(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/514 20060101AFI20220905BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20220905BHJP
A61F 13/62 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
A61F13/514 310
A61F13/56 211
A61F13/62 120
(21)【出願番号】P 2016069148
(22)【出願日】2016-03-30
【審査請求日】2018-11-09
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 裕喜
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】八木 誠
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-83389(JP,A)
【文献】特開2011-235076(JP,A)
【文献】特開2008-212232(JP,A)
【文献】特開2002-238934(JP,A)
【文献】特開2005-204744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体側に設けられた液透過性のトップシートと、反身体側に設けられた液不透過性のバックシートと、前記トップシートとバックシートの間に設けられた排泄物を吸収する吸収体と、前記バックシートの反身体側に設けられた不織布で形成された外装シートを備えた使い捨ておむつにおいて、
前記外装シートを、外側に位置する第1外装シートと、内側に位置する第2外装シートと、前記第1外装シートと第2外装シートの間に設けられた弾性伸縮部材で形成し、前記弾性伸縮部材を所定の伸長状態で幅方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在させ、
前記外装シートの背側部に、それぞれ幅方向に延出するファスニングテープを設け、前記ファスニングテープの先端部にそれぞれ係止部を設け、
前記使い捨ておむつを装着する場合に、前記弾性伸縮部材の収縮によって第1外装シートの腹側部に幅方向に連続する起伏部が形成され、
平面視において、前記係止部を
前後方向と幅方向に4分割して第1~第4係止部に形成し、
前記前後方向の背側で幅方向の外側に第1係止部を形成し、前記前後方向の背側で幅方向の内側に第2係止部を形成し、前記前後方向の腹側で幅方向の外側に第3係止部を形成し、前記前後方向の腹側で幅方向の内側に第4係止部を形成し、
前記第1係止部には係合突起を前後方向に平行に設け、前記第2係止部には係合突起を前後方向に対して時計方向に45度傾斜して設け、前記第3係止部には係合突起を前後方向に対して反時計方向に45度傾斜して設け、前記第4係止部には係合突起を前後方向に対して直角方向に設け、
前記弾性伸縮部材の伸長率110~180%とし、幅方向の間隔を2~10mmとし、太さを500~1500dtexとしたことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記第1外装シートの多数本の不織布の繊維を前後方向に延在させた請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記弾性伸縮部材を第1外装シートと第2外装シートの前後方向の腹側端部から背側端部に延在させた請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関するものであり、特に、ファスニングテープに設けられた係止部を外装シートの腹部に確実に係止できる使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通気性を向上させるために、装着時にファスニングテープに設けられた係止部を係止するターゲットシートを外装シートの腹部に設けていない使い捨ておむつが普及しつつある。
従来、不織布からなる外装シートにファスニングテープに設けられたフック材からなる係止部を確実に係止するために、係止部の高さを外装シートの厚みに対して所定の割合にする構成が提案されている。(特許文献1)
また、ループ材からなるターゲットシートとファスニングテープに設けられたフック材からなる係止部の係止を容易にするために、ターゲットシートを幅方向に伸縮可能なシートを介して外装シートに固定してターゲットシートに幅方向に連続する起伏を形成する構成が提案されている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2014-540235号公報
【文献】特開2005-185854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、外装シートと係止部の向きによって係止力に大きなバラツキがあり、外装シートと係止部の係止力が小さい場合には、外装シートと係止部の間でズレが発生して、装着者と使い捨ておむつのフィット性が低下するという恐れがあった。
