IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱航空機株式会社の特許一覧

特許7134664ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機
<>
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図1
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図2
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図3
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図4
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図5
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図6
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図7
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図8
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図9
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図10
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図11
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図12
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図13
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図14
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図15
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図16
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図17
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図18
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図19
  • 特許-ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】ミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/04 20060101AFI20220905BHJP
   B64D 13/06 20060101ALI20220905BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20220905BHJP
   F24F 3/052 20060101ALI20220905BHJP
【FI】
F24F13/04
B64D13/06
F24F13/02 D
F24F3/052
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018058540
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019168202
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】508208007
【氏名又は名称】三菱航空機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(74)【代理人】
【識別番号】100191961
【弁理士】
【氏名又は名称】藤澤 厚太郎
(72)【発明者】
【氏名】弘津 聡史
(72)【発明者】
【氏名】三木 勇人
(72)【発明者】
【氏名】田中 康也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 文男
(72)【発明者】
【氏名】太田 将弘
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 聡
(72)【発明者】
【氏名】藤田 郷
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04517813(US,A)
【文献】特開2006-183930(JP,A)
【文献】特開2009-145036(JP,A)
【文献】特開2001-208411(JP,A)
【文献】特開2006-226640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/04
B64D 13/06
F24F 13/02
F24F 3/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が各々流入される複数の流入ポートを有する下部チャンバと、内部で混合された前記空気が流出される少なくとも1つの流出ポートを有する上部チャンバとからなるミックスチャンバにおいて、
各々の前記流入ポートに対して、前記流入ポートから流入する前記空気の当たる面が下方を向くように傾けた第1の網状板を設け
前記第1の網状板は、前記流入ポートの下流端部に形成されて前記下部チャンバの内部に空気を導入する出口と板面が対向するように設けられていることを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項2】
請求項1に記載のミックスチャンバにおいて、
