(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】駐車位置記憶システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20220905BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20220905BHJP
E04H 6/00 20060101ALI20220905BHJP
E04H 6/10 20060101ALI20220905BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220905BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20220905BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/13
E04H6/00 A
E04H6/10 A
G06Q50/10
G06Q50/30
(21)【出願番号】P 2018073376
(22)【出願日】2018-04-05
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】菅原 佑允
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-057985(JP,A)
【文献】特開2014-152458(JP,A)
【文献】特開2016-099885(JP,A)
【文献】特開2009-108477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/14
G08G 1/13
E04H 6/00
E04H 6/10
G06Q 50/10
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、車両キーについての車内外判定に基づく降車判定結果を送信する車両側送信部と、
駐車場に設けられ、
前記車両側送信部からの降車判定結果を受信する受信部と、
前記受信部で降車判定結果を受けた際の駐車位置情報を、予め
前記車両側送信部と紐付けて登録されている送付先に対して送信する送信部と
を備える、駐車位置記憶システム。
【請求項2】
前記受信部は、駐車場に配備される複数の無線アクセスポイントであり、
前記送信部は、降車判定結果を受けた無線アクセスポイントの位置に関する情報を駐車位置情報として送信する、請求項1に記載の駐車位置記憶システム。
【請求項3】
前記車両側送信部は、カーナビゲーションシステムであり、キーレスエントリー方式により車両キーの車内外判定において車両キーが車外にあることをもって駐車完了とする判定結果を前記受信部に対して送信する、請求項
1及び2のいずれか一項に記載の駐車位置記憶システム。
【請求項4】
前記受信部は、1つの駐車場において複数の箇所に配備され、
前記送信部は、前記受信部での駐車位置情報を取得しつつ当該1つの駐車場を一括管理する中央管理装置に設けられる、請求項1~
3のいずれか一項に記載の駐車位置記憶システム。
【請求項5】
前記受信部は、複数の駐車場において、単数または複数配置され、
前記送信部は、前記受信部での各駐車場における駐車位置情報を取得しつつ当該複数の駐車場を一括管理する中央管理装置に設けられる、請求項1~
3のいずれか一項に記載の駐車位置記憶システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場に駐車させた車両の位置を記憶して利用者に位置情報を提供する駐車位置記憶システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、大型複合施設等の大型駐車場に駐車させる、あるいは、大都市の駅前等において駐車場が近隣にいくつも存在しそれらのうちのいずれかに駐車させる、といった場合、利用者が、駐車後にどの位置に駐車させたかが分からなくなってしまう事態が生じ得る。
【0003】