【0005】
また、特許文献2の構成では、使い捨ておむつの通気性が向上せず、幅方向に伸縮可能なシートの収縮力により装着者の腹部が圧迫される恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、通気性を向上させ、且つ装着者に使い捨ておむつを装着させる場合に外装シートの腹部に起伏部を形成してファスニングテープに設けられた係止部を確実に係止することができる使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
請求項1に係る発明は、身体側に設けられた液透過性のトップシートと、反身体側に設けられた液不透過性のバックシートと、前記トップシートとバックシートの間に設けられた排泄物を吸収する吸収体と、前記バックシートの反身体側に設けられた不織布で形成された外装シートを備えた使い捨ておむつにおいて、
前記外装シートを、外側に位置する第1外装シートと、内側に位置する第2外装シートと、前記第1外装シートと第2外装シートの間に設けられた弾性伸縮部材で形成し、前記弾性伸縮部材を所定の伸長状態で幅方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在させ、
前記外装シートの背側部に、それぞれ幅方向に延出するファスニングテープを設け、前記ファスニングテープの先端部にそれぞれ係止部を設け、
前記使い捨ておむつを装着する場合に、前記弾性伸縮部材の収縮によって第1外装シートの腹側部に幅方向に連続する起伏部が形成され、
平面視において、前記係止部を前後方向と幅方向に4分割して第1~第4係止部に形成し、
前記前後方向の背側で幅方向の外側に第1係止部を形成し、前記前後方向の背側で幅方向の内側に第2係止部を形成し、前記前後方向の腹側で幅方向の外側に第3係止部を形成し、前記前後方向の腹側で幅方向の内側に第4係止部を形成し、
前記第1係止部には係合突起を前後方向に平行に設け、前記第2係止部には係合突起を前後方向に対して時計方向に45度傾斜して設け、前記第3係止部には係合突起を前後方向に対して反時計方向に45度傾斜して設け、前記第4係止部には係合突起を前後方向に対して直角方向に設け、
前記弾性伸縮部材の伸長率110~180%とし、幅方向の間隔を2~10mmとし、太さを500~1500dtexとしたことを特徴とする使い捨ておむつである。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記第1外装シートの多数本の不織布の繊維を前後方向に延在させた請求項1記載の使い捨ておむつである。
【0009】
【0010】
【0011】
請求項3に係る発明は、前記弾性伸縮部材を第1外装シートと第2外装シートの前後方向の腹側端部から背側端部に延在させた請求項1又は2記載の使い捨ておむつである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、外装シートを、外側に位置する第1外装シートと、内側に位置する第2外装シートと、第1外装シートと第2外装シートの間に設けられた弾性伸縮部材で形成し、弾性伸縮部材を所定の伸長状態で幅方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在させ、外装シートの背側部に、それぞれ幅方向に延出するファスニングテープを設け、ファスニングテープの先端部にそれぞれ係止部を設け、使い捨ておむつを装着する場合に、弾性伸縮部材の収縮によって第1外装シートの腹側部に幅方向に連続する起伏部が形成され、平面視において、係止部を前後方向と幅方向に4分割して第1~第4係止部に形成し、前後方向の背側で幅方向の外側に第1係止部を形成し、前後方向の背側で幅方向の内側に第2係止部を形成し、前後方向の腹側で幅方向の外側に第3係止部を形成し、前後方向の腹側で幅方向の内側に第4係止部を形成し、第1係止部には係合突起を前後方向に平行に設け、第2係止部には係合突起を前後方向に対して時計方向に45度傾斜して設け、第3係止部には係合突起を前後方向に対して反時計方向に45度傾斜して設け、第4係止部には係合突起を前後方向に対して直角方向に設け、弾性伸縮部材の伸長率110~180%とし、幅方向の間隔を2~10mmとし、太さを500~1500dtexとしたので、第1外装シートの起伏部にファスニングテープの係止部を大きな係止力で確実に係止することができ、また、ターゲットシートを設けていないので通気性に優れる使い捨ておむつを提供することができる。また、第1外装シートの起伏部とファスニングテープの係止部の係止位置、第1外装シートを形成する不織布の繊維の延在方向に係わらず第1外装シートの起伏部とファスニングテープの係止部を確実に係止することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、第1外装シートの多数本の不織布の繊維を前後方向に延在させたので、第1外装シートの起伏部にファスニングテープの係止部をより確実に係止することができる。
