(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】事故復旧予測装置および事故復旧予測方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20220905BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220905BHJP
【FI】
G08G1/00 C
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2018093325
(22)【出願日】2018-05-14
【審査請求日】2020-12-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和樹
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-297898(JP,A)
【文献】国際公開第2014/199503(WO,A1)
【文献】特開2007-047034(JP,A)
【文献】特開2010-286277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に関する事故発生状況情報を取得する取得部と、
前記事故発生状況情報と事故復旧時間との対応を示す過去事例情報に含まれる
、気象状態、事故発生時刻、事故種別、事故発生場所、事故車両の数、事故車両の車種、負傷者の数、火災状況、道路規制状況、道路状態、事故発生場所の車線数、閉鎖車線数、規制距離、事故車両の自走可否、および、事故発生場所から所定範囲内に位置する施設、の少なくとも1つである複数の項目
の内、前記事故種別、前記事故発生場所、および前記事故車両の数に、他の前記項目に比べて高い重み付け値を予め設定しておき、高い前記重み付け値を設定した前記項目の類似度が閾値以上の前記事故発生状況情報に対応する前記事故復旧時間に基づいて、取得した前記事故発生状況情報の事故復旧予測時間を導出する導出部と、
を備える事故復旧予測装置。
【請求項2】
前記事故復旧予測時間は、
道路の通行止が解除される解除予定時間、または、道路の車線規制が解除される解除予定時間を示す、
請求項1に記載の事故復旧予測装置。
【請求項3】
前記導出部は、
事故発生時の事故時気象状態および事故発生から予め定めた時間後の予測気象状態の内、事故の復旧に、より支障の生じる気象を示す前記事故時気象状態または前記予測気象状態を前記気象状態として含む前記事故発生状況情報に基づいて、前記事故復旧時間を導出する、
請求項
1に記載の事故復旧予測装置。
【請求項4】
前記事故復旧予測時間を出力する出力制御部を備える、
請求項1~請求項
3の何れか1項に記載の事故復旧予測装置。
【請求項5】
事故復旧予測方法であって、
取得部において、道路に関する事故発生状況情報を取得する取得ステップと、
導出部において、前記事故発生状況情報と事故復旧時間との対応を示す過去事例情報
に含まれる
、気象状態、事故発生時刻、事故種別、事故発生場所、事故車両の数、事故車両の車種、負傷者の数、火災状況、道路規制状況、道路状態、事故発生場所の車線数、閉鎖車線数、規制距離、事故車両の自走可否、および、事故発生場所から所定範囲内に位置する施設、の少なくとも1つである複数の項目
の内、前記事故種別、前記事故発生場所、および前記事故車両の数に、他の前記項目に比べて高い重み付け値を予め設定しておき、高い前記重み付け値を設定した前記項目の類似度が閾値以上の前記事故発生状況情報に対応する前記事故復旧時間に基づいて、取得した前記事故発生状況情報の事故復旧予測時間を導出する導出ステップと、
を含む事故復旧予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、事故復旧予測装置および事故復旧予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
事故復旧予測を行うシステムが知られている。例えば、列車に関わる事故の復旧予測情報を配信するシステムが知られている。また、通行止の復旧作業の工程が、復旧着手段階から規制解除段階までの何れの段階にあるかをリアルタイムで表示するシステムが開示されている。また、交通事故履歴データを格納し、特定の位置に応じた交通事故関連情報を検索して提供するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-280411号公報
【文献】特開2010-66864号公報
【文献】特表2018-505422号公報
【文献】特開2002-269291号公報
【文献】特開2003-115094号公報
【文献】特開2014-35639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、列車に関わる事故の復旧予測を行うことはできるが、道路上で生じる事故について、復旧予測を行う事は困難であった。また、従来技術では、表示された通行止の復旧作業の段階に基づいて、ユーザが復旧時間を推測する必要があり、高精度な事故復旧予測時間を提供することは困難であった。また、従来技術では、道路に関する事故復旧予測時間の提供は行われていなかった。従って、従来技術では、道路に関する事故復旧予測時間を高精度に予測することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施の形態の事故復旧予測装置は、取得部と、導出部と、を備える。取得部は、道路に関する事故発生状況情報を取得する。導出部は、前記事故発生状況情報と事故復旧時間との対応を示す過去事例情報に含まれる、気象状態、事故発生時刻、事故種別、事故発生場所、事故車両の数、事故車両の車種、負傷者の数、火災状況、道路規制状況、道路状態、事故発生場所の車線数、閉鎖車線数、規制距離、事故車両の自走可否、および、事故発生場所から所定範囲内に位置する施設、の少なくとも1つである複数の項目の内、前記事故種別、前記事故発生場所、および前記事故車両の数に、他の前記項目に比べて高い重み付け値を予め設定しておき、高い前記重み付け値を設定した前記項目の類似度が閾値以上の前記事故発生状況情報に対応する前記事故復旧時間に基づいて、取得した前記事故発生状況情報の事故復旧予測時間を導出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施の形態の通信システムの模式図である。
