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特許7134649隊列走行運用システムおよび隊列走行運用方法
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】隊列走行運用システムおよび隊列走行運用方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220905BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220905BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220905BHJP
   B60W 30/165 20200101ALI20220905BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/09 F
G08G1/16 E
B60W30/165
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018042202
(22)【出願日】2018-03-08
(65)【公開番号】P2019159492
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592184706
【氏名又は名称】SBS東芝ロジスティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 恵
(72)【発明者】
【氏名】畑福 康人
(72)【発明者】
【氏名】久保 英樹
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 元一
(72)【発明者】
【氏名】池田 葉子
(72)【発明者】
【氏名】井内 新輔
(72)【発明者】
【氏名】竹本 潔
(72)【発明者】
【氏名】北見 かおり
(72)【発明者】
【氏名】東 啓史
(72)【発明者】
【氏名】白石 達紀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 実千代
(72)【発明者】
【氏名】綿引 賢
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-003675(JP,A)
【文献】特開平11-283180(JP,A)
【文献】特開2003-115095(JP,A)
【文献】特開2009-265999(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047176(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1拠点から第2拠点までの第1区間を走行する複数の車両を前記第1区間において連携させて隊列を編成する隊列走行運用システムであって、
前記第1拠点まで車両を運転する運転手の、隊列への編入後の前記第1区間での車両への乗車有無を申請項目として含む、車両の隊列への編入の申請を受け付ける申請受付処理部と、
前記申請された前記第1区間での運転手の車両への乗車有無と、前記車両を運転する運転手に関する情報または前記車両に関する情報の少なくとも一方と、に基づき、前記車両を編入させる隊列を選定し、または、前記車両の隊列への編入可否を判定する隊列編成処理部と、
を具備する隊列走行運用システム。
【請求項2】
前記運転手に関する情報は、運転免許に関する情報を含み、
前記隊列編成処理部は、前記運転免許に関する情報に基づき、前記車両を編入させる隊列を選定し、または、前記車両の隊列への編入可否を判定する、
請求項1に記載の隊列走行運用システム。
【請求項3】
前記運転手に関する情報は、体調に関する情報を含み、
前記隊列編成処理部は、前記体調に関する情報に基づき、前記車両を編入させる隊列を選定し、または、前記車両の隊列への編入可否を判定する、
請求項1または2に記載の隊列走行運用システム。
【請求項4】
前記体調に関する情報は、アルコール検知器の出力情報を含む請求項3に記載の隊列走行運用システム。
【請求項5】
前記車両に関する情報は、保険の加入有無に関する情報を含み、
前記隊列編成処理部は、前記保険の加入有無に関する情報に基づき、前記車両を編入させる隊列を選定し、または、前記車両の隊列への編入可否を判定する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の隊列走行運用システム。
【請求項6】
前記車両に関する情報は、加入する保険の種類に関する情報をさらに含み、
前記隊列編成処理部は、前記保険の種類に関する情報に基づき、前記車両を編入させる隊列を選定し、または、前記車両の隊列への編入可否を判定する、
請求項5に記載の隊列走行運用システム。
【請求項7】
前記車両に関する情報は、性能に関する情報を含み、
前記隊列編成処理部は、前記性能に関する情報に基づき、前記車両を編入させる隊列を選定し、または、前記車両の隊列への編入可否を判定する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の隊列走行運用システム。
【請求項8】
少なくとも第1拠点から第2拠点までの第1区間を走行する複数の車両を前記第1区間において連携させて隊列を編成する隊列走行運用システムを管理するサーバによって実行される隊列走行運用方法であって、
前記第1拠点まで車両を運転する運転手の、隊列への編入後の前記第1区間での車両への乗車有無を申請項目として含む、車両の隊列への編入の申請を受け付けることと、
前記申請された前記第1区間での運転手の車両への乗車有無と、前記車両を運転する運転手に関する情報または前記車両に関する情報の少なくとも一方と、に基づき、前記車両を編入させる隊列を選定し、または、前記車両の隊列への編入可否を判定することと、
を具備する隊列走行運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、隊列走行運用システムおよび隊列走行運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転支援技術や自動運転技術などの進歩に伴い、複数の車両で隊列を組んで走行する隊列走行が注目を集めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-62691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、先行する車両を追尾して自動走行する機能を有する車両であれば、ある車両によって誘導される隊列に加わることによって、当該隊列に加わった車両の運転手は、運転が不要となるため、たとえば車内で休憩を取ることなどが可能となる。
【0005】
しかしながら、他の車両と連携して走行する機能を有する車両同士であっても、無条件に連携させることは安全面などから現実的ではなく、適切な基準の下、隊列を適切に編成するための仕組みが求められる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、たとえば運転手に関する情報や車両に関する情報に基づき、隊列を適切に編成することができる隊列走行運用システムおよび隊列走行運用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、隊列走行運用システムは、少なくとも第1拠点から第2拠点までの第1区間を走行する複数の車両を前記第1区間において連携させて隊列を編成する。隊列走行運用システムは、申請受付処理部と、隊列編成処理部とを具備する。申請受付処理部は、前記第1拠点まで車両を運転する運転手の、隊列への編入後の前記第1区間での車両への乗車有無を申請項目として含む、車両の隊列への編入の申請を受け付ける。隊列編成処理部は、前記申請された前記第1区間での運転手の車両への乗車有無と、前記車両を運転する運転手に関する情報または前記車両に関する情報の少なくとも一方と、に基づき、前記車両を編入させる隊列を選定し、または、前記車両の隊列への編入可否を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の隊列走行運用システムの一形態例を示す図。
図2】第1実施形態の隊列走行運用システムによる隊列の編成の概要を説明するための図。
図3】第1実施形態のサービスセンタ(サーバ)の機能ブロック図。
図4】第1実施形態のサービスセンタ(サーバ)のハードウェア構成の一例を示す図。
図5】第1実施形態の隊列走行運用システムにおける申請情報の一例を示す図。
図6】第1実施形態の隊列走行運用システムにおける登録車両情報の一例を示す図。
図7】第1実施形態の隊列走行運用システムにおける登録運転手情報の一例を示す図。
図8】第1実施形態の隊列走行運用システムにおける隊列情報の一例を示す図。
図9】第1実施形態の隊列走行運用システムにおいて行われ得る隊列の再編成の一例を示す図。
図10】第1実施形態の隊列走行運用システム(サービスセンタ)において実行される隊列編成処理の流れを示すフローチャート。
図11】第1実施形態の隊列走行運用システム(サービスセンタ)において実行される運行監視(課金)処理の流れを示すフローチャート。
図12】第2実施形態の隊列走行運用システムの一形態例を示す図。
図13】第2実施形態の隊列走行運用システムによって実施される車両の隊列走行の概要を説明するための図。
図14】第2実施形態の隊列走行運用システムによって実施される車両の隊列走行の主たるユースケースを説明するための図。
図15】第2実施形態の隊列走行運用システムにおいて隊列を編成するために用いる各種情報(フラグ)を説明するための図。
図16】第2実施形態のサービスセンタ(サーバ)の機能ブロック図。
図17】第2実施形態のサービスセンタ(サーバ)のハードウェア構成の一例を示す図。
図18】第2実施形態の隊列走行運用システムにおける運行ダイヤ情報の一例を示す図。
図19】第2実施形態の隊列走行運用システムにおける申請情報の一例を示す図。
図20】第2実施形態の隊列走行運用システムにおける登録車両情報の一例を示す図。
図21】第2実施形態の隊列走行運用システムにおける登録運転手情報の一例を示す図。
図22】第2実施形態の隊列走行運用システムにおける隊列の編成規則を説明するための第1図。
図23】第2実施形態の隊列走行運用システムにおける隊列の編成規則を説明するための第2図。
図24】第2実施形態の隊列走行運用システムにおけるスケジュール情報の一例を示す図。