前記第1の網状板の上側を前記流入ポートの出口に取り付けると共に、前記第1の網状板の下側と前記下部チャンバの内壁との間に開口部を設けたことを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項3】
請求項2に記載のミックスチャンバにおいて、
前記流入ポートを前記下部チャンバの内壁から内部側へ突き出し、前記出口を前記第1の網状板と同じ角度に傾けて形成し、当該出口に前記第1の網状板を取り付けると共に、前記流入ポートの下部に前記開口部を設けたことを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項4】
請求項1に記載のミックスチャンバにおいて、
前記第1の網状板を前記流入ポートの出口から離して配置したことを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項5】
請求項4に記載のミックスチャンバにおいて、
前記下部チャンバは、中心軸線に沿って延びる円筒状であって、
前記第1の網状板は、板状であって、前記下部チャンバの前記中心軸線と前記下部チャンバの内壁との間に設けられ、
前記第1の網状板の内端は、前記下部チャンバの前記中心軸線側に設けられ、
前記第1の網状板の外端、前記下部チャンバの前記内壁側に設けられていることを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のミックスチャンバにおいて、
前記下部チャンバと前記上部チャンバとの間に挟み込む環状の枠部材と、前記枠部材の内側を横断する横断部材とを有し、前記横断部材に前記第1の網状板を取り付けたことを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか1つに記載のミックスチャンバにおいて、
前記第1の網状板は、前記下部チャンバの内部に設けられ、
前記流入ポートの出口部分の内側に、水平に配置された水平板を設けたことを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のミックスチャンバにおいて、
両端が前記下部チャンバの内壁の前記流入ポートがない部分に接し、下端が前記下部チャンバの底部に接して、前記下部チャンバの内部を仕切る第2の網状板を設けたことを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1つに記載のミックスチャンバにおいて、
当該ミックスチャンバの内壁の前記流入ポートと前記流出ポートとの間に環状板を設けたことを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載のミックスチャンバにおいて、
前記下部チャンバの内壁を下方に向くように傾けたことを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載のミックスチャンバにおいて、
当該ミックスチャンバの内壁に、前記流入ポートと前記流出ポートとの間に、当該ミックスチャンバの内部を上下に仕切る第3の網状板を設けたことを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1つに記載のミックスチャンバにおいて、
前記下部チャンバの底部に、前記流入ポートの下部より低い立設板を少なくとも1つ設け
前記立設板は、前記第1の網状板の下方に設けられていることを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項13】
請求項12に記載のミックスチャンバにおいて、
前記立設板を、前記下部チャンバの内壁同士を横断するように配置することを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項14】
空気が各々流入される複数の流入ポートを有する下部チャンバと、内部で混合された前記空気が流出される少なくとも1つの流出ポートを有する上部チャンバとからなるミックスチャンバにおいて、
各々の前記流入ポートに対して、前記流入ポートから流入する前記空気の当たる面が下方を向くように傾けた第1の網状板を設け、
前記第1の網状板を前記流入ポートの出口から離して配置し、
前記下部チャンバは、中心軸線に沿って延びる円筒状であって、
前記第1の網状板は、板状であって、前記下部チャンバの前記中心軸線と前記下部チャンバの内壁との間に設けられ、
前記第1の網状板の内端は、前記下部チャンバの前記中心軸線側に設けられ、
前記第1の網状板の外端は、前記下部チャンバの前記内壁側に設けられていることを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項15】
空気が各々流入される複数の流入ポートを有する下部チャンバと、内部で混合された前記空気が流出される少なくとも1つの流出ポートを有する上部チャンバとからなるミックスチャンバにおいて、
各々の前記流入ポートに対して、前記流入ポートから流入する前記空気の当たる面が下方を向くように傾けた第1の網状板を設け、
両端が前記下部チャンバの内壁の前記流入ポートがない部分に接し、下端が前記下部チャンバの底部に接して、前記下部チャンバの内部を仕切る第2の網状板を設けたことを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項16】
空気が各々流入される複数の流入ポートを有する下部チャンバと、内部で混合された前記空気が流出される少なくとも1つの流出ポートを有する上部チャンバとからなるミックスチャンバにおいて、
各々の前記流入ポートに対して、前記流入ポートから流入する前記空気の当たる面が下方を向くように傾けた第1の網状板を設け、
前記下部チャンバの底部に、前記流入ポートの下部より低い立設板を少なくとも1つ設け、
前記立設板は、前記第1の網状板の下方に設けられていることを特徴とするミックスチャンバ。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1つに記載のミックスチャンバを備え、当該ミックスチャンバの前記流入ポートへ複数の供給源からの空気が各々流入されることを特徴とする空調システム。