【
図2】
図2は、情報処理装置のハードウェア構成図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の機能的構成の機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、過去事例情報のデータ構成の模式図である。
【
図6】
図6は、ランク情報のデータ構成の模式図である。
【
図7】
図7は、情報処理の手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、事故復旧予測装置および事故復旧予測方法の一の実施の形態を詳細に説明する。
【0008】
図1は、本実施の形態の情報処理システム1の一例を示す模式図である。
【0009】
情報処理システム1は、交通管制装置10と、端末装置12と、路側機14と、表示装置16と、を備える。交通管制装置10と、端末装置12と、路側機14と、表示装置16とは、ネットワーク18を介して無線または有線により通信可能に接続されている。
【0010】
交通管制装置10は、情報処理装置の一例である。交通管制装置10は、事故復旧予測時間を導出する。事故復旧予測時間は、道路Rに関する事故の復旧予測時間を示す。道路Rは、車両20が走行するための通路である。道路Rに関する事故とは、車両20の進行を妨げる事象を示す。例えば、道路Rに関する事故は、1または複数の車両20による事故や、道路Rの陥没や破損などの障害や災害を示す。本実施の形態では、交通管制装置10は、このような道路Rで発生した事故の事故復旧予測時間を導出する。事故復旧予測時間の導出の詳細は、後述する。
【0011】
端末装置12は、ユーザによって操作される。端末装置12は、例えば、携帯端末や、モバイルパソコンや、公知のパーソナルコンピュータである。端末装置12は、ネットワーク18を介して交通管制装置10と通信する通信機能と、ユーザによる入力を受付ける入力受付機能と、音や画像を出力する出力機能と、を有する。入力受付機能は、例えば、音声や文字の入力を受付ける機能である。
【0012】
本実施の形態では、端末装置12は、事故の発生を示す情報の入力を受付ける。例えば、道路R上で発生した事故を確認したユーザは、端末装置12を操作することで、事故発生を示す情報を入力する。
【0013】
図1には、道路Rを走行する複数の車両20(例えば、車両20A~車両20E)の内、3台の車両20(車両20B~車両20D)による事故が発生した状態を、一例として示した。この場合、ユーザは、端末装置12を操作することで、これらの3台の車両20による事故の発生を示す情報を、入力する。端末装置12は、入力された事故発生を示す情報を、ネットワーク18を介して交通管制装置10へ送信する。なお、端末装置12が通話機能を有する場合、端末装置12は、事故発生を示す情報を、電話回線を介して交通管制装置10へ送信してもよい。また、事故発生を示す情報は、他の機器や公知の手段により、交通管制装置10へ送信されてもよい。
【0014】
路側機14は、車両20に搭載された車載装置21と無線通信する。また、路側機14は、ネットワーク18を介して交通管制装置10と通信する。このため、車載装置21と交通管制装置10は、路側機14およびネットワーク18を介して通信可能である。
【0015】
路側機14は、例えば、ITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)スポットや、ETC(Electronic Toll Collection System、電子料金収受システム)や、路側無線装置(RSU(Road-Side Unit)などである。また、路側機14は、車載装置21と交通管制装置10との無線通信を中継する通信基地局であってもよい。
【0016】
路側機14と車載装置21との無線通信には、公知の無線通信方式を用いればよい。例えば、路側機14と車載装置21との通信には、DSRC(狭域通信:Dedicated Short Range Communication)や、車車間・路車間通信(V2X:Vehicle-to-Everything)を用いればよい。
【0017】
本実施の形態では、路側機14は、道路Rに沿って所定間隔ごとに配置されている。このため、道路Rを走行する車両20に搭載された車載装置21は、路側機14およびネットワーク18を介して交通管制装置10と通信可能である。
【0018】
表示装置16は、各種情報を表示する表示機能と、ネットワーク18を介して交通管制装置10と通信する通信機能と、を備える。本実施の形態では、表示装置16は、道路Rを走行する車両20を運転する運転者から視認可能な位置に、予め設置されている。なお、表示装置16の設置位置は、上記位置に限定されない。
【0019】
次に、交通管制装置10のハードウェア構成の一例を説明する。
【0020】
図2は、交通管制装置10のハードウェア構成図の一例である。交通管制装置10は、CPU(Central Processing Unit)10A、ROM(Read Only Memory)10B、RAM(Random Access Memory)10C、およびI/F10D等がバス10Eにより相互に接続されており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0021】