図25】第2実施形態の隊列走行運用システム(サービスセンタ)において実行される運行スケジュール作成処理の流れを示すフローチャート。
図26】第2実施形態の隊列走行運用システム(サービスセンタ)において実行される運行監視(課金)処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の隊列走行運用システムの一形態例を示す図である。
【0012】
この隊列走行運用システムは、サービスセンタ1、より詳しくは、サービスセンタ1に設置されるたとえばサーバなどと称されるコンピュータによって一元的に管理されるシステムである。サーバは、プロセッサ(CPU:Central Processing Unit)と、通信デバイスと、ストレージデバイスとを少なくとも備えるコンピュータであり、その構成については問わない。サーバとしてサービスセンタ1に設置されるコンピュータは、1台のコンピュータであってもよいし、たとえば負荷分散などのために協働する複数台のコンピュータであってもよい。サーバの概略的なハードウェア構成例については、図4を参照して後述する。
【0013】
サービスセンタ1は、たとえば高速道路などの隊列走行が可能な道路(以下、隊列走行可能道路Rと称する)であって、車両3を認識するための車両認識装置2がたとえば一定間隔で設けられる道路を走行する複数の車両3を連携させて隊列4を編成するサービスを提供する。サービスセンタ1は、車両3(より詳しくは、車両3に搭載され、または、車両3の運転手3Aによって携行される通信機器)から、インターネットなどのネットワークN経由で、隊列4への編入を要求する申請を受け付ける。また、サービスセンタ1は、隊列走行可能道路Rに設けられる車両認識装置2から、隊列走行可能道路Rを走行する車両3に関する情報を受信する。この情報には、たとえば、車両3の識別情報、位置、進行方向などが含まれる。さらに、サービスセンタ1は、隊列4を誘導する車両3との間で、ネットワークN経由で、たとえば新たな車両3を連携させることを指示するなどのための通信を実行することができる。
【0014】
サービスセンタ1は、ある車両3から、隊列4への編入を要求する申請を受け付けた場合、その車両3を連携させる隊列4の有無を判定し、また、その車両3を連携させる隊列4の選定を行う。たとえば、図2に示されるように、隊列走行可能道路Rを走行する、隊列4への編入を申請した車両3の近傍を、複数の隊列4(隊列A、隊列B)が走行する場合、サービスセンタ1は、その車両の各隊列4への連携可否を判定し、また、いずれの隊列4に連携させるべきかを判定する。サービスセンタ1は、いずれかの隊列4へ車両3を編入させることが可能であると判定した場合、隊列4への編入を申請する車両3と、この車両3が編入される隊列4を誘導する車両3との双方に、両者を連携させるための指示を送信する。このサービスセンタ1の制御下で、隊列4への編入を申請した車両3は、たとえば、隊列Aへ編入し(図2:a1)、または、隊列Bへ編入する(図2:a2)。
【0015】
本実施形態の隊列走行運用システムは、サービスセンタ1が、隊列4への編入を申請する車両3を、その車両3に適した隊列4へ編入させるように、隊列4の編成に関する制御を行うものであり、また、この制御を、車両3に関する情報と、運転手3Aに関する情報との少なくとも一方に基づいて行うものであり、以下、この点について詳述する。
【0016】
なお、ここでは、複数の車両3が連携して隊列4として走行するための手法については問わない。たとえば、隊列4を誘導する車両3と、この車両3に従属する車両3とが通信することで隊列走行が実現されてもよいし、従属する車両3が各種センサを用いて自律的に先行する車両3を追尾することで隊列走行が実現されてもよい。また、隊列4を誘導する車両3は、必ずしも、先頭を走行することに限られない。
【0017】
図3は、本実施形態のサービスセンタ(サーバ)1の機能ブロック図である。
【0018】
図3に示されるように、サービスセンタ1は、申請受付処理部101、隊列編成処理部102、車両位置検出処理部103および運行監視処理部104の各処理部と、申請情報DB(DataBase)151、基本情報DB152、隊列情報DB153および車両位置情報DBの各データ部とを有する。また、運行監視処理部104は、課金管理部としても機能する。
【0019】
サービスセンタ1の処理には、大きく分けて、(1)車両3の隊列4への編入の申請を受け付け、隊列4を編成するフェーズと、(2)隊列4の走行状況を監視し、隊列4として走行した車両3に対する報奨金または課金の額を算出するフェーズと、の2つのフェーズが存在する。申請受付処理部101、隊列編成処理部102および車両位置検出処理部103は(1)に対応し、課金管理部としても機能する運行監視処理部104は(2)に対応する。
【0020】
前述したように、サーバは、プロセッサと、通信デバイスと、ストレージデバイスとを少なくとも備えるコンピュータである。各処理部は、ストレージデバイスに記憶されているプログラムがプロセッサによって実行されることによって構築される。また、各データ部は、ストレージデバイス上に構築される。図4に、サービスセンタ(サーバ)1のハードウェア構成の一例を示す。
【0021】
図4に示されるように、サービスセンタ(サーバ)1は、プロセッサ51、主メモリ52、外部記憶装置53、通信装置54、入力装置55、表示装置56などを備える。前述したように、隊列走行運用システムは、複数のコンピュータによって構築されてもよく、図4は、そのハードウェア構成例を概略的に示しているに過ぎない。
【0022】
ここでは、隊列走行運用システムは、外部記憶装置53に格納される隊列走行運用プログラム100が、当該外部記憶装置53から主メモリ52にロードされてプロセッサ51によって実行されることによって、図3に示される各処理部が実現されるものとする。また、図3に示される各データ部は、外部記憶装置53内に構築されるものとする。
【0023】
通信装置54は、たとえば図1に示される車両認識装置2や車両3との間の通信を実行する装置である。入力装置55は、隊列走行運用システムを管理するオペレータなどが指令を含む情報入力を行うための装置である。表示装置56は、当該オペレータなどへ情報出力を行うための装置である。
【0024】
図3に戻って説明を続ける。
【0025】
申請受付処理部101は、車両3からの隊列4への編入の申請を受け付ける処理を実行する。図3に示されるように、申請項目には、「誘導/従属」(b1)、「目的地」(b2)、「車両情報(ID:Identification Data)」(b3)、「運転手情報(ID+体調データ)」(b4)などが存在する。これらの申請項目は、車両3の運転手3Aが音声によって入力できることが好ましい。換言すれば、車両3(より詳しくは、車両3に搭載され、または、車両3を運転する運転手3Aによって携行される通信機器)は、これらの申請項目を音声によって入力して、サービスセンタ1へ送信する機能を備えることが好ましい。
【0026】
「誘導/従属」(b1)は、他の車両3を誘導する車両3として隊列4への編入を申請するのか(「誘導」)、他の車両3に従属する車両3として隊列4への編入を申請するのか(「従属」)を指定するための項目である。「誘導」を指定した場合、その車両3の運転手3Aは、隊列4を誘導するための要員として位置づけられる。たとえば隊列4の誘導時間や誘導距離などに応じて、その車両3(運転手3A)は報奨金を得ることができる。これにより、この隊列走行運用システムは、隊列4を誘導するための要員としての運転手を確保し易くする。一方、「従属」を指定した場合、その車両3(運転手3A)は、たとえば隊列4へ編入されていた時間や隊列4へ編入された状態で走行していた時間などに応じて課金されるものとする。
【0027】
「目的地」(b2)は、隊列4として走行する隊列走行可能道路R上の目的地を指定するための項目である。ここで指定する目的地は、各々が目指す目的地と必ずしも一致させなくともよい。たとえば、各々が目指す目的地よりも手前の地点を指定してもよい。
【0028】
「車両情報(ID)」(b3)は、たとえばサービスセンタ1へ車両3を登録した際に割り当てられた車両3の識別情報などを指定するための項目である。また、「運転手情報(ID+体調データ)」(b4)は、たとえばサービスセンタ1へ運転手3Aを登録した際に割り当てられた運転手3Aの識別情報などを指定するための項目である。つまり、この隊列走行運用システムにおいては、隊列4へ編入され得る車両3および当該車両3を運転し得る運転手3Aについて、事前にサービスセンタ1に登録されていることを前提としている。
【0029】
また、「運転手情報(ID+体調データ)」(b4)は、たとえばアルコールの検出有無を示す情報などを含むことが好ましい。たとえば、車両3(より詳しくは、車両3に搭載され、または、車両3を運転する運転手3Aによって携行される通信機器)は、図3に示される各申請項目を音声によって入力するにあたり、運転手3Aの息からアルコールの検出を行い、その結果をサービスセンタ1へ送信する機能を有することが好ましい。そのほか、「運転手情報(ID+体調データ)」(b4)は、その車両3が走行を開始してからどの位の時間が経過しているのか、つまり、運転手3Aの運転時間を示す情報などを含んでいてもよい。
【0030】
また、「車両情報(ID)」と「運転手情報(ID)」との一方または両方は、車両3(より詳しくは、車両3に搭載され、または、車両3を運転する運転手3Aによって携行される通信機器)ごとに固定の値がサービスセンタ1に送信されてもよい。
【0031】
申請受付処理部101は、基本情報DB152を用いて、車両3から送信される上記申請項目の妥当性を判定し、妥当と判定した場合、当該申請項目を申請情報として纏めて申請情報DB151に格納する。図5に、申請情報DB151に格納される申請情報の一例を示す。申請受付処理部101は、申請ごとに受付番号(受付No.)を採番し、図5に示されるように、この受付番号順に、車両3から送信される上記申請項目を申請情報として纏めて申請情報DB151に格納する。なお、申請情報DB151に格納される申請情報には、「隊列編入状況」が含まれる。この「隊列編入状況」については後述する。
【0032】
基本情報DB152には、ステーション情報152A、登録情報152B、登録運転手情報152Cが格納されている。ステーション情報152Aは、目的地として指定することのできる地点に関する情報などを含み、申請受付処理部101は、たとえば、後述する車両位置検出処理部103によって検出される隊列4への編入を申請する車両3の位置とその進行方向とから目的地の指定が妥当か否かなどを判定する。申請項目が妥当ではないと判定した場合、申請受付処理部101は、エラーを車両3へ返信する。また、たとえば「誘導」が指定されている場合において、アルコールが検出されたことを示す「運転手情報(体調データ)」や、基準値を超える運転時間を示す「運転手情報(体調データ)」が送られてきた場合も、申請受付処理部101は、エラーを車両3へ返信する。