【請求項18】
請求項17に記載の空調システムを備えることを特徴とする航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を混合するミックスチャンバ、ミックスチャンバを備える空調システム及び空調システムを備える航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機が備える空調システムは、図19に示すように、エンジン11A、11BやAPU(Auxiliary Power Unit:補助動力装置)12から得られる圧縮空気を、ECS(Environmental Control System:環境制御システム)13A、13Bで冷却、膨張して温調し、ECS13A、13Bからの吹き出し空気(-10~-25℃程度)に対して、バイパスライン14A、14Bによりバイパスした空気を混合して、空調に必要な温度を作り出している。そして、空調システムが備えるミックスチャンバ20を介して、キャビン15等に適温の空気を供給して、機内の温度制御を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-68547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図19に示すような空調システムにおいては、使用環境によっては、特に、酷暑環境下等で大きな冷房能力が必要なときには、ECS13A、13Bからの吹き出し空気の温度が-15~-25℃程度まで下がる可能性がある。その際、空調ダクト内では、例えば、ECSライン16A、16Bとバイパスライン14A、14Bとの混合部、ECSライン16A、16Bと再循環ライン17A、17Bとの混合部等では、氷(直径10~15mm程度)が発生することがある。
【0005】
そして、空調ダクト内に氷が発生すると、以下のような問題が起こる可能性がある。
(1)空調吹き出し口からキャビン15内へ氷や水が飛散する可能性がある。
(2)空調ダクト内のセンサ(温度センサ等)が破損する可能性がある。
(3)空調ダクト内やミックスチャンバ20内で氷の塊が動くことで、異音を発生する可能性がある。
【0006】
このように、空調ダクト内で氷が発生することにより、上記のような問題が起こる可能性があるため、空調ダクト内で発生した氷を除去することが望ましい。既存の氷除去装置、例えば、図20に示すような氷除去用のメッシュ板18は、空調ダクト(例えば、ECSライン16A等)の内部に設置するタイプである。このように設置したメッシュ板18は、空気の流れを妨げるため、圧力損失が大きく、また、氷が大量に付着すると、閉塞するおそれがあり、必要な空調流量が確保できなくなってしまう。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、氷を除去すると共に、圧力損失や氷の付着による閉塞を防止することができるミックスチャンバ、当該ミックスチャンバを備える空調システム及び当該空調システムを備える航空機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する第1の発明に係るミックスチャンバは、
空気が各々流入される複数の流入ポートを有する下部チャンバと、内部で混合された前記空気が流出される少なくとも1つの流出ポートを有する上部チャンバとからなるミックスチャンバにおいて、
各々の前記流入ポートに対して、前記流入ポートから流入する前記空気の当たる面が下方を向くように傾けた第1の網状板を設けた
ことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第2の発明に係るミックスチャンバは、
上記第1の発明に記載のミックスチャンバにおいて、
前記第1の網状板の上側を前記流入ポートの出口に取り付けると共に、前記第1の網状板の下側と前記下部チャンバの内壁との間に開口部を設けた
ことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第3の発明に係るミックスチャンバは、
上記第2の発明に記載のミックスチャンバにおいて、
前記流入ポートを前記下部チャンバの内壁から内部側へ突き出し、前記出口を前記第1の網状板と同じ角度に傾けて形成し、当該出口に前記第1の網状板を取り付けると共に、前記流入ポートの下部に前記開口部を設けた
ことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第4の発明に係るミックスチャンバは、
上記第1の発明に記載のミックスチャンバにおいて、
前記第1の網状板を前記流入ポートの出口から離して配置した
ことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する第5の発明に係るミックスチャンバは、
上記第4の発明に記載のミックスチャンバにおいて、
前記第1の網状板の内端の上端と外端の上端が、各々、前記下部チャンバの中心と内壁である
ことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第6の発明に係るミックスチャンバは、
上記第4又は第5の発明に記載のミックスチャンバにおいて、
前記下部チャンバと前記上部チャンバとの間に挟み込む環状の枠部材と、前記枠部材の内側を横断する横断部材とを有し、前記横断部材に前記第1の網状板を取り付けた
ことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する第7の発明に係るミックスチャンバは、
上記第4~第6のいずれか1つの発明に記載のミックスチャンバにおいて、
前記流入ポートの出口部分の内側に、水平に配置された水平板を設けた
ことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する第8の発明に係るミックスチャンバは、
