(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
A63F5/04 671
A63F5/04 651
(21)【出願番号】P 2017143951
(22)【出願日】2017-07-25
【審査請求日】2020-06-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
(72)【発明者】
【氏名】平田 征也
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭吾
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-079878(JP,A)
【文献】特許第5802308(JP,B1)
【文献】特開2013-132512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F5/04、7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を行うことが可能な遊技機であって、
価値を付与する付与手段と、
所定期間に制御する期間制御手段と、
前記所定期間において付与された価値の量に基づく価値情報の更新を制御する更新制御手段と、
前記更新制御手段によって更新された価値情報
の報知
を制御する報知
制御手段とを備え、
前記所定期間は、第1期間と、付与される価値の量の期待値が該第1期間よりも大きい第2期間とを含み、
前記報知
制御手段は
、
前記第1期間において前記価値情報を報知せず、
前記第2期間
において特定演出が実行されていない場合に、前記価値情報を報知し、
前記第2期間において前記特定演出が実行されている場合に、前記価値情報を報知せず、
前記期間制御手段は、前記第2期間から前記第1期間に制御した後に、該第1期間から前記第2期間に制御可能であり、
前記更新制御手段は、
前記第2期間から前記第1期間に制御
する場合に、
前記価値情報の更新を中断し、
前記第1期間から前記第2期間に制御
する場合に、中断した価値情報の更新を再開
し、
前記第2期間において前記特定演出が実行されていない場合に、前記価値情報の更新を行い、
前記第2期間において前記特定演出が実行されている場合に、前記価値情報の更新を行わない、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、所定の賭数を設定し、スタート操作が行われたことに基づいて、複数種類の識別情報の可変表示が行われるスロットマシンや、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、該遊技領域に設けられている入賞口などの始動領域に遊技媒体が入賞したときに複数種類の識別情報の可変表示が行われるパチンコ遊技機などがある。
【0003】
この種の遊技機のうち、たとえば、スロットマシンにおいて、メダルの獲得枚数を計数し、ART中、および該ARTに到達するまでのART準備中などにおいて、該獲得枚数を表示するものがあった(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の遊技機では、メダルの増加率が低い期間でもメダルの獲得枚数を表示していた。したがって、遊技者がメダルの増加率が低いことを認識してしまうことから、遊技の興趣を低下させていた。
【0006】
この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、所定期間において付与された遊技用価値の累計量を表示可能な遊技機において、遊技の興趣を低下させることを防止する遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
遊技を行うことが可能な遊技機であって、
価値を付与する付与手段と、
所定期間に制御する期間制御手段と、
前記所定期間において付与された価値の量に基づく価値情報の更新を制御する更新制御手段と、
前記更新制御手段によって更新された価値情報
の報知
を制御する報知
制御手段とを備え、
前記所定期間は、第1期間と、付与される価値の量の期待値が該第1期間よりも大きい第2期間とを含み、
前記報知
制御手段は
、
前記第1期間において前記価値情報を報知せず、
前記第2期間
において特定演出が実行されていない場合に、前記価値情報を報知し、
前記第2期間において前記特定演出が実行されている場合に、前記価値情報を報知せず、
前記期間制御手段は、前記第2期間から前記第1期間に制御した後に、該第1期間から前記第2期間に制御可能であり、
前記更新制御手段は、
前記第2期間から前記第1期間に制御
する場合に、
前記価値情報の更新を中断し、
前記第1期間から前記第2期間に制御
する場合に、中断した価値情報の更新を再開
し、
前記第2期間において前記特定演出が実行されていない場合に、前記価値情報の更新を行い、
前記第2期間において前記特定演出が実行されている場合に、前記価値情報の更新を行わない。
また、遊技機は、以下のような構成であってもよい。
(1) 遊技を行うことが可能な遊技機(たとえば、スロットマシン1)であって、
遊技用価値(たとえば、メダル)を付与する付与手段(たとえば、メイン制御部41)と、
所定期間(たとえば、
図3に示すタイミングT1以降の期間)において付与された遊技用価値の量を算出する算出手段(たとえば、サブ制御部91)と、
前記算出手段によって算出された遊技用価値の量に基づいた遊技用価値情報(たとえば、累計枚数)を報知する報知手段(たとえば、サブ制御部91)とを備え、
前記所定期間は、第1期間(たとえば、ボーナス内部中およびART準備中)と、付与される遊技用価値の量の期待値が該第1期間よりも大きい第2期間(たとえば、ART中およびボーナス中)とを含み、
