IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ストアドット リミテッドの特許一覧

特許7134624スーパーキャパシタエミュレーティングバッテリを利用した、適合可能な高速充電を備えた電動車両
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】スーパーキャパシタエミュレーティングバッテリを利用した、適合可能な高速充電を備えた電動車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20220905BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20220905BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20220905BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220905BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20220905BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20220905BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220905BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
H01M10/44 Q
B60K1/04
B60L50/60
H01M4/36 C
H01M4/38 Z
H01M4/485
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/00 P
H02J7/00 302C
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017240259
(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公開番号】P2018113254
(43)【公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】62/434,432
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/582,066
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/783,586
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517440014
【氏名又は名称】ストアドット リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】アロノフ,ダニエル
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-335157(JP,A)
【文献】国際公開第2014/064750(WO,A1)
【文献】特開2010-282901(JP,A)
【文献】特開2016-165918(JP,A)
【文献】国際公開第2016/031082(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K1/04
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
H01M4/00-4/62
H01M10/42-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御回路と、
Si、Ge、及び/又はSnベースのアノード活物質を有し、前記Si、Ge、及び/又はSnベースのアノード活物質の60~80%の間のリチウム化の作動点周辺の最大5%の動作範囲内で、少なくとも5Cで動作するように設計された、高速充電リチウムイオンバッテリと、
を備え、
前記制御回路が、前記バッテリの充電状態(SOC)を前記作動点周辺の前記動作範囲内に維持するように構成される、
デバイス。
【請求項2】
前記アノード活物質が、前記動作範囲内の前記作動点周辺のみで前記高速充電リチウムイオンバッテリの動作を可能にするように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
記高速充電リチウムイオンバッテリのアノードが、リチウム化の際に前記アノード物質の完全膨張を防ぐように構成された機械的バリアを備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記機械的バリアが、リチウム化の際に前記アノード物質の前記完全膨張の80%以下を可能にするように構成される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記アノード物質が、シェル構造物を有する複合アノード物質粒子を含み、前記シェル構造物が、前記複合アノード物質粒子のコアの完全膨張容積よりも小さい、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
記高速充電リチウムイオンバッテリのカソードが、前記アノードの80%以下の容量を有する、請求項1から5のいずれかに記載のデバイス。
【請求項7】
少なくとも3Vの電圧レベルで動作し、それぞれの最大連続電流の0.1%より小さい漏洩電流を有するように構成される、請求項1から6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
電動車両(EV)パワートレインであって、
前記EVに電力を送達するように構成された高速充電リチウムイオンモジュール(FC)と、
請求項1から7のいずれかに記載のデバイスと、
を備え、
前記バッテリが、電力を受け取り、前記EV及び/又は前記FCに電力を送達するように構成されたスーパーキャパシタエミュレーティング高速充電リチウムイオンモジュール(SCeFC)として構成され、
前記FC及び前記SCeFCの両方が、同じアノード活物質に基づいたアノードを有し、
制御ユニットが、
前記SCeFCの充電状態(SoC)を前記作動点周辺の前記動作範囲内に維持し、
前記EVへの電力送達及び前記EVからの電力送達について、前記FC及び前記SCeFCをそれぞれ管理し、
前記SCeFCから前記FC及び/又は前記EVへの電力送達を管理するように構成される
電動車両(EV)パワートレイン。
【請求項9】
前記制御ユニットが、前記FCの放電深度(DoD)を最小限にするようにさらに構成される、請求項8に記載のEVパワートレイン。
【請求項10】
前記制御ユニットが、前記FCのサイクルの数を最小限にするようにさらに構成される、請求項8又は9に記載のEVパワートレイン。
【請求項11】
前記アノード活物質がSi、Ge、及び/又はSnベースである、請求項8、9、又は10に記載のEVパワートレイン。
【請求項12】
FC及びSCeFCの両方が単一バッテリに組み入れられ、前記制御ユニットが前記FC及び前記SCeFCへの前記単一バッテリの要素の割り当てを管理するようにさらに構成される、請求項8から11のいずれかに記載のEVパワートレイン。
【請求項13】
前記制御ユニットが、前記単一バッテリの要素を、前記要素の動作パラメータに従って前記FC及び前記SCeFCの間で再割り当てするようにさらに構成される、請求項12に記載のEVパワートレイン。
【請求項14】
前記FC及び前記SCeFCが、少なくとも2つの対応する別個のバッテリに組み入れられる、請求項8から11のいずれかに記載のEVパワートレイン。
【請求項15】
前記制御ユニットが、前記FCが容量の低減を経験するとき前記FCの動作を補完するために、前記SCeFCの少なくとも一部分を割り当てるようにさらに構成され、前記割り当てが、前記SCeFCの前記動作範囲を増大させることによって実行される、請求項8から14のいずれかに記載のEVパワートレイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、限定されるものではないがバッテリ及びキャパシタなどの電力源の分野に関する。そのような電力源は、例えば、電動車両において使用される。
【背景技術】
【0002】
[0002] ウルトラキャパシタとしても知られるスーパーキャパシタは、電気エネルギーバースト、例えば、短期間の高エネルギーパルスを提供するために使用される、高静電容量を有するキャパシタである。これらの用途では、スーパーキャパシタは、より短い時間ではるかに多くの充電を行う能力、並びにより多くの充電及び放電サイクルを経る能力においてバッテリよりも優れている。これらの点における優れた性能は、バッテリの動作が、一般的にはより遅く、より電極経年劣化を引き起こす電気化学的酸化還元反応に基づく一方で、スーパーキャパシタの動作が静電エネルギー蓄積に基づくことに起因する。スーパーキャパシタは、二重層スーパーキャパシタ(例えば、電気二重層キャパシタ(EDLC:electric double-layer capacitors))、疑似キャパシタ、ハイブリッドキャパシタなど、様々な方式で設計される。
【0003】
[0003] スーパーキャパシタが蓄積できる電荷に対するスーパーキャパシタの物理的サイズと、スーパーキャパシタが送達できるエネルギーとの間には直接的な関係がある。典型的なスーパーキャパシタは、目盛り寸法(大きさ)1cm、重量1gr、及び最大電流0.5~1Aで0.001Whの蓄積エネルギー(定格静電容量1F)から、目盛り寸法(大きさ)10cm、重量500gr、及び200Aに達する連続電流により2000Aに達する最大電流で4Whの蓄積エネルギー(定格静電容量3000F)の範囲である。より大きなスーパーキャパシタは、より大きなエネルギー定格を蓄積及び送達するために複数のスーパーキャパシタユニットでできている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 以下は、本発明の初期的な理解を提供する簡易的な概要である。本概要は、必ずしも重要な要素を特定するとは限らず、本発明の範囲を制限するものでもなく、単に以下の説明の導入としての役割を果たすだけである。
【0005】
[0005] 本発明の一態様は、制御回路と、Si、Ge、及び/又はSnベースのアノード活物質を有する高速充電リチウムイオンバッテリと、を備えるデバイスを提供する。バッテリは、例えばバッテリの物理的寸法に起因する特定の制約内、及び/又は制御回路の制御下で動作するように設計され得る。例えば、いくつかの実施形態によると、バッテリは、Si、Ge、及び/若しくはSnベースのアノード活物質の60~80%の間のリチウム化の作動点周辺の最大5%の動作範囲内で、並びに/又は少なくとも5Cで、動作するように制御又は設計され得る。加えて、又は代替的に、制御回路は、バッテリの充電状態(SOC:state of charge)を作動点周辺の動作範囲内に維持するように構成され得る。本発明のいくつかの実施形態に従うデバイスは、電動車両用のパワートレインを含むがこれに限定されない多くの種類の用途に使用され得る。
【0006】
[0006] 別の態様において、本発明は、スーパーキャパシタをエミュレートするように高速充電バッテリを構成することを含む方法を提供する。本明細書内で使用される場合、「高速充電」とは、別段の記載のない限り、5C以上の最大充電レートを指す。例えば、本バッテリ方法は、Si、Ge、及び/又はSnベースのアノード活物質を含み、少なくとも5Cの充電レートで動作し得る。本方法は、所与の仕様に従って高速充電バッテリのパラメータを選択すること、並びに高速充電バッテリを限られた動作範囲、例えば、Si、Ge、及び/又はSnベースのアノード活物質の60~80%の間のリチウム化の作動点周辺の最大5%の範囲内で動作させることを含み得る。
【0007】
[0007] 本発明のいくつかの実施形態に従うデバイス又は方法は、図面を参照して本明細書内でさらに説明される以下の特徴のうちの任意の1つ又は複数を、単独、又は任意の組み合わせのいずれかで含み得る。
【0008】
[0008] アノード活物質は、動作範囲内の作動点周辺のみで高速充電リチウムイオンバッテリの動作を可能にするように構成され得る。
【0009】
[0009] 高速充電リチウムイオンバッテリのアノードは、リチウム化の際にアノード物質の完全膨張を防ぐように構成された機械的バリアを備え得る。機械的バリアは、リチウム化の際にアノード物質の完全膨張の80%以下を可能にするように構成され得る。
【0010】
[0010] アノード物質は、シェル構造物を有する複合アノード物質粒子を含み得、シェル構造物は、複合アノード物質粒子のコアの完全膨張容積よりも小さい。
【0011】
[0011] 高速充電リチウムイオンバッテリのカソードは、アノードの80%以下の容量を有し得る。
【0012】
[0012] 本デバイスは、少なくとも3Vの電圧レベルで動作し、それぞれの最大連続電流の0.1%より小さい漏洩電流を有するように構成され得る。
【0013】
[0013] スーパーキャパシタの所与の仕様は、スーパーキャパシタの少なくとも1つの寸法を含み得、本発明のいくつかの実施形態に従う方法は、所与の動作電流を提供するように高速充電バッテリの充電/放電レートを構成することを含み得る。
【0014】
[0014] 所与の仕様は、スーパーキャパシタの動作電流を含み得、方法は、所与の動作電流を提供するように、少なくとも1つの寸法、及び充電/放電レート高速充電バッテリのうちの少なくとも1つを構成することを含み得る。
【0015】
[0015] 本発明のいくつかの実施形態に従う方法は、高速充電バッテリを部分的な動作範囲内でのみ動作させるように高速充電バッテリの制御回路を構成することを含み得る。
【0016】
[0016] 高速充電バッテリは、Si、Ge、及び/又はSnベースのアノード活物質を含む半金属ベースのアノードを有するリチウムイオンバッテリであり得る。
【0017】
[0017] 高速充電バッテリは、50C充電レートで動作するように構成されたリチウムイオンバッテリであり得る。
【0018】
[0018] 本発明のいくつかの実施形態に従う方法は、動作中のアノード物質粒子の相対膨張を低減するために、高速充電バッテリの最適動作窓内で高リチウム化点として作動点を選択することを含み得る。
【0019】
[0019] 本発明のいくつかの実施形態に従う方法は、部分的な動作範囲内の選択された作動点周辺のみでの動作という前提の下で高速充電バッテリのアノード構成を最適化することを含み得る。
【0020】
[0020] 本発明のいくつかの実施形態は、Si、Ge、及び/又はSnベースのアノード活物質を有し、Si、Ge、及び/又はSnベースのアノード活物質の60~80%の間のリチウム化の作動点周辺の最大5%の動作範囲内でのみ、少なくとも5Cの充電レートで、動作する高速充電リチウムイオンバッテリを提供し得る。
【0021】
[0021] 高速充電リチウムイオンバッテリは、その動作を動作範囲内の作動点周辺のみで可能にするように修正又は制御され得、バッテリのアノードは、リチウム化の際にアノード物質の完全膨張を防ぐように構成された機械的バリアを備える。機械的バリアは、リチウム化の際にアノード物質の完全膨張の80%以下を可能にするように構成され得る。アノード物質は、シェル構造物を有する複合アノード物質粒子を含み得、シェル構造物は、複合アノード物質粒子のコアの完全膨張容積よりも小さい。
【0022】
[0022] 別の態様において、本発明は、電動車両(EV:electric vehicle)パワートレインであって、EVに電力を送達するように構成されたリチウムイオンモジュール(FC)と、電力を受け取り、EV及び/又はFCに電力を送達するように構成されたスーパーキャパシタエミュレーティング高速充電リチウムイオンモジュール(SCeFC:supercapacitor-emulating fast-charging lithium ion module)とを備え、FC及びSCeFCの両方が、同じアノード活物質に基づいたアノードを有し、SCeFCが、5Cの最大充電レートで、アノード活物質の60~80%の間のリチウム化の作動点周辺の最大5%の動作範囲内で動作するように構成される、電動車両(EV)パワートレイン、並びにSCeFCの充電状態(SoC)を作動点周辺の動作範囲内に維持し、FC及びSCeFCを、それぞれEVへの電力送達及びEVからの電力送達について管理し、指定の基準に従ってSCeFCからFC及び/又はEVへの電力送達を管理するように構成された制御ユニットを提供し得る。
【0023】
[0023] 別の態様において、本発明は、EVに電力を送達するように構成された高速充電リチウムイオンモジュール(FC)、並びに電力を受け取り、EV及び/又はFCに電力を送達するように構成されたスーパーキャパシタエミュレーティング高速充電リチウムイオンモジュール(SCeFC)から電動車両(EV)用のパワートレインを構成することであって、FC及びSCeFCの両方が、同じアノード活物質に基づいたアノードを有し、SCeFCが、5Cの最大充電レートで、アノード活物質の60~80%の間のリチウム化の作動点周辺の最大5%の動作範囲内で動作するように構成される、ことと、SCeFCの充電状態(SoC)を作動点周辺の動作範囲内に維持するようにSCeFCバッテリを動作させることと、FC及びSCeFCを、それぞれEVへの電力送達及びEVからの電力送達について管理することと、指定の基準に従ってSCeFCからFC及び/又はEVへの電力送達を管理することとを含む方法を提供し得る。