上記第1~第7のいずれか1つの発明に記載のミックスチャンバにおいて、
両端が前記下部チャンバの内壁の前記流入ポートがない部分に接し、下端が前記下部チャンバの底部に接して、前記下部チャンバの内部を仕切る第2の網状板を設けた
ことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する第9の発明に係るミックスチャンバは、
上記第1~第8のいずれか1つの発明に記載のミックスチャンバにおいて、
当該ミックスチャンバの内壁に環状板を設けた
ことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する第10の発明に係るミックスチャンバは、
上記第1~第9のいずれか1つの発明に記載のミックスチャンバにおいて、
前記下部チャンバの内壁を下方に向くように傾けた
ことを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決する第11の発明に係るミックスチャンバは、
上記第1~第10のいずれか1つの発明に記載のミックスチャンバにおいて、
当該ミックスチャンバの内壁に、当該ミックスチャンバの内部を上下に仕切る第3の網状板を設けた
ことを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決する第12の発明に係るミックスチャンバは、
上記第1~第11のいずれか1つの発明に記載のミックスチャンバにおいて、
前記下部チャンバの底部に、前記流入ポートの下部より低い立設板を少なくとも1つ設けた
ことを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する第13の発明に係るミックスチャンバは、
上記第12の発明に記載のミックスチャンバにおいて、
前記立設板を、前記下部チャンバの底部の外周部分を少なくとも含むように配置するか、又は、前記下部チャンバの内壁同士を横断するように配置する
ことを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決する第14の発明に係る空調システムは、
上記第1~第13のいずれか1つの発明に記載のミックスチャンバを備え、当該ミックスチャンバの前記流入ポートへ複数の供給源からの空気が各々流入される
ことを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決する第15の発明に係る航空機は、
上記第14の発明に記載の空調システムを備える
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、氷を除去すると共に、圧力損失や氷の付着による閉塞を防止することができるミックスチャンバを提供することができ、また、当該ミックスチャンバを備える空調システム及び当該空調システムを備える航空機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ミックスチャンバを説明する斜視図である。
図2】本発明に係るミックスチャンバの実施形態の一例を説明する図であって、下部チャンバの内部を説明する上面図である。
図3図2に示した下部チャンバの流入ポートのA-A線矢視図である。
図4図3に示した下部チャンバの流入ポートのB-B線矢視断面図である。
図5図3及び図4に示した下部チャンバの流入ポート及びメッシュ板に対する氷の動きを説明する説明図である。
図6】本発明に係るミックスチャンバの実施形態の他の一例を説明する図であって、ミックスチャンバで使用するメッシュ部を説明する斜視図である。
図7図6に示したメッシュ部を下部チャンバに設置した状態を示す上面図である。
図8図6に示したメッシュ部を説明する側面図である。
図9図6に示したメッシュ部の変形例を示す上面図である。
図10】ミックスチャンバでの問題点を説明する概略図である。
図11図10に示した問題点を解決するための第1の構成例を示す概略図である。
図12図10に示した問題点を解決するための第2の構成例を示す概略図である。
図13図10に示した問題点を解決するための第3の構成例を示す概略図である。
図14図13に示した第3の構成例を説明する上面図である。
図15図10に示した問題点を解決するための第4の構成例を示す概略図である。
図16】ミックスチャンバでの問題点を説明する概略図である。
図17図16に示した問題点を解決するための第5の構成例を示す概略図である。
図18図16に示した問題点を解決するための第6の構成例を示す概略図である。
図19】航空機の空調システムを説明する概略図である。
図20】メッシュ板を設置した空調ダクトを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係るミックスチャンバ、当該ミックスチャンバを備える空調システム及び当該空調システムを備える航空機の実施形態について、図面を参照して説明を行う。
【0026】
[実施例1]
図1図5を参照して、本実施例のミックスチャンバを説明する。ここで、図1は、ミックスチャンバを説明する斜視図である。また、図2は、本実施例のミックスチャンバを説明する図であって、下部チャンバの内部を説明する上面図である。また、図3は、図2に示した下部チャンバの流入ポートのA-A線矢視図である。また、図4は、図3に示した下部チャンバの流入ポートのB-B線矢視断面図である。また、図5は、図3及び図4に示した下部チャンバの流入ポート及びメッシュ板に対する氷の動きを説明する説明図である。なお、図3図5においては、1つの流入ポートを図示しているが、他の流入ポートも同じ構成である。
【0027】
ミックスチャンバ20は、図19で説明したように、航空機の空調システムが備えるものであり、ミックスチャンバ20自体は、基本的には、既存の構成である。具体的には、図1に示すように、円筒状の上部チャンバ21と円筒状の下部チャンバ22とを有する上下分割構造である。上部チャンバ21と下部チャンバ22は、上部チャンバ21のフランジ21cと下部チャンバ22のフランジ22c(図2参照)がネジ等で固定されて、一体のミックスチャンバ20となっている。また、上部チャンバ21には少なくとも1つの(ここでは4つ)の流出ポート23~26が設けられており、下部チャンバ22には複数(ここでは2つ)の流入ポート27、28が設けられている。
