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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】複数の発光体により共有される電流源
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/40 20200101AFI20220905BHJP
   B60Q 3/74 20170101ALI20220905BHJP
   B60Q 3/80 20170101ALI20220905BHJP
【FI】
H05B45/40
B60Q3/74
B60Q3/80
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018096238
(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公開番号】P2018198201
(43)【公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】1754480
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】リオネル、ドルメール
(72)【発明者】
【氏名】アルノー、フェーブル
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-527719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0312771(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0257223(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0217909(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
B60Q 3/74
B60Q 3/80
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアと、前記キャリア上に配置され、共有の電極(4.2/6.1)を有する少なくとも2つの発光体である第1発光体(4)及び第2発光体(6)と、を備える、光源と、
前記第1発光体及び前記第2発光体に電力を供給する、電力供給電子回路(8)と、
を備え、
前記電力供給電子回路は、
電流源(10)と、
前記第1発光体の第2端(4.2)と前記電流源の第1端(10.1)との間に接続される、第1スイッチ(16)と、
前記第2発光体の第1端(6.1)と前記電流源の第2端(10.2)との間に接続される、第2スイッチ(18)と、
前記第1発光体の第1端(4.1)と前記電流源の第1端との間に接続される、第3スイッチ(20)と、
前記第2発光体の第2端(6.2)と前記電流源の第2端との間に接続される、第4スイッチ(22)と、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチを制御し、前記第1発光体又は前記第2発光体に選択的に前記電流源から電力を供給する制御をする、制御回路(12)と、
を備える、
ことを特徴とする照明モジュール
【請求項2】
前記電流源の第1端と前記電流源の第2端との間に接続される、接続回路(14)、を備え、
前記電流源第1端及び第2端は、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチを介して前記接続回路とそれぞれ接続される、
ことを特徴とする請求項に記載の照明モジュール
【請求項3】
前記第3スイッチ及び前記第4スイッチのそれぞれは、閉じた状態において、前記第1発光体及び前記第2発光体のうち1つを短絡回路にすることを特徴とする請求項に記載の照明モジュール
【請求項4】
前記接続回路は、電圧源(14)を備えることを特徴とする請求項又は請求項に記載の照明モジュール
【請求項5】
前記光源の前記第1発光体及び前記第2発光体のそれぞれは、カソード(4.2,6.2)及びアノード(4.1,6.1)を備える発光ダイオードであり、前記光源の前記共有の電極は、前記第1発光体のカソード(4.2)及び前記第2発光体のアノード(6.1)に対応することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の照明モジュール
【請求項6】
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチは、絶縁ゲート電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の照明モジュール
【請求項7】
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチを制御する前記制御回路は、前記光源の前記第1発光体及び前記第2発光体に、少なくとも200Hzの周波数で、
前記第1発光体及び前記第2発光体が前記光源ごとに2つである場合、交互に電力を供給し、
前記第1発光体及び前記第2発光体が前記光源ごとに3つ以上である場合、連続して繰り返し電力を供給する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の照明モジュール
【請求項8】
前記光源の前記第1発光体及び前記第2発光体は、色温度が互いに少なくとも1000K相違する、複数の白色の光スペクトルを放出することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の照明モジュール
【請求項9】
前記光源の前記第1発光体及び前記第2発光体は、それぞれ異なる単色の波長を放出することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の照明モジュール
【請求項10】
前記光源の前記第1発光体及び前記第2発光体は、赤色、緑色及び青色の光をそれぞれ発光する請求項に記載の照明モジュール
【請求項11】
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチを制御する前記制御回路は、前記光源の前記第1発光体及び前記第2発光体に、パルス幅変調の信号を介して電力を供給することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の照明モジュール
【請求項12】
複数の前記光源を備え、
前記電力供給電子回路は、
前記光源ごとに1つの前記電流源と、
前記光源ごとに、それぞれの前記電流源と、対応する前記光源と、を電気的に接続する前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチと、
を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の照明モジュール
