(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】吸収結像計測を用いて眼用レンズの厚さを測定するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/06 20060101AFI20220905BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20220905BHJP
G02C 13/00 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
G01B11/06 H
G02C7/04
G02C13/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017124883
(22)【出願日】2017-06-27
【審査請求日】2020-05-12
(32)【優先日】2016-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エフ・ウィドマン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ダブリュ・サイツ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスミン・ジー・ラフェリエール
(72)【発明者】
【氏名】ディー・スコット・デワルド
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー・ダブリュ・ウォーカー
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0122172(US,A1)
【文献】特開2008-246435(JP,A)
【文献】特表2014-500966(JP,A)
【文献】特表2012-516472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/06
G02C 7/04
G02C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼用レンズの厚さを測定する方法であって、
光吸収成分を有する眼用レンズを用意することと、
凸曲面状の上面を有する成形光学素子を用意することと
前記眼用レンズを通るときに、前記光吸収成分が光の一部を吸収するような
第1の波長を有する
第1の光を前記眼用レンズに通すことと、
前記眼用レンズの形状に対応するピクセル強度データを有するデジタル画像を、前記
第1の光が前記眼用レンズを通った後に、前記
第1の光を送って生成することと、
前記眼用レンズを通る前の前記
第1の光、前記眼用レンズの前記光吸収成分、及び前記ピクセル強度データについての情報を用いて、前記成形光学素子における強度値の全体的な変化及び前記成形光学素子に起因する強度変化に基づき前記強度値を調整し、前記眼用レンズに対する厚さプロファイルを計算することと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記眼用レンズを用意するステップは、
前記成形光学素子の前記凸曲面状の上面の上で前記眼用レンズを形成することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記
第1の波長を有する前記
第1の光に対する光源を用意することと、
前記
第1の光を通すステップの前に、前記
第1の光を生成し、フィルタリングし、拡散することと、を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記成形光学素子の前記凸曲面状の上面を覆う前記眼用レンズに前記
第1の光を送り、前記眼用レンズと前記成形光学素子とに前記
第1の光を通すことを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記デジタル画像を取り込むためのデジタル画像取り込みデバイスを前記成形光学素子の下流に用意することと、
前記成形光学素子と前記デジタル画像取り込みデバイスとの間に、前記デジタル画像取り込みデバイス上に前記
第1の光をフォーカスするための1つ又は2つ以上の光学レンズを用意することと、を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記眼用レンズに、前記第1の
波長とは異なり前記眼用レンズの前記光吸収成分によって吸収されない第2の波長を有する、第2の光を通すことと、
前記第2の光が前記眼用レンズを通った後に、前記第2の光を送って前記眼用レンズに対する、前記第2の光が前記眼用レンズを通るときの屈折効果に起因する強度変化に対応する第2のピクセル強度データを有する第2のデジタル画像を生成することと、
前記光吸収成分に起因する厚さを計算するために用いた第1のピクセル強度データから前記第2のピクセル強度データを分離することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のピクセル強度データは、不均一照明の効果に起因する強度変化を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のピクセル強度データは、前記屈折効果と前記不均一照明の効果との組み合わせの効果に起因する強度変化を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の光を第1の積分球内に配置することと、
前記第2の光を前記第1の積分球から離れた第2の積分球内に配置することと、
前記成形光学素子を、前記第1及び第2の積分球から離れた成形光学素子積分球内に配置することと、を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記眼用レンズは、前記眼用レンズを通る光によって漂白される光開始剤を含み、前記方法は、
前記眼用レンズに前記光開始剤によって吸収され、前記眼用レンズの前記光吸収成分によっては吸収されない第3の波長を有する第3の光を通すことと、
前記第3の光を前記眼用レンズに通した後に、前記第3の光を送って前記眼用レンズに対する、前記光開始剤の漂白の効果に対応する第3のピクセル強度データを有する第3のデジタル画像を生成することと、
前記光吸収成分に起因する厚さを計算するために用いた前記第1のピクセル強度データから前記第3のピクセル強度データを分離することと、を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の光を第1の積分球内に配置することと、
前記第2の光を前記第1の積分球から離間配置された第2の積分球内に配置することと、
前記第3の光を前記第1及び第2の積分球から離間配置された第3の積分球内に配置することと、
前記成形光学素子を前記第1、第2、及び第3の積分球から離間配置された成形光学素子積分球内に配置することと、を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の光は前記光吸収成分と前記光開始剤とによって吸収され、前記第2の光は前記光吸収成分と前記光開始剤とのどちらによっても吸収されず、前記第3の光は前記光開始剤によって吸収され、前記光吸収成分によっては吸収されない、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の光は、約365nmの第1の波長を有する光を生成する第1のLEDであり、前記第2の光は、約455nmの第2の波長を有する光を生成する第2のLEDであり、前記第3の光は、約420nmの第3の波長を有する光を生成する第3のLEDであり、前記方法は、どの時点でも前記第1、第2、及び第3のLEDのうちの1つのみを自動的に作動させるように制御システムをプログラムすることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
眼用レンズの厚さを測定する方法であって、
光吸収成分と光開始剤とを含む眼用レンズを用意することと、
前記光吸収成分と前記光開始剤とによって吸収される第1の波長を有する第1の光を生成する第1のLEDを用意することと、
前記第1の波長とは異なっていて、前記光吸収成分と前記光開始剤とのどちらによっても吸収されない第2の波長を有する第2の光を生成する第2のLEDを用意することと、
前記第1及び第2の波長とは異なっていて、前記光吸収成分によっては吸収されず、前記光開始剤によって吸収される第3の波長を有する第3の光を生成する第3のLEDを用意することと、
異なる時間において、前記第1、第2、及び第3の光を前記眼用レンズに通して、前記眼用レンズ中の屈折効果及び前記光開始剤の存在に起因する光吸収を、前記眼用レンズ中の前記光吸収成分の存在に起因する光吸収から分離して、前記眼用レンズに対する厚さプロファイルを計算することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記第1の光が前記眼用レンズを通った後に、前記第1の光を送って前記眼用レンズに対する、前記眼用レンズの形状に対応する第1のピクセル強度データを有する第1のデジタル画像を生成することと、
前記第2の光が前記眼用レンズを通った後に、前記第2の光を送って前記眼用レンズに対する、前記第2の光が前記眼用レンズを通るときの屈折効果、不均一照明効果、及び前記屈折効果と前記不均一照明効果との組み合わせに起因する強度変化に対応する第2のピクセル強度データを有する第2のデジタル画像を生成することと、
前記第3の光を前記眼用レンズに通した後に、前記第3の光を送って前記眼用レンズに対する、前記光開始剤の漂白の効果に対応する第3のピクセル強度データを有する第3のデジタル画像を生成することと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
中央処理装置を用いて前記第1のピクセル強度データから前記第2のピクセル強度データと前記第3のピクセル強度データとを分離して、前記眼用レンズに対する前記厚さプロファイルを生成することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記眼用レンズに対する前記厚さプロファイルを前記中央処理装置へ送信することと、
前記眼用レンズに対する前記送信された厚さプロファイルを所定の厚さプロファイルと比較することと、
前記送信された厚さプロファイルが前記所定の厚さプロファイルと等しくない場合に、その後に製造される眼用レンズの厚さを調整するための信号を生成することと、を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
眼用レンズに対する前記生成された厚さプロファイルを前記所定の厚さプロファイルと繰り返して比較することによって、その後に製造される眼用レンズに対して反復変更を施すことを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
眼用レンズの厚さを測定するための吸収結像システムであって、
第1の波長を有する第1の光を生成する第1の照明源と、
凸曲面状の上面を有する成形光学素子と、
前記成形光学素子の前記凸曲面状の上面を覆う眼用レンズであって、
前記第1の光が前記眼用レンズと前記成形光学素子とを通るときに前記第1の光の一部を吸収する光吸収成分を含む、眼用レンズと、
前記第1の光が前記眼用レンズと前記成形光学素子とを通った後に前記第1の光の第1のデジタル画像を取り込むための、前記成形光学素子の下流に位置するデジタル画像取り込みデバイスであって、前記第1のデジタル画像は、前記眼用レンズの形状に対応する第1のピクセル強度データを有する、デジタル画像取り込みデバイスと、
前記第1のピクセル強度データと、前記眼用レンズと前記成形光学素子とを通過する前の前記第1の光の強度と、を比較して、前記成形光学素子における強度値の全体的な変化及び前記成形光学素子に起因する強度変化に基づき前記強度値を調整し、前記眼用レンズに対する厚さプロファイルを生成するプログラムを有する中央演算処理装置と、を備える、吸収結像システム。
【請求項20】
前記第1の波長とは異なっていて、前記眼用レンズの前記光吸収成分によって吸収されない第2の波長を有する第2の光を生成する第2の照明源を更に備え、
前記デジタル画像取り込みデバイスは、前記第2の光が前記眼用レンズと前記成形光学素子とを通った後に前記第2の光の第2のデジタル画像を取り込み、
前記第2のデジタル画像は、前記第2の光が前記眼用レンズを通るときの屈折効果と不均一照明効果とに対応する第2のピクセル強度データを有し、
前記中央演算処理装置の前記プログラムは、前記第1のピクセル強度データから前記第2のピクセル強度データを分離して、前記眼用レンズに対する前記厚さプロファイルを生成するようにプログラムされている、請求項19に記載の吸収結像システム。
【請求項21】
前記第2のピクセル強度データは、前記屈折効果と前記不均一照明効果との組み合わせに起因する強度データの変化を更に含む、請求項20に記載の吸収結像システム。
【請求項22】
前記眼用レンズは光開始剤を含み、前記吸収結像システムは、
前記第1及び第2の波長とは異なっていて、前記光開始剤によって吸収され、前記光吸収成分によっては吸収されない第3の波長を有する第3の光を生成する第3の照明源を更に備え、
前記デジタル画像取り込みデバイスは、前記第3の光が前記眼用レンズと前記成形光学素子とを通った後に前記第3の光の第3のデジタル画像を取り込み、
前記第3のデジタル画像は、前記光開始剤の漂白の効果に対応する第3のピクセル強度データを有し、
前記中央演算処理装置の前記プログラムは、前記第1のピクセル強度データから前記第3のピクセル強度データを分離して、前記眼用レンズに対する前記厚さプロファイルを生成する、請求項20に記載の吸収結像システム。
【請求項23】
前記第1の照明源を収容する第1の積分球と、
前記第2の照明源を収容する第2の積分球であって、前記第1の積分球から離間配置された第2の積分球と、
前記第3の照明源を収容する第3の積分球であって、前記第1及び第2の積分球から離間配置された第3の積分球と、
前記成形光学素子と前記眼用レンズとを収容する成形光学素子積分球であって、前記第1、第2、及び第3の積分球から離間配置された成形光学素子積分球と、を更に備える、請求項22に記載の吸収結像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、米国仮出願第62/355,753号(2016年6月28日に出願)の利益を主張するものであり、この文献の開示内容は本明細書において参照により援用される。
【0002】
(発明の分野)
本特許出願は全般的に、眼用レンズを対象にしており、より詳細には、眼用レンズの厚さを決定するためのシステム、デバイス、及び方法を対象にしている。
【背景技術】
【0003】
眼用レンズの厚さの測定を対象にした多くの進歩があった。これらの取り組みは通常、複雑なマルチステーションシステムを用いる必要がある。マルチステーションシステムは、費用がかかり、遅く、極度の位置決め要求を伴う。そのため、これらのシステムは大量生産、及びインライン使用には適していない。
【0004】
例えば、共焦点のキーエンスレーザ変位センサが、レンズ中心厚さを測定するために用いられている。しかし、このアプローチは費用がかかり、センサの光軸に対して部品を精密に位置合わせする必要がある。
【0005】
あるシステムは、計測測定を行なうために位相差技術を用いている。このシステムは波面パワーを測定して、それをレンズの厚さ表面プロファイルに変換している。このシステムは、表面トポロジーの急速な変化(すなわち、大きなパワー変化)を測定することはできず、そのためレンズの光学ゾーン測定のみに限定されている。システムはまた、費用がかかり、別個の中心厚さ測定ステーションを必要とし、比較的遅く(例えば、測定当たり45秒)、精密な位置合わせ及び部品配置を必要とする。
【0006】
別のシステムは、精密な3軸の光学機械表面計を用いてレンズを測定している。このシステムも、費用がかかり、遅く(例えば、測定当たり5分)、レンズの急なトポロジーでのデータ欠落の影響を受けやすく、保守が難しく、インライン使用に適していない。
【0007】
レンズの光学ゾーンパワーを測定するために干渉計ベースのシステムが開発されている。このシステムの限界は、「乾燥」部分の測定を行なうことができず、レンズを測定前は水和させて、測定中は静止した液溜めに十分に浸漬させる必要がある。費用がかかる剛性の環境制御であるため、システムは通常、集中型の品質管理場所の中に見られる。ここでは、試験及び結果の取得用にサンプルを提出するために煩雑な手順が必要となる。その結果、干渉計ベースのシステムはインライン使用には適していない。この干渉計システムにはいくつかのレンズプレゼンテーションの問題もある。また、クローバーシステムが、非円形レンズ及びパッケージ内に傾斜構成又は部分的に渦巻いた構成で置かれたレンズを測定することは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、眼用レンズの厚さを効率的かつ正確に測定し、データを用いて、その後に製造される眼用レンズに対して反復補正及び改善を施すための改善されたシステム及び方法が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態では、吸収結像システムは、結像配置と所定の媒体(例えば、コンタクトレンズ)の既知の吸収特性とを用いて、ピクセル強度からサンプルの表面厚さを決定する。一実施形態では、対象とする媒体は種々の形態の眼用レンズ又はコンタクトレンズであり、これには、限定することなく、カスタムレンズ製造中に見られる成形光学素子上のレンズ前駆体又は最終レンズ、成形型片内に封入された鋳造成形レンズ、単一の金型半分を用いて離型した後の鋳造成形レンズ、及び溶液中の水和した鋳造成形レンズが含まれる。一実施形態では、他のレンズ媒体を利用してもよい。