【0033】
図6に、登録車両情報152Bの一例を示し、図7に、登録運転手情報152Cの一例を示す。なお、登録車両情報152Bや登録運転手情報152Cを作成し、基本情報DB152へ格納する手法については、種々の手法が適用可能であり、特定の手法に限定されない。
【0034】
登録車両情報152Bは、たとえば図6に示されるように、車両3の識別情報[車両ID]と、複数の属性情報とを含む。複数の属性情報は、たとえば、重量、追越加速度、減速/ブレーキ制動力、タイヤの摩擦力など、様々な情報を含み得る。追越加速度は、停止状態からたとえば車両3の通常走行時の速度として想定される第1速度まで達する際の加速度ではなく、第1速度から当該第1速度で走行する他の車両3を追い越すために必要な第2速度まで達する際の加速度である。また、これらの属性情報を基に車両3の性能を評価した性能評価値も、複数の属性情報の中の1つとして含まれる。なお、車両3の性能を評価する手法については、種々の手法が適用可能であり、特定の手法に限定されない。
【0035】
また、複数の属性情報には、その車両3を運転するために必要な運転免許を示す情報が含まれ得る。さらに、複数の属性情報には、保険への加入有無を示す情報や、加入する保険の種類を示す情報などが含まれ得る。
【0036】
登録運転手情報152Cは、たとえば図7に示されように、運転手3Aの識別情報[運転手ID]と、複数の属性情報とを含む。複数の属性情報には、少なくとも資格((普通・中型・大型)自動車免許、牽引免許、フォークリフト運転者、玉掛作業者、移動式クレーン運転士や、各種危険物取扱者、各種高圧ガス製造保安責任者・充てん作業者など)に関する情報が含まれる。また、複数の属性情報は、たとえば、経験年数、隊列走行可能道路Rの区間ごとの隊列走行(誘導)回数、コミュニケーション能力に関する評価値など、様々な情報を含み得る。
【0037】
隊列編成処理部102は、申請情報DB151と、基本情報DB152とを用いて、隊列4を編成し、当該編成した隊列4に関する情報(隊列情報)を隊列情報DB153に格納する。
【0038】
隊列編成処理部102は、第1に、申請受付処理部101によって申請を受け付けられるごとに、隊列4を編成するための処理を実行する。換言すると、申請受付処理部101は、車両3からの申請を受け付けて、その申請が妥当であると判定し、申請情報を申請情報DB151に格納した場合、隊列編成処理部102への通知を実行する。隊列編成処理部102は、この通知を受けるごとに、隊列4を編成するための処理を実行する。
【0039】
ここで、申請受付処理部101によって「従属」が指定された申請が受け付けられた場合を想定する。この場合、隊列編成処理部102は、その車両3をいずれかの隊列4へ編入させるための処理を実行する。
【0040】
隊列編成処理部102は、隊列4への編入を申請する車両3の位置を車両位置検出処理部103から取得する。車両位置検出処理部103は、基本情報DB152に格納される登録車両情報152B中のたとえば識別情報などを隊列走行可能道路R上に点在して設けられるすべての車両認識装置2に通知し、事前に登録され、かつ、隊列走行可能道路Rを走行している車両3に関する情報を収集する。車両位置検出処理部103は、当該収集した情報を車両位置情報DB154へ格納する。車両位置検出処理部103は、隊列編成処理部102から指定された車両3の位置を車両位置情報DB154から読み出して、隊列編成処理部102へ送信する。
【0041】
隊列編成処理部102は、車両位置検出処理部103から取得した位置に基づき、隊列4への編入を申請する車両3を編入させる候補となり得る隊列4を隊列情報DB153から検索する。図8に、隊列情報DB153に格納される隊列4に関する情報(隊列情報)の一例を示す。
【0042】
図8に示されるように、隊列情報は、「隊列ID」、「目的地」、「現在地」、「編成車両数」、「誘導車両」、「従属車両」を各々示す情報を含む。また、「誘導車両」を示す情報は、「車両ID」、「運転手ID」、「誘導時間」を各々示す情報を含み、「従属車両」を示す情報は、「車両ID」、「運転手ID」、「従属時間」を各々示す情報を含む。
【0043】
隊列情報は、申請受付処理部101によって「誘導」が指定された申請が受け付けられたとき、隊列編成処理部102によって作成されて隊列情報DB153に格納される。隊列編成処理部102は、その申請ごとに隊列IDを採番し、当該申請を行った車両3に関する情報のみを含む隊列情報を作成して隊列情報DB153に格納する。この時、この隊列情報の「編成車両数」は1を示し、また、「誘導車両」中の「車両ID」と「運転手ID」とは、その車両3の識別情報と当該車両3を運転する運転手3Aの識別情報とを示している。
【0044】
隊列情報の「現在地」は、運行監視処理部104によって定期的に更新される。より詳しくは、運転監視処理部104は、隊列情報の「誘導車両」中の「車両ID」で示される車両3の位置を車両位置検出処理部103から定期的に取得し、当該取得した位置を示すように隊列情報の更新を定期的に実行する。隊列編成処理部102は、このように更新が行われる隊列情報DB153から、隊列4への編入を申請する車両3を編入させる候補となり得る隊列4を検索する。
【0045】
たとえば、隊列編成処理部102は、隊列4への編入を申請する車両3の近傍を走行する隊列であって、編成車両数が最大連携可能数に達していない隊列を検索する。少なくとも1つの隊列4が検索された場合、隊列編成処理部102は、隊列4への編入を申請する車両3および当該車両3を運転する運転手3Aの情報と、隊列4を誘導する車両3および当該車両3を運転する運転手3Aとの情報とに基づき、隊列4への編入を申請する車両3を、検索された隊列4へ編入させることが可能か否かを判定する。
【0046】
たとえば、隊列編成処理部102は、隊列4を誘導する車両3を運転するために必要な免許を、隊列4への編入を申請する車両3の運転手3Aが保有しているか否かを調べることによって、当該隊列4への編入を申請する車両3を、隊列4へ編入することが可能か否かを判定してもよい。この判定により、たとえば、何らかの事情により、隊列4を誘導する車両3を交代させなければならない場合、ある運転免許が必要な車両3を、その運転免許を保有しない運転手3Aが運転する車両3で誘導するといった状況を回避することができる。
【0047】
また、隊列編成処理部102は、たとえば、隊列4を誘導する車両3の保険への加入有無と、隊列4への編入を申請する車両3の保険への加入有無とが一致しているか否かを調べることによって、当該隊列4への編入を申請する車両3を、隊列4へ編入することが可能か否かを判定してもよい。この判定により、たとえば、隊列4が事故にあってしまった場合の対応の効率化を図ることができる。さらには、加入する保険の種類の一致不一致まで調べて、隊列4へ編入することが可能か否かを判定してもよい。
【0048】
また、隊列編成処理部102は、たとえば、隊列4を誘導する車両3の性能と、隊列4への編入を申請する車両3とが同一ランクか否かを調べることによって、当該隊列4への編入を申請する車両3を、隊列4へ編入することが可能か否かを判定してもよい。この判定により、たとえば、性能の高い方の車両3が、性能の低い方の車両3に合わせて走行しなければならないといった状況を回避することができる。
【0049】
そのほか、隊列編成処理部102は、車両3の情報と、運転手3Aの情報との少なくとも一方を用いて、様々な基準で、隊列4への編入を申請する車両3を、隊列4へ編入することが可能か否かを判定することができる。
【0050】
隊列編成処理部102は、隊列4への編入を申請する車両3を、ある隊列4へ編入させることを決定した場合、隊列4への編入を申請する車両3と、当該車両3を編入させる隊列4を誘導する車両3とに対して、双方を連携させるための指示を送信する。そして、隊列編成処理部102は、その隊列情報DB153に格納される当該隊列4に関する隊列情報を更新する。より詳しくは、「編成車両数」を1つ増加させ、「従属車両」に新たに加わった車両3の情報を記録する(図8参照)。
【0051】
また、このとき、隊列編成処理部102は、申請情報DB151に格納される当該車両3に関する申請情報の更新も行う。より詳しくは、「隊列編入状況」を記録する(図5参照)。隊列編成処理部102は、目的地まで走行する隊列4であって、車両3を編入させることのできる隊列4が検索されたならば、その隊列4に編入することを決めて、その旨を「隊列編入状況」として記録する(1:目的地まで)。一方、目的地まで走行する隊列4であって、車両3を編入させることのできる隊列4は検索されなかったが、途中まで走行する隊列4が検索されたならば、隊列編成処理部102は、その隊列4に編入することを決めて、その旨を「隊列編入状況」として記録する(2:途中まで)。いずれの隊列4も検索されなかった場合、更新は行われず、「隊列編入状況」は、初期値(0:未編入)のままとなる。
【0052】
申請受付処理部101によって「誘導」が指定された申請が受け付けられた場合、隊列編成処理部102は、「隊列編入状況」が「0」または「2」の車両3を対象として、申請を行った車両3の近傍を走行し、かつ、この車両3に連携させることのできる車両3を検索することにより、隊列4の編成を試みる。「隊列編入状況」が「0」または「2」の車両3が走行している位置を、隊列編成処理部102は、車両位置検出処理部103から取得する。これにより、隊列編成処理部102は、たとえば、図9に示されるように、ある隊列4に「2:途中まで」の状態で編入する車両3を、その隊列4から離脱させ、新たに申請を行った目的地まで走行する別の車両3と連携させる(図9:c1)といったことも行うことができる。
【0053】
また、隊列編成処理部102は、ある車両3に対して他の車両3を連携させた場合、その旨を運行監視処理部104へ通知する。この通知を受けた運行監視処理部104は、隊列情報DB153に格納されるその隊列4に関する「誘導車両」中の「誘導時間」と「従属車両」中の「従属時間」との計数を開始する。課金管理部104としても機能する運行監視処理部104は、これらの時間に基づき、隊列4を誘導する車両3を運転したことに対する報奨金や、隊列4に編入したことに対する課金の額を計算する。