CPU10Aは、本実施の形態の交通管制装置10を制御する演算装置である。ROM10Bは、CPU10Aによる各種処理を実現するプログラム等を記憶する。RAM10Cは、CPU10Aによる各種処理に必要なデータを記憶する。I/F10Dは、通信部、入力部、および表示部などの機器に接続し、データを送受信するためのインターフェースである。本実施の形態の交通管制装置10で実行される情報処理を実行するためのプログラムは、ROM10B等に予め組み込んで提供される。
【0022】
次に、交通管制装置10の機能的構成を説明する。
【0023】
図3は、交通管制装置10の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。交通管制装置10は、制御部30と、通信部32と、入力部34と、表示部36と、記憶部38と、を備える。通信部32、入力部34、表示部36、および記憶部38と、制御部30とは、データや信号を授受可能に接続されている。
【0024】
通信部32は、ネットワーク18を介して各種機器と通信する。本実施の形態では、通信部32は、ネットワーク18を介して、端末装置12、路側機14、および表示装置16と通信する。
【0025】
入力部34は、ユーザによる操作指示を受付ける。入力部34は、キーボード、タッチパネル、ポインティングデバイス、マウス、入力ボタンなどである。
【0026】
表示部36は、各種情報を表示する。表示部36は、例えば、公知のLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。
【0027】
記憶部38は、各種情報を記憶する。本実施の形態では、記憶部38は、過去事例情報38Aおよびランク情報38Bを記憶する。過去事例情報38Aおよびランク情報38Bの詳細は後述する。
【0028】
制御部30は、交通管制装置10を制御する。制御部30は、取得部30Aと、導出部30Bと、判断部30Cと、出力制御部30Dと、更新部30Eと、修正部30Gと、を備える。取得部30A、導出部30B、判断部30C、出力制御部30D、更新部30E、および修正部30Gの一部またはすべては、例えば、CPU10Aなどの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)などのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
【0029】
取得部30Aは、道路Rに関する事故発生状況情報を取得する。
【0030】
事故発生状況情報は、道路Rで発生した事故の発生状況を示す情報である。事故発生状況情報は、気象状態、事故発生時刻、事故種別、事故発生場所、事故車両の数、事故車両の車種、負傷者の数、火災状況、道路規制状況、道路状態、事故発生場所の車線数、閉鎖車線数、規制距離、事故車両の自走可否、および、事故発生場所から所定範囲内に位置する施設、の少なくとも1つを示す。
【0031】
気象状態は、気温、湿度、風、雲量、視程、雨、雪、雷などの気象に関係する要素を総合した大気の状態を示す情報である。気象状態は、例えば、快晴、晴れ、曇り、霧、霧雨、弱雨、豪雨、雪、などによって表される。なお、気象状態の種類は、これらに限定されない。
【0032】
事故発生時刻は、道路R上で発生した事故の発生タイミングを示す情報である。事故発生時刻は、例えば、年月日時分で表される。なお、事故発生時刻は、月日時分で表してもよい。また、事故発生時刻は、事故の発生した時間帯を示す情報であってもよい。
【0033】
事故種別は、道路Rで発生した事故の種別を示す情報である。事故種別は、例えば、追突、衝突、横転、故障、などであるが、これらに限定されない。
【0034】
事故発生場所は、事故の発生場所を示す情報である。事故発生場所は、事故の発生場所を示す情報であればよい。例えば、事故発生場所は、事故の発生した道路Rの名称、事故の発生した地域の名称、事故の発生位置を示す位置座標、などで表される。
【0035】
事故車両の数は、事故に関与した車両20の数を示す。事故車両の数は、例えば、“多重:N”(Nは2以上の整数)や、“単独”、で表される。単独は、事故車両の数が“1”であることを示す。なお、事故車両の数は、事故に関与した車両20の車種ごとに、車両20の数を示す情報であってもよい。車両20の車種は、例えば、普通自動車、小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車、などである。なお、車両20の車種は、これらに限定されない。
【0036】
負傷者の数は、事故により負傷した人の数を示す情報である。火災状況は、事故により発生した火災の状況を示す情報である。道路規制状況は、事故による道路Rの規制状況を示す情報である。例えば、道路規制状況は、通行止、左1車線規制、左2車線規制、などである。
【0037】
道路状態は、事故による道路Rの状態を示す情報である。例えば、道路状態は、道路R上に散乱した散乱物の状態、散乱物の清掃状態、道路Rの破損状態、などを示す。散乱物は、例えば、車両20に搭載されていた積荷や、車両20の部品や、道路Rの周囲から道路R上に散乱した木や土などの物体などである。道路状態は、例えば、積荷散乱、油漏洩、などがある。なお、道路状態は、道路状態のレベルを示す情報を更に含んでいてもよい。道路状態のレベルには、復旧に要する時間がかかる状態であるほど、高いレベルを設定すればよい。例えば、散乱物の数が多いほど、また、散乱物の散乱範囲が広いほど、高いレベルを設定すればよい。
【0038】