【0014】
【0015】
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明による効果に加えて、弾性伸縮部材を第1外装シートと第2外装シートの前後方向の腹側端部から背側端部に延在させたので、使い捨ておむつを装着した場合に、弾性伸縮部材によって吸収体を装着者の股間部に向かって引上げができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】使い捨ておむつを展開した内面平面図である。
【
図2】使い捨ておむつを展開した外面平面図である。
【
図6】第1実施形態の外装シートの(a)は外面平面図であり、(b)はA-Aの拡大断面図である。
【
図7】同実施形態の外装シートと係止部の係止状態の説明図である。
【
図8】第2実施形態の外装シートの(a)は外面平面図であり、(b)はA-Aの拡大断面図である。
【
図9】第3実施形態の外装シートの(a)は外面平面図であり、(b)はA-Aの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<使い捨ておむつ>
本発明の外装シートの腹部にファスニングテープの係止部を係止する起伏部を形成した使い捨ておむつについて添付図面を参照しながら説明する。本明細書においては、「前後方向」とは腹側と背側を結ぶ方向をいい、「幅方向」とは前後方向と直交する方向をいい、「上下方向」とは使い捨ておむつの装着状態において胴回り方向と直交する方向をいい、「内面」とはそれぞれの部材の身体側面をいい、「外面」とは反身体側面をいうものとする。なお、説明に必要なホットメルト等の接着剤を介して固定した固定箇所は斜線やドットを付している。
【0019】
図1,2に示すように、使い捨ておむつ100は、身体側の液透過性のトップシート1と、反身体側の液不透過性のバックシート2と、トップシート1とバックシート2の間に設けられた吸収体3から構成されている。また、バックシート2の外面には、外装シート20が設けられている。
【0020】
吸収体3の幅方向の外側には、排泄物の外部への漏れを防止するために脚周り用の立体ギャザー30がそれぞれ設けられ、立体ギャザー30の基部の外側には、所定の間隔を隔てて排泄物の外部への漏れを防止する脚周り用の平面ギャザー40がそれぞれ設けられている。
【0021】
吸収体3の前後方向の背側には、排泄物の外部への漏れを防止する背側用の立体ギャザー50が設けられ、立体ギャザー50の基部には、排泄物の外部への漏れを防止する背側用の平面ギャザー60が設けられている。
【0022】
吸収体3の前後方向の外側には、吸収体3が延在しないエンドフラップ部EFがそれぞれ設けられ、吸収体3の幅方向の外側には、吸収体3が延在しないサイドフラップ部SFがそれぞれ設けられている。
【0023】
サイドフラップ部SFの背側には、外側に向かって延在するファスニングテープ70がそれぞれ設けられ、ファスニングテープ70の先端部には、それぞれ係止部72が設けられている。
【0024】
(トップシート)
トップシート1は、吸収体3の外周縁よりも外側に延在しており、その延在した部位は、ホットメルト等の接着剤を介してバックシート2の内面に固定されている。
【0025】
トップシート1としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の加工方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。トップシート1に用いる不織布の繊維目付けは15~30g/m2が好ましく、厚みは0.05~1mmが好ましい。
【0026】
(バックシート)
バックシート2は、吸収体3の外周縁よりも外側に延在しており、吸収体3に吸収された排泄物の外部への移動を遮断するものである。
【0027】
バックシート2としては、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。バックシート2の単位面積あたりの重量は13~40g/m2が好ましく、厚みは0.01~0.1mmが好ましい。
【0028】
(吸収体)
吸収体3としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固定等してなるものを用いることができる。吸収体3におけるパルプ目付けは100~500g/m2、厚みは1~15mmが好ましい。また、高吸水性樹脂の目付けは0~300g/m2が好ましく、高吸水性樹脂含有率が少な過ぎると、十分な吸収能を与えることができず、多過ぎるとパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、ヨレや割れ等が発生し易くなる。
【0029】
本実施形態の吸収体3は、一層構造に形成しているが、身体側の上層吸収体と反身体側の下層吸収体の二層構造に形成することもできる。また、本実施形態の吸収体3は平面視において砂時計形状に形成しているが、長方形状等に形成することもでき、高吸収性ポリマーの脱落を防止するために、液透過性のクレープ紙によって吸収体3を包装することもできる。
