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特許7134650回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造
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  • 特許-回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造 図1
  • 特許-回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造 図2
  • 特許-回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造 図3
  • 特許-回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造 図4
  • 特許-回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造 図5
  • 特許-回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造 図6
  • 特許-回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造 図7
  • 特許-回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造 図8
  • 特許-回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造 図9
  • 特許-回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造 図10
  • 特許-回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造 図11
  • 特許-回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20220905BHJP
【FI】
H02K5/22
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018042347
(22)【出願日】2018-03-08
(65)【公開番号】P2019161753
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 竜郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】黒田 稔
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-312435(JP,A)
【文献】特開平07-194052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ端子と、フレームと、を有するモータと、
端子部材と、
前記端子部材が取り付けられている第1のハウジングと、
前記モータのフレームを収容する収容部を有し、前記第1のハウジングが取り付けられる第2のハウジングとを備え、
前記第1のハウジングは、前記第2のハウジングに対して所定の方向に取り付け又は分離可能であり、
前記端子部材は、前記モータ端子に接触しており、
前記端子部材は、外部に接続される外部接続端子部を有し、
前記所定の方向は、前記外部接続端子部の長手方向であり、
前記外部接続端子部の長手方向は、前記モータの回転軸とは異なる方向である、回転装置。
【請求項2】
記収容部は、前記モータの回転軸方向において、開口部を有し、
前記第1のハウジングは、前記開口部を塞ぐ、請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記端子部材は、前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングに収容されている、請求項1又は2に記載の回転装置。
【請求項4】
記モータ端子は、前記モータのフレームから前記所定の方向とは異なる方向に突出している、請求項1から3のいずれかに記載の回転装置。
【請求項5】
前記第1のハウジングは、前記所定の方向に沿って形成された溝部を有し、
前記端子部材は、前記溝部の内側に位置するモータ接続端子部を有し、
前記モータ端子は前記溝部の内側で前記モータ接続端子部に接触する、請求項4に記載の回転装置。
【請求項6】
前記モータ端子は、前記所定の方向に延在する面を有する、請求項4又は5に記載の回転装置。
【請求項7】
前記第1のハウジングは前記第2のハウジングに嵌合する、請求項1から6のいずれかに記載の回転装置。
【請求項8】
コネクタ部を備え、
前記コネクタ部は、
前記外部接続端子部と、