【0024】
[0024] SCeFCの少なくとも一部分は、FCが容量の低減を経験するときFCの動作を補完するために割り当てられる場合があり、この割り当ては、SCeFCの動作範囲を増大させることによって実行される。
【0025】
[0025] 本発明の他の実施形態と同様に、アノード活物質は、動作範囲内の作動点周辺のみでSCeFCの動作を可能にするように構成され得る。
【0026】
[0026] 作動点は、動作中のアノード物質粒子の相対膨張を低減するために、SCeFCの最適動作窓内で高リチウム化点として選択され得る。
【0027】
[0027] 本発明の実施形態はまた、一時的又は非一時的コンピュータ可読媒体、例えば、記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品を提供し得、この一時的又は非一時的コンピュータ可読媒体は、そこで具現化される、本明細書内で説明されるパワートレインのいずれかの動作を制御するためにコンピューティングシステム内に組み入れられ得るコンピュータ可読プログラムを有する。制御は、SCeFCの充電状態(SoC)を作動点周辺の動作範囲内に維持するようにSCeFCバッテリを動作させ、FC及びSCeFCを、それぞれEVへの電力送達及びEVからの電力送達について管理し、指定の基準に従ってSCeFCからFC及び/又はEVへの電力送達を管理し得る。
【0028】
[0028] 本発明のこれらの、追加の、及び/又はその他の態様及び/又は利点は、以下の詳細説明において明らかにされ、おそらくは詳細説明から推察され、及び/又は本発明の実践によって習得可能である。
【0029】
[0029] 本発明の実施形態のより良い理解のため、及び同じことをどのようにして実行することができるかを示すために、これより、単に例として、添付の図面への参照がなされ、同じ数字は全体にわたって対応する要素又は部分を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
[0030]
図1A】[0031] 本発明のいくつかの実施形態に従う、高速充電バッテリを使用してスーパーキャパシタをエミュレートするデバイスの概略図である。
図1B】[0032] 本発明のいくつかの実施形態に従う、スーパーキャパシタをエミュレートする高速充電バッテリ及びその構成の概略図である。
図2】[0033] 本発明のいくつかの実施形態に従う、電動車両のパワートレインの概略図である。
図3A】[0034] 本発明のいくつかの実施形態に従う、電動車両のパワートレインのシステム構成の概略図である。
図3B】本発明のいくつかの実施形態に従う、電動車両のパワートレインの動作アルゴリズムである。
図3C】本発明のいくつかの実施形態に従う、電動車両の例の概略図である。
図4】[0035] 本発明のいくつかの実施形態に従う、電動車両のパワートレインの概略図である。
図5A】[0036] 本発明のいくつかの実施形態に従う、電動車両のパワートレインのシステム構成の概略図である。
図5B】本発明のいくつかの実施形態に従う、電動車両のパワートレインの動作アルゴリズムの概略図である。
図5C】本発明のいくつかの実施形態に従う、電動車両の例の概略図である。
図6A】[0037] 本発明のいくつかの実施形態に従う、車両内のパワートレインのFC及びSCeFCのモジュールサイズを最適化するためのアルゴリズムのフローチャートを概略的に例示した図である。
図6B】[0038] 本発明のいくつかの実施形態に従う、パワートレイン及びその動作モードの概略図である。
図7A】[0039] 本発明のいくつかの実施形態に従う、単一バッテリ内にFCモジュール及びSCeFCモジュールがそれぞれ組み入れられているパワートレインの概略図である。
図7B】[0040] 本発明のいくつかの実施形態に従う、電力供給プロファイルの概略図である。
図7C】[0041] 本発明のいくつかの実施形態に従う、SCeFCとFCとの間における、制御による電力需給割り当ての概念図である。
図8】[0042] 本発明のいくつかの実施形態に従う、高速充電バッテリによってスーパーキャパシタをエミュレートする方法を例示する概略フローチャートである。
図9A】[0043] 本発明のいくつかの実施形態に従う、様々なアノード構成の概略図である。
図9B】[0044] 本発明のいくつかの実施形態に従う、部分的なリチウム化、及びアノード物質粒子のリチウム化のための機械的バリアの概略図である。
図10A】[0045] 本発明のいくつかの実施形態に従う、作動点及び狭い動作範囲の選択に関する概略図である。
図10B】本発明のいくつかの実施形態に従う、作動点及び狭い動作範囲の選択に関する概略図である。
図10C】本発明のいくつかの実施形態に従う、作動点の選択及び狭い動作範囲に関する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[0046] 以下の説明において、本発明の様々な態様が説明される。説明の目的のため、特定の構成及び詳細が、本発明の徹底的な理解を提供するために明らかにされる。しかしながら、本発明が本明細書内に提示される特定の詳細なしでも実践され得ることもまた、当業者には明らかである。さらには、よく知られている特徴は、本発明を不明瞭にしないために省略又は単純化されている場合がある。図面に対する特定の参照では、示される事項は、例にすぎず、単に本発明の例示的議論の目的のためであり、本発明の原理及び概念的な態様の最も有用で容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示されるということが強調される。これに関連して、本発明の基本的な理解のために必要以上に詳細に本発明の構造的詳細を示す意図はなく、図面と一緒の説明は、本発明のいくつかの形態がどのようにして実際に具現化され得るかを当業者に対して明らかにするものである。
【0032】
[0047] 本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、その適用において、以下の説明において明らかにされる又は図面において例示される構成要素の構築の詳細及び配置に制限されないことが理解される。本発明は、様々な方式で実践又は実行され得る他の実施形態、並びに開示された実施形態の組み合わせに適用可能である。また、本明細書内で用いられる表現及び専門用語は、説明の目的のためであり、制限するものとして見なされるべきではないことを理解されたい。
【0033】
[0048] 特に別段の定めのない限り、以下の議論から明らかであるように、本明細書全体にわたって、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「向上」、「導出」、「監視」、「管理」などの用語を利用した議論は、コンピューティングシステムのレジスタ及び/又はメモリ内の電気的な量などの物理的な量として表されるデータを操作し、及び/又はそれをコンピューティングシステムのメモリ、レジスタ又は他のそのような情報記憶、伝送、若しくは表示デバイス内の物理的な量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータ若しくはコンピューティングシステム、又は同様の電子計算機のアクション及び/又はプロセスを指す。
【0034】
[0049] 電動車両(EV)、パワートレイン、及び制御ユニット、並びに方法が提供される。パワートレインは、電動車両に電力を送達するように構成された高速充電リチウムイオンバッテリモジュール(FC)と、電力を受け取り(例えば、充電及び/又はEV回生制動から)、FC及び/又はEVに電力を送達するように構成されたスーパーキャパシタエミュレーティング高速充電リチウムイオンバッテリモジュール(SCeFC)と、制御ユニットとを備え得る。FCは、EVへの主電力源であり得る。例えば、FCは一次電源装置であり得、SCeFCは、FCを使い切ったときにのみ使用される。FC及びSCeFCの両方が、同じアノード活物質に基づいたアノードを有し得る。言い換えると、FC及びSCeFCの両方においてアノードの活物質の主要成分は同じであり得る。例えば、FC及びSCeFCの両方のアノードは、Si、Ge、Sn、及び/又はチタン酸リチウムベースのアノード活物質を含み得る。同じアノード活物質の使用は、パワートレインの生産及び保守に対して大きな利点を提供し得る。SCeFCは、高レートで動作するように構成され得、充電状態(SoC)の限られた動作範囲内で動作する、例えば、5C、又はおそらくは10C若しくは50の最大充電及び/又は放電レートで、並びに/又はアノード活物質の60~80%の間のリチウム化の作動点周辺の最大5%の動作範囲内で動作するように構成され得る。充電状態の動作範囲は、制御ユニットによって維持され得、制御ユニットは、FC及びSCeFCを、それぞれEVへの電力送達及びEVからの電力送達について管理し、SCeFCからFCへの電力送達を管理するようにさらに構成され得る。例えば、この管理は、例えばFCの放電深度及び/又はサイクルの数を最小限にする指定の基準に従ってもよい。モジュールFC及びSCeFCは、別個のバッテリとして、又は、内部モジュール及び/若しくはセルスタックが本明細書内に開示される原理に従ってFCとして若しくはSCeFCとして動作可能に制御される単一バッテリとして組み入れられ得る。以下の実施形態のいずれかは、別個のバッテリとして、及び/又は1つ若しくは複数のバッテリモジュールとして組み入れられ得る。
【0035】
[0050] 方法、及びスーパーキャパシタエミュレーティング高速充電バッテリも提供される。方法は、例えば、スーパーキャパシタの所与の仕様に従って規定され、高速充電バッテリの完全な動作範囲の20%より小さい、おそらくは5%又は1%より小さい、部分的な動作範囲内でのみ高速充電バッテリを動作させることによって、(例えば、SCeFCを提供するために)所与の仕様でスーパーキャパシタをエミュレートするように高速充電バッテリを構成することを含む。完全な動作範囲は、(i)バッテリの0~100%充電状態(SoC)、(ii)バッテリが準備されるアノード物質の見込みの0~100%充電状態(SoC)(下に論じられるように、アノード活物質のリチウム化を制限する機械的構造物がある場合)、(iii)バッテリの公称容量及び/又は等価の定義のいずれかとして規定され得る。制御回路と、Si(ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)、及び/又はLTO(チタン酸リチウム)ベースのアノード活物質を有し、少なくとも5Cで、並びに/又はSi、Ge、Sn及び/若しくはLTOベースのアノード活物質の60~80%リチウム化の作動点周辺の最大5%の範囲内で動作するように設計され得る高速充電リチウムイオンバッテリとを備えるデバイスが提供される。制御回路は、バッテリのSoCを作動点周辺の動作範囲内に維持するように構成され得る。
【0036】
[0051] 図1Aは、本発明のいくつかの実施形態に従う、修正された高速充電バッテリ100Aを使用してスーパーキャパシタ90をエミュレートするデバイス100の概略図である。本発明の他の実施形態は、特定の動作制約に従って動作するように構成又は制御される修正されていない高速充電バッテリを使用し得る。デバイス100は、下に説明されるように高速充電を可能にするように、及び/又は、例えば下に開示される構成ステージ210において構成されるように作動点115周辺の狭い動作範囲105内で動作するように構成される修正された高速充電バッテリ100Aを備え得る。修正された高速充電バッテリ100Aは、下に開示されるように、デバイス100の部分として、並びに狭い動作範囲105及び作動点115に対して、動作するように最適化され得る。デバイス100は、EV用のパワートレインにおいて、下に説明されるSCeFC100として使用され得る(例えば、図2参照)。
【0037】
[0052] デバイス100は、修正された高速充電バッテリ100Aを作動点115周辺の狭い動作範囲105内で動作させて、対応するスーパーキャパシタ90から予期される出力、並びに/又は、例えば、対応するスーパーキャパシタ90の性能(例えば、電流、サイクル寿命、容量など)及び寸法(例えば、サイズ、重量)に関する所与のスーパーキャパシタ仕様94に従う出力に等価である出力95を提供するように構成された制御ユニット106をさらに備え得る。デバイス100は、下に説明されるように、任意の所与のスーパーキャパシタ90及び/又は任意の所与のスーパーキャパシタ仕様94をエミュレートするように設計され得る。デバイス100の異なる構成が、対応する異なるスーパーキャパシタ90をエミュレートするために使用され得る。
【0038】
[0053] 制御ユニット106は、作動点115を決定し、修正された高速充電バッテリ100Aを動作範囲105に対応する指定の電圧範囲外で充電及び/又は放電することを防ぐように構成された回路要素として様々な電子部品(例えば、ダイオード、スイッチ、トランジスタなど)をさらに備え得る。例えば、制御回路106は、作動点115周辺の動作範囲105内を除き、修正された高速充電バッテリ100Aに充電電流が達することを防ぐように構成された回路要素(例えば、ダイオード、スイッチ、トランジスタなど)を備え得る。
【0039】
[0054] 制御回路106は、下に開示されるように、エミュレートされたスーパーキャパシタ94について決定された充電/放電レート、寸法、及び高速充電バッテリ100Aの他の性能パラメータなどの構成パラメータ230に従って、修正された高速充電バッテリ100Aを作動点115周辺の狭い動作範囲105で動作させるように構成され得る。特定の実施形態において、充電/放電レートは、バッテリの所与のCレートについて特定のSoCで作動点を選択することによって調整され得る(図6Aも参照)。
【0040】
[0055] 開示された発明は、いくつかの実施形態において、修正された高速充電バッテリ100Aの寸法、並びにそれに応じて、修正された高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100の性能を構成することによって、任意の所与のスーパーキャパシタ仕様に適切な修正された高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100の構成を可能にすることが強調される。
【0041】
[0056] 本発明者らは、任意の所与のスーパーキャパシタ仕様について、対応する修正された高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100が、実際に所与のスーパーキャパシタをエミュレートするように設計され得ることを発見した。所与のスーパーキャパシタ仕様の例は、例えば、(i)定格静電容量1F、蓄積エネルギー0.001Wh、容積約1cm、重量1gr、及び最大連続電流0.5~1A(条件による)、(ii)定格静電容量10F、蓄積エネルギー0.01Wh、容積3cm、重量3~4gr、及び最大連続電流2~4A(条件による)、(iii)定格静電容量100F、蓄積エネルギー0.1Wh、容積約10cm、重量20~25gr、及び最大連続電流5~15A(条件による)、(iv)定格静電容量300~600F、蓄積エネルギー0.3~0.8Wh、容積約20~30cm、重量50~150gr、及び最大連続電流20~90A(条件による)、(v)定格静電容量1500F、蓄積エネルギー1.5Wh、容積約50~60cm、重量約300gr、及び最大連続電流80~150A(条件による)、(vi)定格静電容量3000~4000F、蓄積エネルギー3~4Wh、容積約100cm、重量約500gr、及び最大連続電流130~200A(条件による)のいずれか、並びに修正された高速充電バッテリ100A及び/若しくはデバイス100並びに/又はそのパックによってエミュレートされ得るより大きいスーパーキャパシタ及びスーパーキャパシタのパックを含む。本発明者らは、修正された高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100が、上に列挙されたスーパーキャパシタの例のいずれかに取って代わって、所与のスーパーキャパシタ仕様について等価あるいはより優れた性能を提供するように構成され得ることを発見した。
【0042】