【0054】
図10は、この隊列走行運用システム(サービスセンタ1)において実行される隊列編成処理の流れを示すフローチャートである。
【0055】
サービスセンタ1は、まず、隊列4への編入を申請する車両3からの申請情報DB151に格納する(ステップA1)。サービスセンタ1は、その申請内容が「従属」の申請である場合(ステップA2:YES)、基本情報DB152に格納される登録車両情報152Bおよび登録運転手情報152Cと、隊列情報DB153に格納される隊列情報とに基づき、その車両3を連携させることのできる隊列4を検索する(ステップA3)。
【0056】
隊列4が検索された場合(ステップA4:YES)、サービスセンタ1は、その車両3を当該検索された隊列4に編入し(ステップA5)、当該隊列4に関して隊列情報DB153を更新するとともに(ステップA6)、当該車両3に関して申請情報DB151を更新する(ステップA7)。一方、隊列4が検索されない場合(ステップA4:NO)、サービスセンタ1は、この申請に起因する隊列編成処理を終了する。
【0057】
また、その申請内容が「誘導」の申請である場合(ステップA2:NO)、サービスセンタ1は、その車両3を誘導車両とする隊列4に関する隊列情報を隊列情報DB153に追加する(ステップA8)。そして、サービスセンタ1は、申請情報DB151に格納される申請情報と、基本情報DB152に格納される登録車両情報152Bおよび登録運転手情報152Cとに基づき、追加された隊列4に編入可能な車両3を検索する(ステップA9)。
【0058】
車両3が検索された場合(ステップA10:YES)、サービスセンタ1は、その車両3を隊列4へ編入し(ステップA11)、当該隊列4に関して隊列情報DB153を更新するとともに(ステップA12)、当該車両3に関して申請情報DB151を更新する(ステップA13)。一方、隊列4が検索されない場合(ステップA10:NO)、サービスセンタ1は、この申請に起因する隊列編成処理を終了する。
【0059】
また、図11は、この隊列走行運用システム(サービスセンタ1)において実行される運行監視(課金)処理の流れを示すフローチャートである。
【0060】
サービスセンタ1は、隊列4を誘導する車両3の誘導時間を計数するとともに(ステップB1)、隊列4に編入される車両3の従属時間を計数する(ステップB2)。そして、サービスセンタ1は、計数した誘導時間または従属時間に基づき、各車両3の報酬金または課金の額を算出する(ステップB3)。
【0061】
このように、本実施形態の隊列走行運用システムは、サービスセンタ1が、車両3に関する情報と、運転手3Aに関する情報との少なくとも一方に基づいて、隊列4への編入を申請する車両3を、その車両3に適した隊列4へ編入させるように、隊列4の編成に関する制御を行う。
【0062】
つまり、本実施形態の隊列走行運用システムは、たとえば運転手に関する情報や車両に関する情報に基づき、隊列を適切に編成することができる。
【0063】
なお、以上の説明では、隊列4内の車両3には、運転手3Aが乗車することを前提としているが、隊列4内の一部または全部の車両3が無人で自動運転される場合、車両3に関する情報のみに基づき、隊列4の編成に関する制御を行ってもよい。
【0064】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
【0065】
近年、ネット通販市場の拡大などに伴い、物流量は増加の一途を辿っている。一方、物流を担うトラックの運転手不足が深刻化している。そして、このような状況への対策案の1つとして、たとえば1台の有人トラックが複数台の無人トラックを誘導して走行する隊列走行が注目を集めている。
【0066】
仮に、複数の物流会社のトラックを混在させて隊列を編成するとした場合、たとえば隊列を誘導する車両の運転手の割り振りなどが考慮された隊列を適応的に編成するための基盤となるシステムが求められる。
【0067】
本実施形態は、たとえば隊列を誘導する車両の運転手の割り振りなどが考慮された隊列の適応的な編成が可能な隊列走行運用システムに関するものである。
【0068】
図12は、本実施形態の隊列走行運用システムの一形態例を示す図である。
【0069】
この隊列走行運用システムは、サービスセンタ1-2、より詳しくは、サービスセンタ1-2に設置されるたとえばサーバなどと称されるコンピュータによって一元的に管理されるシステムである。サーバは、プロセッサ(CPU)と、通信デバイスと、ストレージデバイスとを少なくとも備えるコンピュータであり、その構成については問わない。サーバとしてサービスセンタ1-2に設置されるコンピュータは、1台のコンピュータであってもよいし、たとえば負荷分散などのために協働する複数台のコンピュータであってもよい。サーバの概略的なハードウェア構成例については、図17を参照して後述する。
【0070】
サービスセンタ1-2は、たとえば複数の物流会社の営業拠点2、より詳しくは、営業拠点2に設置されるたとえばPC(Personal Computer)からインターネットなどのネットワークN経由で申請(申請情報)を受け付ける。申請情報は、目的のトラック(車両3)を、希望日時、希望区間などを指定して隊列4に編入させるための情報である。営業拠点2の社員などである申請者は、たとえばサービスセンタ1-2がネットワークN上で公開するWebページにアクセスして申請画面をPC上に表示させ、この申請画面上で必要事項を入力することによって申請情報を作成し、サービスセンタ1-2へ送信する。申請情報を作成するための機器は、PCに限らず、ネットワークN上で公開されるWebページにアクセスする機能を有する機器であればよく、たとえばスマートフォンなどであってもよい。また、図12においては、サービスセンタ1-2が、物流会社の営業拠点2との間で通信を行う様子を示しているが、申請者は、営業拠点6の社員などに限らず、個人であってもよい。さらには、隊列4に編入させる車両3は、物流会社のトラックに限らず、たとえば個人の自家用車であってもよい。
【0071】
また、サービスセンタ1-2は、たとえば、隊列4に編入前の車両3または隊列4に編入後の当該隊列4を誘導する車両3、より詳しくは、これらの車両3の運転手3Aが携行する通信機器と、ネットワークNを介して通信することができる。この通信によって、サービスセンタ1は、たとえば隊列4がどの車両3(運転手3A)によって誘導されているのかといった情報を取得することができる。
【0072】
この隊列走行運用システムは、運転手3Aに関する運転手情報(後述する運転手フラグ)と、車両3に関する車両情報(後述する車両フラグ)と、隊列4に関する隊列情報(隊列フラグ)とを用いて、たとえば隊列4を誘導する車両3の運転手3Aの割り振りなどが考慮された隊列4の適応的な編成を可能としたものであり、以下、これらの情報の一適用例について詳述する。
【0073】
図13は、この隊列走行運用システムによって実施される車両の隊列走行の概要を説明するための図である。
【0074】
ここでは、たとえば高速道路などを隊列走行が行える道路であるものと想定し、隊列走行可能道路10と称する。また、たとえば一般道路などを隊列走行が行えない道路であるものと想定し、非隊列走行可能道路20と称する。
【0075】
さらに、隊列走行可能道路10上には、隊列4を組んだり解いたりするための複数のステーション11が設けられているものと想定する。ステーション11は、たとえば隊列走行可能道路10の出入口であるインターチェンジ近傍に設けられる。
【0076】
この隊列走行運用システムは、共通する2つのステーション11間を走行する車両3を連携させて隊列4を編成する。隊列4への編入が予定される車両3は、出発拠点のステーション11まで非隊列走行可能道路20を走行する。つまり、隊列4へ編入するまでの車両3には、各々運転手3Aが乗車している。以下、出発拠点のステーション11を出発ステーション11と称し、到着拠点のステーション11を到着ステーション11と称することがある。
【0077】
また、この隊列走行運用システムにおいては、隊列4へ編入する車両3および運転手3Aは、あらかじめサービスセンタ1へ登録されているものと想定する。車両を登録する際の情報には、性能を判定するための情報が含まれている。図13中、「A」、「B」、「C」は、車両3の性能を表している。この隊列走行運用システムでは、隊列4へ編入する車両3を性能別にたとえば「A:高性能」、「B:中性能」、「C:低性能」の3段階でグループ化し、グループごとに隊列を編成する。これにより、隊列4内での車両3間の性能のばらつきを抑えて、たとえば高性能の車両3の走行を低性能の車両3に合わせるといった無駄をなくし、効率的かつ安定した隊列走行を実現する。車両の性能を評価する手法については、種々の手法が適用可能であり、特定の手法に限定されない。
【0078】
隊列4は、隊列4を誘導する1台の車両3と、この車両3に従属する1台以上の車両3とで編成される。ここで、隊列4を誘導する車両3は、運転手が運転する有人の車両であり、一方、従属する車両3は、先行する車両に追従するように自動運転される無人の車両である。従属する車両3の自動運転については、誘導する車両3や先行する車両3と通信しながら行われるものであってもよいし、各種センサによって自律的に行われるものであってもよい。複数の車両3を連携させて隊列走行させる手法については、種々の手法が適用可能であり、特定の手法に限定されない。また、ここでは、隊列4への編入が可能な車両3は、他の車両3と連携する機能を搭載し、隊列4を誘導する車両3になり得るし、従属する車両にもなり得ることを前提としている。
【0079】
隊列4を誘導する車両3は、基本的には、非隊列走行可能道路20上を、隊列4へ編入させる車両3をステーション11まで運転する運転手3Aの中の一部の運転手3Aによって運転される。より詳しくは、隊列4に編入後も車両3に乗車する運転手3Aによって運転される(当該運転手3Aの運転する車両3が隊列4を誘導する車両3となる)。隊列4に編入後の車両3には乗車しない運転手3Aは、たとえば、そのステーション11を到着拠点として隊列4から解かれた自社の車両3を運転して目的地へ向かってもよいし、自社のバスなどによって会社へ戻ってもよい。ステーション11で車両3を離れる運転手3Aについては、ここでは、特に拘らない。隊列4を誘導する車両3は、例外的に、サービスセンタ1によって手配された運転手3B(車両3の運転手3Aと区別するために、運転手3Bと称する)によって運転される。運転手3Bが手配される場合とは、隊列4に編入後も車両3に乗車する運転手3Aの数が、隊列4を誘導するための要員の必要数に満たない場合である。