前記第2のハウジングに設けられたコネクタハウジング部とを有し、
前記コネクタハウジング部は、前記所定の方向に前記外部接続端子部が挿入可能な穴部を有する、請求項1から7のいずれかに記載の回転装置。
【請求項9】
前記モータの回転軸方向において、前記第2のハウジングの端部は取付面を備え、
前記取付面には、被取付部材に嵌合可能な嵌合部が設けられている、請求項1から8のいずれかに記載の回転装置。
【請求項10】
請求項9に記載の回転装置を備え、
前記被取付部材は、前記回転装置の取付面に取り付けられており、
前記被取付部材に形成された被嵌合部に前記回転装置の嵌合部が嵌合している、回転装置の取付構造。
【請求項11】
前記コネクタ部に外部コネクタが接続されている、請求項8に記載の回転装置と外部コネクタとの接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造に関し、特に、モータとモータに電流を供給するための端子部材とを有する回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハウジングに、モータと、モータに電流を供給するための端子部材とが取り付けられている回転装置が用いられている。このような回転装置を被取付部材に取り付けて、モータの駆動力を被取付部材に用いることができる。
【0003】
下記特許文献1には、減速機付き小型モータに供給される電流を流す給電線の接続部が、コネクタによりモータの電気的入力部に接続するコネクタ接続タイプであるモータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-225048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、容易に組立作業を行うことが可能な回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、回転装置は、モータ端子と、フレームと、を有するモータと、端子部材と、端子部材が取り付けられている第1のハウジングと、モータのフレームを収容する収容部を有し、第1のハウジングが取り付けられる第2のハウジングとを備え、第1のハウジングは、第2のハウジングに対して所定の方向に取り付け又は分離可能であり、端子部材は、モータ端子に接触しており、端子部材は、外部に接続される外部接続端子部を有し、所定の方向は、外部接続端子部の長手方向であり、外部接続端子部の長手方向は、モータの回転軸とは異なる方向である。
【0007】
好ましくは、収容部は、モータの回転軸方向において、開口部を有し、第1のハウジングは、開口部を塞ぐ。
【0008】
好ましくは、端子部材は、第1のハウジング及び第2のハウジングに収容されている。
【0009】
好ましくは、モータ端子は、モータのフレームから所定の方向とは異なる方向に突出している。
【0010】
好ましくは、第1のハウジングは、所定の方向に沿って形成された溝部を有し、端子部材は、溝部の内側に位置するモータ接続端子部を有し、モータ端子は溝部の内側でモータ接続端子部に接触する。
【0011】
好ましくは、モータ端子は、所定の方向に延在する面を有する。
【0012】
好ましくは、第1のハウジングは第2のハウジングに嵌合する。
【0013】
好ましくは、コネクタ部を備え、コネクタ部は、外部接続端子部と、第2のハウジングに設けられたコネクタハウジング部とを有し、コネクタハウジング部は、所定の方向に外部接続端子部が挿入可能な穴部を有する。
【0014】
好ましくは、モータの回転軸方向において、第2のハウジングの端部は取付面を備え、取付面には、被取付部材に嵌合可能な嵌合部が設けられている。
【0015】
この発明の他の局面に従うと、回転装置の取付構造は、上述の回転装置を備え、被取付部材は、回転装置の取付面に取り付けられており、被取付部材に形成された被嵌合部に回転装置の嵌合部が嵌合している。
【0016】
この発明のさらに他の局面に従うと、上述の回転装置と外部コネクタとの接続構造は、コネクタ部に外部コネクタが接続されている。
【0017】
これらの発明に従うと、容易に組立作業を行うことが可能な回転装置、回転装置の取付構造、及び回転装置と外部コネクタとの接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態の1つにおける回転装置を左後上方から見た斜視図である。
図2】回転装置前方上方から見た斜視図である。
図3】回転装置を後方下側から見た斜視図である。
図4】回転装置を示す底面図である。
図5】回転装置の分解斜視図である。
図6】回転装置と被取付部材との取付構造を説明する図である。
図7】第2のハウジングへのモータの取付構造について説明する分解斜視図である。
図8】モータが取り付けられた状態の第2のハウジングを示す斜視図である。
図9】第1のハウジングへの端子部材の取付構造について説明する分解斜視図である。