これに対して、駐車場に駐車させた車両の位置情報を利用者に提供するものとして、利用者が所持するスマートフォン等の携帯通信端末から発信される情報を利用するものが知られている(特許文献1参照)。また、駐車時に利用者が所持するスマートフォン等の携帯機器が備える位置情報機能を利用することで、車両の位置情報を取得するものも知られている(特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1、2では、利用者が所持するスマートフォン等の携帯通信端末の種々の機能に依存しているため、位置把握の精度や確実性は、スマートフォンの能力に左右されることになる。例えば、スマートフォンの加速度センサーやGPS機能を利用して、駐車完了したか否かの確認や、駐車位置の把握をしようとした場合、利用者がスマートフォンを誤って落としたり、GPS機能が動作しないような場所であったりすると、意図する役割が果たせず、目的を達成できないことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-114840号公報
【文献】特開2017-34478号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、車両を駐車させた位置についての情報をより確実に取得できる駐車位置記憶システムを提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するための駐車位置記憶システムは、駐車場に設けられ、車両キーについての車内外判定に基づく降車判定結果を受信する受信部と、受信部で降車判定結果を受けた際の駐車位置情報を、予め登録されている送付先に対して送信する送信部とを備える。
【0008】
上記駐車位置記憶システムでは、車両において汎用的であってかつ機能として確立している車両キーについての車内外判定を利用している。具体的には、当該車内外判定に基づく降車判定結果を、駐車場に設けられた受信部において受信し、受信した際の受信部の駐車位置情報を送信部により予め登録されている送付先に対して送信している、すなわち利用者に対して伝達している。これにより、車両を駐車させた位置についての情報をより確実に利用者に取得させることができる。
【0009】
本発明の具体的な側面では、受信部は、駐車場に配備される複数の無線アクセスポイントであり、送信部は、降車判定結果を受けた無線アクセスポイントの位置に関する情報を駐車位置情報として送信する。この場合、駐車場に配備された無線アクセスポイントの位置で特定される車両の駐車位置を利用者に伝えることができる。
【0010】
本発明の別の側面では、車両に搭載され、車両キーの車内外判定に基づく降車判定結果を受信部に対して送信する車両側送信部を備える。この場合、車両側送信部からの送信をトリガーとして、車両の駐車位置の決定から利用者への車両の駐車位置の連絡までを行うことができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、車両側送信部は、カーナビゲーションシステムであり、キーレスエントリー方式により車両キーの車内外判定において車両キーが車外にあることをもって駐車完了とする判定結果を受信部に対して送信する。この場合、カーナビゲーションシステムを利用した通信と、キーレスエントリー方式による車両キーの車内外判定という確立された技術を利用することで、車内外判定に基づく降車判定結果と当該結果に基づく情報通信とを、確実なものにできる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、受信部は、1つの駐車場において複数の箇所に配備され、送信部は、受信部での駐車位置情報を取得しつつ当該1つの駐車場を一括管理する中央管理装置に設けられる。この場合、例えば大型複合施設等に設置される大型駐車場において、自己の車両の駐車位置の情報を利用者に確実に取得させることができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、受信部は、複数の駐車場において、単数または複数配置され、送信部は、受信部での各駐車場における駐車位置情報を取得しつつ当該複数の駐車場を一括管理する中央管理装置に設けられる。この場合、例えば駅前等の近隣にいくつも駐車場があるような場合において、自己の車両の駐車位置の情報を利用者に確実に取得させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る駐車位置記憶システムの一例についての概要を説明するための概念図である。
【
図2】駐車位置記憶システムが組み込まれた大型駐車場の一例を示す斜視図である。
【
図3】駐車位置記憶システムの一構成例について説明するための概念図である。
【
図4】(A)は、駐車位置記憶システムにおいて予め登録されている情報に関するデータの一例を示すデータ表であり、(B)は、駐車場に入場した車両に関する各種データの一例を示すデータ表である。
【
図5】(A)及び(B)は、車両側送信部と無線アクセスポイントとの間での送受信について説明するためのブロック図である。