【0080】
また、この隊列走行運用システムでは、隊列4に編入後も車両3に乗車する、隊列4を誘導するための要員としての役割を担う運転手3Aに対し、到着拠点のステーション11で隊列4が解かれた後、出発拠点のステーション11へ戻る手段を手当てする。もちろん、到着拠点のステーション11で隊列4が解かれた後、そのまま目的地へ向かって非隊列走行可能道路20を走行してもよい。出発拠点のステーション11へ戻るケースとしては、たとえば到着拠点のステーション11周辺を担当エリアとする自社内の他の運転手へ車両3を引き継ぐケースなどが考えられる。自社内の他の運転手とは、たとえば、前述した、出発拠点のステーション11(引き継ぐ側の運転手3Aから見ると、到着拠点のステーション11)まで車両3を運転し、隊列4に編入後は車両3には乗車せず、そのステーション11を到着拠点として隊列4から解かれた自社の車両3を運転して目的地へ向かう運転手などである。視点を変えると、隊列走行可能道路10上の出発拠点のステーション11から到着拠点のステーション11まで車両3に乗車する運転手は、たとえば出発拠点のステーション11周辺を担当エリアとする運転手であり、出発拠点のステーション11周辺の非隊列走行可能道路20と隊列走行可能道路10とのみを運転すればよく、担当エリア外の到着拠点のステーション11周辺の非隊列走行可能道路20を運転する必要がない。
【0081】
この隊列走行運用システムにおいては、出発拠点のステーション11から到着拠点のステーション11まで戻ることを希望する運転手が存在する場合、その運転手を運ぶための人員輸送専用車両(たとえばバスなど)5を用意する。換言すれば、サービスセンタ1-2は、人員輸送専用車両5の手配を行う。出発拠点のステーション11から到着拠点のステーション11まで戻ることを希望する運転手3Aとは、隊列4が出発拠点のステーション11を出発する前までに、同区間を逆方向から走行してきて出発拠点のステーション11へ到着した隊列4に編入されていた車両3に乗車していた運転手3Aである。
【0082】
隊列4が到着拠点のステーション11へ到着すると、隊列4が解かれ、車両3は、各々非隊列走行可能道路20経由で目的地へ向かうことになる。隊列4が解かれた後の車両3の運転手については、ここでは、特に拘らない。たとえば隊列4に編入後も運転手が乗車する車両3については、その運転手が引き続き運転してもよいし、隊列4に編入後は運転手が乗車しない車両3や、隊列4に編入後も運転手が乗車したが隊列4が解かれた後に出発拠点のステーション11へ運転手が戻る車両3については、そのステーション11周辺を担当エリアとする自社内の他の運転手などが引き継いでもよい。
【0083】
次に、図14を参照して、この隊列走行運用システムによって実施される車両の隊列走行の主たるユースケースについて説明する。
【0084】
図14に示されるように、この隊列走行運用システムによって実施される車両の隊列走行は、大きく分けて、3つのユースケースが考えられる。
【0085】
(A)は、第1ユースケースを示している。
【0086】
第1ユースケースは、出発拠点のステーション11まで車両3を運転する運転手3Aが隊列4への編入後も車両3に乗車し、到着拠点のステーション11で隊列4が解かれた後も引き続き車両3を運転して目的地へ向かうケースである。なお、前述したように、隊列4への編入後も車両3に乗車する運転手は、隊列4を誘導するための要員としての役割を担う。
【0087】
また、(B)は、第2ユースケースを示している。
【0088】
第2ユースケースは、出発拠点のステーション11まで車両3を運転する運転手3Aが隊列4への編入後は車両3に乗車しないケースである。つまり、無人の車両3を到着拠点のステーション11まで他の車両3に誘導してもらうケースである。到着拠点のステーション11に到着して隊列4から解かれた車両3は、たとえば、前述したように、そのステーション11周辺を担当エリアとする自社内の他の運転手などによって目的地まで運転される。なお、第2ユースケースにおける無人の車両3は、他者が運転手となって隊列4を誘導する車両3として利用され得るものとする。
【0089】
そして、(C)は、第3ユースケースを示している。
【0090】
第3ユースケースは、出発拠点のステーション11まで車両3を運転する運転手3Aが隊列4への編入後も車両3に乗車し、到着拠点のステーション11で隊列4が解かれた後は、同区間を逆方向へ走行する隊列4へ編入される人員輸送専用車両5に乗車して、出発拠点のステーション11へ戻るケースである。この第3ユースケースの場合も、第2ユースケースと同様、そのステーション11周辺を担当エリアとする自社内の他の運転手などによって目的地まで運転される。
【0091】
ここで、たとえば出発拠点のステーション11周辺が担当エリアの運転手3Aが、担当エリア外の到着拠点のステーション11周辺の非隊列走行可能道路20を運転する必要がないユースケースとして、第2ユースケースに加えて、隊列4に編入後の車両3に運転手3Aが乗車する第3ユースケースを設ける理由について説明する。また、運転手3Aが、出発拠点のステーション11から到着拠点のステーション11まで単独で車両3を運転するのではなく、隊列4を誘導し得ることとなる第1ユースケースを設ける理由についても併せて説明する。
【0092】
第1は、複数の物流会社間で、運転手不足の問題に対応するために協力し合うという観点から第1および第3ユースケースが設けられる。また、第2に、運転手を確保し易くするという観点から第1および第3ユースケースが設けられる。より詳しくは、出発拠点のステーション11から到着拠点のステーション11まで車両3を預けるだけの第2ユースケースの場合は料金が徴収されるのに対して、第1および第3ユースケースの場合、その車両の運転手3Aが隊列4を誘導するための要員として位置づけられることへの対価を得られるものとする。第1ユースケースまたは第3ユースケースにおける対価は、隊列走行時の運転有無や運転時間に応じて算出されることが好ましい。
【0093】
次に、図15を参照して、上記第1乃至第3ユースケースが混在する本実施形態の隊列走行運用システムにおいて隊列4を編成するために用いる各種情報(フラグ)について説明する。
【0094】
この隊列走行運用システムは、(A)運転手3Aに関する運転手情報である運転手フラグと、(B)車両3に関する車両情報である車両フラグと、(C)隊列4に関する隊列情報である隊列フラグとを用いる。
【0095】
運転手フラグには、運転手フラグ(1)と運転手フラグ(2)との2種類が存在し、運転手フラグ(1)は、車両3の隊列4への編入時、車両3に乗車するか否かを示す。運転手フラグ(2)は、隊列走行時、隊列4を誘導する車両3の運転手として運転中か否かを示す。運転手フラグ(1)の値(オン[乗車]、オフ[非乗車])は申請時に定まり、運転手フラグ(2)の値(オン[運転中]、オフ[非運転中])は隊列4の走行状況に応じて定まる。運転手フラグ(1)は、後述する申請情報DB151に格納される申請情報に含まれる。運転手フラグ(2)は、後述するスケジュールDB153に格納される隊列編成情報153Aに含まれる。
【0096】
車両フラグは、車両3の性能を示す。車両フラグの値(A、B、C)は、車両3の登録時に定まる。車両フラグは、後述する基本情報DB152に格納される登録車両情報152Bに含まれる。
【0097】
隊列フラグには、隊列フラグ(1)と隊列フラグ(2)との2種類が存在し、隊列フラグ(1)は、人員輸送専用車両5が連携されるか否かを示す。隊列フラグ(2)は、隊列4を誘導するための要員としての運転手の手配が必要か否かを示す。隊列フラグ(1)の値(オン[人員輸送専用車両5連携]、オフ[人員輸送専用車両5非連携])は、隊列4の編成時に定まり、また、隊列フラグ(2)の値(オン[運転手手配要]、オフ[運転手手配不要])も、隊列4の編成時に定まる。隊列フラグ(1)と隊列フラグ(2)とは、後述するスケジュールDB153に格納される隊列編成情報153Aに含まれる。
【0098】
図16は、本実施形態のサービスセンタ(サーバ)1-2の機能ブロック図である。
【0099】
図5に示されるように、サービスセンタ1-2は、申請受付処理部121、隊列編成処理部122、運転手手配処理部123、人員輸送専用車両手配処理部124および運行監視処理部125の各処理部と、申請情報DB171、基本情報DB172およびスケジュールDB173の各データ部とを有する。隊列編成処理部122、運転手手配処理部123および人員輸送専用車両手配処理部124は、運行スケジュール作成処理部130を構成する。また、運行監視処理部125は、課金管理部としても機能する。
【0100】
サービスセンタ1-2の処理には、大きく分けて、(1)車両3の隊列4への編入の申請を受け付けるフェーズ、(2)隊列4を編成するフェーズ、(3)隊列4の走行状況を監視するフェーズ、(4)隊列4として走行した車両3に対して課金するフェーズ、の4つのフェーズが存在する。申請受付処理部121は(1)に対応し、運行スケジュール作成処理部130を構成する隊列編成処理部122、運転手手配処理部123および人員輸送専用車両手配処理部124は(2)に対応する。また、課金管理部としても機能する運行監視処理部125は(3)および(4)に対応する。
【0101】
前述したように、サーバは、プロセッサと、通信デバイスと、ストレージデバイスとを少なくとも備えるコンピュータである。各処理部は、ストレージデバイスに記憶されているプログラムがプロセッサによって実行されることによって構築される。また、各データ部は、ストレージデバイス上に構築される。図17に、サービスセンタ(サーバ)1-2のハードウェア構成の一例を示す。
【0102】
図17に示されるように、サービスセンタ(サーバ)1-2は、プロセッサ71、主メモリ72、外部記憶装置73、通信装置74、入力装置75、表示装置76などを備える。前述したように、隊列走行運用システムは、複数のコンピュータによって構築されてもよく、図17は、そのハードウェア構成例を概略的に示しているに過ぎない。
【0103】
ここでは、隊列走行運用システムは、外部記憶装置53に格納される隊列走行運用プログラム100-2が、当該外部記憶装置73から主メモリ72にロードされてプロセッサ71によって実行されることによって、図16に示される各処理部が実現されるものとする。また、図16に示される各データ部は、外部記憶装置73内に構築されるものとする。
【0104】
通信装置74は、たとえば図12に示される営業拠点2や車両3との間の通信を実行する装置である。入力装置75は、隊列走行運用システムを管理するオペレータなどが指令を含む情報入力を行うための装置である。表示装置76は、当該オペレータなどへ情報出力を行うための装置である。
