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特許7134656医療用表示制御装置、および表示制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】医療用表示制御装置、および表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20220905BHJP
   H04N 13/344 20180101ALI20220905BHJP
   H04N 13/128 20180101ALI20220905BHJP
   H04N 13/239 20180101ALI20220905BHJP
   H04N 13/361 20180101ALI20220905BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220905BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220905BHJP
   G09G 5/08 20060101ALI20220905BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20220905BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
A61B34/20
H04N13/344
H04N13/128
H04N13/239
H04N13/361
G09F9/00 362
G09G5/00 510D
G09G5/00 530M
G09G5/08 F
G09G5/08 M
G09G5/36 510V
G09G5/00 510H
G09G5/02 E
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018047627
(22)【出願日】2018-03-15
(65)【公開番号】P2019154886
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 高明
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-066021(JP,A)
【文献】特開2012-235983(JP,A)
【文献】特開2012-173865(JP,A)
【文献】特開2013-101599(JP,A)
【文献】特開2016-32227(JP,A)
【文献】特開平10-201755(JP,A)
【文献】特開2010-55627(JP,A)
【文献】特開2012-90102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0076736(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
H04N 13/344
H04N 13/128
H04N 13/239
H04N 13/361
G09F 9/00
G09G 5/00
G09G 5/08
G09G 5/36
G09G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象を撮像する撮像デバイスにより撮像された右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の表示画面への表示と、ポインタオブジェクトの前記表示画面への表示とを制御する表示制御部を備え、
前記表示制御部は、
前記ポインタオブジェクトを移動させる移動操作に基づいて、前記移動操作に対応する前記表示画面の位置に前記ポインタオブジェクトを表示させ、
前記ポインタオブジェクトの形状および大きさの少なくとも一方を設定する領域設定操作に基づいて、前記ポインタオブジェクトの形状および大きさの少なくとも一方を前記領域設定操作に対応するように変更し、
前記移動操作に基づいて移動させた前記ポインタオブジェクトの前記表示画面の位置での前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように前記ポインタオブジェクトを表示させる、医療用表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記ポインタオブジェクトの奥行き位置、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置との差が、設定されている閾値以下となるように、前記ポインタオブジェクトの奥行き位置を調整する、請求項に記載の医療用表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記ポインタオブジェクトにより指し示す領域を決定する領域決定操作が行われる前は、前記ポインタオブジェクトを、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置よりも手前側の奥行き位置となるように、表示させ、
前記領域決定操作が行われた場合に、前記ポインタオブジェクトを、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させる、請求項1または2に記載の医療用表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記ポインタオブジェクトの表示色を、前記表示画面に表示される医療用撮像画像に対応する色とし、
前記ポインタオブジェクトの表示色は、前記ポインタオブジェクトが表示される前記表示画面の位置における医療用撮像画像の色に応じて変更される、請求項1~のいずれか1つに記載の医療用表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記ポインタオブジェクトの表示色を、前記ポインタオブジェクトが表示される前記表示画面の位置における医療用撮像画像の色の補色とする、請求項に記載の医療用表示制御装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記ポインタオブジェクトの表示色を、前記ポインタオブジェクトが指し示す領域に含まれる医療用撮像画像の色のうちの特定の色の補色とする、請求項に記載の医療用表示制御装置。
【請求項7】
前記特定の色は、前記ポインタオブジェクトが指し示す領域に含まれる医療用撮像画像の色のうちの、最も多い色成分の色である、請求項に記載の医療用表示制御装置。
【請求項8】
複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームと、
前記アームにより支持されている前記撮像デバイスと、
をさらに備える、請求項1~のいずれか1つに記載の医療用表示制御装置。
【請求項9】
患者の体内に挿入され、前記体内を前記観察対象として撮像する前記撮像デバイスをさらに備える、請求項1~のいずれか1つに記載の医療用表示制御装置。
【請求項10】
観察対象を撮像する撮像デバイスにより撮像された右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の表示画面への表示と、ポインタオブジェクトの前記表示画面への表示とを制御するステップを有し、
前記制御するステップでは、
前記ポインタオブジェクトを移動させる移動操作に基づいて、前記移動操作に対応する前記表示画面の位置に前記ポインタオブジェクトを表示させ、
前記ポインタオブジェクトの形状および大きさの少なくとも一方を設定する領域設定操作に基づいて、前記ポインタオブジェクトの形状および大きさの少なくとも一方を前記領域設定操作に対応するように変更し、
前記移動操作に基づいて移動させた前記ポインタオブジェクトの前記表示画面の位置での前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように前記ポインタオブジェクトを表示させる、医療用表示制御装置により実行される表示制御方法。
【請求項11】
前記制御するステップでは、前記ポインタオブジェクトの奥行き位置と、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置との差が、設定されている閾値以下となるように、前記ポインタオブジェクトの奥行き位置を調整する、請求項10に記載の表示制御方法。
【請求項12】
前記制御するステップでは、
前記ポインタオブジェクトにより指し示す領域を決定する領域決定操作が行われる前は、前記ポインタオブジェクトを、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置よりも手前側の奥行き位置となるように、表示させ、
前記領域決定操作が行われた場合に、前記ポインタオブジェクトを、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させる、請求項10または11に記載の表示制御方法。
【請求項13】
前記制御するステップでは、前記ポインタオブジェクトの表示色を、前記表示画面に表示される医療用撮像画像に対応する色とし、
前記ポインタオブジェクトの表示色は、前記ポインタオブジェクトが表示される前記表示画面の位置における医療用撮像画像の色に応じて変更される、請求項10~12のいずれか1つに記載の表示制御方法。
【請求項14】
前記制御するステップでは、前記ポインタオブジェクトの表示色を、前記ポインタオブジェクトが表示される前記表示画面の位置における医療用撮像画像の色の補色とする、請求項13に記載の表示制御方法。
【請求項15】
前記制御するステップでは、前記ポインタオブジェクトの表示色を、前記ポインタオブジェクトが指し示す領域に含まれる医療用撮像画像の色のうちの特定の色の補色とする、請求項13に記載の表示制御方法。
【請求項16】
前記特定の色は、前記ポインタオブジェクトが指し示す領域に含まれる医療用撮像画像の色のうちの、最も多い色成分の色である、請求項15に記載の表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用表示制御装置、および表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療現場においては、例えば、脳神経外科手術などの微細手術(マイクロサージャリ)をサポートするためや、内視鏡手術を行うために、患部などの観察対象を拡大観察することが可能な医療用観察装置が用いられる場合がある。医療用観察装置としては、例えば、光学式の顕微鏡を備える医療用観察装置と、電子撮像式の顕微鏡として機能する撮像デバイスを備える医療用観察装置とが挙げられる。以下では、上記光学式の顕微鏡を備える医療用観察装置を「光学式の医療用観察装置」と示す。また、以下では、上記撮像デバイスを備える医療用観察装置を、「電子撮像式の医療用観察装置」または単に「医療用観察装置」と示す場合がある。また、以下では、医療用観察装置が備える撮像デバイスにより観察対象が撮像された撮像画像(動画像、または、静止画像。以下、同様とする。)を「医療用撮像画像」と示す。
【0003】
電子撮像式の医療用観察装置は、撮像デバイスの高画質化や撮像された画像が表示される表示装置の高画質化などに伴い、光学式の医療用観察装置と同等以上の画質が得られるようになっている。また、電子撮像式の医療用観察装置を用いる利用者(例えば、術者や術者の助手などの医療従事者。以下、同様とする。)は、光学式の医療用観察装置を用いる場合のように光学式の顕微鏡を構成する接眼レンズを覗き込む必要はないので、撮像デバイスの位置をより自由に移動させることが可能である。そのため、電子撮像式の医療用観察装置が用いられることによって微細手術などをより柔軟にサポートすることができるという利点があり、医療現場での電子撮像式の医療用観察装置の利用が進んでいる。
【0004】
このような中、医療器具の医療行為対象部に対する位置が所定範囲内あるいは所定経路上にあるか否かを確認可能とする技術が開発されている。上記技術としては、例えば下記の特許文献1に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-223128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