【請求項13】
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチを制御する前記制御回路は、前記複数の光源の前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチ並びに前記電流源に共通であることを特徴とする請求項12に記載の照明モジュール
【請求項14】
前記複数の光源が選択的に稼働される、補償照明モジュールであることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の照明モジュール
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明及び信号灯、特に自動車用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)光源は、特に自動車の照明及び信号等の分野でますます一般的に使用されてきている。この光源のタイプは、バイアスされており、従来、温度、及び、色(色モデル用)又は発光スペクトル(白色光を放出するモデル用)を制御するために、その中を流れる電流を管理して電力が供給される。この目的のため、従来、1つのLEDに対して、1つの電流源が供給されていた。
【0003】
しかしながら、電流源は、無視できないコストを有し、これは、多くの光源を含むモジュールの状況において特に不利であることが判明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、前述の従来技術の欠点の少なくとも1つを軽減することである。より詳細には、本発明の目的は、経済的かつ効果的な光源の電源を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの主題は、キャリアと、前記キャリア上に配置され、共有の電極を有する少なくとも2つの発光体と、を備える光源と、前記発光体に電力を供給する、電子回路と、を備え、
前記電流供給電子回路が、スイッチを介して前記光源の発光体と接続される、電流源と、前記スイッチを、前記発光体に前記電流源により選択的に電力を供給されることを可能とするように制御する、制御回路と、を備えることが注目に値する照明モジュールである。
【0006】
有利には、前記制御回路は、それぞれの発光体に電力を、別個の期間、すなわち、重ならない(オーバーラップしない)期間において供給する。
【0007】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記スイッチは、第1スイッチと、第2スイッチと、を備え、前記電流源は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチにそれぞれ、前記発光体に共通する前記電極で接続される、電流入力端子及び電流出力端子を備える。
【0008】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記光源のそれぞれの前記発光体は、特定の電極を備え、前記モジュールは、前記電極と接続される回路を備え、前記スイッチは、第3スイッチ及び第4スイッチを備え、前記電流源の前記電流入力及び出力端子は、前記接続回路と、前記第3及び第4スイッチによりそれぞれ接続される。
【0009】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記第3及び第4スイッチのそれぞれは、閉じた状態において、前記発光体のうち1つを短絡回路にする。
【0010】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記接続回路は、電圧源を備える。
【0011】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記光源の前記発光体のそれぞれは、カソード及びアノードを備える発光ダイオードであり、前記光源の前記共有電極は、前記発光体のカソード及びアノードに対応する。
【0012】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記スイッチは、絶縁ゲート電界効果トランジスタであってもよい。
【0013】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記スイッチを制御する前記制御回路は、前記光源の前記発光体に、少なくとも200Hzの周波数で、前記発光体が前記光源ごとに2つである場合、交互に電力を供給し、前記発光体が前記光源ごとに3つ以上である場合、連続して繰り返し電力を供給する。
【0014】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記光源の前記発光体は、色温度が互いに少なくとも1000K相違する、複数の白色の光スペクトルを放出する。
【0015】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記光源の前記発光体は、それぞれ異なる単色の波長を放出する。
【0016】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記光源の前記発光体は、赤色、緑色及び青色の光を放出する。
【0017】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記スイッチを制御する前記制御回路は、前記光源の前記発光体に、パルス幅変調の信号を介して電力を供給する。
【0018】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記モジュールは、複数の光源を備え、前記電力供給電子回路は、光源ごとに1つの電流源、及び、それぞれの電流源と対応する前記光源とを電気的に接続するスイッチと、を備える。
【0019】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記スイッチを制御する前記制御回路は、前記光源の前記スイッチ及び電流源に共通である。
【0020】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記光源は、選択的に稼働され、前記モジュールは、補償照明モジュールである。
【0021】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記モジュールは、自動車の車室内の照明モジュール、特に、天井灯である。
【0022】
本発明の手段は、1つの電流源が光源の複数の発光体により共有されることを可能にする点で有利である。この共有により、必要とされる電流源の数を少なくとも半分にすることができる。3つの発光体を備える光源の場合、電流源の数の減少は、3倍となる。加えて、スイッチの制御回路は、それらを通過する電流の流れを制御するために、パルス幅変調により、スイッチを制御することができる。パルス幅変調によれば、1又はそれぞれの発光体の供給フェーズのそれぞれの間において、そのような変調であることを意味する。