【
図6】駐車位置記憶システムの動作の一例について説明するためのブロック図である。
【
図7】第2実施形態に係る駐車位置記憶システムが組み込まれた複数の駐車場の一例を示す概念図である。
【
図8】第2実施形態に係る駐車位置記憶システムの一構成例について説明するための概念図である。
【
図9】駐車位置記憶システムにより携帯通信端末に送信される情報を例示するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1実施形態〕
以下、
図1等を参照して、本発明の第1実施形態に係る駐車位置記憶システムについての一例を説明する。
図1は、本実施形態に係る駐車位置記憶システム100の一例についての概要を説明するための概念図であり、
図2は、
図1に例示するような駐車位置記憶システム100が組み込まれた駐車場の一例として、大型複合施設やイベント会場、あるいは、総合病院等に設けられる立体型の大型駐車場の一例を示す斜視図である。
【0016】
以下、
図1を参照して、本実施形態に係る駐車位置記憶システム100の概要を説明する。図示のように、駐車位置記憶システム100は、駐車場側に設けられる設備として、無線アクセスポイントAPと、中央管理装置50とを備える。また、車両VEのほうに搭載される設備として、駐車場側との通信機能を有する車載器MTを備える。以上における駐車位置記憶システム100での駐車後の駐車位置記憶の動作として、まず、車載器MTは、利用者である車両VEの運転手等が降車したことを確認すると、駐車完了の旨を示す送信情報S1を最寄りの無線アクセスポイントAPに対して送信する。次に、送信情報S1を受けた無線アクセスポイントAPは、駐車場を管理する中央管理装置50にその旨を無線アクセスポイントAP自身の位置を示す情報とともに送信し、中央管理装置50は、無線アクセスポイントAPから受けた情報から該当する無線アクセスポイントAPの位置情報を利用者の駐車させた車両の停車位置情報として、利用者のメールアドレス等に送信する。なお、この際、中央管理装置50は、併せて必要な情報をデータベース部DBに格納する。利用者は、例えば所持するスマートフォン等の携帯通信端末10で中央管理装置50から送信された上記情報を受ける。以上により、利用者は、駐車した位置を記憶するための動作といった車両の駐車以外の動作を駐車後において自発的に行うことなく、駐車させた自己の車両の位置情報を取得することができる。なお、中央管理装置50による車両の位置情報の提供内容としては、種々考えられるが、特に、
図2に例示するような立体型の大型駐車場の場合には、
図1に例示するように、駐車した階やエリアの情報を、文字情報や画像情報等にして携帯通信端末10の画面GG上に示すことが考えられる。
【0017】
ここで、駐車場に駐車させた車両の位置情報を利用者に提供するための方法としては、種々のものが考えられており、上記概要で説明した本実施形態のものとは異なる方法として、例えばスマートフォン等の携帯機器が備える加速度センサーやGPS機能(位置情報機能)を利用することや、携帯機器を使って、駐車した箇所の近隣に取り付けたQRコード(登録商標)を読み取る、あるいはカメラで撮影する、といったことが考えられる。ただし、これらのように、携帯機器の能力に左右される方法の場合、携帯機器の操作を誤ったり機能が発揮できない場所であったりすると、所望の目的を達成できない、すなわち駐車位置の記憶ができないことになる。また、そもそもこれらの場合、利用者が駐車後に携帯機器の操作を別途行わなければならず、利用者が自ら行うべき操作をし忘れてしまった場合も、駐車位置の記憶ができない。
【0018】
これに対して、本実施形態の駐車位置記憶システム100では、上記のように、車両側と駐車場側との間での情報送受信に基づいて駐車位置記憶を行い、スマートフォン等の携帯機器が備える機能を極力使用しない構成とすることで、駐車後に利用者が特段の携帯機器の操作を行うことなく、確実な位置把握及び位置記憶をすることを可能としている。
【0019】
以下、
図1~
図3等を参照して、上記において概要を説明した駐車位置記憶システム100を実現するための構成に関して、より詳細に説明する。なお、
図3は、
図2のような大型駐車場に組み込まれた駐車位置記憶システム100の一構成例について説明するための概念図である。この場合、
図3に例示するように、大型駐車場に対応するために、1つの駐車場において複数の箇所に無線アクセスポイントAP,AP…が配備されており、中央管理装置50は、複数の無線アクセスポイントAP,AP…における駐車位置情報を取得しつつ当該1つの駐車場を一括管理するものとなっている。