医療現場において電子撮像式の医療用観察装置が用いられる場合には、表示装置の表示画面に表示される医療用撮像画像は、術者、助手、看護師、指導医などの複数の者により同時に見られる。また、上記の場合において、一の者が、他の者に対して、表示画面に表示されている医療用撮像画像のうちの特定の注目箇所を伝えようとする場合、口頭による指示が用いられている。しかしながら、口頭による指示のような言葉によるコミュニケーションでは、上記注目箇所を的確に伝えることが困難な場合があった。
【0007】
本開示では、医療用撮像画像が表示される表示画面を見る者の利便性の向上を図ることが可能な、新規かつ改良された医療用表示制御装置、および表示制御方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、観察対象を撮像する撮像デバイスにより撮像された右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の表示画面への表示と、ポインタオブジェクトの上記表示画面への表示とを制御する表示制御部を備え、上記表示制御部は、上記ポインタオブジェクトを、上記右目用の医療用撮像画像および上記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させる、医療用表示制御装置が、提供される。
【0009】
また、本開示によれば、観察対象を撮像する撮像デバイスにより撮像された右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の表示画面への表示と、ポインタオブジェクトの上記表示画面への表示とを制御するステップを有し、上記制御するステップでは、上記ポインタオブジェクトが、上記右目用の医療用撮像画像および上記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示される、医療用表示制御装置により実行される表示制御方法が、提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、医療用撮像画像が表示される表示画面を見る者の利便性の向上を図ることができる。
【0011】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握されうる他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る医療用観察システムの構成の第1の例を示す説明図である。
図2】本実施形態に係る医療用観察システムが使用されるユースケースの一例を示す説明図である。
図3】本実施形態に係る医療用観察装置が備える撮像デバイスの構成の一例を説明するための説明図である。
図4】本実施形態に係る医療用観察システムの構成の第2の例を示す説明図である。
図5】本実施形態に係る医療用観察装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図6】本実施形態に係る表示制御方法に係る処理の第1の例を説明するための説明図である。
図7】本実施形態に係る表示制御方法に係る処理の第1の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本実施形態に係る医療用観察システム、および本実施形態に係る表示制御方法
[1]医療用観察システムの構成
[1-1]第1の例に係る医療用観察システム
[1-2]第2の例に係る医療用観察システム
[1-3]医療用観察装置の機能構成
[2]本実施形態に係る表示制御方法
[2-1]本実施形態に係る表示制御方法に係る処理
[2-2]本実施形態に係る表示制御方法に係る処理の例
[3]本実施形態に係る表示制御方法が用いられることにより奏される効果の一例
2.本実施形態に係るプログラム
【0015】
(本実施形態に係る医療用観察システム、および本実施形態に係る表示制御方法)
以下、本実施形態に係る医療用観察システムの一例を説明しつつ、本実施形態に係る表示制御方法について説明する。
【0016】
以下では、本実施形態に係る医療用観察装置が本実施形態に係る表示制御方法に係る処理を行う場合、すなわち、本実施形態に係る医療用観察装置が医療用表示制御装置として機能する場合について、主に説明する。なお、本実施形態に係る医療用観察システムにおいて、医療用表示制御装置として機能する装置は、本実施形態に係る医療用観察装置に限られない。例えば、本実施形態に係る医療用観察システムでは、後述する表示装置が、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理を行う医療用表示制御装置として機能してもよい。また、本実施形態に係る医療用観察システムでは、メディカルコントローラなどの本実施形態に係る表示制御方法に係る処理を行うことが可能な任意の装置が、医療用表示制御装置として機能しうる。
【0017】
[1]医療用観察システムの構成
[1-1]第1の例に係る医療用観察システム
図1は、本実施形態に係る医療用観察システム1000の構成の第1の例を示す説明図である。図1に示す医療用観察システム1000は、例えば、医療用観察装置100と、表示装置200とを有する。
【0018】
なお、第1の例に係る医療用観察システムは、図1に示す例に限られない。
【0019】
例えば、第1の例に係る医療用観察システムは、医療用観察装置100における各種動作を制御する医療用制御装置(図示せず)を、さらに有していてもよい。図1に示す医療用観察システム1000では、後述するように、医療用観察装置100が制御部(後述する)を備えることにより、医療用観察装置100が医療用制御装置(図示せず)の機能を有している例を示している。
【0020】
医療用制御装置(図示せず)としては、例えば、“メディカルコントローラ”や、“サーバなどのコンピュータ”などが、挙げられる。また、医療用制御装置(図示せず)は、例えば、上記のような機器に組み込むことが可能な、IC(Integrated Circuit)であってもよい。
【0021】
また、第1の例に係る医療用観察システムは、医療用観察装置100と表示装置200との一方または双方を複数有する構成であってもよい。医療用観察装置100を複数有する場合、医療用観察装置100それぞれにおいて、後述する表示制御方法に係る処理が行われる。また、第1の例に係る医療用観察システムが医療用観察装置100と表示装置200とを複数有する構成である場合、医療用観察装置100と表示装置200とが一対一に対応付けられていてもよいし、複数の医療用観察装置100が1つの表示装置200に対応付けられていてもよい。複数の医療用観察装置100が1つの表示装置200に対応付けられている場合、表示装置200では、例えば切り替え操作などが行われることによって、どの医療用観察装置100において撮像された医療用撮像画像を表示画面に表示させるのかが、切り替えられる。
【0022】
図2は、本実施形態に係る医療用観察システム1000が使用されるユースケースの一例を示す説明図であり、第1の例に係る医療用観察システム1000が使用されるユースケースの一例を示している。
【0023】
医療用観察装置100が備える撮像デバイス(後述する)によって、観察対象の患者PA(医療行為を受ける対象の患者)が撮像される。上記医療行為を受ける対象の患者が撮像された撮像画像が、医療用撮像画像の一例に該当する。
【0024】
医療用観察装置100において撮像された医療用撮像画像は、表示装置200の表示画面に表示される。そして、医療用観察装置100を用いて医療行為を行う術者OP(医療用観察装置100の使用者の一例)は、表示装置200の表示画面に表示されている医療用撮像画像を見ながら、患者PAに対して医療行為を行う。
【0025】
また、術者OPは、フットスイッチFSなどの医療用観察装置100の外部の操作デバイス、または、医療用観察装置100が備える操作デバイス(後述する)を操作することによって、医療用観察装置100が備えるアーム(後述する)や撮像デバイス(後述する)などを動作させ、医療用観察装置100を所望の状態にさせる。
【0026】
以下、図1に示す第1の例に係る医療用観察システム1000を構成する各装置について、説明する。
【0027】
[1-1-1]表示装置200
表示装置200は、第1の例に係る医療用観察システム1000における表示手段であり、医療用観察装置100からみて外部の表示デバイスに該当する。表示装置200は、例えば、医療用観察装置100において撮像された医療用撮像画像や、UI(User Interface)に係る画像などの、様々な画像を表示画面に表示する。また、表示装置200は、任意の方式により3D表示が可能な構成を有していてもよい。表示装置200における表示は、例えば、医療用観察装置100、または、医療用制御装置(図示せず)によって制御される。
【0028】
医療用観察システム1000において表示装置200は、手術室の壁面や天井、床面などの、手術室内において術者などの手術に関わる者により視認されうる任意の場所に設置される。
【0029】
表示装置200としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどが挙げられる。
【0030】
なお、表示装置200は、上記に示す例に限られない。例えば、表示装置200は、ヘッドマウントディスプレイやアイウェア型の装置などのような、術者などが身体に装着して用いる任意のウェアラブル装置であってもよい。
【0031】
表示装置200は、例えば、表示装置200が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
【0032】
[1-1-2]医療用観察装置100
図1に示す医療用観察装置100は、電子撮像式の医療用観察装置である。例えば手術時に図1に示す医療用観察装置100が用いられる場合、術者(医療用観察装置100の使用者の一例)は、医療用観察装置100により撮像されて、表示装置200の表示画面に表示された医療用撮像画像を参照しながら術部(患部)を観察し、当該術部に対して、術式に応じた手技などの各種処置を行う。
【0033】
図1に示すように、医療用観察装置100は、例えば、ベース102と、アーム104と、撮像デバイス106とを備える。
【0034】
また、図1では示していないが、医療用観察装置100は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などの演算回路で構成される、1または2以上のプロセッサ(図示せず)と、ROM(Read Only Memory。図示せず)と、RAM(Random Access Memory。図示せず)と、記録媒体(図示せず)と、通信デバイス(図示せず)とを、備えていてもよい。医療用観察装置100は、例えば、医療用観察装置100が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
【0035】
プロセッサ(図示せず)は、医療用観察装置100における制御部(後述する)として機能する。ROM(図示せず)は、プロセッサ(図示せず)が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。RAM(図示せず)は、プロセッサ(図示せず)により実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。
【0036】
記録媒体(図示せず)は、医療用観察装置100における記憶部(図示せず)として機能する。記録媒体(図示せず)には、例えば、本実施形態に係る表示制御方法に係るデータや、各種アプリケーションなどの、様々なデータが記憶される。ここで、記録媒体(図示せず)としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどが挙げられる。また、記録媒体(図示せず)は、医療用観察装置100から着脱可能であってもよい。
【0037】
通信デバイス(図示せず)は、医療用観察装置100が備える通信手段であり、表示装置200などの外部装置と、無線または有線で通信を行う役目を果たす。ここで、通信デバイス(図示せず)としては、例えば、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路(無線通信)や、IEEE802.11ポートおよび送受信回路(無線通信)、通信アンテナおよびRF回路(無線通信)、あるいはLAN端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。
【0038】
[1-1-2-1]ベース102
ベース102は、医療用観察装置100の基台であり、アーム104の一端が接続されて、アーム104と撮像デバイス106とを支持する。