【0105】
図16に戻って説明を続ける。
【0106】
申請受付処理部121は、たとえば物流会社の営業拠点2などから申請情報を受け付ける処理を実行する。申請受付処理部121は、サービスセンタ1へアクセスしてきた営業拠点2のPCなどに申請画面21を表示させるための情報、たとえばHTML(HyperText Markup Language)ファイルを送信する。図16に示されるように、申請画面21上の入力項目には、日付(d1)、出発ステーション[発S](d2)、到着ステーション[着S](d3)、出発または到着の時刻(d4)、隊列走行時の乗車有無(d5)、隊列走行時に乗車する場合における出発ステーションへの帰還希望有無(d6)、隊列4へ編入させる車両3の識別子[車両ID](d7)、車両3の運転手3Aの識別子[運転手ID](d8)などが存在する。符号d4で示される、出発または到着の時刻の入力項目は、入力対象が出発時刻であるのか到着時刻であるのかを申請者が切り換え可能であることが好ましい。
【0107】
なお、符号d5で示される、隊列走行時の乗車有無の入力項目は、隊列4に編入後の車両3に運転手3Aが乗車する場合においても乗車無と入力することが可能である。この場合、前述の第2ユースケース(図14(B)参照)として扱われ、運転手3Aは、隊列4を誘導するための要員としては位置づけられなくなる。つまり、たとえば隊列走行時に車両3内で休憩したいといったニーズに応えることができる。
【0108】
出発ステーションと到着ステーションとが一致し、かつ、出発または到着の希望時刻が一定の範囲内にある車両3同士を連携させて隊列4を編成することも実現し得るが、この隊列走行運用システムでは、隊列走行可能道路10を走行させる隊列4のタイムスケジュールがあらかじめ定められているものと想定する。より詳しくは、ステーション11ごとに、隊列4の出発時刻と、他のステーション11への到着時刻とが、隊列走行可能道路10の両方向(上り方面、下り方面)についてあらかじめ定められているものと想定する。このステーション11ごとの情報は、運行ダイヤ情報172Aとして基本情報DB172に格納されている。図18に、運行ダイヤ情報172Aの一例を示す。
【0109】
運行ダイヤ情報172Aは、ステーション11ごとに設けられる情報であって、図18に示されるように、隊列走行可能道路10の両方向(上り方面、下り方面)について、出発時刻と、他のステーション11への到着時刻とが示される。
【0110】
この運行ダイヤ情報172Aによって、申請受付処理部121は、出発ステーションと到着ステーションとが指定されれば、出発時刻または到着時刻の一方の指定のみで、出発時刻または到着時刻の他方を得ることができる。申請画面21上で入力され、営業拠点6のPCなどからサービスセンタ1-2へ送信されてくる情報を、申請受付処理部121は、申請情報として申請情報DB171に格納する。図19に、申請情報DB171に格納される申請情報の一例を示す。
【0111】
申請受付処理部121は、申請ごとに受付番号(受付No.)を採番し、図19に示されるように、たとえば、日付ごとに、この受付番号順に、申請画面21上で入力された情報を申請情報として申請情報DB171に格納する。申請情報に含まれる情報のうち、隊列走行時の乗車有無に関する情報が、運転手フラグ(1)の値となる。つまり、申請受付処理部121は、隊列走行時の乗車有として申請が行われた場合、申請情報内の運転手フラグ(1)をオンにし、隊列走行時の乗車無として申請が行われた場合には、申請情報内の運転手フラグ(1)をオフにする。
【0112】
基本情報DB172には、運行ダイヤ情報172Aのほか、登録車両情報172Bと登録運転手情報172Cとが格納される。なお、登録車両情報172Bや登録運転手情報172Cを作成し、基本情報DB172へ格納する手法については、種々の手法が適用可能であり、特定の手法に限定されない。図20に、登録車両情報172Bの一例を示し、図21に、登録運転手情報172Cの一例を示す。
【0113】
登録車両情報172Bは、たとえば図20に示すように、車両3の識別子[車両ID]と複数の属性情報とを含む。複数の属性情報は、たとえば、重量、追越加速度、減速/ブレーキ制動力、タイヤの摩擦力など、様々な情報を含み得る。追越加速度は、停止状態からたとえば車両3の通常走行時の速度として想定される第1速度まで達する際の加速度ではなく、この第1速度から当該第1速度で走行する他の車両3を追い越すために必要な第2速度まで達する際の加速度である。また、登録車両情報172Bは、これらの属性情報を基に車両3の性能を評価した性能評価値を含む。登録車両情報172Bに含まれる情報のうち、この性能評価値が、車両フラグの値となる。
【0114】
登録運転手情報172Cは、たとえば図21に示すように、運転手3Aの識別子[運転手ID]と複数の属性情報とを含む。複数の属性情報は、たとえば、経験年数、隊列走行可能道路10の区間ごとの隊列走行(誘導)回数、コミュニケーション能力に関する評価値など、様々な情報を含み得る。登録運転手情報152Cは、たとえば、隊列4への編入後も車両3に乗車する運転手3Aが必要数を超えて存在する場合に、その中から隊列4を誘導するための要員としての運転手3Aを選出するための情報などとして用いられる。
【0115】
隊列編成処理部122は、申請情報DB171に格納されている申請情報と、基本情報DB172に格納されている運行ダイヤ情報172A、登録車両情報172Bおよび登録運転手情報172Cとを用いて隊列4を編成し、隊列4の編成に関する情報である隊列編成情報173Aを作成してスケジュールDB173に格納する。なお、隊列編成情報173Aは、隊列4へ編入した車両3に対する課金額を算出する際に、たとえば運転手3Aによる隊列4の誘導有無(運転有無)や誘導時間(運転時間)などを示す実績情報として用いられる。
【0116】
たとえば、サービスセンタ1-2は、申請を24時間受け付けるが、各日分の申請を当日の所定の時刻で締め切るものと想定する。この場合、隊列編成処理部102は、当該所定の時刻の経過後、申請情報DB171に格納される当日分の申請情報を用いた当日分の隊列編成情報173Aを作成する処理を日次処理として実行する。
【0117】
隊列編成処理部122は、まず、隊列走行可能道路10上の2つのステーション11の全通りの組み合わせ(方向も考慮)について、出発時刻、性能ごとに、隊列4への編入を申請する車両3をグループ化する。そして、隊列編成処理部122は、作成したグループごとに、車両3の数を集計する。つまり、隊列編成処理部122は、区間、出発時刻、性能ごとに、車両3の数を集計する。この時、登録車両情報172Bに含まれる車両フラグが用いられる。なお、作成したグループに関する情報は、サービスセンタ(サーバ)1-2のストレージデバイス上に中間成果物として一時的に記憶される。この情報には、グループに属する車両3の識別子が含まれている。
【0118】
また、隊列編成処理部122は、区間、到着時刻ごとに、出発ステーション11への帰還希望者数を集計する。より詳しくは、帰還希望者の有無を判定する。帰還希望者が存在する場合、隊列編成処理部122は、当該区間と逆の区間かつ当該到着時刻から一定期間経過後の直近の出発時刻に、人員輸送専用車両5を割り当てる。この人員輸送専用車両5の割り当てのための処理と、車両3の数の集計のための処理とは、並列的に行ってもよいし、逐次的に行ってもよい。また、逐次駅に行う場合には、どちらを先に行ってもよい。
【0119】
続いて、隊列編成処理部122は、車両3の数の集計結果と、人員輸送専用車両5の要否の判定結果とに基づき、区間、出発時刻、性能ごとに、隊列4を編成する。図22および図23を参照して、隊列編成処理部122による隊列4の編成規則について説明する。
【0120】
いま、隊列4として連携して走行することのできる車両3の最大数が5台であるものと想定する。また、ある区間をある時間に出発するある性能の車両3が、図22(A)に示されるように、18台存在するものと想定する。つまり、あるグループに属する車両3の数が18台である場合を想定する。
【0121】
図22中、符号3-1は、申請情報に含まれる隊列走行時の乗車有無に関する情報が乗車有である車両3、つまり運転手フラグ(1)がオンである車両3を示す。一方、符号3-2は、申請情報に含まれる隊列走行時の乗車有無に関する情報が乗車無である車両3、つまり運転手フラグ(1)がオフである車両3を示す。ここでは、3台の車両3の運転手3Aが、隊列4への編入後も車両3に乗車するものと想定する。
【0122】
隊列編成処理部122は、グループに属する車両3の数を、隊列4として連携して走行することのできる車両3の最大数で除することで、そのグループ内で編成すべき隊列4の数を求める。ここでは、18÷5=3.6から、4つの隊列4(4-1~4)を編成すべきことが求まる。
【0123】
編成すべき隊列4の数を求めると、隊列編成処理部122は、図22(B)に示されるように、運転手フラグ(1)がオンである車両3を均等に隊列4へ割り振り、次に、運転手フラグ(1)がオフである車両3を割り振っていく。また、この時、隊列編成処理部102は、隊列4ごとに識別子(隊列ID)を採番する。ここで、隊列4の数である4に対して、運転手フラグ(1)がオンである車両3の数が3と満たないため、運転手3Aが不在の隊列4が1つ生じる。この場合、隊列編成処理部122は、運転手3Aが不在の隊列4(4-4)について、運転手の手配が必要であることを示すように、隊列フラグ(2)をオンにする。隊列フラグ(2)をオンにするとは、スケジュールDB173に格納する隊列編成情報173A内の当該隊列4に関する情報を、運転手3Aの手配が必要であることを示すように設定することである。
【0124】
なお、説明を簡単にするために、隊列4を誘導する要員としての運転手3Aの必要数については触れなかったが、隊列4によっては、1人の運転手3Aが連続して運転可能な時間を当該隊列4の走行予定時間が上回る場合も考えられ得る。つまり、隊列4の走行予定時間を、1人の運転手3Aによる連続運転可能時間で除することで、隊列4を誘導する要員としての運転手3Aの必要数を求めることができる。運転手フラグ(1)がオンである車両3を均等に隊列4へ割り振った結果、運転手3Aの必要数に満たない隊列4が生じたならば、隊列編成処理部122は、その隊列4について、運転手3Bの手配が必要であることを示すように、隊列フラグ(2)をオンにする。隊列フラグ(2)は、さらに、運転手3Bの必要数を示してもよい。
【0125】