図10】端子部材が取り付けられた状態の第1のハウジングを示す斜視図である。
図11】第2のハウジングと第1のハウジングとの取付構造について説明する斜視図である。
図12】モータ端子とモータ接続端子部との接続について説明する底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態における回転装置及び回転装置を用いた装置について説明する。
【0020】
なお、本願では、モータの回転軸に沿う方向を「軸方向」、モータの回転軸に直交する方向を「径方向」、モータの回転軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称することがある。また、本願では、軸方向を上下方向(図1における上が「上」)とし、径方向のうち第2のハウジングを第1のハウジングに取り付ける際に第1のハウジングに対して第2のハウジングをスライドさせる所定の方向(以下、スライド方向と呼称する)を前後方向(外部接続端子が突出する方向が「前」)として、各部の形状や位置関係を説明する。各図において示される座標について、軸方向がZ軸方向(Z軸において正となる向きが上)に、前後方向がY軸方向(Y軸において正となる向きが前(スライド方向))に対応し、Z軸方向とY軸方向とのいずれにも直交するX軸方向を左右方向(X軸が正となる向きが右)ということがある。ただし、これらの前後、上下、左右の方向は、あくまで説明の便宜のために定義したものであって、本発明に係る回転装置が搭載される機器における方向や、この回転装置が使用される姿勢などについて、何ら限定するものではない。
【0021】
[実施の形態]
【0022】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける回転装置1を左後上方から見た斜視図である。図2は、回転装置1前方上方から見た斜視図である。図3は、回転装置1を後方下側から見た斜視図である。図4は、回転装置1を示す底面図である。図5は、回転装置1の分解斜視図である。
【0023】
以下に示される各図において、部分的に示されている破線は、隠線を示している。
【0024】
図1から図4に示されるように、回転装置1は、第2のハウジング40と第2のハウジング40の上側にある第1のハウジング60とで構成されるハウジング50の内部に、モータ10が収容された構造を有している。回転装置1は、モータ10、第1のハウジング60、及び第2のハウジング40のほか、2つの端子部材21,22(第1の端子部材21、第2の端子部材22)と、ねじ3とを備えている。
【0025】
図1に示されるように、モータ10は、回転軸方向(回転軸11の長手方向)が上下方向となるようにして配置されている。すなわち、モータ10の回転軸方向は、スライド方向(Y軸方向;前方向)とは異なる方向である。モータ10は、回転軸方向の2つの端部のそれぞれがフレーム15の底部15bとフレーム15の頂部15cで塞がれた略円筒形のフレーム15を備えている。モータ10は、フレーム15の頂部15cが下方となり、フレーム15の底部15bが上方を向く姿勢で第2のハウジング40に取り付けられている。
【0026】
モータ10は、一対のモータ端子13を有している。モータ端子13は、フレーム15の底部15bから回転軸方向に突出している。すなわち、モータ端子13は、スライド方向とは異なる方向である上方向に、モータ10のフレーム15から突出している。各モータ端子13は、例えば、金属板などの金属部材で形成されている。
【0027】
図3に示されるように、回転軸11は、フレーム15の頂部15cに設けられている軸受19に支持されている。軸受19は、フレーム15の頂部15cに形成されている保持部16に保持されている。保持部16は、回転軸11と同軸の円筒形状となる外周形状を有している。回転軸11は、フレーム15の頂部15cからフレーム15の外部に突出している。
【0028】
本実施の形態において、第1のハウジング60は、第2のハウジング40とは別の部品である。第1のハウジング60と、第2のハウジング40とは、それぞれ樹脂製である。第1のハウジング60と第2のハウジング40とは、それぞれ成形された後に互いに取り付けられて、1つのハウジング50を構成する。第1のハウジング60は、第2のハウジング40に対して所定のスライド方向にスライドして第2のハウジング40に取り付けられている。図1図2図3、及び図4においては、第1のハウジング60が第2のハウジング40に取り付けられた状態が示されている。また、第1のハウジング60は、第2のハウジング40に対して所定のスライド方向にスライドして第2のハウジング40から分離することができる。
【0029】
第2のハウジング40は、モータ10が取り付けられる胴部40bと、引出部40cとを有している。引出部40cは、胴部40bから上方に延びたのちに前方に延びている。引出部40cの前端部(一方の端部)には、コネクタハウジング部46が設けられている。胴部40bの下部には、径方向に胴部40bの表面から突出する取付部(穴部の一例)49が設けられている。