【0039】
また、ベース102には例えばキャスタが設けられ、医療用観察装置100は、キャスタを介して床面と接地する。キャスタが設けられることにより、医療用観察装置100は、キャスタによって床面上を容易に移動することが可能である。
【0040】
[1-1-2-2]アーム104
アーム104は、複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成される。
【0041】
また、アーム104は、撮像デバイス106を支持する。アーム104により支持された撮像デバイス106は3次元的に移動可能であり、移動後の撮像デバイス106は、アーム104によって、位置および姿勢が保持される。
【0042】
より具体的には、アーム104は、例えば、複数の関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fと、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fによって互いに回動可能に連結される複数のリンク112a、112b、112c、112d、112e、112fとから構成される。関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれの回転可能範囲は、アーム104の所望の動きが実現されるように、設計段階や製造段階などにおいて任意に設定される。
【0043】
つまり、図1に示す医療用観察装置100では、アーム104を構成する6つの関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fに対応する6つの回転軸(第1軸O1、第2軸O2、第3軸O3、第4軸O4、第5軸O5、および第6軸O6)によって、撮像デバイス106の移動に関して6自由度が実現されている。より具体的には、図1に示す医療用観察装置100では、並進3自由度、および回転3自由度の6自由度の動きが実現される。
【0044】
関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれには、アクチュエータ(図示せず)が設けられ、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれは、アクチュエータ(図示せず)の駆動によって、対応する回転軸で回転する。アクチュエータ(図示せず)の駆動は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の医療用制御装置(図示せず)によって制御される。
【0045】
関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれには、6つの回転軸における回転角度をそれぞれ検出することが可能な角度センサ(図示せず)が、設けられうる。角度センサとしては、例えば、ロータリエンコーダや角速度センサなどの、6つの回転軸それぞれにおける回転角度を得ることが可能な任意のセンサが、挙げられる。
【0046】
関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれが、アクチュエータ(図示せず)の駆動により対応する回転軸で回転することによって、例えばアーム104を伸ばす、縮める(折り畳む)などの、様々なアーム104の動作が、実現される。
【0047】
関節部110aは、略円柱形状を有し、関節部110aの先端部分(図1における下端部分)で、撮像デバイス106(図1における撮像デバイス106の上端部分)を、撮像デバイス106の中心軸と平行な回転軸(第1軸O1)まわりに回動可能なように支持する。ここで、医療用観察装置100は、第1軸O1が撮像デバイス106における光軸と一致するように構成される。つまり、図1に示す第1軸O1まわりに撮像デバイス106を回動させることによって、撮像デバイス106により撮像された医療用撮像画像は、視野が回転するように変更される画像となる。
【0048】
リンク112aは、略棒状の部材であり、関節部110aを固定的に支持する。リンク112aは、例えば、第1軸O1と直交する方向に延伸され、関節部110bに接続される。
【0049】
関節部110bは、略円柱形状を有し、リンク112aを、第1軸O1と直交する回転軸(第2軸O2)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110bには、リンク112bが固定的に接続される。
【0050】
リンク112bは、略棒状の部材であり、第2軸O2と直交する方向に延伸される。また、リンク112bには、関節部110bと関節部110cとがそれぞれ接続される。
【0051】
関節部110cは、略円柱形状を有し、リンク112bを、第1軸O1および第2軸O2それぞれと互いに直交する回転軸(第3軸O3)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110cには、リンク112cの一端が固定的に接続される。
【0052】
ここで、第2軸O2および第3軸O3まわりにアーム104の先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、水平面内での撮像デバイス106の位置が変更されるように、撮像デバイス106を移動させることができる。つまり、医療用観察装置100では、第2軸O2および第3軸O3まわりの回転が制御されることにより、医療用撮像画像の視野を平面内で移動させることが可能になる。
【0053】
リンク112cは、一端が略円柱形状を有し、他端が略棒状を有する部材である。リンク112cの一端側には、関節部110cの中心軸と略円柱形状の中心軸とが同一となるように、関節部110cが固定的に接続される。また、リンク112cの他端側には、関節部110dが接続される。
【0054】
関節部110dは、略円柱形状を有し、リンク112cを、第3軸O3と直交する回転軸(第4軸O4)まわりに回動可能なように支持する。関節部110dには、リンク112dが固定的に接続される。
【0055】
リンク112dは、略棒状の部材であり、第4軸O4と直交するように延伸される。リンク112dの一端は、関節部110dの略円柱形状の側面に当接するように、関節部110dに固定的に接続される。また、リンク112dの他端(関節部110dが接続される側とは反対側の端)には、関節部110eが接続される。
【0056】
関節部110eは、略円柱形状を有し、リンク112dの一端を、第4軸O4と平行な回転軸(第5軸O5)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110eには、リンク112eの一端が固定的に接続される。
【0057】
ここで、第4軸O4および第5軸O5は、撮像デバイス106を垂直方向に移動させうる回転軸である。第4軸O4および第5軸O5まわりにアーム104の先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、撮像デバイス106の垂直方向の位置が変わる。よって、第4軸O4および第5軸O5まわりにアーム104の先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、撮像デバイス106と、患者の術部などの観察対象との距離を変えることが、可能となる。
【0058】
リンク112eは、一辺が鉛直方向に延伸するとともに他辺が水平方向に延伸する略L字形状を有する第1の部材と、当該第1の部材の水平方向に延伸する部位から鉛直下向きに延伸する棒状の第2の部材とが、組み合わされて構成される部材である。リンク112eの第1の部材の鉛直方向に延伸する部位には、関節部110eが固定的に接続される。また、リンク112eの第2の部材には、関節部110fが接続される。
【0059】
関節部110fは、略円柱形状を有し、リンク112eを、鉛直方向と平行な回転軸(第6軸O6)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110fには、リンク112fが固定的に接続される。
【0060】
リンク112fは、略棒状の部材であり、鉛直方向に延伸される。リンク112fの一端は、関節部110fが接続される。また、リンク112fの他端(関節部110fが接続される側とは反対側の端)は、ベース102に固定的に接続される。
【0061】
アーム104が上記に示す構成を有することによって、医療用観察装置100では、撮像デバイス106の移動に関して6自由度が実現される。
【0062】
なお、アーム104の構成は、上記に示す例に限られない。
【0063】
例えば、アーム104の関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれには、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれにおける回転を規制するブレーキが設けられていてもよい。本実施形態に係るブレーキとしては、例えば、機械的に駆動するブレーキや、電気的に駆動する電磁ブレーキなど、任意の方式のブレーキが挙げられる。
【0064】
上記ブレーキの駆動は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の医療用制御装置(図示せず)によって制御される。上記ブレーキの駆動が制御されることにより、医療用観察装置100では、アーム104の動作モードが設定される。アーム104の動作モードとしては、例えば、固定モードとフリーモードとが挙げられる。
【0065】
ここで、本実施形態に係る固定モードとは、例えば、アーム104に設けられる各回転軸における回転がブレーキにより規制されることにより、撮像デバイス106の位置および姿勢が固定される動作モードである。アーム104が固定モードとなることによって、医療用観察装置100の動作状態は、撮像デバイス106の位置および姿勢が固定される固定状態となる。
【0066】
また、本実施形態に係るフリーモードとは、上記ブレーキが解除されることにより、アーム104に設けられる各回転軸が自由に回転可能となる動作モードである。例えば、フリーモードでは、術者による直接的な操作によって撮像デバイス106の位置および姿勢を調整することが可能となる。ここで、本実施形態に係る直接的な操作とは、例えば、術者が手で撮像デバイス106を把持し、当該撮像デバイス106を直接移動させる操作のことを意味する。
【0067】
[1-1-2-3]撮像デバイス106
撮像デバイス106は、アーム104により支持され、例えば患者の術部などの観察対象を撮像する。撮像デバイス106における撮像は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の医療用制御装置(図示せず)によって制御される。
【0068】
撮像デバイス106は、例えば電子撮像式の顕微鏡に対応する構成を有する。
【0069】
図3は、本実施形態に係る医療用観察装置100が備える撮像デバイス106の構成の一例を説明するための説明図である。
【0070】
撮像デバイス106は、例えば、撮像部材120と、略円筒形状を有する筒状部材122とを有し、撮像部材120は、筒状部材122内に設けられる。
【0071】
筒状部材122の下端(図3における下側の端)の開口面には、例えば、撮像部材120を保護するためのカバーガラス(図示せず)が設けられる。
【0072】
また、例えば筒状部材122の内部には光源(図示せず)が設けられ、撮像時には、当該光源からカバーガラス越しに被写体に対して照明光が照射される。照明光が照射された被写体からの反射光(観察光)が、カバーガラス(図示せず)を介して撮像部材120に入射することにより、撮像部材120によって被写体を示す画像信号(医療用撮像画像を示す画像信号)が得られる。
【0073】
撮像部材120としては、各種の公知の電子撮像式の顕微鏡部に用いられている構成を適用することが可能である。
【0074】
一例を挙げると、撮像部材120は、例えば、光学系120aと、光学系120aを通過した光により観察対象の像を撮像する撮像素子を含むイメージセンサ120bとで構成される。光学系120aは、例えば、対物レンズ、ズームレンズおよびフォーカスレンズなどの1または2以上のレンズとミラーなどの光学素子で構成される。イメージセンサ120bとしては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を複数用いたイメージセンサが、挙げられる。