[0057] 修正された高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100は、スーパーキャパシタを性能、仕様、及び物理的寸法について等価の修正された高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100で置き換えることによって、スーパーキャパシタが使用される様々な用途において使用され得ることに留意されたい。例えば、修正された高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100は、大きなスーパーキャパシタ(上の例を参照)をエミュレートするように構成され得、そのようなものとして電力網に(単独で、又はそのようなデバイスのアレイで)統合されてエネルギー需要の急上昇を押し均すことができる。別の例では、修正された高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100は、小さいスーパーキャパシタ(上の例を参照)をエミュレートするように構成され得、デバイスに対する均一な電力供給を確実にするために消費者電子デバイスに含まれ得る。特定の実施形態において、修正された高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100は、ワイヤレスセンサなどの多くの短い動作サイクルを必要とする使用事例におけるエミュレートされたスーパーキャパシタに関して特に有利であり得る。スーパーキャパシタは、典型的には、低いエネルギー密度及び高い漏洩電流を有し、そのようなシナリオは、典型的には、スーパーキャパシタを素早く使い果たすが、修正された高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100を特徴付けるはるかに大きなエネルギー密度及び低い漏洩電流は、そのような使用事例においてデバイスのはるかに長く延長された動作を可能にし得る。
【0043】
[0058] 図1Bは、本発明のいくつかの実施形態に従う、スーパーキャパシタエミュレーティング高速充電バッテリ100A及びその構成の概略図である。図8は、本発明のいくつかの実施形態に従う、高速充電バッテリによってスーパーキャパシタをエミュレートし、エミュレートされたスーパーキャパシタを電動車両のパワートレイン内で使用する方法200を例示する概略フローチャートである。本方法ステージは、バッテリ100に対して実行され得る。方法200は、バッテリ100及びパワートレインを生産するステージ、準備するステージ、及び/又は使用するステージを、それらの順序に関係なく含み得る。図10A図10Cは、本発明のいくつかの実施形態に従う、作動点115及び狭い動作範囲105の選択に関する概略図である。図10A図10Bは、充電及び放電グラフをそれぞれ概略的に例示し、図10Cは、下に説明されるように、例えば、作動点115を選択するための最適作用窓を例示する。
【0044】
[0059] 図1Bに概略的に例示されるように、スーパーキャパシタ90は、本発明の背景に提示されたスーパーキャパシタ90の範囲では典型的には2~20秒の充電時間範囲を有する高速充電レート、動作中の完全放電、高送達の電流(単一のスーパーキャパシタユニットあたり最大で数百アンペアの連続電流)、及び多数のサイクル(10~10サイクル)にわたる動作性によって特徴付けられる。しかしながら、スーパーキャパシタ90は、典型的には、比較的高い自己放電レート(最大連続電流の約1~3%の漏洩電流)に悩まされる。さらに、スーパーキャパシタ90の電力密度は、リチウムイオンバッテリの電力密度よりも高い場合があるが、リチウムイオンバッテリのエネルギー密度は、スーパーキャパシタ90のエネルギー密度よりも著しく(典型的には数桁)大きい。
【0045】
[0060] 充電及び放電レートは、慣例的に、バッテリ容量に関して測定される(典型的には、相対電流と容量との比に関して)。したがって、Cの充電レートは、バッテリが1時間の充電で公称容量に達することを意味する。同様に、1C放電レートは、バッテリが1時間で完全に尽きることを意味する。本明細書内で使用される場合、「高速充電」は、5C以上の最大充電レートを指す。
【0046】
[0061] 有利には、高速充電バッテリ(例えば、少なくとも約5Cの充電レートで、並びに実施形態においては、約15C~約50Cのレート及び約5Cの実施形態においては放電レートで、動作するように構成されたバッテリ)は、低い自己放電レート(例えば、同等のスーパーキャパシタの漏洩電流の約10%)、より高い作動電位、より短い充電時間、及びより高いエネルギー密度を有し、それらがスーパーキャパシタ90に勝る大きな利点を提供する。本発明に従ってスーパーキャパシタをエミュレートするように構成され得る高速充電リチウムイオンバッテリは、参照により組み込まれる米国特許第9,472,804号に記載されるような、半金属ベースのアノードを有するものなど、現在知られているか、又は今後開発される任意の構造のものであり得る。
【0047】
[0062] しかしながら、先行技術の高速充電バッテリは、典型的には、より低い電流(典型的には、同等のスーパーキャパシタによって提供される連続電流の1~10%)を提供し、典型的にはより高い電流を提供し、より多くのサイクル(典型的には、10~10サイクル)にわたって動作するスーパーキャパシタ90をより少ないサイクル(典型的には、10サイクル)にわたって動作させる。
【0048】
[0063] 驚くべきことに、本発明者らは、高速充電バッテリ100によってスーパーキャパシタ90をエミュレートし、それにより高速充電バッテリの本質的な利点を保持すると同時に、スーパーキャパシタ90と比較した高速充電バッテリの先行技術の限界及び欠点を克服する方法を見出した。
【0049】
[0064] 方法200は、スーパーキャパシタ90の所与の仕様に従って規定され、高速充電バッテリの完全な動作範囲の20%よりも小さい場合のある(上を参照)作動点115周辺の狭い部分的な動作範囲105内でのみ高速充電バッテリを動作させることによって、所与の仕様を有するスーパーキャパシタ90をエミュレートするようにデバイス100及び/又は修正された高速充電バッテリ100Aを構成することを含む。部分的な動作範囲105は、要求された性能に従って決定され得、リチウムイオンバッテリの完全な動作範囲の20%、10%、5%、1%、又は任意の他の部分的な範囲であり得る。
【0050】
[0065] 特定の実施形態において、高速充電バッテリ100Aは、修正されていない高速充電バッテリの完全な動作範囲ではなく、作動点115周辺の狭い動作範囲105にわたって、又は狭い動作範囲105を含む範囲にわたってのみ、充電及び放電されるように修正又は制御され得る。例えば、修正されたバッテリ100Aは、アノード物質粒子110の小範囲の膨張のみを可能にし(下の図9A及び図9B並びに後続の開示を参照)、それ故に、広範囲の充電状態にわたって通常のリチウムイオンバッテリとして動作可能でないように設計され得る。
【0051】
[0066] 方法200は、広範囲のスーパーキャパシタ90をエミュレートするデバイス100及び/又は修正された高速充電バッテリ100Aを、対応する広範囲の動作仕様で提供するために使用され得、並びにエミュレートされたスーパーキャパシタをEVのパワートレインにおいて使用することであり得る。高速充電バッテリ100Aは、同じ連続電流要件、同じ重量要件、同じ寸法要件など、特定のスーパーキャパシタ90の性能を等しくするために高速充電バッテリ100Aの部分的な動作範囲105のみを使用して特定のスーパーキャパシタ90をエミュレートするために高速充電バッテリ100Aの制限されていないパラメータを調整する異なる性能要件に対して、対応するスーパーキャパシタ90をエミュレートするように構成され得る。特定の実施形態において、高速充電バッテリ100Aは、おそらくは任意の特定の同一パラメータ(電流又は寸法など)を有することなく、所与の仕様によって規定された性能包絡線内でスーパーキャパシタ90をエミュレートするように構成され得る。性能包絡線は、下に列挙されるパラメータのうちの1つ又は複数に関して、及び/又はそれらの任意の組み合わせに関して規定され得る。高速充電バッテリ100Aの修正並びにデバイス100及び制御回路106の構成の実施形態が下に開示される。
【0052】
[0067] 理論に拘束されるものではないが、本発明者らは、修正された高速充電バッテリ100Aを部分的な動作範囲105にわたって動作させることが、充電又は放電曲線全体のごく一部のみが利用されるためにより大きな連続電流が提供されることを可能にし(図1Bの充電曲線の概略図を参照)、各サイクルにおいてバッテリ100Aの異なる領域が実際に動作可能であるときにサイクル数を増加させ(図1Bのバッテリ100Aの格子縞による概略図を参照)、したがって開示された動作モードにあるバッテリ100Aが、その完全な範囲にわたって動作される典型的なバッテリよりも例えば、2~3桁大きいサイクル数を維持することができ、それによりスーパーキャパシタ90までの隔たりを埋めるということを提案する。
【0053】
[0068] 以下の表記及び単位は、スーパーキャパシタ90のパラメータ(「スーパーキャパシタ」には下付き文字SCを使用、例えば、ESC)及び高速充電バッテリ100A(下付き文字FCBを使用、例えば、EFCB)のパラメータを表すために使用される。
エネルギーパラメータ:蓄積エネルギーは、E(Wh)で表され、重量測定及び容積測定のエネルギー密度は、それぞれE(Wh/kg)及びE(Wh/l)で表される。電力密度はP(W/kg)で表される。
物理的寸法:典型的な寸法は、本明細書内では、非限定的な様式で、d(cm)で表される単位体積により特徴付けられ、重量はw(gr)で表される。
性能パラメータ:定格電圧はV(V)で表され、最大連続電流はI(A)で表され、充電時間はtで表される(1/Cレート、例えば、50Cでは、充電又は放電電流を容量で割って、Cレート又はC比で、t=1/50時間)。
動作パラメータ:所与のスーパーキャパシタ90をエミュレートするために高速充電バッテリ100Aが動作される部分的な動作範囲105は、SoC(充電状態、%)で表され、例えば、高速充電バッテリ100Aが高速充電バッテリ100Aの全充電/放電範囲の2%だけで動作される場合は、SoC=2%である(下の例を参照)。
式1は、スーパーキャパシタ90及び高速充電バッテリ100Aの両方に有効であるこれらのパラメータ間の関係を提示する。
E=E・w=E・d=V・I・t/3600及びP=V・I/w 式1
これらのパラメータの非限定的な例は、上に提示される。
式1で表現されるように、秒単位での充電/放電時間は、t=E・3600/(V・I)として規定され得ることに留意されたい。
【0054】
[0069] 高速充電バッテリ100Aによって所与のスーパーキャパシタ90をエミュレートするために、まずそれらの物理的寸法(例えば、サイズ又は重量)及び性能パラメータが、厳密な性能要件に応じて、適切な形態にされ得る(構成210として図1Bに例示される)。例えば、所与の連続電流が要求される場合、高速充電バッテリ100Aの物理的寸法及びおそらくは充電/放電レートが調整され得る(それぞれ調整210及び225により図1Bに例示される)。別の例では、所与の寸法が要求される場合(例えば、少なくとも重量及びサイズ寸法のうち)充電/放電レートが調整され得(調整225により図1Bに例示される)、両方の場合において、要求された性能を提供するために、部分的な動作範囲105が調整される(調整230により図1Bに例示される)。追加の構成原理360については図6Aも参照されたい。
【0055】
[0070] 例えば、所与の要件IFCB=ISCのとき、式1からの式E=V・I・t/3600が、高速充電バッテリ100Aにおいて要求された蓄積エネルギーEFCBを計算するために使用され得、部分的な動作範囲105は、高速充電バッテリ100Aによってスーパーキャパシタ90をエミュレートするために、ESC/EFCBの比率によって決定され得る。いくつかの実施形態において、エネルギー蓄積EFCBは、バッテリパラメータを調整するためにバッテリ寸法dFCB、wFCBに対してトレードオフされ得る。
【0056】
[0071] 別の例において、所与の要件wFCB=wSCであるとき、式1からの式E=VI/tが、高速充電バッテリ100Aにおける要求された電流IFCB及び/又は充電時間tFCBを計算するために使用され得、部分的な動作範囲105が、高速充電バッテリ100Aによってスーパーキャパシタ90をエミュレートするために、ESC/EFCBの比率によって決定され得る。
【0057】
[0072] 表1及び表2は、スーパーキャパシタ90のパラメータ仕様の範囲の2つの極値における高速充電バッテリ100Aの構成の例を提供する。
【0058】
表1:同じ蓄積エネルギーの条件下で小及び大スーパーキャパシタ90として表される2つの極値スーパーキャパシタ仕様における高速充電バッテリの構成
【0059】
【表1】
【0060】
[0073] 表1は、非限定的な例において、同様あるいはより優れた性能を達成する、対応する高速充電バッテリ100Aによる、スーパーキャパシタ90の構成の範囲の2つの極値にあるスーパーキャパシタ90をエミュレートする能力を例示する。
【0061】
表2:2極値スーパーキャパシタ仕様における、異なる種類の要件に対する高速充電バッテリの構成
【0062】
【表2】
【0063】
[0074] 表2は、非限定的な例において、同様あるいはより優れた性能を達成する、対応する高速充電バッテリ100Aによる、スーパーキャパシタ90の構成の範囲の2つの極値にあり、異なる仕様要件に従う、スーパーキャパシタ90をエミュレートする能力を例示する。
【0064】
[0075] 特定の実施形態は、それぞれの指定の電流を提供し、限られた放電範囲105内でのみ高速充電バッテリ100Aを動作させるように構成される高速充電バッテリ100Aの制御回路106を含む。
【0065】
[0076] 本発明のいくかの実施形態によると、スーパーキャパシタをエミュレートするように構成されたバッテリは、バッテリとして動作するように構成されたバッテリと併せて、パワートレイン、例えば、電動車両用のパワートレイン内で使用され得る。
【0066】
[0077] 開示されたパワートレイン実施形態において、例えば、EVの継続的な電力需要(高いエネルギー密度を有する)を提供するように構成されるという1つの種類(高速充電モジュール)、及び電力バーストを提供すること及び電力バーストを受け取ることなどによって電力バースト(高い電力密度を有する)に対処すするように構成されるという別の種類(スーパーキャパシタエミュレーションモジュール)の、2つの動作的に異なる種類のバッテリモジュールが提供され得る。
【0067】
[0078] 図2は、本発明のいくつかの実施形態に従う、電動車両(EV)301のパワートレイン300の高水準概略図である。電動車両301(非限定的な例として、電気カー、電気トラック、電気バス、電気バイク、電気オフハイウェー車、電気フォークリフトなど)のパワートレイン300は、例えば主電力源として、電力301BをEV301(図3Aではそれぞれ302A、302Bで表される、電力を提供する車両システム、及び電力を受け取る車両システムなどの車両システムとして概略的に表される)に送達するように構成された高速充電リチウムイオンモジュール(FC)320と、電力310をFC320に送達し、EV301から回復電力301A(例えば、回生制動からの)を受け取るように構成されたスーパーキャパシタエミュレーティング高速充電リチウムイオンモジュール(SCeFC)100とを備え得る。
【0068】
[0079] 一般に、そのようなシナリオに対応する実施形態において、パワートレイン300は、FC320を充電するために回復から利用可能ないかなるエネルギーも使用することによって、回復エネルギーを使用してFC320の放電深度(DoD)を最小限にするためにSCeFC100を割り当てるように構成される。DoDは、非線形的な様式で寿命に影響を与えるため(DoDの線形増加は加速的な様式で寿命を短くする、下記参照)、本発明者らは、FC320に適用される充電/放電サイクルの数とFC320が経験するDoDとの間のトレードオフを最適化することができる(例えば、図6A参照)。
【0069】
[0080] FC320とSCeFC100の両方は、Si(ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)、及び/又はLTO(リチウムチタン酸化物、チタン酸リチウム)ベースのアノード活物質110(及び/又は、110A、110B、115、下の図9A図9B参照)を有するアノード108を有し得、おそらくは単一の種類のアノード物質に基づいてパワートレイン300を提供する。
【0070】
[0081] SCeFC100は、Si、Ge、Sn及び/又はLTOベースのアノード活物質110(及び/又は、110A、110B、115)の60~80%の間のリチウム化の作動点115周辺の最大5%の動作範囲105内で、少なくとも5Cで動作するように構成され得る。
【0071】
[0082] パワートレイン300は、SCeFC100の充電状態(SoC)を作動点115周辺の動作範囲105内に維持し、FC320及びSCeFC100を、それぞれ301B及び301Aと概略的に表される、車両301への電力送達及び車両301からの電力送達について管理し、FC320の放電深度を最小限にする指定の基準に従って、SCeFC100からFC320への電力送達310を管理するように構成された制御ユニット330をさらに備える。例えば、FC320は、FCバッテリ管理システム(FC BMS)322と関連付けられ得、SCeFC100は、おそらくは制御回路106を備えるSCeFCバッテリ管理システム(SCeFC BMS)106Aと関連付けられ得る。FC BMS322及びSCeFC BMS106Aは、それぞれのFCモジュール及びSCeFCモジュールを管理するように構成され、以下に説明されるように、それらのモジュールは、両方が単一バッテリ内に、又は2つ以上の別個のバッテリ内に組み入れられ得ることに留意されたい。単一バッテリの実装形態において、FC BMS322及びSCeFC BMS106Aは、単一バッテリ内のそれぞれのFCモジュール及びSCeFCモジュールを管理するように構成され得る。