前記報知手段は、前記第1期間と前記第2期間のうち前記第2期間であるときのみ前記遊技用価値情報を報知する(たとえば、
図3に示すように、ART中およびボーナス中では、累計枚数を表示する一方、ボーナス内部中およびART準備中では、累計枚数を表示しない)。
【0008】
このような構成によれば、付与される遊技用価値の量の期待値が第2期間よりも小さい第1期間では、遊技用価値情報を報知しないことから、付与される遊技用価値の期待値が小さい状況を遊技者に認識させずに、遊技の期待感を持続させることができる。したがって、遊技の興趣を低下させることを防止できる。
【0009】
なお、「算出手段が算出する遊技用価値の量」とは、「「付与された遊技用価値の量」から「遊技に用いられた(賭数設定に用いられた)遊技用価値の量」を差し引いた純増量」としてもよい。また、「算出手段が算出する遊技用価値の量」とは、「遊技に用いられた(賭数で設定された)遊技用価値の量」を考慮せずに、「付与された遊技用価値の量」としてもよい。
【0010】
(2) (1)の遊技機において、
前記第1期間で付与される遊技用価値の期待値は、該第1期間で遊技に用いられる遊技用価値の量よりも小さい(たとえば、ボーナス内部中、およびART準備状態中は、メダルが減少する期間である)。
【0011】
このような構成によれば、遊技用価値の期待値が遊技に用いられる遊技用価値の量よりも小さい状況を遊技者に認識させずに、遊技の期待感を持続させることができる。
【0012】
(3) (1)または(2)の遊技機において、
前記算出手段は、前記第1期間では、該第1期間で付与された遊技用価値の量を用いて、遊技用価値の量を算出しない(たとえば、
図3(B)に示すように、ボーナス内部中、およびART準備状態中では、RAM91cの更新処理を実行しない)。
【0013】
このような構成によれば、付与される遊技用価値の量の期待値が第2期間よりも小さい第1期間では、遊技用価値の量を算出しないことから、付与される遊技用価値の期待値が小さい旨を遊技用価値情報に反映させないようにすることができる。したがって、該第1期間が終了した後の期間では、遊技用価値の期待値が小さい旨が反映されていない遊技用価値情報を報知することから、実際よりも遊技用価値が多く付与された旨を遊技者に認識させることができる。
【0014】
(4) (1)~(3)いずれか1項に記載の遊技機において、
遊技用価値の付与に基づく所定条件が成立したときに、前記第1期間であるか否かに関わらず、所定演出(たとえば、小役入賞演出)を実行可能な所定演出実行手段(たとえば、サブ制御部91)をさらに備える。
【0015】
このような構成によれば、第1期間であるか否かに関わらず、所定演出の実行により遊技用価値が付与されたことを遊技者に認識させることができる。
【0016】
(5) (1)~(4)いずれか1項に記載の遊技機において、
前記第2期間は、第1有利状態(たとえば、ART状態)に制御されている期間と、第2有利状態(たとえば、ボーナス状態)に制御されている期間とであり、
前記第1期間は、前記第1有利状態が終了したときから前記第2有利状態が開始するときまでの期間である(たとえば、ボーナス内部中は、ART状態が終了したときから、ボーナス状態が開始するときまでの期間である)。
【0017】
このような構成によれば、第1有利状態と第2有利状態との間においても、付与される遊技用価値の期待値が小さい状況を遊技者に認識させずに、遊技の期待感を持続させることができる。
【0018】
(6) (1)~(5)いずれか1項に記載の遊技機において、
前記第1期間であるか否かに関わらず、特定演出(たとえば、バトル演出)を実行可能な(たとえば、
図3および
図4に示すように、ボーナス内部中であるか否かに関わらず、バトル演出を実行可能な)特定演出実行手段(たとえば、サブ制御部91)をさらに備え、
前記報知手段は、前記特定演出の実行中には、前記第1期間であるか否かに関わらず、前記遊技用価値情報を報知しない(たとえば、
図3(B)および
図4(B)に示すように、バトル演出の実行中は、ボーナス内部中であるかART状態中であるかに関わらず、累計枚数を報知しない)
このような構成によれば、第1期間であるか否かを遊技者に判別させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係るスロットマシンの正面図などを示す図である。
【
図3】ART中にボーナス当選したときを示す図である。
【
図4】ART中にボーナス当選しなかったときを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。以下の実施の形態では、本発明がスロットマシンに適用された場合の一例を説明する。
【0021】
[スロットマシンの構成]
図1(a)は、本実施形態に係るスロットマシンの正面図であり、
図1(b)は、スロットマシン1の主な内部構成の一例を示す図である。
図2は、リールの図柄配列を示す図である。
図1(a)に示すように、スロットマシン1は、前面扉1bに液晶表示器51が設けられ、透視窓3を介して筐体1a内部に並設されているリール2L,2C,2Rが視認可能となる。
図2に示すように、各リールには、各々が識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。
【0022】
図1(a)に示すように、前面扉1bには、操作手段の一例として、遊技者所有の遊技用価値(メダル数)として記憶されているクレジットの範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数(本実施形態では3)の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リールの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L,8C,8R、および演出に用いるための演出用スイッチ56などが設けられている。