【0075】
撮像部材120は、例えば、光学系120aおよびイメージセンサ120bで構成される撮像デバイスを、2つ以上有することなどにより、いわゆるステレオカメラとして機能する。ステレオカメラとして機能する撮像デバイス106の構成において、光学系は、ガリレオ式光学系であってもよいし、グリノー式光学系であってもよい。
【0076】
以下では、後述する第2の例に係る医療用観察システムを構成する医療用観察装置100を含む本実施形態に係る医療用観察装置100が、ステレオカメラとして機能する複数の撮像デバイスを備え、複数の撮像デバイスそれぞれの撮像によって、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像を含む複数の医療用撮像画像が得られる場合を例に挙げる。
【0077】
撮像部材120を構成する撮像デバイスには、ズーム機能(光学ズーム機能と電子ズーム機能との一方または双方)、AF(Auto Focus)機能などの、一般的に電子撮像式の顕微鏡部に備えられる1または2以上の機能が搭載される。
【0078】
また、撮像部材120は、例えば4K、8Kなどの、いわゆる高解像度での撮像が可能な構成であってもよい。撮像部材120が高解像度での撮像が可能に構成されることにより、所定の解像度(例えば、Full HD画質など)を確保しつつ、例えば50インチ以上などの大画面の表示画面を有する表示装置200に画像を表示させることが可能となるので、当該表示画面を見る術者の視認性が向上する。また、撮像部材120が高解像度での撮像が可能に構成されることにより、撮像画像が電子ズーム機能によって拡大されて表示装置200の表示画面に表示されたとしても、所定の解像度を確保することが可能となる。さらに、電子ズーム機能を用いて所定の解像度が確保される場合には、撮像デバイス106における光学ズーム機能の性能を抑えることが可能となるので、撮像デバイス106の光学系をより簡易にすることができ、撮像デバイス106をより小型に構成することができる。
【0079】
撮像デバイス106には、例えば、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスが設けられる。例えば図3では、ズームスイッチ124と、フォーカススイッチ126と、動作モード変更スイッチ128とが、撮像デバイス106に設けられている。なお、ズームスイッチ124、フォーカススイッチ126、および動作モード変更スイッチ128が設けられる位置と形状とが、図3に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0080】
ズームスイッチ124とフォーカススイッチ126とは、撮像デバイス106における撮像条件を調整するための操作デバイスの一例である。
【0081】
ズームスイッチ124は、例えば、ズーム倍率(拡大率)を大きくするズームインスイッチ124aと、ズーム倍率を小さくするズームアウトスイッチ124bとで構成される。ズームスイッチ124に対する操作が行われることによりズーム倍率が調整されて、ズームが調整される。
【0082】
フォーカススイッチ126は、例えば、観察対象(被写体)までの焦点距離を遠くする遠景フォーカススイッチ126aと、観察対象までの焦点距離を近くする近景フォーカススイッチ126bとで構成される。フォーカススイッチ126に対する操作が行われることにより焦点距離が調整されて、フォーカスが調整される。
【0083】
動作モード変更スイッチ128は、撮像デバイス106におけるアーム104の動作モードを変更するための操作デバイスの一例である。動作モード変更スイッチ128に対する操作が行われることにより、アーム104の動作モードが変更される。アーム104の動作モードとしては、例えば上述したように、固定モードとフリーモードとが挙げられる。
【0084】
動作モード変更スイッチ128に対する操作の一例としては、動作モード変更スイッチ128を押下する操作が、挙げられる。例えば、術者が動作モード変更スイッチ128を押下している間、アーム104の動作モードがフリーモードとなり、術者が動作モード変更スイッチ128を押下していないときには、アーム104の動作モードが固定モードとなる。
【0085】
また、撮像デバイス106には、各種操作デバイスに対する操作を行う操作者が操作を行う際の操作性や利便性などをより高めるために、例えば、滑り止め部材130と、突起部材132とが設けられる。
【0086】
滑り止め部材130は、例えば操作者が筒状部材122を手などの操作体で操作を行う際に、操作体の滑りを防止するために設けられる部材である。滑り止め部材130は、例えば、摩擦係数が大きい材料で形成され、凹凸などのより滑りにくい構造を有する。
【0087】
突起部材132は、操作者が筒状部材122を手などの操作体で操作を行う際に、当該操作体が光学系120aの視野を遮ってしまうことや、当該操作体で操作を行う際に、カバーガラス(図示せず)に当該操作体が触れることにより当該カバーガラスが汚れることなどを、防止するために設けられる部材である。
【0088】
なお、滑り止め部材130および突起部材132それぞれが設けられる位置と形状とが、図3に示す例に限られないことは、言うまでもない。また、撮像デバイス106には、滑り止め部材130と突起部材132との一方または双方が設けれられていなくてもよい。
【0089】
撮像デバイス106における撮像により生成された画像信号(画像データ)は、例えば後述する制御部として機能するプロセッサにおいて、画像処理が行われる。本実施形態に係る画像処理としては、例えば、ガンマ補正、ホワイトバランスの調整、電子ズーム機能に係る画像の拡大または縮小、または、画素間補正などの各種処理のうちの、1または2以上の処理が、挙げられる。
【0090】
なお、本実施形態に係る医療用観察システムが、医療用観察装置100における各種動作を制御する医療用制御装置(図示せず)を有する場合には、本実施形態に係る画像処理は、当該医療用制御装置(図示せず)において行われてもよい。
【0091】
医療用観察装置100は、例えば、表示制御信号と、上記のような画像処理が行われた画像信号とを、表示装置200に送信する。
【0092】
表示制御信号と画像信号とが表示装置200に送信されることによって、表示装置200の表示画面には、観察対象が撮像された医療用撮像画像(例えば、術部が撮像された撮像画像)が、光学ズーム機能と電子ズーム機能との一方または双方によって所望の倍率に拡大または縮小されて表示される。
【0093】
図1に示す医療用観察装置100は、例えば図1図3を参照して示したハードウェア構成を有する。
【0094】
なお、本実施形態に係る医療用観察装置のハードウェア構成は、図1図3を参照して示した構成に限られない。
【0095】
例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、ベース102を備えず、手術室などの天井や壁面などにアーム104が直接取り付けられる構成であってもよい。例えば、天井にアーム104が取り付けられる場合には、本実施形態に係る医療用観察装置は、アーム104が天井から吊り下げられる構成となる。
【0096】
また、図1では、アーム104が、撮像デバイス106の駆動に関して6自由度が実現されるように構成されている例を示しているが、アーム104の構成は、撮像デバイス106の駆動に関する自由度が6自由度となる構成に限られない。例えば、アーム104は、用途に応じて撮像デバイス106を適宜移動しうるように構成されればよく、関節部およびリンクの数や配置、関節部の駆動軸の方向などは、アーム104が所望の自由度を有するように適宜設定することが可能である。
【0097】
また、図1図3では、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスが、撮像デバイス106に設けられる例を示しているが、図1図3に示す操作デバイスのうちの一部または全部は、撮像デバイス106に設けられなくてもよい。一例を挙げると、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスは、本実施形態に係る医療用観察装置を構成する撮像デバイス106以外の他の部位に設けられていてもよい。また、他の例を挙げると、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスは、フットスイッチFSやリモートコントローラなどの、外部の操作デバイスであってもよい。
【0098】
また、撮像デバイス106は、複数の観察モードを切り替えることが可能な構成であってもよい。本実施形態に係る観察モードとしては、例えば、自然光で撮像を行う観察モード、特殊光で撮像を行う観察モード、NBI(Narrow Band Imaging)などの画像強調観察技術を利用して撮像を行う観察モードなどが、挙げられる。本実施形態に係る特殊光とは、例えば、近赤外線の波長帯域の光や、5-ALA(5-Aminolevulinic Acid)を用いた蛍光観察の蛍光波長帯域の光など、特定の波長帯域の光である。
【0099】
複数の観察モードを切り替えることが可能な撮像デバイス106の構成の一例としては、例えば、“特定の波長帯域の光を透過させ、他の波長帯域の光を透過させないフィルタと、当該フィルタを光路上に選択的に配置する移動機構と、を備える構成”が、挙げられる。本実施形態に係るフィルタが透過させる特定の波長帯域としては、例えば、近赤外線の波長帯域(例えば、約0.7[マイクロメートル]~2.5[マイクロメートル]の波長帯域)や、5-ALAを用いた蛍光観察による蛍光波長帯域(例えば、約0.6[マイクロメートル]~0.65[マイクロメートル]の波長帯域)、ICG(Indocyanine Green)の蛍光波長帯域(例えば、約0.82[マイクロメートル]~0.85[マイクロメートル]の波長帯域)などが、挙げられる。
【0100】
なお、撮像デバイス106には、透過させる波長帯域が異なる複数のフィルタが設けられていてもよい。また、上記では、フィルタが光路上に配置されることにより、特定の波長帯域の光で撮像が行われる例を示したが、特定の波長帯域の光で撮像を行うための撮像デバイス106の構成が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0101】
[1-2]第2の例に係る医療用観察システム
本実施形態に係る医療用観察システム1000は、図1に示す第1の例に示す構成に限られない。次に、医療用観察システム1000の他の例として、内視鏡装置として機能する医療用観察装置100を有する医療用観察システム1000の構成の一例を説明する。
【0102】
図4は、本実施形態に係る医療用観察システム1000の構成の第2の例を示す説明図である。図4に示す医療用観察システム1000は、例えば、医療用観察装置100と、表示装置200とを有する。例えば図4に示す医療用観察装置100が手術時に用いられる場合、術者は、医療用観察装置100により撮像されて、表示装置200の表示画面に表示された医療用撮像画像を参照しながら術部を観察し、当該術部に対して、術式に応じた手技などの各種処置を行う。
【0103】
なお、第2の例に係る医療用観察システムは、図4に示す例に限られない。
【0104】
例えば、第2の例に係る医療用観察システムは、第1の例に係る医療用観察システムと同様に、医療用観察装置100における各種動作を制御する医療用制御装置(図示せず)を、さらに有していてもよい。
【0105】
また、第2の例に係る医療用観察システムは、第1の例に係る医療用観察システムと同様に、医療用観察装置100と表示装置200との一方または双方を複数有する構成であってもよい。
【0106】
以下、図4に示す第2の例に係る医療用観察システム1000を構成する各装置について、説明する。
【0107】
[1-2-1]表示装置200
表示装置200は、第2の例に係る医療用観察システム1000における表示手段であり、医療用観察装置100からみて外部の表示デバイスに該当する。第2の例に係る医療用観察システム1000を構成する表示装置200は、第1の例に係る医療用観察システム1000を構成する表示装置200と同様である。
【0108】
[1-2-2]医療用観察装置100