【0010】
一実施形態では、吸収結像システムが数学的定式化及びシステム較正を用いて、眼用レンズに対する画像強度データを媒体厚さに変換する。一実施形態では、システムは、ピクセル素子(通常はx-y格子で配列されている)を有するデジタル結像デバイスを含んでおり、これによって、個々のピクセル強度値を用いて、被測定物体(例えば、眼用レンズ)に対する厚さ表面プロファイルを生成することが可能になる。結果として得られる厚さ測定値及び/又は全表面プロファイルを反復プロセスの一部として用いて、どのくらい良好に製品がその意図されたデザインにマッチしているかを決定することができる。システムは、厚さ測定フィードバックデータに基づいて、その後のレンズをどのように作製するかを調整してもよい。
【0011】
一実施形態では、吸収結像システムは、媒体が入射放射を吸収するスペクトルの領域を含む、照明源を含んでいる。一実施形態では、照明源は365nm LEDであるが、他の広域帯及び選択的帯域源を利用してもよい。一実施形態では、他の照明源には、370nm LED、375nm LED、キセノンランプ、レーザ、及び他の線スペクトル源が含まれていてもよい。照明源を連続的に又はパルス同期で放射して画像を取り込んでもよい。
【0012】
一実施形態では、吸収結像システムは、結像中に用いる照明スペクトルを更に規定する光学フィルタを含んでいる。一実施形態では、光学フィルタは帯域通過フィルタ、カットオンフィルタ、又はカットオフフィルタであってもよい。使用する実際のフィルタは、使用している特定の照明源、測定しているレンズ媒体、及び厚さデータを測定している媒体の特定のセクションに依存してもよい。
【0013】
一実施形態では、吸収結像システムは、1つ又は2つ以上の拡散部品を含んでおり、この拡散部品は、照明源からの光が一様であることと、生成された光線がレンズ媒体に好適な角度で当たって、結果として生じる画像収集円錐体を満たすこととを確実にする。一実施形態では、照明源、光学フィルタ、及び1つ又は2つ以上の光散光器は、ユニットとして一緒に組み立てられ、このユニットは、一緒に上昇させて及び/又は降下させて、成形光学素子をシステムに装着するか又はそこから取り外すことを可能にし得る。一実施形態では、照明源、光学フィルタ、及び1つ又は2つ以上の光散光器を含むユニットを減衰部品又はバネ懸架式リニアステージに取り付け、これによって、ユニットを持ち上げて運動学的取付台から離れる方向に移動させることが可能になって、成形光学素子を装着すること及び取り外すことが可能になり、そうすることで、ユニットを降下させて成形光学素子上方の所定の位置に戻してもよい。
【0014】
一実施形態では、吸収結像システムは、厚さ測定値を取得している完全に硬化したレンズ又はレンズ前駆体を保持する成形光学素子と、成形光学素子とレンズとをシステムの光軸の近くに配置するために用いる運動学的取付台と、画像を収集及び形成するために用いる一連の光学レンズとを含んでいる。一実施形態では、吸収結像システムは、測定中のレンズサンプルの画像を取り込むカメラ(例えば、デジタルカメラ)を含んでいる。結果として得られる画像では、レンズの厚い領域は暗く現れ、レンズの薄い領域は明るく現れる。
【0015】
レンズによる光の吸収に基づいて強度画像を得るとき、レンズ中の残りの光開始剤による吸光度によって、レンズの厚さの計算に誤差が生じる可能性がある。一実施形態では、吸収結像システムを用いて、眼用レンズ(例えば、コンタクトレンズ)の厚さの測定を、レンズ厚さ、吸収構成成分濃度(例えば、ノルブロック)、及びレンズによる光吸収の間の関係に基づいて行なう。水和の前、レンズ材料には、制御されていない量の光開始剤(例えば、イルガキュア1700)が含まれており、この光開始剤も光を吸収する。2つ又は3つ以上の波長(又は波長帯)を用いることによって、光開始剤が変化する効果を計算を通して取り除くことができる。
【0016】
一実施形態では、吸収結像システムは、前述したものと同じ部品を有し、加えて、異なる波長の光を生成する2つの異なる照明源を収容する積分球も含んでいる。積分球は、中空の球状空洞を含む光学部品であり、球状空洞はその内側が反射コーティング(例えば、拡散白色反射コーティング)で覆われて、入口及び出口ポート用の小さい開口部を有している。その関連する特性は一様な散乱又は拡散効果である。積分球の内面の任意の点に入射する光線は、多重散乱反射によって、全ての他の点に等しく分配される。その結果、光の元方向の効果は最小限になる。積分球は、パワーを保持するが空間情報を破壊する散光器として考えてもよい。それは通常、何らかの光源及び検出器とともに用いて光出力測定を行なう。https://en.wikipedia.org/wiki/Integrating_sphereを参照のこと。
【0017】
一実施形態では、積分球の内部に配置された第1の照明源は、眼用レンズ材料の吸収帯をカバーするUV光を生成するLED光(例えば、365nmの波長を有する光)を含んでいる。これは、前述で開示した吸収結像デバイスにおいて用いるLEDと同様であってもよい。一実施形態では、積分球の内部に配置された第2の照明源は、レンズのスペクトルにおけるノルブロック及び残りの光開始剤に対して「吸収ニュートラル」である帯域をカバーするLED(例えば、青色LED)(例えば、455nmの波長を有する光)を含んでいる。一実施形態では、吸収結像システムは、測定メカニズムが用いる強度画像を収集するために2つのLEDを適切な時間にスイッチオン及びオフする制御エレクトロニクスを含んでいる。吸収結像計測を用いるとき、レンズの表面トポロジーは、レンズの屈折性だけに基づいて光を収集又は分散させるように作用する可能性がある。このことを考慮しないと、アルゴリズムを混乱させて、これらの領域が実際よりも厚いか又は薄いと解釈させる可能性がある。この現象を緩和するために、第1のLED(約365nm)からの画像強度x-y格子を、第2のLED(約455nm)からの画像強度x-y格子に対して、スケール変更するか又はベースラインとする。このようにして、屈折効果に起因する強度データを、吸収効果に起因する厚さを計算するために用いる強度データから取り除く。2つ又は3つ以上の波長又は波長帯を用いることによって、屈折又は「光学混乱」の効果を計算を通して取り除くことができる。
【0018】
一実施形態では、レンズの画像が取り込まれているときに、所定の画像に対して、どの時点でも2つのLEDのうち1つのみを用いる。一実施形態では、吸収結像システムは、スペクトル安定性を確実にするようにLEDの温度制御を維持するために、TEC制御のプレート及びヒートシンクを含んでいる。
【0019】
多くの場合、新たに形成された眼用レンズは、照明源からの光にレンズが露出されると時間とともに漂白する光開始剤材料を含んでいる。一実施形態では、吸収結像システムは、前述したものと同様であり、また光開始剤材料の漂白を考慮した別個の波長を有する光を生成する第3の照明源を含んでいる。一実施形態では、第1の照明源は、ノルブロックと残りの光開始剤とを含む眼用レンズ材料の吸収帯をカバーするUV光を生成する第1のLED光(例えば、365nmの波長を有する光)を含み、第2の照明源は、レンズのスペクトル内のノルブロックと残りの光開始剤とに対して「吸収ニュートラル」である帯域をカバーする第2のLED(例えば、455nmの波長を有する光)を含み、第3の照明源は、光開始剤に対してのみ大きく吸収されて光開始剤の漂白からの効果を分離する(そのため、眼用レンズを通る照明の強度を計算するときに漂白効果を考慮してもよい)光を生成する第3のLEDを含んでいる。一実施形態では、第3の照明源は約420nmの波長を有する光を生成する。一実施形態では、吸収結像システムは、眼用レンズの厚さの計算に用いる画像を収集するために3つのLEDを適切な時間にスイッチオン及びオフする制御エレクトロニクスを含んでいる。一実施形態では、レンズの画像が取り込まれているときに、画像を取り込むために、どの時点でも3つのLEDのうち1つのみを用いる。3つ又は4つ以上の波長帯を用いることによって、「光学混乱」の効果及び光開始剤が変化する効果を計算を通して取り除くことができる。
【0020】
一実施形態では、吸収結像システムは、成形光学素子積分球内に光を送る3つのLED積分球を含んでいてもよい。一実施形態では、第1のLED積分球は、眼用レンズの吸収帯をカバーするUV光を生成する第1の照明源を含み、第2のLED積分球は、眼用レンズの「吸収ニュートラル」帯域をカバーする可視光線を生成する第2の照明源を含み、第3のLED積分球は、レンズ中に存在する光開始剤材料の漂白に起因する効果を分離する第3の照明源を含む。吸収結像システムは、式及び数学を用いて光出力の効果及び漂白効果を取り除いて、レンズ材料の吸収特性に起因する強度変化だけに基づいてレンズ厚さをより正確に計算する。
【0021】
一実施形態では、吸収結像システムを用いて、レンズ又はレンズ前駆体の正確な中心厚さ(CT)表現を±数マイクロメートル以内で抽出する場合がある。
【0022】
一実施形態では、吸収結像システムを用いて完全なレンズ表面厚さプロファイルを抽出してもよい。
【0023】
一実施形態では、吸収結像システムを用いて、光学ゾーン厚さプロファイルの精密な測定を得て、1)カスタムレンズ「反復」収束プロセスと、2)「意図するデザイン目標に対して構築されたレンズ」公開基準とを支持してもよい。
【0024】
一実施形態では、吸収結像システムは、システムの重要部品及び光軸に対するサンプル位置合わせに対して不変であり、これは従来のシステム及び技術と比べて劇的な改善である。例えば、厚さ測定に対して用いている従来のシステムは、部分位置合わせ公差がx-y方向におよそ±1μmである。一実施形態では、本明細書で開示する吸収結像システムは、画像のオーバーフィルサイズ又は画像中の周囲のバックグラウンドの量によって境界される限界がある(およそ±1000μm)。一実施形態では、他の要因(例えば、部分変位を伴うシステムのフォーカスロールオフ)によって、より小さい公差限界(およそ40~100μm)が課される場合がある。
【0025】
一実施形態では、技術の結像性質のために、サンプルレンズの中心が、中心又は光軸からの部分変位とは関係なく抽出され得、これは別の著しい利益である。
【0026】
一実施形態では、眼用レンズの厚さを測定する方法は、光吸収成分を有する眼用レンズを用意することと、ある波長を有する光を眼用レンズに通すことであって、そうすることで、光が眼用レンズを通るときに光吸収成分が光の一部を吸収する、通すことと、光が眼用レンズを通った後に、光を送って眼用レンズに対するデジタル画像を生成することであって、デジタル画像は、眼用レンズの形状に対応するピクセル強度データを有する、生成することと、を含んでいる。本方法は、眼用レンズを通る前の光、眼用レンズの光吸収成分、及びピクセル強度データについての情報を用いて、眼用レンズに対する厚さプロファイルを計算することを含んでいる。
【0027】
一実施形態では、眼用レンズを用意するステップは、凸曲面状の上面を有する成形光学素子を用意することと、成形光学素子の凸曲面状の上面上に眼用レンズを形成することと、を含んでいる。
【0028】
一実施形態では、本方法は、波長を有する光に対する光源を用意することと、光を通すステップの前に、光を生成し、フィルタリングし、拡散することと、を含んでいる。
【0029】
一実施形態では、本方法は、成形光学素子の凸曲面状の上面を覆う眼用レンズに光を送り、眼用レンズと成形光学素子とに光を通すことを含んでいる。
【0030】
一実施形態では、本方法は、デジタル画像を取り込むためのデジタル画像取り込みデバイスを成形光学素子の下流に用意することと、成形光学素子とデジタル画像取り込みデバイスとの間に、デジタル画像取り込みデバイス上に光をフォーカスするための1つ又は2つ以上の光学レンズを用意することと、を含んでいる。
【0031】
一実施形態では、眼用レンズの厚さを測定する方法が、眼用レンズに第2の光を通すことであって、第2の光は、第1の光とは異なり眼用レンズの光吸収成分によって吸収されない第2の波長を有する、通すことを含んでいる。一実施形態では、第2の光が眼用レンズを通った後に、第2の光を送って眼用レンズに対する第2のデジタル画像を生成し、第2のデジタル画像は、前記第2の光が眼用レンズを通るときの屈折効果に起因する強度変化に対応する第2のピクセル強度データを有し、また光吸収成分に起因する厚さを計算するために用いた第1のピクセル強度データから第2のピクセル強度データを分離する。
【0032】
一実施形態では、方法が、第1の光を第1の積分球内に配置することと、第2の光を第1の積分球から離れた第2の積分球内に配置することと、成形光学素子を第1及び第2の積分球から離れた成形光学素子積分球内に配置することと、を含んでいる。
【0033】
一実施形態では、眼用レンズは、眼用レンズを通る光によって漂白される光開始剤を含んでいる。一実施形態では、本方法は、光開始剤によって吸収され、眼用レンズを通る眼用レンズの光吸収成分によっては吸収されない第3の波長を有する第3の光を通すことと、第3の光を眼用レンズに通した後で、第3の光を送って眼用レンズに対する第3のデジタル画像を生成することであって、第3のデジタル画像は、光開始剤の漂白の効果に対応する第3のピクセル強度データを有する、生成することと、第3のピクセル強度データを用いて、光吸収成分に起因する厚さを計算するために用いた第1のピクセル強度データから光開始剤の漂白の効果を分離することと、を含んでいる。
【0034】
一実施形態では、本方法は、第1の光を第1の積分球内に配置することと、第2の光を第1の積分球から離間配置された第2の積分球内に配置することと、第3の光を第1及び第2の積分球から離間配置された第3の積分球内に配置することと、成形光学素子を、第1、第2、及び第3の積分球から離間配置された成形光学素子積分球内に配置することと、を含んでいる。
【0035】
一実施形態では、第1の光は光吸収成分と光開始剤とによって吸収され、第2の光は光吸収成分と光開始剤とのどちらによっても吸収されず、第3の光は光開始剤によって吸収され、光吸収成分によっては吸収されない。
【0036】
一実施形態では、第1の光は、約365nmの第1の波長を有する光を生成する第1のLEDであり、第2の光は、約455nmの第2の波長を有する光を生成する第2のLEDであり、第3の光は、約420nmの第3の波長を有する光を生成する第3のLEDである。
【0037】
一実施形態では、本方法は、どの時点でも第1、第2、及び第3のLEDのうちの1つのみを自動的に作動させるように制御システムをプログラムすることを含んでいる。
【0038】
一実施形態では、眼用レンズの厚さを測定する方法が、光吸収成分と屈折素子と光開始剤とを有する眼用レンズを用意することと、光吸収成分と光開始剤とによって吸収される第1の波長を有する第1の光を生成する第1のLEDを用意することと、第1の波長とは異なっていて、光吸収成分と光開始剤とのどちらによっても吸収されない第2の波長を有する第2の光を生成する第2のLEDを用意することと、第1及び第2の波長とは異なっていて、光吸収成分によっては吸収されず、光開始剤によっては吸収される第3の波長を有する第3の光を生成する第3のLEDを用意することと、を含んでいる。
【0039】
一実施形態では、本方法は、異なる時間において、第1、第2、及び第3の光を眼用レンズに通して、眼用レンズ中の屈折効果及び光開始剤の存在に起因する光吸収を、眼用レンズ中の光吸収成分の存在に起因する光吸収から分離して、眼用レンズに対する厚さプロファイルを計算することを含んでいる。
【0040】
一実施形態では、第1の光が眼用レンズを通った後に、第1の光を送って眼用レンズに対する第1のデジタル画像を生成し、第1のデジタル画像は、眼用レンズの形状に対応する第1のピクセル強度データを有している。
【0041】
一実施形態では、第2の光が眼用レンズを通った後に、第2の光を送って眼用レンズに対する第2のデジタル画像を生成し、第2のデジタル画像は、第2の光が眼用レンズを通るときの屈折効果に対応する第2のピクセル強度データを有する。
【0042】
一実施形態では、第3の光を眼用レンズに通した後に、第3の光を送って眼用レンズに対する第3のデジタル画像を生成し、第3のデジタル画像は、光開始剤の漂白の効果に対応する第3のピクセル強度データを有している。
【0043】
一実施形態では、方法が、中央処理装置を用いて第1のピクセル強度データから第2のピクセル強度データと第3のピクセル強度データとを分離して、眼用レンズに対する厚さプロファイルを生成することを含んでいる。
【0044】
一実施形態では、方法が、眼用レンズに対する厚さプロファイルを中央処理装置へ送信することと、眼用レンズに対する送信された厚さプロファイルを所定の厚さプロファイルと比較することと、送信された厚さプロファイルが所定の厚さプロファイルと等しくない場合に、その後に製造される眼用レンズの厚さを調整するための信号を生成することと、を含んでいる。
【0045】
一実施形態では、方法が、眼用レンズに対する生成された厚さプロファイルを所定の厚さプロファイルと繰り返して比較することによって、その後に製造される眼用レンズに対して反復変更を施すことを含んでいる。
【0046】