【0023】
前面扉1bには、報知手段の一例として、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、クレジットとして記憶されているメダル数が表示されるクレジット表示器11、メダルの払出枚数やエラー時にエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12、設定されている賭数を報知するための1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16、メダル投入が可能であることを報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が可能であることを報知するスタート有効LED18、ウエイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウエイト中LED19、およびリプレイ入賞後のリプレイゲーム中であることを報知するリプレイ中LED20が設けられている。
【0024】
スロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4に投入するかMAXBETスイッチ6の操作などにより規定数の賭数(たとえば3)を設定する。これにより、入賞ラインLNが有効となり、かつスタートスイッチ7への操作が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。賭数設定済の状態でメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0025】
入賞ラインとは、リール2L,2C,2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するためのラインである。本実施形態では、1本の入賞ラインLNのみ設けられている例について説明するが、複数の入賞ラインが設けられているものであってもよい。また、入賞を構成する図柄の組合せが入賞ラインLNに揃ったことを認識しやすくする無効ラインLM1~LM4が設けられている。
【0026】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7が操作されると、導出する表示結果を決定する内部抽選が実行されるとともに、リール2L,2C,2Rを回転させて図柄を変動表示し、ストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると対応するリールの回転を停止させることで、透視窓3の上中下段に3つの図柄を表示結果として導出表示する。入賞ラインLN上に入賞図柄の組合せが停止し入賞が発生したときには、入賞に応じて、所定枚数のメダルが遊技者に対して付与されて、クレジット加算か、クレジットが上限数(50)に達した場合にはメダル払出口9からメダルが払い出される。
【0027】
図1(b)に示すように、スロットマシン1の内部には、遊技の進行を制御するとともに遊技の進行に応じて各種コマンドを出力する遊技制御基板40、およびコマンドに応じて所定の演出を制御する演出制御基板90などが設けられている。遊技制御基板40は、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載あるいは接続された構成を制御するメイン制御部41を備える。演出制御基板90は、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて演出を行う処理を行うとともに、演出制御基板90に搭載あるいは接続された構成を制御するサブ制御部91を備える。
【0028】
メイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータにて構成され、ワークメモリとして使用されるRAM41c、プログラムに従って制御動作を行うメインCPU41aが内蔵されており、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L,8C,8R、および精算スイッチ10が操作されると、当該操作されたことを検出するための検出信号がメイン制御部41に入力される。メイン制御部41は、これら各種スイッチからの検出信号に基づき、これら各種スイッチへの操作を検出する。メイン制御部41からは、遊技用表示部13に含まれる各種表示器を点灯制御あるいは表示制御するための制御信号が遊技用表示部13に出力される。遊技用表示部13に含まれる各種表示器は、メイン制御部41からの制御信号に基づき、点灯あるいは所定情報を表示する。
【0029】
サブ制御部91は、メイン制御部41と同様に1チップマイクロコンピュータにて構成され、ワークメモリとして使用されるRAM91c、プログラムに従って制御動作を行うサブCPU91aが内蔵されており、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。演出用スイッチ56が操作されると、当該操作されたことを検出するための検出信号がサブ制御部91に入力される。サブ制御部91は、演出用スイッチ56からの検出信号に基づき、演出用スイッチ56への操作を検出する。サブ制御部91からは、液晶表示器51およびスピーカ53,54のそれぞれを制御するための制御信号が液晶表示器51およびスピーカ53,54のそれぞれに出力される。液晶表示器51は、サブ制御部91からの制御信号に基づき、所定情報を表示する。また、スピーカ53,54は、サブ制御部91からの制御信号に基づき、音声を出力する。なお、
図1(b)は、あくまで一例であり、スロットマシン1の内部にはその他の構成も設けられている。
【0030】