図4に示す医療用観察装置100は、例えば、挿入部材134と、光源ユニット136と、ライトガイド138と、カメラヘッド140と、ケーブル142と、制御ユニット144とを備える。医療用観察装置100は、例えば、医療用観察装置100が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
【0109】
挿入部材134は、細長形状を有し、入射光を集光する光学系を内部に備える。挿入部材134の先端は、例えば、患者の体腔内に挿入される。挿入部材134の後端はカメラヘッド140の先端と着脱可能に接続される。また、挿入部材134は、ライトガイド138を介して光源ユニット136と接続され、光源ユニット136から光が供給される。
【0110】
挿入部材134は、例えば、可撓性を有さない素材で形成されてもよいし、可撓性を有する素材で形成されてもよい。挿入部材134を形成する素材によって、医療用観察装置100は、硬性鏡または軟性鏡と呼ばれうる。
【0111】
光源ユニット136は、ライトガイド138を介して挿入部材134と接続される。光源ユニット136は、ライトガイド138を介して挿入部材134に光を供給する。
【0112】
光源ユニット136は、例えば、波長が異なる光を発光する複数の光源を有する。光源ユニット136が有する複数の光源としては、例えば、赤色の光を発光する光源、緑色の光を発光する光源、および青色の光を発光する光源が挙げられる。赤色の光を発光する光源としては、例えば、1または2以上の赤色発光ダイオードが挙げられる。緑色の光を発光する光源としては、例えば、1または2以上の緑色発光ダイオードが挙げられる。青色の光を発光する光源としては、例えば、1または2以上の青色発光ダイオードが挙げられる。なお、光源ユニット136が有する複数の光源が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。光源ユニット136は、例えば、複数の光源を単一チップで有し、または、複数の光源を複数のチップで有する。
【0113】
光源ユニット136は、制御ユニット144と有線または無線で接続され、光源ユニット136における発光は、制御ユニット144により制御される。
【0114】
挿入部材134に供給された光は、挿入部材134の先端から出射され、患者の体腔内組織などの観察対象に照射される。そして、観察対象からの反射光は、挿入部材134内の光学系によって集光される。
【0115】
カメラヘッド140は、観察対象を撮像する機能を有する。カメラヘッド140は、信号伝送部材であるケーブル142を介して制御ユニット144と接続される。
【0116】
カメラヘッド140は、イメージセンサを有し、挿入部材134によって集光された観察対象からの反射光を光電変換することにより観察対象を撮像し、撮像によって得られた画像信号(医療用撮像画像を示す信号)を制御ユニット144へケーブル142を介して出力する。カメラヘッド140が有するイメージセンサとしては、例えば、CMOSやCCDなどの撮像素子を複数用いたイメージセンサが、挙げられる。
【0117】
内視鏡装置として機能する医療用観察装置100では、例えば、挿入部材134、光源ユニット136、およびカメラヘッド140が、“患者の体内に挿入されて、体内を撮像する撮像デバイス”の役目を果たす。
【0118】
なお、内視鏡装置として機能する医療用観察装置100は、例えば、いわゆるステレオカメラとして機能する複数の撮像デバイスを備える構成であってもよい。ステレオカメラとして機能する撮像デバイスの構成において、光学系は、第1の例に係る医療用観察システムを構成する医療用観察装置100と同様に、ガリレオ式光学系であってもよいし、グリノー式光学系であってもよい。
【0119】
制御ユニット144は、撮像デバイスを制御する。より具体的には、制御ユニット144は、光源ユニット136およびカメラヘッド140それぞれを制御する。
【0120】
また、制御ユニット144は、通信デバイス(図示せず)を含み、カメラヘッド140から出力された画像信号を任意の無線通信または任意の有線通信で、表示装置200へ送信する。制御ユニット144は、画像信号と表示制御信号とを表示装置200へ送信してもよい。
【0121】
制御ユニット144が含む通信デバイス(図示せず)としては、例えば、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路(無線通信)や、IEEE802.11ポートおよび送受信回路(無線通信)、通信アンテナおよびRF回路(無線通信)、光通信用デバイス(有線通信または無線通信)、あるいはLAN端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。通信デバイス(図示せず)は、複数の通信方式によって、1または2以上の外部装置と通信を行うことが可能な構成であってもよい。
【0122】
また、制御ユニット144は、カメラヘッド140から出力された画像信号に対して所定の処理を行い、所定の処理が行われた画像信号を表示装置200へ送信してもよい。画像信号に対する所定の処理としては、例えば、ホワイトバランスの調整や、電子ズーム機能に係る画像の拡大または縮小、画素間補正などが、挙げられる。
【0123】
なお、制御ユニット144は、画像信号に基づく医療用撮像画像を記憶してもよい。
【0124】
制御ユニット144としては、例えばCCU(Camera Control Unit)が挙げられる。
【0125】
内視鏡装置として機能する医療用観察装置100は、例えば図4を参照して示したハードウェア構成を有する。内視鏡装置として機能する医療用観察装置100では、例えば、挿入部材134、光源ユニット136、およびカメラヘッド140が、撮像デバイスの役目を果たし、制御ユニット144により撮像デバイスにおける撮像が制御される。
【0126】
[1-3]医療用観察装置100の機能構成
次に、図1図4に示す医療用観察装置100を、機能ブロックを用いて説明する。図5は、本実施形態に係る医療用観察装置100の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0127】
医療用観察装置100は、例えば、撮像部150と、通信部152と、制御部154とを備える。
【0128】
撮像部150は、観察対象を撮像する。撮像部150は、例えば、“撮像デバイス106”(図1に示す医療用観察装置100の場合)や、“挿入部材134、光源ユニット136、およびカメラヘッド140”
図4に示す医療用観察装置100の場合)で構成される。撮像部150における撮像は、例えば制御部154によって制御される。
【0129】
通信部152は、医療用観察装置100が備える通信手段であり、表示装置200などの外部装置と無線または有線で通信を行う役目を果たす。通信部152は、例えば上述した通信デバイス(図示せず)で構成される。通信部152における通信は、例えば制御部154によって制御される。
【0130】
制御部154は、例えば上述したプロセッサ(図示せず)で構成され、医療用観察装置100全体を制御する役目を果たす。また、制御部154は、後述する表示制御方法に係る処理を主導的に行う役目を果たす。なお、制御部154における表示制御方法に係る処理は、複数の処理回路(例えば、複数のプロセッサなど)で分散して行われてもよい。
【0131】
より具体的には、制御部154は、例えば、撮像制御部156と、表示制御部158とを有する。
【0132】
撮像制御部156は、撮像部150を構成する撮像デバイスを制御する。撮像デバイスの制御としては、例えば、少なくともズーム機能(光学ズーム機能および電子ズーム機能)を含む、AF機能の制御などの一般的に電子撮像式の顕微鏡部に備えられる1または2以上の機能の制御が、挙げられる。
【0133】
表示制御部158は、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理を行い、医療用撮像画像の表示画面への表示の制御と、ポインタオブジェクトの表示画面への表示の制御とを行う。
【0134】
表示制御部158における医療用撮像画像の表示画面への表示の制御としては、例えば、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像それぞれを表示画面に表示させる制御(3D表示の制御)が挙げられる。なお、表示制御部158は、右目用の医療用撮像画像または左目用の医療用撮像画像の一方を表示させることによって、2D表示の制御を行うことも可能である。以下では、表示制御部158が、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像それぞれを表示画面に表示させる場合を例に挙げる。
【0135】
本実施形態に係るポインタオブジェクトとは、表示画面上に表示するための表示オブジェクトの一例である。ポインタオブジェクトは、表示画面に表示されることによって、表示画面上に表示されている医療用撮像画像上の領域を指し示す役目を果たす。ポインタオブジェクトにより指し示めされる医療用撮像画像上の領域は、アノテーション領域と捉えることが可能である。
【0136】
ポインタオブジェクトが指し示す領域の形状、大きさは、ポインタオブジェクトの形状、大きさにより変わりうる。ポインタオブジェクトの形状は、予め設定されている固定の形状であってもよいし、医療用観察装置100の利用者の操作に基づき可変する形状であってもよい。また、ポインタオブジェクトの大きさは、例えば、後述する領域設定操作のような医療用観察装置100の利用者の操作に基づき可変する。
【0137】
ポインタオブジェクトは、設定されている表示色で表示される。ポインタオブジェクトの表示色は、予め設定されている固定の色であってもよいし、医療用観察装置100の利用者の操作などに基づき変更可能な色であってもよい。また、ポインタオブジェクトの表示色は、後述する本実施形態に係る表示制御方法に係る処理によって、表示画面に表示される医療用撮像画像に対応する色となるように、自動的に設定されてもよい。
【0138】
表示制御部158は、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理を行うことによって、例えば、ポインタオブジェクトを、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させる。本実施形態に係る表示制御方法に係る処理の一例、および本実施形態に係るポインタオブジェクトの一例については、後述する。
【0139】
また、表示制御部158は、例えば、表示制御信号と画像信号とを通信部152を構成する通信デバイス(図示せず)に伝達し、表示制御信号と画像信号とを表示装置200に対して送信させることによって、表示装置200における表示を制御する。なお、通信部152における通信の制御は、制御部154を構成する通信制御部(図示せず)により行われてもよい。
【0140】
また、表示制御部158は、画像信号に対応するデータを、記憶部(図示せず)として機能する記録媒体(図示せず)や、外部の記録媒体などの任意の記録媒体に、記録させてもよい。記録媒体に記録させる画像信号に対応するデータは、後述するポインタオブジェクトが医療用撮像画像に重畳されているデータであってもよいし、後述するポインタオブジェクトが重畳されていない医療用撮像画像を示すデータであってもよい。後述するポインタオブジェクトが医療用撮像画像に重畳されているデータとしては、例えば、ポインタオブジェクトが医療用撮像画像に合成されているデータが挙げられる。なお、ポインタオブジェクトを示すデータと医療用撮像画像を示すデータとは、任意の方法で対応付けて記録されてもよい。上記ポインタオブジェクトを示すデータは、例えば、3次元情報として記録され、医療用撮像画像と共にポインタオブジェクトが表示されるときには、ポインタオブジェクトは、医療用撮像画像に重畳して表示される。例えば後述するポインタオブジェクトが医療用撮像画像に重畳されているデータが、記録媒体に記憶されることによって、術後の検討目的や、教育目的など、様々な目的に当該データを使用することが、可能となる。
【0141】
制御部154は、例えば、表示制御部158を有することにより、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理を主導的に行う役目を果たす。また、制御部154は、例えば、撮像制御部156、および表示制御部158を有することによって、医療用観察装置100全体を制御する役目を果たす。
【0142】
なお、制御部154の機能構成は、図5に示す例に限られない。
【0143】