一実施形態では、眼用レンズの厚さを測定するための吸収結像システムが、第1の波長を有する第1の光を生成する照明源と、凸曲面状の上面を有する成形光学素子と、成形光学素子の凸曲面状の上面を覆う眼用レンズであって、第1の光が眼用レンズと成形光学素子とを通るときに第1の光の一部を吸収する光吸収成分を含む眼用レンズと、を含んでいる。
【0047】
一実施形態では、システムは、第1の光が眼用レンズと成形光学素子とを通った後に第1の光の第1のデジタル画像を取り込むための、成形光学素子の下流に位置するデジタル画像取り込みデバイスを含んでいる。一実施形態では、第1のデジタル画像は、眼用レンズの形状に対応する第1のピクセル強度データを有している。
【0048】
一実施形態では、システムは、第1の光を眼用レンズと成形光学素子とに通す前に、第1のピクセル強度データを第1の光の強度と比較して、眼用レンズに対する厚さプロファイルを生成するプログラムを有する中央演算処理装置を含んでいる。
【0049】
一実施形態では、システムが、第1の波長とは異なっていて、眼用レンズの光吸収成分によって吸収されない第2の波長を有する第2の光を生成する第2の照明源を含んでいる。
【0050】
一実施形態では、デジタル画像取り込みデバイスは、第2の光が眼用レンズと成形光学素子とを通った後に第2の光の第2のデジタル画像を取り込み、それによって、第2のデジタル画像は、前記第2の光が眼用レンズを通るときの屈折効果の存在に起因する強度変化に対応する第2のピクセル強度データを有する。
【0051】
一実施形態では、中央演算処理装置のプログラムは第1のピクセル強度データから第2のピクセル強度データを分離して、眼用レンズに対する厚さプロファイルを生成する。
【0052】
一実施形態では、眼用レンズには光開始剤が含まれている。
【0053】
一実施形態では、システムは、第1及び第2の波長とは異なっていて、光開始剤によって吸収され、光吸収成分によっては吸収されない第3の波長を有する第3の光を生成する第3の照明源を有している。
【0054】
一実施形態では、デジタル画像取り込みデバイスは、第3の光が眼用レンズと成形光学素子とを通った後に第3の光の第3のデジタル画像を取り込み、それによって、第3のデジタル画像は、光開始剤の漂白の効果に対応する第3のピクセル強度データを有している。
【0055】
一実施形態では、中央演算処理装置のプログラムは、第1のピクセル強度データから第3のピクセル強度データを分離して、眼用レンズに対する厚さプロファイルを生成する。
【0056】
一実施形態では、システムは、第1の照明源を収容する第1の積分球と、第2の照明源を収容する第2の積分球であって、第1の積分球から離間配置された第2の積分球と、第3の照明源を収容する第3の積分球であって、第1及び第2の積分球から離間配置された第3の積分球と、成形光学素子と眼用レンズとを収容する成形光学素子積分球であって、第1、第2、及び第3の積分球から離間配置された成形光学素子積分球と、を含んでいる。
【0057】
眼用レンズを通る光に対する強度データを収集するとき、「光学混乱」がいくつかの効果に起因して生じる場合がある。一実施形態では、これらの効果は、1)高周波表面特徴が光を屈折させて光学システムの開口部に入れ、アルゴリズムをだまして強度減衰した厚さであると解釈させる場合があること、及び2)非ランバーティアン光(すなわち、眼用レンズを通る光が全ての角度において同じ強度を有するわけではない)が、その角度の強度に基づいてレンズとシステム開口部とに選択的に入り、アルゴリズムをだまして、強度減衰した厚さであると解釈させる場合があることである。一実施形態では、積分球照明を用いることによって、ランバーティアン光特性が高まる(すなわち、一様な光)。
【0058】
一実施形態では、眼用レンズの厚さプロファイルを決定するための吸収結像システムは、光が眼用レンズを通るときの屈折効果に起因して生じ得る強度読み取り値の誤差を補償するようにプログラムされた制御システムを含んでいる。本明細書で使用される場合、専門用語「屈折効果」は、レンズ表面プロファイル特徴が光線を屈折させて、システム開口部に入ることが意図されていないレンズ表面箇所からシステム開口部に入れることを意味する。
【0059】
完全なランバーティアン光が好ましいため、全ての角度における全ての光線が同じ強度を有している。レンズ表面及びシステム開口部に第1のレンズ表面箇所及び角度で入る第1の光線の強度が、レンズ表面及びシステム開口部に第2のレンズ表面箇所及び角度で入る第2の光線とは異なるときに、不均一照明が生じる。不均一光の存在によって、レンズ厚さを測定するために収集した強度データに欠陥が導入される場合がある。不均一及び/又は非ランバーティアン光の場合を補償するために、一実施形態では、眼用レンズの厚さプロファイルを決定するための吸収結像システムは、眼用レンズを通る不均一照明又は非ランバーティアン光に起因して生じ得る強度読み取り値の誤差を補償するようにプログラムされた制御システムを含んでいる。一実施形態では、システムコントローラは、眼用レンズを通る不均一光に起因して生じ得る誤差を取り除くように計算を行なう。
【0060】
場合によっては、屈折効果と不均一照明との組み合わせによって、強度読み取り値に更にまた誤差が発生する場合がある。これらの更なる誤差は、前述したもの(屈折効果と非ランバーティアン光に起因する)に加えて生じる。一実施形態では、吸収結像システムは、屈折効果と不均一照明との両方の組み合わせに起因する強度読み取り値の誤差を補償するようにプログラムされた制御システムを有している。
【0061】
一実施形態では、眼用レンズの厚さプロファイルを決定するための吸収結像システムは、1)屈折効果、2)不均一照明効果、3)屈折効果と不均一照明効果との組み合わせに起因する強度読み取り値の誤差を補償するようにプログラムされた制御システムを含んでいる。
【0062】
眼用レンズの厚さを決定するための吸収結像システムのこれら及び他の好ましい実施形態について、以下で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1-1】
図1A~Dは、反応性モノマー混合物と成形光学素子とを用いて眼用レンズを形成する方法を示す図である。
【
図1-2】
図1Eは、反応性モノマー混合物と成形光学素子とを用いて眼用レンズを形成する方法を示す図である。
【
図1-3】
図1F~Iは、反応性モノマー混合物と成形光学素子とを用いて眼用レンズを形成する方法を示す図である。
【
図1-4】
図1J~Kは、反応性モノマー混合物と成形光学素子とを用いて眼用レンズを形成する方法を示す図である。
【
図1-5】
図1Lは、本発明の一実施形態により、吸収結像システムを用いて、成形光学素子上に配置された眼用レンズの厚さを決定する方法を示す図である。
【
図1-6】
図1Mは、本発明の一実施形態により、吸収結像システムを用いて、成形光学素子上に配置された眼用レンズの厚さを決定する方法を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による単一の照明源を有する吸収結像システムの斜視図である。
【
図3A】
図2に示す吸収結像システムの断面及び分解図である。
【
図3B】
図2に示す吸収結像システムの断面及び分解図である。
【
図3C】
図2に示す吸収結像システムの断面及び分解図である。
【
図4】本発明の一実施形態による吸収結像システムの散乱要素、成形光学素子、及び結像光学素子を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、照明によって作成された成形光学素子の表面に渡る主入射角及び円錐角と結像光学素子デザインとを示す図である。
【
図6A】本発明の一実施形態による眼用レンズの吸収画像を示す図である。
【
図6B】本発明の一実施形態による、
図6Aのセクション6B-6Bに渡る厚さプロファイルを画像強度に基づいて示す図であり、暗い強度ほど大きな厚さを表す。
【
図7】本発明の別の実施形態による眼用レンズの厚さを測定するための吸収結像システムを示す図である。
【
図8A】本発明の別の実施形態による眼用レンズの厚さを測定するための吸収結像システムを示す図である。
【
図8B】本発明の別の実施形態による眼用レンズの厚さを測定するための吸収結像システムを示す図である。
【
図9】本発明の更に別の実施形態による眼用レンズの厚さを測定するための吸収結像システムを示す図である。
【
図10A】本発明の更に別の実施形態による眼用レンズの厚さを測定するための吸収結像システムを示す図である。
【
図10B】本発明の更に別の実施形態による眼用レンズの厚さを測定するための吸収結像システムを示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態による、成形光学素子を収容するように適応された吸収結像システム用の運動学的取付台を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態による、成形光学素子を収容するように適応された吸収結像システム用の運動学的取付台を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態による、重要な光学部品が光軸と物理的に位置合わせしてある第1のケースと、重要な光学部品が光軸と物理的に位置合わせしていない第2のケースとを含む、吸収結像システムを示す図である。
【
図14】単一のスペクトル帯域を有する単一の照明源を用いて形成された強度ベース画像から眼用レンズに対する厚さ情報を抽出するために用いるプロセスステップを示すフローチャートである。
【
図15】本発明の一実施形態により光入射角厚さを軸方向厚さに変換するために用いる方法及び数学を示す図である。
【
図16A】本発明の一実施形態による、眼用レンズの吸収帯をカバーする第1の波長を有する光を生成する第1の光源と、レンズのスペクトルにおいて吸収ニュートラルである第2の波長を有する光を生成する第2の光源とを含む、2つの照明源を有する吸収結像システムを示す図である。
【
図16B】本発明の一実施形態による、眼用レンズの吸収帯をカバーする第1の波長を有する光を生成する第1の光源と、レンズのスペクトルにおいて吸収ニュートラルである第2の波長を有する光を生成する第2の光源とを含む、2つの照明源を有する吸収結像システムを示す図である。
【
図16C】本発明の一実施形態による、眼用レンズの吸収帯をカバーする第1の波長を有する光を生成する第1の光源と、レンズのスペクトルにおいて吸収ニュートラルである第2の波長を有する光を生成する第2の光源とを含む、2つの照明源を有する吸収結像システムを示す図である。
【
図17】
図16A~16Cに示す吸収結像システムの上端に設けられた積分球及び冷却板を示す図である。
【
図18A】
図17に示す吸収結像システムのための冷却板を示す図である。
【
図18B】
図17に示す吸収結像システムのための冷却板を示す図である。
【
図19】本発明の一実施形態による吸収結像システムの積分球の断面図である。
【
図20】本発明の一実施形態による、光学的効果及び吸収効果から画像強度を分離するために用いる吸収及び非吸収帯をプロットするグラフである。
【
図21A】吸収帯を有する光を用いた眼用レンズの画像である。
【
図21B】非吸収帯を有する光を用いた眼用レンズの画像である。
【
図22】本発明の一実施形態により、吸収ニュートラル吸収スペクトルの二重の帯域を用いた強度ベース画像から厚さ情報を抽出するために用いるプロセスステップを示すフローチャートである。
【
図23】未硬化の反応性モノマー混合物の吸光度がノルブロック及びイルガキュア1700の吸光度の合計であることを示すグラフである。
【
図24】種々の光開始剤濃度レベルにおける吸光度を示すグラフである。
【
図25】種々の光開始剤濃度レベルに対する375nmにおける単色吸光度を示すグラフである。
【
図26】種々の光開始剤濃度レベルに対する405nmにおける単色吸光度を示すグラフである。
【
図27】光開始剤の効果が取り除かれた補正された吸光度を示すグラフである。
【
図28】吸光度が厚さ及び濃度とともに変化することを示すグラフである。
【
図29】365nm LED範囲における非平坦な反応性モノマー混合物吸光度を示すグラフである。
【
図30】365nm LED範囲における非平坦なスペクトル吸光度対光開始剤濃度によって生じる曲がりを示すグラフである。
【
図31】420nm LED照明領域における吸光度対光開始剤濃度を示すグラフである。
【
図32】光開始剤の効果が取り除かれた補正された吸光度レベルを示すグラフである。
【
図33】本発明の一実施形態による、バッフルを用いないレンズ画像の放射照度を示す図である。
【
図34】本発明の一実施形態による、バッフルを用いたときのレンズ画像の放射照度を示す図である。
【
図35】本発明の一実施形態による、吸収結像システムの積分球内で内部反射されている光線を示す図である。
【
図36A】本発明の一実施形態による、成形光学素子の凸曲面を照明するために積分球内で内部反射されている光線を示す図である。
【
図37】本発明の一実施形態による吸収結像システムに対する温度コントローラを示す図である。
【
図38】本発明の一実施形態による吸収結像システムに対する制御システムを示す図である。
【
図39】本発明の一実施形態により、LED球体と成形光学素子球体とを含む眼用レンズの厚さを測定するための吸収結像システムを示す図である。
【
図40】本発明の一実施形態により、LED球体と成形光学素子球体とを含む眼用レンズの厚さを測定するための吸収結像システムを示す図である。
【
図41】本発明の一実施形態により、LED球体と成形光学素子球体とを含む眼用レンズの厚さを測定するための吸収結像システムを示す図である。
【
図42】本発明の一実施形態による、
図39のLED球体と成形光学素子球体とを含むユニットを持ち上げる及び降下させるためのサブアセンブリを示す図である。
【
図43】本発明の一実施形態による成形光学素子に対する運動学的取付台を示す図である。
【
図44】本発明の一実施形態による成形光学素子に対する運動学的取付台を示す図である。
【
図45A】本発明の一実施形態による成形光学素子に対する運動学的取付台を示す図である。
【
図45B】本発明の一実施形態による成形光学素子に対する運動学的取付台を示す図である。
【
図46】本発明の一実施形態による成形光学素子に対する運動学的取付台を示す図である。
【
図47】本発明の実施形態による、
図39に示す吸収結像システムのカメラとの位置合わせに挿入されてそこから引き出される二位置アクチュエータとスイングアームとを示す図である。
【
図48A】本発明の実施形態による、
図39に示す吸収結像システムのカメラとの位置合わせに挿入されてそこから引き出される二位置アクチュエータとスイングアームとを示す図である。
【
図48B】本発明の実施形態による、
図39に示す吸収結像システムのカメラとの位置合わせに挿入されてそこから引き出される二位置アクチュエータとスイングアームとを示す図である。
【
図49】本発明の一実施形態による2つのLED積分球と成形光学素子積分球とを有する吸収結像システムを示す図である。
【
図50】本発明の一実施形態による3つのLED積分球と成形光学素子積分球とを有する吸収結像システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
明細書では、以下の定義が適用される種々の用語を用いる場合がある。
【0065】
「化学線」は、本明細書で使用される場合、化学反応を開始することができる放射線を指す。
【0066】
「弓状の」は、本明細書で使用される場合、弓のような曲線又は屈曲を指す。
【0067】
本明細書では「ベールの法則」と称され、しばしば「ベールランバートの法則」と称されるのは、I(x)/I0=exp(-αcx)である。式中、I(x)は照射表面からの距離xの関数としての強度であり、I0は表面における入射強度であり、αは吸収部品の吸収係数であり、cは吸収部品の濃度である。
【0068】
「コリメートする」は、本明細書で使用される場合、放射(例えば入力として放射を受け取る装置から出力として進む光)の円錐角を限定することを意味する。いくつかの実施形態では、円錐角は、進行する光線が平行であるように限定してもよい。したがって、「コリメータ」には、このような機能を行なう装置が含まれ、「コリメートされる」とは、放射に対する効果を説明する。
【0069】
「DMD」が本明細書で使用される場合、デジタルマイクロミラーデバイスは、CMOS SRAMの全体に機能的に実装された、移動可能なマイクロミラーのアレイからなる双安定空間光変調器である。それぞれのミラーは、反射光を誘導するために、ミラーの下のメモリセルにデータを読み込むことによって独立して制御され、ビデオデータのピクセルをディスプレイ上のピクセルに空間的にマッピングする。データは、ミラーの傾斜角を2値形式で静電的に制御する。ここで、ミラー状態は+X度(オン)又は-X度(オフ)のいずれかである。現在のデバイスは、Xを、10度又は12度(公称)のいずれかにすることができる。オンのミラーによって反射される光は、次いで投影レンズを通過してスクリーン上に当たる。光は、反射されて暗視野を形成し、画像の黒レベルフロアを画定する。画像は、観測者によって統合されるのに十分な速い速度でのオンレベルとオフレベルとの間のグレースケール変調によって形成される。一実施形態では、DMDはTexas InstrumentsのDLP(商標)(デジタルライトプロセッサ)である。これは、市販のDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)に対する商標名である。
【0070】