また、本実施形態の入賞役は、遊技用価値(メダル)の払い出しを伴う小役と、再遊技を付与するリプレイと、遊技者にとって有利な遊技状態への移行を伴う特別役(たとえば、ボーナスなど)とがある。再遊技を付与するとは、遊技用価値(メダル、クレジットなど)を用いた賭数の設定を行わずとも賭数を自動設定(自動BET)させることにより次のゲームを行うことが可能となることである。再遊技を付与するとは、換言すれば、BET操作を行なわずとも、次のゲームを開始可能とすることである。
【0031】
また、各入賞が発生するためには、内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。たとえば、ベルが入賞するためには、ベルが当選している必要がある。また、内部抽選により抽選される対象役を抽選対象役または当選役という。当選役は1以上の入賞役から構成される。
【0032】
また、本実施形態に係るスロットマシンは、所定のナビ対象役(たとえば、押し順小役および押し順リプ)が当選したときに、内部抽選の結果に対応する情報を報知する機能を備えている。また、該情報は、たとえば、遊技者にとっての操作態様(操作順序および操作タイミングのうち少なくとも一方)を特定可能な情報である。そのような報知のための演出をナビ演出という。ナビ演出が行われる期間をアシストタイム(AT)という。ATは、遊技者にとって有利な状態の一例である。ナビ演出では、たとえば、押し順リプが当選したゲームでは、昇格出目を導出させるための操作態様を報知する。また、ナビ演出では、たとえば、押し順小役が当選したゲームでは、メダル払出枚数が多い小役(以下では、「主役」という。)を導出させるための操作態様を報知する。
【0033】
本実施形態では、遊技者にとって有利なリプレイの当選確率の高いRT(後述の
図2に示すRT3)においてATに制御されている状態を、特に、アシストリプレイタイム(以下、ARTという)と呼ぶ。
【0034】
[遊技状態]
図2を用いて、スロットマシン1が制御する遊技状態を説明する。スロットマシン1では、制御可能な遊技状態として、RT0、RT1、RT2、RT3、RT4、およびボーナスが設けられている。RT0~RT4のリプレイ当選確率は、RT3>RT2>RT0=RT1=RT4となっている。また、RT0~RT4の小役当選確率は全て同一である。以下では、RT0およびR1を不利RT、RT2およびRT3を有利RTともいう。
【0035】
ボーナス中は、たとえば、共通小役が極めて高い確率で当選するように定められている。共通小役は、操作タイミングに関わらず入賞を発生し得る役である。このため、ボーナス中においては、操作タイミングおよび押し順に関わらず、極めて高い確率で共通小役の入賞を発生させることができ、メダル枚数を効率的に増加させることができる。このため、ボーナスは、遊技者にとって有利な状態である。
【0036】
また、遊技状態の移行契機(移行条件)は、矢印の近傍に記載された通りである。たとえば、RT2に制御されているときにおいて、移行出目が導出されたときに、RT1に移行(転落)する。
【0037】
また、サブ制御部91は、RAM91cを用いて、所定期間において付与された遊技用価値(本実施形態では、メダル)の量を算出することにより、付与されたメダルの累計量を算出する。所定期間とは、本実施形態では、遊技者にとって有利な期間であり、たとえば、後述の第1期間と第2期間とを含む期間である。本実施形態では、サブ制御部91は、メダルの純増数を累計する。メダルの純増数とは、付与されたメダル枚数から、消費されたメダル枚数を差し引いた値である。本実施形態では、1ゲームを遊技するために必要な賭数は「3」である。したがって、たとえば、9枚役(9枚のメダルを払出す小役)が入賞したゲームでは、純増枚数は6枚となる。累計されたメダルの純増枚数を「累計枚数」という。
【0038】
また、所定期間は、第1期間と、第2期間とを含む。第2期間は、付与されるメダル枚数の期待値が該第1期間よりも大きい期間である。第1期間は、ボーナス内部状態中およびART準備状態中である。第2期間は、ART中およびボーナス中である。
【0039】
1ゲームにおける「付与されるメダル枚数の期待値」とは、該1ゲームにおいて、「1の小役の当選確率」に、「該1の小役が入賞したときに払出されるメダル枚数」を乗算した値について、全ての小役の合算値である。
【0040】
第1期間は、該第1期間で付与されるメダルの期待値は、該第1期間で遊技に用いられる(賭数設定により消費される)メダルの量よりも小さい。たとえば、第1期間が10ゲームである場合には、1ゲーム開始に必要な賭数は、「3」であることから、遊技に用いられるメダル枚数は、「30」である。また、該10ゲームで付与されるメダルの期待値は、たとえば、「25」となる。したがって、第1期間で遊技を継続すると、遊技者が保有する遊技用価値(メダル、クレジット)は減少することになる。
【0041】
第2期間は、該第2期間で付与されるメダルの期待値は、該第2期間で遊技に用いられる(賭数設定により消費される)メダルの量よりも小さい。たとえば、第2期間が10ゲームである場合には、1ゲーム開始に必要な賭数は、「3」であることから、遊技に用いられるメダル枚数は、「30」である。また、該10ゲームで付与されるメダルの期待値は、たとえば、「45」となる。したがって、第2期間で遊技を継続すると、遊技者が保有する遊技用価値(メダル、クレジット)は増加することになる。
【0042】
このように、所定期間には、遊技を継続すると遊技者が保有する遊技用価値(メダル、クレジット)は減少する第1期間と、遊技を継続すると遊技者が保有する遊技用価値(メダル、クレジット)は増加する第2期間とを含むことから、所定期間では多様な期間に制御させることが可能となる。
【0043】