【0028】
流入ポート27、28へは、複数の供給源、例えば、図19で示したECS13A、13B等からの空気が各々流入される。そして、流入ポート27と流入ポート28は、各々から流入する空気が互いに反対方向から流入するように配置されると共に、ミックスチャンバ20の中心から見て互いに半径方向外側にオフセットして配置されている。このような配置にすることにより、流入ポート27と流入ポート28から流入する空気が、ミックスチャンバ20の内部を旋回する旋回流となり、ミックスチャンバ20の内部でより効率良く混合されて、流出ポート23~26から流出されることになる。
【0029】
そして、本実施例では、図2図5に示すように、流入ポート27に対して、流入ポート27から流入する空気の当たる面が下方を向くように所定の角度で傾けたメッシュ板31(第1の網状板)を設け、また、流入ポート28に対しても、流入ポート28から流入する空気の当たる面が下方を向くように所定の角度で傾けたメッシュ板32(第1の網状板)を設けている。上記の所定の角度(図5中に示すθ参照)としては、流入ポート27、28から流入する空気の流れ方向に対して90°未満の角度とすればよく、90°未満であれば適宜に変更可能である。
【0030】
本実施例において、流入ポート27は、下部チャンバ22の内壁22aから内部側へ突き出して設けられ、流入ポート27の出口フランジ27a(出口)が上記の所定の角度に傾けられて形成されている。そして、メッシュ板31が出口フランジ27aにネジ等で取り付けられて、メッシュ板31が上記の所定の角度となっている。
【0031】
また、メッシュ板31の下側と下部チャンバ22の内壁22aとの間の流入ポート27の下部には、開口部27b、27cが設けられている。開口部27b、27cは、合わせて1つの開口部としてもよいが、メッシュ板31が出口フランジ27aに取り付けられているので、この出口フランジ27aの剛性を確保するために支持部27dを設けており、そのため、開口部が2つの開口部27b、27cとなっている。
【0032】
流入ポート27と同様に、流入ポート28も、下部チャンバ22の内壁22aから内部側へ突き出して設けられ、流入ポート28の出口フランジ28a(出口)が上記の所定の角度に傾けられて形成されている。そして、メッシュ板32が出口フランジ28aにネジ等で取り付けられて、メッシュ板32が上記の所定の角度となっている。
【0033】
また、メッシュ板32の下側と下部チャンバ22の内壁22aとの間の流入ポート28の下部にも、流入ポート27と同様に、開口部28b、28c、支持部28dが設けられている。開口部28b、28cも、合わせて1つの開口部としてもよい。
【0034】
なお、ここでは、流入ポート27、28が下部チャンバ22の内壁22aから内部側へ突き出して設けられているが、流入ポート27、28が突き出されずに、流入ポート27、28に連通する出口が内壁22aに設けられている場合には、メッシュ板31、32の上側をその出口に取り付けると共に、メッシュ板31、32の下側と内壁22aとの間に、例えば、空間を開けて、上記開口部に相当する構成を設ければよい。
【0035】
このように、本実施例においては、既存のミックスチャンバ20に対して、その内部に上述した構成のメッシュ板31、32や開口部27b、27c、28b、28cを追加するようにしている。
【0036】
上述した構成により、図5に示すように、流入ポート28から流入した空気と共に流入する氷71は、メッシュ板32に当たり、開口部28b、28cを通って、下部チャンバ22の底部22bに落とされることになる。そのため、氷71はメッシュ板32には堆積し難くなる。そして、底部22bは、ミックスチャンバ20の内部で生成される旋回流の影響を受けにくい場所であるので、この底部22bに落とされた氷71が、例えば、ミックスチャンバ20内の気流により巻き上げられるなどによって上部チャンバ21の流出ポート23~26へ流出することを生じ難くできる。これは、流入ポート27についても同様である。このようにして、下流側の流出ポート23~26への氷71の流出を防止しており、実質的に、このミックスチャンバ20が氷71を除去する機能を有することになる。また、ミックスチャンバ20で氷71を除去できるので、下流側の空調ダクトにあるセンサ(温度センサ等)の破損を防止することもできる。
【0037】
開口部27b、27c、28b、28cは、下部チャンバ22の底部22bに落とされる氷71の経路として設けられているが、圧力損失や閉塞を防止する役目も果たしている。具体的には、流入ポート27、28に開口部27b、27c、28b、28cを設けているので、メッシュ板31、32を流入ポート27、28の出口フランジ27a、28aに設置しても、これらの設置による圧力損失は小さい。また、もし、メッシュ板31、32に氷71が付着して、メッシュ板31、32自体が氷71で塞がっても、開口部27b、27c、28b、28cがあるので、流入ポート27、28自体が閉塞することにはならない。
【0038】
図示は省略しているが、下部チャンバ22の底部22bにはドレンが設けられており、メッシュ板31、32に付着した氷71や底部22bに落とされた氷71は、そのうちに溶けて、このドレンから排出されることになる。
【0039】
以上説明したように、上述した構成のメッシュ板31、32、開口部27b、27c、28b、28cを既存のミックスチャンバ20に設けることにより、ミックスチャンバ20に氷除去機能を持たせることができ、航空機の空調システム内の氷を抑制することができる。また、従来よりも圧力損失が小さく、氷の付着による閉塞も防止することができる。また、氷除去装置がない機体の既存のミックスチャンバ20にも氷除去機能を持たせることができるので、実質的に、氷除去装置の後付けが可能となる。