例えば、制御部154は、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理の切り分け方に応じた構成など、医療用観察装置100が有する機能の切り分け方に応じた、任意の構成を有することが可能である。
【0144】
一例を挙げると、医療用観察装置100が図1に示す構成である場合、制御部154は、アーム104の駆動を制御するアーム制御部(図示せず)をさらに有していてもよい。アーム104の駆動の制御の一例としては、例えば、“関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれに対応するアクチュエータ(図示せず)に対して、駆動を制御する制御信号を印加すること”などが挙げられる。
【0145】
医療用観察装置100は、例えば図5に示す機能構成によって、後述する本実施形態に係る表示制御方法に係る処理を行う。
【0146】
なお、本実施形態に係る医療用観察装置の機能構成は、図5に示す構成に限られない。
【0147】
例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、図5に示す撮像制御部156と表示制御部158との一方または双方を、制御部154とは個別に備える(例えば、別の処理回路で実現する)ことができる。
【0148】
また、本実施形態に係る医療用観察装置において本実施形態に係る表示制御方法に係る処理を実行することが可能な機能構成は、図5に示す構成に限られず、例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理の切り分け方に応じた機能構成をとることが可能である。
【0149】
また、本実施形態に係る医療用観察装置が図1に示す構成である場合、本実施形態に係る医療用観察装置は、アーム104で構成されるアーム部(図示せず)を有する。アーム部(図示せず)を構成するアーム104は、撮像部150を構成する撮像デバイス106を支持する。
【0150】
また、例えば、通信部152と同様の機能、構成を有する外部の通信デバイスを介して外部装置と通信を行う場合には、本実施形態に係る医療用観察装置は、通信部152を備えていなくてもよい。
【0151】
また、本実施形態に係る医療用観察システムが、医療用制御装置(図示せず)を有する構成であり、本実施形態に係る医療用観察装置が当該医療用制御装置(図示せず)により制御される場合、本実施形態に係る医療用観察装置は、制御部154を備えていなくてもよい。
【0152】
ここで、医療用制御装置(図示せず)は、例えば、制御部154と同様の機能、構成を有する制御部を備えることによって、後述する本実施形態に係る表示制御方法に係る処理を行い、また、本実施形態に係る医療用観察装置が備える撮像部150などの各構成要素における動作を制御する。医療用制御装置(図示せず)は、備えている通信デバイス、または、接続されている外部の通信デバイスを介して、本実施形態に係る医療用観察装置と通信を行うことによって、本実施形態に係る医療用観察装置が備える各構成要素における動作を制御する。
【0153】
さらに、本実施形態に係る医療用観察システムが、医療用制御装置(図示せず)を有する構成であり、本実施形態に係る医療用観察装置が当該医療用制御装置(図示せず)により制御される場合、本実施形態に係る医療用観察装置は、制御部154の一部の機能を有さない構成をとることも可能である。
【0154】
[2]本実施形態に係る表示制御方法
次に、本実施形態に係る表示制御方法について、説明する。以下では、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理を医療用観察装置100(より具体的には、例えば医療用観察装置100を構成する制御部154が有する表示制御部158)が行う場合を例に挙げる。なお、上述したように、本実施形態に係る医療用観察システムにおいて、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理は、表示装置200や、医療用制御装置(図示せず)などにより行われてもよい。
【0155】
[2-1]本実施形態に係る表示制御方法に係る処理
上述したように、医療現場において、医療用観察装置100のような電子撮像式の医療用観察装置が用いられる場合には、表示装置200の表示画面に表示される医療用撮像画像は、複数の医療従事者などの複数の者により見られる。また、上記の場合において、一の者が、他の者に対して、表示画面に表示されている医療用撮像画像のうちの特定の注目箇所を伝えようとする場合、口頭による指示が用いられている。しかしながら、口頭による指示のような言葉によるコミュニケーションでは、上記注目箇所を的確に伝えることが困難な場合があった。
【0156】
そこで、医療用観察装置100は、表示画面に医療用撮像画像を表示させると共に、ポインタオブジェクトを表示画面に表示させる。医療用撮像画像が表示されている表示画面に、ポインタオブジェクトが表示されることにより、表示画面を見る者それぞれは、ポインタオブジェクトが指し示す領域を、視覚的に認識することができる。よって、表示画面に表示されている医療用撮像画像のうちの注目箇所を言葉によるコミュニケーションによって伝えるよりも的確に注目箇所を伝えることができ、かつ、表示画面を見る者それぞれに対して同時に伝えることが可能である。よって、医療用観察装置100がポインタオブジェクトを表示画面に表示させることによって、医療用撮像画像が表示される表示画面を見る者の利便性の向上を図ることができる。
【0157】
また、上記のように医療用撮像画像の注目箇所をポインタオブジェクトにより指し示す場合、注目箇所の伝達の精度をより高めるためには、ポインタオブジェクトにより指し示される箇所(換言すると、ポインタオブジェクトにより指し示される観察対象の部位)が明確にすることが望ましい。
【0158】
そこで、医療用観察装置100は、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像を表示させる場合、すなわち、医療用撮像画像を立体画像として表示画面を見る者それぞれに認識させる場合には、ポインタオブジェクトを、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させる。
【0159】
右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置は、例えば、“右目用の医療用撮像画像と左目用の医療用撮像画像との対応位置それぞれにおける距離”を得ることにより特定される。右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置は、画像深度とも呼ばれる。以下では、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置を「画像深度」で表す場合がある。
【0160】
“右目用の医療用撮像画像と左目用の医療用撮像画像との対応位置それぞれにおける距離”は、例えば、下記の(a)の処理および(b)の処理を行うことによって得られる。下記の(a)の処理および(b)の処理は、医療用観察装置100により行われてもよいし、医療用制御装置(図示せず)などの医療用観察装置100の外部装置において行われてもよい。以下では、下記の(a)の処理および(b)の処理が医療用観察装置100により行われる場合を例に挙げる。
【0161】
(a)対応付け処理
医療用観察装置100は、例えば、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像それぞれから特徴部分を抽出し、抽出された特徴部分をマッチングすることにより、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像を対応付ける。
【0162】
医療用撮像画像における特徴部分は、例えば、任意のエッジ検出処理により検出されたエッジと任意の外周調査処理の結果との一方または双方など、画像から特徴部分を抽出することが可能な任意の技術を用いて抽出される。また、医療用観察装置100は、例えばパターンマッチングなど、抽出された特徴部分を比較して同一の被写体を同定することが可能な任意の技術を用いて、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像を対応付ける。
【0163】
(b)距離算出処理
医療用観察装置100は、上記(a)の処理(対応付け処理)により対応付けられた対応点ごとに、奥行き位置に該当する距離(画像深度)を算出する。
【0164】
医療用観察装置100は、例えば下記の数式1に示す演算を行うことによって、距離z(画像深度)を算出する。下記の数式1に示す“h”は、右目用の医療用撮像画像を撮像する撮像デバイスと左目用の医療用撮像画像を撮像する撮像デバイスとの距離(すなわち、基線長)であり、既知の値である。下記の数式1に示す“f”は、右目用の医療用撮像画像を撮像する撮像デバイスおよび左目用の医療用撮像画像を撮像する撮像デバイスの焦点距離であり、既知の値である。下記の数式1に示す“x”は、左目用の医療用撮像画像における対応点のx座標を示し、下記の数式1に示す“x’”は、右目用の医療用撮像画像における対応点のx座標を示している。
【0165】
z=h・f/|x-x’|
・・・(数式1)
【0166】
例えば上記(a)の処理および上記(b)の処理が行われることによって、“右目用の医療用撮像画像と左目用の医療用撮像画像との対応位置それぞれにおける距離”を得ることが可能である。なお、“右目用の医療用撮像画像と左目用の医療用撮像画像との対応位置それぞれにおける距離”を得ることが可能な処理が、上記(a)の処理および上記(b)の処理に限られないことは、言うまでもない。
【0167】
医療用観察装置100は、“ポインタオブジェクトの奥行き位置を調整し、奥行き位置が調整されたポインタオブジェクトを表示させること”によって、“ポインタオブジェクトを、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させること”を実現する。
【0168】
ポインタオブジェクトの奥行き位置の調整とは、例えば、“右目用の医療用撮像画像上の領域を指し示す右目用のポインタオブジェクトと、左目用の医療用撮像画像上の領域を指し示す左目用のポインタオブジェクトとに関して、上記数式1に示す“z”を調整すること“に該当する。
【0169】
医療用観察装置100は、ポインタオブジェクトの奥行き位置が、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に近づくように、ポインタオブジェクトの奥行き位置を調整する。
【0170】
上記のように奥行き位置が調整されたポインタオブジェクトが表示されることによって、表示画面を見る者が感じる右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き感と、表示画面を見る者が感じるポインタオブジェクトの奥行き感とを、近づけることが可能となる。また、表示画面を見る者が感じる、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き感とポインタオブジェクトの奥行き感とが、同一となれば、表示画面を見る者に、ポインタオブジェクトにより指し示される箇所をより明確に認識させることができる。
【0171】
よって、医療用観察装置100は、ポインタオブジェクトの奥行き感が、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き感となるように、ポインタオブジェクトの奥行き位置を調整し、奥行き位置が調整されたポインタオブジェクトを表示させる。
【0172】
具体例を挙げると、医療用観察装置100は、例えば、ポインタオブジェクトの奥行き位置を、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に調整する。なお、医療用観察装置100は、例えば、“ポインタオブジェクトの奥行き位置と、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置との差”が、設定されている閾値以下となるように(または、当該差が当該閾値よりも小さくなるように)、ポインタオブジェクトの奥行き位置を調整してもよい。上記閾値は、予め設定されている固定値であってもよいし、医療用観察装置100の利用者の操作などに基づき変更可能な可変値であってもよい。
【0173】