サブ制御部91は、メダルが付与されたときに、RAM91cで記憶している累計枚数に対して該付与に応じた枚数分(付与されたメダルの量を用いて)、増加更新を実行する。また、サブ制御部91は、メダルが減少されたときに(賭数が設定されたときに)、RAM91cで記憶している累計枚数に対して該減少に応じた枚数分、減少更新を実行する。以下では、この増加更新および減少更新をまとめて「更新処理」という。サブ制御部91は、メイン制御部41から送信されるコマンドに基づいてメダルの増加および減少を特定できる。また、本実施形態の更新処理は、サブ制御部91による算出処理として、「付与されたメダル枚数」と、「減少したメダル枚数」との双方を用いて実行される。
【0044】
サブ制御部91は、所定期間において、RAM91cで記憶されている累計枚数を液晶表示器51に表示する。これにより、遊技者は、累計枚数を認識できる。また、サブ制御部91は、RAM91cで記憶されている累計枚数の増加更新に伴って、表示されている累計枚数も増加更新する。サブ制御部91は、RAM91cで記憶されている累計枚数の減少更新に伴って、表示されている累計枚数も減少更新する。
【0045】
[ART中およびボーナス中の累計枚数の表示]
次に、
図3および
図4を用いて、ART中およびボーナス中の累計枚数の表示について説明する。
図3(A)および
図4(A)は遊技状態を示し、
図3(B)および
図4(B)は累計枚数表示の実行の有無を示し、
図3(C)および
図4(C)は演出画面(液晶表示器51に表示される画面)を示す。なお、
図3および
図4において、「G」とは「ゲーム数」を意味する。
【0046】
タイミングT1は、ART中のタイミングである。ART中は、該ART中での累計枚数が所定領域に表示されるとともに、RAM91cの更新処理が実行される(
図3(B)では、ON状態となっている)。また、ART中は、ATの残りゲーム数が特定領域に表示される。
図3(C)の例では、所定領域としての左上領域に、累計枚数として「50枚」と表示される。また、
図3(C)の例では、特定領域としての右上領域に、ATの残りゲーム数として「20ゲーム」が表示されている。また、タイミングT1ではAT中のナビ演出として、「中右左だ!」という文字が表示されるナビ演出が実行されている。
【0047】
タイミングT2は、ART中にボーナス当選したタイミングである。ART中にボーナス当選したときには、RT3から、
図2に示すボーナス内部中(内部中RT)に遷移する。このボーナス内部中とは、ボーナス当選が持ち越された状態である。これにより、ARTは中断される。ボーナス内部中は、ART中での累計枚数およびATの残りゲーム数は表示されない。また、RAM91cの更新処理も実行されない。また、ボーナス内部中は、ナビ演出は実行されない。ここで、「更新処理を実行しない」とは、「付与されたメダル枚数」と、「減少したメダル枚数」との双方を用いた更新処理を実行しないということである。
【0048】
また、本実施形態では、ボーナス当選しているゲーム(ボーナス当選したゲーム、およびボーナス当選が持ち越されているゲーム)において、再遊技役または小役が当選したときには、当該当選した再遊技役または小役を優先して入賞させる優先制御が実行される。この優先制御が実行されることにより、ボーナス当選を持ち越すことができつつ、当選した再遊技役または小役を入賞させることができる。
【0049】
また、ボーナス内部中は、内部抽選において、入賞を発生させる役が何ら当選しない確率(以下、「ハズレ確率」という。)が、他の状態(たとえば、RT2およびRT3)よりも高い。本実施形態では、ボーナス内部中は、リプレイの当選確率が他の状態よりも低い状態である。仮に、ボーナス内部中状態を、「ハズレ確率が他の状態よりも低い状態」とすると、ボーナス当選しながらもリプレイ当選する確率が高まることになる。そうすると、優先制御が実行されることから、ボーナスよりもリプレイが優先して入賞してしまうことから、ボーナス入賞し難くなってしまう。本実施形態では、ハズレ確率が他の状態よりも高いことから、ボーナス内部中ではなるべく早くボーナスを入賞させるようにできる。また、ボーナス内部中では、ナビ演出も実行されず、かつリプレイの当選確率が他の状態よりも低いことから、該ボーナス内分中で遊技を継続すると、遊技者が保有する遊技用価値(メダル、クレジット)は減少することになる。
【0050】
なお、変形例として、ボーナス内部中は、前述の優先制御を実行せずに、ボーナス当選と他の入賞役が当選しているゲームにおいて、当該他の入賞役よりもボーナスを優先して入賞させるボーナス優先制御を実行するようにしてもよい。このような変形例であっても、ボーナス内部中ではなるべく早くボーナスを入賞させるようにできる。また、ボーナス内部中にボーナス優先制御を実行するスロットマシンでは、ボーナス内部中にナビ演出が実行されないことも相まって、該ボーナス内分中で遊技を継続すると、遊技者が保有する遊技用価値(メダル、クレジット)は減少することになる。
【0051】
また、タイミングT2では、サブ制御部91により特定演出が実行される。本実施形態では、この特定演出をバトル演出とする。バトル演出とは、味方キャラと敵キャラとがバトルを行う画面が液晶表示器51に表示される演出である。バトル演出は、1以上のゲーム数に亘って実行される演出である。バトル演出が実行されるゲーム数は乱数抽選などにより決定される。バトル演出の開始タイミングは、ゲームの開始に関連するタイミング(たとえば、レバーオン操作時)であり、バトル演出の終了タイミングは、ゲームの終了時に関連するタイミング(たとえば、第3停止時)である。
【0052】
バトル演出は、ボーナス当選したときに実行される。また、バトル演出は、ボーナス当選しなかったが乱数抽選でバトル演出を実行する旨が決定されたときにも実行される。このように、バトル演出は、ボーナス当選したときにもボーナス当選しなかったときにも実行される演出であることから、ボーナス当選したことの可能性を示唆する(ボーナス当選したか否かを煽る)演出であるといえる。
【0053】