【0020】
図1~
図3等に示すように、また、既述のように、本実施形態に係る駐車位置記憶システム100は、駐車場に設けられる設備として、複数の無線アクセスポイントAP,AP…と、中央管理装置50とを備える。ここでは、一例として、駐車位置記憶システム100は、駐車場の全体を管理する全体管理システム500に組み込こまれているものとして説明するが、駐車位置記憶システム100を、車両の駐車位置を記憶することに特化したシステムとして、駐車場の全体管理とは別個独立に設ける構成とすることも可能である。
【0021】
また、駐車位置記憶システム100は、車両側に搭載される設備として、車載器MTを備える。車載器MTは、車両キーの車内外判定に基づく降車判定結果を受信部である各無線アクセスポイントAPに対して送信する車両側送信部としての機能と、キーレスエントリーシステムあるいはスマートエントリーシステムとしての機能、すなわち車両キーの車内外判定を行う機能とを有する。車載器MTは、車内外判定において車両キーが車外にあることをもって駐車完了とする判定結果を送信情報S1として、無線アクセスポイントAPに対して送信する。なお、各機能を有する車載器MTについての詳細は、
図5を参照して後述する。
【0022】
駐車位置記憶システム100のうち、複数の無線アクセスポイントAP,AP…は、駐車場の各部に設けられ、駐車を完了した車両VEに設けられた車載器MTからの降車判定結果についての送信情報S1を受信する受信部として機能する。複数の無線アクセスポイントAP,AP…は、特定のエリア内において、例えばWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)による通信や、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等による通信といった種々の近距離無線通信による情報の交換が可能となっている。また、例えば
図3に示すように、各無線アクセスポイントAPは、有線又は無線により中央管理装置50と接続されており、自己の管轄エリアで受信した情報を中央管理装置50に送信可能となっている。各無線アクセスポイントAPは、例えば
図2に示すように、駐車場のエリアごとに配置され、各エリア内において近距離無線通信による情報の交換が可能となっている。つまり、車両VEは、通信機器である車載器MTによって、駐車場内の1つの駐車エリアごとに対応する1つの無線アクセスポイントAPのみと通信可能になっている。例えば、
図2において一部拡大して示すように、駐車場内の一画において4つの区画に仕切られた駐車エリアA~Dには、それぞれに対応する4つの無線アクセスポイントAPA~APDが設けられている。図に例示するように、車両VEが駐車エリアCに駐車した場合、車両VEは、駐車エリアCに対応する無線アクセスポイントAPCとのみ通信が可能となっており、近隣の他の無線アクセスポイントAPA,APB,APDや、図示を省略するさらに離れた位置に配置される無線アクセスポイントとは、通信がなされないようになっている。以上のように、各無線アクセスポイントAPによる通信可能エリアが規定されていることで、各無線アクセスポイントAPと対応する駐車エリアとが1対1の関係になっている。
【0023】
以上のような複数の無線アクセスポイントAP,AP…が、駐車場内の駐車エリアに配置されていることにより、例えば
図3に示すように、区画された通信可能エリアD1~D3ごとの単位で、車両VEとの通信が可能となっている。各無線アクセスポイントAP1~AP3は、自己の管轄範囲である通信可能エリアD1~D3において、車両VEの車載器MTから受信した情報を、中央管理装置50に対して送信する。
【0024】
中央管理装置50は、駐車場の全体を管理する全体管理システム500の主要部として、駐車場における各種管理を統括制御する管理部であり、例えば管理用サーバーやPC等で構成され、各種演算処理を行うためのCPUのほか、各種データやプログラムを格納するメモリ等を含む。ここでは、中央管理装置50は、駐車位置記憶システム100を構成するものとして機能すべく、駐車場に入場する車両についての情報を管理するのみならず、複数の無線アクセスポイントAP,AP…の配置についての情報を管理するほか、車両に関して、事前に登録される車載器の情報や駐車位置情報を送信するために予め登録されている送付先の情報を管理する。このため、中央管理装置50は、各種情報を格納するデータベース部DBを有している。なお、図示では、分かりやすくするため、データベース部DBを本体部分から外部接続した状態で示しているが、中央管理装置50の本体部分に内蔵されているものとしてもよい。