【0040】
[実施例2]
図6図9を参照して、本実施例のミックスチャンバを説明する。ここで、図6は、本実施例のミックスチャンバで使用するメッシュ部を説明する斜視図である。また、図7は、図6に示したメッシュ部を下部チャンバに設置した状態を示す上面図である。また、図8は、図6に示したメッシュ部を説明する側面図である。また、図9は、図6に示したメッシュ部の変形例を示す上面図である。
【0041】
本実施例では、図1で説明した既存のミックスチャンバ20に対して、後述するメッシュ部40A、40Bを追加して設けるようにしている。ここでのミックスチャンバ20も、図19で説明したように、航空機の空調システムが備えるものであり、ミックスチャンバ20自体は、基本的には、既存の構成である。そのため、実施例1で既に説明した構成には同じ符号を付し、ここでは、重複する説明は省略する。
【0042】
本実施例において、メッシュ部40Aは、枠部材41と横断部材42、43とメッシュ板44、45(第1の網状板)とメッシュ板46(第2の網状板)とを有している。
【0043】
枠部材41は、上部チャンバ21のフランジ21cや下部チャンバ22のフランジ22cと同じ大きさの略円環状に形成されており、フランジ21cとフランジ22cとの間をネジ等で固定する際、この枠部材41を挟み込んで固定して、ミックスチャンバ20の内部にメッシュ部40Aを配置するようにしている。
【0044】
枠部材41には、その内側を直径方向に横断するように、横断部材42、43が設けられており、横断部材42と横断部材43は互いに直交する位置に配置されている。そして、横断部材42の下部にメッシュ板44、45が取り付けられており、横断部材43の下部にメッシュ板46が取り付けられている。
【0045】
そして、本実施例でも、図7図8に示すように、メッシュ板44は、流入ポート27から流入する空気の当たる面が下方を向くように所定の角度で傾けて配置されており、また、メッシュ板45も、流入ポート28から流入する空気の当たる面が下方を向くように所定の角度で傾けて配置されている。図8に示すように、上記の所定の角度θとしては、例えば、流入ポート27から流入する空気の流れ方向F1に対して90°未満の角度とすればよく、90°未満であれば適宜に変更可能である。
【0046】
そして、メッシュ板44、45は、実施例1で示したメッシュ板31、32とは異なり、流入ポート27、28の出口から離して配置されており、流入ポート27、28の出口とメッシュ板44、45との間の開口部分47、48が、圧力損失や閉塞を防止する役目を果たしており、実施例1で示した開口部27b、27c、28b、28cと略同様の機能を有している。
【0047】
メッシュ板46は、両端が下部チャンバ22の中心を挟んで反対側の内壁22aであって、流入ポート27、28がない部分に接しており、下部チャンバ22の直径に渡って設けられている。また、下端が下部チャンバ22の底部22bと接しており、横断部材43から底部22bまでの深さに渡って設けられている。ここでは、メッシュ板46は、底部22bに対して垂直であるが、メッシュ板44、45と同じように、旋回する空気が当たる面が下方を向くように傾けてもよい。
【0048】
そして、メッシュ板44、45は、内端の上端が下部チャンバ22の中心であり、その内端はその全長に渡ってメッシュ板46と接しており、外端の上端が下部チャンバ22の内壁22aであり、外端はその全長に渡って下部チャンバ22の内壁22aに接しており、上端が下部チャンバ22の半径に渡って設けられている。また、下端が下部チャンバ22の底部22bと接しており、横断部材42から底部22bまでの深さに渡って設けられている。
【0049】
つまり、メッシュ板44~46は、下部チャンバ22の内部を仕切る役目を果たしており、下部チャンバ22の内部を複数(ここでは、4つ)の領域に仕切ることにより、各領域に存在する氷の動きが当該領域の範囲に拘束されることになり、氷の動きに伴う騒音の発生を抑制すると共に、氷の動きに伴う氷の成長も抑制することができる。
【0050】
なお、メッシュ板46によって仕切られている場合には、必ずしも、メッシュ板44、45でも仕切る必要はなく、その場合、メッシュ板44、45の大きさは、流入ポート27、28の径等に応じて、適宜に変更可能である。
【0051】
このように、本実施例においても、既存のミックスチャンバ20に対して、その内部に上述した構成のメッシュ板44~46を有するメッシュ部40Aを追加するようにしている。
【0052】
上述した構成により、図8に示すように、流入ポート27から流入した流れ方向F1の空気と共に流入する氷は、メッシュ板44に当たり、その方向を方向F2へ変えて、下部チャンバ22の底部22bに落とされることになる。そのため、氷はメッシュ板44には堆積し難くなる。そして、底部22bは、ミックスチャンバ20の内部で生成される旋回流の影響を受けにくい場所であるので、この底部22bに落とされた氷は、上部チャンバ21の流出ポート23~26へは流出し難くなる。これは、流入ポート28についても同様である。このようにして、下流側の流出ポート23~26への氷の流出を防止しており、実質的に、このミックスチャンバ20が氷を除去する機能を有することになる。また、ミックスチャンバ20で氷を除去できるので、下流側の空調ダクトにあるセンサ(温度センサ等)の破損を防止することもできる。
【0053】
また、メッシュ板44~46は、流入ポート27、28自体にではなく、これらより大きな空間である下部チャンバ22に設けられており、また、メッシュ部40Aの上部に開口部分47、48があり、上方への空気の逃げ道があるので、メッシュ部40Aの設置による圧力損失は小さく、また、メッシュ板44、45に氷が付着して、メッシュ板44、45自体が氷で塞がっても、流入ポート27、28自体が閉塞することにはならない。
【0054】
そして、実施例1で説明したように、下部チャンバ22の底部22bにはドレンが設けられており、メッシュ板44、45に付着した氷や底部22bに落とされた氷は、そのうちに溶けて、このドレンから排出されることになる。