医療用観察装置100は、所定の操作に基づいて、ポインタオブジェクトの表示画面への表示を制御する。
【0174】
本実施形態に係る所定の操作の種類としては、例えば下記に示す操作が挙げられる。
・移動操作:ポインタオブジェクトを移動させるための操作
・領域設定操作:ポインタオブジェクトにより指し示す領域を設定するための操作(例えば、ポインタオブジェクトの形状と、ポインタオブジェクトの大きさとの一方または双方を変えることが可能な操作)
・領域決定操作:ポインタオブジェクトにより指し示す領域を決定するための操作
【0175】
本実施形態に係る所定の操作としては、例えば、医療用観察装置100が備える操作デバイスに対する操作、リモートコントローラやフットスイッチFSなどの外部の操作デバイスに対する操作、ジェスチャによる操作(視線、手などのジェスチャ認識が可能な任意の認識対象の動きによる操作)、音声による操作のうちの一部、または全部が、挙げられる。
【0176】
医療用観察装置100は、例えば、“各種操作デバイスに対して行われた操作に応じた操作信号が検出された場合”、“任意のジェスチャ認識処理が行われることにより得られる、視線、手などの任意の認識対象の動きから、特定の動きが検出された場合”、あるいは、“任意の音声認識処理が行われることにより得られる音声の認識結果から、特定の音声が検出された場合”に、所定の操作が行われたと判定する。上記特定の動きの検出に用いる動きデータ、上記特定の音声の検出に用いる文字列データ(または音声データ)は、例えば、記憶部(図示せず)として機能する記録媒体(図示せず)に記憶される。上記任意のジェスチャ認識処理と、上記任意の音声認識処理とは、医療用観察装置100により行われてもよいし、医療用制御装置(図示せず)などの医療用観察装置100の外部装置において行われてもよい。
【0177】
所定の操作が行われたと判定されると、医療用観察装置100は、判定された所定の操作に対応するように、ポインタオブジェクトの表示画面への表示を制御する。
【0178】
以下、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理の具体例として、所定の操作に基づきポインタオブジェクトの表示が制御される場合の一例を説明する。
【0179】
(1)本実施形態に係る表示制御方法に係る処理の第1の例
図6は、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理の第1の例を説明するための説明図であり、所定の操作として、移動操作、領域設定操作、および領域決定操作が順番に行われる場合の一例を示している。図6のAは、移動操作が行われる場合における表示画面の表示の一例を示しており、図6のBは、領域設定操作が行われる場合における表示画面の表示の一例を示している。図6のCは、領域決定操作が行われる場合における表示画面の表示の一例を示している。
【0180】
図6のA、図6のB、図6のCそれぞれに示す“O”は、本実施形態に係るポインタオブジェクトの一例を示している。なお、本実施形態に係るポインタオブジェクトの形状、大きさが、図6のA、図6のB、図6のCそれぞれに示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0181】
移動操作が行われたことが判定されると、医療用観察装置100は、例えば図6のAに示すように、判定された移動操作に対応するようにポインタオブジェクトを移動させる。
【0182】
領域設定操作が行われたことが判定されると、医療用観察装置100は、例えば図6のBに示すように、判定された領域設定操作に対応するようにポインタオブジェクトの大きさを大きくし、ポインタオブジェクトが指し示す領域を広げる。なお、医療用観察装置100は、判定された領域設定操作に対応するようにポインタオブジェクトの大きさを小さくして、ポインタオブジェクトが指し示す領域を狭めることも可能である。
【0183】
領域決定操作が行われたことが判定されると、医療用観察装置100は、例えば図6のCに示すように、ポインタオブジェクトを、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させる。例えば図6のA、図6のBに示す例のように、ポインタオブジェクトが円形のオブジェクトである場合、医療用観察装置100は、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置(画像深度)に合わせて、円形のオブジェクトを変形させる。
【0184】
図7は、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理の第1の例を説明するための説明図であり、図6を参照して示したようなポインタオブジェクトの表示の制御の例を、別の表現で表した図である。図7では、説明の便宜上、右目用の医療用撮像画像と左目用の医療用撮像画像とのうちの一方の医療用撮像画像に対応するポインタオブジェクトの表示の制御の例を示している。図7のA、図7のB、図7のC、および図7のDそれぞれの横軸は、医療用撮像画像におけるある水平ラインを示している。図7のA、図7のB、図7のC、および図7のDそれぞれの縦軸は、画像深度を示している。図7のA、図7のBは、図6のAに示す移動操作が行われる場合に対応し、図7のCは、図6のBに示す領域設定操作が行われる場合に対応する。図7のDは、図6のCに示す領域決定操作が行われる場合に対応する。
【0185】
図7のA、図7のB、図7のCに示すように、医療用観察装置100は、領域決定操作が行われる前は、ポインタオブジェクトを、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置(画像深度)よりも手前側の奥行き位置となるように、表示させる。
【0186】
また、図7のDに示すように、医療用観察装置100は、領域決定操作が行われた場合に、ポインタオブジェクトを、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置(画像深度)に対応するように表示させる。
【0187】
なお、図7のDでは、1つのポインタオブジェクトOを表しているが、医療用観察装置100は、右目用の医療用撮像画像上の領域を指し示す右目用のポインタオブジェクトと、左目用の医療用撮像画像上の領域を指し示す左目用のポインタオブジェクトとを表示させてもよい。この場合、右目用のポインタオブジェクトおよび左目用のポインタオブジェクトそれぞれの奥行き位置は、例えば、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置となるように調整される。
【0188】
(2)本実施形態に係る表示制御方法に係る処理の第2の例
所定の操作に基づきポインタオブジェクトの表示が制御される例は、図6図7を参照して示した第1の例に限られない。
【0189】
所定の操作として、移動操作、領域設定操作、および領域決定操作が順番に行われる場合、医療用観察装置100は、例えば、領域設定操作および領域決定操作それぞれが行われた場合に、ポインタオブジェクトを、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させてもよい。
【0190】
第2の例に係る処理が行われる場合、移動操作が行われているときには、ポインタオブジェクトは、移動操作に対応するように移動すると共に、図7のA、図7のBに示すように、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置(画像深度)よりも手前側の奥行き位置となるように、表示される。また、第2の例に係る処理が行われる場合、領域設定操作が行われたときには、ポインタオブジェクトは、例えば、大きさが変化すると共に、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示される。また、第2の例に係る処理が行われる場合、領域決定操作が行われたときには、ポインタオブジェクトは、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示される。なお、領域設定操作または領域決定操作が行われた後に、移動操作が再度行われた場合には、医療用観察装置100は、ポインタオブジェクトを、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置よりも手前側の奥行き位置となるように表示させてもよいし、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させてもよい。
【0191】
(3)本実施形態に係る表示制御方法に係る処理の第3の例
所定の操作に基づきポインタオブジェクトの表示が制御される例は、上記第1の例および上記第2の例に限られない。
【0192】
所定の操作として、移動操作、領域設定操作、および領域決定操作が順番に行われる場合、医療用観察装置100は、例えば、移動操作、領域設定操作、および領域決定操作それぞれが行われた場合に、ポインタオブジェクトを、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させてもよい。
【0193】
第3の例に係る処理が行われる場合、移動操作が行われているときには、移動操作に対応するように移動すると共に、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示される。また、第3の例に係る処理が行われる場合、領域設定操作が行われたときには、ポインタオブジェクトは、例えば、大きさが変化すると共に、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示される。また、第3の例に係る処理が行われる場合、領域決定操作が行われたときには、ポインタオブジェクトは、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示される。
【0194】
つまり、第3の例に係る処理が行われる場合、行われる所定の操作の種類によらず、ポインタオブジェクトは、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示される。
【0195】
所定の操作に基づきポインタオブジェクトの表示を制御する例としては、例えば上記(1)に示す第1の例~上記(3)に示す第3の例が挙げられる。なお、所定の操作に基づきポインタオブジェクトの表示を制御する例が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0196】
医療用観察装置100は、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理を行うことにより、ポインタオブジェクトを、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させる。
【0197】
ポインタオブジェクトが右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示されることによって、表示画面を見る者は、ポインタオブジェクトにより指し示される箇所をより明確に把握することが可能となる。
【0198】
したがって、ポインタオブジェクトを、右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させることによって、医療用観察装置100は、単にポインタオブジェクトを表示画面に表示させる場合よりも、医療用撮像画像が表示される表示画面を見る者の利便性の向上を図ることができる。
【0199】
なお、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理は、上記に示す例に限られない。
【0200】
例えば、医療用観察装置100は、ポインタオブジェクトの表示色を、表示画面に表示される医療用撮像画像に対応する色となるように制御してもよい。
【0201】
医療用観察装置100が、ポインタオブジェクトの表示色を、表示画面に表示される医療用撮像画像に対応する色となるように制御することによって、ポインタオブジェクトの表示色は、ポインタオブジェクトが表示される表示画面の位置における医療用撮像画像の色に応じて変更される。
【0202】