【0030】
引出部40cの前方に延びている部分と胴部40bとの間には、モータ10の回転軸及びスライド方向にそれぞれ平行な(ZY平面に平行な)リブ47が設けられている。これにより、引出部40cの強度が高くなっており、また、引出部40cの一部分の剛性が高くなっている。引出部40cの一部(例えば、前方に延びている部分の底面側)には、複数の凹部48が形成されている。複数の凹部48が形成されており、凹部48と凹部48との間にリブが形成されていることにより、引出部40cの剛性を比較的高く維持しつつ、第2のハウジング40の軽量化や体積の削減による省コスト化が実現されている。なお、リブ47や凹部48は設けられていなくてもよい。
【0031】
第1のハウジング60は、カバー部60bと、端子保持部60cとを有している。カバー部60bは、胴部40bの上部を覆うように形成されている。端子保持部60cは、引出部40cに沿うように形成されており、カバー部60bから上方に延びたのちに前方に延びている。端子保持部60cの前端部は、コネクタハウジング部46の近傍に達している。
【0032】
端子保持部60cの一部(例えば、前方に延びている部分の上面側)には、凹部68が形成されている。凹部68が形成されており、凹部68と凹部68との間にリブが形成されていることにより、端子保持部60cの剛性を比較的高く維持しつつ、第1のハウジング60の軽量化や体積の削減による省コスト化が実現されている。なお、凹部68は設けられていなくてもよい。
【0033】
回転軸方向において、第2のハウジング40の端部は取付面51を備えている。すなわち、ハウジング50の底面には、取付面51が設けられている。モータ10の回転軸11は、取付面51から下方に突出している。下方に突出している回転軸11の端部が、回転装置1の出力端となる。
【0034】
図3に示されるように、取付面51は、第2のハウジング40の底面側に露出している。取付面51には、モータ10のフレーム15の底部15cが取り付けられている。取付面51の下側から、第2のハウジング40を貫通してモータ10のフレーム15の底部15cにねじ込まれる2つのねじ3が配置されている。
【0035】
取付面51の略中央には、第2のハウジング40を貫通する穴43b(図7に示す)が形成されている。この穴43bには、回転軸11と共に、保持部16が嵌め込まれている。穴43bの一部と保持部16の外周面との間には、径方向に隙間ができており、この隙間が嵌合部55となっている。
【0036】
図4に示されるように、嵌合部55は、保持部16を囲む複数箇所に形成されている。本実施の形態においては、嵌合部55は、回転軸11を中心に互いに対称となる2箇所に形成されている。このような嵌合部55が保持部16の周囲において少なくとも2箇所に形成されていることにより、保持部16の外周面が回転軸方向にわたって第2のハウジング40の外部に露出している。そのため、保持部16を利用して、回転装置1の位置決めを容易に行うことができる。なお、嵌合部55はこれに限られず、保持部16の周囲を全周にわたって囲むように環状に形成されていてもよいし、例えば3箇所以上に嵌合部55が形成されていてもよい。
【0037】
図6は、回転装置1と被取付部材90との取付構造を説明する図である。
【0038】
回転装置1は、例えばモータ10の回転軸11の下端部にギアやプーリーなどを取り付けて、被取付部材90に取り付けて用いることができる。被取付部材90は、回転装置1を駆動源として駆動される装置や、回転装置1の駆動力を減速して他の装置に伝達する減速装置等であるが、これに限られるものではない。図6においては、具体的な装置の図示を省略して被取付部材90を二点鎖線で示している。
【0039】
図6に示されるように、被取付部材90の上面は、回転装置1が取り付けられる取付面91を有している。取付面91には、上方に突出する突起部(被嵌合部の一例)95と、下方に窪む嵌合穴(被嵌合部の一例)96と、取付穴部99が設けられている。
【0040】
嵌合穴96は、モータ1の保持部16の外周面よりわずかに大きい外周形状を有している。突起部95は、取付面91のうち、嵌合穴96の周縁部に、嵌合穴96を囲むように配置されている。本実施の形態において、突起部95は、嵌合穴の中心軸に対して互いに対称となる2箇所に形成されている。各突起部95は、嵌合部55に嵌合可能な形状(例えば、径方向の幅や周方向の幅、上方への突出高さなど)を有している。
【0041】