逆に、運転手フラグ(1)がオンである車両3の数が、運転手3Aの必要数を上回る場合も考えられ得る。このような場合、隊列編成処理部122は、登録運転手情報172Cに含まれる運転手3Aの属性情報に基づき、隊列4の走行区間における各運転手3Aの適性度を算出して順位づけし、その順位づけにしたがって、適性度の高い運転手3Aを均等に隊列4に割り振ることが好ましい。より詳しくは、適性度の高い運転手3Aを、隊列4を誘導する要員として選出することが好ましい。
【0126】
一方、図23は、人員輸送専用車両5の連携有無を示す隊列フラグ(1)をオン[人員輸送専用車両5連携]とするケースを説明するための図である。ある区間のある出発時刻について、人員輸送専用車両5が必要と判定した場合、隊列編成処理部122は、その区間および出発時刻に対応して作成されたグループの中で連携数が最大数に達しない隊列4が生じるグループに人員輸送専用車両5を加える。つまり、ここでは、人員輸送専用車両5の性能は、「A:高性能」であり、性能別にグループ化されたいずれのグループにも連携し得ることを想定している。
【0127】
いま、図23(A)に示されるように、人員輸送専用車両5が加えられたあるグループが存在するものとする。また、ここでは、運転手フラグ(1)がオンである車両3の数が隊列4の数を上回っているものとする。より詳しくは、運転手3Aが不在の隊列4は生じないものとする。
【0128】
隊列編成処理部122は、前述したように、まず、運転手フラグ(1)がオンである車両3を均等に隊列4へ割り振る。次に、隊列編成処理部122は、図23(B)に示されるように、運転手フラグ(1)がオフである車両3と人員輸送専用車両5とを割り振っていく。なお、図23(B)には、運転手フラグ(1)がオフである車両3を割り振り、その後に、人員輸送専用車両5を割り振る例を示しているが、人員輸送専用車両5を先に割り振るようにしてもよい。さらに言えば、運転手フラグ(1)がオフである車両3と人員輸送専用車両5とを何ら区別する必要がない。
【0129】
ここでは、運転手3Aが不在の隊列4は生じないので、いずれの隊列4についても、隊列フラグ(2)がオンになることはない。その一方で、人員輸送専用車両5が割り振られた隊列4(4-3)については、隊列編成処理部102は、人員輸送専用車両5を連携させることを示すように、隊列フラグ(1)をオンにする。隊列フラグ(1)をオンにするとは、スケジュールDB173に格納する隊列編成情報173A内の当該隊列4に関する情報を、人員輸送専用車両5を連携させることを示すように設定することである。
【0130】
なお、説明を簡単にするために、人員輸送専用車両5の必要数については触れなかったが、出発ステーション11への帰還希望者数が人員輸送専用車両5の定員数を上回っている場合、複数の人員輸送専用車両5が必要となる。人員輸送専用車両5の必要数は、出発ステーション11への帰還希望者数を、人員輸送専用車両5の定員数で除することで求まる。複数の人員輸送専用車両5が必要である場合、これらを同一グループの隊列4に割り振ってもよいし、異なるグループの隊列4に割り振ってもよい。換言すれば、人員輸送専用車両5は、グループを問わず、連携数が最大数に達しない隊列4に割り振ればよい。
【0131】
隊列編成処理部122は、以上のように編成した隊列4に関する情報を、隊列編成情報173AとしてスケジュールDB173に格納する。図24に、隊列編成情報173Aの一例を示す。
【0132】
隊列編成情報173Aは、たとえば図24に示すように、隊列4の識別子[隊列ID]、出発ステーション[発S]、到着ステーション[着S]、出発時刻[発時刻]、複数の申請者、人員輸送専用車両連携要否、運転手手配要否を含み、申請者は、車両3の識別子[車両ID]、運転手の識別子[運転手ID]、運転手の状態[ステータス]の組み合わせによって構成される。
【0133】
申請者は、たとえば図22を参照して説明したように、隊列4への車両3の割り振り順に並べられる。したがって、基本的には、まず、隊列4に編入後も運転手3Aが車両3に乗車する申請者が記録され、次いで、隊列4に編入後は運転手3Aが車両3に乗車しない申請者が記録されることになる。運転手3Aが乗車しない申請者については、隊列編成処理部122は、運転手の識別子として、たとえば乗車無を意味する特定の値を格納する。運転手の状態としては、後述する運行監視処理部125によって、たとえば、隊列4を誘導する車両3を運転中か否かを示す情報や、運転時間、運転開始時刻および運転終了時刻などが記録される。また、この運転手の状態は、運転手フラグ(2)となる情報である。
【0134】
また、人員輸送専用車両連携要否は、隊列フラグ(1)となる情報であり、運転手手配要否は、隊列フラグ(2)となる情報である。人員輸送専用車両5を連携させる場合、隊列フラグ(1)がオンとなり、運転手3Bの手配が必要な場合、隊列フラグ(2)がオンとなる。
【0135】
次に、隊列編成処理部122によって作成されてスケジュールDB173に格納される隊列編成情報173Aを用いて、リソース手配スケジュール情報173Bを作成してスケジュールDB173に格納する処理を実行する運転手手配処理部123および人員輸送専用車両手配処理部124について説明する。
【0136】
リソース手配スケジュール情報173Bは、運転手3Bおよび人員輸送専用車両5の手配に関するスケジュール情報であり、運転手手配処理部123は、運転手3Bの手配に関するスケジュール情報を作成し、人員輸送専用車両処理部124は、人員輸送専用車両5の手配に関するスケジュール情報を作成する。この2種類のスケジュール情報は、各々、当日分と前日分との少なくとも2つのスケジュール情報を含む。前日分のスケジュール情報は、当日分のスケジュール情報を作成するにあたって、前日の運行終了時における運転手3Bや人員輸送専用車両5の配置状況を示す初期情報として利用される。運転手3Bや人員輸送専用車両5の配置状況が運行開始時において常に所定の状況である場合には、前日分のスケジュール情報は不要であり、たとえば当該所定の状況を示す情報を基本情報DB172に格納しておき、リソース手配スケジュール情報173Bの作成時に参照すればよい。
【0137】
運転手手配処理部123は、まず、スケジュールDB173に格納される隊列編成情報173A内の隊列フラグ(2)を参照して、隊列編成処理部122が編成したすべての隊列4の中から運転手3Bの手配が必要な隊列4のみを抽出する。運転手3Bの手配が必要な隊列4のみを抽出したら、運転手手配処理部123は、リソース手配スケジュール情報173Bの中の運転手3Bの手配に関する前日分のスケジュール情報を参照し、前日の運行終了時、つまり、当日の運行開始時における運転手3Bの配置状況を取得する。運転手3Bの手配が必要な隊列4のみを抽出し、かつ、運転手3Bの配置状況を取得したら、運転手手配処理部123は、運転手3Bの運用計画を作成し、その運用計画を運転手3Bの手配に関する当日分のスケジュール情報としてスケジュールDB173に格納する。運転手3Bの運用計画を作成する手法については、たとえば鉄道のスケジューリングにおける乗務員運用計画の手法などを適用することができる。
【0138】
人員輸送専用車両手配処理部124は、まず、スケジュールDB153に格納される隊列編成情報173A内の隊列フラグ(1)を参照して、隊列編成処理部122が編成したすべての隊列4の中から人員輸送専用車両5を連携させる隊列4のみを抽出する。人員輸送専用車両5を連携させる隊列4のみを抽出したら、人員輸送専用車両手配処理部124は、リソース手配スケジュール情報173Bの中の人員輸送専用車両5の手配に関する前日分のスケジュール情報を参照し、前日の運行終了時、つまり、当日の運行開始時における人員輸送専用車両5の配置状況を取得する。人員輸送専用車両5を連携させる隊列4のみを抽出し、かつ、人員輸送専用車両5の配置状況を取得したら、人員輸送専用車両手配処理部124は、人員輸送専用車両5の運用計画を作成し、その運用計画を人員輸送専用車両5の手配に関する当日分のスケジュール情報としてスケジュールDB173に格納する。人員輸送専用車両5の運用計画を作成する手法については、たとえば鉄道のスケジューリングにおける車両運用計画の手法などを適用することができる。
【0139】
このように、この隊列走行運用システムは、運転手3Aに関する運転手情報(運転手フラグ)と、車両3に関する車両情報(車両フラグ)と、隊列4に関する隊列情報(隊列フラグ)とを用いて、たとえば隊列4を誘導する車両3の運転手3Aの割り振りなどが考慮された隊列4の適応的な編成を可能とする。
【0140】
また、運行監視処理部125は、たとえば隊列4のステーション11からの出発時やステーション11への到着時に当該隊列4を誘導する車両3の運転手3Aが携行する携帯機器から送られる情報によって、隊列4がどの車両3(運転手3A)によって誘導されているのかや、その運転時間といった情報を取得する。運行監視処理部125は、これら取得した情報を、スケジュールDB173に格納される隊列編成情報173A内の申請者に関する情報、より詳しくは、運転手の状態[ステータス]として記録する。この情報は、前述したように、運転手フラグ(2)となる情報である。
【0141】
前述したように、運行監視処理部125は、課金管理部としても機能する。運行監視処理部125は、各日の運用終了後、スケジュールDB173に格納される隊列編成情報173Aを参照して、当該隊列編成情報173Aから得られる隊列走行時の運転有無や運転時間に基づき、各隊列4について、編入した車両3に対する課金額を算出する。
【0142】
たとえば、同一の区間であるならば、隊列走行時に運転手3Aが乗車していた車両3の料金を、隊列走行時に運転手3Aが乗車していない車両3の料金よりも安く、隊列走行時に運転手3Aが乗車していた車両3のうち、隊列4を誘導するための運転を行った運転手3Aの車両3の料金を、隊列4を誘導するための運転を行わなかった運転手3Aの車両3の料金よりも安く算出する。さらには、隊列4を誘導するための運転を行った運転手3Aの車両3が複数存在する場合、運転時間が長い運転手3Aの車両3の料金を、運転時間が短い運転手3Aの車両3の料金よりも安く算出する。
【0143】
図25は、この隊列走行運用システム(サービスセンタ1-2)において実行される運行スケジュール作成処理の流れを示すフローチャートである。
【0144】
サービスセンタ1-2は、まず、隊列走行可能道路10上の区間(方向別)、発時刻、性能ごとに、隊列4へ編入する車両3の車両数を集計する(ステップC1)。サービスセンタ1は、各車両3の性能を、車両フラグによって取得する。
【0145】