【0030】
(外装シート)
外装シート20は、バックシート2を覆って使い捨ておむつ100の外面を布のような外観、肌触りとするものである。
【0031】
[第1実施形態の外装シート]
次に、本発明の第1実施形態の外装シート20について説明する。
図6に示すように、第1実施形態の外装シート20は、外側に位置する外装シート(請求項における「第1外装シート」)20Aと、内側に位置する外装シート(請求項における「第2外装シート」)20Bと、外装シート20Aと外装シート20Bの間に設けられた複数の細長状の弾性伸縮部材21から形成されている。弾性伸縮部材21は、外装シート20Aと外装シート20Bの前後方向の腹側の部位に、幅方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在して設けられている。これにより、
図7に示すように、装着者に使い捨ておむつ100を装着する場合には、弾性伸縮部材21の収縮によって外装シート20Aの外面の腹側の部位に幅方向に連続する略波形状の起伏部22が形成され、起伏部22にファスニングテープ70の係止部72を確実に係止することができる。
【0032】
外装シート20A等としては、不織布で形成するのが好ましい。素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法は、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いて製作することができる。但し、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好ましい。
【0033】
外装シート20A等に不織布を用いる場合は、その繊維目付けは10~50g/m2、特に15~30g/m2が好ましい。これにより、使い捨ておむつ100の通気性を向上させることができる。また、外装シート20A等の不織布を形成する多数の繊維が前後方向に延在、すなわち、不織布の製造ライン方向であるMD方向を外装シート20A等の前後方向に一致させて不織布を延在させるのが好ましい。これにより、外装シート20Aの起伏部22の多数の繊維にファスニングテープ70の係止部72が係止して、起伏部22と係止部72が離脱するせん断力を大きくすることができる。
【0034】
弾性伸縮部材21としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、弾性伸縮部材21の間隔は2~110mm程度、特に3~7mm程度が好ましい。さらに、弾性伸縮部材21の太さは500~1500dtex程度、特に800~1300dtex程度が好ましい。
【0035】
また、外装シート20Aと外装シート20Bの間に設けた弾性伸縮部材21の伸長率は110~180%程度、特に140~170%程度が好ましい。伸長率が110%未満の場合は、装着者に使い捨ておむつ100を装着した場合に起伏部22が形成されない恐れがある。一方、伸長率が180%超の場合には、装着者に使い捨ておむつ100を装着した場合に装着者の腹部に過度の押力が加わる恐れがある。なお、本件明細書においては、伸長率[%]は、伸長時の長さ/自然長の長さ・100[%]で算出している。
【0036】
[第2実施形態の外装シート]
次に、本発明の第2実施形態の外装シート20について説明する。なお、第1実施形態の外装シート20と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、第2実施形態の外装シート20は、外側に位置する外装シート20Aと、内側に位置する外装シート20Bと、外装シート20Aと外装シート20Bの間に設けられた複数の細長状の弾性伸縮部材21から形成されている。弾性伸縮部材21は、外装シート20Aと外装シート20Bの前後方向に亘って、幅方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在して設けられている。これにより、第1実施形態の外装シート20と同様に、
図7に示すように、装着者に使い捨ておむつ100を装着する場合には、弾性伸縮部材21の収縮によって外装シート20Aの外面に幅方向に連続する略波形状の起伏部22が形成され、起伏部22にファスニングテープ70の係止部72を確実に係止することができる。つまり、弾性伸縮部材21と隣接する弾性伸縮部材21の収縮量の違い、弾性伸縮部材21と隣接する弾性伸縮部材21の間に配置された外装シート20Aにおける局部的な目付量、繊維の配置方向の違いにより前後方向に延在する弾性伸縮部材21に対して直角方向である幅方向に連続する略波形状の起伏部22が形成される。
【0037】
[第3実施形態の外装シート]
本発明の第3実施形態の外装シート20について説明する。なお、第1実施形態の外装シート20と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