回転装置1は、取付面51と被取付部材90の取付面91とが対向するようにして被取付部材90に取り付けられる。このとき、嵌合部55に突起部95が嵌り込む(嵌合の一例)ことで、被取付部材90に対して回転装置1が位置決めされる。また、嵌合穴96に保持部16が嵌り込む(嵌合の一例)ことで、被取付部材90に対して回転装置1が位置決めされる。このように回転装置1が位置決めされた状態で、取付穴部49を貫通するようにしてねじを配置し、取付穴部99にねじをねじ込むことで、被取付部材90に回転装置1を取り付けることができる(回転装置1の被取付部材90への取付構造の一例)。かかる取付構造によれば、被取付部材90に対する回転装置1の位置決めを容易に行って、被取付部材90に回転装置1を取り付けることができる。
【0042】
なお、取付面91の構成はこれに限られるものではない。嵌合部55に嵌合可能な他の形状の被嵌合部が設けられていてもよい。嵌合部55は設けられておらず、保持部16のみを用いて位置決めが行われてもよい。また、保持部16を用いた位置決めは行われず、嵌合部55に被嵌合部が嵌合することによる位置決めのみが行われるようにしてもよい。
【0043】
図5に示されるように、第2のハウジング40の胴部40bの内側には、モータ10を収容する収容部43が設けられている。収容部43は、モータ10の回転軸方向において、開口部44を有している。開口部44は、収容部43の上端部に設けられている。収容部43は、モータ10を収容可能な、上下方向が高さ方向となる円柱状の空間を構成する。第1のハウジング60が第2のハウジング40に取り付けられた状態で、第1のハウジング60のカバー部60bは、収容部43の開口部44を塞ぐ。
【0044】
図7は、第2のハウジング40へのモータ10の取付構造について説明する分解斜視図である。図8は、モータ10が取り付けられた状態の第2のハウジング40を示す斜視図である。
【0045】
図7に示されるように、回転装置1の製造時においては、第2のハウジング40の上方から開口部44を通してモータ10を収容部43に入れることで、収容部43にモータ10を収容することができる。モータ10は、取付面51の下側から上方にねじ込まれるねじ3によって、収容部43の内部のうち取付面51側に固定されている。
【0046】
このように第2のハウジング40の収容部43にモータ10が取り付けられることにより、図8に示されるように、第2のハウジング40にモータ10が保持された状態となる。収容部43の回転軸方向の深さは、例えば、モータ10のフレーム15の回転軸方向の長さと略同じである。収容部43にモータ10が収容されている状態で、後側から見て、一対のモータ端子13は、胴部40bの上縁部よりも上方に突出している。すなわち、各モータ端子13は、開口部44よりも上方に突出している。
【0047】
本実施の形態において、各モータ端子13は、YZ平面に平行な面を有する板形状を有している。各モータ端子13は、スライド方向に延在する平行な面を有する板形状を有している。換言すると、各モータ端子13は互いに平行な板形状であり、かつ、各モータ端子13がスライド方向に平行になる姿勢で、モータ10が第2のハウジング40に取り付けられている。本実施の形態においては、フレーム15の頂部15cにねじ込まれるねじ3が第2のハウジング40を貫通する位置が適切に設定されていることにより、モータ10の第2のハウジング40に対する周方向の姿勢が設定されている。なお、例えばモータ10のフレーム15の形状と収容部43の形状とが互いに周方向に位置決めする形状(凹凸形状など)となっていることにより、モータ10の第2のハウジング40に対する周方向の姿勢が設定されるようにしてもよい。いずれも、モータ10の第2のハウジング40に対する周方向の姿勢を容易に位置決めすることができる。
【0048】
図1に戻って、第1のハウジング60には、2つの端子部材21,22(第1の端子部材21、第2の端子部材22)が取り付けられている。第1のハウジング60が第2のハウジング40に取り付けられた状態で、各端子部材21,22は、第1のハウジング60と第2のハウジング40との間に配置されている。各端子部材21,22は、第1のハウジング60が第2のハウジング40に取り付けられた状態で、第1のハウジング60と第2のハウジング40とに挟まれている。
【0049】
本実施の形態において、第1のハウジング60が第2のハウジング40に取り付けられた状態で、モータ10と端子部材21,22とは、一部を除いて、ハウジング50の内部に収容されている。すなわち、モータ10と端子部材21,22とは、第1のハウジング60と第2のハウジング40とに覆われており、モータ10の回転軸11及びフレーム15の頂部15cの一部と、外部接続端子部33,34(第1の外部接続端子部33、第2の外部接続端子部34)とが、ハウジング50の外部に露出している。
【0050】
図9は、第1のハウジング60への端子部材21,22の取付構造について説明する分解斜視図である。図10は、端子部材21,22が取り付けられた状態の第1のハウジング60を示す斜視図である。
【0051】