「DMDスクリプト」は、本明細書で使用される場合、空間光変調器のための制御プロトコル、及びまた、例えば、光源又はフィルタホイール(これらのいずれかは時系列のコマンドシーケンスを含んでもよい)等の、任意のシステム部品の制御信号を指すものとする。頭文字DMDの使用は、この用語の使用を空間光変調器のいずれか1つの特定種類又は寸法に限定することを意図しない。
【0071】
「エタフィルコン」は、本明細書で使用される場合、反応性混合物として用いてもよい典型的な材料を指し、典型的な材料は、おおよそ、約95% HEMA(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、1.97% MAA(メタクリル酸)、0.78% EGDMA(エチレングリコールジメタクリレート)、0.10% TMPTMA(トリメチロールプロパントリメタクリレート)-架橋剤、約1% NORBLOC 7966(ベンゾトリアゾールタイプUV遮断剤)、並びに約1%光開始剤CGI 1700及び希釈剤-BAGE(グリセロールのホウ酸エステル)(米国特許第4,495,313号)を、反応性成分:希釈剤比52:48で含むことができる。
【0072】
「固定化放射線」は、本明細書で使用される場合、レンズ前駆体又はレンズを構成する本質的に全ての反応性混合物の重合及び架橋のうちの1つ又は2つ以上に十分な化学線を指す。
【0073】
「流動性レンズ反応性媒体」は、本明細書で使用される場合、天然の形態、反応した形態、又は部分的に反応した形態のいずれかで流動性であり、更なる処理を受けて眼用レンズの一部へと形成される、反応性混合物を意味する。
【0074】
「自由形成」が本明細書で使用される場合、「自由形成された」又は「自由形成」は、反応性混合物の架橋結合によって形成され、鋳造成形型によっては成形されていない表面を指す。
【0075】
「ゲル化点」は、本明細書で使用される場合、ゲル又は不溶性画分が最初に観測される点を指すものとする。ゲル化点は、液体重合混合物が固体となる、変換の程度である。ゲル点は、ソックスレー実験を用いて決定することができる。すなわち、ポリマー反応を異なる時点で停止させて、結果として得られるポリマーを分析して、残存する不溶性ポリマーの重量分率を決定する。データは、ゲルが存在しない点まで外挿することができる。ゲルが存在しないこの点が、ゲル化点である。ゲル化点はまた、反応中の反応混合物の粘度を分析することによって決定され得る。粘度は、反応混合物がプレート間にある状態で、平行プレートレオメーターを使用して測定することができる。少なくとも1つのプレートは、重合に使用される波長の放射線に対して透明でなければならない。粘度が無限大に到達する点が、ゲル化点である。ゲル化点は、所与のポリマー系及び指定の反応条件について同じ変換度で生じる。
【0076】
「レンズ」が本明細書で使用される場合、「レンズ」は、眼内又は眼上にある、任意の眼用デバイスを指す。これらのデバイスは、光学補正を提供することができるか又は美容用であってもよい。例えば、レンズという用語は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼球インサート、光学インサート、あるいはそれによって視力が矯正若しくは改善されるか又はそれによって眼の生理学的特性が視力を妨げることなく美容的に強調される(例えば、虹彩の色)ような他の同様のデバイスのことを指し得る。一部の実施形態では、本発明の好ましいレンズは、シリコーンエラストマー又はヒドロゲル(例えば、これらに限定されないが、シリコーンハイドロゲル、及びフルオロヒドロゲル)から作製されるソフトコンタクトレンズである。
【0077】
「レンズ前駆体」は、本明細書で使用される場合、レンズ前駆体形態及びレンズ前駆体形態と接触する流動性レンズ反応性混合物からなる複合物体を意味する。例えば、いくつかの実施形態では、流動性レンズ反応性媒体は、反応性混合物の体積内でレンズ前駆体形態を作り出す過程で形成される。レンズ前駆体形態と付着した流動性レンズ反応性媒体とを、レンズ前駆体形態を作り出すために用いた反応性混合物の体積から分離することによって、レンズ前駆体を生成することができる。更に、レンズ前駆体を異なる実体に変換することが、著しい量の流動性レンズ反応性混合物を取り除くこと、又は著しい量の流動性レンズ反応性媒体を非流動性の組み込み材料に変換することのいずれかによって可能である。
【0078】
「レンズ前駆体形態」は、本明細書で使用される場合、眼用レンズへの更なる処理を受けて組み込まれるものと一致する、少なくとも1つの光学品質表面を有する、非流動性物体を意味する。
【0079】
「レンズ形成混合物」が本明細書で使用される場合、この用語又は「反応性混合物」又は「RMM」(反応性モノマー混合物)は、硬化及び/又は架橋して眼用レンズを形成することができるモノマー又はプレポリマー材料を指す。様々な実施形態は、UV遮断剤、染料、光開始剤、又は触媒、及びコンタクト若しくは眼内レンズ等の眼用レンズに望まれ得る他の添加剤等の1つ又は2つ以上の添加剤を有するレンズ形成混合物を含むことができる。
【0080】
「成形型」は、本明細書で使用される場合、未硬化配合物からレンズを形成するために使用され得る、剛性又は半剛性の物体を指す。いくつかの好ましい成形型は、前方湾曲成形型パーツ及び後方湾曲成形型パーツを形成する2つの成形型パーツを含む。
【0081】
「放射線吸収成分」が本明細書で使用される場合、この用語は、反応性モノマー混合配合物に組み込むことができ、かつ特定の波長帯の放射線を吸収することができる、放射線吸収成分を指す。
【0082】
反応性混合物(本明細書においてときに、レンズ形成混合物又は反応性モノマー混合物とも称され、「レンズ形成混合物」と同じ意味を有する)。
【0083】
「基材」は、本明細書で使用される場合、他の実体が上に配置又は形成される物理的な実体を意味する。
【0084】
「過渡レンズ反応性媒体」は、本明細書で使用される場合、流動性又は非流動性形態でレンズ前駆体形態上に残存し得る、反応性混合物を意味する。しかしながら、過渡レンズ反応性媒体は、眼用レンズに組み込まれる前に、洗浄、溶媒和、及び水和工程の1つ又は2つ以上によって大幅に除去される。したがって、明確化のため、レンズ前駆体形態及び過渡レンズ反応性混合物の組み合わせは、レンズ前駆体を構成しない。
【0085】
「ボクセル」が本明細書で使用される場合、「ボクセル」又は「化学線ボクセル」は、3次元空間の規則的な格子上の値を表す、体積要素である。ボクセルは、3次元ピクセルと見なすことができるが、ピクセルが2D画像データを示す一方、ボクセルは、第3の次元を含む。加えて、ボクセルは医療及び科学的データの可視化及び分析で使用されることが多いが、本発明では、ボクセルは、特定の体積の反応性混合物に達する化学線の量の境界を規定し、それによって、その特定の体積の反応性混合物の架橋結合又は重合の速度を制御するために使用される。例として、ボクセルは、本発明では、化学線が、それぞれのボクセルの共通軸次元内の2D表面に対して垂直に向けられ得る、2D成形型表面に対して等角である単一層内に存在すると見なされる。一例としては、768×768ボクセルにより特定の体積の反応性混合物を架橋又は重合してもよい。
【0086】
「ボクセルに基づいたレンズ前駆体」が本明細書で使用される場合、「ボクセルに基づいたレンズ前駆体」は、レンズ前駆体形態がボクセルに基づいたリソグラフィ技術を使用することによって形成された、レンズ前駆体を意味する。
【0087】
一実施形態では、眼用レンズは、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第8,318,055号(Widmanら)に開示されたボクセルベースのリソグラフィ光学機器を用いて形成され、この文献の開示内容は、本明細書において参照により援用される。
【0088】
一実施形態では、ボクセルベースのリソグラフィ光学機器は、化学線を用いてレンズ形態とレンズ前駆体とを形成するシステムに組み込まれる。一実施形態では、装置は非常に一様な強度の放射を行ない、成形光学素子の表面上への、成形光学素子表面に渡る多数の離れた点への放射を、本質的にボクセル毎ベースで制御する。このような制御によって、装置は、特定のボクセル箇所の光路に沿って反応性モノマー混合物内で生じる反応の程度を制御することができ、その結果、そこで反応する材料の体積、したがって、その上に形成されるレンズ前駆体の形状を最終的に決定する。
【0089】
図1A~1Mに示すのは、眼用レンズ前駆体と眼用レンズとを形成するための方法と、吸収結像システムを用いてレンズ前駆体又は完全に硬化したレンズの厚さを決定する方法である。
【0090】
図1Aを参照して、一実施形態では、リザーバ100は反応性モノマー混合物を受け取るように適応されている。リザーバ100は上面102を含み、上面102は、位置合わせ及び間隔あけリング104を有している。リザーバ100は窪み106を含んでいる。窪み106は、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第8,318,055号(Widmanら)に開示された眼用レンズ前駆体及び眼用レンズを形成するために用いる反応性モノマー混合物の用量を受け取って保持するように適応されており、この文献の開示内容は、本明細書において参照により援用される。
【0091】
図1Bを参照して、一実施形態では、容器108は、反応性モノマー混合物110の溶液を保持する。分配システム112によって、所定の量の反応性モノマー混合物110がリザーバ100の窪み106内に分配される。
【0092】
図1Cを参照して、一実施形態では、成形光学素子114はリザーバ100の窪み106と並置されている。成形光学素子114は凸曲面116を含んでいる。凸曲面116は、リザーバ100の窪み106内に収容されるモノマー用量110内に浸漬されるように適応されている。一実施形態では、成形光学素子114は、リザーバ100の上面102において位置合わせ及び間隔あけリング104と嵌合して、成形光学素子114をリザーバ100の窪み106と位置合わせするように適応されている環状の位置合わせ溝108を含んでいる。
【0093】
図1Dを参照して、一実施形態では、成形光学素子114の凸曲面116は、反応性モノマー混合物110が成形光学素子114の凸曲面116と接触するように、リザーバ100内に配置された反応性モノマー混合物110内に降下される。
【0094】
一実施形態では、成形光学素子114は、再利用可能な成形光学素子であり、この再利用可能な成形光学素子は、コストを低減するとともに、光軸に対して運動学的に位置し得る単一片が得られるように精密成形されている。レンズ形成及び計測ステップの間に成形光学素子を再現可能に位置決めすることは、効果的な反復収束及びプロセス安定性にとって重要である。個々の成形光学素子を、x及びy方向に+/-200nmで運動学的に位置決めしてもよい。一実施形態では、成形光学素子114の凸曲面116を、フルオロシランから構成された疎水性の自己組織化単分子膜(頭文字SAMで一般的に言及される)でコーティングして、清浄なレンズ端部の形成及び画定を可能にしてもよい。
【0095】
一実施形態では、成形光学素子114をリザーバ100上に降下させる前に、リザーバ100の窪み106(
図1A)に反応性モノマー混合物110を充填する。他の実施形態では、成形光学素子114とリザーバ100とを格納容器の内部に配置して、ガス流(例えば、窒素)を用いたパージを施してもよい。一実施形態では、反応性モノマー混合物を、リザーバ内に分配する前に濾過してもよい。
【0096】
反応性モノマー混合物は、リザーバ100内に、手による充填、自動手段による定量的な流体移送、又はレベル検出器がリザーバ100内の適切なレベルの反応性モノマー混合物110を測定するまでの充填を含めて、異なる手法で移されてもよい。
【0097】
光処理ステップにとって酸素レベルが必要不可欠である実施形態では、酸素が反応性モノマー混合物中の溶解種として存在してもよい。このような実施形態では、反応性モノマー混合物中の酸素濃度を確立する必要がある。一実施形態では、反応性モノマー混合物を、パージガスが流れているガス環境内に留まらせる。別の実施形態では、モノマー混合物を供給するときに溶解ガスを真空パージすることと、ガスと分配すべき液体との膜交換を通してこの混合物を分配する間に所望の量の酸素を復帰させることとを用いてもよい。他の実施形態では、酸素濃度を制御する任意のデバイスを利用してもよい。更に、より一般的な意味で、他の材料が、溶存酸素の存在下又は不在下で、適切な阻害物質としての機能を果たすことができる。
【0098】
一実施形態では、レンズ前駆体形成投影システムが、光源として、規定された波長帯を有するが強度及び方向に多少の空間的変動がある光を発する光源を含んでいる。システムは、空間強度コントローラ又はコリメータを含んでいてもよく、これらは、光を凝縮し、拡散し、いくつかの実施形態ではコリメートして、強度が非常に一様な光ビームを形成する。一実施形態では、光ビームがデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)に当たって、ビームが強度のピクセル素子に分割され、各ピクセル素子にデジタルオン又はオフ値を割り当てることができる。一実施形態では、各ピクセルにおけるミラーは、2つの経路のうちの1つで光を反射するだけである。「オン」経路は、光子が反応性化学媒体に向かって進むことにつながる経路である。「オフ」経路は、反応性化学媒体に向けて方向付けられていない経路である。一実施形態では、「オフ」経路によって光子が送られてビームダンプに当たり、このビームダンプは、そこに向けて方向付けられた任意の光子を吸収して捕らえるようにデザインされている。一実施形態では、「オン」経路内の光には、「オン」値に設定されている多くの異なるピクセル値が含まれていてもよく、この多くの異なるピクセル値は、それらのピクセル箇所に対応する適切な個々の経路に沿って空間的に方向付けられている。ピクセル素子の対応する経路に沿った各ピクセル素子の時間平均強度を、DMDによって規定された空間格子に渡る空間強度プロファイルとして表してもよい。代替的に、一定の強度が各ミラーに当たる状態で、物品125(
図1E)は空間時間露出プロファイルを表してもよい。
【0099】
各ピクセル素子はオン状態にあると、光子を経路123に沿って方向付ける。いくつかの実施形態では、ビームをフォーカシング素子によってフォーカスしてもよい。一例として、
図1Eに示すのは、光路123が、成形光学素子114の光学面116に本質的に垂直方向に当たるように結像されている実施形態である。結像された光は次に、成形光学素子114を通って進んで、リザーバ100内の反応性モノマー混合物を含む空間の体積内に入る。この光の、所定のピクセル箇所に対する相互作用が、リザーバ100内の体積における、及び成形光学素子114の周りの「オン」状態のボクセル要素を規定する。この体積内のこれらの光子は、吸収され、それを吸収する分子内の化学線による反応を促進し、この概略周辺内のモノマーの重合状態変化をもたらし得る。
【0100】
図1Eを参照して、一実施形態では、レンズ前駆体120を成形光学素子114の凸曲面116上に、DMD 122(365nmの波長を有する光を生成する)を用いて形成する。一実施形態では、DMD 122は768×124ミラーを含んでいる。一実施形態では、ミラー(例えば、14ミクロン平方のミラー)が9キロヘルツの速度で反転して、レンズ形成のためのグレースケール/空間分解能を与える。一実施形態では、DMD 122はDMDスクリプトを利用して、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第8,318,055号(Widmanら)に記載した通りに動作し、この文献の開示内容は本明細書において参照により援用される。
【0101】
図1F及び1Gを参照して、レンズ前駆体120が少なくとも部分的に形成された後で、成形光学素子114とレンズ前駆体120とを持ち上げてリザーバ100から離し、レンズ前駆体120を反応性モノマー混合物110から分離する。
【0102】
図1Hに示すのは、リザーバ100から分離された後の成形光学素子114である。レンズ前駆体120は、成形光学素子114の凸曲面116上に配置されている。未反応及び部分反応したモノマー混合物110がリザーバ100の窪み106内に残存する。
【0103】
図1Iを参照して、一実施形態では、レンズ前駆体120が凸曲面116を覆っている成形光学素子114をひっくり返して、レンズ前駆体120が直立構成になるようにする。
【0104】
図1Jを参照して、一実施形態では、レンズ前駆体120を含むひっくり返した成形光学素子114を、支持基板124の上面125の上に位置決めする。
【0105】
図1Kを参照して、一実施形態では、成形光学素子114とレンズ前駆体120とが、化学気相成長法チャンバ126の内部に配置されている。一実施形態では、機能化学の気相堆積をレンズ前駆体120上に堆積させて、レンズ前駆体120の最終硬化を光(例えば、420nm光)を用いて行なう。
【0106】
図1Lを参照して、一実施形態では、吸収結像システム128を、眼用レンズ120の厚さを測定するために利用する。一実施形態では、吸収結像システム128は、結像配置と所定の媒体(例えば、反応性モノマー混合物)の既知の吸収特性とを用いて、ピクセル強度からレンズ120の表面厚さを決定する。システム128を利用して、限定することなく、レンズ前駆体、最終レンズ、成形型片に封入された鋳造成形レンズ、単一の金型半分を用いて離型した後の鋳造成形レンズ、及び溶液中の水和した鋳造成形レンズを含む、レンズの厚さを測定してもよい。