事故発生場所の車線数は、道路Rにおける、事故発生場所の車線数を示す。閉鎖車線数は、道路Rにおける、事故により閉鎖されている車線数を示す。規制距離は、道路Rにおける、事故による車線規制や通行止の距離を示す。事故車両の自走可否は、事故に関与した車両20が牽引されずに自力で走行可能か否かを示す情報である。
【0039】
事故発生場所から所定範囲内に位置する施設は、事故発生場所から所定範囲内に位置する、車両20を停車または事故発生場所から退避させることの可能な領域を示す情報である。施設は、例えば、SA(サービスエリア)、PA(パーキングエリア)、JCT(ジャンクション)、IC(インターチェンジ)、路肩、路側帯、などである。
【0040】
本実施の形態では、取得部30Aは、入力部34から事故発生状況情報を取得する。例えば、交通管制装置10を管理する管理者は、事故が発生したときに入力部34を操作することで、事故発生状況情報を入力する。
【0041】
管理者は、事故の当事者、事故の目撃者、または事故の発見者などからの連絡により、事故発生を示す情報を受付け、事故発生状況情報の入力に用いればよい。
【0042】
例えば、道路R上で発生した事故を確認したユーザは、端末装置12を操作することで、事故発生を示す情報を入力する。すると、端末装置12は、受付けた事故発生を示す情報を、ネットワーク18を介して交通管制装置10へ送信する。交通管制装置10は、端末装置12からネットワーク18および通信部32介し、事故発生を示す情報を受信する。
【0043】
そして、交通管制装置10の制御部30は、受信した事故発生を示す情報を表示部36へ表示することで、管理者に該情報を提供する。なお、管理者は、電話回線を介して、通話機能を有する携帯端末で受付けた該情報を示す音声を聞くことで、事故発生を示す情報を受付けてもよい。
【0044】
そして、管理者は、受付けた事故発生を示す情報に基づいて、入力部34を操作することで、事故発生状況情報を入力する。
【0045】
本実施の形態では、取得部30Aは、表示制御部30Fを含む。表示制御部30Fは、事故発生状況情報の入力を受付けるための事故情報入力画面を、表示部36へ表示する。管理者は、表示部36に表示された事故情報入力画面を視認しながら入力部34を操作することで、事故発生状況情報を入力する。
【0046】
図4は、事故情報入力画面40の一例を示す模式図である。例えば、表示制御部30Fは、
図4(A)に示す事故情報入力画面40を表示部36へ表示する。
【0047】
事故情報入力画面40は、事故発生状況情報に含まれる各項目の入力欄を含む。
図4(A)には、事故情報入力画面40が、事故発生時刻の時間帯の入力欄40Aと、気象状態の入力欄40Bと、事故種別の入力欄40Cと、事故車両の数の入力欄40Dと、を含む場合を一例として示した。しかし、事故情報入力画面40は、事故発生状況情報に含まれる他の項目(例えば、道路規制状況、道路状態など)の各々を入力する入力欄を更に備えたものであってもよい。
【0048】
例えば、事故発生時刻の時間帯の入力欄40Aには、プルダウンボタンが表示される。管理者は、入力部34を操作することで、入力欄40Aに示されるプルダウンボタンを操作し、プルダウンメニューに示される所望の時間帯を選択する。この選択操作により、管理者は、事故発生時刻を入力する。
【0049】
気象情報の入力欄40Bは、事故発生時の事故時気象状態の入力欄40B1と、事故発生から予め定めた時間後の予測気象状態の入力欄40B2と、を含む。管理者は、入力欄40B1および入力欄40B2の各々に示されるプルダウンボタンを操作し、プルダウンメニューに示される所望の気象状態の種類を選択する。この選択操作により、管理者は、事故発生時の事故時気象状態と、事故発生から予め定めた時間後の予測気象状態と、を入力する。
【0050】
事故種別の入力欄40Cは、事故種別のキーワード検索を行うための検索欄40C1と、事故種別の各々を選択するためのチェックボタン40C2と、を含む。管理者は、入力部34を操作することで、検索欄40C1に、事故種別を示すキーワードを入力する。表示制御部30Fは、事故種別を示すキーワードが入力されると、入力されたキーワードに対応する事故種別の表示領域を強調表示する(
図4(B)参照)。
【0051】
このため、管理者は、事故種別の各々を選択するためのチェックボタン40C2の内、強調表示された事故種別のチェックボタン40C2を選択することで、簡易な操作で事故種別を入力することができる。
【0052】
図4(A)に戻り説明を続ける。事故車両の数の入力欄40Dは、“多重”または“単独”を選択するためのチェックボックスと、“多重”事故の場合の事故車両数の入力欄と、を含む。管理者は、入力部34を操作することで、“多重”または“単独”を選択する。また、管理者は、入力部34を操作することで、事故車両数を入力する。これらの操作により、管理者は、事故車両の数を入力する。
【0053】
このように、管理者は、表示部36に表示された事故情報入力画面40を介して入力部34を操作することで、事故発生状況情報を入力する。
【0054】
図3に戻り説明を続ける。取得部30Aは、入力部34から事故発生状況情報を取得する。
【0055】
なお、取得部30Aは、通信部32およびネットワーク18を介して、端末装置12から事故発生状況情報を取得してもよい。この場合、端末装置12に、事故情報入力画面40を表示する表示機能と、該事故情報入力画面40を介して受付けた事故発生状況情報を交通管制装置10へ送信する通信機能と、を備えた構成とすればよい。
【0056】
