて、化学式2-1のオリゴマーを用いないことを除いては、実施例1と同一の方法でゲルポリマー電解質を含むリチウム二次電池を製造した。
【0175】
3.比較例3
前記実施例1で、化学式2-1のオリゴマー(重量平均分子量3,000)1gのみを用いて、化学式1-5のオリゴマーを用いないことを除いては、実施例1と同一の方法でゲルポリマー電解質を含むリチウム二次電池を製造した。
【0176】
4.比較例4
前記実施例1で、オリゴマーとして、化学式1-6のオリゴマー及び化学式2-1のオリゴマーの代わりにジペンタエリスリトールペンタアクリレート(dipentaerythritol pentaacrylate)からなるアクリレート系オリゴマーのみを用いることを除いては、実施例1と同一の方法でゲルポリマー電解質を含むリチウム二次電池を製造した。
【0177】
[実験例]
1.実験例1:高温安全性評価(発熱量の測定)
前記実施例1~4及び比較例1~4で製造されたリチウム二次電池を、4.25Vの電圧条件下で、SOC100%充電させた。以後、25℃で、0.7℃/minの昇温速度で温度を上昇させ、120℃付近の温度範囲下で、約100分ほど温度を維持させる(第1温度維持区間)。以後、再び0.7℃/minの昇温速度で温度を上昇させ、150℃付近の温度範囲下で温度を維持させる(第2温度維持区間)。以後、再び0.7℃/minの昇温速度で温度を上昇させ、200℃付近の温度範囲下で温度を維持させるステップ(第3温度維持区間)を経てリチウム二次電池が高温に露出するようにした後、リチウム二次電池内部の発熱量を測定し(NETZSCH社のMMC(Multi module calorimeter)274で測定)、下記表1に示した。
【0178】
【0179】
第1温度維持区間では、実施例及び比較例全ての発熱量が観測されなかった。実施例により製造された電池の場合、第2、3温度維持区間の全ての発熱量が小さいが、比較例により製造された電池の場合、第2、3温度維持区間全ての発熱量が顕著に大きく示されたことを確認することができる。
【0180】
2.実験例2:高温安全性評価(電池内ガス量の測定)
前記実施例1~4及び比較例1~4で製造されたリチウム二次電池を、4.25Vの電圧条件下で、SOC100%で充電させた後、60℃で10週(week)間露出するようにした後、リチウム二次電池内に発生されたガス量を測定し、下記表2に示した。
【0181】
【0182】
リチウム二次電池を充電させた後、高温で長期間露出すると、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)ガスが発生されるが、これはゲルポリマー電解質が分解されながら発生される生成物である。このとき、液体電解質を用いる場合(比較例1)よりゲルポリマー電解質を用いる実施例により製造された電池がさらに少ないガスを発生することを確認することができる。
【0183】
また、1種のオリゴマーのみを用いる比較例より2種のオリゴマーを混用した実施例により製造されたリチウム二次電池内にガスがさらに少なく発生することを確認することができる。これは、分子量が互いに異なるオリゴマーを混用する際、ゲルポリマーがさらに安定的に形成され、ポリマーの特性(揮発性抑制など)が発現されるためであると見られる。