【0107】
一実施形態では、数学的定式化とシステム較正とによって、レンズの画像の強度を用いてレンズの厚さを計算することが可能になる。一実施形態では、吸収結像システムはピクセル素子(通常はx-y格子で配列されている)からなるデジタル結像デバイスを用いている。これによって、個々のピクセル強度値を用いて、被測定物体(例えば、眼用レンズ)に対する厚さ表面プロファイルを生成することができる。結果として得られる厚さ測定値及び/又は全表面プロファイルを用いて、どのくらい良好に製品がその意図されたデザインにマッチしているかを決定することができる。一実施形態では、システムは厚さデータを用いて、その後のレンズを形成するための形成パラメータを調整する。
【0108】
一実施形態では、眼用レンズ120を形成するために用いる反応性モノマー混合物は、用いるために選択したスペクトル帯域に渡って入射放射を吸収する成分を有している。一実施形態では、反応性モノマー混合物は、UV吸収添加剤(例えば、ノルブロック)と、光開始剤(PI)(例えば、イルガキュア1700)とを含んでいる。
【0109】
図1L及び1Mを参照して、一実施形態では、吸収結像システム128は、光散光器、一連の光学レンズ、及びカメラ130(例えば、デジタルカメラ)を含んでいる。カメラ130は、強度画像を取り込んで、厚さ及び計測測定プログラムにデータを与える。
【0110】
一実施形態では、レンズの厚さを測定するために利用する光の波長は365nmである。
図1Mを参照して、一実施形態では、カメラ130がデータ132を取り込んだ後に、レンズ厚さマップが吸収画像データと光線追跡三角法とから作成される。134と指定された段階では、測定されたレンズ120と設計目標との間の差異マップが作成される。この差異マップを利用して、レンズ120を容認するか拒否するかを判定する。
【0111】
136と指定された段階では、反復変換が行なわれ、それによって、高度なゲインアルゴリズムを用いて、露出画像を形成するレンズを調整して、次のレンズが設計目標により近い状態で形成されるようにする。一実施形態では、露出画像を形成する高分解能16±ビットレンズをDMD 122(
図1E)に送って、次の光学レンズを形成する。
【0112】
図2及び3A~3Cを参照して、一実施形態では、吸収結像システム128は、光(例えば紫外線)を生成する照明源140を含んでいる。一実施形態では、照明源140が生成する光は、反応性モノマー溶液が入射放射を吸収するスペクトル領域を含んでいる。一実施形態では、照明源140は365nm LEDを用いているが、他の広域帯及び選択的帯源を利用してもよい。他の実施形態では、代替的な照明源として、370nm LED、375nm LED、及びキセノンランプを挙げてもよい。
【0113】
一実施形態では、照明源140は光を連続的に放射する。一実施形態では、照明源を画像取込にパルス同期させてもよい(例えば、スイッチオン及びオフ)。一実施形態では、シャッタを用いて光をスイッチオン及びオフしてもよい。
【0114】
一実施形態では、吸収結像システムが再現可能な方法で精密な品質光学測定を行なうように、照明源スペクトルが不変のままでいることが好ましい。一実施形態では、システムはLEDスペクトルの制御を、LEDの接合温度を維持するための熱電コントローラ(TEC)と、LEDを駆動するための高品質の電流調整された電源とを用いることによって行なう。一実施形態では、スペクトロメーターを用いて、測定プロセスの全体を通して及びシステムの動作中に、LEDスペクトルをモニタしてもよい。光スペクトルの変化が公差を超えて生じたら、システムを再較正する理由となる。
【0115】
一実施形態では、吸収結像システムは好ましくは、光学フィルタコンパートメント142を含んでいる。光学フィルタコンパートメント142には、結像中に用いる照明スペクトルを更に規定するために光学フィルタを配置してもよい。一実施形態では、光学フィルタは帯域通過フィルタ、カットオンフィルタ、又はカットオフフィルタであってもよい。選択する実際の光学フィルタは、好ましくは、使用している照明源、測定している媒体、光学フィルタが最も敏感であることが望まれる媒体の厚さ範囲に依存する。
【0116】
一実施形態では、吸収結像システム128は望ましくは、拡散照明コンパートメント144を含んでいる。拡散照明コンパートメント144は、拡散部品を収容して、放射源が一様であることと、放射源が生成する光線が眼用レンズに好適な角度で当たって、結果として生じる画像収集円錐体を満たすこととを保証する。一実施形態では、照明源140、光学フィルタコンパートメント142、及び拡散照明コンパートメント144を、バネ懸架式リニアステージに取り付けるユニットとして一緒に組み立てる。バネ懸架式リニアステージによって、ユニットを上昇させることができて、レンズを収容する成形光学素子を吸収結像システムに装着する及びそこから取り外すことが可能になる。
【0117】
一実施形態では、成形光学素子取付台146は成形光学素子114を収容しており、眼用レンズ120(
図1J)は吸収結像システム128内に装着されるように適応されている。一実施形態では、吸収結像システム128は望ましくは、運動学的取付台148を含んでいる。運動学的取付台148は、成形光学素子とレンズとをシステムの光学部品及び/又は光軸と適切に位置合わせするための成形光学素子取付台146を受け取るように適応されている。一実施形態では、運動学的取付台148を利用して、成形光学素子と成形光学素子上のレンズとを、吸収結像システム128の光軸に近いところに配置する。運動学的取付台によって好ましくは、x及びy軸調整を可能にして、必要に応じて成形光学素子を光軸又は重要な光学部品と位置合わせする。
【0118】
一実施形態では、吸収結像システム128は望ましくは、結像レンズ150のセットを含んでいる。結像レンズ150は、成形光学素子上に配置されたレンズの画像を収集及び形成するために利用する一連のレンズを含んでいる。
【0119】
一実施形態では、吸収結像システムはカメラ152(例えばデジタルカメラ)を含んでいる。カメラ152を利用して、測定されているレンズサンプルのデータ及び/又は画像を取り込む。一実施形態では、カメラは好ましくはレンズの強度画像を取り込む。
【0120】
カメラノイズが温度とともに増加し、ある程度までカメラ応答もそうであることが、資料で十分に裏付けされている。一実施形態では、吸収結像システムは環境温度制御メカニズムを含んでいて、測定の全体に渡って及びシステムの動作中にシステム部品の温度が不変であることを確実にしている。
【0121】
一実施形態では、カメラ応答に対する小さい変化が、照明源に由来し測定中又は測定前にカメラのCCDセンサに当たる放射エネルギーの時間的プロファイルから生じる可能性があることが観察されている。カメラの強度は、センサの温度が上昇すると増加する。カメラ応答の変化は小さくて信号最大値のおよそ1%未満であるが、光学グレード測定にとってはこれは著しいと考えられる。一実施形態では、吸収結像システムは、測定直前及び測定中にカメラセンサに当たる放射エネルギーの一貫性をなくすか、最小限にするか、又は維持する技術を用いている。
【0122】
一実施形態では、システムは画像の取り込みを、物理的に、16ビットフォーマットで行なうが、カメラのアナログディジタル変換器回路構成は14ビット深度に限定されている。一実施形態では、実際に利用可能なビット深度は10~11ビットであると見積もられる。一実施形態では、カメラ性能を向上させるためのいくつかの技術を利用してもよい。例えば、限定することなく、複数画像の取り込み及び平均化、ピクセルビニング、環境制御及び熱管理、高ダイナミックレンジ結像技術、測定が予想される厚さ範囲に対するスペクトル帯域最適化、並びにセンサ「低速読み出しモード」である。
【0123】
以下の等式1を参照して、一実施形態では、吸収結像システムの動作中に、レンズ媒体を通る入射放射の伝搬をビール-ランベルトの法則を用いて計算する。
【0124】
式1
I=Io
*e-α(λ)ct、式中、
I=ある所定の進入厚さにおいて結果として得られる強度(μW/cm2)
Io=厚さ0における初期強度(μW/cm2)α(λ)=波長(λ)に依存する吸光係数関数c=媒体内の濃度
t=伝搬経路の厚さ
【0125】
一実施形態では、吸収結像システムは、以下の等式2を用いてレンズ媒体中の入射放射の吸収を計算する。
【0126】
等式2
A=-log(I/Io)=εlc=αl
式中、
I=何らかの所定の進入厚さにおける結果として得られる強度(μw/cm2)
Io=厚さ0における初期強度(μW/cm2)
ε=モル吸光係数(波長に依存する)l=経路長c=濃度
α=吸収係数(波長に依存する)
【0127】
一実施形態では、レンズ媒体は、用いるために選択したスペクトル帯域上で入射放射を吸収する成分を有している。一実施形態では、測定されている形成された眼用レンズには、UV吸収添加剤ノルブロック及び/又は開始剤(例えばイルガキュア1700)が含まれている。
【0128】
一実施形態では、濃度cが固定されて均質であると考えられるレンズ媒体では、レンズの厚さを等式1(前述に示す)から導き出すことができる。これを以下の等式3に示す。
【0129】
等式3
t=-ln(I/Io)/-α(λ)c
【0130】
測定ステーションにおけるレンズの状態は、事後に形成及び硬化されるが、事前に水和されるため、やはり若干の未反応光開始剤を含んでいる。一実施形態では、光開始剤は最終的に下流のレンズ水和プロセスで浸出される。
【0131】
反応性モノマー混合物の光漂白剤中で用いる光開始剤は、活性化放射に露出されると、その吸収スペクトルが変化することを意味する(すなわち、時間とともに、吸収が低下して漂白が生じる)。本質的に、レンズの厚さを測定するために用いる365nm光は、残りの光開始剤と反応していて、UV遮断剤(例えば、ノルブロック)の安定した吸収特性とは別に、レンズの吸収特性をゆっくりと経時変化させている。一実施形態では、この現象を考慮した技術が用いられている。例えば、シャッタリング又はLEDオン/オフ制御を用いて、放射がレンズに当たることを防ぐ(但し、短い測定時間の間を除く)。
【0132】
一実施形態では、バックライト、結像光学素子、及びカメラを含む結像配置が考案されている。一実施形態では、吸収結像システムによって、コンタクトレンズの湾曲面に対する一様な入射放射が得られる。
図4を参照して、一実施形態では、拡散照明コンパートメント144によって、一様な入射放射が、形成されたレンズ120の凸曲面上に送られることが保証されている。形成されたレンズ120自体は、成形光学素子114の凸曲面116上に配置されている。
【0133】
一実施形態では、照明及び光学素子デザインは、伝搬された放射を、表面積に渡ってほぼ同等な円錐角で、また表面入射角に対してほぼ同じ垂直で収集する。
図5を参照して、一実施形態では、一様な入射放射がレンズ120(
図4)の凸曲面と成形光学素子114とを通った後に、結像レンズセット150が、伝搬された放射を、表面積に渡ってほぼ同等な円錐角で、また表面入射角に対してほぼ同じ垂直で収集するように構成及びデザインされている。
【0134】
図6Aを参照して、一実施形態では、形成されたレンズ120の画像がその成形光学素子114の上に示される。レンズ120は種々の厚さの領域を有している。一実施形態では、レンズ120は、中心に位置する光学ゾーン、光学ゾーンを囲む移行ゾーン、レンズ120の外周に位置するより厚い安定化ゾーンを含んでいる。また厚さ測定に用いる同じ画像が、自動化された品質検査を行なうのに適している。品質検査には、コンタクトレンズ業界内に見られる従来の端部及び表面タイプの欠陥の検出が含まれる。
【0135】
図6Bに、
図6Aのレンズ120の厚さプロファイルを示す。
図6A及び6Bを比較して、レンズ120の強度領域が暗いところほど、厚さが大きい領域を表している。レンズの強度領域が明るいところほど、相対的に薄い領域を表している。
【0136】
一実施形態では、吸収結像システムは、周囲環境、温度、及び湿度レベルを制御するための1つ又は2つ以上の部品を含んでいる。
【0137】
一実施形態では、周囲ガス環境をパージングガス(例えば、窒素ガス)を用いることを通して制御してもよい。パージングを行なって酸素分圧を所定のレベルまで増加又は低下させてもよい。また湿度を所定のレベル(例えばオフィス環境よりも低い湿度レベル)に維持してもよい。
【0138】
一実施形態では、システム部品との相互作用が許される振動エネルギーのレベルを制御してもよい。一実施形態では、支持構造物によって比較的低い振動環境が規定される。他の実施形態では、吸収結像システムを1つ又は2つ以上の動作中の振動支持体上に支持してもよい。一実施形態では、空気袋支持ピストン又は他の従来の部品であって振動の効果を最小限にするものを用いてもよい。
【0139】
システムの環境中に粒子があると、種々のタイプの望ましくない欠陥モードが導入されることがある。例えば、不正確な厚さデータが得られることである。一実施形態では、吸収結像システムは、システム部品内及びシステム部品周囲の粒子レベルを制限するための1つ又は2つ以上の部品を含んでいてもよい。一実施形態では、吸収結像システムは、環境中の粒子状物質を制御及び/又は抑制するための1つ又は2つ以上の高効率微粒子エア(HEPA)フィルタを含んでいてもよい。
【0140】
一実施形態では、吸収結像システムを不透明材料中に封入して、光又は光子エネルギーの漂遊源を抑制してもよい。一実施形態では、システムは、フィルタリングした光源(環境照明であってもよい)をシステムの環境において用いてもよい。
【0141】
図7を参照して、一実施形態では、吸収結像システム228は上端にユニット245を含んでいる。ユニット245を持ち上げて回転させてよけさせて、運動学的取付台と成形光学素子とを露出して、成形光学素子214を容易に交換できるようにしてもよい。
図7に示す実施形態では、照明源240と拡散照明コンパートメント244とは吸収結像システム228の上端に可動ユニット245を含んでいる。可動ユニット245は、持ち上げて回転又は旋回させて、成形光学素子214を含む運動学的取付台248から離し得る。
【0142】
一実施形態では、吸収結像システム228は、ベースプレート260と、ベースプレート260から上方に延びる垂直方向の支持体262とを含んでいる。吸収結像システム228は望ましくは、垂直方向の支持体262と可動ユニット245とを相互接続する持ち上げ及び旋回要素264を含んでいる。
【0143】
図8Aに示すのは、吸収結像システム228の可動ユニット245を持ち上げて回転させて運動学的取付台248をよける第1の構成である。この構成では、運動学的取付台248上の成形光学素子214にアクセスして、運動学的取付台から取り除いて及び/又は運動学的取付台上で交換してもよい。
【0144】
図8Bに示すのは、吸収結像システム228の可動ユニット245を回転させて運動学的取付台248の最上部上に戻した後である。その結果、照明源240と、メカニカルシャッタ242と、可動ユニット245の拡散照明コンパートメント244とは、運動学的取付台246上に設けられた成形光学素子214及び/又はシステムの光軸と軸方向に位置合わせされている。また、吸収結像システム228の可動ユニット245は望ましくは、結像レンズセット250及びカメラ252と位置合わせされている。
【0145】
図9を参照して、一実施形態では、吸収結像システム328は、照明源340、光学フィルタコンパートメント342、及び拡散照明コンパートメント344を含んでいる。拡散照明コンパートメント344は、吸収結像システムの可動ユニット345を規定している。吸収結像システム328はまた、成形光学素子と、結像レンズセット350と、カメラ352とを受け取るように適応された運動学的取付台348を含んでいる。吸収結像システム328は、ベース360と垂直方向の支持体362とを含んでいる。
【0146】
図9及び10A~10Bを参照して、一実施形態では、吸収結像システム328の可動ユニット345は、持ち上げて回転又は旋回させて運動学的取付台348をよけるように適応されているため、成形光学素子を運動学的取付台上に配置するか又はそこから取り外し得る。
図10A及び10Bに示すのは、可動ユニット345であり、それが含む照明源340と、メカニカルシャッタ342と、拡散照明コンパートメント344とが回転されて、運動学的取付台348から離されている。成形光学素子を運動学的取付台348の上に配置した後に、可動ユニット345を回転させて、
図9に示す位置合わせされた位置に戻してもよい。
【0147】
図11を参照して、一実施形態では、吸収結像システム328に対する運動学的取付台348は望ましくは、成形光学素子314のベース315を受け取るように適応された平坦面366を含んでいる。一実施形態では、運動学的取付台348は、第1のノブ370を有する第1の固定止め具368と、第2のノブ374を有する第2の固定止め具372とを含んでいる。ノブは、成形光学素子314のベース315に近づく方向に、及び離れる方向に動くように調整可能であってもよい。運動学的取付台348は望ましくは、後退可能なプランジャー376を含んでいる。プランジャー376は、平坦面366上に取り付けられたプランジャー支持体378と関連付けられている。一実施形態では、後退可能なプランジャー376を後退させることによって、成形光学素子314のベース315を、第1の固定止め具368の第1のノブ370、第2の固定止め具372の第2のノブ374、及びプランジャー376の遠位端の間で位置決めしてもよい。プランジャー376の遠位端を成形光学素子ベース315に向けて進めて、成形光学素子314を運動学的取付台348の平坦面366上の静止位置に保持してもよい。一実施形態では、プランジャー376はバネ負荷がかかっており、普通は伸展位置へ付勢されている。一実施形態では、プランジャー376はネジ付きであり、プランジャー支持ベース378上のネジ山と嵌合して、プランジャーの遠位端を成形光学素子314のベース315に対して近づく及び離れるように移動させる。