図9に示されるように、第1の端子部材21は、モータ10のモータ端子13の一方に接続される第1のモータ接続端子部31と、外部に接続される第1の外部接続端子部33とを有している。また、第2の端子部材22は、モータ10のモータ端子13の他方に接続される第2のモータ接続端子部32と、外部に接続される第2の外部接続端子部34とを有している。本実施の形態において、第1の端子部材21は、第2の端子部材22の右側に配置されている。
【0052】
第1のハウジング60が第2のハウジング40に取り付けられた状態で、モータ接続端子部31,32は、一対のモータ端子13にそれぞれ接続されている。すなわち、第1のハウジング60が第2のハウジング40に取り付けられている状態で、端子部材21,22がモータ端子13に電気的に接続されている。
【0053】
外部接続端子部33,34の長手方向は、スライド方向と同じ方向である。すなわち、外部接続端子部33,34は、前方に延びている。
【0054】
端子部材21,22は、それぞれ、金属板により形成されている。各端子部材21,22は、モータ接続端子部31,32が設けられている部位から外部接続端子部33,34が設けられているまでの間で複数回折り曲げられた、帯形状を有している。モータ接続端子部31,32は、カバー部60bの底面側に取り付けられている。各端子部材21,22は、モータ接続端子部31,32から、端子保持部60cに沿うように折り曲げられて、上方に延びたのちに前方に延び、外部接続端子部33,34まで繋がる。
【0055】
なお、端子部材21,22は、それぞれ、複数の金属部材を互いに電気的に接続されるようにして連結して構成されていてもよい。例えば、モータ接続端子部31と外部接続端子部33とが異なる部材により構成されており、両者間が金属板や導線等で電気的に接続されていてもよい。本実施の形態においては、2極の端子のそれぞれが1枚の金属板により一体に形成されているので、部品点数を少なくすることができ製造コストを低減させることができる。また、モータ接続端子部31,32から外部接続端子部33,34までの間で接触不良等が発生することがなく、回転装置1の信頼性を高くすることができる。
【0056】
第1のハウジング60の内側(第2のハウジング40に対向する底面側、前側の部位)には、溝部63,64と、端子ガイド部65,66とが設けられている。溝部63,64は、それぞれ、カバー部60bの底面側から上方に凹となる形状を有しており、スライド方向に沿って形成された部分を有している。溝部63は、第1の端子部材21に対応するようにして形成され、スライド方向に沿って形成された溝部63には、第1のモータ接続端子部31が嵌め込まれる。溝部64は、第2の端子部材22に対応するようにして形成されており、スライド方向に沿って形成された溝部64の部分には、第2のモータ接続端子部32が嵌め込まれる。すなわち、モータ接続端子部31,32は、溝部63,64の内側に位置している。そして、モータ端子13,13は、溝部63,64の内側でモータ接続端子部31,32に接触する。
【0057】
溝部63,64は、互いに一対のモータ端子13同士の間隔と略同じ間隔を開けて設けられている。溝部63,64のそれぞれは、スライド方向に開放されている。溝部63,64のそれぞれのスライド方向の端部近傍には、若干左右方向の幅が広い導入部63b,64bが形成されている。後述のように第1のハウジング60が第2のハウジング40に対してスライドされて第2のハウジングに取り付けられるとき、モータ端子13が導入部63b,64bを通って溝部63,64に案内されやすくなるため、回転装置1を容易に製造することができる。
【0058】
ガイド部(以下、端子ガイド部と呼称する)65,66は、端子保持部60cの内側に、端子部材21,22のそれぞれに対応するように設けられている。第1の端子部材21に対応する端子ガイド部65は、第1の端子部材21の幅より若干広い幅で、他の部位から後方又は上方に窪む、比較的幅が広い溝形状を有している。第2の端子部材22に対応する端子ガイド部65は、第2の端子部材22の幅より若干広い幅で、他の部位から左又は上方に窪む、比較的幅が広い溝形状を有している。端子部材21,22は、端子ガイド部65,66に沿って第1のハウジング60の内側に配置される。図10に示されるように、端子部材21,22が左右に隣り合って前方に延びる部位においても、端子ガイド部65と端子ガイド部66との間の部位が第1の端子部材21と第2の端子部材22とを区画する壁部となるため、第1の端子部材21と第2の端子部材22とが接触することがなく、短絡の発生を防止することができる。
【0059】
なお、本実施の形態において、第1の端子部材21と第2の端子部材22とは、カバー部60bから上方に延びる端子保持部60cの内側の部分において、互いに壁部60dを介して離れるようにして配置されている。したがって、端子部材21,22が撓むような振動等がある環境下においても、短絡が発生することが確実に防止されている。
【0060】