【0072】
[0083] 有利には、FC320がパワートレイン300において高エネルギー密度を提供する一方で、SCeFC100は、上に記載されるように、高電力密度をパワートレイン300に提供して、EV301のパワートレイン300を動作させることにおいてFC320を補完するように構成される。
【0073】
[0084] 有利には、SCeFC100は、程度及びタイミングが不規則である車両システム301からの複数のエネルギー入力301Aをバッファし、その最適動作に応じて調整電力310をFC320に提供するように構成され得る。SCeFC100は、非常に多数のサイクル(上に説明及び論証されるように、例えば、10,000サイクル台)にわたって動作可能であるように構成され得、SCeFC100は、パワートレイン300のサイクル寿命を減少させることなく一貫性のないエネルギー入力301Aに耐えることができる。さらに、SCeFC100の実際の容量はその動作範囲105よりもはるかに高いため、SCeFC100はまた、電力301Aのピークを受け取り、それにより、下の表3で例証されるように、エネルギー回復の程度及び効率を増大させるために使用され得る。したがって、開示された実施形態におけるFC320及びSCeFC100の組み合わせは、(SCeFC100がかなりのサイクルをバッファするため)パワートレイン300のサイクル寿命がFC320のサイクル寿命を超えて、例えば、2倍、3倍、あるいは10倍も、例えば、FC320における数百サイクルからパワートレイン300における数千サイクルに(又は、様々な実施形態において、FC320における300~500サイクルからパワートレイン300における600~2000サイクルに)延長し得る。代替的に、又は相補的に、パワートレイン300は、FC320がそれだけで動作される場合よりも増大した容量並びに/又はより大きな回復の程度及び効率を提供し得る。代替的に、又は相補的に、パワートレイン300は、SCeFC100のみについて上の例で説明されるように、及び下の表3でパワートレイン300について例証されるように、コスト及び/又はサイズパラメータを改善し得る。
【0074】
[0085] 表3は、電動車両用のパワートレインの概略的で非限定的な比較を提示する。パワートレインは、様々な想定の下に比較される。最初の3つの列は、現況のリチウムイオンバッテリ(1列目)、並びにSi、Ge、及び/又はSnベースのアノード活物質110(並びに/又は、下の図9A図9Bを参照して、110A、110B、115、及び/若しくは、おそらくは、チタン酸リチウムLTOなどの高速充電バッテリ用の代替的なアノード活物質)を有する開示されたアノード108に基づいた高速充電バッテリ(2列目及び3列目)を用いて、単一バッテリモジュールソリューションのパラメータを提示する。すべてのソリューションにおいて、1時間あたり17.5kWhの平均エネルギー消費が想定される。
【0075】
[0086] 最初の3つの単一バッテリモジュールソリューションは、単一バッテリモジュールソリューションとして、それぞれ、電力301Aを受け取り、並びに車両システム301から、及び車両システム301へ、電力301Bを提供する。1列目及び2列目は、100kWhバッテリパックを想定するが、3列目は、1列目のソリューション(先行技術のLiイオンバッテリ)と同様のレンジ及び駆動時間を提供するように構成される80kWhバッテリパックを想定する。両方の高速充電バッテリ代替案は、高速充電されるそれらの能力、それ故に、充電の遅い(例えば、黒鉛アノードに基づいた)先行技術のバッテリよりも多くのエネルギーを受け取り、送達する能力によってより高いエネルギー回復を提供する。2列目のソリューションは、駆動時間及びレンジを増大させるために追加のエネルギーを使用する一方、3列目のソリューションは、バッテリサイズを減少させるために追加のエネルギーを使用する。高速充電ソリューションは、利用可能なサイクルの総数(サイクル寿命)に達するための時間を減少させ得る1日あたりのより効率的な充電サイクルによって特徴付けられることに留意されたい。全体的に見て、2列目のソリューションは、より効率的な回復に起因して電動車両のレンジを増大させる一方、3列目のソリューションは、バッテリパックのサイズ及びコストを減少させ、両方のソリューションがサイクル数の増加(約2倍)を必要とする。
【0076】
[0087] 4列目及び5列目は、図2に概略的に例示される2つのバッテリソリューションのパラメータを提示し、両方が、バッテリパック性能を改善し、バッテリパックのサイクル寿命を維持するか、又は向上させる。2つのバッテリも同様に、下に説明されるように、単一バッテリ内の2つのモジュールとして組み入れられ得ることに留意されたい。両方の場合において、すべての回復(車両システム301からの電力301Aの受け取り)は、SCeFC100によって実行され、60kWhが回復されることが想定される。4列目のソリューションは、80+60=140kWhのより大きなバッテリパックを表すが、5列目のソリューションは、第1の単一バッテリソリューションと同じバッテリパック容量を提供する。4列目及び5列目のソリューションの両方は、上に説明されるように、非常に多数のサイクルをサポートするように構成されるSCeFC100の部分的な動作範囲105に起因して、(4列目のソリューションのより大きな容量、及び5列目のソリューションのより大きな回復にもかかわらず)第1の単一バッテリソリューションと同じ駆動時間及びレンジを提供するように構成される。
【0077】
[0088] 部分的な動作は、%SoCあたりのエネルギー及びパルス周波数の対応する性能パラメータを用いて、1日あたりの充電サイクル(4列目及び5列目のソリューションでは、それぞれ動作範囲<5%SoCで>20、及び動作範囲<1%SoCで>300)で表現される。両方の場合において、FC320はSCeFC100のみから電力310を受け取り、その最適化された動作を可能にし、そのサイクル寿命を最大限にする(例えば、図6A参照)。本発明者らは、表3が、電動車両と、バッテリパックパラメータと、SCeFC100、FC320、それぞれそれらの対応するBMS106A、322、及び制御ユニット330の構成との関係に関する任意の必要な性能要件を提供するために、開示されたガイドラインに従って構成され得る、開示された発明の実施形態の動作及び利点を説明するために非限定的な概略例を提示することに留意する。寿命推定は、充電/放電サイクルの数として提案され、非常におおざっぱであり、開示された実施形態における改善を提案することを目的としており、制限するものとして理解されるべきではない。
【0078】
表3:電動車両用のパワートレインの比較
【0079】
【表3-1】
【0080】
上記表3の続き。
【0081】
【表3-2】
【0082】
[0089] DoDがサイクル寿命を非線形で低下させる、すなわち10~40%の低いDoDは、典型的には、数千サイクルを可能にする一方、約60~100%のDoDは、典型的には、数百サイクルのみを可能にするため、有利には、より程度の大きい電力回復及びFC320の制御された放電に起因して、サイクル寿命は、同じ全体容量を有する単一バッテリソリューション(例えば、2列目及び3列目に提示される)に対して延長され得る。特定の実施形態において、制御ユニット330は、SCeFC100を高需要で放電し、それによりFC320のDoDを低減し、そのサイクル寿命を増大させることによって、FC320のDoDをバッファするように構成され得る。
【0083】
[0090] さらに、SCeFC100に関しても、DoDの調整が、そのサイクル寿命を増大させるために使用され得る。提示された例において、4列目のソリューションは、比較的緩和された条件下(比較的広い動作範囲、比較的低いパルス周波数)で動作されるより大きなバッテリパックを提供するが、5列目のソリューションは、より厳しい条件下(より狭い動作範囲、より高いパルス周波数)で動作されるより小さいバッテリパック(1列目のソリューションと同様)を提供し、5列目のソリューションはより小さいDoDを維持することから、より長いサイクル寿命を可能にする。例えば、提示された5列目のソリューションは、4列目のソリューションにおけるSCeFC100のサイクル寿命よりも3~10倍長い場合のあるSCeFC100のサイクル寿命を提供する。
【0084】
[0091] (FC320及びSCeFC100を含む複合バッテリシステムの)パワートレイン300の概略的及び非限定的な寿命推定に関して、4列目に提示される実施形態は、SCeFC100を使用して、エネルギーバーストをバッファする、サイクル数を低減する、及び/又はFC320のDoDを低減することによって、単一バッテリソリューション(列2及び3)に対して推定3~10倍の増加を提供する。5列目に提示される実施形態は、上に説明されるように、動作範囲105(5%~1%SoC)の狭化、及びDoDに対するFC320の寿命の非線形従属性に起因して、4列目のソリューションに対して推定5~10倍のさらなる増加を提供し得る。DoDに対する線形従属性を想定するとしても、動作範囲105の低減は、5%SoCではなく1%SoCでの動作によって、5倍の寿命を提供する。DoDの寿命の非線形従属性は、FC320に対してより大きな割合のサイクルについてSCeFC100を使用して、この利点をさらに先へ前進させることを可能にし、例えば、5列目のソリューションにおいて、FC320は、1日あたり1回の充電で使用され得、SCeFC100は、1%SoCで動作するSCeFC100では1日あたり300充電で使用され得る。
【0085】
[0092] 1つのFC320及び1つのSCeFC100へのパワートレイン300の分離は、非限定的な様式及び例としてのみ本明細書では提供されることが強調される。様々な実施形態において、FC320及びSCeFC100は、FC320及びSCeFC100(本明細書内で開示されるように、異なって内部で設計され得る)に対応して、それらの異なる部分に対する別個の制御を有する単一バッテリモジュールとして組み入れられ得、並びに/又は複数のバッテリが、FC320及び/若しくはSCeFC100として、制御器を共有するバッテリパック内で、又は各機能を実施するための複数のバッテリとしてのいずれかで使用され得る。
【0086】
[0093] 特定の実施形態において、制御ユニット330は、FC320が使い果たされた場合に、追加の電力を提供するため、例えば、電動車両のレンジを延長するため、SCeFC100を利用するように構成され得る。そのような場合において、SCeFC100は、FC320内の電力を使い切ると、主電力供給源として動作され得る。
【0087】
[0094] 特定の実施形態において、制御ユニット330は、FC320のSoHの減少を補完するようにSCeFC100の動作構成を適合するように構成され得る。例えば、FC320の一部が損傷を受けるか、又は機能しなくなった場合、制御ユニット330は、FC320の容量損失を補完するためにSCeFC100の一部を割り当てるように構成され得る。特定の実施形態において、制御ユニット330は、FC320の容量損失を置き換えるために最大でSCeFC100全体を割り当てるように構成され得る。特定の実施形態において、制御ユニット330は、必要な追加の電力を提供するために、より大きな動作範囲105でSCeFC100を動作させるように構成され得る。
【0088】
[0095] パワートレイン300内のSCeFC100及びFC320からの電力は、性能及び経路パラメータに関して最適化され得る幅広いシナリオにおいてEV301に提供され得る。以下には、2種類の非限定的なシナリオが提示される。1つ目は、FC320のみからのEV301への電力供給に関与し(SCeFC100はFC320へ電力を供給し、EV300へは直接供給しない)、2つ目は、FC320の充電レベルを増大させるためにSCeFC100からFC320への追加の電力伝達を伴う、SCeFC100及びFC320のいずれかからのEV300への電力供給に関与する。いずれかのシナリオからの要素は、組み合わされ得、及び/又はシナリオは、動作中に制御ユニット330によって切り替えられ得る。制御ユニット330は、バッテリモジュールの状態、電力要求及び電力源、経路パラメータ及び天気パラメータ、並びに外部調整のいずれかなど、下に開示される様々なパラメータに従って、パワートレイン300への、パワートレイン300内での、及びパワートレイン300からのエネルギー流を最適化するように構成され得る。
【0089】
[0096] 図3A図3Cは、本発明のいくつかの実施形態に従う、電動車両301のパワートレイン300のシステム構成、動作アルゴリズム340、及び例343の概略図である。
【0090】
[0097] 図3Aは、本発明のいくつかの実施形態に従う、車両301内のパワートレイン300を概略的に例示する。一般性を失うことなく、ブレーキなどの車両システム302Aは、電力供給側として例示され、ドライブシャフトなどの車両システム302Bは、電力消費側として例示される。車両システム302Bへの電力伝達は、FC320(電力301B)から実行され得る。FC320は、電力バーストのSCeFC100内への蓄積後、車両システム302Aから受け取った(301A)SCeFC100からの電力310を提供され得る。充電制御器330は、電力伝達301A、310、301Bのそれぞれを、直接並びに/又は対応するSCeFC制御器106A及びFC制御器322を介して制御するように構成され得る。充電制御器330、SCeFC制御器106A、及びFC制御器322は、図2に例証される制御ユニット330、SCeFCBMS106A、及びFC BMS322を備えるか、又はその部分であり得る。実施形態のいずれかにおいて、制御器及びBMSという用語は、代わりに使用され得るか、又はおそらくは制御ユニット330内に部分的若しくは完全に統合された階層的に配置されたユニットを表し得ることに留意されたい。
【0091】
[0098] 図3Bは、本発明のいくつかの実施形態に従う、車両301内のパワートレイン300の動作スキーム340を概略的に例示する。入ってくるエネルギー341、例えば、車両システム301から受け取ったエネルギー及び/又は充電されたエネルギーは、SCeFC100がその動作範囲105の一番上にない場合(342を参照)、SCeFC100に送達され、そこに蓄積され得る(電力伝達301Aとして)。SCeFC100がその動作範囲105の一番上にある場合(342を参照)、FC320は、そこから充電される310が、FC320が満タンでない場合(344を参照)は、SCeFCは、補完エネルギー341を受け取る。SCeFC100及びFC320の両方が、それらの最上の規定容量にある場合、以下のオプションのいずれかが実施され得る(350Aを参照):回復を中止する(入ってくるエネルギー341からの入ってくる回復エネルギーを失う)、直接SCeFC100から車両システムに電力を供給する(301B)(下の図3Cも参照)、及び/又は、SCeFC100の動作範囲105の拡大を、可能であれば物理的に、及びそのような例外が利用可能であると事前に規定されている場合に、行う。エネルギー消費について考えると、エネルギー要件359では、例えば、車両システム301によって消費されるエネルギーでは、例外的な状況が存在せず(352を参照)、FC320が空でない(354を参照)場合、電力は、FC320から供給され得る(301B)。例外的な状況及び/又は空のFC320は、直接SCeFC100から電力を車両システム(301B)に供給すること(下の図4も参照)、及び/又はSCeFC100の動作範囲105の拡大を、可能であれば物理的に、及びそのような例外が利用可能であると事前に規定されている場合に、行うことによって対処され得る(350を参照)。
【0092】
[0099] SCeFC100の作動点115及び動作範囲105は、入ってくるエネルギー341の入ってくる回復エネルギーのある特定の予測される量、及び/又はある特定の最大エネルギー回復基準に準ずるように構成され得、それが車両301の全体的なエネルギー効率に著しく影響を与え得ることに留意されたい。下の図6A及び関連実施形態は、これらのパラメータを決定するためのプロセスに取り組む。
【0093】