【0025】
中央管理装置50は、各無線アクセスポイントAPからの送信結果と、管理する車載器に関する情報とを照合して、対応する連絡先に対して連絡をする。典型的には、メール送信等により、利用者が所持するスマートフォン等の携帯通信端末10に対して、対応する無線アクセスポイントAPの位置情報を車両の駐車位置情報として送信する。
【0026】
ここで、上記のような携帯通信端末10への通知の動作を可能とするための前提として、中央管理装置50は、ネットワーク回線INを介して駐車場の利用者の携帯通信端末10との通信を可能として事前登録を受け付けている。具体的には、携帯通信端末10からのアクセスを受け付けて、車載器MT及び車載器MTを搭載した車両VEに関する情報の事前登録がなされるようにしている。ここでは、一例として、
図4(A)に示すように、事前登録情報として、車載器MTを特定するための車載器IDの情報とこれに紐付けされたメールアドレス等の連絡先の情報がデータベース部DBに登録されている。また、
図4(B)に一例を示すように、中央管理装置50は、駐車場における各種管理を統括制御する統括制御部として、入場した車両に関する情報の管理を、データベース部DBにおいて各種情報を格納しつつ行っている。例えば、上記のようにして、複数の無線アクセスポイントAP,AP…のうちの一の無線アクセスポイントAPにおける車載器の検知結果から、事前に登録された車載器MTに対応する車両を認識すると、当該一の無線アクセスポイントAPの位置情報であるAP情報(アクセスポイント情報)を、対応する登録車載器の位置情報として情報を紐付ける。さらに、中央管理装置50は、対応する登録連絡先に対して、駐車位置情報を送信する。すなわち、中央管理装置50は、受信部である無線アクセスポイントAPにおいて降車判定結果を受けた際の駐車位置情報を、予め登録されている送付先に対して送信する送信部として機能する。
【0027】
また、ここでは、
図4(A)においてさらに例示しているように、中央管理装置50は、車載器及び連絡先の情報に加えて、必要に応じて選択的に、対応する車両の車番についても登録を受け付け可能としている。一方、中央管理装置50は、
図4(B)においてもさらに例示するように、駐車場に入場する車両を管理する管理部として、車両の入場時に発券する駐車券の番号や入場する車両の車番等を管理する。例えば、入場口において、発券機とともに車番読み取り用のカメラ等を設置しておくことで、車両の入場に際して発券した駐車券の番号とカメラから読み取った車番とを紐付けして管理することができる。ここでは、さらに、入場口で読み取った車番とデータベース部DBに予め登録されている登録車番とを照合することで、これらの紐付けも可能であるものとする。さらに、中央管理装置50は、当該駐車場が設置される施設の情報との紐付けも可能であり、
図4(B)にさらに例示するように、登録されている利用者(顧客)の顧客情報と車両の情報とが結びつけられているものとしてもよい。
【0028】
以下、
図5(A)及び5(B)を参照して、本実施形態に係る車両側での構成及び動作、すなわち車載器MTの構成及び動作について一例を説明する。
【0029】
まず、前提として、既述のように、車両VEには、各無線アクセスポイントAPに対して通信可能とするための車載器MTが搭載されており、かつ、車両キーの内外判定が可能になっているものとする。具体的には、車載器MTは、無線アクセスポイントAPとの通信を行う車両側送信部VCと、車両キーの内外判定を行うシステムとして機能するキー検知部KDとを備える。
【0030】
車両側送信部VCは、無線アクセスポイントAPとの近距離通信を可能とするためのアンテナ部等により構成されている。典型的には、車両側送信部VCは、カーナビゲーションシステムを利用して構成することが考えられる。すなわち、カーナビゲーションシステムが有する通信機能を利用することで、複数の無線アクセスポイントAP,AP…との近距離無線通信による情報の交換が可能な車両側送信部VCを構成できる。
【0031】
キー検知部KDは、車両VEのキーである車両キーKYとの近距離通信を可能としており、特に、車両キーKYが車両VEの中にいるか外にいるのかを判定可能とするシステムで構成されている。なお、キー検知部KDについては、既存のキーレスエントリーシステムあるいはスマートエントリーシステムを利用することができる。つまり、既に確立されているキーレスエントリー方式あるいはこれをさらに発展させたスマートエントリー方式等で構成することで、車両キーKYの検知を確実に行うことができる。