また、サービスセンタ1-2は、区間、着時刻ごとに、出発ステーション11から到着ステーション11まで車両3に乗車する運転手3Aであって、出発ステーション11への帰還を希望する運転手3Aの数を集計する(ステップC2)。より詳しくは、帰還希望者の有無を判定する。そして、サービスセンタ1-2は、この集計結果に基づき、人員輸送専用車両5の割り当てを行う(ステップC3)。人員輸送専用車両5の割り当ては、帰還希望者が存在する区間と逆の区間かつ到着ステーション11の到着時刻から一定期間経過後の直近の出発時刻に対して行う。
【0146】
次に、サービスセンタ1-2は、区間、発時刻、性能ごとに、隊列4を編成する(ステップC4)。より詳しくは、サービスセンタ1-2は、まず、隊列4の数を算出する。隊列4の数は、総車両数を連携可能数で除することで算出される。次に、サービスセンタ1-2は、算出した数の隊列4に対して、運転手3Aが乗車する車両3を均等に割り当て、また、人員輸送専用車両5が割り当てられている場合、いずれかの隊列4に人員輸送専用車両5を連携させる。サービスセンタ1-2は、運転手3Aが乗車する車両3を、運転手フラグ(1)によって取得し、また、人員輸送専用車両5を連携させた隊列4について、隊列フラグ(1)をオンにする。さらに、サービスセンタ1-2は、各隊列4について、運転手3Bの手配が必要か否かを判定する。この判定は、運転手3Aが乗車する車両3の数が、その区間の走行予定時間を1人の運転手3Aによる連続運転可能時間で除した数を上回っているか否かで行うことができる。サービスセンタ1-2は、運転手3Bの手配が必要な隊列4について、隊列フラグ(2)をオンにする。
【0147】
次に、サービスセンタ1-2は、運転手3Bの手配のための処理を行う(ステップC5)。より詳しくは、サービスセンタ1-2は、まず、すべての隊列4の中から運転手3Bの手配が必要な隊列4のみを抽出する。サービスセンタ1-2は、該当する隊列4の抽出を、隊列フラグ(2)を用いて行う。運転手3Bの手配が必要な隊列4のみを抽出したら、サービスセンタ1-2は、運転手3Bの運用計画を作成する。
【0148】
また、サービスセンタ1-2は、人員輸送専用車両5の手配のための処理を行う(ステップC6)。より詳しくは、サービスセンタ1-2は、まず、すべての隊列4の中から人員輸送専用車両5の手配が必要な隊列4のみを抽出する。サービスセンタ1-2は、該当する隊列4の抽出を、隊列フラグ(1)を用いて行う。人員輸送専用車両5の手配が必要な隊列4のみを抽出したら、サービスセンタ1-2は、人員輸送専用車両5の運用計画を作成する。
【0149】
なお、ステップC5の運転手3Bの手配のための処理と、ステップC6の人員輸送専用車両5の手配のための処理とは、順番を入れ替えて実行してもよいし、また、並行して実行してもよい。
【0150】
また、図26は、この隊列走行運用システム(サービスセンタ1-2)において実行される運行監視(課金)処理の流れを示すフローチャートである。
【0151】
サービスセンタ1-2は、隊列4を誘導する車両3を運転する運転手3Aを検知する(ステップD1)。サービスセンタ1は、検知した運転手3Aについて、運転手フラグ(2)をオンにする。また、サービスセンタ1は、各車両3について、運転手フラグ(2)がオンである時間、つまり、運転手3Aの運転時間を累計する(ステップD2)。
【0152】
そして、サービスセンタ1は、隊列4へ編入された車両3への運転手3Aの乗車有無、運転手3Aの運転時間に基づき、各車両3の課金額を算出する(ステップD3)。運転手3Aの乗車有無は、運転手フラグ(1)を用いて判定することができる。
【0153】
以上のように、本実施形態の隊列走行運用システムは、運転手3Aに関する運転手情報と、車両3に関する車両情報と、隊列4に関する隊列情報とを用いて、たとえば隊列4を誘導する車両3の運転手3Aの割り振りなどが考慮された隊列4の適応的な編成を可能とする。
【0154】
以下に、本実施形態に含まれる特徴について付記する。
[1]
複数の車両が隊列として連携して走行可能な道路上の共通する2つの拠点間を走行する車両を連携させて隊列を編成する隊列走行運用システムであって、
車両を隊列へ編入させる申請のための情報であって、出発拠点および到着拠点と、出発時刻または到着時刻の少なくとも一方と、車両の識別子と、車両の運転手の識別子および隊列走行時の乗車有無とを含む申請情報を受け付ける申請受付部と、
前記申請受付部によって受け付けられた申請情報に基づき、前記道路上を連携して走行させる隊列を編成する隊列編成部と、
前記隊列編成部によって編成されたすべての隊列の中から隊列を誘導する車両の運転手の手配が必要な隊列を抽出して運転手の運用計画を作成する運転手手配部と、
を具備し、
前記隊列編成部は、前記車両の運転手の隊列走行時の乗車有無を含む前記車両の運転手に関する運転手情報と、前記車両の識別子に対応づけられて管理される前記車両の性能を含む前記車両に関する車両情報とを用いて、前記隊列を編成し、かつ、前記運転手の手配要否を含む前記隊列に関する隊列情報を生成し、
前記運転手手配部は、前記運転手の手配要否を含む前記隊列情報を用いて、前記運転手の運用計画を作成する、
隊列走行運用システム。
[2]
前記申請情報は、隊列走行時に車両に乗車する運転手の出発拠点への帰還希望有無をさらに含み、
前記隊列編成部は、出発拠点への帰還を希望する運転手を輸送するための人員輸送専用車両を含めて前記隊列の編成を実行し、かつ、前記人員輸送専用車両の連携有無を含む前記隊列情報を生成し、
前記人員輸送専用車両の連携有無を含む前記隊列情報を用いて、前記隊列編成部によって編成されたすべての隊列の中から前記人員輸送専用車両が連携する隊列を抽出して前記人員輸送専用車両の運用計画を作成する人員輸送専用車両手配部をさらに具備する、
[1]に記載の隊列走行運用システム。
[3]
前記隊列編成部は、前記道路上の共通する2つの拠点間を走行する車両を前記車両情報で示される性能に基づいてグループ化し、グループごとに隊列を編成する[1]または[2]に記載の隊列走行運用システム。
[4]
前記隊列編成部は、隊列走行時に運転手が乗車する車両の数が均等になるように隊列を編成する[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の隊列走行運用システム。
[5]
前記隊列編成部は、隊列走行時に車両に乗車する運転手の数が、その隊列走行の予定時間を1人の運転手による連続運転可能時間で除した数に満たない場合、運転手の手配が必要である旨を示すように、その隊列に関する前記隊列情報を生成する請求項[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の隊列走行運用システム。
[6]
前記隊列編成部は、隊列走行による第1拠点から第2拠点への移動後に前記第1拠点への帰還を希望する運転手が存在する場合、その隊列が前記第2拠点へ到着する時刻以降に前記第2拠点を出発して前記第1拠点まで走行する隊列に前記人員輸送専用車両を連携させて、前記人員輸送専用車両が連携する旨を示すように、その隊列に関する前記隊列情報を生成する[2]に記載の隊列走行運用システム。
[7]
隊列へ編入された車両に対する課金を管理する課金管理部をさらに具備し、
隊列走行時に車両に乗車する運転手は、隊列を誘導する車両を運転し得る要員として位置づけられ、
前記課金管理部は、隊列走行時に運転手が乗車する車両に対する課金額を隊列走行時に運転手が乗車しない車両に対する課金額よりも低く算出する、
[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の隊列走行運用システム。
[8]
前記運転手情報は、隊列の走行時、前記隊列を誘導する車両を運転中か否かをさらに含み、
前記課金管理部は、前記運転手情報が隊列を誘導する車両を運転中であることを示している時間に基づき、その運転手の車両に対する課金額を算出する、
[7]に記載の隊列走行運用システム。
[9]
前記運転手情報は、前記車両の運転手の識別子に対応づけられて管理される前記運転手の属性をさらに含み、
前記隊列編成部は、前記運転手情報で示される運転手の属性に基づき、隊列走行時に車両に乗車する運転手の中から隊列を誘導する車両を運転する運転手を選出する、
[8]に記載の隊列走行運用システム。
[10]
複数の車両が隊列として連携して走行可能な道路上の共通する2つの拠点間を走行する車両を連携させて隊列を編成する隊列走行運用方法であって、
車両を隊列へ編入させる申請のための情報であって、出発拠点および到着拠点と、出発時刻または到着時刻の少なくとも一方と、車両の識別子と、車両の運転手の識別子および隊列走行時の乗車有無とを含む申請情報を受け付けることと、
前記受け付けた申請情報に基づき、前記道路上を連携して走行させる隊列を編成することと、
前記編成したすべての隊列の中から隊列を誘導する車両の運転手の手配が必要な隊列を抽出して運転手の運用計画を作成することと、
を具備し、
前記隊列を編成することは、前記車両の運転手の隊列走行時の乗車有無を含む前記車両の運転手に関する運転手情報と、前記車両の識別子に対応づけられて管理される前記車両の性能を含む前記車両に関する車両情報とを用いて、前記隊列を編成し、かつ、前記前記運転手の手配要否を含む前記隊列に関する隊列情報を生成することを含み、
前記運転手の運用計画を作成することは、前記運転手の手配要否を含む前記隊列情報を用いて、前記運転手の運用計画を作成することを含む、
隊列走行運用方法。
【0155】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0156】
1…サービスセンタ、2…車両認識装置、3…車両、3A,3B…運転手、4…隊列、5…人員輸送専用車両、6…営業拠点、10,R…隊列走行可能道路、11…ステーション、20…非隊列走行可能道路、21…申請画面、101,121…申請受付処理部、102,122…隊列編成処理部、103…車両位置検出処理部、104…運行監視処理部(課金管理部)、123…運転手手配処理部、124…人員輸送専用車両手配処理部、130…運行スケジュール作成処理部、151,171…申請情報DB、152,152A…ステーション情報、152B,172B…登録車両情報、152C,172C…登録運転手情報、172…基本情報DB、153…隊列情報DB、154…車両位置情報DB、172A…運行ダイヤ情報、173…スケジュールDB、173A…隊列編成情報、173B…リソース手配スケジュール情報。
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