【0148】
図12を参照して、一実施形態では、吸収結像システム428の運動学的取付台448は、成形光学素子414のベース415を受け取るように適応された平坦面466を含んでいる。運動学的取付台は、成形光学素子を安定位置に保持して、成形光学素子の位置の微細なx-y軸調整を可能にするように適応されている。一実施形態では、成形光学素子414のベース415は正方形ベースである。
【0149】
一実施形態では、運動学的取付台448は、第1の固定止め具468を含んでいる。第1の固定止め具468は、成形光学素子414のベース415の側面の1つに当接するように適応されたストップピン370A、370Bを有している。また運動学的取付台448は、ベース415の別の側面に当接するように適応された第2の止め具472を含んでいる。
【0150】
一実施形態では、運動学的取付台448は、一対の垂直方向に延びる位置合わせピン475A、475Bを含んでいる。位置合わせピン475A、475Bは、ベース415内の開口部を通って、成形光学素子414のベース415を運動学的取付台448の平坦面466上で位置合わせする。
【0151】
一実施形態では、運動学的取付台448は、プランジャー支持ベース478上に実装されたプランジャー476を含んでいる。プランジャー476を、成形光学素子414が平坦面466の上に位置決めされ得るように後退させてもよい。そしてプランジャー476の遠位端を伸展させて、運動学的取付台448の平坦面466上で成形光学素子ベース415の位置を固定してもよい。プランジャー476を、使用するネジ山上でバネ負荷をかけて、プランジャーベース478に対して近づく及び離れるようにしてもよい。
【0152】
図13を参照して、一実施形態では、吸収結像システム428は好ましくは、365nmの紫外線を生成する照明源440を含んでいる。光線は機械的シャッタコンパートメント442と散光器444とを通る。散光器444は、非常に一様な高照明光(例えば、ランバーティアン)を生成する。照明光は、成形光学素子414の上に配置された眼用レンズに送られる、成形光学素子414自体は、運動学的取付台448上に固定されている。吸収結像システム428は結像レンズ450のセットを含んでいる。結像レンズ450のセットは、カメラ452に対する光学素子として機能する。カメラ452は、成形光学素子414上に位置する眼用レンズのデジタル画像を取り込むようにデザインされている。一実施形態では、吸収結像システム428の重要部品におけるどんな小さいシフトも、機械的にではなくてデジタル的に補償してもよい。ケースAでは、全ての重要部品(例えば、散光器444、成形光学素子414、及びカメラ光学素子450)が光軸A
1に沿って位置合わせされているため、結果として得られる画像はFO中心点と位置合わせされている。ケースBでは、吸収結像システム428の部品の一部が、光軸A
1と位置合わせされていない。この後者のケースでは、カメラセンサ上の真の形成光学素子中心の位置が保存され、その後に運動学的取付台によって、成形光学素子から成形光学素子へ中心点への非常に再現可能な位置決めが保証されている。機械的な調整は必要ではない。
【0153】
図14に示すのは、強度ベース画像から厚さ情報を抽出するために利用するプロセスのフローチャートである。
図14のフローチャートは、単一のスペクトル帯域の紫外線を用いる本明細書で開示する吸収結像システムに対するプロセスを示している。
図14のフローチャートに示す変数に対して、以下の定義が適用される。
【0154】
ilref-未処理シーン、FOが所定の位置にない全体的強度。この値は、実行しようとしているレンズ測定に関連付けられる。値は、未処理のカメラ画像を見て、強度値の円を平均化することによって得られる。これによって、時間内にカメラがその特定の場合における光をどのように見ているかについての良好なフィードバックが得られる。
【0155】
ilij-マンドレル上のレンズのカメラ画像に含まれる強度値。値の量はカメラの分解能に依存する。現在のところ、画像のサイズは1024×1030である。画像はレンズ照射時間設定において取る。
【0156】
imij-マンドレルのカメラ画像に含まれる強度値。この画像は、以前に取得及び保存されているため、記憶装置から得られる。
【0157】
imref-未処理シーン、FOが所定の位置にない全体的強度。この値は、取得及び保存された時点でのマンドレル基準ファイルに関連付けられる。値は、未処理のカメラ画像を見て、強度値の円を平均化することによって得られる。これによって、時間内にカメラがその特定の場合における光をどのように見ているかについての良好なフィードバックが得られる。
【0158】
iij-全体的強度変化とマンドレルに起因すると考えられる強度とを考慮する強度比調整の結果。これは、画像に渡る規格化された強度値を表す。分解能はやはり1024×1030である。
【0159】
t1ij-画像強度値から厚さ値への初期変換に起因する格子。画像厚さ値は、光がレンズを通って結像光学素子に受け取られる入射角に沿っている。これは、X、Yの適用及び回転オフセットの後であるが、半径方向の拡大が適用される前の状態である。この角度は軸方向にはないため、完成した出力を得るためには最終的な補償を行わなければならない。
【0160】
t2kl-半径方向拡大歪み補正を適用することに起因する格子。このプロセスの一部として、格子を1001×1001フォーマット(測定及びDMDファイル表示に固有である)に変換する-したがって下付き表記への変更(k、l)。
【0161】
t3kl-薄すぎると考えられる厚さ値を消去するマスキング経路を適用した後に結果として得られる格子。
【0162】
t4kl-軸方向厚さにおける最終レンズ測定格子。等式変数の記述に対する付属書類を参照のこと。
【0163】
図15を参照して、一実施形態では、光学レンズ420が成形光学素子414の上に位置している。本明細書で開示する吸収結像システムを利用して軸方向レンズの厚さ420を決定する。一実施形態では、光がレンズ420を通るときの光入射角を軸方向厚さに変換する。
図15には、光入射角厚さを軸方向厚さに変換するために利用する数式が含まれている。
【0164】
一実施形態では、吸収結像システムは、表面トポロジー変化から作成され得るレンズの光出力特性を考慮した二重照明配置を含んでいる。表面トポロジー変化自体は、レンズの吸収特性に起因しない画像強度変化を誘起する可能性がある。一実施形態では、吸収結像システムは、評価されているレンズの2つの別個の画像を取り込む。第1の画像は吸収領域内、第2の画像はニュートラル吸収領域内のものである。ニュートラル吸収画像には、レンズ材料の吸収特性に起因するどんな強度変化もないが、光出力の効果に起因する強度変化を示す。したがって、この後者の強度変化を用いて、光出力並びに不均一な結像の効果に起因する強度成分を特徴付けることができる。一実施形態では、2つのスペクトル帯域をLED源を用いて生成する。一実施形態では、吸収帯のピーク波長は約365nmであり、ニュートラル吸収帯のピーク波長は約455nmである。
【0165】
図16A~16Cを参照して、一実施形態では、吸収結像システム528は2つの異なる波長における光を利用する。1つは吸収帯内、1つは吸収ニュートラルである帯域内のものである。一実施形態では、吸収結像システム528は運動学的取付台548を含んでいる。運動学的取付台548は、成形光学素子514を受け取って保持するように適応されている。成形光学素子514自体は、眼用レンズが成形光学素子上に配置されている。システムは、結像レンズ550とカメラ552とのセットを含んでいる。カメラ552は、成形光学素子の凸曲面の上に配置された眼用レンズの画像を取り込む。
【0166】
一実施形態では、吸収結像システム528は、持ち上げ及び旋回アセンブリ564を含んでいる。上昇及び旋回アセンブリ564によって、第1の照明源540Aと第2の照明源540Bとを収容する積分球580を持ち上げて旋回させて、成形光学素子514と運動学的取付台548とから離すことが可能となっている。
【0167】
一実施形態では、積分球580内の第1の照明源540によって、レンズ材料の吸収帯をカバーするUV放射が生成される。第1の照明源によって生成される波長は好ましくは365nmである。これは、第1の実施形態において生成されるLED光と同様である。第2の照明源540Bは、レンズのスペクトル内の「吸収ニュートラル」である帯域をカバーするLED光を生成する。一実施形態では、第2の照明源540Bは、約455nmの波長の可視放射を生成する。
【0168】
吸収結像システム528は、積分球580に固定された取っ手582を含んでいる。取っ手582によって、積分球580を持ち上げて旋回させて、成形光学素子514と運動学的取付台548とから離すことが可能となっている。
【0169】
図16B及び16Cを参照して、一実施形態では、吸収結像システム528は熱電気制御された(TEC)プレート及びヒートシンク548を含み、LEDの温度制御を維持して、第1及び第2の照明源540A、540Bによって生成される光の安定性を保証するようになっている。
【0170】
図17に示すのは、ハンドル582とTECプレート584(熱放散フィンを含む)とを含む積分球580の斜視図である。
【0171】
図18A及び18Bに示すのはTECプレート584であり、365nmの光を生成する第1の照明源540Aと、420nmの光を生成する第2の照明源540Bとを含んでいる。TECプレート584によって、LED 540A、540Bの両方に対する共通のコールドプレートを伴う空冷式デザインが得られる。共通のコールドプレート585の温度を、一体化されたTECプレート584及び外部コントローラを介して調整する。
【0172】
図19を参照して、一実施形態では、積分球580はスペクトロメーターポート586を含んでいて、第1のLED 540Aと第2のLED 540Bとによって生成される光のスペクトロメーター読み取り値を得るためにアクセスできるようになっている。
【0173】
一実施形態では、積分球580は、成形光学素子514の直接照明を防止するバッフル588を含んでいる。一実施形態では、第1及び第2のLED 540A、540Bは、2つの照明源によって生成される光の安定した内部反射が得られるように覆われている。
【0174】
一実施形態では、積分球580の下部は、成形光学素子514の凸曲面516の外周端部の下方に延びている。
【0175】
積分球の内面は、2つのLEDによって生成される光を反射するようにデザインされている。一実施形態では、積分球の内面580はビーズブラストされている。一実施形態では、積分球の内面を塗装してもよい。
【0176】
図19を参照して、一実施形態では、バッフル588を用いると強度ベース画像の放射照度が向上する。
【0177】
前述したように、一実施形態では、吸収結像システムは、表面トポロジー変化によって生じる得るレンズの光出力特性を考慮した二重照明配置を含んでいる。表面トポロジー変化は次に、レンズ厚さ単独に起因するレンズの吸収特性に関連付けられない画像強度変化を誘起する可能性がある。
図20に示すのは、レンズを形成するために用いる反応性モノマー混合物に対するスペクトル帯域である。
図21A及び21Bに示すように、測定されているレンズの2つの別個の画像が取り込まれる。一方は吸収領域内、他方はニュートラル吸収領域内のものである。ニュートラル吸収画像には、レンズ材料の吸収特性に起因するどんな強度変化もないが、光出力の効果に起因する強度変化を示す。したがって、このような強度変化を用いて、光出力並びに不均一な結像の効果に起因する強度成分を特徴付けることができる。選択する実際の帯域はLED源からのものであり、吸収帯(ピーク波長が約365nm)とニュートラル吸収帯(ピーク波長が約455nm)とを有している。
【0178】
図21Aに示すのは、ピーク波長が約365nmの吸収帯を用いて取ったレンズの画像である。
図21Bに示すのは、ピーク波長が約455nmの非吸収帯を用いて取った形成されたレンズの画像である。一実施形態では、
図21Bに示す光学的効果を取り除いてレンズ厚さを計算してもよい。
【0179】
図22に示すのは、異なる波長を有する2つのスペクトル帯域を用いて厚さ情報を抽出することに関連するプロセスのフローチャートである。
図22に示す変数に対して、
図14に示す変数に対する定義とともに以下の新しい変数定義が適用される。
【0180】
iluvref-UV未処理シーン、FOが所定の位置にない全体的強度。この値は、実行しようとしているレンズ測定に関連付けられる。値は、未処理のカメラ画像を見て、強度値の円を平均化することによって得られる。これによって、時間内にカメラがその特定の場合における光をどのように見ているかについての良好なフィードバックが得られる。
【0181】
ilvisref-可視未処理シーン、FOが所定の位置にない全体的強度。この値は、実行しようとしているレンズ測定に関連付けられる。値は、未処理のカメラ画像を見て、強度値の円を平均化することによって得られる。これによって、時間内にカメラがその特定の場合における光をどのように見ているかについての良好なフィードバックが得られる。
【0182】
iluvij-マンドレル上のレンズのカメラ画像に含まれるUV強度値。値の量はカメラの分解能に依存する。現在のところ、画像のサイズは1024×1030である。画像はレンズ照射時間設定において取る。
【0183】
ilvisij-マンドレル上のレンズのカメラ画像に含まれる可視強度値。値の量はカメラの分解能に依存する。現在のところ、画像のサイズは1024×1030である。画像はレンズ照射時間設定において取る。
【0184】
imuvij-マンドレルのカメラ画像に含まれるUV強度値。この画像は、以前に取得及び保存されているため、記憶装置から得られる。
【0185】
imvisij-マンドレルのカメラ画像に含まれるUV強度値。この画像は、以前に取得及び保存されているため、記憶装置から得られる。
【0186】
imuvref-UV未処理シーン、FOが所定の位置にない全体的強度。この値は、取得及び保存された時点でのマンドレル基準ファイルに関連付けられる。値は、未処理のカメラ画像を見て、強度値の円を平均化することによって得られる。これによって、時間内にカメラがその特定の場合における光をどのように見ているかについての良好なフィードバックが得られる。
【0187】
imvisref-可視未処理シーン、FOが所定の位置にない全体的強度。この値は、取得及び保存された時点でのマンドレル基準ファイルに関連付けられる。値は、未処理のカメラ画像を見て、強度値の円を平均化することによって得られる。これによって、時間内にカメラがその特定の場合における光をどのように見ているかについての良好なフィードバックが得られる。
【0188】
iuvij-全体的強度変化とマンドレルに起因すると考えられる強度とを考慮する強度比調整の結果。これは、画像に渡る規格化された強度値を表す。分解能はやはり1024×1030である。
【0189】
ivisij-全体的強度変化とマンドレルに起因すると考えられる強度とを考慮する可視強度比調整の結果。これは、画像に渡る規格化された強度値を表す。分解能はやはり1024×1030である。
【0190】
icomb1ij-可視格子上でのUVの比によってもたらされる格子(iuvij/ivisij)。この動作によって、グリップセル強度に影響を与えて他の場合には厚さ単独強度値を混乱させるであろう「光学的に」生成された詳細が取り除かれる。
【0191】
icomb2ij-DMDレンズ形成ステーションの座標系にマッチさせる平行移動及び回転動作を適用した後の「組み合わされた」(icomb1ij)格子。
【0192】
t1ij-画像強度値から厚さ値への初期変換によってもたらされる格子。画像厚さ値は、光がレンズを通って結像光学素子に受け取られる入射角に沿っている。これは、X、Yの適用及び回転オフセットの後であるが、半径方向の拡大が適用される前の状態である。この角度は軸方向にはないため、完成した出力を得るためには最終的な補償を行わなければならない。
【0193】
t2kl-半径方向拡大歪み補正を適用することに起因する格子。このプロセスの一部として、格子を1001×1001フォーマット(測定及びDMDファイル表示に固有である)に変換する-したがって下付き表記への変更(k、l)。
【0194】
t3kl-薄すぎると考えられる厚さ値を消去するマスキング経路を適用した後に結果として得られる格子。
【0195】
t4kl-「軸方向」厚さにおける最終レンズ測定格子。等式変数の記述に対する付属書類を参照のこと。
【0196】
-吸収スペクトル領域(すなわち365nm)において得られるレンズ/マンドレルのピクセル強度値。
【0197】
ib2ij-平坦な吸収スペクトル領域(すなわち455nm)において得られるレンズ/マンドレルのピクセル強度値。
【0198】
ib1nij-マンドレル対マンドレル強度差と全体システム強度応答の任意の経時的変化とを考慮した強度調整の後に、スペクトル(すなわち365nm)のノルブロック吸収領域で得られるレンズ/マンドレルのピクセル強度値。
【0199】