【0055】
以上説明したように、上述した構成のメッシュ板44~46を有するメッシュ部40Aを既存のミックスチャンバ20に設けることにより、ミックスチャンバ20に氷除去機能を持たせることができ、航空機の空調システム内の氷を抑制することができる。また、従来よりも圧力損失が小さく、氷の付着による閉塞も防止することができる。また、氷除去装置がない機体の既存のミックスチャンバ20にも氷除去機能を持たせることができるので、実質的に、氷除去装置の後付けが可能となる。メッシュ部40Aは、上部チャンバ21と下部チャンバ22の間に挟み込むだけでよいので、極めて容易に後付け可能である。
【0056】
なお、図6図8で示したメッシュ部40Aに代えて、図9に示すメッシュ部40Bも使用可能である。このメッシュ部40Bは、メッシュ部40Aからメッシュ板46のみを除いた構成であり、他の構成は同じである。そのため、同じ構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0057】
メッシュ部40Aに代えて、メッシュ部40Bを使用する場合には、メッシュ板44、45により、下部チャンバ22の内部を2つの領域に仕切ることになり、メッシュ部40Aの場合より、仕切る領域が広くなるので、騒音の発生の抑制や氷の成長の抑制は劣るが、それら以外は、メッシュ部40Aの場合と同様の効果を得ることができる。
【0058】
[実施例3]
図10は、ミックスチャンバでの問題点を説明する概略図である。図11図14は、図10に示した問題点を解決するための構成例を示す図であり、図11は、第1の構成例を示す概略図、図12は、第2の構成例を示す概略図、図13は、第3の構成例を示す概略図、図14は、図13に示した第3の構成例を説明する上面図、図15は、第4の構成例を示す概略図である。なお、図10図13では、図を簡単にするため、図1に示した構成から説明に必要な構成のみを図示している。
【0059】
ミックスチャンバ20においては、図10で説明する問題が起こる可能性がある。具体的には、図10に示すように、空気に混入した氷71が流入ポート28から流入すると、下部チャンバ22から上部チャンバ21の方への上下流れにより、例えば、ミックスチャンバ20の内壁に沿う上下流れにより、氷71が巻き上がって、流出ポート25等から流出する可能性がある。そこで、本実施例では、上述した実施例1、実施例2に示したミックスチャンバ20に以下に説明する構成を更に追加することにより、氷71の巻き上がりを防止するようにしている。
【0060】
例えば、図11に示す第1の構成例は、円環状の環状板51をミックスチャンバ20の内壁に設けた構成である。環状板51を設ける高さ位置は、流出ポート23~26と流入ポート27、28との間であれば任意の位置でよいが、例えば、上述した上部チャンバ21のフランジ21cと下部チャンバ22のフランジ22cとの間に環状板51を挟み込むことで、環状板51を設けることもできる。
【0061】
この第1の構成例では、ミックスチャンバ20の内壁に沿う上下流れによって巻き上がった氷71の動きが環状板51で邪魔されるので、環状板51により、氷71の巻き上がりを防止することができる。この環状板51は、設置による圧力損失は小さく、また、環状板51の開口部分が氷71で閉塞することはない。
【0062】
また、図12に示す第2の構成例は、下部チャンバ22に代えて、内壁52aが傾いた下部チャンバ52を用いた構成である。この内壁52aは、下方(底部52bの方)を向くように傾けており、この傾きは適宜に設定可能である。
【0063】
この第2の構成例では、ミックスチャンバ20の内壁に沿う上下流れによって巻き上がった氷71が傾いた内壁52aに当たり、内壁52aの傾きにより、下方(底部52bの方)へ落ちてくるので、傾いた内壁52aにより、氷71の巻き上がりを防止することができる。この下部チャンバ52は、設置による圧力損失はなく、また、氷71による閉塞もない。
【0064】
また、図13に示す第3の構成例は、図14に示すようなメッシュ板60(第3の網状板)をミックスチャンバ20の内壁に設けた構成であり、この構成によりミックスチャンバ20の内部を上下に仕切っている。このメッシュ板60は、略円環状の枠部材61と、枠部材61の内側を直径方向に横断する横断部材62、63と、メッシュ64とを有しており、横断部材62と横断部材63は互いに直交する位置に配置されている。
【0065】
メッシュ板60を設ける高さ位置は、流出ポート23~26と流入ポート27、28との間であれば任意の位置でよいが、例えば、上述した上部チャンバ21のフランジ21cと下部チャンバ22のフランジ22cとの間にメッシュ板60を挟み込むことで、メッシュ板60を設けることもできる。また、実施例2に示したメッシュ部40A、40Bにおいては、枠部材41の内側の部分に図14に示すメッシュ64を設ければ良い。
【0066】
なお、メッシュ板60は、ミックスチャンバ20の内部に水平に配置されるが、上下に仕切ることができれば、傾けてもよい。更には、中央部分が凹又は凸となる半球状又は円錐状の形状でもよい。
【0067】
この第3の構成例では、巻き上がった氷71の動きがメッシュ板60で邪魔されるので、メッシュ板60により、氷71の巻き上がりを防止することができる。このメッシュ板60は、設置による圧力損失は小さく、また、メッシュ板60が氷71で閉塞する可能性も小さい。
【0068】
また、図15に示す第4の構成例は、図示省略している流入ポート27や流入ポート28の出口部分の内側に水平に配置された水平板53を設けた構成である。この水平板53は、その奥行き方向が流入ポート28の空気の流れ方向に平行な水平方向であり、その幅方向が水平方向であり、流入ポート28の直径に渡って設けられている。なお、ここでは、水平板53は、流入ポート28の直径に渡って設けられているが、直径未満の幅でもよく、その場合、旋回流により氷71が流れてくる方向(図15では左側)に寄って、直径未満の幅の水平板53を設ければよい。