【0032】
以上のような構成であることにより、車載器MTは、車両キーKYの車内外判定に基づく降車判定結果を受信部である最寄りの無線アクセスポイントAPに対して送信することができる。
【0033】
以下、車載器MTの動作について説明する。まず、
図5(A)に示すように、車載器MTは、キー検知部KDにおいて車両VEの車内に車両キーKYがあると判定された場合には、まだ駐車が完了していないと判断し、車両側送信部VCによる無線アクセスポイントAPへの自己の情報の送信は行わないようにする。一方、
図5(B)に示すように、キー検知部KDにおいて車両VEの車内に車両キーKYが無いと判定された場合には、車載器MTは、車両側送信部VCを起動させて、無線アクセスポイントAPへの自己の情報の送信を開始する。すなわち、無線アクセスポイントAPは、車両VEの駐車が完了して利用者(運転手)が車両から降車した場合にのみ、その旨の情報を車載器MTから受け取ることになる。また、以上の動作に際して、利用者は、通常の車両の駐車動作のみを行えばよく、駐車位置を記憶するための特段の動作を行う必要が無い。つまり、自己の所持するスマートフォンを利用して現在地を記憶させたり、駐車した箇所の近隣にあるQRコード(登録商標)を読み取ったりといったことを要せずに、駐車完了とともに、自動的に自己の車両の駐車位置の情報を取得することができる。
【0034】
以下、
図6のブロック図を参照して、上記構成に基づく駐車位置記憶システム100での駐車位置記憶に関する一連の動作について、具体的に説明する。
【0035】
まず、前提として、図示の場合では、中央管理装置50は、各種情報を格納するデータベース部DBのほか、各部との通信を行う通信部TAと、各種動作のための判断や指令信号の送信を行う主制御部MCとで構成されているものとする。すなわち、主制御部MCは、データベース部DBや通信部TAに接続され、各種指令をし、データベース部DBや通信部TAは、主制御部MCからの指示に従って動作する。
【0036】
通信部TAは、駐車場の場内PLに設置されている各無線アクセスポイントAP1,…APnと接続され、これらから送信される情報を受け付ける。また、通信部TAは、ネットワーク回線INによる外部との接続のためのインターフェース部としても機能する。すなわち、通信部TAは、中央管理装置50において、各無線アクセスポイントAP1,…APnから降車判定結果を受ける受信部としての役割を担い、また、降車判定結果を受けた際の駐車位置情報を予め登録されている送付先に対して送信する送信部としての役割を担う。
【0037】
データベース部DBは、既述のように、各種データを管理する。このため、主制御部MCからの指令に従って、通信部TAを介して取得した利用者や利用者の車両あるいは車載器に関する各種データをデータベース化して格納する。
【0038】
以下、上記構成の駐車位置記憶システム100での動作について説明する。駐車位置記憶システム100において、まず、各無線アクセスポイントAP1,…APnのいずれかに対応する駐車エリアにおいて、利用者による通常の車両の駐車動作の完了すなわち利用者の降車を各車載器MT1,…MTmが検知するとともに、各車載器MT1,…MTmが駐車位置に対応する無線アクセスポイントAP1,…APnとの通信をそれぞれ行う。すなわち、車両側送信部VCによる送信情報S1の送信がなされる。各車載器MT1,…MTmからの送信情報S1を受けた無線アクセスポイントAP1,…APnは、さらに中央管理装置50に対して自己の情報を付加して信号送信をする。中央管理装置50の通信部TAにおいて各無線アクセスポイントAP1,…APnからの送信情報が受け取られると、中央管理装置50の主制御部MCは、各無線アクセスポイントAP1,…APnからの情報について、各車載器MT1,…MTmと各無線アクセスポイントAP1,…APnとの紐付けや、対応する登録情報との照合といった各種処理を行う。車載器についての照合の結果、登録情報内に該当する車載器が確認された場合、中央管理装置50は、ネットワーク回線INを介して、該当する連絡先へそれぞれ送信する。以上により、利用者は、自己の車両の駐車位置の情報を取得することができる。なお、中央管理装置50は、照合の結果、登録情報内に該当する車載器が確認されない場合、特に何も処理をしないものとしてもよいが、例えば対応する無線アクセスポイントAPを介して、車載器に対して本システムへの登録を促すための情報提供を行うものとしてもよい。
【0039】