図9に示すように、第3実施形態の外装シート20は、外側に位置する外装シート20Aのみで形成されている。外装シート20Aは、伸縮性を有するバックシート2Aに固定されている。これにより、第1実施形態の外装シート20と同様に、
図7に示すように、装着者に使い捨ておむつ100を装着する場合には、バックシート2Aの収縮によって外装シート20Aの外面に幅方向に連続する略波形状の起伏部22が形成され、起伏部22にファスニングテープ70の係止部72を確実に係止することができる。
【0038】
(脚周り用の立体ギャザー)
図3,4に示すように、脚周り用の立体ギャザー30を形成するギャザーシート31の基部31Aは、トップシート1の内面の幅方向の外側部とバックシート2の内面の幅方向の外側部に前後方向に亘って固定されている。また、ギャザーシート31の起立部31Bの前後方向の両端部は、トップシート1の内面の幅方向の外側部と立体ギャザー50を形成するギャザーシート51の内面の幅方向の外側部に固定され、ギャザーシート31の起立部31Bの前後方向の中間部は、トップシート1の内面とギャザーシート51の内面には固定されておらず離間している。また、起立部31Bには、幅方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する複数の細長状の弾性伸縮部材32が所定の伸長状態で設けられている。これにより、装着者に使い捨ておむつ100を装着した場合には、弾性伸縮部材32の収縮力によって起立部31Bを装着者の股間部に向かって起立させて、起立部31Bの先端部を装着者の股間部に押接させ排泄物の外部への漏れを防止することができる。
【0039】
ギャザーシート31としては、スパンボンド不織布等の不織布の他、バックシート2に用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好ましい。
【0040】
弾性伸縮部材32としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、弾性伸縮部材32の太さは500~1500dtex程度、特に800~1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1~3mm程度、特に0.5~3mm程度)が好ましく、また取り付け時の伸長率は150~250%程度、特に160~200%程度が好ましい。なお、
図1の右斜め上がりの斜線はギャザーシート31の固定箇所を示し、左斜め上がりの斜線はギャザーシート51の固定箇所を示している。
【0041】
(脚周り用の平面ギャザー)
平面ギャザー40は、サイドフラップ部SFにおけるギャザーシート31の基部31Aに対向する部位に設けられている。サイドフラップ部SFを形成するバックシート2と外装シート12の幅方向の外側部には、幅方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する細長状の弾性伸縮部材41が所定の伸長状態で設けられている。これにより、装着者に使い捨ておむつ100を装着した場合には、弾性伸縮部材41の収縮力によって平面ギャザー40が装着者の脚部に押接させ排泄物の外部への漏れを防止することができる。
【0042】
弾性伸縮部材41としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、弾性伸縮部材41の間隔は2~15mm程度、特に3~7mm程度が好ましい。さらに、弾性伸縮部材41の太さは500~1500dtex程度、特に800~1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1~3mm程度、特に0.5~3mm程度)が好ましく、また取り付け時の伸長率は150~250%程度、特に160~200%程度が好ましい。
【0043】
(背側用の立体ギャザー)
図5に示すように、背側用の立体ギャザー50を形成するギャザーシート51の基部51Aは、トップシート1の内面の背側部の幅方向に中間部に固定されている。また、ギャザーシート51の起立部51Bの内面の幅方向の両側部は、トップシート1の内面と対向するギャザーシート31の外面に固定され、ギャザーシート51の起立部51Bの幅方向の中間部には、前後方向に所定の間隔を隔てて幅方向に延在する複数の細長状の弾性伸縮部材52が所定の伸長状態で設けられている。これにより、装着者に使い捨ておむつ100を装着した場合には、弾性伸縮部材52の収縮力によって起立部51Bを装着者の背中に向かって起立させて、起立部51Bの先端部を装着者の背中に押接させ排泄物の外部への漏れを防止することができる。
【0044】
ギャザーシート51は、ギャザーシート31と同様にスパンボンド不織布等の不織布の他、バックシート2に用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好ましい。
【0045】
弾性伸縮部材52としては、弾性伸縮部材32と同様に糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、弾性伸縮部材32の太さは500~1500dtex程度、特に800~1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1~3mm程度、特に0.5~3mm程度)が好ましく、また取り付け時の伸長率は150~250%程度、特に160~200%程度が好ましい。