バトル演出が終了したとき、つまり、バトル演出を終了させる第3停止が実行されたときに、結果演出が実行される。結果演出とは、ボーナス当選したか否かの結果を報知する演出である。ボーナス当選したときに実行されるバトル演出が終了したときには、結果演出として勝利演出が実行される。勝利演出とは、ボーナス当選したことを報知する演出であって、味方キャラが敵キャラに勝利する画面が表示される演出である。ボーナス当選しなかったときに実行されるバトル演出が終了したときには、結果演出として敗北演出が実行される。敗北演出とは、ボーナス当選しなかったことを報知する演出であって、味方キャラが敵キャラに敗北する画面が表示される演出である。
【0054】
なお、特定演出は、バトル演出に限られずに、ボーナス当選したか否かを煽る演出であれば、如何なる演出であってもよい。たとえば、特定演出は、所定キャラのエピソード画面が表示されるエピソード演出であってもよい。
【0055】
タイミングT3は、勝利演出が実行されるタイミングである。この勝利演出により、遊技者は、ボーナス当選した旨を認識する。また、勝利演出の実行後には、「ボーナス図柄を揃えろ!」といったボーナス図柄演出が実行される。このボーナス図柄演出により、遊技者は導出すべきボーナス図柄を認識できる。
【0056】
また、ボーナス図柄が揃えられることにより、ボーナス入賞する。ボーナス入賞したゲームの次のゲームからボーナスが開始される。タイミングT4は、ボーナスが開始されるタイミングである。本実施形態のボーナスの終了条件は、このボーナス中に、所定枚数以上のメダルが付与されることにより成立する条件である。本実施形態では、この所定枚数を「200枚」とする。ボーナス中に200枚以上のメダルが付与されると、ボーナスの終了条件が成立することにより、ボーナスは終了する。
【0057】
ボーナス中は、該ART中からの累計枚数が所定領域(左上の領域)に表示される(
図3(B)では、ON状態となっている)。ここで、ボーナス内部中は、更新処理が実行されないことから、ボーナスの開始ゲーム(ボーナス中の1ゲーム目のゲーム)では、ARTの中断時の累計枚数が表示されることになる。
【0058】
また、ボーナス中は、RAM91cの更新処理が実行される(
図3(B)では、ON状態となっている)。また、ボーナス中は、特定領域(右上の領域)に、終了条件に基づく最大枚数までのメダルの枚数が表示される。
【0059】
タイミングT5は、ボーナスが終了したタイミング(ボーナスが終了した条件が成立したタイミング)である。タイミングT5では、ART準備状態が開始する。ここで、ART準備状態とは、ARTに移行するまでの状態である。
図2に示すように、ボーナスが終了したときには、RT0に移行される。このRT0において、押し順小役が当選したときには、ナビ演出が実行されないことから、主役を入賞させることは困難であり、移行出目が導出される。この移行出目の導出により、RT1に移行される。また、ATについては中断したものの、ATの残りゲーム数は残存していることから、このRT1およびRT2(RT1で昇格出目が導出されることにより遷移するRT)では、押し順リプが当選したゲームでは、ナビ演出が実行される。このナビ演出で報知された操作態様通りにストップスイッチが操作されることにより、昇格出目が導出される。これにより、RT3に移行される。ART準備状態とは、ボーナス終了時に移行されたRT0から、このRT3に移行されるまでの状態をいう。また、ART準備状態中ではナビ演出が実行されるものの、AT残りゲーム数は減少しない。このように、ART準備状態中では、ナビ演出が実行される。また、ART準備状態中では、累計枚数表示および更新処理は実行されない(
図3(B)では、OFF状態となっている)。
【0060】
タイミングT6は、ARTが再開したタイミング、つまり、RT3に到達したタイミングである。ART中では、累計枚数表示および更新処理は実行される(
図3(B)では、ON状態となっている)。また、ART中では、ナビ演出が実行されるとともに、ゲーム消化とともに、AT残りゲーム数も減少する。
【0061】
図4は、ART中にボーナス当選しなかった場合を示す図である。タイミングT2は、内部抽選において、ボーナス非当選し、かつ、乱数抽選によりバトル演出が実行されることが決定されたタイミングである。つまり、このバトル演出は、ボーナス非当選でもあるにもかかわらず実行された所謂ガセ演出である。このガセ演出であるバトル演出中は、実際は、ART中であるが、累計枚数の表示およびRAM91cの更新処理は実行されない(
図4(B)では、OFF状態となっている)。
図3(B)および
図4(B)に示すように、ボーナス当選しているときに実行されるバトル演出中でも、ボーナス当選していないときに実行されるバトル演出中でも、累計枚数の表示およびRAM91cの更新処理は実行されない。
【0062】
タイミングT3は、バトル演出が終了したタイミングである。このタイミングT3では敗北演出が実行される。この敗北演出により、遊技者は、ボーナス当選しなかったことを認識できる。なお、ガセ演出であるバトル演出中では、ナビ演出は実行されない。敗北演出の実行時(第3停止時)の次のゲームの開始時(タイミングT4)から、ナビ演出が再開される。また、累計枚数の表示およびRAM91cの更新処理も実行される(
図3(B)では、ON状態となっている)。
【0063】
また、第1期間、および第2期間のいずれであっても、小役が入賞したときには小役入賞演出を実行可能である。小役入賞演出は、いかなる演出であってもよいが、たとえば、小役が入賞したときに、払い出されるメダル枚数を報知する演出である。たとえば、9枚のメダルを払い出す9枚役が入賞した場合には、「9枚GET!おめでとう!」といった文字を表示する演出である。
【0064】
[遊技機について]