以上のように、本実施形態の駐車位置記憶システム100では、車両VEにおいて汎用的であってかつ機能として確立している車載器MTでのキーレスエントリーシステム等による車両キーKYについての車内外判定を利用している。具体的には、車載器MTが、当該車内外判定に基づく降車判定結果を駐車完了した車両に関する情報として、駐車場に設けられた受信部である無線アクセスポイントAPに送信し、車載器MTからの情報を無線アクセスポイントAPで受信した際の無線アクセスポイントAPの位置情報を駐車位置情報として、送信部である中央管理装置50により、予め登録されている送付先に対して送信している、すなわち利用者に対して伝達している。これにより、車両を駐車させた位置についての情報をより確実に利用者に取得させることができる。特に、本実施形態の場合、大型駐車場においてどこに自己の車両を駐車させたか分からなくなってしまう、といった事態を回避できる。
【0040】
〔第2実施形態〕
以下、
図7等を参照して、第2実施形態に係る駐車位置記憶システムについて説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態の駐車位置記憶システムの変形例であり、受信部である各無線アクセスポイントが、複数の駐車場において単数または複数配置され駐車場ごとに管理を行う構成となっていること以外については、第1実施形態の場合と同様であるので、各構成の詳しい説明については省略する。
【0041】
図7は、本実施形態に係る駐車位置記憶システム200が組み込まれた複数の駐車場の一例を示す概念図である。また、
図8は、
図7に例示する複数の駐車場に対して設けた駐車位置記憶システム200の一構成例について説明するための概念図であり、第1実施形態の
図3に対応する図である。また、
図9は、駐車位置記憶システム200により携帯通信端末に送信される情報を例示するための概念図である。
【0042】
ここでは、
図7に例示するように、X駅の近隣に第1駐車場LA、第2駐車場LB及び第3駐車場LCの3つの駐車場があるものとし、
図8に示すように、これらの駐車場LA~LCの全体を中央管理装置250において一括管理しているものとする。また、ここでは、
図8に示すように、各駐車場LA~LCには、単数または複数の無線アクセスポイントAPが配置されている。より具体的には、各駐車場LA~LCのうち、第1駐車場LAには、2つの無線アクセスポイントAP1a,AP1bが設置されており、第2駐車場LBには、1つの無線アクセスポイントAP2が設置されており、第3駐車場LCには、1つの無線アクセスポイントAP3が設置されている。また、各駐車場LA~LCごとに、通信部TTA,TTB,TTCが設けられており、対応する無線アクセスポイントAP1a,AP1b,AP2,AP3に接続されて、これらから各駐車場LA~LCに駐車している車載器MTすなわち車両VEについての検知情報を受けている。以上の構成において、例えば第1駐車場LAを管轄する無線アクセスポイントAP1a,AP1bは、自己の管轄範囲である通信可能エリアD1a,D1bにおいて、車両VEの車載器MTから受信した情報を、通信部TTAに対してそれぞれ送信する。この際、通信可能エリアD1a,D1bによって第1駐車場LAの駐車範囲全体がカバーされている。一方、第2駐車場LBを管轄する無線アクセスポイントAP2は、自己の管轄範囲である通信可能エリアD2によって第2駐車場LBの駐車範囲全体をカバーしている。同様に、第3駐車場LCを管轄する無線アクセスポイントAP3は、自己の管轄範囲である通信可能エリアD3によって第3駐車場LCの駐車範囲全体をカバーしている。また、各無線アクセスポイントAP1a,AP1b,AP2,AP3及び各通信部TTA,TTB,TTCは、駐車場ごとに設けられた第1~第3駐車場管理装置PM1~PM3での管理の下、動作制御がなされている。なお、第1~第3駐車場管理装置PM1~PM3は、各駐車場LA~LCにおいて必要な駐車管理のための各種処理を行う装置であり、例えば料金精算を要する場合には、精算処理等を行うための駐車時間等の管理を行う。なお、各第1~第3駐車場管理装置PM1~PM3は、ネットワーク回線INにより接続される各通信部TTA,TTB,TTCを介して、中央管理装置250によって動作状況を確認されるものとしてもよい。
【0043】
中央管理装置250は、ネットワーク回線INを介して各通信部TTA,TTB,TTCに接続されていることで、各通信部TTA等からの通信結果についてデータベース部DBに格納されている登録情報との照合等を行い、無線アクセスポイントAP1a等の位置情報を、駐車位置情報として予め登録されている送付先に対して送信する。すなわち、中央管理装置250は、降車判定結果を受けた際の駐車位置情報を予め登録されている送付先に対して送信する送信部として機能する。また、この場合、例えば