ib2nij-マンドレル対マンドレル強度差と全体システム強度応答の任意の経時的変化とを考慮した強度調整の後に、スペクトル(すなわち455nm)のニュートラル吸収領域で得られるレンズ/マンドレルのピクセル強度値。
【0200】
Gl-計測測定時にマンドレルが所定の位置にない状態で画像から得られる吸収領域(すなわち365nm)の全体的強度測定。
【0201】
Gm-基準マンドレル測定を行なったときにマンドレルが所定の位置にない状態で画像から得られる吸収領域(すなわち365nm)の全体的強度測定。
【0202】
R2-計測測定時にマンドレルが所定の位置にない状態で画像から得られるニュートラル吸収領域(すなわち455nm)の全体的強度測定。
【0203】
R2r-基準マンドレル測定を行なったときにマンドレルが所定の位置にない状態で画像から得られるニュートラル吸収領域(すなわち455nm)の全体的強度測定。
【0204】
Evis-可視画像取込露出時間。
【0205】
Euv-UV画像取込露出時間。
【0206】
一実施形態では、残りの光開始剤による吸光度によって、吸収結像計測を用いたときに厚さ測定値に誤差が生じる可能性がある。一実施形態では、吸収結像システムが2つ又は3つ以上の波長(又は波長帯)を使用することによって、光開始剤が変化する効果を計算を通して取り除くことができる。
【0207】
一実施形態では、吸収結像システムは、眼用レンズ(例えば、コンタクトレンズ)の厚さの測定を、レンズ厚さと、色素濃度(ノルブロック)と、レンズによる光吸収の間との関係に基づいて行なう。水和の前、レンズ材料には、制御されていない量の光開始剤(例えば、イルガキュア1700)が含まれており、この光開始剤も光を吸収する。2つ又は3つ以上の波長を用いてレンズの吸収を試験すると、光開始剤(PI)による不要な吸収を無視するか又は補正することができる。
【0208】
ビール-ランベルト法則によって、材料サンプルの吸光度が、サンプルの厚さと減衰種(例えば、ノルブロック及びイルガキュア)の濃度とに関連付けられる。一様な減衰の場合、
【数1】
(式中、
Aサンプルの吸光度である。
ε
i(λ)サンプル中の減衰種iのスペクトル減衰係数である。
(λ)測定において用いる光の波長(又は複数の波長)
c
iであるサンプル中の減衰種iの濃度である、
サンプルを通る光ビームの経路長である。
【0209】
吸光度は以下によって透過率に関係づけられる。
【0210】
【0211】
【数3】
サンプルによって透過される放射束である。
【0212】
【数4】
サンプルに入射する放射束である。
Aサンプルの吸光度である。
【0213】
図23を参照して、350nm~450nmの波長範囲において、未硬化の反応性モノマー混合物(RMM)の吸光度は、2つの主な吸収種(すなわちノルブロック及びイルガキュア1700)によってもたらされる。
【0214】
図24を参照して、350nm~450nmの波長範囲において、硬化ポリマー(すなわちコンタクトレンズ)の吸光度も、ノルブロック及び光開始剤(PI)によってもたらされる。PIの濃度は可変であり、コンタクト処方及びデザイン、並びに測定プロセス中の紫外線(UV)及び青色光への露出に依存する。また光開始剤濃度は、消耗した光開始剤光製品の再結合に起因して、時間(秒)とともに増加する可能性がある。
【0215】
図25及び26を参照して、吸光度の測定に用いる光が単色である(又は少なくとも帯域幅がかなり狭い)場合には、吸光度は厚さ及び濃度に正比例する。これは、
図25及び26に示す線の直線性によって示されている。しかし、やはり測定厚さと光開始剤濃度との間に相互作用がある。
【0216】
しかし
図27を参照して、405nm吸光度の一部を375nm吸光度から差し引くと、光開始剤濃度への依存性を取り除くことができる。補正された吸光度は以下によって計算される:
A
corr=A(375nm)-k・A(405nm)
(式中、
A(375nm)は375nmにおける吸光度である、
A(405nm)は405nmにおける吸光度である、
kは、以下によって与えられる定数である:
【0217】
【数5】
ここで、
A(Xnm,Yμm,PI(Z))は、相対濃度Zの光開始剤を伴うYμm厚さのポリマーによるXnm光の吸光度である。
【0218】
図28を参照して、一実施形態では、吸光度を測定するために用いる光が広域スペクトルを有する場合、吸光度は厚さ及び濃度とともに変化する。この関係は、吸光度が照明の波長内で平坦でない場合には非線形である。厚さと光開始剤濃度との間の相互作用を、単色の場合と同様に、やはり補償することができる。
【0219】
図29に示すのは、365nm LED範囲における反応性モノマー混合物の非平坦吸光度である。
【0220】
図30に示すのは、365nm LEDを用いた吸光度対光開始剤濃度である。
図30では、365nm LED照明領域における非平坦なスペクトル吸光度によって湾曲が生じている。
【0221】
図31に示すのは、420nm LEDを用いた吸光度対光開始剤濃度である。
【0222】
図32示すのは、光開始剤の効果が取り除かれた補正された吸光度である。
図32に示すのは、吸光度対光開始剤濃度である。補正された吸光度対厚さの関係は、
図32では依然として湾曲としてプロットされているが、光開始剤の全ての濃度は同じ値になる。
【0223】
図33に示すのは、積分球の内部でバッフルを利用していないときの画像の放射照度である。
図34に示すのは、積分球の内部でバッフルを用いたときの画像の放射照度である。
図33及び34に示す画像を比較して、反射性シールド又はバッフルを積分球の内部に加えると画像の放射照度の均一性が向上することが明らかである。バッフルに伴う不均一性は、積分球の散乱フラクションが30%ランバーティアンに落ちるまで見られない。本明細書で使用される場合、ランバーティアン光とは、あらゆる角度で見たときに同じ強度を示す光である。
【0224】
図35を参照して、一実施形態では、吸収結像システムは積分球580を含み、積分球580はバッフル588を有している。光線がLED 540によって生成されると、少なくとも一部の光線がバッフル588で反射されることが、積分球580内を及び成形光学素子514の凸曲面516を通って内部反射される前に起こる。一実施形態では、積分球の下部581は成形光学素子514の凸曲面516の下方に延びている。
【0225】
一実施形態では、積分球の内面580は、LED光のパワーの約10%を吸収して、LED光のパワーの約90%を反射する。一実施形態では、積分球580の内面は、反射されたパワーを以下の割合で散乱する。90%ランバーティアン及び約10%スペキュラー。
【0226】
図36Aに示すのは、光が積分球580内で内部反射されて、成形光学素子514の凸曲面516を照射している様子である。
図36Bに示すのは、成形光学素子514の凸曲面516上の放射照度をプロットする画像である。
【0227】
一実施形態では、2つの照明源を有する吸収結像システムを用いるとき、単一のLEDのみを画像を取り込むためにどの時点でも用いる。一実施形態では、レンズ材料の吸収帯をカバーするLEDがオンであるとき、吸収ニュートラルであるLEDはオフである。
【0228】
一実施形態では、吸収結像システムは、LEDをスイッチオン及びオフするプログラムを有する中央演算処理装置を含んでいる。一実施形態では、LEDのうち1つのみがどの時点でもオンである。一実施形態では、単一シャッタを用いて、第1のフェーズの間にLEDの一番目を覆い、そして切り換えて、第2のフェーズの間にLEDの二番目を覆ってもよい。この実施形態では、単一シャッタを用いてLEDをスイッチオン及びオフしている。一実施形態では、各LEDは、対応するLEDをスイッチオン及びオフするために開閉する個々のシャッタを有している。一実施形態では、LEDをスイッチオン及びオフするための移動シャッタはない。この実施形態では、吸収結像システムは、オペレーティングシステムであって、LEDにパワーを与え、そしてLEDに対するパワーを中断して、移動シャッタを用いることなくLEDをスイッチオン及びオフするオペレーティングシステムを含んでいる。
【0229】
図37を参照して、一実施形態では、吸収結像システムは、1つ又は2つ以上のLEDを保持する冷却板584(
図18B)の温度を制御するための温度コントローラ590を含んでいる。
【0230】
図19及び38を参照して、一実施形態では、吸収結像システム528は、2つのLED 540A、540Bに対するLED電流ドライバ592を含んでいる。一実施形態では、LED電流ドライバ592によっては、カスタムな「電流ステアリング」がエレクトロニクスに与えられる。一実施形態では、吸収結像システムは、LED 540A、540Bをスイッチオン及びオフし、可能性として、対応するLEDに供給される電流を変えるためのオペレーティングシステム(例えば、ソフトウェアプログラム)を含んでいる。一実施形態では、吸収結像システムはLEDコネクタハブ594を含んでいる。LEDコネクタハブ594は、LED 540A、540BをLED電流ドライバ592と電気的に相互接続する。
【0231】
一実施形態では、LED電流ドライバ592は4チャンネル定電流コントローラである。4チャンネル定電流コントローラは、各LED 540A、540Bに対する独立制御を実現する。
図38では2つのLEDのみを示しているが、他の実施形態では、吸収結像システムは、異なる波長の光を得るために3つ又は4つ以上の別個に制御可能なLEDを有していてもよい。一実施形態では、LED電流ドライバ及び関連する制御システムは、吸収結像システムとLEDとを自動制御するためのUSBインターフェースを含んでいてもよい。
【0232】
図39を参照して、一実施形態では、吸収結像システム628は2つの積分球680、696を含んでいる。大きい方の成形光学素子積分球680は、運動学的取付台648上に配置される成形光学素子上に配置されている。小さい方のLED積分球696は、レンズ材料の吸収帯と、レンズのスペクトルにおける「吸収ニュートラル」である帯域とをカバーする異なる波長の光を生成するLEDを含んでいる。温度制御素子684が小さい方のLED球体696に固定されていて、LEDの温度を調整して、不変の一様な光が得られるようになっている。
【0233】
一実施形態では、
図39に示す吸収結像システム628は、前述で図示し記述した同じ要素のうち多くを有している。一実施形態では、吸収結像システム628は、成形光学素子、一連の結像レンズ650を固定して眼用レンズの画像をカメラ652に送るための運動学的取付台648を含んでいる。カメラ652は、眼用レンズの強度画像を取り込むようにデザインされている。一実施形態では、吸収結像システム628は、機械的な光学的平坦フリッパー655を含んでいる。機械的な光学的平坦フリッパー655は、結像レンズステージ650とカメラ652とを通る光と連動して、結像に用いる2つのスペクトル帯域に対する焦点距離を補正する。
【0234】
図40を参照して、一実施形態では、LED積分球696は内径ID
1が約8~8.9センチメートル(3~3.5インチ)、より好ましくは、約8.4センチメートル(3.3インチ)である。一実施形態では、LED積分球の内面は、スペクトラロン材料又は別の材料であって光を反射するものによってコーティングされている。本明細書で使用される場合、スペクトラロン材料とは、ほとんど完全なランバーティアン反射率を示すようにデザインされた材料である。
【0235】
一実施形態では、LED積分球696は、LED積分球の内部にLED光を送るためのLED入力ポート702を含んでいる。一実施形態では、LED積分球696は、第1のLEDからの第1の光を入力するための第1のポートと、第2のLEDからの第2の光を入力するための第2のポートとを含んでいてもよい。一実施形態では、LED積分球は、両方の光源から球体内に光を入力するための単一ポートを有していてもよい。一実施形態では、LED積分球696は、2つのLEDによって生成される光の品質を試験するためのスペクトロメーターポート704を有している。
【0236】
動作時には、2つのLEDからの光はLED積分球696内で内部反射されて、光の均一性を向上させる(例えば、ランバーティアン)。光は出力ポート706を通って、成形光学素子積分球680の入力ポート708に入る。光は更に成形光学素子積分球680内で内部反射して、光の均一性を向上させる。
【0237】
一実施形態では、成形光学素子積分球680は内径ID2が約13~14.0センチメートル(5~5.5インチ)、より好ましくは、約13.5センチメートル(5.3インチ)である。一実施形態では、成形光学素子積分球の内面は、スペクトラロン材料又は別の材料であって光を内部反射するものによってコーティングされている。前述したように、成形光学素子積分球680は、LED積分球696からの内部反射光を受け取る光入力ポート708を含んでいる。また成形光学素子積分球680は望ましくは、成形光学素子ポート710を含んでいる。成形光学素子ポート710は、運動学的取付台648の上に位置する成形光学素子614を囲んでいる。
【0238】
一実施形態では、成形光学素子積分球680は、スペクトロメーターポート712を含んでいる。スペクトロメーターポート712を用いてスペクトロメーターを挿入して、成形光学素子積分球680内で内部反射される光の品質を観察してもよい。
【0239】
図41を参照して、一実施形態では、吸収結像システム628は支持ベース660を含んでいる。支持ベース660は、基材(例えば、テーブルの表面)の上方の吸収結像システムを支持するようにデザインされている。一実施形態では、システム628は、垂直方向に延びる支持体662を含んでいる。支持体662の上端で成形光学素子積分球680とLED積分球696とを固定している。一実施形態では、成形光学素子積分球680とLED積分球696とは、V
1で指定される垂直軸に沿って上下にスライドするように適応されている。一実施形態では、成形光学素子積分球680を
図41に示す位置まで持ち上げてもよいため、眼用レンズを保持する成形光学素子614を運動学的取付台648の上に配置してもよい。一実施形態では、成形光学素子614を運動学的取付台648の上に位置決めしたらすぐに、成形光学素子積分球680を降下させて、
図39に示す位置に戻して成形光学素子614を覆ってもよい。
【0240】
図42を参照して、一実施形態では、吸収結像システムはスライディングエレベータプレート665を含んでいる。スライディングエレベータプレート665は、垂直方向の支持プレート662に結合されている。スライディングエレベータプレート665は、上端667が成形光学素子積分球680とLED積分球696との両方に取り付けられていて、2つの球体を一緒に上下に移動させるようになっている。一実施形態では、吸収結像システムは積分球が静止しており、結像光学素子/カメラは、成形光学素子装着/取り外し動作の場合により低いところで移動する。
【0241】
一実施形態では、吸収結像システム628は空気圧シリンダ669を含んでいる。空気圧シリンダ669は、空気圧シリンダベース671を介してベース660に固定された下端と、スライディングエレベータプレート665に固定された上端673とを有している。空気圧シリンダ669によって、スライディングエレベータプレート665の上下の垂直の動きが抑制されるため、成形光学素子積分球680が運動学的取付台648上にバタンと閉まることはない。このように閉まると、運動学的取付台648の上に位置する吸収結像システム又は成形光学素子に損傷を与える場合がある。一実施形態では、空気圧シリンダ669によって、スライディングエレベータプレート665が成形光学素子積分球680を自動化又は半自動化動作で持ち上げることができる。一実施形態では、空気圧シリンダ669を一定力バネと交換するか又は一体化させて、成形光学素子球体680とLED球体696とを持ち上げるのに必要な力を減らし、成形光学素子積分球680が運動学的取付台648上にバタンと閉まることを防止してもよい。
【0242】
図43を参照して、一実施形態では、成形光学素子積分球680は、運動学的取付台648の上に位置する成形光学素子614の上に配置されるように適応されている。本明細書でより詳細に説明するように、運動学的取付台648は、成形光学素子614の位置決めと位置合わせとを行なうための安定した基材となるようにデザインされている。
【0243】
図44を参照して、一実施形態では、運動学的取付台648は第1の止め具668と第2の止め具672とを含んでいる。これらは、成形光学素子614のベース615と嵌合するように適応されている。
【0244】
図44、45A、及び45Bを参照して、第1の止め具668は、成形光学素子614の位置の微細なx及びy軸調整を可能にする調整可能点670を含んでいる。同様に、第2の止め具672は、成形光学素子614の位置の微細なx及びy軸調整を可能にする第2の調整可能点674を含んでいる。
【0245】
一実施形態では、運動学的取付台648は、第1の止め具668と第2の止め具672とに対向するプランジャー676を含んでいる。プランジャー676は、成形光学素子614の位置の微細なx及びy軸調整を行なうための少なくとも1つの調整可能な先端677を含んでいる。運動学的取付台648はレリーズ679を含んでいる。レリーズ679は、成形光学素子614を運動学的取付台648に装着及び取り外すときに後退してもよい。一実施形態では、レリーズ679は、レリーズ679を後退及び伸展させるための回転可能な調整要素681A、681Bを含んでいる。
【0246】
図45Bを参照して、一実施形態では、第1の止め具668、第2の止め具672(