次に、導出部30Bについて説明する。導出部30Bは、事故復旧予測時間を導出する。上述したように、事故復旧予測時間は、道路Rに関する事故の復旧予測時間を示す。本実施の形態では、事故復旧予測時間は、道路Rの通行止が解除される解除予定時間、または、道路Rの車線規制が解除される解除予定時間を示す。詳細には、事故復旧予測時間は、事故発生から道路Rの通行止が解除されるまでに要すると予測される期間を示す解除予定時間、または、事故発生から道路Rの車線規制が解除されるまでに要すると予測される期間を示す解除予定時間、を示す。なお、事故復旧予測時間は、事故発生から道路Rの復旧作業が終了するまでに要すると予測される期間を示すものであってもよい。
【0057】
本実施の形態では、導出部30Bは、取得部30Aから受付けた事故発生状況情報と、過去事例情報38Aと、に基づいて、事故復旧予測時間を導出する。
【0058】
図5は、過去事例情報38Aのデータ構成の一例を示す模式図である。過去事例情報38Aは、過去に発生した事故の事故発生状況情報と、事故復旧時間と、の対応を示す情報である。本実施の形態では、過去事例情報38Aが、事故発生状況情報と、備考情報と、を対応づけた情報である場合を、一例として説明する。
【0059】
なお、
図5には、過去事例情報38Aに登録される事故発生状況情報に含まれる項目として、事故種別、道路状態、火災状況、気象状態、事故車両の数、道路名、車線数、車種:数、規制距離、道路規制状況、および施設を一例として示した。しかし、過去事例情報38Aに登録される事故発生状況情報の項目は、気象状態、事故発生時刻、事故種別、事故発生場所、事故車両の数、事故車両の車種、負傷者の数、火災状況、道路規制状況、道路状態、事故発生場所の車線数、閉鎖車線数、規制距離、事故車両の自走可否、および、事故発生場所から所定範囲内に位置する施設、の少なくとも1つの項目を示す情報であればよく、
図5に示す項目に限定されない。また、事故発生状況情報は、道路Rに関する事故発生状況を示す他の項目を、更に含んだ情報であってもよい。例えば、事故発生状況情報は、備考情報に示される項目の少なくとも1つを更に含んでいてもよい。
【0060】
なお、
図5中に道路名の一例として記載したA自動車道~E自動車道は、高速道路、一般国道自動車専用道路を含む、自動車専用の高規格幹線道路の一例である。
【0061】
事故復旧時間は、対応する事故発生状況情報によって示される事故について、事故発生から事故復旧までに実際に要した時間を示す情報である。詳細には、事故復旧時間は、事故発生から道路Rの通行止が解除されるまでに要した時間(期間)、事故発生から道路Rの車線規制が解除されるまでに要した時間(期間)、または、事故発生から道路R上の復旧作業が終了するまでに要した時間(期間)、の何れかを示す。
【0062】
備考情報は、対応する事故発生状況情報によって示される事故について、管理者が復旧作業の計画や復旧作業の手配のために用いる情報である。備考情報は、例えば、復旧作業に必要な必要人員や、特殊業者の必要の有無、などを含む。必要人員は、例えば、道路Rの車線規制に必要な人員を示す規制員の数や、復旧作業を行う作業員の数を示す。なお、上述したように、備考情報に示される項目の少なくとも1つは、事故発生状況情報として用いてもよい。
【0063】
図3に戻り説明を続ける。本実施の形態では、導出部30Bは、過去事例情報38Aに登録されている事故発生状況情報の内、取得部30Aで取得した事故発生状況情報との類似度が閾値以上の事故発生状況情報に対応する事故復旧時間に基づいて、事故復旧予測時間を導出する。
【0064】
例えば、導出部30Bは、下記式(1)を用いて、過去事例情報38Aに登録されている事故発生状況情報ごとに、取得部30Aで取得した事故発生状況情報との類似度(%)を算出する。
【0065】
類似度=((取得部30Aで取得した事故発生状況情報)∪(過去事例情報38Aに登録されている事故発生状況情報))/(取得部30Aで取得した事故発生状況情報)∩(過去事例情報38Aに登録されている事故発生状況情報)))×100 ・・式(1)
【0066】
そして、導出部30Bは、過去事例情報38Aにおける、類似度が閾値以上の事故発生状況情報を特定する。この閾値は、予め定めればよい。例えば、閾値は、60%、70%、90%などであるが、これらの値に限定されない。また、この閾値は、ユーザによる入力部34の操作指示などによって、適宜変更可能としてもよい。
【0067】
そして、導出部30Bは、過去事例情報38Aにおける、類似度が閾値以上の事故発生状況情報に対応する事故復旧時間を、取得部30Aで取得した事故発生状況情報に示される事故の、事故復旧予測時間として導出する。
【0068】
なお、導出部30Bが、過去事例情報38Aにおける類似度が閾値以上の事故発生状況情報を、複数特定する場合がある。
【0069】
この場合、導出部30Bは、過去事例情報38Aにおける、最も高い類似度の事故発生状況情報に対応する事故復旧時間を、事故復旧予測時間として導出すればよい。
【0070】
また、この場合、導出部30Bは、過去事例情報38Aにおける、類似度が閾値以上の複数の事故発生状況情報の各々に対応する事故復旧時間の平均値を、事故復旧予測時間として導出してもよい。
【0071】
ここで、導出部30Bは、事故発生状況情報に含まれる項目ごとに、重み付け値を予め設定し、高い重み付け値を設定した項目の一致度が高いほど、高い類似度を算出してもよい。例えば、導出部30Bは、事故発生状況情報に含まれる項目の内、項目“事故種別”に最も高い重み付け値(例えば、2.0)を付与し、項目“事故車両の数”に次に高い重み付け値(例えば、1.7)を付与し、項目“事故発生場所”に次に高い重み付け値(例えば、1.5)を付与する。また、他の項目については、重み付け無(例えば、重み付け値“1”)とするそして、導出部30Bは、取得部30Aで取得した事故発生状況情報と、過去事例情報38Aに登録されている事故発生状況情報と、の各々に含まれる項目について、高い重み付け値を設定した項目の一致度が高いほど、高い類似度を算出してもよい。