端子ガイド部65,66のそれぞれには、突起(以下、溶着用突起と呼称する)67が形成されている。本実施の形態において、溶着用突起67は、前方に延びる端子保持部60cの部位の底面から下方に突出するように形成されている。溶着用突起67は、端子部材21,22に形成されている孔部を貫通する。端子部材21,22を、溶着用突起67が孔部を貫通し、モータ接続端子部31,32が溝部63,64に嵌り込むようにして端子ガイド部65,66に配置した状態で、溶着用突起67の先端部を加熱することにより、溶着用突起67を変形させて端子部材21,22を第1のハウジング60に固定することができる。
【0061】
図8に戻って、本実施の形態において、第2のハウジング40のコネクタハウジング部46には、コネクタハウジング部46の前方から引出部40cに貫通する穴部(以下、端子穴部と呼称する)45が設けられている。端子穴部45は、スライド方向に外部接続端子部33,34を挿入することができる、2つの貫通孔である。
【0062】
図2に示されるように、第1のハウジング60が第2のハウジング40に取り付けられた状態で、コネクタハウジング部46には、端子穴部45を引出部40c側からスライド方向に貫通した外部接続端子部33,34が配置される。これにより、コネクタハウジング部46と、外部接続端子部33,34とで構成されるコネクタ部71が構成される。
【0063】
図3に示されるように、コネクタ部71には、外部コネクタ86が接続可能である。外部コネクタ86は、雌型端子であるコネクタ側端子85と、コネクタ側端子85を保持するハウジングとを有している。外部コネクタハウジング部46は、外部コネクタ86のハウジングに接続される。外部コネクタ86がコネクタ部71に接続されたとき、外部コネクタ86のコネクタ側端子85がコネクタ部71の外部接続端子部33,34に接続される。これにより、端子部材21,22を経由して、外部コネクタ86側からモータ10に通電することができるようになる。
【0064】
図11は、第2のハウジング40と第1のハウジング60との取付構造について説明する斜視図である。図12は、モータ端子13とモータ接続端子部31,32との接続について説明する底面図である。
【0065】
本実施の形態においては、上述のように第2のハウジング40側にモータ10を取り付け、第1のハウジング60側に端子部材21,22を取り付けた状態で、第2のハウジング40に第1のハウジング60を取り付けることで、回転装置1が組み立てられる。第1のハウジング60は、第2のハウジング40に対してスライド方向にスライドして、第2のハウジング40に取り付けられた状態になることが可能である。第1のハウジング60は第2のハウジング40に嵌合し、第2のハウジング40に取り付けられる。
【0066】
第2のハウジング40のうち、胴部40bの左上部には、胴部40bの外周面から突出する突起41が形成されている。また、胴部40bの右上部には、胴部40bの外周面から突出する突起42が形成されている(例えば図7に示されている)。これらの突起41,42に対応するように、第1のハウジング60において、カバー部60bの外周面には、嵌合片61,62が形成されている。嵌合片61,62は、それぞれ、後側でカバー部60bに支持され左右方向に可撓性を有する舌片状であって、突起41,42が係合可能な穴を有している。突起41,42と嵌合片61,62とは、スナップフィット方式で互いに係合する(嵌合する)。すなわち、第2のハウジング40に対して第1のハウジング60をスライド方向にスライドさせることで、突起41と嵌合片61とが係合し、突起42と嵌合片62とが係合する。これにより、第1のハウジング60は、第2のハウジング40に嵌合する。
【0067】
このようにして第1のハウジング60が第2のハウジング40に対してスライドされるとき、図12に示されるように、1対のモータ端子13が、導入部63b,64bのそれぞれから、溝部63,64の内側に入る。モータ端子13は、溝部63,64の内側をスライド方向にスライドし、溝部63,64の内側で、モータ接続端子部31,32に接触する。モータ端子13がモータ接続端子部31,32に接触した状態で、第1のハウジング60は、第2のハウジング40に対して嵌合し、第2のハウジング40に対して固定される。モータ端子13とモータ接続端子部31,32とは、溝部63,64の内側で若干弾性変形した状態となっており、互いに電気的に接続されている状態が確実に保たれる。
【0068】
また、図11に示されるように、第1のハウジング60が第2のハウジング40に対してスライドして第2のハウジング40に取り付けられた状態になるのに伴って、外部接続端子部33,34は、端子穴部45を通る。そして、外部接続端子部33,34がコネクタ部71に接続される外部コネクタ86のコネクタ側端子85に接続可能になった状態で、第1のハウジング60は、第2のハウジング40に対して嵌合し、第2のハウジング40に対して固定される。
