IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 田岡化学工業株式会社の特許一覧

特許7134579フルオレン骨格を有するビスフェノール化合物の製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】フルオレン骨格を有するビスフェノール化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 37/72 20060101AFI20220905BHJP
   C07C 39/17 20060101ALI20220905BHJP
   C07C 37/84 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
C07C37/72
C07C39/17
C07C37/84
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019009948
(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公開番号】P2020117460
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000216243
【氏名又は名称】田岡化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弘行
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-47227(JP,A)
【文献】特開2003-221352(JP,A)
【文献】特開平10-45655(JP,A)
【文献】特開2017-200901(JP,A)
【文献】特開2009-256342(JP,A)
【文献】特開2017-178918(JP,A)
【文献】特開2000-26349(JP,A)
【文献】特開2017-95379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 37/72
C07C 39/17
C07C 37/84
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下式(1):
【化1】
で表される化合物を、分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類を含む溶媒に溶解させて上記式(1)で表される化合物を含む溶液を調製し、該溶液に水を添加、混合した後、該溶液から水層を除去する工程を含む、上記式(1)で表される化合物の製造方法。
【請求項2】
前記溶液と水とを混合させる温度が70~95℃である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
脂肪族ケトン類が、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、4-オクタノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-メチルシクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノン及び4-メチルシクロヘキサノンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
脂肪族ケトン類の使用量が、以下式(1):
【化2】
で表される化合物1重量部に対し4~10重量部であり、水の使用量が、上記式(1)で表される化合物1重量部に対し1~5重量部である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
更に、前記溶液から以下式(1):
【化3】
で表される化合物の結晶を析出させ、該結晶を分離する工程を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズ、光学フィルム等の光学部材を構成する樹脂(光学樹脂)の原料モノマーとして有用なフルオレン骨格を有するビスフェノール化合物の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオレン骨格を有するビスフェノール化合物を原料モノマーとするポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタン、エポキシなどの樹脂は、光学特性や耐熱性等に優れることから、近年、光学レンズや光学フィルム等の光学部材を構成する樹脂(光学樹脂)として注目されている。特に、以下式(1):
【0003】
【化1】
で表される化合物は、該化合物及びその誘導体から製造される樹脂が、光学特性(屈折率等)、耐熱性、耐水性、耐薬品性、電気特性、機械特性、溶解性等の諸特性に優れることから、前記光学樹脂の原料モノマーとして注目されている(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-47227号公報
【文献】特開2003-221352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記式(1)で表される化合物は一般的に、無機酸又は有機酸存在下、9-フルオレノンとo-フェニルフェノールとを反応させることにより製造することができるが、上記式(1)で表される化合物を樹脂の原料モノマーとして使用するにあたっては、反応で使用した酸を除去しておくことが好ましいとされる。酸を除去するためには、上記式(1)で表される化合物を有機溶媒に溶解させて溶液とし、必要に応じ塩基を加えて酸を中和した後、水を用いて酸または中和により生じた塩を有機層から除去する操作(水洗)を行うことが簡便である。かかる操作は上記特許文献1及び2にも記載されているが、本願発明者らがこれら文献の実施例に記載されている条件で水洗しようとしたところ、結晶が析出し水洗が実施できないことが判明した。
【0006】
本発明の目的は、上記式(1)で表される化合物を含む溶液を水洗する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上記式(1)で表される化合物を特定の溶媒に溶解させることにより、前記課題が解決可能であることを見出した。具体的には、本発明は以下の発明を含む。
【0008】
[1]
以下式(1):
【0009】
【化2】
で表される化合物を、分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類を含む溶媒に溶解させて上記式(1)で表される化合物を含む溶液を調製し、該溶液に水を添加、混合した後、該溶液から水層を除去する工程を含む、上記式(1)で表される化合物の製造方法。
【0010】
[2]
前記溶液と水とを混合させる温度が70~95℃である、[1]に記載の製造方法。
【0011】
[3]