図45A)、及びプランジャー676の上端は、成形光学素子614の凸曲面616の下方に位置している。凸曲面616に対する止め具668、672、及びプランジャー676の相対高さを最小限にすることで、吸収結像システム内での成形光学素子614とレンズとが陰になることが回避されている。
【0247】
図46を参照して、一実施形態では、プランジャー676は、第1及び第2の調整可能な先端677A、677Bを含んでいる。先端677A、677Bは、成形光学素子614の微細なx及びy軸位置調整を行なうために調整可能であってもよい。一実施形態では、調整可能な先端677A、677Bの遠位端は、成形光学素子614のベース615の外周端部に当接するように適応されている。
【0248】
図45Aを参照して、一実施形態では、成形光学素子614のベース615の外周は、第1の止め具668の調整ピン670と対向する第1の平坦面と、第2の止め具672の調整ピン674と対向する第2の平坦面と、プランジャー676の調整ピン677と対向する第3の平坦面とを含んでいる。
【0249】
図44及び47を参照して、一実施形態では、吸収結像システム628は、結像レンズセクション650とカメラ652との間に位置する焦点距離調整アセンブリ675を含んでいる。
図47を参照して、一実施形態では、焦点距離調整アセンブリ675は二位置アクチュエータ691を含んでいる。二位置アクチュエータ691は、スイングアーム679を伸展位置と後退位置との間で動かすように適応されている。一実施形態では、スイングアーム679の遠位端は、環状開口部681と、環状開口部681内に挿入される溶融シリカ窓683とを有している。
【0250】
一実施形態では、焦点距離調整アセンブリ675は下部プレート685を含んでいる。下部プレート685によってカメラ652とアームアクチュエータ691とに対する装着点が得られる。焦点距離調整アセンブリ675はまた、光カバー687を含んでいる。光カバー687は、スイングアーム679が延びているときと焦点距離調整アセンブリから引き出されるときの両方において、光が入ることを防止するようにデザインされている。
【0251】
一実施形態では、溶融シリカ窓683は、焦点距離調整アセンブリ675に挿入されるか又はそこから引き出されて、吸収結像システムに対する焦点位置を調整する。
【0252】
図48Aに示すのは、アクチュエータ691に対する第1のスイングアーム位置であり、それによって、スイングアーム679が挿入されてカメラ652と位置合わせされる結果、溶融シリカ窓683がカメラ652と位置合わせされる。
図48Bでは、アクチュエータ691がスイングアーム679を焦点距離調整アセンブリ675から引き出す結果、溶融シリカ窓683はカメラ652と位置合わせされていない。
【0253】
一実施形態では、第1の波長を有する第1の照明源を利用しているときに、スイングアーム679をカメラ652と位置合わせするように挿入し(
図48A)、第2の波長を有する第2の照明源を利用しているときに、
図48Bに示すようにスイングアーム679を後退させる。焦点距離調整アセンブリを用いて、2つの異なる光源によって生成され得る光の2つの異なる焦点距離に適応する。
【0254】
図49を参照して、一実施形態では、吸収結像システム728は、成形光学素子積分球780内に光を送る2つのLED積分球796A及び796Bを含んでいる。1つの実施形態では、第1のLED積分球796Aは、眼用レンズの吸収帯をカバーする光を生成する第1の照明源を含み、第2のLED積分球796Bは、眼用レンズの光開始剤の帯域をカバーする可視光線を生成する第2の照明源を含んでいる。吸収結像システム728は、成形光学素子とレンズとを受け取る運動学的取付台748と、強度画像を生成するためのレンズセット750と、強度画像を取り込むためのカメラ752とを含んでいる。2つの別個の波長又は波長帯を用いることによって、光開始剤が変化する効果又は光学的効果を計算を通して取り除いてもよい。
【0255】
図50を参照して、一実施形態では、吸収結像システム828は、成形光学素子積分球880内に光を送る3つのLED積分球896A、896B、及び896Cを含んでいる。1つの実施形態では、第1のLED積分球896Aは、眼用レンズの吸収帯をカバーする光を生成する第1の照明源を含み、第2のLED積分球896Bは、眼用レンズの「吸収ニュートラル」帯をカバーする可視光線を生成する第2の照明源を含み、第3のLED積分球896Cは、レンズ中に存在する光開始剤材料の漂白に起因する効果を分離する第3の照明源を含んでいる。吸収結像システム828は、成形光学素子と被測定レンズとを受け取る運動学的取付台848と、強度画像を生成するための850レンズセットと、強度画像を取り込むためのカメラ852とを含んでいる。吸収結像システムは、式及び数学を用いて光出力の効果及び漂白効果を取り除いて、レンズ材料の吸収特性に起因する強度変化だけに基づいてレンズ厚さをより正確に決定する。
【0256】
上記の説明は本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の他の及び更なる実施形態を本発明の基本的な範囲から逸脱することなく行なうことが可能であり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。例えば、本発明では、本明細書で説明するか又は本明細書に参照により援用される実施形態のいずれかに示す特徴のいずれかを、本明細書で説明するか又は本明細書に参照により援用されるがやはり本発明の範囲内に含まれる残りの実施形態のいずれかに示す特徴のいずれかと、組み合わせてもよいことが意図されている。
【0257】
〔実施の態様〕
(1) 眼用レンズの厚さを測定する方法であって、
光吸収成分を有する眼用レンズを用意することと、
ある波長を有する光を前記眼用レンズに通すことであって、そうすることで、前記光が前記眼用レンズを通るときに前記光吸収成分が前記光の一部を吸収する、通すことと、
前記光が前記眼用レンズを通った後に、前記光を送って前記眼用レンズに対するデジタル画像を生成することであって、前記デジタル画像は、前記眼用レンズの形状に対応するピクセル強度データを有する、生成することと、
前記眼用レンズを通る前の前記光、前記眼用レンズの前記光吸収成分、及び前記ピクセル強度データについての情報を用いて、前記眼用レンズに対する厚さプロファイルを計算することと、を含む、方法。
(2) 眼用レンズを前記用意するステップは、
凸曲面状の上面を有する成形光学素子を用意することと、
前記成形光学素子の前記凸曲面状の上面の上で前記眼用レンズを形成することと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記波長を有する前記光に対する光源を用意することと、
前記光を通すステップの前に、前記光を生成し、フィルタリングし、拡散することと、を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記成形光学素子の前記凸曲面状の上面を覆う前記眼用レンズに前記光を送り、前記眼用レンズと前記成形光学素子とに前記光を通すことを更に含む、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記デジタル画像を取り込むためのデジタル画像取り込みデバイスを前記成形光学素子の下流に用意することと、
前記成形光学素子と前記デジタル画像取り込みデバイスとの間に、前記デジタル画像取り込みデバイス上に前記光をフォーカスするための1つ又は2つ以上の光学レンズを用意することと、を更に含む、実施態様4に記載の方法。
【0258】
(6) 前記眼用レンズに第2の光を通すことであって、前記第2の光は、前記第1の光とは異なり前記眼用レンズの前記光吸収成分によって吸収されない第2の波長を有する、通すことと、
前記第2の光が前記眼用レンズを通った後に、前記第2の光を送って前記眼用レンズに対する第2のデジタル画像を生成することであって、前記第2のデジタル画像は、前記第2の光が前記眼用レンズを通るときの屈折効果に起因する強度変化に対応する第2のピクセル強度データを有する、生成することと、
前記光吸収成分に起因する厚さを計算するために用いた第1のピクセル強度データから前記第2のピクセル強度データを分離することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記第2のピクセル強度データは、不均一照明の効果に起因する強度変化を更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記第2のピクセル強度データは、前記屈折効果と前記不均一照明の効果との組み合わせの効果に起因する強度変化を更に含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記第1の光を第1の積分球内に配置することと、
前記第2の光を前記第1の積分球から離れた第2の積分球内に配置することと、
前記成形光学素子を、前記第1及び第2の積分球から離れた成形光学素子積分球内に配置することと、を更に含む、実施態様6に記載の方法。
(10) 前記眼用レンズは、前記眼用レンズを通る光によって漂白される光開始剤を含み、前記方法は、
前記眼用レンズに第3の光を通すことであって、前記第3の光は、前記光開始剤によって吸収され、前記眼用レンズの前記光吸収成分によっては吸収されない第3の波長を有する、通すことと、
前記第3の光を前記眼用レンズに通した後に、前記第3の光を送って前記眼用レンズに対する第3のデジタル画像を生成することであって、前記第3のデジタル画像は、前記光開始剤の漂白の効果に対応する第3のピクセル強度データを有する、生成することと、
前記光吸収成分に起因する厚さを計算するために用いた前記第1のピクセル強度データから前記第3のピクセル強度データを分離することと、を更に含む、実施態様6に記載の方法。
【0259】
(11) 前記第1の光を第1の積分球内に配置することと、
前記第2の光を前記第1の積分球から離間配置された第2の積分球内に配置することと、
前記第3の光を前記第1及び第2の積分球から離間配置された第3の積分球内に配置することと、
前記成形光学素子を前記第1、第2、及び第3の積分球から離間配置された成形光学素子積分球内に配置することと、を更に含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記第1の光は前記光吸収成分と前記光開始剤とによって吸収され、前記第2の光は前記光吸収成分と前記光開始剤とのどちらによっても吸収されず、前記第3の光は前記光開始剤によって吸収され、前記光吸収成分によっては吸収されない、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記第1の光は、約365nmの第1の波長を有する光を生成する第1のLEDであり、前記第2の光は、約455nmの第2の波長を有する光を生成する第2のLEDであり、前記第3の光は、約420nmの第3の波長を有する光を生成する第3のLEDであり、前記方法は、どの時点でも前記第1、第2、及び第3のLEDのうちの1つのみを自動的に作動させるように制御システムをプログラムすることを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 眼用レンズの厚さを測定する方法であって、
光吸収成分と光開始剤とを含む眼用レンズを用意することと、
前記光吸収成分と前記光開始剤とによって吸収される第1の波長を有する第1の光を生成する第1のLEDを用意することと、
前記第1の波長とは異なっていて、前記光吸収成分と前記光開始剤とのどちらによっても吸収されない第2の波長を有する第2の光を生成する第2のLEDを用意することと、
前記第1及び第2の波長とは異なっていて、前記光吸収成分によっては吸収されず、前記光開始剤によって吸収される第3の波長を有する第3の光を生成する第3のLEDを用意することと、
異なる時間において、前記第1、第2、及び第3の光を前記眼用レンズに通して、前記眼用レンズ中の屈折効果及び前記光開始剤の存在に起因する光吸収を、前記眼用レンズ中の前記光吸収成分の存在に起因する光吸収から分離して、前記眼用レンズに対する厚さプロファイルを計算することと、を含む、方法。
(15) 前記第1の光が前記眼用レンズを通った後に、前記第1の光を送って前記眼用レンズに対する第1のデジタル画像を生成することであって、前記第1のデジタル画像は、前記眼用レンズの形状に対応する第1のピクセル強度データを有する、生成することと、
前記第2の光が前記眼用レンズを通った後に、前記第2の光を送って前記眼用レンズに対する第2のデジタル画像を生成することであって、前記第2のデジタル画像は、前記第2の光が前記眼用レンズを通るときの屈折効果、不均一照明効果、及び前記屈折効果と前記不均一照明効果との組み合わせに起因する強度変化に対応する第2のピクセル強度データを有する、生成することと、
前記第3の光を前記眼用レンズに通した後に、前記第3の光を送って前記眼用レンズに対する第3のデジタル画像を生成することであって、前記第3のデジタル画像は、前記光開始剤の漂白の効果に対応する第3のピクセル強度データを有する、生成することと、を更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0260】
(16) 中央処理装置を用いて前記第1のピクセル強度データから前記第2のピクセル強度データと前記第3のピクセル強度データとを分離して、前記眼用レンズに対する前記厚さプロファイルを生成することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記眼用レンズに対する前記厚さプロファイルを前記中央処理装置へ送信することと、
前記眼用レンズに対する前記送信された厚さプロファイルを所定の厚さプロファイルと比較することと、
前記送信された厚さプロファイルが前記所定の厚さプロファイルと等しくない場合に、その後に製造される眼用レンズの厚さを調整するための信号を生成することと、を更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 眼用レンズに対する前記生成された厚さプロファイルを前記所定の厚さプロファイルと繰り返して比較することによって、その後に製造される眼用レンズに対して反復変更を施すことを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 眼用レンズの厚さを測定するための吸収結像システムであって、
第1の波長を有する第1の光を生成する照明源と、
凸曲面状の上面を有する成形光学素子と、
前記成形光学素子の前記凸曲面状の上面を覆う眼用レンズであって、
前記第1の光が前記眼用レンズと前記成形光学素子とを通るときに前記第1の光の一部を吸収する光吸収成分を含む、眼用レンズと、
前記第1の光が前記眼用レンズと前記成形光学素子とを通った後に前記第1の光の第1のデジタル画像を取り込むための、前記成形光学素子の下流に位置するデジタル画像取り込みデバイスであって、前記第1のデジタル画像は、前記眼用レンズの形状に対応する第1のピクセル強度データを有する、デジタル画像取り込みデバイスと、
前記第1の光を前記眼用レンズと前記成形光学素子とに通す前に前記第1のピクセル強度データを前記第1の光の強度と比較して前記眼用レンズに対する厚さプロファイルを生成するプログラムを有する中央演算処理装置と、を備える、吸収結像システム。
(20) 前記第1の波長とは異なっていて、前記眼用レンズの前記光吸収成分によって吸収されない第2の波長を有する第2の光を生成する第2の照明源を更に備え、
前記デジタル画像取り込みデバイスは、前記第2の光が前記眼用レンズと前記成形光学素子とを通った後に前記第2の光の第2のデジタル画像を取り込み、
前記第2のデジタル画像は、前記第2の光が前記眼用レンズを通るときの屈折効果と不均一照明効果とに対応する第2のピクセル強度データを有し、
前記中央演算処理装置の前記プログラムは、前記第1のピクセル強度データから前記第2のピクセル強度データを分離して、前記眼用レンズに対する前記厚さプロファイルを生成するようにプログラムされている、実施態様19に記載の吸収結像システム。
【0261】
(21) 前記第2のピクセル強度データは、前記屈折効果と前記不均一照明欠陥との組み合わせに起因する強度データの変化を更に含む、実施態様20に記載の吸収結像システム。
(22) 前記眼用レンズは光開始剤を含み、前記吸収結像システムは、
前記第1及び第2の波長とは異なっていて、前記光開始剤によって吸収され、前記光吸収成分によっては吸収されない第3の波長を有する第3の光を生成する第3の照明源を更に備え、
前記デジタル画像取り込みデバイスは、前記第3の光が前記眼用レンズと前記成形光学素子とを通った後に前記第3の光の第3のデジタル画像を取り込み、
前記第3のデジタル画像は、前記光開始剤の漂白の効果に対応する第3のピクセル強度データを有し、
前記中央演算処理装置の前記プログラムは、前記第1のピクセル強度データから前記第3のピクセル強度データを分離して、前記眼用レンズに対する前記厚さプロファイルを生成する、実施態様20に記載の吸収結像システム。
(23) 前記第1の照明源を収容する第1の積分球と、
前記第2の照明源を収容する第2の積分球であって、前記第1の積分球から離間配置された第2の積分球と、
前記第3の照明源を収容する第3の積分球であって、前記第1及び第2の積分球から離間配置された第3の積分球と、
前記成形光学素子と前記眼用レンズとを収容する成形光学素子積分球であって、前記第1、第2、及び第3の積分球から離間配置された成形光学素子積分球と、を更に備える、実施態様22に記載の吸収結像システム。