【0046】
(背側用の平面ギャザー)
平面ギャザー60は、エンドフラップ部EFにおけるギャザーシート51の基部51Aに対向する部位に設けられている。ギャザーシート51の基部51Aには、前後方向に所定の間隔を隔てて幅方向に延在する細長状の弾性伸縮部材61が所定の伸長状態で設けられている。これにより、装着者に使い捨ておむつ100を装着した場合には、弾性伸縮部材61の収縮力によって平面ギャザー60が装着者の背中に押接させ排泄物の外部への漏れを防止することができる。
【0047】
弾性伸縮部材61としては、弾性伸縮部材41と同様に糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、弾性伸縮部材41の間隔は2~15mm程度、特に3~7mm程度が好ましい。さらに、弾性伸縮部材41の太さは500~1500dtex程度、特に800~1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1~3mm程度、特に0.5~3mm程度)が好ましく、また取り付け時の伸長率は150~250%程度、特に160~200%程度が好ましい。なお、本実施形態の弾性伸縮部材61は、ギャザーシート51の基部51Aに設けているが、ギャザーシート51の前後方向の背側に別途シートを設けて弾性伸縮部材61を設けることもできる。
【0048】
(ファスニングテープ)
図1~3に示すように、サイドフラップ部SFの背側部には、それぞれ外側に向かって延在するファスニングテープ70が設けられている。ファスニングテープ70は、基材シート71と、基材シート71の先端部の内面に設けられた係止部72から形成されている。基材シート71の基部73は、外装シート20とギャザーシート31の幅方向の外側部の間に固定され、基材シート71の本体部74の前後方向の中間部には、ミシン目等からなる切断部75が形成されている。
【0049】
基材シート71の素材は、不織布が好ましく、不織布としては公知のものを特に限定無く用いることができる。不織布を構成する繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の製造方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。特にオレフィン系繊維を用いたスパンボンド不織布、SMS不織布が好ましい。使用する不織布の坪量は適宜定めることができるが、本体部5bにおける不織布の総坪量が20~75g/m2、特に26~46g/m2であり、固定部5f及び先端部5pにおける不織布の総坪量がそれぞれ35~130g/m2、特に46~116g/m2であると好ましい。この範囲内であれば、外装シート20とギャザーシート31の間に固定される基部73における強度や剛性を確保でき、且つ本体部74の柔軟性や伸縮性の確保をすることができる。
【0050】
係止部72としては、メカニカルファスナーのフック材が好ましい。フック材は、多数の係合突起78を有する。係合突起78の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。また、フック材に替えて粘着剤層を用いることもできる。
【0051】
また、
図10に示すように、係止部72を4分割して形成して、係止部72Aの係合突起78を前後方向に平行に設け、係止部72Bの係合突起78を前後方向に対して時計方向に45度傾斜して設け、係止部72Cの係合突起78を前後方向に対して反時計方向に45度傾斜して設け、係止部72Dの係合突起78を前後方向に直角に設けたり、
図11に示すように、係止部72に係合突起78の方向をランダムに設けることができる。これにより、外装シート20A等の不織布を形成する繊維が任意の方向に延在した形態や繊維がランダムな方向に延在した形態においても装着者に使い捨ておむつ100を装着する場合には、外装シート20Aの外面にファスニングテープ70の係止部72を確実に係止することができる。
【0052】
本体部74の先端部76の幅方向の長さは、本体部74の長さの50~90%に形成するのが好ましい。これにより、上側ファスニングテープ70Aと下側ファスニングテープ70Bを傾斜させて引伸ばす方向、上側ファスニングテープ70Aと下側ファスニングテープ70Bの係止部74をターゲットシート90に係合するそれぞれの位置の自由度を高くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、テープタイプ使い捨ておむつに利用できるものである。
【符号の説明】
【0054】
1 トップシート
2 バックシート
3 吸収体
20 外装シート
20A 外装シート(第1外装シート)
20B 外装シート(第2外装シート)
21 弾性伸縮部材
22 起伏部
70 ファスニングテープ
72 係止部
78 係合突起