【0072】
また、導出部30Bは、学習モデルを用いて、取得部30Aで取得した事故発生状況情報から、事故復旧予測時間を導出してもよい。
【0073】
この場合、導出部30Bは、過去事例情報38Aに登録されている事故発生状況情報と事故復旧時間との対応を教師データとして用い、取得部30Aで取得した事故発生状況情報から事故復旧予測時間を導出するための学習モデルを予め学習すればよい。なお、導出部30Bは、公知のアルゴリズムを用いた機械学習により、教師データを用いて学習モデルを予め学習すればよい。
【0074】
そして、導出部30Bは、取得部30Aで取得した事故発生状況情報を入力データとして学習モデルに入力することで、事故復旧予測時間を導出してもよい。
【0075】
ここで、
図4を用いて説明したように、事故情報入力画面40における気象情報の入力欄40Bは、事故発生時の事故時気象状態の入力欄40B1と、事故発生から予め定めた時間後の予測気象状態の入力欄40B2と、を含む。このため、取得部30Aは、事故時気象状態と、予測気象状態と、の双方を含む気象状態を取得する場合がある。この場合、導出部30Bは、事故時気象状態と予測気象状態の内、事故の復旧に、より支障の生じる気象状態を示す事故時気象状態または予測気象状態を、気象状態を示す情報として用いればよい。
【0076】
本実施の形態では、導出部30Bは、ランク情報38Bを用いて、事故の復旧に、より支障の生じる気象状態を判断する。
【0077】
図6は、ランク情報38Bのデータ構成の一例を示す模式図である。ランク情報38Bは、ランクと、気象状態と、を対応づけた情報である。ランク情報38Bには、事故の復旧に、より支障の生じる気象を示す気象状態ほど、高いランクが対応付けられている。なお、ランクは、大きい値ほど、高いランクを示すものとして説明する。
【0078】
導出部30Bは、取得部30Aで取得した事故状況発生情報に含まれる気象状態が、事故時気象状態と予測気象状態の双方を含む場合、ランク情報38Bに示される対応するランクが高い方を、気象状態として特定し、事故復旧予測時間の導出に用いればよい。
【0079】
図3に戻り説明を続ける。次に、判断部30Cについて説明する。判断部30Cは、導出部30Bで導出された事故復旧予測時間が、所定時間以下であるか否かを判断する。所定時間は、数日間の通行止が必要となる重大事故であるか否かの判断の閾値となる時間である。例えば、所定時間は、2日、3日、4日などの日数で表される時間情報である。本実施の形態では、所定時間が、2日を示す時間情報である場合を一例として説明する。なお、この所定時間は、ユーザによる入力部34の操作指示などにより、適宜変更可能としてもよい。
【0080】
次に、出力制御部30Dについて説明する。出力制御部30Dは、事故復旧予測時間を出力する。
【0081】
本実施の形態では、出力制御部30Dは、導出部30Bで導出された事故復旧予測時間が上記所定時間以下である場合、導出部30Bで導出された事故復旧予測時間を出力する。
【0082】
一方、出力制御部30Dは、導出部30Bで導出された事故復旧予測時間が上記所定時間を超える場合、入力部34から受付けた事故復旧予測時間を出力する。
【0083】
例えば、出力制御部30Dは、導出部30Bで導出された事故復旧予測時間が上記所定時間を超える場合、該所定時間を超える事を示す情報を表示部36へ表示する。管理者は、所定時間を超える事を示す情報が表示された場合、事故復旧計画や復旧工程の計画をたて、事故復旧予測時間を推定する。そして、管理者は、入力部34を操作することで、事故復旧予測時間を入力する。この操作により、出力制御部30Dは、入力部34から事故復旧予測時間を受付ける。そして、出力制御部30Dは、入力部34から受付けた事故復旧予測時間を出力する。
【0084】
なお、出力制御部30Dは、導出部30Bで導出された事故復旧予測時間が所定時間を超える場合についても、導出部30Bで導出された該事故復旧予測時間を出力してもよい。
【0085】
出力制御部30Dによる事故復旧予測時間の出力先は、限定されない。例えば、出力制御部30Dは、事故復旧予測時間を、通信部32およびネットワーク18を介して、端末装置12、路側機14、および表示装置16の少なくとも1つへ出力する。
【0086】
交通管制装置10から事故復旧予測時間を受信した端末装置12は、受信した事故復旧予測時間を音声出力または表示する。このため、交通管制装置10は、端末装置12を操作するユーザに対して、事故復旧予測時間を提供することができる。
【0087】
また、交通管制装置10から事故復旧予測時間を受信した路側機14は、道路Rを走行する車両20の車載装置21へ、事故復旧予測時間を送信する。事故復旧予測時間を受信した車載装置21は、車両20に搭載されている表示装置や音声出力装置などの出力装置へ、事故復旧予測時間を出力する。このため、交通管制装置10は、車両20に乗車しているユーザに対して、事故復旧予測時間を提供することができる。
【0088】
また、事故復旧予測時間を受信した表示装置16は、受信した事故復旧予測時間を表示する。このため、道路Rを走行する車両20に乗車しているユーザに対して、事故復旧予測時間を提供することができる。
【0089】
なお、出力制御部30Dは、音声データや映像データやテキストデータ等を配信する配信サーバに対して、ネットワーク18を介して事故復旧予測時間を出力してもよい。配信サーバは、例えば、映像を配信するテレビ放送通信局や音声を配信する通信局に設置されたサーバや、メールサーバなどである。出力制御部30Dが配信サーバに事故復旧予測時間を出力することで、公共電波を介したテレビ放送やラジオ放送やメールなどにより、事故復旧予測時間をユーザに提供することができる。
【0090】