脂肪族ケトン類が、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、4-オクタノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-メチルシクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノン及び4-メチルシクロヘキサノンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
【0012】
[4]
脂肪族ケトン類の使用量が、以下式(1):
【0013】
【化3】
で表される化合物1重量部に対し4~10重量部であり、水の使用量が、上記式(1)で表される化合物1重量部に対し1~5重量部である、[1]~[3]のいずれか一つに記載の製造方法。
【0014】
[5]
更に、前記溶液から以下式(1):
【0015】
【化4】
で表される化合物の結晶を析出させ、該結晶を分離する工程を含む、[1]~[4]のいずれか一つに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記式(1)で表される化合物を含む溶液を水洗することが可能となり、酸分や無機分等、水に可溶な不純物を低減することができる。また、水洗後、晶析により着色が大幅に低減された上記式(1)で表される化合物を収率良く得ることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に使用可能な分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類としては、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、4-オクタノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-メチルシクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノン又は4-メチルシクロヘキサノン等が例示され、これら脂肪族ケトン類の中でも、経済性の観点から2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、シクロヘキサノン、2-メチルシクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノン又は4-メチルシクロヘキサノンが好ましく、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、メチルイソブチルケトン又はメチルイソアミルケトンがより好ましい。これら脂肪族ケトン類は単独で使用してもよいし、必要に応じ2種以上併用してもよい。また、必要に応じ分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類以外の有機溶媒(以下、他の有機溶媒と称することがある)を併用してもよい。
【0018】
分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類の使用量は、上記式(1)で表される化合物1重量部に対し、通常4~10重量部、経済性の観点から、好ましくは4~8重量部である。他の有機溶媒を併用する場合、かかる有機溶媒の使用量は、分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類1重量部に対し通常0.01~2重量部、好ましくは0.1~1重量部である。
【0019】
本発明の具体的実施方法としては、上記式(1)で表される化合物の結晶に、分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類、水及び必要に応じ塩基を添加し、下記する温度にて上記式(1)で表される化合物を含む溶液(以下、有機層と称することがある)と水(以下、水層と称することがある)とを混合し、混合させた後、有機層から水層を除去することにより実施する方法が例示される。または、無機酸又は有機酸存在下、フルオレノンとo-フェニルフェノールとを反応させ上記式(1)で表される化合物を含む反応液を得、該反応液に、分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類、水及び必要に応じ塩基を添加し、下記する温度で有機層と水層とを混合し、混合させた後、有機層から水層を除去することにより実施する方法が例示される(以下、一連の操作を「水洗」と称することがある)。
【0020】
本発明にて使用する水の量は、上記式(1)で表される化合物1重量部に対し、通常1~5重量部、経済性の観点から、好ましくは1~3重量部である。
【0021】
有機層と水層とを混合させる温度は、通常70℃~有機層(又は水層)の沸点以下、好ましくは70~95℃である。
【0022】
必要に応じ添加する塩基の量は、反応で使用した酸の一部または全部が中和できる量であればよく、反応で使用した酸1当量に対し、通常0.9~2当量、好ましくは1~1.2当量である。また、使用する塩基は無機塩基でも有機塩基でもよく、無機塩基として具体的には、炭酸塩類、炭酸水素塩類、水酸化塩類、有機塩基類等が例示され、より具体的には、炭酸塩類として炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム等が、炭酸水素塩類として炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム等が、水酸化塩類として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が例示される。有機塩基として具体的には、トリエチルアミン、トリフェニルホスフィン等が例示される。これら塩基の中でも、取扱性の良さの観点から、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましい。また、これら塩基は単独で使用してもよいし、必要に応じ2種以上併用してもよい。
【0023】
有機層と水層とを混合させる方法としては、撹拌装置を用いて撹拌する方法、ポンプ等を用いて有機層と水層とを流通させることにより混合させる方法が例示される。
【0024】
有機層から水層を除去する方法としては、有機層と水層とを混合させた後静置することで有機層と水層とを分液させ、水層を除去する方法が例示される。有機層から水層を除去する温度は、通常上記した有機層と水層とを混合させる温度と同温度である。
【0025】
得られた有機層は、必要に応じて複数回水洗を行ってもよく、濃縮により有機層に含まれる有機溶媒(分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類及び必要に応じて使用した他の有機溶媒)の一部または全部を除去してもよく、ろ過・吸着等の精製操作を行ってもよい。また、これら操作を組み合わせて行ってもよい。
【0026】
得られた有機層は、そのまま樹脂の製造や他の化合物との反応に使用してもよいが、一度、有機層から上記式(1)で表される化合物の結晶を析出させ、該結晶をろ別することで上記式(1)で表される化合物を結晶として単離する(以下、晶析と称することがある)方が、該化合物の純度が向上し、また着色が低減されることから好ましい。
【0027】