[00100] 図3Cは、図の上部に矢印によって示される、入ってくるエネルギー341のバースト(例えば、回復エネルギー、及び/又は、代替的若しくは相補的には、充電ステーションからの充電エネルギーのバースト)、及び図の下部に太い矢印によって概略的に示される電力要求359など、電力供給の任意選択シナリオ343におけるパワートレイン300の動作の、本発明のいくつかの実施形態に従う、高水準の概略的で非限定的な定性的な例である。図2図3A、及び図3Bで概説される原理に沿った動作スキーム340において、SCeFC100は、主電力受取側(301A)として動作され、FC320の充電310の数を低減し、それによりFC320が受けるサイクルの数を低減するために、入ってくるエネルギーバースト341をバッファする。FC320の全体的な寿命を最大限にするために、FC320の充電の数及び放電サイクルとFC320のDoDとの間でトレードオフが最適化され得ることに留意されたい(例えば、図6A参照)。提示されたシナリオ340に対応する実施形態において、主電力供給側(301B)としてのFC320は、要求されたエネルギー359を送達する。動作範囲105を拡大するという例外的なシナリオ350は、図の右側に概略的に例示される(より多くの再生エネルギーを受け取るために最大SoCの上、又は、例えば、示されないがFC320が尽きた場合に追加の電力を提供するために最小SoCより下のいずれかの方向で)。例外的なシナリオ350は、例えば、FC320が利用できない場合、おそらくはFC320の修復モードにある場合、下に説明されるように、例外的な範囲拡大要求のため、又はおそらくはある特定の環境下で向上された回復のための、緊急シナリオとして要求され得る。一般性を失うことなく、例示された例において、SCeFC100は、作動点115として80%リチウム化周辺の±2%動作範囲105で動作されるように示される。SCeFC100は、一般的には、その高いサイクル性を使用して、FC320よりもはるかに高い充電及び放電Cレートで動作されることに留意されたい。
【0094】
[00101] 図4は、本発明のいくつかの実施形態に従う、電動車両301のパワートレイン300の高水準概略図である。電動車両301のパワートレイン300は、一定の負荷電力提供側として、特に長期間負荷下にあるときに電力301Bを電動車両301に送達するように構成されたFC320と、典型的にはバーストで届く回復電力301Aを電動車両301から受け取り、バースト電力負荷350Bを電動車両301に送達するように構成されたSCeFC100とを備え得る。電力要求を超えてSCeFC100に充電された回復エネルギーは、FC320を充電するために使用され得る。
【0095】
[00102] 一般に、そのようなシナリオに対応する実施形態において(下の図5A図5Cも参照)、パワートレイン300は、バーストに対処するためにSCeFC100を割り当て、それにより上に開示されるように達成されるSCeFC100の長いサイクル寿命を利用すると当時に、パワートレイン300の全体的な寿命を増大するためにFC320のサイクルを最小限にするように構成される。
【0096】
[00103] FC320及びSCeFC100の両方は、Si、Ge、Sn及び/又はLTOベースのアノード活物質110(及び/又は110A、110B、115、下の図9A図9Bを参照)を有するアノード108を有し得、おそらくは同じ種類のアノード物質に基づいてパワートレイン300を提供する。
【0097】
[00104] SCeFC100は、Si、Ge、Sn及び/又はLTOベースのアノード活物質110(及び/又は110A、110B、115)を含み得るアノード活物質の60~80%の間のリチウム化の作動点115周辺の最大5%の動作範囲105内で、少なくとも5Cで動作するように構成され得る。
【0098】
[00105] パワートレイン300は、SCeFC100の充電状態(SoC)を作動点115周辺の動作範囲105内に維持し、FC320及びSCeFC100を、それぞれ301B及び301Aと概略的に表される、車両301への電力送達及び車両301からの電力送達について管理し、FC320のサイクル及びおそらくはDoDを最小限にする指定の基準に従って、SCeFC100からFC320への電力送達310を管理するように構成された制御ユニット330をさらに備え得る。例えば、FC320は、FCバッテリ管理システム(FC BMS)322と関連付けられ得、SCeFC100は、おそらくは制御回路106を備えるSCeFCバッテリ管理システム(SCeFC BMS)106Aと関連付けられ得る。
【0099】
[00106] 有利には、SCeFC100は、エネルギーバーストを受け取り、程度及びタイミングが不規則である要求されたエネルギーバーストを送達して、FC320のサイクルを低減するように構成され得る。SCeFC100は、非常に多数のサイクル(上に説明及び論証されるように、例えば、10,000サイクル台)にわたって動作可能であるように構成され得、SCeFC100は、パワートレイン300のサイクル寿命を減少させることなく一貫性のないエネルギー入力301Aに耐えることができる。さらに、SCeFC100の実際の容量はその動作範囲105よりもはるかに高いため、SCeFC100はまた、電力301Aのピークを受け取り、それにより、上の表3で例証されるように、エネルギー回復の程度及び効率を増大させるために使用され得る。したがって、開示された実施形態におけるFC320及びSCeFC100の組み合わせは、(SCeFC100がかなりのサイクルをバッファするため)パワートレイン300のサイクル寿命をFC320のサイクル寿命を超えて、例えば、2倍、3倍、あるいは10倍も、例えば、FC320における数百サイクルからパワートレイン300における数千サイクルに(又は、様々な実施形態において、FC320における300~500サイクルからパワートレイン300における600~2000サイクルに)延長し得る。代替的に、又は相補的に、パワートレイン300は、FC320がそれだけで動作される場合よりも増大した容量並びに/又はより大きな回復の程度及び効率を提供し得る。代替的に、又は相補的に、パワートレイン300は、SCeFC100のみについて上の例で説明されるように、及び上の表3でパワートレイン300について例証されるように、コスト及び/又はサイズパラメータを改善し得る。
【0100】
[00107] 図5A図5Cは、本発明のいくつかの実施形態に従う、電動車両301のパワートレイン300のシステム構成、動作アルゴリズム340、及び例343の高水準概略図である。
【0101】
[00108] 図5Aは、本発明のいくつかの実施形態に従う、車両301内のパワートレイン300を概略的に例示する。一般性を失うことなく、ブレーキなどの車両システム302Aは、電力供給側として例示され、ドライブシャフトなどの車両システム302Bは、電力消費側として例示される。車両システム302Bへの電力伝達は、SCeFC100が、車両システム302Aから受け取った(301A)蓄積された回復電力バーストから受け取られる利用可能な電力を有する限りは、SCeFC100(電力301B)から実行され得る。FC320は、必要なときに一定の電力301Bを提供するように構成され得る一方、SCeFC100は、FC320のDoDを最小限にするために使用され得る。FC320は、SCeFC100が車両301のバースト要求を超えてエネルギーを提供することができるとき、SCeFC100から電力310を提供され得る。充電制御器330は、電力伝達301A、310、301Bのそれぞれを、直接並びに/又は対応するSCeFC制御器106A及びFC制御器322を介して制御するように構成され得る。充電制御器330、SCeFC制御器106A、及びFC制御器322は、図4に例証される制御ユニット330、SCeFCBMS106A、及びFC BMS322を備えるか、又はその部分であり得る。実施形態のいずれかにおいて、制御器及びBMSという用語は、代わりに使用され得るか、又はおそらくは制御ユニット330内に部分的若しくは完全に統合された階層的に配置されたユニットを表し得ることに留意されたい。
【0102】
[00109] 図5Bは、本発明のいくつかの実施形態に従う、車両301内のパワートレイン300の高水準動作スキーム340を概略的に例示する。エネルギー要件359、例えば、車両システム301によって消費されるエネルギーは、SCeFC100が動作範囲105の一番下を上回る場合(358を参照)、SCeFC100によってまず提供され得る(350B)。そうでない場合、例えば、SCeFCが尽きた場合(356、358を参照)、FC320は、特に一定の負荷の間、車両301に電力を提供する(301B)ために使用され得る。代替的に、車両301に提供されない余分の電力がSCeFC100内に残っている場合、FC320はSCeFC100から充電され得る(310を参照)。FC320が空になると(354を参照)、動作範囲105を拡大するという例外的なケース350が、例えば、下に説明される緊急モードとして適用され得る。入ってくるエネルギー341、例えば、車両システム301及び/又は充電ステーションから受け取られるエネルギーは、SCeFC100に送達され、かつそこに蓄積され(電力伝達301Aとして)、そこから直接、車両301及び/又はFC320へ送達され得る。SCeFC100の作動点115及び動作範囲105は、入ってくるエネルギー341のある特定の予測される量、及び/又はある特定の最大エネルギー回復基準に準ずるように構成され得、それが車両301の全体的なエネルギー効率に著しく影響を与え得ることに留意されたい。下の図6A及び関連実施形態は、これらのパラメータを決定するためのプロセスに取り組む。
【0103】
[00110] 図5Cは、図の上部に矢印によって示される、入ってくるエネルギー341のバースト(例えば、回復エネルギー、及び/又は、代替的若しくは相補的には、充電ステーションからの充電エネルギーのバースト)、及び図の下部に太い矢印によって概略的に示される電力要求359など、電力供給の任意選択シナリオにおけるパワートレイン300の動作の、本発明のいくつかの実施形態に従う、概略的で非限定的な定性的な例343であり、図3Cと類似している。図4図5A、及び図5Bで概説される原理に沿った動作スキームにおいて、SCeFC100は、車両のエネルギー要件359を満たすためにエネルギーバースト341の受取側及びエネルギー350Bの提供側として動作されて、FC320のDoD及び充電310の数を低減する。FC320の寿命を最大限にするために、FC320の充電の数及び放電サイクルとFC320のDoDとの間でトレードオフが最適化され得ることに留意されたい(例えば、図6A参照)。FC320は、典型的には、要求されたエネルギー359を送達するためにより大きくかつ一定の電力需要(301B)を供給し、SCeFC100からのエネルギーが利用可能であるとき、SCeFC100から充電される。例外的なシナリオ350(より多くの再生エネルギーを受け取るために最大SoCの上、又は、例えば、示されないがFC320が尽きた場合に追加の電力を提供するために最小SoCより下のいずれかの方向で、図の右側に概略的に例証される)は、例えば、FC320が利用できない場合、おそらくはFC320の修復モードにある場合、下に説明されるように、例外的な範囲拡大要求のため、又はおそらくはある特定の環境下で向上された回復のための、緊急シナリオとして要求され得る。一般性を失うことなく、例示された例において、SCeFC100は、作動点115として80%リチウム化周辺の±2%動作範囲105で動作されるように示される。SCeFC100は、一般的には、その高いサイクル性を使用して、FC320よりもはるかに高い充電及び放電Cレートで動作されることに留意されたい。
【0104】
[00111] 図3C及び図5Cの両方において、SCeFC100を充電及び放電する傾斜は、上に記載されるように、FC320より高いCレートを有するためにSCeFC100の構成によって達成可能なより高い最大充電及び放電レート(Cレート)に起因して、FC320を充電及び放電する傾斜よりも急であることに留意されたい。非限定的な例として、FC320は、1C、2C、5C、10Cのうちのいずれかの最大Cレート(充電/放電電流対容量比)で動作され得るが、SCeFC100は、上に説明されるように、SCeFC100の構成パラメータに応じて、それぞれ5C、10C、20C、30Cのうちのいずれかの最大Cレートで、あるいは、例えば、50C、100C以上のより高い最大Cレートで動作されるように構成され得る。
【0105】
[00112] 図6Aは、本発明のいくつかの実施形態に従う、車両301内のパワートレイン300のFC320及びSCeFC100のモジュールサイズ368を最適化するためのアルゴリズム360の高水準フローチャートを概略的に例示する。例えば、事前に規定された必要な回復エネルギー基準361、予測される充電/放電プロファイルのパラメータ(例えば、予測されるバースト又はパルス周波数)、及びサイクルあたりのエネルギー基準362は、様々な動作スキーム340及びシナリオ343に従ってFC320及びSCeFC100のそれぞれについて予測される充電/放電サイクル365を特徴付けるために使用され得る。次いで、予測される充電/放電サイクル365からの結果として生じるSoCプロファイル367は、上に提示されるパラメータ362と一緒に使用され得、SCeFC及びFCモジュールサイズ368、並びにSCeFC100の作動点115及び動作範囲105を計算するために使用され得る。例えば、8時間の60kWhパックの必要な回復能力361及び約1.5分の充電/放電プロファイル(パルス周波数)362、又は各充電/放電サイクルあたり0.2kWhに基づいた非限定的な計算は、300充電/放電サイクルの必要なサイクル数365(60kWhを0.2kWhで除算)及び1%の事前に規定されたSoC367をもたらす。これらのパラメータは、20kWh(それが1%SoCで0.2kWhを提供する)のSCeFCモジュール100に対応する。車両301の一定の負荷要求のさらなる考慮は、必要なFCモジュールサイズをさらに提供し得る。
【0106】
[00113] 図6Bは、本発明のいくつかの実施形態に従う、パワートレイン300、及びパワートレイン300の動作モードの高水準概略図である。例示されたパワートレイン300は、SCeFC100によってエネルギーバーストを受け取り、SCeFC100によって電力をバースト負荷359Aに提供するように、及びFC320によって電力を一定負荷359Bに送達するように構成され、SCeFC100もまた、すべてのエネルギー伝達が制御ユニット330によって制御された状態で、FC320を充電するように構成される。
【0107】
[00114] 特定の実施形態において、SCeFC100は、多数のサイクルをサポートするためにその容量を利用してより高い頻度(より多くのサイクル)で動作されることによって、FC320と同様の寿命を有するように構成され得る。SCeFC100の高充電レートは、回生制動からエネルギーを捕捉するために利用され、SCeFC100の容量は、回収されたエネルギーの大半あるいはすべてを受容することを可能にする動作範囲105をサポートするように構成され得る。
【0108】
[00115] 特定の実施形態において、SCeFC100は、SCeFC100によってエンジンを始動することを可能にし、対応するバースト負荷359Aを提供するため、エンジン始動中の最小クランキング電圧を上回る電圧レベルを有するように構成され得る。SCeFC100は、回生制動中の短時間にわたって高電流を受容するように構成され得、事前に規定されたSoCまで部分的に充電され得る。SCeFC100は、エンジンがオフのとき負荷を供給し、おそらくはエンジン始動及び停止をサポートするように構成されるが、FC320は、より長い期間にわたって一定負荷359Bを提供するように構成され得る。制御器330は、必要な負荷359に従ってSCeFC100及び/又はFC320を割り当て、対応する優先度を設定するように構成され得る。制御器330は、規定された優先度を用いてすべての部品への充電及び放電電流を(一緒に又は別個に)調節するようにさらに構成され得る。
【0109】
[00116] 特定の実施形態において、SCeFC100は、緊急モード(例えば、レンジを拡大するため)で動作され得、例えば、緊急の場合には、追加のエネルギーを提供して車両301のレンジを拡大するために、事前に規定されたSoCを過ぎて(可能であれば、事前に規定された動作範囲105を超えて)充電され得る350。例えば、80kWhのFC320及び20kWhのSCeFC100(例えば、上の表3の5列目を参照)では、SCeFCによって(グリッド充電から、及び/又は動作範囲105の拡大によってのいずれかで)提供される追加の20kWhは、パワートレイン300の総エネルギー及び最大レンジを20%(又はFC320だけに対して25%)増大させ得る。
【0110】
[00117] 特定の実施形態において、SCeFC100の容量の一部分は、非限定的な例において表4で概略的に例示されるように、FC320の容量損失を補完するために使用され得る。修復モード使用時、SCeFCモジュール100は、サイクル寿命全体を延長するためにFCモジュール320のための修復バッテリとして部分的に使用され得る。
【0111】
表4:修復モード動作の例
【0112】
【表4】
【0113】
[00118] 左側の列は、容量が損なわれた(10kWhに相当する容量損失)FC320を概略的に例示する。右側の列は、ある特定の容量(非限定的な例示されたケースでは10kWhに相当する)をFCモジュール320と同様に動作されるように割り当てることによる、FC320の損傷を補完するためのSCeFC100の再構成を概略的に例示する。有利には、FC320及びSCeFC100が同様のアノード及びカソード材料に基づくため、利用可能な容量の変換は単純である。SCeFC100の動作範囲105、及びおそらくはその作動点115も同様に、パワートレイン300の動作を最適化するように調整され得、例えば、動作範囲105は、エネルギーのバーストを受け取る(及びおそらくは提供する)のに割り当てられたSCeFCの容量の低減を少なくとも部分的に補完するために拡大され得る。