図9に示すように、文字情報や地図情報による駐車場の位置として、複数の第1~第3駐車場LA~LCのうち、いずれの駐車場に駐車したか等が分かるように情報提供がなされる。以上のように、中央管理装置250は、受信部である無線アクセスポイントAP1a等での各駐車場LA等における駐車位置情報を取得しつつ複数の駐車場LA~LCを一括管理するものとなっている。
【0044】
本実施形態においても、車両VEにおいて汎用的であってかつ機能として確立している車載器MTでの車両キーについての車内外判定を利用して、各無線アクセスポイントAPに駐車完了した車両に関する情報を受信させ、受信した際の無線アクセスポイントAPの位置情報を駐車位置情報として、中央管理装置50により予め登録されている送付先に対して送信するようにしている。これにより、車両を駐車させた位置についての情報をより確実に利用者に取得させることができる。特に、本実施形態の場合、駅の近隣に複数の駐車場があり、どの駐車場に自己の車両を駐車させたか分からなくなってしまうことを回避できる。
【0045】
〔その他〕
この発明は、上記の上記各実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0046】
まず、上記では、
図4(A)において、車載器及び連絡先の情報のみならずこれらに加えて、対応する車両の車番についても登録を受け付け可能としているものとしているが、車載器及び連絡先の情報のみを受け付ける構成としてもよい。また、逆に、登録内容に関して、車両の車番以外の他の情報についても付加してもよい。また、上記では、車両の車番についても登録を受け付け可能とし、さらに
図4(B)に示すように、種々の情報との紐付けをしているが、これらについて行わない態様としてもよい。また、逆に、さらにこれら以外の情報についても付加してもよい。なお、例示した顧客情報等のような付加情報については、例えば大型ショッピングモールの駐車場であれば、その日のサービス情報やイベント情報等を紐付けされているメールアドレスへ通知してもよい。また、例えば、病院施設等に設けた駐車場であれば、中央管理装置での駐車完了の情報取得を、通院患者の受付処理と紐付けしてもよい。
【0047】
また、例えば一時利用をする車両のための有料駐車場の場合であれば、中央管理装置での駐車完了の情報取得を、駐車時間の開始時刻として取り扱うようにすることが考えられる。すなわち、入場時を駐車時間の開始とせず、駐車完了の時刻をもって駐車時間の開始とすることで、入場から駐車場所を探して駐車を完了するまでにロスした時間を駐車料金の対象となる時間から除外できる。
【0048】
また、上記では、車両側送信部VCの例として、カーナビゲーションシステムを示したが、上記通信等の動作が可能な装置等であれば、カーナビゲーションシステム以外の種々のものを適用できる。
【0049】
また、上記では、図示において、車両VEを、四輪自動車で示しているが、これに限らず、種々の車両において対応可能であり、さらに、四輪自動車や二輪バイクを駐車させる駐車場に限らず、例えば、自転車を停める駐輪場において、本願を適用することも考えられる。例えば、自転車の鍵を掛ける際に生じる微弱な電波等を利用して、無線アクセスポイントとの通信をし、これを車内外判定に基づく降車判定結果として受けたものとすることで、同様の動作を行うことが考えられる。
【0050】
また、中央管理装置からの予め登録されている送付先に対する送信についても、ネットワーク回線を利用したメール送信に限らず、SNS等を利用した連絡等、種々の態様が考えられ、さらに、例えば、種々の近距離無線通信を利用して送信を行うものとしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
A-D…駐車エリア、AP,AP1-AP3,AP1a,AP1b,APA-APD,APn…無線アクセスポイント、D1-D3…通信可能エリア、DB…データベース部、GG…画面、ID…車載器、IN…ネットワーク回線、KD…キー検知部、KY…車両キー、LA-LC…駐車場、MC…主制御部、MT,MT1-MTm…車載器、PL…場内、PM1-PM3…駐車場管理装置、S1…送信情報、TA,TTA,TTB,TTC…通信部、VC…車両側送信部、VE…車両、10…携帯通信端末、50…中央管理装置、100…駐車位置記憶システム、200…駐車位置記憶システム、250…中央管理装置、500…全体管理システム