前述した本実施形態の技術思想が適用される遊技機は、スロットマシンに限られず他の遊技機に適用してもよい。たとえば、前述の技術思想のうちパチンコ遊技機に適用可能な思想については、パチンコ遊技機に適用してもよい。該パチンコ遊技機は、遊技者により遊技球が打ち込まれる遊技領域を有し、始動条件の成立に応じて、各々を識別可能な複数種類の識別情報の変動表示(図柄)を行なう変動表示手段を備え、該変動表示手段に導出された識別情報の表示結果が予め定められた特定表示結果となったときに、大当り状態に制御される。大当り状態とは、所定位置(たとえば、画像表示装置の下位置)に設置された大入賞口が所定期間開放される状態をいう。開放された大入賞口に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が払出される。また、大当り状態には、それぞれラウンド数(以下、「R」と示す)が異なる複数種類の大当り状態が含まれる。たとえば、2Rの大当り状態、15Rの大当り状態と、16Rの大当り状態とがある。このパチンコ遊技機では、入賞口に遊技玉が入賞(進入)すると所定の遊技玉が付与される。
【0065】
また、大当り状態が、確変付き大当り状態である場合には、確変付き大当り状態が終了した後に、確変状態に制御可能である。確変状態とは、確変状態ではない通常状態と比較して、大当り状態に当選する確率が高い状態である。また、このパチンコ遊技機では、時短状態にも制御可能である。時短状態とは、特別図柄や演出図柄の変動時間(変動表示期間)が非時短状態よりも短縮される状態である。以下では、確変状態中の期間、および時短状態中の期間を「第1期間」とする。また、大当り状態中を「第2期間」とする。
【0066】
また、第1期間で付与される遊技用価値(遊技球)の期待値は、該第1期間で遊技に用いられる遊技球(打ち込まれた遊技球)の量よりも小さい。第2期間で付与される遊技用価値(遊技球)の期待値は、該第1期間で遊技に用いられる遊技球(打ち込まれた遊技球)の量よりも大きい。
【0067】
また、パチンコ遊技機は、種々の情報を表示する表示部を備える。この表示部では、遊技球の累計個数を表示可能である。
【0068】
このようなパチンコ遊技機において、一例として、
図3のタイミングT1~タイミングT2までのARTが「2Rの大当り状態」に代替され、タイミングT2~T4のボーナス内部中が「確変状態」に代替され、タイミングT4~T5のボーナス中が「15Rの大当り状態」に代替され、タイミングT5~T6のART準備状態中が「時短状態」となり、タイミングT6以降の状態が、「16Rの大当り状態」に代替される。
【0069】
また、バトル演出については、15Rの大当り状態に当選しているか否かを煽る演出となる(
図4も参照)。また、遊技球の付与に基づく所定条件が成立したときに(たとえば、入賞口に遊技球が入賞したときに)、第1期間であるか否かに関わらず、所定演出を実行可能である。この所定演出とは、たとえば、付与される遊技球の数を報知する演出である。
【0070】
このようなパチンコ遊技機であれば、本実施形態のスロットマシンの技術思想を適用できる。以下では、スロットマシンと、パチンコ遊技機とをまとめて、「遊技機」という場合もある。
【0071】
[効果について]
次に、本実施形態の遊技機が奏する効果について説明する。以下では、本実施形態の思想を主にスロットマシンに適用した場合に奏する効果について説明するが、この思想をパチンコ遊技機に適用したとしても同様の効果を奏する。
【0072】
(1) 本実施形態の遊技機では、第1期間(たとえば、ボーナス内部中およびART準備状態中)では、第2期間(ボーナス中およびART中)と比較して付与される遊技用価値(たとえば、メダル)の期待値が小さい。したがって、メダルの期待値の観点でいうと、第1期間では、遊技者にとって不利である。
【0073】
仮に、第1期間でも累計枚数が表示されると、当該表示された累計枚数からメダルの期待値が小さいことを遊技者が認識してしまうことから、遊技の興趣を低下させてしまう虞があった。そこで、本実施形態では、メダルの期待値が小さい第1期間では、累計枚数の表示を実行しないことから(
図3(B)参照)、メダルの期待値が小さい状況を遊技者に認識させずに、遊技の期待感を持続させることができる。
【0074】
(2) また、第1期間中で付与される遊技用価値の期待値は、該第1期間で遊技に用いられる遊技用価値の量よりも小さい。本実施形態では、当該第1期間中では、累計枚数が表示されないことから、第1期間中で付与される遊技用価値の期待値は、該第1期間で遊技に用いられる遊技用価値の量よりも小さい状況を遊技者に認識させずに、遊技の期待感を持続させることができる。
【0075】
(3) 仮に、第1期間としてのボーナス内部中において、RAM91cの更新処理を実行してしまうと、ボーナスが開始されたタイミングT4において、ボーナス内部中での小さいメダルの期待値が反映された累計枚数が表示されてしまう。そうすると、ARTが中断したタイミングT2での累計枚数よりも小さい枚数が、タイミングT4で表示されてしまうことになり、遊技の興趣を低下させてしまう虞がある。
【0076】
そこで、本実施形態では、ボーナス内部中では、該ボーナス内部中で付与されたメダルの量を用いて、RAM91cの更新処理を実行しない。したがって、タイミングT4において、小さいメダルの期待値が反映された累計枚数が表示されず、ARTが中断したタイミングT2での累計枚数が表示されることになる。したがって、遊技の興趣を低下させることを防止できる。また、ボーナス内部中でのRAM91cの更新処理の負担を軽減できる。
【0077】
また、ART準備状態中において、RAM91cの更新処理を実行してしまうと、ARTが再開されたタイミングT6において、ART準備状態中での小さいメダルの期待値が反映された累計枚数が表示されてしまう。そうすると、ボーナスが終了したタイミングT5での累計枚数よりも小さい枚数が、タイミングT6で表示されてしまうことになり、遊技の興趣を低下させてしまう虞がある。