【0069】
ここで、水平板53を設ける理由を説明する。ミックスチャンバ20では、空気が旋回して混合されるが、その際、その旋回流により氷71が流入ポート28の出口部分の内側に乗り上げ、そこから、更に、上部チャンバ21の方へ巻き上げられる可能性がある。そのような場合の氷の巻き上がりを防止するために水平板53を設けている。
【0070】
この第4の構成例では、流入ポート28の出口部分の内側に乗り上げた氷71が、水平板53に邪魔されて、上部チャンバ21の方へ巻き上がらなくなるので、この水平板53により、氷71の巻き上がりを防止することができる。この水平板53は、設置による圧力損失は小さく、また、水平板53が氷71で閉塞する可能性も小さい。
【0071】
以上説明したように、本実施例は、実施例1又は実施例2に示したミックスチャンバ20と組み合わせるものであり、実施例1又は実施例2で説明した効果に加えて、上述したように、氷71の巻き上がりを防止して、下流側の流出ポート23~26への氷71の流出を防止することができる。また、少数の部品の追加により、上述した効果を得ることができる。更には、第1~第4の構成例同士の組み合わせも可能であり、機体の特性に合わせたカスタマイズが可能となる。
【0072】
[実施例4]
図16は、ミックスチャンバでの問題点を説明する概略図である。図17図18は、図16に示した問題点を解決するための構成例を示す図であり、図17は、第5の構成例を示す概略図、図18は、第6の構成例を示す概略図である。なお、図16図18でも、図を簡単にするため、図1に示した構成から説明に必要な構成のみを図示している。
【0073】
ミックスチャンバ20においては、図16で説明する問題も起こる可能性がある。具体的には、図16に示すように、流入ポート28から流入した氷71が下部チャンバ22の底部22bを移動しながら成長する可能性がある。例えば、ミックスチャンバ20の内部には、空気の旋回流があるので、氷71が底部22bを旋回しながら移動すると共に、遠心力により底部22bの外周部分を移動すると考えられる。このような移動により氷71が成長し、成長した氷71の移動により、より大きな騒音を発生する可能性がある。そこで、本実施例では、上述した実施例1、実施例2に示したミックスチャンバ20に以下に説明する構成を更に追加することにより、氷71の成長を抑制すると共に、騒音の発生を防止するようにしている。
【0074】
例えば、図17に示す第5の構成例は、図示省略している流入ポート27や流入ポート28の下部より低い立設板54を下部チャンバ22の底部22bに設けた構成である。具体的には、下部チャンバ22の底部22bの外周部分にリブのような立設板54を少なくとも1つ(ここでは、2つ)設けている。複数の立設板54を設ける場合には、例えば、底部22bの外周部分の周方向において、一定の角度間隔で配置すればよい。
【0075】
この第5の構成例では、上記の立設板54により、氷71の移動を阻止して、氷71の成長を抑制すると共に、騒音の発生を防止することができる。立設板54は、流入ポート28より下の領域にあるので、設置による圧力損失はなく、また、流入ポート28を氷71で閉塞させることはない。
【0076】
また、図18に示す第6の構成例も、図示省略している流入ポート27や流入ポート28の下部より低い立設板55を下部チャンバ22の底部22bに設けた構成であるが、上記の立設板54より広い範囲に設けている。具体的には、立設板55は底部22bの直径に渡って設けられており、少なくとも1つの立設板55を設ければよい。この立設板55は、必ずしも、直径に渡って設ける必要はなく、少なくとも、底部22bの外周部分を含む長さであれば、直径未満の長さでもよい。また、複数の立設板55を設ける場合には、それらの配置方向は、互いに平行に配置してもよいし、互いに交差するように配置してもよい。
【0077】
この第6の構成例でも、上記の立設板55により、氷71の移動を阻止して、氷71の成長を抑制すると共に、騒音の発生を防止することができる。立設板55も、流入ポート28より下の領域にあるので、設置による圧力損失はなく、また、流入ポート28を氷71で閉塞させることはない。
【0078】
以上説明したように、本実施例も、実施例1又は実施例2に示したミックスチャンバ20と組み合わせるものであり、実施例1又は実施例2で説明した効果に加えて、上述したように、氷71の移動を阻止して、氷71の成長を抑制すると共に、騒音の発生を防止することができる。また、少数の部品の追加により、上述した効果を得ることができる。更には、実施例3に示した第1~第4の構成例との組み合わせや第5~第6の構成例同士の組み合わせも可能であり、機体の特性に合わせたカスタマイズが可能となる。
【0079】
なお、実施例2で示したメッシュ板46も、本実施例で示す立設板54、55と同等の役目を果たし、実施例1で示したミックスチャンバ20と組み合わせてもよく、実施例2と同様に、下部チャンバ22の内部にメッシュ板46を配置することになる。この場合、下部チャンバ22の内部を複数の領域に仕切ることにより、各領域に存在する氷の動きが当該領域の範囲に拘束されることになり、氷の成長を抑制すると共に、騒音の発生を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、航空機の空調システムに好適なものである。
【符号の説明】
【0081】
20 ミックスチャンバ
21 上部チャンバ
22 下部チャンバ
22a 内壁
22b 底部
23~26 流出ポート
27、28 流入ポート
27a、28a 出口フランジ
27b、27c、28b、28c 開口部
31、32 メッシュ板
40A、40B メッシュ部
41 枠部材
42、43 横断部材
44~46 メッシュ板
51 環状板
52 下部チャンバ
52a 内壁
52b 底部
53 水平板
54、55 立設板
60 メッシュ板
61 枠部材
62、63 横断部材
64 メッシュ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20