次に、更新部30Eについて説明する。更新部30Eは、過去事例情報38Aを更新する。更新部30Eは、取得部30Aで取得した事故発生状況情報に示される事故の復旧が完了した後に、該事故発生状況情報と、実際に事故復旧に要した事故復旧時間と、を対応付けて過去事例情報38Aに登録する。この登録処理により、過去事例情報38Aを更新する。実際に事故復旧に要した事故復旧時間は、管理者による操作入力により入力される。
【0091】
例えば、管理者は、事故の復旧が完了したときに、入力部34を介して、実際に事故復旧に要した事故復旧時間を入力する。すると、更新部30Eは、事故復旧時間を入力部34から受付ける。そして、更新部30Eは、入力部34から受付けた事故復旧時間と、事故発生状況情報と、を対応付けて、過去事例情報38Aへ登録する。この登録処理により、更新部30Eは、過去事例情報38Aを更新する。
【0092】
次に、修正部30Gについて説明する。修正部30Gは、過去事例情報38Aを修正する。修正部30Gは、ユーザによる入力部34の操作指示を受付け、該操作指示によって示される、過去事例情報38Aに登録されている情報の修正を行う。例えば、ユーザは、入力部34を操作することで、事故復旧時間の修正値を含む修正指示情報を入力する。すると、修正部30Gは、入力部34から修正指示情報を受付ける。修正部30Gは、過去事例情報38Aに登録されている事故復旧時間の内、該修正指示情報によって示される所定の事故復旧時間を、該修正指示情報によって示される修正値に修正する。なお、修正部30Gは、同様にして、他の情報(例えば、備考情報など)を修正してもよい。また、修正指示情報は、過去事例情報38Aに登録されている所定のデータの削除を示す情報であってもよい。この場合、修正部30Gは、過去事例情報38Aに登録されているデータの内、該修正指示情報によって示されるデータを削除すればよい。
【0093】
次に、交通管制装置10が実行する情報処理の手順の一例を説明する。
【0094】
図7は、本実施の形態の交通管制装置10が実行する情報処理の手順の一例を示す、フローチャートである。
【0095】
交通管制装置10を管理する管理者が、事故の当事者、事故の目撃者、または事故の発見者などからの連絡により、事故発生を示す情報を受付ける。すると、管理者は、入力部34を操作することで、事故情報入力画面40の表示指示を入力する。表示制御部30Fは、表示指示を示す信号を入力部34から受付けると、事故情報入力画面40を表示部36へ表示する(ステップS100)。
【0096】
ステップS100の処理によって、交通管制装置10の表示部36には、例えば、
図4に示す事故情報入力画面40が表示される。ユーザは、入力部34を操作することで、事故情報入力画面40を介して事故発生状況情報を入力する。
【0097】
次に、取得部30Aが、入力部34から事故発生状況情報を取得したか否かを判断する(ステップS102)。取得部30Aは、入力部34から事故発生状況情報を取得したと判断するまで否定判断(ステップS102:No)を繰返す。そして、入力部34から事故発生状況情報を取得すると(ステップS102:Yes)、ステップS104へ進む。
【0098】
次に、導出部30Bが、ステップS102で取得した事故発生状況情報と、過去事例情報38Aと、に基づいて、事故復旧予測時間を導出する(ステップS104)。
【0099】
次に、判断部30Cが、ステップS104で導出された事故復旧予測時間が、所定時間以下であるか否かを判断する(ステップS106)。ステップS106の判断によって、判断部30Cは、導出された事故復旧予測時間が、数日間の通行止が必要な重大事故を示さないか否かを判断する。
【0100】
導出された事故復旧予測時間が所定時間以下である場合(ステップS106:Yes)、判断部30Cは、数日間の通行止が必要な重大事故ではないと判断し、後述するステップS110へ進む。
【0101】
一方、導出された事故復旧予測時間が所定時間を超える場合(ステップS106:No)、数日間の通行止が必要な重大事故と判断し、ステップS108へ進む。
【0102】
ステップS108では、出力制御部30Dは、入力部34から事故復旧予測時間を受付ける(ステップS108)。上述したように、出力制御部30Dは、導出部30Bで導出された事故復旧予測時間が所定時間を超える事を示す情報を、表示部36へ表示する。管理者は、事故復旧計画や復旧工程の計画をたて、入力部34を操作することで、計画に基づいて推定した事故復旧予測時間を入力する。この操作により、出力制御部30Dは、入力部34から事故復旧予測時間を受付ける。
【0103】
次に、ステップS110では、出力制御部30Dが、ステップS104で導出された事故復旧予測時間またはステップS108で受付けた事故復旧予測時間を出力する(ステップS110)。ステップS110の処理によって、事故復旧予測時間が、端末装置12、車両20、表示装置16、および、映像や音声やメールを配信する配信サーバの少なくとも1つに出力される。
【0104】
次に、更新部30Eは、ステップS102で取得した事故発生状況情報を、過去事例情報38Aに追加する(ステップS112)。
【0105】
次に、更新部30Eは、実際の事故復旧時間を入力部34から受付けたと判断(ステップS114:Yes)するまで、否定判断(ステップS114:No)を繰返す。
【0106】
ステップS114で肯定判断すると(ステップS114:Yes)、更新部30Eは、受付けた実際の事故復旧時間を、ステップS112で追加した事故発生状況情報に対応づけて過去事例情報38Aに登録する(ステップS116)。そして、本ルーチンを終了する。
【0107】