【0114】
[00119] 図7Aは、本発明のいくつかの実施形態に従う、単一バッテリ370内にFCモジュール320及びSCeFCモジュール100が組み入れられているパワートレイン300の概略図である。バッテリ370は、各々が複数のセルスタック380を有する複数の内部モジュール375を備え得る。制御ユニット330は、FCモジュール320及びSCeFCモジュール100への複数の内部モジュール375の、あるいはセルスタック380の割り当てを管理するように構成され得る。割り当て及び管理は、本明細書内に開示されるFCモジュール320及びSCeFCモジュール100によって特徴付けられるように、異なる動作プロファイル及び条件に従って、異なる内部モジュール375及び/又はセルスタック380を動作させることを指すということに留意されたい。
【0115】
[00120] 図7Aに概略的に例示されるように、内部モジュール375及び/又はセルスタック380は、例示された括弧によって概略的に示されるように、FCモジュール320及びSCeFCモジュール100に属するものとして割り当てられ得、FCモジュール320及びSCeFCモジュール100の各々が、それぞれのFC BMS322及びSCeFC BMS106Aによって制御される。制御ユニット330は、本明細書内に説明されるように、FC BMS322及びSCeFC BMS106A、並びに電力受け取り及び送達プロファイルを制御するだけでなく、例外的な動作要求(例えば、セルスタック380のうちのいくつかへの損傷、範囲拡大要求350など)に従って、FCモジュール320及びSCeFCモジュール100の間で内部モジュール375及び/又はセルスタック380の割り当て(交差した両矢印によって概略的に例示される)を変えるように構成され得る。制御ユニット330は、バッテリパック状態パラメータ370A(例えば、内部モジュール375及び/又はセルスタック380の効率及び動作に関して)、走行経路パラメータ371、及び関連した電力考慮事項379(例えば、それぞれ、対応する長時間の電力要求又は長時間の電力回復可能性を有する長時間の上り坂又は下り坂走行区間、経路に沿った充電ステーションの分布、天気などの変化するパラメータと関連付けられる予測される電力要求など)に対して、FCモジュール320及びSCeFCモジュール100への割り当てを制御するようにさらに構成され得る。FCモジュール320及びSCeFCモジュール100の間での内部モジュール375及び/又はセルスタック380の再割り当ては、例外として(例えば、修復又は緊急モードにおいて)又は変化する条件に対するパワートレイン300の通常調整として制御ユニット330によって実行され得る。
【0116】
[00121] 特定の実施形態において、制御ユニット330は、FC320及びSCeFC100への単一バッテリの要素の割り当てを管理するように、任意選択で、FC320及びSCeFC100の間で、単一バッテリの要素を、その要素の動作パラメータに従って再割り当てするように、及び/又は、おそらくは、上に開示されるように、修復モード(FC320への損傷に対するSCeFC100による補完)、範囲拡大モード(SCeFC100からのFC320への容量の追加)などを組み入れるようにさらに構成され得る。そのような実施形態において、制御ユニット330は、バッテリの単一の制御器を形成するためにFC320及びSCeFC100のそれぞれのBMSに取って代わるように構成され得る。
【0117】
[00122] 特定の実施形態において、FC320及びSCeFC100は、少なくとも2つの対応する別個のバッテリ内に組み入れられ、上に開示されるように制御ユニット330によって管理され得る。
【0118】
[00123] 図7Bは、本発明のいくつかの実施形態に従う、非常に概略的な電力供給プロファイルの例示である。この例示は、非限定的かつ概略的であり、走行距離に沿ったパワートレイン300内の蓄積エネルギーにおける変化(上のグラフ)、及び指針として異なる考慮事項を使用してパワートレイン300の電力プロファイルをFC320とSCeFC100との間で分割するための2つのシナリオ(別個にかつ概略的にFC及びSCeFC蓄積エネルギーを示す下の2つのグラフ)を反映した、走行に沿ったEVの電力プロファイルを一般的な様式で説明する。制御ユニット330は、FC320とSCeFC100との間の任意の分割シナリオを組み入れるだけでなく、様々な考慮事項(例えば、バッテリパック状態パラメータ370A、走行経路パラメータ371、電力考慮事項379など)に従って、動作中にシナリオ間を切り替えるように構成され得ることが強調される。
【0119】
[00124] 例示された例において(上のグラフ)、蓄積エネルギーの全体的な下向き傾向は、例えば、充電ステーションでの、断続的な短い充電期間を伴う、EVによるエネルギー使用を反映する。エネルギー使用プロファイルの傾斜は、EVのエネルギー需要に依存し(EVの走行経路及び補充の必要性に応じて)、移動距離に伴って変化し、傾斜を緩くし得るか、あるいは時に電力プロファイルを逆転して正味の電力回生にし得る電力回復の断続的な期間がある。
【0120】
[00125] 電力供給及び電力受け取りへのSCeFC100及びFC320の割り当ては、様々なシナリオにおいて実行され得、そのうちの2つが提示される。第1のシナリオ(真ん中のグラフ)は、電力変動(概略的に例示される、充電、回復、及び高需要からの)がSCeFC100によってバッファされた状態で、FC320が、そのサイクルを最小限にするために一定の傾斜で継続して動作され、第2のシナリオ(下のグラフ)は、FC320がそのDoDを最小限にするように動作され、定期的に充電される一方で、SCeFC100が、FC320からの電力を消耗する必要性を最小限にするのに必要なだけ動作される。これらのシナリオに対応して、SCeFC100及びFC320に蓄積されるエネルギーの概略的変動は、制御ユニット330によっていずれかのソースを形成する電力供給及び需要の割り当てを概略的に表すために例示される。様々な実装形態において、明らかに詳細は変更され得る。一般性を失うことなく、例示された例において、SCeFC100は、作動点115として70%リチウム化周辺の±2%動作範囲105で動作されるように示される。両方のシナリオにおいて、SCeFC100は、その高サイクル性を使用して、最大電力(提供及び受け取り)バーストに対処し、はるかに高い充電及び放電Cレートによって特徴付けられることに留意されたい。
【0121】
[00126] 図7Cは、本発明のいくつかの実施形態に従う、SCeFC100とFC320との間での制御ユニット330による電力供給及び需要の割り当ての概念的例示である。パワートレイン300から供給される、EVによるエネルギー使用は、典型的には、大きなエネルギー量のかなり一定の電力供給を必要とする比較的一定の負荷期間、及びより少ない量ではあるが、より高い放電レート(バースト)でのエネルギーを必要とする電力バースト期間によって特徴付けられる。制御ユニット330は、FC320及びSCeFC100の使用を、それらの典型的なCレート及びサイクル性に対して最適化するように、例えば、一定負荷を提供するためにFC320を割り当て、一定負荷に加えてバースト電力を提供するためにSCeFC100を割り当てるように構成され得る。代替的に、又は相補的に、SCeFC100は、そこから利用可能な電力を提供するように構成され得、SCeFCが使い果たされたときにはFC320が主として使用される。パワートレイン300へのエネルギー供給は、典型的には、例えば、充電の短い停止においては、高いCレート充電を必要とする充電電力バースト、及びおそらくは、エネルギー回復の低いC充電期間(例えば、下り坂走行時、及びブレーキの動作時)を含む。制御ユニット330は、FC320のサイクルを低減し、及び/又はFC320を部分的に充電してそのDoDを低減するために、主にSCeFC100によって電力を受け取るように構成され得る。SCeFC100及びFC320の両方は、例えば、走行後、夜間など、長期間の充電期間中に充電され得る。SCeFC100とFC320との間でのバッテリモジュールの再割り当て(例えば、図7Aを参照)をおそらくは含む、SCeFC100及びFC320への充電エネルギーの割り当ては、バッテリパックの状態、走行経路の今後の部分のための必要な電力蓄積を含む様々なパラメータに対して、制御ユニット330によって制御され得る。
【0122】
[00127] 特定の実施形態において、SCeFC100及びFC320は、米国特許出願第15/678,143号に開示される線に沿ってEVとインターフェースをとり得、即ち、SCeFC100は、例えば、所与のEVパワーエレクトロニクスの仕様に対応する限られたエネルギー量を受け取り、提供するようにSCeFCを構成する際に、より高いパワーエレクトロニクスの要求なしに、既存のEV電力接続を介して充電及び放電されるように構成されている。しかしながら、他の実施形態において、電力提供回路は、SCeFC100の使用の利益を向上するため、及び電力回復を向上するために、高い電力伝達をサポートするように構成され得る。
【0123】
[00128] 図8は、本発明のいくつかの実施形態に従う、高速充電バッテリによってスーパーキャパシタをエミュレートし、エミュレートされたスーパーキャパシタを電動車両のパワートレイン内で使用する方法を例示する概略フローチャートである。図8に概略的に例示されるように、方法200は、指定の要件に対してスーパーキャパシタをエミュレートするように高速充電バッテリを構成すること(ステージ210)によって、例えば、要求された仕様を提供するようにバッテリの物理的寸法を構成すること(ステージ220)、バッテリの充電/放電レートを決定すること(ステージ225)、並びに/又はバッテリの作動点及び部分的な動作範囲を決定すること(ステージ230)によって、所与の仕様を有するスーパーキャパシタを高速充電バッテリによってエミュレートして(ステージ205)、例えば、SCeFC100を産出することを含み得る。方法200は、バッテリの制御回路を要求された性能を提供するように構成すること(ステージ240)をさらに含み得る。
【0124】
[00129] 方法200は、最適動作窓内で作動点を選択すること(ステージ250)、おそらくは、動作中のアノード物質粒子の相対膨張を低減するために、最適動作窓内で高リチウム化点として作動点を選択すること(ステージ255)をさらに含み得る。
【0125】
[00130] 方法200は、例えば、動作範囲内の作動点周辺のみでの動作を想定してアノード構成を最適化すること(ステージ265)によって、バッテリを修正して動作範囲内でのその性能をさらに向上させること(ステージ260)をさらに含み得る。例えば、下の図6及び図9Bを参照されたい。
【0126】
[00131] 方法200は、例えば、電力の主要源として、電動車両に電力を送達するように構成された高速充電リチウムイオンバッテリモジュール(FC)、並びに(例えば、パワートレインに充電される、及び/又はEVから回復される)電力を受け取り、FCに電力を送達するように構成されたスーパーキャパシタエミュレーティング高速充電リチウムイオンバッテリモジュール(SCeFC)から電動車両用のパワートレインを構成すること(ステージ400)をさらに含み得、FC及びSCeFCの両方が、同じアノード活物質(例えば、Si、Ge、及び/又はSnベースのアノード活物質、LTOベースのアノード物質など)を有するアノードを有し、SCeFCが、アノード活物質の60~80%の間のリチウム化の作動点周辺の最大5%の動作範囲内で、5Cの最大充電レートで動作するように構成される。方法200は、電動車両から回復電力を受け取り、FCに電力を送達するようにSCeFCバッテリを動作させること、及び電動車両に電力を送達するようにFCを動作させること(ステージ410)をさらに含み得る。
【0127】
[00132] 特定の実施形態において、方法200は、SCeFCの充電状態(SoC)を作動点周辺の動作範囲内に維持すること(ステージ420)、FC及びSCeFCを、それぞれ電動車両への電力送達及び電動車両からの電力送達について管理すること(ステージ430)、及びFCの放電深度(DoD)を最小限にする指定の基準に従って、SCeFCからFCへの電力送達を管理すること(ステージ440)のいずれかを含み得る。
【0128】
[00133] 特定の実施形態において、方法200は、FCが容量の低減を経験するときFCの動作を補完するためにSCeFCの少なくとも一部分を割り当てること(ステージ450)をさらに含み得、この割り当ては、SCeFCの動作範囲を増大させること(ステージ455)、及びおそらくは、例外的な状況においては電力消耗及び/又はFCへの損傷を補完するためにSCeFCの動作範囲を拡大することによって実行される。特定の実施形態において、方法200は、FCのDoDを最小限にするために、電力バーストを送達して電動車両に電力を供給するようにSCeFCを構成すること(ステージ460)をさらに含み得る。方法200は、SCeFCの動作範囲を最小限にし、FCのサイクルに対してSCeFCのサイクルを最大限にすること(ステージ465)をさらに含み得る。
【0129】
[00134] 制御ユニットは、FCの放電深度(DoD)を最小限にするように、及び/又はFCのサイクル数を最小限にするようにさらに構成され得ることに留意されたい。方法200は、Si、Ge、Sn及び/又はLTOのいずれかに基づき得るバッテリモジュール上に組み入れられ得る。
【0130】
[00135] 特定の実施形態において、方法200は、SCeFCを主なバースト受取側(例えば、高C充電された電力、回復エネルギーなど)及び主なバースト提供側(例えば、高Cレートで必要な電力バーストを供給する)として動作させること、並びにFCを主な一定負荷供給側として動作させること(ステージ470)をさらに含み得る。方法200は、負荷の一貫性及びバーストパラメータなどの負荷特性に関して、SCeFC及びFCからの電力供給を管理すること(ステージ475)をさらに含み得る。
【0131】
[00136] 方法200は、FC及びSCeFCを単一バッテリに組み入れること(ステージ480)、及び/又は内部モジュール及びセルスタックをFC及びSCeFCへのそれらの割り当てに関して管理すること(ステージ485)、及び/又は、おそらくは、走行経路パラメータ、電力考慮事項、バッテリ要素の動作パラメータなどの性能要件に従って、内部モジュール及びセルスタックをFC及びSCeFCに再割り当てすること(ステージ490)をさらに含み得る。
【0132】
[00137] 特定の実施形態において、方法200は、FC及びSCeFCを少なくとも2つの対応する別個のバッテリに組み入れることをさらに含み得る。
【0133】
[00138] 特定の実施形態において、アノード構成最適化265は、SCeFCの動作を動作範囲内の作動点周辺のみで可能にするようにアノード活物質を構成すること、及び/又は、おそらくは、動作中のアノード物質粒子の相対膨張を低減するために、SCeFCの最適動作窓内で高リチウム化点として作動点を選択することをさらに含み得、すべては電動車両のパワートレイン300内のSCeFCを動作させることに関してである。
【0134】
[00139] 方法200のいずれの部分も、パワートレイン制御ユニット330、並びに/又は、BMS322及び/若しくは106Aのいずれかに組み込まれ得るコンピュータプログラム製品内で実施され得る。
【0135】
[00140] 本発明に従ういくつかの方法は、知られている電力源の好適な制御によって実施され得る。例えば、本発明のいくつかの実施形態は、コンピュータのプロセッサ上で実施されるとき、本明細書内に記載される方法のいずれかに従ってコンピュータに電力源又はパワートレインを制御させる命令を含むコンピュータ可読媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、格納された命令の形態で、一時的又は非一時的であり得る。例えば、特定の実施形態は、コンピュータ可読プログラムが埋め込まれた非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品を含み、このコンピュータ可読プログラムは、電動車両から回復電力を受け取り、FCに電力を送達するようにSCeFCバッテリを動作させ、電動車両に電力を送達するようにFCを動作させるように構成され、電動車両のパワートレインは、主電力供給側としてFCを、及び主電力受取側としてSCeFCを備え、FC及びSCeFCの両方が、Si、Ge、Sn及び/又はLTOベースのアノード活物質を有するアノードを有し、SCeFCは、Si、Ge、Sn及び/又はLTOベースのアノード活物質を含み得るアノード物質の60~80%の間のリチウム化の作動点周辺の最大5%の動作範囲内で、少なくとも5Cで動作するように構成される。コンピュータプログラム製品は、アノード活物質の60~80%の間のリチウム化の作動点周辺の最大5%の動作範囲内で、少なくとも5CでSCeFCを動作させるように構成されたコンピュータ可読プログラムをさらに含み得る。