【0069】
このように、本実施の形態では、第1のハウジング60を第2のハウジング40に対してスライドさせて、モータ10を収納する回転装置1の組立作業を容易に行うことが可能になる。回転装置1は、モータ10のモータ端子13に接続されたコネクタ部71を有している。したがって、モータ10をハウジングに納める工程とは別にモータ端子13にコネクタ等を接続する工程を設ける必要はなく、コネクタ部71付きの回転装置1をより容易に製造することができる。
【0070】
外部接続端子部33,34は第1のハウジング60に保持されており、コネクタハウジング部46は被取付部材90に取り付けられる第2のハウジング40に設けられている。そのため、コネクタ部71への外部コネクタ86の着脱によりコネクタハウジング部46に力が加わっても、第1のハウジング60と第2のハウジング40との嵌合に大きな影響は及ばない。したがって、回転装置1の信頼性を高めることができる。コネクタハウジング部46はリブ47によって胴部40b等に支持されており、高い剛性を有しているので、回転装置1の信頼性を高めることができ、また、外部コネクタ86の着脱を容易に行うことができる。
【0071】
本実施の形態において、モータ10の回転軸方向は、スライド方向とは異なる方向である。したがって、モータ端子13が小型であっても、モータ端子13とモータ接続端子部31,32との接触を確実に確保することができる。例えば、モータ端子13の回転軸方向の長さが比較的短い場合であっても、モータ接続端子部31,32に接触する位置にモータ端子13が位置し、かつ、第2のハウジング40に第1のハウジング60が嵌合するように各部材の位置関係を設定することができる。
【0072】
取付面51において、穴43bが形成されていることにより、保持部16を囲む周方向の複数箇所において、保持部16の外周面が回転軸方向にわたって第2のハウジング40の外部に露出している。そのため、保持部16に利用して、回転装置1の位置決めを容易に行うことができる。
【0073】
[その他]
【0074】
上述の実施の形態の構成そのものに限られず、上述の実施の形態の構成要素を、適宜組み代えて実施の形態を構成してもよい。また、上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や特徴等が省略されていてもよい。
【0075】
第1のハウジングや第2のハウジング、端子部材、モータ等の形状は、上述のものに限られず、適宜設定可能である。
【0076】
モータ端子は、フレームから突出しているものでなくてもよい。例えば、端子部材側に、モータ端子にまで延びてモータ端子に接触する端子部が設けられていてもよい。また、雌型の端子を有するモータに対してスライド方向に差し込まれる端子部が端子部材側に設けられていてもよい。
【0077】
突起と嵌合片との係合(嵌合)を外して、第1のハウジングを所定のスライド方向にスライドして第2のハウジング40から分離させることができる。
【0078】
上記実施の形態では、第1のハウジング60と第2のハウジング40とを嵌合させて、所定のスライド方向にスライドしないように第1のハウジングを第2のハウジングに取り付けているが、これに限定されず、接着剤等の接合部材やネジ等の締結部材を用いて第1のハウジングを第2のハウジングに取り付けてもよい。また、第1のハウジング60と第2のハウジング40とを嵌合させ、さらに接合部材又は締結部材を用いて、第1のハウジングを第2のハウジングに取りつけても構わない。なお、接合部材又は締結部材で第1のハウジングが第2のハウジングに取り付けられている場合には、接合部材を除去又は締結部材を外すなどして、第1のハウジングが第2のハウジングに対して所定のスライド方向にスライド可能な状態にしてから、第1のハウジングを所定のスライド方向にスライドして第2のハウジング40から取り外すなど、第1のハウジングを所定のスライド方向にスライドして第2のハウジング40から分離しても構わない。
【0079】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
1 回転装置
10 モータ
11 回転軸
13 モータ端子
15 フレーム
21 第1の端子部材
22 第2の端子部材
31 第1のモータ接続端子部
32 第2のモータ接続端子部
33 第1の外部接続端子部
34 第2の外部接続端子部
40 第2のハウジング
41,42 突起
43 収容部
44 開口部
45 端子穴部
46 コネクタハウジング部
51 取付面
55 嵌合部
60 第1のハウジング
61,62 嵌合片
63,64 溝部
71 コネクタ部
85 コネクタ側端子
86 外部コネクタ
90 被取付部材
91 被取付部材の取付面
95 突起部(被嵌合部の一例)
96 嵌合穴(被嵌合部の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12