【0023】
本発明の他の特徴及び利点は、明細書及び図面からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来技術による2つのLED光源の供給の回路図である。
図2】本発明による同じ光源の2つの発光体の供給の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、従来技術の2つのLED光源104、106を備える照明モジュール102を示す。より詳しくは、図1は、問題のモジュールの光源104、106に電力を供給するための回路108を示す。見て取れるように、電力供給回路108は、光源104、106にそれぞれ電気的に直列に接続された2つの電流源110、112を備える。光源及びそれらのそれぞれの電流源は、並列に接続され、電流供給回路108は、光源と電流源とを並列に接続する回路を備え、接続回路は、この場合、電圧源114を備える。電流源110、112は、電圧源114によって生成される電流である光源104、106に流れる電流を調整する手段を備える。このような電流調整手段は、当業者には周知である。
【0026】
図2は、本発明による照明モジュールの供給の回路図8を示す。図1と同様に、モジュールは、2つのLED発光体4、6を備える。しかしながら、図1とは逆に、これらの発光体4、6は、同じキャリア上に配置され、したがって、2つの発光領域を有する光源4、6の同じ構成要素の一部を形成し、これらの2つの領域は、あるいは独立して電力が供給される。より正確には、第1エミッタ4は、アノード4.1と、カソード4.2と、を備え、同様に、第2エミッタ6は、アノード6.1と、カソード6.2と、を備える。第1エミッタ4のカソード4.2は、第2エミッタのアノード6.1と電気的に直接接続され、共通電極を形成する。アノード4.1とカソード6.2は、光源の3つの電極の他の2つの電極を形成する。
【0027】
電力供給回路8は、電力を発光体4にある程度の時間、及び、電力を発光体6にある程度の時間、供給する共通の電流源10を備える。この場合、単一の電流源10が設けられているが、複数の発光源に共通の電流源を複数(特に、並列に配置すること)が供給されることが想定されることを理解されたい。電流源10は、スイッチ16、18、20、22によって光源の電極に電気的に接続される。より正確には、電流源10は、電流入力の第1端子10.1及び電流出力の第2端子10.2を備え、これら2つの端子は、電流源の電気的接続を保証する。各端子10.1、10.2は、それぞれ、スイッチ16、18を介して光源の共通電極4.2、6.1に電気的に接続される。端子10.1、10.2もまた、スイッチ20、22を介して光源4、6の接続回路に接続される。より正確には、電流源10の電流入力端子10.1は、スイッチ20を介して電圧源14の正の端子に接続され、前記スイッチを閉じることは、第1発光体4の回路を短絡させる。同様に、電流源10の電流出力端子10.2は、スイッチ22を介して電圧源14の負の端子(この場合、接地される)に接続される。このスイッチを閉じることは、第2発光体6の短絡回路の効果を有する。
【0028】
電力供給回路8はまた、スイッチ16、18、20、22を制御する制御回路12を備える。図2に示されるように、この回路は、スイッチ16、22、及び、スイッチ18、20を選択的に制御する。これらのスイッチは、有利には、絶縁ゲートの電界効果トランジスタであってもよい。制御信号がない場合、それらは、開放され、電流を通過させない。
【0029】
第1制御モードでは、スイッチ16、22のみが閉じられる。これは、電圧源14により生成された電流が、電流の調整を保証する電流源を介して第1発光体4に排他的に流れることを意味する。第2制御モードでは、スイッチ18、20のみが閉じられ、これは、電流が第2発光体6を通して排他的に電流が流れることを意味する。
【0030】
制御回路12は、このように、2つの発光体4、6間の電流源10の接続時間を共有する。したがって、単一の電流源は、複数の発光体に電力を供給し、したがって、電流源の数を削減することができる。この共有は、特にパルス幅変調(PWM)により電流が調整されるコンテキストにおいては、特に有利である。特に、この手法で光源に電力を供給することは、供給電力のいくらかのみが使われることを意味し、複数の発光体の間で電流源を共有することがより有利とする。
【0031】
制御回路12は、例えば、100Hzより高いか等しい、望ましくは200Hzよりも高いか等しい所与の周波数において問題となる2つのモード間をスイッチする。したがって、発光体は、それらがいくらかの時間の間においてのみ電力が供給されるものであったとえしても、連続的に点灯している印象を与える。スイッチの制御信号は、パルス幅変調であってもよく、(電流源がどのように共有されるかの設定に加え、)各共有モード間における電流の調整手段となる。この場合、電流源は、例えば、定電流を供給するように、より簡単な方法で構成又は製造することができる。
【0032】
上述した例においては、光源は、2つの発光体4、6を備える。しかしながら、例えば、3つの発光体といったようなさらなる数の発光体を備えていてもよいことに理解されたい。この場合、2つの追加のスイッチを備えつけることにより可能となる。第3発光体は、第1発光体4及び第2発光体6のうち1つと並行に設置されてもよい。追加のスイッチは、そうすると、1つのスイッチが2つの並行するブランチのそれぞれを通電するように位置されてもよく、これは、電流が流れるブランチを選択することを可能とする。他の構成が可能であることもまた、理解されたい。
【0033】
光源4、6は、白色光を生成するタイプであってもよい。この場合、発光体は、異なる色温度の光を生成するように構成され、この差異は、1000Kよりも大きいか、等しく手もよい。さらに正確には、発光体の1つは、所謂暖色系の白色、すなわち、2700Kから始まる色温度の光を生成してもよいし、他の発光体は、所謂寒色系の白色、すなわち、6500Kで終わる色温度の光を生成してもよい。双方のエミッタに電力を供給すると、中間の色温度の白色光を生成し、特に、これは、電流源がどのように共有されるかに依存する。
【0034】
代わりに、光源は、様々な疑似単色を生成するような色のタイプであってもよい。例として、3つの発光体を備えていてもよく、すなわち、赤色光を生成する第1エミッタ、緑色光を生成する第2エミッタ、及び、青色光を生成する第3エミッタを備えていてもよい。特に、問題の3つのエミッタ間で電流源がどのように共有されるかに応じて、様々な色を得ることができる。
【0035】
照明モジュールは、複数の、又は、多くの光源を備えていてもよく、対応する電流源を備えていてもよい。このようして、これらの光源は、マトリクスアレイを形成するように設置してもよい。それらは、自由に電力を供給することができる。
図1
図2