【0136】
[00141] 特定の実施形態において、コンピュータプログラム製品は、SCeFCの充電状態(SoC)を作動点周辺の動作範囲内に維持し、FC及びSCeFCを、それぞれ電動車両からの電力送達及び電動車両への電力送達について管理し、FCの放電深度を最小限にする指定の基準に従って、SCeFCからFCへの電力送達を管理するように構成されたコンピュータ可読プログラムをさらに含み得る。
【0137】
[00142] 特定の実施形態において、コンピュータプログラム製品は、FCが容量の低減を経験するときFCの動作を補完するためにSCeFCの少なくとも一部を割り当てるように構成されたコンピュータ可読プログラムをさらに含み得、この割り当ては、SCeFCの動作範囲を増大させることによって実行される。特定の実施形態において、コンピュータプログラム製品は、動作中のアノード物質粒子の相対膨張を低減するために、SCeFCの最適動作窓内で高リチウム化点として作動点を選択するように構成されたコンピュータ可読プログラムをさらに含み得る。
【0138】
[00143] 特定の実施形態は、コンピュータ可読プログラムが埋め込まれた非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品を含み、コンピュータ可読プログラムが、電動車両(EV)のパワートレインを動作させるように構成され、パワートレインは、EVに電力を送達するように構成されたメインの高速充電リチウムイオンモジュール(FC)、並びに電力を受け取り、EV及び/又はFCに電力を送達するように構成されたスーパーキャパシタエミュレーティング高速充電リチウムイオンモジュール(SCeFC)を備え、FC及びSCeFCの両方が、同じアノード活物質に基づいたアノードを有し、SCeFCは、アノード活物質の60~80%の間のリチウム化の作動点周辺の最大5%の動作範囲内で、少なくとも5Cの最大充電レートで動作するように構成され、コンピュータ可読プログラムは、SCeFCの充電状態(SoC)を作動点周辺の動作範囲内に維持するようにSCeFCバッテリを動作させるように構成されたコンピュータ可読プログラムと、FC及びSCeFCを、それぞれEVへの電力送達及びEVからの電力送達について管理するように構成されたコンピュータ可読プログラムと、指定の基準に従ってSCeFCからFC及び/又はEVへの電力送達を管理するように構成されたコンピュータ可読プログラムとを含む。コンピュータ可読プログラムのいずれかの実装形態は、本明細書内に開示される原理、シナリオ、及び制御構成に従って構成され得る。
【0139】
[00144] 修正された高速充電バッテリ100Aは、アノードでのリチウムの金属化のはるかに減少された可能性に起因して安全性の向上した高速充電レートを可能にする改善されたアノード及びセルを備え得、デンドライト伸長、及び火災又は爆発の関連リスクを防ぐ。アノード及び/又は電解質は、アノード電解質界面におけるリチウムイオン蓄積、並びに結果として生じる金属化及びデンドライト伸長を防ぐために、リチウムイオンを、部分的に減少させ、リチウム化のためにアノードに徐々に導入するためのバッファリングゾーンを有し得る。様々なアノード活物質及び組み合わせ、ナノ粒子による修正、並びに改善されたアノードを組み入れる様々なコーティングが提供される。セル内の電解質は、界面におけるリチウムイオンの蓄積率をさらに減少させるように選択され得るが、リチウム化をアノード物質内に維持することがレート制限因子である。
【0140】
[00145] 図9Aは、本発明のいくつかの実施形態に従う、様々なアノード構成の概略図である。図9Aは、充電中にリチウム化したリチウムを受け取り、放電中にリチウムイオンを放出するため、アノード活物質粒子110(例えば、ケイ素、ゲルマニウム、及び/若しくはスズなどの半金属の粒子、並びに/又はアルミニウムの粒子)、及び/又は、おそらくは、複合コアシェル粒子110Bを、異なるサイズ(例えば、100nmの大きさ、例えば、100~500nm、及び/又は、おそらくは、10nm若しくは1μの大きさ)で含み得るアノード108の表面を非限定的な様式で概略的に例示する。アノード108は、結合剤及び添加剤102、並びに任意選択でコーティング130(例えば、リチウムあり又はなしの導電性ポリマー130A、CNT(炭素ナノチューブ)又は炭素繊維などの導電性線維130B)をさらに含み得る。活物質粒子110は、1つ又は複数のコーティング120によって(例えば、導電性ポリマー、リチウムポリマーなどによって)プレコートされ得、ホウ酸塩及び/又はリン酸塩128をそれらの表面に結合させ(おそらくは、例えば、B2O3、P2O5を形成する)、電解質85(及び/又は、そこへのイオン液体添加剤)及び/又は様々なナノ粒子112(例えば、B4C、WC、VC、TiN)(修正されたアノード活物質粒子110Aを形成する)と相互作用し得る結合分子180(概略的に例示される)が、ボールミル(例えば、参照によりその全体が本明細書内に組み込まれる、米国特許第9,406,927号を参照)、スラリー形成、スラリーの散布、及び散布したスラリーの乾燥などのアノード準備プロセス111においてそこに付着され得る。例えば、アノード準備プロセス111は、添加剤102、例えば、結合剤(例えば、ポリフッ化ビニリデン:PVDF、スチレンブタジエンゴム:SBR、又は任意の他の結合剤)、可塑剤、及び/又は導電性フィラーを、水又は有機溶剤などの溶剤(アノード物質が制限された溶解度を有する)と混合して、アノードスラリーを作り、その後それを乾燥させ、固めて、集電材(例えば、アルミニウム又は銅などの金属)に接して位置付ける。これらの可能性のある構成のうちの一部の詳細は以下に開示される。
【0141】
[00146] 特定の実施形態において、修正された高速充電バッテリ100Aは、高速充電バッテリの完全な(名目上の)動作範囲にわたって動作される高速充電バッテリに対して修正260の適用によってデバイス100における動作が最適化され得る。例えば、バッテリ100Aは、例えば、動作範囲内の作動点周辺のみでの動作を想定してアノード構成を最適化することによって、動作範囲内のその性能をさらに向上させるために修正され得る(260)。例えば、アノード物質粒子は、動作範囲内の作動点周辺のみで動作するように構成されたアノード108においてより広く及び/又はより密に分散され得る。
【0142】
[00147] 特定の実施形態において、カソードは、開示された実施形態に従って準備され得、アノードという用語の使用は本発明の範囲を制限するものではないということを明白に留意されたい。アノードという用語のいかなる言及も、いくつかの実施形態において、電極及び/又はカソードという用語と置き換えられ得、対応するセル要素が特定の実施形態において提供され得る。例えば、高速充電及び高速放電の両方を提供するように構成されたセル100A(修正された高速充電バッテリ100Aのセル、いずれに対しても本発明の範囲を限定することなく番号100Aによって指定される)において、一方又は両方の電極108、87は、開示された発明の実施形態に従って準備され得る。
【0143】
[00148] アノード物質粒子110、110A、110B、アノード108、及びセル100Aは、例えば、5C、10C、15C、30C以上など、3~10Cレート、10~100Cレート、又はさらに100Cを超えた範囲の高充電及び/又は放電レート(Cレート)を可能にするために、開示された原理に従って構成され得る。Cレートという用語は、セル/バッテリ容量の充電及び/又は放電のレートの尺度であり、例えば、セルの所与の容量に対して、1Cは1時間でセルを充電及び/又は放電することを表し、XC(例えば、5C、10C、50Cなど)は、1/X時間でセルを充電及び/又は放電することを表すということに留意されたい。
【0144】
[00149] 特定の実施形態において、アノード108は、アノード108全体にわたって延び得る導電性線維130B(非限定的な様式で、アノード108のある区域でのみ例示される)を含み得、導電性線維130Bはコア110を相互接続し、導電性線維130B同士が相互接続される。電子導電性は、電子導電材料(例えば、線維)130と接触状態にあり得る、結合剤及び添加剤102、コーティング130A、導電性線維130B、ナノ粒子112、及びプレコーティング120のいずれかによって向上され得る。
【0145】
[00150] リチウムイオンセル100Aは、アノード物質粒子110、110A、110B、電解質85のいずれかなどの複合アノード物質を用いてアノード物質から作られたアノード108(本明細書内で開示されるその構成のうちのいずれかにある)と、少なくとも、充電中にリチウムイオンをセルセパレータ86を介してアノード108に送達するカソード87とを備える。リチウムイオン(Li+)は、アノード物質が、例えば、アノード活物質コア110(おそらくは、コアシェル粒子110Bの)に浸透するとき、リチウム化される(リチウム化状態で、実質的に非充電のリチウムを示す、Li~0lまで)。粒子110Bが一般的な非限定的な方式で例示されるとき、下に提示される複合アノード物質及びコアシェル粒子110Bの構成のうちのいずれかが、アノード108において使用され得る。コアシェル粒子構成110Bにおいて、シェルは、コーティング120によって少なくとも部分的に提供され得、アノード活物質110がリチウム化の際に膨張する101ための空隙140を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態において、空隙140は、弾塑性又は可塑性充填材によって、及び/又は、アノード活物質コア110が膨張すると延び得、それにより空隙140として非限定的な様式で図9Aに概略的に示される膨張101のための効果的な余地を提供するコーティング120の可撓性によって組み入れられ得る。両方の種類の空隙140の例が、下に提供され、例えば、小さな空隙140を提供し、コーティング可撓性によって膨張のためのさらなる場所を可能にすることによって、組み合わされ得る。
【0146】
[00151] 電解質85の例は、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ビニレンカーボネート(VC)、おそらくはテトラヒドロフラン(THF)、及び/若しくはその派生物、及びそれらの組み合わせなどの液体電解質、並びに/又は、ポリエチレンオキシド、フッ素含有ポリマー及びコポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)、及びそれらの組み合わせなどの、高分子電解質などの固体電解質を含み得る。電解質85は、LiPF6、LiBF4、リチウムビス(オキサラト)ボレート、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiAsF6、LiC(CF3SO2)3、LiClO4、LiTFSI、LiB(C2O4)2、LiBF2(C2O4)、トリス(トリメチルシリル)ホスフェート(TMSP)、及びそれらの組み合わせなどの、リチウム電解質塩を含み得る。イオン液体が、下に開示されるように電解質85に添加され得る。添加剤(例えば、数重量%で)は、トリス(トリメチルシリル)ホスフェート(TMSP)、トリス(トリメチルシリル)ボレート(TMSB)、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiFOB)、無水コハク酸、トリメチルホスフェート(TMP)及びトリフェニルホスフェート(TFP)、フッ素化溶剤(メチルノナフルオロブチルエーテル(MFE)、並びにそれらの組み合わせを含み得る。イオン液体が、下に開示されるように電解質85に添加され得る。
【0147】
[00152] 特定の実施形態において、カソード87は、層状の尖晶石及び/又はカンラン石フレームワークに基づいた物質を含み得、LCO配合物(LiCoO2に基づく)、NMC配合物(リチウムニッケル-マンガン-コバルトに基づく)、NCA配合物(リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物に基づく)、LMO配合物(LiMn2O4に基づく)、LMN配合物(リチウムマンガン-ニッケル酸化物に基づく)、LFP配合物(LiFePO4に基づく)、リチウム豊富なカソード、及び/又はそれらの組み合わせなど、様々な組成物を含み得る。セパレータ86は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、又は他の適切な物質などの様々な物質を含み得る。アノード100の可能性のある組成物は、下に詳細に開示される。
【0148】
[00153] 結合分子180の例は、例えば、リチウム3,5-ジカルボキシベンゼンスルホネート、硫酸リチウム、リン酸リチウム、リン酸一リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウム1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-へプタデカフルオロオクタン-1-スルホネート、リチウム2,6-ジメチルベンゼン-1,4-ジスルホネート、リチウム2,6-ジ-tert-ブチルベンゼン-1,4-ジスルホネート、3,3’-(1,2-ジチアン-4,5-ジイル)ビス(オキシ)ビス(N-ヒドロキシプロパンアミド)、3,3’-(4-メルカプト-1,2-フェニレン)ビス(オキシ)ビス(N-ヒドロキシプロパンアミド)、アニリンスルホン酸リチウム(スルホン酸はパラ、メタ、及びオルトのいずれかにあり得る)並びにポリ(リチウム-4-スチレンスルホン酸)、並びにいくつかの非限定的な例として提供される、様々な置換及び修飾によってそこから派生される関連分子を含み得る。
【0149】
[00154] 図9Aでは、異なる構成が、アノード表面の異なる領域に概略的に例示されるが、実施形態は、これらの構成の任意の組み合わせ、並びに開示された構成のいずれかを有する任意の範囲のアノード表面を含み得る。また、アノード108は、リチウムイオンバッテリの部分であり得るセル100Aに、対応するカソード87、電解質85、及びセパレータ86、並びに他のバッテリ部品(例えば、集電材、電解質添加剤-下を参照、バッテリパウチ、接片など)と一緒に統合され得る。
【0150】
[00155] 特定の実施形態において、バッテリ100Aは、リチウム化の際のアノード物質の完全膨張を防ぐように構成された機械的バリアを含むように変更され得る。例えば、そのような機械的バリアは、リチウム化の際のアノード物質の完全膨張の80%以下を可能にするように構成され得る。特定の実施形態において、アノード物質は、シェル構造物を有する複合アノード物質粒子110B(例えば、図9A、9Bを参照)を含み得、シェル構造物は、複合アノード物質粒子のコアの完全膨張容積よりも小さい(より小さい膨張容積を提供する)。特定の実施形態において、修正された高速充電リチウムイオンバッテリ100Aのカソード87は、バッテリ100Aが狭い動作範囲105内のみで動作するときカソードがより少ない量のリチウムイオンを提供することを要求されるため、アノード108よりも小さい容量を有するように設計され得る。
【0151】
[00156] 図9Bは、本発明のいくつかの実施形態に従う、部分的なリチウム化、及びアノード物質粒子のリチウム化のための機械的バリアの高水準概略図である。高速充電リチウムイオンバッテリ100Aは、例えば、Si、Ge、Sn及び/又はLTOベースのアノード活物質を有し得、アノード活物質の60~80%の間のリチウム化の作動点115周辺の最大5%の動作範囲105内で動作するように設計され得る。図9Bは、コーティング120(「シェル」)に内付けされるコア(「卵黄」)としてアノード物質粒子110を含み、形成及び充電中のリチウム化に起因する膨張101のための空隙140を有する「卵黄及びシェル」粒子として非限定的な様式で描写される複合粒子110Bを有するアノード108の小区域108Aを概略的に例示する。
【0152】
[00157] 小区域108Bによって概略的に例示される、リチウムイオンバッテリの先行技術使用において、アノード物質粒子110は、動作時の形成及び充電中に完全にリチウム化されている(例えば、100%SoC、95%若しくは99%SoC、様々な使用される満充電のインジケータとしてある特定の電圧レベル又は最小電圧変化表示完全リチウム化など)。シェル120Aは、それに応じて、アノード物質粒子110のリチウム化の下での完全膨張を受け入れるのに十分な空隙140を提供するように構成される(例えば、形成プロセス工程において)。
【0153】