晶析を実施するにあたり、有機層に含まれる分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類の含量は、有機層に含まれる上記式(1)で表される化合物1重量部に対し、通常4~10重量部、経済性の観点から、好ましくは4~8重量部である。前記範囲と異なる場合、晶析実施前に濃縮、または分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類を新たに添加することにより前記範囲に調整することができる。また、他の有機溶媒が含まれていてもよく、その場合他の有機溶媒の含量は、分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類1重量部に対し、通常0.01~2重量部、好ましくは0.1~1重量部である。
【0028】
上記式(1)で表される化合物の結晶をろ別する温度は、上記式(1)で表される化合物の結晶が析出した温度より、通常5℃以上低い温度、好ましくは10℃以上低い温度である。かかる温度とすることにより、より収率よく上記式(1)で表される化合物を得ることができる。
【0029】
ろ別した結晶は更に、分岐を有してもよい炭素数5~9の脂肪族ケトン類等を用いて洗浄してもよく、必要に応じ乾燥を行ってもよい。また、更に吸着、水蒸気蒸留、再結晶などの通常の精製操作を行ってもよい。
【実施例
【0030】
以下、実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、例中、各種測定は下記の方法で実施した。また、以下実施例及び比較例に記載した各成分の転化率及び純度は下記条件で測定したHPLCの面積百分率値である。
【0031】
(1)HPLC分析
装置 :島津製作所製 LC-2010A、
カラム:SUMIPAX ODS A-211(5μm、4.6mmφ×250mm)、
移動相:純水/アセトニトリル(アセトニトリル30%→100%)、
流量 :1.0ml/min、カラム温度:40℃、検出波長:UV 254nm。
【0032】
(2)YI値
上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶1gを10mlメスフラスコに量り取り、純度99重量%以上のジグライムで定溶後溶解させ、以下の条件で得られたジグライム溶液のYI値(黄色度)を測定した。
装置 :色差計(日本電色工業社製,SE6000)、
使用セル:光路長10mm 石英セル。
なお、測定に使用するジグライム自身の着色が測定値に影響を与えないよう、事前にジグライムの色相を測定して補正した。(ブランク測定)。前記ブランク測定を実施したうえで、サンプルを測定した値を本発明におけるYI値とする。
【0033】
<製造例1>
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、9-フルオレノン160g(0.89mol)、98%硫酸262g、ドデカンチオール8.8g、o-フェニルフェノール907gを加え、80℃まで昇温し、同温度で5時間撹拌後、HPLCにて9-フルオレノンの転化率が99%であることを確認した。得られた上記式(1)で表される化合物を含む反応液は1325gであった。
【0034】
<実施例1>
製造例1で得られた反応液167gに、水192g、水酸化ナトリウム26gを添加し、室温で1時間撹拌した後、メチルイソブチルケトン370gを添加し、85℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌し、静置後、水層を分離した。得られた有機層に水96gを加え、80~85℃で30分撹拌し、静置後、水層を分離した。同じ操作を3回繰り返した後、得られた有機層を濃縮することでメチルイソブチルケトン及びo-フェニルフェノールを除去し、濃縮物を得た。得られた濃縮物にメチルイソブチルケトン400gを添加し、115℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌した後、0.2℃/分で冷却して25℃とした。25℃で結晶をろ別し、得られた結晶を内圧2kPaの減圧下、内温90℃で8時間乾燥させ、上記式(1)で表される化合物の結晶を得た。得られた結晶の重さは45g(収率80%)、純度は99.6%、YI値は0.5であった。
【0035】
<実施例2>
メチルイソブチルケトンを2-ヘプタノンに変更する以外は実施例1と同様に行い、上記式(1)で表される化合物の結晶を得た。得られた結晶の重さは42g(収率75%)、純度は99.5%、YI値は0.6であった。
【0036】
<比較例1>
製造例1で得られた反応液167gにトルエン370g、水192g、水酸化ナトリウム26gを添加し、85℃で10時間撹拌したが、結晶が溶解せず、分液操作を実施することができなかった。
【0037】
<製造例2>
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、9-フルオレノン160g(0.89mol)、35%塩酸902g、ドデカンチオール8.8g、o-フェニルフェノール907gを加え、80℃まで昇温し、同温度で26時間撹拌後、HPLCにて9-フルオレノンの転化率が99%であることを確認した。得られた上記式(1)で表される化合物を含む反応液は1950gであった。
【0038】
<実施例4>
製造例2で得られた反応液247gに水317g、水酸化ナトリウム43gを添加し、室温で1時間撹拌した後、メチルイソブチルケトン370gを添加し、85℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌し、静置後、水層を分離した。得られた有機層に水96gを加え、80~85℃で30分撹拌し、静置後、水層を分離した。同じ操作を3回繰り返した後、得られた有機層を濃縮することでメチルイソブチルケトン及びo-フェニルフェノールを除去し、濃縮物を得た。得られた濃縮物にメチルイソブチルケトン400gを添加し115℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌した後、0.2℃/分で冷却し24℃とした。24℃で結晶をろ別し、得られた結晶を内圧2kPaの減圧下、内温90℃で8時間乾燥させ、上記式(1)で表される化合物の結晶を得た。得られた結晶の重さは41g(収率74%)、純度は99.1%、YI値は0.7であった。
【0039】
<比較例2>
製造例2で得られた反応液に反応液247gにトルエン370g、水317g、水酸化ナトリウム43gを添加し、85℃で10時間撹拌したが、結晶が溶解せず、分液操作を実施することができなかった。
【0040】
<参考例1>
スケールを1/3.5とする以外は特開2003-221352号実施例3に記載される方法と同様の方法により9-フルオレノンとo-フェニルフェノールとを反応させ、上記式(1)で表される化合物を含む反応液を得た。得られた反応液にトルエン86g、水23gを加えたが結晶が溶解せず、結晶を溶解させるため還流温度(内温86℃)まで昇温し10時間撹拌を継続したが、結晶は完溶せず、分液操作を実施することができなかった。