医療用観察装置100は、例えば、ポインタオブジェクトの表示色を、ポインタオブジェクトが表示される表示画面の位置における医療用撮像画像の色の補色とする。ポインタオブジェクトの表示色を上記医療用撮像画像の色の補色とすることによって、ポインタオブジェクトを目立たせ、ポインタオブジェクトをより認識し易くすることができるという効果が、奏される。なお、ポインタオブジェクトの表示色は、完全な補色に限られず、医療用撮像画像と対比したときにポインタオブジェクトを目立たせることが可能な、任意の色であってもよいことは、言うまでもない。
【0203】
図6に示す円形のポインタオブジェクトOを例に挙げると、ポインタオブジェクトの表示色としては、ポインタオブジェクトOの形状を規定する枠の色が挙げられる。具体例を挙げると、図6に示す円形のポインタオブジェクトOが表示される表示画面の位置に、観察対象の患者の骨が存在する場合、医療用観察装置100は、ポインタオブジェクトOの表示色を、骨の色(白色)の補色である黒色とする。また、図6に示す円形のポインタオブジェクトOが表示される表示画面の位置に、観察対象の患者の血液が存在する場合、医療用観察装置100は、ポインタオブジェクトOの表示色を、血液の色(赤色)の補色であるシアン色とする。なお、“ポインタオブジェクトの表示色を、ポインタオブジェクトが表示される表示画面の位置における医療用撮像画像の色の補色とする例”が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
【0204】
なお、ポインタオブジェクトの表示色を、表示画面に表示される医療用撮像画像に対応する色となるように制御する処理は、上記に示す例に限られない。
【0205】
例えば、医療用観察装置100は、ポインタオブジェクトの表示色を、“ポインタオブジェクトが指し示す領域に含まれる医療用撮像画像の色のうちの特定の色”の補色としてもよい。上記特定の色としては、例えば“ポインタオブジェクトが指し示す領域に含まれる医療用撮像画像の色のうちの、最も多い色成分の色”が、挙げられる。医療用観察装置100は、例えば、ポインタオブジェクトが指し示す領域に含まれる医療用撮像画像の色のヒストグラムを算出して、上記最も多い色成分の色を特定する。
【0206】
例えば上記のように、ポインタオブジェクトの表示色を上記特定の色の補色とする場合には、ポインタオブジェクトの表示色を均一なものとすることができる。また、ポインタオブジェクトの表示色は、上記最も多い色成分の色などの特定の色の補色であるので、ポインタオブジェクトを目立たせ、ポインタオブジェクトをより認識し易くすることができるという効果は、奏される。
【0207】
[3]本実施形態に係る表示制御方法が用いられることにより奏される効果の一例
本実施形態に係る表示制御方法が用いられることによって、例えば下記に示す効果が奏される。なお、本実施形態に係る表示制御方法が用いられることにより奏される効果が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・注目させ確認をさせたい注目箇所を、ポインタオブジェクトによって強調することが可能となるので、表示画面上で複数の者に同時に注目箇所を的確に伝えることができる。なお、ポインタオブジェクトが表示されるときにも、口頭での意思伝達が行われてもよい。
・口頭での意思伝達に加えてポインタオブジェクトの表示が行われる場合、口頭での意思伝達のみに対して、ポインタオブジェクトによる視覚的な意思伝達がさらに加えられるので、より正確な意思伝達が可能となる。
・注目させ確認をさせたい注目箇所を、ポインタオブジェクトによって強調することが可能となるので、医療知識が乏しい者に対しても、注目箇所を的確に伝えることができる。
・ポインタオブジェクトの表示制御は、所定の操作により行うことが可能であり、所定の操作には、例えば、フットスイッチFSによる操作や、視線などによるジェスチャ操作など、手を使わない操作が含まれうる。よって、例えば、医療行為を術者が行っている場合であっても、術者は、手を使わずにポインタオブジェクトによる指示を出すことができる。
・ポインタオブジェクトの表示制御に係る所定の操作には、例えば、リモートコントローラに対する操作など、術者に限られない様々な者が操作可能な操作デバイスに対する操作が含まれうる。よって、ポインタオブジェクトの表示は、例えば、手術現場とは別室の表示装置の表示画面を見ている指導医などの、手術現場に存在する者以外の者の操作によって、制御されてもよい。
・ポインタオブジェクトが医療用撮像画像に重畳されているデータを記録媒体に記録させることによって、当該データを、術後の検討目的や教育目的などの様々な目的に使用することができる。上述したように、ポインタオブジェクトが医療用撮像画像に重畳されているデータとしては、例えば、ポインタオブジェクトが医療用撮像画像に合成されているデータが挙げられる。また、上述したように、ポインタオブジェクトを示すデータと医療用撮像画像を示すデータとは、任意の方法で対応付けて記録されてもよい。
【0208】
(本実施形態に係るプログラム)
コンピュータシステムを、本実施形態に係る医療用観察装置(または、本実施形態に係る医療用表示制御装置)として機能させるためのプログラム(例えば、本実施形態に係る表示制御方法に係る処理を実行することが可能なプログラム)が、コンピュータシステムにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、医療用撮像画像が表示される表示画面を見る者の利便性の向上を図ることができる。ここで、本実施形態に係るコンピュータシステムとしては、単体のコンピュータ、または、複数のコンピュータが挙げられる。本実施形態に係るコンピュータシステムによって、本実施形態に係る表示制御方法に係る一連の処理が行われる。
【0209】
また、コンピュータシステムを、本実施形態に係る医療用観察装置(または、本実施形態に係る医療用表示制御装置)として機能させるためのプログラムが、コンピュータシステムにおいてプロセッサなどにより実行されることによって、上述した本実施形態に係る表示制御方法に係る処理によって実現される表示によって奏される効果を、奏することができる。
【0210】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0211】
例えば、上記では、コンピュータシステムを、本実施形態に係る医療用観察装置(または、本実施形態に係る医療用表示制御装置)として機能させるためのプログラム(コンピュータプログラム)が提供されることを示したが、本実施形態は、さらに、上記プログラムを記憶させた記録媒体も、併せて提供することができる。
【0212】
上述した構成は、本実施形態の一例を示すものであり、当然に、本開示の技術的範囲に属するものである。
【0213】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0214】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
観察対象を撮像する撮像デバイスにより撮像された右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の表示画面への表示と、ポインタオブジェクトの前記表示画面への表示とを制御する表示制御部を備え、
前記表示制御部は、前記ポインタオブジェクトを、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させる、医療用表示制御装置。
(2)
前記表示制御部は、前記ポインタオブジェクトの奥行き位置を調整して、前記ポインタオブジェクトを、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させる、(1)に記載の医療用表示制御装置。
(3)
前記表示制御部は、前記ポインタオブジェクトの奥行き感が、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き感となるように、前記ポインタオブジェクトの奥行き位置を調整する、(2)に記載の医療用表示制御装置。
(4)
前記表示制御部は、前記ポインタオブジェクトの奥行き位置が、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に近づくように、前記ポインタオブジェクトの奥行き位置を調整する、(2)または(3)に記載の医療用表示制御装置。
(5)
前記表示制御部は、前記ポインタオブジェクトの奥行き位置を、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に調整する、(4)に記載の医療用表示制御装置。
(6)
前記表示制御部は、所定の操作に基づいて、ポインタオブジェクトの表示画面への表示を制御する、(1)~(5)のいずれか1つに記載の医療用表示制御装置。
(7)
前記表示制御部は、
前記ポインタオブジェクトにより指し示す領域を決定する領域決定操作が行われる前は、前記ポインタオブジェクトを、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置よりも手前側の奥行き位置となるように、表示させ、
前記領域決定操作が行われた場合に、前記ポインタオブジェクトを、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示させる、(6)に記載の医療用表示制御装置。
(8)
前記表示制御部は、
前記ポインタオブジェクトを移動させる移動操作に基づいて、前記移動操作に対応する前記表示画面の位置に前記ポインタオブジェクトを表示させ、
前記ポインタオブジェクトにより指し示す領域を設定する領域設定操作に基づいて、前記ポインタオブジェクトの大きさを前記領域設定操作に対応する大きさとなるように変更する、(6)または(7)に記載の医療用表示制御装置。
(9)
前記表示制御部は、前記ポインタオブジェクトの表示色を、前記表示画面に表示される医療用撮像画像に対応する色とし、
前記ポインタオブジェクトの表示色は、前記ポインタオブジェクトが表示される前記表示画面の位置における医療用撮像画像の色に応じて変更される、(1)~(8)のいずれか1つに記載の医療用表示制御装置。
(10)
前記表示制御部は、前記ポインタオブジェクトの表示色を、前記ポインタオブジェクトが表示される前記表示画面の位置における医療用撮像画像の色の補色とする、(9)に記載の医療用表示制御装置。
(11)
前記表示制御部は、前記ポインタオブジェクトの表示色を、前記ポインタオブジェクトが指し示す領域に含まれる医療用撮像画像の色のうちの特定の色の補色とする、(9)に記載の医療用表示制御装置。
(12)
前記特定の色は、前記ポインタオブジェクトが指し示す領域に含まれる医療用撮像画像の色のうちの、最も多い色成分の色である、(11)に記載の医療用表示制御装置。
(13)
複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームと、
前記アームにより支持されている前記撮像デバイスと、
をさらに備える、(1)~(12)のいずれか1つに記載の医療用表示制御装置。
(14)
患者の体内に挿入され、前記体内を前記観察対象として撮像する前記撮像デバイスをさらに備える、(1)~(12)のいずれか1つに記載の医療用表示制御装置。
(15)
観察対象を撮像する撮像デバイスにより撮像された右目用の医療用撮像画像および左目用の医療用撮像画像の表示画面への表示と、ポインタオブジェクトの前記表示画面への表示とを制御するステップを有し、
前記制御するステップでは、前記ポインタオブジェクトが、前記右目用の医療用撮像画像および前記左目用の医療用撮像画像の奥行き位置に対応するように表示される、医療用表示制御装置により実行される表示制御方法。
【符号の説明】
【0215】
100 医療用観察装置
102 ベース
104 アーム
106 撮像デバイス
110a、110b、110c、110d、110e、110f 関節部
112a、112b、112c、112d、112e、112f リンク
120 撮像部材
122 筒状部材
124 ズームスイッチ
126 フォーカススイッチ
128 動作モード変更スイッチ
134 挿入部材
136 光源ユニット
138 ライトガイド
140 カメラヘッド
142 ケーブル
144 制御ユニット
150 撮像部
152 通信部
154 制御部
156 撮像制御部
158 表示制御部
200 表示装置
1000 医療用観察システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7