[00158] 対照的に、いくつかの実施形態は、小区域108Cによって概略的に例示される作動点115を得るために部分的なリチウム化を実施し得る。例えば、形成プロセスは、部分的にリチウム化されたアノード物質粒子110(例えば、SoCに関して、例えば、20%、40%、60%、80%、又は中間リチウム化状態のいずれかであり得る作動点115で)を有するように複合粒子110Bを構成するために適用され得る。バッテリ100Aの動作は、次いで、作動点115周辺の動作範囲105内、例えば、±1%SoC(代替的に、本明細書内に開示されるように、非限定的な例として、±2%、±0.5%、±5%、±0.1%、±10%、又は中間動作範囲105)でのみ実行され得る。残りの空隙140Aは、(i)適切な充填材によってコア110へのイオン及び/又は電子導電性を向上すること、(ii)コア110のシェル120との接触を維持すること(例えば、形成中に圧縮される弾性充填材によって)、(iii)アノード108の機械的安定性及び/又は複合粒子110B間の接触をサポートすることなどのいずれかなど、様々な目的を果たすように構成され得る。
【0154】
[00159] 代替的に、又は相補的に、いくつか又はすべての複合粒子110Bは、コア110の可能性のある膨張101に対する機械的バリア(構造的制限)を形成するためにより小さな空隙140Bで構成され得る。区域108D内に概略的に例示されるように、コア110の完全リチウム化は、膨張容積113(例えば、典型的には、アノード物質としてのSiにおいて300%まで)を生じ得、シェル120Bは、最大リチウム化膨張容積113よりも小さく(例えば、容積に関して、その20%、40%、60%、80%、又は任意の中間値のいずれか)なるように構成され得る(例えば、所与の構造体で、及び/又はこの目的のために設計された形成工程において)。小区域108Eによって概略的に例示されるように、複合粒子110Bは、シェル120より小さい容積を有するシェル120B内にアノード物質粒子110を含み得、コア110の完全リチウム化を妨げる。従って、コア110の非リチウム化状態における空隙140Bは、完全リチウム化を受け入れるように設計された先行技術の空隙140よりも小さい場合がある。
【0155】
[00160] シェル120Bは、小区域108Fによって概略的に例示されるように、アノード108及びバッテリ100Aが設計される最大の部分的リチウム化をちょうど受け入れるように、作動点115及び動作範囲105に従って構成され得る。
【0156】
[00161] 空隙140、140A、140Bは、弾塑性又は可塑性充填材によってシェル120内に組み入れられ得るか、及び/又はコーティング120の可撓性によって組み入れられ得る(コーティング120は、膨張101のための余地を提供するために、アノード活物質粒子110が膨張すると延びるように構成され得る)ことが強調される。
【0157】
[00162] 先行技術の構成に反し、及びアノード物質の潜在的容量がバッテリ100Aの設計においてすでに厳しく制限されているという意味では直観に反するが、本発明者らは、本明細書内で開示されるスーパーキャパシタエミュレーション用途では、アノード物質粒子110の最大リチウム化膨張容積113よりも小さいシェル120Bを有する区域108Fに例示されるような設計は、それらが空間のより効率的な使用を可能にし(空隙140Aを避けることによって)、本明細書内に開示されるようなスーパーキャパシタエミュレーティングバッテリ100A及びデバイス100において重要である、容積でのより高い容量並びにより高い瞬間電流入力及び出力をもたらすという意味で有利であることを発見した。
【0158】
[00163] 図10A図10Cは、本発明のいくつかの実施形態に従う、作動点115及び狭い動作範囲105の選択に関する高水準概略図である。図10A図10Bは、充電及び放電グラフをそれぞれ概略的に例示し、図10Cは、作動点115を選択するための最適作用窓の例を例示し、作動点115を選択するための考慮事項の例を例示する。
【0159】
[00164] 図10A図10Cに概略的に例示されるように、作動点115周辺及び狭い部分的な動作範囲105は、様々な考慮事項に従って、充電曲線及び放電曲線(それぞれ図10A及び図10B)のいずれかの異なる場所で決定され得る(230)。さらに、修正されたバッテリ100Aは、デバイス100の性能をさらに改善するために、決定された作動点115及び狭い部分的な動作範囲105に関して再構成され得る。そのような場合、修正されたバッテリ100Aは、もはや修正されていないリチウムイオンバッテリとして満充電及び放電範囲を呈することはできないが、依然としてその潜在的容量の狭い範囲105内で動作され得る。例えば、アノード物質粒子110は、リチウム化の際に300%まで膨張するSiから作られ得るが、修正されたバッテリ100Aは、リチウム化の際にはるかに狭い範囲の、例えば、10%又は20%の物理的膨張をもたらす狭い範囲105内でのみ制御ユニット106によって動作され得る。結果として、修正されたバッテリ100Aは、アノード物質粒子110の膨張101に耐えるための少ない手段を提供するように設計され得、その結果、満充電及び放電範囲にわたって動作するように構成された通常のリチウムイオンバッテリよりも容積での大きな容量を有するように設計され得る。
【0160】
[00165] 図10Cは、本発明のいくつかの実施形態に従う、作動点115を選択するための最適作用窓の例、及び非限定的な選択考慮事項を例示する。グラフは、非限定的な様式で、及び、充電状態(SoC)の関数としての正規化されたアノードDC(直流)抵抗性能の例を例示し、作動点115及び動作範囲105が選択され得る(作動点115を示す飾り矢印及び動作範囲105を示す両矢印のセットによって概略的に示される)、低抵抗でのSoC範囲として修正されたバッテリ100Aの最適作動範囲を提供する。
【0161】
[00166] 図10Cは、最適作用窓の両端にアノード物質コア110及びコーティング120を有するアノード物質粒子を、即ち、最適作用窓の左側及び右側により低いリチウム化状態及びより高いリチウム化状態(Li~0lがより高いリチウム化状態を示す)を概略的にさらに例示する。膨張101は、それぞれの場合において狭い動作範囲105について、誇張された様式で、概略的に示される。より低いリチウム化状態(例えば、20~30%リチウム化)では、アノード物質粒子110のサイズに対するアノード物質粒子110の容積変化(その相対膨張)は、より高いリチウム化状態(例えば、70~80%リチウム化)におけるアノード物質粒子110のサイズに対するアノード物質粒子110の容積変化(その相対膨張)よりも大きいが、それはアノード物質粒子110自体がより高いレベルのリチウム化に起因して大きいためである。この効果は、リチウム化の際に100~500%以上(例えば、Si400%、Ge270%、及びSn330%)膨張するSi、Ge、Sn及び/又はLTOなどの半金属ベースのアノード物質において著しい場合がある。特定の実施形態において、さらなる充電による追加の膨張が比較的小さくあるように、作動点115は、アノード物質粒子が膨張される、アノード物質のリチウム化状態で選択され得る。特定の実施形態において、作動点115でのアノード物質リチウム化は、例えば、50%、60%、70%、80%リチウム化又は同様の値など、50~80%であり得る。本発明者らは、修正されたバッテリ100Aが動作範囲105にわたってのみ動作され、その特定の動作仕様のためにその設計が最適化され得ることを発見した。
【0162】
[00167] 特定の実施形態において、アノード修正260は、例えば、イオン伝導性コーティング及び導電性添加剤など図9Aに開示される様々な要素によって、イオン及び/又は電子輸送動力学及び導電性を向上させることを含み得る。上に論じられる活物質の量に加えて、厚さ及び多孔性などのアノードパラメータもまた、容量及び導電性(及びそれによりCレート)を増大させるため、並びに作動点115周辺の動作範囲105内での修正されたバッテリ100Aの動作を向上させるために修正され得る。特定の実施形態において、カソード87及び/又は電解質85も、作動点115周辺の動作範囲105内の修正されたバッテリ100Aの動作を向上させるために修正され得る。
【0163】
[00168] 特定の実施形態において、動作範囲105が、全動作範囲にわたって使用されるリチウムイオンバッテリに対して制限されるため、バッテリ100Aは、例えば、より薄いカソード87、より面積の小さいカソード87など、アノード108よりも小さい容量を有する、より小さいカソード87を有するように構成され得る。特定の実施形態において、カソード87は、アノード108の充電容量よりも、例えば、10%、20%、30%、あるいは40%小さい充電容量を有し得る。例えば、カソード87は、アノード108の容量の、それぞれ90%、80%、70%、60%の容量を有し得る。これらの違いは、元の状態のカソード及びアノード、並びに/又は動作時のカソード及びアノードに対するものであり得る。カソードリチウムの一部は形成プロセス中にSEI(固体電解質相間)内に吸収されるため、必要とされる動作上のカソード-アノード負荷比は、元の状態の電極のより大きいカソード-アノード負荷比として組み入れられ得ることに留意されたい。動作範囲105はより小さくなるように設定されるため、カソード-アノード負荷比もまた、より小さいカソードを要して、より小さくなり得る。
【0164】
[00169] 有利には、開示された高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100は、スーパーキャパシタをエミュレートして、匹敵する性能又はより良い性能を提供するだけでなく、同等のスーパーキャパシタより低い自己放電レート、より高い作用電極、より短い充電時間、及びより高いエネルギー密度を有するという点で等価のスーパーキャパシタよりも優れている。
【0165】
[00170] 例えば、高速充電バッテリ100Aは、典型的には、3V(例えば、4.3V~2Vを平均して3.35V)を超える平均出力電圧レベルを提供するが、スーパーキャパシタは、典型的には、2.7V出力電圧又はそれ以下で指定され、それはスーパーキャパシタの自己放電によりさらに衰退する。したがって、高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100は、それらを使用する設計者にとって、等価のスーパーキャパシタを使用することに対して、動作マージンを広げるより広く使用可能な電圧範囲を提供する。
【0166】
[00171] さらには、高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100を動作させることは、多くの製品設計において有益な非常に安定した出力電圧を提供するように構成され得る。高速充電バッテリ100Aは、それらのエネルギー容量の大半を安定した電圧レベル(例えば、3.35V)で提供するだけでなく、高速充電バッテリ100Aは、作動点115周辺の狭い動作範囲105内の調整動作は、出力(及び/又は入力)動作電圧の一貫性を著しく向上させる。開示された高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100によって送達される非常に安定した出力電圧は、典型的にはそれらの充電に線形的に比例する出力電圧を生成する等価のスーパーキャパシタとは対照的である(例えば、3.3Vまで満充電されたスーパーキャパシタは、100%充電では3.3Vを送達するが50%充電では1.65Vを送達し、それは多くのプロセッサ及び他のデバイスによって必要とされるレベルを下回る。
【0167】
[00172] 等価のスーパーキャパシタに対する高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100の低レベルの自己放電は、スーパーキャパシタの高損失を補完するために必要とされる、スーパーキャパシタを使用したシステムにおける電力源の過度に複雑な設計を避けることにおいて有利であるということにも留意されたい。例えば、特定の実施形態において、高速充電バッテリ100A及び/又はデバイス100は、少なくとも3Vの電圧レベルで動作し、それぞれの最大連続電流の0.1%より小さい漏洩電流を有するように構成され得る。
【0168】
[00173] 本発明の態様は、本発明の実施形態に従う方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図並びに/又は部分図を参照して上に説明される。フローチャート図及び/又は部分図の各部分、並びにフローチャート図及び/又は部分図内の部分の組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実施され得ることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、マシンを生成するために汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供され得、その結果、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令が、フローチャート及び/若しくは部分図又はそれらの部分に指定された機能/作用を実行するための手段を作成する。例えば、本明細書内に記載されるような制御回路は、1つ又は複数のそのようなプロセッサ又はコンピュータを備え得る。
【0169】
[00174] これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスに特定の様式で機能するように命令することができるコンピュータ可読媒体内に格納され得、その結果、コンピュータ可読媒体内に格納された命令は、フローチャート及び/若しくは部分図又はそれらの部分に指定された機能/作用を実施する命令を含む製品を生成する。
【0170】
[00175] コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上に読み込まれて、コンピュータ実施プロセスを生成するためにコンピュータ、他のプログラム可能装置、又は他のデバイス上で一連の動作工程が実施されるようにし得、その結果、コンピュータ又は他のプログラム可能装置上で実行する命令が、フローチャート及び/若しくは部分図又はそれらの部分に指定された機能/作用を実施するためのプロセスを提供する。
【0171】
[00176] 前述のフローチャート及び図は、本発明の様々な実施形態に従うシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能性のある実装形態の構造、機能性、及び動作を例示する。この点について、フローチャート又は部分図における各部分は、指定の論理機能を実施するための1つ又は複数の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの部分を表し得る。いくつかの代替的な実装形態において、部分に記される機能は、図に記される順から外れて発生し得るということにも留意されたい。例えば、連続して示される2つの部分は、実際には、実質的に同時に実行され得るか、この部分は、時には、関連する機能性に応じて、逆の順序で実行され得る。部分図及び/又はフローチャート図の各部分、並びに部分図及び/又はフローチャート図内の部分の組み合わせは、指定の機能若しくは作用を実施する専用ハードウェアベースのシステム、又は専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせによって実施され得ることにも留意されたい。
【0172】
[00177] 上の説明において、実施形態は、本発明の例又は実装形態である。「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、又は「いくつかの実施形態」の様々な表現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。本発明の様々な特徴は、単一の実施形態の文脈において説明され得るが、この特徴はまた、別個に、又は任意の好適な組み合わせで提供され得る。反対に、本発明は、明確性のために別個の実施形態の文脈において本明細書内で説明され得るが、本発明はまた、単一の実施形態において実施され得る。本発明の特定の実施形態は、上に開示された異なる実施形態からの特徴を含み得、特定の実施形態は、上に開示された他の実施形態からの要素を組み込み得る。特定の実施形態の文脈における本発明の要素の開示は、特定の実施形態のみにそれらの使用を限定するものと見なされるべきではない。さらに、本発明は、様々な方式で実行又は実践され得ること、及び本発明は、上の説明で概説されるもの以外の特定の実施形態において実施され得ることが理解される。
【0173】
[00178] 本発明は、それらの図又は対応する説明に限定されない。例えば、フローは、例示された各ボックス又は状態を進む、又は例示又は説明されるものと全く同じ順序で進む必要はない。本明細書内で使用される技術的及び科学的用語の意味は、別途規定のない限り、本発明に属する当業者によって共通して理解されるものとする。本発明は限られた数の実施形態に対して説明されているが、これらは、本発明の範囲に対する制限として解釈されるべきではなく、むしろ好ましい実施形態のうちのいくつかの例証として解釈されるべきである。他の可能性のある変形形態、修正形態、用途も本発明の範囲内である。したがって、本発明の範囲は、ここまで説明されてきたものによって制限されるべきではなく、添付の請求項及びそれらの法的等価物によって制限されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C