以上説明したように、本実施の形態の交通管制装置10は、取得部30Aと、導出部30Bと、を備える。取得部30Aは、道路Rに関する事故発生状況情報を取得する。導出部30Bは、事故発生状況情報と事故復旧時間との対応を示す過去事例情報38Aと、取得した事故発生状況情報と、に基づいて、事故復旧予測時間を導出する。
【0108】
このように、本実施の形態の交通管制装置10は、道路Rに関する事故発生状況情報と事故復旧時間との対応を示す過去の事例である過去事例情報38Aを用いて、取得した事故発生状況情報に応じた事故復旧予測時間を導出する。
【0109】
従って、本実施の形態の交通管制装置10は、道路Rに関する事故復旧予測時間を、高精度に予測することができる。
【0110】
また、事故復旧予測時間は、道路Rの通行止が解除される解除予定時間、または、道路Rの車線規制が解除される解除予定時間を示す。このため、本実施の形態の交通管制装置10は、上記効果に加えて、道路Rに特有の事故復旧予測時間を、高精度に予測することができる。
【0111】
また、事故発生状況情報は、気象状態、事故発生時刻、事故種別、事故発生場所、事故車両の数、事故車両の車種、負傷者の数、火災状況、道路規制状況、道路状態、事故発生場所の車線数、閉鎖車線数、規制距離、事故車両の自走可否、および、事故発生場所から所定範囲内に位置する施設、の少なくとも1つを示す。このため、本実施の形態の交通管制装置10は、上記効果に加えて、道路Rに特有の事故復旧予測時間を、高精度に予測することができる。
【0112】
また、導出部30Bは、事故発生時の事故時気象状態と、事故発生から予め定めた時間後の予測気象状態の内、事故の復旧に、より支障の生じる気象を示す事故時気象状態または予測気象状態を気象状態として含む事故発生状況情報に基づいて、事故復旧時間を導出する。このため、本実施の形態の交通管制装置10は、上記効果に加えて、より高精度に、事故復旧予測時間を予測することができる。
【0113】
また、導出部30Bは、過去事例情報38Aにおける、取得した事故発生状況情報との類似度が閾値以上の事故発生状況情報に対応する事故復旧時間に基づいて、事故復旧予測時間を導出する。このため、このため、本実施の形態の交通管制装置10は、上記効果に加えて、より高精度に、事故復旧予測時間を予測することができる。
【0114】
また、出力制御部30Dは、事故復旧予測時間を出力する。このため、本実施の形態の交通管制装置10は、上記効果に加えて、高精度に予測した事故復旧予測時間を、ユーザに提供することができる。
【0115】
なお、本実施の形態では、情報処理システム1が、交通管制装置10と、端末装置12と、路側機14と、表示装置16と、を備えた構成である場合を一例として説明した。しかし、情報処理システム1は、少なくとも交通管制装置10を備えた構成であればよく、端末装置12、路側機14、および表示装置16の少なくとも1つを備えない構成であってもよい。また、情報処理システム1は、更に、車載装置21を備えた構成であってもよい。
【0116】
また、本実施の形態では、情報処理システム1が、1つの交通管制装置10を備えた構成である場合を一例として説明した。しかし、情報処理システム1は、複数の交通管制装置10を備えた構成であってもよい。
【0117】
また、本実施の形態では、交通管制装置10は、交通管制装置10に設けられた記憶部38に、過去事例情報38Aおよびランク情報38Bを記憶する場合を一例として説明した。しかし、過去事例情報38Aおよびランク情報38Bの少なくとも一方を、ネットワーク18に接続されたクラウドサーバ等の外部サーバに記憶してもよい。この場合、過去事例情報38Aを、複数の交通管制装置10や他の装置で共有して用いることが可能となる。また、1つの過去事例情報38Aを、複数の交通管制装置10で更新することも可能となる。
【0118】
上記実施の形態の交通管制装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、記憶部38(
図3参照)に記憶されていてもよい。また、上記実施の形態の交通管制装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、ROM10B(
図2参照)に予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0119】
また、上記実施の形態の交通管制装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。
【0120】
また、上記実施の形態の交通管制装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施の形態の交通管制装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0121】
本実施の形態の交通管制装置10で実行されるプログラムは、上述した各部(取得部30A、導出部30B、判断部30C、出力制御部30D、更新部30E、表示制御部30F)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、上記各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0122】
なお、上記には、本発明の実施の形態を説明したが、上記実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0123】
例えば、上記実施の形態のフローチャートにおける各ステップを、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実施し、あるいは実施毎に異なった順序で実施してもよい。
【符号の説明】
【0124】
10 交通管制装置
30A 取得部
30B 導出部
30D 出力制御部
38A 過去事例情報