【0078】
そこで、本実施形態では、ART準備状態中では、該ART準備状態中で付与されたメダルの量を用いて、RAM91cの更新処理を実行しない。したがって、タイミングT6において、小さいメダルの期待値が反映された累計枚数が表示されず、ボーナスが終了したタイミングT5での累計枚数が表示されることになる。したがって、遊技の興趣を低下させることを防止できる。また、ART準備状態中でのRAM91cの更新処理の負担を軽減できる。
【0079】
(4) また、本実施形態では、第1期間であるか否かにかかわらず、小役が入賞したときには小役入賞演出を実行可能である。したがって、第1期間であるか否かにかかわらず、小役が入賞したことを遊技者は認識できる。
【0080】
(5) また、
図3などに示すように、第1有利状態としてART状態に制御可能であるとともに、第2有利状態としてボーナス状態に制御可能である。第1期間としてのボーナス内部中状態は、第1有利状態が終了したとき(タイミングT2)から第2有利状態が開始するとき(タイミングT4)までの期間である。また、第1期間としてのART準備状態は、第2有利状態が終了したとき(タイミングT5)から第1有利状態(タイミングT6)が開始するときまでの期間である。したがって、第1有利状態と第2有利状態との間、および第2有利状態と第1有利状態の間においても、付与されるメダルの期待値が低い状況を遊技者に認識させずに、遊技の期待感を持続させることができる。
【0081】
(6) また、ボーナス当選することによりボーナス内部中に制御されたとき、およびボーナス非当選であるときのいずれにおいても、バトル演出は実行され得る。また、ボーナス当選することによりボーナス内部中に制御されたときに実行されたバトル演出中でも、ボーナス非当選であるときに実行されたバトル演出中でも、累計枚数は表示されない(
図3および
図4参照)。したがって、バトル演出から、ボーナス当選したか否かを遊技者に把握させないようにすることができる。よって、バトル演出中では緊張感を遊技者に抱かせることができる。
【0082】
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0083】
(1) 本実施形態では、第1期間では、RAM91cの更新処理を実行しないとして説明した。しかしながら、第1期間において、RAM91cの更新処理を実行するとしてもよい。第1期間において、RAM91cの更新処理を実行すると、タイミングT4およびタイミングT6において、正確な累計枚数を表示できる。したがって、たとえば、遊技者が遊技を終了し、メダルを計数したときに、当該表示された正確な累計枚数に基づいた計数が実行されることから、当該計数処理に対して遊技者が不信感を抱くことを防止できる。
【0084】
(2) 本実施形態では、第1有利状態をART状態として例示し、第2有利状態をボーナス状態として例示した。しかしながら、逆に、第1有利状態をボーナス状態とし、第2有利状態をART状態としてもよい。このような構成であっても、本実施形態と同様の効果を奏する。
【0085】
(3) 本実施形態では、遊技用価値の純増量(たとえば、メダルの純増枚数)を表示するとして説明した。しかしながら、表示対象は、遊技用価値の純増量ではなく、遊技に用いられたメダル枚数を考慮しない「遊技用価値の付与量(メダルの付与枚数)」としてもよい。つまり、本実施形態では、「付与された遊技用価値」から「遊技に用いられた遊技用価値」を差し引いた量を表示していたが、本変形例では、「遊技に用いられた遊技用価値」差し引かずに、付与された遊技用価値を表示する。このような構成によれば、所定状態では、付与された遊技用価値を報知できるとともに、第1期間中における遊技の興趣の低下を防止できる。
【0086】
また、本変形例の更新処理とは、サブ制御部91による算出処理として、「付与されたメダル枚数」を用いる一方、「減少したメダル枚数」を用いない処理である。また、本変形例において、「更新処理を実行しない」とは、「付与されたメダル枚数」を用いた更新処理を実行しないということである。
【0087】
また、RAM91cでは、減少されたメダル枚数を反映させずに、付与されたメダル枚数(付与枚数)の量を累計するようにしてもよい。この場合において、サブ制御部91は、RAM91cに記憶されている該付与枚数を表示するようにしてもよい。また、サブ制御部91は、RAM91cに記憶されている付与枚数に基づいて純増枚数を表示するようにしてもよい。
【0088】
(4) また、報知手段は、第1報知手段と第2報知手段とを備える。第1報知手段は、たとえば、液晶表示器51であり、第2報知手段は、音を出力可能な音出力手段(スピーカ53、54)であるとする。このように、第1報知手段は、第2報知手段よりも、報知対象の情報を遊技者が認識し易い態様であるとする。
【0089】
本変形例では、所定期間において第1期間とは異なる第2期間では、第1報知手段および第2報知手段は、累計枚数を表示する。また、第1期間では、第1報知手段は累計枚数を報知しない一方、第2報知手段は、累計枚数を報知する。このような構成によれば、出力されている音を聞く遊技者には、第1期間での累計枚数を認識させることができる。一方、出力されている音を聞かない遊技者には、第1期間での累計枚数を認識させないようにすることができる。したがって、メダルの期待値が低い状況を遊技者に認識させずに、遊技の期待感を持続させることができる。
【0090】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0091】
1 スロットマシン、2L,2C,2R リール、8L,8C,8R ストップスイッチ、12 遊技補助表示器、41 メイン制御部、41c RAM、51 液晶表示器、56 演出用スイッチ 91 サブ制御部、91c RAM。